説明

3Dプリンタを保守点検する装置および方法

【課題】3Dプリンタを連続的にかつ効率的に保守点検するための装置および方法を提供する。
【解決手段】インクジェット式プリントヘッドで印刷された連続層により、3次元物体を形成するための装置とに関する。プリントヘッドを整列するためにテストパターン129が利用されていて、そのテストパターンは、基準ライン135とテストライン136とからなり、基準ラインとテストラインとは交互になっていてかつ第一進行軸に対し平行かつ直交していて、テストは中心テストバーを囲んで間欠的に配置されたテストバーを備えたラインを用いて行なわれる。プリントヘッドの洗浄装置も備えている。テストパターン129は、アライメントセンサシステム132により準備され、そして第一フーリエトランスフォーマ(FFT)により解析される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリンタを保守点検するための装置および方法、例えば、3Dプリンタ内で使用されるプリントヘッドをクリーニングおよび位置合わせするための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、3Dプリントは、粉末化ビルド材料の層に対して液体またはコロイド状のバインダ材料を供給するためのインクジェットタイプのプリントヘッドの使用を含む。このプリント技術は、典型的にはローラを使用して、表面に対して粉末化ビルド材料の層を塗布することを含む。ビルド材料がこの表面に塗布された後に、プリントヘッドは、その材料層の予め決められた区域に液体バインダを供給する。このバインダはその材料に浸透して、その粉末と反応し、例えばその粉末中の接着剤を活性化することによって、プリントされた区域内でその材料層が凝固することを引き起こす。このバインダは、さらに、その下にある層の中に浸透し、層間接着を生じさせる。第1の横断面部分が形成された後に、最終的な物体が形成されるまで、先行の段階が繰り返されて、連続した横断面部分を形成する。例えば、その開示内容がその全体において本明細書に組み入れられている、米国特許第6,375,874号明細書および同第6,416,850号明細書を参照されたい。
【0003】
3Dプリンタは、粉末を固体化するために着色バインダ材料を使用することによって着色部品を形成する。透明バインダが白色部品の表面を生じさせるために使用され、および、3つの原色が全範囲の色を生じさせるために様々な割合で使用される。このプリンタは、部品表面を正確な色にするために、様々に着色されたバインダ液滴を正確な場所に付着させなければならない。3Dプリンタは、各々のバインダ色を付与するために別々のプリンタヘッドを使用する。一般的に、プリントヘッドの非均一性と、プリントヘッド装着構成要素における機械的な変動とが、識別されて補正されなければならないバインダ液滴の位置決めにおける不正確さを生じさせる。
【0004】
これに加えて、3Dプリントを行うための装置は典型的には埃を生じさせ、こうした埃は、プリントヘッドの動作に対して有害な影響を与える可能性がある。例えば、この埃は、バインダ材料を計量供給するジェットノズルを詰まらせる可能性があり、このことが、バインダ材料が全く計量供給されないこと、または、バインダ材料が不正確に計量供給されることを結果的に引き起こす可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的が、3Dプリンタを連続的にかつ効率的に保守点検するための装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、キャスティングコア(casting core)、玩具、ビン、缶、建築模型、自動車用部品、分子模型、人体部分の模型、携帯電話ハウジング、および、靴のような3次元物体を、従来において実現可能であるよりも迅速かつ効率的に形成するための装置および方法に関する。これに加えて、本発明は、上述の装置を維持管理し動作させるためのシステムおよび方法に関する。
【0007】
さらに明確に述べると、本発明は、複数のプリントヘッドを位置合わせするための装置および方法と、プリントヘッドをクリーニングするための装置および方法とに関する。一例では、この位置合わせ方法は、3Dプリントに特に適している液滴位置決め誤差を測定する自動的な方法である。一例では、位置合わせされるべきプリントヘッドが正確に位置決めされていると仮定して、このプリントヘッドによってテストパターンがプリントされる。その次に、この結果として得られた画像が、正確な位置からのそのプリント画像の偏差を測定するためにスキャンされる。その次に、こうして得られた情報が、識別された誤差を補正するために使用可能である。このアプローチは、少なくとも、位置合わせ不良を識別するために位置合わせパターンをスキャンすることから得られた信号の高調波成分をこのアプローチが使用するという点において、従来技術とは異なっている。スキャンが複数の公称上は同一のバー対を横断して、粉末の形でプリントされた画像に特有である凸凹の平均を計算する。エッジ検出が含まれていないので、撮像光学機器は不要である。
【0008】
本発明は、一側面では、3次元プリンタの複数のプリントヘッドを用いてテストパターンを形成する方法に関する。この方法は、テストパターンを受け取るためのビルド表面上の区域を画定する段階と、高コントラストでプリントすることが可能な基準プリントヘッドを選択する段階と、この基準プリントヘッドを用いて基準線をプリントする段階と、残りのプリントヘッドの少なくとも1つを用いて基準線に隣接したテスト線をプリントする段階とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による3次元プリンタの略斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態によるプリントヘッド往復台の略斜視図である。
【図3A】図3Aは、本発明の一実施形態による保守点検ステーションの略斜視図である。
【図3B】図3Bは、本発明の一実施形態による保守点検ステーションの略平面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態による放出機能の遂行中における往復台と保守点検ステーションの間の相互作用の略図である。
【図5A】図5Aは、本発明の一実施形態によるプリントヘッドキャッピング動作の一実施形態の略図である。
【図5B】図5Bは、本発明の一実施形態によるプリントヘッドキャッピング動作の一実施形態の略図である。
【図5C】図5Cは、本発明の一実施形態によるプリントヘッドキャッピング動作の一実施形態の略図である。
【図5D】図5Dは、本発明の一実施形態によるプリントヘッドキャッピング動作の一実施形態の略図である。
【図6A】図6Aは、本発明の別の実施形態によるプリントヘッド放出およびキャッピング動作の略図である。
【図6B】図6Bは、本発明の別の実施形態によるプリントヘッド放出およびキャッピング動作の略図である。
【図6C】図6Cは、本発明の別の実施形態によるプリントヘッド放出およびキャッピング動作の略図である。
【図6D】図6Dは、本発明の別の実施形態によるプリントヘッド放出およびキャッピング動作の略図である。
【図7A】図7Aは、本発明の一実施形態によるプリントヘッドクリーニングステーションの略図である。
【図7B】図7Bは、本発明の一実施形態によるプリントヘッドクリーニングステーションの略図である。
【図7C】図7Cは、本発明の一実施形態によるプリントヘッドクリーニングステーションの略図である。
【図7D】図7Dは、本発明の一実施形態によるプリントヘッドクリーニングステーションの略図である。
【図8A】図8Aは、本発明によるプリントヘッドクリーニングステーションの代替案の実施形態の略図である。
【図8B】図8Bは、本発明によるプリントヘッドクリーニングステーションの代替案の実施形態の略図である。
【図8C】図8Cは、本発明によるプリントヘッドクリーニングステーションの代替案の実施形態の略図である。
【図8D】図8Dは、本発明によるプリントヘッドクリーニングステーションの代替案の実施形態の略図である。
【図8E】図8Eは、本発明によるプリントヘッドクリーニングステーションの代替案の実施形態の略図である。
【図8F】図8Fは、本発明によるプリントヘッドクリーニングステーションの代替案の実施形態の略図である。
【図8G】図8Gは、本発明によるプリントヘッドクリーニングステーションの代替案の実施形態の略図である。
【図8H】図8Hは、本発明によるプリントヘッドクリーニングステーションの代替案の実施形態の略図である。
【図9A】図9Aは、本発明によるプリントヘッドクリーニングステーションの別の代替案の実施形態の略図である。
【図9B】図9Bは、本発明によるプリントヘッドクリーニングステーションの別の代替案の実施形態の略図である。
【図10A】図10Aは、本発明によるプリントヘッドクリーニングステーションのさらに別の代替案の実施形態の略図である。
【図10B】図10Bは、本発明によるプリントヘッドクリーニングステーションのさらに別の代替案の実施形態の略図である。
【図10C】図10Cは、本発明によるプリントヘッドクリーニングステーションのさらに別の代替案の実施形態の略図である。
【図10D】図10Dは、本発明によるプリントヘッドクリーニングステーションのさらに別の代替案の実施形態の略図である。
【図11A】図11Aは、本発明によるプリントヘッドをクリーニングする装置および方法の一実施形態の略図である。
【図11B】図11Bは、本発明によるプリントヘッドをクリーニングする装置および方法の一実施形態の略図である。
【図11C】図11Cは、本発明によるプリントヘッドをクリーニングする装置および方法の一実施形態の略図である。
【図11D】図11Dは、本発明によるプリントヘッドをクリーニングする装置および方法の一実施形態の略図である。
【図11E】図11Eは、本発明によるプリントヘッドをクリーニングする装置および方法の一実施形態の略図である。
【図11F】図11Fは、本発明によるプリントヘッドをクリーニングする装置および方法の一実施形態の略図である。
【図11G】図11Gは、本発明によるプリントヘッドをクリーニングする装置および方法の一実施形態の略図である。
【図11H】図11Hは、本発明によるプリントヘッドをクリーニングする装置および方法の一実施形態の略図である。
【図11I】図11Iは、本発明によるプリントヘッドをクリーニングする装置および方法の一実施形態の略図である。
【図11J】図11Jは、本発明によるプリントヘッドをクリーニングする装置および方法の一実施形態の略図である。
【図12】図12は、図11Aから図11Jに示されている本発明の実施形態によるプリントヘッドをクリーニングする方法の段階の略図である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態によるプリント動作の略斜視図である。
【図14A】図14Aは、ビルド表面上に対する液体バインダの液滴の衝突の略図である。
【図14B】図14Bは、ビルド表面上に対する液体バインダの液滴の衝突の略図である。
【図15】図15は、本発明の一実施形態によるプリントヘッド位置合わせプロセスの略斜視図である。
【図16A】図16Aは、本発明の一実施形態によるコントラストテストターゲットおよびテストパターン位置合わせ方法の略図である。
【図16B】図16Bは、本発明の一実施形態によるコントラストテストターゲットおよびテストパターン位置合わせ方法の略図である。
【図17A】図17Aは、本発明の一実施形態による位置合わせセンサシステムとこれに関連した電子回路との略図である。
【図17B】図17Bは、本発明の一実施形態による位置合わせセンサシステムとこれに関連した電子回路との略図である。
【図17C】図17Cは、本発明の一実施形態による位置合わせセンサシステムとこれに関連した電子回路との略図である。
【図17D】図17Dは、本発明の一実施形態による位置合わせセンサシステムとこれに関連した電子回路との略図である。
【図18】図18は、本発明の一実施形態によるカラープリントヘッドを位置合わせする方法における一段階の略図である。
【図19A】図19Aは、本発明の一実施形態によるテストパターンの詳細な略図である。
【図19B】図19Bは、本発明の一実施形態によるテストパターンの詳細な略図である。
【図20A】図20Aは、本発明の一実施形態による水平方向位置合わせプロセスの詳細な略図である。
【図20B】図20Bは、本発明の一実施形態による水平方向位置合わせプロセスの詳細な略図である。
【図20C】図20Cは、本発明の一実施形態による水平方向位置合わせプロセスの詳細な略図である。
【図20D】図20Dは、本発明の一実施形態による水平方向位置合わせプロセスの詳細な略図である。
【図21A】図21Aは、本発明の一実施形態による垂直方向位置合わせプロセスの詳細な略図である。
【図21B】図21Bは、本発明の一実施形態による垂直方向位置合わせプロセスの詳細な略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
様々な実施態様では、上記区域を確定する段階は、ビルド表面上にコントラスト強調副層(contrast enhancing sublayer)を形成することを含む。このコントラスト強調副層は、プリントヘッドの少なくとも1つを使用して単色の高コントラスト色でその区域をプリントすることと、このプリントされた区域をビルド材料の少なくとも1つのプリントされていない層で上塗りすることとによって形成されることが可能である。一実施態様では、その区域は、その区域を飽和させるために、使用可能なプリントヘッドのすべてを最大吐出レベルで用いてプリントされる。
【0011】
プリントヘッドを選択する段階は、プリントヘッドの各々を用いてコントラスト強調副層の上にターゲットをプリントする段階と、プリントされていない区域に比較してどのターゲットが最高のコントラストを有するかを識別するためにターゲットを比較する段階と、最高のコントラストのターゲットに関連しているプリントヘッドを選択する段階とを含む。さらに、この方法は、各プリント段階の前にビルド表面上にビルド材料の層を付着させる段階を含むことが可能である。これらのプリント段階は、予め決められたパターンの形で液体バインダをビルド材料上に付着させることを含むことが可能である。一実施態様では、プリントヘッドは、マゼンタ、黄色、シアン、透明、および、黒から成るグループから選択される色を有する液体バインダでプリントする。他の色と色の組合せとが想定されており、および、これは本発明の範囲内である。
【0012】
これに加えて、テスト線をプリントする段階は、残りのプリントヘッドの少なくとも2つによって交番するカラーバーをプリントすることを含むことが可能である。基準線をプリントする段階とテスト線をプリントする段階は、複数の基準線をプリントすることと、対応する複数のテスト線をプリントすることとを含むことが可能である。一実施態様では、基準線とテスト線は複数回の通過においてプリントされることが可能である。複数の線をプリントする段階は、複数の水平線と複数の垂直線とをプリントすることを含むことが可能である。さらに、基準線をプリントする段階は、10本の水平基準線をプリントすることと、これらの水平基準線に隣接した10本の垂直基準線をプリントすることとを含むことが可能であり、および、テスト線をプリントする段階は、10本の対応する水平テスト線をプリントすることと、10本の対応する垂直テスト線をプリントすることとを含むことが可能である。幾つかの実施態様では、2つの基準線がプリントされるだろう。他の実施態様では、20本の基準線がプリントされるだろう。
【0013】
この方法の特定の実施態様では、基準線をプリントする段階とテスト線をプリントする段階とが、プリントヘッドの高速軸行程(fast−axis travel)に対して平行である複数の公称上は同一の線対(各々の線の対が1つの基準線と1つのテスト線とを含む)をプリントすることと、プリントヘッドの高速軸行程に対して垂直な複数の公称上は同一の線対(各々の線対が1つの基準線と1つのテスト線とを含む)をプリントすることとを含む。一実施態様では、複数の線対の各々は、等間隔の直線配列として配置されている。各々のテスト線は一連のテストバーを含むことが可能であり、および、残りのプリントヘッドの各々は、基準線の公称上の配列間隔の1/2に等しい、対応する基準線からの距離に公称上は配置されている、中央テストバーをプリントするだろう。一実施態様では、残りのプリントヘッドの各々は、中央テストバーの周りに増分的に配置されている複数の追加のテストバーをプリントする。
【0014】
本発明は、別の側面では、3次元プリンタ内の複数のプリントヘッドを位置合わせするためのテストパターンに関する。このテストパターンは、実質的に等間隔に配置されている複数の単色の基準線と、この複数の基準線と共に交番パターンの形に配置されている複数のテスト線とを含み、このテスト線の各々は非基準色の少なくとも1つのバーを備える。一実施態様では、色が交番パターンの形にプリントされる。様々な実施態様では、複数の線が高速軸プリントヘッド行程に対して実質的に垂直方向に方向配置されるか、または、特定の実施態様では、高速軸プリントヘッド行程に対して平行に方向配置される。さらに、テストパターンは、第1のテストパターンに接近して配置されている第2のテストパターンを含むことが可能である。この第2のテストパターンは、第2の複数の実質的に等間隔で配置された単色の基準線と、この第2の複数の基準線と共に互いに交番パターンの形に配置されている第2の複数のテスト線とを含む。テスト線の各々は非基準色の少なくとも1つのバーを含み、および、第2の複数の線は、高速軸プリントヘッド行程に対して実質的に垂直に方向配置されることが可能である。
【0015】
本発明は、別の側面では、複数のプリントヘッドを位置合わせするための1つまたは複数の補正係数を求める方法に関する。プリントヘッドは、着色画像を形成するために連携して動作しなければならない。プリントヘッドおよび取付台の変動のために、プリントヘッドの相対的位置が測定されなければならず、および、適正な位置合わせの形で様々な色がプリントされることを生じさせるためにはプリントヘッド駆動信号に対して補正が加えられなければならない。一般的に、位置合わせされるべきプリントヘッドが正確に位置決めされていると仮定して、テストパターンがこのプリントヘッドによってプリントされる。その次に、この結果として得られた画像が、プリント画像のその画像の正確な位置からの偏差を測定するためにスキャンされる。その次に、こうして得られた情報が、識別された誤差を補正するために使用可能である。このアプローチは、少なくとも、位置合わせ不良を識別するためにテストパターンのスキャニングから得られた信号の高調波成分を使用することにおいて、従来技術とは異なっている。スキャンは、公称上は同一である複数の線対を横断して、粉末の形でプリントされた画像に特有である凸凹の平均を計算する。エッジ検出が含まれていないので、撮像光学装置は不要である。
【0016】
特に、この方法は、ビルド表面上にテストパターンをプリントする段階と、このテストパターンを表現する1組の電気信号を生成する段階と、少なくとも1つの周波数におけるその電気信号の高調波成分を求めるために、その電気信号を分析する段階と、電気信号の高調波成分に基づいて1つまたは複数の補正係数を求める段階とを含む。テストパターンは、線対の配列を含むことが可能である。一実施態様では、この方法は、分析のための複数の電気信号を生成することと、この複数の電気信号の高調波成分に基づいて複数の補正係数を求めることとを含む。
【0017】
様々な実施態様では、この方法は、テストパターンを照明することと、予め決められた場所においてテストパターンの反射率を測定することと含む。一実施態様では、電気信号を分析する段階は、その信号にアナログフィルタを適用する(例えば、演算増幅器を使用する)ことを含む。別の実施態様では、電気信号を分析する段階は、その信号をディジタル化することと、その信号にディジタルフィルタ(例えば、高速フーリエ変換)を適用することとを含む。一実施態様では、補正係数は、1組の第3高調波値から求められることが可能である。別の実施態様では、補正係数は、1組の第1高調波値から求められることが可能である。補正係数は、選択された高調波の最低値が求められる公称上のテストバー変位(test bar displacement)に近い可能性がある。補正係数は、1組の第3高調波に当てはめられている分析曲線の最小値、すなわち、1組の第3高調波値を表現している分析曲線の最小値を発見することによって求められることが可能である。この方法の一実施態様が、その配列を横断してセンサでスキャンすることによって得られた信号から第3高調波値を抽出する段階と、各色に関して得られた第3高調波値の組を比較する段階と、最小の第3高調波値に基づいて補正係数を求める段階とを含む。
【0018】
本発明は、別の側面では、3次元プリンタ内の複数のプリントヘッドの保守点検に関する。一般的に、3Dプリントプロセスで形成される部品の品質は、プリントヘッドの表面上に配置されているノズル配列からのバインダ液の液滴の確実で正確な供給に基づいている。高性能の基準を維持するためには、プリントヘッドは3Dプリントプロセス中に頻繁に保守点検されなければならない。粉末床の表面上のバインダ液の液滴の衝撃が、粉末粒子が粉末床の表面から放出されることを引き起こす。放出された材料の幾らかがプリントヘッドの表面上に集まり、バインダ液の液滴の供給を妨害する。プリントヘッドの保守点検の主要な目的が、プリントヘッド面からこの蓄積した屑を取り除くことである。
【0019】
プリントヘッドの保守点検の一側面が保守点検ステーションであり、この保守点検ステーションは、クリーニングステーションと、放出ステーションと、キャッピングステーション(capping station)とを含む。一実施態様では、プリントヘッドは、保守点検ステーションに対して相対的に少なくとも2つの方向に移動することが可能な往復台の中に配置可能である。プリントヘッドの保守点検の別の側面が、各プリントヘッドが何時保守点検されなければならないかを指定するソフトウェアアルゴリズムである。一実施態様では、プリントヘッドが、保守点検ステーションに対して相対的に少なくとも2つの方向に移動することが可能な往復台の中に配置可能である。
【0020】
クリーニングステーションの様々な実施態様が、プリントヘッドを受け入れるための少なくとも1つの容器と、プリントヘッドのプリントヘッド面(すなわち、プリンティング表面)に向けてクリーニング流体を噴霧するための少なくとも1つのノズルと、場合によってはプリントヘッド面に接触せずに、余分なクリーニング流体を取り除くためにプリントヘッドにごく接近して配置可能なワイパとを含む。クリーニングステーションは、さらに、プリントヘッドを隔離するための、および、クリーニング流体がプリントヘッド面を越えて移動することを防止するためのスプラッシュガードを含むことが可能である。このスプラッシュガードは開放位置と密封位置とを含み、この場合に、スプラッシュガードは開放状態に偏倚されており、および、開放位置から、プリントヘッドとの接触による密封位置に動かされる。スプラッシュガードは、密封位置にある時にプリントヘッド面を取り囲む密封リップを含むことが可能である。一実施態様では、この密封リップは概ね長方形の形状である。ワイパが密封リップの1つの側部によって形成されることが可能であり、および、このワイパは、このワイパがジェットノズル配列に接触することを防止するために、プリントヘッド面上のジェットノズル配列の位置に一致するように構成され配置されているノッチ付き部分を含むことが可能である。ワイパはプリントヘッドに対して相対的に移動することが可能である。
【0021】
さらに、クリーニングステーションは、圧力をかけてクリーニング流体を少なくとも1つのノズルに供給するための流体供給源を含むことが可能である。クリーニング流体は、マニホルドを経由して少なくとも1つのノズルに供給されることが可能である。一実施態様では、この少なくとも1つのノズルはノズルの配列を含む。この少なくとも1つのノズルは、プリントヘッド面全体にわたってクリーニング流体を噴霧するように位置決めされることが可能である。一実施態様では、プリントヘッドは、サービスステーションに対して相対的に2つの方向に移動することが可能な往復台の中に配置されている。
【0022】
放出ステーションの様々な実施態様が、プリントヘッドのプリントヘッド面に概ね一致する開口を画定する容器を含む。一実施態様では、この容器は、複数の対応する開口を画定する。この容器は、放出された流体を捕獲および/または方向付けるためのトレイを含むことが可能である。一実施態様では、プリントヘッドからの放出が廃液のスタンディングプール(standing pool)の中に導かれる。
【0023】
キャッピングステーションの様々な実施態様が、プリントヘッドキャップキャリヤ(printhead cap carrier)と、プリントヘッドのプリントヘッド面を密封するための、プリントヘッドキャップキャリヤ上に配置されている少なくとも1つのプリントヘッドキャップとを含む。このキャップは、そのキャリヤに接触するプリントヘッドによって、外れ位置とキャップ被せ位置との間を移動させられる。キャッピングステーションは、キャリヤ上に配置されている複数のキャップを含むことが可能である。一実施態様では、このキャリヤは、少なくとも1つのキャップを外れ位置に維持するように偏倚されている。放出ステーションとキャッピングステーションは、組み合わされたステーションであることが可能である。この実施態様では、プリントヘッドからの放出が、プリントヘッド面とプリントヘッドキャップと廃液のスタンディングプールとによって画定されている空洞の中に閉じ込められることが可能である。
【0024】
本発明は、別の側面では、プリントヘッドをクリーニングする装置に関する。この装置は、プリントヘッドのプリントヘッド面に向けてクリーニング流体を噴霧するための少なくとも1つのノズルと、プリントヘッド面から余分なクリーニング流体を取り除くための、プリントヘッドにごく接近して配置可能なワイパとを含む。
【0025】
一実施態様では、この装置は、プリントヘッド面を隔離するための、および、クリーニング流体がプリントヘッド面を越えて移動することを防止するためのスプラッシュガードを含む。このスプラッシュガードは開放位置と密封位置とを含むこととが可能であり、この場合に、スプラッシュガードは、開放位置から、プリントヘッドとの接触による密封位置に動かされる。これに加えて、スプラッシュガードは、密封位置にある時にプリントヘッド面を取り囲む密封リップを含むことが可能である。この密封リップは概ね長方形の形状である。一実施態様では、ワイパが密封リップの1つの側部によって形成されることが可能である。このワイパは、このワイパがジェットノズルの配列に接触することを防止するために、プリントヘッド面上のジェットノズルの配列の位置に一致するように構成され配置されているノッチ付き部分を含むことが可能である。ワイパはプリントヘッドに対して相対的に移動することが可能である。これに加えて、この装置は、圧力をかけてクリーニング流体を少なくとも1つのノズルに供給するための流体供給源を含むことが可能である。この少なくとも1つのノズルはノズルの配列であることが可能であり、および、プリントヘッド面の全体にわたってクリーニング流体を噴霧するように位置決めされることが可能である。
【0026】
本発明は、別の側面において、プリントヘッドをクリーニングする方法に関する。この方法は、少なくとも1つのノズルに対して相対的にプリントヘッドのプリントヘッド面を位置決めする段階と、プリントヘッド面に向けてクリーニング流体を噴霧するように少なくとも1つのノズルを動作させる段階と、余分なクリーニング流体を取り除くために、プリントヘッド面にごく接近してワイパを通過させるようにワイパとプリントヘッドとの間の相対的な移動を生じさせる段階とを含む。このワイパは、このワイパがジェットノズルの配列に接触することを防止するために、プリントヘッド面上のジェットノズルの配列の位置に一致するように構成されかつワイパ上に配置されているノッチを含むことが可能である。
【0027】
様々な実施態様では、プリントヘッド面を位置決めする段階は、クリーニング流体がプリントヘッド面を越えて移動することを防止するためにプリントヘッド面を密封することを含む。プリントヘッド面に向けてクリーニング流体を噴霧するように少なくとも1つのノズルを動作させる段階は、プリントヘッド面の全体にわたってクリーニング流体を噴霧することを含むことが可能である。これに加えて、プリントヘッドは、クリーニング中にプリントヘッドによって吸収されたあらゆるクリーニング流体を放出するように動作させられることも可能である。一実施態様では、少なくとも1つのノズルはノズルの配列を備える。
【0028】
本発明は、別の側面では、3次元プリンタで使用されるプリントヘッドをクリーニングする装置に関する。この装置は、空洞を画定しかつプリントヘッドのプリントヘッド面と係合可能である密封キャップと、プリントヘッド面をクリーニングするためにキャップと連通しているクリーニング流体供給源と、使用済みのクリーニング流体と屑とを取り除くためにキャップと連通している真空源とを含む。真空源は、動作中においては、空洞内に負圧を生じさせ、この負圧が、クリーニング流体がジェットノズルの中に入ることを防止し、クリーニング流体をクリーニング流体供給源から空洞の中に抜き出し、および/または、ジェットノズルからバインダ液と屑との少なくとも一方を抜き出す。この装置は、さらに、キャップに接近して配置されているワイパを含んでもよく、このワイパは、プリントヘッドがキャップから離脱する時に、プリントヘッド面に係合するように配置されている。
【0029】
本発明は、別の側面において、3次元プリンタで使用されるプリントヘッドをクリーニングする方法に関する。この方法は、空洞を画定する密封キャップにプリントヘッドのプリントヘッド面を係合させる段階と、この空洞内を真空にする段階と、この空洞の中にクリーニング流体を送り込みプリントヘッド面と接触させる段階とを含む。この方法は、さらに、空洞からクリーニング流体を取り除く段階を含んでもよい。一実施態様では、この方法は、プリントヘッド面からキャップを取り外す段階と、ワイパによってプリントヘッド面を拭う段階とを含む。真空にする段階は、空洞内に負圧を生じさせ、この負圧が、クリーニング流体を空洞内に抜き出し、クリーニング流体がジェットノズルの中に入ることを防止し、および/または、ジェットノズルからバインダ液と屑との少なくとも一方を抜き出す。
【0030】
本発明は、さらに別の実施態様において、プリントヘッド装置をクリーニングする代替案の方法および装置を含むことが可能である。プリントヘッドをクリーニングする方法は、クリーニング流体を含むローラを用いてプリントヘッドを拭うことと、プリントヘッドの全体にわたって振動部材を引き摺ることと、ウィック(wick)を通した毛細管作用によってプリントヘッド全体にわたってクリーニング流体を塗り付けることと、および/または、これらの組合せとを含むことが可能である。これに加えて、この方法は、屑を取り除くためにプリントヘッドに真空を適用する段階を、採用随意に含むことが可能である。3Dプリンタで使用されるプリントヘッドをクリーニングする装置は、プリントヘッド全体にわたってクリーニング流体を塗り付けるための、プリントヘッドに隣接して配置されているウィックを含むことが可能である。
【0031】
本発明は、別の側面において、3Dプリンタで使用されるプリントヘッドをクリーニングする装置に関する。プリントヘッド内部の圧力は、典型的には大気圧よりも低い。この負圧が、プリントヘッドノズルの出口の上方に形成されるメニスカスの表面張力によって相殺される。メニスカスが破壊される時にプリントヘッドの中に洗浄液が引き込まれることを可能にすることなしに、蓄積された粉末をプリントヘッド面から清浄な洗浄液を用いて取り除くことが望ましい。この目標は、プリントヘッドの内側の圧力よりも圧力が低いプリントヘッドの外側の環境を維持することによって、この装置において実現される。これに加えて、この生じさせられた圧力差が、ノズルの中を通ってプリントヘッドからバインダが流れ出ることを生じさせて、ノズル通路内に残留している可能性があるあらゆる粉末を取り除く。この装置は、基部と、この基部内に配置されているカムトラックと、このカムトラックとスライド自在に係合しているキャップキャリヤと、空洞を画定しかつキャップキャリヤ上に配置されている密封キャップとを含む。このキャップは、キャップキャリヤによってプリントヘッド面との係合状態へと移行させられることが可能である。様々な実施態様においては、この装置は、プリントヘッド面をクリーニングするために密封キャップと連通しているクリーニング流体供給源と、使用済みのクリーニング流体と屑とを取り除くために密封キャップと連通している真空源とを含む。
【0032】
さらに別の実施態様においては、この装置は、さらに、プリントヘッドを受け入れるための受け入れ位置にキャップキャリヤを偏倚させるための、キャップキャリヤと基部とに連結されているばねを含むことも可能である。一実施態様では、キャップキャリヤは、プリントヘッドがこの装置の中に入る時にプリントヘッドに係合するための、キャップキャリヤの遠位末端上に配置されている止め具を含む。プリントヘッドは、この止め具に係合した後に、プリントヘッド面とキャップとが密封可能な形で係合するまでカムトラックに沿って後方にキャップキャリヤをスライドさせる。さらに別の実施態様では、この装置は、キャップキャリヤの前進移動を防止するための、キャップキャリヤと係合するように基部に連結されているラッチ爪と、キャップキャリヤの近位末端上に配置されているワイパとを含む。このワイパは、プリントヘッドがこの装置の外に出る時にプリントヘッド面と係合するように配置されている。
【0033】
本発明は、さらに別の側面において、3Dプリンタ内で使用されるプリントヘッドをクリーニングする方法に関する。この方法は、基部と、この基部内に配置されているカムトラックと、このカムトラックとスライド自在に係合しているキャップキャリヤと、空洞を画定しかつキャップキャリヤ上に配置されている密封キャップとを含む装置の中に、プリントヘッドを受け入れる段階を含む。追加の段階が、プリントヘッドの面をキャップと係合させることと、空洞を真空にすることと、空洞の中にクリーニング流体を送り込んでプリントヘッド面と接触させることとを含む。一実施態様では、この方法は、空洞からクリーニング流体を取り除く段階を含む。この方法は、さらに、プリンティング表面からキャップを離脱させることと、この装置からプリントヘッドが引き出される時にワイパを用いてプリンティング表面を拭うこととを含むことが可能である。
【0034】
本発明は、別の側面において、プリントヘッドをクリーニングまたは修理再生する装置に関する。この装置は、洗浄液をプリントヘッド面に向けて噴霧するためのノズルの配列と、プリントヘッド面から余分な洗浄液を取り除くための、プリントヘッド面に接近して配置されている吸い取り部材(wicking member)とを含む。
【0035】
様々な実施態様では、ノズル配列は1つまたは複数の個別ノズルを含む。吸い取り部材とプリントヘッドは、互いに対して相対的な移動が可能である。流体供給源が、圧力をかけて洗浄液をノズル配列に供給するために、装置の中に含まれることも可能である。別の実施態様では、吸い取り部材は透過性材料と非透過性材料の少なくとも一方を含む。
【0036】
ノズル配列は、プリントヘッド面に対して何らかの角度で洗浄液を噴霧するように配置されることが可能である。別の実施態様では、吸い取り部材は、プリントヘッド面上に位置しているプリントノズルに接触することなしに、プリントヘッド面にごく接近して配置されている。吸い取り部材とプリントノズルとの間の間隔が自動的に維持されることが可能である。一実施態様では、この間隔は、プリントノズルから離された場所において、吸い取り部材の一部分がプリントヘッドを圧迫することを生じさせることによって維持される。この装置は、洗浄液と屑とを収集するための溜めます(basin)を含むことも可能である。
【0037】
本発明は、別の側面において、プリントヘッドをクリーニングまたは修理再生する方法に関する。この方法は、少なくとも1つのノズルに対して相対的にプリントヘッドの面を位置決めする段階と、プリントヘッド面に向けて洗浄液を噴射するように少なくとも1つのノズルを動作させる段階とを含む。その次に、プリントヘッド面に接触することなしにプリントヘッド面に近接して吸い取り部材を通過させることによって、余分な洗浄液がプリントヘッド面から取り除かれる。
【0038】
一実施態様では、少なくとも1つのノズルを動作させる段階は、プリントヘッド面に対して何らかの角度で洗浄液を噴霧することを含む。別の実施態様では、この方法は、クリーニング中にプリントヘッドによって吸収された洗浄液を吐き出すようにプリントヘッドを動作させる段階を含む。この方法は、例えば、プリントノズルから離された位置で、吸い取り部材の一部分がプリントヘッド面上を圧迫することを生じさせることによって、プリントヘッド面上に位置している吸い取り部材とプリントノズルとの間の間隔を自動的に維持することを含むことが可能である。
【0039】
本発明は、別の側面において、何時プリントヘッドが保守点検されなければならないかを判定する方法に関する。保守点検は、適切なプリントヘッド性能を維持するために必要とされる。しかし、この保守点検は時間を要する作業であり、および、保守点検プロセスの幾つかの側面がプリントヘッドに損傷を与えている。したがって、保守点検プロセスの肯定的な影響と否定的な影響とをバランスさせるスケジュールにしたがってプリントヘッドを保守点検することが望ましい。
【0040】
保守点検を必要とするプリントヘッドを識別するためのアプローチの1つが、進行中のプリントプロセスに関して入手可能な情報から直接的にプリントヘッドの状態を推測することである。例えば、最後の保守点検以後に経過した時間、最後の保守点検以後に供給された液滴の個数、および、最後の保守点検以後にプリントされた層の個数に基づいた間隔でプリントヘッドの保守点検を行うことが一般的である。プリントヘッドの保守点検は、これらの標示因子のどれかが予め決められたトリガ値(trigger value)に達する時に行われる。あるいは、この代わりに、2つ以上の標示因子の加重関数である保守点検トリガ変数(service−triggering variables)が定義されてもよい。一実施態様では、1つまたは複数の標示係数に関するトリガ値が、使用中の粉末とバインダ液材料との特性に適合するように調整される。特定の因子これに対応するトリガ値が、個々の用途、環境、および/または、プリントヘッドに適合するように選択されることが可能である。
【0041】
プリントヘッドの保守点検の必要性に定量的に関係付けられることが可能なプリントされた画像の特徴を識別することが特に望ましい。こうした要素の1つが、粉末床上にプリントされる液滴の衝撃が、下に位置する先行層がプリントされた時に、より少ない屑を放出するということの観察に基づいている。先行の層上にプリントされたバインダは、そのプリントされたばかりの層の中の粉末を固まらせる傾向があり、この結果として、放出される屑の量がより少なくなり、および、これに対応してプリントヘッド上に蓄積される屑の量がより少なくなる。したがって、一実施態様では、先行してプリントされてはいない粉末の上にプリントされた液滴の個数が予め決められたトリガ値に達する時に、プリントヘッドの保守点検が行われる。あるいは、この代わりに、最後の保守点検以後に計量供給された液滴の個数に基づいた保守点検の間隔が、先行してプリントされてはいない粉末の上にプリントされた液滴の割合を考慮するために変更されてもよい。別の実施態様では、直ぐ下の画素またはその付近の隣接画素がプリントされていない場合には、下に位置する層がプリントされていないと見なされる。
【0042】
本発明は、別の側面において、3次元プリンタで使用されるプリントヘッドの状態を判定する方法に関する。この方法は、プリントヘッドの少なくとも1つの動作パラメータに関するデータ値を取得する段階と、このデータ値を閾値に対して比較する段階とを含み、閾値に対するデータ値の関係がプリントヘッドの状態を示している。一実施態様では、この方法は、データ値が閾値を超える場合にプリントヘッド上での保守点検ルーチンを開始する段階を含む。この動作パラメータは、経過時間、プリントヘッドによって計量供給された液滴の個数、プリントされた層の個数、先行してプリントされた粉末の上に計量供給された液滴、先行してプリントされてはいない粉末の上に計量供給された液滴、および、これらの組合せから成るグループから選択されることが可能である。これに加えて、データ値は、例えば温度、湿度、バインダ材料、および/または、ビルド材料のような、3次元プリンタの動作環境因子を考慮するために、その取得中に補正されることが可能である。
【0043】
本発明は、別の側面において、3次元プリンタで使用されるプリントヘッドの状態を判定する方法に関する。この方法は、プリントヘッドによって計量供給された液滴を計数する段階と、先行してプリントされてはいない画素の上に計量供給された液滴のパーセンテージを求める段階とを含む。この方法は、そのパーセンテージが閾値を越える場合にプリントヘッドに対する保守点検ルーチンを開始する段階を含むことが可能である。
【0044】
これらの目的と他の目的とが、本明細書に開示されている本発明の利点および特徴と共に、後述の説明と、添付図面と、特許請求項とを参照することによって明らかになるだろう。さらに、本明細書で説明されている様々な実施形態の特徴が相互に排他的ではなく、および、様々な組合せと変型との形で存在することが可能であるということが理解されなければならない。
【0045】
添付図面においては、同じ照合番号が、一般的に、異なる図のすべてを通じて同一の部品を示す。これに加えて、添付図面は必ずしも一定の縮尺で示されているわけではなく、この代わりに、一般的に、本発明の原理を例示することに主眼点が置かれている。以下の説明では、本発明の様々な実施形態が、添付図面を参照しながら説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本発明の実施形態を以下で説明する。しかし、本発明がこれらの実施形態に限定されず、むしろ、当業者にとって明らかである変型と変更と等価物も含まれるということが意図されている。
【0047】
簡単に概説すると、図1が、本発明の一実施形態による、物体を形成するための3Dプリンタ10の略図である。プリンタ10は、3次元物体を最終的に形成する複数の層をプリントするために、ビルド表面165上または容器内にビルド材料とバインダ液との交互層を付着させることによって、3次元物体を形成する。実施形態によっては、このビルド材料は粉末を含むだろうし、バインダ液はビルド材料の中に混合されているだろう。実施形態によっては、プリンタ10は、目視および設計評価のための物理的模型を形成するために使用されるだろう。他の実施形態では、プリンタ10は、鋳造作業のための型、または、潜在的な製品に関する市場フィードバックを収集するために使用できる模型を形成するために使用されるだろう。
【0048】
図示されているプリンタ10は、ガントリ(gantry)12と、往復台14と、保守点検ステーションアセンブリ16と、テストパターン18とを含む。典型的には、ガントリ12は、物体を各層毎に製造するためにX軸に沿って作動可能である。実施形態によっては、モータがガントリ12に連結されるだろう。他の実施形態では、ガントリ12はねじに連結され、したがって、ねじの回転がガントリ12をX軸に沿って移動させるだろう。実施形態によっては、ガントリ12は垂直のZ軸に沿って作動可能だろう。他の位置決めシステムが必要に応じて使用されてよい。
【0049】
往復台14は、典型的には、物体を形成するために必要なバインダ材料を計量供給することが可能なプリントヘッド20を含む(図2を参照されたい)。実施形態によっては、ガントリ12がX軸に沿って移動するにつれて、往復台14はY軸に沿って前進後退する。往復台14はガントリ12に連結されている。したがって、往復台14がプリンタ10の端から端までガントリ12と共に移動するにつれて、バインダ材料が、X軸とY軸とに沿ってプリンタ10の表面の端から端まで移動する間に、2次元パターンの形に付着させられるだろう。その次に、典型的には、プリンタ10の端から端までのその次の通過が、Z軸における異なる平面においてであり、および、Z軸上のそのz平面内に付着させられた材料が、所望の物体の形成の一部分として先行して付着させられている材料と結合するだろう。一実施形態では、ビルド台(build table)の下のステッピングモーターによって駆動されるピストンがZ軸の移動を実現する。
【0050】
性能をさらに改善するために、プリンタ10は保守点検ステーション16も含む。実施形態によっては、保守点検ステーション16はプリンタ10上の固定箇所に配置されている。一般的に、この保守点検ステーション16は、往復台14によって搬送されるプリントヘッド20を保守点検する。保守点検ステーション16とは、一般的に、プリントヘッド20上またはプリントヘッド20の周囲に存在する屑または余分な材料が取り除かれる物理的場所である。実施形態によっては、余分なバインダ材料が往復台14から取り除かれるか放出される。一般的に、往復台14は、整備、貯蔵、または、損傷からの保護のために、保守点検ステーション16の中に移動させられる。典型的には、保守点検ステーション16は、往復台14が保守点検ステーション16に係合するように作動させられることが可能であるプリンタ10上の任意の箇所に配置されてよい。さらに、テストパターン18がプリンタ10内に含まれている。実施形態によっては、テストパターン18は、物体の形成における往復台14の位置合わせを改善するために、プリントヘッド20によって上を通過されるテスト区域である。
【0051】
実施形態によっては、往復台14は診断または保守点検のために動かされることが可能である。往復台14を動かすことは、クリーニングまたは交換のような整備目的のためにプリントヘッド20にユーザの手が届くことを可能にする。プリントヘッドのクリーニングを、図6A−6D、図7A−7D、図8A−8J、図9A−9B、図10A−10D、図11A−11J、および、図12に関連して詳細に説明する。実施形態によっては、プリントヘッド20は、プリントヘッド20の診断ルーチンを実行するために作動させられるだろう。代替案の実施形態では、往復台14は保守点検のためにプリンタ10から持ち上げられることが可能である。
【0052】
一実施形態では、プリンタ10は、プリント動作中に発生させられるあらゆる埃や屑を収容するためのエンクロージャカバーを含む。この密閉された区域は、ビルド材料とバインダ材料との間のより良好な反応を促進するために加熱されることが可能である。このより良好な反応は、例えば、より高速の反応時間と接着の改善とを含む。一実施形態では、この加熱は、温風を低速度でその密閉区域に送り込むことによって実現される。この空気の流れは、典型的には、拡散の後にビルド材料をかき乱すことを防止するために、ビルド表面に向けられることはない。一例では、このエンクロージャの温度は約90°Fから約150°Fに維持され、好ましくは約110°Fから約135°Fに、より好ましくは約125°Fに維持される。
【0053】
図2は、往復台14の一実施形態をさらに詳細に示す。往復台14は、一般的に、1つまたは複数のプリントヘッド20を含む。典型的には、プリントヘッド20は、物体の形成中にバインダ液が中を通して放出される装置である。図2は4つのプリントヘッド20を示すが、他の実施形態では、より多数のプリントヘッド20またはより少数のプリントヘッド20が存在するだろう。実施形態によっては、プリントヘッド20は、そのプリントヘッド20がX軸に沿って互いにオフセットしているように、往復台14の中に挿入されるだろう。実施形態によっては、このオフセットはX軸に沿って実質的に同一の距離である。他の実施形態では、プリントヘッド20は、プリントヘッド20の相互間の距離が変化するように、往復台14内に互い違いに配置されるだろう。
【0054】
図3Aと図3Bは保守点検ステーション16の一実施形態をさらに詳細に示す。この保守点検ステーション16は、典型的には、放出ステーション22と、プリントヘッドキャッピングステーション24と、プリントヘッドクリーニングステーション29とを含む。様々な実施形態では、往復台14は、任意の順序で、かつ、任意の回数にわたって、放出ステーション22と、プリントヘッドキャッピングステーション24と、プリントヘッドクリーニングステーション29とに係合するだろう。実施形態によっては、往復台14は、例えば放出ステーション22のような同一のステーションに連続的に複数回にわたって係合するだろう。他の実施形態では、往復台14は、任意の順序で、かつ、任意の回数にわたって、放出ステーション22と、プリントヘッドキャッピングステーション24と、プリントヘッドクリーニングステーション29とのいずれかの間を反復的に交番することができる。実施形態によっては、往復台14のプリントヘッド20は、物体の形成中にプリントヘッド20に対して整備を行うために保守点検ステーション16に係合する。
【0055】
一般的に、放出ステーション22は、例えば汚染されたバインダのような屑を中を通して放出できる放出開口28を含む。放出開口28の個数は様々だろう。この放出ステーション22は、典型的には、プリントヘッド20がこうした材料を排出し、このようにして、プリント品質に影響する可能性があるプリントヘッド20内の汚染物質の余分な蓄積を防止する区域である。典型的には、放出ステーションの中に入る屑が、プリントヘッド20、往復台14、保守点検ステーション16、または、プリンタ10の他のあらゆる構成要素を汚染しないように封じ込められる。
【0056】
実施形態によっては、プリントヘッド20は、放出開口28の直ぐ上の箇所に移動させられ、この箇所においてプリントヘッド20は放出開口28を通して余分なバインダ材料または他の廃棄物を放出する。一般的に、この廃棄物は容器47の中に収集される(図4を参照されたい)。実施形態によっては、往復台14は保守点検ステーション16の直ぐ上の位置に移動させられ、および、プリントヘッド20は保守点検ステーション16の表面において放出開口28の上方に位置させられる。実施形態によっては、プリントヘッド20の底部表面が放出開口28の表面の平面の下方に延びることがあり、この場合には、プリントヘッド20は、プリントヘッド20から汚染物または余分なビルド材料を取り除くために材料を放出するだろう。その次に、この材料は容器47の中に入る。一実施形態では、放出開口28は容器47の上方に位置している。一般的に、容器47は、プリントヘッド20がその材料を放出する放出開口28の下方の場所である。実施形態によっては、容器47は、放出された材料を収容するためのリザーバを含むだろう。
【0057】
一般的に、プリントヘッドキャッピングステーション24は、プリントヘッド20がプリントヘッドキャップ26によってキャップされる区域である。一実施形態では、各々のプリントヘッド20毎に1つのプリントヘッドキャップ26がある。一般的に、往復台14がプリントヘッドキャッピングステーション24に係合することの結果として、プリントヘッドキャップ26が、プリントヘッド20を取り囲む位置に移動させられ、したがってプリントヘッドキャップ26はプリントヘッド面54の周囲にシールを形成する(図5Dを参照されたい)。プリントヘッドキャップ26は、汚染物、屑、プリントヘッド20との接触によって生じる物理的損傷、劣化、および、要素一般からプリントヘッド20を保護する。一般的に、プリントヘッドキャッピングステーション24は、放出ステーション22またはプリントヘッドキャッピングステーション29と係合するプリントヘッド20に関連して、任意の時点においてプリントヘッド20をキャップするだろう。一般的に、プリントヘッドキャップ26は、乾燥のような損傷がプリントヘッド20に対して生じることを防止するためのシールを形成するように、プリントヘッド20を取り囲む。実施形態によっては、整備はプリントヘッド20上またはプリントヘッド20の周囲のクリーニングを含むだろう。単一の保守点検ステーション16が説明のために示されているが、しかし、複数のステーション16が存在することが可能である。あるいは、代替案として、単一の保守点検ステーション16が、例えば、保守点検ステーション16に対する相対的なプリントヘッド20の連続的な位置決めによって、複数のプリントヘッド20を保守点検することができる。
【0058】
プリントヘッドクリーニングステーション29は、一般的に、プリントヘッド20がクリーニングされることが可能な区域を含む。一実施形態では、プリントヘッド20は、加圧された洗浄液92を用いてクリーニングされるだろう(図8Eを参照されたい)。実施形態によっては、プリントヘッド20は、そのプリントヘッド20が材料を容器47の中に放出した後にプリントヘッドクリーニングステーション29の中に入る。他の実施形態では、プリントヘッド20は、最初に材料を容器47の中に放出することなしに、プリントヘッドクリーニングステーション29の中に入るだろう。さらに別の実施形態では、プリントヘッド20はプリントヘッドクリーニングステーション29と放出ステーション22との両方の中に反復的にかつ任意の順序で入るだろう。典型的には、クリーニングステーション29は、あらゆる屑がプリントヘッド20から取り除かれるようにプリントヘッド20を洗浄することによってプリントヘッド20をクリーニングし、および、加圧された洗浄液92自体が収容され、したがって洗浄液92はプリントヘッド20またはプリンタ10の他のすべての部品を汚染しない。例えば、一実施形態では、プリントヘッド20は、あらゆる屑とクリーニング材料とを閉じ込めるために、密封された環境内でクリーニングされる。別の実施形態では、例えばビルド表面165のようなプリンタ10の何らかの構成要素の上に後になって滴り落ちる可能性がある余分な屑またはクリーニング材料がプリントヘッド20に残らないように、クリーニング中にプリントヘッド20が保護される。一実施形態では、プリントヘッド20は1つずつクリーニングされる。別の実施形態では、プリントヘッド20は同時にクリーニングされるだろう。他の実施形態では、1つまたは複数のプリントヘッド20が、任意の順序で反復的に、および、保守点検ステーション16のあらゆる他の構成要素との往復台14の係合に関連した任意の時点で、クリーニングされる。一実施形態では、プリンタ10は、本明細書においてより詳細に後述されるように、プリントヘッド20を何時クリーニングすべかを判定するための論理回路を含む。
【0059】
図3Bは、図3Aの保守点検ステーション16の平面図である。この観点から、往復台14は、プリントヘッド20が放出開口28と位置合わせされるようにX軸に沿って移動させられる。一実施形態では、この位置合わせの完了時点に、プリントヘッド20は放出開口28を通して残留材料または廃棄物材料を放出する。実施形態によっては、この放出物はバインダ材料または他のビルド材料を含むだろう。実施形態によっては、放出後に、プリントヘッド20はさらにX軸に沿ってプリントヘッドキャッピングステーション24に移動させられ、このプリントヘッドキャッピングステーション24では、プリントヘッドキャップ26がプリントヘッド20の周囲にシールを形成する。プリントヘッド20の周囲にプリントヘッドキャップ26によって形成されたシールは、一般的に、要素、屑からの汚染物質、または、バインダ材料上に残されている残留物からプリントヘッド20を保護し、および、プリントヘッド20が乾燥することを防止する。
【0060】
図4は、本発明の実施形態の放出機能の図形表現であり、これによってバインダ材料と屑41とがプリントヘッド20から放出される。実施形態によっては、バインダの屑41が余分なビルド材料を含むだろう。実施形態によっては、この放出機能は、ビルド表面165の端から端までの往復台14の各通過の後に行われる。他の実施形態では、この放出機能は、特定の回数の往復台14の通過の後に周期的に行われるだろう。さらに別の実施形態では、この機能は、設定された時間間隔で行われるだろう。この例示的な実施形態では、往復台14は、プリントヘッド20が窓板40の相互間の空間的間隙の上に整列させられるように、保守点検ステーション16の上方に位置決めされる。実施形態によっては、この窓板40は、放出開口28を取り囲む中実な表面を含む(図3Bを参照されたい)。往復台14の適正な位置決めの後に、プリントヘッド20は屑41または他の廃棄物を放出する。一般的に、この屑41は、例えば、プリントヘッド20内に残された余分なバインダ材料のような汚染物質を含む。一実施形態では、屑41は、廃液キャッチトレイ43内の廃液42に加わる。実施形態によっては、この廃液42は、プリントヘッド20の過去の放出物からの放出物を含むだろう。放出時には、バインダ液41の液滴が廃液42のスタンディングプールの表面上に衝突し、はねと、その後の不要な廃液エーロゾルの発生とを最小限にする。排出路(spillway)44が、廃液42のスタンディングプールを維持するのに十分な距離を置いて容器47の底部の上方に配置されている。その次に、一般的に、廃液42が排出路44を下流に進み、この排出路44において、廃液42はドレイン45を経由して保守点検ステーション16から最終的に出て行く。実施形態によっては、あらゆる溢れ出る廃液46もドレイン45を経由して廃液キャッチトレイ43から出て行き、こうして保守点検ステーション16に対する汚染を防止する。
【0061】
図5Aは本発明のキャッピング機能の一実施形態を示し、この場合に各々のプリントヘッド20がキャップによって密封される。実施形態によっては、このキャッピング機能は、プリンタ10の端から端までの任意の回数の通過の後に行われるだろう。さらに別の実施形態では、この機能は、設定された時間間隔で、または、プリントの完了後に、行われるだろう。図5Bでは、往復台14がX軸に沿って移動させられ、および、保守点検ステーション16の上方に位置決めされる。この例示的な実施形態では、プリントヘッド20とプリントヘッドキャップ26との間に空間的間隙が存在する。この点において、プリントヘッドキャップ26は未だプリントヘッド20に被せられていない。一般的に、プリントヘッドキャップ26は、プリントヘッドキャップアクチュエータ50がプリントヘッドキャップキャリヤ52と係合するまで、静止したままである。実施形態によっては、往復台14はすでに窓板40と放出開口28とを越えて移動させられ終わっており、および、したがって、実施形態によっては、プリントヘッド20はすでに屑41を廃液キャッチトレイ43の中に排出し終わっているだろう。実施形態によっては、往復台14はすでにプリントヘッドクリーニングステーション29上に移動され終わっているだろう。実施形態によっては、往復台14がX軸に沿った移動を続けるのにつれて、プリントヘッドキャップアクチュエータ50はプリントヘッドキャップキャリヤ52と係合する。一般的に、プリントヘッドキャップアクチュエータ50は、往復台14と共にX軸に沿ってプリントヘッドキャップキャリヤ52を移動させるのに十分な剛性を有する金属、プラスチック、または、ゴムの付属物を含むだろう。
【0062】
図5C−5Dはキャッピング機能の完了を示す。典型的には、プリントヘッドキャップキャリヤ52は、保守点検ステーション16に固定されておりかつばね係数を含む金属または他の固体材料であり、これによって、X軸に沿った往復台14とプリントヘッドキャップアクチュエータ50の移動がプリントヘッドキャップキャリヤ52がこの同じ方向にX軸に沿って移動することを引き起こす。実施形態によっては、その次に、プリントヘッドキャップキャリヤ52のこのX軸移動は、プリントヘッドキャップ26がZ軸に沿って移動することを引き起こし、この場合にプリントヘッドキャップ26は最終的にプリントヘッド20をキャップする。他の実施形態では、プリントヘッドキャップアクチュエータ50を含む往復台14と、プリントヘッドキャップキャリヤ52は、往復台移動53の方向の移動を止め、および、プリントヘッド20はキャップされる。
【0063】
一般的に、プリントヘッドキャップアクチュエータ50はプリントヘッドキャップキャリヤ52に係合し、プリントヘッドキャップアクチュエータ50の移動の方向にプリントヘッドキャップキャリヤ52が移動することを引き起こす。実施形態によっては、プリントヘッドキャップキャリヤ52はばね要素601を含み、これによって、ばね要素601が圧縮される時に、プリントヘッドキャップキャリヤは保守点検ステーション16の外壁に対して相対的に旋回する。この旋回は、プリントヘッド20に向かうプリントヘッドキャップ26の不規則的な移動を結果的に生じさせる。この結果として、プリントヘッドキャップアクチュエータ50から最も遠いプリントヘッドキャップ26の端縁がプリントヘッド20との接触を開始する。他の実施形態では、最初にプリントヘッド20に接触するのは、プリントヘッドキャップアクチュエータ50に最も近い位置にあるプリントヘッドキャップ26の端縁である。上述の例示的な実施形態のどちらにおいても、プリントヘッドキャップ26は、プリントヘッドキャップ26がプリントヘッド20と水平になってプリントヘッド20を取り囲むまで、プリントヘッド20に向かう移動を継続する。実施形態によっては、プリントヘッドキャップ26はプリントヘッド20の周囲にシールを形成する。一実施形態では、1つのプリントヘッド20が1つのプリントヘッドキャップ26によってキャップされる。一実施形態では、複数のプリントヘッドキャップ26が複数のプリントヘッド20をキャップする。一般的に、各プリントヘッド20毎に1つのプリントヘッドキャップ26が使用される。一般的に、プリントヘッド20は、プリンタ10の他のあらゆる構成要素との往復台14の係合に関連して、プリントキャップ26によって任意の回数かつ任意の順序においてキャップされることが可能である。
【0064】
図5Cと図5Dとに示されているように、プリントヘッドキャップキャリヤ52はアーム600と、ばね要素601と、プレート602とを含む。一般的に、アーム600はプリントヘッドキャップアクチュエータ50によって係合されており、および、プリントヘッドキャップアクチュエータ移動53の方向に移動させられる。この移動はばね要素601の圧縮を引き起こし、その結果として旋回運動を生じさせる。この旋回運動はプレート602がプリントヘッド20に向かって移動することを引き起こす。プリントヘッドキャップ26は典型的にはプレート602の上部表面上に配置されている。一実施形態では、プレート602は剛体であり、および、したがって、プリントヘッドキャップ26は斜めにプリントヘッド20に接近し、これによって、プリントヘッドキャップ26のその他の端縁がプリントヘッド20に係合する前に、プリントヘッドキャップ26の1つの端縁がプリントヘッド20に係合する。様々な実施形態では、プリントヘッドキャップ26の端縁はすべて最初にプリントヘッド20に係合するだろう。典型的には、プリントヘッドキャップ26のどれかの端縁とプリントヘッド20との間の最初の係合の後に、プレート602は、プリントヘッドキャップ26がプリントヘッド20を取り囲むまで、その動きを継続する。明確に述べると、プレート602は、そのプレート602が実質的に水平な方向配置をとるまで、往復台14の駆動力に応答して湾曲または屈曲するだろう。
【0065】
図5Cは、保守点検ステーション16と往復台14との部分切取断面図を含む。この例示的な実施形態では、往復台14は、図示されている往復台移動の方向(矢印53)にX軸に沿って移動させられる。プリントヘッドキャップアクチュエータ50はプリントヘッドキャップキャリヤ52と接触するだろうし、および、プリントヘッドキャップアクチュエータ50とプリントヘッドキャップキャリヤ52の両方は、往復台移動方向53に移動するだろう。この例示的な実施形態では、プリントヘッドキャップ26はプリントヘッドキャップキャリヤ52の上に配置されている。したがって、往復台移動方向53のプリントヘッドキャップキャリヤ52の移動が、プリントヘッドキャップ26がZ軸に沿って移動することを引き起こす。図5Cは、往復台14と保守点検ステーション16との部分切取図形表現を含む。図5Cは、往復台14が往復台移動方向53に移動する時のプリントヘッドキャップアクチュエータ50とプリントヘッドキャップキャリヤ52との間の接触箇所を示す。この実施形態では、この接触箇所において、プリントヘッド20とプリントヘッドキャップ26との間に空間的な間隙が存在し、したがって、プリントヘッドキャップ26はプリントヘッド20を密封していない。
【0066】
図5Dは、図5Cの図形表現に対比して時間的に前方の時点における往復台14と保守点検ステーション16の図形表現であり、プリントヘッドキャップ26はプリントヘッド20のプリントヘッド面54をキャップし終わっている。典型的には、プリントヘッド面54は、バインダ材料がプリントヘッド20から排出される箇所を含みかつ取り囲むプリントヘッド20の底部表面を含む。この例示的な実施形態では、往復台移動53が、プリントヘッドキャップアクチュエータ50が往復台移動53の方向においてプリントヘッドキャップキャリヤ52と係合してこれを移動させることをすでに引き起こしている。この実施形態では、プリントヘッド面54は、プリントヘッドキャップ26によってその周囲に形成されている保護シールを有する。一般的に、このキャップすなわちシールは、損傷または汚染からプリントヘッド面54を保護するのに十分である。実施形態によっては、プリントヘッドキャップによって形成されるシールは気密だろう。
【0067】
図6Aは、組み合わせられた放出/キャッピングステーションを含む保守点検ステーション16の別の実施形態の部分断面側面図である。この例示的な実施形態では、往復台14は往復台移動53の方向に(X軸に沿って)移動させられ、および、保守点検ステーション16上に位置決めされる。実施形態によっては、往復台14のこの移動は、プリントヘッド20からの放出の準備が整っている。この例示的な実施形態では、廃液キャッチトレイ43は廃液42を含む。一般的に、この廃液42は、保守点検ステーション16上のプリントヘッド20の過去の通過からの先行の放出物によって生じさせられる。実施形態によっては、プリントヘッドキャップ60の下端は、廃液キャッチトレイ43によって画定されている区域の中に延びるだろうが、一般的に、プリントヘッドキャップ60の下端は廃液キャッチトレイ43の底部表面には接触せず、および、したがって、廃液42は、廃液表面61が排出路44の頂部に上昇するまで、自由に流れて廃液キャッチトレイ43内に集まる。その次に、この時点で、廃液42は、オーバーフロースロット62を経由して廃液オーバーフロー管63の中に入る。一般的に、廃液オーバーフロー管63は廃液42を保守点検ステーション16の外に運ぶ。
【0068】
図6Bから図6Dは、キャッピング機能と放出機能とをさらに詳細に示す。往復台14は往復台移動53の方向に移動しており、および、保守点検ステーション16の上方に位置決めされている。図6Bは、プリントヘッドキャップアクチュエータ50とプリントヘッドキャップキャリヤ52との間に接触が生じさせられている実施形態を示すが、この場合に、プリントヘッドキャップキャリヤは、プリントヘッドキャップ26がプリントヘッド20をキャップする位置にそのプリントヘッドキャップ26を持ち上げるのに十分なだけ遠くにまで往復台移動53の方向において移動させられてはいない。図6Cは、図6Bの時点よりも時間的に遠い時点の実施形態を示す。図6Cに示されているように、プリントヘッドキャップキャリヤ52は、プリントヘッドキャップ26がプリントヘッド20の周囲にシールを形成し終わっている箇所にプリントヘッド26を持ち上げるために必要な距離だけ往復台移動53の方向に移動し終わっている。キャッピング機能は、図5Aから図5Dに関して説明されたキャッピング機能と実質的に同じである。実施形態によっては、プリントヘッド26は、空洞64を画定する放出カラム67を含む。プリントヘッド20は、この放出カラムの中を通して廃液キャッチトレイ43に放出する。図6Cに示されているように、プリントヘッド20は屑41を廃液キャッチトレイ43の中に排出し、この廃液キャッチトレイ43内で屑41はあらゆる既存の廃液42と混合する。実施形態によっては、廃液42の集まりが排出路44を横断してオーバーフロースロット62の中を通って進み、オーバーフローする廃液65として廃液オーバーフロー管63の中を下り、この廃液オーバーフロー管63において最終的に保守点検ステーション16から排出される。一般的に、この放出手順が、可能な限り最高品質の3次元プリントを維持するための、汚れが無くかつ詰まりがないプリントヘッド20とプリントヘッド面54とを確実なものにする。実施形態によっては、複数のプリントヘッド20が実質的に同時に材料を放出するだろう。
【0069】
再び図6Cを参照すると、実施形態によっては、放出空洞64によって画定されている区域内にシールが形成されるだろう。一般的に、この空洞64は、その頂部においてプリントヘッド20およびプリントヘッドキャップ26に隣接し、その底部において廃液表面61に隣接し、および、その側部において放出カラム67に隣接する。一実施形態では、廃液キャッチトレイ43内の廃液61の表面の高さが、放出カラム67の底部部分を液中に沈めるのに十分なだけ高い。放出カラム67の底部部分は排出路44の最も低い箇所よりも下方に最も低い箇所を有し、このことが、廃液42が放出カラムの最も低い部分の下方に落下することを防止する。この場合に、かつ、プリントヘッドキャップ26がプリントヘッド20のプリントヘッド面54に対してシールされている場合に、空洞64は気密であり、この結果としてプリントヘッド面54が乾燥することを防止する。この実施形態では、放出物41が、廃液オーバーフロー管63の中を通る方向とは別のあらゆる方向において空洞64から出て行くことが防止され、この場合に、放出物41は、悪影響を与えることなしに、保守点検ステーション16を出て行く。この例示的な実施形態は、プリンタ10のあらゆる構成要素に対する放出物41による汚染の危険性を最小限にする。
【0070】
図7Aから図7Dは、本発明によるプリントヘッドクリーニングステーション500の一実施形態を示す。このプリントヘッドクリーニングステーション500も保守点検ステーション16内に取り付けられているだろう。プリントヘッドクリーニングステーション500は、洗浄液543を保持するリザーバ542と、圧力をかけて洗浄液543を少なくとも1つのノズル540と好ましくはノズル540の配列とに配送するポンプ545とを含む。ノズル540は洗浄液543の高速流を生じさせることが可能である。動作時には、ノズル540はプリントヘッド520のプリントヘッド面577に向けられる。プリントヘッド面577上に方向付けられる時に、洗浄液543が自由になり、ビルド材料とバインダ材料とのような汚染物質をプリントヘッド面577から剥がして取り除く。ノズル540の方向配置はプリントヘッド面577に対して相対的に傾斜していることが可能であり、この結果として、流体流がプリントヘッド面577の平面全体にわたって生じさせられる。例えば、洗浄液はノズル540に最も近いプリントヘッド520の側部においてプリントヘッド520に接触し、および、ノズル540から最も遠いプリントヘッド520の側部から流れ出ることが可能である。このアプローチが、プリントヘッド面577上の洗浄液の蓄積と、そうでない場合にはノズル540の付近に流れ出してノズル540に干渉することになる洗浄液543と屑との量とを減少させることによって、洗浄液543の流れの効果を改善する。さらに、液体洗浄液543の流れから結果的に生じる跳ね飛びを封じ込めるために、スプラッシュガードがプリントヘッドクリーニングステーション500内に含まれてもよい。
【0071】
ノズル540の動作が完了した後にプリントヘッド面577上に残る洗浄液543の大部分を取り除くことが望ましい。これは、従来においては、プリントヘッド面577全体にわたって拭き取り要素を動かすことによって実現される。このアプローチの欠点が、拭き取り要素とプリントヘッド面577との間の接触が、例えばインクジェットノズルのオリフィスの端縁に損傷を与えることによって、プリントヘッド520の性能を低下させることがあるということである。したがって、インクジェットノズルの周りの壊れやすい領域に接触することなしに、蓄積された洗浄液をプリントヘッド面577から取り除く手段を提供することが、本発明の目的である。一実施形態では、プリントヘッド面577が吸い取り部材544の上部表面546の上方を接触することなしに近接して1回または複数回にわたって通過し、蓄積された洗浄液543を毛管引力がプリントヘッド面577から吸い取ることを可能にするように、吸い取り部材544が配置されるだろう。この吸い取り部材544は、硬質材料、半硬質材料、または、コンプライアンスを有する材料で作られることが可能であり、および、吸収性、不透過性、または、これらの任意の組合せであることが可能である。
【0072】
吸い取り部材544がプリントヘッド面577から蓄積された洗浄液543を効果的に取り除くために、吸い取り部材544の上部表面546とプリントヘッド面577との間の間隙が小さくなければならず、および、望ましい範囲が約0インチから約0.3インチである。本発明のさらに別の目的が、精密で硬質で高コストの構成要素を使用せずに、この間隙をこの範囲内に維持するための手段を提供することである。
【0073】
別の実施形態では、吸い取り部材544は、この吸い取り部材544とプリントヘッド520との間の相対移動547の方向に対して概ね垂直に方向付けられているコンプライアンスをもったゴム(compliant rubber)から成り、および、この吸い取り部材544の上部表面545の一部分が、プリントヘッドノズルのオリフィスから離れた重要でない区域内においてだけ吸い取り部材544がプリントヘッド面577に軽く接触するか突き当たるように、配置されている。吸い取り部材544の上部表面546は、そうでない場合には吸い取り部材544がプリントヘッド面577の壊れやすい構成要素に接触する可能性がある場所に、1つまたは複数のノッチ548を含むだろう。吸い取り部材544が常にプリントヘッド面577に接触し、かつ、プリントヘッド520とプリントヘッドクリーニングステーション500との相対的位置の予想される変動とは無関係に、プリントヘッド520が吸い取り部材544の上を通過する時に偏向させられるように、システムの寸法が選択される。したがって、上部表面546はプリントヘッド面577の位置に追従し、および、プリントヘッド面577と解除された表面ノッチ548との間の実質的に一定不変の間隔を拡張によって維持する。プリントヘッド520の寿命をさらに延長させるために、吸い取り部材544の折り曲げ区域の横断面が、吸い取り部材544の上部表面546のわずか変形しか伴わずに確実な折り曲げ挙動を実現するように、縮小されることが可能である。
【0074】
図7Bから図7Dは、本発明による修理再生サイクルを示す。図7Bは、矢印547によって示されている経路に沿ってプリントヘッドクリーニングステーション500に接近するプリントヘッド520を示す。図7Cに示されているように、プリントヘッド520が吸い取り部材544に軽く接触する時に、動作が経路547に沿って停止し、および、洗浄液543がノズル配列540によってプリントヘッド面577に方向付けられる。噴霧動作が完了した時に、プリントヘッド520は、図7Dに示されているように、経路547に沿って移動し続ける。吸い取り部材544は、プリントヘッド520の通過を可能にするように、さらに偏向させられ、および、蓄積した洗浄液543はプリントヘッド面577から吸い取られる。実施形態によっては、噴霧されて拭き取られた後に、プリントヘッド520は、修理再生プロセス中に吸収され終わっている可能性があるあらゆる洗浄液を排出するために、複数の液滴をプリントするだろう。
【0075】
洗浄液のリザーバ内で転がすことによってそれ自体をクリーニングして湿らせる円筒形の「塗料ローラ(paint roller)」によってプリントヘッド面577を拭くことのような、追加のクリーニング方法が想定されている。別の実施形態では、クリーニングシステムは、プリントヘッド面577まで洗浄液を搬送しかつ屑を廃液溜め(sump)に排出する連続フィラメントを含むことが可能である。このシステムは、蓄積した屑を取り除くためにこのフィラメント上を移動させられることが可能な小型スクレーパを含んでもよい。
【0076】
図8Aは、本発明によるステーション529のクリーニングの別の実施形態を示す。より詳細に後述するように、一般的に、プリンタ10は、保守点検ステーション16を経由して、何時プリントヘッド20をクリーニングすべきかを判定することが可能である。実施形態によっては、単一のプリントヘッド20だけが保守点検ステーション16によってクリーニングされる。他の実施形態では、複数のプリントヘッド20がクリーニングされる。実施形態によっては、保守点検ステーション16はノズルマニホルド80を含む。一般的に、ノズルマニホルド80は、少なくとも1つのノズル540と、好ましくはノズル540の配列とを含む。実施形態によっては、保守点検ステーション16はスプラッシュガード81を含む。一般的に、このスプラッシュガード81は、洗浄液543の流れから生じる跳ねを封じ込めるために、プリントヘッドクリーニングステーション529内に含まれている。典型的には、スプラッシュガード81は、洗浄液543を封じ込めることによって粉末またはバインダ材料の汚染を防止する。一般的に、クリーニングステーション529は、マニホルド80とスプラッシュガード81との追加を除いて、図7Aから図7Dに関して説明したクリーニングステーション500と同様に動作する。
【0077】
図8Bは、プリントヘッドクリーニングステーション529内に配置されているスプラッシュガード81の図形表現である。スプラッシュガード81は、一般的に、ノッチ82と、排出穴83と、作動面89と、屈曲点85と、密封リップ(sealing lip)86とを含む。図8Cから図8Hは、クリーニングステーション529の動作を示す。典型的には、プリントヘッド20は、プリントヘッド面54がノッチ82の表面に接触せずにノッチ82の直ぐ上を通過するように、作動させられる。典型的には、プリントヘッド面54とノッチ82との間の接触を避けることが、プリントヘッド面54上のジェットノズルの弾道に損傷を与えるかまたはこの弾道を変更することを防止する。一実施形態では、密封リップ86はワイパとして機能し、プリントヘッド面54自体には接触せずにプリントヘッド面54の付近でプリントヘッド20に接触するだろう。プリントヘッド20がノッチ82をクリーニングし終わると、プリントヘッド20は排出穴83の直ぐ上方の空間の中に入る。一般的に、この排出穴83は洗浄液543を通過させるためのものである。プリントヘッド20が排出穴83の上方に大まかに位置決めされると、プリントヘッド20は作動面89に係合する。典型的には、プリントヘッド20は、スプラッシュガード81が屈曲点85に沿って屈曲することを生じさせるように作動面89に係合する。実施形態によっては、屈曲点85は、ノッチ82と排出穴83と作動面89と密封リップ86とを含むスプラッシュガード81の少なくとも一部分がプリントヘッド20の作動方向に旋回することを可能にするピボット点を含む。一般的に、屈曲点85におけるこの旋回は、密封リップ86がプリントヘッド20に接触するように、排出穴83をプリントヘッド20に上昇させる。一般的に、密封リップ86は、その密封リップ86がプリントヘッド面54の周囲にシールを形成する位置に動かされる。典型的には、密封リップ86によって形成されたシールは水密であり、したがって、洗浄液543がプリンタ10を汚染することを防止する。一般的に、使用済みの洗浄液543のための唯一の使用可能な出口が排出穴83の中を通る。
【0078】
図8Cは、プリントヘッド20が保守点検ステーション16に接近する時のプリントヘッド20の別の図を含む。図8Cは、保守点検ステーション16によって行われるクリーニング動作の開始状態を概略的に表す。この例示的な実施形態では、プリントヘッド20は、プリントヘッド面54が保守点検ステーション16の上方に移動させられるように、プリントヘッド移動87の方向に作動させられる。プリントヘッド20が作動させられている時に、プリントヘッド側部88がスプラッシュガード81の作動面89に係合するだろう。この係合の後に、密封リップ86がプリントヘッド面54(図8Dを参照されたい)の周囲にシールを形成するように、プリントヘッド20は作動面89を移動させる。実施形態によっては、作動面89は屈曲点85において旋回する。実施形態によっては、屈曲連結箇所85はばね要素を含むだろう。一般的に、この手順は、プリントヘッド面54に隣接したプリントヘッド20の下面の周囲におけるスプラッシュガード81による水密シールの形成を結果的に生じさせる。
【0079】
図8Dは、保守点検ステーション16の上方のその所望の位置に移動させられたプリントヘッ20を示す。一般的に、この所望の位置は、保守点検ステーション16がプリントヘッド20をクリーニングする位置である。図8Dに示されているように、作動面89は、プリントヘッド面54の一部分の周囲においてプリントヘッド20をシールする。このシールは、スプラッシュガード86によってプリントヘッド面54の周囲に形成される。一般的に、スプラッシュガードリップ86はスプラッシュガード81の一部分である。一実施形態では、プリントヘッド20が作動面89に対するその接触によってスプラッシュガード81を作動させている時に、その結果として生じるスプラッシュガード81の移動が、さらに、密封リップ86をプリントヘッド20の底部に突き当たる位置にプリントヘッド面54に沿って移動させる。実施形態によっては、密封リップ86は、プリントヘッド面54に突き当たってプリントヘッド20の下面に寄りかかる。一般的に、プリントヘッド側部88に沿ってではなく、プリントヘッド20の下側においてプリントヘッド54の周囲にシールを形成することが、プリントヘッド側部88またはプリントヘッド20の他のあらゆる側部の汚染を防止するので望ましい。例えば、プリントヘッド20上に残されている洗浄液はプリント中に滴り落ちる可能性があり、この結果としてプリント品質に影響を与える可能性がある。
【0080】
図8Eは、本発明の一実施形態による、保守点検ステーション16によるプリントヘッド20のクリーニング中の、保守点検ステーション16の部分断面側面図である。プリントヘッド面54の周囲にシールを形成した後に、ノズルマニホルド80は洗浄液流91を噴霧する。一般的に、ノズルマニホルド80は加圧された洗浄液92を含む。一実施形態では、加圧洗浄液92は、単一の流れ91の形でプリントヘッド面54の上に噴霧される。他の実施形態では、加圧洗浄液92の複数の流れ91が存在する。動作中には、洗浄液流91はプリントヘッド20のプリントヘッド面54に向けられる。洗浄液流91は、プリントヘッド面54上に向けられる時に、バインダ材料のような汚染物質をプリントヘッド面54から剥がして取り除く。洗浄液流91の方向はプリントヘッド面54に対して傾斜させられることが可能であり、したがって流体流がプリントヘッド面54の平面全体に対して生じさせられる。例えば、一実施形態では、洗浄液流91はノズルマニホルド80に最も近いプリントヘッド20の側部においてプリントヘッド20に接触し、および、ノズルマニホルド80から最も遠いプリントヘッド20の側部から流出する。このアプローチは、プリントヘッド面54上の洗浄液92の蓄積と、そうでない場合にはノズルマニホルド80の付近で流出してノズルマニホルド80に干渉することになる加圧洗浄液92と屑の量とを減少させることによって、洗浄液流91の有効性を向上させる。図8Fは、図8Eに示されている本発明の別の部分断面図である。プリントヘッド面54はクリーニングのための適正な位置にある。密封リップ86は、プリントヘッド面54の周囲にシールを形成し終わっており、このようにしてプリントヘッド20のその他の部分を汚染から保護する。
【0081】
図8Gは、クリーニング動作が完了した後に保守点検ステーション16からの外に出るプリントヘッド20の移動を示す。この時点で、プリントヘッド20は、保守点検ステーション16から遠ざかる形でプリントヘッド移動93の方向に移動する。これは、保守点検ステーション16に入るために使用された往復台移動53の方向と概ね同じである。プリントヘッド20が保守点検ステーション16の外に移動している時に、プリントヘッド面54は密封リップ86とノッチ82との上方を運ばれる。実施形態によっては、密封リップ86はワイパとして作用し、および、プリントヘッド面54に隣接したプリントヘッド20の底部上の区域から屑と洗浄液92とを取り除くだろう。しかし、ノッチ82は、ジェットノズルの位置に対応する区域内における密封リップ86とプリントヘッド面54との間の接触を防止する。密封リップ86とプリントヘッド面54との間の接触は、例えば、プリントヘッド面54上のインクジェットノズルのオリフィスの端縁に損傷を与えることによって、プリントヘッド20の性能を低下させる可能性がある。しかし、ノズルマニホルド80の動作が完了した後にプリントヘッド面54上に残留する洗浄液92の大部分を取り除くことが依然として望ましい。したがって、プリントヘッド面54上のジェットノズルの周囲の壊れやすい領域に接触することなしにプリントヘッド面54から蓄積した洗浄液を取り除くための手段を提供することが、本発明の目的である。密封リップ86とプリントヘッド面54との間の直接的な接触をノッチ82が防止するので、一実施形態では、プリントヘッド面54が、接触せずに接近した形で吸い取り部材544の上方を1回または複数回にわたって通過し、プリントヘッド面54から蓄積した加圧洗浄液92を毛管引力が引き離すことを可能にするように、(上述した)吸い取り部材544が配置されるだろう。図8Hは、図8Aの保守点検ステーション16の部分断面底面斜視図を示す。この図では、プリントヘッド20がクリーニング後に保守点検ステーション16から離れる形に移動させられる時に、プリントヘッド面54の傷つきやすい部分がノッチ82の上方を通過することを見てとることが可能である。一般的に、このプリントヘッド面54の傷つきやすい部分はプリントヘッドジェットノズル配列を含む。
【0082】
図9Aおよび図9Bは、図8Bのスプラッシュガード81の別の実施形態を示す。この実施形態では、スプラッシュガード81は先細のシーリング表面94を含む。一般的に、この先細のシーリング表面94は、プリントヘッド端縁95によって形成されている隅の周囲にシールを形成するような形状にされている。したがって、この実施形態におけるシールは、プリントヘッド面54と、プリントヘッド20のプリントヘッド側部88との両方に接触する先細のシーリング表面94によって形成されている。したがって、この実施形態によって形成されるシールは、クリーニング動作中に洗浄液92を閉じ込めるためにプリントヘッド20の端縁の周囲を包む。図9Aおよび図9Bの別のスプラッシュガードとこれに関連したクリーニング構成要素の動作は、上述したものに実質的に類似している。
【0083】
図10Aから図10Dは、図8Bのスプラッシュガード81の別の代替案の実施形態を示す。この実施形態では、スプラッシュガード81は、この場合も同様に、スプラッシュガードの密封リップ86によってシールを形成する。しかし、この実施形態では、スプラッシュガード81は、スプラッシュガード支持ばね102によってプリントヘッド面54の周囲の密封位置に移動させられる。この手順は、キャッピング動作においてプリントヘッド20をキャップするために使用された手順に類似している。一般的に、プリントヘッド20は、第1のプリントヘッド移動方向(矢印100)に保守点検ステーション16の上方を搬送される。排出穴83の上方に大まかに位置決めされた後に、プリントヘッド移動方向が、実質的に垂直なプリントヘッド移動(矢印101)に方向を変える。実施形態によっては、プリントヘッド移動方向101は、以前のプリントヘッド移動方向100に対して垂直である。この時点において、プリントヘッド20は、プリントヘッド側部88がスプラッシュガード支持ばね102に係合するまでプリントヘッド移動方向101に前進する。(図10Bを参照されたい)。図10Cが示すように、スプラッシュガード支持ばね102は第2のプリントヘッド移動方向101に移動する。この移動は、スプラッシュガード81をプリントヘッド面54に係合させる。
【0084】
上述したようにクリーニング動作が行われた後に、プリントヘッド20は、保守点検ステーション16から遠ざかる形で第3のプリントヘッド移動方向(矢印103)に移動する。一般的に、プリントヘッド20が保守点検ステーション16から離脱する時に、この第3のプリントヘッド移動方向103は第1のプリントヘッド移動方向100とは反対である。この離脱は、スプラッシュガードの密封リップ86によって形成されたシールを切断し、および、プリントヘッド面54は密封リップ86の上方を移動させられ、この場合に、プリントヘッド動作54から屑または洗浄液92を取り除くためにワイパ動作が行われるだろう。上述したように、吸い取り動作も行われるだろう。
【0085】
図11Aから図11Jは、プリントヘッド20をクリーニングするための代替案のシステム146を示す。このシステム146は保守点検ステーション16(図1)内に配置されている。一実施形態では、このシステム146は、ラッチ爪152と、ばね154と、ワイパ156と、プリントヘッドキャップ158と、キャップキャリヤ192と、第2のばね162と、カムトラック164とによって概ね構成されているクリーニングステーション148を含む。説明のために、単一のクリーニングステーション148だけが示されている。しかし、複数のステーション148が保守点検ステーション16内に配置されてよい。あるいは、代替案として、単一のクリーニングステーション148が、例えばクリーニングステーション148に対して相対的にプリントヘッド20を連続的に位置決めすることによって、複数のプリントヘッド20をクリーニングすることもできる。
【0086】
図11Aは、クリーニングシステム146の開始位置を示す。図11Bに示されているように、プリントヘッド20はクリーニングステーション148に接近し、および、ラッチ爪152に係合する。プリントヘッド20がラッチ爪152の上方を通過する時に、ラッチ爪152は作動させられる。プリントヘッド20はラッチ爪152を通過して移動し続け、および、ワイパ156に係合する(図11C)。プリントヘッド20はワイパ156の上方を通過する。図11Dに示されているように、プリントヘッド20はキャップキャリヤ192に接触し、このキャップキャリヤ192はカムトラック164に沿って駆動され、ばね162を圧縮する。プリントヘッドキャップ26はプリントヘッド面54に突き当たる形に位置決めされる(図11Eおよび図11F)。図11Fに示すように、プリントヘッドキャップ26はプリントヘッド面54に突き当たって密封し、これと同時に、プリントヘッド面54は洗浄液92によって洗浄される(図11Fを参照されたい)。
【0087】
プリントヘッド面54がクリーニングされた後に、プリントヘッド20は保守点検ステーション16の外に移動する(図11G)。ラッチ爪152はキャップキャリヤ192と係合して、その移動を停止する。図11Hに示されているように、プリントヘッド20はワイパ156と係合し、ワイパ156はプリントヘッド面54を拭う。別の実施形態では、ワイパ156は、プリントヘッド面54をさらにクリーニングするために振動する。別の実施形態では、ワイパ156は、ジェットノズルの位置に対応する区域内にノッチが付けられており、これによってワイパ156とプリントヘッド面54との間の接触を防止する。プリントヘッド20はその前進移動を継続してラッチ爪152を作動させ(図11I)、一方、このラッチ爪152はキャップキャリヤ192(図11J)を釈放する。キャップキャリヤ192は開始位置にパチンと戻る。プリントヘッド面54がクリーニングされた後に、プリントヘッド20は保守点検ステーション16(図11G)から外に出ることを始める。この時点で、システム146は、別のプリントヘッド20をクリーニングする準備が整っている。
【0088】
図12は、プリントヘッド20をクリーニングするためのシステム146を示す。(図12は、図11Fをさらに詳細に示す。)プリントヘッド20は、プリントヘッドキャップ26に対してプリントヘッド面54が突き当たる形で位置決めされており、このプリントヘッドキャップ26は、この実施形態ではゴムで作られている。このプリントヘッドキャップ26は、プリントヘッド面54の周囲を密封するためのシールリップ172を含む。保守点検ステーション16は、供給ダクト184を経由して洗浄流体供給容器182に連結されており、および、戻りダクト188を経由して洗浄流体戻り容器186に連結されている。洗浄流体戻り容器186は、真空ダクト190を経由して真空源180(この場合には真空ポンプ)と連通している。これに加えて、弁178が戻りダクト188内に配置されている。弁178は手動でまたは自動的に作動させられる。
【0089】
動作時には、真空源180は、プリントヘッドキャップ54内の空洞174の内側に真空を生じさせる。この真空は、供給ダクト184の中を通して供給容器182から洗浄流体を抜き出す。この洗浄流体は、プリントヘッド面54に対する噴霧176として空洞174の中に入る。噴霧176は、余分なビルド材料と乾燥したバインダとのような屑をプリントヘッド面54から洗い流す。使用済みの洗浄流体と屑は真空源180によって空洞174の外に抜き出されて、戻りダクト188を経由して戻り容器186の中に送られる。これに加えて、真空源180によって空洞174内に生じさせられた負圧が、洗浄流体がジェットノズルの中に入ることを防止し、および、実際には、ジェットノズルの外にあらゆる粉末化したビルド材料を流し去るために、ジェットノズルの外に少量のバインダが流れ出ることを引き起こすだろう。ジェットノズル内の閉塞物または障害物が、ジェットが間違った方向に発射されることを生じさせる可能性がある。この動作が完了すると、システム146は、図11Gに示されている段階に移行する。別の実施形態では、1つまたは複数のプリントヘッド20が保守点検ステーション16の上方に配置されている。密封リップ86はプリントヘッド20との整合状態に動かされ、および、プリントヘッド20は、あらゆる蓄積した屑を取り除くために、および、プリントヘッド20から外に出るバインダ材料の流れを改善するために、拭き取られて潤滑される。明確に述べると、潤滑装置が、プリントヘッド面54上のあらゆる屑を湿らせるためにプリントヘッド面20に対して潤滑剤を塗布する。その次に、プリントヘッド20は、密封リップ86の上方をプリントヘッド面54を通過させるために移動させられ、および、密封リップ86はワイパとして働いてプリントヘッド面54から汚れを拭き取る。
【0090】
図13は、本発明による3Dプリンタによる典型的なプリント動作を示す。明瞭にするために、1つだけのプリントヘッド220が示されている。プリントヘッド220は、3Dプリンタのビルド表面上にすでに塗り広げられている粉末床200の上方を移動する(例えば、図1を参照されたい)。前述したように、プリントヘッド220は、X軸とY軸とに沿って移動することが可能である。この図に示されている動作においては、プリントヘッド220は単一の方向(矢印202)に移動している。プリントヘッド220が粉末床200の上方を移動するにつれて、プリントヘッド220は、予め決められた仕方で粉末床200に対して液体バインダの液滴212を付着させることによってプリント動作を行い、これによって粉末床200内のプリントされた部分204とプリントされていない部分206とを結果的に生じさせる。
【0091】
粉末床200上にプリントした後に、粉末の新たな層が、新たなプリンティング218を受けるための準備として粉末床200上に塗布される。プリントヘッド220が粉末床200上に液滴212を付着させる時に、その粉末の粒子210は、粉末床200上への液滴212の衝撃によって放出される(図14Aと図14Bとを参照されたい)。これらの粒子210は最終的にプリントヘッド220に接触して付着する。この結果として生じる屑216は、例えばプリントヘッドノズル208に干渉することによって、プリントの品質を低下させる。放出される粒子210の量は、その粉末が「湿っている」か「乾いている」かに依存するだろう。下に位置する層が先行してプリントされた場合には、その粉末は湿っている(図14Bを参照されたい)。下に位置する層が先行してプリントされてはいない場合には、その粉末は乾いている(図14Aを参照されたい)。
【0092】
図14Aに示すように、プリントヘッド220は、乾いた粉末床200上に液滴212を付着させている。液滴212が粉末床200に衝突する時に、比較的多量の粒子210が動かされ、および、凹み214が粉末床200内に形成される。粒子210はプリントヘッド220に向けて上方に放出され、この場合には、粒子210は屑216としてプリントヘッド220の表面上に集まるだろう。
【0093】
図14Bに示すように、プリントヘッド220は、湿った粉末床200上に液滴212を付着させている。液滴212が粉末床200に衝突する時に、比較的少量の粒子210が移動させられ、および、比較的小さい凹み214が粉末床200内に形成される。先行の層の上にプリントされたバインダは、その新しい層の中の粉末を固まらせる傾向があり、この結果として、放出される粒子がより少なくなり、および、これに対応して、プリントヘッド面上に蓄積する屑がより少なくなる。
【0094】
3Dプリンタは、最後のクリーニング以来の、先行してプリントされた粉末および/またはプリントされていない粉末の上にプリントされた液滴の個数に少なくとも部分的に基づいて、プリントヘッド220の状態を監視するための論理回路を含む。他の因子が、例えば、使用時間、計量供給された液滴の個数、および、プリントされた層の数を含む。3Dプリンタは、設定された閾値に達する上述の因子のいずれか1つまたはその因子の組合せに基づいて、あらゆる必要なクリーニングルーチンの頻度と持続時間とを決定することが可能である。例えば、プリントヘッド220は、5分間の連続使用毎に、クリーニングされるだろう。任意の特定の因子の閾値が、使用される液体バインダと粉末材料とのタイプと、プリントヘッドの状態に影響を及ぼす可能性がある温度および湿度のような他の動作環境因子とに応じて、変化させられることが可能である。
【0095】
これに加えて、または、これに対する代替案として、3Dプリンタは、プリントヘッド220の清浄性を監視し維持するための他のシステムおよび方法を使用することが可能である。例えば、一実施形態では、3Dプリンタはプリントヘッド面を目視するためのイメージングシステムを含むことも可能である。ユーザは、プリントヘッド220がクリーニングを必要とすることを手動で判定することが可能であり、または、3Dプリンタが、クリーニングの必要性を自動的に判定するためのイメージングシステムを含むことも可能である。手動システムでは、プリントヘッド面の画像が、例えばビデオモニタ上で、ユーザに対して表示され、および、このユーザは、必要であると判断される場合にクリーニングルーチンを開始することが可能である。自動システムの一例では、稼働中のプリントヘッドの表面の実際の画像が、清浄なプリントヘッド面の画像(すなわち、テスト画像)に対して比較するためにプロセッサに送られる。一実施形態では、プリントヘッド面は暗い色であり、および、粉末は相対的に明るい色である。プリントヘッド面の大部分が屑で覆われている場合には、実際の画像とテスト画像との間でコントラスト差があるだろう。このコントラスト差が予め決められた閾値に達する場合には、このシステムはクリーニングルーチンを開始する。
【0096】
実施形態によっては、プリントヘッド面の清浄性が、エアカーテンまたは静電荷の使用によって維持されることが可能である。このシステムは、プリントヘッド面上に屑が集まるのを低減させるか防止する、プリントヘッド面全体にわたっての低圧のエアカーテンを供給することが可能である。あるいは、代替案として、プリントヘッド面は、粉末に対して加えられる電荷と同じ電荷であるプリントヘッド面上に置かれた静電帯電された有することが可能であり、これによって、粉末粒子がプリントヘッド面から跳ね返されることを引き起こす。
【0097】
図15は、本発明の一実施形態によるプリントヘッド位置合わせプロセスの図形表現である。明確に述べると、上述したプリントヘッド往復台14は、位置合わせテストパターン129に関連付けて示されている。テストパターン129は、3次元プリントシステムのビルド表面165上にプリントされる(図1を参照されたい)。このテストパターン129は、X軸位置合わせパターン133とY軸位置合わせパターン134とが上にプリントされる区域を画定するコントラスト強調副層130を含む。X軸位置合わせパターン133とY軸位置合わせパターン134は、交互の基準線135とテスト線136とで構成されている線対である。さらに、副層130上には、コントラスト最適化パターン131が含まれており、このコントラスト最適化パターン131に関しては図16Aおよび図16Bを参照してより詳細に説明する。往復台14は、テストパターン129をスキャンするために使用される位置合わせセンサシステム132を含む。このシステム132に関しては、図17Aから図17Dを参照してさらに詳細に説明する。
【0098】
パターン129は、最初にビルド表面165上にビルド材料の層を塗り広げることによって形成される。その次に、プリントヘッド20は、ビルド材料粉末の層の上にコントラスト強調副層130をプリントするために使用される。一般的に、コントラスト強調副層130は、プリントされた層とその周囲との間のコントラストを生じさせるための背景基準を提供する。一般的に、3次元部品をプリントするために後で使用されることになるバインダ溶液と同じバインダ溶液を使用して位置合わせプロセス(例えば、テストパターン129の形成)を行うことが望ましい。透明なバインダによって粉末上にプリントされた画像をそのプリントされていない周囲から区別することが困難なので、透明バインダは特有の問題を生じさせる可能性がある。この問題は、コントラスト強調副層130をプリントすることによって解決可能であるが、これは必ずしも必要ではない。
【0099】
コントラスト強調副層130は、位置合わせパターンオブジェクト(例えば、X軸位置合わせパターン133、Y軸位置合わせパターン134、および、コントラスト最適化パターン131)の配列全体の基礎となるのに十分な寸法のビルド表面165上にプリントされる。実施形態によっては、マゼンタまたはシアンのような暗色が使用されるだろう。この区域は、その色の暗さを増大させるために2回以上プリントされるだろう。その次に、新たな粉末の層がこの副層130上に塗り広げられて、その暗色を覆い隠す。その次に、画像が透明バインダによってその新たな層の上にプリントされる時に、その粉末は、プリントされた区域内で湿らされ、および、幾分か透明になって副層130の暗色を出現させる。実施形態によっては、コントラスト強調副層130と、その上に塗り広げられた粉末とが、全体としてコントラスト強調副層130と呼ばれることがある。この場合に、このプリントされた区域は、位置合わせセンサシステムによってより容易に検出されるように、その区域の周囲に対比してより明瞭にコントラストを示す。
【0100】
その次に、コントラスト最適化パターン131がコントラスト強調副層130上にプリントされる。実施形態によっては、コントラスト最適化パターン131は、プリントヘッド20の各々からのプリントされた区域すなわちターゲット143−146(図16Aを参照されたい)を含む。その次に、位置合わせセンサシステム132は、コントラスト最適化パターン131(および、その対応するプリントヘッド20)のどのターゲット143−146がコントラスト強調副層130の非プリント区域141(図16Aを参照されたい)に対比して最大のコントラストを有するかを判定するために、コントラスト強調副層130を伴うコントラスト最適化パターン131を集合的に形成するプリントされたターゲット143−146の相互間の最高コントラスト区域を求める。
【0101】
この全般的な手順は、参照基準として4色の中の1つの色を採用することと、この基準色に対するその他の色の位置誤差を識別することである。一実施形態では、その4色は透明(プリント区域143)と、黄色(プリント区域144)と、マゼンタ(プリント区域145)と、シアン(プリント区域146)とを含む。プリントされていない背景に対比して最も目立つ色を基準として採用することが望ましいだろう。このために、ターゲットが各色でプリントされ、および、その次に、位置合わせセンサシステム132によって検査される。最も小さい光センサ出力を生じさせる色が選択されるだろう。
【0102】
図16Aおよび図16Bは、コントラスト最適化パターン131をさらに詳細に示す。図16Aは、上述のターゲット142−146を含むコントラスト最適化パターン131の図形表現である。図16Bは、光源電流と光センサ出力(例えば、位置合わせセンサ電流)との間の関係を示す。光センサ上に衝突する光が増大するにつれて、その光は、センサ出力が最大に達して光入力のさらなる増加に対して無感応になるレベルに最終的に達するだろう。この無感応性の状態が一般的に飽和と呼ばれており、および、図16Bに飽和領域147によって示されている。センサ出力の比例領域が図16Bに比例領域148によって示されている。センサ出力信号の情報内容を最大にするためには、通常動作条件においてそのセンサを飽和させることを回避することが望ましい。3Dプリントに使用される粉末の反射率は広範囲にわたって様々である可能性があり、この結果として最大センサ照度の大きな変動が生じる。この影響を補償するために、位置合わせセンサアセンブリは、ビルド表面の上方の非プリント区域142の上に配置されており、および、非プリント区域142を検出する(図16Aを参照されたい)。光源を通過する入力電流は、減少するセンサ出力が飽和を示すまで、漸進的に増大させられる。その次に、この光源電流は、比例領域148内の安全動作マージンを提供するように減少させられる。あるいは、この代わりに、光源電流は、予め決められた安全光センサ出力に達するまで漸進的に増大させられることが可能である。
【0103】
再び図15を参照すると、互いに対して実質的に直角に配置されている2つの実質的に同一の線対の配列が、X軸位置合わせテストパターン133とY軸位置合わせテストパターン134とを構成する。一実施形態では、これらのテストパターンの一方が3次元プリンタ10の低速軸プリンティング(slow axis printing)を表し、および、他方のテストパターンが3次元プリンタ10の高速軸プリンティング(fast axis printing)を表す。一般的に、X軸位置合わせテストパターン133とY軸位置合わせテストパターン134は連続して処理され、および、これらのプロセスは同一である。一般的に、X軸位置合わせパターン133とY軸位置合わせパターン134は両方とも基準線135とテスト線136とを含む。一実施形態では、基準線135は、コントラスト強調副層130に対比して最大のコントラストを有すると判定されたプリントヘッド20によって形成される。この線対に関しては、図18、図19A、図19B、図21Aに関連して以下でさらに詳細に説明する。
【0104】
実施形態によっては、コントラスト最適化パターン131とコントラスト強調副層130との間の最高のコントラストを求めるために、往復台14は、光円錐138を生じさせる例えば発光ダイオード(LED)のような光源137を含むだろう。あるいは、この代わりに、光源はレーザまたはランプであることが可能であり、および、複数の光源が使用可能である。LED光源137は検査対象の全体区域を照明する。実施形態によっては、LED光源137は、プリントされている区域とプリントされていない区域との間の高レベルのコントラストを生じさせるために青緑色である。光学フィルタが、LED出力を含む狭い波長範囲内においてだけ光を通過させる。周囲室内光は、このフィルタによって通過させられる波長の光を比較的わずかしか含まず、したがって、光センサに到達する光の大部分が光源を起源とする。この結果として、このシステムは周囲室内光の変動に対しては比較的に無感応である。
【0105】
別の実施形態では、周囲光に対する無感応性は、対象となる信号よりも著しく高い周波数に光源137の出力を変調することによって実現される。光センサ出力は、この変調された光の周波数だけを通過させるように電子的にフィルタされる。このことが低い光レベルに対するそのシステムの感度を増大させる。採用随意のレンズが、低い光レベルに対するこのシステムの感度を増大させることが可能である。
【0106】
図17Aから図17Dは位置合わせセンサシステム132をさらに詳細に示す。このシステム132は、典型的には、プリントヘッド往復台14の一部分である。特定の実施形態では、システム132は、例えば、往復台14を誘導するための、プリントヘッド20を発射させるための、および、位置合わせセンサシステム132を作動させるための論理回路を含む、プリント回路基板160上に取り付けられている。このシステム132は、一般的に、光源137と、光学フィルタ161と、光入口162と、光センサ163と、採用随意のレンズ164とを含む。光源137は、スキャンされる着色線の幅と概ね同じ大きさの直径であるテストパターン129上のスポットを照明するために使用される。光源137と光センサ163は各々に集束させられているかまたは集束させられていないことが可能である。図17Cと図17Dは、位置合わせセンサシステム132の様々な動作状態を示す。図17Cは、光円錐138によるビルド表面上の照明区域166の照明を示す。一実施形態では、光源は対象区域を光で満たす。図17Dでは、照明されたビルド表面165上の検出区域142が光を光センサ163に反射して戻す。典型的には、検出区域142は、プリントターゲット142−146、または、基準線135またはテスト線136の一部分に相当し、および、照明される区域166よりも面積が小さい。管状の光入口経路162は、光センサの視界を、照明される区域に対して相対的に小さいスポットに制限する。実施形態によっては、光センサ163は、プリンティング表面の照明された区域166からの表面光起電力を検出する能力を含むだろう。他の実施形態では、システム132は、センサ163上に反射光を集束させるための採用随意のレンズ164を含むだろう。
【0107】
図18は、図15のX軸位置合わせパターン133を示す。このX軸位置合わせパターン133とY軸位置合わせパターン134は、線対が実質的に垂直方向に方向配置されていることを除いて、互いに実質的に同一であるが、代替策の形状構成が想定されておりかつ本発明の範囲内に含まれると見なされている。上述したように、X軸位置合わせパターン133は一連の基準線135とテスト線136とを含む。一般的に、各々の基準線135は、コントラスト強調副層130に対比して最高のコントラストを有するプリントヘッド20によってプリントされ、および、各々のテスト線136は、より低い相対的なコントラストを有する他の3つのプリントヘッド20の少なくとも1つによって交番パターンの形にプリントされる。様々な実施形態においてプリントヘッドの個数が異なる可能性があるので、各テスト線136内の対応するカラーバーの個数も様々であるだろう。一実施形態では、基準線135は透明な付着材料で形成されてよく、および、テスト線136は黄色、マゼンタ、シアンのカラー付着物を逐次的に繰り返しているだろう。典型的には、テストパターン129は、プリントヘッド20が正確に位置合わせされているかどうかを判定するために、プリントヘッド20によってプリントされる。テストパターン129は、プリントヘッド20が正確に位置決めされていると仮定してプリントされる。テストパターン129がプリントされ終わると、往復台14はテストパターン129の表面の上方を移動させられ、および、位置合わせセンサシステム132は、正確な位置からのテスト線136の偏差を測定するために、テストパターン129の少なくとも一部分をスキャンする。その次に、スキャンされた結果が、あらゆる識別された誤差を補正するために使用される。
【0108】
図19Aおよび図19Bは、テストパターンを横断するスキャンスポット(scan spot)の移動経路171を示す。図19Aは公称上のX軸位置合わせパターン170を示す。検出される区域142が、線対複製方向(line pair replication direction)173の方向において、プリントされた線の上方を通過する時に、光センサ163は、光源137を起源とする反射光を受け取る。カラーバーの反射率は、プリントされていない背景(一例では、プリントされていない背景は白色である)とは異なり、および、色の反射率はこれらの色の相互間で互いに異なる。図19Bに示されているように、ターゲットの基本単位は、線対174のような線対であり、この線対は、単色の基準線135と、第1のカラーバー176と第2のカラーバー177と第3のカラーバー178とを含む規則正しく変化する短いバー191の配列181を含むテスト線136とを含む。カラーバー176、177、178は、集合的に、テスト線136の構成要素である。この線対174は、例えば基準線135のような連続した基準線の間において一定不変のピッチ(「P」)197を伴って、示されている方向に周期的に繰り返される。図19Bの例示的な実施形態では、線対174は11回繰り返されている。しかし、線対の数は、特定の用途および/または所望の精度レベルに適合するように変化するだろう。
【0109】
一実施形態では、スキャンスポットは、基準線135に対して垂直な移動経路に沿って線対174の配列を横断する。図19Bに示されている実施形態では、ターゲットの完全な検査は33回のスキャンスポットの通過を必要とする。3つの典型的なスキャン経路移動経路171が示されている(図19Aを参照されたい)。一実施形態では、カラーバー176、177、178の幅と、カラーバーの相互間の最小予想間隔と、スキャンスポットのサイズとが互いに実質的に等しくなければならない。図19Bに示されているカラーバー176、177、178は、基準線ピッチP 197の約1/2に等しい間隔で規則正しく変化する。例示的な短いバーが短いバー191として識別される。一実施形態では、変化の増分(「δ」)が典型的には300dpiで2ピクセルであり、すなわち、0.1778mm(0.007in)であるだろう。カラーバー176、177、178の3つの短いバーの一番上のグループの位置は、2つの基準線135の間の等距離である、公称上でプリントされる。その配列を下方に進むと、3つのカラーバー176、177、178から構成されるグループが、例えば+/−nδのような増分量だけ中央位置からずれており、この場合に「n」は整数である(例えば、1δ、2δ、3δ等)。基準線135とテスト線136の幅とピッチは、信号コントラストを最適化するように選択される。本明細書で示されている寸法は単なる例示であるにすぎず、したがって限定的なものとして理解されてはならない。
【0110】
図20Aから図20Dは、単一のスキャンスポット移動経路171に対する位置合わせプロセスの一実施形態を示す。図20Aと図20Bは、基準線135とテスト線136とを横断する往復台移動193の方向における単一のスキャンスポット通過移動経路171を示す。プリントされたカラーバーの上をスキャンスポットが通過する時に、光センサは、光源137を起源とする反射光を受け取る。カラーバーの反射率は、プリントされていない背景とは異なり、かつ、その色の反射率は互いに異なる。図20Cはセンサ出力信号を示し、このセンサ出力信号は、カラーバー間隔と、異なる色反射率を原因とするピーク振幅変動とに関係している強い周期性を示す。
【0111】
図20Dに示すように、あらゆる信号が、任意の多数のシヌソイドの合計として表現されることが可能であり、このシヌソイドの各々は、一定不変の別々の周波数と、一定不変の振幅と、固定された基準に対する一定不変の位相関係とを有する。信号の正弦波成分を抽出するプロセスがフーリエ分析と呼ばれている。一般的な実際的アプローチが、信号をディジタル化し、その次に高速フーリエ変換(「FFT」)のような計算アルゴリズムを使用することである。図20Dは、図20Cに示されている信号の素高調波成分(principle harmonic constituent)を示す。これらの成分の周波数は、テストパターン129に与えられた幾何学的制約によって固定されている。各成分の大きさは、色反射率の差によって、および、調整可能カラーバーの中央位置に対するその調整可能カラーバーの変位(「E」)183(図20Bを参照されたい)によって影響される。基準バー周波数の3倍の周波数を有する高調波成分の大きさが、正確な位置合わせからのカラーテストバー(color test bar)の変位に応じて増大し、および、この変位の大きさを測定するために使用されることが可能である。図20Dは、空間周波数と、第1高調波ピーク185と、第2高調波ピーク186と、第3高調波ピーク187と、第5高調波ピーク188とを示す、センサ出力のグラフ表現である。第1の高調波ピーク185は位置合わせ不良の指標として使用されてもよい。
【0112】
図21Aおよび図21Bは、本発明によるテストパターンの一実施形態における位置合わせ不良を示す位置合わせパターンを示す。上述したように、図19Aの位置合わせパターンは、正確な位置合わせ状態のプリントヘッド20によってプリントされるように示された。図21Aは、位置合わせ不良のプリントヘッド20によってプリントされた位置合わせパターンを示す。第2のカラーバー192を含む調整可能なカラーバーの各々が、実際には、その公称上の正確な位置からずれている位置にプリントされる。図に示されているように、この位置合わせパターンを使用して各々の色の位置誤差183を求めるために、このパターンの端から端までの合計11回のスキャンが必要とされる。各々のスキャンは、図20Cに示されている種類の信号を生じさせるだろう。これらの信号の各々に関して、第3高調波の大きさがディジタルFFTまたはアナログフィルタリングによって導き出されることが可能である。第3高調波の大きさが位置合わせ不良に応じて確実に増大するが、位置合わせ不良は高調波の大きさの1つの成分にすぎない。そのピークの一部分が一定不変であり、および、線の幅/間隔比率に依存する。そのピークの一部分は可変的であり、および、カラーバーがどれだけ適切に基準線135の相互間の中央に位置しているかに依存する。
【0113】
どの公称上のカラーバー変位において第3高調波の大きさが最小化されるかを判定することが、これらの他の成分を計算から除外することが可能である。各々のスキャンに関する例えば第3の高調波のような当該の高調波の最大値が収集される。これらのデータ点の曲線を当てはめることと、この当てはめられた曲線(図21Bを参照されたい)の最小点を求めることとによって、位置合わせパターン階段分解(alignment pattern step resolution)の一部分の中に位置合わせ不良を決定することが可能である。例えば、検査を受けるプリントヘッドが正確に位置合わせされた場合には、当てはめられた曲線の最小点はゼロの公称上のカラーバー変位175に一致するだろう。
【0114】
この最小点の位置が正確な補正係数をもたらす。一実施形態では、この補正係数は、プリントヘッドに対する発射信号のタイミングを変更してプリントヘッド出力の位置を変更するために使用される。明確に述べると、この実際の測定された位置合わせ不良は、プリントヘッド20が早めにまたは遅く「発射」することを生じさせる補正幾何学的オフセット(corrective,geometric offset)として使用されることが可能であり、したがって、機械的な位置合わせ不良がプリント中に自動的に補償されることが可能である。この結果として、非常に高レベルのプリント精度が得られることが可能であり、複数のプリントヘッドを使用する時にさえも寸法的に正確な3次元物品の形成を結果的にもたらすことが可能である。一実施形態では、あらゆる3次元部品をプリントする前に、および/または、プリントヘッドが交換された後に、この位置合わせプロセスが行われる。
【0115】
本発明の特定の実施形態を説明してきたが、本明細書に開示されている着想を組み入れている他の実施形態が、本発明の着想と範囲とから偏差することなしに使用されてよいということが、当業者にとって明らかだろう。上述の実施形態は、全ての点において、例示的でありかつ非限定的であるにすぎないとみなされなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元プリンタ内の複数のプリントヘッドを位置合わせするためのテストパターンであって、
複数の実質的に等間隔に置かれた単色の基準線と、
前記複数の基準線と共に交番パターンの形で配置されている複数のテスト線であって、
各々のテスト線が前記基準線の単色と異なる色の少なくとも一つのバーを含んでいる複数のテスト線と、
を含むテストパターン。
【請求項2】
前記複数の基準線は高速軸プリントヘッド行程に対して実質的に平行に方向配置されており、および、複数の第2の基準線は前記高速軸プリントヘッド行程に対して実質的に垂直に方向配置されている請求項1に記載のテストパターン。
【請求項3】
複数のプリントヘッドへの発射信号のタイミングを変更して該プリントヘッドを位置合わせするための補正係数を求める方法であって、
ビルド表面上にテストパターンをプリントする段階と、
前記テストパターンを表す電気信号を生成する段階と、
少なくとも1つの周波数における前記電気信号の高調波成分を求めるために、前記電気信号を分析する段階と、
前記電気信号の前記高調波成分に基づいて補正係数を求める段階と、
を含む方法。
【請求項4】
電気信号を生成する前記段階は、
前記テストパターンを照明する段階と、
予め決められた位置において前記テストパターンの反射率を測定する段階と、
を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
電気信号を分析する前記段階は、アナログフィルタとディジタルフィルタの少なくとも一方の適用によって、予め決められた周波数における前記信号の高調波成分を求める段階を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記補正係数は、前記選択された高調波の最小値が求められる公称上のカラーバーの変位に近い請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記補正係数は、高調波値に当てはめられている(表している)分析曲線の最小値を発見することによって求められる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記補正係数は第3高調波値から求められる請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記補正係数は第1高調波値から求められる請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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【図11H】
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【図11I】
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【図11J】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図21A】
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【図21B】
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【公開番号】特開2013−47003(P2013−47003A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193837(P2012−193837)
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【分割の表示】特願2007−532487(P2007−532487)の分割
【原出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(597013711)スリーディー システムズ インコーポレーテッド (43)
【Fターム(参考)】