説明

3次元画像にコメントテキストを重畳して表示するサーバ、端末、プログラム及び方法

【課題】複数のユーザによって共有されている3次元画像に対して、コメントテキストの発言者からの視点を感覚的に理解することができる配信サーバ等を提供する。
【解決手段】配信サーバは、3次元画像に3次元の多面体形状を設定すると共に、当該多面体形状の面毎に座標位置を設定する多面体設定手段と、端末から、コメントテキストと、当該3次元画像の中の発言位置情報とを含むコメント情報を受信するコメント情報受信手段と、発言位置情報に基づいて特定された面に沿って、コメントテキストを前記3次元画像に重畳的に貼り付けるコメントレンダリング手段と、レンダリングされた前記3次元画像を、前記端末へ配信するコンテンツ送信手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元画像にコメントテキストを表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のユーザによって操作される端末同士が、ネットワークを介してリアルタイムに会話的テキストを交換する「チャット」技術がある。この技術によれば、端末は、専用のクライアントソフトのIRC(Internet Relay Chat)を実行する。通常、参加者は、仮想的な共有空間の「チャットルーム」にログインする。チャットルームには、発言者名及び時刻と共に、参加者の発言内容のテキストが、リアルタイムに1行ずつ流れる。
【0003】
また、放送番組のような映像コンテンツを再生すると同時に、ユーザから発言されたコメントテキストも合わせて表示する技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、放送番組の視聴時刻にコメントテキストを対応付けることによって、その放送番組の放送日時が異なる場合であっても、シーンに応じたコメントテキストが表示される。これによって、放送日時が異なる地域のユーザ同士の間であっても、その放送番組に対する感想を共有することができる。複数のユーザによって書き込まれたコメントテキストは、数行程度ずつ、時系列に並べて表示される。
【0004】
更に、ユーザ同士の間で、同一の映像を共有しながら、映像の時間軸上でチャット的に擬似リアルタイムでコメントテキストを交換することができる技術もある(例えば特許文献2参照)。この技術によれば、ユーザAが第1のコメントを第1の時点で入力した後、ユーザBが第1のコメントに対する第2のコメントを第2の時点で入力したとする。このとき、ユーザAが、ユーザBの第2のコメントを閲覧しようとすると、ユーザAの端末は、ユーザBによって第2のコメントが入力された第2の時点へ戻って、その映像を再生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−290949号公報
【特許文献2】特開2008−172745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術によれば、コメントテキストは、コンテンツの視聴時刻に応じて対応付けられるために、ユーザ同士の間でリアルタイムにコンテンツテキストを交換することはできない。また、特許文献2に記載された技術によれば、ユーザ同士で共有されるコンテンツは、現実時間で一致していないために、リアルタイムなコンテンツテキストの交換に違和感が生じる。
【0007】
更に、いずれの従来技術によっても、コメントテキストは、数行程度ずつ、時系列に並べて表示されるものである。結局、誰がそのコメントテキストを発言したかを知るためには、ユーザは、そのコメントを見ると同時に「発言者名」も見る必要がある。特に、共有されるコンテンツに対して、複数のユーザが匿名で発言する場合、発言者毎の発言をコメントテキストの時系列の表示から理解することは困難である。
【0008】
更に、コンテンツ自体が、3次元映像(又は画像)である場合、複数のユーザが異なる視点から、そのコンテンツを視聴することもできる。例えば、コンテンツの内容によっては、ユーザ毎の視点に応じてコメントテキストの内容が異なる場合もある。
【0009】
そこで、本発明は、複数のユーザによって共有されている3次元映像に対して、コメントテキストの発言者からの視点を感覚的に理解することができる配信サーバ、端末、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、3次元画像を端末へ配信する配信サーバにおいて、
3次元画像に3次元の多面体形状を設定すると共に、当該多面体形状の面毎に座標位置を設定する多面体設定手段と、
端末から、コメントテキストと、当該3次元画像の中の発言位置情報とを含むコメント情報を受信するコメント情報受信手段と、
発言位置情報に基づいて特定された面に沿って、コメントテキストを3次元画像に重畳的に貼り付けるコメントレンダリング手段と、
レンダリングされた3次元画像を、端末へ配信するコンテンツ送信手段と
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の配信サーバにおける他の実施形態によれば、
3次元画像は、自由視点映像であり、
発言位置情報は、当該端末に対するユーザの操作に応じた、自由視点の視点位置情報であることも好ましい。
【0012】
本発明の配信サーバにおける他の実施形態によれば、
多面体設定手段は、
自由視点映像について、自由視点の3次元の移動可能範囲から床面を設定し、
床面における任意の点を視点基準点に設定し、当該視点基準点に対して3次元座標を設定し、
3次元座標に基づいて任意の多面体形状の座標を設定することも好ましい。
【0013】
本発明の配信サーバにおける他の実施形態によれば、
コメント情報は、コメントテキスト及び発言位置情報に加えて、コメント属性情報を更に含んでおり、
コメント属性情報は、
面に対してコメントテキストを貼り付ける高さ、
コメントテキストの色、
コメントテキストのフォントサイズ、
コメントテキストを貼り付ける出現時刻及び消滅時刻若しくは表示継続時間
コメントテキストの表示枠を吹き出し型又は切り貼り型によって表示する表示パターン、及び/又は、
コメントテキストの発言者種別
を有し、
コメント属性情報に応じて、コメントレンダリング手段を制御するコメント属性制御手段を更に有することも好ましい。
【0014】
本発明の配信サーバにおける他の実施形態によれば、
コメント属性制御手段は、コメント属性情報に出現時刻及び消滅時刻若しくは表示継続時間が設定されている場合、コメントテキストを、貼り付けられた面に沿って、右から左へ及び前から後へ、時間経過に伴って流れるように制御することも好ましい。
【0015】
本発明によれば、前述した配信サーバと通信する端末であって、
配信サーバから、コメントテキストが貼り付けられた3次元画像を受信するコンテンツ受信手段と、
3次元画像を復号再生し、ディスプレイへ出力するコンテンツ復号再生手段と、
入力操作部を介して、利用者からコメントテキストを入力するコメント入力手段と、
入力操作部を介して、利用者から発言位置情報を入力する発言位置入力手段と、
コメントテキスト及び発言位置情報を含むコメント情報を、配信サーバへ送信するコメント情報送信手段と
を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
発言位置入力手段は、3次元画像が自由視点映像である場合、入力操作部を介して取得された、利用者からの指示に基づく任意の視点における位置情報であることも好ましい。
【0017】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
入力操作部を介して、利用者からコメント属性情報を入力するコメント属性入力手段と、
コメントテキスト、発言位置情報及びコメント属性情報を含むコメント情報を、配信サーバへ送信するコンテンツ情報送信手段と
を有することも好ましい。
【0018】
本発明によれば、3次元画像を端末へ配信する配信サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
3次元画像に3次元の多面体形状を設定すると共に、当該多面体形状の面毎に座標位置を設定する多面体設定手段と、
端末から、コメントテキストと、当該3次元画像の中の発言位置情報とを含むコメント情報を受信するコメント情報受信手段と、
発言位置情報に基づいて特定された面に沿って、コメントテキストを3次元画像に重畳的に貼り付けるコメントレンダリング手段と、
レンダリングされた3次元画像を、端末へ配信するコンテンツ送信手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、3次元画像を配信する配信サーバと、該3次元画像を受信する端末とを有するシステムにおける配信方法において、
配信サーバが、3次元画像に3次元の多面体形状を設定すると共に、当該多面体形状の面毎に座標位置を設定する第1のステップと、
端末から、コメントテキストと、当該3次元画像の中の発言位置情報とを含むコメント情報を受信する第2のステップと、
発言位置情報に基づいて特定された面に沿って、コメントテキストを3次元画像に重畳的に貼り付ける第3のステップと、
レンダリングされた3次元画像を、端末へ配信する第4のステップと
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の配信サーバ、端末、プログラム及び方法によれば、複数のユーザによって共有されている3次元映像に対して、コメントテキストの発言者からの視点を感覚的に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】自由視点映像を撮影するためのシステム構成図である。
【図2】3次元映像に3次元の多面体形状を設定した説明図である。
【図3】3次元映像を鉛直方向から見た座標を表す説明図である。
【図4】本発明におけるコメントテキストの貼り付け面を表す説明図である。
【図5】本発明におけるディスプレイの表示画面である。
【図6】本発明における配信サーバの機能構成図である。
【図7】本発明における端末の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
本発明によれば、複数のユーザによって同時に共有されるコンテンツは、3次元映像(又は画像)である。「共有」とは、複数のユーザの操作する端末に、同一内容のコンテンツが同期又は非同期に再生されていることを意味する。「3次元映像」は、例えば自由視点映像であってもよいし、3Dグラフィックスライブラリ(OpenGL(登録商標))であってもよい。「自由視点映像」とは、複数のビデオカメラで情景を撮影することによって、実際にはカメラで撮影していない任意の視点の映像を合成することができる映像をいう。また、OpenGLを用いることによって、3次元仮想空間における視点移動後の多面体の位置計算(視点計算)、角度計算、及び、コメントテキスト表示の3次元化(斜め処理などのエフェクト)を容易に実現できる。
【0024】
図1は、自由視点映像を撮影するためのシステム構成図である。
【0025】
図1によれば、12台のビデオカメラが、撮影対象物の周囲に配置されている。ビデオカメラ毎の現実視点は、30度毎に、等間隔で円周上に配置されている。自由視点映像によれば、視聴者は、通常、ビデオカメラが設置できないような仮想視点からの映像も見ることができる。
【0026】
図2は、3次元映像に3次元の多面体形状を設定した説明図である。
【0027】
図2(a)によれば、例えば4人が会議のために出会ったシーンを、3次元映像の投影図によって表している。以下では、ユーザA〜Dの4人が3次元映像に映っていると共に、各ユーザがコメントテキストを発言するものとして説明する。勿論、3次元映像に、コメントテキストを発言するユーザが映っている必要はない。但し、各ユーザが、その3次元映像を見ている視点を特定する必要がある。
【0028】
図2(a)によれば、3次元映像に、床面が設定され、3次元の任意の多面体形状が設定される。勿論、多面体形状が、複数であってもよい。また、図2(b)によれば、視点Aから見た、ディスプレイの表示画像が表されている。ユーザは、ディスプレイの表示画像から、奥行きを理解することができる。
【0029】
多面体形状は、例えば以下の(1)〜(3)のステップによって設定される。
(1)最初に、自由視点の3次元の移動可能範囲から「床面」を設定する。自由視点は、中心点を向いた状態で、円周移動、前後移動及び上下移動が可能である。その移動可能範囲(角度、距離、視点上下)から、「床面」が導出される。尚、床面の面積は、外縁の円周よりも大きく、自由視点は、その外縁より外へは移動できない。
【0030】
(2)床面における任意の点を視点基準点に設定し、当該視点基準点に対して3次元座標を設定する。視点基準点は、(距離,角度,視点上下)で表され、角度0となる。
【0031】
(3)3次元座標に基づいて任意の多面体形状の座標を設定する。座標は、視点基準点から見た(距離,角度,視点上下)によって表される。
距離 :中心点からの絶対距離(範囲:0〜100)
角度 :基準点から左回りの角度(範囲:0〜359)
視点上下並行移動:視点上(0)、視点下(1)
【0032】
図3は、3次元映像を鉛直方向から見た座標を表す説明図である。
【0033】
図3(a)によれば、周囲が四面体であって、視点数4の面が表されている。当該多面体形状の面毎に、1つの座標位置が設定されている。
(距離100,角度0 ,視点上0)
(距離100,角度90 ,視点上0)
(距離100,角度180,視点上0)
(距離100,角度270,視点上0)
図3(a)は、角度を4つの面に複線化している。
【0034】
図3(b)によれば、周囲が3層構造の六面体であって、視点数18の面が表されている。
(距離100,角度0 ,視点上0) (距離80,角度0 ,視点上0) (距離60,角度0 ,視点上0)
(距離100,角度60 ,視点上0) (距離80,角度60 ,視点上0) (距離60,角度60 ,視点上0)
(距離100,角度120,視点上0) (距離80,角度120,視点上0) (距離60,角度120,視点上0)
(距離100,角度180,視点上0) (距離80,角度180,視点上0) (距離60,角度180,視点上0)
(距離100,角度240,視点上0) (距離80,角度240,視点上0) (距離60,角度240,視点上0)
(距離100,角度300,視点上0) (距離80,角度300,視点上0) (距離60,角度300,視点上0)
図3(b)は、角度を6つの面に複線化し、距離を3つの面に複線化している。
【0035】
図4は、本発明におけるコメントテキストの貼り付け面を表す説明図である。
【0036】
図4(a)によれば、多面体形状として四角形が設定され、前面、後面、左面及び右面に、コメントテキストを貼り付けることができる。例えば、図2(a)における3次元映像が、「会議システム」における映像であると想定する。ここで、4人のユーザA〜Dが3次元映像コンテンツとして映し出されている場合、そのコメントテキストを発言したユーザの視点に対応する面に、そのユーザのコメントテキストを貼り付ける。図4(a)によれば、以下のように表示されている。
ユーザAの視点Aに対応する面(面識別子a)に「ご無沙汰」が表示されている。
ユーザBの視点Bに対応する面(面識別子b)に「こんにちは!」が表示されている。
ユーザCの視点Cに対応する面(面識別子c)に「お久しぶり」が表示されている。
ユーザDの視点Dに対応する面(面識別子d)に「始めるか?」が表示されている。
【0037】
尚、コメントテキストは、その面でのみ表示される。即ち、コメントテキストは、隣り合う面に引き継いで表示されない。
【0038】
図4(b)によれば、ユーザAの視点Aから見たコメントテキストの形状が表されている。3次元映像であるために、多面体形状の各面に表示されるコメントテキストも3次元的に表示される。特に、視点Aから見て側面に沿って貼り付けられた「こんにちは!」「お久しぶり」は、奥行きに向かって文字が小さく表示される。これによって、視点AのユーザAには、立体感を与える。このように、視点Aから見て、視界に入る面に貼り付けられたコメントテキストは、全て表示される。
【0039】
図5は、本発明におけるディスプレイの表示画面である。
【0040】
図5によれば、図2(b)及び図4(b)が重畳的に表示された3次元映像である。例えば、4人のユーザA〜Dの会議のシーンが3次元映像コンテンツとして映し出されている場合、各ユーザの視点に対応する面に、そのユーザが発言したコメントテキストが貼り付けられている。これによって、ユーザAは、視点Aから見て、3次元映像に映し出されたいずれのユーザが、どのような発言をしているかを、感覚的に理解することができる。
【0041】
ここで、面に貼り付けられるコメントテキストは、指定された表示時間だけ表示される。表示時間は、出現時刻及び消滅時刻の間であってもよいし、一定の表示継続時間であってもよい。例えば、表示時間の間、コメントテキストが、その面の中で流れるように移動することも好ましい。
【0042】
例えば、3次元映像コンテンツが、QVGA=320x240の画素数であって、フレームレート10fps、表示継続時間7秒とする。この場合、70フレーム(=10fps×7秒)の間、そのコンテンツテキストが流れるように表示されればよい。即ち、1フレームの移動量は、320÷70≒4.6picと計算される。例えば、そのコメントテキストの表示開始から5秒後のコンテンツテキストの先頭位置は、50×4.6=230picと計算される。
【0043】
図6は、本発明における配信サーバの機能構成図である。
【0044】
図6によれば、配信サーバ1は、インターネットのようなネットワークを介して、複数の端末2から接続される。配信サーバ1は、通信インタフェース部101と、3次元映像コンテンツ蓄積部102とを有する。通信インタフェース部101は、例えばインターネットのようなネットワークに接続されており、端末2と通信する。3次元映像コンテンツ蓄積部102は、端末2へ配信すべき3次元映像コンテンツを蓄積する。3次元映像コンテンツは、例えば複数のビデオカメラによって撮影された自由視点映像である。3次元映像コンテンツ蓄積部102に蓄積された自由視点映像が、複数の端末2を操作するユーザ同士の間で共有される。
【0045】
また、配信サーバ1は、多面体設定部111と、コメント情報受信部112と、コメント共有蓄積部113と、コメント属性制御部114と、コメントレンダリング部115と、コンテンツ符号化部116と、コンテンツ送信部117とを有する。これら機能構成部は、配信サーバ1に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0046】
多面体設定部111は、3次元映像コンテンツ蓄積部102から配信すべき3次元映像コンテンツを取得する。そして、多面体設定部111は、3次元映像コンテンツに、3次元の多面体形状を設定すると共に、当該多面体形状の面毎に座標位置を設定する(図4参照)。面毎の座標位置の情報は、コメントレンダリング部115へ出力される。
【0047】
コメント情報受信部112は、端末2から、コメント情報を受信する。コメント情報には、以下の情報が含まれる。
(1)コメントテキスト
端末2を操作するユーザ自ら入力したコメントテキスト(最大32文字)
(2)発言位置情報
3次元映像に対するコメントテキストを貼り付ける位置(距離、角度、視点上下)
(3)コメント属性情報
・コメントテキストを貼り付ける高さ(0行目〜8行目)
・コメントテキストの色(RGB値)
・コメントテキストのフォントサイズ(大中小:3種類)
・コメントテキストを貼り付ける出現時刻及び消滅時刻若しくは表示継続時間
・コメントテキストの表示パターン(吹き出し型、カットイン型、コメント移動型)
・コメントテキストの発言者種別(ユーザ又は製作者)
受信したコメント情報は、コメント共有蓄積部113へ出力される。
【0048】
ここで、発言位置情報は、当該端末に対するユーザの操作に応じた、自由視点の視点位置情報であってもよい。例えば、図2の映像が会議システムである場合、ユーザAは、自らの視点Aから、他の3人を見ることが自然である。このとき、自由視点の視点位置情報が視点Aであれば、その自由視点を、発言位置情報とする。自由視点及び発言位置情報は、視点基準点から(距離、角度、視点上下)によって表される。配信サーバ1は、端末2から受信した発言位置情報に、ベクトルの距離が最も近い面を選択する。
【0049】
尚、多面体形状の各面に、面識別子が対応付けられている場合、発言位置情報は、面識別子であってもよい。この場合、配信サーバ1は、端末2へ、多面体形状における面識別子を送信することが必要である。端末2は、発言位置情報として面識別子を、配信サーバ1へ送信することができる。
【0050】
コメント共有蓄積部113は、複数の端末2から受信したコメント情報を蓄積する。複数のコメント情報について、コメントテキスト及び発言位置情報は、コメントレンダリング部115へ出力され、コメント属性情報は、コメント属性制御部114へ出力される。
【0051】
コメント属性制御部114は、コメントレンダリング部115でレンダリングされるコメントテキストの表示イメージを、コメント属性情報に基づいて制御する。具体的には、コメントテキストを面に貼り付ける「高さ」を制御する。また、コメントテキストの「色」「フォントサイズ」「表示パターン」を制御する。更に、コメントテキストの表示時間を制御する。更に、発言者種別に基づいて、コメントテキストの表示イメージを制御することもできる。
【0052】
コメントレンダリング部115は、多面体設定部111から入力された多面体形状を含む3次元映像コンテンツに対して、コメント共有蓄積部113から入力されたコメントテキストを、その発言位置情報に近い面にレンダリングする。また、そのコメントテキストの表示イメージは、コメント属性制御部114から制御される。コメントレンダリング部115は、発言位置情報に基づいて特定された面に沿って、コメントテキストを3次元映像に重畳的に貼り付ける。
【0053】
コンテンツ符号化部116は、コメントテキストがレンダリングされた3次元映像コンテンツを符号化し、コンテンツ送信部117へ出力する。
【0054】
コンテンツ送信部117は、符号化された3次元映像コンテンツを、通信インタフェース部101を介して、端末2へ送信する。
【0055】
図7は、本発明における端末の機能構成図である。
【0056】
図7によれば、端末2は、ディスプレイ部201と、入力操作部202と、通信インタフェース部203とを有する。ディスプレイ部201は、ユーザに対して、3次元映像コンテンツを表示する。入力操作部202は、ユーザからの入力操作を受け付ける。通信インタフェース部203は、ネットワークを介して配信サーバ1と通信する。
【0057】
また、端末2は、コンテンツ受信部211と、コンテンツ復号再生部212と、視点位置入力部213と、コメント入力部214と、コメント属性入力部215と、コメント情報送信部216とを有する。これら機能構成部は、端末2に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0058】
コンテンツ受信部211は、配信サーバ1から、コメントテキストがレンダリングされた3次元映像コンテンツを受信する。受信された3次元映像コンテンツは、コンテンツ復号再生部212へ出力される。
【0059】
コンテンツ復号再生部212は、3次元映像コンテンツを復号再生し、ディスプレイ部201へ出力する。
【0060】
視点位置入力部213は、入力操作部202を介して、当該端末に対するユーザの操作に応じた、自由視点の視点位置情報を入力する。視点位置情報は、発言位置情報として、コメント情報送信部216へ出力される。また、視点位置情報は、コンテンツ復号再生部212へ出力され、ディスプレイ201に表示される3次元映像コンテンツの視点が更新される。尚、視点位置情報は、前述したように面識別子によって特定されるものであってもよい。
【0061】
コメント入力部214は、入力操作部202を介して、当該端末に対するユーザの操作に応じたコメントテキストを入力する。コメントテキストは、コメント情報送信部216へ出力される。
【0062】
コメント属性入力部215は、入力操作部202を介して、当該端末に対するユーザの操作に応じたコメント属性情報を入力する。コメント属性情報は、コメント情報送信部216へ出力される。
【0063】
コメント情報送信部216は、コメント情報を、配信サーバ1へ送信する。コメント情報には、コメントテキスト、発言位置情報及びコメント属性情報が含まれる。
【0064】
尚、視点位置入力部213、コメント入力部214及びコメント属性入力部215は、3次元映像コンテンツを再生すると共に、コメントテキスト、発言位置情報及びコメント属性情報を入力することができる、一体的なアプリケーションによって機能するものであってもよい。
【0065】
以上、詳細に説明したように、本発明の配信サーバ、端末、プログラム及び方法によれば、複数のユーザによって共有されている3次元映像に対して、コメントテキストの発言者からの視点を感覚的に理解することができる。
【0066】
本発明によれば、共有される1つの自由視点映像に、複数のユーザからのコメントテキストを、多次元的に表示することができる。1つの映像コンテンツを媒介とし、ユーザ同士の間のコミュニティ領域を配置することができる。また、自由視点映像のように1つの映像コンテンツが複数の視点を持つ場合に、そのコメントテキストに対する発言者の視点を感覚的に理解することができる。
【0067】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0068】
1 配信サーバ
101 通信インタフェース部
102 3次元映像コンテンツ蓄積部
111 多面体設定部
112 コメント情報受信部
113 コメント共有蓄積部
114 コメント属性制御部
115 コメントレンダリング部
116 コンテンツ符号化部
117 コンテンツ送信部
2 端末
201 ディスプレイ部
202 入力操作部
203 通信インタフェース部
211 コンテンツ受信部
212 コンテンツ復号再生部
213 視点位置入力部
214 コメント入力部
215 コメント属性入力部
216 コメント情報送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元画像を端末へ配信する配信サーバにおいて、
前記3次元画像に3次元の多面体形状を設定すると共に、当該多面体形状の面毎に座標位置を設定する多面体設定手段と、
前記端末から、コメントテキストと、当該3次元画像の中の発言位置情報とを含むコメント情報を受信するコメント情報受信手段と、
前記発言位置情報に基づいて特定された面に沿って、前記コメントテキストを前記3次元画像に重畳的に貼り付けるコメントレンダリング手段と、
レンダリングされた前記3次元画像を、前記端末へ配信するコンテンツ送信手段と
を有することを特徴とする配信サーバ。
【請求項2】
前記3次元画像は、自由視点映像であり、
前記発言位置情報は、当該端末に対するユーザの操作に応じた、自由視点の視点位置情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の配信サーバ。
【請求項3】
前記多面体設定手段は、
前記自由視点映像について、自由視点の3次元の移動可能範囲から床面を設定し、
前記床面における任意の点を視点基準点に設定し、当該視点基準点に対して3次元座標を設定し、
前記3次元座標に基づいて任意の多面体形状の座標を設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の配信サーバ。
【請求項4】
前記コメント情報は、前記コメントテキスト及び前記発言位置情報に加えて、コメント属性情報を更に含んでおり、
前記コメント属性情報は、
前記面に対して前記コメントテキストを貼り付ける高さ、
前記コメントテキストの色、
前記コメントテキストのフォントサイズ、
前記コメントテキストを貼り付ける出現時刻及び消滅時刻若しくは表示継続時間
前記コメントテキストの表示枠を吹き出し型又は切り貼り型によって表示する表示パターン、及び/又は、
前記コメントテキストの発言者種別
を有し、
前記コメント属性情報に応じて、前記コメントレンダリング手段を制御するコメント属性制御手段を更に有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の配信サーバ。
【請求項5】
前記コメント属性制御手段は、前記コメント属性情報に出現時刻及び消滅時刻若しくは表示継続時間が設定されている場合、前記コメントテキストを、貼り付けられた面に沿って、右から左へ及び前から後へ、時間経過に伴って流れるように制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の配信サーバ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の配信サーバと通信する端末であって、
前記配信サーバから、前記コメントテキストが貼り付けられた前記3次元画像を受信するコンテンツ受信手段と、
前記3次元画像を復号再生し、ディスプレイへ出力するコンテンツ復号再生手段と、
入力操作部を介して、利用者から前記コメントテキストを入力するコメント入力手段と、
入力操作部を介して、利用者から前記発言位置情報を入力する発言位置入力手段と、
前記コメントテキスト及び前記発言位置情報を含むコメント情報を、前記配信サーバへ送信するコメント情報送信手段と
を有することを特徴とする端末。
【請求項7】
前記発言位置入力手段は、前記3次元画像が自由視点映像である場合、前記入力操作部を介して取得された、利用者からの指示に基づく任意の視点における位置情報であることを特徴とする請求項6に記載の端末。
【請求項8】
前記入力操作部を介して、利用者から前記コメント属性情報を入力するコメント属性入力手段と、
前記コメントテキスト、前記発言位置情報及び前記コメント属性情報を含むコメント情報を、前記配信サーバへ送信するコンテンツ情報送信手段と
を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の端末。
【請求項9】
3次元画像を端末へ配信する配信サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
前記3次元画像に3次元の多面体形状を設定すると共に、当該多面体形状の面毎に座標位置を設定する多面体設定手段と、
前記端末から、コメントテキストと、当該3次元画像の中の発言位置情報とを含むコメント情報を受信するコメント情報受信手段と、
前記発言位置情報に基づいて特定された面に沿って、前記コメントテキストを前記3次元画像に重畳的に貼り付けるコメントレンダリング手段と、
レンダリングされた前記3次元画像を、前記端末へ配信するコンテンツ送信手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする配信サーバ用のプログラム。
【請求項10】
3次元画像を配信する配信サーバと、該3次元画像を受信する端末とを有するシステムにおける配信方法において、
前記配信サーバが、前記3次元画像に3次元の多面体形状を設定すると共に、当該多面体形状の面毎に座標位置を設定する第1のステップと、
前記端末から、コメントテキストと、当該3次元画像の中の発言位置情報とを含むコメント情報を受信する第2のステップと、
前記発言位置情報に基づいて特定された面に沿って、前記コメントテキストを前記3次元画像に重畳的に貼り付ける第3のステップと、
レンダリングされた前記3次元画像を、前記端末へ配信する第4のステップと
を有することを特徴とする配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−109371(P2011−109371A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261734(P2009−261734)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】