説明

7−アルケニルアミノ−トリアゾロピリミジン、その製造方法、有害菌類を防除するためのその使用及びそれらを含む製剤

本発明は、式(I)[式中、Lはハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、NHR又はNR2であり、Rはアルキル又はアルキルカルボニルであり;mは1、2、3、4又は5であり;Xはハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル又はアルコキシであり;R1はアルキル又はハロアルキルであり;R2は水素、アルキル又はハロアルキルであり;R3はアルケニルであり、無置換であるか、部分的もしくは完全にハロゲン化されているか、又は明細書に記載のとおりに置換されていてもよく、R4は水素又はアルキルであり、R3とR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、O、N、Sの原子で中断されていてもよく1個又は複数の置換基を有していてもよい5員又は6員の不飽和環を形成していてもよい]で表される、7-アルケニルアミノ-トリアゾロピリミジンに関する。本発明は、さらにまた、上記化合物を調製する方法、上記化合物を含有している製剤、並びに、植物病原性有害菌類を防除するための上記化合物の使用にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I:
【化1】

【0002】
[式中、置換基は下記の意味を有する:
Lは、互いに独立して、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、アミノ、NHR又はNR2であり、
Rは、C1-C8-アルキル又はC1-C8-アルキルカルボニルであり;
mは、1、2、3、4又は5であり;
Xは、ハロゲン、シアノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル又はC1-C4-アルコキシであり;
R1は、C1-C3-アルキル又はC1-C3-ハロアルキルであり;
R2は、水素、C1-C3-アルキル又はC1-C3-ハロアルキルであり;
R3は、C2-C10-アルケニルであり、無置換であるか、部分的もしくは完全にハロゲン化されているか、又は1〜3個のRa基を有していてよく、
Raは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1-C6-アルキルカルボニル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ(C1-C6-アルキル)アミノ、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-アルキニルオキシ又はC3-C6-シクロアルキルであり、
これらの脂肪族又は脂環式基は、その一部が部分的もしくは完全にハロゲン化されていてもよく、又は1〜3個のRb基を有していてもよく、
Rbは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、メルカプト、アミノ、カルボキシル、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキル-アミノチオカルボニル又はジアルキルアミノチオカルボニルであり、これらの基内のアルキル基は、1〜6個の炭素原子を含んでおり、これらの基内のアルケニル基又はアルキニル基は、2〜8個の炭素原子を含んでおり;
R4は、水素又はC1-C2-アルキルであり、
R3とR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1個又は複数の置換基Raを有していてもよい5員又は6員の不飽和環を形成していてもよい。]
で表される、7-(アルケニルアミノ)トリアゾロピリミジンに関する。
【0003】
本発明は、さらにまた、上記化合物を製造する方法、上記化合物を含有している製剤、及び有害な植物病原性菌類を防除するための上記化合物の使用にも関する。
【背景技術】
【0004】
6-フェニル-7-アミノトリアゾロピリミジン類は、概して、欧州特許出願公開第71792号及び欧州特許出願公開第550113号により公知である。ここで挙げた刊行物に記述されている化合物は、有害な菌類を防除することが知られている。
【発明の開示】
【0005】
しかしながら、多くの場合、それらの作用は充分ではない。
【0006】
本発明の目的は、改善された作用及び/又はより広い活性スペクトルを有する化合物を提供することである。
【0007】
本発明者らは、上記目的が、冒頭において定義した化合物によって達成されることを見いだした。さらに、本発明者らは、それらを調製する方法及びそれらを調製するための中間体、それらを含有する製剤、並びに化合物Iを用いて有害な植物菌類を防除する方法を見いだした。
【0008】
式Iで表される化合物は、トリアゾロピリミジン骨格の7位においてアルケニル基が形成されており、α-炭素原子で枝分かれしている点で、上記刊行物に記載されている化合物とは異なっている。
【0009】
公知化合物と比較して、式Iの化合物は、有害な菌類に対する有効性が増大している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の化合物は、種々の経路により得ることができる。本発明の化合物は、式II(式中、Halは臭素などのハロゲン原子、特に塩素である)で表されるジハロトリアゾロピリミジンと、式IIIで表されるアミンとを、概してWO98/46608号から知られた条件下で反応させることによって有利に得られる。
【化2】

【0011】
式IIの化合物と式IIIのアミンとの反応は、0℃〜70℃、好ましくは10℃〜35℃にて、好ましくは不活性溶媒、例えばエーテル(例えばジオキサン、ジエチルエーテル、特にテトラヒドロフラン)、ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン)、及び芳香族炭化水素(例えばトルエン)の存在下で有利に行われる。
【0012】
第三級アミン(例えば、トリエチルアミン)又は無機塩基(例えば、炭酸カリウム)などの塩基を使用するのが好ましい。式IIIで表される過剰量のアミンも塩基として作用し得る。
【0013】
式IIIのアミンは、場合によっては既知であり、あるいは既知の方法にしたがって、例えば、対応するアルコールからトシレート及びフタルイミドを経て[cf. J. Am. Chem. Soc., Vol. 117, p. 7025 (1995); WO 93/20804]、対応するニトリルの還元によって[cf. Heterocycles, Vol. 35, p. 2 (1993); Synthetic Commun., Vol. 25, p. 413 (1995); Tetrahedron Lett., p. 2933 (1995)]、又はケトンの還元アミノ化によって[cf. J. Am. Chem. Soc., Vol. 122, p. 9556 (2000); Org. Lett., p. 731 (2001); J. Med. Chem., p. 1566 (1988)]、対応するハロゲン化物から[cf. Synthesis, p. 150 (1995)]、並びに必要に応じてその後アルキルすることによって、製造することができる。CR1R2基は、場合によって、対応するニトリル又はカルボン酸無水物とのグリニャール反応によって形成してもよい[cf. J. Org. Chem., p. 5056 (1992)]。式IIIのアミンは、WO02/088125号から知られた経路でも入手可能である。
【0014】
Xがハロゲン、特に塩素である式I(式I.A)の化合物が、本発明の好ましい化合物である。
【0015】
Xがシアノ又はC1-C6-アルコキシである式I(式I.B)の化合物は、Xがハロゲン(Hal)、好ましくは塩素である、式I.Aに対応する化合物Iから有利に製造することができる。
【化3】

【0016】
化合物I.Aを化合物M-X'(式IV)と反応させることにより化合物I.Bが得られる。化合物IVは、導入されるX'基の意味に応じて、無機シアン化物又はアルコキシドを表わす。この反応は、不活性溶媒の存在下で有利に行われる。式IVのカチオンMはほとんど意味がなく、実際上の理由から、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が通常好ましい。
【0017】
反応温度は、通常0〜120℃、好ましくは10〜40℃である[cf. J. Heterocycl. Chem., Vol.12, pp. 861-863 (1975)]。
【0018】
好適な溶媒としては、エーテル(例えばジオキサン、ジエチルエーテル、好ましくはテトラヒドロフラン)、ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン)、及び芳香族炭化水素(例えばトルエン)が挙げられる。
【0019】
XがC1-C4-アルキルである化合物I(式I.C)は、式I.Aで表される出発物質から出発して下記に概説した経路によって有利に調製することができる。
【0020】
X''がC1-C4-アルキルである式I.Cの化合物は、式I.Aの5-ハロトリアゾロピリミジンを式Vの有機金属試薬とカップリングさせることによって得られる。この方法の1実施形態では、反応は、遷移金属触媒、例えばNi又はPd触媒下で行われる。
【化4】

【0021】
式Vにおいて、X''はC1-C4-アルキルであり、Mは原子価yの金属イオン、例えばB、Zn又はSnである。この反応は、例えば、下記の方法と同様にして行われる:J. Chem. Soc. Perkin Trans., 1, 1187 (1994), 同書, 1, 2345 (1996); WO 99/41255; Aust. J. Chem., Vol. 43, p.733 (1990); J. Org. Chem., Vol. 43, p.358 (1978); J. Chem. Soc. Chem. Commun., p.866 (1979); Tetrahedron Lett., Vol. 34, p. 8267 (1993); 同書, Vol. 33, p. 413 (1992)。
【0022】
XがC1-C4-アルキル又はC1-C4-ハロアルキルである式Iの化合物(式I.C)は、下記の合成経路によっも有利に得られる。
【0023】
5-アルキル-7-ヒドロキシ-6-フェニルトリアゾロピリミジンVIIIは、5-アミノトリアゾールVI及びケトエステルVIIから出発して得られる。式VII中、RはC1-C4-アルキル基、特にメチル又はエチルである。5-メチル-7-ヒドロキシ-6-フェニルトリアゾロピリミジンは、容易に入手できる2-フェニルアセト酢酸エステルVIIa(X''=CH3)を用いることにより得られる[cf. Chem. Pharm. Bull., 9, 801 (1961)]。5-アミノトリアゾールVIは市販されている。出発化合物VIIは、欧州特許出願公開第1002788号から知られた条件下で有利に調製される。
【化5】

【0024】
このようにして得られた5-アルキル-7-ヒドロキシ-6-フェニルトリアゾロピリミジンVIIIを、ハロゲン化剤(HAL)と反応させることにより、式IXで表される7-ハロトリアゾロピリミジンが得られる。
【化6】

【0025】
塩素化剤又は臭素化剤、例えば臭化ホスホリル、塩化ホスホリル、塩化チオニル、臭化チオニル又は塩化スルフリルを使用するのが好ましい。反応は溶媒を加えずに行っても、あるいは溶媒の存在下で行ってもよい。通常の反応温度は0〜150℃、好ましくは80〜125℃である。
【化7】

【0026】
式IXの化合物とアミンIIIとの反応は、0〜70℃、好ましくは10〜35℃にて、好ましくは不活性溶媒、例えばエーテル(例えばジオキサン、ジエチルエーテル、特にテトラヒドロフラン)、ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン)、及び芳香族炭化水素(例えばトルエン)の存在下で有利に行われる(cf. WO98/46608)。
【0027】
第三級アミン(例えば、トリエチルアミン)又は無機塩基(例えば、炭酸カリウム)などの塩基を使用するのが好ましい。式IIIで表される過剰量のアミンも塩基として作用し得る。
【0028】
あるいは、式I.Cの化合物は、化合物I.Aと式XIのマロン酸エステルとから調製することもできる。式XI中、X'''は、水素、C1-C3-アルキル、又はC1-C3-ハロアルキルであり、Rは、C1-C4-アルキルである。それらを反応させることにより式XIIの化合物が得られ、脱カルボキシル化することにより化合物I.Cが得られる[cf. US 5,994,360]。
【化8】

【0029】
マロン酸エステルXIは文献から公知であり[J. Am. Chem. Soc., Vol. 64, 2714 (1942); J. Org. Chem., Vol. 39, 2172 (1974); Helv. Chim. Acta, Vol. 61, 1565 (1978)]、あるいはこの文献にしたがって調製することができる。
【0030】
その後のエステルXIIのけん化は、概して慣用の条件下で行われる。様々な構造要素に依存して、化合物XIIの塩基性又は酸性のけん化が有利であり得る。エステルけん化の条件下、I.Cを得るための脱カルボキシル化が既に完全にあるいは部分的に実施されていてもよい。
【化9】

【0031】
脱カルボキシル化は、通常、20〜180℃、好ましくは50〜120℃の温度で、不活性溶媒中、場合によって酸の存在下で行われる。
【0032】
適した酸は、塩酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸又はp-トルエンスルホン酸である。適した溶媒は、水、脂肪族炭化水素類、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及び石油エーテル、芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、o-キシレン、m-キシレン及びp-キシレン、ハロゲン化炭化水素類、例えば、塩化メチレン、クロロホルム及びクロロベンゼン、エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、アニソール及びテトラヒドロフラン、ニトリル類、例えば、アセトニトリル及びプロピオニトリル、ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン及びt-ブチルメチルケトン、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール及びt-ブタノールなどであり、さらにまた、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドも適している。特に好ましくは、該反応は、塩酸又は酢酸中で行う。上記溶媒の混合物を用いることも可能である。
【0033】
該反応混合物の後処理は、慣習的な方法で、例えば、水と混合し、相を分離し、適切な場合には、粗生成物をクロマトグラフィー精製に付すことにより、行う。中間体や最終生成物の中には、無色又は僅かに茶色がかった粘性の油状物の形態で得られるものがあるが、そのような油状物は、減圧下、適度に昇温させた温度で、揮発成分から分離することができるか又は精製することができる。中間体及び最終生成物が固体として得られる場合、再結晶又は温浸により精製することも可能である。
【0034】
個々の化合物Iを上記経路で得ることができない場合、それらは、式Iの別の化合物を誘導体化することにより得ることができる。
【0035】
上記合成により異性体混合物が得られたとしても、場合により、使用のための後処理を行っている間又は施用している間に(例えば、光、酸又は塩基の作用下)、個々の異性体が互いに変換され得るので、そのような異性体を分離することは一般に必ずしも必要ではない。適切な変換は、使用後においても、例えば、植物の処理において、処理された植物体内において、又は、防除対象の有害な菌内において起こり得る。
【0036】
上記式において記載されている記号の定義には集合語を用いた。この集合語は、一般に下記置換基を表す。
【0037】
ハロゲン: フッ素、塩素、臭素及びヨウ素;
アルキル: 1個〜4個、6個又は8個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素基、例えば、C1-C6-アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル及び1-エチル-2-メチルプロピルなど;
ハロアルキル: 1個〜2個、4個又は6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基(上記)において、該基の水素原子の一部又は全てが上記ハロゲン原子で置き換えられ得るもの、例えば、C1-C2-ハロアルキル、例えば、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1-クロロエチル、1-ブロモエチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル又は1,1,1-トリフルオロプロパ-2-イルなど;
アルケニル: 2個〜4個、6個、8個又は10個の炭素原子を有し、且つ、いずれかの位置に1個又は2個の二重結合を有する、直鎖又は分枝鎖の不飽和炭化水素基、例えば、C2-C6-アルケニル、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチルエテニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-メチル-1-ブテニル、2-メチル-1-ブテニル、3-メチル-1-ブテニル、1-メチル-2-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-メチル-3-ブテニル、2-メチル-3-ブテニル、3-メチル-3-ブテニル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、1,2-ジメチル-1-プロペニル、1,2-ジメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-プロペニル、1-エチル-2-プロペニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-メチル-1-ペンテニル、2-メチル-1-ペンテニル、3-メチル-1-ペンテニル、4-メチル-1-ペンテニル、1-メチル-2-ペンテニル、2-メチル-2-ペンテニル、3-メチル-2-ペンテニル、4-メチル-2-ペンテニル、1-メチル-3-ペンテニル、2-メチル-3-ペンテニル、3-メチル-3-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-メチル-4-ペンテニル、2-メチル-4-ペンテニル、3-メチル-4-ペンテニル、4-メチル-4-ペンテニル、1,1-ジメチル-2-ブテニル、1,1-ジメチル-3-ブテニル、1,2-ジメチル-1-ブテニル、1,2-ジメチル-2-ブテニル、1,2-ジメチル-3-ブテニル、1,3-ジメチル-1-ブテニル、1,3-ジメチル-2-ブテニル、1,3-ジメチル-3-ブテニル、2,2-ジメチル-3-ブテニル、2,3-ジメチル-1-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-3-ブテニル、3,3-ジメチル-1-ブテニル、3,3-ジメチル-2-ブテニル、1-エチル-1-ブテニル、1-エチル-2-ブテニル、1-エチル-3-ブテニル、2-エチル-1-ブテニル、2-エチル-2-ブテニル、2-エチル-3-ブテニル、1,1,2-トリメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-メチル-2-プロペニル、1-エチル-2-メチル-1-プロペニル及び1-エチル-2-メチル-2-プロペニルなど;
アルケニレン: 3〜4個の炭素原子を有し、いずれかの位置に二重結合を有する直鎖状の不飽和炭化水素基。
【0038】
R1とR2が異なる場合、R1〜R3基を有する炭素原子はキラル中心となる。式Iの化合物の(R)-異性体及び(S)-異性体並びにラセミ化合物は本発明の範囲内に包含される。
【0039】
可変部分に関して、中間体の特に好ましい実施形態は、式Iの基Lm、基R1、基R2、基R3、基R4及び基Xの実施形態に対応する。
【0040】
式Iのトリアゾロピリミジン類の意図される用途に鑑みて、置換基の下記意味が、いずれの場合も単独で又は組合せにおいて、特に好ましい。
【0041】
化合物Iにおいて、R1が、メチル又はハロメチル、例えばトリフルオロメチルであるものが好ましい。
【0042】
さらに好ましいのは、化合物IにおいてR2が水素であるものである。
【0043】
R3が、無置換であるか、又は部分的若しくは完全にハロゲン化されているか、及び/又は1〜3個のC1-C3-アルコキシ基を有していてよい直鎖状又は分岐したC2-C10-アルケニルである化合物Iが好ましい。特に好ましいのは、R3が無置換の直鎖状又は分岐したC2-C10-アルケニルである化合物Iである。
【0044】
R3とR4が一緒になって、1個又は2個のメチル基又はハロメチル基で置換されていてもよいC3-C4-アルケニレン鎖を形成している化合物Iも同様に好ましい。
【0045】
R4が水素である化合物Iが特に好ましい。
【0046】
R4がメチル又はエチルである化合物Iが同様に好ましい。
【0047】
好ましい化合物Iにおいて、少なくとも1個の基Lは、トリアゾロピリミジン骨格が結合している部位に対してオルト位に位置しており、特に、好ましい化合物Iにおいて、mは、1、2又は3である。
【0048】
Lmが、フッ素、塩素、メチル、C1-ハロアルキル、メトキシ、アミノ、NHR又はNR2 (式中、Rはメチル又はアセチルである)である化合物Iが好ましい。
【0049】
さらにまた、特に好ましい化合物Iにおいて、Lmによって置換されたフェニル基は、基A:
【化10】

【0050】
[式中、
#は、トリアゾロピリミジン骨格が結合する部位であり;
L1は、フッ素、塩素、CH3又はCF3であり;
L2及びL4は、互いに独立して、水素又はフッ素であり;
L3は、水素、フッ素、塩素、CH3、OCH3、アミノ、NHR又はNR2であり;
L5は、水素、塩素、フッ素又はCH3である]
である。
【0051】
特に好ましい化合物Iにおいて、Lmは、下記置換基の組合せの内の1つである:2-フルオロ-6-クロロ、2,6-ジフルオロ、2,6-ジクロロ、2-フルオロ-6-メチル、2,4,6-トリフルオロ、2,6-ジフルオロ-4-メトキシ、ペンタフルオロ、2-メチル-4-フルオロ、2-トリフルオロメチル、2-メトキシ-6-フルオロ、2-クロロ、2-フルオロ、2,4-ジフルオロ、2-フルオロ-4-クロロ、2-クロロ-4-フルオロ、2,3-ジフルオロ、2,5-ジフルオロ、2,3,4-トリフルオロ、2-メチル、2,4-ジメチル、2-メチル-4-クロロ、2-フルオロ-4-メチル、2,6-ジメチル、2,4,6-トリメチル、2,6-ジフルオロ-4-メチル、2-トリフルオロメチル-4-フルオロ、2-トリフルオロメチル-5-フルオロ又は2-トリフルオロメチル-5-クロロ。
【0052】
特に好ましい化合物Iにおいて、Xは、ハロゲン又はC1-C4-アルキルであり、例えば塩素又はメチルであり、特に塩素である。
【0053】
それらの用途に関して、下記表に列挙されている化合物Iが特に好ましい。さらにまた、置換基に関して下記表に挙げられている基は、それら自体、それらが挙げられている組合せとは関係なく、該置換基の特に好ましい実施形態である。
【0054】
表1
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2-フルオロ-6-クロロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0055】
表2
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2,6-ジフルオロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0056】
表3
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2,6-ジクロロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0057】
表4
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2-フルオロ-6-メチルであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0058】
表5
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2,4,6-トリフルオロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0059】
表6
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2,6-ジフルオロ-4-メトキシであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0060】
表7
式I[式中、Xは塩素であり、Lmはペンタフルオロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0061】
表8
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2-メチル-4-フルオロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0062】
表9
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2-トリフルオロメチルであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0063】
表10
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2-メトキシ-6-フルオロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0064】
表11
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2-クロロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0065】
表12
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2-フルオロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0066】
表13
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2,4-ジフルオロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0067】
表14
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2-フルオロ-4-クロロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0068】
表15
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2-クロロ-4-フルオロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0069】
表16
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2,3-ジフルオロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0070】
表17
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2,5-ジフルオロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0071】
表18
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2,3,4-トリフルオロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0072】
表19
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2-メチルであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0073】
表20
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2,4-ジメチルであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0074】
表21
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2-メチル-4-クロロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0075】
表22
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2-フルオロ-4-メチルであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0076】
表23
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2,6-ジメチルであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0077】
表24
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2,4,6-トリメチルであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0078】
表25
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2,6-ジフルオロ-4-メチルであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0079】
表26
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2-トリフルオロメチル-4-フルオロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0080】
表27
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2-トリフルオロメチル-5-フルオロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0081】
表28
式I[式中、Xは塩素であり、Lmは2-トリフルオロメチル-5-クロロであり、R2は水素であり、R1とR3とR4の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【表A】










表Aにおいて、♯は窒素原子への結合部位を示す。
【0082】
化合物Iは殺菌剤として適している。化合物Iは、広範囲の植物病原性菌類、特に、アスコマイセテス(子嚢菌類、Ascomycetes)、デウテロマイセテス(不完全菌類、Deuteromycetes)、オオマイセテス(卵菌類、Oomycetes)及びバシディオマイセテス(担子菌類、Basidiomycetes)の類に属する植物病原性菌類に対して顕著な効果を有することを特徴とする。それらの中には浸透移行的な効果を有するものがある。また、それらは、茎葉殺菌剤及び土壌殺菌剤として植物保護に使用することができる。
【0083】
それらは、コムギ、ライムギ、オオムギ、カラスムギ、イネ、トウモロコシ、牧草、バナナ、ワタ、ダイズ、コーヒー、サトウキビ、ブドウ、各種果樹、各種観賞用植物及び各種野菜(例えば、キュウリ、インゲンマメ、トマト、ジャガイモ及びウリ科植物など)などの種々の栽培植物並びにそれら栽培植物の種子における多くの菌類を防除する上で特に重要である。
【0084】
それらは、特に、以下に示す植物病害を防除するのに適している:
・ 果樹及び野菜における、アルテルナリア属(Alternaria species);
・ 禾穀類、イネ及び芝生における、ビポラリス属(Bipolaris species)及びドレクスレラ属(Drechslera species);
・ 禾穀類における、ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)(ウドンコ病);
・ イチゴ、野菜、観賞用植物及びブドウにおける、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)(灰色カビ病);
・ ウリ科植物における、エリシフェ・シコラセアルム(Erysiphe cichoracearum)及びスファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea);
・ 種々植物における、フザリウム属(Fusarium species)及びベルチシリウム属(Verticillium species);
・ 禾穀類、バナナ及びラッカセイにおける、マイコスファエレラ属(Mycosphaerella species);
・ ジャガイモ及びトマトにおける、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans);
・ ブドウにおける、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola);
・ リンゴにおける、ポドスファエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha);
・ コムギ及びオオムギにおける、シュードセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides);
・ ホップ及びキュウリにおける、シュードペロノスポラ属(Pseudoperonospora species);
・ 禾穀類における、プッシニア属(Puccinia species);
・ イネにおける、ピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae);
・ ワタ、イネ及び芝生における、リゾクトニア属(Rhizoctonia species);
・ コムギにおける、セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)及びスタゴノスポラ・ノドルム(Stagonospora nodorum);
・ ブドウにおける、ウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator);
・ 禾穀類及びサトウキビにおける、ウスチラゴ属(Ustilago species);
及び、
・ リンゴ及び西洋ナシにおける、ベンツリア属(Venturia species)(そうか病)。
【0085】
さらに、化合物Iは、材料物質(例えば、木材、紙、塗料分散液、繊維又は薄織物など)の保護及び貯蔵生産物の保護における、パエシロマイセス・バリオチイ(Paecilomyces variotii)などの有害な菌類を防除するのにも適している。
【0086】
化合物Iは、殺菌剤として有効量の該活性化合物で、上記菌類を処理するか、又は、菌類の攻撃から保護すべき植物体、種子、材料物質若しくは土壌を処理することにより使用する。材料物質、植物体又は種子に菌類が感染する前及び感染した後のいずれにおいても施用することができる。
【0087】
該殺菌剤組成物は、一般に、0.1〜95重量%、好ましくは、0.5〜90重量%の活性化合物を含有する。
【0088】
植物の保護に使用する場合、施用量は、所望する効果の質に応じて、1ヘクタール当たり活性化合物0.01〜2.0kgである。
【0089】
種子の処理においては、一般に、種子1kg当たり、0.001〜0.1gの活性化合物、好ましくは、0.01〜0.05gの活性化合物が必要である。
【0090】
材料物質又は貯蔵生産物の保護に使用する場合、活性化合物の施用量は、施用領域の種類と所望する効果の質に依存する。材料物質の保護における通常の施用量は、例えば、処理する材料物質1立方メートル当たり活性化合物0.001g〜2kg、好ましくは、0.005g〜1kgである。
【0091】
化合物Iは、慣習的な製剤、例えば、溶液剤、エマルション剤、懸濁製剤、散粉剤(dust)、粉状剤(powder)、ペースト剤及び粒剤などに変換することができる。施用形態は、それぞれの所期の用途に依存するが、いずれの場合も、本発明化合物が確実に微細且つ均一に分配されるようなものであるべきである。
【0092】
該製剤は、公知方法で、例えば、望ましい場合には乳化剤及び分散剤を用いて、活性化合物を溶媒及び/又は担体で希釈することにより調製する。水が希釈剤の場合、補助溶媒としてその他の有機溶媒を使用することも可能である。この目的に適した補助剤は、本質的に、溶媒、例えば芳香族化合物(例えばキシレン)、塩素化芳香族化合物(例えばクロロベンゼン)、パラフィン類(例えば石油留分)、アルコール類(例えばメタノール、ブタノール)、ケトン類(例えばシクロヘキサノン)、アミン類(例えばエタノールアミン、ジメチルホルムアミド)及び水;担体、例えば粉砕した天然鉱物(例えば、カオリン、粘土、タルク、チョーク)、及び、粉砕した合成鉱石(例えば、高分散ケイ酸(highly disperse silicic acid)、シリケート);乳化剤、例えば、非イオン性乳化剤及びアニオン性乳化剤(例えば、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル類、アルキルスルホネート類及びアリールスルホネート類)、並びに、分散剤、例えば、リグノスルファイト廃液及びメチルセルロースなどである。
【0093】
適する界面活性剤は、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルスルホネート、脂肪アルコールスルフェート、脂肪酸、及びそのアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテル類の塩、スルホン化ナフタレンとナフタレン誘導体のホルムアルデヒドとの縮合生成物、ナフタレン又はナフタレンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒドとの縮合生成物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル類、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール類、イソトリデシルアルコール、脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル類、リグノスルファイト廃液、並びに、メチルセルロースである。
【0094】
直接散布可能な溶液、エマルション、ペースト又は油性分散液を調製するのに適している物質は、中〜高沸点の石油留分、例えば、灯油若しくはディーゼル油、さらに、コールタール油、及び、植物油若しくは動物油、脂肪族炭化水素類、環状炭化水素類及び芳香族炭化水素類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン若しくはそれらの誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、クロロホルム、四塩化炭素、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、クロロベンゼン又はイソホロン、強極性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン又は水などである。
【0095】
粉状剤、全面散布用製剤及び散粉剤は、活性物質を固体担体と混合するか又は同時に粉砕することにより調製することができる。
【0096】
粒剤、例えば、被覆粒剤(coated granule)、含浸粒剤(impregnated granule)及び均質粒剤(homogeneous granule)などは、活性化合物を固体担体に結合させることにより調製することができる。固体担体の例は、鉱物質土壌(mineral earth)、例えば、シリカゲル、シリケート、タルク、カオリン、アタクレー(attaclay)、石灰石、石灰、チョーク、膠灰粘土、黄土、粘土、ドロマイト、ケイ藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕された合成材料、肥料、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム又は尿素、及び、植物に由来する生成物、例えば、穀類粉、樹皮粉、木粉及び堅果殻粉、セルロース粉末、並びに、別の固体担体などである。
【0097】
一般に、上記製剤は、0.01〜95重量%、好ましくは、0.1〜90重量%の活性化合物を含有する。該活性化合物は、90%〜100%の純度、好ましくは、95%〜100%の純度(NMRスペクトルによる)のものを使用する。
【0098】
以下に示してあるのは製剤の例である:
I. 本発明の化合物5重量部を、微粉カオリン95重量部と均質に混合する。このようにして活性化合物5重量%を含む散粉剤が得られる。
【0099】
II. 本発明の化合物30重量部を、粉状シリカゲル92重量部と液体パラフィン(シリカゲルの表面上にスプレーされている)8重量部との混合物と均質に混合する。このようにして良好な付着性を有する活性化合物製剤(活性化合物含量23重量%)が得られる。
【0100】
III. 本発明の化合物10重量部を、キシレン90重量部、エチレンオキシド8〜10モルのエチレンオキシドとオレイン酸のN-モノエタノールアミド1モルとの付加物6重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸のカルシウム塩2重量部、及びエチレンオキシド40モルとひまし油1モルとの付加物2重量部からなる混合物に溶解する(活性化合物含量9重量%)。
【0101】
IV. 本発明の化合物20重量部を、シクロヘキサノン60重量部、イソブタノール30重量部、エチレンオキシド7モルとイソオクチルフェノール1モルとの付加物5重量部、及びエチレンオキシド40モルとひまし油1モルとの付加物5重量部からなる混合物に溶解する(活性化合物含量16重量%)。
【0102】
V. 本発明の化合物80重量部を、ジイソブチルナフタレン-α-スルホン酸のナトリウム塩3重量部、亜硫酸パルプ廃液由来のリグノスルホン酸のナトリウム塩10重量部、及び粉状シリカゲル7重量部と均質に混合し、ハンマーミルで粉砕する(活性化合物含量80重量%)。
【0103】
VI. 本発明の化合物90重量部を、N-メチル-α-ピロリドン10重量部と混合し、微笑滴形態で使用するのに適した溶液を得る(活性化合物含量90重量%)。
【0104】
VII. 本発明の化合物20重量部を、シクロヘキサノン40重量部、イソブタノール30重量部、エチレンオキシド7モルとイソオクチルフェノール1モルとの付加物20重量部、及びエチレンオキシド40モルとひまし油1モルとの付加物10重量部からなる混合物に溶解する。溶液を100000重量部の水中に流し込み、微細に分散させることにより、水分散液が得られる(活性化合物含量0.02重量%)。
【0105】
VIII. 本発明の化合物20重量部を、ジイソブチルナフタレン-α-スルホン酸のナトリウム塩3重量部、亜硫酸パルプ廃液由来のリグノスルホン酸のナトリウム塩17重量部、及び粉状シリカゲル60重量部と均質に混合し、ハンマーミルで粉砕する。混合物を水20000重量部中に微細に分散させることにより、活性化合物を0.1重量%含有するスプレーエマルジョンが得られる。
【0106】
該活性化合物は、散布、噴霧、散粉、全面散布(broadcasting)又は灌水(watering)により、それ自体で、それらの製剤形態で、又は該製剤形態から調製した施用形態で、例えば、直接散布可能な溶液、粉末、懸濁液若しくは分散液、エマルション、油性分散液、ペースト、散粉剤、全面散布用製剤又は粒剤の形態で使用することができる。施用形態は、もっぱらその意図された用途に依存するが、いずれの場合も、本発明の活性化合物が確実に微細に分配され得るようなものであるべきである。
【0107】
水性の使用形態は、水を加えることにより、乳剤、ペースト剤又は水和剤(散布粉末、油性分散液)から調製することができる。エマルション、ペースト又は油性懸濁液を調製するために、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤又は乳化剤を用いて、該物質をそのまま水中で均質化することができるか、又は、該物質を油若しくは溶媒に溶解させた状態で、水中で均質化することができる。あるいは、活性物質、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤又は乳化剤と、適切な場合には、さらに、溶媒又は油とから構成される、水で希釈するのに適した濃厚物を調製することも可能である。
【0108】
直ぐに使用するための製剤における該活性化合物の濃度は、比較的広い範囲で変えることができる。一般に、それらは、0.0001〜10%、好ましくは、0.01〜1%である。
【0109】
本発明の活性化合物は、微量散布法(ultra-low-volume process)(ULV)に用いて良好な結果を得ることも可能である。微量散布法では、95重量%を超える量の活性化合物を含有する製剤を施用することが可能であり、又は、該活性化合物を添加剤無しで施用することも可能である。
【0110】
本発明の活性化合物には、様々なタイプの油、除草剤、殺菌剤、別の殺虫剤又は殺細菌剤を添加することが可能であり、適切な場合には、使用直前に添加することもできる(タンクミックス)。これらの物質は、本発明の作用物質と、1:10〜10:1の重量比で混合することができる。
【0111】
本発明の製剤は、殺菌剤としての施用形態において、別の活性化合物、例えば、除草剤、殺虫剤、成長調節剤若しくは殺菌剤と共存させることも可能であり、又は、肥料と共存させることも可能である。化合物I又は殺菌剤としての施用形態にある化合物I含有製剤を別の殺菌剤と混合することにより、多くの場合、殺菌活性スペクトルが拡大される。
【0112】
本発明化合物と一緒に使用することができる殺菌剤の下記リストは、可能な組合せを例示することを目的とするものであって、それらを限定するものではない。
【0113】
・ アシルアラニン系、例えば、ベナラキシル、メタラキシル、オフラセ、又は、オキサジキシル;
・ アミン誘導体、例えば、アルジモルフ、ドジン、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、フェンプロピジン、グアザチン、イミノクタジン、スピロキサミン、又は、トリデモルフ;
・ アニリノピリミジン系、例えば、ピリメタニル、メパニピリム、又は、シロジニル:
・ 抗生物質、例えば、シクロヘキシミド、グリセオフルビン、カスガマイシン、ナタマイシン、ポリオキシン、又は、ストレプトマイシン;
・ アゾール系、例えば、ビテルタノール、ブロムコナゾール(bromoconazole)、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニトロコナゾール(dinitroconazole)、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、ヘキサコナゾール、イマザリル、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロクロラズ、プロチオコナゾール(prothioconazole)、テブコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリフルミゾール、又は、トリチコナゾール;
・ ジカルボキシイミド系、例えば、イプロジオン、ミクロゾリン、プロシミドン、又は、ビンクロゾリン;
・ ジチオカーバメート系、例えば、フェルバム、ナバム、マネブ、マンゼブ、メタム、メチラム、プロピネブ、ポリカーバメート、チラム、ジラム、又は、ジネブ;
・ ヘテロ環化合物、例えば、アニラジン、ベノミル、ボスカリド、カルベンダジン、カルボキシン、オキシカルボキシン、シアゾファミド、ダゾメット、ジチアノン、ファモキサドン、フェナミドン、フェナリモール、フベリダゾール、フルトラニル、フラメトピル、イソプロチオラン、メプロニル、ヌアリモール、プロベナゾール、プロキナジド(proquinazid)、ピリフェノックス、ピロキロン、キノキシフェン、シルチオファム、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート-メチル、チアジニル、トリシクラゾール、又は、トリホリン;
・ 銅殺菌剤、例えば、ボルドー液、酢酸銅、オキシ塩化銅、又は、塩基性硫酸銅;
・ ニトロフェニル誘導体、例えば、ビナパクリル、ジノカップ、ジノブトン、又は、ニトロフタル-イソプロピル;
・ フェニルピロール系、例えば、フェンピクロニル、又は、フルジオキソニル;
・ 硫黄;
・ 別の殺菌剤、例えば、アシベンゾラル-S-メチル、ベンチアバリカルブ、カルプロパミド、クロロタロニル、シフルフェナミド、シモキサニル、ダゾメット、ジクロメジン、ジクロシメット、ジエトフェンカルブ、エジフェンホス、エタボキサム、フェンヘキサミド、酢酸トリフェニルスズ、フェノキサニル、フェリムゾン、フルアジナム、ホセチル、ホセチル-アルミニウム、イプロバリカルブ、ヘキサクロロベンゼン、メトラフェノン、ペンシクロン、プロパモカルブ、フタリド、トロクロホス-メチル(toloclofos-methyl)、キントゼン、又は、ゾキサミド;
・ ストロビルリン系、例えば、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、又は、トリフロキシストロビン;
・ スルフェン酸誘導体、例えば、キャプタホール、キャプタン、ジクロフルアニド、ホルペット、又は、トリルフルアニド;
・ シンナミド系(cinnamides)及び類似化合物、例えば、ジメトモルフ、フルメトベル(flumetover)、又は、フルモルフ(flumorph)。
【実施例】
【0114】
合成例
以下の合成例に記載されている手順を用いて、出発物質を適切に変更することにより、さらに別の化合物Iを調製した。このようにして得られた化合物を物理データとともに以下の表に示す。
【0115】
実施例1: 5-クロロ-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-7-(1-メチル-2-プロペン-1-イル)アミノ[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン[I-1]の調製
1.5mmolの(1-メチル-2-プロペン-1-イル)アミン[cf. US 4,120,901; J. Chem. Soc., Chem. Commun., p. 794 (1984)]及び1.5mmolのトリエチルアミンを10mlのジクロロメタンに溶かした溶液を、撹拌しながら、20 mlのジクロロメタンに1.5 mmolの5,7-ジクロロ-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン[cf. WO 98/46607]を溶かした溶液に加えた。反応混合物を20〜25℃で約16時間撹拌し、ついで希HCl溶液で洗浄した。相分離後、有機相を乾燥させ、溶媒を除去した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた後、表題化合物0.52gが得られた(融点101℃)。
【0116】
実施例2: 5-シアノ-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-7-(2,5-ジメチルピロド-3-エン-1-イル)アミノ[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンの調製
0.1molの化合物1-10と0.25molのテトラヒドロアンモニウムシアニドを750mlのジメチルホルムアミド(DMF)に加えた混合物を、20〜25℃で約16時間撹拌した。水及びメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)を加えて相分離した後、有機相を水で洗浄して乾燥させ、溶媒除去した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた後、表題化合物4.32gが得られた(融点206℃)。
【0117】
実施例3: 5-メトキシ-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-7-(2,5-ジメトキシピロド-3-エン-1-イル)アミノ[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンの調製
65mmolの化合物1-10を400mlの無水メタノールに溶かした溶液を、71.5mmolのナトリウムメドキシド溶液(30%)で20〜25℃にて処理した。この温度で約16時間撹拌した後、溶媒を留去し、残留物をジクロロメタンに溶かした。水で洗浄した後、有機相を乾燥させ、溶媒を除去した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた後、表題化合物4.05gが得られた(融点149℃)。
【0118】
実施例4: 5-メチル-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-7-(2,5-ジメチルピロド-3-エン-1-イル)アミノ[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンの調製
20mlのマロン酸ジエチル及び0.27g(5.65mmol)の水素化ナトリウム(鉱油中50%分散液)を50mlのアセトニトリルに加えた混合物を、20〜25℃で約2時間撹拌した。4.7mmolの化合物1-10を加え、次いで混合物を60℃で約20時間撹拌した。50mlの塩化アンモニウム水溶液を加えた後、希HCl溶液で酸性化し、次いで混合物をMTBEで抽出した。乾燥後、有機相を一つにまとめて溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、濃HClに溶解させ、混合物を80℃で約24時間撹拌した。冷却後、NaOH水溶液を用いてpHを5に調整し、反応混合物をMTBEで抽出した。乾燥後、一つにまとめた有機相から溶媒を除去し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた後、表題化合物0.62gが得られた。
【0119】
1H NMR (δ(ppm)): 8.42 (s); 6.85 (m); 5.75 (s); 4.75 (q); 2.42 (s); 1.10 (s)。
【表1】

【0120】

【0121】
有害な菌類に対する活性についての実施例
式Iで表される化合物の殺菌作用は、下記試験により実証することができる。
【0122】
活性化合物は、アセトン又はDMSO中の0.25重量%の活性化合物を用いて調製した貯蔵溶液として、別個にあるいは一緒に製剤した。この溶液に、1重量%の乳化剤(Uniperol(登録商標)EL)(エトキシル化アルキルフェノールを主成分とする、乳化作用と分散作用を有する湿潤剤)を添加し、水で希釈して、所望の濃度とした。
【0123】
使用実施例1:アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)に起因するトマトの夏疫病に対する活性
ポットに植えたトマト植物(品種:「Grosse Fleischtomate St. Pierre」)の葉に、下記に記載した濃度の活性化合物を有する水性懸濁液を、液が流れ落ちるようになるまで散布した。翌日、前記葉に、2%Biomalt溶液中の0.17×106胞子/mLの密度のアルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)の水性胞子懸濁液を用いて感染させた。次いで、該植物を20〜22℃で水蒸気で飽和したチャンバー内に置いた。5日後、処理はしていないが感染はさせた対照植物においては、感染の割合(%)を肉眼的に決定できるほどに夏疫病が発生した。
【0124】
この試験において、250ppmの活性化合物I-1、I-5及びI-7で処理した植物は感染を示さず、未処理植物は100%感染した。
【0125】
使用実施例2:ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に起因するトウガラシトマトの灰色カビ病に対する活性
品種「Neusiedler Ideal Elite」のトウガラシ苗を、4〜5枚の葉が完全に発育した後、下記に記載した濃度の活性化合物を有する水性懸濁液を、液が流れ落ちるようになるまで散布した。翌日、処理した植物に、2%Biomalt水溶液中の0.17×106胞子/mLの密度のボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)の水性胞子懸濁液を接種した。次いで、該植物を22〜24℃、高大気湿度に環境コントロールされたチャンバー内に置いた。5日後、葉における菌類感染の程度(%)を肉眼的に決定できた。
【0126】
この試験において、250ppmの活性化合物I-1、I-5及びI-7で処理した植物は最大3%の感染を示したが、未処理植物は80%感染した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、置換基は下記の意味を有する:
Lは、互いに独立して、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、アミノ、NHR又はNR2であり、
Rは、C1-C8-アルキル又はC1-C8-アルキルカルボニルであり;
mは、1、2、3、4又は5であり;
Xは、ハロゲン、シアノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル又はC1-C4-アルコキシであり;
R1は、C1-C3-アルキル又はC1-C3-ハロアルキルであり;
R2は、水素、C1-C3-アルキル又はC1-C3-ハロアルキルであり;
R3は、C2-C10-アルケニルであり、無置換であるか、部分的もしくは完全にハロゲン化されているか、又は1〜3個のRa基を有していてよく、
Raは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1-C6-アルキルカルボニル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ(C1-C6-アルキル)アミノ、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-アルキニルオキシ又はC3-C6-シクロアルキルであり、
これらの脂肪族又は脂環式基は、その一部が部分的もしくは完全にハロゲン化されていてもよく、又は1〜3個のRb基を有していてもよく、
Rbは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、メルカプト、アミノ、カルボキシル、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノチオカルボニル又はジアルキルアミノチオカルボニルであり、これらの基内のアルキル基は、1〜6個の炭素原子を含んでおり、これらの基内のアルケニル基又はアルキニル基は、2〜8個の炭素原子を含んでおり;
R4は、水素又はC1-C2-アルキルであり、
R3とR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1個又は複数の置換基Raを有していてもよい5員又は6員の不飽和環を形成していてもよい。]
で表される、7-(アルケニルアミノ)トリアゾロピリミジン。
【請求項2】
Xが、塩素又はメチル、特に塩素である、請求項1に記載の式Iで表される化合物。
【請求項3】
R1が、メチル又はハロメチルである、請求項1又は2に記載の式Iで表される化合物。
【請求項4】
R2が水素である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の式Iで表される化合物。
【請求項5】
Lmで置換されたフェニル基が、基A:
【化2】

[式中、
#は、トリアゾロピリミジン骨格への結合点であり;
L1は、フッ素、塩素、CH3又はCF3であり;
L2及びL4は、互いに独立して、水素又はフッ素であり;
L3は、水素、フッ素、塩素、CH3、OCH3、アミノ、NHR又はNR2であり;
L5は、水素、フッ素又はCH3である]
である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iで表される化合物。
【請求項6】
Lmで置換されたフェニル基が、下記の置換基の組み合わせ:2-フルオロ-6-クロロ、2,6-ジフルオロ、2,6-ジクロロ、2-フルオロ-6-メチル、2,4,6-トリフルオロ、2,6-ジフルオロ-4-メトキシ、ペンタフルオロ、2-メチル-4-フルオロ、2-トリフルオロメチル、2-メトキシ-6-フルオロ、2-クロロ、2-フルオロ、2,4-ジフルオロ、2-フルオロ-4-クロロ、2-クロロ-4-フルオロ、2,3-ジフルオロ、2,5-ジフルオロ、2,3,4-トリフルオロ、2-メチル、2,4-ジメチル、2-メチル-4-クロロ、2-フルオロ-4-メチル、2,6-ジメチル、2,4,6-トリメチル、2,6-ジフルオロ-4-メチル、2-トリフルオロメチル-4-フルオロ、2-トリフルオロメチル-5-フルオロ又は2-トリフルオロメチル-5-クロロ、のうちの一つを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iで表される化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の式Iで表される化合物の製造方法であって、
式II
【化3】

[式中、置換基は式Iについて示した意味を有し、Halはハロゲン原子、特に塩素である]
で表されるジハロトリアゾロピリミジンと、式III
【化4】

で表されるアミンとを反応させることによる、前記方法。
【請求項8】
固体又は液体の担体及び請求項1に記載の式Iで表される化合物を含んでなる、有害な菌類を防除するのに適した組成物。
【請求項9】
有害な植物病原性菌類を防除する方法であって、有効量の請求項1に記載の式Iで表される化合物で、該菌類を処理するか、又は菌類の攻撃から保護すべき材料、植物、土壌若しくは種子を処理することを含んでなる、前記方法。

【公表番号】特表2007−523843(P2007−523843A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504835(P2006−504835)
【出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003102
【国際公開番号】WO2004/087705
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】