説明

6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル誘導体

本発明は、アルツハイマー病又は一般的な癌(子宮頸癌及び乳癌、ならびに造血系の悪性腫瘍を含むが、これらに限定されない)の処置に有用である、γ−セクレターゼ阻害剤としての、式(I)(式中、R、R及びRは本明細書と同義である)で示される6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル誘導体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I):
【0002】
【化1】


[式中、
は、水素又はハロゲンにより置換されている低級アルキルであり;
は、低級アルキルであり;
は、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、−(CH−シクロアルキル又は−(CH−フェニル(ここで、フェニル環は、非置換であるか、又はハロゲンにより置換されている)であり;
nは、0、1又は2である]
で示される、6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル誘導体、及びその薬学的に適切で、光学的に純粋なエピマー又は混合物に関する。
【0003】
本明細書中の用語「低級アルキル」は、1〜7個の炭素原子を含む飽和の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、2−ブチル、t−ブチル等を示す。好ましい低級アルキル基は、1〜4個の炭素原子を有する基である。
【0004】
用語「ハロゲンにより置換されている低級アルキル」は、上記と同義のアルキル基であって、少なくとも一つの水素原子がハロゲンにより置き換えられているもの、例えばCF、CHF、CHF、CHCF、CHCHF、CHCFCF、CHCFCH、CHCHCFCF、CHCHCF、CHCHCHCF、及び以降の実施例の化合物によって説明される、ハロゲン基によって置換されている低級アルキルを示す。
【0005】
用語「シクロアルキル」は、3〜6個の炭素原子を含む、芳香族ではない炭素環、例えばシクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルを示す。好ましいシクロアルキルは、シクロプロピルである。
【0006】
一般式(I)で示される化合物が、γ−セクレターゼ阻害剤であり、アルツハイマー病又は一般的な癌(子宮頸癌及び乳癌、ならびに造血系の悪性腫瘍を含むが、これらに限定されない)の処置に有用であることが見出された。式(I)で示される化合物の薬剤としての使用における有利な点は、国際公開公報第2005/023772号に記載されている化合物と比較して良好な熱力学的溶解度と共に、向上したγ−セクレターゼ阻害である。
【0007】
アルツハイマー病(AD)は、晩年における認知症の最も一般的な原因である。病理学的には、ADは、脳における、細胞外プラーク及び細胞内神経原繊維変化としてのアミロイドの沈着によって特徴付けられる。アミロイドプラークは、主にアミロイドペプチド(βアミロイドペプチド)から構成され、これは、βアミロイド前駆体タンパク質(APP)から、一連のタンパク質分解性切断工程によって生ずるものである。APPのいくつかの形態が特定されており、そのうち最も豊富であるのは、695、751及び770アミノ酸長のタンパク質である。これらは全て、一つの遺伝子から、異なるスプライシングを経て生じる。βアミロイドペプチドは、APPと同じドメインに由来するが、N−及びC−末端が異なり、主要な種は40及び42アミノ酸長である。
【0008】
βアミロイドペプチドは、APPから、β−及びγ−セクレターゼという2つのタンパク分解性酵素の一連の作用を経て産生される。β−セクレターゼは、先ず初めに貫通膜ドメイン(TM)の直ぐ外側にあるAPPの細胞外ドメインを切断して、TM−及び細胞質ドメイン(CTFβ)を含有するAPPのC−末端フラグメントを産生する。CTFβは、γ−セクレターゼのための基質であり、これは、TM内のいくつかの隣り合う位置を切断してAβペプチド及び細胞質フラグメントを産生する。βアミロイドペプチドの大部分は、40アミノ酸長(Aβ40)であり、少数の種がそのC末端に2つのアミノ酸を追加で保有する。後者は、より病原性のあるアミロイドペプチドであると考えられている。
【0009】
β−セクレターゼは、典型的なアスパルチルプロテアーゼである。γ−セクレターゼは、いくつかのタンパク質からなるタンパク質分解性活性であり、その正確な構成の理解は不完全である。しかしながら、プレセニリンは、この活性にとって必須の構成成分であり、TM内でその基質を切断し、そしてそれ自身がポリトピックな膜タンパク質である、非定型的アスパルチルプロテアーゼの新規な群を代表しうる。γ−セクレターゼにおける、他の必須の構成成分は、ニカストリンならびにaph1及びpen-2遺伝子の産物でありうる。判明している、γ−セクレターゼの基質は、APP及びNotchレセプターファミリーのタンパク質であるが、γ−セクレターゼの基質特異性は低く、APP及びNotchとは関連性の無いさらなる膜タンパク質を切断しうる。
【0010】
γ−セクレターゼ活性は、まさにβアミロイドペプチドの産生に必要とされるものである。これは、遺伝子的手段、すなわちプレセニリン遺伝子の切除、及び低分子量阻害性化合物の両方により示されている。ADのアミロイド仮説によれば、βアミロイドの産生及び沈積が疾病の根本的な原因であるため、γ−セクレターゼの選択的及び強力な阻害剤はADの予防及び治療に有用であろう。
【0011】
したがって、本発明の化合物は、γ−セクレターゼの活性を遮断し、そしてあらゆるアミロイド形成的βアミロイドペプチドの形成を減少又は予防することによりADを処置するのに有用であろう。
【0012】
数多くの文書がγ−セクレターゼ阻害に関する現在の知識を記載しており、例えば次の刊行物:
Nature Reviews/Neuroscience, Vol. 3, April 2002/281,
Biochemical Society Transactions (2002), Vol. 30. part 4,
Current Topics in Medicinal Chemistry, 2002, 2, 371-383,
Current Medicinal Chemistry, 2002, Vol. 9, No. 11, 1087-1106,
Drug Development Research, 56, 211-227, 2002,
Drug Discovery Today, Vol. 6, No. 9, May 2001, 459-462,
FEBS Letters, 483, (2000), 6-10,
Science, Vol. 297, 353-356, July 2002 及び
Journal of Medicinal Chemistry, Vol. 44, No. 13, 2001, 2039-2060
である。
【0013】
本発明の目的は、式(I)で示される化合物それ自体、γ−セクレターゼの阻害に関連する疾病の処置における医薬の製造のための式(I)で示される化合物又はその薬学的に適切で、光学的に純粋なエピマー又は混合物の使用、それらの製造、本発明による化合物に基づいた医薬及びその製造、並びに式(I)で示される化合物のアルツハイマー病又は癌の制御又は予防における使用である。
【0014】
本発明のさらなる目的は、式(I)で示される化合物の、光学的に純粋なエピマー又はその混合物の全ての形態である。
【0015】
好ましい式(I)で示される化合物は、Rが、水素であり、そしてRが、ハロゲンにより置換されている低級アルキルであるものであり、例えば、次の化合物:
(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド、
(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド、
(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド、
(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド、
(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド、
(R)−2−エチル−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド、
(R/S)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミド、
(R)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミド又は
(S)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミドである。
【0016】
好ましい式(I)で示される化合物は、さらに、Rが、ハロゲンにより置換されている低級アルキルであり、そしてRが、ハロゲンにより置換されている低級アルキルであるものであり、例えば次の化合物:
(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド又は
(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミドである。
【0017】
本発明の式(I)で示される化合物及びその薬学的に許容しうる塩は、当該技術分野において公知の方法、例えば下記の方法により調製することができ、当該方法は、
a)式(II):
【0018】
【化2】


で示される化合物を、式(III):
【0019】
【化3】


で示される化合物と反応させて、式(I):
【0020】
【化4】


[式中、置換基は上記と同義である]で示される化合物とするか、又は
b)式(IV):
【0021】
【化5】


で示される化合物を、式:
NH
で示されるアミンと反応させて、式(I):
【0022】
【化6】


[式中、置換基は上記と同義である]で示される化合物とする工程、
および、
所望の場合は、式(I)で示される化合物のエピマー型の混合物(R/S)を、エピマー(R)とエピマー(S)に変換する工程
を含む。
【0023】
詳細な記載は、次の実施例1〜14において見出される。出発物質である式(II)で示される化合物は、既知化合物であり、式(III)で示されるアミンは、スキーム2に記載されているようにして調製することができる。
【0024】
【化7】

【0025】
式(II)で示される化合物と、式(III)で示される化合物との例えばテトラヒドロフランのような溶媒中の溶液を、室温で1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物、ジイソプロピルエチルアミン及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩と反応させる。撹拌を終夜続ける。蒸留による溶媒の除去、及びシリカゲル上での酢酸エチル/ヘプタンによるクロマトグラフィーにより、式(I)で示される化合物が得られる。
【0026】
【化8】

【0027】
式(III)で示される化合物の調製
ジメチルホルムアミド中の、式(V)で示されるジアルキルプロピルマロナートと炭酸セシウムの懸濁液に、空気をバブリングして通す。約10〜20℃で水を加え、そして室温で約3時間撹拌を続ける。次に、ジメチルホルムアミドを除去する。水を加え、ジエチルエーテルによる抽出により、式(VI)で示されるモノアルキルエステルが得られる。
【0028】
式(VI)で示されるモノアルキルエステルを、テトラヒドロフランに溶解し、そして0℃に冷却する。1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物、ジイソプロピルエチルアミン及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩を加え、室温で約4日間撹拌を続ける。次に、塩酸水溶液を加える。抽出及び精製の後に、式(VII)で示される化合物が得られる。
【0029】
得られた式(VII)で示される化合物のエピマー型の混合物は、Chiralpak AD上での、イソプロパノール/ヘプタン 10/90を用いた通常の手法によるクロマトグラフィーにより、エピマーRとSに分離してもよい。
【0030】
式(III)で示される酸は、次のようにして調製することができる:
水中の水酸化リチウムの溶液を、テトラヒドロフラン中の式(VII)で示される化合物と撹拌して、最初に前の工程のエナンチオマーを、室温で一晩かけて溶出する。最初に水/ジエチルエーテルにより抽出し、そして次に塩酸水溶液/酢酸エチルにより抽出して、式(III)で示される所望の酸が得られる。
【0031】
式(I)で示される化合物の調製
テトラヒドロフラン中の式(II)で示される7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オンと、式(VI)で示される化合物との溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物、ジイソプロピルエチルアミン及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩を加える。室温で撹拌を一晩続ける。蒸留による溶媒の除去、及びクロマトグラフィーにより、式(VIII)で示される化合物が得られる。
【0032】
次に、テトラヒドロフラン中の得られた式(VIII)で示される化合物と、水中の水酸化リチウムの混合物を、室温で一晩撹拌する。溶媒を蒸発させ、そして残渣を抽出して式(V)で示される酸とする。次に、テトラヒドロフラン中の式(V)で示される化合物と対応のアミンの溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物、ジイソプロピルエチルアミン及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩を加える。撹拌を一晩続ける。蒸留による溶媒の除去及びシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、式(I)で示される所望の化合物に至る。
【0033】
本発明の化合物は、二つの立体中心を有する。これらは、エピマー型の混合物として存在しうる。一つは常にS−エピマーであり、他は、R、S又はRSエピマーでありうる。所望のエピマー型への分離は、それ自体既知である方法によって、合成の初期段階、又は好ましくは後期のいずれかにおいて、ジアステレオマー生成物をクロマトグラフィーにより分離することで実施できる。
【0034】
化合物を、下記の試験に従って調べた。
【0035】
γ−セクレターゼアッセイの説明
試験化合物の活性は、γ−セクレターゼの活性による適切な基質のタンパク質分解性切断を測定するアッセイにより評価できる。これらは、例えば、γ−セクレターゼの基質が、その細胞質ドメインにおいて転写因子に融合している、細胞アッセイでありうる。細胞は、この融合遺伝子及びレポーター遺伝子、例えばホタルルシフェラーゼとトランスフェクションされ、転写因子により発現が増強される。γ−セクレターゼによる融合基質の切断は、レポーター遺伝子の発現に至り、これは適切なアッセイにおいてモニターすることができる。γ−セクレターゼの活性は、例えば、γ−セクレターゼ複合体を含有する細胞可溶化液を、βアミロイドペプチドに切断される適切なAPP−由来基質とともにインキュベートする、無細胞のインビトロアッセイによっても決定できる。産生されるペプチドの量は、特異的ELISAアッセイによって決定できる。神経細胞を起源に持つ細胞株は、βアミロイドペプチドを分泌し、これは、特異的ELISAアッセイにより測定できる。γ−セクレターゼを阻害する化合物で処理すると、βアミロイドの分泌の減少に至り、従って阻害の手段を提供する。
【0036】
γ−セクレターゼ活性のインビトロアッセイは、γ−セクレターゼの供給源としてHEK293の膜画分、及び組換え型APP基質を使用する。後者は、ヒトAPPのC−末端100アミノ酸からなり、精製のために6×ヒスチジン尾部に融合されており、大腸菌(E. coli)の制御可能な発現ベクター(例えばpEt15)で発現される。この組換えタンパク質は、トランケートしたAPP断片に対応し、これは、細胞外ドメインのγ−セクレターゼ切断の後に生じるものであり、γ−セクレターゼ基質を構成するものである。アッセイの原理は、Li YM et al, PNAS 97(11), 6138-6143 (2000)に記載されている。HEK293細胞を機械的に破壊し、ミクロソームの画分を分画遠心法により単離する。膜を界面活性剤(0.25%CHAPSO)中に可溶化し、APP基質とインキュベートする。基質のγ−セクレターゼ切断により産生されるβアミロイドペプチドを、記載されている(Brockhaus M et al, Neuroreport 9(7), 1481-1486 (1998))ようにして特異的ELISAアッセイにより検出する。
【0037】
好ましい化合物は、IC50<700(nM)を示す。次の表に、γ−セクレターゼ阻害のデータを記載する:
【0038】
【表1】

【0039】
さらに、本発明の化合物を、THESAアッセイにより試験し、熱力学的溶解性を決定した。
【0040】
THESAアッセイ:
各化合物約2mgを、室温(22.5±1℃)で、過剰に50mMリン酸緩衝液に加えた。各サンプルを微量分析チューブに入れ、これを1時間超音波処理して、そして2時間撹拌した。全ての懸濁液を一晩放置した。次の日に、全てのpHをpH−メーターで測定し、そしてサンプルをマイクロフィルタープレート(micronic filterplate)(MSGVN2250)でろ過して固体物質を溶液から分離した。次に、全ての溶液をHPLCにより分析した。検量線をDMSO中の化合物の異なる濃度により作成した。この回帰方程式から化合物の溶解性を決定した。
【0041】
次の表より、本発明の化合物が、国際公開公報第2005/023772号と比較して、より良好な溶解性又は活性を有することが見出される。
【0042】
【表2】

【0043】
式Iの化合物は、医薬として、例えば、医薬製剤の形態で使用することができる。医薬製剤は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経口投与することができる。しかし投与はまた、例えば坐剤の剤形で直腸内に、例えば注射液の剤形で非経口的に行うこともできる。
【0044】
式Iの化合物は、医薬製剤を製造するため、薬学的に不活性な無機又は有機担体と共に製剤化することができる。乳糖、トウモロコシデンプン又はそれらの誘導体、タルク、ステアリン酸又はそれらの塩などが、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤のためのそのような担体として使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤のための適切な担体は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオール類等である。しかし、活性物質の性質に応じて、軟ゼラチンカプセル剤の場合は、通常担体を必要としない。溶剤及びシロップ剤の製造に適切な担体は、例えば、水、ポリオール類、グリセリン、植物油等である。坐剤に適切な担体は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体のポリオール等である。
【0045】
更に、医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、着香剤、浸透圧を変化させる塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含むことができる。それらは、その他の治療上有用な物質も更に含有することができる。
【0046】
式Iの化合物又は薬学的に許容され得るその塩及び治療上不活性な担体を含有する医薬もまた、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容され得る酸付加塩の1種以上と、所望により、他の治療上貴重な物質の1種以上とを、治療上不活性な担体の1種以上と共に、ガレヌス製剤の投与形態にすることを含む調製方法と同様に、本発明の目的である。
【0047】
本発明によれば、式(I)で示される化合物はγ−セクレターゼの阻害に基づく病気(例えばアルツハイマー病又は癌)の制御又は予防に有用である。
【0048】
用量は、広い範囲内で変えることができ、当然それぞれの特定の症例における個別の要求に適合させなければならない。経口投与の場合、成人用の用量は、一般式Iの化合物1日当たり約0.01mg〜約1000mg、又は薬学的に許容されるその塩の対応する量で変えることができる。1日量を、1回量として又は分割量として投与してよく、加えて、必要性が示される場合、上限を超えることもできる。
【0049】
錠剤の処方(湿式顆粒化)
品目 成分 mg/錠剤
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式Iの化合物 5 25 100 500
2.無水乳糖DTG 125 105 30 150
3.Sta-Rx 1500 6 6 6 30
4.微晶質セルロース 30 30 30 150
5.ステアリン酸マグネシウム 1 1 1 1
合計 167 167 167 831
【0050】
製造手順
1.品目1、2、3及び4を混合し、精製水と共に造粒する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な微粉砕装置に通す。
4.品目5を加え、3分間混合し、適切な成形機で圧縮する。
【0051】
カプセルの処方
品目 成分 mg/カプセル
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式Iの化合物 5 25 100 500
2.含水乳糖 159 123 148 ---
3.トウモロコシデンプン 25 35 40 70
4.タルク 10 15 10 25
5.ステアリン酸マグネシウム 1 2 2 5
合計 200 200 300 600
【0052】
製造手順
1.品目1、2及び3を適切なミキサーで30分間混合する。
2.品目4及び5を加え、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【0053】
実施例1
(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド及び
(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド及び
(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド
【0054】
【化9】

【0055】
a)(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド
テトラヒドロフラン15ml中の(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン101mg(0.45mmol)と(RS)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド酸119mg(0.45mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物61.8mg(0.45mmol)、ジイソプロピルエチルアミン157μl(0.90mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩87.6mg(0.45mmol)を加えた。室温で一晩撹拌を続けた。混合物を氷/水に注ぎ、そしてpH=1に達するまで1N塩酸水溶液を加えた。ジエチルエーテルにより抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、そして酢酸エチル/シクロヘキサン1/1によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド86.1mg(41%)を白色の固体として得た。MS(m/e):472.1(M+H)
【0056】
b)(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド及び
c)(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド
エピマーの(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミドの混合物124mg(0.27mmol)を、ヘプタン/エタノール/イソプロパノール/アセトニトリル混合物によるYMC Pack SIL上の分取HPLCにより分離し、(R又はS)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド11mg、エピマーA(最初に溶出)、MS(m/e):469.9(M−H)、及び(S又はR)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド19mg、エピマーB(2番目に溶出)、MS(m/e):472.1(M+H)を得た。
【0057】
実施例2
(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド及び
(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド及び
(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド
【0058】
【化10】

【0059】
a)(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド
テトラヒドロフラン50ml中の(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン210mg(0.94mmol)と(RS)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド酸215mg(0.94mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物129mg(0.94mmol)、ジイソプロピルエチルアミン327μl(1.87mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩183mg(0.94mmol)を加えた。室温で一晩撹拌を続けた。混合物を氷/水に注ぎ、そしてpH=1に達するまで1N塩酸水溶液を加えた。最初にジエチルエーテル、そして2番目に酢酸エチルにより抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、そして酢酸エチル/ヘプタン2/1によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド150mg(41%)を白色の固体として得た。MS(m/e):436.1(M+H)
【0060】
b)(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド及び
c)(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド
エピマーの(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミドの混合物150mg(mmol)を、エタノール/ヘプタン20/80によるChiralpak AD上の分取HPLCにより分離し、(R又はS)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド60mg、エピマーA(最初に溶出)、MS(m/e):436.1(M+H)、及び(S又はR)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド75mg、エピマーB(2番目に溶出)、MS(m/e):436.1(M+H)を得た。
【0061】
実施例3
(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド及び
(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド
【0062】
【化11】


a)(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド
テトラヒドロフラン6ml中の(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン 70.0mg(0.31mmol)と(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド酸73.9mg(0.34mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物46.4mg(0.34mmol)、ジイソプロピルエチルアミン117μl(0.69mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩65.8mg(0.34mmol)を加えた。16時間撹拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そしてヘプタン/酢酸エチル(勾配100/0〜25/75)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド101mg(77%)を得た。MS(m/e):422.0(M+H)
【0063】
b)(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド
【0064】
【化12】


テトラヒドロフラン6ml中の(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン70.0mg(0.31mmol)と(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド酸73.9mg(0.34mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物46.4mg(0.34mmol)、ジイソプロピルエチルアミン117μl(0.69mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩65.8mg(0.34mmol)を加えた。16時間撹拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そしてヘプタン/酢酸エチル(勾配100/0〜25/75)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド104mg(79%)を得た。MS(m/e):422.0(M+H)
【0065】
実施例4
(R/S)−2−エチル−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド及び
(R)−2−エチル−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド及び
(S)−2−エチル−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド
【0066】
【化13】

【0067】
a)(R/S)−2−エチル−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド
テトラヒドロフラン24ml中の(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン 250mg(1.12mmol)と(RS)−2−ヒドロキシ−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチルカルバモイル)−酪酸256mg(1.12mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物174mg(0.94mmol)、ジイソプロピルエチルアミン390μl(2.23mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩218mg(1.12mmol)を加えた。室温で一晩撹拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そして酢酸エチル/ヘプタン2/8によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R/S)−2−エチル−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド330mg(68%)を無色の油状物として得た。MS(m/e):436.1(M+H)
【0068】
b)(R)−2−エチル−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド及び
c)(S)−2−エチル−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド
エピマーの(R/S)−2−エチル−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミドの混合物310mg(mmol)を、イソプロパノール/ヘプタン15/85によるChiralpak AD上の分取HPLCにより分離し、(R又はS)−2−エチル−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド120mg、エピマーA(最初に溶出)、MS(m/e):436.1(M+H)、及び(S又はR)−2−エチル−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド120mg、エピマーB(2番目に溶出)、MS(m/e):436.1(M+H)を得た。
【0069】
実施例5
(R/S)−N−シクロプロピルメチル−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−2−プロピル−マロンアミド
【0070】
【化14】

【0071】
a)(R/S)−2−ヒドロキシ−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸エチルエステル
【0072】
【化15】


テトラヒドロフラン40ml中の(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン 500mg(2mmol)と(RS)−2−ヒドロキシ−2−プロピル−マロン酸モノエチルエステル466mg(2mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物331mg(2mmol)、ジイソプロピルエチルアミン830μl(5mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩470mg(2mmol)を加えた。室温で一晩撹拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そしてヘプタン/酢酸エチル(勾配90/10〜50/50)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R/S)−2−ヒドロキシ−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸エチルエステル630mg(71%)を無色の泡状物として得た。MS(m/e):397.3(M+H)
【0073】
b)(R/S)−2−ヒドロキシ−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸
【0074】
【化16】

【0075】
テトラヒドロフラン8ml中の(R/S)−2−ヒドロキシ−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸エチルエステル600mg(2mmol)と水4ml中の水酸化リチウム70.0mg(2mmol)の混合物を、室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をpH1において酢酸エチルにより抽出して、(R/S)−2−ヒドロキシ−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸450mg(81%)を得た。MS(m/e):367.1(M−H)
【0076】
c)(R/S)−N−シクロプロピルメチル−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−2−プロピル−マロンアミド
テトラヒドロフラン3ml中の2−ヒドロキシ−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸70.0mg(0.19mmol)とシクロプロパンメチルアミン14.9mg(0.21mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物28.2mg(0.21mmol)、ジイソプロピルエチルアミン71μl(0.42mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩40.1mg(0.21mmol)を加えた。一晩撹拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そしてヘプタン/酢酸エチル(勾配90:10〜50:50)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R/S)−N−シクロプロピルメチル−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−2−プロピル−マロンアミド50.0mg(62%)を得た。MS(m/e):422.4(M+H)
【0077】
実施例6
(R/S)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−2−プロピル−N−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド及び
(R)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−2−プロピル−N−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド及び
(S)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−2−プロピル−N−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド
【0078】
【化17】

【0079】
a)(R/S)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−2−プロピル−N−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド
テトラヒドロフラン3ml中の2−ヒドロキシ−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸70.0mg(0.19mmol)と3,3,3−トリフルオロプロピルアミン塩酸塩31.3mg(0.21mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物28.2mg(0.21mmol)、ジイソプロピルエチルアミン103μl(0.61mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩40.1mg(0.21mmol)を加えた。一晩撹拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そしてヘプタン/酢酸エチル(勾配90:10〜50:50)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R/S)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−2−プロピル−N−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド50.0mg(57%)を得た。MS(m/e):464.0(M+H)
【0080】
b)2−ヒドロキシ−2−プロピル−マロン酸モノエチルエステル
【0081】
【化18】

【0082】
室温で、ジメチルホルムアミド120ml中のプロピルマロン酸ジエチル15.0g(72.7mmol)と炭酸セシウム47.6g(145mmol)の懸濁液に空気を1時間バブリングして通した。10〜20℃で、水150mlを加え、そして室温で3時間撹拌を続けた。次に、ジメチルホルムアミドのほとんどを、35℃の浴温度において減圧蒸留により除去した。水1lを加え、そしてジエチルエーテルで抽出して、2−ヒドロキシ−2−プロピル−マロン酸モノエチルエステル11.7gを得た。MS(m/e):189.1(M−H)
【0083】
c)2−ヒドロキシ−2−(3,3,3−トリフルオロプロピルカルバモイル)ペンタン酸エチルエステル
【0084】
【化19】

【0085】
2−ヒドロキシ−2−プロピル−マロン酸モノエチルエステルの4.03g量(約21mmol)を、テトラヒドロフラン200mlに溶解し、そして0℃に冷却した。1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物2.92g(21.2mmol)、ジイソプロピルエチルアミン12.9ml(74.1mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩4.14g(21.2mmol)を加え、そして室温で4日間撹拌を続けた。2N塩酸水溶液45mlを加えた。酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、そして酢酸エチル/シクロヘキサン3/1によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、2−ヒドロキシ−2−(3,3,3−トリフルオロプロピルカルバモイル)ペンタン酸エチルエステル4.60g(76%)を黄色の油状物として得た。MS(m/e):286.1(M+H)
【0086】
d)(R及びS)−2−ヒドロキシ−2−(3,3,3−トリフルオロプロピルカルバモイル)ペンタン酸エチルエステル
ラセミ体の2−ヒドロキシ−2−(3,3,3−トリフルオロプロピルカルバモイル)ペンタン酸エチルエステルを、イソプロパノール/ヘプタン10/90によるChiralpak AD上のクロマトグラフィーによりエナンチオマーに分離し、(R又はS)−2−ヒドロキシ−2−(3,3,3トリフルオロプロピルカルバモイル)ペンタン酸エチルエステル0.96g(21%)を、最初に溶出するエナンチオマーとして、MS(m/e):286.1(M+H)、及び(S又はR)−2−ヒドロキシ−2−(3,3,3−トリフルオロプロピルカルバモイル)ペンタン酸エチルエステル1.09g(24%)を、2番目に溶出するエナンチオマーとして、MS(m/e):286.4(M+H)得た。
【0087】
e)(R又はS)−2−ヒドロキシ−2−(3,3,3−トリフルオロ−プロピルカルバモイル)−ペンタン酸、構成要素A
【0088】
【化20】

【0089】
テトラヒドロフラン18ml中の上記の工程で最初に溶出するエナンチオマーである(R又はS)−2−ヒドロキシ−2−(3,3,3トリフルオロプロピルカルバモイル)ペンタン酸エチルエステル880mg(3.09mmol)と一緒に、水8ml中の水酸化リチウム131mg(3.09mmol)の溶液を室温で一晩撹拌した。最初に水/ジエチルエーテルで抽出し、そして次に1N塩酸水溶液/酢酸エチルで抽出して、(R又はS)−2−ヒドロキシ−2−(3,3,3−トリフルオロ−プロピルカルバモイル)−ペンタン酸、構成要素Aを、744mg(93%)得た。MS(m/e):256.1(M−H)
【0090】
f)(S又はR)−2−ヒドロキシ−2−(3,3,3−トリフルオロ−プロピルカルバモイル)−ペンタン酸、構成要素B
工程c)で2番目に溶出するエナンチオマーである(S又はR)−2−ヒドロキシ−2−(3,3,3トリフルオロプロピルカルバモイル)ペンタン酸エチルエステル1.06g(3.72mmol)と一緒に、水8.5ml中の水酸化リチウム158mg(3.72mmol)の溶液を室温で一晩撹拌した。最初に水/ジエチルエーテルで抽出し、そして次に1N塩酸水溶液/酢酸エチルで抽出して、(S又はR)−2−ヒドロキシ−2−(3,3,3−トリフルオロ−プロピルカルバモイル)−ペンタン酸、構成要素Bを、870mg(91%)得た。MS(m/e):256.1(M−H)
【0091】
g)(R又はS)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−2−プロピル−N−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド、構成要素A
テトラヒドロフラン10ml中の(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン135mg(0.60mmol)と、構成要素Aである(R又はS)−2−ヒドロキシ−2−(3,3,3−トリフルオロ−プロピルカルバモイル)−ペンタン酸154mg(0.60mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物93.8mg(0.60mmol)、ジイソプロピルエチルアミン210μl(1.20mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩117mg(0.60mmol)を加えた。一晩撹拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そして酢酸エチル/ヘプタン(勾配10:90〜100:0)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、構成要素Aである、(R又はS)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−2−プロピル−N−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド218mg(78%)を得た。MS(m/e):462.0(M−H)
【0092】
h)(S又はR)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−2−プロピル−N−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド、構成要素B
テトラヒドロフラン10ml中の(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン135mg(0.60mmol)と、構成要素Bである(S又はR)−2−ヒドロキシ−2−(3,3,3−トリフルオロ−プロピルカルバモイル)−ペンタン酸154mg(0.60mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物93.8mg(0.60mmol)、ジイソプロピルエチルアミン210μl(1.20mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩117mg(0.60mmol)を加えた。一晩撹拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そして酢酸エチル/ヘプタン(勾配10:90〜100:0)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、構成要素Bである、(S又はR)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−2−プロピル−N−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド221mg(80%)を得た。MS(m/e):462.0(M−H)
【0093】
実施例7
(R/S)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミド及び
(R)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミド及び
(S)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミド
【0094】
【化21】

【0095】
a)(R/S)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミド
テトラヒドロフラン3ml中の2−ヒドロキシ−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸70.0mg(0.19mmol)と2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアミン31.2mg(0.21mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物28.2mg(0.21mmol)、ジイソプロピルエチルアミン72μl(0.42mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩40.1mg(0.21mmol)を加えた。一晩撹拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そしてヘプタン/酢酸エチル(勾配90:10〜50:50)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R/S)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミド60.0mg(63%)を得た。MS(m/e):500.4(M+H)
【0096】
b)(R)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミド及び
c)(S)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミド
エピマーの(R/S)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミドの混合物500mg(1.0mmol)を、ヘプタン/エタノール90:10によるChiralpak AD上の分取HPLCにより分離し、(R又はS)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミド115mg(22%)、エピマーA(最初に溶出)、MS(m/e):500.4(M+H)、及び(S又はR)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミド95mg(19%)、エピマーB(2番目に溶出)、MS(m/e):500.4(M+H)を得た。
【0097】
実施例8
(R/S)−2−ヒドロキシ−2−イソブチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド
【0098】
【化22】

【0099】
a)(R/S)−2−ヒドロキシ−2−イソブチル−マロン酸モノメチルエステル
【0100】
【化23】

【0101】
室温で、ジメチルホルムアミド7ml中のジメチル−(2−メチルプロピル)マロナート0.5g(3mmol)と炭酸セシウム1.73g(5mmol)の懸濁液に空気を1時間バブリングして通した。室温で24時間撹拌を続けた。水25mlを加え、そして混合物をジエチルエーテルで抽出した。1N塩酸水溶液でpH=1まで酸性化し、そして酢酸エチルで抽出して、(R/S)−2−ヒドロキシ−2−イソブチル−マロン酸モノメチルエステル0.42g(83%)を得た。MS(m/e):189.4(M−H)
【0102】
b)(R/S)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸メチルエステル
【0103】
【化24】

【0104】
テトラヒドロフラン30ml中の(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン350mg(1.56mmol)と(R/S)−2−ヒドロキシ−2−イソブチル−マロン酸モノメチルエステル327mg(1.72mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物232mg(1.72mmol)、ジイソプロピルエチルアミン584μl(3.43mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩329mg(192mmol)を加えた。室温で一晩撹拌を続けた。水/酢酸エチルにより抽出し、そしてヘプタン/酢酸エチル(勾配90/10〜50/50)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R/S)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸メチルエステル470mg(76%)を無色の泡状物として得た。MS(m/e):397.3(M+H)
【0105】
c)(R/S)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸
【0106】
【化25】

【0107】
テトラヒドロフラン6ml中の(R/S)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸メチルエステル430mg(1.09mmol)と水3ml中の水酸化リチウム一水和物50.1mg(1.19mmol)の混合物を、室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、そして残留物をpH1において酢酸エチルで抽出して、(R/S)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸390mg(94%)を得た。MS(m/e):381.0(M−H)
【0108】
d)(R/S)−2−ヒドロキシ−2−イソブチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド
ジメチルホルムアミド1.5ml中の2−ヒドロキシ−4−メチル−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸50.0mg(0.13mmol)と2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアミン39.0mg(0.26mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そしてトリエチルアミン20μl(0.14mmol)及びO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムへキサフルオロホスファート(HBTU)54.5mg(0.14mmol)を加えた。一晩攪拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そしてヘプタン/酢酸エチル(勾配19:1〜1:1)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R/S)−2−ヒドロキシ−2−イソブチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド45.0mg(67%)を得た。MS(m/e):514.5(M+H)
【0109】
実施例9
(R/S)−N−シクロプロピルメチル−2−ヒドロキシ−2−イソブチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−マロンアミド
【0110】
【化26】

【0111】
ジメチルホルムアミド1.5ml中の2−ヒドロキシ−4−メチル−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸50.0mg(0.13mmol)とシクロプロパンメチルアミン18.6mg(0.26mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そしてトリエチルアミン20μl(0.14mmol)及びO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムへキサフルオロホスファート(HBTU)54.5mg(0.14mmol)を加えた。室温で、週末にかけて攪拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そしてヘプタン/酢酸エチル(勾配19:1〜1:1)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R/S)−N−シクロプロピルメチル−2−ヒドロキシ−2−イソブチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−マロンアミド10.0mg(18%)を得た。MS(m/e):436.1(M+H)
【0112】
実施例10
(R/S)−N−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−2−イソブチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−マロンアミド
【0113】
【化27】

【0114】
ジメチルホルムアミド1.5ml中の2−ヒドロキシ−4−メチル−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸50.0mg(0.13mmol)と3,5−ジフルオロベンジルアミン37.4mg(0.26mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そしてトリエチルアミン20μl(0.14mmol)及びO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムへキサフルオロホスファート(HBTU)54.5mg(0.14mmol)を加えた。室温で一晩撹拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そしてヘプタン/酢酸エチル(勾配19:1〜1:1)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R/S)−N−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−2−イソブチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−マロンアミド10.0mg(15%)を得た。MS(m/e):508.5(M+H)
【0115】
実施例11
(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド及び
(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド及び
(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド
【0116】
【化28】

【0117】
a)(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド
テトラヒドロフラン7ml中の(S)−7−アミノ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン200mg(0.65mmol)と(RS)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド酸150mg(0.65mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物102mg(0.65mmol)、ジイソプロピルエチルアミン228μl(1.31mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩128mg(0.65mmol)を加えた。室温で一晩撹拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そして酢酸エチル/ヘプタン(勾配1/4〜4/1)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド220mg(65%)を白色の固体として得た。MS(m/e):518.2(M+H)
【0118】
b)(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド、及び
c)(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド
エピマーの(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミドの混合物200mgを、イソプロパノール/ヘプタン15/85によるChiralpak AD上の分取HPLCにより分離し、(R又はS)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド90mg、エピマーA(最初に溶出)、MS(m/e):518.5(M+H)、及び(S又はR)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド90mg、エピマーB(2番目に溶出)、MS(m/e):518.5(M+H)を得た。
【0119】
実施例12
(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド及び
(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド及び
(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド
【0120】
【化29】

【0121】
a)(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド
テトラヒドロフラン21ml中の(S)−7−アミノ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン144mg(0.47mmol)と(RS)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド酸125mg(0.47mmol)の溶液を、室温で、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物73.6mg(0.47mmol)、ジイソプロピルエチルアミン165μl(0.94mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩92.1mg(0.47mmol)と反応させた。一晩撹拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そして酢酸エチル/ヘプタン(勾配15/85〜40/60)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド207mg(79%)を白色の固体として得た。MS(m/e):554.3(M+H)
【0122】
b)(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド及び
c)(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド
エピマーの(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミドの混合物を、イソプロパノール/ヘプタン10/90によるChiralcel OD上の分取HPLCにより分離し、(R又はS)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド40mg、エピマーA(最初に溶出)、MS(m/e):554.3(M+H)、及び(S又はR)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド40mg、エピマーB(2番目に溶出)、MS(m/e):554.3(M+H)を得た。
【0123】
実施例13
(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド及び
(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド
【0124】
【化30】

【0125】
a)(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド及び
テトラヒドロフラン7ml中の(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン75.0mg(0.25mmol)と(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド酸52.7mg(0.25mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物33.8mg(0.25mmol)、ジイソプロピルエチルアミン86μl(0.49mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩47.9mg(0.25mmol)を加えた。16時間撹拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そしてヘプタン/酢酸エチル(勾配10/90〜40/60)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド37mg(30%)を得た。MS(m/e):504.4(M+H)
【0126】
b)(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド
【0127】
【化31】

【0128】
テトラヒドロフラン7ml中の(S)−7−アミノ−5H,7H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−6−オン75.0mg(0.25mmol)と(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド酸52.7mg(0.25mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物33.8mg(0.25mmol)、ジイソプロピルエチルアミン86μl(0.49mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩47.9mg(0.25mmol)を加えた。一晩撹拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そしてヘプタン/酢酸エチル(勾配10/90〜40/60)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド38mg(31%)を得た。MS(m/e):504.4(M+H)
【0129】
実施例14
(R/S)−N−(2,2−ジフルオロ−プロピル)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−2−プロピル−マロンアミド
【0130】
【化32】

【0131】
テトラヒドロフラン2.5ml中の2−ヒドロキシ−2−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イルカルバモイル)−ペンタン酸50.0mg(0.14mmol)と2,2−ジフルオロプロピルアミン14.2mg(0.15mmol)の溶液を、0℃に冷却し、そして1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物20.2mg(0.15mmol)、ジイソプロピルエチルアミン39μl(0.3mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチル−カルボジイミド塩酸塩28.6mg(0.15mmol)を加えた。一晩撹拌を続けた。蒸留により溶媒を除去し、そしてヘプタン/酢酸エチル(勾配90:10〜50:50)によるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより、(R/S)−N−(2,2−ジフルオロ−プロピル)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−2−プロピル−マロンアミド30.0mg(50%)を得た。MS(m/e):446.1(M+H)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化33】


[式中、
は、水素又はハロゲンにより置換されている低級アルキルであり;
は、低級アルキルであり;
は、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、−(CH−シクロアルキル又は−(CH−フェニル(ここで、フェニル環は、非置換であるか、又はハロゲンにより置換されている)であり;
nは、0、1又は2である]
で示される、6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル誘導体、又はその薬学的に適切で、光学的に純粋なエピマー又は混合物。
【請求項2】
が、水素であり、そしてRが、ハロゲンにより置換されている低級アルキルである、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項3】
化合物が、
(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド、
(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド、
(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド、
(R/S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド、
(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(3,3,3−トリフルオロ−プロピル)−マロンアミド、
(R)−2−エチル−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド、
(R/S)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミド、
(R)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミド又は
(S)−2−ヒドロキシ−N−((S)−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル)−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−2−プロピル−マロンアミド
である、請求項2記載の式(I)で示される化合物。
【請求項4】
が、ハロゲンにより置換されている低級アルキルであり、そしてRが、ハロゲンにより置換されている低級アルキルである、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項5】
化合物が、
(R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロピル)−マロンアミド又は
(S)−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[(S)−6−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−7−イル]−N′−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−マロンアミド
である、請求項4記載の式(I)で示される化合物。
【請求項6】
請求項1〜5記載の式(I)で示される化合物の製造方法であって、
a)式(II):
【化34】


で示される化合物を、式(III):
【化35】


で示される化合物と反応させて、式(I):
【化36】


[式中、置換基は請求項1の記載と同義である]で示される化合物とするか、又は
b)式(IV):
【化37】


で示される化合物を、式:
NH
で示されるアミンと反応させて、式(I):
【化38】


[式中、置換基は請求項1の記載と同義である]で示される化合物とする工程、
および、
所望の場合は、式(I)で示される化合物のエピマー型の混合物(R/S)を、エピマー(R)とエピマー(S)に変換する工程
を含む方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法又は同等の方法により製造される、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物の1種類以上と、薬学的に許容しうる賦形剤を含有する医薬。
【請求項9】
アルツハイマー病又は癌の処置のための、請求項8記載の医薬。
【請求項10】
アルツハイマー病又は癌の処置のための医薬の製造のための、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項11】
本明細書に記載の発明。

【公表番号】特表2010−517954(P2010−517954A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547643(P2009−547643)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050768
【国際公開番号】WO2008/092786
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】