3次元表示装置
【課題】複数の2次元像がズレた状態の画像を観察者に観察させることなく、綺麗な3次元立体像のみを観察者に提示する。
【解決手段】観察者から見て異なった奥行き位置に配置される複数の表示面に2次元像をそれぞれ表示して3次元立体像を表示する3次元表示装置において、観察者の方向を中心とした狭い範囲のみから観察できる視域限定装置を有する。前記視域限定装置は、前記観察者から光学的に見て前記表示面の後方に配置されるバックライトの照射光の指向性を、前記観察者の方向を中心に狭くする装置である。または、前記視域限定装置は、前記観察者の方向以外の光を遮る装置である。あるいは、前記視域限定装置は、前記観察者の方向以外の光を前記観察者の方向へ集光させる装置である。
【解決手段】観察者から見て異なった奥行き位置に配置される複数の表示面に2次元像をそれぞれ表示して3次元立体像を表示する3次元表示装置において、観察者の方向を中心とした狭い範囲のみから観察できる視域限定装置を有する。前記視域限定装置は、前記観察者から光学的に見て前記表示面の後方に配置されるバックライトの照射光の指向性を、前記観察者の方向を中心に狭くする装置である。または、前記視域限定装置は、前記観察者の方向以外の光を遮る装置である。あるいは、前記視域限定装置は、前記観察者の方向以外の光を前記観察者の方向へ集光させる装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元表示装置に係り、特に、DFD(Depth-Fused3-D)方式の3次元表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、立体視の生理的要因間での矛盾を抑制でき、かつ、簡便に、立体メガネを用いないで3次元表示が可能な、DFD方式の3次元表示装置を提案している(例えば、特許文献1、2参照)。
前述した提案済みの3次元表示装置は、複数の表示面に2次元像を表示し、この複数の表示面に表示される2次元像の、輝度あるいは透過度を各表示面毎に変化させて3次元立体像を表示するものである。
【0003】
なお、本願発明に関連する先行技術文献としては以下のものがある。
【特許文献1】特許第3022558号明細書
【特許文献2】特許第3460671号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した3次元表示方法では、観察者から見て異なった奥行き位置に配置される複数の表示面に表示される2次元画像が重なり合うことで3次元立体像が表示される。
しかしながら、観察者が、この重なり合う視点以外から観察した場合には、3次元立体像としてではなく、複数の2次元像がズレた状態で、画質の悪い画像を観察することとなる。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、3次元表示装置において、複数の2次元像がズレた状態の画像を観察者に観察させることなく、綺麗な3次元立体像のみを観察者に提示することが可能となる技術を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、3次元表示装置において、各表示面での発光光、あるいは各表示面を透過する透過光を、観察者を中心とした狭い範囲のみに効率よく集中させることで、各表示面を構成する自発光型表示装置に画像を表示するための消費電力、あるいは、各表示面を構成する透過型表示装置を照射するバックライトを点灯させるために必要な消費電力を大幅に削減することが可能となる技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
前述の課題を解決するために、本発明は、観察者から見て異なった奥行き位置に配置される複数の表示面に2次元像をそれぞれ表示して3次元立体像を表示する3次元表示装置において、観察者の方向を中心とした狭い範囲のみから観察できる視域限定装置を有することを特徴とする。
また、本発明では、前記3次元表示装置は、前記各表示面に対して表示対象物体を前記観察者の視線方向から射影した2次元像を、それぞれの表示面に表示し、当該表示される2次元像の輝度あるいは透過度を前記各表示面毎にそれぞれ独立に変化させて、3次元立体像を表示する。
【0006】
また、本発明では、前記視域限定装置は、前記観察者から見て最前面の表示面と、前記観察者との間に、あるいは、前記観察者から光学的に見て前記各表示面の前方に配置される。
また、本発明では、前記表示面が背面からの光を透過する透過型の場合に、前記視域限定装置は、前記観察者から見て最後面の表示面の後方、あるいは、前記観察者から光学的に見て前記各表示面の後方に配置される。
また、本発明では、前記視域限定装置は、前記表示面の後方に配置されるバックライトの照射光の指向性を、前記観察者の方向を中心に狭くする装置である。
また、本発明では、前記視域限定装置は、前記観察者の方向以外の光を遮る装置である。
また、本発明では、前記視域限定装置は、前記観察者の方向以外の光を前記観察者の方向へ集光させる装置である。
【発明の効果】
【0007】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)本発明の3次元表示装置によれば、複数の2次元像が重なり合う視点方向からのみ観察できるようにしたので、複数の2次元像がズレた状態の画像を観察者に観察させることなく、綺麗な3次元画像のみを観察者に提示することが可能となる。
(2)本発明の3次元表示装置によれば、各表示面での発光光、あるいは各表示面を透過する透過光を、観察者を中心とした狭い範囲のみに効率よく集中させることができるので、各表示面を構成する自発光型表示装置に画像を表示するための消費電力、あるいは、各表示面を構成する透過型表示装置を照射するバックライトを点灯させるために必要な消費電力を大幅に削減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
[DFD型の3次元表示装置の一例]
図8は、DFD型の3次元表示装置の一例を説明するための図である。
図8に示す3次元表示装置は、観察者100の前面に複数の面、例えば、表示面(11,12)(表示面11が表示面12より観察者100に近い)を設定し、これらの表示面(11,12)に複数の2次元像を表示するために、2次元表示装置と種々の光学素子を用いて光学系13を構築する。
前記2次元表示装置としては、例えば、CRT、液晶ディスプレイパネル、LEDディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、ELディスプレイパネル、FEDディスプレイパネル、DMD、プロジェクション方式ディスプレイパネル、オシロスコープのような線描画型ディスプレイなどを用い、光学素子としては、例えば、レンズ、全反射鏡、部分反射鏡、曲鏡、プリズム、偏光素子、波長板などを用いる。
なお、図8は、前述の特許文献1に記載されているものと同じ構成のものであり、また、この表示面の設定方法については、前述の特許文献1を参照されたい。
図8に示す3次元表示装置では、図9に示すように、観察者100に提示したい3次元物体16を、観察者100の両眼の視線方向から、前述の表示面(11,12)へ射影した像(以下、「2D化像」と呼ぶ)(14,15)を生成する。
この2D化像の生成方法としては、例えば、視線方向から3次元物体16をカメラで撮影した2次元像を用いる方法、あるいは別の方向から撮影した複数枚の2次元像から合成する方法、あるいはコンピュータグラフィックによる合成技術やモデル化を用いる方法など種々の方法がある。
【0009】
図8に示すように、前記2D化像(14,15)を、各々表示面11と表示面12の双方に、観察者100の右眼と左眼とを結ぶ線上の一点から見て重なるように表示する。これは、例えば、2D化像(14,15)の各々の中心位置や重心位置の配置と、各々の像の拡大・縮小を制御することで可能となる。
かかる構成を有する装置上で、2D化像(14,15)の各々の輝度を、観察者100から見た総体的な輝度を一定に保ちつつ、3次元物体16の奥行き位置に対応して変えることで、3次元物体16の3次元立体像を表示する。
その2D化像(14,15)の各々の輝度の変え方の一例について説明する。なお、ここでは、白黒図面であるため、分かりやすいように、以下の図面では、輝度の高い方を濃く示してある。
例えば、3次元物体16が表示面11上にある場合には、図10に示すように、この上の2D化像14の輝度を3次元物体16の輝度に等しくし、表示面12上の2D化像15の輝度はゼロとする。
次に、例えば、3次元物体16が観察者100より少し遠ざかって表示面11より表示面12側に少し寄った位置にある場合には、図11に示すように、2D化像14の輝度を少し下げ、2D化像15の輝度を少し上げる。
【0010】
次に、例えば、3次元物体16が観察者100よりさらに遠ざかって表示面11より表示面12側にさらに寄った位置にある場合には、図12に示すように、2D化像14の輝度をさらに下げ、2D化像15の輝度をさらに上げる。
さらに、例えば、3次元物体16が表示面12上にある場合には、図13に示すように、この上の2D化像15の輝度を3次元物体16の輝度に等しくし、表示面11上の2D化像14の輝度はゼロとする。
このように表示することにより、観察者(人)100の生理的あるいは心理的要因あるいは錯覚により、表示しているのが2D化像(14,15)であっても、観察者100にはあたかも表示面(11,12)の中間に3次元物体16が位置しているように感じられる。
例えば、表示面(11,12)にほぼ等輝度の2D化像(14,15)を表示した場合には、表示面(11,12)の奥行き位置の中間付近に3次元物体16があるように感じられる。この場合に、この3次元物体16は、観察者100には立体感を伴って知覚される。
【0011】
なお、前記説明においては、例えば、3次元物体全体の奥行き位置を、例えば、表示面(11,12)に表示した2次元像を用いて表現する方法について主に述べたが、図8に示す3次元表示装置は、例えば、3次元物体自体が有する奥行きを表現する方法としても使用できることは明らかである。
3次元物体自体が有する奥行きを表現する場合における重要な要点は、図8に示す構成を有する装置上で、2D化像(14,15)の各々の部位の輝度を、観察者100から見た総体的な輝度を一定に保ちつつ、3次元物体16の各部位が有する奥行き位置に対応して変えることである。
なお、前述の説明では、2次元像を配置する面の中で主に2つの面に関してのみ記述し、かつ観察者に提示する物体が2つの面の間にある場合について述べたが、2次元像を配置する面の個数がこれよりも多く、あるいは提示する物体の位置が異なる場合であっても、同様な手法により3次元立体像を表示することが可能であることは明らかである。
例えば、面が3つで、観察者100に近い面と、中間の面との間に第1の3次元物体が、中間の面と、観察者100に遠い面との間に第2の3次元物体が存在する場合には、観察者100に近い面と、中間の面とに、第1の3次元物体の2D化像を表示し、中間の面と、観察者100に遠い面とに第2の3次元物体の2D化像を表示することで、第1および第2の3次元物体の3次元立体像を表示することができる。
【0012】
さらに、2D化像が3次元的に移動する場合に関しては、観察者の左右上下方向への移動に関しては通常の2次元表示装置の場合と同様に表示面内での動画再生によって可能であり、奥行き方向への移動に関しては、2D化像(14,15)の各々の輝度を、観察者100から見た総体的な輝度を一定に保ちつつ、3次元立体像の奥行き位置の時間的変化に対応して変化させることにより、3次元像の動画を表現できることは明らかである。
例えば、3次元立体像が表示面11より表示面12まで時間的に移動する場合について説明する。
3次元立体像が表示面11上にある場合には、図10に示すように、表示面11上の2D化像14の輝度を3次元立体像の輝度に等しくし、表示面12上の2D化像15の輝度はゼロとする。
次に、例えば、3次元立体像が、次第に観察者100より時間的に少し遠ざかり、表示面11より表示面12側に時間的に少し寄ってくる場合には、図11に示すように、3次元立体像の奥行き位置の移動に対応させて2D化像14の輝度を時間的に少し下げ、かつ2D化像15の輝度を時間的に少し上げる。
【0013】
次に、例えば、3次元立体像が観察者100より時間的にさらに遠ざかり、表示面11より表示面12側にさらに寄った位置に時間的に移動する場合には、図12に示すように、3次元立体像の奥行き位置の移動に対応させて2D化像14の輝度を時間的にさらに下げ、かつ2D化像15の輝度を時間的にさらに上げる。
さらに、例えば、3次元立体像が表示面12上まで時間的に移動してきた場合には、図13に示すように、3次元立体像の奥行き位置の移動に対応させてこの上の2D化像15の輝度を3次元立体像の輝度に等しくなるまで時間的に変化させ、かつ表示面11上の2D化像14の輝度がゼロとなるまで変化させる。
このように表示することにより、人の生理的あるいは心理的要因あるいは錯覚により、表示しているのが2D化像(14,15)であっても、観察者100にはあたかも表示面(11,12)の間を、表示面11から表示面12に3次元立体像が奥行き方向に移動するように感じられる。
【0014】
なお、前述の説明では、3次元立体像が表示面11から表示面12まで移動する場合について述べたが、これが表示面(11,12)の間の途中の奥行き位置から表示面12まで移動する場合や、表示面11から表示面(11,12)の間の途中の奥行き位置まで移動する場合や、表示面(11,12)の間の途中の奥行き位置から表示面(11,12)の間の途中の別な奥行き位置まで移動する場合であっても、同様なことが可能なことは明らかである。
なお、前述の説明では、2D化像を配置する面の中で主に2つの面に関してのみ記述し、かつ観察者100に提示する3次元立体像が2つの面の間を移動する場合について述べたが、2次元像を配置する面の個数がこれよりも多く、あるいは提示する3次元物体が複数の面をまたがって移動する場合であっても、同様な手法により、3次元立体像を表示可能であり、同様な効果が期待できることは明らかである。
また、前述の説明では、1個の3次元立体像が2次元像を配置する二つの面内で移動する場合について説明したが、複数個の3次元物体が移動する場合、即ち、表示される2次元像が、それぞれ移動方向の異なる複数の物体像を含む場合には、各表示面に表示される物体像の輝度を、物体像毎に、その物体の移動方向および移動速度に応じて変化させればよいことは明らかである。
【0015】
[DFD型の3次元表示装置の他の例]
図14は、本発明の前提となるDFD型の3次元表示装置の他の例を説明するための図である。
図14に示す3次元表示装置は、観察者100の前方に、複数の透過型表示装置、例えば、透過型表示装置(21,22)(透過型表示装置21が透過型表示装置22より観察者100に近い)と、種々の光学素子と、光源23を用いて光学系13を構築する。即ち、本実施例では、前述の図8における表示面(11,12)に代えて、透過型表示装置(21,22)を用いるものである。
前記透過型表示装置(21,22)としては、例えば、ツイストネマティック型液晶ディスプレイパネル、イン・プレイン型液晶ディスプレイパネル、ホモジニアス型液晶ディスプレイパネル、強誘電液晶ディスプレイパネル、ゲスト−ホスト型液晶ディスプレイパネル、高分子分散型液晶ディスプレイパネル、ホログラフィック高分子分散型液晶ディスプレイパネル、あるいはこれらの組み合わせなどを使用する。また、光学素子としては、例えば、レンズ、全反射鏡、部分反射鏡、曲面鏡、プリズム、偏光素子、波長板などを用いる。
なお、図14では、バックライト(光源)23が、観察者100から見て最も後方に配置された場合を示し、また、図14は、前述の特許文献2に記載されているものと同じ構成のものである。
【0016】
図14に示す3次元表示装置においても、前述の図9に示すように、観察者100に提示したい3次元物体16を、観察者100から見て、前記透過型表示装置(21,22)へ射影した2D化像(14,15)を生成する。
前記2D化像(14,15)を、図14に示すように、各々透過型表示装置21と透過型表示装置22との双方に、観察者100の右眼と左眼を結ぶ線上の一点から見て重なるように、2D化像(14,15)として表示する。
これは、例えば、2D化像(14,15)の各々の中心位置や重心位置の配置と、各々の像の拡大/縮小率を制御することで可能となる。
前記構成を有する装置上で、観察者100が見る像は、光源23から射出された光で、2D化像15を透過し、さらに2D化像14を透過した光によって生成される。
図14に示す3次元表示装置では、前記構成を有する装置上で、2D化像(14,15)の各々の透過度の配分を、観察者100から見た総体的な輝度を一定に保ちつつ、3次元物体16の奥行き位置に対応して変えて、透過型表示装置21と透過型表示装置22との間に存在する3次元物体の3次元立体像を表示する。
【0017】
その2D化像(14,15)の各々の透過度の変え方の一例について説明する。
例えば、3次元物体16が透過型表示装置21上にある場合には、透過型表示装置21上の透過度を、2D化像14の輝度が3次元物体16の輝度に等しくなるように設定し、透過型表示装置22上の2D化像15の部分の透過度を、例えば、その透過型表示装置22の最大値とする。
次に、例えば、3次元物体16が観察者100より少し遠ざかって、透過型表示装置21より透過型表示装置22側に少し寄った位置にある場合には、透過型表示装置21上の2D化像14の部分の透過度を少し増加させ、透過型表示装置22上の2D化像15の部分の透過度を少し減少させる。
次に、例えば、3次元物体16が観察者100よりさらに遠ざかって、透過型表示装置21より透過型表示装置22側にさらに寄った位置にある場合には、透過型表示装置21上の2D化像14の部分の透過度をさらに増加させ、透過型表示装置22上の2D化像15の部分の透過度をさらに減少させる。
さらに、例えば、3次元物体16が透過型表示装置22上にある場合には、透過型表示装置22上の透過度を、2D化像15の輝度が3次元物体16の輝度に等しくなるように設定し、透過型表示装置21上の2D化像14の部分の透過度を、例えば、透過型表示装置21の最大値とする。
【0018】
このように表示することにより、観察者(人)100の生理的あるいは心理的要因あるいは錯覚により、表示しているのが2D化像(14,15)であっても、観察者100にはあたかも透過型表示装置(21,22)の中間に3次元物体16が位置しているように感じられる。
即ち、例えば、透過型表示装置(21,22)にほぼ等輝度の2D化像(14,15)を表示した場合には、透過型表示装置(21,22)の奥行き位置の中間付近に3次元物体16があるように感じられる。この場合に、この3次元物体16は、観察者100には立体感を伴って知覚される。
なお、前述の説明においては、例えば、3次元物体全体の奥行き位置を、例えば、透過型表示装置(21,22)に表示した2次元像を用いて表現する方法について主に述べたが、図14に示す3次元表示装置においても、図8に示す3次元表示装置で説明した方法と同様の手法により、例えば、3次元物体自体が有する奥行きを表現する方法としても使用できることは明らかである。
また、図14に示す3次元表示装置においても、図8に示す3次元表示装置で説明した方法と同様の手法により、2D化像が3次元的に移動する場合には、観察者100の左右上下方向への移動に関しては通常の2次元表示装置の場合と同様に透過型表示装置内での動画再生によって可能であり、また、奥行き方向への移動に関しては、複数の透過型表示装置における透過度の変化を時間的に行うことで、3次元立体像の動画を表現することができることは明らかである。
【0019】
[図14に示す3次元表示装置の変形例]
図15は、図14に示す3次元表示装置の変形例を説明するための図である。
図15に示す3次元表示装置では、偏光板30と、偏光板36との間に、透過型表示装置21と、散乱板33と、透過型表示装置22とが配置される。
透過型表示装置21は、偏光可変装置として機能する液晶表示パネル32と、カラーフィルタ31とで構成され、同様に、透過型表示装置22は、偏光可変装置として機能する液晶表示パネル35と、カラーフィルタ34とで構成される。
また、偏光板36の後方(偏光板36の透過型表示装置22と反対の側)に、光源(バックライト)23が配置される。
ここで、液晶表示パネル(32,35)は、ツイストネマティック型液晶ディスプレイパネル、イン・プレイン型液晶ディスプレイパネル、ホモジニアス型液晶ディスプレイパネル、強誘電液晶ディスプレイパネル、反強誘電液晶ディスプレイパネルなどから偏光板を取り除いた装置で構成される。
液晶表示パネル(32,35)は、各画素単位で、偏光の方向を変化できるので、出射光の偏光方向と、出射側の偏光板の偏光方向により、出射する光の強度を変化でき、全体として光の透過度を変化させることができる。
したがって、液晶表示パネル(32,35)の各画素単位に、通過する光の偏光方向を制御することにより、液晶表示パネル32および液晶表示パネル35毎に、独立に透過度を変化させることができる。
【0020】
図15に示す3次元表示装置でも、前述した手法により、透過型表示装置(21,22)上、あるいは、透過型表示装置21と透過型表示装置22との間の任意の位置に、3次元立体像を表示することが可能である。
しかも、図15に示す3次元表示装置では、液晶表示パネル(32,35)を、2枚の偏光板(30,36)で挟むようにしたので、透過型表示装置として、両側に偏光板を設けた液晶表示パネルを使用する場合に比して、光源23からの照射光の光路中に挿入される偏光板の数を少なくすることができ、表示が暗くなるのを防止することができる。
また、図15に示す3次元表示装置では、各液晶表示パネル(32,35)の各画素単位に、赤(R)・緑(G)・青(B)の3色から成るカラーフィルタ(31,34)を配置するようにしたので、カラー画像の3次元立体像を表示することができる。
但し、図15に示す3次元表示装置では、偏光方向が、液晶表示パネル32と液晶表示パネル35とを通過する間に変化することを考慮して、各液晶表示パネル(32,35)の偏光方向の制御を行う必要がある。
図15に示す3次元表示装置では、各透過型表示装置(21,22)は、偏光可変装置として機能する液晶表示パネル(32,35)と、カラーフィルタ(31,34)とで構成される。そのため、カラーフィルタ31と、カラーフィルタ34とにおける、赤(R)・緑(G)・青(B)の各フィルタの配列方向、配列ピッチ等の違いにより、モアレが発生する恐れがある。
そのため、図15に示す3次元表示装置では、カラーフィルタ31とカラーフィルタ34との間に、散乱板33を配置し、前述したモアレが発生するのを防止するようにしている。
【0021】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1の3次元表示装置の概略構成を示す要部断面図である。
本実施例の3次元表示装置は、表示面を構成する透過型表示装置を複数個重ね合わせた構成を基本とする。そして、図1に示すように、観察者から見て異なった奥行き位置に配置される複数の透過型表示装置(111,112)の最前面(観察者から見て最前面)の透過型表示装置111と、観察者101との間に、透過型表示装置(111,112)の正面付近以外からの光を制限する視域限定装置121を配置する。
これにより、観察者101の方向からは透過型表示装置(111,112)を用いた3次元表示装置の3次元像が観察できるが、観察者(102,103)の方向からは観察することができなくなる。
従来、複数の透過型表示装置を積層した3次元表示装置では、画像が重なり合う正面付近以外から観察すると、各々の表示装置の画像の間に隙間が見えてしまったり、各々の画像が重なり合ってしまったりして、本来の3次元画像とは異なったズレた画像が観察者に観察されてしまう。
本実施例では、この本来の3次元画像以外の視線方向を制限することで、観察者には綺麗な、本来の3次元画像のみを見せることが可能となる。
なお、図1では、透過型表示装置(111,112)の正面から画像が重なる場合について説明しているが、各々の画像を正面以外から重ね合わせている場合には、その重なり合う視線方向以外を制限することで、本来の3次元画像のみを観察可能である。
【0022】
図2は、本発明の実施例1の3次元表示装置の変形例の概略構成を示す要部断面図である。図2に示す3次元表示装置は、非透過な表示装置(211,212)を複数枚重ね合わせた構成を基本構成とするものであり、図2では、光を反射と透過の両方を行うことができるハーフミラー(231,232)を用いて、非透過な表示装置(211,212)を光学的に複数重ね合わせている。なお、非透過な表示装置(211,212)は表示面を構成する。
そして、視域限定装置(221,222)を、それぞれ非透過な表示装置(211,212)の前方(観察者から光学的に見て前方)にそれぞれ配置し、観察できる視線方向を制限している。これにより、図1に示す透過型表示装置と同様に、非透過型表示装置でも同様な効果を実現できる。
本実施例の視域限定装置は、図3に示す視域限定装置521のように、表示装置に垂直な方向に壁を立てて他方向からの視線を遮るルーバー511などで構成できる。
また、レンズやプリズムなどの光学系にて観察者の方向に集光して観察範囲に指向性を持たせることも可能である。即ち、視域限定装置は、単に所望の視域以外を遮蔽して制限するものだけでなく、他の視域方向への光を所望の方向に集めることで、光の利用効率を高めることも可能である。
例えば、非透過な表示装置(211,212)が自発光型表示装置の場合には、発光光の全てを、中心付近のみの角度方向へ集光することで、自発光型表示装置の消費電力を大幅に削減することも可能である。
さらに、図4に示すように、例えば、表示装置631の前面に、画素毎に対応したマイクロレンズ611を用いた視域限定装置621を配置し、表示装置631から出射した光を観察者の方向に集光することで実現することもできる。
【0023】
[実施例2]
図5は、本発明の実施例2の3次元表示装置の概略構成を示す要部断面図である。
本実施例の3次元表示装置も、透過型表示装置を複数個重ね合わせた構成を基本とする。そして、図5に示すように、観察者から見て異なった奥行き位置に配置される複数の透過型表示装置(311,312)の最後面(観察者から見て最後面)の後ろに、視域限定装置321を配置する。
透過型表示装置は、背面からの光を透過させることで表示を行うことから、背面から来る光の範囲を視域限定装置321にて制限することで、複数の透過型表示装置(311,312)の画像が重なり合う方向のみから観察可能としている。
これにより、観察者301の方向からは透過型表示装置(311,312)を用いた3次元表示装置の3次元像が観察できるが、観察者(302,303)の方向からは観察することができなくなる。
図6は、本発明の実施例2の3次元表示装置の変形例の概略構成を示す要部断面図である。図6に示す3次元表示装置は、透過型表示装置(411,412)をハーフミラー(431,432)を用いて光学的に重ね合わせたものである。
図6に示す3次元表示装置では、各々の透過型表示装置(411,412)の後面(観察者から光学的に見て後面)に視域限定装置(421,422)を配置することで、後面からの光の範囲を制限し、図5に示す3次元表示装置と同様に観察できる範囲を制限することができる。
【0024】
なお、背面からの光としては、自然に入射する光でも良いが、バックライト(331,441,442)のように直接照明する方法もある。
透過型表示装置の後面に配置する視域限定装置は、単に所望の視域以外を遮蔽して制限するものだけでなく、他の視域方向への光を所望の方向に集めることで、光の利用効率を高めることも可能である。
例えば、バックライトから出射した全ての光(100%)を中心付近の20%のみの角度方向へ集光することで、バックライトの消費電力を1/5程度に削減することも可能である。
DFD方式の3次元表示装置では、透過型表示装置を複数重ね合わせることから、表示輝度が低くなるので、高輝度なバックライトが必要であることが知られており、バックライトの輝度の削減、あるいは、消費電力の削減は、DFD方式の3次元表示装置において有利である。
本実施例の視域限定装置は、レンズ、マイクロレンズ、プリズムなどの光学系で構成することができる。例えば、図7に示すように、バックライト741から広い範囲で出射した光をマイクロレンズやレンズなどの光学系にて観察者の方向に集光し、その光を透過型表示装置731に入射させることで実現することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1の3次元表示装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図2】本発明の実施例1の3次元表示装置の変形例の概略構成を示す要部断面図である。
【図3】本発明の実施例1の視域限定装置の一例の概略構成を示す要部断面図である。
【図4】本発明の実施例1の視域限定装置の他の例の概略構成を示す要部断面図である。
【図5】本発明の実施例2の3次元表示装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図6】本発明の実施例2の3次元表示装置の変形例の概略構成を示す要部断面図である。
【図7】本発明の実施例2の視域限定装置の一例の概略構成を示す要部断面図である。
【図8】本発明の基本となる3次元表示装置の概略構成を示す図である。
【図9】本発明の基本となる3次元表示装置において、各表示面に表示する2D化像の生成方法を説明するための図である。
【図10】本発明の基本となる3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図11】本発明の基本となる3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図12】本発明の基本となる3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図13】本発明の基本となる3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図14】本発明の前提となるDFD型の3次元表示装置の他の例を説明するための図である。
【図15】図14に示す3次元表示装置の変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0026】
11,12 表示面
13 光学系
14,15 2D化像
16 3次元物体
21,22、111,112,311,312,411,412,631,731 透過型表示装置
23,331,441,442,741 バックライト
32,35 液晶表示パネル
31,34 カラーフィルタ
30,36 偏光板
33 散乱板
100,101,102,103,201,202,203,301,302,303,401,402,403,501,502,503,601,602,603,701,702,703 観察者
121,221,222,321,421,422,521,621,721 視域限定装置
231,232,431,432 ハーフミラー
211,212 非透過な表示装置
511 ルーバー
611,711 マイクロレンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元表示装置に係り、特に、DFD(Depth-Fused3-D)方式の3次元表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、立体視の生理的要因間での矛盾を抑制でき、かつ、簡便に、立体メガネを用いないで3次元表示が可能な、DFD方式の3次元表示装置を提案している(例えば、特許文献1、2参照)。
前述した提案済みの3次元表示装置は、複数の表示面に2次元像を表示し、この複数の表示面に表示される2次元像の、輝度あるいは透過度を各表示面毎に変化させて3次元立体像を表示するものである。
【0003】
なお、本願発明に関連する先行技術文献としては以下のものがある。
【特許文献1】特許第3022558号明細書
【特許文献2】特許第3460671号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した3次元表示方法では、観察者から見て異なった奥行き位置に配置される複数の表示面に表示される2次元画像が重なり合うことで3次元立体像が表示される。
しかしながら、観察者が、この重なり合う視点以外から観察した場合には、3次元立体像としてではなく、複数の2次元像がズレた状態で、画質の悪い画像を観察することとなる。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、3次元表示装置において、複数の2次元像がズレた状態の画像を観察者に観察させることなく、綺麗な3次元立体像のみを観察者に提示することが可能となる技術を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、3次元表示装置において、各表示面での発光光、あるいは各表示面を透過する透過光を、観察者を中心とした狭い範囲のみに効率よく集中させることで、各表示面を構成する自発光型表示装置に画像を表示するための消費電力、あるいは、各表示面を構成する透過型表示装置を照射するバックライトを点灯させるために必要な消費電力を大幅に削減することが可能となる技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
前述の課題を解決するために、本発明は、観察者から見て異なった奥行き位置に配置される複数の表示面に2次元像をそれぞれ表示して3次元立体像を表示する3次元表示装置において、観察者の方向を中心とした狭い範囲のみから観察できる視域限定装置を有することを特徴とする。
また、本発明では、前記3次元表示装置は、前記各表示面に対して表示対象物体を前記観察者の視線方向から射影した2次元像を、それぞれの表示面に表示し、当該表示される2次元像の輝度あるいは透過度を前記各表示面毎にそれぞれ独立に変化させて、3次元立体像を表示する。
【0006】
また、本発明では、前記視域限定装置は、前記観察者から見て最前面の表示面と、前記観察者との間に、あるいは、前記観察者から光学的に見て前記各表示面の前方に配置される。
また、本発明では、前記表示面が背面からの光を透過する透過型の場合に、前記視域限定装置は、前記観察者から見て最後面の表示面の後方、あるいは、前記観察者から光学的に見て前記各表示面の後方に配置される。
また、本発明では、前記視域限定装置は、前記表示面の後方に配置されるバックライトの照射光の指向性を、前記観察者の方向を中心に狭くする装置である。
また、本発明では、前記視域限定装置は、前記観察者の方向以外の光を遮る装置である。
また、本発明では、前記視域限定装置は、前記観察者の方向以外の光を前記観察者の方向へ集光させる装置である。
【発明の効果】
【0007】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)本発明の3次元表示装置によれば、複数の2次元像が重なり合う視点方向からのみ観察できるようにしたので、複数の2次元像がズレた状態の画像を観察者に観察させることなく、綺麗な3次元画像のみを観察者に提示することが可能となる。
(2)本発明の3次元表示装置によれば、各表示面での発光光、あるいは各表示面を透過する透過光を、観察者を中心とした狭い範囲のみに効率よく集中させることができるので、各表示面を構成する自発光型表示装置に画像を表示するための消費電力、あるいは、各表示面を構成する透過型表示装置を照射するバックライトを点灯させるために必要な消費電力を大幅に削減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
[DFD型の3次元表示装置の一例]
図8は、DFD型の3次元表示装置の一例を説明するための図である。
図8に示す3次元表示装置は、観察者100の前面に複数の面、例えば、表示面(11,12)(表示面11が表示面12より観察者100に近い)を設定し、これらの表示面(11,12)に複数の2次元像を表示するために、2次元表示装置と種々の光学素子を用いて光学系13を構築する。
前記2次元表示装置としては、例えば、CRT、液晶ディスプレイパネル、LEDディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、ELディスプレイパネル、FEDディスプレイパネル、DMD、プロジェクション方式ディスプレイパネル、オシロスコープのような線描画型ディスプレイなどを用い、光学素子としては、例えば、レンズ、全反射鏡、部分反射鏡、曲鏡、プリズム、偏光素子、波長板などを用いる。
なお、図8は、前述の特許文献1に記載されているものと同じ構成のものであり、また、この表示面の設定方法については、前述の特許文献1を参照されたい。
図8に示す3次元表示装置では、図9に示すように、観察者100に提示したい3次元物体16を、観察者100の両眼の視線方向から、前述の表示面(11,12)へ射影した像(以下、「2D化像」と呼ぶ)(14,15)を生成する。
この2D化像の生成方法としては、例えば、視線方向から3次元物体16をカメラで撮影した2次元像を用いる方法、あるいは別の方向から撮影した複数枚の2次元像から合成する方法、あるいはコンピュータグラフィックによる合成技術やモデル化を用いる方法など種々の方法がある。
【0009】
図8に示すように、前記2D化像(14,15)を、各々表示面11と表示面12の双方に、観察者100の右眼と左眼とを結ぶ線上の一点から見て重なるように表示する。これは、例えば、2D化像(14,15)の各々の中心位置や重心位置の配置と、各々の像の拡大・縮小を制御することで可能となる。
かかる構成を有する装置上で、2D化像(14,15)の各々の輝度を、観察者100から見た総体的な輝度を一定に保ちつつ、3次元物体16の奥行き位置に対応して変えることで、3次元物体16の3次元立体像を表示する。
その2D化像(14,15)の各々の輝度の変え方の一例について説明する。なお、ここでは、白黒図面であるため、分かりやすいように、以下の図面では、輝度の高い方を濃く示してある。
例えば、3次元物体16が表示面11上にある場合には、図10に示すように、この上の2D化像14の輝度を3次元物体16の輝度に等しくし、表示面12上の2D化像15の輝度はゼロとする。
次に、例えば、3次元物体16が観察者100より少し遠ざかって表示面11より表示面12側に少し寄った位置にある場合には、図11に示すように、2D化像14の輝度を少し下げ、2D化像15の輝度を少し上げる。
【0010】
次に、例えば、3次元物体16が観察者100よりさらに遠ざかって表示面11より表示面12側にさらに寄った位置にある場合には、図12に示すように、2D化像14の輝度をさらに下げ、2D化像15の輝度をさらに上げる。
さらに、例えば、3次元物体16が表示面12上にある場合には、図13に示すように、この上の2D化像15の輝度を3次元物体16の輝度に等しくし、表示面11上の2D化像14の輝度はゼロとする。
このように表示することにより、観察者(人)100の生理的あるいは心理的要因あるいは錯覚により、表示しているのが2D化像(14,15)であっても、観察者100にはあたかも表示面(11,12)の中間に3次元物体16が位置しているように感じられる。
例えば、表示面(11,12)にほぼ等輝度の2D化像(14,15)を表示した場合には、表示面(11,12)の奥行き位置の中間付近に3次元物体16があるように感じられる。この場合に、この3次元物体16は、観察者100には立体感を伴って知覚される。
【0011】
なお、前記説明においては、例えば、3次元物体全体の奥行き位置を、例えば、表示面(11,12)に表示した2次元像を用いて表現する方法について主に述べたが、図8に示す3次元表示装置は、例えば、3次元物体自体が有する奥行きを表現する方法としても使用できることは明らかである。
3次元物体自体が有する奥行きを表現する場合における重要な要点は、図8に示す構成を有する装置上で、2D化像(14,15)の各々の部位の輝度を、観察者100から見た総体的な輝度を一定に保ちつつ、3次元物体16の各部位が有する奥行き位置に対応して変えることである。
なお、前述の説明では、2次元像を配置する面の中で主に2つの面に関してのみ記述し、かつ観察者に提示する物体が2つの面の間にある場合について述べたが、2次元像を配置する面の個数がこれよりも多く、あるいは提示する物体の位置が異なる場合であっても、同様な手法により3次元立体像を表示することが可能であることは明らかである。
例えば、面が3つで、観察者100に近い面と、中間の面との間に第1の3次元物体が、中間の面と、観察者100に遠い面との間に第2の3次元物体が存在する場合には、観察者100に近い面と、中間の面とに、第1の3次元物体の2D化像を表示し、中間の面と、観察者100に遠い面とに第2の3次元物体の2D化像を表示することで、第1および第2の3次元物体の3次元立体像を表示することができる。
【0012】
さらに、2D化像が3次元的に移動する場合に関しては、観察者の左右上下方向への移動に関しては通常の2次元表示装置の場合と同様に表示面内での動画再生によって可能であり、奥行き方向への移動に関しては、2D化像(14,15)の各々の輝度を、観察者100から見た総体的な輝度を一定に保ちつつ、3次元立体像の奥行き位置の時間的変化に対応して変化させることにより、3次元像の動画を表現できることは明らかである。
例えば、3次元立体像が表示面11より表示面12まで時間的に移動する場合について説明する。
3次元立体像が表示面11上にある場合には、図10に示すように、表示面11上の2D化像14の輝度を3次元立体像の輝度に等しくし、表示面12上の2D化像15の輝度はゼロとする。
次に、例えば、3次元立体像が、次第に観察者100より時間的に少し遠ざかり、表示面11より表示面12側に時間的に少し寄ってくる場合には、図11に示すように、3次元立体像の奥行き位置の移動に対応させて2D化像14の輝度を時間的に少し下げ、かつ2D化像15の輝度を時間的に少し上げる。
【0013】
次に、例えば、3次元立体像が観察者100より時間的にさらに遠ざかり、表示面11より表示面12側にさらに寄った位置に時間的に移動する場合には、図12に示すように、3次元立体像の奥行き位置の移動に対応させて2D化像14の輝度を時間的にさらに下げ、かつ2D化像15の輝度を時間的にさらに上げる。
さらに、例えば、3次元立体像が表示面12上まで時間的に移動してきた場合には、図13に示すように、3次元立体像の奥行き位置の移動に対応させてこの上の2D化像15の輝度を3次元立体像の輝度に等しくなるまで時間的に変化させ、かつ表示面11上の2D化像14の輝度がゼロとなるまで変化させる。
このように表示することにより、人の生理的あるいは心理的要因あるいは錯覚により、表示しているのが2D化像(14,15)であっても、観察者100にはあたかも表示面(11,12)の間を、表示面11から表示面12に3次元立体像が奥行き方向に移動するように感じられる。
【0014】
なお、前述の説明では、3次元立体像が表示面11から表示面12まで移動する場合について述べたが、これが表示面(11,12)の間の途中の奥行き位置から表示面12まで移動する場合や、表示面11から表示面(11,12)の間の途中の奥行き位置まで移動する場合や、表示面(11,12)の間の途中の奥行き位置から表示面(11,12)の間の途中の別な奥行き位置まで移動する場合であっても、同様なことが可能なことは明らかである。
なお、前述の説明では、2D化像を配置する面の中で主に2つの面に関してのみ記述し、かつ観察者100に提示する3次元立体像が2つの面の間を移動する場合について述べたが、2次元像を配置する面の個数がこれよりも多く、あるいは提示する3次元物体が複数の面をまたがって移動する場合であっても、同様な手法により、3次元立体像を表示可能であり、同様な効果が期待できることは明らかである。
また、前述の説明では、1個の3次元立体像が2次元像を配置する二つの面内で移動する場合について説明したが、複数個の3次元物体が移動する場合、即ち、表示される2次元像が、それぞれ移動方向の異なる複数の物体像を含む場合には、各表示面に表示される物体像の輝度を、物体像毎に、その物体の移動方向および移動速度に応じて変化させればよいことは明らかである。
【0015】
[DFD型の3次元表示装置の他の例]
図14は、本発明の前提となるDFD型の3次元表示装置の他の例を説明するための図である。
図14に示す3次元表示装置は、観察者100の前方に、複数の透過型表示装置、例えば、透過型表示装置(21,22)(透過型表示装置21が透過型表示装置22より観察者100に近い)と、種々の光学素子と、光源23を用いて光学系13を構築する。即ち、本実施例では、前述の図8における表示面(11,12)に代えて、透過型表示装置(21,22)を用いるものである。
前記透過型表示装置(21,22)としては、例えば、ツイストネマティック型液晶ディスプレイパネル、イン・プレイン型液晶ディスプレイパネル、ホモジニアス型液晶ディスプレイパネル、強誘電液晶ディスプレイパネル、ゲスト−ホスト型液晶ディスプレイパネル、高分子分散型液晶ディスプレイパネル、ホログラフィック高分子分散型液晶ディスプレイパネル、あるいはこれらの組み合わせなどを使用する。また、光学素子としては、例えば、レンズ、全反射鏡、部分反射鏡、曲面鏡、プリズム、偏光素子、波長板などを用いる。
なお、図14では、バックライト(光源)23が、観察者100から見て最も後方に配置された場合を示し、また、図14は、前述の特許文献2に記載されているものと同じ構成のものである。
【0016】
図14に示す3次元表示装置においても、前述の図9に示すように、観察者100に提示したい3次元物体16を、観察者100から見て、前記透過型表示装置(21,22)へ射影した2D化像(14,15)を生成する。
前記2D化像(14,15)を、図14に示すように、各々透過型表示装置21と透過型表示装置22との双方に、観察者100の右眼と左眼を結ぶ線上の一点から見て重なるように、2D化像(14,15)として表示する。
これは、例えば、2D化像(14,15)の各々の中心位置や重心位置の配置と、各々の像の拡大/縮小率を制御することで可能となる。
前記構成を有する装置上で、観察者100が見る像は、光源23から射出された光で、2D化像15を透過し、さらに2D化像14を透過した光によって生成される。
図14に示す3次元表示装置では、前記構成を有する装置上で、2D化像(14,15)の各々の透過度の配分を、観察者100から見た総体的な輝度を一定に保ちつつ、3次元物体16の奥行き位置に対応して変えて、透過型表示装置21と透過型表示装置22との間に存在する3次元物体の3次元立体像を表示する。
【0017】
その2D化像(14,15)の各々の透過度の変え方の一例について説明する。
例えば、3次元物体16が透過型表示装置21上にある場合には、透過型表示装置21上の透過度を、2D化像14の輝度が3次元物体16の輝度に等しくなるように設定し、透過型表示装置22上の2D化像15の部分の透過度を、例えば、その透過型表示装置22の最大値とする。
次に、例えば、3次元物体16が観察者100より少し遠ざかって、透過型表示装置21より透過型表示装置22側に少し寄った位置にある場合には、透過型表示装置21上の2D化像14の部分の透過度を少し増加させ、透過型表示装置22上の2D化像15の部分の透過度を少し減少させる。
次に、例えば、3次元物体16が観察者100よりさらに遠ざかって、透過型表示装置21より透過型表示装置22側にさらに寄った位置にある場合には、透過型表示装置21上の2D化像14の部分の透過度をさらに増加させ、透過型表示装置22上の2D化像15の部分の透過度をさらに減少させる。
さらに、例えば、3次元物体16が透過型表示装置22上にある場合には、透過型表示装置22上の透過度を、2D化像15の輝度が3次元物体16の輝度に等しくなるように設定し、透過型表示装置21上の2D化像14の部分の透過度を、例えば、透過型表示装置21の最大値とする。
【0018】
このように表示することにより、観察者(人)100の生理的あるいは心理的要因あるいは錯覚により、表示しているのが2D化像(14,15)であっても、観察者100にはあたかも透過型表示装置(21,22)の中間に3次元物体16が位置しているように感じられる。
即ち、例えば、透過型表示装置(21,22)にほぼ等輝度の2D化像(14,15)を表示した場合には、透過型表示装置(21,22)の奥行き位置の中間付近に3次元物体16があるように感じられる。この場合に、この3次元物体16は、観察者100には立体感を伴って知覚される。
なお、前述の説明においては、例えば、3次元物体全体の奥行き位置を、例えば、透過型表示装置(21,22)に表示した2次元像を用いて表現する方法について主に述べたが、図14に示す3次元表示装置においても、図8に示す3次元表示装置で説明した方法と同様の手法により、例えば、3次元物体自体が有する奥行きを表現する方法としても使用できることは明らかである。
また、図14に示す3次元表示装置においても、図8に示す3次元表示装置で説明した方法と同様の手法により、2D化像が3次元的に移動する場合には、観察者100の左右上下方向への移動に関しては通常の2次元表示装置の場合と同様に透過型表示装置内での動画再生によって可能であり、また、奥行き方向への移動に関しては、複数の透過型表示装置における透過度の変化を時間的に行うことで、3次元立体像の動画を表現することができることは明らかである。
【0019】
[図14に示す3次元表示装置の変形例]
図15は、図14に示す3次元表示装置の変形例を説明するための図である。
図15に示す3次元表示装置では、偏光板30と、偏光板36との間に、透過型表示装置21と、散乱板33と、透過型表示装置22とが配置される。
透過型表示装置21は、偏光可変装置として機能する液晶表示パネル32と、カラーフィルタ31とで構成され、同様に、透過型表示装置22は、偏光可変装置として機能する液晶表示パネル35と、カラーフィルタ34とで構成される。
また、偏光板36の後方(偏光板36の透過型表示装置22と反対の側)に、光源(バックライト)23が配置される。
ここで、液晶表示パネル(32,35)は、ツイストネマティック型液晶ディスプレイパネル、イン・プレイン型液晶ディスプレイパネル、ホモジニアス型液晶ディスプレイパネル、強誘電液晶ディスプレイパネル、反強誘電液晶ディスプレイパネルなどから偏光板を取り除いた装置で構成される。
液晶表示パネル(32,35)は、各画素単位で、偏光の方向を変化できるので、出射光の偏光方向と、出射側の偏光板の偏光方向により、出射する光の強度を変化でき、全体として光の透過度を変化させることができる。
したがって、液晶表示パネル(32,35)の各画素単位に、通過する光の偏光方向を制御することにより、液晶表示パネル32および液晶表示パネル35毎に、独立に透過度を変化させることができる。
【0020】
図15に示す3次元表示装置でも、前述した手法により、透過型表示装置(21,22)上、あるいは、透過型表示装置21と透過型表示装置22との間の任意の位置に、3次元立体像を表示することが可能である。
しかも、図15に示す3次元表示装置では、液晶表示パネル(32,35)を、2枚の偏光板(30,36)で挟むようにしたので、透過型表示装置として、両側に偏光板を設けた液晶表示パネルを使用する場合に比して、光源23からの照射光の光路中に挿入される偏光板の数を少なくすることができ、表示が暗くなるのを防止することができる。
また、図15に示す3次元表示装置では、各液晶表示パネル(32,35)の各画素単位に、赤(R)・緑(G)・青(B)の3色から成るカラーフィルタ(31,34)を配置するようにしたので、カラー画像の3次元立体像を表示することができる。
但し、図15に示す3次元表示装置では、偏光方向が、液晶表示パネル32と液晶表示パネル35とを通過する間に変化することを考慮して、各液晶表示パネル(32,35)の偏光方向の制御を行う必要がある。
図15に示す3次元表示装置では、各透過型表示装置(21,22)は、偏光可変装置として機能する液晶表示パネル(32,35)と、カラーフィルタ(31,34)とで構成される。そのため、カラーフィルタ31と、カラーフィルタ34とにおける、赤(R)・緑(G)・青(B)の各フィルタの配列方向、配列ピッチ等の違いにより、モアレが発生する恐れがある。
そのため、図15に示す3次元表示装置では、カラーフィルタ31とカラーフィルタ34との間に、散乱板33を配置し、前述したモアレが発生するのを防止するようにしている。
【0021】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1の3次元表示装置の概略構成を示す要部断面図である。
本実施例の3次元表示装置は、表示面を構成する透過型表示装置を複数個重ね合わせた構成を基本とする。そして、図1に示すように、観察者から見て異なった奥行き位置に配置される複数の透過型表示装置(111,112)の最前面(観察者から見て最前面)の透過型表示装置111と、観察者101との間に、透過型表示装置(111,112)の正面付近以外からの光を制限する視域限定装置121を配置する。
これにより、観察者101の方向からは透過型表示装置(111,112)を用いた3次元表示装置の3次元像が観察できるが、観察者(102,103)の方向からは観察することができなくなる。
従来、複数の透過型表示装置を積層した3次元表示装置では、画像が重なり合う正面付近以外から観察すると、各々の表示装置の画像の間に隙間が見えてしまったり、各々の画像が重なり合ってしまったりして、本来の3次元画像とは異なったズレた画像が観察者に観察されてしまう。
本実施例では、この本来の3次元画像以外の視線方向を制限することで、観察者には綺麗な、本来の3次元画像のみを見せることが可能となる。
なお、図1では、透過型表示装置(111,112)の正面から画像が重なる場合について説明しているが、各々の画像を正面以外から重ね合わせている場合には、その重なり合う視線方向以外を制限することで、本来の3次元画像のみを観察可能である。
【0022】
図2は、本発明の実施例1の3次元表示装置の変形例の概略構成を示す要部断面図である。図2に示す3次元表示装置は、非透過な表示装置(211,212)を複数枚重ね合わせた構成を基本構成とするものであり、図2では、光を反射と透過の両方を行うことができるハーフミラー(231,232)を用いて、非透過な表示装置(211,212)を光学的に複数重ね合わせている。なお、非透過な表示装置(211,212)は表示面を構成する。
そして、視域限定装置(221,222)を、それぞれ非透過な表示装置(211,212)の前方(観察者から光学的に見て前方)にそれぞれ配置し、観察できる視線方向を制限している。これにより、図1に示す透過型表示装置と同様に、非透過型表示装置でも同様な効果を実現できる。
本実施例の視域限定装置は、図3に示す視域限定装置521のように、表示装置に垂直な方向に壁を立てて他方向からの視線を遮るルーバー511などで構成できる。
また、レンズやプリズムなどの光学系にて観察者の方向に集光して観察範囲に指向性を持たせることも可能である。即ち、視域限定装置は、単に所望の視域以外を遮蔽して制限するものだけでなく、他の視域方向への光を所望の方向に集めることで、光の利用効率を高めることも可能である。
例えば、非透過な表示装置(211,212)が自発光型表示装置の場合には、発光光の全てを、中心付近のみの角度方向へ集光することで、自発光型表示装置の消費電力を大幅に削減することも可能である。
さらに、図4に示すように、例えば、表示装置631の前面に、画素毎に対応したマイクロレンズ611を用いた視域限定装置621を配置し、表示装置631から出射した光を観察者の方向に集光することで実現することもできる。
【0023】
[実施例2]
図5は、本発明の実施例2の3次元表示装置の概略構成を示す要部断面図である。
本実施例の3次元表示装置も、透過型表示装置を複数個重ね合わせた構成を基本とする。そして、図5に示すように、観察者から見て異なった奥行き位置に配置される複数の透過型表示装置(311,312)の最後面(観察者から見て最後面)の後ろに、視域限定装置321を配置する。
透過型表示装置は、背面からの光を透過させることで表示を行うことから、背面から来る光の範囲を視域限定装置321にて制限することで、複数の透過型表示装置(311,312)の画像が重なり合う方向のみから観察可能としている。
これにより、観察者301の方向からは透過型表示装置(311,312)を用いた3次元表示装置の3次元像が観察できるが、観察者(302,303)の方向からは観察することができなくなる。
図6は、本発明の実施例2の3次元表示装置の変形例の概略構成を示す要部断面図である。図6に示す3次元表示装置は、透過型表示装置(411,412)をハーフミラー(431,432)を用いて光学的に重ね合わせたものである。
図6に示す3次元表示装置では、各々の透過型表示装置(411,412)の後面(観察者から光学的に見て後面)に視域限定装置(421,422)を配置することで、後面からの光の範囲を制限し、図5に示す3次元表示装置と同様に観察できる範囲を制限することができる。
【0024】
なお、背面からの光としては、自然に入射する光でも良いが、バックライト(331,441,442)のように直接照明する方法もある。
透過型表示装置の後面に配置する視域限定装置は、単に所望の視域以外を遮蔽して制限するものだけでなく、他の視域方向への光を所望の方向に集めることで、光の利用効率を高めることも可能である。
例えば、バックライトから出射した全ての光(100%)を中心付近の20%のみの角度方向へ集光することで、バックライトの消費電力を1/5程度に削減することも可能である。
DFD方式の3次元表示装置では、透過型表示装置を複数重ね合わせることから、表示輝度が低くなるので、高輝度なバックライトが必要であることが知られており、バックライトの輝度の削減、あるいは、消費電力の削減は、DFD方式の3次元表示装置において有利である。
本実施例の視域限定装置は、レンズ、マイクロレンズ、プリズムなどの光学系で構成することができる。例えば、図7に示すように、バックライト741から広い範囲で出射した光をマイクロレンズやレンズなどの光学系にて観察者の方向に集光し、その光を透過型表示装置731に入射させることで実現することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1の3次元表示装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図2】本発明の実施例1の3次元表示装置の変形例の概略構成を示す要部断面図である。
【図3】本発明の実施例1の視域限定装置の一例の概略構成を示す要部断面図である。
【図4】本発明の実施例1の視域限定装置の他の例の概略構成を示す要部断面図である。
【図5】本発明の実施例2の3次元表示装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図6】本発明の実施例2の3次元表示装置の変形例の概略構成を示す要部断面図である。
【図7】本発明の実施例2の視域限定装置の一例の概略構成を示す要部断面図である。
【図8】本発明の基本となる3次元表示装置の概略構成を示す図である。
【図9】本発明の基本となる3次元表示装置において、各表示面に表示する2D化像の生成方法を説明するための図である。
【図10】本発明の基本となる3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図11】本発明の基本となる3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図12】本発明の基本となる3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図13】本発明の基本となる3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図14】本発明の前提となるDFD型の3次元表示装置の他の例を説明するための図である。
【図15】図14に示す3次元表示装置の変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0026】
11,12 表示面
13 光学系
14,15 2D化像
16 3次元物体
21,22、111,112,311,312,411,412,631,731 透過型表示装置
23,331,441,442,741 バックライト
32,35 液晶表示パネル
31,34 カラーフィルタ
30,36 偏光板
33 散乱板
100,101,102,103,201,202,203,301,302,303,401,402,403,501,502,503,601,602,603,701,702,703 観察者
121,221,222,321,421,422,521,621,721 視域限定装置
231,232,431,432 ハーフミラー
211,212 非透過な表示装置
511 ルーバー
611,711 マイクロレンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察者から見て異なった奥行き位置に配置される複数の表示面に2次元像をそれぞれ表示して3次元立体像を表示する3次元表示装置において、
観察者の方向を中心とした狭い範囲のみから観察できる視域限定装置を有することを特徴とする3次元表示装置。
【請求項2】
前記3次元表示装置は、前記各表示面に対して表示対象物体を前記観察者の視線方向から射影した2次元像を、それぞれの表示面に表示し、当該表示される2次元像の輝度あるいは透過度を前記各表示面毎にそれぞれ独立に変化させて、3次元立体像を表示することを特徴とする請求項1に記載の3次元表示装置。
【請求項3】
前記視域限定装置は、前記観察者から見て最前面の表示面と、前記観察者との間に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の3次元表示装置。
【請求項4】
前記視域限定装置は、前記観察者から光学的に見て前記各表示面の前方に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の3次元表示装置。
【請求項5】
前記表示面が背面からの光を透過する透過型の場合に、前記視域限定装置は、前記観察者から見て最後面の表示面の後方に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の3次元表示装置。
【請求項6】
前記表示面が背面からの光を透過する透過型の場合に、前記視域限定装置は、前記観察者から光学的に見て前記各表示面の後方に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の3次元表示装置。
【請求項7】
前記視域限定装置は、前記表示面の後方に配置されるバックライトの照射光の指向性を、前記観察者の方向を中心に狭くする装置であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の3次元表示装置。
【請求項8】
前記視域限定装置は、前記観察者の方向以外の光を遮る装置であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の3次元表示装置。
【請求項9】
前記視域限定装置は、前記観察者の方向以外の光を前記観察者の方向へ集光させる装置であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の3次元表示装置。
【請求項1】
観察者から見て異なった奥行き位置に配置される複数の表示面に2次元像をそれぞれ表示して3次元立体像を表示する3次元表示装置において、
観察者の方向を中心とした狭い範囲のみから観察できる視域限定装置を有することを特徴とする3次元表示装置。
【請求項2】
前記3次元表示装置は、前記各表示面に対して表示対象物体を前記観察者の視線方向から射影した2次元像を、それぞれの表示面に表示し、当該表示される2次元像の輝度あるいは透過度を前記各表示面毎にそれぞれ独立に変化させて、3次元立体像を表示することを特徴とする請求項1に記載の3次元表示装置。
【請求項3】
前記視域限定装置は、前記観察者から見て最前面の表示面と、前記観察者との間に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の3次元表示装置。
【請求項4】
前記視域限定装置は、前記観察者から光学的に見て前記各表示面の前方に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の3次元表示装置。
【請求項5】
前記表示面が背面からの光を透過する透過型の場合に、前記視域限定装置は、前記観察者から見て最後面の表示面の後方に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の3次元表示装置。
【請求項6】
前記表示面が背面からの光を透過する透過型の場合に、前記視域限定装置は、前記観察者から光学的に見て前記各表示面の後方に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の3次元表示装置。
【請求項7】
前記視域限定装置は、前記表示面の後方に配置されるバックライトの照射光の指向性を、前記観察者の方向を中心に狭くする装置であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の3次元表示装置。
【請求項8】
前記視域限定装置は、前記観察者の方向以外の光を遮る装置であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の3次元表示装置。
【請求項9】
前記視域限定装置は、前記観察者の方向以外の光を前記観察者の方向へ集光させる装置であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の3次元表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−108274(P2007−108274A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297324(P2005−297324)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]