説明

46種類の粘膜型ヒトパピローマウイルスを検出しタイプを特定するためのプローブセット

私達は46種類の粘膜型ヒトパピローマウイルス(HPV)を検出しタイプを特定するためのプローブセットを開発した。これらのプローブは、GP5+/GP6+プライマーの2つの保存領域の間に配置される可変領域を認識する。この出願では、NMLルミネックス遺伝子型決定法と称する、2段階PCR増幅及びルミネックスxMAP技術に基づくマルチプレックスアッセイを用いた。46種類のプローブは、それぞれ、46種類のHPVタイプのいずれかに由来するDNAに特異的にハイブリダイズするように設計されている。各プローブのハイブリダイゼーションは各タイプに特異的であり、タイプ間でクロスハイブリダイゼーションを起こすことはなく、そして、臨床サンプルに含まれるHPVDNAの遺伝子型決定のためにPCR産物を検出するのに充分な反応性を有する。また、直接シークエンス法等と、本NMLルミネックス遺伝子型決定法と、を比較検証した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(先願の情報)
本出願は、2010年1月19日に出願した米国仮特許出願第61/296,245号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の遺伝子型を特定するめの試薬及び方法に関する。とりわけ、本発明は、PCR増幅及びマイクロビーズを使用した検出を行うことにより、多重分析を行い、感染したHPVのタイプを特定するために臨床サンプルを試験する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトパピローマウイルスは、皮膚及び粘膜の角化上皮の至るところに感染する。これまでのところ、約120種類のHPVが明らかになっており、これらは各種類ごとに有病率及び疫学的・臨床的症状が異なる(de Villiers et al., 2004)。とりわけ、粘膜型のものは、生殖器、肛門、及び中咽頭の粘膜の角化上皮に感染する(Munoz et al., 2003; Munoz and Bosch, 1997; Van Ranset et al, 1992; Chan et al., 1995, D’Souza et al., 2007, Bosch et al., 2008)。粘膜型のHPVは、最も一般的には、性的接触により伝染し、性交が盛んな人々がとても高い確立で感染する。女性が生涯においてHPVに感染する確立は80%と推定される(Bekkers et al., 2004)。また、世界各地における活動性感染の有病率は1.4%〜25%程度であり、様々である。
【0004】
感染のうちの圧倒的多数は無害であり自己限定的であるが、一部の"高リスク"型HPVに感染した場合、持続感染を招く可能性があり、これはひいては悪性に転換し、浸潤癌に進行するおそれがある(Munoz et al., 2003)。子宮頸癌は、最も一般的なHPV関連悪性腫瘍であり、今日では、HPVが実質上全ての子宮頸癌の必要原因となっていることが明らかである(Bosch and Munoz, 2002; zur Hausen, 2002, Bosch et al., 2002; Munoz et al., 2003; Walboomers et al., 1999, Smith et al, 2007)。また、肛門管(Melbye and Sprogel, 1991; Palefsky et al., 1991)、陰門(Buscema et al., 1988)、陰茎(Gregoire et al., 1995; Iwasawa et al., 1993)、中咽頭の粘膜、その他の頭頸部組織(D’Souza, et al., 2001; Gillison et al., 2000; Syrjanen, 2005)にも、HPV関連悪性腫瘍が見つかることがある。
【0005】
HPV感染は、実質上全ての子宮頸癌の進行の必要原因となっている。そのため、パパニコロー法(パップ・テスト)を用いた昔ながらの細胞学的スクリーニングと平行して、あるいはその代用として、高リスク型HPVの検出が、子宮頸癌のスクリーニング方法として行われるようになってきている。当該スクリーニング方法を導入することにより、子宮頸癌スクリーニングプログラムの検出感度が向上し、性能価格比も向上する(Cuzik et al., 2008; Cuzick et al., 2003; Ronco et al., 2006; Schiffman et al., 2005; Kim et al., 2005; Davies et al., 2006; Mayrand et al., 2006; Cuzik et al., 2006)。
【0006】
近年、2種類の型特異性のHPVワクチン(16型、18型、6型及び11型に有効なMerck−Frosst社のガーダシル;16型及び18型に有効なGlaxo−Smith−Kline社のサーバリックス)が開発されている。臨床試験によると、これらのワクチンは、HPVの持続感染を防止し、また、悪性転換を招き得る頸部上皮の異形成変化を防止するのに、極めて有効である(Koutsky et al., 2002; Villa et al., 2005; Harper et al., 2004; Harper et al., 2006)。しかしながら、これらのワクチンは型特異性のものであるため、地域の人々の間でどのようなタイプのHPVが分布しているかを知っておくことが重要である。また、ワクチンの有効性や、ワクチンではカバー出来ないタイプのHPVの発生頻度の予想外の変化を、モニタリングするための監視システムを適所に設けることが重要である。
【0007】
それ故に、HPVの型特異的なテストが、現在行われているような研究目的の疫学調査での使用だけに限らず、日常的に広く受け入れられて使用されようになることが予想される。
【0008】
現在のところ、HPVのタイプを特定するためには、様々なPCR法による増幅が必要であり、また、PCR法に続いて、特定の配列を検出しなければならない。特定の配列を検出するのは、PCR産物を直接配列決定したり、RFLP法(多くの方法が文献に開示されている。例えば、Lungo et al., 1992; Menzo et al., 2008; Nobre et al., 2008; Santiago et al., 2006)を用いたり、特定のプローブを使用してサザンブロッティングやドットブロッティングを行ったり(例えば、Gregoire et al., 1989; Josefsson et al., 1999)、reverse−lineハイブリダイゼーション(Gravitt et al., 1998; Kleter et al., 1999; van der Brule et al., 2002; Melchers et al, 1999)を利用したり、DNAマイクロアレイ法(Min et al., 2006; Albrecht et al, 2006; Choi et al., 2003; Haung et al., 2004; Hwang eta la., 2003; Oh et al., 2004; Nuovo et al., 2008)を用いたり、その他の方法(例えば、Nishiwaki et al., 2008; Dell’Atti, 2007; Gao et al., 2003;Gharizadeh et al., 2007; Han et al., 2006; Lee et al., 2005; Liu et al, 2003; Zhang et al, 2003)を用いたりすることにより、行うことができる。とりわけ、reverse−lineブロット法は有効な方法であり、疫学調査に広く用いられている。InnoLiPA(van Hamont, 2006)及びロシュ社のリニアアレイ(Coutlee et al., 2006)は、2つの主要な業務用の遺伝子型決定方法であり、いずれもリバースハイブリダイゼーション技術を基礎とするものである。ロシュ社のリニアアレイ遺伝子型決定キットは、FDAの認可を得ているものであり、業務用の遺伝子型決定手法に主として用いられているものである。しかしながら、これらの手法は、処理量が多い場合の試験に適しておらず、また、結果を判定する際にバンドの明暗度を視覚により評価するので、評価に際し主観に頼ることとなる。
【0009】
ルミネックス社(米国テキサス州オースティン)により開発されたxMAP技術は、100種類の異なる「色」に着色されたマイクロビーズを利用するものである。この「色」は、マイクロビーズにカップリングされる2種類のスペクトル的に異なる蛍光色素の配合を調整することにより、100通りに染色されるのである。異なる色は、フローサイトメーターにより認識することができ、異なる種類のマイクロビーズの数を数えることができ、特異的な結合リガンドの存否を分析することができる。この技術は、血清学、遺伝子型決定、及びその他の解析的な適用における様々な多重アッセイの基礎となっている。ルミネックス社のウェブサイトには、ルミネックス技術の説明が掲載されており、また、文献リストが掲載されている。
【0010】
各タイプのマイクロビーズはそれぞれ特異的なリガンドに結合することが可能である。特異的なリガンドとは、例えばこの研究においては、各タイプのHPVに特異的なDNAプローブである。そして、これらのマイクロビーズはマルチプレックスアッセイを形成するために混合される。HPVサンプルに由来するPCR産物はビオチンでラベルされ、HPVのDNAが対応するプローブとハイブリダイズするように、プローブを保持しているビーズと混合された。それからフローサイトメーターによりマイクロビーズの異なる"色"が識別され、どのタイプがHPVのDNAに由来する蛍光を保持しているかが決定される。フローサイトメーターを作動させるコンピュータソフトウェアによりどのビーズが蛍光を発しているかが示され、それにより試料中に存在するHPVのタイプが特定される。この方法の利点は、一分析当たりの費用が安い点、高処理能力のアッセイを自動化できる可能性、及び、アッセイの必要性に応じてあるいは新しいタイプの発見に応じてマイクロビーズのタイプを追加し又は除去することが可能なことによる柔軟性にある。いくつかのマイクロビーズを基礎としたHPV遺伝子型決定のためのマルチプレックスアッセイが刊行物により公知となっている。Wallaceら(2005年)による方法は、45種類の粘膜HPVのためのプローブを用いた多重マイクロビーズアッセイである。しかしながら、形式的確認はわずかのタイプについてしか行われず、20種類のみが臨床サンプルから検出されたものであり、遺伝子型決定の結果についての独立した検証は行われないのである。Ohら(2007年)により公表されている方法は、15種類のHPVを検出するものであり、132個の臨床サンプルに対して検証が行われている。DNAマイクロアレイ遺伝子型決定法と対比した56サンプルも開示されている。Schmittら(2006年)による方法は、HPVプラスミド及び臨床サンプルと注意深く比較検証され、22種類の最も一般的な粘膜型HPVを網羅する。Jiangら(2006年)による方法は、26種類の粘膜型HPVの特異的なプローブを開示している。検証は、プローブと相補的な合成オリゴヌクレオチド及び限られた数の臨床サンプルを用いることにより、行われた。Qiagen(独国ヒルデン)によって開発された商業的な方法は、専売のプライマーセットを使用し、続いてルミネックスシステムを用いた検出を行うものであり、18種類の高リスク型HPVのタイプを特定することができる。このルミネックスキアゲン試験と、リバースラインブロットハイブリダイゼーションと、を比較した研究が少なくとも1つ公表されている(Semeら, 2009年)。
【0011】
ここに、私達は、新しいHPV型特異性のプローブのデザインを報告し、また、1回の反応で46種類の異なる粘膜型タイプを検出することができるマイクロビーズを用いたマルチプレックスアッセイを開発したことを報告する。このユニークなプローブセットには、従来からある方法と比べて、二つの新しいアイデアが導入されている。第一に、変異型や近縁種にあるタイプを判別可能とするべく特異性をより高めるために、従来よりも長いプローブ(30mers)を用いた。第二に、エキソヌクレアーゼを用いてPCR産物を選択的に分解することにより、一本鎖DNA産物を生産することとした。こうすることにより、ノイズに対するシグナルの比率が大きくなり、洗浄の過程が不要となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、複数種類のヒトパピローマウイルス(HPV)の遺伝子型を高精度に特定するめの試薬及び方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
私達は、46種類のDNAプローブのセットを提示し、また、ルミネックスxMAP技術を用いて46種類の粘膜型HPVを検出するためのPCR増幅法を提示する。この技術には、適切なマイクロビーズの混合物を用いる。各マイクロビーズは、それぞれ特異的なHPVプローブとカップリングされている。これを用いることにより、1つの反応チューブの中で46種類全てを同時に検出することができるのである。
【0014】
私達のデータによれば、全てのプローブが、相互にクロスハイブリダイゼーションを生じることがなく、反応性及び特異性が良好であり、46種類のHPVタイプの検出に適していることがわかる。この結論は、46タイプからの基準DNAの使用により支持され、また、HPVタイプの特定のためのスタンダードな方法である直接シークエンス法を用いた広範囲にわたる検証により支持される。
【0015】
このルミネックス法により、少なくとも32種類のHPVタイプから増幅したDNAを、同時にかつ正確に検出することができる。
【0016】
主要な商業用のHPVタイプ特定方法であるロッシュリニアアレイと比較することにより、NMLルミネックスアッセイが3種類以下のHPVタイプを含む臨床サンプルにおけるHPVタイプの特定に適していることがわかる。しかしながら、このPCR増幅方法は、4種類以上のHPVタイプに感染しているサンプルからのDNAを増幅する場合には効率が悪くなる。この問題は、PCR増幅法に起因する問題であり、プローブセットやルミネックス検出システムに起因する問題ではない。複数感染をしている場合に増幅の効率が悪くなることは、HPV52型、53型、61型、73型、84型、及び89型においては顕著な問題となるが、疫学及び臨床業務において最も重要となる主要な発癌性のHPVタイプの検出に際してはさして問題とはならない。
【0017】
4種類以上のHPVタイプに感染しているサンプルを除くと、NMLルミネックスによる検出結果とロッシュリニアアレイによる検出結果とは一致する。そのため、複数感染をしている頻度の高い母集団(例えばエイズウイルス感染者や、男性と性交する男性や、売春婦)に対してNMLルミネックス法を用いた場合、特定のタイプについての有病率を過小評価することにつながる。一方、4種類以上のタイプへの感染の有病率がごくわずかである女性の一般集団にNMLルミネックス法を用いた場合、ほとんどのタイプについての有病率の正確な結果を得ることができる。
【0018】
NMLルミネックスHPV遺伝子型決定法は、ほとんど全ての性器HPVタイプの検出をすることができるという利点を有し、また、2段階PCR法のおかげで非常に反応性が高いという利点を有する。ルミネックスxMAP技術により、サンプルを迅速に無干渉で読みとり、結果からの客観的な計算的解釈を得ることが可能となる。私達の当該方法には洗浄の過程がなく、また、目視する過程もないので、自動化を行いやすい。
【0019】
本発明の第一の態様によれば、サンプル中におけるヒトパピローマウイルス(HPV)タイプへの感染を検出しタイプを特定するための方法であって、以下の過程を全て含む方法が提供される。
a)少なくとも1種類のHPVタイプを含むことが疑われるサンプルを準備する過程。
b)前記サンプルに、HPVのL1領域を増幅するのに適切なプライマーを添加する過程。
c)前記サンプルをDNA増幅に適切な条件下でインキュベートする過程。
d)配列ID番号1〜46のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列を有する少なくとも一つのプローブを添加する過程。前記プローブはハイブリダイゼーション条件下でそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみ結合し、各前記少なくとも一つのプローブはさらに特有のタグを備える。
e)前記プローブ及び前記サンプルをハイブリダイゼーションに最適な条件下でインキュベートする過程。
f)少なくとも一つの前記タグ付きプローブのハイブリダイゼーションを検出する過程。
【0020】
本発明の第二の態様によれば、ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号1〜46のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセットが提供される。
【0021】
本発明の第三の態様によれば、ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号1、2、4又は5のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセットが提供される。
【0022】
本発明の第五の態様によれば、ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号4、5及び17のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセットが提供される。
【0023】
本発明の第六の態様によれば、ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号4、5、8、10、11、12、17、18、19、22、23、24、27及び29のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセットが提供される。
【0024】
本発明の第七の態様によれば、ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号6、4、5、7、8、10、11、12、17、18、19、20、22、23、24、27、28、29、30、31、34、37、40及び46のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセットが提供される。
【0025】
本発明の第八の態様によれば、ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号1、2、9、13、14、15、16、21、25、26、27、28、29、30、31、33、35、36、38、39、41、42、43、44及び45のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】HPV6型及びHPV16型の20merのプローブを用いた予備ハイブリダイゼーションテスト。HPV6型及び16型の20merのプローブ(表1を参照)とカップリングした2種類のマイクロビーズの混合物は、指示体積のPCR反応とハイブリダイズされ(パネルA及びパネルB)、あるいはHPV16型のプローブと厳密に相補的な20merのプローブとハイブリダイズされ(パネルC)、あるいは関係のないPCR産物(β−グロブリンDNA)とハイブリダイズされた。
【図2】この書類においては、46種類のHPVタイプにおけるプローブの配置について考察している。GP5+/GP6+プライマーの間に配置されるL1領域の配列が示してある。プライマーの配置はボックスで取り囲むことにより示してあり、プローブの配列は太字で下線付きで示してある。
【図3】ルミネックスビーズへのハイブリダイゼーションにおける、2段階PCR産物のT7エキソヌクレアーゼによる分解の効果。上述したように、HPV16型のDNAはMY09/My11及びGP5+/GP6+を用いた2段階PCRにより増幅され、その産物は所定時間の間T7エキソヌクレアーゼにより分解された。分解された後、PCR産物はHPV16型のプローブを保持したルミネックスビーズにハイブリダイズされ、上述のように検出された。GP6+プライマーは、ルミネックス技術による検出を可能とするために、5´ビオチン部分を含んでおり、また、5´末端から最初の4つのヌクレオチドには、この一本鎖をT7エキソヌクレアーゼの作用から保護するために、ホスホロチオエート結合が導入されている。黒い棒グラフ及び白い棒グラフはそれぞれ、陰性試料、及び、HPV16型のプローブと相補的なビオチニル化したオリゴヌクレオチドを含む試料の、蛍光シグナルを示している。
【図4】表4のデータを図示したもの。プローブが右軸に、HPVDNAが左軸に示してある。垂直方向の軸は、特異的なHPVプローブをカップリングしている各マイクロビーズの蛍光強度を示している。対角線上の棒グラフは、所望の対応するプローブとのHPVDNAタイプのハイブリダイゼーションを示している。
【図5】複数のHPVタイプの同時検出。本文に示されるように、複数のHPVタイプのDNAを含む試料が準備され、記載されているように、NMLルミネックス法により検出された。各試料に含まれるタイプの数は最も左の欄に示してある。左から2番目の欄には、混合物に追加されたHPVタイプを示してある。"+"の印は、結果が陽性であったことを示す(50FUを超えている場合)。アスタリスクは、結果が偽陽性あるいは偽陰性であったことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
別段の定義をしてない限り、ここで使用されている全ての技術的・科学的用語は、本発明の属する技術の属する分野における通常の知識を有する者が一般的に理解するのと同様の意味を有するものと解するものとする。本発明の実施及びテストに際しては、ここで説明されている方法及び材料を、これらと同様の又は均等なものと置き換えて用いることができるが、以降においては特に好適な方法及び材料のみについて説明する。以下で言及する全ての文献は、参照することにより本願明細書の一部とみなされる。
【0028】
46種類の性器HPVそれぞれの特定配列に基づいて、配列ID番号1〜46から成るDNAプローブが作成された。すなわち、6型(配列ID番号1)、11型(配列ID番号2)、13型(配列ID番号3)、16型(配列ID番号4)、18型(配列ID番号5)、26型(配列ID番号6)、30型(配列ID番号7)、31型(配列ID番号8)、32型(配列ID番号9)、33型(配列ID番号10)、35型(配列ID番号11)、39型(配列ID番号12)、40型(配列ID番号13)、42型(配列ID番号14)、43型(配列ID番号15)、44型(配列ID番号16)、45型(配列ID番号17)、51型(配列ID番号18)、52型(配列ID番号19)、53(配列ID番号20)、54型(配列ID番号21)、56型(配列ID番号22)、58型(配列ID番号23)、59型(配列ID番号24)、61型(配列ID番号25)、62型(配列ID番号26)、66型(配列ID番号27)、67型(配列ID番号28)、68型(配列ID番号29)、69型(配列ID番号30)、70型(配列ID番号31)、71型(配列ID番号32)、72型(配列ID番号33)、73型(配列ID番号34)、74型(配列ID番号35)、81型(配列ID番号36)、82型(配列ID番号37)、83型(配列ID番号38)、84型(配列ID番号39)、85型(配列ID番号40)、86型(配列ID番号41)、87型(配列ID番号42)、89型(配列ID番号43)、90型(配列ID番号44)、91型(配列ID番号45)、及び97型(配列ID番号46)である。それぞれのプローブを反応性が高く特異的なものとするために、これらのプローブは以下に示すとおり多重アッセイにより試験された。試験において、目的とするHPVタイプにハイブリダイズしないものや、他のタイプにクロスハイブリダイズしてしまうものは、再設計された。時には何度も再設計を繰り返した。最終的に、全てのプローブがそれぞれ固有のHPVタイプDNAにハイブリダイズするものとなった。したがって、各プローブはそれぞれ、単一の特異的なHPV遺伝子又はHPVタイプに特異的に結合する。表2には、プローブのデザインの履歴が示してある。
【0029】
多重アッセイにおいては、製造業者の使用説明書に従い、各プローブはそれぞれ46種類の蛍光マイクロビーズのいずれかに結合された。各マイクロビーズは、赤色及び赤外蛍光色素を独自の異なる配合で組み合わせて染色したものである。ルミネックス社により製造されるマイクロビーズは、2種類の蛍光色素の組み合わせにより100種類の異なる色に色分けされたものであり、赤色レーザーを用いたフローサイトメーターにより色を認識するとともに数を数えることができる。また、フローサイトメーターは、緑色レーザーを用いることにより、ビーズセットのいずれかに結合したレポーター染料を検出することもできる。本実施形態では、46セットのビーズが選択され、各セットがそれぞれ30merの特有のオリゴヌクレオチドプローブにカップリングされた。各オリゴヌクレオチドプローブは、46種類の性器HPVのDNAのうちのいずれかに特異的かつ良好にハイブリダイズするように設計され、後述するように増幅された。マルチプレックス反応が進行するように、46セットのビーズが混合された。こうすることにより、46種類のHPVのDNAの結合を検出することができるのである。
【0030】
プローブは、PCR増幅プライマーGP5+/GP6+の間に含まれる領域を増幅するように設計された。この領域は、16型HPVにおいては141bpの長さである(GenBank登録番号AF125673,6624〜6764番のヌクレオチド)。しかし、この長さは、HPVの種類によって若干異なる。GP5+/GP6+は、ほとんどの種類のHPVからそのDNAを増幅することのできる一般的なプライマーである。また、公知となっているプライマーセットMY09/MY11及びプライマーセットPGMYも、ほとんどの種類の性器HPVにおいてその遺伝子を増幅することのできる一般的なプライマーである。これらのプライマーセットの領域は、GP+/GP6+の領域の外側に位置しているので、GP5+/GP6+プライマーと共に用いることにより2段階PCR増幅反応に使用することができる。こうすることにより、とりわけ複数種類が同一のサンプルの中に存在するような場合には、HPVタイプの検出感度及び範囲を向上させることができる。
【0031】
これらのプライマーを用いることにより、臨床サンプルから得られたHPVのDNAが増幅された。そして、これをT7エキソヌクレアーゼで処理することにより、マイクロビーズにカップリングしたプローブの配列と相補的なビオチン標識一本鎖DNAが得られた。そして、一本鎖となったHPVのDNAは、標識が付けられたマイクロビーズとともに、インキュベートされた。インキュベートすることにより、HPVのDNAを、マイクロビーズ上の対応するプローブに、結合させることができた。そして、フルオロフォアフィコエリスリンを結合させたストレプトアビジンが添加された。ストレプトアビジンは、ビオチンに強く結合し、HPVのDNAに結合したマイクロビーズにフィコエリスリン蛍光を付与する。そして、サンプルはフローサイトメリーにより分析された。フローサイトメリーにより、結合した各マイクロビーズのタイプごとの数を分析するとともに、それらのフィコエリスリン蛍光強度を分析することができる。特定のビーズにおいてフィコエリスリン蛍光強度が高いということは、その特定の種類のHPVのDNAが存在することを指し示す。
【0032】
46種類のHPVを検出するための多重アッセイに加えて、ワクチンに含まれているタイプのHPV(HPV6型(配列ID番号1)、11型(配列ID番号2)、16型(配列ID番号4)、及び18型(配列ID番号5))に限定してテストを行うために、マイクロビーズを上記とは異なる組み合わせで混合するものとしてもよい。あるいは、最も有害なタイプのHPV(HPV16型(配列ID番号4)、18型(配列ID番号5)、及び45型(配列ID番号17))についてテストするために、あるいは最も一般的なタイプのHPV(HPV16型(配列ID番号4)、18型(配列ID番号5)、31型(配列ID番号8)、33型(配列ID番号10)、35型(配列ID番号11)、39型(配列ID番号12)、45型(配列ID番号17)、51型(配列ID番号18)、52型(配列ID番号19)、56型(配列ID番号22)、58型(配列ID番号23)、59型(配列ID番号24)、66型(配列ID番号27)、及び68型(配列ID番号29))について、あるいは全ての発癌性のタイプのHPV(HPV26型(配列ID番号6)、16型(配列ID番号4)、18型(配列ID番号5)、30型(配列ID番号7)、31型(配列ID番号8)、33型(配列ID番号10)、35型(配列ID番号11)、39型(配列ID番号12)、45型(配列ID番号17)、51型(配列ID番号18)、52型(配列ID番号19)、53型(配列ID番号20)、56型(配列ID番号22)、58型(配列ID番号23)、59型(配列ID番号24)、66型(配列ID番号27)、67型(配列ID番号28)、68型(配列ID番号29)、69型(配列ID番号30)、70型(配列ID番号31)、73型(配列ID番号34)、82型(配列ID番号37)、85型(配列ID番号40)、及び97型(配列ID番号46))についてテストするために、あるいは非発癌性(低リスク)のタイプ(6型(配列ID番号1)、11型(配列ID番号2)、32型(配列ID番号9)、40型(配列ID番号13)、42型(配列ID番号14)、43型(配列ID番号15)、44型(配列ID番号16)、54型(配列ID番号21)、61型(配列ID番号25)、62型(配列ID番号26)、66型(配列ID番号27)、67型(配列ID番号28)、68型(配列ID番号29)、69型(配列ID番号30)、70型(配列ID番号31)、72型(配列ID番号33)、74型(配列ID番号35)、81型(配列ID番号36)、83型(配列ID番号38)、84型(配列ID番号39)、86型(配列ID番号41)、87型(配列ID番号42)、89型(配列ID番号43)、90型(配列ID番号44)、及び91型(配列ID番号45))のみについてテストするために、マイクロビーズを上記とは異なる組み合わせで混合するものとしてもよい。
【0033】
本発明の第一実施形態に基づいて、多様なHPVのウイルス株の遺伝子型決定を行うためのDNA増幅技術と合わせて用いることのできる一連のDNAプローブが提供される。
【0034】
本発明の第二実施形態では、多数のHPVのウイルス株を同時に検出するための多重形式アッセイに用いることのできる一連のDNAプローブが提供される。
【0035】
本発明の第三の実施形態では、当該DNAプローブは他の検出システムにも用いることができる。他の検出システムには、サザンブロット法、ノーザンブロット法、リバースラインブロットハイブリダイゼーション、DNAマイクロアレイ、ELISA、及び当業者にとって明らかな他の同様のシステムが含まれる。
【0036】
本発明の一つの態様によれば、サンプル中におけるヒトパピローマウイルス(HPV)タイプへの感染を検出しタイプを特定するための方法であって、以下の過程を全て含む方法が提供される。
a)少なくとも1種類のHPVタイプを含むことが疑われるサンプルを準備する過程;
b)前記サンプルに、HPVのL1領域を増幅するのに適切なプライマーを添加する過程;
c)前記サンプルをDNA増幅に適切な条件下でインキュベートする過程;
d)配列ID番号1〜46のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列を有する少なくとも一つのプローブを添加する過程であって、前記プローブはハイブリダイゼーション条件下でそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみ結合し、各前記少なくとも一つのプローブはさらに特有のタグを備える、過程;
e)前記プローブ及び前記サンプルをハイブリダイゼーションに最適な条件下でインキュベートする過程;
f)少なくとも一つの前記タグ付きプローブのハイブリダイゼーションを検出する過程。
【0037】
ここで説明されているように、サンプルには1種類よりも多いHPVタイプが含まれていてもよい。また、"少なくとも一つのプローブ"は、プローブセットを含むものであってもよく、又は当該プローブセットから成るものであってもよい。当該プローブセットのそれぞれのプローブは、配列ID番号1〜46のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列を有し、また、それぞれのプローブを特異的に特定するための特有のタグ又は識別タグを有する。例えば、配列ID番号1に記載のヌクレオチド配列を有する全てのプローブは、配列ID番号2に記載のヌクレオチド配列を有する全てのプローブが有しているのと同じタグを有するものであってもよい。
【0038】
ここで説明されているように、ハイブリダイゼーションの条件は十分に厳しいものであるので、プローブは目的のDNAにのみ結合する。例えば、15、16、17、18、19、20、又はそれよりも多い数の連続したヌクレオチドが正確に一致するときに限り2本の鎖がハイブリダイゼーションを起こす程度に、ハイブリダイゼーションの条件を十分に厳しいものとすることができる。
【0039】
配列ID番号1〜46のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、特有のタグと、から成る複数のプローブは、与えられたサンプル中におけるとりわけHPVタイプを特定するためにマルチプレックスアッセイにおいて一緒に用いることができ、あるいはそれらのセットのうちのいくつか(サブコンビネーション)を一緒に用いることができる。このことは当業者によって高く評価されるであろう。特に、各プローブはそれに関連する特有のタグを有しているので、サンプル中のDNA分子がそれぞれのプローブにハイブリダイゼーションした場合、そのサンプル中に対応するHPVタイプが存在することが示唆される。以降に説明するように、このプローブセットはそれぞれのプローブがクロスハイブリダイズしない点で特徴的である。
【0040】
いくつかの実施形態においては、少なくとも一つのプローブは、プローブの混合物と言うことができ、前記混合物の各典型的なプローブは、配列ID番号1、2、4若しくは5に記載の、又は配列ID番号4、5若しくは17に記載の、又は配列ID番号4、5、8、10、11、12、17、18、19、22、23、24、27若しくは29に記載の、又は配列ID番号6、4、5、7、8、10、11、12、17、18、19、20、22、23、24、27、28、29、30、31、34、37、40若しくは46に記載の、又は配列ID番号1、2、9、13、14、15、16、21、25、26、27、28、29、30、31、33、35、36、38、39、41、42、43、44若しくは45に記載のヌクレオチド配列を有する。
【0041】
前記特有のタグは二つの蛍光染料の組み合わせである。
【0042】
ここに説明するように、前記特有のタグは異なる比率の赤色及び赤外蛍光色素の組み合わせである。
【0043】
本発明の他の態様によれば、ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号1〜46のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセットが提供される。
【0044】
本発明の他の態様によれば、ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号1、2、4又は5のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセットが提供される。配列ID番号3及び6〜46のいずれか一つに記載の配列を有するプローブ、並びにこれらのプローブのいくつかの組み合わせを、このプローブセットにさらに追加してもよい。このことは、当業者によって高く評価されるであろう。
【0045】
本発明の他の態様によれば、ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号4、5及び17のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセットが提供される。
【0046】
本発明の他の態様によれば、ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号4、5、8、10、11、12、17、18、19、22、23、24、27及び29のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセットが提供される。
【0047】
本発明の他の態様によれば、ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号6、4、5、7、8、10、11、12、17、18、19、20、22、23、24、27、28、29、30、31、34、37、40及び46のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセットが提供される。
【0048】
本発明の他の態様によれば、ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号1、2、9、13、14、15、16、21、25、26、27、28、29、30、31、33、35、36、38、39、41、42、43、44及び45のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセットが提供される。
【0049】
[オリゴヌクレオチド]
オリゴヌクレオチドは、National・Microbiology・LaboratoryのDNAコアセクションで合成された。プローブの5´末端のC12をアミノリンカーで修飾し、これがルミネックス社のマイクロビーズのカルボキシル基にカップリングするようにした。HPVのDNAをPCR増幅するために用いるプライマーであるMY09、MY11、GP5+及び修飾GP6+プライマーは、インビトロジェン社(カナダ,オンタリオ州バーリントン)より購入した。
【0050】
[PCR増幅]
プラスミド又は臨床検査サンプルから採取したHPVのDNAは、1段階目はMY09/MY11プライマーを用いて(Manos et al., 1989)、2段階目はGP5+/GP6+プライマーを用いて(Roda Husman et al., 1995)、2段階PCR増幅反応により増幅された。複数のHPVタイプを含む臨床サンプルにおいてDNAの増幅を最適に行うためには、1段階目においてPGMYプライマーが用いられた(Gravitt et al, 2000)。GP6+プライマーは以下の修飾を含むものであった。:i)PCR産物(以下参照)の検出に際し、ストレプトアビジン−PEのリガンドとして用いるために、5´末端にビオチン標識を付した。;ii)バクテリオファージT7遺伝子6エキソヌクレアーゼ(以下を参照するとともに、結果のセクションを参照されたい)の作用に対して耐性を付与するために、5´末端から数えて最初の4つのヌクレオチドにはホスホロチオエート結合を導入した。PCR増幅は、4mM MgCl、200μMのdNTP(インビトロジェン社,カタログ番号#10297−018)、0.2mMずつの各プライマー、及び1.25Uのアンプリタック・ゴールド・ポリメラーゼ(アプライド・バイオシステム社,カタログ番号#4311816)を含有する1×PCRバッファー(インビトロジェン社,カタログ番号#10342−020)の中で行われた。MY09/MY11プライマーを用いた、2段階PCR増幅反応のうちの1段階目は、94℃で5分間の最初の変性ステップにより開始され、続いて、94℃で30秒間の変性、55℃で30秒間のアニーリング、及び72℃で60秒間のエロンゲーションで構成されるサイクルを30サイクル行った。最後に、72℃で7分間のエクステンションがなされた。PGMYプライマーを用いた増幅は、6mM MgCl、200μM dNTP、及び18種類のプライマーそれぞれ0.6μMずつ含むPGMYミクスチャー(Gravitt et al., 2000)の存在下で、40サイクル(94℃で30秒間の変性、55℃で30秒間のアニーリング、72℃で30秒間のエロンゲーション)行われた。この反応溶液のうちの1〜5μL(通常は2μL)が、GP5+/GP6+プライマーを用いた2段階目の増幅反応に用いられた。2段階目の増幅反応は、次の条件下で行った。:94℃で5分間の最初の変性を行った後、続いて、94℃で30秒、40℃で20秒、72℃で30秒から成るサイクルを30サイクル行う。最後に、72℃で7分間のエクステンションがなされる。GP5+/GP6+プライマーを用いた1段階PCR増幅反応を行う場合には、次の条件下で行った。:94℃で5分間の最初の変性を行った後、続いて、94℃で30秒、40℃で20秒、72℃で30秒から成るサイクルを30サイクル行う。最後に、72℃で7分間のエクステンションがなされる。
【0051】
[T7エキソヌクレアーゼによるPCR産物の分解]
PCRを行った後、ビオチニル化したストランドと相補的なGP5+ストランドは、5´→3´エキソヌクレアーゼであるT7遺伝子エキソヌクレアーゼにより分解された。もう一方の方のストランドは、5´末端に4つのホスホロチオエート結合を有することにより、T7エキソヌクレアーゼの作用から保護された(Nikiforov et al, 1994)。T7エキソヌクレアーゼ(ニュー・ニュー・イングランド・バイオラボ社,カタログ番号#M0263L)がPCR産物に最終濃度が0.4U/μlとなるように添加されることにより、相補鎖が分解されて、ビオチン標識した1本鎖DNAが生成された。この1本鎖DNAは、ルミネックス社のビーズにカップリングされたプローブと相補的な配列を有する。この分解反応は、最終濃度が0.5MとなるようにEDTAを12.5μl添加することにより、停止された。
【0052】
[マイクロビーズの調整]
赤色及び赤外蛍光色素を異なる比率で配合して分類したマイクロビーズのセットは、ルミネックス社より購入した(米国テキサス州オースティン,カタログ番号#L100−CXXX−01)。これらのマイクロビーズは、製造業者の使用説明書に従い、適宜変更を加えて、HPVのタイプ特異的なプローブにカップリングされた。当該HPVのタイプ特異的なプローブは、5´側がアミノ修飾されており、マイクロビーズの表面に結合されているカルボキシル基と反応して結合できるようになっている。簡単に説明すると、マイクロビーズストック(ルミネックス社)は、しっかりとボルテックスされた後、それぞれのマイクロビーズのセットから、5.0×10個のビーズを含むアリコットが採取されて、それぞれ独立した1.5ml容量の微量遠心管チューブの中に入れられた。そして、超音波ウォーターバス(ブランソン社)の中で再懸濁され、14000×gで2分間遠心処理された。そして、上清が除去されて、そのマイクロビーズはpH4.5で0.1M 2−N−モルホリノエタンスルホン酸(MES)(シグマ社,カタログ番号#M−2933)50μlに再懸濁された。そして、異なるセットのマイクロビーズにそれぞれ適切なタイプの1mMアミノ置換オリゴヌクレオチド溶液が1μlずつ添加され、それぞれのチューブに10mg/mLの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(フィッシャー社,カタログ番号#22980)の溶液が2.5μLずつ添加された。それぞれのチューブはボルテックスされ、室温、暗所で30分間インキュベートされた後、それぞれのチューブに10mg/ml EDCが2.5μLずつ添加された。その後、暗所で30分間インキュベートされた。この2回目のインキュベートの期間が終了した後、0.02%ツイン(登録商標)20(シグマ社,カタログ番号#P−9416)が1mlずつ添加され、それぞれのチューブが14,000×gで2分間遠心処理された。上清が除去されて、マイクロビーズのペレットに0.1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)が1ml添加された。各チューブはボルテックスされた後、14,000×gで2分間遠心処理された。上清が除去されて、ペレットが100μlのTEに再懸濁された。プローブにカップリングしたマイクロビーズは、暗所、4℃で最大で6ヶ月保存された。
【0053】
[ルミネックスアッセイ]
ルミネックスアッセイにおいては、通常は各セットが15マイクロビーズ/μlずつ採取され、混合液において混合された。エキソヌクレアーゼで分解した後のPCR産物は、96ウェルPCRマイクロプレート(フィッシャー社,カタログ番号#CS006509)の各ウェルの中に全体積が17μlとなるように採取され、96ウェルシーリングカバー(フィッシャー社,カタログ番号#CS006555)によりシールされた。マイクロプレートは、DNAを変性させるために、95℃で10分間インキュベートされ、そして、マイクロビーズ混合液33μLが添加された。これらのサンプルは、ハイブリダイゼーション温度で10分間インキュベートされ、ストレプトアビジン−フィコエリスリン(インビトロジェン社,カタログ番号#S−866)の溶液0.04mg/μlが25μl添加された後、1×テトラメチルアンモニウムクロリド(TMAC)(シグマ社,カタログ番号#T−3411)がサンプルに添加され、その後さらに60℃で5分間インキュベートされた。サンプルは、ルミネックスISソフトウェアを用いたルミネックスリキッドチップ200フローサイトメーターによって分析された。分析は、最大で50μLのサンプルを60℃で、最小でも各タイプにつき100個のマイクロビーズを数えることにより行われた。下流ゲートは8,300に、上流ゲートは16,500に、それぞれ設定された。
【0054】
[実施例1:プローブの設計と選択]
プローブは、GP5+/GP6+プライマー(Roda Husman et al., 1995)の間に配置されるL1遺伝子の領域を標的として作成された。この領域は、GP5+/GP6+プライマーが結合する2つの保存領域で挟まれた領域であり、比較的配列があまり保存されていない領域である。この領域の長さはタイプごとに若干異なり、例えばHPV16型では141bpの長さであり、Flores et al., 1999(GenBank登録番号AF125673)により公知とされている配列の6624〜6764番のヌクレオチドに対応している。
【0055】
DNA配列を検出するためにルミネックスXmap技術を使用することについて説明している先行文献においては、典型的には20ntの長さのプローブを使用することが示されている。したがって、私達はまず始めに、ArrayDesignerコンピュータソフトウェア(Premier BioSoft International社)(表1)を使用して20ntの長さのプローブを設計した。しかしながら、プローブと、HPV6型及び16型由来のDNAと、を用いて予備試験を行ったところ、これらのプローブは私達が行った条件下においてはHPVのDNAを検出するのに使えるほど良好なものではなかった。図1に示すように、HPV6型及びHPV16型のクローンから増幅されたDNAは、対応する20merのプローブが結合されているマイクロビーズにハイブリダイズしなかった(パネルA及びB)。HPV16型のプローブと厳密に相補的なビオチニル化オリゴヌクレオチドは、HPV16型のマイクロビーズを大量に蛍光発光させたが、それだけではなく、HPV6型のマイクロビーズの蛍光も非特異的に増加させた(パネルC)。
【0056】
そこで、元のプローブの左端または右端に10ntを追加することにより、30mersのプローブが再設計された。プローブをより長く設計することにより、特異性が高くなり、近縁関係にあるHPVタイプや変異型を判別できる可能性が高まる。近縁関係にあるHPVタイプとは、例えばHPV16型とHPV31型とである。最初に作成したプローブセットあるいは30mersのプローブの中には、交差反応しやすかったり(低い特異性)、目的とする標的物に良好に結合しなかったり(低い反応性)、あるいはその両方が原因で、最適なプローブとは言えないものが、数多く含まれていた。不適切なプローブについては、典型的には、GP5+/GP6+断片の可変領域に沿って10ヌクレオチド右へあるいは左へ位置をずらすことにより、再設計した。このプロセスは、全てのプローブが目的とする標的物に対して特異的かつ良好な反応性で結合するようになるまで、繰り返された。プローブの効率性や特異性を予想しようという試みや、ヘヤピン構造を有するプローブや他の交差反応配列をもつプローブを予想により排除しようという試みは、失敗に終わった。これは、プローブが予期せぬ振る舞いをすることが頻繁にあったためである。
【0057】
表2に、プローブの開発の履歴が示してある。一方で、この方法において最終的に使用されたプローブのセットが表3に示してある。図2は、この方法でカバーされる46種類のHPVの整列配列の中でプローブが占める位置を示す図である。
【0058】
[実施例2:エキソヌクレアーゼの効果]
単に二本鎖のPCR産物を変性させて、マイクロビーズに結合しているプローブにハイブリダイズさせた場合、ビオチン標識一本鎖オリゴヌクレオチドをマイクロビーズにハイブリダイズさせた場合と比べて、検出される蛍光シグナルが小さくなった(図3)。私達は、マイクロビーズに物理的に結合された短い(30nt)プローブにGP6+ストランドがハイブリダイズすることよりも、PCR産物の長いストランドが再ハイブリダイズすることのほうが、熱力学的に起こりやすいのだろうと考えた。それ故に、私達は、先に公知とされている方法に従って(Nikiforov, et al., 1994)、バクテリオファージT7遺伝子6エキソヌクレアーゼを用いて、PCR産物のうちの標識がされていない方のストランドを除去することとした。T7エキソヌクレアーゼは5´→3´プロセッシブ酵素であり、二本鎖DNA分子の一方のストランドを迅速に分解する(Kerr and Sadowski, 1972)。ビオチン標識を含むGP6+ストランドを保護しつつ、GP5+ストランドのみを選択的に分解するために、当該分子の5´末端の4つのヌクレオチドのデオキシリボーゼ部分の間に通常のホスホジエステル結合に代えてホスホロチオエート結合を導入するように修飾がなされた。このような化学的修飾を施すことにより、修飾された末端からはDNA分子の分解を始めることがもはや出来なくなり、T7エキソヌクレアーゼの作用を阻害することができることが知られている(Nikiforov et al., 1994)。
【0059】
最適な分解条件は、40ユニットのT7エキソヌクレアーゼを100μlのPCR産物に加えて様々な時間設定でインキュベートしてみて、ルミネックスシステムでそれぞれの蛍光強度を測ることにより、決定した。これらの実験により、図3に示した1つの例のように、反応性のテストとしては40分間のインキュベートが最適であり、蛍光シグナルが2倍に増加されることがわかった。
【0060】
[実施例3:HPVのタイプの特定]
それぞれのタイプについての特異性及び反応性は、公知の起源のHPVから、又は、可能であれば全てのHPVゲノムを含むクローンから、又は、臨床サンプルより若しくは刊行物により公知となっている遺伝子配列(完全なリストは、材料と方法を参照)を用いて合成されたサンプルよりPCRによって増幅された遺伝子のMY領域のクローンから、PCR産物を添加することによって、決定された。全てのクローンは、直接シークエンス法により、そして刊行物により公知となっているHPVの配列と比較することにより、確かめられた。
【0061】
上述したPCR増幅法、エキソヌクレアーゼ分解、及びマイクロビーズのハイブリダイゼーションを用いることにより、それぞれのタイプのHPVの増幅したDNAは、46種類の特異的なHPVプローブとそれぞれ結合している46種類のマイクロビーズの混合液にハイブリダイズされた。ハイブリダイズさせた後、マイクロビーズの混合液はルミネックスリキッドチップ200フローサイトメーターによって分析された。宿主細胞のDNAのみを含むネガティブコントロールが4連、サンプルと平行して分析された。コントロールにおけるそれぞれのビーズのバックグラウンド蛍光の平均が、サンプルのそれぞれのビーズの蛍光から差し引かれた。ビーズのタイプごとにバックグラウンド蛍光が異なってくると考えられるので、このようなタイプのバックグラウンドの補正が必要なのである。このような補正を行うことにより、他のルミネックスの手順(Wallace et al., 2005; Oh et al., 2007; Schmitt et al., 2006; Jiang et al., 2006; Seme et al., 2009)において用いられているような、ビーズを洗浄する過程を省くことができるのである。補正を行った後の蛍光シグナルが100FUよりも大きかった場合、陽性であるものと判断した。
【0062】
完全な結果が表4に示してある。それぞれの欄には、一番左の欄に記載のタイプのHPVのDNAの存在下において、各HPVタイプのプローブと結合している各マイクロビーズと関連する蛍光強度が示してある。図4には、同じ結果が図式的に示してある。46種類全てのプローブがそれぞれ、対応するHPVDNAと強くハイブリダイズしており、異なるタイプのHPVDNAとは強くハイブリダイズしていないことがわかる。表4及び図4に示す特定の項目において、HPV89のマイクロビーズはHPV44のDNAが存在する場合でも100FUの閾値を超える蛍光の検出を示し(513FU)、同じくHPV72のマイクロビーズはHPV81のDNAが存在する場合でも蛍光の検出を示し(118FU)、同じくHPV44のマイクロビーズはHPV86のDNAが存在する場合でも蛍光の検出を示す(391FU)点は、特筆すべき点である。この異常な蛍光の検出は、他の試験によっては再現不能であったので、これは秩序だった交差反応を原因とするものではなく、無作為の変動を原因とするものであると解釈されるべきである。これは、1980回の測定に対して3回、つまり0.15%の偽陽性率に相当する。偽陽性の検出を避けるために、臨床サンプルは二連で試験が行われ、当該二連の結果が一致しない場合には再測定が行われた。
【0063】
それから私達は、同一のサンプルの中に複数のタイプの感染が混在している場合に、これらをルミネックスの手法で検出できるかどうかについてテストした。具体的には、異なるHPVタイプから採取したDNAをそれぞれ増幅し、これらを混合して単一のルミネックス検出反応液の中に入れることにより、テストした。臨床サンプルの状況をシミュレーションするために、タイプごとのDNAの量は一定量に保持された。つまり、存在するタイプの数に関わらず、異なるDNAの混合物はPCR反応の最大能力で増幅された。その結果を図5に示してある。その結果によれば、クロスハイブリダイゼーションを最小限に抑えつつも、少なくとも30種類の異なるタイプを同時に検出できることがわかる。しかしながら、いくつかの偽陰性及び偽陽性は存在する。偽陰性は、おそらく、多くのタイプが混在する場合には各HPVタイプごとの蛍光発光が低下し、それ故にいくつかのマイクロビーズは陽性の判断の閾値としての50FUを下回ることとなることに起因すると考えられる。HPV72の偽陽性は、このマイクロビーズのバックグラウンド蛍光発光の変動によるものである。
【0064】
[実施例4:臨床サンプルを用いた検証−直接シークエンシング]
NMLルミネックス遺伝子型決定手法によって得られた結果と、増幅した産物を直接シークエンシングした結果と、を比較することにより、臨床サンプルに対する検証が行われた。直接シークエンシングによれば、あらゆるタイプのHPVを誤判別することなく特定することができるため、これはNMLルミネックスアッセイのプローブの特異性を追加的に試験することにもなる。
【0065】
上述のように、775個のサンプルについて2段階PCRにより遺伝子が増幅され、その産物はNMLルミネックス法によりタイプ分けされた。同じサンプルについて、2段階PCRにより個別に増幅し、アガロースゲル上を泳動させることにより、HPVDNAの存在を確認した。陽性だったサンプルは、シークエンシングのためNMLDNAコア施設に送付された。そして、増幅産物の両方のストランドをシークエンスするために、GP5+プライマーとGP6+プライマーとが用いられた。結集された配列は、BLAST(Altschul et al., 1990)を用いることにより、GenBankの配列と比較された。タイプが同一であると認められるためには、少なくとも60ヌクレオチドの長さを有し、かつ、その遺伝子断片におけるヌクレオチドの同一性が90%よりも大きいことが必要であるものとした。
【0066】
表5に示された結果によれば、前記2つの方法は、HPVの検出に関して、タイプの如何に関わらず、97.7%一致した。代表的な方法とされている直接シークエンス法に対する、NMLルミネックス法の反応性及び特異性は、それぞれ98.8%(97.1−99.6, 95%Cl)及び96.4%(96.4−93.8%, 95%Cl)であった。
【0067】
HPVタイプの確実な特定ということを考慮に入れると、直接シークエンス法では34個の陽性のサンプルの配列を決定することができなかったが、そのうちの32個についてはNMLルミネックス法によりタイプを特定できた。429個のサンプルのうち13個についてのHPVタイプの検出に関しては、両方の方法で陽性という結果は得られなかった(3.3%)。NMLルミネックス法により全部で793のHPVタイプが検出できたのに対し、直接シークエンス法によって検出できたのは全部で577である。この不一致は、同一のサンプル内に多数のHPVタイプが存在する場合、直接シークエンス法によってはタイプを検出できないことに起因するものである。
【0068】
前記2つの方法により検出したHPVタイプの分析結果が表6に示してある。
【0069】
直接シークエンス法に対する検証からは、NMLルミネックスアッセイで追加のタイプが検出されたことが、当該アッセイが複数種にわたる感染をより高感度で検出できることに起因するのか、あるいは特異性が低いことに起因するのか、はっきりさせることができない。
【0070】
[実施例5:臨床サンプルを用いた検証−ロッシュリニアアッセイとの比較]
そこで私達は、ロッシュ社のリニアアレイHPV遺伝子型決定方法を判断基準に用いて、NMLルミネックスアッセイの性能を比較した。当該リニアアレイキットによれば37種類の異なる遺伝子型を検出することができ、このリニアアレイキットにおけるPGMYプライマーに基づいた増幅システムは、とりわけ複数種類の遺伝子を増幅するのに効果的である。リニアアレイはFDAの認可を得ているものであり、HPV疫学の文献で用いられる標準的な方法の一つである。
【0071】
この比較のために、私達は、880セットのサンプルを用いて、製造業者の使用説明書に従って国立微生物学研究所においてロッシュリニアアレイキットを用いてHPVの分析を行うとともに、これと並行してNMLルミネックス遺伝子型決定方法を用いて分析を行った。
【0072】
リニアアレイのHPV52型のプローブは、HPV33型、35型及び58型と交差反応を起こす。そのため、上述したように(Coutlee et al., 2007)HPV52型に特異的なリアルタイムPCRにより全てのリニアアレイのHPV52型の結果を確認した。リニアアレイにはHPV55型に指定されたプローブが含まれているが、最新のHPVの分類(de Villier et al, 2004)によれば、HPV55型はHPV44型の変異型と考えられており、HPV55型は削除されている。そのため、私達はこの研究においてはHPV44型の指定を使用した。ロッシュリニアアレイのプローブIS39とCP6108はそれぞれ、最近になってHPV82型及びHPV89型に指定されることとなったタイプを認識する。この研究では、最近の指定が使用された。
【0073】
表7は、いずれかのHPVタイプに対して陽性のサンプルを検出するに際し、NMLルミネックスを用いた場合と、ロッシュリニアアレイを用いた場合と、の比較である。不一致の結果は全体で7%であり、不一致のサンプルのうちの5.2%はNMLルミネックスでは陽性と判定されたのにも関わらずリニアアレイでは陽性とは判定されなかった。これは、NMLルミネックス法で2段階PCRを使用したことにより、より大きな反応性を有するものになったことに起因し、また、リニアアレイのプローブセットには存在しないHPVタイプを検出したことに起因する。
【0074】
表8は、全てのHPVタイプ及び複数感染に対して陽性のサンプルを検出するに際し、NMLルミネックス法を用いた場合と、ロッシュリニアアレイを用いた場合と、の比較である。ロッシュリニアアレイでは、相当により多くのタイプのHPV(917に対し1111)を検出することができた。これは、ロッシュリニアアレイが、複数種類に感染しているサンプルに対してより高精度に検出できる能力を有するからである。上述したように(図5参照)、ルミネックス検出システムは少なくとも32種類の異なるタイプを同時に検出できるのであるから、複数種類に感染しているサンプルに対しての検出感度がロッシュリニアアレイよりも低かったのは、ルミネックス検出システムの問題ではない。しかし、複数のタイプの混合物が存在する場合に効率が低くなる、PCR増幅ステップの短所である。表9には個々のタイプの比較結果を示してある。ロッシュリニアアレイでは検出できなかったタイプは別として(HPV13型、32型、74型、85型、86型、87型、90型、及び91型)、HPV52型、53型、61型、73型、84型、及び89型の検出に関しては統計的にロッシュリニアアレイの方が顕著に反応性が高かった(Xテスト)。一方で、HPV67型の検出に関しては、NMLルミネックスの方が反応性が高かった。
【0075】
表10には、ロッシュリニアアレイの結果4種類以上のタイプに多重感染していることが判明したサンプルを除外した場合の、結果を示してある。この表より、検出されたタイプの総数を見ても(それぞれ、535及び534)、タイプごとの分析結果を見ても、NMLルミネックスで得られた結果とロッシュリニアアレイにより得られた結果とがより合致することがわかる。ロッシュリニアアレイでは検出できなかったタイプが存在するほか、52型(リニアアレイの方が高感度で検出)及び67型(NMルミネックスの方が高感度で検出)で得られた結果のみが大きく異なっていた。
【0076】
上に本発明の好適な実施形態を示したが、その中には様々な変更を加えることができると認識されかつ理解されるであろう。そして、添付の特許請求の範囲は、本発明の精神及び範囲内における全てのこのような変更を包含することを意図するものである。
【0077】
(参考文献)
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【0078】
【表1】

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【表2】

【0080】
【表3】

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【表4】

【0082】
【表5】

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【表6】

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【表7】

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【0086】
【表9】

【0087】
【表10】

【0088】
【表11】

【0089】
【表12】

【0090】
【表13】

【0091】
【表14】

【0092】
【表15】

【0093】
【表16】

【0094】
【表17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中におけるヒトパピローマウイルス(HPV)タイプへの感染を検出しタイプを特定するための方法であって、以下の過程を全て含む方法:
a)少なくとも1種類のHPVタイプを含むことが疑われるサンプルを準備する過程;
b)前記サンプルに、HPVのL1領域を増幅するのに適切なプライマーを添加する過程;
c)前記サンプルをDNA増幅に適切な条件下でインキュベートする過程;
d)配列ID番号1〜46のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列を有する少なくとも一つのプローブを添加する過程であって、前記プローブはハイブリダイゼーション条件下でそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみ結合し、各前記少なくとも一つのプローブはさらに特有のタグを備える、過程;
e)前記プローブ及び前記サンプルをハイブリダイゼーションに最適な条件下でインキュベートする過程;
f)少なくとも一つの前記タグ付きプローブのハイブリダイゼーションを検出する過程。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記少なくとも一つのプローブはプローブの混合物から成り、前記混合物の各典型的なプローブは配列ID番号1、2、4又は5に記載のヌクレオチド配列を有する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記少なくとも一つのプローブはプローブの混合物から成り、前記混合物の各典型的なプローブは配列ID番号4、5又は17に記載のヌクレオチド配列を有する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記少なくとも一つのプローブはプローブの混合物から成り、前記混合物の各典型的なプローブは配列ID番号4、5、8、10、11、12、17、18、19、22、23、24、27又は29に記載のヌクレオチド配列を有する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記少なくとも一つのプローブはプローブの混合物から成り、前記混合物の各典型的なプローブは配列ID番号6、4、5、7、8、10、11、12、17、18、19、20、22、23、24、27、28、29、30、31、34、37、40又は46に記載のヌクレオチド配列を有する、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記少なくとも一つのプローブはプローブの混合物から成り、前記混合物の各典型的なプローブは配列ID番号1、2、9、13、14、15、16、21、25、26、27、28、29、30、31、33、35、36、38、39、41、42、43、44又は45に記載のヌクレオチド配列を有する、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記特有のタグは二つの蛍光染料の組み合わせである、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記特有のタグは異なる比率の赤色及び赤外蛍光色素の組み合わせである、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記プライマーはGP5+/GP6+から成る、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記プライマーはGP5+/GP6+及びMY09/MY09/MY11から成る、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、少なくとも一つの前記プライマーはエキソヌクレアーゼに対して耐性を有する、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、(d)の過程の前にエキソヌクレアーゼが添加される、方法。
【請求項13】
ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号1〜46のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセット。
【請求項14】
ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号1、2、4又は5のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセット。
【請求項15】
ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号4、5及び17のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセット。
【請求項16】
ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号4、5、8、10、11、12、17、18、19、22、23、24、27及び29のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセット。
【請求項17】
ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号6、4、5、7、8、10、11、12、17、18、19、20、22、23、24、27、28、29、30、31、34、37、40及び46のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセット。
【請求項18】
ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプを検出しタイプを特定するためのプローブセットであって、前記セットの各前記プローブはハイブリダイゼーション条件下においてそれぞれ一つの種類のHPVタイプにのみハイブリダイズし、前記セットの各前記プローブは、特有のタグと、配列ID番号1、2、9、13、14、15、16、21、25、26、27、28、29、30、31、33、35、36、38、39、41、42、43、44及び45のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と、により構成される、プローブセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−516993(P2013−516993A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549219(P2012−549219)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/CA2011/050026
【国際公開番号】WO2011/088573
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(511033818)
【氏名又は名称原語表記】HER MAJESTY THE QUEEN IN RIGHT OF CANADA as represented by THE MINISTER OF HEALTH
【住所又は居所原語表記】1015, rue Arlington, piece T2420, Winnipeg, Manitoba R3E 3P6 Canada
【Fターム(参考)】