説明

AISGデバイス用電源回路及びAISGデバイス

【課題】複数の電源に対応でき、外部から供給されている電源の状況に応じて、電力効率が高い電源ラインを自動的に選択可能なAISGデバイス用電源回路及びAISGデバイスを提供を提供する。
【解決手段】AISG規格に準拠してアンテナの制御を行うAISGデバイス1に搭載され、外部から供給された電源の電圧を、AISGデバイス1の内部回路3用に調整して出力するDC/DCコンバータ4を備えると共に、DC/DCコンバータ4の入力端子の正極を必須接続である10〜30Vの電源ラインに、入力端子の負極をDCリターンラインにそれぞれ電気的に接続したAISGデバイス用電源回路において、外部から−48V電源が供給されているとき、DC/DCコンバータ4の入力端子の負極の接続先を、DCリターンラインから−48Vの電源ラインに切り替える切替回路10を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AISG(Antenna Interface Standards Group)規格に準拠してアンテナの制御を行うAISGデバイスに搭載されるAISGデバイス用電源回路及びAISGデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動通信用の無線基地局では、一般に、アンテナのチルト制御を遠隔制御により行えるようになっている。当初は、アンテナの制御方式としてメーカーごとに独自の方式を用いていたが、近年のLTE(Long Term Evolution)無線基地局などでは、アンテナの制御をAISG規格で行うことが多くなっている。AISG規格は、アンテナの基本的な相互運用を確実にすべく標準化された規格である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5(a)に示すように、AISG規格に準拠してアンテナの制御を行うアンテナ制御システム51は、無線基地局のアンテナ(図示せず)の制御を行うRET(Remote Electrical Tilt)ユニットなどのAISGデバイス(AISG端末機器)52と、AISGデバイス52に制御信号(RS−485規格信号)を送信し、AISGデバイス52を制御してアンテナの制御を行うと共に、AISGデバイス52に電源を供給する制御装置(AISG制御装置)53と、制御装置53とAISGデバイス52とを接続する制御ケーブル(AISG制御ケーブル)54と、を備えている。制御ケーブル54は、図示していないが、制御信号を伝送するための制御信号線と、電源を供給するための電源線とを備えている。
【0004】
AISG規格にて規定されているコネクタのピン端子の番号(Pin Number)、各ピン端子で伝搬する信号(Signal)、必須接続(Mandatory)であるか任意接続(Optional)であるかという要求(Requirement)を表1に示す。
【0005】
【表1】

【0006】
表1に示すように、AISG規格では、1番の+12V、2番の−48V、6番の10〜30Vの3種類の電源ラインが用意されており、+12Vと−48Vの電源ラインは任意接続、10〜30Vの電源ラインは必須接続とされている。なお、表1における8番のNCは無接続(No Connection)を意味している。
【0007】
ところで、図5(b)に示すように、AISGデバイス52には、一般に、外部から供給された電源の電圧を、AISGデバイス52の内部回路(AISGデバイス内回路)55用に調整して出力するAISGデバイス用電源回路56が備えられている。
【0008】
従来のAISGデバイス用電源回路56は、外部から供給された電源の電圧を、AISGデバイス52の内部回路55用に調整して出力するDC/DCコンバータ57を備えると共に、DC/DCコンバータ57の入力端子の正極(Vin(+))を必須接続である10〜30Vの電源ラインに、入力端子の負極(Vin(−))をDCリターンラインにそれぞれ電気的に接続して構成されている。出力端子の正極と負極(Vout(+)とVout(−))は、それぞれ内部回路55に電気的に接続され、さらに出力端子の負極(Vout(−))は、DCリターンラインに電気的に接続されている。
【0009】
図5(b)では、10〜30Vの電源ラインを用いる場合を示しているが、+12Vの電源ラインを用いる場合は、DC/DCコンバータ57の入力端子の正極(Vin(+))を+12Vの電源ラインに電気的に接続すればよく、−48Vの電源ラインを用いる場合には、DC/DCコンバータ57の入力端子の正極(Vin(+))をDCリターンラインに、入力端子の負極(Vin(−))を−48Vの電源ラインにそれぞれ電気的に接続すればよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2010−519804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、電圧を大きくすれば小電流でも大電力を供給でき、制御ケーブルの抵抗成分による電圧降下、すなわち電力ロスを抑制して、アンテナ制御システム全体の電力効率を向上することが可能である。したがって、電力効率を向上させる観点からは、規定されている電圧の値(絶対値)が最も大きい−48Vの電源ラインを使用することが望ましい。
【0012】
しかし、従来のAISGデバイス用電源回路では、複数の電源に対応していないため、−48Vの電源ラインを使用するAISGデバイス用電源回路では、−48Vの電源ラインを使用しないアンテナ制御システムに対応できなくなってしまうという問題がある。
【0013】
AISG規格では上述のように3種類(10〜30V,+12V、−48V)の電源ラインが用意されているにもかかわらず、現状の既設のアンテナ制御システムでは、必須接続である10〜30Vの電源ラインのみが使用され、任意接続の−48Vや+12Vの電源ラインが使用されていない場合が多い。−48Vの電源ラインが接続されているかどうかは使用される系統よって異なるため、−48Vの電源ラインを使用するAISGデバイスは非常に使用しづらい。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑み為されたものであり、複数の電源に対応でき、外部から供給されている電源の状況に応じて、電力効率が高くなる電源ラインを自動的に選択可能なAISGデバイス用電源回路及びAISGデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、AISG規格に準拠してアンテナの制御を行うAISGデバイスに搭載され、外部から供給された電源の電圧を、前記AISGデバイスの内部回路用に調整して出力するDC/DCコンバータを備えると共に、該DC/DCコンバータの入力端子の正極を必須接続である10〜30Vの電源ラインに、入力端子の負極をDCリターンラインにそれぞれ電気的に接続したAISGデバイス用電源回路において、外部から−48V電源が供給されているとき、前記DC/DCコンバータの入力端子の負極の接続先を、DCリターンラインから−48Vの電源ラインに切り替える切替回路を備えたAISGデバイス用電源回路である。
【0016】
前記切替回路は、前記DC/DCコンバータの入力端子の負極と前記DCリターンラインとを電気的に接続する負極側内部配線から分岐して、前記−48Vの電源ラインと電気的に接続される負極側分岐配線と、前記負極側内部配線と前記負極側分岐配線との分岐点に対して、前記DC/DCコンバータと反対側の前記負極側内部配線に設けられ、前記DCリターンライン側から前記−48Vの電源ライン側へ流れる電流を遮断する負極側切替ダイオードと、を備えていてもよい。
【0017】
前記切替回路は、前記DC/DCコンバータの入力端子の正極と前記10〜30Vの電源ラインとを電気的に接続する正極側内部配線から分岐して、前記DCリターンラインと電気的に接続される正極側分岐配線と、前記正極側分岐配線に設けられ、前記10〜30Vの電源ライン側から前記DCリターンライン側へ流れる電流を遮断する正極側切替ダイオードと、をさらに備えてもよい。
【0018】
前記切替回路は、前記正極側内部配線からさらに分岐して、+12Vの電源ラインと電気的に接続される正極側第2分岐配線と、前記正極側第2分岐配線に設けられ、前記10〜30Vの電源ライン側から前記+12Vの電源ライン側へ流れる電流を遮断する正極側第2切替ダイオードと、をさらに備えてもよい。
【0019】
また、本発明は、上述のAISGデバイス用電源回路を搭載したAISGデバイスである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の電源に対応でき、外部から供給されている電源の状況に応じて、電力効率が高くなる電源ラインを自動的に選択可能なAISGデバイス用電源回路及びAISGデバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係るAISGデバイス用電源回路を搭載したAISGデバイスの概略構成図である。
【図2】図1のAISGデバイス用電源回路の動作を説明する図であり、(a)は−48V電源が供給されていないとき、(b)は−48V電源が供給されているときの電源電流の流れを説明する図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係るAISGデバイス用電源回路を搭載したAISGデバイスの概略構成図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係るAISGデバイス用電源回路を搭載したAISGデバイスの概略構成図である。
【図5】(a)は一般的なアンテナ制御システムの概略構成図、(b)は従来のAISGデバイス用電源回路を搭載したAISGデバイスの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態に係るAISGデバイス用電源回路を搭載したAISGデバイスの概略構成図である。
【0024】
図1に示すように、AISGデバイス1には、外部から供給された電源の電圧を、AISGデバイス1の内部回路(AISGデバイス内回路)3用に調整して出力するAISGデバイス用電源回路2が搭載されている。AISGデバイス1は、例えばRETユニットであり、AISG規格に準拠してアンテナの制御を行うものである。
【0025】
AISGデバイス1には、図示していないが、電源の供給源である制御装置に接続される入力コネクタ(オスコネクタ)と、デイジーチェーン接続用の出力コネクタ(メスコネクタ)が備えられており、制御装置と入力コネクタとを制御ケーブルで接続することにより、制御装置からAISGデバイス1に制御信号と電源が入力されるようになっている。入力コネクタと出力コネクタは、AISG規格に準拠した一般的なコネクタであり、両コネクタの1〜8番のピン端子は、AISGデバイス1の内部でそれぞれ電気的に接続されている。図1では、図を簡略化し、図1の上側から下側にかけて、10〜30Vの電源ラインが接続される6番のピン端子(10-30V)と、−48Vの電源ラインが接続される2番のピン端子(-48V)と、DCリターンラインが接続される7番のピン端子(DC return)のみを示している。
【0026】
AISGデバイス用電源回路2は、外部(制御装置)から供給された電源の電圧を、AISGデバイス1の内部回路3用に調整して出力するDC/DCコンバータ4を備えている。つまり、DC/DCコンバータ4は、AISGデバイス1の内部回路3用の供給電圧を生成するものである。DC/DCコンバータ4としては、入出力絶縁型のものを用いる。
【0027】
DC/DCコンバータ4の入力端子の正極(Vin(+))は、必須接続である10〜30Vの電源ライン、すなわち6番のピン端子に、正極側内部配線5により電気的に接続されている。また、DC/DCコンバータ4の入力端子の負極(Vin(−))は、DCリターンライン、すなわち7番のピン端子に、負極側内部配線6により電気的に接続されている。
【0028】
DC/DCコンバータ4の出力端子の正極(Vout(+))は、正極側出力配線7により内部回路3に電気的に接続されており、DC/DCコンバータ4の出力端子の負極(Vout(−))は、負極側出力配線8により内部回路3に電気的に接続されている。また、負極側出力配線8は、内部回路3に至る途中の分岐点Aにて分岐し、その分岐したバイパス配線9が、合流点Bにて負極側内部配線6に電気的に接続されており、これにより、DC/DCコンバータ4の出力端子の負極(Vout(−))が、DCリターンラインに電気的に接続されている。
【0029】
さて、本実施の形態に係るAISGデバイス用電源回路2は、外部から−48V電源が供給されているとき、DC/DCコンバータ4の入力端子の負極(Vin(−))の接続先を、DCリターンラインから−48Vの電源ラインに切り替える切替回路10を備えている。
【0030】
切替回路10は、負極側分岐配線11と負極側切替ダイオード12とからなる。
【0031】
負極側分岐配線11は、DC/DCコンバータ4の入力端子の負極(Vin(−))とDCリターンライン(7番のピン端子)とを電気的に接続する負極側内部配線6から分岐点Cにて分岐して、−48Vの電源ライン(2番のピン端子)と電気的に接続されるように配線される。分岐点Cは、バイパス配線9が負極側内部配線6に合流する合流点BよりもDC/DCコンバータ4側に位置するように調整される。
【0032】
負極側切替ダイオード12は、負極側内部配線6と負極側分岐配線11との分岐点Cに対して、DC/DCコンバータ4と反対側(つまり入力側)の負極側内部配線6に設けられる。また、負極側切替ダイオード12は、合流点BよりもDC/DCコンバータ4側に設けられる。つまり、負極側切替ダイオード12は、分岐点Cと合流点Bの間の負極側内部配線6に設けられる。負極側切替ダイオード12は、DCリターンライン側から−48Vの電源ライン側へ流れる電流を遮断するように設けられる。
【0033】
本実施の形態では、切替回路10は、負極側分岐配線11に設けられた負極側逆流防止用ダイオード13をさらに備えている。負極側逆流防止用ダイオード13は、−48Vの電源ライン側からDC/DCコンバータ4側へ流れる電流を遮断するように設けられる。
【0034】
次に、AISGデバイス用電源回路2の動作を説明する。
【0035】
図2(a)に示すように、外部から10〜30V電源のみが供給されており、−48V電源が供給されていない場合、−48Vの電源ラインが接続される2番のピン端子は開放となり、負極側切替ダイオード12が順方向バイアスされことになる。よって、電源電流は、図示矢印のように、10〜30Vの電源ラインが接続される6番のピン端子から、正極側内部配線5、DC/DCコンバータ4、負極側内部配線6(分岐点C、負極側切替ダイオード12、合流点B)を経て、DCリターンラインが接続される7番のピン端子に流れる。
【0036】
これに対して、図2(b)に示すように、外部から10〜30V電源と−48V電源の両方が供給されている場合、負極側切替ダイオード12が逆方向バイアスされ、分岐点Cと合流点Bの間の負極側内部配線6が遮断されることになる。よって、電源電流は、図示矢印のように、10〜30Vの電源ラインが接続される6番のピン端子から、正極側内部配線5、DC/DCコンバータ4、負極側内部配線6(分岐点Cまで)、負極側分岐配線11(負極側逆流防止用ダイオード13)を経て、−48Vの電源ラインが接続される2番のピン端子に流れる。
【0037】
例えば、10〜30V電源の電圧を24Vとすると、図2(a)のように−48V電源が供給されていない場合には、DC/DCコンバータ4の入力端子の正極と負極間には24Vの電圧が印加される。これに対して、図2(b)のように−48V電源が供給されている場合には、DC/DCコンバータ4の入力端子の正極と負極間には24V+48Vの合計72Vの高い電圧が印加されることになる。DC/DCコンバータ4で消費される電力はほぼ一定であるため、電圧が高いほど電源電流を小さくすることができ、その結果、制御ケーブルの抵抗成分による電圧降下(電力ロス)を抑制して、システム全体の電力効率を高めることが可能になる。
【0038】
本発明のAISGデバイス用電源回路2では、外部から供給される電源の状況によって、DC/DCコンバータ4に入力される電圧が異なってくるので、DC/DCコンバータ4としては、幅広い入力電圧に対応できるものを用いる必要がある。このような入力電圧の幅が広いDC/DCコンバータ4としては、例えば、MAXIM社製のMAX5014,MAX5015などが挙げられる。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態に係るAISGデバイス用電源回路2では、外部から−48V電源が供給されているとき、DC/DCコンバータ4の入力端子の負極(Vin(−))の接続先を、DCリターンラインから−48Vの電源ラインに切り替える切替回路10を備えている。
【0040】
切替回路10を備えることにより、必須接続である10〜30V電源のみが供給されている場合に対応することはもちろん、−48V電源が供給されている場合には、−48V電源を有効に利用してシステム全体の電力効率を向上させることができる。
【0041】
つまり、本発明によれば、複数の電源に対応でき、外部から供給されている電源の状況に応じて、電力効率が高くなる電源ラインを自動的に選択可能なAISGデバイス用電源回路2を実現できる。
【0042】
また、本実施の形態では、切替回路10を、負極側分岐配線11と負極側切替ダイオード12と負極側逆流防止用ダイオード13とで構成しており、DCリターンラインと−48Vの電源ラインを2個のダイオード12,13により接続することにより、−48V電源の供給の有無により、電源電流が流れるラインを自動切り替えするようにしている。切替回路10を安価なダイオードと配線のみで構成しているので、非常に低コストであり、既存のAISGデバイス用電源回路にも容易に組み込むことが可能である。
【0043】
本発明のAISGデバイス用電源回路2を搭載したAISGデバイス1は、複数の電源に対応できるため、汎用性が高い。
【0044】
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。
【0045】
図3に示すAISGデバイス31は、−48V電源のみが供給されている場合でも対応できるように、AISGデバイス用電源回路32の切替回路33を構成したものである。
【0046】
切替回路33は、図1で説明した切替回路10に、さらに、正極側分岐配線34と、正極側切替ダイオード35と、正極側逆流防止用ダイオード36とを備えたものである。
【0047】
正極側分岐配線34は、DC/DCコンバータ4の入力端子の正極(Vin(+))と10〜30Vの電源ライン(6番のピン端子)とを電気的に接続する正極側内部配線5から分岐点Dにて分岐して、DCリターンライン(7番のピン端子)と電気的に接続するように配線される。ここでは、分岐点Dから延びる正極側分岐線34を、合流点Bよりも入力側(7番のピン端子側)の負極側内部配線6に電気的に接続した。正極側分岐線34と負極側内部配線6の接続点を分岐点Eという。
【0048】
正極側切替ダイオード35は、正極側分岐配線34に設けられ、10〜30Vの電源ライン側からDCリターンライン側へ流れる電流を遮断するように設けられる。
【0049】
正極側逆流防止用ダイオード36は、分岐点Dよりも入力側(6番のピン端子側)の正極側内部配線5に設けられ、DC/DCコンバータ4側から10〜30Vの電源ライン側へ流れる電流を遮断するように設けられる。
【0050】
AISGデバイス用電源回路32では、10〜30V電源が供給されている場合には、正極側切替ダイオード35が逆方向バイアスされ正極側分岐配線34が遮断される。10〜30V電源のみが供給されている場合、10〜30V電源と−48V電源の両方が供給されている場合の動作は、上述のAISGデバイス用電源回路2と同じである。
【0051】
他方、10〜30V電源が供給されず−48V電源のみが供給されている場合には、10〜30Vの電源ラインが接続される6番のピン端子が開放となり、正極側切替ダイオード35が順方向バイアスされる。よって、電源電流は、DCリターンラインが接続される7番のピン端子から、負極側内部配線6(分岐点Eまで)、正極側分岐配線34(正極側切替ダイオード35)、正極側内部配線5(分岐点DよりDC/DCコンバータ4側)、DC/DCコンバータ4、負極側内部配線6(分岐点Cまで)、負極側分岐配線11(負極側逆流防止用ダイオード13)を経て、−48Vの電源ラインが接続される2番のピン端子に流れる。
【0052】
図3のAISGデバイス用電源回路32によれば、10〜30V電源のみが供給されている場合、10〜30V電源と−48V電源の両方が供給されている場合に加えて、−48V電源のみが供給されている場合にも対応することが可能となる。
【0053】
図4に示すAISGデバイス41は、さらに、+12V電源が供給されている場合にも対応できるように、AISGデバイス用電源回路42の切替回路43を構成したものである。
【0054】
切替回路43は、図3で説明した切替回路33に、さらに、正極側第2分岐配線44と、正極側第2切替ダイオード45と、を備えたものである。
【0055】
正極側第2分岐配線44は、正極側内部配線5の分岐点Dからさらに分岐して、+12Vの電源ライン(1番のピン端子)と電気的に接続するよう配線される。
【0056】
正極側第2切替ダイオード45は、正極側第2分岐配線44に設けられ、10〜30Vの電源ライン側から+12Vの電源ライン側へ流れる電流を遮断するように設けられる。
【0057】
AISGデバイス用電源回路42では、10〜30V電源と+12V電源のいずれか一方が供給されているときには、その供給されている電源をDC/DCコンバータ4の入力端子の正極(Vin(+))に電気的に接続し、さらに、10〜30V電源と+12V電源の両方が供給されているときには、両電源のうち電圧の高い方を、DC/DCコンバータ4の入力端子の正極(Vin(+))に電気的に接続することになる。
【0058】
よって、AISGデバイス用電源回路42によれば、10〜30V電源、−48V電源、+12V電源のいずれか1つのみが給電されている場合にも、AISGデバイス41の動作が可能であり、また、給電された最大の電位差をDC/DCコンバータ4の入力電源として使用することが可能となり、その結果、電源ラインに流れる電流を少なくし、制御ケーブルの抵抗成分による電圧降下を抑制し、システム全体の電力効率を高めることができる。
【0059】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0060】
1 AISGデバイス
2 AISGデバイス用電源回路
3 内部回路
4 DC/DCコンバータ
5 正極側内部配線
6 負極側内部配線
10 切替回路
11 負極側分岐配線
12 負極側切替ダイオード
13 負極側逆流防止用ダイオード
34 正極側分岐配線
35 正極側切替ダイオード
44 正極側第2分岐配線
45 正極側第2切替ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AISG規格に準拠してアンテナの制御を行うAISGデバイスに搭載され、
外部から供給された電源の電圧を、前記AISGデバイスの内部回路用に調整して出力するDC/DCコンバータを備えると共に、該DC/DCコンバータの入力端子の正極を必須接続である10〜30Vの電源ラインに、入力端子の負極をDCリターンラインにそれぞれ電気的に接続したAISGデバイス用電源回路において、
外部から−48V電源が供給されているとき、前記DC/DCコンバータの入力端子の負極の接続先を、DCリターンラインから−48Vの電源ラインに切り替える切替回路を備えた
ことを特徴とするAISGデバイス用電源回路。
【請求項2】
前記切替回路は、
前記DC/DCコンバータの入力端子の負極と前記DCリターンラインとを電気的に接続する負極側内部配線から分岐して、前記−48Vの電源ラインと電気的に接続される負極側分岐配線と、
前記負極側内部配線と前記負極側分岐配線との分岐点に対して、前記DC/DCコンバータと反対側の前記負極側内部配線に設けられ、前記DCリターンライン側から前記−48Vの電源ライン側へ流れる電流を遮断する負極側切替ダイオードと、を備えている
請求項1記載のAISGデバイス用電源回路。
【請求項3】
前記切替回路は、
前記DC/DCコンバータの入力端子の正極と前記10〜30Vの電源ラインとを電気的に接続する正極側内部配線から分岐して、前記DCリターンラインと電気的に接続される正極側分岐配線と、
前記正極側分岐配線に設けられ、前記10〜30Vの電源ライン側から前記DCリターンライン側へ流れる電流を遮断する正極側切替ダイオードと、をさらに備えた
請求項2記載のAISGデバイス用電源回路。
【請求項4】
前記切替回路は、
前記正極側内部配線からさらに分岐して、+12Vの電源ラインと電気的に接続される正極側第2分岐配線と、
前記正極側第2分岐配線に設けられ、前記10〜30Vの電源ライン側から前記+12Vの電源ライン側へ流れる電流を遮断する正極側第2切替ダイオードと、をさらに備えた 請求項3記載のAISGデバイス用電源回路。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載のAISGデバイス用電源回路を搭載したことを特徴とするAISGデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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