説明

8より上または5未満のpIを有するペプチドを産生するための方法

【課題】精製b型ナトリウム利尿ペプチドの産生方法
【解決手段】8より上または5未満のpIを有するペプチドを産生するための方法が記載される。ここで、このペプチドは、酸切断部位を介して融合パートナーに連結される融合タンパク質として発現される。このペプチドは、この融合パートナーから、カオトロープの非存在下で酸切断により放出される。この融合パートナーおよびその酸切断産物は、必要ならば、所望のペプチドの正味電荷とは有意に異なる正味の電荷を有して、このペプチドのイオン交換クロマトグラフィーによる単離を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ペプチドの産生に有用な方法および試薬に関する。詳細には、本発明は、約5未満または約8より上のpIを有するペプチドの産生に関する。本発明の好ましい実施態様は、b型ナトリウム利尿ペプチドの産生に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本発明は、特に、産生が所望されるペプチドが高いpIまたは低いpI(これにより、ペプチドの精製工程としてイオン交換クロマトグラフィーを行うことが望ましくなる)を有する場合に、ペプチドを発現および回収するための効率的な方法に関する。本発明は、比較的高いpIを有するb型ナトリウム利尿ペプチドに関して例証される。それでもなお、当業者は、本明細書で開示される方法および試薬が、高いpIまたは低いpIのいずれかを有する他のペプチドの産生に対する適応性を有することを理解する。
【0003】
組換え宿主細胞(例えば、E.coli)中のペプチドコードDNAの発現による50アミノ酸未満の長さのペプチドの産生が、宿主細胞内で発現されたペプチドの酵素分解によりペプチドの部分的もしくは完全な損失を生じるという問題に一般的に悩まされていることは、当該分野において周知である。この問題を克服するために最も一般的に用いられる手段は、宿主細胞内でペプチドを不溶化することである。これは、ペプチドを融合タンパク質として発現することによりもたらされ得、その融合タンパク質ではペプチドが融合パートナーに連結されている。通常、融合パートナーは、ペプチドのN末端に融合される。この融合タンパク質は、細胞内で封入体を形成し、ここで、ペプチドは、タンパク質分解性酵素による分解から保護される。
【0004】
一旦封入体が宿主細胞から回収されると、ペプチドは、リーダー配列から分離され、精製され、そして活性形態で回収されるはずである。リーダー配列からの分離は、適切な条件下で特異的に認識されそして切断される(例えば、酸切断または酵素的切断)リーダーとペプチドとの連結部にてアミノ酸の配列を置換することにより達成され得る。酵素的切断は、酵素の高い費用および限定された使用可能期間に起因して、固定されたカラム上で使用する場合でさえも、商業的スケールでの産生にはほとんど実用的ではない。
【0005】
酸切断は、リーダー配列とペプチドとの連結部にて特定のジペプチドを置換することによって達成され得る。ここで、このジペプチドの第1のアミノ酸は、アルパラギン酸である。第2のアミノ酸の選択は、ジペプチド結合が酸性条件下で切断される速度を決定する。もちろん、所望されるペプチドが酸で切断可能な任意の内部ジペプチド配列を含む場合、リーダーとペプチドとの連結部の切断部位は、受容不可能な回収の損失を避けるために、内部切断よりも実質的に速い速度で酸切断をうけなければならない。酸切断が可能なジペプチドの相対反応速度は、以下である。
【0006】
【表1】

【0007】
酵素的切断または酸切断の前に、封入体中の融合タンパク質は、通常、タンパク質構造のアンフォールディングをもたらすカオトロピズム剤を用いた処理により可溶化される。次いで可溶化された融合タンパク質は切断され、所望のペプチドが単離され、そして精製される。そして、このペプチドは、例えば、必要ならば内部のジスルフィド結合の形成をもたらすカオトロープおよび酸化の除去により、生物学的に活性な立体配座へと再折り畳みをもたらす条件に供される。
【0008】
b型ナトリウム利尿ペプチドすなわちBNPとして公知のペプチドは、ヒトにおいて、134のアミノ酸前駆体タンパク質の切断によりインビボで産生される32のアミノ酸ペプチドとして生じる。ヒトb型ナトリウム排泄増加性前駆体をコードするDNA配列は、単離されている(米国特許第5,114,923号)。b型ナトリウム利尿ペプチドは、ヒトの臨床的試行において、直接的な心臓への刺激なしで心臓機能を改善すること(これは、不整脈のような有害な副作用をもたらし得る)、および心不全の死亡率および進行の加速の増大に関連する神経ホルモンのレベルを減少させることが示されている。従って、これは、うっ血性心不全の患者の処置に有用である。
【0009】
b型ナトリウム利尿ペプチドは、うっ血性心不全の患者を処置するために使用される他の薬物を超える特定の臨床的利点を提供するが、非ペプチド薬剤と比較して、比較的高い費用のペプチド薬剤の産生は、臨床的実施におけるその承認に対して障害を示し得る。結果的に、費用を最小限にするためにb型ナトリウム利尿ペプチドを産生する高い効率的手段を提供する必要性が存在する。封入体の形態におけるペプチドの組換え産生は、いくつかの問題を示す。b型ナトリウム利尿ペプチドを得るための融合タンパク質の酵素的切断の使用は、必要とされる酵素の費用が高いため、望ましくない。精製工程としてイオン交換クロマトグラィーを使用することによる、比較的高いpIのb型ナトリウム利尿ペプチド(10以上)の利用を所望する場合、イオン性カオトロープ(例えば、塩酸グアニジン)の使用は避けるべきである。なぜならば、イオン性カオトロープは、イオン交換クロマトグラフィーを干渉するからである。一方、最も一般的に使用される非イオン性カオトロープである尿素は、融合タンパク質の酸切断を行う場合に疑問がある。高温の酸性条件下で、尿素の存在は、ペプチドの分解をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明において、融合タンパク質の酸切断は、カオトロープの非存在下で行われ、その結果可溶性b型ナトリウム利尿ペプチドを生じる。この可溶性ペプチドは、不溶性タンパク質から可溶性タンパク質を分離するための任意の公知の簡便な方法(例えば、限外濾過、ダイアフィルトレーションまたは遠心分離による)を用いて、不溶性のままである融合パートナーおよび他の夾雑物から分離され得る。限外濾過および遠心分離は、商業的な観点から最適以下の工程であるので、本発明の好ましい実施態様は、不溶性物質の可溶化、続いて非イオン性カオトロープ(例えば、尿素)での処理による切断、およびイオン交換クロマトグラフィーによるb型ナトリウム利尿ペプチドの単離を使用する。
【0011】
本発明は、約8より上または約5未満のpIを有するペプチドを産生するための効率的な方法を提供する。本発明の方法の好ましい実施態様は、以下の工程:
(a)このペプチドを、所望のペプチドが融合パートナーに対してそのN末端で融合された融合タンパク質として組換え宿主細胞中で発現させる工程であって、この融合パートナーは、そのC末端でAsp残基を有するアミノ酸配列を含み、ここで、(i)融合パートナーのC末端Asp残基およびペプチドのN末端残基が、酸性条件下で切断可能な結合を形成し、(ii)このペプチドが、融合パートナーの正味の電荷と十分異なる正味の電荷、およびペプチドがその融合パートナーから分離され得る融合タンパク質の酸切断により産生される任意の望ましくないフラグメント、およびイオン交換クロマトグラフィーによる融合タンパク質の任意の望ましくない酸切断フラグメントを有し、そして(iii)この融合タンパク質が組換え宿主細胞内に封入体を形成する、工程;
(b)この組換え宿主細胞から封入体を回収する工程;
(c)融合タンパク質をカオトロープの非存在下で酸性条件に供することによって、このペプチドを融合パートナーから切断する工程;
(d)この不溶性切断産物を、そのペプチドの一次構造を変性することなく可溶化させる条件下で非イオン性カオトロープで処理することによって、可溶化させる工程;ならびに
(e)イオン交換クロマトグラフィーによりそのペプチドを単離する工程、を包含する。
【0012】
8より上または5未満のpIを有する所望のペプチドを生じる酸性条件下で切断可能な融合タンパク質を発現するのに有用なベクターがまた、本明細書中で提供され、このベクターは、以下:
(a)宿主細胞中で融合タンパク質の発現を指向し得る調節配列;
(b)改変型クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼのアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするDNA配列であって、ここで、リジン、アルギニンおよび/またはヒスチジン残基をコードする十分な数のコドンが、融合タンパク質のpIが6.0と8.0との間である荷電されていないかもしくは負に荷電したアミノ酸をコードするコドンで置換されている、DNA配列;
(c)改変型クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコードするDNA配列の3’末端に、直接かまたはリンカー配列を介して連結される、アスパラギン酸をコードするコドン;および (d)8より上または5未満のpIを有し、かつそのN末端でプロリン、グリシン、セリン、ロイシン、アラニン、イソロイシンまたはバリン残基を有する所望のペプチドをコードするDNA配列であって、ここでこの配列は、改変型クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコードするDNA配列の5’末端から3’末端で連結される、DNA配列、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、b型ナトリウム利尿ペプチドを産生するために融合パートナーとして使用される、改変型クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼのアミノ酸配列を示す。
【図2】図2は、上方の線上に野生型phoAプロモーターのDNA配列、下方の線上に改変型phoAプロモーターのDNA配列を示す。
【図3】図3は、pTH85のプラスミドの図である。
【図4】図4は、pSP54のプラスミドの図である。
【図5】図5は、pCB101−1のプラスミドの図である。
【図6】図6は、pTH76のプラスミドの図である。
【図7】図7は、pTH53のプラスミドの図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
(A.本発明の産生方法)
本発明の方法は、約8より上または約5より下のpIを有する精製されたペプチドを産生するために用いられる。本明細書中において、本発明はb型ナトリウム利尿ペプチド(これは、比較的高いpIを有する)に関して例示されるが、所望のペプチドが、融合パートナーの正味の電荷、および融合タンパク質の酸切断によって産生される任意の所望でないフラグメント(すなわち、融合パートナーおよび所望のペプチドの結合以外の部位での切断によって産生されたフラグメント)の正味の電荷と十分に異なる正味の電荷を有し、その所望のペプチドがイオン交換クロマトグラフィーによって切断混合物から単離されることを可能にする場合に、本発明の方法はまた、低いpIを有するペプチドの産生にも適用可能であることが理解される。ペプチドと他の切断産物(切断混合物中におけるインタクトな任意の融合パートナーを含む)との間の正味の電荷の違いは、好ましくは少なくとも約±2、より好ましくは少なくとも約±3である。従って、1つ以上の内部酸切断部位を有する融合パートナーが選択されるならば、融合パートナーの切断産物の各々は、イオン交換クロマトグラフィーによって所望のペプチドから分離され得るように、所望のペプチドの電荷と十分に異なる、正味の電荷を有するべきである。
【0015】
融合パートナーはまた、融合タンパク質による封入体の形成に考慮を払って選択される。この目的のための適切な融合パートナーの選択は、部分的には、産生されるペプチドの性質に依存する。好ましくは、その融合パートナーは、少なくとも約50アミノ酸残基を含む。融合パートナーのアミノ酸残基の数に厳格な上限は存在しないが、約100を超えないことが好ましい。なぜなら、融合パートナー中のより大きい数のアミノ酸残基は、一般的に、所望のペプチドのより低い収量に転換されるからである。融合タンパク質が、封入体の形成を促進する、約25〜約50の疎水性アミノ酸残基を含むように、融合パートナーを選択することもまた、好ましい。
【0016】
融合パートナーは、そのC末端にAsp残基を有し、ここでそれはペプチドのN末端と結合する。
【0017】
好ましくは、融合パートナーは、融合タンパク質が、6.0と8.0との間、より好ましくは6.5と7.5との間のpIであるように選択される。本発明の特に好ましい融合パートナーは、改変されたクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼのN末端部分を少なくとも含む。クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼのアミノ酸配列は、十分な数のリジン、アルギニン、および/またはヒスチジン残基を、電荷を有さないか、または負に荷電しているアミノ酸で置換するように改変され、その結果、融合タンパク質が6.0と8.0との間、より好ましくは6.5と7.5との間のpIを有する。クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ配列になされ得るさらなる改変には:(a)システイン、トリプトファン、およびメチオニン残基の、システイン、トリプトファン、およびメチオニン以外の残基による置換;および(b)電荷のバランスを達成するために必要とされるような、1つ以上の酸性残基または塩基性残基の疎水性残基への置換が挙げられる。
【0018】
トリプトファン残基、システイン残基、およびメチオニン残基の置換は、所望されない酸化的な副反応(所望のペプチドを含み得る)を除去するために働く。リジン、アルギニン、および/またはヒスチジンの疎水性残基での置換は、pIおよび融合パートナーの荷電した残基の割合の両方を減少させ、そして封入体形成を促進する疎水性を導入する。改変されたクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ配列のC末端のAsp残基は、直接的またはリンカー配列を通して、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ配列に連結され得る。リンカー配列は、制限部位を提供するために発現ベクターに挿入されたコドンの翻訳の結果として存在し得る。本発明の方法によって産生することが望まれるペプチドが、内部の酸切断部位を含むならば、融合パートナーとそのペプチドとの連結で形成される酸切断部位は、上記に示したような内部切断部位よりも速い反応の速度を有するものであるに違いない。例えば、ヒトb型ナトリウム利尿ペプチドは、酸分解に感受性である内部Asp−Argジペプチドを含む。本発明に従って、本発明者らは、改変されたクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ配列との融合物としてこのペプチドを発現した。ここで融合パートナーとb型ナトリウム利尿ペプチドの結合は、Asp−Serジペプチドを形成する。2つのジペプチドの酸切断の差示的な速度に起因して、本発明者らは、内部切断部位における切断によるいくつかのペプチドの損失に関わらず、所望のペプチドの良好な収量を得ることができた。あるいは、本発明者らは、本発明の手順を利用して、b型ナトリウム利尿ペプチドを産生した(2−32)。この分子は、全長32アミノ酸型と等価な生物学的活性を有し、そしてそのN末端のプロリンの存在に起因して、融合パートナーから、付随する収量の増加を伴う、なおより効率的な切断を生じる。
【0019】
融合タンパク質は、組換えDNA産生の公知の技術を用いて、宿主細胞中で発現される。組換えDNA法によるタンパク質の発現のために有用であることが公知である任意の適切な宿主細胞が利用され得、これらには、原核生物および真核生物宿主の細胞および細胞株が含まれる。E.coliは好ましい宿主である。宿主細胞は、宿主におけるその発現を指向し得る調節配列、ならびに宿主細胞中で機能的である複製起点の制御下で融合タンパク質をコードする発現ベクターを含む。そのベクターは、組換えDNA技術において慣用的に利用される他のDNA配列(例えば、選択マーカーをコードする配列)を含み得る。
【0020】
発現ベクターを含む宿主細胞は増殖され、そして融合タンパク質は適切な条件下で発現される。宿主細胞の増殖のための条件および融合タンパク質の発現は、種々の因子(例えば、使用される宿主細胞、プロモーター、および発現される特定の融合タンパク質)に依存して変化する。当業者は、使用される特定の宿主/ベクター系についての適切な条件を決定し得る。
【0021】
融合タンパク質が封入体の形態で発現された後に、その封入体は、宿主細胞から回収される。これは、公知の方法、例えば、細胞を化学的または機械的に溶解し、そして遠心分離によって封入体を分離することによって達成され得る。代表的には、本発明者らは、細胞ペーストを数倍容量の溶解緩衝液中で希釈し、そして9,000〜10,000psiで、AVP Gaulinホモジナイザーに複数回通すことによって、細胞を溶解する。次いで、この細胞溶解物は、緩衝液中でさらに希釈され、そして遠心分離されて封入体が回収される。
【0022】
次いで封入体は、所望のペプチドから融合パートナーを切断するために酸条件に曝される。酸切断は、ペプチドの分解を引き起こす条件にペプチドを曝すことを避けるために、カオトロープ(chaotrope)の非存在下で行われる。切断は、封入体を、温度を上昇させた水性酸性溶液中で懸濁することによってもたらされ得る。好ましくは、封入体は、5%と15%との間のw/vで、より好ましくは、5%と8%との間のw/vで、約1.7と2.2との間、より好ましくは1.9と2.1との間のpHの酸性溶液中に懸濁される。HClが、切断を実行するための好ましい酸であるが、他の酸(例として酢酸およびリン酸を含む)が使用され得る。切断は、収量を最大化するために十分な温度および十分な時間で実行される。代表的には、切断は、約75℃〜約95℃までの温度で、約2時間〜約10時間までの時間で実行される。b型ナトリウム利尿ペプチドの産生の際に、本発明者らは、好ましくは、封入体を水中で10%w/vまで希釈すること、HClでpHを2.0に調節すること、および85℃で4.5〜5.5時間維持することによって酸切断を行った。
【0023】
商品生産の観点から、限外濾過および沈殿は最適以下の工程であるので、切断後、融合パートナーおよびペプチドは、非イオン性カオトロープ(好ましくは尿素)でそれらを処理することにより可溶化され、次いでそのペプチドは、イオン交換クロマトグラフィーによって単離されることが好ましい。この懸濁物は、カオトロープの添加前に、好ましくは50℃以下(例えば、40℃より下)まで冷却される。可溶化は、固体の尿素を約3M〜約7Mの濃度まで添加し、そして40℃より下の温度(好ましくはおよその室温(18〜25℃))で維持することによって実行され得る。
【0024】
pHを、3と7.5との間、好ましくは3.8〜4.2に調製した後、次いで、切断された融合パートナーおよびペプチドを含む溶液は、直接的にイオン交換カラムにロードされ得る。ペプチド単離のために適切な任意の市販のイオン交換カラムが使用され得る。b型ナトリウム利尿ペプチドについて、本発明者らは、スルホプロピルイオン交換カラム(Pharmacia Streamline(登録商標))を使用した。このカラムは平衡化され、そして夾雑物を溶離するために洗浄された。次いで、所望のペプチドが、適切な塩濃度を用いてカラムから溶出される。b型ナトリウム利尿ペプチドについて、カラムからの溶出は、好ましくはNaCl溶液の0.5〜0.6Mを用いてもたらされた。
【0025】
多くの場合において、イオン交換カラムから回収されたペプチドは、そのネイティブな高次構造に再フォールディングされるが、さらなる工程が、そのペプチドを生物学的に活性な型に回復させるために必要であり得る(特に、そのペプチドがその活性に内部のジスルフィド結合の形成を必要とする場合)。B型ナトリウム利尿ペプチドは、ジスルフィド結合しなければならない2つのシステイン残基を含む。このことは、回収されたペプチドを酸化的な条件に曝すことによって達成され得る。酸化は、通常、そのペプチドの溶液を加熱することおよび大気下で攪拌することによってもたらされ得る。あるいは、Cu+2、I3-、またはFe(CN)6-3のような酸化剤が使用され得る。
【0026】
所望の場合、当業者に公知の技術を用いるさらなる精製工程が使用され得る。このような工程には、例えば、HPLC(例えば、RP−HPLC)またはさらなるイオン交換クロマトグラフィー工程)が挙げられ得る。b型ナトリウム利尿ペプチドの場合、回収されたペプチドは、酢酸アンモニウム緩衝液pH5.0〜5.5およびアセトニトリル溶出勾配中のRP−HPLCに供された。
【0027】
(B.本発明の発現ベクター)
本発明はまた、本発明の産生方法を実行するために適切な発現ベクターを提供する。この発現ベクターは、リジン残基、アルギニン残基、および/またはヒスチジン残基についての十分な数のコドンが、電荷を有さないかまたは負に荷電しているアミノ酸についてのコドンによって置換されており、その結果、融合タンパク質のpIは、6.0と8.0との間、好ましくは6.5と7.5との間であるように改変された、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)のアミノ酸配列のN末端部分を少なくともコードするDNA配列を利用する。有利には、リジン残基、アルギニン残基、および/またはヒスチジン残基のうちのいくつかは、疎水性残基で置換され得る。この疎水性残基は融合パートナーの正味の電荷を減少するだけではなく、宿主細胞中での封入体の形成を促進もする。所望される場合、CATのネイティブな配列中のトリプトファン残基、システイン残基、および/またはメチオニン残基についての1つ以上のコドンは、所望されない酸化的な副反応(例えば、b型ナトリウム利尿ペプチドとのジスルフィド結合)を防ぐために、トリプトファン、システイン、またはメチオニン以外の残基についてのコドンによって置換され得る(得られる融合タンパク質が必要とされる範囲のpIを有する場合)。
【0028】
図1において、一番上の行のアミノ酸配列は、CATのN末端由来の最初の78アミノ酸のネイティブなアミノ酸配列を表す。一番下の行は、本発明者らがb型ナトリウム利尿ペプチドの産生に適切な融合タンパク質を発現するために使用したベクターによってコードされた、改変されたCAT配列を表す。Thr(74位)で始まる改変された配列の5つのアミノ酸は、C末端Aspを改変されたCAT配列と一つにし、そしてAgeI部位を導入する連結配列を表す。このAgeI部位は、アミノ酸74および75についてのコドンを変異させることによって作製された。
【0029】
本発明のベクターにおいて、改変されたCATをコードするDNA配列は、調節配列の制御下にあり、この調節配列は、宿主細胞において融合タンパク質の発現を指向し得る。任意の適切なプロモーター(例えば、trpLE、phoAまたはlacZプロモーター)が、使用され得る。好ましいプロモーターは、Wanner,B.L.、Escherichia coli and Salmonella 第2版(Neidbardt、P.C.ら編、ASM Press,Washington,D.C.)1357〜1381頁に記載される、E.coli phoAプロモーターである。このプロモーターは、増殖培地中でホスファターゼの非存在下において、融合タンパク質をコードするDNA配列の転写を開始する。本発明者らが使用したphoAプロモーターは、ネイティブE.coli phoA配列から変異されて、ネイティブGTGシグナルのためのATG翻訳開始シグナルを置換した。図2は、上の行に野生型phoAプロモーターのDNA配列、および下の行にb型ナトリウム利尿ペプチドのための発現ベクターを生成するために本発明者らによって使用された改変されたphoAプロモーターを示す。
【0030】
所望のペプチドをコードするDNA配列は、その5’末端で融合パートナーの3’末端でのAspコドンに連結される。このペプチドをコードするDNA配列は、その5’末端で、Pro、Gly、SerまたはLeuのコドンを有する。選択される特定のアミノ酸は、所望のペプチドの配列に一部依存する。このペプチドが1つ以上の内部酸切断部位を含む場合、N末端アミノ酸は、この融合パートナーおよびこのペプチドの接合部での切断部位が内部切断部位よりも速い速度で切断されるように選択されなければならない。所望のペプチドのネイティブ配列がそのN末端にPro、Gly、SerまたはLeuコドンを含まない場合、このペプチドをコードするDNAは、5’末端で所望のアミノ酸のコドンを置換することによって改変される。これは、このペプチドのN末端での外来アミノ酸を生じ、続いて生物学的活性を妨害しない場合に受容可能であり得る融合パートナーからの切断を生じることが理解される。b型ナトリウム利尿ペプチドの場合において、N末端アミノ酸はSerである。このアミノ酸は、融合パートナーとの接合部で受容可能である。なぜなら、b型ナトリウム利尿ペプチドは、唯一の内部酸切断部位であり、Asp−Serよりも非常に低速度で切断されるAsp−Argを含むからである。
【0031】
本発明の発現ベクターは、周知のDNA組換え技術を使用して、宿主細胞へ調製および組み込まれ得る。
【0032】
以下の非限定的な実施例は、本明細書中に記載される本発明の実施をさらに例示することを意図する。E.coli W3110宿主中のプラスミドpCB101−1(実施例1)は、American Type Culture Collection,Manassas,VA(登録番号ATCC98774を有する)で寄託されている。E.coli W3110宿主中のプラスミドpTH76(実施例1)は、American Type Culture Collection,Manassas,VA(登録番号ATCC98775を有する)で寄託されている。E.coli W3110宿主中のプラスミドpTH53(実施例2)は、American Type Culture Collection,Manassas,VA(登録番号ATCC98776を有する)で寄託されている。
【0033】
(実施例1)
(B型ナトリウム利尿ペプチドに対する融合タンパク質をコードする遺伝子の合成およびクローニング)
trpプロモーターをコードするテトラサイクリン耐性プラスミドpCB101−1(5μg)およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼの改変された153アミノ酸のN末端部分の3’末端に融合したb型ナトリウム利尿ペプチドからなる融合タンパク質を、NdeIおよびAgeIを用いて消化した。得られた消化物を、1%アガロースゲル(SeaPlaque,FMC,Rockland,ME)上で電気泳動に供し、そして3.4Kbpのフラグメントを切り出した。
【0034】
オリゴヌクレオチドを、以下の配列を有するように合成した。
【0035】
【化1】

【0036】
オリゴヌクレオチド1100〜1105(各1μg)を、ATPおよびT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いる処理によって個々にリン酸化し、そして各1μgのオリゴヌクレオチド1099および1106と組み合わせた。次いで、このオリゴヌクレオチドの混合物を、7分間、煮沸によって変性させ、そして室温まで徐々に冷却させた。この214μlの反応混合物の5μlを、T4DNAリガーゼを使用して室温で一晩、上記で調製した1.5μlのpCB101−1の溶融し切り出したフラグメントに連結した。次いで、この混合物を再溶融し、そしてE.coli株MC1061をテトラサイクリン耐性に形質転換するために使用した。得られた8つのコロニーを、317bpのAgI/MluIフラグメントを有するプラスミドについてスクリーニングした。このようなプラスミドの1つを、pTH80(trpの制御下でb型ナトリウム排泄増加性に融合する改変されたCAT配列をコードする)と命名した。
【0037】
発酵の間に融合タンパク質の合成を制御し得ることは、重要である。phoAプロモーターは、PO4-の枯渇によって十分な誘導が達成されるまで、誘導されない状態において標的遺伝子を維持し得る利点を有する。phoAプロモーターの制御下に融合物を配置するために、pTH80を、制限酵素NdeIおよびHindIIIを用いて消化した。次いで、この消化物を3%アガロースゲル(Nusieve,FMC,Rockland,ME)上で電気泳動し、そしてCAT−BNP融合物をコードする332bpのフラグメントを切り出した。このベクターフラグメントを、テトラサイクリン耐性プラスミドであるpTH76の、NdeIおよびHindIIIを用いる消化によって調製した。pTH76は、trpプロモーターがphoAプロモーターによって置換されていることを除いて、pTH80と非常に類似している。このベクターフラグメントを、2.4μgのpTH76の、37℃、一晩でのNdeIおよびHindIIIを用いる消化によって単離し、続いて、37℃で1時間、ウシ腸ホスファターゼを用いて処理した。反応混合物の最終容量は100μlであった。連結を、1μlのベクターフラグメントと、pTH80由来の挿入フラグメントを含む3μlの溶融し切り出したゲル切片との間で実施した。室温での一晩のインキュベーション後、この混合物を使用して、W3110株を形質転換した。得られたコロニーから調製したDNAを、固有のBstXI部位の存在についてスクリーニングした。これらの陽性コロニーを、DNA配列決定によって確認した。これらのうちの1つを、pTH85と命名した。図3は、pTH85のプラスミドのダイアグラムである。
【0038】
プラスミドpTH85およびその構築物由来の2つの他の陽性コロニーを使用して、E.coli株W3110をテトラサイクリン耐性に形質転換した。単一コロニーを、6.25μg/mlのテトラサイクリンを含有するLブロスへ播種した。37℃での4時間のインキュベーション後、得られた培養物を使用して、0.1の光学密度まで、以下の培地を含む培養物に播種した:グルコース 4g、カザミノ酸 5g、1M MOPSカリウム緩衝液(pH7.4) 40ml、(NH42SO4 1.24g、1M MgSO4 2ml、水(最終容量1Lになるまで)。
【0039】
37℃で一晩のインキュベーション後、全ての細胞を、位相差顕微鏡下で少なくとも一相の明るい封入体を有することを観察した。細胞を回収し、そしてSDSサンプル緩衝液中で18分間煮沸し、そして標準Laemmli Tris−glycine SDSポリアクリルアミドゲル上で電気泳動した。b−ナトリウム利尿ペプチド融合タンパク質の大量の蓄積を、非常にクーマーシー染色される、約12Kダルトンで移動するバンドの存在によって示す。
【0040】
(実施例2)
(b型ナトリウム利尿ペプチド(2〜32)に対する融合タンパク質をコードする遺伝子のクローニング)
酸切断は、Asp−Proペプチド結合で最も迅速に生じる。成熟b型ナトリウム利尿ペプチドの第2の残基はProであるので、アミノ酸残基2〜32を含むb型ナトリウム利尿ペプチドの短縮型バージョン[b型ナトリウム利尿ペプチド(2〜32)]の発現によって、融合パートナーからのb型ナトリウム利尿ペプチドの切断を容易にすることが可能である。成熟b型ナトリウム利尿ペプチドの最初のセリンコドンを欠失するAgeI/HindIII制限フラグメントの変更した形態を、以下の2つのオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして用いて、野生型コード配列のPCRによって構築した。
【0041】
【化2】

【0042】
100μlの反応混合物を、0.4mMの各dNTP、1.3μgの各プライマー、ヒトユビキチンのクローンに対して3’末端に融合したb型ナトリウム利尿ペプチド配列を保有する50ngのプラスミドpTH53、および1μlのVENT DNAポリメラーゼ(New England Biolabs,Beverly,MA)を、製造業者によって提供される反応緩衝液中に含むように調製した。この反応を、以下の温度プログラムの30サイクルの間実施した:94℃1分間、55℃2分間、および72℃1分間。予測サイズ(167bp)を、3%Nusieve上のアガロースゲル電気泳動によって確認した。次いで,このPCR反応生成物を、ベクタープラスミドpTH53と共に、KpnIおよびHindIIIを用いる2重消化(double digestion)に供した。次いで、このベクター消化物を、ウシ腸ホスファターゼを用いて45分間37℃で、続いてフェノール抽出およびエタノール沈殿によってさらに処理した。次いで、このプラスミド消化物を、30μlのTris−EDTA緩衝液中に再懸濁した。このPCR消化物を、3%Nusieve上での電気泳動に供し、そして108bpのフラグメントを、DE81紙を用いて、移動するバンドの妨害によって回収した。このベクターおよびPCRで消化したフラグメントの連結を、製造業者によって供給された緩衝液中に、0.5μlのベクターDNA、0.1μlのPCRフラグメント、および0.5μlのT4DNAリガーゼ(New England Biolabs,Beverly,MA)を含有する20μlの反応混合物中で実施した。この連結を室温で3時間実施し、続いて、CaCl2コンピテントE.coli Bへ形質転換した。プラスミドDNAを、2つの得られた形質転換体から調製し、そしてジデオキシDNA配列決定を使用して、正確なヌクレオチド配列が得られたことを決定した。このプラスミドをpUDBNP2と命名し、そしてこれは、b型ナトリウム利尿ペプチド(2〜32)にインフレームで融合するヒトユビキチンをコードする。
【0043】
CAT154のb型ナトリウム利尿ペプチド(2〜32)への遺伝子融合物を発現する発現プラスミドの構築のために、プラスミドpUDBNP2をb型ナトリウム利尿ペプチド(2〜32)コード配列の供給源として使用したが、一方、プラスミドpCB101−1はCAT154融合パートナーをコードし、そしてb型ナトリウム利尿ペプチド(2〜32)フラグメントのレシピエントとして使用する。5マイクログラムのpUDBNP2および1μgのpUB101−1を各々、製造業者(New England Biolabs,Beverly,MA)によって供給された緩衝液中でAgeIを用いて、37℃で2時間、消化した。消化物を、アガロースゲル電気泳動によって完了についてチェックした。DNAを、GeneClean(Bio101,CA)を使用して消化混合物から回収し、そして15μlの最終容量中に溶出した。次いで、両方のプラスミドを、製造業者(New England Biolabs,Beverly,MA)によって供給された緩衝液中で、1.5時間、37℃でBamHIを用いて消化した。アガロースゲル電気泳動は、完了するまでpUDBNP2消化を示し、それによって、部分的に消化したDNAを、GeneCleanを使用して回収し、そして以前のようにBamHIを用いて消化した。この時点で、アガロースゲル電気泳動は、完了するまでpUDBNP2消化物およびpCB101−1消化物の両方を示した。連結のためのフラグメントを、3%Nusieve上での電気泳動によって調製し、pUDBNP2消化物から2407bpのバンドおよびpCB101−1消化物から1562bpのバンドを切り出した。DNAフラグメントを、Genecleanを用いて回収し、そして10μlの最終容量中で溶出した。2つのフラグメントの連結を、15℃で一晩、製造業者によって供給された緩衝液中に1μlのT4DNAリガーゼ(New England Biolabs,Beverly,MA)を有する混合物中で、2μlのpUDBNP2 DNAフラグメントおよびpCB101−1由来の5μlのDNAフラグメントを使用して達成した。得られた混合物を、CaCl2コンピテントE.coli W3110へ形質転換した。得られた6つの形質転換体から調製したプラスミドDNAを、BglIを用いて消化し、そして正確な構造を有するプラスミドを2845bpおよび890bpのフラグメントの両方の存在に基づいて同定した。テトラサイクリン耐性領域から生じる予測される234bpバンドは非常に小さいので可視化されない。さらに、プラスミドDNA調製物のために使用される培養物もまた、小さなLB培養物へ播種し、そして37℃で一晩インキュベートした。得られた細胞を位相差顕微鏡によって可視化し、一方、他のアリコートをSDSサンプル緩衝液中で煮沸し、そしてSDSポリアクリルアミドゲル電気始動によって分析した。この方法で処理した6つのコロニーのうち、正確な制限パターンを得た3つはまた、顕微鏡において明るい相の封入体の存在、およびSDS−PAGE中で約20、500ダルトンで強力にクーマーシー染色されたバンドの存在を示した。このプラスミドをpSP54と命名した。図4は、pSP54のプラスミドのダイアグラムである。
【0044】
(実施例3)
(b型ナトリウム利尿ペプチド(1−32)の生成および単離)
((a)発酵および細胞溶解)
b型ナトリウム利尿ペプチド(1−32)発現ベクター(pTH85/TEH102)を保有するE.coli細胞を流加様式で発酵させた。この系における融合タンパク質の発現の誘導は、細胞に、培地からのリン酸塩を枯渇させることによって引き起こされる。43リットルの全発酵ブロスを、発酵の終了時に収集した。全発酵ブロスを遠心分離することによって、得られたバイオマスを1Lの瓶に収集し、そして−70±10℃にて保存する。43リットルの発酵物からのバイオマス収量は、湿重量4.7kgのE.coli細胞であった。凍結したバイオマスを室温で一晩で解凍し、そして溶解緩衝液(20mMのNaXXPO4、5mMのEDTA、pH6.0)を用いて、25%w/vに希釈した。直列に冷却した熱交換機を備えたMaton−Gaulin Model 30CD(9−10、000psi)ホモジナイザーを用いて、細胞をホモジナイズした。細胞溶液を溶解を開始する前に2℃に冷却し、そして溶解の間は15℃未満に温度を維持した。ホモジナイザーを通した流れを細胞溶液に逆戻りさせて、顕微鏡試験によって測定される場合に90%を超える溶解の均質化終点を達成するために、平均6回ホモジナイザーを通過させる。
【0045】
((b)バッチ遠心法による封入体の回収)
バッチ遠心法を、1Lのポリプロピレン瓶内で、H6000ローターを備えた冷却したSorvall RC−3B遠心機を使用して実施した。E.coli細胞溶解物を、溶解緩衝液で出発細胞重量の12.5%まで希釈し、そしてH6000Aローターを備えたSorvall RC−3B遠心機内で、4500rpm(5894g)にて40分間遠心分離した。上清をデカントし、そして封入体のペレット(905g)を2〜8℃にて保存した。
【0046】
((c)酸切断反応)
酸切断反応混合液を、上記のように調製された封入体から調製した。封入体を2〜8℃の貯蔵機から取り出し、そして手動ホモジナイザーを用いて、脱イオン水で1980mL(封入体100g/220mL)に再懸濁した。100g湿重量と等価なこの懸濁物のアリコートを、さらに加工処理した。封入体調製物を、780mLの脱イオン水で希釈して、10%湿重量の懸濁液を産生した。封入体懸濁物のpHを、濃塩酸(約4mL)で1.99に調整した。この溶液はpH4.5〜3.0で濃厚になるので、激しい攪拌を必要とした。
【0047】
上記の封入体懸濁液を、攪拌、サンプルポート、および不活性ガス大気を提供するためのコネクションを備える、温度制御されたガラス被覆反応容器内に配置した。不活性ガスは、通気孔の開口とともに5psiで反応容器に流入される。温度制御器を作動状態にし、そして適切な設定に調整した。反応のタイミングをこの時点で開始した。加熱を40℃まで進めさせ、この時点で通気孔を閉鎖し、そして反応容器を5psiまで加圧させた。圧力水頭を維持するために、温度調整の期間に時折、反応容器を開口した。この反応混合物を、15分間、所望の温度の5℃の範囲内にした。温度を、反応期間を通して85±0.5℃に制御した。サンプルを、b型ナトリウム利尿ペプチド放出のRP−HPLC分析のために、規則的な間隔(1時間および30分間)に採取した。最初にガス入口弁を閉鎖し、次いで、大気圧まで容器を開口し、そして最後にディスポーザブル注射器を用いて、サンプリングポートから1mLのサンプルを回収することによりサンプリングを行った。次いで、サンプリングポートを閉鎖し、ガス入口弁を再開し、この容器を5〜10秒間開口し、そして最終的に通気孔を閉鎖して容器を再加圧させた。
【0048】
反応を、氷上で2〜8℃まで冷却することによって、4.5時間後に終了させた。この溶液を冷却の間中連続的に攪拌した。40℃未満への温度の低下を、20分間未満に達成した。冷却期間の終了時に、反応混合液のpHを、2NのNaOHで2.9に調整した。この溶液のb型ナトリウム利尿ペプチド含有量を、RP−HPLCピーク範囲によって、1.92g b型ナトリウム利尿ペプチド/Lと測定した。この溶液を、さらなる加工処理まで−70±10℃にて保存した。
【0049】
((d)酸切断反応混合物由来のb型ナトリウム利尿ペプチド(1−32)のIEC精製)
b型ナトリウム利尿ペプチド(1−32)のIEC精製のために、上記のように調製される4つの酸切断反応混合液を組み合わせ、そして260gの固形尿素を1Lの酸切断反応混合液に添加して、3.5Mの尿素濃度を与えた。最終容量は、1.3Lであった。この溶液は、0.6mgのb型ナトリウム利尿ペプチド/mLまたは780mgのb型ナトリウム利尿ペプチドを含んだ。この溶液を、RP−HPLCアッセイに基づいて、Whatman Express−Ion Exchanger S(スルホキシエチルイオン交換樹脂)の充填されたカラム上に、8mg hBNP/mL樹脂にてロードした。カラムを以下を用いて連続的に洗浄した:200mLの3.5M尿素、50mM酢酸(pH3.5)、500mLの50mM酢酸、600mLの10mMジチオトレイトール(DTT)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.2)、そして最終的に、1Lの50mMリン酸ナトリウム中55mMのNaCl(pH6.8)。ここで完全に還元されたb型ナトリウム利尿ペプチドのカラムからの溶出を、1Lの50mMリン酸ナトリウム中500mMのNaCl(pH6.8)の段階的勾配によって実施した。150mLの溶出ピークを収集し、そしてb型ナトリウム利尿ペプチド含有量について分析した(合計590mg)。この溶出プールをさらなる加工処理まで−70±10℃にて保存した。
【0050】
((e)ジスルフィド結合形成)
145mLのイオン交換カラム溶出物を、4℃で一晩解凍し、次いで、室温まで暖めた。溶液を50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)を用いて1.4mgのb型ナトリウム利尿ペプチド/mLに希釈した。ジスルフィド結合形成は、穏和な攪拌を伴う35℃で6時間の空気酸化(air oxidation)によって達成した。反応を5M酢酸の添加によるpH5.0への酸性化によって終了させた。酸化プールを、さらなる加工処理まで−70±10℃にて保存した。
【0051】
((f)b型ナトリウム利尿ペプチドの逆相HPLC精製)
上記のように実施された2つの酸化反応由来の酸化プールを2〜8℃にて一晩解凍し、そして室温まで暖めた。5N水酸化アンモニウムで5.5に調整した。この溶液(756mL中の869mgのb型ナトリウム利尿ペプチド)を、ロード中で6%アセトニトリルを得るための溶媒混合液(ロード:緩衝液B 85:15)を用いて調製用RP−HPLC(Zorbax Pro 10/150 C8)上に10.6mL/分間にてロードした。樹脂ローディングは、9.8mg/mL樹脂であった。溶出を、以下に概説される表に従って、同じ流速で実施した。緩衝液Aは精製水であり、緩衝液Bは40%アセトニトリルであり、緩衝液Cは1Mの酢酸アンモニウム(pH5.5)である。
【0052】
【表2】

【0053】
溶出ピークの画分を、分析用RP−HPLCによって分析し、そして96%を超える純度の画分をプールした。RP−HPLCプールは、406mgのb型ナトリウム利尿ペプチド(1−32)を含んだ。
【0054】
((g)酸切断反応からのb型ナトリウム利尿ペプチド(1−32)の特徴づけ)
酸切断、IECクロマトグラフィー、およびRP−HPLC後のb型ナトリウム利尿ペプチドの類似した調製物由来の主要なRP−HPLCピークを、完全N末端アミノ酸配列決定、アミノ酸分析およびエレクトロスプレー質量分析法によって特徴付けした。すべての局面において、この手順によって生成されたペプチドは、合成b型ナトリウム利尿ペプチド標準から区別不能であった。
【0055】
(実施例4)
(限外濾過/ダイアフィルトレーションによる酸切断反応混合液からのb型ナトリウム利尿ペプチド(1−32)の精製)
クロマトグラフィーのための酸切断混合液の可溶化に対する代替として、可溶性b型ナトリウム利尿ペプチドは、ダイアフィルトレーションによって粗酸切断反応混合液から単離され得る。還元されたb型ナトリウム利尿ペプチドをフィルターに通し、そして高分子量凝集物および不溶性物質を保持した。b型ナトリウム利尿ペプチドは自由に膜を通過し、そして濾液中に見出される。
【0056】
名目上の300kDの分子量カットオフを有するFiltron ultrasetteフィルター(Filtron、カタログ番号OS100C72)を、製造業者の指示に従って、ダイアフィルトレーション様式に組み立てた。デバイスを蒸留水で洗浄し、次いで20mM酢酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム(pH4.0)で平衡化した。
【0057】
1リットルの酸切断反応混合物を上記のように調製した。この溶液は、RP−HPLC ピーク面積(RT112/123、1/26/96)により決定した場合、705mgの還元されたb型ナトリウム利尿ペプチドを含有した。この溶液を、2L Pyrexビンに移し、そして60mLの5M塩化ナトリウムを添加した。混合物を氷上で25分間攪拌し、次いで60mLの蒸留水および100mLの0.2M酢酸ナトリウム(pH4.0)を添加した。氷上でさらに20分間攪拌を続けた。次いで、混合物を、蠕動ポンプを2L/分の循環速度を維持しながら用いるダイアフィルトレーションデバイスを通して循環した。濾過物排出口循環の開始時に完全に密閉した。約2分間の循環後、濾過排出口をゆっくりと開け、そして濾過流速を平均速度53.5mL/分(25〜82mL/分の範囲)に制御した。ダイアフィルトレーション緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、pH4.0)を、ダイアフィルトレーション溶液を維持するために一定の容量でフィルターから取り除いた濾過物と同じ速度で2Lビンに添加した。これらの設定で、膜貫通圧を、全ダイアフィルトレーション過程を通して、10psiよりも低く維持した。合計で、5,700mLの濾過物を収集した後、ダイアフィルトレーション溶液への希釈剤の添加を停止した。さらなる1Lの濾過物を、ダイアフィルトレーション過程を完了する前に収集した。ダイアフィルトレーション過程の最後に、総容積6.7Lの濾過物を収集した。RP−HPLCによる、濾過物中のb型ナトリウム利尿ペプチドの定量は、550mgのb型ナトリウム利尿ペプチドすなわち78%の回収を示した。
【0058】
(実施例5:b型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)の生成および単離)
((a)発酵および細胞溶解)
b型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)発現ベクターpSP54を保有するE.coli細胞を、流加培養様式で発酵させた。この系は、trpプロモーターを用い、そして融合タンパク質発現はインドールアクリル酸の添加により誘導される。全発酵培養液(4.7リットル)を、発酵の最後に採取した。生じるバイオマスを1Lビン中の全発酵培養液を遠心分離することにより収集し、そして−70±10℃で保存した。4.7リットルの発酵物から得たバイオマスは、湿重量432gのE.coli細胞であった。凍結バイオマスを室温で一晩解凍し、そしてクラック緩衝液(20mM NaxxPO4、5mM EDTA、pH6.0)を用いて25% w/vに希釈した。細胞を、AVP Gaulin Model 30CD(9−10,000 psi)を用いて、冷蔵熱交換に従ってホモジナイズした。細胞溶液を、破壊を開始する前に2℃冷し、そして溶解の間、温度を15℃未満に保った。ホモジナイザーを通した流れは、顕微鏡実験により測定されるように>90%破壊のホモジナイゼーション終点に達するまで平均4回ホモジナイザーを通ることを可能にするために細胞溶液中に戻した。
【0059】
((b)バッチ遠心分離による封入体の回収)
バッチ遠心分離を、H6000ローターを用いる冷蔵Sorvall RC−3B遠心分離を用いて1Lのポリプロピレンボトルにおいて行なった。E.coli細胞溶解物を12.5%開始細胞重まで溶解物緩衝液で希釈し、そして4500rpm(5894g)でH6000Aローターを用いるSorvall RC−3B遠心分離装置において、40分間遠心分離した。上清を静かにデカントし、そして封入体ペレット(111.5g)を−70±10℃で保存した。
【0060】
((c)酸切断反応)
酸切断反応混合物を、上記の封入体調製物から調製した。封入体(55.8g)を、−70±10℃の保存から取りだし、そして携帯型ホモジナイザーを用いて、脱イオン水を用いて558mLに再懸濁し、10%湿重量の懸濁物を得た。封入体上清のpHを、1Mの塩酸(約28mL)を用いて、2.0に調製した。激しい攪拌が、溶液がpH4.5〜3.0の間で濃縮されるにつれて必要とされた。
【0061】
封入体調製物は、温度を制御した、ガラスライン反応容器装置におくこの装置は、攪拌するサンプルポートおよび不活性ガス雰囲気を提供するように接続部を有する。不活性ガス(Ar)を、5psiで通気開口(vent open)を用いて反応容器中に流した。温度のコントローラーを作動させ、そして適切な設定に調節した。反応のタイミングをこの時点で開始した。加熱を40℃まで進行させ、この時点で通気口を閉じ、そして反応容器を5psiに加圧した。この反応容器を、このヘッドの圧力を維持するように温度を調節する期間の間、時折通気した。反応混合物を15分以内で所望される温度の5℃以内にした。温度は、反応期間を通して、85±1.5℃に制御した。サンプルを、b型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)放出の、RP−HPLC分析のために、通常の間隔(30分)で採取した。サンプリングを、まずガス注入口のバルブを閉じ、次いで、雰囲気圧に容器を通気し、そして最後に、使い捨てのシリンジを用いて、サンプリングポートから1mLのサンプルを取り出すことにより行なった。次いで、サンプリングポートを閉じ、ガス注入口を再度開き、容器を5〜10秒通気させ、そして最後に、通気口を閉じて、容器を再加圧させた。
【0062】
反応を、2.0時間後、氷上で20℃に冷却することにより終結した。溶液を、冷却中連続して攪拌した。冷却期間の終了時、28mLの1Mのリン酸を、反応混合物(最終50mM)に添加し、そして反応混合物のpHを10N NaOHを用いて2.8に調整した。この溶液のb型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)含量を、RP−HPLCアッセイにより、0.45gの還元されたb型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)/L(総量223mgの還元されたb型ナトリウム利尿ペプチド(2−32))として決定した。この溶液をさらなる処理まで、−70±10℃で凍結した。
【0063】
((d)酸切断反応混合物からのb型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)のバッチイオン交換精製)
b型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)を、SP−Spherodex LSカチオン交換樹脂とのバッチインキュベーションにより、pH調整酸切断反応混合物から吸収した。上記の500mLの酸切断反応混合物を、温度が22℃に達するまで、1.5時間温浴槽において解凍した。製造者の指示に従って洗浄したSP−Spherodex LS樹脂(50mL)を、穏やかに攪拌しながら、ガラス容器中の解凍した反応混合物に添加した。混合物を、90分間、周囲温度で攪拌し、そしてサンプルの上清を30分間隔で採取した。この樹脂を、5分間の混合の最後に沈下させた。上清を静かにデカントし、そして樹脂を、3回、250mLの50mM酢酸を用いて洗浄した。次いで、この樹脂を、カラム(2.5×11.5cm)に詰め、そして2カラム容積(CV)の50mM酢酸(pH3.5)を用いて、8mL/分にてさらに洗浄した。次いで、このカラムを、4CVの50mMリン酸ナトリウム(pH7.2)で洗浄した。カラム上での還元を、カラムを4CVの10mMジチオスレイトール(DTT)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.2)を用いて洗浄することにより行なった。最後に、カラムを、4CVの50mMリン酸ナトリウム(pH7.2)で洗浄し、次いで200mMのNaClを含有する5CVの50mMリン酸ナトリウム(pH7.2)で洗浄した。カラムから、今や完全に還元されたb型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)の溶出を、2段階で、50mMリン酸ナトリウム(pH7.2)中、450mMおよび1M NaClで行なった。330mLの溶出プールを収集し、そしてb型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)含量を分析した(総量148mg、66%収量)。溶出プールは、直接ジスフィルド結合形成に用いた。
【0064】
((e)b型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)のジスフィルド結合形成)
1mLあたり0.45mgのb型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)を含有する330mLのイオン交換カラム溶出物を、2NのHClを用いて、pH6.8にpH調整した。ジスフィルド結合形成を、アルゴン下で、11時間2〜8℃にて11mLの15mM K3Fe(CN)6の溶液への添加により達成した。反応を、3.4mLの5M酢酸の添加によるpH5.0への酸性化により終結した。酸化反応物の収率は、121mgのb型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)、82%段階収量であった。酸化プールを2〜8℃で一晩保存した。
【0065】
((f)b型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)の逆相HPLC精製)
酸化プールを、室温に加温し、そしてRP−HPLCによりさらに精製した。アセトニトリル(18mL)を、342mLの酸化プールに添加し、360mLロードを得た。pHを、10Nの水酸化アンモニウムを用いて5.5に調整した。この溶液(51mgのb型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)を含有する160mL)を、RP−HPLCカラム(Vydac C4 214TP1010)上に4.5mL/分でロードした。樹脂のロードは、3mg/mLであった。溶出を、同じ流速で、以下の概説表に従って行なった。緩衝液Aは、5%アセトニトリル、50mM酢酸アンモニウム(pH5.0)であり、緩衝液Bは、50%アセトニトリルであり、50mM酢酸アンモニウム(pH5.0)である。
【0066】
【表3】

【0067】
溶出ピークの画分を手動で収集し、分析用RP−HPLCにより分析し、そしてプールするまで3日間、2〜8℃で保存した。>95%純度の画分をプールし、最終的に、分析用RP−HPLCにより>97%純度のプールを得、そして48mgのb型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)の収量すなわち94%の段階収率であった。
【0068】
((g)酸切断反応からのb型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)の特徴付け)
酸切断、IECクロマトグラフィー、およびRP−HPLC後の、b型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)の同様の調製物からの主なRP−HPLCピークを、完全なN末端アミノ酸配列分析、アミノ酸分析、およびエレクトロスプレー質量分析により特徴付けた。3つ全てのアッセイの結果は、このプロトコルにより産生したペプチドがb型ナトリウム利尿ペプチド(2−32)であったことを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5未満または8より上のpIを有する精製ペプチドを産生するための方法であって、以下の工程;
(a)組換え宿主細胞において、融合タンパク質として5未満または8より上のpIを有する該ペプチドを発現させる工程であって、該融合タンパク質において、該ペプチドが、そのC末端にAsp残基を有するアミノ酸配列を含む融合パートナーに、該ペプチドのN末端で融合され、ここで(i)該融合パートナーのC末端Asp残基および該ペプチドのN末端残基が、酸性条件下で切断可能な結合を形成し、(ii)該ペプチドが、該融合パートナーの正味の電荷とは異なる正味の電荷、および該融合パートナーの該酸切断によって産生される任意の所望でないフラグメントであって、該ペプチドを、イオン交換クロマトグラフィーによって該融合タンパク質の該融合パートナーおよび任意の所望でない酸切断フラグメントから分離されることを可能にする、フラグメント、を有し、そして(iii)該融合タンパク質が、該組換え宿主細胞内で封入体を形成する、工程;
(b)該封入体を該組換え宿主細胞から回収する工程;
(c)該融合タンパク質をカオトロープの非存在下で酸性条件に供することによって、該融合パートナーから該ペプチドを切断する工程;
(d)不溶性切断産物を、該ペプチドの一次構造を崩壊せずに可溶化させる条件下で、非イオン性カオトロープで処理することによって可溶化する工程;ならびに
(e)該ペプチドを、イオン交換クロマトグラフィーによって単離する工程、を包含する、方法。
【請求項2】
前記融合タンパク質が6.0と8.0との間のpIを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記融合タンパク質が6.5と7.5との間のpIを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記単離されたペプチドをpH6.8の50mMのリン酸ナトリウムで希釈し、前記単離されたペプチドを35℃で6時間空気酸化することによって生物学的に活性なペプチドを製造する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ペプチドが、酸性条件下で切断可能な内部ジペプチド配列を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ペプチドが、1つ以上の内部ジペプチド配列を含み、該内部ジペプチド配列は、前記融合パートナーのC末端アミノ酸残基および該ペプチドのN末端アミノ酸残基によって形成されるジペプチドの切断速度よりも遅い切断速度で、酸性条件下で切断可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ペプチドが、b型ナトリウム利尿ペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(d)で使用される前記非イオン性カオトロープが尿素である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ペプチドが、3M〜7Mの濃度の尿素で処理される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ペプチドが、b型ナトリウム利尿ペプチドである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
5未満または8より上のpIを有する精製ペプチドを産生するための方法であって、以下の工程;
(a)組換え宿主細胞において、融合タンパク質として該ペプチドを発現させる工程であって、該融合タンパク質において、所望のペプチドが、そのC末端にAsp残基を有するアミノ酸配列を含む融合パートナーに、該所望のペプチドのN末端で融合され、ここで(i)該融合パートナーのC末端Asp残基および該ペプチドのN末端残基が、酸性条件下で切断可能な結合を形成し、(ii)該ペプチドが、該融合パートナーの正味の電荷とは有意に異なる正味の電荷、および該融合パートナーの該酸切断によって産生される任意の所望でないフラグメントであって、該ペプチドが、イオン交換クロマトグラフィーによって該融合タンパク質の該融合パートナーおよび任意の所望でない酸切断フラグメントから分離されることを可能にする、フラグメント、を有し、そして(iii)該融合タンパク質が、該組換え宿主細胞内で封入体を形成する、工程;
(b)該封入体を該組換え宿主細胞から回収する工程;
(c)該融合タンパク質をカオトロープの非存在下で酸性条件に供することによって、該融合パートナーから該ペプチドを切断する工程;
(d)不溶性切断産物を、該切断混合物から、限外濾過、ダイアフィルトレーション、または遠心分離によって除去する工程;ならびに
(e)該ペプチドをイオン交換クロマトグラフィーによって単離する工程、を包含する、方法。
【請求項12】
前記ペプチドが、工程(e)に続いて1つ以上のさらなる精製工程に供される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ペプチドがb型ナトリウム利尿ペプチドであり、そして該ペプチドが、連続して、工程(e)に続く逆相HPLCクロマトグラフィーおよびさらなるイオン交換クロマトグラフィーに供される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
融合タンパク質の宿主細胞における発現のためのベクターであって、該融合タンパク質は、酸性条件下で切断可能であり、8より上または5未満のpIを有する所望のペプチドを生成し、該ベクターは、以下:
(a)該融合タンパク質のpIが6.0と8.0との間であるように荷電した融合タンパク質パートナーをコードするDNA配列;
(b)前記(a)の融合タンパク質パートナーをコードするDNA配列の3’末端に連結される、アスパラギン酸をコードするコドン;
(c)8より上または5未満のpIを有し、そしてそのN末端で、プロリン、グリリン、セリン、ロイシン、アラニン、イソロイシンまたはバリン残基を有する所望のペプチドをコードするDNA配列であって、前記(b)のアスパラギン酸をコードするコドンの3’末端にその5’末端で連結される、DNA配列;
(d)DNA配列に操作可能に連結し、宿主細胞における該融合タンパク質の発現を指向し得る調節配列、を含む、ベクター。
【請求項15】
融合タンパク質パートナーが配列番号12のクロラムフェニコールトランスフェラーゼである、請求項14に記載のベクター。
【請求項16】
コードされた融合タンパク質パートナーが、前記融合タンパク質が6.5と7.5の間のpIを有するような荷電を有する、請求項14に記載のベクター。
【請求項17】
前記コードされたペプチドが、b型ナトリウム利尿ペプチドである、請求項14に記載のベクター。
【請求項18】
前記調節配列が、phoAプロモーターを含む、請求項14に記載のベクター。
【請求項19】
前記融合タンパク質パートナーが、配列番号11の50個のN末端アミノ酸残基に対応する少なくとも50個の残基を含む、請求項14に記載のベクター。
【請求項20】
請求項14に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項21】
請求項15に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項22】
請求項16に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項23】
請求項17に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項24】
請求項18に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項25】
請求項19に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項26】
前記組換え宿主細胞が原核生物である、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記原核生物がE.coliである、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−172575(P2011−172575A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64117(P2011−64117)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【分割の表示】特願2000−559232(P2000−559232)の分割
【原出願日】平成11年7月8日(1999.7.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(593215117)サイオス インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】