説明

3次元超音波プローブおよび3次元超音波診断装置

【課題】簡単に高精度の3次元超音波画像を得ることのできる3次元超音波プローブおよび3次元超音波診断装置を提供すること。
【解決手段】本発明によれば、超音波を送受信するための複数の送受信素子を有する第1送受信部と、超音波を送受信するための複数の送受信素子を有する第2送受信部と、第1送受信部と第2送受信部とを支持する支持部とを備え、第1送受信部と第2送受信部との間隔が可変であり、第1送受信部の超音波の送受信方向および第2送受信部の超音波の送受信方向が、それぞれ可変であり、第1送受信部の超音波の送受信方向と第2送受信部の超音波の送受信方向とは交点を結ぶように構成することで、簡単に高精度の3次元超音波画像を得ることのできる3次元超音波プローブおよび3次元超音波診断装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元超音波プローブおよび3次元超音波診断装置に関し、特に3次元超音波画像を得ることのできる3次元超音波プローブおよび3次元超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波診断装置においては、被検者の体内の被検部の2次元画像を用いて診断するのが主であった。しかし、最近、診断の応用範囲の拡大のために、超音波画像を3次元化することで、被検部の形状を立体的に捉え、診断をより容易にする方法が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、測位システムでプローブの位置を測定しながら、2次元超音波プローブを走査することで得られるローカルな3次元画像を、時系列的に複数の位置で取得し、取得されたローカルな3次元画像を、測位システムで測定されたプローブの各位置を用いて繋ぎ合わせて、グローバルな3次元画像化する方法が提示されている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、プローブ内で1次元の超音波振動子の位置を回転して移動させることで走査して、3次元画像を得る方法が提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−000142号公報
【特許文献2】特開2008−278932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の方法では、プローブの設置位置が自由自在に設定できるために、どの様な測定もできるメリットがある反面、測位システムによる位置関係の測定で誤差を含む欠点がある。また、各ローカルな3次元画像は測定された時間が異なるために、同一の被検部を撮影しても形状が異なっている可能性が高く、精度に欠ける3次元画像となる欠点がある。さらに、プローブがどの様な条件で設置されても、その条件で測定された超音波画像を演算で3次元化することが必要であり、3次元画像化するための演算部、制御部が大きくなる欠点がある。
【0007】
また、特許文献2の方法では、1つのプローブ内で、超音波振動子の位置を回転して移動させるので、超音波振動子の位置の移動量が短いために、得られる超音波画像の視差が小さく、3次元画像化するための基本的な性能が劣るという欠点がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、簡単に高精度の3次元超音波画像を得ることのできる3次元超音波プローブおよび3次元超音波診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
【0010】
1.超音波を送受信するための複数の送受信素子を有する第1送受信部と、
超音波を送受信するための複数の送受信素子を有する第2送受信部と、
前記第1送受信部と前記第2送受信部とを支持する支持部とを備え、
前記第1送受信部と前記第2送受信部との間隔が可変であり、
前記第1送受信部の超音波の送受信方向および前記第2送受信部の超音波の送受信方向が、それぞれ可変であり、
前記第1送受信部の超音波の送受信方向と前記第2送受信部の超音波の送受信方向とは交点を結ぶことを特徴とする3次元超音波プローブ。
【0011】
2.前記第1送受信部と前記第2送受信部との間隔を検出する間隔検出部と、
前記第1送受信部の超音波の送受信方向を検出する第1方向検出部と、
前記第2送受信部の超音波の送受信方向を検出する第2方向検出部と、
前記第1送受信部で受信された第1受信信号、前記第2送受信部で受信された第2受信信号、前記間隔検出部で検出された前記第1送受信部と前記第2送受信部との間隔、前記第1方向検出部で検出された前記第1送受信部の超音波の送受信方向、および前記第2方向検出部で検出された前記第2送受信部の超音波の送受信方向を出力するデータ出力部とを備えたことを特徴とする前記1に記載の3次元超音波プローブ。
【0012】
3.前記第1送受信部の超音波の送受信方向を変化させる第1駆動部と、
前記第2送受信部の超音波の送受信方向を変化させる第2駆動部とを備え、
前記交点が、近距離から遠距離へと移動するように、前記第1駆動部と前記第2駆動部とを駆動することを特徴とする前記1または2に記載の3次元超音波プローブ。
【0013】
4.前記第1送受信部および前記第2送受信部は、それぞれ、複数の送受信素子が一方向に配列されており、
前記第1送受信部の複数の送受信素子の配列方向と前記第2送受信部の複数の送受信素子の配列方向とは、略平行であることを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の3次元超音波プローブ。
【0014】
5.前記1から4の何れか1項に記載の3次元超音波プローブと、
前記3次元超音波プローブの出力に基づいて、被検部の3次元超音波画像を生成する3次元画像生成部とを備え、
前記第1送受信部から送信した超音波の反射波を前記第1送受信部と前記第2送受信部とで受信する第1の検査モードと、
前記第2送受信部から送信した超音波の反射波を前記第1送受信部と前記第2送受信部とで受信する第2の検査モードと、
前記第1送受信部と前記第2送受信部との両方から同時に送信した超音波の反射波を前記第1送受信部と前記第2送受信部とで受信する第3の検査モードとを備え、
前記第1の検査モードから第3の検査モードのそれぞれで、前記3次元画像生成部により、3次元超音波画像を生成することを特徴とする3次元超音波診断装置。
【0015】
6.前記3または4に記載の3次元超音波プローブと、
前記3次元超音波プローブの出力に基づいて3次元超音波画像を生成する3次元画像生成部と、
前記第1駆動部と前記第2駆動部とを制御する駆動制御部を備え、
前記駆動制御部により、前記交点を近距離から遠距離へと自動的に移動させて、3次元超音波画像を生成することを特徴とする前記5に記載の3次元超音波診断装置。
【0016】
7.前記第1送受信部および前記第2送受信部の送受信素子は、それぞれ、
送信素子が無機圧電素子で構成され、
受信素子が有機圧電素子で構成され、
受信素子は、送信素子から送信された超音波の高調波成分を受信することを特徴とする前記5または6に記載の3次元超音波診断装置。
【0017】
8.前記第1送受信部および前記第2送受信部の送受信素子は、それぞれ、
送信機能と受信機能とを兼ねた単結晶無機圧電素子で構成されていることを特徴とする前記5または6に記載の3次元超音波診断装置。
【0018】
9.前記3次元画像生成部により生成された前記3次元超音波画像を表示する表示部を備えたことを特徴とする前記5から8の何れか1項に記載の3次元超音波診断装置。
【0019】
10.前記3次元画像生成部は、観察者の右目に相当する視点から見た2次元画像と、観察者の左目に相当する視点から見た2次元画像とを形成し、
前記表示部は、
前記観察者の右目に相当する視点から見た2次元画像と、前記観察者の左目に相当する視点から見た2次元画像とを、2次元画面に時分割で順次切り替えて表示する画像表示部と、
前記画像表示部の時分割に同期して、観察者の右目と左目との何れか一方のみで前記画像表示部に表示された画像を視認できるように、視野を切り替える視野切替部とを備えたことを特徴とする前記9に記載の3次元超音波診断装置。
【0020】
11.前記3次元画像生成部は、観察者の右目に相当する視点から見た2次元画像と、観察者の左目に相当する視点から見た2次元画像とを形成し、
前記表示部は、
観察者の右目の視野に前記観察者の右目に相当する視点から見た2次元画像を表示する右表示部と、観察者の左目の視野に前記観察者の左目に相当する視点から見た2次元画像を表示する左表示部とを備えたことを特徴とする前記9に記載の3次元超音波診断装置。
【0021】
12.前記3次元画像生成部は、観察者の右目に相当する視点から見た右目用2次元画像と、観察者の左目に相当する視点から見た左目用2次元画像とを生成し、
前記表示部は、
観察者の右目の前に所定の偏光方向を有するフィルタを有し、観察者の左目の前に前記所定の偏光方向とは異なる偏光方向を有するフィルタを有する画像視認部と、
前記右目用2次元画像を前記所定の偏光方向の画像として表示するとともに、前記左目用2次元画像を前記所定の偏光方向とは異なる偏光方向の画像として同時に表示する画像表示部とを備えたことを特徴とする前記9に記載の3次元超音波診断装置。
【0022】
13.前記3次元画像生成部は、被検部の3次元形状を、所定の視点から見た2次元画像として生成し、
前記表示部は、前記所定の視点から見た2次元画像を表示する画像表示部を備え、
前記表示部に表示された2次元画像を回転させるための操作部を備え、
前記操作部を操作することで、視点を変更して3次元形状を観察することを特徴とする前記9に記載の3次元超音波診断装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、超音波を送受信するための複数の送受信素子を有する第1送受信部と、超音波を送受信するための複数の送受信素子を有する第2送受信部と、第1送受信部と第2送受信部とを支持する支持部とを備え、第1送受信部と第2送受信部との間隔が可変であり、第1送受信部の超音波の送受信方向および第2送受信部の超音波の送受信方向が、それぞれ可変であり、第1送受信部の超音波の送受信方向と第2送受信部の超音波の送受信方向とは交点を結ぶように構成することで、簡単に高精度の3次元超音波画像を得ることのできる3次元超音波プローブおよび3次元超音波診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】3次元超音波診断装置の実施の形態の構成を示す斜視模式図である。
【図2】3次元超音波診断装置の実施の形態の内部構成を示すブロック図である。
【図3】3次元超音波プローブの内部構成と送受信動作を説明するための模式図である。
【図4】3次元超音波プローブにおける送受信素子の一例を示す模式図である。
【図5】3次元超音波診断装置の実施の形態の検査モードを説明するための模式図である。
【図6】3次元超音波診断装置の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】表示部の構成の例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限らない。なお、図中、同一あるいは同等の部分には同一の番号を付与し、重複する説明は省略することがある。
【0026】
最初に、本発明における3次元超音波診断装置の実施の形態について、図1および図2を用いて説明する、図1は、3次元超音波診断装置の実施の形態の構成を示す斜視模式図である。
【0027】
図1において、3次元超音波診断装置Sは、本体ユニット1、3次元超音波プローブ2およびケーブル3等で構成される。本体ユニット1は、操作部11および表示部15等を備えている。
【0028】
操作部11は、例えば検査開始を指示するコマンドや被検体の個人情報等のデータを入力したり、後述する3次元超音波画像を操作したりするためのキーボードやマウス等である。表示部15は、例えば、操作部11で入力された各種情報や、3次元超音波プローブ2で受信した受信信号に基づいて生成された被検体内の被検部の3次元超音波画像等を表示する液晶ディスプレイ等の画像表示部15aと、3次元超音波画像を観察する使用者の視野を切り替える視野切替部15b等で構成される。
【0029】
3次元超音波プローブ2は、図示しない人体等の被検体に対して超音波(超音波信号)を送信し、被検体内の被検部で反射した超音波の反射波(エコー、超音波信号)を受信し、3次元超音波画像を生成するための受信信号を生成する。詳細は、図3以降で説明する。
【0030】
ケーブル3は、本体ユニット1と3次元超音波プローブ2とを接続し、本体ユニット1からの送信信号を3次元超音波プローブ2へ伝達するとともに、3次元超音波プローブ2で生成された3次元超音波画像を生成するための受信信号を本体ユニット1に伝達する。
【0031】
図2は、3次元超音波診断装置の実施の形態の内部構成を示すブロック図である。
【0032】
図2において、上述したように、3次元超音波診断装置Sは、本体ユニット1、3次元超音波プローブ2およびケーブル3等で構成される。
【0033】
本体ユニット1は、上述した操作部11、表示部15に加えて、送信部12、受信部13、3次元画像生成部14、制御部16、記憶部17および駆動制御部18等で構成される。
【0034】
3次元超音波プローブ2は、第1送受信部21、第1方向検出部23、第1駆動部25、第2送受信部22、第2方向検出部24、第2駆動部26、間隔検出部27、データ出力部28および支持部29等で構成される。第1送受信部21は、送受信素子211および送受信回路212等で構成され、第2送受信部22も、送受信素子221および送受信回路222等で構成される。
【0035】
操作部11は、上述したように、検査の開始を指示するコマンドや被検体の個人情報等のデータを入力する。送信部12は、ケーブル3を介して、3次元超音波プローブ2の第1送受信部21および第2送受信部22へ送信信号を供給することで、送受信素子211および221に超音波を発生させるように駆動する。
【0036】
受信部13は、ケーブル3を介して、3次元超音波プローブ2の送受信素子211および221で受信した超音波の反射波の受信信号を受信し、超音波信号として3次元画像生成部14に供給する。
【0037】
また、受信部13は、ケーブル3を介して、3次元超音波プローブ2の、間隔検出部27で検出される第1送受信部21と第2送受信部22との間隔を示す間隔データd、第1方向検出部23で検出される第1送受信部21の超音波の第1送受信方向データθ1および第2方向検出部24で検出される第2送受信部22の超音波の第2送受信方向データθ2を受信し、3次元画像生成部14および制御部16に供給する。
【0038】
3次元画像生成部14は、受信部13から供給された送受信素子211および221の超音波信号と、間隔データd、第1送受信方向データθ1および第2送受信方向データθ2とに基づいて、被検体内の被検部の3次元超音波画像を生成する。
【0039】
表示部15は、図1で示したように、例えば、操作部11で入力された各種情報や、3次元超音波プローブ2で受信した受信信号に基づいて生成された被検体内の被検部の3次元超音波画像等を表示する液晶ディスプレイ等の画像表示部15aと、3次元超音波画像を観察する使用者の視野を切り替える視野切替部15b等で構成される。詳細は図7で述べる。
【0040】
記憶部17は、上述した操作部11で入力された各種情報や、3次元画像生成部14で生成された被検体内の被検部の3次元超音波画像を記憶する。駆動制御部18は、ケーブル3を介して、第1駆動部25および第2駆動部26を駆動制御することで、第1送受信部21の超音波の送受信方向および第2送受信部22の超音波の送受信方向を制御する。また、第1送受信部21と第2送受信部22との間隔も制御するようになしてもよい。
【0041】
制御部16は、操作部11、送信部12、受信部13、3次元画像生成部14、表示部15、記憶部17および駆動制御部18を各機能に応じて制御することによって、3次元超音波診断装置Sの全体制御を行う。
【0042】
送受信素子211および221としては、有機圧電素子や、無機圧電素子を用いることができる。詳細は図4で後述する。
【0043】
送受信回路212および222は、送信部12から供給される送信信号に応じて送受信素子211および221を駆動するドライバや、送受信素子211および221で受信された超音波の受信信号を増幅するアンプ等で構成される。
【0044】
第1方向検出部23および第2方向検出部24は、例えば角度検出器であり、第1送受信部21および第2送受信部22の超音波の送受信方向を検出し、データ出力部28およびケーブル3を介して、受信部13に、第1送受信方向データθ1および第2送受信方向データθ2を出力する。
【0045】
第1駆動部25および第2駆動部26は、例えばステッピングモータとその駆動回路等であり、駆動制御部18の制御により、第1送受信部21および第2送受信部22の超音波の送受信方向を可変に制御する。
【0046】
間隔検出部27は、例えばリニアエンコーダのような位置検出素子等で構成され、第1送受信部21と第2送受信部22との間隔を検出し、データ出力部28およびケーブル3を介して、受信部13に、間隔データdを出力する。
【0047】
データ出力部28は、インターフェース回路であり、ケーブル3を介して、上述した送受信素子211および221で受信した超音波の反射波の受信信号と、間隔データd、第1送受信方向データθ1および第2送受信方向データθ2を、受信部13に向けて出力する。
【0048】
支持部29は、第1送受信部21と第2送受信部22とを、その間隔と、第1送受信部21の超音波の送受信方向および第2送受信部22の超音波の送受信方向とが、それぞれ可変となるように支持する支持部材である。
【0049】
次に、3次元超音波プローブの内部構成と送受信動作について、図3を用いて説明する。図3は、3次元超音波プローブの内部構成と送受信動作を説明するための模式図で、図3(a)は3次元超音波プローブの内部構成の一例を示す断面模式図、図3(b)は3次元超音波プローブの送受信動作の一例を説明するための模式図である。
【0050】
図3(a)において、支持部29の長手方向をx方向、図の紙面内でx方向に垂直な方向をy方向とする。3次元超音波プローブ2の第1送受信部21は、第1駆動部25を介して支持部29に取り付けられ、図の紙面(xy平面)内方向に回動可能に支持されている。第2送受信部22も同様に、第2駆動部26を介して支持部29に取り付けられ、図の紙面(xy平面)内方向に回動可能に支持されている。
【0051】
また、第2送受信部22は、第2駆動部26によって図のx方向に平行移動されることによって、第1送受信部21との間隔を変化させることが可能であり、第1送受信部21と第2送受信部22との間隔は、間隔検出部27によって検出され、間隔データdとして出力される。
【0052】
第1送受信部21が送信する超音波の波面a1は、矢印a1を含む図の紙面に垂直な面であり、この超音波の波面a1を、第1駆動部25による駆動によって、図の紙面に平行な方向に走査することができる。第1送受信部21の超音波の波面a1の送受信方向は、第1方向検出部によって検出され、第1送受信方向データθ1として出力される。
【0053】
第2送受信部22が送信する超音波の波面a2も同様に、矢印a2を含む図の紙面に垂直な面であり、この超音波の波面a2を、第2駆動部26による駆動によって、図の紙面に平行な方向に走査することができる。第2送受信部22の超音波の波面a2の送受信方向は、第2方向検出部によって検出され、第2送受信方向データθ2として出力される。
【0054】
従って、第1送受信部21が送信する超音波の波面a1と第2送受信部22が送信する超音波の波面a2とは平行である。
【0055】
図3(b)において、第1送受信部21と第2送受信部22とは、所定の間隔Dだけ隔てて配置されている。つまり、第1送受信部21と第2送受信部22とは、所定の間隔Dだけの視差を有している。
【0056】
第1送受信部21の超音波の波面a1と第2送受信部22の超音波の波面a2とは、交点A(実際には紙面に垂直な波面が交わるので、点Aを含む紙面に垂直な交線である)を有するように、駆動制御部18によって制御される。
【0057】
送信する超音波の波面を適宜制御することで、交点の軌跡に所定の関係を持たせることができる。
【0058】
例えば、第1送受信部21の超音波の波面a1が図のb1となるように制御し、第2送受信部22の超音波の波面a2が図のb2となるように制御することで、交点Aを図の点Bとすることができる。このように制御することで、交点Aを、3次元超音波プローブ2に近い位置から遠い位置へと図の波線上を移動させて、あるいは逆に遠い位置から近い位置へと図の波線上を移動させて走査することができる。
【0059】
また、第1送受信部21の超音波の波面a1が図のc1となるように制御し、第2送受信部22の超音波の波面a2が図のc2となるように制御することで、交点Aを図の点Cとすることができる。このように制御することで、交点Aを、3次元超音波プローブ2から等距離で図の左から右へと図の一点鎖線上を移動させて、あるいは逆に右から左へと図の一点鎖線上を移動させて走査することができる。
【0060】
このように、所定の間隔Dだけの視差を有した第1送受信部21の超音波の波面a1と第2送受信部22の超音波の波面a2とに、所定の関係を持たせて走査しながら、超音波の送受信を繰り返すことで、周知の三角測量の原理に基づいて、3次元画像生成部14によって、得られた受信信号から、既知の3次元画像レンダリング技術により、3次元超音波画像を生成することができる。
【0061】
ここで、送受信素子の一例を図4に示す。図4は、3次元超音波プローブにおける送受信素子の一例を示す模式図で、図4(a)は図3(a)と同じ方向から見た送受信素子の断面模式図、図4(b)は送受新素子の構成を示す模式図である。
【0062】
図4(a)において、送受信素子211および221は、バッキング層BK、バッキング層BK上に設けられた電極および圧電体を有する圧電部PZ、圧電部PZ上に設けられた音響整合層AMおよび音響整合層AM上に設けられた音響レンズAL等で構成される。
【0063】
圧電部PZは、送信素子PZ1、送信素子PZ1上に配された中間層PZ2、および中間層PZ2上に配された受信素子PZ3等で構成される。送信素子PZ1は、送信用圧電素子Tに電極ELが付されたものがフレキシブル基板FP1上に載置されて構成される。受信素子PZ3も同様に、受信用圧電素子Rに電極ELが付されたものがフレキシブル基板FP2上に載置されて構成される。
【0064】
バッキング層BKは、圧電部PZを支持し、不要な超音波を吸収し得る超音波吸収体である。バッキング層BKに用いられる好ましいバッキング材としては、ゴム系複合材料およびまたはエポキシ樹脂複合材からなるものであり、その形状は、送受信素子211および221や送受信素子211および221を含む3次元超音波プローブ2の形状に応じて適宜選択することができる。
【0065】
ゴム系複合材としては、ゴム成分および充填剤を含有する物が好ましく、JIS K6253に準拠したスプリング硬さ試験機(デュロメータ硬さ)におけるタイプAデュロメータでA70からタイプDデュロメータでD70までの硬さを有するものであり、さらに、必要に応じて各種の他の配合剤を添加することもできる。
【0066】
ゴム成分としては、たとえば、エチレンプロピレンゴム(EPDMまたはEPM)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム、EPDMとHNBRのブレンドゴム、EPDMとニトリルゴム(NBR)のブレンドゴム、NBRおよび/またはHNBRと高スチレンゴム(HSR)のブレンドゴム、EPDMとHSRブレンドゴム等が好ましい。
【0067】
より好ましくは、エチレンプロピレンゴム(EPDMまたはEPM)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、EPDMとHNBRのブレンドゴム、EPDMとニトリルゴム(NBR)のブレンドゴム、NBRおよび/またはHNBRと高スチレンゴム(HSR)のブレンドゴム、EPDMとHSRブレンドゴム等が挙げられる。本実施の形態のゴム成分は、加硫ゴムおよび熱可塑性エラストマー等のゴム成分の1種を単独で使用してもよいが、ブレンドゴムのように2種以上のゴム成分をブレンドしたブレンドゴムを用いてもよい。
【0068】
ゴム成分に添加される充填剤としては、通常使用されているものから比重の大きいものに至るまでその配合量と共に様々な形で選ぶことが出来る。たとえば、亜鉛華、チタン白、ベンガラ、フェライト、アルミナ、三酸化タングステン、酸化イットリビウム等の金属酸化物、炭酸カルシウム、ハードクレイ、ケイソウ土等のクレイ類、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属塩類、ガラス粉末等やタングステン、モリブデン等の各種の金属系微粉末類、ガラスバルーン、ポリマーバルーン等の各種バルーン類が挙げられる。
【0069】
これらの充填剤は、種々の比率で添加することができるが、好ましくはゴム成分100質量部に対して50〜3000質量部、より好ましくは100〜2000質量部、または300〜1500質量部程度が好ましい。また、これらの充填剤は1種または2種以上を組み合わせて添加してもよい。
【0070】
ゴム系複合材料には、さらに他の配合剤を必要に応じて添加することができ、このような配合剤としては、加硫剤、架橋剤、硬化剤、それらの助剤類、劣化防止剤、酸化防止剤、着色剤等が挙げられる。たとえば、カーボンブラック、二酸化ケイ素、プロセスオイル、イオウ(加硫剤)、ジクミルパーオキサイド(Dicup、架橋剤)、ステアリン酸等を配合することができる。これらの配合剤は必要に応じて使用されるものであるが、その使用量は、一般にゴム成分100質量部に対しそれぞれ1〜100質量部程度であるが全体的バランスや特性によって適宜変更することもできる。
【0071】
エポキシ樹脂複合剤としては、エポキシ樹脂成分および充填剤を含有するのが好ましく、さらに必要に応じて各種の配合剤を添加することもできる。エポキシ樹脂成分としては、たとえばビスフェノールAタイプ、ビスフェノールFタイプ、レゾールノボラックタイプ、フェノール変性ノボラックタイプ等のノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン構造含有タイプ、アントラセン構造含有タイプ、フルオレン構造含有タイプ等の多環芳香族型エポキシ樹脂、水添脂環型エポキシ樹脂、液晶性エポキシ樹脂等が挙げられる。本発明のエポキシ樹脂成分は単独で用いてもよいが、ブレンド樹脂のように2種類以上のエポキシ樹脂成分を混合して用いてもよい。
【0072】
エポキシ成分に添加される充填剤としては、上記ゴム成分に混合する充填剤と同様のものから、上記ゴム系複合剤を粉砕しさく作製した複合粒子までいずれも好ましく使用することができる。複合粒子としては、たとえばシリコーンゴム中にフェライトを充填したものを、粉砕器にて粉砕し200μm程度の粒径にしたものが挙げることができる。
【0073】
エポキシ樹脂複合剤を使用する際にはさらに架橋剤を添加する必要があり、たとえばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等の鎖状脂肪族ポリアミン、N−アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン、イソフォロンジアミン等の環状脂肪族ポリアミン、m−キシレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等の芳香族アミン、ポリアミド樹脂、ピペリジン、NN−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール等の2級および3級アミン等、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム・トリメリテート等のイミダゾール類、液状ポリメルカプタン、ポリスルフィド、無水フタル酸、無視トリメリット酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等の酸無水物を挙げることができる。
【0074】
バッキング材の厚さは、概ね1〜10mmが好ましく、特に1〜5mmであることが好ましい。
【0075】
送信素子PZ1および受信素子PZ3は、電極および圧電素子を有し、電気信号を機械的な振動に、また機械的な振動を電気信号に変換可能で超音波の送受信が可能な素子である。圧電素子は、電気信号を機械的な振動に、また機械的な振動を電気信号に変換可能な圧電材料を含有する電気機械変換素子である。
【0076】
圧電材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系セラミクス、PbTiO3系セラミック等の無機圧電セラミクス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の有機高分子圧電材料、水晶、ロッシェル塩等を用いることができる。圧電材料の厚さとしては、概ね100μm〜500μmの範囲で用いられる。圧電材料は、その両面に電極が付された状態で、圧電素子として用いられる。
【0077】
圧電材料に付される電極ELに用いられる材料としては、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)等が挙げられる。
【0078】
圧電材料に電極ELを付す方法としては、たとえば、チタン(Ti)やクロム(Cr)等の下地金属をスパッタ法により0.02〜1.0μmの厚さに形成した後、上記金属元素を主体とする金属およびそれらの合金からなる金属材料、さらには必要に応じ一部絶縁材料をスパッタ法、その他の適当な方法で1〜10μmの厚さに形成する方法が挙げられる。
【0079】
電極形成はスパッタ法以外でも、微粉末の金属粉末と低融点ガラスとを混合した導電ペーストをスクリーン印刷やディッピング法、溶射法で形成することもできる。電極は、圧電材料上に、送受信素子211および221の形状に応じて、圧電体面の全面あるいは圧電体面の一部に、設けられる。
【0080】
圧電部PZとバッキング層BKとは、接着層を介して積層されていることが好ましい態様である。接着層を形成するための接着剤としては、エポキシ系の接着剤を用いることができる。
【0081】
圧電部PZの、バッキング層BK側の表面の一部と、音響整合層AM側の表面の一部には電極が接触されており、バッキング層BKと電極ELとが接着層を介して積層されている部分を含む場合もある。
【0082】
音響整合層AMは、圧電部PZと被検体との間の音響インピーダンスを整合させるもので、圧電部PZと被検体との中間の音響インピーダンスを有する材料で構成される。
【0083】
音響整合層AMに用いられる材料としては、アルミ、アルミ合金(たとえばAL−Mg合金)、マグネシウム合金、マコールガラス、ガラス、溶融石英、コッパーグラファイト、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ABC樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、ナイロン(PA6、PA6−6)、PPO(ポリフェニレンオキシド)、PPS(ポリフェニレンスルフィド:ガラス繊維入りも可)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PAI(ポリアミドイミド)、PETP(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる。
【0084】
好ましくはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に充填剤として亜鉛華、酸化チタン、シリカやアルミナ、ベンガラ、フェライト、酸化タングステン、酸化イットリビウム、硫酸バリウム、タングステン、モリブデン等を入れて成形したものを用いることができる。
【0085】
音響整合層AMは、単層でもよいし複数層から構成されてもよいが、好ましくは2層以上である。音響整合層AMの層厚は、超音波の波長をλとすると、λ/4となるように定める必要がある。これを満たさない場合、本来の共振周波数とは異なる周波数ポイントに複数の不要スプリアスが出現し、基本音響特性が大きく変動してしまう。結果、残響時間の増加、反射エコーの波形歪みによる感度やS/Nの低下を引き起こしてしまい好ましくない。このような音響整合層AMの厚さとしては、概ね30μm〜500μmの範囲で用いられる。
【0086】
音響レンズALは、送受信素子211および221の最先端にあり、超音波ビームを集束させるためのものである。音響レンズALの音響インピーダンスは生体組織とほぼ同じであり、音響レンズALの形状を凸形にすることで、スネルの法則に従って超音波ビームを集束させることができる。
【0087】
上述した送受信素子211および221では、送信素子PZ1と受信素子PZ3とを別々に備える構成について説明した。送信素子PZ1と受信素子PZ3との配列は、各々を上下に配置する配列、および並列に配置する配列のどちらでもよいが、上下に配置して積層する構造が好ましい。積層する場合の送信素子PZ1および受信素子PZ3の厚さとしては、40〜150μmであることが好ましい。
【0088】
特に、送信した超音波の高調波成分を用いるハーモニックイメージング(HI)診断の場合、送信素子が無機圧電素子で構成され、受信素子が有機圧電素子で構成されることが好ましい。
【0089】
なお、送受信素子211および221は、送信素子PZ1と受信素子PZ3とを別々に備える構成に限るものではなく、例えば図4(a)において、受信素子PZ3(受信用圧電素子Rと電極EL)とフレキシブル基板FP2とを無くして、送信素子PZ1を送受信兼用の送受信素子としてもよい。この場合、送受信素子211および221は、送信機能と受信機能とを兼ねた単結晶無機圧電素子で構成されていることが好ましい。
【0090】
図4(b)において、送信用圧電素子Tあるいは受信用圧電素子Rは、それぞれ、n個(nは正の整数)の圧電素子が、図4(a)の紙面に垂直な方向に、一方向に配列されている。図4(a)と図3(a)とは同じ方向から見た図であるので、第1送受信部21の送受信素子211の圧電素子の配列方向と第2送受信部22の送受信素子221の圧電素子の配列方向とは、共に紙面に垂直な方向であり、平行である。
【0091】
次に、3次元超音波診断装置の実施の形態の検査モードについて、図5を用いて説明する。図5は、3次元超音波診断装置の実施の形態の検査モードを説明するための模式図である。
【0092】
図5(a)において、第1の検査モードは、第1送受信部21から送信した超音波の反射波を、第1送受信部21と第2送受信部22とで受信するモードである。また第2の検査モードは、これとは逆に、第2送受信部22から送信した超音波の反射波を、第2送受信部22と第1送受信部21とで受信するモードである。
【0093】
いずれの検査モードも、1つの送受信部から送信された超音波の反射波を、所定の間隔Dだけの視差を有した異なる位置で受信することで得られた受信信号から、3次元超音波画像を得ることができる。
【0094】
図5(b)において、第3の検査モードは、第1送受信部21と第2送受信部22との両方から同時に送信した超音波の反射波を、第1送受信部21と第2送受信部22とで受信するモードである。この場合は、上述した第1の検査モードと第2の検査モードとを同時に実行することができる。
【0095】
次に、3次元超音波診断装置の実施の形態の動作について、図6を用いて説明する。図6は、3次元超音波診断装置の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。ここでは、事前に設定された設定値に従って、自動で3次元超音波画像を取得する例について説明する。
【0096】
図6において、ステップS1で、検査技師、あるいは医師等によって事前に設定された設定値が読み込まれる。設定値とは、例えば、検査モード(第1から第3の何れか1つまたは複数)、第1送受信部21と第2送受信部22との間隔D、第1送受信部21の送信波面と第2送受信部22の送信波面との交点の初期位置、同じく交点の移動間隔および交点の最終位置等である。
【0097】
ステップS2で、上述した設定値に基づいて、検査モードが自動設定される。ステップS3で、上述した設定値に基づいて、第1送受信部21と第2送受信部22との間隔が自動設定される。ステップS4で、上述した設定値に基づいて、第1送受信部21の送信波面と第2送受信部22の送信波面との交点の位置が初期位置に自動設定される。
【0098】
ステップS5で、図3(b)の関係に従って、第1送受信部21の超音波の送受信方向が自動設定される。ステップS6で、図3(b)の関係に従って、第2送受信部22の超音波の送受信方向が自動設定される。この状態で、ステップS7で、ステップS2で自動設定された検査モードで超音波が送受信され、受信信号、即ち超音波画像データが得られる。
【0099】
ステップS8で、ステップS5およびS6で設定された交点の位置が、ステップS1で読み込まれた設定値の交点の最終位置であるか否かが確認される。最終位置でない場合(ステップS8;No)には、ステップS9で、交点の位置を、ステップS1で読み込まれた設定値の交点の移動間隔だけずらせて、ステップS5に戻り、交点の位置が最終位置に達するまで、上述した各ステップが繰り返される。
【0100】
最終位置である場合(ステップS8;Yes)には、ステップS10で、3次元画像生成部14によって、ステップS5からS9を繰り返すことで得られた複数の受信信号、即ち超音波画像データに基づいて、被検体内の被検部の3次元超音波画像が生成されて、全ての動作が終了される。
【0101】
次に、表示部の構成の例について、図7を用いて説明する。図7は、表示部の構成の例を説明するための模式図で、図7(a)と図7(b)とは第1の例、図7(c)は第2の例、図7(d)は第3の例、図7(e)は第4の例である。
【0102】
図7(a)および(b)の第1の例において、表示部15は、例えば液晶ディスプレイ等で構成される画像表示部15aと、例えば右目用液晶シャッタ15Rと左目用液晶シャッタ15Lとを備えた視野切替部15b等とで構成されている。3次元画像生成部14は、観察者の右目に相当する視点から見た2次元の右目画像IMRと、観察者の左目に相当する視点から見た2次元の左目画像IMLとを生成する。
【0103】
図7(a)において、画像表示部15aには左目画像IMLが表示され、視野切替部15bは、左目用液晶シャッタ15Lが透過状態にされるとともに、右目用液晶シャッタ15Rが遮光状態にされる。これによって、観察者の左目には左目画像IMLが入射し、観察者の右目には何も入射しないことになる。
【0104】
図7(b)において、図7(a)の状態から所定時間後に、画像表示部15aには右目画像IMRが表示され、視野切替部15bは、左目用液晶シャッタ15Lが遮光状態にされるとともに、右目用液晶シャッタ15Rが透過状態にされる。これによって、観察者の左目には何も入射せず、観察者の右目には右目画像IMRが入射することになる。
【0105】
図7(a)の状態と図7(b)の状態とを、例えば60回/秒の高速で切り替えることで、観察者は、右目に入射した右目画像IMRと左目に入射した左目画像IMLとを脳内で合成して、3次元画像として認識することができる。
【0106】
図7(c)の第2の例において、表示部15は所謂ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と呼ばれる頭部あるいは眼前に装着する表示装置で、例えば液晶ディスプレイ等で構成される右目用表示部15DRと、同じく左目用表示部15DLとを備えている。3次元画像生成部14は、第1の例と同様に、観察者の右目に相当する視点から見た2次元の右目画像IMRと、観察者の左目に相当する視点から見た2次元の左目画像IMLとを生成する。
【0107】
表示部15は、右目用表示部15DRに右目画像IMRを表示するとともに、同時に、左目用表示部15DLに左目画像IMLを表示する。これによって、観察者は、右目に入射した右目画像IMRと左目に入射した左目画像IMLとを脳内で合成して、3次元画像として認識することができる。
【0108】
図7(d)の第3の例において、表示部15は、例えば液晶ディスプレイ等で構成される画像表示部15cと、例えば右目用偏光板15PRと左目用偏光板15PLとを備えた偏光分離部15d等とで構成されている。
【0109】
画像表示部15cの画面上には、例えば走査線毎に偏光方向の異なる偏光フィルタ(例えば、奇数本目の走査線上には右円偏光フィルタ、偶数本目の走査線上には左円偏光フィルタ)が設けられている。そして、偏光分離部15dの右目用偏光板15PRは例えば右円偏光のみを透過し、左目用偏光板15PLは例えば左円偏光のみを透過するように偏光方向が設定されている。
【0110】
3次元画像生成部14は、例えば、奇数本目の走査線には観察者の右目に相当する視点から見た2次元の右目画像IMRを生成し、偶数本目の走査線上には観察者の左目に相当する視点から見た2次元の左目画像IMLとを生成し、画像表示部15aはこの画像を表示する。
【0111】
画像表示部15cに表示された走査線毎に右目画像IMRと左目画像IMLとが交互に配置された画像を、透過方向の異なる右目用偏光板15PRと左目用偏光板15PLとを備えた偏光分離部15dを介して見ることで、観察者は、右目に入射した右目画像IMRと左目に入射した左目画像IMLとを脳内で合成して、3次元画像として認識することができる。
【0112】
図7(e)の第4の例において、表示部15は、例えば通常の液晶ディスプレイ等で構成される画像表示部15eである。
【0113】
3次元画像生成部14は、例えば、被検部の3次元形状を、所定の視点から見た場合の図示したような網目状のポリゴン等で構成される2次元画像3DIMとして生成し、画像表示部15eは2次元画像3DIMを表示する。
【0114】
操作者は、例えば操作部11のマウスを用いて、図の矢印方向に2次元画像3DIMを回転させることで、視点を自由に変更して被検部の3次元形状を観察することができる。
【0115】
以上に述べたように、本発明によれば、超音波を送受信するための複数の送受信素子を有する第1送受信部と、超音波を送受信するための複数の送受信素子を有する第2送受信部と、第1送受信部と第2送受信部とを支持する支持部とを備え、第1送受信部と第2送受信部との間隔が可変であり、第1送受信部の超音波の送受信方向および第2送受信部の超音波の送受信方向が、それぞれ可変であり、第1送受信部の超音波の送受信方向と第2送受信部の超音波の送受信方向とは交点を結ぶように構成することで、簡単に高精度の3次元超音波画像を得ることのできる3次元超音波プローブおよび3次元超音波診断装置を提供することができる。
【0116】
なお、本発明に係る3次元超音波プローブおよび3次元超音波診断装置を構成する各構成の細部構成および細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0117】
S 3次元超音波診断装置
1 本体ユニット
2 3次元超音波プローブ
3 ケーブル
11 操作部
12 送信部
13 受信部
14 3次元画像生成部
15 表示部
16 制御部
17 記憶部
18 駆動制御部
21 第1送受信部
211 送受信素子
212 送受信回路
22 第2送受信部
221 送受信素子
222 送受信回路
23 第1方向検出部
24 第2方向検出部
25 第1駆動部
26 第2駆動部
27 間隔検出部
28 データ出力部
29 支持部
BK バッキング層
PZ 圧電部
PZ1 送信素子
EL 電極
T 送信用圧電素子
FP1 フレキシブル基板
PZ2 中間層
PZ3 受信素子
EL 電極
R 受信用圧電素子
FP2 フレキシブル基板
AM 音響整合層
AL 音響レンズ
d 間隔データ
θ1 第1送受信方向データ
θ2 第2送受信方向データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受信するための複数の送受信素子を有する第1送受信部と、
超音波を送受信するための複数の送受信素子を有する第2送受信部と、
前記第1送受信部と前記第2送受信部とを支持する支持部とを備え、
前記第1送受信部と前記第2送受信部との間隔が可変であり、
前記第1送受信部の超音波の送受信方向および前記第2送受信部の超音波の送受信方向が、それぞれ可変であり、
前記第1送受信部の超音波の送受信方向と前記第2送受信部の超音波の送受信方向とは交点を結ぶことを特徴とする3次元超音波プローブ。
【請求項2】
前記第1送受信部と前記第2送受信部との間隔を検出する間隔検出部と、
前記第1送受信部の超音波の送受信方向を検出する第1方向検出部と、
前記第2送受信部の超音波の送受信方向を検出する第2方向検出部と、
前記第1送受信部で受信された第1受信信号、前記第2送受信部で受信された第2受信信号、前記間隔検出部で検出された前記第1送受信部と前記第2送受信部との間隔、前記第1方向検出部で検出された前記第1送受信部の超音波の送受信方向、および前記第2方向検出部で検出された前記第2送受信部の超音波の送受信方向を出力するデータ出力部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の3次元超音波プローブ。
【請求項3】
前記第1送受信部の超音波の送受信方向を変化させる第1駆動部と、
前記第2送受信部の超音波の送受信方向を変化させる第2駆動部とを備え、
前記交点が、近距離から遠距離へと移動するように、前記第1駆動部と前記第2駆動部とを駆動することを特徴とする請求項1または2に記載の3次元超音波プローブ。
【請求項4】
前記第1送受信部および前記第2送受信部は、それぞれ、複数の送受信素子が一方向に配列されており、
前記第1送受信部の複数の送受信素子の配列方向と前記第2送受信部の複数の送受信素子の配列方向とは、略平行であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の3次元超音波プローブ。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の3次元超音波プローブと、
前記3次元超音波プローブの出力に基づいて、被検部の3次元超音波画像を生成する3次元画像生成部とを備え、
前記第1送受信部から送信した超音波の反射波を前記第1送受信部と前記第2送受信部とで受信する第1の検査モードと、
前記第2送受信部から送信した超音波の反射波を前記第1送受信部と前記第2送受信部とで受信する第2の検査モードと、
前記第1送受信部と前記第2送受信部との両方から同時に送信した超音波の反射波を前記第1送受信部と前記第2送受信部とで受信する第3の検査モードとを備え、
前記第1の検査モードから第3の検査モードのそれぞれで、前記3次元画像生成部により、3次元超音波画像を生成することを特徴とする3次元超音波診断装置。
【請求項6】
請求項3または4に記載の3次元超音波プローブと、
前記3次元超音波プローブの出力に基づいて3次元超音波画像を生成する3次元画像生成部と、
前記第1駆動部と前記第2駆動部とを制御する駆動制御部を備え、
前記駆動制御部により、前記交点を近距離から遠距離へと自動的に移動させて、3次元超音波画像を生成することを特徴とする請求項5に記載の3次元超音波診断装置。
【請求項7】
前記第1送受信部および前記第2送受信部の送受信素子は、それぞれ、
送信素子が無機圧電素子で構成され、
受信素子が有機圧電素子で構成され、
受信素子は、送信素子から送信された超音波の高調波成分を受信することを特徴とする請求項5または6に記載の3次元超音波診断装置。
【請求項8】
前記第1送受信部および前記第2送受信部の送受信素子は、それぞれ、
送信機能と受信機能とを兼ねた単結晶無機圧電素子で構成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の3次元超音波診断装置。
【請求項9】
前記3次元画像生成部により生成された前記3次元超音波画像を表示する表示部を備えたことを特徴とする請求項5から8の何れか1項に記載の3次元超音波診断装置。
【請求項10】
前記3次元画像生成部は、観察者の右目に相当する視点から見た2次元画像と、観察者の左目に相当する視点から見た2次元画像とを形成し、
前記表示部は、
前記観察者の右目に相当する視点から見た2次元画像と、前記観察者の左目に相当する視点から見た2次元画像とを、2次元画面に時分割で順次切り替えて表示する画像表示部と、
前記画像表示部の時分割に同期して、観察者の右目と左目との何れか一方のみで前記画像表示部に表示された画像を視認できるように、視野を切り替える視野切替部とを備えたことを特徴とする請求項9に記載の3次元超音波診断装置。
【請求項11】
前記3次元画像生成部は、観察者の右目に相当する視点から見た2次元画像と、観察者の左目に相当する視点から見た2次元画像とを形成し、
前記表示部は、
観察者の右目の視野に前記観察者の右目に相当する視点から見た2次元画像を表示する右表示部と、観察者の左目の視野に前記観察者の左目に相当する視点から見た2次元画像を表示する左表示部とを備えたことを特徴とする請求項9に記載の3次元超音波診断装置。
【請求項12】
前記3次元画像生成部は、観察者の右目に相当する視点から見た右目用2次元画像と、観察者の左目に相当する視点から見た左目用2次元画像とを生成し、
前記表示部は、
観察者の右目の前に所定の偏光方向を有するフィルタを有し、観察者の左目の前に前記所定の偏光方向とは異なる偏光方向を有するフィルタを有する画像視認部と、
前記右目用2次元画像を前記所定の偏光方向の画像として表示するとともに、前記左目用2次元画像を前記所定の偏光方向とは異なる偏光方向の画像として同時に表示する画像表示部とを備えたことを特徴とする請求項9に記載の3次元超音波診断装置。
【請求項13】
前記3次元画像生成部は、被検部の3次元形状を、所定の視点から見た2次元画像として生成し、
前記表示部は、前記所定の視点から見た2次元画像を表示する画像表示部を備え、
前記表示部に表示された2次元画像を回転させるための操作部を備え、
前記操作部を操作することで、視点を変更して3次元形状を観察することを特徴とする請求項9に記載の3次元超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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