説明

B形の圧着ダイ

【課題】圧着されるケーブルを有する圧着されたプラグが、中に圧着される又圧着ダイに付着する可能性を減少させるB形の圧着ダイを提供することである。
【解決手段】圧着ダイは、第1の圧着ダイ1の半体及び第2の圧着ダイの半体2を含む。第1の圧着ダイ1の半体の第1の圧着曲線部分6、及び、第2の圧着ダイの半体の第2の圧着曲線部分9は、一緒に圧着曲線を構築する。2つの転移点7,8、12,13は、2つの圧着曲線部分6,9の間の転移に位置する。第2の圧着ダイ2の半体の曲線は、直線の第1の曲線脚部18,19で構築される。第1の曲線脚部18,19は、前記転移点の前で1°から7°の範囲の開口角度αを有する。第2の圧着ダイ2の半体の曲線は、前記転移点の後ろで3°から20°の範囲の開口角度βにより直線の第2の曲線脚部で構築される。開口角度αは、開口角度βよりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2011年2月2日に出願され、「B−Crimp−Gesenk」と名付けられた、同時係属出願中のドイツの特許出願番号第10 2011 000 464.5−34号に優先権を請求するものである。
【0002】
本発明は、圧着ツールのためのB形の圧着ダイに関するものである。圧着ダイは、そこに位置する少なくとも1つの電線又はケーブル(以下において「ケーブル」)でB形状に、メスコネクタ、ソケット、ジャック、コネクタ、ポート、プラグ、スリーブ、接点要素又はコネクタ(以下において「プラグ」)を押圧又は圧着する(以下において「圧着する」)ために使われる。
【背景技術】
【0003】
いわゆる「B圧着」は例えば、CS10、CSV10、CS30、CS100タイプの手動の圧着プライヤ又は出願人のCS200テーブル圧着装置で作成される。しかしながら、圧着ツールは、液圧で動かされる圧着ツール又はいかなるタイプの駆動によっても動かされるいかなるツールでもあり得る。
【0004】
ドイツの基準DIN EN 60352−2(2006年11月バージョン)は、圧着スリーブの設計のプラグを記載する。これらの圧着スリーブは、B形の圧着ダイによって圧着されるために指定される。圧着プロセスの終わりで、大雑把な第一近似において、プラグは「B」の形をした外面曲線を有する。「B」の垂直脚部が凸曲率を有することは、可能である。さらに、「B」の中間の水平な脚部が少なくとも部分的に存在しないことは可能である。したがって、B形の圧着曲線が、2つのカーブする曲線領域間の中間の移行領域における点で成端することが可能である。ケーブルは、プラグとケーブルとの間で機械的接続及び/又は電気的接続を提供するため、「B」の範囲内で圧着される。
【0005】
B形の圧着ダイは、いわゆる「ケーブル圧着」のために使われ、そこで、プラグは、剥離されたケーブル又は、プラグがケーブルの絶縁スリーブによって圧着されるいわゆる「絶縁クリンピング」、によって圧着される。B形の圧着ダイの範囲内で圧着されるプラグの選択のためのいくつかの例だけを挙げるとここで、D−サブコンタクトオス/メス、(ある場合でケーブルのための横のポートで)、ソケット及び端子、閉じた圧着スリーブを有するケーブルシュー、D−サブコンタクト又はFsh.6.3/DFK 2、HD20コンタクト、HD22コンタクト、Modu IVコネクタ、Postlockコンタクト、IECコンタクト、MQSコンタクト、MCP 1.5Kコンタクト、MCP 2.8Kコンタクトのような異なる電子回路接触のための万能ツール;MCP 6.3/4.8 Kコンタクト、マイクロパワーQuadlock 5.2、ミニUMNL、マイクロタイマー、ジュニアパワータイマー、基準パワータイマーTAB5.8、ABSコンタクト、SLK 2.8コンタクト、MLK 1.2コンタクト、LKSコンタクト、VKS+コンタクト、SFKループバネコンタクト、VEKバネコンタクト、平面コネクタ、MKR/MKS+コンタクト、rsA 2+コンタクト、RAM−+コンタクト、VKR+コンタクト、MDK 4/MDK 5コンタクト、RAM機械加工コンタクト、DFK 3コンタクト、FS 2.8+コンタクト、AFK/AFS+コンタクト、MDK 3コンタクト、DFK 40コンタクト、MQSコンタクト、MCPコンタクト、RSA 2+、MKR−+、MKS−+、RAM−+コンタクト、VKR+コンタクト、DFK 4コンタクト、平面押し付けソケット及び絶縁スリーブのないタップ、1.5/2.5ピン/ソケットELAコンタクト(各々密閉される又は密閉されない及び/又は絶縁又は絶縁されない、いかなる形状、設計及びサイズにおいて)が、言及される。プラグのさらなる例に関して、2010年のWEZAG社の広告パンフレット「プロ仕様のためのツール」が参照される。しかしながら、他のタイプのプラグのB形の圧着ダイを使用することも、可能である。
【0006】
「ケーブル圧着」及び「絶縁クリンピング」の両方のB形の圧着プラグの基本的な表現及び説明は、2007年発行、雑誌「Productronic」7巻、35−36ページから参照することができる。
【0007】
圧着ダイにおいてプラグを圧着するため、大きな圧着力を適用することが必要である。これらの大きな圧着力は、手動の作動、液圧駆動、又は、他の外部駆動により提供される。大きな圧着力を適用する必要条件にもかかわらず、圧着プロセスの終わりで、プラグの生成された外側表面及び曲線の高需要及び仕様が存在する。
【0008】
現在の圧着ダイの1つの問題は、頻繁に、圧着プロセスの終わりで、除去力を適用せずに圧着ダイの圧着曲線からプラグを取り除くことができないことである。除去力が必要である理由は、プラグが明らかに圧着ダイに「接着する」からである。しかしながら、除去力の適用により、プラグ、ケーブルの破損、又は、プラグとケーブルとの間の機械的又は電気的接続の生成が損なわれる可能性がある。プラグと圧着ダイとの間の接着は、特に以下の原因から生じる:
−プラグを圧着するための圧着ダイの半体は、圧着プロセスの間、圧着軸の方向及びこの方向を横切る方向の両方でプラグと接触する圧着曲線を含む。したがって、プラグは、両方向にダイ曲線によって変形する。特にダイ曲線が傾斜した又は湾曲した曲線領域で構築される場合、プラグは、ダイ曲線の狭い圧着軸を横切って可塑的及び弾力的に圧着され、変形する。圧着プロセスの終わりで、プラグは、プラグの弾力性によりダイ曲線内で圧着方向に水平に「圧着される」。上記の効果は、圧着方向を横切る配向性を有しているダイ曲線の曲線領域では発生しない。しかしながら、圧着方向においてダイ曲線の曲線領域の傾斜が増加する際、効果は、重要性を増す。
−接着効果の説明のための代替的又は累積的な試みによれば、マイクロ「凸凹形」又はマイクロ「かみ合い」が圧着プロセスの間、ダイとプラグとの間で構築されると予想された。これらのマイクロ凸凹形又はマイクロかみ合いは、望まれていない除去力の増加の原因である。
−マイクロ溶接がダイとプラグとの間で構築されることもまた、可能である。
【0009】
上述した現象を回避するため、通常、導線がプラグ又はプラグの表面層の基材として使われる。鉛は、除去を容易にするための一種の潤滑油手段として役立つ。しかしながら、欧州指針EU2002/95/EGは、電気的及び電子的装置において、有害な材料の使用の制限を目的としている。この欧州指針は、鉛として重合金の使用の回避を意図する。この欧州指針によれば、2006年7月1日から、当面のプラグとしての加工物は、鉛を含むことは許されない。
【0010】
出願人のドイツ特許出願第102009001949A1号は、圧着プライヤの圧着曲線からの加工物(管接続、ケーブルシュー、ケーブル端スリーブ、プラグなどのための部品として)の除去の簡略化に関するものである。その特許出願において、ダイの半体に特定の弾力性を備えることが提案される。したがって、圧着プロセスの終わりで、ダイは弾力的に広げられ、その結果、ダイは「呼吸する」。ダイのこの呼吸効果のために、圧着プロセスの終わりで加工物が自動的にダイから分離することができる。
【0011】
米国特許第5,500,999A号は、プラグが、Bの垂直脚部の曲線を定める第1の圧着ダイの半体と接触する従来技術を記載する。第2の圧着ダイの半体は、Bの湾曲した部分を定める。圧着プロセスの間、第2の圧着ダイの半体は、第1の圧着ダイの半体の方へ動かされる。第2の圧着ダイの半体は、圧着中心部を定めている底部領域を含む。加えて、第2の圧着ダイの半体へと動く場合、第2の圧着ダイの半体はプラグを導入するための傾斜した表面を構築する。斜面の開口角度は、第2の圧着ダイの半体の底部領域の方へ向かって小さくなる。米国特許第5,500,999 A号は、圧着プロセスの終わりの端部位置で、斜面のために圧着された加工物の異なる高さは、2つの圧着ダイの半体の間で構築される隙間xにつながるという問題について訴える。隙間xの幅は、圧着された加工物の高さによって決まる。隙間xは、圧着されたプラグの外側表面で、望まれていないギザギザとなる。米国特許第5,500,999A号は、第2の圧着ダイの半体に4つの曲線部分、すなわち、
−圧着中心部を有する底部領域、
−底部領域から分岐している移行領域、
−平行した曲線部分を有する許容域、及び、
−導入領域、を備えることを提案する。
【0012】
許容域において、曲線部分は、圧着方向を横切る第1の圧着ダイの半体の拡張部に対応する距離を有する。異なる高さを有する加工物では、第1の圧着ダイの半体は、いかなるギザギザも形成せずに、圧着プロセスの終わりで許容域の複数の異なる位置に位置する。
【0013】
また、ドイツ特許出願第19737863A1号は、第2の圧着ダイの半体が第1の圧着ダイの半体の幅に対応する距離を有する平行した曲線部分を含む許容域を有する圧着ツールを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】ドイツ特許出願第10 2009 001 949 A1号公報
【特許文献2】米国特許第5,500,999 A号公報
【特許文献3】ドイツ特許出願第197 37 863 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、そこで圧着されるケーブルを有する圧着されたプラグが、中に圧着される又圧着ダイに付着する可能性を減少させるB形の圧着ダイを提供することである。圧着ダイからケーブルを有するプラグを取り除くための除去力を減少することは、本発明の別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
転移点で圧着ダイの閉じた状態において、圧着曲線は、第1の圧着曲線部分(第1の圧着ダイの半体によって定められる)から、第2の圧着曲線部分(第2の圧着ダイの半体によって定められる)への転移を有する。本発明は、転移点で、圧着プロセスの間、第1の圧着ダイの半体の移動方向において見られる場合、第2の圧着ダイの半体の曲線の開口角度が増加することを提案する。
【0017】
本発明によると、第2の圧着ダイの半体の曲線は、転移点の両側上に平面又は均一なガイド表面又は長手脚部を含む。圧着プロセスの初めに、プラグは、これらのガイド表面又は側面脚部の間に導かれて、変形する。転移点でガイド表面又はガイド側面脚部の開口角度が変化する。これらの対策によって、本発明は初めて、転移点の両側上の2つの言及された曲線部分又は側面脚部の異なる開口角度の選択を可能にする:
−転移点の前の第2の圧着ダイの半体の開口角度(第1の圧着ダイの半体の移動方向において見られる場合)は、プラグの第1の変形が、導入段階又は第1の部分的な圧着のために最適化され、そこで、プラグは湾曲した又は巻かれた形状において変形しない又は完全に変形しないように選択される。例えば、プラグの可塑的に変形した材料が圧着ダイの半体間の隙間に入るのを回避するため、2つの圧着ダイの半体間の結果として生じる隙間が十分に小さいように、小さいこの領域で開口角度を選択することは可能である。したがって、圧着プロセスの終わりでギザギザが構築される危険性は減少する。
−本発明によると、転移点の後ろの圧着ダイの半体の移動方向における開口角度の変化によって、他の必要条件が考えられる:ガイド表面又はこの領域において使用する側面脚部は、閉じた状態のダイの圧着曲線の部分である第2の曲線部分を構築する。したがって、これらのガイド表面又は側面脚部は結局、その最終的な状態においてプラグの圧着されたB形状を定める。この領域の圧着ダイの半体の開口角度は、作成されるB形の圧着曲線に特に適応する。この領域の第2の圧着ダイの半体の開口角度は、B形のダイとプラグが接着する又は圧着する危険を少なくとも減少するように選択される。本発明は、B形の圧着ダイにおけるプラグの圧着又は接着の危険が圧着曲線を定める側面脚部又はガイド表面の開口角度の増加によって減少するという発見に基づく。
【0018】
言い換えてそれを挙げると、本発明の圧着ダイは、従来技術による目的の対立を取り除く:従来技術の圧着ダイの1つの目的は、第2の圧着ダイの半体によって構築された凹部にプラグを導入し、最初の変形を提供するために適切である第2の圧着ダイの曲線の1つの連続的なガイド表面又は側面脚部の開口角度を選択することである。従来技術の圧着ダイの矛盾する目的は、B形の圧着ダイの閉じた状態においてプラグの曲線を定めるため、及び、B形の圧着ダイからプラグの除去を容易にするため、第2の圧着ダイ部分の連続的なガイド表面又は側面脚部の開口角度を最適化することである。
【0019】
本発明によると、転移点の前の第2の圧着ダイの半体の曲線(第1の圧着ダイの半体の移動方向において見られる場合)は、1°から7°、特に3°から6°の開口角度αを有する直線の側面脚部を含む。転移点の後ろの第2の圧着ダイの半体の曲線(第1の圧着ダイ部分の移動方向において見られる場合)は、3°から20°、特に5°から15°の開口角度βを有する直線の側面脚部を含む。いずれにせよ、本発明によると、開口角度αは、開口角度βより小さい。1つの例のみを言及すると、開口角度αは、 k = 0.5(又は、k = 0.7又はk = 0.8)でα= kxβにより生じる。しかしながら、kが前記の値から±20%によって異なることもまた、可能である。
【0020】
本発明は、開口角度αから開口角度βへの転移のための転移点でいかなるタイプの曲線にも適用される。本発明の一実施態様では、第2の圧着ダイの半体の曲線は、転移点で湾曲する。湾曲は、第2の圧着ダイの半体の凹部を形成するための製造プロセスから起こる可能性がある。しかしながら、湾曲は、プラグの所望の可塑的及び弾力的な変形、又は、プラグの変形プロセスの必要性から起こる可能性もある。転移点の湾曲した設計によって、圧着ダイの閉じた状態における圧着曲線のいかなる影響も望まれていない場合、曲線の湾曲した形状は、湾曲した形状が転移点の後ろで接線方向の配向性により第2の圧着ダイの半体の曲線に入るように転移点の前にすぐに位置してもよい。
【0021】
本発明の他の実施態様では、第2の圧着ダイの半体の曲線は、転移点でねじれを含む。したがって、第1の圧着ダイの半体の移動方向における第2の圧着ダイの半体の開口角度は、滑らかな転移なしで、開口角度が急増して変化する。これにより、圧着されたプラグの非常に正確な形状が生じる。多くの公知の圧着プロセスでは、転移点で、B形の圧着ダイは1/100mmの範囲の公差を含む。これらの小さな公差は、滑らかな転移又は湾曲で転移点を成形する場合には悪化する。
【0022】
他の本発明の特徴および効果は、以下の図面及び詳細な説明を考察すると当業者に明らかになる。すべてのそのような追加の特徴及び利点は、請求項に記載の本発明の範囲内で本明細書において含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明は、以下の図面を参照することによって、よりよく理解することができる。図面の構成要素は必ずしも一定の比率であるというわけではなく、その代わりに本発明の原理を明確に示すため強調が配置される。図において、類似した参照番号は、いくつかの図の全体で対応している部分を示す。
【図1】図1は、圧着プロセスの初めにおける従来技術によるB形の圧着ダイを概略的に示す。
【図2】図2は、圧着プロセスの間の図1のB形の圧着ダイを示す。
【図3】図3は、圧着プロセスの終わりで閉じた状態における図1及び図2によるB形の圧着ダイを示す。
【図4】図4は、第1の圧着ダイの半体及び第2の圧着ダイの半体を有する本発明のB形の圧着ダイを概略的に示す。
【図5】図5は、同じものの形状の固有値を有するB形の他の圧着ダイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
さらに詳細に図面を参照すると、図1から3は、B形の圧着ダイでプラグを圧着するための圧着プロセスを概略的に示す。図1による圧着プロセスの初めに、第1の圧着ダイの半体1は、第2の圧着ダイの半体2から遠く離れて位置する。第2の圧着ダイの半体2は、ある曲線を有する凹部3を含む。第1の圧着ダイの半体1は、圧着又は移動方向4において凹部3に導入される。図1の破線によって示される、及び、図3に示される末端の状態又は閉じた状態において、第1の圧着ダイの半体1及び第2の圧着ダイの半体2は、圧着プロセスの終わりでプラグの圧着されたB形状を定める圧着曲線5を有する空洞を定める。圧着曲線5は、第1の圧着曲線部分6で構築される。第1の圧着曲線部分6は、定められた第1の圧着ダイの半体の前部表面によって構築される。転移点7、8の第1の圧着曲線部分6は、第2の圧着曲線部分9への転移を有する。第1の圧着曲線部分6は凹状形状を有し、B形の圧着ダイの「B」の垂直脚部を構築する。示された実施態様では、圧着曲線部分6は、湾曲される又は円の領域で構築される。第2の圧着曲線部分9は、第2の圧着ダイの半体によって構築される。大雑把な簡略化のための、第2の圧着曲線部分9は、一般にBの取り除かれた垂直脚部及び取り除かれた中間の水平な脚部を有するBに対応する。Bの上下の水平な脚部は、第2の曲線脚部10、11を構築する。第2の曲線脚部10、11は、転移点12、13の凹部3の底部領域14に変化する。底部領域14の曲線は(大雑把な簡略化において)、2つの凹状曲線領域15、16を持つ鳥の簡略化された図に対応する。曲線領域15、16は、ねじれを有して、又は、接線方向の配向性を有して第2の曲線脚部10、11)に続く。中央の曲線領域15、16は、先端又はいわゆる圧着中心部17を構築する。従来技術の第2の曲線脚部10、11は、整列配置した第1の曲線脚部18、19で移動方向の反対側の方向において転移点7、8の上で直線(ねじれなしで)のままである。したがって、従来技術の第1および第2の曲線脚部10、18及び11、19は、直線のラインを構築する。図1から3に示した実施態様では、凹部3の入口で、第1の曲線脚部18、19は湾曲した拡張部又は導入脚部20、21を含む。
【0025】
圧着プロセスの初めに、V曲線プラグ22(Vの2つの脚部の接続の湾曲した領域を有する)又は放物線状のプラグ22は、第1の圧着ダイの半体の第1の圧着曲線部分6に配置される。ケーブル23は、いかなるケーブルによっても、特に7又は19の束で通常に束ねられたケーブル、又は、微細な有線のケーブルによって構築される。ケーブル23は、プラグ22によって構築されたVに下方向へ挿入される。移動方向4への第1の圧着ダイの半体1の動作で、プラグ22及びケーブル23を有する第1の圧着ダイの半体1は、凹部3に入る。プラグ22の端部領域24、25は、第1の圧着曲線部分6より大きな幅を含む。このために、第1の曲線脚部18、19は、平行した配向性を有さず、底部領域14の方へ向かって狭くなる。端部領域24、25は、転移点12、13を通過する場合、曲線領域15、16に沿って導かれる。このガイド動作は、プラグ22の回転する変形と一致する:端部領域24、25は、曲線領域15、16に沿って摺動して、圧着部分17の先端で当接する。移動方向4における第1の圧着ダイの半体1のさらなる動作により、端部領域24、25が、ケーブル23への移動方向4に対向する方向で押圧されるという結果が導かれる。図3において、閉じた状態が達成される。閉じた状態において、ケーブル23はB形状に圧着されるプラグ22によって、完全に囲まれる。プラグ22は、ケーブル23に対して押圧される。
【0026】
一般に、端部領域24、25の案内は、第1の曲線脚部18、19間の角度の増加によって容易にされる。しかしながら、第1の曲線脚部18、19間の角度の増加は、端部の状態が増加する前に第1の圧着曲線部分6、及び、第1の曲線脚部18、19間の隙間になるという結果につながる。隙間のこの増加により、プラグ22のその変形した材料が隙間に入る結果になる。この結果は、圧着プロセスの終わりで圧着されたプラグ22の外側表面におけるギザギザにつながる。
【0027】
本発明のB形の圧着ダイ26は、以下に記載される:一般に、本発明のB形の圧着ダイ26は、上記の圧着ダイに対応して構築される。しかしながら、凹部3の領域で第2の圧着のダイの半体2の曲線27は、転移点7、8で終わる直線の第1の曲線脚部18、19で構築される。転移点7、8は、図4に示されるB形の圧着ダイ26の閉じた状態において、第2の圧着ダイの半体2によって構築された第2の圧着曲線部分9へ第1の圧着ダイの半体1によって構築された第1の圧着曲線部分6の転移の場所に対応する。転移点7、8の領域において、第2の圧着ダイの半体2の曲線27は、ねじれを含む。ねじれにおいて曲線27は、第1の曲線脚部18、19から直線の第2の曲線脚部10、11に変化する。直線の第2の曲線脚部10、11は、転移点12、13で湾曲した曲線領域15、16に変化し、そこで、転移は、ねじれによって、又は、第2の曲線脚部10、11から湾曲した曲線領域15、16への接線方向にある転移によって構築される。
【0028】
想像上の第2の曲線脚部10’、11’を有する図4において、第1の曲線脚部18、19の直線の拡張部を有する従来技術による側面脚部の配向性は、従来技術で公知の実施態様と本発明の実施態様との違いを強調するように示される。本発明の設計から、灰色に着色された違い領域は、図4に示すようになる。この表現により、第2の曲線脚部10、11の配向性の本発明の変化に対応してまた、曲線領域15、16の変更が起こることが分かる。特に、曲線領域15、16の湾曲又は屈曲は、増加した。
【0029】
第1の曲線脚部18、19は、第2の圧着ダイの半体2の移動方向4又は対称軸28に関して開口角度αを含む。図4において、開口角度αは、参照番号29によって示される。第2の曲線脚部10、11は、第2の圧着ダイの半体2の移動方向4又は対称軸28に関して開口角度βを含む。図4において、開口角度はβ、参照番号30によって示される。したがって、相違角度xは、曲線脚部11、19との間と同様に曲線脚部10、18の間で構築される。図4において、相違角度xは、参照番号31によって示される。当業者は、図に示される底部領域14の第2の圧着曲線部分9の選ばれた設計は制限を意図するものではなく、その代わりに、本発明でフレーム内において、底部領域14のいかなる異なる圧着曲線部分9も使われてもよいことを理解する。
【0030】
図5において、第1の圧着ダイの半体1及び第2の圧着ダイの半体2を有するB形の圧着ダイ26の可能な形状は、さらに特定される。与えられた形状は、本発明をこれらの形状に制限する意図を有さずに本発明のB形の圧着ダイ26の1つの可能な例を構築するのみである。第1の圧着ダイの半体1の前部表面及びその第1の圧着曲線部分6の幅32は、3.86mmである。参照番号29による開口角度αは、4°である。第1の圧着曲線部分6は、均一かつ平面の設計を有しない。その代わりに、第1の圧着曲線部分6は、2つの外面の平面平坦域33、34、及び、2.5mmの半径36を有する内側の凹状円形の領域35によって構築される。移動方向4におけるB形の圧着ダイ26の最大の距離37(第2の圧着曲線部分9からの第1の圧着曲線部分6の最大の距離)は、2.13mmである。圧着中心部17は、0.53mmの第1の圧着曲線部分6の方へ底部領域14の拡張部38を有する。参照番号31によって示される角度 は5°であるので、角度β(参照番号30によって示される)は、9°である。曲線領域15、16は、各々の2つの円領域の曲線39、40で構築される。円領域の曲線39の半径41は1mmである、一方、円領域の曲線40の半径42は0.92mmである。曲線領域16の円領域曲線40の中心からの曲線領域15の円領域曲線39の中心の距離43は、1.77mmである。
【0031】
本発明のB形の圧着ダイ26は、特に圧着プライヤ、液圧作動式圧着ツール、又は、いかなるタイプの駆動装置によっても駆動される圧着器のようないかなるツールにおいても使われてもよい。
【0032】
冒頭部で述べたように、本発明のB形の圧着ダイ26は、いかなる設計もの少なくとも1つのケーブル23を有するいかなる設計ものプラグ22で使われてもよい。
【0033】
圧着プロセスの間、移動方向4にいける第1の圧着ダイの半体の最初の動作で、プラグ22の端部領域24、25は、初めて、第1の曲線脚部18、19又は拡張部20、21の接点44、45において第2の圧着ダイの半体2と接触する。移動方向4におけるさらなる動作で、端部領域24、25は、連続的に、引き続いて互いの方へ移動方向4を横切るように変形する。第2の圧着ダイの半体2の曲線は、連続的に、引き続いて底部領域14の方へ接点44、45から狭くなる。しかしながら、本発明により、狭くなる分量は転移点7、8で変化する。いかなる公知の製造プロセスも、B形の圧着ダイ26を製造し、ダイの半体の曲線を形成するために使われてもよい。いくつかの例のみを挙げると、B形の圧着ダイ26は、ワイヤ放電加工又はワイヤ腐食、研磨プロセス及び/又は平削りプロセスで製造されてもよい。記載された曲線が、B形の圧着ダイ26の曲線を製造するために使われるコンピュータ数値制御機械において蓄積されることも可能である。研磨製造プロセスによって提供される製造された曲線の表面粗さは、できるだけ小さいように保たれるべきである。追加の硬化プロセスは、特に、転移点7、8で曲線に適用される。
【0034】
本発明において、第2の圧着ダイの半体は、圧着ダイ中心部17及び第2の圧着曲線部分9と同様に、底部領域14及び曲線領域15、16を定める圧着ダイの半体を示す。第1の圧着ダイの半体1は、Bの垂直脚部を形成するように第1の圧着曲線部分6を定める圧着ダイの半体を示す。したがって、この定義は、さらなる基準に独立している。特に、「第1の」及び「第2の」圧着ダイの半体の使用で、これらの片方のうちどちらが移動され、どちらの片方が載置されるかどうかは関係ない。
【0035】
本特許出願において、第1の圧着ダイの半体1が、載置されている第2の圧着ダイの半体2の方へ移動される実施態様が記載される。第1の圧着ダイの半体1は、凹部3に入り、底部領域14に接近する。しかしながら、本発明の対策は、2つの圧着ダイの半体1、2間の相対的な動作を有するいかなる実施態様にも適用される。特に、本発明はまた、第1の圧着ダイの半体1が載置されている一方で、第2の圧着ダイの半体2は移動される実施態様にも当てはまる。本発明は、両方の圧着ダイの半体1、2が互いの方へ移動される実施態様にも当てはまる。
【0036】
多くの変更及び修正は、本質的に本発明の趣旨及び原理から逸脱せずに本発明の好ましい実施形態に作成される。すべてのそのような修正及び変更は、以下の請求項に記載の本発明の範囲内で、本明細書において含まれる意図を有する。
【符号の説明】
【0037】
1 第1の圧着ダイの半体
2 第2の圧着ダイの半体
3 凹部
4 移動方向
5 圧着曲線
6 第1の圧着曲線部分
7 転移点
8 転移点
9 第2の圧着曲線部分
10 第2の曲線脚部
11 第2の曲線脚部
12 転移点
13 転移点
14 底部領域
15 曲線領域
16 曲線領域
17 圧着中心部
18 第1の曲線脚部
19 第1の曲線脚部
20 拡張部
21 拡張部
22 プラグ
23 ケーブル
24 端部領域
25 端部領域
26 B形の圧着ダイ
27 曲線
28 対称軸
29 開口角度α
30 開口角度β
31 相違角度γ
32 幅
33 平坦域
34 平坦域
35 円領域
36 半径
37 距離
38 拡張部
39 円領域曲線
40 円領域曲線
41 半径
42 半径
43 距離
44 接点
45 接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
そこに位置する電気ケーブルとプラグをB形状に圧着する圧着ツールのためのB形の圧着ダイであって、
a)第1の圧着曲線部分を定めている第1の圧着ダイの半体と;
b)第2の圧着曲線部分を定めている第2の圧着ダイの半体と;
c)該圧着ダイの半体の閉じた状態において構築されるB形の圧着曲線であって、該B形の圧着曲線は、1つの圧着曲線部分から他の圧着曲線部分までの転移点を有する該圧着曲線部分によって定められるB形の圧着曲線と;を含み:
d)該第2の圧着ダイの半体の曲線は、
da)1°から7°の範囲の開口角度αを有している直線の第1の曲線脚部であって、圧着プロセスの間、該第1の圧着ダイの半体の移動方向から見る場合、該転移点の前に位置する第1の曲線脚部により、及び、
db)3°から20°の範囲の開口角度βを有している直線の第2の曲線脚部であって、圧着プロセスの間、該第1の圧着ダイの半体の移動方向から見る場合、該転移点の後ろに位置する第2の曲線脚部により構築され、
e)該第1の曲線脚部の該開口角度αは、該第2の曲線脚部の該開口角度βより小さい、B形の圧着ダイ。
【請求項2】
前記第2の圧着ダイの半体の前記曲線が前記転移点で湾曲する、請求項1の圧着ダイ。
【請求項3】
前記第2の圧着ダイの半体の前記曲線が転移点でねじれを含む、請求項1の圧着ダイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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