説明

ADCC活性を増強させた抗体及びその製造方法

【課題】ADCC活性が増強された抗体及びその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明者らは、Genentech Incらの研究者らが行ったFc部分のアミノ酸変異をさらに発展させて、コンピューター検索からは導き出せない大幅な構造変化を伴う可能性のあるアミノ酸であるシステイン(Cys)へ変異させることでADCC活性の増強ができないか、検討を行った。本発明は、H鎖定常領域において、286又は298位のアミノ酸残をCysへ変更したヒト抗体を提供するものである。


Notice: Undefined index: DEJ in /mnt/www/gzt_disp.php on line 298

【特許請求の範囲】
【請求項1】
H鎖定常領域において、286又は298位の位置のアミノ酸残基がシステインに置換された抗体。
【請求項2】
H鎖定常領域がヒトCγ1、Cγ2、Cγ3、及びCγ4からなる群より選択されるいずれかの定常領域である、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
置換前と比較しADCC活性が上昇している、請求項1又は2のいずれかに記載の抗体。
【請求項4】
改善された安定性、溶解性またはFc受容体への結合親和性を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の抗体。
【請求項5】
糖鎖が付与されている、請求項1〜4のいずれかに記載の抗体。
【請求項6】
エフェクター機能を改善するものである、請求項5に記載の抗体。
【請求項7】
FcγRI、FcγRII、FcγRIII、又はFcRnと結合する、請求項1〜6のいずれかに記載の抗体。
【請求項8】
ALCAM、ICAM1、及びEGFRからなる群より選択される標的抗原に特異性を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の抗体。
【請求項9】
下記(1)から(4)のいずれかに記載の抗体;
(1)CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:13に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびCHとして配列番号:91に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(2)配列番号:95に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(3)CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:13に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびFc領域として配列番号:97に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(4)上記(1)、(2)または(3)のいずれかに記載のH鎖、および、下記(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体、
(i)CDR1として配列番号:4に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:5に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、およびCLとして配列番号:8に記載のアミノ酸配列を有するL鎖、
(ii)配列番号:99に記載のアミノ酸配列を有するL鎖。
【請求項10】
下記(1)から(4)のいずれかに記載の抗体;
(1)CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:13に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびCHとして配列番号:93に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(2)配列番号:101に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(3)CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:13に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびFc領域として配列番号:103に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(4)上記(1)、(2)または(3)のいずれかに記載のH鎖、および、下記(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体、
(i)CDR1として配列番号:4に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:5に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、およびCLとして配列番号:8に記載のアミノ酸配列を有するL鎖、
(ii)配列番号:99に記載のアミノ酸配列を有するL鎖。
【請求項11】
下記(1)から(4)のいずれかに記載の抗体;
(1)CDR1として配列番号:42に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:43に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:44に記載のアミノ酸配列、およびCHとして配列番号:91に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(2)配列番号:105に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(3)CDR1として配列番号:42に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:43に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:44に記載のアミノ酸配列、およびFc領域として配列番号:107に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(4)上記(1)、(2)または(3)のいずれかに記載のH鎖、および、下記(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体、
(i)CDR1として配列番号:34に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:35に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:36に記載のアミノ酸配列、およびCLとして配列番号:38に記載のアミノ酸配列を有するL鎖、
(ii)配列番号:109に記載のアミノ酸配列を有するL鎖。
【請求項12】
下記(1)から(4)のいずれかに記載の抗体;
(1)CDR1として配列番号:42に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:43に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:44に記載のアミノ酸配列、およびCHとして配列番号:93に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(2)配列番号:111に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(3)CDR1として配列番号:42に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:43に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:44に記載のアミノ酸配列、およびFc領域として配列番号:113に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(4)上記(1)、(2)または(3)のいずれかに記載のH鎖、および、下記(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体、
(i)CDR1として配列番号:34に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:35に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:36に記載のアミノ酸配列、およびCLとして配列番号:38に記載のアミノ酸配列を有するL鎖、
(ii)配列番号:109に記載のアミノ酸配列を有するL鎖。
【請求項13】
下記(1)から(4)のいずれかに記載の抗体;
(1)CDR1として配列番号:57に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:58に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:59に記載のアミノ酸配列、およびCHとして配列番号:91に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(2)配列番号:115に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(3)CDR1として配列番号:57に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:58に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:59に記載のアミノ酸配列、およびFc領域として配列番号:117に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(4)上記(1)、(2)または(3)のいずれかに記載のH鎖、および、下記(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体、
(i)CDR1として配列番号:49に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:50に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:51に記載のアミノ酸配列、およびCLとして配列番号:53に記載のアミノ酸配列を有するL鎖、
(ii)配列番号:119に記載のアミノ酸配列を有するL鎖。
【請求項14】
下記(1)から(4)のいずれかに記載の抗体;
(1)CDR1として配列番号:57に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:58に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:59に記載のアミノ酸配列、およびCHとして配列番号:93に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(2)配列番号:121に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(3)CDR1として配列番号:57に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:58に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:59に記載のアミノ酸配列、およびFc領域として配列番号:123に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(4)上記(1)、(2)または(3)のいずれかに記載のH鎖、および、下記(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体、
(i)CDR1として配列番号:49に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:50に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:51に記載のアミノ酸配列、およびCLとして配列番号:53に記載のアミノ酸配列を有するL鎖、
(ii)配列番号:119に記載のアミノ酸配列を有するL鎖。
【請求項15】
下記(1)から(4)のいずれかに記載の抗体;
(1)CDR1として配列番号:71に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:72に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:73に記載のアミノ酸配列、およびCHとして配列番号:91に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(2)配列番号:125に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(3)CDR1として配列番号:71に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:72に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:73に記載のアミノ酸配列、およびFc領域として配列番号:127に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(4)上記(1)、(2)または(3)のいずれかに記載のH鎖、および、下記(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体、
(i)CDR1として配列番号:63に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:64に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:65に記載のアミノ酸配列、およびCLとして配列番号:67に記載のアミノ酸配列を有するL鎖、
(ii)配列番号:129に記載のアミノ酸配列を有するL鎖。
【請求項16】
下記(1)から(4)のいずれかに記載の抗体;
(1)CDR1として配列番号:71に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:72に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:73に記載のアミノ酸配列、およびCHとして配列番号:93に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(2)配列番号:131に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(3)CDR1として配列番号:71に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:72に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:73に記載のアミノ酸配列、およびFc領域として配列番号:133に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(4)上記(1)、(2)または(3)のいずれかに記載のH鎖、および、下記(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体、
(i)CDR1として配列番号:63に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:64に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:65に記載のアミノ酸配列、およびCLとして配列番号:67に記載のアミノ酸配列を有するL鎖、
(ii)配列番号:129に記載のアミノ酸配列を有するL鎖。
【請求項17】
下記(1)から(4)のいずれかに記載の抗体;
(1)CDR1として配列番号:86に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:87に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:88に記載のアミノ酸配列、およびCHとして配列番号:91に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(2)配列番号:135に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(3)CDR1として配列番号:86に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:87に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:88に記載のアミノ酸配列、およびFc領域として配列番号:137に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(4)上記(1)、(2)または(3)のいずれかに記載のH鎖、および、下記(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体、
(i)CDR1として配列番号:78に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:79に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:80に記載のアミノ酸配列、およびCLとして配列番号:82に記載のアミノ酸配列を有するL鎖、
(ii)配列番号:139に記載のアミノ酸配列を有するL鎖。
【請求項18】
下記(1)から(4)のいずれかに記載の抗体;
(1)CDR1として配列番号:86に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:87に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:88に記載のアミノ酸配列、およびCHとして配列番号:93に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(2)配列番号:141に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(3)CDR1として配列番号:86に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:87に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:88に記載のアミノ酸配列、およびFc領域として配列番号:143に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(4)上記(1)、(2)または(3)のいずれかに記載のH鎖、および、下記(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体、
(i)CDR1として配列番号:78に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:79に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:80に記載のアミノ酸配列、およびCLとして配列番号:82に記載のアミノ酸配列を有するL鎖、
(ii)配列番号:139に記載のアミノ酸配列を有するL鎖。
【請求項19】
H鎖定常領域において、286又は298位の位置のアミノ酸残基をシステインに置換する工程を含む、ADCC活性又は抗腫瘍活性が増強された抗体の製造方法。
【請求項20】
以下の(a)及び(b)の工程を含む、ADCC活性又は抗腫瘍活性が増強された抗体の製造方法;
(a)H鎖定常領域において、286又は298位の位置のアミノ酸残基がシステインに置換されたH鎖をコードするDNA、及びL鎖をコードするDNAを発現させる工程、
(b)工程(a)の発現産物を回収する工程。
【請求項21】
H鎖定常領域がヒトCγ1、Cγ2、Cγ3、及びCγ4からなる群より選択されるいずれかの定常領域である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜18のいずれかに記載の抗体および医薬的に許容し得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項23】
請求項1〜18のいずれかの抗体を対象に投与する工程を含む、非ヒト哺乳動物の治療方法。
【請求項24】
請求項1〜18のいずれかの抗体をコードする核酸。
【請求項25】
請求項24に記載の核酸を含むベクター。
【請求項26】
請求項25に記載のベクターを有する宿主細胞。
【請求項27】
請求項25に記載のベクターを有する宿主生物。
【請求項28】
H鎖定常領域において、286又は298位の位置のアミノ酸残基をシステインに置換する工程を含む、抗体のADCC活性又は抗腫瘍活性を増強する方法。
【請求項29】
H鎖定常領域がヒトCγ1、Cγ2、Cγ3、及びCγ4からなる群より選択されるいずれかの定常領域である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
工程(a)の抗体のADCC活性又は抗腫瘍活性が増強されたか否かを判定する方法であって、工程(b)で測定されたADCC活性又は抗腫瘍活性が、置換前の抗体のADCC活性又は抗腫瘍活性より高い場合に、工程(a)の抗体のADCC活性又は抗腫瘍活性が増強されたと判定される方法;
(a)ADCC活性又は抗腫瘍活性を有する抗体の変異体であって、H鎖定常領域における286又は298位の位置のアミノ酸残基がシステインに置換された抗体を提供する工程、および、
(b)工程(a)の抗体のADCC活性又は抗腫瘍活性を測定する工程。
【請求項31】
以下の(a)から(d)の工程を含む、ADCC活性又は抗腫瘍活性が増強された抗体のスクリーニング方法;
(a)ADCC活性又は抗腫瘍活性を有する抗体を提供する工程、
(b)工程(a)の抗体のH鎖定常領域における286又は298位の位置のアミノ酸残基をシステインに置換する工程、
(c)工程(b)で得られた抗体のADCC活性又は抗腫瘍活性が増強されたか否かを、請求項30に記載の方法で判定する工程、
(d)工程(c)で、ADCC活性又は抗腫瘍活性が増強されたと判定された抗体を選択する工程。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2009−55899(P2009−55899A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64326(P2008−64326)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(390004097)株式会社医学生物学研究所 (41)
【Fターム(参考)】