説明

3D映像視聴装置、3D映像の視聴方法

【課題】視聴者が3D映像視聴装置を装着しても、テレビが視聴されていないことがある。このような場合に、3Dメガネの制御に用いられる電力が無駄になり、消費電力の低減が課題になっていた。
【解決手段】実施形態に係る3D映像視聴装置は、3D映像表示装置近傍から出力される第1の信号を受信し、3D映像を視聴可能であることを検出する手段と、3D映像視聴装置を利用する人の眼球運動を測定し、人の視線が3D映像を視聴可能であることを検出する手段を備えている。そして、3D映像視聴装置および、人の視線の両者が3D映像を視聴可能であると検出された場合に、シャッターをON制御するように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、3D映像の視聴に用いられる3D映像視聴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、テレビに立体映像(3D映像)を表示する3Dテレビが普及しつつある。
この3D映像を視聴する際は、いわゆる3Dメガネや3D眼鏡と呼ばれる、3D映像視聴装置が用いられることが一般的である。
3D映像視聴装置は、一般には、電気的な制御を行うことにより、3D映像の視聴を可能としている。視聴者は、この3D映像視聴装置を装着することにより、3D映像を視聴する。
【0003】
しかし、視聴者が3D映像視聴装置を装着した場合においても、視聴者が3D映像を視聴しない場合がある。
例えば、新聞や雑誌を読んだり、よそ見をしたり等、他のことをしながらテレビを視聴する、いわゆる「ながら」視聴は一般的である。この「ながら」視聴においては、視聴者はテレビの電源をONにし、3Dテレビの映像は表示されているが、実際には、視聴者はテレビを視聴していない時間が存在する。
【0004】
この視聴者がテレビを視聴していない時間においても、3D映像視聴装置は電気的な制御を行うことにより、3D映像の視聴を可能としている。したがって、例えば、この3D映像視聴装置の制御に用いられる電力が無駄になっていた。このような無駄を省き、消費電力を低減することが課題になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1-147991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、3D映像視聴装置は、電気的な制御を行うことにより、3D映像の視聴が可能となるようにしている。しかし、視聴者が3D映像視聴装置を装着しても、テレビが視聴されていないことがある。
【0007】
このような視聴者がテレビを視聴していない場合に、例えば、3Dメガネの制御に用いられる電力が無駄になっており、消費電力の低減が課題になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、3D映像視聴装置は、3D映像の視聴を電気的にON/OFF制御するシャッターを備えている。
また、3D映像表示装置またはその近傍から出力される第1の信号を受信し、3D映像視聴装置が3D映像を視聴可能であることを検出する視聴装置検出手段と、3D映像視聴装置を利用する人の眼球運動を測定し、前記人の視線が前記3D映像を視聴可能であることを検出する視線検出手段を備えている。
【0009】
そして、3D映像視聴装置および、人の視線の両者が3D映像を視聴可能であると検出された場合は、シャッターをON制御するように構成している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係わる3D映像視聴装置および3D映像表示装置の外観を示す図。
【図2】実施形態に係わる3D映像視聴装置の構成を示すブロック図。
【図3】実施形態に係わる3D映像視聴装置の動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、この発明の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図1は、実施形態に係わる3D映像視聴装置および3D映像表示装置の外観を示す図である。
符号001は3D映像表示装置(3Dテレビ)、符号002は3D映像視聴装置(3Dメガネ)、符号003は第1の信号出力部(赤外線LED)、符号004は眼球運動測定部である。
【0012】
この実施形態に係わる3D映像視聴装置(3Dメガネ)002は、3D映像表示装置(3Dテレビ)001に表示される3D映像の視聴に用いられ、この3D映像の視聴を電気的にON/OFF制御するシャッター004を備えている。
【0013】
3D映像表示装置(3Dテレビ)001または、その近傍には第1の信号出力部(赤外線LED)003が設けられている。
3D映像視聴装置(3Dメガネ)002には、3Dテレビ001と3Dメガネ002の方向の一致を検出するために設けられた赤外線LED光検出部(図示せず)が設けられ、第1の信号出力部(赤外線LED)003から出力された赤外線信号(第1の信号)を受信し、3Dメガネ002が3Dテレビ001に表示された3D映像を視聴可能であるか否かを検出する。
【0014】
ここでは、例えば所定の基準値を予め、3Dメガネ002内に保持し、受信した赤外線信号の値をこの基準値と比較し、3D映像を視聴可能であるか否かを検出する。
また、3D映像視聴装置(3Dメガネ)002には、3D映像視聴装置を利用する人の眼球運動を測定する眼球運動測定部004(後述)が設けられている。
この、眼球運動の測定により、人の視線が3D映像を視聴可能であるか否かを検出する。
そして、3Dテレビ001と3Dメガネ002の方向が一致すること、および、人の視線が3Dテレビ001を視聴している状態にあると判断された場合は、3Dメガネ002に設けられたシャッター004がONとなるように制御する。
【0015】
図1(a)は、3Dメガネ002が3Dテレビ001に表示された3D映像を視聴可能な方向を向いており、また、人の視線が3Dテレビ001を視聴している状態にあるため、シャッター004がONとなっていることを示している。
【0016】
図1(b)は、3Dメガネ002が3Dテレビ001に表示された3D映像を視聴可能な方向を向いていないため、シャッター004がOFFとなっていることを示している。
【0017】
図1(c)および(d)は、3Dメガネ002が3Dテレビ001に表示された3D映像を視聴可能な方向を向いているが、人の視線は3Dテレビ001を視聴している状態にないため、シャッター004がOFFとなっていることを示している。
【0018】
図2は、実施形態に係わる3D映像視聴装置の構成を示すブロック図である。
符号101はアンテナ部、符号102はチューナ部、符号103はデコード部、符号104は3D表示制御部、符号105は同期信号発信部である。
符号201は同期信号受信部、符号202はシャッター制御部、符号203はシャッターON/OFF制御部、符号204は視線検出部、符号205はテレビ位置検出部、符号206は視線判定部である。
【0019】
この実施の形態においては、テレビ側001に、アンテナ部101、チューナ部102、デコード部103、3D表示制御部104、同期信号発信部105が構成される。
【0020】
また、メガネ側002に、同期信号受信部201、シャッター制御部202、シャッターON/OFF制御部203、視線検出部204、テレビ位置検出部205、視線判定部206、眼球運動測定部004が構成される。
【0021】
アンテナ部101は、デジタル放送等の映像信号を受信する。チューナ部102は、このデジタル放送等を受信・選局する。デコード部103は、受信した映像信号をテレビに表示可能なようにデコード(信号変換)する。
【0022】
3D表示制御部104は、フレームシーケンシャル方式でデジタル放送を表示するための制御を行う。
同期信号発信部105は、フレームシーケンシャル方式の表示にあわせ、アクティブシャッターメガネ(3Dメガネ002)を制御するための信号を発信する。
同期信号受信部201は、同期信号発信部105から発信された信号を受信する。
テレビ位置検出部205は、3Dメガネ002から見たテレビ位置(方向)を検出する。テレビの位置を検知するには、CMOSセンサー等の技術を使って検出することが可能である。ここでは、上記のように、テレビ側001で赤外線LEDを2箇所で発光させ、その赤外線を3Dメガネ002で検出することによって、テレビまでの距離と位置と方向を検知することが可能である。
【0023】
同期信号受信部201で受信された同期信号は、3Dテレビ001との同期をとるために用いられる。
視線検出部204は、上記のように、3Dメガネ202を装着している人の3Dテレビ001に対する視線の向きを検出する。この人の視線検出に、眼球運動測定部004における眼球運動の測定結果が用いられる。
【0024】
ここで、実施の形態に係る眼球運動の測定について説明する。
眼球運動の測定については、例えば、強膜反射法、EOG法、角膜反射法が適用可能である。
(強膜反射法)
強膜反射法は、角膜(黒目)と強膜(白目)の反射率の違いを利用して眼球運動を検出する。
(EOG法)
EOG法は、眼球中の角膜部が、網膜側に対して10〜30μVの正の電位を有していることを利用して、眼のまわりの皮膚上に電極を装着することにより測定する。
(角膜反射法)
角膜反射法は、角膜の曲率中心と眼球の回転中心が異なることを利用して、眼球に入射したスポットライトの角膜内部の虚像が、眼球の動きとともに相対的に移動するのを例えば、テレビカメラで撮影し、測定する。
【0025】
視線判定部206は、上記視線検出部204で測定された3Dメガネ202を装着している人の3Dテレビ001に対する視線と、テレビ位置検出部205で検出された3Dテレビ001の方向を用いて、総合的に人の視線がテレビを向いているか否かを判定する。
【0026】
シャッター制御部202は、3Dメガネ002における3D映像のシャッター制御に用いられる。
上記のように、3Dメガネ002が3Dテレビ001に表示された3D映像を視聴可能な方向を向いていない場合は、シャッター制御部202は、3Dメガネ002メガネのシャッターをOFF制御する。
【0027】
また、視線判定部206で、人の視線がテレビを向いていないと判定された場合は、3Dメガネ002のシャッターをOFF制御する。
3Dメガネ002が3Dテレビ001の方向を向いており、人の視線も3Dテレビ001の映像を視聴していると判定された場合は、3Dメガネ002メガネのシャッターをON制御する。
【0028】
また上記に加え、時間を計測するタイマー等を備えることも可能である。
この時、人の視線が外れた時間を計測し、予め決められた時間と比較する。この決められた時間以上に時間が経過した場合に、視線が外れたと判定することで、瞬きでシャッターがOFFする誤動作を防止することも可能である。
【0029】
図3は、実施形態に係わる3D映像視聴装置の動作を説明するフローチャートである。
符号S100は、ここでの開始ステップである。続いて、符合S101を付したステップへ進む。
符号S101は、3Dメガネ002から見た3Dテレビ001の位置を検出するステップである。人が装着している3Dメガネ002が3Dテレビ001の方向を向いているかを判定する。3Dメガネ002が3Dテレビ001の方向を向いていると判定された場合は符合S102を付したステップへ進む(Yes)。3Dメガネ002が3Dテレビ001の方向を向いていないと判定された場合は符合S106を付したステップへ進む(No)。
【0030】
符号S102は、メガネを装着している人の視線を検出するステップである。続いて、符合S103を付したステップへ進む。
符号S103は、ステップS101で検出された3Dテレビ001の方向と、ステップS102で検出された3Dメガネ002装着者の視線の方向が一致しているかを判定するステップである。この時、瞬きや一瞬だけ視線が外れたことにも対応できるように、タイマー等を内蔵し、ある一定期間視線が外れたら視線OFFと判定することも可能である。3Dテレビ001の方向と3Dメガネ002装着者の視線の方向が一致していると判定された場合は符号S104を付したステップへ進む(Yes)。3Dテレビ001の方向と3Dメガネ002装着者の視線の方向が一致していると判定されない場合は符号S106を付したステップへ進む(No)。
【0031】
符号S104は3Dテレビ001から送信された同期信号を受信するステップである。続いて、符合S105を付したステップへ進む。
符合S105は、同期信号にあわせて、3Dメガネ002のシャッター制御をONするステップである。続いて、符合S101を付したステップへ進み、上記処理が繰り返される。
【0032】
符合S106は、ステップS101でテレビ方向をメガネが向いていない場合と、ステップS103でテレビ位置と視線の方向が不一致であると判定された場合に、3Dメガネ002のシャッター制御をOFFにするステップである。続いて、符合S101を付したステップへ進み、上記処理が繰り返される。
【0033】
符号S107は、終了ステップであり、ここでの処理は終了する。
上記のように構成することによって、この実施形態においては、人が3Dテレビを見ていない時に、不要なシャッター制御を抑えることが可能になるという効果がある。
【0034】
これにより、3D映像視聴装置で使用される電力消費を低減することが可能になるという効果がある。
また、3Dテレビから視線を外した場合に、3Dメガネをかけたままでも視界を明るくすることができ、安全面にも配慮できるという効果がある。
また、3Dメガネを装着したまま、ちょっとした「ながら」作業(食事、来客対応など)を行うことに支障がなくなるという効果がある。
また、メガネ装着/未装着のわずらわしさを軽減することができるという効果がある。
また、視線検出やテレビ位置検出部を、3Dメガネ側に持たせることにより、複数の人でテレビを観賞している場合にも、視線を向けている人と向けていない人の区別をしなくてよいという効果がある。
【0035】
また、視線判定時タイマー等で時間測定を行うことで、瞬きや瞬時の視線ずれなどによってシャッターOFFし過ぎることを防止できるという効果がある。
(第2実施形態)
さらに水平検出部を設け、水平を考慮したシャッター制御を行うことも可能である。
(第3実施形態)
さらに動き検出部を設け、メガネ側が動いていると判定した場合に、シャッターをOFFする制御を行うことも可能である。
なお、上記実施形態は、記述そのものに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、構成要素を種々変形して具体化することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
001…3D映像表示装置(3Dテレビ)、002…3D映像視聴装置(3Dメガネ)、003…第1の信号出力部(赤外線LED)、004…眼球運動測定部、101…アンテナ、102…チューナ部、103…デコード部、104…3D表示制御部、105…同期信号発信部、201…同期信号受信部、202…シャッター制御部、203…シャッターON/OFF制御部、204…視線検出部、205…テレビ位置検出部、206…視線判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D映像の視聴に用いられる3D映像視聴装置において、
3D映像の視聴を電気的にON/OFF制御するシャッターと、
3D映像表示装置またはその近傍から出力される第1の信号を受信し、前記3D映像視聴装置が3D映像を視聴可能であることを検出する視聴装置検出手段と、
前記3D映像視聴装置を利用する人の眼球運動を測定し、前記人の視線が前記3D映像を視聴可能であることを検出する視線検出手段を備え、前記3D映像視聴装置および、前記人の視線の両者が前記3D映像を視聴可能であると検出された場合は、前記シャッターをON制御することを特徴とする3D映像視聴装置。
【請求項2】
前記3D映像視聴装置または、前記人の視線の少なくとも一つが前記3D映像を視聴可能であると検出されない場合は、前記シャッターをON制御しないことを特徴とする請求項1に記載の3D映像視聴装置。
【請求項3】
前記3D映像視聴装置または、前記人の視線の少なくとも一つが前記3D映像を視聴可能であると検出されない場合は、前記シャッターをOFF制御することを特徴とする請求項1に記載の3D映像視聴装置。
【請求項4】
さらに時刻を測定するためのタイマーを備え、前記人の視線が前記3D映像を視聴可能であると検出されない時間を測定し、この時間が予め決められた時間を越えた場合は、前記シャッターをON制御しないことを特徴とする請求項1または2に記載の3D映像視聴装置。
【請求項5】
さらに時刻を測定するためのタイマーを備え、前記人の視線が前記3D映像を視聴可能であると検出されない時間を測定し、この時間が予め決められた時間を越えた場合は、前記シャッターをOFF制御することを特徴とする請求項1または3に記載の3D映像視聴装置。
【請求項6】
前記眼球運動の測定は、強膜反射法、EOG法、角膜反射法の少なくともいずれか一つが用いられることを特徴とする請求項1乃至5に記載の3D映像視聴装置。
【請求項7】
3D映像表示装置またはその近傍から出力される第1の信号を受信し、前記3D映像視聴装置が3D映像を視聴可能であることを検出するステップと、
前記3D映像視聴装置を利用する人の眼球運動を測定し、前記人の視線が前記3D映像を視聴可能であることを検出するステップを備え、前記3D映像視聴装置および、前記人の視線の両者が前記3D映像を視聴可能であると検出された場合は、前記シャッターをON制御することを特徴とする3D映像の視聴方法。
【請求項8】
前記3D映像視聴装置または、前記人の視線の少なくとも一つが前記3D映像を視聴可能であると検出されない場合は、前記シャッターをON制御しないことを特徴とする請求項7に記載の3D映像の視聴方法。
【請求項9】
前記3D映像視聴装置または、前記人の視線の少なくとも一つが前記3D映像を視聴可能であると検出されない場合は、前記シャッターをOFF制御することを特徴とする請求項7に記載の3D映像の視聴方法。
【請求項10】
前記眼球運動の測定は、強膜反射法、EOG法、角膜反射法の少なくともいずれか一つが用いられることを特徴とする請求項7乃至9に記載の3D映像の視聴方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−228945(P2011−228945A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97081(P2010−97081)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】