説明

AICAリボシドの処方物

本発明はAICAリボシドおよびそのアナログを含むキット、組成物および処方物、並びにこれらの使用法に関するものである。これらキットはあるpH範囲内の組成物および/または処方物を無菌的形で含むことができる。これらのキットはさらに第二の治療薬を含む容器を含むことができる。本発明のキットおよび組成物を使用して患者の罹患/死亡を予防することができ、または虚血状態、アデノシンによって調節される状態、または患者組織への血流の低下に関連する状態を予防/処置することができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
虚血とは、組織への酸素供給低下または低酸素症につながる一般的には組織への不十分な血流に起因する低酸素状態である。心筋、腸間膜および脳虚血など数種の虚血がある。プリンヌクレオシド、アデノシンが虚血状態下で防御効果をあらわすことは知られている。ヌクレオチド生合成の前駆体分子であるアカデシンまたは5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミド(AICA)リボシドは、虚血期間中、細胞外アデノシンの局所内因性レベルを高めることができる。虚血状態、アデノシンによって調節される状態、組織への血流低下の諸影響を処置/予防するために、または単に患者の病的状態/死亡を予防するために使用できるAICAリボシドおよび/またはそれらのアナログの製剤を見いだすことは有益である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
(発明の概要)
本発明は実質上AICAリボシドまたはそのアナログ(例えば式III)のような組成物を含む、または実質上上記組成物からなる緩衝溶液に関係する。ある実施形態において、そのような溶液は6.5ないし7.5までのpHを有する。好ましくは、AICAリボシドまたはそのアナログは、例えば凍結乾燥または非凍結乾燥によって滅菌される。ある実施形態において、上記溶液は1重量%未満の不純物を含む。
【0003】
ある実施形態において、本発明は灌流溶液に関係する。このような灌流溶液は上記緩衝溶液を含み、本質的に上記緩衝溶液から構成されるか、または上記緩衝溶液から構成される。
【0004】
本発明の組成物/溶液(灌流溶液を含む)は、第二の治療薬を含むことができる。第二の治療薬の例としては非制限的に、アデノシンデアミナーゼインヒビター、血液凝固インヒビター、抗凝固剤、抗血小板薬、抗高血圧薬、コレステロール低下剤、血管拡張剤、ベータ−ブロッカー、ace−阻害剤、鎮痛薬、抗炎症薬、および利尿剤がある。ある実施形態において第二の治療薬はペントスタチンである。
【0005】
本発明は患者の状態を処置または予防する方法であって、患者に有効量の上記溶液を投与する工程を含む方法にも関係する。
【0006】
本発明の組成物および溶液によって処置また予防できる状態の例としては、心臓発作、卒中、死亡(突然心臓死など)、心筋梗塞(壁内または非貫壁性心筋梗塞、または急性心筋梗塞など)、冠動脈疾患、冠動脈性心疾患、不整脈、脳血管障害、うっ血性心不全、生命を脅かす律動異常、心筋症、虚血状態(一過性虚血発作、急性虚血性症候群、急性腸虚血、腎臓虚血など)、狭心症、血管異常(真性糖尿病の微小血管病、腸虚血などによる播種性血管内凝固症候群など)、骨格筋の間欠性跛行、片頭痛、レイノー現象、肝臓障害、膵臓障害、ショック、またはこれらの組合わせなどからなる群から選択されるものが含まれる。ある実施形態においては、この状態は死亡、心筋梗塞または心臓発作である。
【0007】
ある実施形態において、本発明の組成物/溶液を投与される患者は手術中である。このような実施形態において、本明細書の組成物/溶液は手術時に投与できる。ある実施形態において患者は心臓手術を受けており;一方ある実施形態において患者は非心臓手術を受けている。
【0008】
心臓手術の例としては冠状動脈バイパス移植(CABG)、経皮的経管的冠動脈形成術(PTCA)、レーザー血管形成術、脳血管形成術、アテレクトミー、血管内ステント法、頸動脈内膜切除術、心臓移植、人工心臓デバイスおよび除細動器の移植、弁置換または修復、および先天的手術(congenital surgery)からなる群から選択されるものがある。好ましい実施形態において、本発明の組成物/溶液はCABG手術を受けている患者に投与される。
【0009】
非心臓手術の例は、非心臓臓器移植、小腸および大腸切除術、虫垂切除術、腹腔鏡検査、穿刺術、前立腺の経尿道的切除(TURP)、子宮摘出術、卵管結紮、精管切除、卵管卵巣摘出、帝王切開、痔核切除術、扁桃摘出術、鼓膜切除術、鼓膜穿刺管の設置、結腸および直腸からのポリープ除去、直腸脱出の修復、腸新生物の除去および処置、掻爬術、胸腔穿刺術、開胸術、鼻形成術および脂肪吸引法またはこれらの組合わせからなる群から選択されるものを含む。
【0010】
ある実施形態において、本明細の組成物/溶液は経皮的にまたはより好ましくは静脈内注射によって、または灌流溶液によって有効量が投与される。
【0011】
本明細書の組成物の有効量は、0.001mg/kg/minないし20mg/kg/min、またはより好ましくは約0.1mg/kg/minである。そのような速度で、本明細書の組成物/溶液は少なくとも1時間、またはより好ましくは約7時間投与できる。
【0012】
本明細書に記載の方法は本明細書中の任意の状態を予防できるが、より好ましくはCABG手術を受ける患者の死亡、卒中また心筋梗塞を予防する。
【0013】
本発明は本発明の溶液およびそれらを患者の状態の予防に使用するための使用説明書を含む、または実質上これらからなる、またはこれらからなる第一の容器を含むキットも考慮する。
【0014】
(参考としての援用)
本明細書に記載される全ての出版物および特許出願は、それら個々の出版物または特許出願の各々を引用によって本明細書に組み込む旨具体的かつ個別に明記されていなくても、引用によって本明細書にそのまま組み込まれるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(本発明の詳細な説明)
本明細書に使用する用語“共投与される”は同じ治療計画の部分としての2種類以上の薬を同時でもまたは同時でなくとも共に投与することを意味する。このように、共投与される薬剤類は一緒に処方されても、別々に処方されてもよい。2つの薬剤の生物学的活性が時間的に重複するように、これらを共投与するのが好ましい。
【0016】
用語“患者”は哺乳動物であるのが好ましく、ヒトであるのがより好ましい。
【0017】
本明細書に使用する用語“処置する(treat)”、“処置すること(treating)”または“処置(treatment)”は臓器に影響を与える症状または状態の、予防並びに緩解または低減をいう。
【0018】
概説
図1は虚血状態、またはより好ましくは心臓血管虚血状態の処置および/または予防、より好ましくは心筋梗塞の予防のためのキット101の図である。
【0019】
キット101は滅菌されたAICAリボシド(またはアナログ、代謝産物、プロドラッグまたはそれらの塩類)を含む第一の容器102を含む。他の実施形態において、このような滅菌されたAICAリボシドは凍結乾燥されている。他の実施形態においては、そのような滅菌されたAICAリボシドは滅菌されてはいるが凍結乾燥されていない。
【0020】
そのような滅菌AICAリボシドは好ましくは緩衝溶液中にある。緩衝溶液は6−8またはより好ましくは6.5−7.5の安定pH範囲を有することができる。ある実施形態においてAICAリボシド溶液は1種類以上の追加的治療薬と共処方される。
【0021】
さらに、キット101は任意に第二容器104を含むこともできる。第二容器104はAICAリボシド(またはそのアナログ)の滅菌灌流溶液を含み、生体内(in vivo)または生体外(ex vivo)投与できる。この灌流溶液中のAICAリボシドは凍結乾燥されていても、凍結乾燥されていなくてもよい。本発明の灌流溶液は調節されたpHに対して緩衝されるのが好ましい。ある実施形態において、灌流溶液はpH6−8、またはより好ましくはpH6.5−7.5、またはより好ましくは約7.0である。ある実施形態において、本発明の灌流溶液は1種類以上の追加的治療薬と共処方される。
【0022】
第一の容器102および任意に第二の容器104には、1組の使用説明書103が備えられている。使用説明書には例えば医師がある状態を処置または予防するために第一容器102および/または第二容器104の組成物を患者に投与するための説明が記載されている。本発明の組成物によって処置または予防できる状態の例は、虚血状態、アデノシンによって調節できる状態、または組織への血流減少と関連する状態などである。好ましい実施形態において、処置または予防される状態は心筋梗塞、卒中または死亡である。
【0023】
幾つかの実施形態において、使用説明書103は本発明の組成物/溶液を静脈内(i.v.)投与または局所的に灌流液によって投与する方法を提供する。使用説明書103は投与すべき本発明の組成物の有効量も教示することができる。例えば使用説明書103は、バイパス手術においてAICAリボシドを麻酔誘導の15分前の開始から7時間投与すべきことを指示できる。使用説明書103はAICAリボシドの正しい希釈および/または投与量の教示も含むことができる。ある実施形態においては、AICAリボシドが1gのAICAリボシドを含む容器中に存在するとき、患者に投与する濃度に応じて最終溶液にまで希釈することが必要である。
【0024】
使用説明書103はこのような灌流液を例えば注射器またはその他の適切な送達器具105によって投与する仕方に関する説明をさらに提供する。
【0025】
使用説明書103はさらに本発明の組成物/溶液を手術中の患者に投与できるように指示することもできる。患者は、好ましくは高リスク患者、例えば以前に1回以上心筋梗塞を経験し、1回以上卒中を経験し、年齢60または70歳以上であり、不安定性狭心症があり、最近心筋梗塞を経験し、或いは急性冠状動脈ステント不全を示す女性などである。
【0026】
このキットは上記のまたはその他の任意の状態を処置するために市販されおよび/または事業として販売されている。
【0027】
組成物
本発明はAICAリボシドまたはアナログ、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝産物、プロドラッグ、またはそれらの塩類、を含む組成物、または実質的にこれらからなる組成物、またはこれらからなる組成物に関する。本発明に使用するAICAリボシドは式Iの化合物である。
【0028】
【化1】

AICAリボシドのアナログの例には式IIを有する化合物が含まれる:
【0029】
【化2】

式中、Rは水素、−CNおよび基
【0030】
【化3】

からなる群から選択され
式中、Tは酸素、硫黄、NOH、NH、およびNO(CHCHから選択され、nは0から2までであり、Uは低級アルコキシ、アミノ、任意に3ないし6員アリール環に融合する3ないし6員複素環式環、および基
【0031】
【化4】

から選択され、
上記式中、AはNHおよびSの1つであり、nは0から3までであり、iは0から2までであり、Qは水素およびヒドロキシの1つであり、Eは次のような条件でニトロまたはヒドロキシ基である:すなわち、Uがアミノである場合Tは硫黄、NOH、NHおよびNOCHの1つではなく;Tがアミノである場合Uは低級アルコキシではなく;Aがアミノで、nが1である場合、Qはヒドロキシではないという条件である。
【0032】
は水素、ハロゲン、およびS−Wから選択され、ここでWはフェニル、または置換フェニル、またはTが酸素でなく、Uがアミノでない場合に水素である;
およびRは各々独立的に水素、−COCHおよび低級アルキルから選択され、または一緒になって環状カルボネートを形成し;
は次のような条件でヒドロキシ、リン酸エステル、−OSONH、スルフヒドリル、ハロゲン、−OCOCH、−SCH、−SOCH、NHおよびNから選択される;
すなわちRがCONH、CONH−パラ−ヨードフェニル、水素、CN、またはCONHCH−Φで、Rが水素またはハロゲンで、RおよびRが水素、アシルであるか一緒になって環状カルボネートを形成する場合は、Rはハロゲン、リン酸エステル、OH、または−O−アシルではないという条件である。
【0033】
このとき前記化合物または任意のこれらの塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝産物、アナログ、またはプロドラッグは約0.1μMないし約500μM、約1μMないし約400μM、約2μMないし約300μM、約3μMないし約200μM、および約4μMないし約150μM、より好ましくは約5μMから約100μMまでの濃度である。
【0034】
好ましい実施形態において、AICAリボシドアナログは式IIIを有する:
【0035】
【化5】

医薬組成物
ここに記載する組成物類は当業者に公知の任意の方法で、例えば溶液(i.v.または灌流液)または固体形として処方できる。ある実施形態において、本発明の組成物は作用部位により速やかにかつ定量的に吸収できる溶液として処方される。ある実施形態においては本発明の組成物は、必要に応じて希釈できる凍結乾燥物質として処方される。
【0036】
記載される任意の実施形態において、組成物は徐々に放出される形、および/または薬剤溶出ステントによる投与の形に処方できる。
【0037】
記載される任意の処方物において、1つ以上の組成物が“有効量”、すなわち治療的および/または予防的利益を効果的に得られる量で存在する。
【0038】
液体処方物は非制限的に、本発明の組成物が溶解している溶液、本発明の組成物を含むエマルションおよび本明細書に開示される本発明の組成物を含むリポソーム、ミセルまたはナノ粒子を含む溶液などである。本発明の組成物は静脈用および/または灌流用の溶液に処方されるのが好ましい。
【0039】
本発明の医薬組成物は任意に1種類以上の薬物学的に容認される担体、賦形剤または希釈剤を含むことができる。
【0040】
本発明の組成物の処方は、一部には、選択される投与経路に依存する。例えば本発明の組成物は経口、口内、局所、直腸、経皮、経粘膜、皮下、静脈内、吸入(i.v.)および筋肉内への投与、並びに灌流溶液(例えば心停止灌流溶液)を使用するex vivoまたはin vivo適用によって患者に送達される。
【0041】
一実施形態において、本発明の組成物を緩衝溶液によって設定pH範囲(例えば生理的pH)に維持する。使用できる緩衝液は非制限的に乳酸ナトリウム、塩化カリウム、ハンクス平衡塩類、アール平衡塩類、ヒスチジン緩衝液、ロック溶液およびタイロード溶液、およびリンゲル溶液、グリシルグリシン、クエン酸塩、トリス、リン酸緩衝液、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、クエン酸生理食塩水、HEPES、NaCl、ビス−トリス、ADA、aces、PIPES、MOPSO、TES、DIPSO、MOBS、TAPSO、Trizma、HEPPSO、POPSO、TEA、EPPS、トリシン、Gly−Gly、Bicine、HEPES、リン酸ナトリウム、リン酸−炭酸水素緩衝液、およびその他のリン酸緩衝液などである。好ましい実施形態において、本発明の組成物は緩衝溶液によって設定pH範囲を維持し、緩衝液はトリス緩衝液、リン酸緩衝液およびヒスチジン緩衝液からなる群から選択される。
【0042】
ある実施形態において、組成物、処方物またはより好ましくは本明細書中の溶液は約6ないし約8、より好ましくは約6.5ないし約7.5のpH範囲、またはより好ましくは約7.0のpHに処方される。その他の実施形態において、組成物、処方物、またはより好ましくは本明細書中の溶液のpHは少なくとも5.0、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8または8.0である。ある実施形態において、本発明の組成物またはその処方薬のpHは9.0、8.8、8.6、8.4、8.2、8.0、7.8、7.6、7.4、7.2、7.0、6.8、6.6、6.4、6.2、または6.0未満である。
【0043】
ある実施形態において、本明細書に記載される組成物および/または処方物はロットとして製造される。その際全てのロットのうち80%より多く、85%より多く、90%より多く、91%より多く、92%より多く、93%より多く、94%より多く、95%より多く、96%より多く、97%より多く、98%より多く、99%より多く、または99.99%より多くが、6ないし8、6.5ないし7.5、または約7のpH範囲を有する。全てのロットの80%より多く、85%より多く、90%より多く、91%より多く、92%より多く、93%より多く、94%より多く、95%より多く、96%より多く、97%より多く、98%より多く、99%より多くまたは99.99%より多くが6ないし8のpH範囲を有するのがより好ましい。
【0044】
本発明の処方物は1種類以上の賦形剤、例えば保存料、溶解剤、フィラー、滑剤、安定剤、抗菌剤、アルブミンなども含む。上記の例は例えばRemingtonのThe Science and Practice of Pharmacy,763−764(Alfonso R.Gennaro ed.,20th ed.,Lippincott,Williams & Wilkins 2000)に開示されている。
【0045】
本発明の組成物の溶液は好ましくは約10mg/mLないし約80mg/mLの範囲、約20mg/mLないし約70mg/mLの範囲、約30mg/mLないし約60mg/mL、またはより好ましくは約40mg/mLに希釈できる濃縮形で提供される。40mg/mLの溶液はその後患者に投与する前に健康管理提供者(health care provider)によってさらに希釈できる。好ましい実施形態において、上の濃縮溶液は投与前に通常の生理食塩水で総容量500mLに希釈される。希釈は治療期間中に投与される薬剤量に基づいて健康管理提供者によって行われる。
【0046】
ある実施形態において、濃縮形はさらに約0.1mg/mLないし約10mg/mL、約0.5mg/mLないし約8mg/mL、約1mg/mLないし約7mg/mL、約2mg/mLないし約6mg/mL、約3mg/mLないし約5mg/mL、より好ましくは約3.5mg/mLないし約4mg/mLの範囲の、より好ましくは約3.9mg/mLの塩化ナトリウムを含む。
【0047】
また別の好ましい実施形態において、i.v.溶液を希釈して、約0.001mg/kg/分より大きい範囲、約0.01mg/kg/分より大きく約10mg/kg/分未満の範囲、約0.1mg/kg/分より大きく約5mg/kg/分未満の範囲、約0.5mg/kg/分より大きく約3mg/kg/分未満の範囲、約1mg/kg/分より大きく約2mg/kg/分未満の範囲、より好ましくは約0.05mg/kg/分より大きく約0.2mg/kg/分未満の範囲の投与量、より好ましくは約0.1mg/kg/分の投与量を患者に提供するようにする。
【0048】
好ましい一実施形態において、i.v.溶液を希釈して総投与量1mg/kgないし500mg/kg、2mg/kgないし400mg/kg、3mg/kgないし300mg/kg、4mg/kgないし250mg/kg、5mg/kgないし225mg/kg、10mg/kgないし200mg/kg、30mg/kgないし160mg/kgとなるようにする。幾つかの実施形態において、総投与量は本明細書に記載される心臓手術を受けている患者に対して約40mg/kg、または本明細書に記載される非心臓手術を受けている患者に対して120mg/kgである。
【0049】
ある実施形態において、本明細書中の組成物、処方物または溶液は、患者の血中組成物濃度が0.01μg/mLないし50μg/mL、0.1μg/mLないし45μg/mL、1μg/mLないし35μg/mL、2μg/mLないし30μg/mL、3μg/mLないし25μg/mL、4μg/mLないし20μg/mL、5μg/mLないし15μg/mL、6μg/mLないし10μg/mL、または7μg/mLないし9μg/mLとなるように提供される。ある実施形態において、本発明の組成物、処方物または溶液は、血中濃度が1μg/mLないし20μg/mL、3μg/mLないし6μg/mL、または約5μg/mLとなるように投与される。
【0050】
一実施形態において、本発明は本明細書に記載される組成物を含む灌流溶液を考慮する。本発明の組成物(好ましくは式IIIを有するAICAリボシドまたはそのアナログ)の灌流溶液中の濃度は約0.1μMないし約500μM、約0.5μMないし約400μM、約1μMないし約300μM、約2μMないし約200μM、約3μMないし約150μM、約4μMないし約125μMの範囲、より好ましくは約5μMないし約100μMの範囲、より好ましくは約20μMである。好ましい実施形態において、本発明の組成物またはその処方物が、式I、IIおよびIIIの化合物またはそのアナログを含むAICAリボシドの濃度が20μMまたは5μg/mLとなるような灌流溶液として、CABG手術または臓器移植を受けている患者に投与される。
【0051】
好ましい実施形態において、本発明の灌流溶液は本発明の組成物の濃縮形を約0.01mg/mLないし約30mg/mLの範囲、約0.1mg/mLないし約20mg/mL、約0.5mg/mLないし約10mg/mLの範囲、またはより好ましくは約1mg/mL含む。
【0052】
ある実施形態において、灌流溶液は本発明の組成物を0.1μMないし500μM、0.5μMないし400μM、1μMないし300μM、2μMないし200μM、3μMないし150μM、4μMないし125μM、または5μMないし100μM、6μMないし90μM、7ないし80μM、8μMないし70μM、7μMないし60μM、8μMないし50μM、9μMないし40μM、または10μMないし30μMの濃度で含む。灌流溶液中の本発明の組成物の濃度が約20μMであるのが好ましい。
【0053】
固体医薬組成物は、非制限的に凍結乾燥粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、サチェットおよび坐薬などである。このような固体処方薬には賦形剤、例えば非制限的に、ラクトース、スクロース、マンニットまたはソルビトールを含める砂糖などのフィラー;芳香剤、セルロース製品、例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、ゼラチン、トラガントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などを加えることもできる。所望ならば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸、これらの塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤を加えてもよい。これらの組成物は徐放性製剤として処方し、製造することができる。
【0054】
ある実施形態において、本発明の処方物は、本明細書に記載される状態に関連する組織損傷の特定部位に、またはその近くに局所的に投与される場合、局所的および領域的な予防または治療効果をあらわすことができる。例えば本発明の処方物を使用して虚血状態、アデノシンによって調節される状態;組織への血流減少に関係する状態を治療および/または予防することができ、または患者の病的状態/死亡を単に予防することができる。
【0055】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は手術時に投与される。例えば本発明の組成物を含む、実質的にこの組成物からなる、またはこの組成物からなるi.v.溶液を、麻酔の1ないし90分前、麻酔の2ないし80分前、麻酔の3ないし70分前、麻酔の4ないし60分前、麻酔の5ないし50分前、麻酔の6ないし40分前、麻酔の7ないし30分前、麻酔の8ないし28分前、麻酔の9ないし26分前、麻酔の10ないし24分前、麻酔の11ないし22分前、麻酔の12−20分前、麻酔の13ないし18分前、麻酔の14ないし16分前、またはより好ましくは麻酔の15分前に投与開始することができる。
【0056】
本発明の処方物および/または組成物は1ないし24時間、2ないし20時間、3ないし16時間、4ないし12時間、5ないし10時間、6ないし8時間、またはより好ましくは7時間投与できる。
【0057】
好ましい実施形態において、本発明の処方物および/または組成物は手術後に1ないし36時間、2ないし32時間、3ないし28時間、4ないし24時間、5ないし20時間、6ないし18時間、7ないし16時間、8ないし14時間、または9ないし12時間の期間投与される。
【0058】
好ましい実施形態において、本発明の処方物および/または組成物の投与は、心臓手術(CABGなど)のための麻酔投与の15分前に開始し、7時間続けられる。しかし、投与の速度および時間は変量の数、例えば非制限的に、使用組成物の活性、処置すべき状態、投与法、個々人の必要事項、処置すべき状態の重症度、および現場の医師の判断などによって変化し得る。
【0059】
また別の実施形態において、本発明の処方物および/または組成物は胃腸の状態を処置するために投与される。このような実施形態において、これら組成物は、本発明の組成物を1種類以上含む溶液、懸濁液、軟膏、浣腸および/または坐薬によって経口的にまたは直腸に送達されるように処方される。例えば消化器系に関する状態を処置するために、本発明の組成物を含む坐薬処方薬が使用できる。そのような実施形態において、本明細書に記載される処方物は、本明細書に記載される状態による望ましくない作用を阻止または軽減することによって、全身的というよりむしろ適用部位またはその近辺に利益をもたらす。好ましい実施形態において、本明細書に開示される組成物を含む処方物は急性腸虚血の処置に有用である。
【0060】
組合わせ
本発明の組成物は1種類以上の追加的治療薬と共投与または共処方することができる。本発明の組成物類と共処方または共投与できる治療薬の選択は、一部、処置または予防する状態に左右される。
【0061】
ある実施形態において、本発明の組成物はアデノシンデアミナーゼインヒビター、血液凝固インヒビター、抗凝固剤、抗血小板薬、抗高血圧薬、コレステロール低下薬、血管拡張剤、ベータ−ブロッカー、ace−インヒビター、鎮痛薬、抗炎症薬、抗腫瘍薬、および/または利尿剤と共処方または共投与される。
【0062】
好ましい実施形態において、本発明の組成物はアデノシンデアミナーゼインヒビターと共処方または共投与される。このようなインヒビターは、アデノシンデアミナーゼがアデノシンからイノシンへの脱アミノを触媒することを阻害する。(Law、米国特許第6,103,702号参照)。
【0063】
本発明の組成物と組合わせることができるアデノシンデアミナーゼインヒビターの例は、非制限的に、9−(1−ヒドロキシー2−オクチル)アデニン、エリスロ−9−(2−ヒドロキシ−3−ノニル)アデニン(EHNA)、2’−デオキシコホルマイシン、コホルマイシン、1,3,7−トリメチルキサンチン(カフェイン)、およびペントスタチンなどである。好ましい実施形態において、本発明はここに記載される組成物とペントスタチンとの共投与または共処方を考慮する。より好ましくは、本発明は式I、IIおよびIIIの化合物またはそれらのアナログなどのAICAリボシドを含む組成物およびペントスタチンを含む組成物またはその処方物に関係する。
【0064】
本発明の一局面において、本明細書に記載される組成物は血液凝固インヒビターと共投与または共処方される。本発明の血液凝固インヒビターは、血液凝固を防ぎまたは阻止する任意の薬、作用物質または医薬組成物でよい。このインヒビターは、血液凝固因子の減少または血小板の活性化または凝集の低減、または炎症または侵襲のような刺激因子の作用緩和などを含む種々の機序のいずれかによって血液凝固形成を予防または阻害することによって作用することができる。血液凝固インヒビターは形成後の凝血を破壊または溶解することによって作用することもある。血液凝固インヒビターには数種類あり、抗血小板薬、血栓溶解酵素、凝集インヒビター、糖蛋白IIb/IIIaインヒビター、グリコサミノグリカン、トロンビンインヒビター、抗凝固薬、ヘパリン、低分子量ヘパリン、クマリン、インダンジオン誘導体、および組織プラスミノーゲンアクチベータなどである。Physicians’Desk Reference(56th ed.,2002)Medical Economics;Mosby’s Drug Consult,2002,Elsevier Science;Goodman and Gilman’s The Pharmacologic Basis of Therapeutics,(9th ed.1996)Pergamon Press;Drug Facts and Comparisons,updated monthly,September,2002,Facts and Comparisons,Wolters Kluwer Company,St.Louis,MO.を参照されたい。
【0065】
本発明の目的のためには、血液凝固形成を防止または阻止し、または血液凝固を溶解または崩壊させる任意の物質が適している。このような血液凝固インヒビターは例えば、シロスタゾール(PLETAL(登録商標)、オーツカ)、クロピドグレル(PLAVIX(登録商標)、サノフィ−アヴェンティス)、チクロピジン(TICLID(登録商標)、シンテックス)、チロフィバン(AGGRASTAT(登録商標)、メルク社)、エプチフィバチド(INTEGRILIN(登録商標)、CORテラポイティクス)、アブシキマブ(REOPRO(登録商標)、イーライリリー社)、アナグレリド(AGRYLIN(登録商標)、ロバーツ社)、ジピリダモール(PERSANTIN(登録商標)、ベーリンガーインゲルハイム社)、アスピリン(ECOTR(登録商標)など)、ジピリダモール/アスピリン(AGGRENOX(登録商標)、ベーリンガーインゲルハイム社)、ダルテパリン(FRAGMIN(登録商標)、ファルマシア社)、エノキサパリン(LOVENOX(登録商標)、アヴェンティス社)、チンザパリン(INNOHE(登録商標)、デュポン社)、ヘパリン(種々)、ダナパロイド(ORGANON(登録商標)、オルガノン社)、アンチトロンビンIII(THROMBATE(登録商標)、バイエル社)、レピルジン(REFLUDAN(登録商標)、サノフィ−アヴェンティス社)、アルガトロバン(ACOVA(登録商標)、グラクソ スミスクライン社)、ビバリルジン(ANGIOMAX(登録商標)、メディスンズ カンパニー)、ワルファリン(COUMADIN(登録商標)、デュポン社)、アニシジオン(MIRADON(登録商標)、シェリング社)、アルテプラーゼ(ACTIVASE(登録商標)、ジェネテック社)、レテプラーゼ(RETAVASE(登録商標)、ベーリンガーマンハイム社)、テネクテプラーゼ(TNKASE(登録商標)、ジェネンテック社)、ドロトレコギン(XIGRIS(登録商標)、イーライリリー社)、アニストレプラーゼ(EMINASE(登録商標)、ロバーツ)、ストレプトキナーゼ(STREPTASE(登録商標)、アストラ)、ウロキナーゼ(ABBOKINASE(登録商標)、アボット社)およびこれらの組合わせである。
【0066】
ある実施形態において、本発明の組成物は血液凝固インヒビターと共処方または共投与される。好ましくはこのような血液凝固インヒビターはアスピリンである。
【0067】
ある実施形態において、本発明の組成物は抗腫瘍薬と共処方または共投与される。抗腫瘍薬の例は、非制限的にアシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン(asperlin);アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット(batimastat);ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ビスナフィドジメシレート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム(brequinar sodium);ブロピリミン(bropirimine);ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クリスナトールメシレート(crisnatol mesylate);シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン(dexormaplatin);デザグアニン;デザグアニンメシレート;ジアジクオン(diaziquone);ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン(droloxifene);クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;ドゥアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾル(erbulozole);塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エチオダイズドオイルI131;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;フォスキドン(fosquidone);フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ゴールドAu198;ヒドロキシウレア;塩酸イダルビシン;イフォスファミド;イモフォシン;インターフェロンアルファ−2a;インターフェロンアルファ−2b;インターフェロンアルファ−n1;インターフェロンアルファ−n3;インターフェロンベータ−Ia;インターフェロンガンマ−Ib;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;リン酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール(masoprocol);マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド(mitindomide);ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;ミトマイシン;ミトスペル;ミトーテン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン(ormaplatin);オキシスラン(oxisuran);パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;プロマイシン;塩酸プロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム(sparfosate sodium);スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;塩化ストロンチウム Sr89;スロフェヌール;タリソマイシン;タキサン;タキソイド;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;塩酸トポテカン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシンを含む。
【0068】
滅菌
本発明の任意の組成物および処方物は、当業者に公知の任意の手段によって滅菌されるのが好ましい。
【0069】
ある実施形態において、滅菌(sterilizationまたはsterilizing)は、本発明の任意の組成物または処方物を、生存する細菌集団が減少するような時間、一組の滅菌条件にさらすことを含む。その他の幾つかの実施形態において、滅菌(sterilization またはsterilizing)は、本発明の組成物中において生存する細菌集団を50%より大きいファクター、60%より大きいファクター、70%より大きいファクター、80%より大きいファクター、90%より大きいファクター、99%より大きいファクターでまたは99.99%より大きいファクターで減少させることを含む。
【0070】
ある実施形態においては、本発明の組成物を滅菌し、望ましくない物質の存在を50%より大きいファクター、60%より大きいファクター、70%より大きいファクター、80%より大きいファクター、90%より大きいファクター、99%より大きいファクターまたは99.99%より大きいファクターで減少させる。
【0071】
また別の実施形態において本発明は、不純物を約1重量%未満ないし約10重量%未満、約2重量%未満ないし約9重量%未満、約3重量%未満ないし約8重量%未満、約4重量%未満ないし約7重量%未満、約5重量%未満ないし約6重量%未満、好ましくは約1%未満、より好ましくは約0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、または0.1%未満有する本明細書に記載される無菌組成物を提供する。本明細書において考慮される任意の滅菌された組成物は好ましくは50%、40%、30%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%または0.1%未満の不純物を有する。
【0072】
滅菌は、当業者に公知の種々の方法によって行うことができる。本発明の組成物および処方物は凍結乾燥、蒸気滅菌、乾熱滅菌、化学的“冷”滅菌(chemical“cold”sterilization)、濾過滅菌、放射線滅菌またはこれらの組合わせを含む数種の滅菌法によって滅菌できる。
【0073】
一実施形態において、本発明の組成物または処方物は凍結乾燥法または非凍結乾燥法によって滅菌される。例えば本発明は、滅菌され、凍結乾燥されたAICAリボシドおよびそのアナログを考慮する。
【0074】
凍結乾燥は当業者に公知の任意の方法によって行うことができる。例えば凍結乾燥の一般的方法は本発明の任意の組成物を適切な溶媒に溶解する第一工程を含めるとよい。第二工程は細菌固定濾過によるバルクの溶液の滅菌を含めるとよい。第三工程は個々の無菌容器を充填し、無菌的条件下でこれらの容器に部分的に栓をすることを含めるとよい。第四工程には栓をした容器を凍結乾燥器に運び、それらを無菌条件下でチェンバーに入れることを含ませることができる。第五工程にはそれらの容器を凍結乾燥チェンバーまたは前凍結のための別のチェンバーの冷却された棚に置くことによって凍結することを含ませることができる。第六工程は無菌条件下でそのチェンバーを真空にすることを含めるとよい。第七工程は凍結乾燥器に設置された液圧またはねじ締めによるトップストッパリングメカニズムによってバイアルを完全に密栓することを含ませることができる。
【0075】
凍結乾燥の好ましい実施形態は(i)滅菌すべき組成物または処方物(例えばAICAリボシドまたはそれのアナログ)をチェンバーに充填する工程;(ii)温度を25℃から≦−40℃に低下させ;生成物を−40℃に10時間放置して凍結させる工程;(iii)チェンバーを真空にする工程;(iv)その組成物を−40℃から45℃まで上昇する温度で24−28時間乾燥する工程;(v)チェンバー内を真空に(好ましくは100−200ミクロン)保持する工程;(vi)第二の乾燥工程を45℃で38時間行う工程;(vii)栓をする前にチェンバーを25℃で4時間平衡化する工程;(iix)濾過した窒素をチェンバーに流し込む工程;(ix)<500ミクロンの真空に保持する工程;(x)密封した真空凍結器中でバイアルを自動的に密栓する工程;(xi)これらのバイアルをアルミニウムでオーバーシールする工程を含む。
【0076】
一実施形態において、本発明の組成物および処方物は滅菌され、凍結乾燥はされない。
【0077】
滅菌された非凍結乾燥組成物および処方物を与える方法の例は、非制限的に、蒸気滅菌、乾燥滅菌、化学的冷滅菌、濾過滅菌、放射線滅菌またはこれらの組合わせを含む。
【0078】
一実施形態において、本発明の組成物または処方物は蒸気滅菌で滅菌される。蒸気滅菌は例えば、その製剤の処理時間に比例する割合で微生物を分解するという効果を有する温度で、組成物を加圧蒸気に浸すことを含む。組成物を約100℃ないし約200℃、約105℃ないし約175℃、約110℃ないし約150℃、約115℃ないし約140℃、約120℃ないし約130℃、より好ましくは約121℃の温度で過熱蒸気によって、または水分飽和蒸気滅菌によって滅菌することができる。このような温度はオートクレーブを使用して得ることができる。使用できるオートクレーブの種類は飽和蒸気オートクレーブ、過熱水噴霧オートクレーブ、およびエアーオーバー蒸気オートクレーブである。Barry D.Garfinkle & Martin Henley,Sterilization,in Remington:The Science and Practice of Pharmacy,755(Alfonso R.Gennaro ed.,20th ed.,Lippincott,Williams & Wilkins 2000)を参照されたい。こうして本発明の組成物は、すべての細菌性混入物または望ましくない物質が適切なレベルにまで減少し、しかも有効な安定組成物が提供されるのに十分な温度で十分な時間蒸気滅菌される。
【0079】
また別の実施形態において、本発明の組成物または処方物はいずれも乾熱滅菌によって滅菌できる。この種の滅菌は微生物並びにそれらの副産物、例えば内毒素または発熱物質などのあらゆる化学的活性、および本発明の組成物中に存在するその他の任意の望ましくない物質の破壊を含む。乾熱による滅菌は約100℃ないし約200℃、約120℃ないし約190℃、約140℃ないし約180℃、および好ましくは約120℃ないし約160℃の温度、および約10分ないし約240分、約20分ないし約200分、および好ましくは約30分ないし約180分の時間行うことができる。より好ましくは、乾熱滅菌は約250℃で約30分ないし約60分間行われる。この方法は乾熱バッチ滅菌器および乾熱トンネル装置など、種々のオートクレーブを用いて行うことができる。Barry D.Garfinkle & Martin Henly, Sterilization,in Remington:The Science and Practice of Pharmacy,763−764(Alfonso R.Gennaro ed.,20th ed., Lippincott, Williams & Wilkins 2000)を参照されたい。こうして本発明の組成物または処方物は、すべての細菌混入物またはすべてのその他の望ましくない物質が適切なレベルにまで減少し、しかも有効な安定組成物が提供されるのに十分な温度で十分な時間乾熱滅菌される。
【0080】
また別の実施形態においては、化学的冷滅菌を用いて本発明の組成物または処方物を滅菌する。化学的冷滅菌は、組成物中の微生物類または任意のその他の望ましくない物質を除去する作用物質でこれら組成物を処理することを含む。使用する作用物質としては二酸化塩素、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ホルムアルデヒド、ベータプロピオラクトン、オゾン、過酸化水素、過酢酸またはこれらの組合わせのガスまたは蒸気が含まれる。Barry D.Garfinkle & Martin Henley,Sterilization,in Remington:The Science and Practice of Pharmacy,765−770(Alfonso R.Gennaro ed.20th ed.Lippincott,Williams & Wilkins 2000)を参照されたい。一実施形態において本発明で考慮される組成物は、減圧滅菌器を用いて、約50mg/Lないし約2000mg/L、約100mg/Lないし約1800mg/L、約200mg/Lないし約1600mg/L、約300mg/Lないし約1400mg/L、または約400mg/Lないし約1200mg/Lの濃度範囲のエチレンオキシド(EtO)を使用する化学的冷滅菌によって滅菌される。本発明のまた別の実施形態において、本発明で考慮される組成物は過酸化水素ガスによって滅菌される。本発明の好ましい実施形態において、本発明は二酸化塩素(CD)によって滅菌される本明細書に記載の任意の組成物を考慮する。こうして本発明の組成物は、すべての細菌性混入物が適切なレベルにまで減少し、しかも有効な安定組成物が得られるような十分な時間、適切な作用物質を用いて化学的冷滅菌される。
【0081】
また別の実施形態において、濾過滅菌を用いて本発明の組成物または処方物を滅菌できる。濾過滅菌は液体組成物がフィルタを通過する際に、微生物、有機物質、粒状物およびその他の任意の望ましくない物質を上記組成物から除去することを含む。濾過滅菌は組成物中に存在するかも知れない微生物および任意のその他の望ましくない物質を除去するという概念に基づいている。粒状物は篩過またはスクリーニングの一つ以上による濾過、捕獲または密着、および静電吸引によって除去される。一実施形態において、本発明の組成物または処方物は約0.01ないし約5μm、約0.02μmないし約4.5μm、約0.03μmないし約4μm、約0.04μmないし約3.5μm、約0.05μmないし約3μm、約0.1μmないし約2.5μm、約0.2μmないし約2μm、約0.3μmないし約1.5μm、約0.4μmないし約1μm、および約0.5μmないし約0.9μm、または約0.2ないし約0.5μmの孔サイズを有するフィルタを使用して滅菌できる。好ましい実施形態において、組成物または方法は約0.22μmないし約0.45μmのフィルタを用いて濾過される。
【0082】
フィルタ類はナイロン、ポリスルホン、ポリカルボネート、ポリビニリジエン ジフルオライド、ポリビニリジエン フルオライド(PVF)、セルロースエステル類(MCE)、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など種々のポリマーから製造される。Barry D.Garfinkle & Martin Henley,Sterilization,in Remington:The Science and Practice of Pharmacy,770−771(Alfonso R.Gennaro ed.,20th ed.,Lippincott,Williams & Wilkins 2000)を参照されたい。ある実施形態において、濾過滅菌を用いて過栄養溶液、その場で配合する製剤、およびより好ましくは静脈注射用(i.v.)混合物を滅菌する。こうして本発明の組成物は、任意の細菌性混入物またはその他の任意の望ましくない物質のレベルが減少し、なお有効な安定組成物が提供されるような適切な孔サイズを有する適切な膜を用いて濾過滅菌される。
【0083】
また別の実施形態において、放射線滅菌を用いて本発明の組成物または処方物を滅菌することができる。放射線滅菌は電磁放射線または粒子放射線を含めた放射線で対象物に衝撃を与えることを含む。好ましい一実施形態において、組成物は、紫外線、X線、宇宙線、および最も好ましくはガンマ放射線を含めた電磁放射線によって滅菌される。好ましい実施形態において、組成物はコバルト−60によって滅菌され、より好ましくは使用するコバルト−60の量が約1MCiないし約20MCi、約2MCiないし約18MCi、約3MCiないし約16MCi、および約3.5MCiないし約14MCi、より好ましくは約4MCiないし約12MCiである。
【0084】
粒子線としても知られる微粒子放射線は粒子照射による放射線である。好ましい一実施形態において、本発明はプロトン粒子、中性子、好ましくは電子粒子などの粒子放射線によって滅菌される本発明の組成物または処方物を考慮する。粒子放射線による滅菌のために選択される放射線量は約1kGy(キログレイ、1Gy=1ジュール/kg)ないし約25kGy、5kGyないし約20kGy、約10kGyないし約15kGy、好ましくは約15kGyないし約25kGy、より好ましくは約2kGyないし約8kGyでよい。好ましい実施形態において、交流機器および直流機器を含める電子加速器を使用して、電子衝突による粒子放射線を本発明の組成物または処方物に適用する。
【0085】
したがって放射線滅菌は本発明の組成物を提供するために有用である。例えば本発明の組成物は任意の細菌性混入物が適切なレベルにまで減少し、しかもなお有効な安定組成物が提供されるような適切な種類の放射線および適切な放射線量を用いて放射線滅菌される。
【0086】
方法
一実施形態において、本発明の組成物および処方物を使用して局所的内因性アデノシンレベルを変化させまたは高めることができる。アデノシン(Ad)は公知のその受容体(Adr)、例えばA1、A2A、A2B、およびA3の1つ以上に結合することができ、その結果、虚血状態のような状態に影響を与える種々の生理的反応を変化させることができる。例えばアデニレートシクラーゼは刺激性G蛋白がアデノシン受容体に結合すると活性化され、それによってcAMP産生およびキナーゼ類の活性化がおこり、結局は血管が拡張する。抑制性G蛋白がアデノシン受容体に結合すると、アデノシン結合はこれらの生理的反応を阻害することになり、それはアデニレートシクラーゼの阻害につながる。
【0087】
一実施形態において、本発明の組成物および処方物を使用して患者の状態を処置および/または予防することができる。本発明の組成物によって処置/予防できる状態には、例えば虚血状態、アデノシンまたはアデノシン受容体によって調節される状態、組織への血流減少と関連する状態、好ましくないまたは制御不能の細胞増殖、または死亡などがある。
【0088】
虚血状態の例としては心筋梗塞、狭心症、アテローム硬化性障害、卒中、脳血管狭窄、およびけいれんのような虚血性心疾患;筋肉けいれんと関係する虚血性筋障害;虚血性脳障害および虚血性GI/腸疾患などがある。
【0089】
好ましくないまたは調節不能の細胞増殖状態の例としては非制限的に、腫瘍、原発腫瘍および腫瘍転移のような種々のタイプの癌、再狭窄(例えば冠動脈、頸動脈、および脳損傷)、内皮細胞の異常刺激(アテローム硬化症)、手術による体組織の傷害、異常な創傷治癒、異常な脈管形成、組織線維症をおこす状態、反復運動障害、十分に血管が新生されない組織障害、および臓器移植と関連する増殖性反応などである。
【0090】
特に、本発明は、本発明の組成物、処方物およびステントを用いて癌を処置することに関連する。癌の例としては白血病、乳癌、皮膚癌、骨癌、前立腺癌、肝臓癌、肺癌、脳の癌、咽頭、胆嚢、膵臓、直腸、副甲状腺、甲状腺、副腎、神経組織、頭部および頸部、結腸、胃、気管、腎臓の癌、基底細胞癌、潰瘍化および乳頭状両タイプの扁平上皮細胞癌、転移性皮膚癌、骨肉腫、ユーイング肉腫、細網細胞性肉腫、骨髄腫、巨細胞腫瘍、小細胞性肺腫瘍、胆石、膵島細胞腫瘍、原発性脳腫瘍、急性および慢性リンパ球および顆粒球腫瘍、線毛細胞腫、アデノーマ、過形成、髄様癌、褐色細胞腫、粘膜神経腫、腸神経節神経腫、過形成性角膜神経腫、マルファン症候群体質様の腫瘍(marfanoid habitus tumor)、ウィルムス腫瘍、セミノーマ、卵巣腫瘍、平滑筋腫瘍、頸管異形成およびインサイチュー癌腫(in situ carcinoma)、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、軟組織肉腫、悪性カルチノイド、局所的皮膚損傷、菌状息肉症、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、骨原性およびその他の肉腫、悪性高カルシウム血症、腎細胞腫瘍、真性赤血球増加症、腺癌、多形性神経膠芽腫、白血病、リンパ腫、悪性メラノーマ、扁平上皮癌、およびその他の癌腫および肉腫が含まれる。
【0091】
ある実施形態において、本発明の組成物によって処置/予防される状態は血管性であり、ある実施形態では非血管性である。
【0092】
本発明の組成物または処方物によって処置または予防される血管性疾患の例は非制限的に心筋虚血、心臓発作、卒中、壁内または非貫通性心筋梗塞、急性心筋梗塞、冠状動脈疾患、冠動脈性心臓疾患、不整脈、突然心臓死、卒中のような脳血管性異常、うっ血性心不全、生命を脅かす律動異常、心筋症、一過性虚血発作、急性虚血性症候群、または狭心症、急性環状動脈ステント不全、またはこれらの組合わせによっておきる血管異常を含む。好ましい実施形態において、本発明の組成物を用いて患者の心筋梗塞または卒中を処置および/または予防する。
【0093】
ある実施形態において、本発明の組成物または処方物によって処置または予防できる血管異常は胃腸または腸間膜虚血/梗塞によっておきる状態、真性糖尿病の微小血管病(これは脳、腎臓、心臓、皮膚、網膜、および末梢神経およびそれらに関連する微小血管系に影響を与え得る)および比較的短時間の血流喪失をおこす現象、例えば慢性腸虚血、急性腸虚血、腎臓虚血、骨格筋の間欠性跛行片頭痛、レイノー現象、またはそれらの組合わせなどを含む。
【0094】
また別の実施形態において、本発明の組成物または処方物によって処置または予防される状態は非血管性異常である。本発明によって処置または予防される非血管性異常の例は、非制限的に肝臓損傷、膵臓損傷、および腸虚血、ショックおよび非心臓性原因に起因するような播種性血管内凝固症候群による死亡を含む。好ましい実施形態において、患者のショックを処置および/または予防するために本発明の組成物を用いる。
【0095】
本発明の組成物はアデノシン受容体関連疾患を処置および/または予防するために投与される。アデノシン受容体関連疾患はアデノシン受容体の活性が関係する疾患である。具体的には、アデノシンとその受容体との結合を促進し、それによってアデニレートシクラーゼ活性を高めるか、またはアデニレートシクラーゼの活性増加によって活性化されるキナーゼの活性を高めることによって当該疾患を処置する。アデニレートシクラーゼまたはその基質類の一つの活性増加が血管拡張の増強につながる。アデノシン受容体関連性疾患は、アデノシンとその受容体との結合を阻害することによって処置および/または予防することもできる。好ましくは本発明は、本発明の組成物またはその処方物の投与を含む患者の状態の治療および/または予防法であって、上記状態がアデノシン受容体関連性疾患である上記方法を提供する。アデノシン受容体関連性疾患は、アデノシン受容体の阻害によるかまたは活性化によって、アデノシン受容体の活性が影響を受けている状態である。
【0096】
その他の一実施形態において、状態はアデノシン受容体関連性疾患である。このような状態は非制限的に喘息、アレルギー、アレルギー性疾患(例えばアレルギー性鼻炎及びアレルギー性副鼻腔炎)、自己免疫疾患(例えば狼瘡)、下痢、インスリン抵抗、糖尿病、虚血/再灌流障害に関連するマスト細胞脱顆粒の阻害、心臓発作、炎症状態、血栓性異常(例えば肺塞栓症、冠動脈の急性血栓症、心筋梗塞、脳動脈(卒中)またはその他の器官の急性血栓症)、腫瘍性組織における血管新生の阻止、および糖尿病性網膜症または高圧酸素による網膜症における血管新生の阻止を含む。
【0097】
本明細書に記載される状態を処置および/または予防する方法は本発明の組成物または処方物の有効量を患者に投与することを含む。
【0098】
有効量とは、本発明の組成物の血中濃度を約0.01μg/mLより多い量から約50μg/mL未満まで、約0.1μg/mLより多い量から約45μg/mL未満まで、約1μg/mLより多い量から約35μg/mL未満まで、約2μg/mLより多い量から約30μg/mL未満まで、約3μg/mLより多い量から約25μg/mL未満まで、約4μg/mLより多い量から約20μg/mLまで、約5μg/mLより多い量から約15μg/mLまで、約6μg/mLより多い量から約10μg/mL未満まで、約7μg/mLより多い量から約9μg/mL未満まで、好ましくは約1μg/mLより多い量から約20μg/mL未満まで、より好ましくは約3μg/mLより多い量から約6μg/mL未満まで、最も好ましくは約5μg/mLに維持するような量である。一実施形態において、ある患者のAICAリボシドの所望血中濃度は投与後約1分ないし約15分以内、約2分ないし約12分以内、約3分ないし約10分以内、約4分ないし約8分以内、約5分ないし約7分以内、好ましくは約2分ないし約5分以内に達成される。
【0099】
また別の実施形態において、本発明の組成物の有効量は0.001mg/kg/分ないし20mg/kg/分、0.005mg/kg/分ないし10mg/kg/分、0.01mg/kg/分ないし5mg/kg/分、0.05mg/kg/分ないし1mg/kg/分、0.1mg/kg/分ないし0.5mg/kg/分、より好ましくは約0.1mg/kg/分である。
【0100】
一局面において、本発明は、本発明の組成物または処方物を1mg/kgないし500mg/kg、2mg/kgないし400mg/kg、3mg/kgないし300mg/kg、4mg/kgないし250mg/kg、5mg/kgないし225mg/kg、10mg/kgないし200mg/kg、30mg/kgないし160mg/kg投与することによって、本明細書に記載の状態を処置および/または予防する方法を提供する。ある実施形態において、総投与量は約40mg/kgである。非心臓手術を受けている患者に投与する際には総投与量は約100−240mg/kgでよい。
【0101】
本発明の任意の実施形態において、組成物また処方物は約1分間より長く、約1年未満までの期間投与される。好ましい実施形態において、このような組成物またはその処方物は約1時間より長く、約1週間未満までの期間、約2時間より長く、約1日未満までの期間、約3時間より長く、約18時間未満までの期間、約4時間より長く、約12時間未満までの期間、約6時間より長く、約10時間未満までの期間投与され、より好ましくは約4時間より長く、約8時間未満までの期間投与される。
【0102】
必要ならば、本明細書に開示される量より少ない量または多い量を使用することができる。しかしこのような投与量は多数の変量、非制限的に、使用する化合物の活性、処置すべき状態、投与法、個々人の必要事項、処置すべき状態の重症度、および臨床医の判断などによって変化し得る。個々の治療法に関して変量の数が大きいため、上記の範囲は単に示唆的なものであり、推奨値からかなり偏位があるのはまれではない。
【0103】
また別の実施形態において、本発明は手術を受ける患者の本明細書に記載の状態を処置および/または予防する方法を提供する。手術は心臓性でも非心臓性でもよい。
【0104】
心臓手術の例は非制限的に、冠動脈バイパス移植(CABG)のようなバイパス類、経皮的経管的冠動脈形成術(PTCA)、経皮的経管的血管形成術(PTA)、レーザー血管形成術、脳血管形成術、アテレクトミー、血管内ステント法、頸動脈内膜切除術、心臓および心−肺移植、人工心臓デバイスおよび除細動器の移植、弁置換または修復、及び先天性手術などを含む。
【0105】
好ましい実施形態において、本発明の組成物または処方物をCABG手術を受ける患者に投与する。AICAリボシドのpH6−8、または6.5および7.5の緩衝溶液をCABG手術を受ける患者に、0.1mg/kg/分の速度で約7時間、i.v.注射によって、および任意に約5μg/mLまたは約20μMの灌流溶液を使用して投与するのが好ましい。
【0106】
一実施形態において、心臓手術は血管内ステント法である。血管内ステントは患者の血管または冠動脈に移植されるように作られたデバイスである。一般的にステントは血管または冠動脈の部分を拡げて保持することができ、時には拡げることができる円筒状デバイスである。ステントは圧縮された形で標的位置に送達され、その後開いた形に展開され、血管または動脈を支持し、再閉鎖を防止する。ステントを使用して動脈および/または血管のアテローム硬化性狭窄症を処置し、または動脈または血管の狭化または狭窄症後の血管を処置および修復することができる。
【0107】
好ましくは本発明のもとでの心臓手術は、狭窄をPTCAまたはPTAによって圧迫した後、または狭窄をアテレクトミーによって除去した後に血管を処置および/または修復するためのステントを使用し、上記処置の結果を改善しおよび/または再閉塞または再狭窄の可能性を低下させることを含む。心臓手術はPTCAまたはPTAのような初期の処置をせずにステントを使用して狭窄を圧迫することも含む。本発明下の手術は頸動脈、末梢血管、尿道、食道および胆管のような別の体腔にステントを移植することを含む。血管修復デバイスに関係する心臓手術は血管形成術である。
【0108】
一実施形態において、標準的血管内ステントの外側部分に薬剤が塗られた薬剤塗布または薬剤溶出ステントに、本発明の組成物が使用される。好ましくは本明細書に記載の組成物またはその処方物を含むポリマーを使用して血管内ステントをコーティングする。そのステントが開いた後、本発明の組成物またはその処方物が心臓手術後の時間の経過につれて血管または動脈壁に放出され、細胞内アデノシンの内因性局所性濃度を高めることによって処置および/または予防できる状態を緩和および/または予防する。
【0109】
また別の実施形態において、手術は非心臓性手術または外来による手術である。
【0110】
非心臓性または外来手術の例は、非制限的に、小および大腸切除、臓器移植、虫垂切除、腹腔鏡検査、穿刺、前立腺の経尿道的切除(TURP)、子宮摘出術、卵管結紮、精管切除、卵管卵巣摘出、帝王切開、痔核切除術、扁桃摘出術、鼓膜切除術、鼓膜穿刺管の設置、結腸および直腸からのポリープ除去、直腸脱出の修復、腸新生物の除去および処置、掻爬術、胸腔穿刺術、臓器移植、開胸術、鼻形成術および脂肪吸引法などである。
【0111】
本発明の組成物または処方物は本発明に記載の手術を受ける患者に手術時に投与できる。ある実施形態において、組成物は手術前、手術中および/または手術後に投与できる。ある実施形態において、組成物は薬剤溶出ステント、静脈内注射、灌流溶液またはそれらの組合わせによって投与される。ある実施形態において、患者は第二の治療薬も投与される。好ましい実施形態において、第二の治療薬はアデノシンデアミナーゼインヒビターまたは血液凝固インヒビターである。より好ましい実施形態において、第二の治療薬はペントスタチンまたはアスピリンである。
【0112】
スクリーニング
本発明は、あるヒトが本明細書に記載の組成物または処方物によって処置および/または予防できる本明細書に記載の状態に特にかかりやすいかどうかを決定するためにヒトをスクリーニングすることも考慮する。このような高リスク患者のスクリーニングは一般的な臨床的標準、例えば以前のまたは同時の診断、疾患の家族歴または遺伝的スクリーニングなどを用いて行われる。例えばある状態、好ましくは内因性局所性細胞外アデノシンの濃度を調節することによって処置および/または予防できることが知られている状態にかかりやすいと診断されたヒトに本発明の組成物またはその処方物を投与して本明細書に記載の状態を処置および/または予防することができる。
【0113】
一実施形態において、心臓手術を受ける患者をスクリーニングして、その患者が高リスク患者かどうかを決定する。医師は患者の任意の高リスク因子を確認するために医歴を調べる。そのような高リスク因子の一つはCABG手術の合併症の素因である。高リスク因子の例は非制限的に、70歳以上の高齢、不安定性アンギーナ、経皮的経管的冠血管形成の失敗、駆出率の測定値が約40%未満となる左室機能低下、駆出率の測定値が約30%未満となる左室機能低下、慢性または急性腎不全、律動異常、1回以上心筋梗塞の病歴が既に1回以上、卒中の病歴がすでに1回以上、心臓発作の病歴が1回以上、最近約24ケ月ないし最近約48ケ月以内に心筋梗塞の発症、またはこれらの組合わせなどである。
【0114】
好ましい実施形態において、患者はCABG手術を受けており、駆出率の測定値が約30%未満または約40%未満の駆出率となる左室機能低下でスクリーニングされる。駆出率は実施例1に記載の方法によって測定される。Gruberら、米国特許第5,817,640号。
【0115】
また別の実施形態において、非心臓手術を受けている患者を高リスク因子でスクリーニングする。このような因子の例は非制限的に65ないし70歳のような高齢、アテローム硬化性心臓病、すなわち冠動脈性心臓疾患(末梢血管病または頸動脈疾患によって証明される)、糖尿病、腎不全、治療下で起きやすい心不全、左室肥大&高血圧、5年以上にわたる高血圧、手術前6ないし12カ月以内の心筋梗塞、アンギーナ、不整脈、高コレステロール血症、またはこれらの組合わせを含む。好ましい実施形態において、高リスク因子でスクリーニングされる患者は臓器移植手術を受けている。
【0116】
キット
本発明は容器の中に本発明の1つ以上の組成物と、それを使用するための使用説明書とを含むキットにも関する。図1は本発明のキット101の一例を説明する。
【0117】
キット101は静脈内投与のための本発明の組成物または処方物を含む、またはこれらからなる、または実質的にこれらからなる1つ以上の第一容器102を含む。ある実施形態において、第一容器102はAICAリボシドまたはそのアナログ(例えば式III)の緩衝溶液を含む。このような緩衝溶液は好ましくはpH6−8、より好ましくは6.5−7.5、またはより好ましくは約7.0である。このような緩衝溶液はi.v.溶液の調製のために適しているのが好ましい。第一容器(群)102の組成物または処方物は好ましくは凍結乾燥または非凍結乾燥法によって滅菌されている。第一容器102の組成物は1mg/mLないし100mg/mL、5mg/mLないし90mg/mL、10mg/mLないし80mg/mL、20mg/mLないし70mg/mL、30mg/mLないし60mg/mL、またはより好ましくは約40mg/mLの濃縮溶液形でよい。このような濃縮形をその後用いて最終的i.v.溶液または灌流溶液を調製する。
【0118】
本発明のキット101は灌流溶液を調製するための本発明の組成物または溶液を含む1つ以上の第二容器(群)(104)を任意に含むことができる。一実施形態において第二容器104は水溶液、食塩溶液および/または灌流溶液中の本発明の組成物を含む。第二容器104中の溶液の濃度は好ましくは0.01mg/mLないし30mg/mL、0.1mg/mLないし20mg/mL、0.5mg/mLないし10mg/mLであり、またはより好ましくは本発明の組成物類の1つ以上を約1mg/mL含む。
【0119】
一実施形態において、第一容器(群)102および/または第二容器(群)104はアンプル類である。好ましい実施形態において、これらの容器(群)は約0.01mLないし約100mL、約0.1mLないし約90mL、約0.5mLないし約80mL、約1mLないし約70mL、約2mLないし約60mL、約3mLないし約50mL、約4mLないし約40mL、約5mLないし約30mL、約6mLないし約20mL、および約7mLないし約10mLの容量を入れるのに適したアンプルである。より好ましい実施形態において、第一容器(群)102は約20mLアンプルであり、第二容器(群)104は約5mLアンプルである。
【0120】
キット101は一組の使用説明書103を含むこともできる。医師またはその他の健康管理提供者は使用説明書103にしたがって、患者に適切に投与できるi.v.溶液または灌流溶液を第一容器102の溶液から調製することができる。さらに使用説明書103は、容器(群)102中の組成物/処方物を再構成または希釈するために使用しなければならない適切な希釈剤、例えば水または食塩溶液を提供する。使用説明書103はさらに、一部には処置/予防する状態、患者の年齢、患者の体重、患者の現在の状態、患者が受ける手術(手術を受ける場合)のタイプなどに基づいて、患者に投与すべき適切な最終濃度/投与量を示すことができる。
【0121】
例えば、健康管理提供者は使用説明書103にしたがって第一容器102の組成物/溶液からi.v.溶液を作り、第2容器104の組成物/処方物から灌流溶液を作ることができる。好ましい実施形態において、健康管理提供者は使用説明書103にしたがって、本発明の組成物の最終濃度が1μMから200μMまで、5μMから100μMまで、10μMから50μMまで、またはより好ましくは約20μMであるような灌流溶液を調製できる。例えば使用説明書103により、1mg/mLのAICAリボシド5mLを995mL灌流溶液に加えた場合、生成する濃度は約5μg/mLまたは20μMになる。さらに、使用説明書103により、健康管理提供者は最終濃度約1mg/mLないし100mg/mL、5mg/mLないし90mg/mL、10mg/mLないし80mg/mL、20mg/mLないし70mg/mL、30mg/mLないし60mg/mL、より好ましくは約40mg/mLを有するi.v.溶液を用意することができる。
【0122】
キット101は任意に、第二の治療薬を含む、または第二の治療薬からなる、または実質的に第二の治療薬からなる第三の容器(図示されず)を含むことができる。一実施形態において、この組成物または処方物は滅菌される。滅菌される組成物類または処方物類は本明細書に記載されるように凍結乾燥でもよいし、非凍結乾燥でもよい。また別の実施形態において、第三の容器は本明細書に記載される設定pH範囲を有する第二の治療薬を含む組成物を含む。好ましい実施形態において、本発明はアデノシンデアミナーゼインヒビターを含有する組成物を含む第三の容器を含むキットを考慮する。より好ましい実施形態において、第三の容器はペントスタチンを含む。
【0123】
使用時に、医師は溶液102のためのキットの使用説明書103に基づいてi.v.溶液を処方する。これはその後患者に投与される。手術中に医師は心臓またはその他の関係する器官に適用する。
【0124】
ビジネス方法
本発明は本明細書に記載される組成物、処方物およびキットを製造、マーケティングおよび/または販売するためのビジネス方法を提供する。
【0125】
ある実施形態において、本発明の組成物/処方物は少なくとも100L、200L、300L、400L、500L、600L、700L、800L、または900Lのバッチとして製造される。バッチサイズは好ましくは10−900L、20−800L、30−700L、40−600L、50−500L、またはより好ましくは90Lと400Lとの間である。本発明の組成物類の配合は、溶液(水または生理食塩水)を製造された組成物と混合し、それが溶解するまで待つことを含む。この溶液を30−35℃に加熱し、溶解を促進することができる。溶液をその後20−25℃に冷まし、追加の溶液をさらに混合しながら加える。最終濃度の溶液は、例えばあらかじめ滅菌した膜、例えば0.22ミクロンのフィルタを通過させることによって滅菌することができる。バルクの溶液はその後、清浄な脱発熱物質処理したバイアル類または容器類の中に濾過される。本発明の容器は種々の容量のものでよいが、50mLの大きさがより好ましい。バイアルおよびその中の濃縮溶液は、その後ここに開示される凍結乾燥または非凍結乾燥などの種々の手段のいずれかによって滅菌される。好ましい実施形態において、本発明のビジネスは凍結乾燥される組成物/処方物を製造する。滅菌された容器類はその後任意にキットとして包装され、本明細書に開示されるように表示され、使用される。
【0126】
一局面において、本発明は本明細書中の状態の処置/予防に使用できるAICAリボシドのアナログを確認するビジネス方法を考慮する。アナログはビジネスそのものにおいて、内部で研究および開発によって決定することができ、またはそのビジネスはライセンスをとるか、さもなくばアナログに対する権利をその他の組織から得ることもできる。本発明のビジネス方法はAICAリボシドまたはそのアナログの適切な処方物の研究および開発を任意に含むこともできる。このような処方および再処方はビジネスそのものによって、またはそのビジネスによって許可された第三のパーティーによって実施できる。
【0127】
ある実施形態において、本発明のビジネス方法は、本発明に開示される1種類以上の組成物、処方物またはキットのマーケティング/商品化を考慮する。これを達成するために、ビジネスはこのような製品を潜在的ユーザーまたは健康管理提供者(例えば医師、看護士、薬剤師、医薬品集関係者など)に売るための薬剤販売力(sales force)を訓練する。本発明の組成物、処方物、および/またはキットを適した買い手に売るように販売員に販売力をつけ、または現在販売している人々を再教育する。本発明のビジネスはキットを独自に売ってもよいし、または製薬会社またはバイオテクノロジー会社のようなパートナーと組んで売ってもよい。ある実施形態において、本発明のビジネスは、上記の組成物、処方物および/またはキットを販売する権利を第三のパーティーに売ることができる。
【0128】
その他の実施形態において、販売力は本明細書に記載の状態を処置/予防する健康管理提供者の下位集団を標的にすることができる。例えば販売力は本発明の組成物、処方物、またはキットを心臓病医に販売し、心臓発作、卒中、壁内または非貫壁性心筋梗塞、急性心筋梗塞、冠動脈疾患、冠動脈性心臓疾患、不整脈、突然心臓死、脳血管異常、うっ血性心不全、生命を脅かす律動異常、心筋症、一過性虚血性発作、急性虚血性症候群、および狭心症、またはこれらの組合わせを含む心臓血管病を処置/予防することができる。
【0129】
また別の実施形態において、販売力は、真性糖尿病の微小血管病、急性腸虚血、腸虚血、腎臓虚血、骨格筋の間欠性跛行、片頭痛、レイノー現象、肝臓障害、膵臓障害、および腸虚血、ショックまたはこれらの組み合わせによるような播種性血管内凝固症候群などの状態の処置または予防のための組成物、処方物またはキットを一般医に販売してもよい。
【0130】
また別の実施形態において、販売力は冠動脈バイパス移植(CABG)手術、経皮的経管的冠動脈形成術(PTCA)、レーザー血管形成術、脳血管形成術、アテレクトミー、血管内ステント法、頸動脈内膜切除、弁置換手術、および臓器移植手術、小および大腸切除、臓器移植、虫垂切除、腹腔鏡検査、穿刺術、前立腺の経尿道切除(TURP)、子宮摘出術、卵管結紮、精管切除、卵管卵巣摘出、帝王切開、痔核切除術、扁桃摘出術、鼓膜切除術、鼓膜穿刺管の設置、結腸および直腸からのポリープ除去、直腸脱出の修復、腸新生物の除去および処置、掻爬術、胸腔穿刺術、開胸術、鼻形成術および脂肪吸引法またはこれらの組合わせを含む外科手術を受ける患者の症例において、外科医に組成物、処方物またはキットを販売することができる。一実施形態において、販売力は本明細書に記載の手術中にキットからの処方物を麻酔薬と組合わせて投与する目的で麻酔医に販売することができる。
【0131】
本発明の実施形態および実施例の全ては本発明の範囲を決して制限するものではない。さらに、添付の請求項の精神または範囲から逸脱することなく多くの変化および変更を加えることができ、そのような変化および変更は本発明の範囲内であると考えられることは当業者には当然である。
【0132】
本明細書に記載される全ての特許、出版物および特許出願は、それらを引用によって本明細書に組み込む旨が具体的かつ個別的に明記されていなくても、引用によって本明細書にそのまま組み込まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1は静脈内溶液および/または灌流溶液の調製に適切に使用できるAICAリボシドを含む組成物、および使用説明書を含むことができる本発明の代表的キットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH6.5〜7.5を有する、AICAリボシドを含む緩衝溶液。
【請求項2】
前記緩衝溶液がトリス、リン酸塩、およびヒスチジンからなる群から選択される緩衝剤を含む、請求項1記載の溶液。
【請求項3】
前記AICAリボシドが滅菌される、請求項1記載の溶液。
【請求項4】
前記AICAリボシドが凍結乾燥によって滅菌される、請求項1記載の溶液。
【請求項5】
前記AICAリボシドが凍結乾燥以外の手段によって滅菌される、請求項1または請求項2記載の溶液。
【請求項6】
前記溶液が1重量%未満の不純物を含む、請求項1記載の溶液。
【請求項7】
請求項1記載の溶液を含む灌流溶液であって、さらに賦形薬を含む、灌流溶液。
【請求項8】
さらに第二の治療薬を含む、請求項1記載の溶液。
【請求項9】
虚血状態、アデノシンによって調節される状態、または組織への血流減少を処置もしくは予防するための、または病的状態もしくは死亡を遅らせるための薬剤の製造における、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の溶液の使用。
【請求項10】
前記状態が心臓発作、卒中、壁内または非貫壁性心筋梗塞、急性心筋梗塞、冠動脈疾患、冠動脈性心臓疾患、不整脈、突然心臓死、脳血管異常、うっ血性心不全、生命を脅かす律動異常、心筋症、一過性虚血発作、急性虚血性症候群、狭心症、真性糖尿病の微小血管病、急性腸虚血、腎臓虚血、骨格筋の間欠性跛行、片頭痛、レイノー現象、肝臓障害、膵臓障害、および腸虚血、ショックまたはこれらの組み合わせに起因するような播種性血管内凝固症候群からなる群から選択される請求項9記載の使用。
【請求項11】
ある状態を予防するための薬剤の製造であって、該状態が死亡である、請求項9記載の使用。
【請求項12】
前記状態が心筋梗塞である、請求項10記載の使用。
【請求項13】
前記状態が心臓発作である、請求項10記載の使用。
【請求項14】
患者が手術を受けている、請求項9記載の使用。
【請求項15】
前記手術が心臓手術である、請求項14記載の使用。
【請求項16】
前記心臓手術が冠動脈バイパス移植(CABG)、経皮的経管的冠動脈形成術(PTCA)、レーザー血管形成術、脳血管形成術、アテレクトミー、血管内ステント法、頸動脈内膜切除術、心臓移植、人工的心臓デバイスおよび除細動器の移植、弁の置換または修復、および先天的手術からなる群から選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記手術が非心臓手術である、請求項14記載の使用。
【請求項18】
前記非心臓手術が非心臓−臓器移植、小腸および大腸切除、虫垂切除、腹腔鏡検査、穿刺術、前立腺の経尿道切除(TURP)、子宮摘出術、卵管結紮、精管切除、卵管卵巣摘出、帝王切開、痔核切除術、扁桃摘出術、鼓膜切除術、鼓膜穿刺管の設置、結腸および直腸からのポリープ除去、直腸脱出の修復、腸新生物の除去および処置、掻爬術、胸腔穿刺術、開胸術、鼻形成術および脂肪吸引法またはこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項17記載の使用。
【請求項19】
前記溶液が経皮的に投与される、請求項9記載の使用。
【請求項20】
前記溶液がi.v.投与される、請求項9記載の使用。
【請求項21】
前記有効量が0.001mg/kg/minから20mg/kg/minまでの間である、請求項9記載の使用。
【請求項22】
前記溶液が少なくとも1時間投与される、請求項21記載の使用。
【請求項23】
前記溶液が約7時間投与される、請求項21記載の使用。
【請求項24】
前記溶液が手術時に投与される、請求項9記載の使用。
【請求項25】
前記溶液が灌流溶液によって投与される、請求項9記載の使用。
【請求項26】
前記溶液がi.v.および灌流溶液によって投与される、請求項9記載の使用。
【請求項27】
CABG手術を受けている患者の死亡、卒中または心筋梗塞を予防するために、手術時投与用薬剤の製造における、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の溶液の使用。
【請求項28】
請求項1に記載の溶液を含む第一容器と、
患者の状態を予防することにおける、その使用説明書と
を含むキット。
【請求項29】
前記状態が心臓発作、卒中、壁内または非貫壁性心筋梗塞、急性心筋梗塞、冠動脈疾患、冠動脈性心臓疾患、不整脈、突然心臓死、脳血管異常、うっ血性心不全、生命を脅かす律動異常、心筋症、一過性虚血発作、急性虚血性症候群、狭心症、真性糖尿病の微小血管病、急性腸虚血、腎臓虚血、骨格筋の間欠性跛行、片頭痛、レイノー現象、肝臓障害、膵臓障害、および腸虚血、ショックまたはこれらの組合わせによるような播種性血管内凝固症候群からなる群から選択される、請求項28記載のキット。
【請求項30】
前記状態が死亡、心筋梗塞、または心臓発作である、請求項28記載のキット。
【請求項31】
前記患者が手術を受けている、請求項28記載のキット。
【請求項32】
前記手術が心臓手術である、請求項31記載のキット。
【請求項33】
前記手術が非心臓手術である、請求項31記載のキット。
【請求項34】
AICAリボシドおよび緩衝剤を含む凍結乾燥組成物。
【請求項35】
前記緩衝剤がトリス緩衝剤、リン酸塩緩衝剤およびヒスチジン緩衝液からなる群から選択される請求項34に記載の凍結乾燥組成物。
【請求項36】
前記組成物がpH6.5と7.5との間を有する請求項34記載の凍結乾燥された組成物。
【請求項37】
請求項34に記載される組成物を含む第一容器と、
該組成物を再構成するための使用説明書と、
患者の状態の予防におけるその使用説明書と、
を含むキット。
【請求項38】
前記状態が心臓発作、卒中、壁内または非貫壁性心筋梗塞、急性心筋梗塞、冠動脈疾患、冠動脈心臓病、不整脈、突然心臓死、脳血管異常、うっ血性心不全、生命を脅かす律動異常、心筋症、一過性虚血発作、急性虚血性症候群、狭心症、真性糖尿病の微小血管病、急性腸虚血、腎臓虚血、骨格筋の間欠性跛行、片頭痛、レイノー現象、肝臓障害、膵臓障害、および腸虚血、ショックまたはこれらの組合わせに起因するような播種性血管内凝固症候群からなる群から選択される、請求項31記載のキット。
【請求項39】
前記第一容器がガラス容器である、請求項37記載のキット。
【請求項40】
医薬品として使用するための請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項41】
医薬品として使用するための請求項34〜請求項36のいずれか一項に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2009−511476(P2009−511476A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534629(P2008−534629)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/038692
【国際公開番号】WO2007/044357
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(507322447)ペリコー セラピューティクス, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】