説明

3つの外皮及び2つのコア層を有する複合構造の貫通修復するための方法

修復部分(6,20,21,22,及び23)が例えば、ハニカム構造のように、2つのコア層(16,19)及び3つのポリマー外皮(2,3,17)を通じて確立され、複合構造を得るために2つの外皮及び2つのコア層の間に挿入された中間皮を含み、この修復部分がセットされ、ポリマーが真空で硬化される。カウンターフォーム(8)は、適切な様相及び表面品質を保証するために、外皮(2)の一方の側面上に押圧される。本発明は、通気口(24)が中間皮(21)を通じて設けられ、より好ましくは、下にあるセル状のコア(20)の適切なガス抜きのためのカウンターフォームを受容する外皮(2)を通じて設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の外皮の間のセル状の内部コアの2つの層と、2つのコア層の間に配置された中間皮とを備えるダブルサンドイッチ型の複合構造を貫通修復するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料は、多くの装置、特に、交通機関、地下鉄、船、及び航空機に見られる。例えば、船の船殻又は外側の流線型の形状部、翼の前縁、航空機の補助翼、レーダードームなどに見られる。中間皮の使用は、無線電子(radio-electronic)の透過性の確かな利点を提供する。
【0003】
構造は、局所的に取り替えなければならない程度に損傷される場合が多い。外皮の新しい部分及びコア層の新しい部分は、無傷の部分を延長することによって修復の位置にセットされ、外皮の新しい部分は硬化するままにされる。構造の外側上の非常に滑らかな修復された表面を保証するために、本来の外皮とこの外皮の新しい部分の縁部との間のレベルにおける差異を有することなく、修復部分を本来の構造と一様のレベルにするように、カウンターフォームは硬化する前に新しい部分上に載置され、且つ押圧される。
【0004】
カウンターフォームの圧力にもかかわれず、外皮の新しい部分とコア層の新しい部分との間の接着失敗の危険性が存在する。本発明の目的は、この危険性を排除し、且つ新しい部分の間の接着の品質を提供することである。
【0005】
接着失敗は、焼成中に外皮上にセットするコアの圧力の欠損から生じ、硬化を達成する場合に、それ自体がコア層のセル内に入り込んだ空気の圧力によって引き起こされ、カウンターフォームの圧力が新しい外皮部分の縁部の下方から浮かび上がることを妨げる。通常の方法において、構造の修復されるべき部分はチャンバーを形成する真空バッグ内に包まれ、このチャンバーにおいて、真空は、樹脂の余剰部分を吸い出し、且つこの空気を排気するように作用され、それによって金型からの除去を容易にするが、吸気が十分な程度で達成されることはほとんどない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
すべての外皮及びコア層の積み重ねられた部分が取り替えられたサンドイッチ型の複合構造又はダブルサンドイッチ型の複合構造に適用された貫通修復の場合において、空気はカウンターフォームによって圧縮されない側面を通じて構造から逃れることができるが、実は排気はこの側面に最も近接したコア層のみ達成される。そのために、コアの他の層がカウンターフォームによって押圧された外皮に隣接され、同様に中間皮によって制限され、それによってコアの他の層が空気の排気に対して他のバリアーを形成する。それ故に、予防措置は、中間皮によって分離された内部の2つの層を備えるそのような複合構造の完全な排気を提供するように講じられる。周知の方法において、これは、これより先で示される、長時間で且つ非経済的である方法におけるいくつかのステップにおいて外皮層の硬化を続行することによって達成される。1つの方法が本明細書で提案され、その方法の本質的な利益は、いかなる品質をも問題とすることなく、修復のために必要とされる時間を短くすることである。その一般的な実施形態において、そのような構造において、且つ全ての層の部分を新しい部分に置き換えるステップと、第1の外皮の新しい部分上及び新しい部分の周囲に剛性を有するカウンターフォームを載置するステップと、複合材料構造上にカウンターフォームを押圧するステップと、外皮の新しい部分及び中間皮の新しい部分を硬化するステップと、からなる方法において、硬化するステップの前に、中間皮の新しい部分に穴をあけるステップと、内部コアの第1の層及び第2の層に含有された空気を排気するステップと、を備えていることを特徴とする方法である。
【0007】
特定の実施形態において、前記方法は、硬化するステップ及び排気するステップの前に、第1の外皮の新しい部分に穴をあけるためのステップを備える。
【0008】
硬化するステップが、先行技術の方法による3つのステップの代わりに、2つのステップにおいて達成されることができ、又は上記の特定の実施形態において単一のステップにおいて達成されることができる。
【0009】
本発明のそれらの態様は、他の態様と同様に、以下の図面に関連して記述される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
図1の構造は、内部構造1及び2つの対向する外皮2及び3を備え、外皮2と外皮3との間の内部構造1は接着結合(adhesive bonding)とともに挿入される。外皮2及び外皮3は一般的に、折り畳まれたポリマー層からなり、連続的に被覆され、次いで硬化される。内部構造1は、多くの場合ハニカム構造を構成している2つのセル状コア層16及び19からなり、セル状コア層のコアは一の外皮2から他の外皮3まで延在している。それらのコア層の両方は、第3の外皮によって分離され、この第3の外皮は外皮2及び外皮3と同一の性質の中間皮17(middle skin)である。修復方法は、新しい部分を有する構造の一部を置き換えることからなり、この新しい部分は、構造の外側上に外皮2を延在している新しい外皮部分6、第1のコア層16に延在する新しい第1のコア層部分20、中間皮17に延在する新しい中間皮部分21、第2のコア層19に延在する新しい第2のコア層部分22、及び構造の内側上に外皮3を延在する新しい外皮部分23からなり、これらの新しい部分6,20,21,22及び23はこの順に、互いに積層される。
【0011】
従来の成形用具は、通常プレート形状であるカウンターフォーム8を備え、このプレートが新しい外皮部分6上に載置される。新しい外皮部分6上及び本来の外皮2の境界線上における新しい外皮部分6の周囲に押圧されているカウンターフォーム8の下部面は、修復後に外皮2に対して得られるように意図される外皮に対応する形状及び表面品質を有する。カウンターフォーム8は、外皮2上に押圧され、且つ新しい外皮部分6を備えている。これは、真空バッグ9内で構造の修復されるべき部分を閉じ込めることによって達成され、真空バッグ9の通気孔10が真空ポンプ11又は類似の装置に構造の各面上で接続される。加熱カーペット12(heating carpets)は、樹脂のしみ込んだ新しい外皮部分6のポリマー層を焼成するように、真空バッグ9内に滑り入れられる。加熱は、赤外線加熱などの他の手段によって達成されることもできる。カウンターフォーム8の下部面は、加熱後に金型の容易な除去を提供するために、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で多く場合被膜され、剥離可能なシート13が新しい外皮部分6に接触するようにカウンターフォーム8の下に滑り入れられる。最後に、包囲用織物7(environment fabrics)は真空バッグ9の内部面と加熱カーペット12との間に配置される。排気は、それらを通じて実行される。
【0012】
真空ポンプ11は、真空バッグ9内に含まれた空気を吸引するが、カウンターフォーム8の圧力は、空気が新しい外皮部分6の縁部の下を通じて流れることを妨げる一方、外皮2の本来の部分との密封のために十分な固着を提供することを妨げるので、新しい外皮部分6の下の内部コア16及び19のセル内に含まれた空気のために排気を適切に行うことができない。新しい外皮とコア部分との間の接着欠損が硬化後に現れる場合がある。
【0013】
修復方法の周知の実施形態において、新しい外皮部分6は第1に覆われ、次いで第1のコア層の新しい部分20は新しい外皮部分上にセットされ、硬化が達成される。次いで、新しい中間皮部分21が覆われ、第2のコア層の新しい部分22がセットされ、新しい中間皮部分21の硬化が達成される。最後に、上記の外皮部分(6)に対向する新しい外皮部分23は覆われ、次いで硬化される。3つの異なる硬化ステップにおけるこの方法は数日を有する場合がある一方、本発明の方法は非常に短い。本発明の方法は、第1の硬化を達成する前に、新しい中間皮部分21及び第2のコア層22をセットするステップと、そこに通気口24を穿孔するステップからなる。次いで、真空を適用することで、図2に図示された通気口24を通じて第1のコア層の新しい部分20に存在する空気の排気を生み出す。新しい中間皮部分21及び新しい外皮6の接続及び連続的な硬化は、その時に達成されることができる。対向する外皮の新しい部分23が次いでセットされ、第2のステップ及び最後のステップで硬化するままにされる。新しい中間皮部分21の折り重なりにしみ込ませる樹脂は、通気口24内に流入され、且つ(それらが過剰に幅広である場合を除いて)硬化によってそれらを焼成される。それによって、第1のコア層16のハニカムと中間皮17との間の適切な固定が達成される。
【0014】
本発明の代替方法は、全ての新しい部分6、21及び23の硬化するステップ及び全てのコア層20及び22の新しい部分の排気するステップを単一のステップで達成することからなり、その方法は通気口24が十分多数ある場合に可能になり、図3の場合において明白である。通気口25は、カウンターフォーム8の側部上に配置された新しい外皮部分6を通じて穿孔され、既に穿孔された通気口24に追加され、それによって第1のコア層20の新しい部分に存在する空気が両側面で十分容易に抜かれ、全ての外皮の新しい部分6、21、及び23の硬化は、同時に達成される。通気口25は、新しい部分6にしみ込ませる樹脂及び加熱中の流れによって同時に遮断される。外皮2の表面品質は、通気口25が小さい表面領域を占有する場合に危険に晒すことはない。実際に、通気口25は、パンチ又はスパイクによって製作される。従って、通気口25の口径は通気口24の口径より微細になる。
【0015】
通気口の数、大きさ、及び配置は、修復されるべき部分の幅及び他の寸法パラメータから選択される。通気口24のための現在の配置は、修復される部分の中央に単一の通気口24を備え、又はこの修復される部分の中央から同一距離に2つ〜3つのより細い通気口の円を備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】標準的な修復方法の概念図である。
【図2】本発明の実施形態を図示する図である。
【図3】本発明の実施形態を図示する図である。
【符号の説明】
【0017】
1 内部コア層
2 外皮
3 外皮
6 新しい外皮部分
7 包囲用織物
8 カウンターフォーム
9 真空バッグ
10 通気孔
11 真空ポンプ
12 加熱カーペット
13 剥離可能なシート
16 第1のコア層
17 中間皮
19 第2のコア層
20 第1のコア層の新しい部分
21 新しい中間皮部分
22 第2のコア層の新しい部分
23 新しい外皮部分
24 通気口
25 通気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外皮(2)、第1のセル状のコア層(16)、中間皮(17)、第2のセル状のコア層(19)、及び第2の外皮(3)を連続的に備えている複合材料構造の貫通修復方法であって、
前記外皮の一部分、前記中間皮の一部分、及び前記コア層の一部分を新しい部分(6,20,21,22,23)に置き換えるステップと、
前記第1の外皮の新しい部分(6)上及び前記第1の外皮の新しい部分(6)の周囲に剛性を有するカウンターフォーム(8)を載置するステップと、
前記複合材料構造上に前記カウンターフォームを押圧するステップと、
前記外皮の新しい部分(6,23)及び前記中間皮の新しい部分(21)を硬化するステップと、
からなる複合材料構造の貫通修復方法において、
前記硬化するステップの前に、
前記中間皮の新しい部分(21)に穴をあけるステップと、
内部コアの第1の層(20)及び第2の層(22)に含有された空気を排気するステップと、
を備えていることを特徴とする複合材料構造の貫通修復方法。
【請求項2】
前記硬化するステップ及び前記排気するステップの前に、前記第1の外皮の新しい部分(6)に穴をあけるステップ(25)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の複合材料構造の貫通修復方法。
【請求項3】
前記硬化するステップは2つのステップのみで実施され、
前記2つのステップのうちの第1のステップは、前記外皮の新しい部分(6)及び前記中間皮の新しい部分(21)に関し、
前記2つのステップのうちの第2のステップは、前記第2の外皮の新しい部分(23)に関し、
前記第2のコア層の新しい部分(22)及び前記第2の外皮の新しい部分(23)は両方のステップの間にセットされることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合材料構造の貫通修復方法。
【請求項4】
前記硬化するステップが単一のステップで達成されることを特徴とする請求項2に記載の複合材料構造の貫通修復方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−512570(P2009−512570A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532777(P2008−532777)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066811
【国際公開番号】WO2007/036545
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(501446228)エアバス・フランス (93)
【Fターム(参考)】