説明

7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンのマルチアームポリマー複合体を用いた非ホジキンリンパ腫の治療方法

本発明は、非ホジキンリンパ腫の治療に関する。本発明は、7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの高分子プロドラックを、それらを必要とする哺乳動物に使用する方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2007年2月9日に出願した米国特許出願第11/704,607号の継続出願であり、これはすなわち、参照することにより各内容を本明細書に援用する、2006年2月9日出願の米国仮特許出願第60/772,464号、2006年6月9日出願の米国仮特許出願第60/804,391号、2006年9月15日出願の米国仮特許出願第60/844,938号、および2006年11月6日出願の米国仮特許出願第60/864,516号の各優先権の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの高分子プロドラックを用いたリンパ腫の治療方法に関する。特に、本発明は、7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンのポリエチレングリコール複合体を用いた非ホジキンリンパ腫の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
非ホジキンリンパ腫(NHL)は、リンパ球などの免疫系に関連する癌の一種である。NHLは、脾臓、リンパ節、または扁桃腺などのリンパ系に関連する任意の器官で進行しうる。NHLは、年齢を問わず発症し、多くの場合、リンパ節の肥大、発熱、および体重の減少を特徴とする。NHLは、一般に、進行性の(進行の速い)タイプと遅発性の(進行の遅い)タイプに分類される。NHLはまた、B細胞型NHLまたはT細胞型NHLのいずれかに分類される。B細胞型NHLとして、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、およびマントル細胞リンパ腫が挙げられる。T細胞型NHLとしては、菌状息肉腫、未分化大細胞リンパ腫、および前駆Tリンパ芽球性リンパ腫が挙げられる。骨髄または幹細胞の移植手術後のリンパ増殖症候群に関係するリンパ腫は、通常、B細胞型NHLである。予後診断および治療は、疾患の段階および種類に応じて決まる。
【0004】
長年にわたり、非ホジキンリンパ腫を有する患者の治療方法が、数種類提案されている。いくつかの試みには、イリノテカン(CPT−11、Camptosar(登録商標))としても知られるCPT−11に基づいた治療が含まれる。これらの試みについての結果は、失敗であると考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
長年にわたり、非ホジキンリンパ腫を有する患者の治療方法が、数種類提案されている。いくつかの試みには、イリノテカン(CPT−11、Camptosar(登録商標))としても知られるCPT−11に基づいた治療が含まれる。これらの試みについての結果は、失敗であると考えられている。本発明は、これらの治療の代替方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様では、非ホジキンリンパ腫を有する患者を治療する方法が提供される。治療には、化学式(I)の化合物を有効量で、それらを必要とする患者に投与する工程が含まれる。
【0007】
本発明のこの態様に従って用いられる化学式(I)の化合物として、
【化1】

【0008】
が挙げられ、
ここで、
1、R2、R3およびR4は、独立してOHまたは(L)m−Dであり、
Lは二官能性のリンカーであり、
Dは、
【化2】

【0009】
であり、
mは0または正の整数であり、
nは正の整数であり、
1、R2、R3およびR4は、すべてがOHではないことを条件とする。
【0010】
本発明のある好ましい態様では、nは約28〜約341であり、約227であることが好ましい。
【0011】
利点については、以下の説明および図面から明らかになるであろう。
【0012】
本発明の目的では、「残基」という用語は、化合物の部分を意味すると解されるべきものとし、それは、すなわち、別の化合物との置換反応を受けた後に残る、7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンやアミノ酸などのことをいう。
【0013】
本発明の目的では、「ポリマー含有残基」または「PEG残基」という用語は、それぞれ、7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン含有化合物との反応を受けた後に残る、ポリマーまたはPEG部分を意味すると解されるべきものとする。
【0014】
本発明の目的では、「アルキル」という用語には、直鎖、分岐鎖、置換アルキルが含まれると解されるべきものとし、例えばハロ−、アルコキシ−、ニトロ−C1-12アルキルなどが含まれるが、C1-4アルキル、C3-8シクロアルキルまたは置換シクロアルキルなどが好ましい。
【0015】
本発明の目的では、「置換(された)」という用語は、官能基または化合物内に含まれる1つ以上の原子に1つ以上の異なる原子を加えるか、1つ以上の異なる原子と置き換えることを含むと解されるべきものとする。
【0016】
本発明の目的では、置換アルキルとしては、カルボキシアルキル類、アミノアルキル類、ジアルキルアミノ類、ヒドロキシアルキル類およびメルカプトアルキル類が挙げられ;置換アルキニルとしては、カルボキシアルキニル類、アミノアルキニル類、ジアルキニルアミノ類、ヒドロキシアルキニル類およびメルカプトアルキニル類が挙げられ;置換シクロアルキルとしては、4−クロロシクロヘキシルのような部分が挙げられ;アリールとしては、ナフチルのような部分が挙げられ;置換アリールとしては、3−ブロモフェニルのような部分が挙げられ;アラルキルとしては、トリルのような部分が挙げられ;ヘテロアルキルとしては、エチルチオフェンのような部分が挙げられ;アルコキシとしては、メトキシのような部分が挙げられ;フェノキシとしては、3−ニトロフェノキシのような部分が挙げられる。また、ハロには、フルオロ、クロロ、ヨードおよびブロモが含まれるものと解されるべきである。
【0017】
本発明の目的では、「有効量」および「十分量」という用語は、効果が当業者によって理解されるような、所望の効果または治療効果を達成する量を意味すべきものとする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1〜2に記載される4アームポリエチレングリコール酸を調製するための反応スキームの概略図。
【図2】実施例3〜7に記載される4アーム‐PEG‐Gly‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)を調製するための反応スキームの概略図。
【図3】実施例10に記載される4アーム‐PEG‐Gly‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)のインビトロ代謝。
【図4】実施例12に記載される4アーム‐PEG‐Gly‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)の安定性。
【図5】実施例12に記載される4アーム‐PEG‐Gly‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)の安定性におけるpHの効果。
【図6】実施例13に記載される4アーム‐PEG‐Gly‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)の薬力学的特性。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、リンパ腫の治療方法に関する。本発明の1つの態様では、非ホジキンリンパ腫を有する患者を治療する方法が提供される。本方法には、化学式(I)の化合物を有効量で、それらを必要とする患者に投与する工程が含まれる。用いられる1つの実施の形態では、化学式(I)の化合物は、次の構造式を有し:
【化3】

【0020】
ここで、
1、R2、R3およびR4は、独立してOHまたは(L)m−Dであり、
Lは二官能性リンカーであり、
Dは、
【化4】

【0021】
であり、
mは、0または正の整数であり、約1〜約10であることが好ましく、1であることがさらに好ましく、
nは正の整数であり、約28〜約341であることが好ましく、約114〜約227であることがさらに好ましく、約227であることが最も好ましく、
1、R2、R3およびR4は、すべてがOHではないことを条件とする。
【0022】
一部の好ましい態様では、治療には、化学式(II):
【化5】

【0023】
を有する化合物を投与する工程が含まれる。投与量は、約0.3mg/m2体表面/回〜約90mg/m2体表面/回の範囲でありうる。投与量は、約0.9mg/m2〜約30mg/m2であることがさらに好ましい。本発明の目的では、用量は、投与されるポリマー複合体の量ではなく、7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの量を意味するものと解されるべきである。
【0024】
別の態様では、本発明には、必要とする哺乳動物における非ホジキンリンパ腫の治療に有用な薬剤の調製のために、化学式(I)の化合物を使用する方法が含まれる。
【0025】
A.マルチアームポリマー
本明細書に記載される化合物のポリマー部分には、マルチアームPEG類が含まれる。マルチアームPEG類は、参照することによりその開示が本明細書に援用される、日油株式会社(NOF Corp.)の薬物送達システムカタログ第8版(2006年4月)に記載されるものである。1つの特に好ましいマルチアームPEGは、次の構造式を有し:
【化6】

【0026】
ここでnは正の整数である。
【0027】
本発明の1つの好適な実施の形態では、ポリマーの重合度(n)は、約28〜約341であり、約5,000〜約60,000の総分子量を有するポリマーを与え、好ましくは、約114〜約227の重合度で約20,000〜約40,000の総分子量を有するポリマーを与える。本発明の1つの特に好適な実施の形態では、nは約227である。
【0028】
B.二官能性リンカー
本発明のある好ましい態様では、二官能性リンカーには、アミノ酸が含まれる。任意の既知の天然L−アミノ酸から選択されうるアミノ酸は、例を挙げると、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、グリシン、セリン、スレオニン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、および/またはそれらの組合せなど、枚挙にいとまがない。別の態様では、二官能性リンカー(L)はペプチド残基であって差し支えない。ペプチドのサイズは、例えば、約2〜約10のアミノ酸残基の範囲であってよい。
【0029】
天然アミノ酸、ならびに、さまざまな、当技術分野で既知の、疎水性または非疎水性の、非天然アミノ酸(DまたはL体)の誘導体および類似体もまた、本発明の範囲内にあることが意図されている。単に例証するにすぎないが、アミノ酸の類似体および誘導体には、2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、β−アラニン、β−アミノ−プロピオン酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、ピペリジン酸、6−アミノカプロン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、2,4−アミノ酪酸、デスモシン、2,2−ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N−メチルグリシンまたはサルコシン、N−メチル−イソロイシン、6−N−メチル−リジン、N−メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチンおよびその他のものなど、枚挙にいとまがなく、これらは、参照することにより本明細書に援用される、米国連邦官報(63 Fed. Reg.),29620,29622に記載されている。いくつかの好適なL基として、グリシン、アラニン、メチオニンまたはサルコシンが挙げられる。本発明の化合物では、リンカー基(L)としてグリシンがさらに好ましい。
【0030】
本発明の別の態様では、7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンおよびポリマーが結合した後のLは、下記の群から選択することができる:
【化7−1】

【化7−2】

【化7−3】

【0031】
ここで、
21−R29は独立して、水素、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シリルエーテル、スルホニル、メルカプト、C1-6アルキルメルカプト、アリールメルカプト、置換アリールメルカプト、置換C1-6アルキルチオ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐鎖アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6へテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、および置換アリールカルボニルオキシからなる群より選択され、
(t)、(t')および(y)は、独立して、0または正の整数であり、約1〜約10が好ましく、
(v)は0または1である。
【0032】
いくつかの好適な実施の形態では、Lとして下記のものが挙げられ:
【化8−1】

【化8−2】

【化8−3】

【0033】
ここで、
(t)、(t')および(y)は、独立して0または正の整数であり、約1〜約10が好ましく、
(v)は0または1である。
【0034】
本発明の別の好適な態様では、化合物には、1〜10単位までの二官能性リンカーが含まれる。1単位からなる二官能性リンカーが含まれることがさらに好ましく、この場合、mは1である。
【0035】
さらなるリンカーについては、参照することによりその内容が本明細書に援用される、Greenwaldら(Bioorganic & Medicinal Chemistry, 1998, 6:551-562)の表1に記載されている。
【0036】
C.プロドラッグの合成
一般に、治療に用いられる本発明のプロドラッグは、アミノ基がポリマーのカルボン酸と反応して結合を生じさせるのに十分な条件下で、1当量以上の活性化マルチアームポリマーを、例えば、活性部位当たり1当量以上の7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン−アミノ酸複合体と反応させることによって調製される。
【0037】
さらに具体的には、本発明は、
1)利用可能な20−ヒドロキシル基を含む、1当量の7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン、および、利用可能なカルボン酸基を含む、1当量以上の二官能性リンカーを提供する工程と、
2)1,(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルカルボジイミド(EDC)(または1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、任意の適切なジアルキルカルボジイミド、向山試薬(例えば、2‐ハロ‐1‐アルキル‐ピリジニウムハライド)またはプロピルホスホン酸環状無水物(PPACA)など)のようなカップリング試薬、ならびに、DMAPなどの適切な塩基の存在下、前記2種類の反応物質を反応させて、DCM(またはDMF、クロロホルム、トルエン、またはそれらの混合液)などの不活性溶媒中に7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン二官能性リンカー中間体を形成する工程と、
3)例えばSigma Chemical社などの供給元から入手可能であるか、あるいは、0℃〜22℃までの温度で既知の技法を用いて合成される、1,(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルカルボジイミド(EDC)、PPAC(または1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、任意の適切なジアルキルカルボジイミド、向山試薬(例えば、2‐ハロ‐1‐アルキル‐ピリジニウムハライド)またはプロピルホスホン酸環状無水物(PPACA)など)などのカップリング試薬、ならびにDMAPなどの適切な塩基の存在下、DCM(またはDMF、クロロホルム、トルエンまたはそれらの混合液)などの不活性溶媒中で、活性部位当たり1当量以上(例えば、実施例6では2当量を用いた)の、アミノ基を有する得られた中間体を、1当量の、PEG‐酸などの活性化ポリマーと反応させる工程と、
を有してなる。
【0038】
1つの好適な態様では、7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの10‐ヒドロキシル基は、工程1)の前に保護化される。
【0039】
7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン中間体自体が良好な溶解性を有しており、効率的かつ効果的に純度の高い形態に精製することが可能なことから、7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの10‐ヒドロキシル基には、芳香族の保護基が好ましい。例えば、TBDPSCl、TBDMSClおよびTMSClなどのシリル含有保護基を用いて、7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの10‐ヒドロキシル基を保護することができる。
【0040】
活性化ポリマー、すなわち、1〜4つの末端カルボキシル酸基を含むポリマーは、例えば、日油株式会社のSunbright型、または末端OH基を有する他の分岐鎖ポリマーを、当業者に周知の標準的技法を使用して、対応するカルボキシル酸誘導体に転換させることによって、調製することができる。例えば、本明細書の実施例1〜2、および、参照することによりその内容が本明細書に援用される、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,605,976号明細書を参照のこと。
【0041】
第1および第2のカップリング試薬は同一でも、異なっていてもよい。
【0042】
好適な二官能性リンカー基の例としては、グリシン、アラニン、メチオニン、サルコシンなどが挙げられる。別の合成法も、必要以上の実験をすることなく利用することができる。
【0043】
本発明にしたがって投与される化合物としては下記のものが挙げられる:
【化9−1】

【化9−2】

【0044】
1つの特に好適な治療方法には、下記構造を有する化合物を投与する工程が含まれる:
【化10】

【0045】
ここで、ポリマーの4本のアームすべてがグリシンを介して7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンと結合しており(conjugated)、ポリマー部分は、約40,000の分子量を有する。
【0046】
D.組成物/調合薬
本発明のポリマー複合体を含む医薬組成物は、当技術分野で周知の方法によって製造されて差し支えなく、例えば、さまざまな周知の混合、溶解、粒化、粉末化、乳化、カプセル化、封入化、または凍結乾燥化法の利用が挙げられる。賦形剤、および、活性化合物を薬学的に利用可能な製剤にする過程を促進する助剤を含む、1種類以上の生理的に許容される担体と結合させて、組成物を製剤して差し支えない。適切な製剤は、選択される投与経路に応じて決まる。本発明の多くの態様では、非経口の経路が好ましい。
【0047】
限定はしないが、静脈注射、筋肉注射および皮下注射を含む注射では、本発明の化合物は水溶液の形態で製剤されて差し支えなく、生理食塩緩衝液あるいは限定はしないがピロリドンまたはジメチルスルホキシドを含む極性溶媒など、生理的に適合した緩衝液の形態が好ましい。
【0048】
本明細書に記載される化合物はまた、例えばボーラス注入法または持続注入法による非経口的投与用に製剤されてもよい。注入用の製剤は、例えば、アンプルまたは複数回投与用の容器などの単位投薬形態であって構わない。有用な組成物としては、限定はしないが、懸濁液、溶液、あるいは、油性または水性媒体中のエマルションが挙げられ、懸濁剤、安定剤および/または分散剤などの補助剤を含めてもよい。非経口投与用の医薬組成物としては、限定はしないが活性化合物の塩(好適なもの)などの水溶性型の水溶液が挙げられる。さらには、活性化合物の懸濁液は、脂肪親和性媒体の形態で調製されて差し支えない。適切な脂肪親和性の媒体としては、ゴマ油などの脂肪油、オレイン酸エチルおよびトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームなどの物質が挙げられる。水性懸濁注入液に、カルボキシルメチル・セルロース・ナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなど、懸濁液の粘度を上昇させる物質を含めてもよい。随意的に、適切な安定剤および/または化合物の溶解性を高める薬剤を懸濁液に含めて、高濃縮液を調製して差し支えない。あるいは、活性成分は、使用前に、殺菌済みの発熱物質を含まない水などの適切な媒体で構成する、粉末の形態であってもよい。
【0049】
経口投与では、活性化合物を当技術分野で周知の薬学的に許容される担体と混合することによって、化合物を製剤して構わない。このような担体は、本発明の化合物を、錠剤、丸薬、薬用キャンディー、糖衣剤、カプセル、液体、ゲル、シロップ、ペースト、スラリー、溶液、懸濁液、患者の飲用水で希釈する濃縮液および濃縮懸濁液、患者の食事で希釈する予混合物、および患者によって経口摂取される同様のものなどの形態に製剤することを可能にする。経口利用のための製剤は、固形の賦形剤を使用し、随意的に、得られた混合物を顆粒化し、顆粒混合物を処理し、必要に応じて他の適切な助剤を加えた後、錠剤または糖衣錠の中心部分を得ることにより、調製することができる。有用な賦形剤としては、特に、ラクトース、ショ糖、マンニトール、またはソルビトールなどを含む糖類のような充填剤、例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、およびジャガイモデンプンなどのセルロース製剤、および、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの他の物質が挙げられる。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギニン酸などの崩壊剤を加えてもよい。
【0050】
吸入による投与では、本発明の化合物は、加圧型パック、または噴霧器および適切な推進剤を使用する噴霧スプレーの形態で便利に送達されて差し支えない。
【0051】
本化合物は、例えばカカオバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤用基剤を用いて、坐剤または保持浣腸剤など、直腸用組成物の形態で製剤されてもよい。
【0052】
上記製剤に加えて、本化合物はまた、持続性製剤として製剤されて差し支えない。このような長時間作用型の製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉内に)することにより、または筋肉注射によって投与されて構わない。この発明の化合物は、適切なポリマー材料または疎水性材料を用いて(例えば、薬理学的に許容される油を用いたエマルションの形態に)、イオン交換樹脂を用いて、あるいは、限定はしないが難溶性の塩などの難溶性の誘導体として、この投与経路用に製剤されて差し支えない。
【0053】
リポソームおよびエマルションなどの他の送達系も使用することができる。
【0054】
さらには、本化合物は、治療薬を含む固形の疎水性ポリマーの半透性マトリクスなどの徐放系を使用して送達されてもよい。さまざまな徐放性の物質が確立されており、これらは当業者に周知である。その化学的性質に応じて、2,3週間から100日を越える期間、徐放性カプセルから本化合物が放出されて差し支えない。特定の化合物の化学的性質および生物学的安定性に応じて、追加の安定化の方策を用いてもよい。
【0055】
E.用量
治療に有効な量とは、7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン感受性の状態の予防、緩和、または改善に効果的な化合物の量のことをいう。治療に有効な量の決定は、特に本明細書の開示を考慮すれば、十分に、当業者の能力の範囲内にある。
【0056】
本発明の方法に使用する任意の化合物では、治療に有効な量は、最初にインビトロ・アッセイをすることによって推定することができる。次に、用量は、有効量を含む血中濃度範囲が達成されるように、動物モデル用途に製剤することができる。これらの情報を用いることにより、患者に有用な用量をさらに正確に決定することができる。
【0057】
本明細書に記載される化合物の毒性および治療効力は、当技術分野で周知の方法を使用する、細胞培養または動物実験における標準的な薬学的方法によって決定することができる。当然ながら、用量は、投与形態および投与経路に応じて変化しうる。正確な製剤、投与経路および用量は、患者の状態を考慮して、個々の内科医が選択して差し支えない。
【0058】
しかしながら、一般的には、本発明の化合物の全身送達用の、現在において好適な用量範囲は、約1〜約100mg/kg/週であり、約2〜約60mg/kg/週が好ましい。
【0059】
1つの好ましい態様では、本発明の治療には、本明細書に記載される化合物を、約0.3mg/m2体表面/回〜約90mg/m2体表面/回の量で投与する工程を有してなる。本明細書に記載される化合物の量は、約0.9mg/m2体表面/回〜約30mg/m2体表面/回の範囲であることがさらに好ましい。
【0060】
治療プロトコルは、1日1回投与される単回投与に基づいて差し支えなく、あるいは複数週にわたる治療プロトコルの一部として与えることが可能な、複数回投与に分けることもできる。正確な用量は、当業者に認識されるように、病状の段階および重症度、ポリマー−プロドラッグ組成物に対する腫瘍の感受性、および治療される患者の個別の特性に応じて決定されるであろう。
【0061】
治療は、所望の臨床結果が得られるまで、1日以上の期間与えられることも意図されている。
【0062】
いくつかの好適な態様では、治療プロトコルは、約1mg/m2体表面/回〜約16mg/m2体表面/回を毎週与えられるプロトコルにしたがって3週間にわたり提供され、その後の1週間は治療しないというサイクルを、約3回繰り返すことを含む。3週間毎の投与量は、約1.25mg/m2体表面/回〜約45mg/m2体表面/回の範囲でありうる。
【0063】
あるいは、投与される化合物は、体重に基づいていてもよい。その場合の量は、約0.1mg/kg体重/回〜約30mg/kg体重/回の範囲であり、約0.3mg/kg体重/回〜約10mg/kg体重/回の範囲であることが好ましい。q2d×5の投与計画(複数回投与)における10mg/kg、または単回投与の投与計画における30mg/kgなど、特定の用量が投与されうる。
【0064】
ポリマー複合体が投与される本発明のすべての態様では、記載される投与量は、投与されるポリマー複合体の量ではなく、7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの量に基づいている。
【0065】
本発明のさらなる態様には、本明細書に記載される化合物を、相乗効果または付加的効果を目的として、他の抗癌治療と組み合わせることが含まれる。
【0066】
F.非ホジキンリンパ腫の治療
本発明は、リンパ腫の治療方法を提供する。1つの好ましい態様では、本発明は、非ホジキンリンパ腫を有する患者の治療方法を提供する。本発明の目的では、「治療」または「治癒」は、治療後の患者において、腫瘍成長、全身腫瘍組織量および腫瘍転移の抑制、低減、改善および予防、腫瘍の寛解、または腫瘍および/または腫瘍性成長の再発の予防を意味すると解されるべきものとする。
【0067】
治療される非ホジキンリンパ腫には、進行性の(進行の速い)タイプと、遅発性の(進行の遅い)タイプが含まれうる。あるいは、非ホジキンリンパ腫には、B細胞型またはT細胞型のNHLが含まれうる。B細胞型NHLの非限定的リストとしては、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、粘膜関連リンパ組織(MALT)型節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾性辺縁帯B細胞リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、毛様細胞白血病、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫が挙げられる。T細胞型NHLとしては、菌状息肉腫、未分化大細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、および前駆Tリンパ芽球性リンパ腫が挙げられる。さらなる非ホジキンリンパ腫もまた本発明の範囲内にあることが意図されており、そのような非ホジキンリンパ腫は、当業者にとって明らかである。
【0068】
別の態様では、治療には、B細胞NHLなど、骨髄または幹細胞の移植手術後のリンパ増殖症候群に関連するリンパ腫が含まれる。
【実施例】
【0069】
以下の実施例は、本発明のさらなる認識をもたらす役割をするものであり、本発明の効力の範囲を限定することは多少なりとも意味していない。実施例における下線および強調された数字は、図1〜2に示すものに対応している。
【0070】
一般的手順:
すべての反応は、乾燥窒素またはアルゴンの雰囲気下で行なわれた。市販試薬は、精製せずに使用した。すべてのPEG化合物は、使用前に真空下で、またはトルエンから共沸蒸留することにより乾燥させた。13C NMRスペクトルは、他に特記しない限り、溶媒として重クロロホルムおよびメタノ−ルを用い、Varian Mercury(登録商標)300 NMRスペクトロメータを使用して、75.46MHzで得た。化学シフト(δ)は、テトラメチルシラン(TMS)よりも下方領域についてppmで記載している。
【0071】
HPLC法:
反応混合物、および中間体および最終生成物の純度を、Beckman Coulter System Gold(登録商標)HPLC機器でモニタした。多波長UV検出器と共に、ZOBAX(登録商標)300SB C8逆相カラム(150×4.6mm)またはPhenomenex Jupiter(登録商標)300A C18逆相カラム(150×4.6mm)を使用し、流量1mL/分で0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)中アセトニトリルの10〜90%の勾配を用いた。
【0072】
実施例1.40k4アーム‐PEG‐tブチルエステル(化合物2):
40k4アーム‐PEG‐OH(12.5g,1当量)を220mLのトルエンと共に共沸させ、35mLのトルエン/水を除去した。溶液を30℃まで冷却し、t−ブタノール中1.0Mカリウムt−ブトキシド(3.75mL,3当量×4=12当量)を加えた。混合液を30℃で30分間攪拌した後、t−ブチルブロモ酢酸(0.975g,4当量×4=16当量)を加えた。30℃で1時間反応を保持した後、25℃まで冷却した。150mLのエーテルをゆっくり加えて生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を17℃まで冷却し、17℃で30分間そのまま置いた。粗生成物をろ過し、ウェットケーキを、エーテルを用いて2回洗浄した(2×125mL)。単離したウェットケーキを50mlのDCMに溶解し、生成物を350mlのエーテルを用いて沈殿させ、ろ過した。ウェットケーキを、エーテルを用いて2回洗浄した(2×125mL)。生成物を真空下、40℃で乾燥させた(収率=98%,12.25g)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3):δ27.71, 68.48-70.71 (PEG), 80.94, 168.97。
【0073】
実施例2.40k4アーム‐PEG酸(化合物3):
40k 4アーム‐PEG‐tブチルエステル(化合物2,12g)を120mLのDCMに溶解し、次いで60mLのTFAを加えた。混合物を室温で3時間攪拌した後、真空下、35℃で溶媒を除去した。得られた油状の残渣を37.5mLのDCMに溶解させた。粗生成物を375mLのエーテルで沈殿させた。ウェットケーキを30mLの0.5%NaHCO3に溶解させた。生成物をDCMで2回抽出した(2×150mL)。有機層を合わせて、2.5gのMgSO4で乾燥させた。真空下、室温で溶媒を除去した。得られた残渣を37.5mLのDCMに溶かし、300mLのエーテルを用いて生成物を沈殿させ、ろ過した。ウェットケーキをエーテルで2回洗浄した(2×125mL)。真空下、40℃で生成物を乾燥させた(収率=90%,10.75g)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ67.93 ‐ 71.6 (PEG), 170.83。
【0074】
実施例3.TBDPS-(10)-(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)(化合物5):
100mLの無水DCM中7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン(化合物4, 2.0g,5.10mmol,1当量)の懸濁液にEt3N(4.3mL,30.58mmol,6当量)およびTBDPSCl(7.8mL,30.58mmol,6当量)を加えた。反応混合物を一晩加熱還流した後、0.2N HCl溶液(2×50mL)、飽和NaHCO3溶液(100mL)および塩水(100mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、真空下で蒸発させた。残渣を無水DCMに溶解し、ヘキサンを加えることにより沈殿させた。DCM/ヘキサンを用いた沈殿を繰り返し、過剰のTBDPSClを除去した。固形物をろ過し、真空下で乾燥させて2.09gの生成物を得た(収率65%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ0.90 (3 H, t, J = 7.6 Hz), 1.01 (3 H, t, J = 7.3 Hz), 1.17 (9H, s), 1.83-1.92 (2H, m), 2.64 (2H, q, 6.9 Hz), 3.89 (1 H, s, OH), 5.11 (2H, s), 5.27 (1H, d, J = 16.1 Hz), 5.72 (1H, d, J = 16.4 Hz), 7.07 (2 H, d, J = 2.63 Hz), 7.36-7.49 (7 H, m), 7.58 (1 H, s), 7.75-7.79 (4H, m), 8.05 (1 H, d, J = 9.4 Hz)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3):δ7.82, 13.28, 19.52, 22.86, 26.48, 31.52, 49.23, 66.25, 72.69, 97.25, 110.09, 117.57, 125.67, 126.57, 127.65, 127.81, 130.02, 131.69, 131.97, 135.26, 143.51, 145.05, 147.12, 149.55, 149.92, 154.73, 157.43, 173.72。
【0075】
実施例4.TBDPS-(10)-(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)-(20)-Gly-Boc(化合物6):
100mlの無水DCM中のTBDPS-(10)-(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン) (化合物5,3.78g,5.99mmol,1 当量)およびBoc-Gly-OH (1.57g,8,99mmol,1.5当量)の0℃の溶液にEDC(1.72g,8.99mmol,1.5当量)およびDMAP(329mg,2.69mmol,0.45当量)を加えた。HPLCが出発物質の完全消失を示すまで、反応混合物を0℃で攪拌した(約1時間45分)。有機層を0.5%のNaHCO3溶液(2×50mL)、水(1×50mL)、0.1N HCl溶液(2×50mL)および塩水(1×50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。ろ過し、真空下で蒸発させた後、4.94gの組生成物を得た(定量的収量)。さらに精製することなく、粗固形物を次の反応に用いた。1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ0.89 (3 H, t, J = 7.6 Hz), 0.96 (3 H, t, J = 7.5 Hz), 1.18 (9H, s), 1.40 (9H, s), 2.07-2.29 (3H, m), 2.64 (2H, q, 7.5 Hz), 4.01-4.22 (2H, m), 5.00 (1 H, br s), 5.01 (2H, s), 5.37 (1H, d, J = 17.0 Hz), 5.66 (1H, d, J = 17.0 Hz), 7.08 (1 H, d, J = 2.34 Hz), 7.16 (1H, s), 7.37-7.50 (7 H, m), 7.77 (4H, d, J = 7.6 Hz), 8.05 (1 H, d, J = 9.4 Hz)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3):δ7.52, 13.30, 19.50, 22.86, 26.45, 28.21, 31.64, 42.28, 49.14, 67.00, 76.65, 79.96, 95.31, 110.13, 118.98, 125.75, 126.45, 127.68, 127.81, 130.03, 131.54, 131.92, 135.25, 143.65, 144.91, 145.19, 147.08, 149.27, 154.75, 155.14, 157.10, 166.98, 169.17。
【0076】
実施例5.TBDPS-(10)-(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)-(20)-Gly・HCl(化合物7):
5mlの無水ジオキサン中のTBDPS-(10)-(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)-(20)-Gly-Boc(化合物6,1g,1.27mmol)の溶液に、ジオキサン中の4M HCl溶液を5ml加えた。HPLCが出発物質の完全消失を示すまで、反応混合物を室温で攪拌した(1時間)。反応混合物を50mlのエチルエーテルに加え、得られた固形物をろ過した。固形物を50mLのDCMに溶解させ、塩水で洗浄した(飽和NaHCO3溶液を加えることにより、pHを2.5に調整した)。有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、真空下で蒸発させた。残渣を5mLのDCMに溶解させ、50mLのエチルエーテルを加えることにより沈殿させた。ろ過により、770mg(収率84%)の最終生成物を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ0.84 (3 H, t, J = 7.6 Hz), 1.05 (3 H, t, J = 7.3 Hz), 1.16 (9H, s), 2.15-2.30 (3H, m), 2.59 (2H, q, 7.6 Hz), 4.16 (1H, d, J = 17.9 Hz), 4.26 (1H, d, J = 17.9 Hz), 5.13 (2H, s), 5.46 (1H, d, J = 17.0 Hz), 5.60 (1H, d, J = 17.0 Hz), 7.11 (1 H, d, J = 2.34 Hz), 7.30 (1H, s), 7.40-7.51 (6 H, m), 7.56 (1H, dd, J = 2.34, 9.4 Hz), 7.77 (4H, dd, J = 7.6, 1.6 Hz), 7.98 (1 H, d, J = 9.1 Hz)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ 8.09, 13.72, 20.26, 23.61, 26.94, 31.83, 41.01, 50.71, 67.62, 79.51, 97.03, 111.65, 119.69, 127.13, 128.97, 128.99, 129.11, 131.43, 131.96, 133.00, 133.03,136.51, 145.62, 145.81, 147.24, 148.29, 150.58, 156.27, 158.68, 167.81, 168.34。
【0077】
実施例6.40k4アーム-PEG-Gly-(20)-(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)-(10)-TBDPS(化合物8):
14mLの無水DCM中の40k4アーム‐PEGCOOH(化合物3,1.4g,0.036mmol,1当量)にTBDPS‐(10)‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)‐(20)‐Gly・HCl(化合物7,207mg,0.29mmol,活性部位当たり2.0当量)、DMAP(175mg,1.44mmol,10当量)およびPPAC(EtOAc中の0.85mLの50%溶液,1.44mmol,10当量)を加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌した後、真空下で蒸発させた。得られた残渣をDCMに溶解させ、生成物をエーテルで沈殿させ、ろ過した。残渣をDMF/IPAで再結晶化し、生成物を得た(1.25g)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3):δ7.45, 13.20, 19.39, 22.73, 26.42, 31.67, 40.21, 49.01, 66.83, 95.16, 110.02, 118.83, 125.58, 126.40, 127.53, 127.73, 129.96, 131.49, 131.76, 131.82, 135.12, 143.51, 144.78, 145.13, 146.95, 149.21, 154.61, 156.92, 166.70, 168.46, 170.30。
【0078】
実施例7.40k4アーム‐PEG‐Gly(20)‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)(化合物9):
化合物40k4アーム‐PEG‐Gly‐(20)‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)‐(10)‐TBDPS(化合物8,1.25g)に、THFおよび0.05M HCl溶液(12.5mL)の1:1混合液中のTBAF(122mg,0.46mmol,4当量)溶液を加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌した後、DCMで2回抽出した。有機層を合わせてMgSO4で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。残渣を7mLのDMFに溶解させ、37mLのIPAを用いて沈殿させた。固形物をろ過し、IPAで洗浄した。DMF/IPAを用いた沈殿を繰り返した。最後に、残渣を2.5mLのDCMに溶解させ、25mLのエーテルを加えることにより沈殿させた。固形物をろ過し、真空オーブンで一晩、40℃で乾燥させた(860mg)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3):δ7.48, 13.52, 22.91, 31.67, 40.22, 49.12, 66.95, 94.82, 105.03, 118.68, 122.54, 126.37, 128.20, 131.36, 142.92, 144.20, 144.98, 147.25, 148.29, 156.44, 156.98, 166.82, 168.49, 170.39。このNMRデータは、PEG‐COOHの兆候が無いことを示し、これは、すべてのCOOHが反応したことを示唆している。蛍光検出によって決定される充填量(loading)は、ポリマーの4つの分岐鎖のそれぞれに7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンがすべて結合(loading)していることと一致する、3.9であることが判明した。はるかに大きい規模におけるこの実験の反復実験でも、一致する結果を得られた。
【0079】
生物学データ
実施例8.毒性データ
4アームPEG複合化7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの最大耐量(MTD)を、ヌードマウスを用いて調べた。マウスの死亡率および病気の兆候を14日間モニタし、体重減少が治療前体重の20%を超えた場合は、屠殺した。
【0080】
表1は、単回投与および複数回投与の両方について、化合物9の最大耐量を示している。複数回投与の各投与量を、マウスに一日おきに10日間与え、別の4日間マウスを観察し、合計14日間観察した。
【表1】

【0081】
4アーム-PEG-Gly-(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)(化合物9)について判明したMTDは、単回投与として与えられた場合は30mg/kgであり、複数回投与(q2d×5)として与えられた場合には、10mg/kgであった。
【0082】
実施例9.非ホジキンソンリンパ腫における細胞毒性:
細胞毒性は、各化合物のインビトロにおける抗腫瘍作用の指標を提供する。MTSアッセイを用いて、PEG-Gly-(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン) (化合物9)およびCPT−11のインビトロにおける細胞毒性を決定した。細胞を薬物と共に37℃で72時間培養した。培養後、MTS染料を加えて着色した生成物(ホルマザン)の形成を490nmで測定した。
【0083】
化合物9およびCPT−11のIC50値は、CPT−11よりもはるかに高い、試験したNHLにおけるインビトロ阻害を有していることの指標である。Raji型およびDaudi型のバーキットリンパ腫細胞において2〜20nMの範囲の化合物9のIC50は、CPT−11よりも約30〜50倍強力であった。
【0084】
実施例10.インビトロ代謝
PEG-Gly-(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン) (化合物9)のインビトロ代謝を、ラットの肝細胞について観察した。化合物9を、ラットの肝細胞と共に、pH7.5、37℃で2時間培養した。図3に示すように、7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンおよび7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシングルクロニド(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンG)が、同定された主要な代謝産物であった。これは、インビボにおける7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの既知の代謝経路と一致するものである。
【0085】
実施例11.PEG複合体の特性:
表2は、塩水溶液におけるPEG‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)複合体の溶解性を示している。化合物9は、最大4mg/mLに相当する7−エチル−10−ヒドロキシカンプトセシンの良好な溶解性を示した。ヒト血漿では、7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンは、22〜52分の倍加時間で、PEG複合体から堅調に放出され、その放出は、下記実施例12に記載するように、pHおよび濃度依存性であるように思われた。
【表2】

【0086】
PEG‐Gly‐7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン複合体は、室温で最大24時間、塩水および他の水性媒体における良好な安定性を示す。
【0087】
実施例12.安定性における濃度およびpHの効果:
ラットおよびヒト血漿における水溶液中での安定性および加水分解特性を、UVに基づくHPLC法を使用してモニタした。4アームPEG‐Gly‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン) 複合体(化合物9)を、各試料と共に室温で5分間培養した。
【0088】
緩衝液中のPEG‐7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン複合体の安定性は、 pH依存性であった。図4は、さまざまな試料における4アームPEG‐Gly‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン) の安定性を示している。図5は、PEG‐Gly‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)からの7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの放出速度が、pHの上昇に伴って上昇することを示している。
実施例13.薬物動態学
腫瘍を有しないBalb/Cマウスに、20mg/kgの4アームPEG‐Gly‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)複合体を単回投与で注射した。さまざまな時点で、マウスを屠殺し、血漿を、原形を保った複合体および放出された7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンについて、HPLCによって分析した。非コンパートメント分析(WinNonlin)を用いて、薬物動態学的分析を行った。詳細を表3に記載する。
【表3】

【0089】
図6に示すように、7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンのPEG化は、長い循環半減期および、元々の薬物である7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンへの高い曝露を可能にする。4アームPEG‐Gly‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)複合体の腸肝循環を観察した。マウスにおける4アームPEG‐Gly‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)の薬物動態学的特性は、最初の2時間に急速な血漿分布相を示した後に、18〜22時間の複合体の消失半減期および付随する18〜26時間の7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの消失半減期を示す、二相性であった。
【0090】
さらに、4アームPEG‐Gly‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)複合体の薬物動態学的特性を、ラットにおいて観察した。ラットでは、3,10および30mg/kg(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン当量)の用量レベルを用いた。ラットにおける薬物動態学的特性は、マウスのものと一致した。
【0091】
ラットでは、4アームPEG‐Gly‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)は、ラットの12〜18時間の消失半減期を有する、循環からの二相性のクリアランスを示した。4アームPEG‐Gly‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)複合体から放出される7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンは、21〜22時間の見かけの消失半減期を有していた。最高血漿濃度(Cmax)および濃度曲線下面積(AUC)は、ラットにおいて用量依存的に上昇した。マウスまたはラットにおける4アームPEG‐Gly複合体から放出された7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの見かけの半減期は、CPT−11から放出された7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの報告された見かけの半減期よりも顕著に長く、4アームPEG‐Gly‐(7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシン)から放出された7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの曝露は、CPT−11から放出された7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの報告された曝露よりも顕著に高い。親化合物のクリアランスはラットにおいて0.35mL/時間/kgであった。親化合物の定常状態(Vss)での分布の推定量は5.49mL/kgであった。放出された7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンのクリアランスは、ラットにおいて131mL/時間/kgであった。放出された7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの推定Vssは、ラットにおいて2384mL/kgであった。放出された7‐エチル‐10‐ヒドロキシカンプトセシンの腸肝循環は、マウスおよびラットの両方で観察された。
【0092】
実施例14.インビボ・データ−マウスモデルに異種移植されたRaji型のヒト・バーキットリンパ腫における効果
実施例7の化合物9の抗癌作用を、マウスに異種移植されたRaji型のバーキットリンパ腫について測定した。播種性腫瘍の異種移植片は、2.5×106のヒト・バーキットリンパ腫細胞(Raji型)を静脈注射することによって、SCID CB17マウスを樹立させた。次いでマウスを各試験群に無作為に割り当てた(各群10匹のマウス)。化合物9を用いて治療される群では第1日目に単回投与として、30mg/kg体重の化合物9を静脈投与された。CPT−11で治療されたマウスでは、60mg/kg体重のCPT−11が注射された。治療は、細胞の注射後1日目から開始された。
【0093】
複数回投与計画では、10mg/kg体重の化合物9および40mg/kgのCPT−11を、各群でq2d×5で静脈注射した。対照群は生理食塩水を投与された。
【0094】
すべての態様において、投与された化合物9の量は、投与されるポリマー複合体の量ではなく、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトセシンの量に基づいている。
【0095】
病気の兆候、一般的な行動上の変化および生存について、毎日、動物をモニタした。体重もモニタした。裂けた壊死病斑が見られた腫瘍を有するマウスを屠殺した。体重が20%を越えて減少したマウスも人道的に致死させた。治療群のすべてにおいて、マウスを、腫瘍成長および生存についてモニタした。研究終了時点で、CO2の吸入により、すべてのマウスを安楽死させた。治癒率および寿命の延長(ILS)の結果を表4に記載する。
【表4】

【0096】
結果は、化合物9で治療されたマウスが単回投与治療において50%の治癒率を有したことを示している。化合物9で治療されたマウスは、複数回投与では90%の治癒率を示している。CPT−11で治療したマウスのいずれも、単回投与または複数回投与の治療において治癒しなかった。実施例の目的では、「治癒」は、治療完了後100日間の巨視的観察によって腫瘍の兆候が見られないことを意味するものと理解されたい。
【0097】
結果は、本明細書に記載される化合物が、バーキットリンパ腫などの非ホジキンリンパ腫を有する患者の治療に有効であることを示唆している。本結果はまた、記載される化合物がCPT−11に基づいた治療の代替法になりうることも示唆している。
【0098】
実施例15.インビボ・データ−マウスモデルに異種移植されたDaudi型のヒト・バーキットリンパ腫における効果:
Daudi型のバーキットリンパ腫における化合物9の抗癌作用についても測定した。播種性腫瘍の異種移植片は、2.5×106のヒト・バーキットリンパ腫細胞(Daudi型)を静脈注射することによって、SCID CB17マウスを樹立させた。次いでマウスを各試験群に無作為に割り当てた(各群10匹のマウス)。腫瘍細胞の注射後第1日から、早期治療を開始した。遅延治療は、腫瘍細胞の注射後7日間から開始された。
【0099】
化合物9を用いて治療される群では、第1日目(早期治療)または第7日目(遅延治療)に単回投与として、30mg/kg体重の化合物9を静脈投与した。CPT−11で治療されたマウスでは、60mg/kg体重のCPT−11を注射した。対照群のマウスは生理食塩水を与えられた。
【0100】
病気の兆候、一般的な行動上の変化および生存について、毎日、動物をモニタした。体重もモニタした。裂けた壊死病斑が見られた腫瘍を有するマウスを死亡させた。体重が20%を越えて減少したマウスも人道的に死亡させた。治療群のすべてにおいて、マウスを、腫瘍成長および生存についてモニタした。研究終了時点で、CO2の吸入により、すべてのマウスを安楽死させた。治癒率および寿命の延長(ILS)の結果を表5に記載する。
【表5】

【0101】
単回投与の早期治療群では、化合物9で治療されたマウスは100%の治癒率を有した。化合物9で治療されたマウスはまた、遅延治療の単回投与治療でも90%の治癒率を示した。CPT−11で治療したマウスは、いずれも治癒しなかった。結果は、本明細書に記載される化合物が、非ホジキンリンパ腫のさまざまな段階において、非ホジキンリンパ腫を有する患者の治療に有効であることを示唆している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする哺乳動物における非ホジキンリンパ腫の治療に有用な薬剤の調製に化学式(I)の化合物を使用する方法であって、
前記化学式(I)の化合物が下記構造を含み:
【化1】

ここで、
1、R2、R3およびR4は、独立してOHまたは(L)m−Dであり、
Lは二官能性のリンカーであり、
Dは、
【化2】

であり、
mは、0または正の整数であり、
nは正の整数であり、
1、R2、R3およびR4のすべてがOHではないことを条件とする、方法。
【請求項2】
前記化学式(I)の化合物が、約0.3mg/m2体表面/回〜約90mg/m2体表面/回の範囲の量で提供されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記量が、約0.9mg/m2体表面/回〜約30mg/m2体表面/回の範囲であることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記化学式(I)の化合物が、約1mg/m2体表面/回〜約16mg/m2体表面/回を毎週与えられるプロトコルにしたがって3週間にわたり提供され、その後の1週間は治療しないというサイクルを、約3回繰り返すことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記化合物が、3週間毎に、約1.25mg/m2体表面/回〜約45mg/m2体表面/回の範囲の量で提供されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
Lがアミノ酸またはアミノ酸誘導体であり、
ここで前記アミノ酸誘導体が、2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、β−アラニン、β−アミノ−プロピオン酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、ピペリジン酸、6−アミノカプロン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、2,4−アミノ酪酸、デスモシン、2,2−ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N−メチルグリシン、サルコシン、N−メチル−イソロイシン、6−N−メチル−リジン、N−メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、およびオルニチンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
Lが、グリシン、アラニン、メチオニン、またはサルコシンであることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
Lがグリシンであることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項9】
Lが:
【化3−1】

【化3−2】

【化3−3】

からなる群より選択されることを特徴とし、
ここで、
21−R29は独立して、水素、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シリルエーテル、スルホニル、メルカプト、C1-6アルキルメルカプト、アリールメルカプト、置換アリールメルカプト、置換C1-6アルキルチオ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐鎖アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6へテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、および置換アリールカルボニルオキシからなる群より選択され、
(t)、(t')および(y)は、独立して、0または正の整数であり、
(v)は0または1である。
【請求項10】
mが約1〜約10であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
mが約1であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
nが約28〜約341であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
nが約114〜約227であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項14】
nが約227であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が:
【化4−1】

【化4−2】

からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が:
【化5】

であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項17】
必要とする哺乳動物における非ホジキンリンパ腫の治療に有用な薬剤の調製に化学式(II)の化合物を使用する方法であって、
化学式(II)の化合物が:
【化6】

を含み、
前記化合物が、約0.3mg/m2体表面/回〜約90mg/m2体表面/回の範囲の量で提供され、
nが約227である
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記化合物が、約0.9mg/m2体表面/回〜約30mg/m2体表面/回の範囲の量で提供されることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、約1mg/m2体表面/回〜約16mg/m2体表面/回を毎週与えられるプロトコルにしたがって3週間にわたり提供され、その後の1週間は治療しないというサイクルを、約3回繰り返すことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が、3週間毎に、約1.25mg/m2体表面/回〜約45mg/m2体表面/回の範囲の量で提供されることを特徴とする請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−503691(P2010−503691A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528374(P2009−528374)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/076241
【国際公開番号】WO2008/033643
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(505354899)エンゾン ファーマスーティカルズ インコーポレイテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】ENZON PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】