説明

3D映像表示システム、3D視聴用メガネ及び3D映像表示装置

【課題】1台の3D映像表示装置を複数の視聴者が視聴中であっても、3D視聴用メガネ側で個別に適正視聴距離より接近したか否かを検出することにより、適正視聴距離より接近しすぎた視聴者に対してのみ警告を発し、適正視聴距離で視聴している視聴者に対しては、快適な視聴を維持する。
【解決手段】本発明の3D視聴用メガネは、3D映像表示装置から赤外線と超音波の2つの方式で伝送される映像同期信号を受信し、赤外線で受信した信号と超音波で受信した信号の位相が3D映像表示装置との距離により変化することを用いて距離を計測し、3D映像表示装置と3D視聴用メガネとの距離が、適正視聴距離(視聴画面の約3倍)より近づいたことを検出した場合、3D視聴用メガネは、3D映像視聴機能を停止することで適正視聴距離より接近した視聴者に警告を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3D映像表示システム、3D視聴用メガネ及び3D映像表示装置に関し、更に詳しくは、3D視聴用メガネを用いて3D映像表示装置を視聴中に適正視聴距離より近づくと近づいた人にだけ、警告を発することが可能な3D映像表示システム、3D視聴用メガネ及び3D映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3D映像の視聴に関しては、長時間の視聴や適正視聴距離(視聴画面の約3倍)より近づくことによる健康問題などが指摘されている。そのため、3D映像表示装置を視聴中に適正視聴距離より近づくと、警告を発する機能を有する3D映像表示装置も存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平01−206798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の3D映像表示装置では、3D映像表示装置側で視聴者の接近を検出して警告を発するため、複数の視聴者が同時に存在している場合には、適正視聴距離より近づきすぎた視聴者だけでなく、適正視聴距離で視聴中の視聴者に対しても警告を発してしまうという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、3D視聴用のメガネを使用する方式の3D映像表示システムにおいて、3D視聴用メガネで3D映像表示装置との距離を検出し、適正視聴距離か否かを判断して警告を発することで、適正視聴距離より接近しすぎた視聴者に対してのみ警告を発し、適正視聴距離で視聴している視聴者に対しては、快適な視聴を維持することが可能な3D映像表示システム、3D視聴用メガネ及び3D映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明の3D視聴用メガネは、3D映像表示装置から赤外線と超音波の2つの方式で伝送される映像同期信号を受信し、赤外線で受信した信号と超音波で受信した信号の位相が3D映像表示装置との距離により変化することを用いて距離を計測し、3D映像表示装置と3D視聴用メガネとの距離が、適正視聴距離(視聴画面の約3倍)より近づいたことを検出した場合、3D視聴用メガネは、3D映像視聴機能を停止することで適正視聴距離より接近した視聴者に警告を発する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、1台の3D映像表示装置を複数の視聴者が視聴中であっても、3D視聴用メガネ側で個別に適正視聴距離より接近したか否かを検出することにより、適正視聴距離より接近しすぎた視聴者に対してのみ警告を発し、適正視聴距離で視聴している視聴者に対しては、快適な視聴を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】3D視聴用メガネを用いた3D映像表示システムの一般的な構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における3D視聴用メガネを用いた3D映像表示システムの構成を示すブロック図
【図3】同実施の形態における同期信号の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、3D視聴用メガネを用いた3D映像表示システムの一般的な構成を示すブロック図である。3D映像表示システムは、3D映像表示装置100と3D視聴用メガネ1000から構成される。3D映像表示装置100では、同期処理部101が生成した3D視聴用メガネ1000を制御するための同期信号(3D視聴用メガネ信号の同期信号)を、赤外線送信部102を用いて3D視聴用メガネ1000に送信する。3D視聴用メガネ1000は、赤外線受信部1001において3D視聴用メガネ制御の同期信号を受信する。そして、同期処理部1002において、赤外線受信部1001で受信した3D視聴用メガネ制御の同期信号を3D視聴用メガネ1000の左右の液晶シャッターを制御するための信号に変換し、液晶制御部1003において、同期処理部1002が変換した信号を用いて、3D視聴用メガネ1000の左右の液晶シャッターの開閉を制御して、視聴者に3D映像表示装置100が表示した3D映像を視聴させる。このため、3D視聴用メガネ1000は、3D映像表示装置100から同期信号を受信している限り、適正視聴距離に関係なく、3D映像が視聴可能な状態を維持する。
【0011】
図2は、本実施の形態における3D視聴用メガネを用いた3D映像表示システムの構成を示すブロック図である。そして、図3は、本実施の形態における同期信号の状態を示す図である。以下、図2及び図3を用いて、本実施の形態にかかる3D映像表示システムの警告処理について説明する。
【0012】
3D映像表示システムは、3D映像表示装置200と3D視聴用メガネ2000から構成される。3D映像表示装置200は、同期処理部201と、信号遅延調整部202と、赤外線送信部203と、超音波送信部204とから構成される。3D視聴用メガネ2000は、赤外線受信部2001と、超音波受信部2002と、第1同期処理部2003と、第2同期処理部2004と、位相比較部2005と、距離判別部2006と、液晶制御部2007とから構成される。
【0013】
3D映像表示装置200の同期処理部201は、3D映像に同期している同期信号301(元となる同期信号)に対して4つに1つの割合で、パルスの幅を2倍に広げた波形302(3D視聴用メガネ制御の同期信号)を生成する。同期処理部201が生成した3D視聴用メガネ制御の同期信号302は、赤外線送信部203によって、3D視聴用メガネ2000の赤外線受信部2001に送信される。信号遅延調整部202は、3D視聴用メガネ制御の同期信号302に対して3D映像表示装置200の画面の3倍の高さ(単位メートル)÷340の時間の位相差を生じさせた信号303(距離測定用の同期信号)を生成する。信号遅延調整部202が生成した同期信号303は、超音波送信部204によって、3D視聴用メガネ2000の超音波受信部2002に送信される。
【0014】
3D視聴用メガネ2000は、赤外線受信部2001で3D視聴用メガネ制御の同期信号302を受信し、超音波受信部2002で距離測定用の同期信号303を受信する。第1同期処理部2003は、3D視聴用メガネ制御の同期信号302において2倍に広げられたパルスだけからなる波形304を生成する。液晶制御部2007は、赤外線受信部2001で受信された3D視聴用メガネ制御の同期信号302を用いて液晶シャッターを制御し、視聴者に3D映像を視聴させる。
【0015】
第2同期処理部2004は、距離測定用の同期信号303において2倍に広げられたパルだけからなる波形304を生成する。位相比較部2005は、第1同期処理部2003で生成された同期信号304と第2同期処理部2004で生成された同期信号304の位相差を比較する。超音波で送信された同期信号は、赤外線で送信された同期信号よりも3D映像表示装置から距離が離れるほど、光と音の伝搬速度の差によりに受信が遅れる。3D視聴用メガネ2000に送信されてくる2つの同期信号(3D視聴用メガネ制御の同期信号302、距離測定用の同期信号303)は、予め、信号遅延調整部202により、3D映像表示装置200の画面の3倍の高さ(単位メートル)÷340の時間の位相差を生じさせて送信されている。そのため、適正視聴距離では2つの同期信号の位相差がなくなり、適正視聴距離より近づくと超音波で送信された同期信号が赤外線で送信された同期信号より早くなり、適正視聴距離より離れると超音波で送信された同期信号が赤外線で送信された同期信号より遅くなる。距離判別部2006は、位相比較部2005の検出結果を用いて、3D視聴用メガネ2000を装着した視聴者が適正視聴距離より近づいた状態を検出すると、液晶制御部2007に対して、3D映像での視聴を停止させる信号を発生する。液晶制御部2007は、3D映像での視聴を停止させる信号が入力されると、液晶シャッターの開閉動作を停止させ、3D映像を2D映像で視聴させることにより視聴者が適正視聴距離範囲内に存在することを警告する。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明によれば、1台の3D映像表示装置を複数の視聴者が視聴中であっても、3D視聴用メガネ側で個別に適正視聴距離より接近したか否かを検出することにより、適正視聴距離より接近しすぎた視聴者に対してのみ警告を発し、適正視聴距離で視聴している視聴者に対しては、快適な視聴を維持することが可能となるので、3D視聴用メガネを用いて3D映像を視聴可能な全ての3D映像表示システムにおいて有用である。
【符号の説明】
【0017】
100、200 3D映像表示装置
101、201、1002 同期処理部
102、203 赤外線送信部
202 信号遅延調整部
204 超音波送信部
1000、2000 3D視聴用メガネ
1001、2001 赤外線受信部
1003、2007 液晶制御部
2002 超音波受信部
2003 第1同期処理部
2004 第2同期処理部
2005 位相比較部
2006 距離判別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D映像表示装置に表示された3D映像を3D視聴用メガネで視聴可能な3D映像表示システムであって、
前記3D映像表示装置は、
映像同期信号のパルス幅を所定の割合で2倍に広げた第1の同期信号を生成する同期処理部と、
前記第1の同期信号を赤外線信号として送信する赤外線送信部と、
前記第1の同期信号に所定の時間の位相差を発生させた第2の同期信号を生成する信号遅延調整部と、
前記第2の同期信号を超音波信号として送信する超音波送信部と、を備え、
前記3D視聴用メガネは、
前記第1の同期信号を受信する赤外線受信部と、
前記第2の同期信号を受信する超音波受信部と、
受信された前記第1の同期信号において2倍に広げたパルスだけから構成される第1信号を生成する第1同期処理部と、
受信された前記第2の同期信号において2倍に広げたパルスだけから構成される第2信号を生成する第2同期処理部と、
前記第1信号と前記第2信号の位相差を比較する位相比較部と、
前記位相比較部の比較結果に応じて、前記3D映像表示装置と前記3D視聴用メガネとの距離を判断し、前記距離が適正視聴距離内であると判断された場合は3D映像での視聴を停止させる停止信号を出力する距離判断部と、
受信された前記第1信号または前記停止信号に応じて、液晶シャッターの開閉を制御する液晶制御部と、
を具備することを特徴とする3D映像表示システム。
【請求項2】
3D映像表示装置に表示された3D映像を3D視聴用メガネで視聴可能な3D映像表示システムであって、
前記3D映像表示装置は、
映像同期信号のパルス幅を所定の割合で2倍に広げた第1の同期信号を生成する同期処理部と、
前記3D視聴用メガネに対して、前記第1の同期信号を赤外線として送信する赤外線送信部と、
前記第1の同期信号に所定の時間の位相差を発生させた第2の同期信号を生成する信号遅延調整部と、
前記3D視聴用メガネに対して、前記第2の同期信号を超音波として送信する超音波送信部と、を具備することを特徴とする3D映像表示装置。
【請求項3】
3D映像表示装置に表示された3D映像を3D視聴用メガネで視聴可能な3D映像表示システムであって、
前記3D視聴用メガネは、
前記3D映像表示装置から、映像同期信号のパルス幅を所定の割合で2倍に広げた第1の同期信号を赤外線信号として受信する赤外線受信部と、
前記3D映像表示装置から、前記第1の同期信号に所定の時間の位相差を発生させた第2の同期信号を超音波信号として受信する超音波受信部と、
受信された前記第1の同期信号において2倍に広げたパルスだけから構成される第1信号を生成する第1同期処理部と、
受信された前記第2の同期信号において2倍に広げたパルスだけから構成される第2信号を生成する第2同期処理部と、
前記第1信号と前記第2信号の位相差を比較する位相比較部と、
前記位相比較部の比較結果に応じて、前記3D映像表示装置と前記3D視聴用メガネとの距離を判断し、前記距離が適正視聴距離内であると判断された場合は3D映像での視聴を停止させる停止信号を出力する距離判断部と、
受信された前記第1信号または前記停止信号に応じて、液晶シャッターの開閉を制御する液晶制御部と、
を具備することを特徴とする3D視聴用メガネ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−256996(P2012−256996A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127872(P2011−127872)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】