説明

3次元空間情報処理システム、3次元空間情報処理端末、3次元空間情報処理サーバ、3次元空間情報処理端末プログラム、3次元空間情報処理サーバプログラム、及び3次元空間情報処理方法

【課題】3次元空間でのコミュニケーションの利点を活かしつつ、時間に制約されないコミュニケーションを実現することのできる3次元空間情報処理システム等を提供すること。
【解決手段】3次元空間情報を保存するデータベース10を備えたサーバ1に、クライアント端末2が接続されており、前記クライアント端末は、3次元空間の任意の位置にて、点または領域を示す画像表示により表示され前記複数のクライアント端末から編集可能な情報を保持するディスカッションオブジェクトを生成するディスカッション生成部38aと、前記3次元空間内にて生成されているディスカッションオブジェクトが保持している情報の編集を行うディスカッション編集生成部38bを有する3Dクライアントモジュール30により3次元空間情報を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元空間情報を保有するサーバと、クライアント端末とがネットワークを介して接続された3次元空間情報処理システム、3次元空間情報処理端末、3次元空間情報処理サーバ、3次元空間情報処理端末プログラム、3次元空間情報処理サーバプログラム、及び3次元空間情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インターネット等のネットワークに接続された端末間において、お互いにコミュニケーションを取る方法が種々開発されている。
特に近年は、仮想的な3次元空間(以下3D空間ともいう)を構築するサーバをネットワーク上に設け、この3D空間内でコミュニケーションを取ることが可能である。例えば、3D空間内にユーザの分身として操作可能なアバターを作成し、当該アバターを介して3D空間内の移動や他のアバター等のコミュニケーションを取ることが可能となっている。
【0003】
3D空間内では、3D空間内の景色等をお互い閲覧しながらコミュニケーションを取ることができ、より現実に近いコミュニケーションを取ることができるという利点がある。特に現実のロケーションを再現した3D空間であれば、現実の地形や建物について意見交換等ができ有用である。
【0004】
3D空間内でのコミュニケーション手段としては、文字によるチャットが主に用いられており、このような3D空間内でのコミュニケーション手段の利便性を高めるための技術も種々開発されている。
例えば、3D空間内においてチャット可能なオブジェクトに画像上のポインタを重ね合わせ、この指定されたオブジェクトがチャット可能なオブジェクトである場合にはポインタが顔型形状のポインタに変更され、ユーザが直感的にチャット可能なオブジェクトを把握することができる技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−154053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、チャットによるコミュニケーションの利便性を高めることができるが、3D空間内におけるチャットでは基本的に自らとコミュニケーションを取る対象とが同じ時間であって3D空間内の同じ場所にアバターを配置させる必要がある。
つまり、チャットではコミュニケーションを取る者それぞれが、同じ時間に3D空間にアクセスしている必要があることから、時間的制約を受けるという問題がある。特に、複数人が同時にコミュニケーションを取りたい場合には、それぞれの時間を合わせる必要があり、このような問題はより顕著となる。インターネットは世界的に拡がっていることから、世界中のユーザとコミュニケーションを取ることができるのに対し、このような時間的制約がある手段は、時差のある相手とのコミュニケーションを難しいものとしている。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、3次元空間でのコミュニケーションの利点を活かしつつ、時間に制約されないコミュニケーションを実現することのできる3次元空間情報処理システム、3次元空間情報処理端末、3次元空間情報処理サーバ、3次元空間情報処理サーバ、3次元空間情報処理端末プログラム、及び3次元空間情報処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、請求項1の3次元空間情報処理システムでは、3次元空間の情報を保有するサーバと、当該サーバとネットワークを介して接続された複数のクライアント端末とからなる3次元空間情報処理システムであって、前記サーバは、3次元空間情報を保存するデータベースと、前記データベースに保存された3次元空間情報を前記クライアント端末に送信するとともに、前記クライアント端末からの要求に応じた処理を行い前記データベースが保存する前記3次元空間情報に反映させる3次元空間情報管理手段と、を有しており、前記クライアント端末は、3次元空間画像を表示する画像表示手段と、前記3次元空間画像内の操作を行う入力手段と、前記サーバの3次元空間情報管理手段から前記3次元空間情報を取得し、当該3次元空間情報に基づく3次元空間画像を前記画像表示手段に表示させるとともに、前記入力手段の操作に応じて3次元空間情報を処理し、当該3次元空間情報への変更事項を反映させるべく前記サーバへ要求を送る3次元空間制御手段と、を有しており、前記3次元空間制御手段は、3次元空間の任意の位置にて、点または領域を示す画像表示により表示され前記複数のクライアント端末から編集可能な情報を保持するディスカッションオブジェクトを生成するディスカッション生成手段と、前記3次元空間内にて生成されているディスカッションオブジェクトが保持している情報の編集を行うディスカッション編集手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項2の3次元空間情報処理システムでは、請求項1において、前記ディスカッションオブジェクトの編集可能な情報は、文字情報であることを特徴としている。
請求項3の3次元空間情報処理システムでは、請求項1または2において、前記3次元空間は、現実の地形データに基づいて構築されていることを特徴としている。
【0010】
請求項4の3次元空間情報処理端末では、3次元空間情報を保有するサーバとネットワークを介して接続された3次元空間情報処理端末であって、3次元空間画像を表示する画像表示手段と、前記3次元空間画像内の操作を行う入力手段と、前記サーバから前記3次元空間情報を取得し、当該3次元空間情報に基づく3次元空間画像を前記画像表示手段に表示させるとともに、前記入力手段の操作に応じて3次元空間情報を処理し、当該3次元空間情報への変更事項を反映させるべく前記サーバへ要求を送る3次元空間制御手段と、を有しており、前記3次元空間制御手段は、3次元空間の任意の位置にて、点または領域を示す画像表示により表示され前記複数のクライアント端末から編集可能な情報を保持するディスカッションオブジェクトを生成するディスカッション生成手段と、前記3次元空間内にて生成されているディスカッションオブジェクトが保持している情報の編集を行うディスカッション編集手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項5の3次元空間情報処理サーバでは、ネットワークを介して複数のクライアント端末と接続されている3次元空間情報処理サーバであって、3次元空間情報を保存するデータベースと、前記データベースに保存された3次元空間情報を前記クライアント端末に送信するとともに、前記クライアント端末からの要求に応じて、前記3次元空間の任意の位置にて生成された、点または領域を示す画像表示により表示され、編集可能な情報を保持するディスカッションオブジェクトを、前記データベースが保存する前記3次元空間情報に反映させる3次元空間情報管理手段と、を備えることを特徴としている。
【0012】
請求項6の3次元空間情報処理サーバでは、請求項5において、前記3次元空間情報管理手段は、前記3次元空間内にて生成されているディスカッションオブジェクトが保持している情報に対し、前記クライアント端末による編集が行われた場合に、当該編集を前記データベースが保存する前記3次元空間情報に反映させることを特徴としている。
【0013】
請求項7の3次元空間情報処理クライアントプログラムでは、3次元空間情報を保有するサーバとネットワークを介して接続されたクライアント端末にて実行される3次元空間情報処理プログラムであって、前記クライアント端末は、3次元空間画像を表示する画像表示手段と、前記3次元空間画像内の操作を行う入力手段と、を有しており、前記クライアント端末を、前記サーバから前記3次元空間情報を取得し、当該3次元空間情報に基づく3次元空間画像を前記画像表示手段に表示させるとともに、前記入力手段の操作に応じて3次元空間情報を処理し、当該3次元空間情報への変更事項を反映させるべく前記サーバへ要求を送る3次元空間制御手段として機能させるとともに、3次元空間の任意の位置にて、点または領域を示す画像表示により表示され前記複数のクライアント端末から編集可能な情報を保持するディスカッションオブジェクトを生成するディスカッション生成手段、前記3次元空間内にて生成されているディスカッションオブジェクトが保持している情報の編集を行うディスカッション編集手段、として機能させることを特徴としている。
【0014】
請求項8の3次元空間情報処理サーバプログラムでは、ネットワークを介して複数のクライアント端末と接続されている3次元空間情報処理サーバにて実行されるプログラムであって、前記サーバは3次元空間情報を保存するデータベースを有しており、前記データベースに保存された3次元空間情報を前記クライアント端末に送信するとともに、前記クライアント端末からの要求に応じて、前記3次元空間の任意の位置にて生成された、点または領域を示す画像表示により表示され、編集可能な情報を保持するディスカッションオブジェクトを、前記データベースが保存する前記3次元空間情報に反映させる3次元空間情報管理手段として、前記サーバを機能させることを特徴としている。
【0015】
請求項9の3次元空間情報処理サーバプログラムでは、請求項8において、前記3次元空間情報管理手段は、前記3次元空間内にて生成されているディスカッションオブジェクトが保持している情報に対し、前記クライアント端末による編集が行われた場合に、当該編集を前記データベースが保存する前記3次元空間情報に反映させる機能も有することを特徴としている。
【0016】
請求項10の3次元空間情報処理方法では、3次元空間の情報を保有するサーバと、当該サーバとネットワークを介して接続された複数のクライアント端末との間の3次元空間情報処理方法であって、前記クライアント端末が、前記サーバから3次元空間情報を取得し、取得した3次元空間情報に基づく3次元空間の任意の位置にて、点または領域を示す画像表示により表示され複数のクライアント端末から編集可能な情報を保持するディスカッションオブジェクトを生成し、前記サーバが、前記ディスカッションオブジェクトを前記サーバが保有する3次元空間情報に反映することを特徴としている。
【0017】
請求項11の3次元空間情報処理方法では、請求項10において、前記クライアント端末が、前記3次元空間内にて生成されているディスカッションオブジェクトが保持している情報の編集を行い、当該編集を前記サーバの3次元空間情報に反映させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
上記手段を用いる本発明の3次元空間情報処理システム、3次元空間情報処理端末、3次元空間情報処理サーバ、3次元空間情報処理サーバ、3次元空間情報処理端末プログラム、及び3次元空間情報処理方法によれば、複数のクライアント端末から編集可能な情報を保持するディスカッションオブジェクトを3次元空間内に生成し、当該ディスカッションオブジェクトの保持する情報を編集していくことで、クライアント端末での意見交換をすることができる。当該ディスカッションオブジェクトは3次元空間内の任意の位置にて、情報を保持していることから、チャットのように同じ時間に各クライアント端末を介して3次元空間の同じ位置に居合わせる必要はなく、ディスカッションオブジェクトが生成された任意の位置に行けばいつでも意見の追加をすることができる。つまり、クライアント端末を所有する各ユーザは時間の制約なく意見交換することができる。
【0019】
また、3次元空間の任意の位置にディスカッションオブジェクトを生成することで、その位置の周辺状況に応じた意見交換を行うことができる。つまり、3次元空間を利用したシミュレーションを行いつつ、効率的で有用な意見交換を行うことができる。
これにより、3次元空間でのコミュニケーションの利点を活かしつつ、時間に制約されないコミュニケーションを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る3次元空間情報処理システムのシステム構成図である。
【図2】ディスカッション生成時の流れを示すシーケンス図である。
【図3】ディスカッション生成時の説明図である。
【図4】ディスカッション生成時の説明図である。
【図5】ディスカッション生成時の説明図である。
【図6】ディスカッション生成時の説明図である。
【図7】ディスカッション編集時の流れを示すシーケンス図である。
【図8】ディスカッションオブジェクトの表示方法の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る3次元空間情報処理システムのシステム構成図が示されている。
図1に示すように、サーバ1と複数のクライアント端末2とインターネットを介して相互に通信可能に接続されている。
【0022】
サーバ1は、データベース10、及びサーバアプリケーション12(3次元空間情報管理手段)を備えたコンピュータである。
データベース10には、3次元空間(以下、3D空間ともいう)の情報が保存されている。当該3D空間情報としては、現実世界を仮想的に構築可能に現実の位置情報に則した地形、建造物等のデータが保存されている。その他にもデータベース10には、天候等の環境に関するデータ、仮想のキャラクタ、動植物、車両等の移動体のデータ等も保存されている。
【0023】
サーバアプリケーション12は、サーバ1にて実行されるプログラムであり、データベース10に保存された3D空間情報に基づき3D空間を構築し、当該3D空間の管理を行うものである。また、当該サーバアプリケーション12は、構築された3D空間情報を各クライアント端末2に応じたフォーマットに変換した上で、各クライアント端末2へとインターネットを介して送信を行う。そして、当該サーバアプリケーション12は、各クライアント端末2から送られる3D空間への要求を受け、要求に応じた3D空間への変更等の処理を行い、結果をデータベース10の3D空間情報に反映させる。
【0024】
一方、クライアント端末2は、ディスプレイ20(画像表示手段)、入力装置22(入力手段)、及びユーザアプリケーション24を備えている。なお、クライアント端末2としては、パーソナルコンピュータ(以下、PCともいう)や、ノートPC、携帯電話、スマートフォン等のモバイル機器等がある。
ディスプレイ20は、ユーザアプリケーション24より送られる3D空間画像等の画像情報を画面上に表示するものである。
【0025】
入力装置22は、クライアント端末2を所有するユーザの操作を受けて、対応する信号を、ユーザアプリケーション24に出力し、前記ディスプレイ20に表示される3D空間画像内での操作を行うものである。
これらディスプレイ20及び入力装置22はクライアント端末2に応じて異なっていてもよく、例えばディスプレイ20としては、液晶ディスプレイ、CRT、プラズマディスプレイ、及びプロジェクタ等があり、入力装置22としてはキーボード、マウス等のポインティングデバイス、及びディスプレイ20と組み合わせたタッチパネル等がある。
【0026】
ユーザアプリケーション24は、クライアント端末2において機能するソフトウエアプログラムであり、例えば、上記サーバ1の3D空間の使用に適合した専用のアプリケーションであってもよいし、汎用的なWebブラウザ等でも構わない。当該ユーザアプリケーション24は、特に上記サーバ1からインターネットを介して送信される3D空間情報を取得して、当該3D空間内における処理を行うためのプログラムである3Dクライアントモジュール30(3次元空間制御手段)を有している。
【0027】
当該3Dクライアントモジュール30は、詳しくは、通信部32、3D空間情報処理部34、画像生成部36、ディスカッション制御部38、アバター制御部40を有している。
通信部32は、インターネットを介して上記サーバアプリケーション12に接続されており、サーバアプリケーション12から3D空間情報を受信するとともに、クライアント端末2から3D空間への要求を送信する機能を有している。
【0028】
3D空間情報処理部34は、通信部32にて受信した3D空間情報を処理して画像生成部36へ送るとともに、ディスカッション制御部38及びアバター制御部40において受け付けた操作を3D空間に反映させる処理を行い、当該3D空間への変更事項等はサーバアプリケーション12への要求として通信部32に送る機能を有している。
ディスカッション制御部38は、主に、3D空間内にディスカッションオブジェクトを生成するディスカッション生成部38a(ディスカッション生成手段)と、すでに生成されているディスカッションオブジェクトが保持している情報の編集を行うディスカッション編集部38b(ディスカッション編集手段)とを有している。
【0029】
ディスカッションオブジェクトとは、3D空間内の任意に位置において、各クライアント端末2を介してユーザ同士で意見交換(ディスカッション)することのできるよう、追加的に編集可能な情報を保持するオブジェクトである。具体的には、ディスカッションオブジェクトは、3D空間の任意の位置に点または領域を示すアイコン等の画像表示により表示される。そして、当該画像表示を入力装置22により指定することでウィンドウが展開し、当該ウィンドウ内に当該ディスカッションオブジェクトが保持している情報が表示される。本実施形態におけるディスカッションオブジェクトは、編集可能な情報として文字情報を保持しているものとする。
【0030】
ディスカッション生成部38aは、入力装置22による操作に応じて、ディスカッションオブジェクトを3D空間の任意な位置に生成する機能を有するものである。当該ディスカッションオブジェクト生成時には、例えば当該ディスカッションオブジェクトの画像表示の位置や範囲等の表示の仕方や、ディスカッションについての題目や説明等を入力し、保持させる。
【0031】
ディスカッション編集部38bは、すでに生成されたディスカッションオブジェクトに対してコメントの追加等により当該ディスカッションオブジェクトが保持している情報の編集を行う機能を有するものである。
これらディスカッションオブジェクトの生成及び編集は、3D空間情報処理部34にて3D空間に反映させる処理が行われ、通信部32、サーバアプリケーション12を介してデータベース10の3D空間情報に反映される。
【0032】
アバター制御部40は、3D空間内においてユーザの分身としてのキャラクタであるアバターを、入力装置22の操作に応じて移動等させるものである。当該操作結果は3D空間情報処理部34から通信部32、サーバアプリケーション12を介してデータベース10の3D空間情報に反映される。
このようにディスカッション制御部38によるディスカッションオブジェクトの生成及び編集、アバター制御40によるアバターの移動等は、データベース10の3D空間情報に反映され、反映後の3D空間情報がサーバアプリケーション12から各クライアント端末2に送信されることで情報が共有される。
【0033】
本発明の一実施形態における3次元空間情報処理システムは、以上のような構成をなしており、以下、当該システムの作用について詳しく説明する。
図2には本発明の一実施形態に係るディスカッション生成時の流れを示すシーケンス図、図3〜6にはディスカッション生成時の説明図、図7には本発明の一実施形態に係るディスカッション編集時の流れを示すシーケンス図がそれぞれ示されており、以下これらの図に基づき説明する。
【0034】
まず、ディスカッション生成時の情報処理の流れを説明する。
図2に示すように、ディスカッションを生成する際には、まずクライアント端末2の入力装置22を介してディスカッションオブジェクトの生成操作が行われ、当該操作に基づく要求(メッセージ)が3Dクライアントモジュール30へと送られる。具体的には、入力装置22により3D空間上の任意の位置を指定し、ディスカッションについての題目や説明、表示の位置等の初期設定を行う(S1)。
【0035】
3Dクライアントモジュール30は、当該要求をディスカッション制御部38のディスカッション生成部38aにて受け付けて、3D空間情報処理部34により3D空間に適合させる処理が行われる。そして、当該3D空間情報処理部34から通信部32を介して、生成したディスカッションオブジェクトの位置や内容を3D空間に反映させる要求をサーバアプリケーション12に送信する(S2)。
【0036】
サーバアプリケーション12は、ディスカッションオブジェクトを3D空間に反映させるようデータベース10に保存されている3D空間情報の更新を行うとともに(S3)、更新した3D空間情報を各クライアント端末2のフォーマットに変換した上で各クライアント端末2の3Dクライアントモジュール30に送信する(S4)。
各クライアント端末2の3Dクライアントモジュール30は、通信部32を介して受信した3D空間情報を3D空間情報処理部34において解析して、画像生成部36を介してディスプレイ20に表示する(S5)。
【0037】
具体的な操作について、図3〜6を参照すると、クライアント端末2のディスプレイ20上に表示された3D空間画像の例が示されている。当該各図には、3D空間画像上に家屋等の建物50が道路52に沿って設けられており、道路52と建物50との間の歩道54上には街灯56も設けられている。そして歩道52上にアバター58が存在しており、当該アバター58は入力装置22の操作に応じて移動可能であるし、視点を自由に変えることも可能である。また、画面上には入力装置22であるポインティングデバイス(例えばここではマウスとする)の操作に応じて画面上を移動するカーソル60も表示されている。
【0038】
このような3D空間画像上において、例えば街灯56について意見交換を行うディスカッションオブジェクトを生成する場合、図3に示すように、カーソル60を街灯56部分に移動して、クリック等の指定操作を行う。
そうすると図4に示すように、指定操作を行った位置にディスカッションオブジェクトを示すアイコン62が表示されるとともに、ディスカッションに関するウィンドウ64が表示される。当該ウィンドウ64上には、ディスカッションの題目を入力するSubject欄66、当該ディスカッションの説明や各ユーザからのコメントを入力するComment欄68、4方向のボタンからなりアイコン62の水平方向の位置を調整するPositionボタン70、2方向のボタンからなりアイコン62の高さ方向の位置を調整するAltitudeボタン72、決定操作をするOKボタン74、及び取り消し操作をするCancelボタン76が設けられている。
【0039】
街灯56についてのディスカッションオブジェクトを生成する場合には、例えばSubject欄66に、「街灯について」とテキストを入力し、Comment欄68に「この街灯についての意見を下さい」等の説明文を入力すればよい。
また、Positionボタン70、Altitudeボタン72等の各方向ボタンを指定することでアイコン62の位置を調整することができ、図5ではAltitudeボタン72の上方向ボタンにカーソル60を合わせて指定することで、アイコン62を3D空間内で上昇させている。
【0040】
以上のようにして、ディスカッションオブジェクトの初期設定が完了したら、OKボタン74にカーソル60を合わせて指定することで、ウィンドウ64は消えてディスカッションオブジェクトのアイコン62のみが3D空間画像上に残る。この時点で、3Dクライアントモジュール30からサーバアプリケーション12を介してデータベース10に生成したディスカッションオブジェクトが反映され(図2のS1〜S3)、他のクライアント端末2においても、3D空間内の当該位置に行けば生成したディスカッションオブジェクトのアイコン62が表示されるようになる(図2のS4、5)。
【0041】
次に、ディスカッション編集時の情報処理の流れを説明する。
図7に示すように、ディスカッションを編集する際には、まずクライアント端末2のディスプレイ20に上述したようなディスカッションオブジェクトのアイコン62が表示されている状態で、当該アイコン62を入力装置22により指定すると、その指定操作の要求が3Dクライアントモジュール30へと送られる(S10)。
【0042】
3Dクライアントモジュール30は、指定されたディスカッションオブジェクトが保持する情報(以下、ディスカッション情報ともいう)を取得すべく、サーバアプリケーション12にこのディスカッション情報を要求する(S11)。
サーバアプリケーション12は、受信した要求に応じて指定されたディスカッション情報をデータベース10に問い合わせる(S12)。
【0043】
データベース10は問い合わせを受けたディスカッション情報を検索し、該当するディスカッション情報をサーバアプリケーション12に返答する(S13)。
サーバアプリケーション12は返答を受けたディスカッション情報を、上記要求を受けたクライアント端末2の3Dクライアントモジュール30へと送信する(S14)。
3Dクライアントモジュール30は、通信部32を介して受信したディスカッションオブジェクトに関する情報を3D空間情報処理部34において解析して、画像生成部36を介してディスプレイ20に表示する(S15)。
【0044】
そして、表示されたディスカッション情報に入力装置22を介してコメントの追加等の編集をすると(S20)、3Dクライアントモジュール30のディスカッション編集部38bにて当該編集内容を受け付けて、3D空間情報処理部34から通信部32を介してサーバアプリケーション12へディスカッション情報の編集内容が送信される(S21)。
サーバアプリケーション12は、当該編集内容をディスカッション情報に反映させるようデータベース10に保存されているディスカッション情報の更新を行うとともに(S22)、ディスカッション情報の編集を反映した3D空間情報を各クライアント端末2のフォーマットに変換した上で各クライアント端末2の3Dクライアントモジュール30に送信する(S23)。
【0045】
各クライアント端末2の3Dクライアントモジュール30は、通信部32を介して受信したディスカッション情報編集後の3D空間情報を3D空間情報処理部34において解析して、画像生成部36を介してディスプレイ20に表示する(S5)。これにより、各クライアント端末2において、ディスカッション情報の編集後の状態を確認できる。
具体的には、上述した街灯56のデザインについてのディスカッションオブジェクトを例に説明すると、図6の状態にあるディスカッションオブジェクトのアイコン62にカーソル60を合わせて指定すると(図7のS10)、図4、5で示したディスカッションオブジェクトを生成する際にも表示されたウィンドウ64が表示される(図7のS11〜S15)。当該ウィンドウには生成時の初期設定で入力された題目や説明の他、この時点までに追加されたコメント等が表示される。
【0046】
そして、当該ディスカッションオブジェクトにさらにコメントの追加等の編集を行う場合は、当該ウィンドウのComment欄68にテキストを追加する等の編集を行い、OKボタン74を指定すると、編集内容がデータベース10に反映され、他のクライアント端末2においても編集後のディスカッション情報を閲覧できるようになる(図7のS20〜S24)。
【0047】
以上のように、複数のクライアント端末2から編集可能な情報を保持するディスカッションオブジェクトを3D空間内に生成し、当該ディスカッションオブジェクトの保持する情報を追加編集していくことで、クライアント端末2間での意見交換をすることができる。当該ディスカッションオブジェクトは3D空間内の任意の位置にて、情報を保持していることから、チャットのように同じ時間に各クライアント端末2を介して3D空間の同じ位置に居合わせる必要はなく、ディスカッションオブジェクトが生成された任意の位置に行けばいつでも意見を追加することができる。つまり、クライアント端末2を所有する各ユーザは時間の制約なく意見交換することができる。
【0048】
また、3D空間の任意の位置にディスカッションオブジェクトを生成することで、その位置の周辺状況に応じた意見交換を行うことができる。例えば上述の図3〜6で示したようなディスカッションオブジェクトを生成することで、街灯のデザインについて、その配置について等、3D空間を利用したシミュレーションを行いつつ意見の交換ができ、効率的で有用な意見交換を行うことができる。
【0049】
また、本実施形態ではディスカッションオブジェクトの編集可能な情報として文字情報を用いることで、シンプルで効率的なコミュニケーションを実現している。
さらに、3D空間は現実の地形データ等に基づいて構築されていることで、仮想空間内で現実の状況に合わせた意見交換を行うことができ、有用である。
このように3D空間でのコミュニケーションの利点を活かしつつ、時間に制約されないコミュニケーションを実現することができる。
【0050】
以上で本発明に係る3次元空間情報処理システム、3次元空間情報処理端末、3次元空間情報処理サーバ、3次元空間情報処理端末プログラム、3次元空間情報処理サーバプログラム、及び3次元空間情報処理方法の実施形態についての説明を終えるが、実施形態は上記実施形態に限られるものではない。
上記実施形態において、図3〜6の説明図に基づき説明した3D空間画像の表示等は一例であり、このような表示に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、ディスカッションオブジェクトを3D空間内においてアイコン62で表示していたが、当該ディスカッションオブジェクトの表示方法はこれに限られるものではない。
【0051】
ここで、図8にはディスカッションオブジェクトの表示方法の変形例が示されており、同図に示すように、ディスカッションオブジェクトを、3D空間内において上方が開放された円柱80で表現しても構わない。そして、当該円柱80の半径はディスカッション生成時に設定可能なものとすることで、ディスカッションオブジェクトの領域を表現することができる。
【0052】
また、このように表示されたディスカッションオブジェクトが保持する情報の編集方法としては、当該円柱80の領域内にアバター58を移動させることで、上述の図4、5に示したディスカッション編集用のウィンドウを自動的に表示するようにしてもよいし、ディスカッションの編集を行うか否かのメッセージを画面上に表示させるようにしてもよい。さらに、図8に示すように円柱の半径を、街灯56を中心にしつつ隣の建物50まで含めるよう拡げることで、複数の対象についてのディスカッションであることを表現することができる。
【0053】
また、上記本実施形態のシステム構成では、サーバ1は1つのみ設けられているが、当該サーバは1つに限られるものではなく複数のサーバによる分散管理を行うものとしても構わない。
また、上記実施形態では、サーバ1と各クライアント端末2はインターネットを介して接続されているが、当該サーバとクライアント端末とを接続するネットワークはこれに限られるものではなく、例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)で構築されたネットワークであっても構わない。
【0054】
また、上記実施形態では、3D空間情報として現実世界のデータを用いたが、現実とは異なる想像上の仮想空間を構築するための地形、建造物等のデータを用いても構わない。
また、上記実施形態では、ディスカッションオブジェクトが保持する編集可能な情報として文字情報を用いているが、編集可能な情報としてはコミュニケーション可能な情報であればこれに限られるものではなく、例えば、静止画像情報、動画像情報、音声情報等を用いても構わない。
【符号の説明】
【0055】
1 サーバ
2 クライアント端末
10 データベース
12 サーバアプリケーション(3次元空間情報管理手段)
20 ディスプレイ(画像表示手段)
22 入力装置(入力手段)
30 3Dクライアントモジュール(3次元空間制御手段)
32 通信部
34 3D空間情報処理部
36 画像生成部
38 ディスカッション制御部
38a ディスカッション生成部(ディスカッション生成手段)
38b ディスカッション編集部(ディスカッション編集手段)
40 アバター制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元空間の情報を保有するサーバと、当該サーバとネットワークを介して接続された複数のクライアント端末とからなる3次元空間情報処理システムであって、
前記サーバは、
3次元空間情報を保存するデータベースと、
前記データベースに保存された3次元空間情報を前記クライアント端末に送信するとともに、前記クライアント端末からの要求に応じた処理を行い前記データベースが保存する前記3次元空間情報に反映させる3次元空間情報管理手段と、を有しており、
前記クライアント端末は、
3次元空間画像を表示する画像表示手段と、
前記3次元空間画像内の操作を行う入力手段と、
前記サーバの3次元空間情報管理手段から前記3次元空間情報を取得し、当該3次元空間情報に基づく3次元空間画像を前記画像表示手段に表示させるとともに、前記入力手段の操作に応じて3次元空間情報を処理し、当該3次元空間情報への変更事項を反映させるべく前記サーバへ要求を送る3次元空間制御手段と、を有しており、
前記3次元空間制御手段は、
3次元空間の任意の位置にて、点または領域を示す画像表示により表示され前記複数のクライアント端末から編集可能な情報を保持するディスカッションオブジェクトを生成するディスカッション生成手段と、
前記3次元空間内にて生成されているディスカッションオブジェクトが保持している情報の編集を行うディスカッション編集手段と、
を備えることを特徴とする3次元空間情報処理システム。
【請求項2】
前記ディスカッションオブジェクトの編集可能な情報は、文字情報であることを特徴とする請求項1記載の3次元空間情報処理システム。
【請求項3】
前記3次元空間は、現実の地形データに基づいて構築されていることを特徴とする請求項1または2記載の3次元空間情報処理システム。
【請求項4】
3次元空間情報を保有するサーバとネットワークを介して接続された3次元空間情報処理端末であって、
3次元空間画像を表示する画像表示手段と、
前記3次元空間画像内の操作を行う入力手段と、
前記サーバから前記3次元空間情報を取得し、当該3次元空間情報に基づく3次元空間画像を前記画像表示手段に表示させるとともに、前記入力手段の操作に応じて3次元空間情報を処理し、当該3次元空間情報への変更事項を反映させるべく前記サーバへ要求を送る3次元空間制御手段と、を有しており、
前記3次元空間制御手段は、
3次元空間の任意の位置にて、点または領域を示す画像表示により表示され前記複数のクライアント端末から編集可能な情報を保持するディスカッションオブジェクトを生成するディスカッション生成手段と、
前記3次元空間内にて生成されているディスカッションオブジェクトが保持している情報の編集を行うディスカッション編集手段と、
を備えることを特徴とする3次元空間情報処理端末。
【請求項5】
ネットワークを介して複数のクライアント端末と接続されている3次元空間情報処理サーバであって、
3次元空間情報を保存するデータベースと、
前記データベースに保存された3次元空間情報を前記クライアント端末に送信するとともに、前記クライアント端末からの要求に応じて、前記3次元空間の任意の位置にて生成された、点または領域を示す画像表示により表示され、編集可能な情報を保持するディスカッションオブジェクトを、前記データベースが保存する前記3次元空間情報に反映させる3次元空間情報管理手段と、
を備えることを特徴とする3次元空間情報処理サーバ。
【請求項6】
前記3次元空間情報管理手段は、前記3次元空間内にて生成されているディスカッションオブジェクトが保持している情報に対し、前記クライアント端末による編集が行われた場合に、当該編集を前記データベースが保存する前記3次元空間情報に反映させることを特徴とする請求項5記載の3次元空間情報処理サーバ。
【請求項7】
3次元空間情報を保有するサーバとネットワークを介して接続されたクライアント端末にて実行される3次元空間情報処理プログラムであって、
前記クライアント端末は、
3次元空間画像を表示する画像表示手段と、
前記3次元空間画像内の操作を行う入力手段と、を有しており、
前記クライアント端末を、
前記サーバから前記3次元空間情報を取得し、当該3次元空間情報に基づく3次元空間画像を前記画像表示手段に表示させるとともに、前記入力手段の操作に応じて3次元空間情報を処理し、当該3次元空間情報への変更事項を反映させるべく前記サーバへ要求を送る3次元空間制御手段として機能させるとともに、
3次元空間の任意の位置にて、点または領域を示す画像表示により表示され前記複数のクライアント端末から編集可能な情報を保持するディスカッションオブジェクトを生成するディスカッション生成手段、
前記3次元空間内にて生成されているディスカッションオブジェクトが保持している情報の編集を行うディスカッション編集手段、
として機能させることを特徴とする3次元空間情報処理端末プログラム。
【請求項8】
ネットワークを介して複数のクライアント端末と接続されている3次元空間情報処理サーバにて実行される3次元空間情報処理サーバプログラムであって、
前記サーバは3次元空間情報を保存するデータベースを有しており、
前記データベースに保存された3次元空間情報を前記クライアント端末に送信するとともに、前記クライアント端末からの要求に応じて、前記3次元空間の任意の位置にて生成された、点または領域を示す画像表示により表示され、編集可能な情報を保持するディスカッションオブジェクトを、前記データベースが保存する前記3次元空間情報に反映させる3次元空間情報管理手段として、前記サーバを機能させることを特徴とする3次元空間情報処理サーバプログラム。
【請求項9】
前記3次元空間情報管理手段は、前記3次元空間内にて生成されているディスカッションオブジェクトが保持している情報に対し、前記クライアント端末による編集が行われた場合に、当該編集を前記データベースが保存する前記3次元空間情報に反映させる機能も有することを特徴とする請求項8記載の3次元空間情報処理サーバプログラム。
【請求項10】
3次元空間の情報を保有するサーバと、当該サーバとネットワークを介して接続された複数のクライアント端末との間の3次元空間情報処理方法であって、
前記クライアント端末が、前記サーバから3次元空間情報を取得し、
取得した3次元空間情報に基づく3次元空間の任意の位置にて、点または領域を示す画像表示により表示され複数のクライアント端末から編集可能な情報を保持するディスカッションオブジェクトを生成し、
前記サーバが、前記ディスカッションオブジェクトを前記サーバが保有する3次元空間情報に反映することを特徴とする3次元空間情報処理方法。
【請求項11】
前記クライアント端末が、前記3次元空間内にて生成されているディスカッションオブジェクトが保持している情報の編集を行い、当該編集を前記サーバの3次元空間情報に反映させることを特徴とする請求項10記載の3次元空間情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−3778(P2013−3778A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133352(P2011−133352)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、経済産業省、産業技術研究開発委託事業(次世代高信頼・省エネ型IT基盤技術開発事業(クラウドコンピューティングによる合意形成支援仮想3次元空間の利用サービス))、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(506430325)株式会社フォーラムエイト (5)
【Fターム(参考)】