説明

3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造およびその色表示方法

【課題】3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造およびその色表示方法を提供する。
【解決手段】画素駆動構造は、第1基板と、第1基板の表面に配置された第1電極層と、第1基板の反対側に配置された第2基板と、第2基板の表面に配置された第2電極層と、第1電極層と第2電極層の間に配置され、第1カラー溶液、複数の第2カラー正粒子および複数の第3カラー負粒子を有する粒子溶液と、第1および第2電極層に接続された交流/直流電源供給装置とを含む。色表示方法は、交流電圧を印加して、第1カラーを表示するステップと、第1直流電圧を印加して、第3カラーを表示するステップと、第2直流電圧を印加して、第2カラーを表示するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子ディスプレイの画素駆動構造およびその色表示方法に関するものであり、特に、電子ペーパーの分野の色表示に応用する3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造およびその色表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子ペーパーとは、名前の通り紙のようなディスプレイのことを言い、紙のように薄くて軽く、自由に丸めることのできる新しいタイプのディスプレイである。電子ペーパーの発想は1970年代までさかのぼり(Wikipedia, 2007)、アメリカ合衆国カリフォルニア州にあるゼロックスのパロアルト研究センタの研究員によって開発された。電子ペーパーの現在のディスプレイ技術は、電気泳動方式、マイクロカプセル方式、電子粉流体方式、荷電ポリマー粒子方式、コレステリック液晶方式、エレクトロウェッティン グ方式等に分類されるが、そのうち電気泳動方式の電子ペーパーが既に商品化されており、マイクロカプセル方式の電子ペーパーもカスタマイズ製品が市場に出ている。
【0003】
従来の紙と比較して、電子ペーパーの最大の特色は、ランダムアクセスおよび繰り返し使用が可能なことである。コンピュータネットワークまたはワイヤレス接続を介してデータ内容を容易にダウンロードや更新することができるため、データが最新である。コンピューターやPDAとは対照に、電子ペーパーは軽量、薄型、適度な折り曲げや丸め可能、携帯性、低消費電力等の特徴を有する。電子ペーパーは、画像が変わる時にしか電力を消費しないが、電力が切れている時も継続的に画像を表示することができる。そのため、大量のテキストを表示して読んでいる時、電子ペーパーは電力を必要としない。液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display, LCD)のようなディスプレイ技術に比べて、電子ペーパーはバックライト光源を必要とせず、環境光でもより優れた可読性を提供し、180度の視角があり、印刷された紙よりも優れたコントラストを提供する。電子ペーパー上で読む方がより快適であることから、電子ペーパーが発展する可能性は非常に大きいと言える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子ペーパーは、複数の画素を有する。電子ペーパーの色は、各画素によって生成された色を混合することによって表示される。E Ink、Sipix、Bridgestone等によって製造された電子ペーパーの画素は、黒・白の正の荷電および負の荷電を持つ粒子を利用して、電極の正の端および負の端を変化させ、対応する荷電粒子を電極に誘引して、各画素で黒または白を表示する。あるいは、緑・赤の正の荷電および負の荷電を持つ粒子を利用して、電極の正の端および負の端を変化させ、対応する荷電粒子を電極に誘引して、各画素で緑または赤を表示する。しかしながら、各画素は3つの色を表示することができないため、電子ペーパーによって表示される画像の色の多様性が制限される。
【0005】
上述した電子ペーパーの画素構造の欠点を考慮して、本発明は、3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造およびその色表示方法を提供し、2色しか表示できないために電子ペーパーの表示画像の色の多様性が制限される従来の電子ペーパーの画素構造の問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、粒子ディスプレイの画素駆動構造を3色表示にして、電子ペーパーが豊富な色で画像を表示できる3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造およびその色表示方法を提供することを主な目的とする。
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造およびその色表示方法を提供する。3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造は、第1基板と、第1基板の表面に配置された第1電極層と、第1基板の反対側に配置された第2基板と、第2基板の表面に配置された第2電極層と、第1電極層と第2電極層の間に配置され、第1カラー溶液、複数の第2カラー正粒子および複数の第3カラー負粒子を有する粒子溶液と、第1電極層に電気接続された第1端および第2電極層に電気接続された第2端を有する交流/直流電源供給装置とを含む。3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造の色表示方法は、交流電圧を第1電極層および第2電極層に印加して、複数の第2カラー正粒子および複数の第3カラー負粒子を直列に配列し、3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造に第1カラー溶液の第1カラーを表示させるステップと、第1直流電圧を第1電極層および第2電極層に印加して、複数の第3カラー負粒子を第1電極層に誘引するとともに、複数の第2カラー正粒子を第2電極層に誘引し、3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造に第3カラー負粒子の第3カラーを表示させるステップと、第2直流電圧を第1電極層および第2電極層に印加して、複数の第2カラー正粒子を第1電極層に誘引するとともに、複数の第3カラー負粒子を第2電極層に誘引し、3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造に第2カラー正粒子の第2カラーを表示させるステップとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造の色表示方法のステップは、順序を互換することができる。そのため、3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造は、特定の順序に従わずに、緑・青・赤を表示してもよい。
【0009】
以上のように、本発明の3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造およびその色表示方法は、3つの色で表示することが可能である。さらに、電子ペーパーが複数の画素駆動構造で構成されているため、本発明は、画像を表示する時に電子ペーパーに色の多様性を持たせることができ、2色しか表示できないために色の多様性が制限される従来の電子ペーパーの欠点を解決することができる。
【0010】
本発明の上記及び他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造を示す概略図である。
【図2】本発明の1つの実施形態に係る3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造による色表示を示す概略図(1)である。
【図3】本発明の1つの実施形態に係る3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造による色表示を示す概略図(2)である。
【図4】本発明の1つの実施形態に係る3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造による色表示を示す概略図(3)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造1(図1)は、第1基板11と、第1基板11の表面に配置された第1電極層12と、第1基板11の反対側に配置された第2基板15と、第2基板15の表面に配置された第2電極層14と、第1電極層12と第2電極層14の間に配置され、第1カラー溶液131、複数の第2カラー正粒子132および複数の第3カラー負粒子133を有する粒子溶液13と、第1電極層12に電気接続された第1端および第2電極層14に電気接続された第2端を有する交流/直流電源供給装置16とを含む。第1電極層12および第2電極層14は、いずれも酸化インジウムスズ(indium tin oxide, ITO)層である。第1カラー溶液131の第1カラー、第2カラー正粒子132の第2カラー、および第3カラー負粒子133の第3カラーは、それぞれ赤・緑・青のうちの1つから選ばれる。また、第1カラー、第2カラーおよび第3カラーは異なる。第1カラー溶液131は、第1カラーを有するシリコンオイル溶液であり、第2カラー正粒子132は、第2カラーを有し、正の荷電を持つ炭素粉末であり、第3カラー負粒子133は、第3カラーを有し、負の荷電を持つ炭素粉末である。第2カラーを有し、正の荷電を持つ炭素粉末、および第3カラーを有し、負の荷電を持つ炭素粉末の直径は、それぞれ15〜20μmの範囲内である。
【0013】
本発明の3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造の色表示方法は、図2〜図4に示すように、以下のステップを有する。
【0014】
ステップ1:交流電圧を第1電極層12および第2電極層14に印加して、複数の第2カラー正粒子132および複数の第3カラー負粒子133を直列に配列し、3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造1に第1カラー溶液131の第1カラーを表示させるステップ(図2)。
【0015】
ステップ2:第1直流電圧を第1電極層12および第2電極層14に印加して、正の荷電を第1電極層12に供給し、負の荷電を第2電極層14に供給して、複数の第3カラー負粒子133を第1電極層12に誘引するとともに、複数の第2カラー正粒子132を第2電極層14に誘引し、3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造1に第3カラー負粒子133の第3カラーを表示させるステップ(図3)。
【0016】
ステップ3:第2直流電圧を第1電極層12および第2電極層14に印加して、負の荷電を第1電極層12に供給し、正の荷電を第2電極層14に供給して、複数の第2カラー正粒子132を第1電極層12に誘引するとともに、複数の第3カラー負粒子133を第2電極層14に誘引し、3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造1に第2カラー正粒子132の第2カラーを表示させるステップ(図4)。
【0017】
上記のステップ1〜3において、第1カラー溶液131の第1カラーが緑、第2カラー正粒子132の第2カラーが赤、第3カラー負粒子133の第3カラーが青の時、観覧者2は、ステップ1において3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造1が緑を表示し、ステップ2において3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造1が青を表示し、ステップ3において3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造1が赤を表示しているのが見える。
【0018】
3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造の色表示方法のステップ1〜3は、順序を互換することができる。そのため、3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造は、特定の順序に従わずに、緑・青・赤を表示してもよい。
【0019】
以上のように、本発明の3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造およびその色表示方法は、3つの色で表示することが可能である。さらに、電子ペーパーが複数の画素駆動構造で構成されているため、本発明は、画像を表示する時に電子ペーパーに色の多様性を持たせることができ、2色しか表示できないために色の多様性が制限される従来の電子ペーパーの欠点を解決することができる。
【0020】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【符号の説明】
【0021】
1 画素駆動構造
2 観覧者
11 第1基板
12 第1電極層
13 粒子溶液
14 第2電極層
15 第2基板
16 交流/直流電源供給装置
131 第1カラー溶液
132 第2カラー正粒子
133 第3カラー負粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板の表面に配置された第1電極層と、
前記第1基板の反対側に配置された第2基板と、
前記第2基板の表面に配置された第2電極層と、
前記第1電極層と前記第2電極層の間に配置され、第1カラー溶液、複数の第2カラー正粒子および複数の第3カラー負粒子を有する粒子溶液と、
前記第1電極層に電気接続された第1端および前記第2電極層に電気接続された第2端を有する交流/直流電源供給装置と
を含む3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造。
【請求項2】
前記第1電極層および前記第2電極層が、酸化インジウムスズ(ITO)層である請求項1記載の画素駆動構造。
【請求項3】
前記第1カラー溶液の第1カラー、前記第2カラー正粒子の第2カラー、および前記第3カラー負粒子の第3カラーが、それぞれ赤・緑・青のうちの1つから選ばれ、前記第1カラー、前記第2カラーおよび前記第3カラーが異なる請求項1記載の画素駆動構造。
【請求項4】
前記第1カラー溶液が、第1カラーを有するシリコンオイル溶液である請求項1記載の画素駆動構造。
【請求項5】
前記第2カラー正粒子が、第2カラーを有し、正の荷電を持つ炭素粉末である請求項1記載の画素駆動構造。
【請求項6】
前記第3カラー負粒子が、第3カラーを有し、負の荷電を持つ炭素粉末である請求項1記載の画素駆動構造。
【請求項7】
前記第2カラーを有し、正の荷電を持つ前記炭素粉末の直径が、15〜20μmの範囲内である請求項5記載の画素駆動構造。
【請求項8】
前記第3カラーを有し、負の荷電を持つ前記炭素粉末の直径が、15〜20μmの範囲内である請求項6記載の画素駆動構造。
【請求項9】
交流電圧を第1電極層および第2電極層に印加して、複数の第2カラー正粒子および複数の第3カラー負粒子を直列に配列し、3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造に第1カラー溶液の第1カラーを表示させるステップと、
第1直流電圧を前記第1電極層および前記第2電極層に印加して、前記複数の第3カラー負粒子を前記第1電極層に誘引するとともに、前記複数の第2カラー正粒子を前記第2電極層に誘引して、3色表示の粒子ディスプレイの前記画素駆動構造に前記第3カラー負粒子の第3カラーを表示させるステップと、
第2直流電圧を前記第1電極層および前記第2電極層に印加して、前記複数の第2カラー正粒子を前記第1電極層に誘引するとともに、前記複数の第3カラー負粒子を前記第2電極層に誘引して、3色表示の粒子ディスプレイの前記画素駆動構造に前記第2カラー正粒子の第2カラーを表示させるステップと
を含む3色表示の粒子ディスプレイの画素駆動構造の色表示方法。
【請求項10】
前記第1カラー溶液の前記第1カラー、前記第2カラー正粒子の前記第2カラー、および前記第3カラー負粒子の前記第3カラーが、それぞれ赤・緑・青のうちの1つから選ばれ、前記第1カラー、前記第2カラーおよび前記第3カラーが異なる請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記第1直流電圧を印加する前記ステップが、正荷電を前記第1電極層に供給し、負荷電を前記第2電極層に供給することを含む請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記第2直流電圧を印加する前記ステップが、負荷電を前記第1電極層に供給し、正荷電を前記第2電極層に供給することを含む請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記第1電極層および前記第2電極層が、酸化インジウムスズ(ITO)層である請求項9記載の方法。
【請求項14】
前記第1カラー溶液が、前記第1カラーを有するシリコンオイル溶液である請求項9記載の方法。
【請求項15】
前記第2カラー正粒子が、前記第2カラーを有し、正の荷電を持つ炭素粉末である請求項9記載の方法。
【請求項16】
前記第3カラー負粒子が、前記第3カラーを有し、負の荷電を持つ炭素粉末である請求項9記載の方法。
【請求項17】
前記第2カラーを有し、正の荷電を持つ前記炭素粉末の直径が、15〜20μmの範囲内である請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記第3カラーを有し、負の荷電を持つ前記炭素粉末の直径が、15〜20μmの範囲内である請求項16記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−244008(P2010−244008A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−248673(P2009−248673)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(509112785)中華映管股▲ふん▼有限公司 (6)
【出願人】(598139748)國立交通大學 (92)
【Fターム(参考)】