説明

A型及びB型インフルエンザウイルスの核酸を検出するための組成物及びアッセイ

【課題】技術員が病原体に暴露されることが最小限になるように比較的短時間で、A型及びB型インフルエンザウイルスを感度よく特異的に検出する試験に対する要望があるので、インビトロでの増幅及び検出を用いた生物学的試料中のA型インフルエンザウイルス及びB型インフルエンザウイルスの核酸の検出方法を開示する。
【解決手段】標的特異的核酸配列である組成物及び、A型インフルエンザウイルス又はB型インフルエンザウイルスの核酸を増幅して、増幅核酸配列を検出するための標的特異的核酸オリゴマーを含むキット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国35U.S.C.119(e)により、2005年5月6日に出願され
た仮出願第60/678,508号に基づく優先権を主張し、これを本明細書に援用する

【0002】
本発明は病原体の検出の分野に関し、より具体的には、インビトロで核酸増幅及びプロ
ーブ検出を用いて、A型インフルエンザウイルス及びB型インフルエンザウイルス配列を
検出するための組成物及び方法を用いて検出する。
【背景技術】
【0003】
インフルエンザウイルス(A、B及びC型)は、インフルエンザの原因であるオルソミ
キソウイルス科の一員である。A型インフルエンザウイルスは鳥類やヒトを含む哺乳動物
に感染するが、B及びC型はヒトのみに感染する。インフルエンザウイルスは、分節した
マイナス鎖ゲノムRNAを含む、直径約8〜200nmのラフな球形エンベロープで包ま
れたウイルスである。そのエンベロープは、ヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダー
ゼ(NA)を含む硬い構造を包含する。遺伝子再構成に起因するHA及びNAの亜型の組
み合わせは、ウイルス分離株の特定に用いられる。一般的に、インフルエンザウイルス分
離株は、型、場所、分離番号、分離年、及びHA及びNA亜型を含む命名法により同定さ
れる(例えば、「A/シドニー/7/97(H3N2)」は、A型、シドニー由来、分離
番号7、1997年にHA3及びNA2亜型という。)。抗原連続変異を生じる多少の遺
伝的変化は一時的なインフルエンザ流行の原因となりうるが、新規なHA又はNA亜型を
もたらす遺伝的変化は、大流行を引き起こしうる抗原不連続変異の原因となる。ヒトA型
インフルエンザウイルス感染の解析により、1918年のH1N1、1957年のH2N
2及び1968年のH3N2のように1900年代に大流行が起こったことで、2〜3個
のHA及びNAの組み合わせが臨床的に重大であることが示されてきた。
【0004】
鳥類(例えば、ニワトリ、カモ、ハト)に感染するインフルエンザウイルスは、H5、H
7又はH9とN1〜N9のいずれかとの組み合わせを用いる。1997年から、ヒトに感
染するトリインフルエンザウイルスには、H5N1、H9N2、H7N2及びH7N7ウ
イルスが含まれてきた。トリインフルエンザウイルスに起因するヒトの感染に限っても、
検疫及び苦難を伴う夥しい数の家禽の意図的な廃棄をもたらす、潜在的な大流行の懸念が
ある。ヒト対ヒト接触で効率的に移動するトリインフルエンザウイルス又はその変異体は
大流行の原因となりえた(Li et al., 2003, J. Virol. 77(12): 6988-6994)。
【0005】
ヒトインフルエンザウイルスは、幼若な亜集団、老齢な亜集団及び免疫機能が低下した
亜集団で著しく高い致死率をもたらし、重篤な罹患及び経済コストの原因となる接触感染
性が高い急性呼吸器疾患をもたらす。ヒトでのトリインフルエンザ感染は、一般的に致死
率が高い。典型的なヒトでのインフルエンザウイルス感染は、インキュベーション期間が
短く(1〜2日)、症状は約1週間程度続き(例えば、急な発熱、のどの痛み、咳、頭痛
、筋肉痛、倦怠感及び拒食症)、肺炎を起こす場合もある。感染を最適に防御するには、
世界規模での疫学的調査に基づいた、その年に最も流行しそうな亜型のA及びB型を組み
合わせたワクチンを毎年接種しなければならない。治療を効果的なものにするためには、
ウイルスが細胞内に侵入することを防御するか又は感染した細胞からのウイルスの放出を
低下させる医薬を、発症から48時間以内に投与しなければならない。
【0006】
インフルエンザウイルスを臨床的に検出するために様々な方法が用いられてきた。イン
ビトロでのウイルス培養(サル腎臓細胞)の後に、微生物学的方法を用いた視覚的アッセ
イ及び/又は血球吸着で、標本(例えば、鼻咽喉又は咽喉のスワブ、鼻腔又は気管支の洗
浄物、鼻腔吸引物又は唾液)中のA型及びB型インフルエンザウイルスを検出することが
できる。他の検出試験としては、インフルエンザウイルス抗原に特異的な抗体を用いる、
免疫蛍光法(IFA)、酵素免疫法(EIA)及び酵素免疫測定法(ELISA)があげ
られる。A型又はB型インフルエンザ特異的モノクローナル抗体及びフローサイトメトリ
ーを用いるサンドイッチ微小体ベースIFA(Yan et al., 2004, J. Immunol. Methods
284(1-2): 27-38)、モノクローナル抗体ベースEIA試験(DIRECTIGEN(登録商標)FLU
A andDIRECTIGEN(登録商標) FLU A+B, Becton, Dickinson and Co., Franklin Lakes, N
J, andQUICKVUE(登録商標) influenza Test, Quidel, San Diego, CA)及び、固定化抗
体がA型又はB型インフルエンザ核タンパク質に結合すると分子薄膜の厚みが増すために
色が変化するような免疫法(FLU OIA(登録商標), Biostar Inc., Boulder, CO)が例とし
てあげられる。他のクロマゲニック(chromagenic)な方法では、基質の切断によりウイ
ルス性NA活性を検出する(ZSTAT FLU(登録商標), ZymeTx, Inc., Oklahoma City, OK)
。アッセイ方法は、A型及びB型インフルエンザウイルスを検出するためにインフルエン
ザウイルス配列を増幅するための逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)に依存す
ることが知られている(例えば、Templeton et al., 2004, J. Clin. Microbiol. 42(4):
1564-69;Frisbie et al., 2004, J. Clin. Microbiol. 42(3):1181-84; Boivin et al.,
2004, J.Clin. Microbiol., 42(1):45-51 ; Habib-Bein et al., 2003, J. Clin. Micr
obiol. 41(8):3597-3601 ; Li et al., 2001 , J. Clin. Microbiol. 39(2):696-704; v
an Elden etal., 2001 , J. Clin. Microbiol. 39(1): 196-200; Fouchier et aL, 2000
, J. Clin.Microbiol. 38(11):4096-101; Ellis et al., 1997, J. Clin. Microbiol. 3
5(8):2076-2082; WO2004/057021号公報、WO02/00884号公報、
WO00/17391号公報及びWO97/16570号公報,欧州特許公報第1327
691A2号、米国特許第6,015,664号及びPROFLU-1(商標)及びHEXAPLEX(商標)試験, Prodesse, Milwaukee, Wl)。血清学では、A型又はB型インフルエンザウイルス感染に関する血清変換を、インフルエンザの症状がある患者由来の急性かつ回復期の血清中に存在する抗体を検出することにより検出する。検出方法は、感度、特異性、アッセイ方法及び操作時間、必要な器具並びに研究室や個人に求められる安全性に関して、技術員が病原体に暴露することに関連して、好都合及び不都合な点がある。一般的には、培養及び血清学的試験は、期間がより長く(5日〜2週間)、潜在的に技術員が病原体に暴露される機会が増える。免疫学的方法は一般的に迅速であるが(30分〜4時間)、時として、技術員により、実質的に試料を操作しなければならず、結果は主観的な測定に依存する。PCRベースの増幅アッセイ方法は、完了するまで2日かかる場合もあり、専門のサーモサイクラー装置が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
すなわち、感染者を効果的に治療するのに十分な時間内に診断を完了させるため、技術
員が病原体に暴露されることが最小限になるように比較的短時間で、A型及びB型インフ
ルエンザウイルスを感度よく特異的に検出する試験に対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される1の態様は、配列番号3〜配列番号18及び配列番号21〜配列
番号31若しくはそれらと完全に相補的な配列又はそれらのDNA同等物からなる配列か
ら構成されるA型インフルエンザウイルスに特異的な少なくとも2つの核酸オリゴマーを
含む組成物である。好ましい態様としては、少なくとも1のオリゴマーが配列番号7〜配
列番号18からなる配列から選択され、少なくとも1のオリゴマーが配列番号21〜配列
番号24からなる配列から選択される核酸オリゴマーがあげられる。他の好ましい態様と
してはまた、配列番号25〜配列番号31からなる配列から選択される少なくとも1のオ
リゴマーがあげられる。好ましい態様では、少なくとも1のオリゴマーには、少なくとも
1の2’−メトキシRNA基が含まれ、他の好ましい態様では、少なくとも1のオリゴマ
ーには、オリゴマーの5’末端に少なくとも1のロックされた核酸(LNA)残基が含ま
れる。配列番号25〜配列番号31からなる配列から選択されるオリゴマーが含まれる好
ましい態様では、オリゴマーはまた、オリゴマー配列に直接的又は間接的に結合した検出
可能な標識を含む。好ましい標識は、均一系アッセイシステムで検出可能なものである。
当該組成物の好ましい態様は、A型インフルエンザウイルスに特異的な、少なくとも2つ
の特定の核酸オリゴマーを含むキットである。
【0009】
本明細書で開示する他の態様は、配列番号34〜配列番号58からなる配列若しくはそ
れらに完全に相補的な配列又はそれらのDNA同等物から構成されるB型インフルエンザ
ウイルスに特異的な少なくとも2つの核酸オリゴマーを含む組成物である。好ましい態様
としては、配列番号38〜配列番号43からなる配列から選択される少なくとも1のオリ
ゴマー、及び、配列番号44〜配列番号47からなる配列から選択される少なくとも1の
オリゴマーがあげられる。他の好ましい態様としてはまた、配列番号48〜配列番号58
からなる配列から選択される少なくとも1のオリゴマーがあげられる。いくつかの好まし
い態様では、少なくとも1のオリゴマーは少なくとも1の2’−メトキシRNA基を含み
、他の好ましい態様では、少なくとも1のオリゴマーは、オリゴマーの5’末端に少なく
とも1のロックされた核酸(LNA)残基を含む。好ましい態様では、配列番号48〜配
列番号58からなる配列から選択されるオリゴマーは、直接的又は間接的にオリゴマー
配列に結合した検出可能な標識を含む。好ましい態様としては、均一系アッセイシステム
で検出できる標識があげられる。組成物の好ましい態様は、B型インフルエンザウイルス
に特異的な、少なくとも2つの特定の核酸オリゴマーを含むキットである。
【0010】
他の態様は、試料中のA型インフルエンザウイルス又はB型インフルエンザウイルスの
核酸を検出する方法であって、実質的に等温条件下で増幅産物を産生するために、試料中
に含まれるA型インフルエンザウイルス核酸又はB型インフルエンザウイルス核酸中の標
的配列をインビトロで核酸ポリメラーゼを用いて増幅する工程であって、A型インフルエ
ンザウイルスの標的配列は配列番号1若しくはそれに完全に相補的な配列又はそれらのR
NA同等物に含まれており、B型インフルエンザウイルスの標的配列は配列番号32若し
くはそれに完全に相補的な配列又はそれらのRNA同等物に含まれている前記増幅工程及
び増幅産物を検出する工程を含む、前記方法である。好ましい態様では、A型インフルエ
ンザウイルスの標的配列を増幅する工程は、配列番号7〜配列番号18からなる配列から
選択される少なくとも1のオリゴマー及び配列番号21〜配列番号24からなる配列から
選択される1のオリゴマーを用いる。他の態様では、B型インフルエンザウイルスの標的
配列を増幅する工程は、配列番号38〜配列番号43からなる配列から選択される少なく
とも1のオリゴマー及び配列番号44〜配列番号47からなる配列から選択される1のオ
リゴマーを用いる。他の好ましい態様では、検出工程は、配列番号25〜配列番号31か
らなる配列から選択される少なくとも1のプローブを用いてA型インフルエンザウイルス
の標的配列の増幅産物を検出するか、又は、配列番号48〜配列番号58からなる配列か
ら選択される少なくとも1のプローブを用いてB型インフルエンザウイルスの標的配列の
増幅産物を検出する。本方法の好ましい態様としてはまた、内部調節オリゴマーをもたら
す工程、内部調節オリゴマーに含まれる標的配列を増幅する工程、及び、内部調節オリゴ
マーから作製された増幅産物を検出する工程により本方法の増幅工程及び検出工程が適切
に実行されたことを示す工程があげられる。他の好ましい態様では、本方法はまた、増幅
工程の前に、A型インフルエンザウイルス核酸又はB型インフルエンザウイルス核酸を含
有する試料由来のインフルエンザウイルス核酸を単離する工程があげられる。
例えば、本発明は以下を提供する:
(項目1)
配列番号3〜配列番号18及び配列番号21〜配列番号31、若しくはそれらと完全に
相補的な配列、又はそれらのDNA同等物からなる配列から構成されるA型インフルエン
ザウイルスに特異的な、少なくとも2つの核酸オリゴマーを含む、組成物。
(項目2)
核酸オリゴマーが、配列番号7〜配列番号18からなる配列から選択される少なくとも
1のオリゴマー、及び、配列番号21〜配列番号24からなる配列から選択される少なく
とも1のオリゴマーを含む、項目1記載の組成物。
(項目3)
配列番号25〜配列番号31からなる配列から選択される少なくとも1のオリゴマーを
さらに含む、項目2記載の組成物。
(項目4)
少なくとも1のオリゴマーが、少なくとも1の2’−メトキシRNA基を含む、項目
1記載の組成物。
(項目5)
少なくとも1のオリゴマーが、オリゴマーの5’末端に少なくとも1のロックされた核
酸(LNA)残基を含む、項目1記載の組成物。
(項目6)
配列番号25〜配列番号31からなる配列から選択されるオリゴマーが、直接的又は間
接的にオリゴマー配列に結合した検出可能な標識を含む、項目3記載の組成物。
(項目7)
標識が均一系アッセイシステムで検出可能である、項目6記載の組成物。
(項目8)
A型インフルエンザウイルスに特異的な少なくとも2つの核酸オリゴマーがキットの形
態である、項目1記載の組成物。
(項目9)
配列番号34〜配列番号58からなる配列若しくはそれらに完全に相補的な配列又はそ
れらのDNA同等物から構成されるB型インフルエンザウイルスに特異的な少なくとも2
つの核酸オリゴマーを含む、組成物。
(項目10)
核酸オリゴマーが、配列番号38〜配列番号43からなる配列から選択される少なくと
も1のオリゴマー、及び、配列番号44〜配列番号47からなる配列から選択される少な
くとも1のオリゴマーを含む、項目9記載の組成物。
(項目11)
配列番号48〜配列番号58からなる配列から選択される少なくとも1のオリゴマーを
さらに含む、項目10記載の組成物。
(項目12)
少なくとも1のオリゴマーが、少なくとも1の2’−メトキシRNA基を含む、項目9記載の組成物。
(項目13)
少なくとも1のオリゴマーが、オリゴマーの5’末端に少なくとも1のロックされた核
酸(LNA)残基を含む、項目9記載の組成物。
(項目14)
配列番号48〜配列番号58からなる配列から選択されるオリゴマーが、直接的又は間
接的にオリゴマー配列に結合した検出可能な標識を含む、項目11記載の組成物。
(項目15)
標識が均一系アッセイシステムで検出可能である、項目14記載の組成物。
(項目16)
B型インフルエンザウイルスに特異的な少なくとも2つの核酸オリゴマーがキットの形
態である、項目9記載の組成物。
(項目17)
試料中のA型インフルエンザウイルス又はB型インフルエンザウイルスの核酸を検出す
る方法であって、以下の:
実質的に等温条件下で増幅産物を産生するために、試料中に含まれるA型インフルエ
ンザウイルス核酸又はB型インフルエンザウイルス核酸中の標的配列を、インビトロで核
酸ポリメラーゼを用いて増幅する工程であって、
前記A型インフルエンザウイルスの標的配列が、配列番号1若しくは配列番号1と
完全に相補的であるか、又はそれらのRNA同等物に含まれ、かつ、
前記B型インフルエンザウイルスの標的配列が、配列番号32若しくは配列番号3
2と完全に相補的であるか、又はそれらのRNA同等物に含まれる前記工程;及び、
前記増幅産物を検出する工程、
を含む、前記方法。
(項目18)
A型インフルエンザウイルスの標的配列を増幅する工程で、配列番号7〜配列番号18
からなる配列から選択される少なくとも1のオリゴマー、及び、配列番号21〜配列番号
24からなる配列から選択される1のオリゴマーを用いる、項目17記載の方法。
(項目19)
B型インフルエンザウイルスの標的配列を増幅する工程で、配列番号38〜配列番号4
3からなる配列から選択される少なくとも1のオリゴマー、及び、配列番号44〜配列番
号47からなる配列から選択される1のオリゴマーを用いる、項目17記載の方法。
(項目20)
検出工程で、A型インフルエンザウイルスの標的配列の増幅産物を検出するために配列
番号25〜配列番号31からなる配列から選択される少なくとも1のプローブ、又は、B
型インフルエンザウイルスの標的配列の増幅産物を検出するために配列番号48〜配列番
号58からなる配列から選択される少なくとも1のプローブを用いる、項目17記載の
方法。
(項目21)
内部調節オリゴマーをもたらす工程;内部調節オリゴマーに含まれる標的配列を増幅す
る工程;及び、内部調節オリゴマーから作製される増幅産物を検出する工程であって、そ
れにより、前記方法の増幅工程及び検出工程が適当に行われたことを示す前記工程をさら
に含む、項目17記載の方法。
(項目22)
増幅工程の前に、A型インフルエンザウイルス核酸又はB型インフルエンザウイルス核
酸を含む試料からインフルエンザウイルス核酸を単離する工程をさらに含む、項目17
記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、異なる量のA型インフルエンザウイルス標的(250〜5000コピー/ml)を、手動で実行するか(白)、又は、自動システムを用いて(黒)行ったTMAベースアッセイで検出されたシグナル(相対発光量、RLU)を示す棒グラフである。
【図2】図2は、異なる量のB型インフルエンザウイルス標的(250〜5000コピー/ml)を、手動で実行するか(白)、又は、自動システムを用いて(黒)行ったTMAベースアッセイで検出されたシグナル(相対発光量、RLU)を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
核酸オリゴマー配列は、インビトロでの核酸増幅の方法を用いて、好ましくはTMA又
はNASBA等の転写介在増幅反応を用いて、試料中に存在するA型インフルエンザウイ
ルス及びB型インフルエンザウイルスの核酸を増幅するためのプライマーとして、及び、
増幅された核酸配列の検出のためのプローブとして機能しうることが開示される。検出プ
ローブは、増幅プロセスの終了後又はプロセス中に、増幅したウイルス配列の部分に特異
的にハイブリダイズする。いくつかの態様では、増幅配列に特異的に結合した標識プロー
ブを混合物中で検出する均一系検出方法を用いて増幅産物を検出する(例えば、Arnold e
t al., 1989,Clin. Chem. 35:1588-1594;米国特許第5,658,737号、Nels
onら、及び米国特許第5,118,801号及び第5,312,728号、Lizar
diらを参照)。方法の態様はまた、標的インフルエンザウイルス核酸を捕捉して、他の
試料成分から分離するために試料を加工するための捕捉プローブとして機能するオリゴヌ
クレオチド配列を用いる(米国特許第6,110,678号、第6,280,952号及
び第6,534,273号、Weisburgら)。
【0013】
本明細書で開示された方法は、ヒト由来の試料中、好ましくは、鼻咽頭又は咽頭のスワ
ブ、鼻腔及び気管支の洗浄液、鼻腔吸引物又は唾液中、に存在するA型及びB型インフル
エンザウイルス核酸を検出する。本明細書で開示された組成物としては、A型インフルエ
ンザウイルス又はB型インフルエンザウイルスの標的核酸を試料中の他の成分から分離す
るための捕捉オリゴマー、インフルエンザウイルスのゲノム配列に存在する選択された核
酸配列を特異的に増幅するための増幅オリゴマー及び増幅配列を検出するための核酸プロ
ーブがあげられる。好ましい態様としては、転写関連増幅反応の開始約45分以内に検出
可能なシグナル又は反応をもたらすアッセイ中で、A型及びB型インフルエンザウイルス
の配列を増幅して検出するためのオリゴマーの特異的な組み合わせがあげられる。
【0014】
開示された核酸配列及び方法は、診断が感染の初期段階(例えば、兆候がみられてから
48時間以内)で行われ、効果的な治療が開始されるように、比較的短時間での試料中に
存在するウイルス粒子由来のA型及びB型インフルエンザウイルス核酸の増幅及び検出に
有用である。当該方法は、インフルエンザウイルスに感染しているが明確な兆候が現れて
いない個体のスクリーニング、特に、インフルエンザウイルス感染から致死又は重篤な合
併症の危険性が高い患者、例えば、若年者、老人又は免疫不全の個体のスクリーニングに
有用である。当該方法はまた、伝染病の流行又は大流行時等の多量の試料の迅速スクリー
ニングにも有用であり、適当な公衆衛生対策を開始できる。当該方法は、研究員が、ヒト
に感染性になったA型又はB型インフルエンザウイルスに関連するトリインフルエンザウ
イルス等の病原体に暴露される危険性を最小限にするため、有用である。すなわち、本明
細書で開示された当該方法及び組成物は、A型又はB型インフルエンザウイルスを含有し
うる臨床試料の迅速、高感度及び特異的な試験の要望に応えるものである。
【0015】
「生物学的」又は「臨床的」試料を含む「試料」又は「標本」は、例えば、鼻咽頭又は
咽頭のスワブ、鼻腔及び気管支の洗浄液、鼻腔吸引物又は唾液、他の呼吸組織若しくは浸
出液、又は、リンパ節を含む生検試料を含む、インフルエンザウイルス標的核酸を含む、
生体若しくは死体又は動物由来の組織又は材料をいう。試料は、細胞内核酸を、酵素、緩
衝液、塩、界面活性剤等を含みうる溶液中に放出するために、物理的又は機械的に組織や
細胞の構造を崩壊して処理してアッセイ試料を調製してもよい。
【0016】
「核酸」は、RNA、DNA、混合RNA−DNA及びその類似物のポリマーを含み、
共に結合してポリヌクレオチドを形成する窒素含有複素環塩基若しくは塩基類似物を有す
る、ヌクレオシド又はヌクレオシド類似物を含む多重化合物をいう。核酸の「骨格」は、
1又はそれ以上の糖ホスホジエステル結合、ペプチド−核酸結合(「ペプチド核酸」又は
PNA;国際特許出願公報WO95/32305号)、ホスホロチオネート結合、メチル
ホスホネート結合又はそれらの組み合わせを含む、様々な結合から構成されてもよい。核
酸の糖部分は、リボース、デオキリボース、又は、例えば、2’−メトキシ又は2’−ハ
ロゲン置換体などの置換がなされた類似の化合物でもよい。窒素含有塩基は、慣用の塩基
(A、G、C、T、U)、その類似物(例えば、イノシンその他;The Biochemistry of
the NucleicAcids 5-36, Adams et al., ed., 11thed., 1992参照)、プリン又はピリミ
ジンの誘導体(例えば、N−メチルデオキシグアノジン、デアザ−又はアザ−プリン、
デアザ−又はアザ−ピリミジン、5又は6位に置換基があるピリミジン塩基、2、6又は
8位に置換基があるプリン塩基、2−アミノ−6−メチルアミノプリン、O−メチルグ
アニン、4−チオ−ピリミジン、4−アミノ−ピリミジン、4−ジメチルヒドラジン−ピ
リミジン及びO−アルキル−ピリミジン;米国特許第5,378,825号及び国際特
許出願WO93/13121号)でもよい。核酸は、1又はそれ以上の、骨格のポリマー
の位置に窒素含有塩基がない「脱塩基」残基を含んでもよい(米国特許第5,585,4
81号)。核酸は慣用のRNA又はDNAの糖、塩基及び結合のみを含んでもよく、又は
、慣用の成分及び置換物を共に含有してもよい(例えば、2’−メトキシ結合、又は、慣
用の塩基及び1又はそれ以上の塩基類似物を共に含有するポリマーがある慣用の塩基)。
核酸には、「ロックされた核酸」(LNA)、相補的なRNA及びDNA配列へのハイブ
リダイゼーション親和性を高めるRNA擬似糖構造中の二環式フラノース単位がロックさ
れた、1又はそれ以上のLNAヌクレオチドモノマーを含有する類似物が含まれる。(Ve
ster and Wengel,2004, Biochemistry 43(42): 13233-41)。ハイブリダイゼーション
複合体の安定性に影響を及ぼしうるオリゴマーの態様としては、PNAオリゴマー、2’
−メトキシ若しくは2’−フルオロ置換RNAを含むオリゴマー、又は、荷電結合(例え
ば、ホスホロチオエート)又は中性基(例えば、メチルホスホネート)を含有するオリゴ
マーを含む、ハイブリダイゼーション複合体の全体的な電荷、電荷密度、又は立体的関係
に影響を及ぼすオリゴマーがあげられる。
【0017】
「オリゴマー」又は「オリゴヌクレオチド」は、一般的には、下限が約2〜5ntで上
限が約500〜900ntの範囲の大きさであるものを含む、1,000ヌクレオチド(
nt)未満の核酸をいう。ある好ましい態様としては、下限が約5〜15ntで上限が約
50〜600ntの範囲の大きさであるオリゴマー、そして他の好ましい態様としては、
下限が約10〜20ntで上限が約22〜100ntの範囲の大きさであるオリゴマーで
ある。オリゴマーは天然源から精製されてもよいが、好ましくは、周知の酵素的又は化学
的方法を用いて合成される。オリゴマーは、機能的名称で表してもよく(例えば、捕捉プ
ローブ、プライマー又はプロモータープライマー)、当業者であれば、そのような用語が
オリゴマーを表すことを理解するであろう。
【0018】
「捕捉プローブ」、「捕捉オリゴヌクレオチド」又は「捕捉オリゴマー」は、標準的塩
基対で標的核酸中の標的配列に特異的にハイブリダイズし、標的核酸を捕捉するために支
持体に固定されたプローブ上の結合パートナーと結合する核酸オリゴマーをいう。捕捉オ
リゴマーの好ましい態様には、通常、同一オリゴマー上に、配列−結合領域(すなわち、
標的特異的部分)及び固定化プローブ結合領域の2つの結合領域が含まれるが、この2つ
の領域は、1又はそれ以上のリンカーが共に結合した2つの異なるオリゴマー上に存在し
てもよい。
【0019】
「固定化プローブ」、「固定化オリゴマー」又は「固定化核酸」は、捕捉オリゴマーを
支持体に直接的又は間接的に結合させる核酸結合パートナーをいう。支持体に結合した固
定化プローブは、試料中の非結合材料から標的が結合した捕捉プローブを分離するのを促
進する。いかなる支持体が用いられてもよく、例えば、ナイロン、ニトロセルロース、ガ
ラス、ポリアクリレート、混合ポリマー、ポリスチレン、シラン ポリプロピレン又は金
属等の様々な材料から構成されうる、溶液が含まれていない基質又は粒子等を用いてもよ
い。好ましい態様では、例えば、固定化プローブが、直接的(例えば、共有結合、キレー
ト又はイオン相互作用を介して)又は間接的(例えば、リンカーを介して)に結合した単
分散常磁性粒子(均一サイズ±5%)等の磁気的誘導粒子であり、結合は核酸ハイブリダ
イゼーション条件では安定であるような支持体を用いる。
【0020】
「分離」又は「精製」は、試料中の1又はそれ以上の成分を1又はそれ以上の他の試料
成分から取ることをいい、例えば、タンパク質、炭水化物、脂質又は他の核酸もまた含有
しうる一般的な水溶液から、ある核酸を取ることをいう。好ましい態様では、分離工程又
は精製工程は、標的核酸を他の試料成分から、少なくとも約70%、より好ましくは少な
くとも約90%及びさらにより好ましくは少なくとも約95%取る。
【0021】
「増幅オリゴヌクレオチド」又は「増幅オリゴマー」は、例えば、プライマー又は及び
プロモータープライマーとして機能するような、標的核酸又はその相補体とハイブリダイ
ズして核酸増幅反応に関与するオリゴヌクレオチドをいう。好ましい増幅オリゴマーは、
標的核酸配列又はそれらの相補鎖の領域に相補的な、少なくとも約10の連続した塩基、
より好ましくは、少なくとも12の連続した塩基を含有する。連続した塩基は、増幅オリ
ゴマーが結合する標的配列に、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくと
も約90%、及びさらに好ましくは完全に相補的である。好ましい増幅オリゴマーは、約
10〜約60塩基長で、場合によっては、改変ヌクレオチドが含まれていてもよい。「プ
ライマー」は、鋳型核酸にハイブリダイズして、3’末端が重合により延長されたオリゴ
マーをいう。プライマーは、場合によっては、例えば、標的配列に非相補的な5’領域を
含むことにより改変されていてもよい。5’プロモーター配列で改変されたプライマーは
「プロモータープライマー」といわれる。分子生物学又は生化学の当業者であれば、プラ
イマーとして機能しうるオリゴマーは5’プロモーター配列を含むように改変されうるこ
と、さらにプロモータープライマーとして機能すること、同様に、いかなるプロモーター
プライマーも5’プロモーター配列があってもなくてもプライマーとして機能しうること
を理解するであろう。
【0022】
「核酸増幅」は、標的核酸配列若しくはその相補的な配列又はそのフラグメント(すな
わち、完全標的核酸よりも短い配列を含む増幅配列)の多数コピーを産生するいかなる周
知のインビトロ手順をもいう。周知の核酸増幅手順の例としては、転写介在増幅(TMA
)、核酸配列−ベースの増幅(NASBA)その他(例えば、米国特許第5,399,4
91号、第5,554,516号、第5,437,990号、第5,130,238号、
第4,868,105号及び第5,124,246号)等の転写関連方法、複製介在増幅
(例えば、米国特許第4,786,600号)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例え
ば、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号及び第4,800,15
9号)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、欧州特許出願第0320308号)及び
鎖置換増幅(SDA)(例えば、米国特許第5,422,252号)があげられる。複製
介在増幅は、自己複製RNA分子及びQB−レプリカーゼ等のレプリカーゼを用いる。P
CR増幅は、DNAポリメラーゼ、プライマー及び熱サイクル工程を用いて、DNA又は
cDNAの2つの相補鎖の多数コピーを合成する。LCR増幅は、少なくとも4の別個の
オリゴヌクレオチドを用いて、ハイブリダイゼーション、ライゲーション及び変性の多数
サイクルを用いて、標的及びその相補鎖を増幅する。SDAは、標的配列を含む半改変D
NA二重鎖の一方の鎖に切れ目を入れることになる制限エンドヌクレアーゼの認識部位を
含有するプライマーを用いて、プライマー延長及び鎖置換工程を繰り返して増幅を行う。
好ましい態様は、TMA又はNASBA等の転写関連増幅を用いるが、当業者であれば、
本明細書で開示されたオリゴマーが他の増幅方法でプライマーとして容易に用いられるこ
とは自明であろう。簡潔には、転写関連増幅は、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラー
ゼ、デオキシリボヌクレオシド3リン酸、リボヌクレオシド3リン酸、オリゴヌクレオチ
ド含有プロモーターを用いて、場合によっては、他のオリゴヌクレオチドを含んでもよい
が、核酸鋳型から最終的に多数のRNA転写物を産生する(米国特許第5,399,49
1号及び第5,554,516号、Kacianら、米国特許第5,437,990号、
Burgら、国際出願公報WO88/01302号及びWO88/10315号、Gin
gerasら、米国特許第5,130,238号、Malekら、米国特許第4,868
,105号及び第5,124,246号、Urdeaら、国際出願公報WO94/034
72号、McDonoughら、国際出願公報WO95/03430号、Ryderらに
詳細が報告されている)。TMAを用いる好ましい方法は以前に詳細に報告されている(
米国特許第5,399,491号及び第5,554,516号)。
【0023】
「検出プローブ」は、増幅配列を含む標的配列に、標的核酸の検出のために核酸ハイブ
リダイゼーションを促進する条件下で、特異的にハイブリダイズする核酸オリゴマーをい
う。検出は、直接(すなわち、標的に直接ハイブリダイズするプローブ)又は間接的(す
なわち、プローブと結合する介在構造物が標的とハイブリダイズするプローブ)でもよい
。プローブの標的配列は、一般的に、プローブが特異的にハイブリダイズするより大きい
配列内の特異的配列をいう。検出プローブとしては、標的特異的配列及び他の配列、又は
、標的配列が存在するか否かに依存してプローブの3次元構造をもたらす構造があげられ
る(例えば、米国特許第5,118,801号、第5,312,728号、第6,835
,542号及び第6,849,412号)。
【0024】
「標識」は、検出するか、検出可能なシグナルをもたらすプローブに、直接的又は間接
的に結合する部分又は化合物をいう。直接結合は、共有結合又は非共有相互作用(例えば
、水素結合、疎水性又はイオンの相互作用及びキレート又は配位錯体の配置)を用い、間
接結合は、(例えば、抗体や他のオリゴヌクレオチドを介した)検出シグナルを増幅する
架橋部分又はリンカーを用いてもよい。いかなる検出部分をも用いうるが、例えば、放射
性核種、ビオチン又はアビジン等のリガンド、酵素、酵素基質、反応基;検出可能な色素
、発光化合物(例えば、生物発光、発光又は化学発行化合物)及び蛍光化合物をもたらす
色素又は粒子(例えば、ラテックス又は金属ビーズ)等の発色団が用いられてもよい。好
ましい態様としては、混合物中の結合標識プローブが非結合プローブと比較して検出可能
な変化を呈するような均一系システムで検出可能であり、標識をハイブリダイズしなかっ
た標識プローブからハイブリダイズしたものを物理的に取り出さずに検出させる「均一系
検出可能標識」があげられる。(例えば、米国特許第5,283,174号、第5,65
6,207号及び第5,658,737号)。好ましい均一系検出可能標識としては、化
学発光化合物があげられ、さらに好ましくは周知のAE又はAE誘導体等のアクリジニウ
ムエステル(「AE」)化合物があげられる(米国特許第5,656,207号、第5,
658,737号及び第5,639,604号)。標識を合成し、核酸に標識を付着し、
標識からシグナルを検出する方法は周知である(例えば、 Sambrook et al., Molecular
Cloning, ALaboratory Manual, 2nd ed. (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold
SpringHarbor, NY, 1989)第10章並びに米国特許第5,658,737号、第5,6
56,207号、第5,547,842号、第5,283,174号及び第4,581,
333号及び欧州特許出願第0747706号)。AE化合物を核酸に結合する好ましい
方法は公知である(例えば、米国特許第5,585,481号及び米国特許第5,639
,604号第10欄第6行目〜第11頁第3行目及び実施例8を参照)。好ましいAE標
識位置はプローブの中央領域及びA/T塩基対領域付近、プローブの3’又は5’末端、
又は、所望の標識配列と比較して検出すべきでないプローブである公知配列があるミスマ
ッチ部位若しくはその付近である。
【0025】
もし、例えば、プローブ及び標的配列のような2つの核酸配列のハイブリダイゼーショ
ンが安定であるのであれば、配列が当該配列が完全に相補的でなくても、その配列は「十
分に相補的」である。2つの配列が相補的でない1又はそれ以上の残基(脱塩基位置を含
む)を包含していても、全配列では適当なハイブリダイゼーション条件で安定なハイブリ
ダイゼーション複合体を形成する限り、それは、標準的な塩基対(例えば、G:C、A:
T又はA:U)を用いて、一連の部分的に相補的なヌクレオチド間を水素結合により他の
配列にハイブリダイズする「十分に相補的な」配列である。十分に相補的な配列は、互い
にハイブリダイズする配列中で、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なく
とも約90%及び最も好ましくは、完全に相補的である。適当なハイブリダイゼーション
条件は当業界で周知であり、配列組成物に基づいて予測でき、又は常套試験を用いて経験
的に決定できる(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual,
2nd ed.1.90-1.91, 7.37-7.57, 9.47-9.51及び11.47-11.57章、特に、9.50-9.51, 11.12-11.13,11.45-11.47及び11.55-11.57章)。
【0026】
「本質的に〜からなる」は、本明細書で記載される組成物及び方法の基本的及び新規な
特性が物質的に変化しない他の成分、組成物又は方法工程が当該組成物又は方法に含まれ
うることを意味する。当該特性としては、インフルエンザウイルス核酸を少なくとも50
の他の公知の呼吸器系病原体から識別する特異性で試料中に存在するA型インフルエンザ
ウイルス又はB型インフルエンザウイルス核酸配列を検出する機能があげられ、好ましく
は、検出された増幅ウイルス配列を作製する増幅反応の開始から約45分以内にインフル
エンザウイルスの少なくとも1.7〜2.7対数コピーを検出する感受性で検出する。
【0027】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての科学的及び技術的用語は、関連する
当業者に通常理解される意味と同一である。一般的な定義は、例えば、Dictionary of Mi
crobiology andMolecular Biology, 2nd ed.(Singleton et al., 1994, John Wiley &
Sons, New York,NY)又はThe Harper Collins Dictionary of Biology(Hale & Marham.
1991 ,Harper Perennial, New York, NY)等の分子生物学界の技術書籍に見出すことが
できる。特に言及しない限り、本明細書で用いられるか又は意図する技術は、当業者に周
知の標準的な方法手順である。本明細書にあげられる実施例はいくつかの好ましい態様の
例示である。
【0028】
核酸の標的捕捉、増幅及び検出で機能する核酸オリゴマーを含む組成物並びに生物学的
試料中に存在するヒトA型インフルエンザウイルス(「FluA」)及びB型インフルエ
ンザウイルス(「FluB」)の核酸を検出する方法が本明細書に開示されている。A型
インフルエンザウイルスを検出する試験で用いられる適当な標的配列を選択するために、
公知のA型インフルエンザウイルスRNA又は部分的又は相補的な配列(公衆に利用可能
なデータベース、例えば、GenBankが利用できる)を含む基質タンパク質(MP1
)をコードするDNA配列を同一又は類似の配列とマッチすることによりアラインさせて
比較した。B型インフルエンザウイルスを検出するための試験で用いられる適当な標的配
列を選択するために、公知のB型インフルエンザウイルスRNA又は部分的又は相補的な
配列(公衆に利用可能なデータベース、例えば、GenBankが利用できる)を含む基
質タンパク質(NS1)をコードするDNA配列を同一又は類似の配列とマッチすること
によりアラインさせて比較した。配列比較は、コンピューター実行アルゴリズムを用いて
促進させることもできるが、当業者であれば、手動及び視覚的に比較を行うことができる
。比較した個々のウイルス配列間の変化が比較的少ない各ウイルス標的の配列の部分が、
本明細書に記載された方法を用いるための合成オリゴマーを設計するための基礎として選
択された。FluA標的の検出のためのオリゴヌクレオチド配列を表1に示し、FluB
標的の検出のためのオリゴヌクレオチド配列を表2に示す。両方の表では、好ましい機能
が、各配列のため、及び好ましい機能としてプロモータープライマーとして同定された配
列のために含まれ、当該配列としては、T7RNAポリメラーゼが適当な条件下で初期転
写できる5’T7バクテリロファージプロモーター配列(配列番号19又は配列番号20
からなる下線部)があげられる。当業者であれば、他の5’プロモーター配列を下線のT
7プロモーター配列と置換しても、その後、適当なRNAポリメラーゼで選択した他のプ
ロモーター配列に機能し、同等のプロモータープライマーオリゴヌクレオチドを作製する
であろうことを理解できる。プロモータープライマーを用いない増幅システムでプライマ
ーとして機能することができる、プロモータープライマーとして同一の標的特異的配列が
あるがプロモーター配列はないオリゴマーもまた示される(配列番号13〜18及び41
〜43)。当業者であれば、標的捕捉における好ましい機能を有するものとして同定され
るオリゴマーには標的特異的部分(配列番号3,4、36及び37で示される)があり、
場合によっては、欠失したり、他の配列や結合部分で置換されたりする尾部分(配列番号
5,6,34及び35で示されるT30)が含まれることを認識するであろう。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
配列は、表1及び2にDNA、RNA又はDNA/RNA配列として示されるが、当該
配列には、対応するDNA又はRNA配列及びそれらに完全に相補的なDNA又はRNA
配列が含まれることを意味する。オリゴマーの好ましい態様としては、骨格構造に影響を
及ぼす1又はそれ以上の改変残基(例えば、2’−メトキシ置換RNA基)、又は、1又
はそれ以上のLNAモノマー、好ましくは、プライマーオリゴマーの5’残基を含んでも
よく、又は、標識をオリゴマーに結合させる非ヌクレオチドリンカーを含んでもよい。例
えば、RNA標的のプローブとして機能するオリゴマーは、2’−メトキシ置換RNA基
で合成してもよく、プローブと標的配列の間のハイブリダイゼーションをより安定に促進
する。態様には、2’−メトキシ置換RNA基で合成し、配列番号25の第6〜7の残基
の間、配列番号26及び50の第7〜8の残基の間、配列番号26及び27の第8〜9の
残基の間及び配列番号48及び49の第9〜10の残基の間に非ヌクレオチドリンカー(
米国特許第5,585,481号に記載されたように)を有する、配列番号25〜27の
オリゴマーが含まれる。他の態様としては、5’の第1〜3残基にてLNAで合成された
配列番号44及び45のオリゴマー及び5’の第1〜4残基にてLNAで合成された配列
番号46のオリゴマーがあげられる。
【0032】
標的捕捉オリゴマーの好ましい態様としては、FluA又はFluBの標的核酸に特異
的に結合する標的特異的配列及び標的核酸を含有するハイブリダイゼーション複合体を固
体支持体上の固定化配列に捕捉することに用いられる、共有結合している「テール」配列
(配列番号5、6、34及び35のT30)があげられる。捕捉オリゴマーの好まし
い態様としては、少なくとも1の2’−メトキシ結合があげられる。捕捉オリゴマーの態
様としては、例えば、固定化されたアビジン又はストレプトアビジンに特異的に結合する
ビオチン化配列のような他の結合部分に結合したFluA又はFluBゲノム配列と結合
する標的特異的配列があげられる。テール配列又は結合部分は、ハイブリダイズした標的
を捕捉するための固定化プローブ(例えば、相補的な配列又はアビジン)に結合して、当
該混合物から固形支持体を分離することにより、それを他の試料成分から分離する。
【0033】
プロモータープライマー配列を含むプライマー配列は、標的核酸又はそれと相補的な配
列と特異的に結合し、かつ、例えば、プロモータープライマー中のプロモーター配列のよ
うに標的特異的でない他の配列を含有してもよい。プロモーター配列が結合していてもし
ていなくてもよい標的特異的配列は、様々なインビトロでの増幅プロセスで増幅オリゴマ
ーとして機能することができる。FluA及びFluBアッセイの態様としては、PCR
等の複数の循環する反応温度が必要な増幅方法(米国特許第4,683,195号、第4
,683,202号及び第4,800,159号)を用いてもよく、又は、TMA又はN
ASBA等の転写関連増幅方法で実質的に等温の反応であってもよい(例えば、米国特許
第5,399,491号、第5,480,784号、第5,824,518号、第5,8
88,779号、第5,786,183号、第5,437,990号、第5,130,2
38号、第4,868,105号及び第5,124,246号並びに国際特許出願WO8
8/01302号及びWO88/10315号)。FluA及びFluBアッセイの好ま
しい態様としては、プローブが増幅工程中に作製される目的とする標的配列に結合すると
、識別可能な蛍光シグナルを発するプローブを含ませることにより、増幅工程(すなわち
、リアルタイム検出)中で検出されるPCRベース又はTMAベースの増幅系を用いても
よい。リアルタイム検出に好ましいプローブとしては、「分子ビーコン」又は「分子スイ
ッチ」プローブ(例えば、米国特許第5,118,801号及び第5,312,728号
、Lizardiら、米国特許第5,925,517号及び第6,150,097号、T
yagiら、Giesendorfet al., 1998, Clin. Chem. 44(3):482-6)及び「分子トーチ」
プローブ(例えば、米国特許第6,835,542号及び第6,849,412号、Be
ckerら)といわれるものがあげられる。一般的に、当該プローブとしては、プローブ
オリゴマーの一端に結合したレポーター色素(reporter dye)(例えば、FAM(商標)
、TET(商標)、JOE(商標)、VIC(商標))、及び、プローブオリゴマーの一
端に結合した消光化合物(例えば、TAMRA(商標)又は非蛍光消光剤)を含み、シグ
ナル産生物は、その結合している化合物を有する2端が接近しているか離れているかに依
存する。
【0034】
試料中のインフルエンザウイルスを検出するアッセイには、目的とする標的領域に特異
的な増幅オリゴマー又はプライマーを用いて、試料中に含まれる標的インフルエンザウイ
ルス核酸中の標的領域を増幅する工程、及び、プローブ配列とハイブリダイズすることに
より増幅された核酸を検出する工程が含まれる。好ましいアッセイは、転写関連増幅反応
を用いて、検出は増幅反応中に行うものである。検出では、増幅核酸を標識し、未標識の
プローブと結合させてもよいが、好ましい態様では、標識されたプローブを増幅核酸に結
合させる。リアルタイム検出の好ましい態様では、均一系システムで検出される標識プロ
ーブを用いる。
【0035】
一般的には、標的インフルエンザウイルス核酸は、増幅工程の前に、他の試料成分から
分離される。これは、標的インフルエンザウイルス核酸に特異的に結合する標的特異的捕
捉オリゴマーを用いるか、試料から核酸を精製する非特異的な方法を用いて、インフルエ
ンザウイルス核酸を捕捉することで行われる(例えば、米国特許第5,234,809号
、第5,705,628号、第6,534,262号及び第6,939,672号)。好
ましい使用の態様では、捕捉工程で標的特異的捕捉オリゴマーを用いる(米国特許第6,
110,678号、第6,280,952号及び第6,534,273号)。捕捉プロー
ブの態様としては、A型インフルエンザウイルスに特異的な核酸(配列番号3〜6)及び
B型インフルエンザウイルスに特異的な核酸(配列番号34〜37)があげられる。配列
番号5、6、34及び35の態様は、相補的な固定化配列へのハイブリダイゼーションの
ためのdT30テール部分が含まれるが、配列番号3、4、36及び37の態様は、
結合対のメンバーである他のリガンド(例えば、固定化アビジン又はストレプトアビジン
に結合するビオチン化DNA)に連結して用いられる。捕捉プローブ、その標的インフル
エンザウイルス核酸及び固定化結合パートナー又はプローブの複合体は他の試料成分から
インフルエンザウイルス核酸分離することを促進し、場合によっては、捕捉したウイルス
核酸をさらに精製するために洗浄工程を用いてもよい。
【0036】
2つのプライマーを用いてインフルエンザウイルス標的領域を増幅することは、様々な
公知の核酸増幅反応を用いて実行することができるが、好ましくは、TMA等の転写関連
増幅反応(米国特許第5,399,491号及び第5,554,516号に詳細に記載さ
れている)を用いる。TMAベースのアッセイでは、標的核酸の単一コピーから多くのR
NA転写物(アンプリコン)が産生され、このアンプリコンは、試料中の標的インフルエ
ンザウイルスの存在を示すように検出される。簡潔には、TMAベースアッセイでは、プ
ロモータープライマーは、標的配列に特異的にハイブリダイズし、RNaseH活性を含
む逆転写酵素(RT)は、プロモータープライマーの3’末端からの伸長により第1鎖c
DNAを作製して、鋳型鎖を消化する。cDNAはその後、第2プライマーにより結合し
て、DNAの新しい鎖が、RTを用いて第2プライマーの末端から合成されて、機能的プ
ロモーター配列を含有する二本鎖DNA(dsDNA)を作製する。そのプロモーターに
特異的なRNAポリメラーゼは、プロモーター配列に結合し、初期鋳型に用いられたのと
同様の工程を用いて、各々が他の配列の増幅の鋳型として作用することができる複数のR
NA転写物が産生される。すなわち、多量の1本鎖増幅産物が実質的に等温である反応条
件を用いて産生される。
【0037】
A型インフルエンザウイルスのアッセイの他の態様は、PCR増幅(米国特許第4,6
83,195号、第4,683,202号及び第4,800,159号、Mullisら
)を用いて、分離した鎖の部分に特異的なプライマー及びdsDNAを分離するサーモサ
イクル反応を用いて複数DNA鎖を産生して、DNAポリメラーゼを用いて他のdsDN
A分子を作製する。例えば、RNA鋳型からcDNAを産生するRTを用いる逆転写PC
R等の慣用されている様々な基本的なPCR法もまた用いることができ、その場合、DN
AはPCRサイクルで増幅されるか、又は、リアルタイム検出と併用したPCRによって
増幅されるが、これらは共に、時として、RT−PCRという(例えば、TaqMan One-Ste
p RT-PCR kits,Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)。
【0038】
A型インフルエンザウイルス核酸に特異的な増幅オリゴマーの態様としては、配列番号
7〜12のプロモータープライマー、プロモータープライマー中に含まれる配列番号13
〜18の標的特異的配列及び配列番号19〜24があげられる。好ましい組成物は、配列
番号21の第1〜3位にLNA残基がある、配列番号7及び配列番号21のオリゴマーの
混合物を含み、組成物は配列番号1のA型インフルエンザウイルス標的領域のTMAベー
スの増幅に有用である。
【0039】
B型インフルエンザウイルス核酸に特異的な増幅オリゴマーの態様としては、配列番号
38〜40のプロモータープライマー、プロモータープライマー中に含まれる配列番号4
1〜43標的特異的配列及び配列番号44〜47があげられる。好ましい組成物としては
、配列番号44の第1〜3位にLNA残基がある、配列番号39及び配列番号44のオリ
ゴマーの混合物を含み、組成物は配列番号32のB型インフルエンザウイルス標的領域の
TMAベースの増幅に有用である。
【0040】
インフルエンザウイルス核酸を検出する方法には、増幅したインフルエンザウイルス産
生物(RNA又はDNAアンプリコン)に特異的に結合する少なくとも1のプローブを用
いる検出工程が含まれる。好ましくは、当該プローブは標識されて、均一系システム、す
なわち、結合していないプローブから結合したプローブを分離しないシステム中で検出さ
れるシグナルを産生する。好ましいプローブは、均一系システムで化学発光シグナルが産
生されて、検出されるアクリジニウムエステル(AE)化合物で標識される(米国特許第
5,283,174号、第5,656,744号及び第5,658,737号に実質的に
詳細が記載されている)。他の好ましいプローブは、例えば、分子スイッチ、ビーコン又
はトーチプローブの標識とプローブが結合する場合のみ検出シグナルが発生する蛍光化合
物で標識される。A型インフルエンザウイルス配列を特異的に検出する好ましいプローブ
としては、好ましくは、配列番号25の第6〜7残基間、配列番号26の第7〜8残基間
又は第8〜9残基間及び配列番号27の第8〜9残基間にAEが標識されている配列番号
25〜27のオリゴマーがあげられる。他のA型インフルエンザウイルス配列の特異的検
出に好ましいプローブとしては、配列番号28〜31の蛍光化合物が標識されたオリゴマ
ーがあげられる。B型インフルエンザウイルス配列の特異的検出に好ましいプローブとし
ては、、好ましくは、配列番号48及び49の第9〜10残基間及び配列番号50の第7
〜8残基間にAEが標識されている配列番号48〜50のオリゴマーがあげられる。他の
B型インフルエンザウイルス配列の特異的検出に好ましいプローブとしては、配列番号5
1〜58の蛍光化合物が標識されたオリゴマーがあげられる。
【0041】
A型又はB型インフルエンザウイルス核酸の検出のためのアッセイの好ましい態様には
、インフルエンザウイルス核酸増幅及び検出に用いられる同一反応混合物中の内部調節(
IC)特異的プライマー及びプローブを用いて増幅されて検出される、IC核酸が含まれ
る。IC特異的配列の増幅及び検出は、インフルエンザウイルス特異的シグナルが試験試
料中に検出されない場合(すなわち、陰性試料)でも、アッセイの試薬及び条件が適切に
用いられたことを示す。ICは、アッセイの定量的結果をもたらす内部校正として用いら
れてもよい。好ましいICの態様は、インフルエンザウイルスではない天然源(例えば、
HIV)由来のランダム配列である。好ましいICは、配列番号65又はそのRNA転写
物であり、このICの増幅のためのプライマーの好ましい態様としては、配列番号61、
62、64、66及び67のプライマーがあげられる。ICアンプリコンの検出のための
プローブには、本明細書に記載されたアッセイ条件下で、配列番号65又はその相補体(
DNA又はRNA)に含まれる連続した配列に特異的にハイブリダイズする、少なくとも
10残基のいかなるオリゴマーも含まれる。好ましいIC特異的プローブは、一端を蛍光
化合物で、他の端を消光剤で標識した配列番号63のオリゴマーが例示される。アッセイ
中にICを含む好ましい態様では、ICは、アッセイ中、目的とする分析物と同じように
処理される。例えば、標的捕捉工程が試料中のインフルエンザウイルス核酸標的の精製に
も用いられる場合、標的捕捉工程には、標的インフルエンザウイルス核酸及び他の試料成
分に含まれる混合物からICを精製するためのICに特異的な捕捉オリゴマーが含まれる
。配列番号65のICに特異的な捕捉オリゴマーの好ましい態様としては、配列番号59
及び60のオリゴマーがあげられる。
【0042】
一般に、本明細書に記載された組成物を用いて、A型又はB型インフルエンザウイルス
核酸の増幅及び検出を示すのに用いられた方法は、以下の工程を含んだ。インフルエンザ
ウイルスRNAは、標的インフルエンザウイルス核酸を、他の試料成分から分離させる固
形支持体に結合させる方法を用いて他の試料成分から分離される。好ましい態様では、ウ
イルスRNAはインフルエンザウイルス分析物の標的特異的捕捉プローブを含む標的捕捉
システムを用いるか(例えば、米国特許第6,110,678号、第6,280,952
号及び第6,534,273号に記載された方法の工程を用いる)、又は、核酸の分離の
ための非特異的な方法(米国特許第5,234,809号)を用いて、他の試料成分から
分離された。他の試料成分からウイルスRNAを非特異的に分離するには、核酸を固形支
持体に可逆的に付着させて、その後、付着した核酸を実質的な水溶液で洗浄して抽出して
(例えば、QIAAMP(商標)viral RNA Mini kit, Qiagen Inc.を用いる)行った。単離し
たインフルエンザウイルス核酸は、TMA又はPCR増幅を用いてゲノムを包含する特異
的な標的配列を増幅し、増幅産物は増幅反応の完了後又は増幅中に検出された(すなわち
、リアルタイム検出)。リアルタイム検出では、蛍光粒子標識プローブ(例えば、分子ビ
ーコン)は、プローブがその標的配列にハイブリダイズする場合のみ、検出シグナルが発
生するように用いられ、蛍光は標準的なフローサイトメトリーを用いて検出された。一般
的に、アッセイは、(異なる5’蛍光粒子で)2つの異なるプローブであるインフルエン
ザウイルス特異的プローブ及びIC特異的プローブを検出した。蛍光は、反応物をインキ
ュベートして、反応中の時間間隔で異なる波長で蛍光を検出するシステム(例えば、DNA
Engine OPTICON(商標)2system or CHROMO4(商標)Real-Time PCR Detector, Bio-Rad
Laboratories,Inc., Hercules, CA)を用いて検出した。各チャネル中のリアルタイム
検出蛍光シグナルは、標準的な方法を用いて分析した。例えば、検出されたシグナルは、
反応ごとのデータ点(相対蛍光度対時間)に対して最適なカーブを作成するために正規化
され、結果は、シグナルが予め規定しておいたレベルに適合するか上回る場合、発生時間
として報告された。
【0043】
TMAベースアッセイを比較するために、リアルタイム逆転写PCRベースアッセイ(
RT−PCR)を、標準的なPCR反応成分(TAQMAN(登録商標)が提供するOne-Step
RT−PCRMaster Mix Reagents Kit, Applied Biosystems, Inc.)を含む50μl反
応物中の0.9pmol/μlのプライマー(A型インフルエンザウイルスに配列番号6
8及び配列番号69又はB型インフルエンザウイルスに配列番号71及び配列番号72)
及び0.2pmol/μlのプローブ(A型インフルエンザウイルスに配列番号70及び
B型インフルエンザウイルスに配列番号73)を用いて行った。インキュベーションは、
48℃30分、95℃10分、95℃15秒の45サイクルの後、冷却し、最後に60℃
1分という条件を用いて行った。標的増幅産物とハイブリダイズする分子ビーコンプロー
ブの増幅及び検出は、45サイクル各々で得られた蛍光シグナルを読み込む、リアルタイ
ム蛍光検出のための開口システム(CHROMO4(商標), Bio-Rad Laboratories, Inc.)を
用いて行った。リアルタイム蛍光シグナルは解析され、分析物の検出は、標準的な方法を
用いて蛍光発生カーブから算出した。
【0044】
リアルタイムTMAベースアッセイは、主として分析物核酸、増幅試薬(APTIMA(商標
)reagent,Gen-Probe Incorporated, San Diego, CA)、T7プロモータープライマー(
9pmol/反応含有)、プロモーターがない第2プライマー(15pmol/反応)及
びアンプリコン検出のための分子ビーコンプローブ(0.2−0.3pmol/反応)を
40μl反応液(標準的な96穴プレート1ウェル中に不活性化オイルで覆うか、蒸発を
防ぐために装置で密封する)に含む反応混合物中で行った。標的核酸、プライマー及びプ
ローブの混合物は、60℃10分間インキュベートし、42℃で5分間冷却してRT及び
T7RNAポリメラーゼ含有酵素試薬を添加した後、混合物を混合して(例えば、30秒
間ボルテックス)、蛍光の検出を3秒ごとに実行する間、等温増幅のために42℃で75
〜100分間インキュベートした。増幅及び検出工程は、リアルタイム2色蛍光検出のた
めに、インキュベーションと開口チャネル蛍光光度計(GHROMO4(商標), Bio-Rad Labor
atories, Inc.)を用いて行った。一般的に、上記のように、標的インフルエンザウイル
ス核酸のためのプライマー及びプローブ並びにIC特異的プライマー及びプローブを含む
反応混合物を含む、ICを含むアッセイでは、各プローブを、別個に検出可能な5’蛍光
粒子で標識した。リアルタイム蛍光シグナルを解析して、検出シグナル(発生時期)を算
出した。発生時期は、例えば、検出されたシグナル(相対蛍光単位又はRFU)を分析す
る方法を用いて算出したが、このシグナルはシグナル検出時間(RFU(t)データ点)
に関連し、RFU(t)データ点が所定の閾値に到達した時間である発生時期(「T−t
ime」)を測定した(2005年3月10日に出願された米国出願第60/659,8
74号、Scaleseら、に詳細に記載)。簡潔には、RFU(t)データは、バック
グラウンドシグナル(「noise」レベル)を差し引いて処理され、カーブ(RFU対
時間)は所定の最小点及び最大点の間のデータにカーブを最適化するために正規化される
。一般的に、高濃度の分析物を含む試料は、カーブが高勾配となり、発生時期が早まる。
本明細書に記載される実施例では、試料は時として、既知量の標的インフルエンザウイル
ス核酸(A型又はB型インフルエンザウイルスRNAで反応ごとの「対数コピー」として
表される)を含有し、平均(mean)発生時期(平均T時間)は同一に行った複製試験
として測定される。平均発生時期は、例えば、分析物の単一の既知量を比較するような、
異なるアッセイ条件の相対効果を測定するために比較し、PCRベースアッセイを用いて
検出した発生時期を、TMAベースアッセイを用いて比較した。ICを含むTMAベース
アッセイでは、ICは、標的インフルエンザウイルス核酸の増幅と同一反応でIC特異的
プライマーを用いて増幅した配列番号65からインビトロで作製した既知量のRNA転写
物である。一般的に、A型インフルエンザウイルスのアッセイでは、IC特異的プライマ
ーは配列番号61(0.5pmol/反応)及び配列番号62(15pmol/反応)で
あり、B型インフルエンザウイルスのアッセイでは、IC特異的プライマーは配列番号6
4(0.5pmol/反応)及び配列番号62(15pmol/反応)であり、上記アッ
セイでは共に、配列番号63(0.75pmol/反応)のIC特異的検出プローブを用
いた。
【0045】
リアルタイム検出を伴うTMAベースのFluA及びFluBアッセイは、他の呼吸器
系ウイルス、通常、口腔又感染に関連する微生物(細菌及び真菌)及びいくつかのヒトイ
ンフルエンザウイルス亜型に対して試験する場合、各インフルエンザウイルス標的に10
0%特異的となった。4年間にわたってインフルエンザの時期に採取した臨床試料につい
て行った試験では、本明細書で記載したTMAベース及びPCRベースアッセイを比較し
た場合、感受性及び特異性が100%一致したことが示された。リアルタイム検出を伴う
TMAベースアッセイは、ウイルス核酸の検出のためのリアルタイムPCRベースアッセ
イに要する時間よりも短い時間で得られた試料中のインフルエンザウイルスの存在を示す
、好都合な陽性検出結果であった。例えば、リアルタイム検出を伴うPCRベースアッセ
イが典型的には陽性結果を得るのに2時間又はそれ以上を要するのに、リアルタイム検出
を伴うTMAベースアッセイは、一般的には、増幅反応開始から45分未満で陽性の結果
を得られた。
【0046】
他に特に特定しない限り、通常、本明細書中に記載したTMAベースアッセイで用いら
れる試薬としては、以下のものがあげられる。試料輸送試薬:110mMラウリル硫酸リ
チウム(LLS)、15mM NaHPO、15mMNaHPO、1mM ED
TA、1mM EGTA、pH6.7。溶解バッファー:790mMHEPES、230
mMコハク酸、10%(w/v)LLS及び680mM LiOH一水和物。標的捕捉試
薬(TCR):250mM HEPES、1.88M LiCI、310mM LiOH、
100mM EDTA、pH6.4及びそれらに共有結合する(dT)14オリゴマーが
ある250μg/mlの常磁性体粒子(0.7〜1.05μ粒子、Sera−Mag(商
標)MG−CM)。洗浄溶液:10mM HEPES、150mMNaCI、6.5mM
NaOH、1mM EDTA、0.3%(v/v)エタノール、0.02%(w/v)メ
チルパラベン、0.01%(w/v)プロピルパラベン及び0.1%(w/v)ラウリル
硫酸ナトリウム、pH7.5。増幅試薬:プライマー及びプローブを添加してもよい、1
25mM HEPES、26.7mM rATP、33.3mMrGTP、rCTP及び
UTPを各5mM、dATP、dCTP、dGTP及びdTTPを各1.33mM、8%
(w/v)トレハロース、pH7.7の濃縮溶液。TMA酵素:反応毎約90UμlのM
MLV逆転写酵素(RT)及び反応毎約20UμlのT7RNAポリメラーゼ(1UのR
Tは1nmolのdTTPを10分間37℃で、200−400μUのオリゴ−dT−感
作ポリA鋳型を用いて取り込み、1UのT7RNAポリメラーゼは、RNAに1nmol
のATPに1時間37℃でDNA鋳型中でT7プロモーターを用いて取り込む)。AE標
識プローブのプローブ試薬:(a)100mM Li−スクシネート、3%(w/v)L
LS、10mMメルカプトエタンスルホン酸(MES)及び3%(w/v)ポリビニルピ
ロリドン、又は(b)100mM Li−スクシネート、0.1%(w/v)LLS及び
10mM MESの溶液。ハイブリダイゼーション試薬:(C−型)100mMコハク酸
、2%(w/v)LLS、100mM LiOH、15mMアルドリチオール(aldr
ithiol)−2、1.2M LiCI、20mM EDTA及び3.0%(v/v)エ
タノール、pH4.7。選択試薬:非結合オリゴマーのAE標識を加水分解するために、
600mMホウ酸、182.5mM NaOH、1%(v/v)オクトキシノール(oc
toxynol)(TRITON(登録商標)X−100)、pH8.5〜9.2。AE
標識の検出試薬は検出試薬I:1mM硝酸及び32mM H、並びに検出試薬II
:1.5M NaOH(米国特許第5,283,174号、第5,656,744号及び
第5,658,737号参照)。
【実施例1】
【0047】
インフルエンザウイルスの増幅及び検出のためのTMAベースアッセイ
本実施例は、共に、同一アッセイ条件中で増幅及び検出される内部コントロール(IC
)を用いるA型インフルエンザウイルス検出のためのTMAベースアッセイ(FluAア
ッセイ)及びB型インフルエンザウイルス検出のためのTMAベースアッセイ(FluB
アッセイ)を示す。
【0048】
TMAベースFluAアッセイは、A型インフルエンザウイルス標的の量を変動させて
用いて(配列番号1のRNA転写物を反応毎0〜6.7対数コピー)、実質的に上記のよ
うに実行したTMA反応において、配列番号8(9pmol/反応)及び配列番号21(
15pmol/反応)のプライマー並びに配列番号29の蛍光粒子標識プローブ(0.3
2pmol/反応)を用いた。反応は、IC成分がある場合とない場合(配列番号61及
び62のプライマー、配列番号63のプローブ及び配列番号65のIC標的RNA転写物
を反応毎0又は2.3対数コピー)で行った。各反応の6回複製を行い、標準の96穴プ
レートの1ウェル各反応は、適当な標的オリゴヌクレオチドを含有する増幅試薬の30μ
lを用いて、60℃10分間及び42℃5分間でインキュベートした後、TMA酵素を酵
素試薬中の各反応物に添加して(反応毎10μl)反応物を混合して(30秒間ボルテッ
クス)、45〜60分間42℃で、上記のように、時間間隔で蛍光プローブシグナルが検
出される間(CHROMO4(登録商標)器具内で)、増幅インキュベーションした。試
験の結果を、A型インフルエンザウイルス分析物のシグナルの平均発生時期として(算出
した標準偏差(SD)で)表3に示す。陰性コントロール試料(A型インフルエンザウイ
ルス標的を含まない)は、陽性試料の発生時期の算出のために、バックグラウンドノイズ
シグナルをもたらした。結果は、A型インフルエンザウイルス標的の検出のためのアッセ
イのダイナミックレンジは、ウイルス標的の1.7〜6.7対数コピーであり、ICはウ
イルス標的希釈範囲(6.7対数コピーまで)を超えて検出されたことを示す。
【0049】
【表3】

【0050】
個々のTMAベースアッセイは、配列番号21の第2プライマー(15pmol/反応
)で、異なるプロモータープライマー(配列番号8、9、10及び12、各々別個に9p
mol/反応で試験した)を用いて増幅した2.7又は3.7対数コピーのA型インフル
エンザウイルス標的(配列番号1の転写物)を用いた以外は、上記と実質的に同様の手順
を用いて行い、アンプリコンを配列番号29の蛍光粒子標識プローブ(8pmol/反応
)を用いて検出した。陽性シグナルの同様な結果が、異なるプライマーの組み合わせを用
いたこれらの試験で得られたが、ある組み合わせでは、シグナルの発生時間が短くなった
ことが測定されて、増幅でさらに有用であった。配列番号8及び21のプライマーでは発
生時間は20.9〜25.8分であり、配列番号9及び21のプライマーでは発生時間は
30.4〜34.8分であり、配列番号10及び21のプライマーでは発生時間は19.
4〜27.9分であり、配列番号12及び21のプライマーでは発生時間は19.8〜2
5.8分であった。
【0051】
TMAベースのFluBアッセイは、B型インフルエンザウイルス特異的プライマー及
びプローブ以外は同様の条件を用いて行った。1の態様では、配列番号39(9pmol
/反応)及び配列番号44(15pmol/反応)のプライマーは、B型インフルエンザ
ウイルス標的量を変動させて(配列番号32のRNA転写物を反応毎0〜7.7対数コピ
ー)増幅するために用いて、アンプリコンを配列番号52(8pmol/反応)の蛍光粒
子標識プローブを用いて検出した。反応は、実質的に上記のように行い、IC成分がある
場合とない場合(配列番号64及び62のプライマー、配列番号63のプローブ及び反応
毎0又は2.3対数コピーである配列番号65のRNA転写物であるIC標的)で行った
。これらFluBアッセイの結果を、B型インフルエンザウイルス分析物に関するシグナ
ルの発生の平均時間を表した表4(算出された標準偏差(SD))に示す。陰性コントロ
ール試料(インフルエンザウイルス標的なし)の結果は、陽性試料の発生時間を算出する
のにバックグラウンドノイズシグナルとして機能する。これらの結果は、FluBアッセ
イのダイナミックレンジがB型インフルエンザウイルス標的の1.7〜7.7対数コピー
であり、ICがB型インフルエンザウイルス標的の反応毎に5.7対数コピーまで検出さ
れたことを示す。
【0052】
【表4】

【0053】
個々のTMAベースのFluBアッセイを、上記のような条件を用いて行ったが、同様
の結果をもたらした配列番号52、55及び58の異なる蛍光粒子標識プローブを用いて
検出した。これらのTMAベースのFluBアッセイでは、反応毎にB型インフルエンザ
ウイルスRNA標的を8対数コピーで増幅するためのプライマーは配列番号39(3pm
ol/反応)及び配列番号44(15pmol/反応)であった。検出プローブは各々(
約0.3pmol/反応)を上記のように、7複製増幅及び検出アッセイで別個に試験し
た。これらのアッセイでは、平均発生時間は:配列番号52プローブで14.0±0.1
6分、配列番号55プローブで10.7±0.22分及び配列番号58プローブで12.
0±0.33分であった。配列番号51、52、53、56及び57の蛍光粒子標識プロ
ーブを用いること及びB型インフルエンザウイルス標的RNA(反応毎4.3対数コピー
)量を少量にした以外は同様の条件を用いて行った別の実験では、平均発生時間は:配列
番号56プローブで24.9±0.12分、配列番号57プローブで25.8±0.05
分、配列番号52プローブで26.5±0.30分、配列番号53プローブで26.6±
0.59分及び配列番号51プローブで31.8±0.48分であった。
【0054】
同様の試験では、TMAベースのFluA及びFluBアッセイを、異なるICプライ
マーの組み合わせを用いて行った。FluAアッセイでは、配列番号9及び21のA型イ
ンフルエンザウイルス特異的プライマーは、A型インフルエンザウイルスRNA(反応毎
3.7対数コピーの配列番号1の転写物)を増幅し、アンプリコンは配列番号29の蛍光
粒子標識A型インフルエンザウイルス特異的プローブを用いて検出した。FluBアッセ
イでは、配列番号39及び44のA型インフルエンザウイルス特異的プライマーは、A型
インフルエンザウイルスRNA(反応毎4.7対数コピーの配列番号32の転写物)を増
幅し、アンプリコンは配列番号48の蛍光粒子標識A型インフルエンザウイルス特異的プ
ローブを用いて検出した。FluA及びFluBアッセイでは共に、IC特異的オリゴマ
ーの異なる組み合わせをIC(反応毎2.3対数コピーの配列番号65のRNA転写物)
を増幅するために用いた:配列番号62のプライマー(10pmol/反応)を配列番号
61、64、66又は67の約0.5pmol/反応のプライマーと組み合わせて、IC
アンプリコンを、配列番号63の蛍光粒子標識プローブを用いて全ての反応で検出した。
これらの試験の結果は、IC特異的プライマーの全ての組み合わせが、アッセイのための
各インフルエンザウイルス標的の検出を妨げることなくFluA及びFluBアッセイで
用いられ、配列番号61のプロモータープライマーがFluAアッセイには最適であり、
配列番号64のプロモータープライマーがFluBアッセイには最適であったことが示さ
れた。
【実施例2】
【0055】
TMAベースのFluA及びFluBアッセイ特異性
本実施例は、試料が、正常なヒトの口腔叢又は呼吸器系の感染で通常見られる他の細菌
やウイルス病原体を含有する場合、各試験で目的とするウイルス標的を特異的に検出する
が、陽性シグナルはもたらさないような、TMAベースのFluA及びFluBアッセイ
の特異性を示す。TMAベースのFluA及びFluBアッセイは、公知の細菌やウイル
スを含むがA型インフルエンザウイルス又はB型インフルエンザウイルス核酸(陽性コン
トロールを除く)を含有しない試料を試験したことを除いて、実質的に実施例1に記載さ
れたとおりに行った。すなわち、アッセイは、他の細菌やウイルス核酸と交差反応をしな
いことを示す陰性の結果をもたらした。IC RNAを、アッセイ条件並びに増幅及び検
出工程が、試料中のIC標的(又は交差反応標的)を検出するために適切に行われたこと
を示すために全ての試験に含ませた。
【0056】
TMAベースの、ICを含むFluA試験及び同一のICを含むFluB試験を用いて
、公知のウイルスを含有する試料を各々別個に試験した。個々のFluA及びFluBア
ッセイは、A型インフルエンザウイルス又はB型インフルエンザウイルスの標的を含む陽
性コントロール試料を用いて同一の条件で同時に行った。陽性コントロールには、4つの
採取源からのA型インフルエンザウイルス核酸及び2つの採取源からのB型インフルエン
ザウイルス核酸(AmericanType Culture Collection (ATCC)アクセッション番号
を以下に示す)を含み、各々を反応あたり10及び10コピーで個々に試験した。A
型インフルエンザウイルスの陽性コントロール試料としては以下があげられる:A/Po
rt Chalmers/1/73(H3N2)(ATCCVR−810)、A/Mal
/302/54(MN1)(ATCC VR−98)及びA/HongKong/8/6
8(H3N2)(ATCC VR−544)の分離株並びにFluA/Beijing(
H1N1)のインビトロでのRNA転写物(the Center for Disease Control (CDC),
Atlanta, GAからの分離株)。B型インフルエンザウイルスの陽性コントロール試料とし
ては以下があげられる:B/Maryland/1/59(ATCCVR−296)の
インビトロでのRNA転写物及びB/Lee/40(ATCCVR−101)の分離株

【0057】
TMAベースのFluAアッセイは、配列番号8(9pmol/反応)及び第1〜3残
基がLNAである配列番号21(15pmol/反応)のプライマー並びにTMAアンプ
リコンのリアルタイム検出のための配列番号29の分子ビーコンプローブ(0.267p
mol/反応)を用いて行った。反応には、配列番号61及び62のプライマー(各々0
.5及び15pmol/反応)を用いて増幅されたIC(配列番号65のRNA転写物を
200コピー/反応)が含まれ、ICアンプリコンは配列番号63の分子ビーコンプロー
ブ(0.6pmol/反応)を用いてリアルタイムに検出された。他の陽性コントロール
を、公知の量のA型インフルエンザウイルス標的(配列番号1のRNA転写物を反応毎2
又は5対数コピー)を含む試料を用いた以外は、同一の条件を用いて同時に試験した。
【0058】
TMAベースのFluBアッセイは、配列番号39(9pmol/反応)及び第1〜3
残基がLNAである配列番号44(15pmol/反応)のプライマー並びにTMAアン
プリコンのリアルタイム検出のための配列番号52の分子ビーコンプローブ(0.267
〜0.32pmol/反応)を用いて行った。反応には、配列番号64及び62のプライ
マー(各々0.5及び15pmol/反応)を用いて増幅されたIC(配列番号65のR
NA転写物を200コピー/反応)が含まれ、ICアンプリコンは配列番号63の分子ビ
ーコンプローブ(0.6pmol/反応)を用いてリアルタイムに検出された。陽性コン
トロールを、公知の量のB型インフルエンザウイルス標的(配列番号32のRNA転写物
を反応毎2又は5対数コピー)を含む試料を用いた以外は、同一の条件を用いて同時に試
験した。
【0059】
TMAベースのFluAアッセイでは、A型インフルエンザウイルス核酸を含有する全
ての試験試料(陽性シグナルの平均発生時間は13.9分であった)について陽性結果が
、B型インフルエンザウイルス核酸を含有する全てのコントロール試料について陰性結果
が得られた。同様に、TMAベースのFluBアッセイでは、B型インフルエンザウイル
ス核酸を含有する全ての試験試料(陽性シグナルの平均発生時間は21.9分であった)
について陽性結果が、A型インフルエンザウイルス核酸を含有する全てのコントロール試
料について陰性結果が得られた。
【0060】
試験した試料中に含まれる通常の正常な病原性細菌種及び分離株(ATCCアクセッシ
ョン番号)は以下のとおりである:Bordetella bronchiseptic
a(ATCC10580)、Bordetella pertussis(ATCC84
67)、Bordetella parapertussis(ATCC15311)、
Burkholdia cepacia(臨床分離株)、Candida albica
ns(ATCC18804)、Corynebacterium striatum(A
TCC6940)、Escherichia coli(ATCC29214)、Ent
erococcus faecalis(ATCC19433)、Fluoribact
er bozemanii(ATCC33217)、Fluoribacter dum
offii(ATCC33279)、Haemophilus influenzae(
ATCC33391)、Haemophilus parainfluenzae(AT
CC7901)、Klebsiella pneumoniae(ATCC23357)
、Legionella longbeacheae(ATCC33484)、Legi
onella pneumophila subsp. pneumophila(3型
ATCC33155;4型ATCC33156;6型ATCC33215及び11型AT
CC43130)、Legionella pneumophila subsp. f
raseri(5型ATCC33216)、Moraxella cattarhali
s(ATCC25238)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC
27853及びATCC9027)、Proteus mirabilis(ATCC2
5933)、Staphylococcus aureus(ATCC25923)、S
taphylococcus epidermidis(ATCC14990)、Str
eptococcus agalactiae(GBS)(ATCC13813)、St
reptococcus gordonii(viridans strep)(ATC
C33399)、Streptococcus mutans(ATCC25175)、
Streptococcus oralis(ATCC10557)、Streptoc
occus pneumoniae(ATCC35088)、Streptococcu
s pyogenes(GAS)(ATCC12344)及びTatlockia mi
cdadiae(ATCC33204)。分離株は、適当な培養液で培養し、1μlの細
胞ループを、150μlの溶解試薬(コハク酸緩衝界面活性溶液)を含む超遠心管に加え
て、ボルテックスして、95℃10分間インキュベートして細胞を溶解させた。溶解物は
試験をするまで冷凍保存(−20℃)し、アッセイに用いる前に解凍して水に希釈(1:
100)した。微生物溶解物を用いて行ったFluA及びFluBアッセイでは、どの溶
解物からも陽性反応は得られなかったが、陽性反応は、アッセイが微生物溶解物に存在す
る核酸と交差反応しなかった適当な試薬で適切に行われたことを示す内部コントロール(
IC)から検出された。陽性コントロール(A型又はB型インフルエンザウイルス核酸含
有)は、各アッセイで目的とする標的のみに陽性結果をもたらし、目的とするウイルス標
的のためのTMAベースのFluA及びFluBアッセイの特異性を証明した。
【0061】
アッセイを、潜在的な呼吸器系病原体である公知の非ヒトインフルエンザを用いて、T
MAベースのFluA又はFluBアッセイの交差反応を試験するために同様に行った。
以下のウイルス(ATCCアクセッション番号)を含有する試料を試験した:1型アデノ
ウイルス(Adenoid71株、ATCC VR−1)、4型アデノウイルス(RI−
67株、ATCC VR−4)、7型アデノウイルス(Gomen株、ATCCVR−7
)、11型アデノウイルス(Slobitski株、ATCCVR−12)、18型ア
デノウイルス(DC株、ATCC VR−19)、29型アデノウイルス(BP−6株、
ATCC VR−272)、コロナウイルス229E(グループ1型、ATCCVR−7
40)、コロナウイルスOC43(グループ2型、ATCCVR−759)、1型パラ
インフルエンザウイルス(臨床分離株及びATCC VR−1380)、2型パラインフ
ルエンザウイルス(臨床分離株及びGreer株ATCCVR−92)、3型パライン
フルエンザウイルス(臨床分離株)、4a型パラインフルエンザウイルス(M−25株、
ATCC VR−1378)、ライノウイルス(臨床分離株)及び呼吸器系合胞体ウイル
ス(RSV)(臨床株;B WV/14617/‘85株、ATCCVR−1400及び
A−2株、ATCC VR−1540)。上記のウイルス及び4年間のインフルエンザの
季節に採取した個々の臨床分離株を含む、計42のウイルス試料を試験した。ウイルスR
NAを、核酸を支持体上で非特異的に収集して、収集した核酸を洗浄して、当該核酸を支
持体から水溶液に溶出する標準的なプロトコール(QIAAMP(商標) Viral RNA Mini Vacu
um Protocol,Qiagen Inc.)を用いて抽出した。全てのウイルス核酸は、抽出後すぐに試
験するか、試験するまで凍結保存(−70〜−80℃)した。試験した全ての非インフル
エンザウイルス核酸では、FluA及びFluBアッセイ共に、非インフルエンザウイル
ス核酸については陰性結果をもたらしたが、アッセイが、非インフルエンザウイルス核酸
と交差反応しない適当な成分で適切に行われたことを示すICについては陽性結果をもた
らした。インフルエンザウイルス標的核酸を含む全ての陽性コントロールは、FluA及
びFluBアッセイに特異的な、目的とする標的に適当な陽性反応をもたらした。すなわ
ち、FluAアッセイは、B型インフルエンザウイルスではなくA型インフルエンザウイ
ルスを検出したが、FluBアッセイは、A型インフルエンザウイルスでなく、B型イン
フルエンザウイルスを検出した。これらの結果は、FluA及びFluBアッセイが、そ
の目的とするインフルエンザウイルス標的に特異的であり、呼吸器系試料に潜在的にみら
れる、他のヒトウイルス標的とは交差反応しないことを示す。
【実施例3】
【0062】
インフルエンザウイルス検出のためのTMAベース及びPCRベースのアッセイの比較
本実施例は、TMA及びPCRの増幅方法に基づく系特異的試験を用いた、A型インフ
ルエンザウイルス及びB型インフルエンザウイルスの陽性検出のための時間を比較する試
験を記載する。結果は、TMAベースアッセイは、リアルタイムRT−PCR法に基づく
アッセイで得られた結果よりも迅速な検出結果をもたらしたことを示す。
【0063】
TMAベースのFluAアッセイは、配列番号9(3pmol/反応)及び配列番号2
1(15pmol/反応)のプライマーを用いて配列番号1の標的RNA転写物(反応毎
1〜7対数コピー)を増幅し、配列番号29の蛍光粒子標識プローブ(8pmol/反応
)を用いてアンプリコンを検出して、実質的に実施例1に記載したように行った。配列番
号21のプライマーは、1つは完全DNAで、もう一つは、第1〜3残基のLNAを欠い
たDNAという2系統で別個に試験した。6複製アッセイを各条件で行った。TMAベー
スのFluBアッセイは、配列番号39(3pmol/反応)及び配列番号44のプライ
マーを用いて配列番号32の標的RNA転写物(反応毎1〜7対数コピー)を増幅して、
配列番号52の蛍光粒子標識プローブ(8pmol/反応)を用いてアンプリコンを検出
して、実質的に実施例1に記載したように行った。6複製アッセイを各条件で行った。
【0064】
FluAのリアルタイムRT−PCRアッセイは、配列番号68及び69のプライマー
を同一のRNA標識をTMAベースのFluAアッセイで増幅するために用いて、及び、
配列番号70の蛍光粒子標識プローブを増幅産物を検出するために用いて、実質的に上記
のように行った。FluBのリアルタイムRT−PCRアッセイは、配列番号71及び7
2のプライマーを同一のRNA標識をTMAベースのFluBアッセイで増幅するために
用いて、及び、配列番号73の蛍光粒子標識プローブを増幅産物を検出するために用いて
、実質的に上記のように行った。含まれる各50μlの反応混合液には、標準試薬(TAQM
AN(登録商標) One-StepRT- PCR Master Mix Reagents Kit, Applied Biosystems, Inc
., Foster City,CA)が含まれ、製造業者から指示された条件で用いて、増幅及び検出は
サーモサイクラー及び蛍光光度計の装置(OPTICON(商標)2 system又はCHR0M04(商標)Real-time PCR Detector, Bio-RadLaboratories, Inc., Hercules, CA)を用いて行った。
【0065】
比較試験の結果は、FluAアッセイについては表5に、FluBアッセイについては
、表6に示す。結果は、増幅反応開始から測定した、陽性シグナルの発生時間の平均(m
ean)として示した(算出した場合は±標準偏差)。結果は、FluA及びFluBの
標的について共に、同数の標的では、PCRベースアッセイで見られる陽性反応よりも前
にTMAベースアッセイが陽性反応をもたらすことを示す。表5の結果は、LNA含有プ
ライマーを用いたTMAベースのFluAアッセイが、特に標的が少ない試験では、完全
DNAプライマーを用いたTMAベースアッセイと比較して、増幅動態が向上したことを
示す。
【0066】
【表5】

【0067】
【表6】

【0068】
個々の実験では、TMAベースのFluBアッセイを、個々の反応で、配列番号39の
プロモータープライマー(3pmol/反応)を異なる合成系の配列番号44のプライマ
ーを組み合わせて(完全DNA又は、第1〜3位にLNAがあるDNA若しくは、第1〜
4位にLNAがあるDNAを全て15pmol/反応で用いた)用いて、同様に行った。
反応は、FluBのRNA転写物標的を反応毎に2.7及び3.7対数コピーで増幅し、
アンプリコンを配列番号52の蛍光粒子標識プローブを用いて検出した。これらのアッセ
イの結果は、LNA含有の配列番号44のプライマーは、配列番号44の完全プライマー
と比較すると、増幅及びアッセイ動態が向上したことを示す。
【実施例4】
【0069】
臨床試料中のインフルエンザウイルスの検出
本実施例は、リアルタイムでアンプリコンを検出するTMAベースのFluA及びFl
uBアッセイが、同数の19臨床試料で、リアルタイムRT−PCRベースアッセイを行
った場合よりも、標的インフルエンザウイルスを含有する試料で迅速に陽性結果をもたら
すことを示す。アッセイは、標的インフルエンザウイルスのRNA転写物を調製試料核酸
のアリコートに置き換えて用いた以外は、実質的に実施例3に記載した方法で行った。T
MAベースアッセイのいくつかには、実質的に実施例2に記載したICが含まれた。全て
のアッセイには、陰性コントロール(標的なし)及び陽性コントロール(目的とする標的
インフルエンザウイルスのRNA転写物を2又は5対数コピー)が含まれた。全ての陰性
コントロールは陰性結果がもたらされた。
【0070】
TMAベースのFluAアッセイは、標的としてFluAのRNA転写物の代わりに調
製臨床試料核酸のアリコートを用いた以外は実質的に上記のように行った。アッセイでは
、配列番号8及び21のプライマー並びに配列番号29の蛍光粒子標識プローブを用いた
。TMAベースアッセイは、IC標的(配列番号65のRNA転写物を200コピー)、
配列番号61及び62のIC特異的プライマー及び配列番号63のIC特異的プローブを
含むICを用いて行った。RT−PCRのFluAアッセイは、標的としてFluAのR
NA転写物の代わりに調製臨床試料核酸のアリコートを用いた以外は実質的に上記のとお
り行った。RT−PCRのFluAアッセイは、55サイクルのPCR増幅で配列番号6
8及び69のプライマー並びに配列番号70のプローブを用いた。
【0071】
TMAベースのFluBアッセイは、標的としてFluBのRNA転写物の代わりに調
製臨床試料核酸のアリコートを用いた以外は実質的に上記のように行った。アッセイでは
、配列番号39及び44のプライマー並びに配列番号48の蛍光粒子標識プローブを用い
た。TMAベースアッセイは、IC標的(配列番号65のRNA転写物を200コピー)
、配列番号64及び62のIC特異的プライマー及び配列番号63のIC特異的プローブ
を含むICを用いて行った。RT−PCRのFluBアッセイは、標的としてFluBの
RNA転写物の代わりに調製臨床試料核酸のアリコートを用いた以外は実質的に上記のと
おり行った。RT−PCRのFluBアッセイは、55サイクルのPCR増幅で配列番号
71及び72のプライマー並びに配列番号73のプローブを用いた。
【0072】
FluAの臨床試料は、臨床試験研修室(Warde Medical Center)から提供され、A/
Beijing(H1N1)分離株及び他の標本、又は、複数のインフルエンザの時期に
患者から採取した分離株が含まれていた。FluBの臨床試料は6つの異なる分離株又は
標本を示す。臨床試料は、増幅前に、非特異的方法(QiAmp RNA extraction kits、製造
業者が推奨する条件を用いて)を用いて試料中の核酸を精製して処理した。臨床試料から
単離された核酸を含有する溶出物の5μlのアリコートを反応ごとに用いた。
【0073】
FluA試験の結果を表7に示し、FluB試験の結果を表8に示した。表7の結果は
、TMAベースの及びPCRベースアッセイでは、陽性の又は陰性の標本について矛盾の
ない結果が得られたことを示し、また、TMAベースアッセイの陽性試料についての発生
時間が、ICを含むTMAベースアッセイを用いて試験した試料A1以外は、一貫してP
CRベースアッセイで試験したのと同様の試料よりも迅速であったことを示す。陰性標本
(A11)はTMAベースアッセイでICについて陽性結果をもたらし、その結果は、A
型インフルエンザウイルスについて真に陰性であったことを示す。表8の結果は同様に、
TMAベース及びPCRベースアッセイは、陽性のTMAベースアッセイの発生時間が、
PCRベースアッセイよりも迅速であったこと以外は標本について矛盾のない結果をもた
らした。完全なアッセイを行うのに要する合計時間、すなわち、単に増幅反応で検出され
たシグナルの発生時間だけではない、上記時間は、同様の標的についてのPCRベースア
ッセイ(約120分)と比較して、FluA及びFlutB共にTMAベースアッセイの
方が短かった(約45分)。
【0074】
【表7】

【0075】
【表8】

【実施例5】
【0076】
化学発光プローブを用いたインフルエンザウイルスの増幅配列の検出
本実施例は、A型インフルエンザウイルス又はB型インフルエンザウイルス核酸の転写
関連増幅の後にA型インフルエンザウイルス又はB型インフルエンザウイルスの増幅配列
に特異的なAE標識プローブを用いた増幅産物の検出をすることを含んだアッセイを示す
。アンプリコンにハイブリダイズするプローブは、均一系アッセイフォーマットで検出さ
れる化学発光シグナルを発する。
【0077】
TMAベースのFluAアッセイでは、標準的なTMA反応を行って、2つのプライマ
ー(配列番号7、9又は11を配列番号21、22又は24と組み合わせた)の異なる組
み合わせを用いて、500,000コピーのFluA標的RNA(配列番号1の転写物)
の配列を増幅した。増幅の前に、第7〜8間の残基をAEで標識した配列番号26のプロ
ーブのハイブリダイゼーションをTMA反応で産生したアンプリコンの検出のために用い
た。陰性コントロールは、FluA標的RNAを含まない反応混合物中で同一に行ったア
ッセイである。増幅の前に、アンプリコンをAE標識プローブにハイブリダイゼーション
試薬中に60℃30分でハイブリダイズさせた後、室温で5分間冷却した。その後、非結
合のプローブ中のAEラベルを、選択試薬を用いて60℃10分間の後15分間室温でイ
ンキュベートして選択的に加水分解した。化学発光シグナルを、検出試薬Iを用いて誘導
して、その後検出試薬IIで中和して、化学発光を照度計(LEADER(登録商標) HC, Gen
-ProveIncorporated)で相対発光量(RLU))として、実質的に上記したように検出
した(米国特許第5,283,174号及び第5,656,744号、Arnoldら及
び米国特許第5,658,737号、Nelsonら第25欄第27〜46行目;Nelson
et al.,1996, Biochem. 35:8429- 8438 at 8432)。アッセイの結果を表9に示す。均
一系化学発光検出システムはまた、FluA特異的増幅オリゴマーの異なる組み合わせを
用いることにより転写関連増幅の後にA型インフルエンザウイルス核酸を検出することも
示す。
【0078】
【表9】

【0079】
FluB標的配列に特異的なプローブは、同様に、B型インフルエンザウイルス配列を
特異的に検出することが示される。これらのアッセイでは、合成RNA標的(配列番号3
3を2pmol/反応)を、(第8〜9の残基が標識された)配列番号48、(第9〜1
0の残基が標識された)配列番号49及び(第7〜8の残基が標識された)配列番号50
のAE標識プローブで、TMA反応混合物を模倣する混合物中で混合して、実質的に上記
のように検出工程を行った。すなわち、FluB標的配列の検出を、開始RNA標識から
のアンプリケーション(amplication)なしに直接行った。これらのアッセイ(各条件n
=5)の平均的な結果を表10に示す。これらの結果は、B型インフルエンザウイルス標
的配列が、TMAベースアッセイの増幅に起因する結果と類似の条件でAE標識プローブ
を用いて検出されることを示す。
【0080】
【表10】

【実施例6】
【0081】
インフルエンザウイルス検出のためのTMAベースアッセイ
本実施例は、TMAベースのFluA及びFluBアッセイが、インフルエンザウイル
ス検出を手動又は自動化装置を用いて行った場合に同程度の結果をもたらすことを示す。
FluA及びFluBアッセイはともに、当該方法の工程を、各アッセイがアッセイの各
標的、A型インフルエンザウイルス又はB型インフルエンザウイルスのための標的特異的
オリゴマーを含有する以外は同一条件で行った。
【0082】
試料は、各アッセイ(FluAアッセイのための配列番号1のRNA転写物又はFlu
Bアッセイのための配列番号32のRNA転写物を0、250、500、1000又は5
000コピー/ml)のための合成標的を含有するように調製し、各インフルエンザウイ
ルス標的(FluAアッセイに配列番号6及びFluBアッセイに配列番号35)に特異
的な標的捕捉プローブ(200pmol/ml)を含有する、0.5mlの最終容量中で
標的捕捉試薬(TCR)と混合した。標的捕捉を、標的RNA、捕捉プローブ及びTCR
を含有する混合物を62℃30分、その後、30分間室温でインキュベートした。捕捉し
たインフルエンザウイルス核酸がついた磁性粒子を、磁場を用いて容器の内部部分から分
離して、試料溶液を取り除いた。粒子上の捕捉した標的核酸を1ml/反応の洗浄溶液で
洗浄して、粒子を磁気的に分離して洗浄溶液を取り除いた。捕捉したインフルエンザウイ
ルス標的核酸がついた洗浄した粒子を、75μlの適当な増幅オリゴマー(FluAアッ
セイのための300pmol/mlの配列番号10及び500pmol/mlの第1〜3
残基にLNAがある配列番号21;FluBアッセイのための300pmol/mlの配
列番号39及び500pmol/mlの第1〜3残基にLNAがある配列番号44)を含
有するTMA用の核酸増幅試薬に懸濁した。TMA反応液を62℃10分、その後42℃
5分でインキュベートして、TMA酵素を加えて混合し、インキュベーションを42℃6
0分間続けた。検出は、アッセイの目的とする標的に特異的なAE標識プローブ(Flu
Aアッセイのための5X10RLU/mlの配列番号26及びFluBアッセイのため
の5X10RLU/mlの配列番号48)を用いて、実質的に実施例5に記載したよう
に行い、均一系アッセイフォーマットで発生した化学発光シグナルを検出して測定した。
【0083】
FluA及びFluBアッセイを、各アッセイ条件に10複製用いて各々行った。アッ
セイ工程は、手動又は自動化システムを用いて行った(詳細は米国特許第6,605,2
13号及び第6,846,456号を参照)。これらのアッセイの結果をFluAアッセ
イについては図1に、FluBアッセイについては図2に示す。図1は、手動で行ったア
ッセイ(白)又は自動化システムを用いて行ったアッセイ(黒)で、各々の試験したA型
インフルエンザウイルス標的量(250〜5000コピー/ml)についてTMAベース
のFluAアッセイで検出されたシグナル(平均RLU)のグラフである。図2は、手動
で行ったアッセイ(白)又は自動化システムを用いて行ったアッセイ(黒)で、各々の試
験したB型インフルエンザウイルス標的量(250〜5000コピー/ml)についてT
MAベースのFluBアッセイで検出されたシグナル(平均RLU)のグラフである。図
1及び図2に示された結果は、工程を手動で行っても自動化システムで行っても、双方の
TMAベースアッセイは、各々目的とする標的インフルエンザウイルス核酸を250コピ
ー/ml又はそれ以上検出したことを示す。
【表11】


【表12】


【表13】


【表14】


【表15】


【表16】


【表17】


【表18】


【表19】


【表20】


【表21】


【表22】


【表23】


【表24】


【表25】


【表26】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号34〜配列番号58からなる配列若しくはそれらに完全に相補的な配列又はそれらのRNA同等物若しくはDNA同等物から構成されるB型インフルエンザウイルスに特異的な少なくとも2つの核酸オリゴマーを含む、組成物。
【請求項2】
前記核酸オリゴマーが、配列番号38〜配列番号43からなる配列から選択される少なくとも1つのオリゴマー、及び、配列番号44〜配列番号47からなる配列から選択される少なくとも1つのオリゴマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
配列番号48〜配列番号58からなる配列から選択される少なくとも1つのオリゴマーをさらに含む、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記オリゴマーの少なくとも1つが、少なくとも1つの2’−メトキシRNA基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記オリゴマーの少なくとも1つが、該オリゴマーの5’末端に少なくとも1つのロックされた核酸(LNA)残基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
配列番号48〜配列番号58からなる配列から選択される前記オリゴマーが、直接的又は間接的に前記オリゴマー配列に結合した検出可能な標識を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項7】
前記標識が均一系アッセイシステムで検出可能である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記B型インフルエンザウイルスに特異的な少なくとも2つの核酸オリゴマーがキットの形態である、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
試料中のB型インフルエンザウイルスの核酸を検出する方法であって、以下の:
実質的に等温条件下で増幅産物を産生するために、試料中に含まれるB型インフルエンザウイルス核酸中の標的配列を、インビトロで核酸ポリメラーゼを用いて増幅する工程であって、
該B型インフルエンザウイルスの標的配列が、配列番号32若しくは配列番号32の完全な相補体、又はそれらのRNA同等物に含まれる、工程;及び、
該増幅産物を検出する工程、
を含む、方法。
【請求項10】
前記B型インフルエンザウイルスの標的配列を増幅する工程で、配列番号38〜配列番号43からなる配列から選択される少なくとも1つのオリゴマー、及び、配列番号44〜配列番号47からなる配列から選択される1つのオリゴマーを用いる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記検出工程で、前記B型インフルエンザウイルスの標的配列の増幅産物を検出するために配列番号48〜配列番号58からなる配列から選択される少なくとも1つのプローブを用いる、請求項9記載の方法。
【請求項12】
内部調節オリゴマーをもたらす工程;該内部調節オリゴマーに含まれる標的配列を増幅する工程;及び、該内部調節オリゴマーから作製される増幅産物を検出する工程であって、それにより、前記方法の増幅工程及び検出工程が適当に行われたことを示す工程をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記増幅工程の前に、前記B型インフルエンザウイルス核酸を含む試料からインフルエンザウイルス核酸を単離する工程をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項14】
試料からB型インフルエンザウイルス核酸を増幅及び検出する方法であって、以下の:
請求項1〜7のいずれか1項記載の増幅オリゴマー及び検出オリゴマーを用いて増幅反応及び検出反応を実施する工程であって、
該増幅産物の検出が該試料中のB型インフルエンザウイルス核酸の存在を示す、工程、
を含む、方法。

【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−167199(P2011−167199A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−90507(P2011−90507)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【分割の表示】特願2008−510215(P2008−510215)の分割
【原出願日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(500169900)ジェン−プローブ・インコーポレーテッド (32)
【Fターム(参考)】