3次元レーザ加工機のパイプシーム検出装置
【課題】パイプ加工を行う3次元レーザ加工機における溶接パイプのシーム位置を検出する装置を提供する。
【解決手段】3次元レーザ加工機は、丸パイプ400を把持し、回転及び軸移動を行うチャック62を有する。溶接シーム検出装置100は、レーザ加工本体部30に装備される検出ヘッド110を備える。検出ヘッド110は、丸パイプ400の内壁面410に倣うマスターレバー120と検出レバー140を備える。丸パイプ400を回転させて、溶接シームが検出レバー140に接すると、マイクロスイッチ150が検出レバー140の動きを検知し、NC装置90に信号を送り、溶接シーム位置を認識する。
【解決手段】3次元レーザ加工機は、丸パイプ400を把持し、回転及び軸移動を行うチャック62を有する。溶接シーム検出装置100は、レーザ加工本体部30に装備される検出ヘッド110を備える。検出ヘッド110は、丸パイプ400の内壁面410に倣うマスターレバー120と検出レバー140を備える。丸パイプ400を回転させて、溶接シームが検出レバー140に接すると、マイクロスイッチ150が検出レバー140の動きを検知し、NC装置90に信号を送り、溶接シーム位置を認識する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ材等を加工するレーザ加工機に装備されるパイプ材の溶接シーム検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプ材加工用のレーザ加工機は、パイプ材を把持するチャックを回転しつつレーザ加工ヘッドによりパイプ材にレーザ加工を施す。
例えば、下記の特許文献は、パイプ加工が可能なレーザ加工機を開示している。
【特許文献1】特開2001−150175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
加工対象であるパイプ素材は、図9の(a)(b)に示すように円筒形状のパイプP1や角筒形状のパイプP2のもの等があるが、パイプ素材によっては、鋼材を円筒形状や角筒形状に成型して、つき合せ部を溶接して接合したいわゆる溶接鋼管もある。
この種の溶接パイプにあっては、パイプの軸線に沿って、シームと称される溶接ビードS1,S2が存在する。このシームは外観上の問題があるので、シームを表側にすることはできるだけ避けることが望ましい。また、構造上の目的でシームを避けた位置にレーザ加工を施す必要があることも多い。この種のレーザ加工にあっては、溶接パイプのシームの位置を確認し、このシームの位置を規準としてパイプの角度を割り出して加工する必要がある。
そこで、本発明の目的は、溶接パイプのシーム位置の検出装置を備えたレーザ加工機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の3次元レーザ加工機は、パイプ内壁面のシームに接触してシームパイプのシーム位置を検出する検出ヘッドを備えるものである。
そして、パイプシーム検出装置は、検出ヘッドと検出ヘッドを昇降する手段を備え、検出ヘッドは、シームに接触する検出レバーと、検出レバーの作動を検知するリミットスイッチを備え、検出ヘッドは検出部に向けてエアブローを行うエアノズルを備える。
また、検出ヘッドは検出レバーに近接して配置され、パイプ内壁面に接触して倣うレバーを備えるものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、溶接パイプのシームの位置を機械的な手段で確実に検知し、3次元レーザ加工を自動的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、本発明を適用する3次元レーザ加工機の概要を示す説明図である。
全体を符号1で示す3次元レーザ加工機は、ベース10と、ベース10の中央部に配設される加工部20を有する。
加工部20には、レーザ加工本体部30が軸方向への移動自在に装備されている。レーザ加工本体部30には、レーザヘッド32が旋回動自在にとりつけられている。
加工部20の前後には素材自動搬入装置(ローダー)40と、製品自動搬出装置(アンローダー)50が配設されている。
【0007】
この3次元レーザ加工機1は、ベース10上を移動する4基のチャック61,62,63,64を備える。各チャックは、素材であるパイプ材やチャンネル材等の異形材を把持し、素材を軸方向に移動させるとともに、回転制御して3次元レーザ加工を施す。
この3次元レーザ加工機1にあっては、レーザ発振器70、制御盤80、NC装置90や操作盤92等を備える。
図2は、加工部20の近傍の詳細を示し、加工部20上にレーザ加工本体部30が軸方向移動自在に支持されている。レーザ加工本体部30は、レーザヘッド32を旋回動自在に支持する。
【0008】
図3は、レーザ加工本体部30に装備される本発明の溶接シーム検出装置100を示す。
溶接シーム検出装置100は、検出ヘッド110と、検出ヘッド110を昇降させる駆動装置300を備える。
【0009】
図4は、検出ヘッド110の基本的な原理を示す説明図である。
検出ヘッド110は、検査対象(ワーク)となる丸パイプ400の内壁面410に接触するマスターレバー120を有する。このマスターレバー120は、スプリング160等を有するフローティング機構により固定部材170に支持される。
すなわち、丸パイプ400は、チャック62により回転され、また、検出ヘッド110は、紙面に垂直な方向に移動するが、この作動にあっても、マスターレバー120の先端の接触部122は、常に丸パイプ400の内壁面410に接触する。
【0010】
マスターレバー120に対して検出レバー140がピン130により回動自在にとりつけられる。この検出レバー140は、その先端142が丸パイプ400の内壁面410に突出するシームに突き当ると、ピン130を中心に旋回動する。
マイクロスイッチ150は、検出レバー140の後端144の作動を検知し、NC装置90に信号を送る。NC装置90は、検出ヘッド110の現在位置が丸パイプ400のシームの位置と認識して、以後のレーザ加工を実行する。
【0011】
図5は、検出ヘッド110の正面図、図6は図5の右側面図である。
マスターレバー120等は、ピン230によりハウジング200に片持ち支持され、スプリング220によりハウジング200に対して吊り下げられている。
検出レバー140は、マスターレバー120の内側に配置され、その作動はマイクロスイッチ150により検知される。
検出レバー140の先端部に向けて開口するエアノズル210が設けてあり、ワーク内部にエアブローA1を行い、清掃する。
【0012】
図7は、丸パイプ400の内壁面410に存在するシーム420を検出する工程を示す。
丸パイプ400の場合には、検出レバー140をチャックのオリエント位置に停止させた状態で丸パイプ400をチャックにより矢印R1方向に回転させ、シーム420が検出レバー140に接触したときのチャックの角度位置を認識する。
【0013】
図8は、角パイプ450の内壁面に存在するシーム470を検出する工程を示す。
角パイプ450の場合には、4つの内壁面のいずれかの内壁面の中央部にシーム470が存在する。
そこで、図8の(a)の状態で検出ヘッドとともに検出レバー140を矢印F1方向に移動させる。この内壁面460aにはシームの存在が検出されないときには、検出レバー140を退避させ、角パイプ450を矢印R1方向に90度回転させ、停止する。
この状態で検出レバー140を矢印F1方向に移動させ、シーム470の存在を検知する。NC装置は、角パイプ450の内壁面460bにシーム470が存在することを認識する。
【0014】
本発明によれば、3次元レーザ加工機は、溶接パイプのシーム位置を自動的に検知することができ、このシーム位置を認識して溶接パイプに3次元レーザ加工を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用する3次元レーザ加工機の概要を示す説明図。
【図2】加工部の近傍の詳細を示す説明図。
【図3】レーザ加工本体部に装備される本発明の溶接シーム検出装置を示す説明図。
【図4】検出ヘッドの基本的な原理を示す説明図。
【図5】検出ヘッドの正面図。
【図6】図5の右側面図。
【図7】丸パイプの内壁面に存在するシームを検出する工程を示す説明図。
【図8】角パイプの内壁面に存在するシームを検出する工程を示す説明図。
【図9】溶接パイプのシームを示す説明図。
【符号の説明】
【0016】
1 3次元レーザ加工機
20 加工部
30 レーザ加工本体部
32 レーザヘッド
61,62,63,64 チャック
90 NC装置
100 溶接シーム検出装置
110 検出ヘッド
120 マスターレバー
140 検出レバー
150 マイクロスイッチ
400 丸パイプ
450 角パイプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ材等を加工するレーザ加工機に装備されるパイプ材の溶接シーム検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプ材加工用のレーザ加工機は、パイプ材を把持するチャックを回転しつつレーザ加工ヘッドによりパイプ材にレーザ加工を施す。
例えば、下記の特許文献は、パイプ加工が可能なレーザ加工機を開示している。
【特許文献1】特開2001−150175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
加工対象であるパイプ素材は、図9の(a)(b)に示すように円筒形状のパイプP1や角筒形状のパイプP2のもの等があるが、パイプ素材によっては、鋼材を円筒形状や角筒形状に成型して、つき合せ部を溶接して接合したいわゆる溶接鋼管もある。
この種の溶接パイプにあっては、パイプの軸線に沿って、シームと称される溶接ビードS1,S2が存在する。このシームは外観上の問題があるので、シームを表側にすることはできるだけ避けることが望ましい。また、構造上の目的でシームを避けた位置にレーザ加工を施す必要があることも多い。この種のレーザ加工にあっては、溶接パイプのシームの位置を確認し、このシームの位置を規準としてパイプの角度を割り出して加工する必要がある。
そこで、本発明の目的は、溶接パイプのシーム位置の検出装置を備えたレーザ加工機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の3次元レーザ加工機は、パイプ内壁面のシームに接触してシームパイプのシーム位置を検出する検出ヘッドを備えるものである。
そして、パイプシーム検出装置は、検出ヘッドと検出ヘッドを昇降する手段を備え、検出ヘッドは、シームに接触する検出レバーと、検出レバーの作動を検知するリミットスイッチを備え、検出ヘッドは検出部に向けてエアブローを行うエアノズルを備える。
また、検出ヘッドは検出レバーに近接して配置され、パイプ内壁面に接触して倣うレバーを備えるものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、溶接パイプのシームの位置を機械的な手段で確実に検知し、3次元レーザ加工を自動的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、本発明を適用する3次元レーザ加工機の概要を示す説明図である。
全体を符号1で示す3次元レーザ加工機は、ベース10と、ベース10の中央部に配設される加工部20を有する。
加工部20には、レーザ加工本体部30が軸方向への移動自在に装備されている。レーザ加工本体部30には、レーザヘッド32が旋回動自在にとりつけられている。
加工部20の前後には素材自動搬入装置(ローダー)40と、製品自動搬出装置(アンローダー)50が配設されている。
【0007】
この3次元レーザ加工機1は、ベース10上を移動する4基のチャック61,62,63,64を備える。各チャックは、素材であるパイプ材やチャンネル材等の異形材を把持し、素材を軸方向に移動させるとともに、回転制御して3次元レーザ加工を施す。
この3次元レーザ加工機1にあっては、レーザ発振器70、制御盤80、NC装置90や操作盤92等を備える。
図2は、加工部20の近傍の詳細を示し、加工部20上にレーザ加工本体部30が軸方向移動自在に支持されている。レーザ加工本体部30は、レーザヘッド32を旋回動自在に支持する。
【0008】
図3は、レーザ加工本体部30に装備される本発明の溶接シーム検出装置100を示す。
溶接シーム検出装置100は、検出ヘッド110と、検出ヘッド110を昇降させる駆動装置300を備える。
【0009】
図4は、検出ヘッド110の基本的な原理を示す説明図である。
検出ヘッド110は、検査対象(ワーク)となる丸パイプ400の内壁面410に接触するマスターレバー120を有する。このマスターレバー120は、スプリング160等を有するフローティング機構により固定部材170に支持される。
すなわち、丸パイプ400は、チャック62により回転され、また、検出ヘッド110は、紙面に垂直な方向に移動するが、この作動にあっても、マスターレバー120の先端の接触部122は、常に丸パイプ400の内壁面410に接触する。
【0010】
マスターレバー120に対して検出レバー140がピン130により回動自在にとりつけられる。この検出レバー140は、その先端142が丸パイプ400の内壁面410に突出するシームに突き当ると、ピン130を中心に旋回動する。
マイクロスイッチ150は、検出レバー140の後端144の作動を検知し、NC装置90に信号を送る。NC装置90は、検出ヘッド110の現在位置が丸パイプ400のシームの位置と認識して、以後のレーザ加工を実行する。
【0011】
図5は、検出ヘッド110の正面図、図6は図5の右側面図である。
マスターレバー120等は、ピン230によりハウジング200に片持ち支持され、スプリング220によりハウジング200に対して吊り下げられている。
検出レバー140は、マスターレバー120の内側に配置され、その作動はマイクロスイッチ150により検知される。
検出レバー140の先端部に向けて開口するエアノズル210が設けてあり、ワーク内部にエアブローA1を行い、清掃する。
【0012】
図7は、丸パイプ400の内壁面410に存在するシーム420を検出する工程を示す。
丸パイプ400の場合には、検出レバー140をチャックのオリエント位置に停止させた状態で丸パイプ400をチャックにより矢印R1方向に回転させ、シーム420が検出レバー140に接触したときのチャックの角度位置を認識する。
【0013】
図8は、角パイプ450の内壁面に存在するシーム470を検出する工程を示す。
角パイプ450の場合には、4つの内壁面のいずれかの内壁面の中央部にシーム470が存在する。
そこで、図8の(a)の状態で検出ヘッドとともに検出レバー140を矢印F1方向に移動させる。この内壁面460aにはシームの存在が検出されないときには、検出レバー140を退避させ、角パイプ450を矢印R1方向に90度回転させ、停止する。
この状態で検出レバー140を矢印F1方向に移動させ、シーム470の存在を検知する。NC装置は、角パイプ450の内壁面460bにシーム470が存在することを認識する。
【0014】
本発明によれば、3次元レーザ加工機は、溶接パイプのシーム位置を自動的に検知することができ、このシーム位置を認識して溶接パイプに3次元レーザ加工を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用する3次元レーザ加工機の概要を示す説明図。
【図2】加工部の近傍の詳細を示す説明図。
【図3】レーザ加工本体部に装備される本発明の溶接シーム検出装置を示す説明図。
【図4】検出ヘッドの基本的な原理を示す説明図。
【図5】検出ヘッドの正面図。
【図6】図5の右側面図。
【図7】丸パイプの内壁面に存在するシームを検出する工程を示す説明図。
【図8】角パイプの内壁面に存在するシームを検出する工程を示す説明図。
【図9】溶接パイプのシームを示す説明図。
【符号の説明】
【0016】
1 3次元レーザ加工機
20 加工部
30 レーザ加工本体部
32 レーザヘッド
61,62,63,64 チャック
90 NC装置
100 溶接シーム検出装置
110 検出ヘッド
120 マスターレバー
140 検出レバー
150 マイクロスイッチ
400 丸パイプ
450 角パイプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプを把持して回転及び軸方向に制御されるチャックと、パイプに3次元のレーザ加工を施すレーザヘッドを備える3次元レーザ加工機にあって、
パイプ内壁面のシームに接触してシームパイプのシーム位置を検出する検出ヘッドを備える3次元レーザ加工機のパイプシーム検出装置。
【請求項2】
パイプシーム検出装置は、検出ヘッドと検出ヘッドを昇降する手段を備え、
検出ヘッドは、シームに接触する検出レバーと、検出レバーの作動を検知するリミットスイッチを備える請求項1記載の3次元レーザ加工機のパイプシーム検出装置。
【請求項3】
検出ヘッドは検出部に向けてエアブローを行うエアノズルを備える請求項1又は2記載の3次元レーザ加工機のパイプシーム検出装置。
【請求項4】
検出ヘッドは検出レバーに近接して配置され、パイプ内壁面に接触して倣うレバーを備える請求項1乃至3のいずれかに記載の3次元レーザ加工機のパイプシーム検出装置。
【請求項1】
パイプを把持して回転及び軸方向に制御されるチャックと、パイプに3次元のレーザ加工を施すレーザヘッドを備える3次元レーザ加工機にあって、
パイプ内壁面のシームに接触してシームパイプのシーム位置を検出する検出ヘッドを備える3次元レーザ加工機のパイプシーム検出装置。
【請求項2】
パイプシーム検出装置は、検出ヘッドと検出ヘッドを昇降する手段を備え、
検出ヘッドは、シームに接触する検出レバーと、検出レバーの作動を検知するリミットスイッチを備える請求項1記載の3次元レーザ加工機のパイプシーム検出装置。
【請求項3】
検出ヘッドは検出部に向けてエアブローを行うエアノズルを備える請求項1又は2記載の3次元レーザ加工機のパイプシーム検出装置。
【請求項4】
検出ヘッドは検出レバーに近接して配置され、パイプ内壁面に接触して倣うレバーを備える請求項1乃至3のいずれかに記載の3次元レーザ加工機のパイプシーム検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−222905(P2007−222905A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46620(P2006−46620)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000114787)ヤマザキマザック株式会社 (80)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000114787)ヤマザキマザック株式会社 (80)
【Fターム(参考)】
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