B細胞悪性腫瘍の治療
本発明は一般に、医薬品組成物と、多発性骨髄腫(MM)を予防し緩和し治療する必要のある個体に線維芽増殖因子受容体3(FGFR3)の少なくとも1種の抗体を投与するための、多発性骨髄腫を予防し、緩和し、治療するための改善された方法とに関する。詳細には、少なくとも1種のFGR3抗体は、野生型FGFR3を発現する骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その必要のある個体に、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)に対する少なくとも1種の抗体を投与することによって、B細胞悪性腫瘍、特に多発性骨髄腫(MM)を、予防し、緩和し、治療する、医薬組成物及び方法に関する。具体的には、上記少なくとも1種のFGFR3抗体は、野生型FGFR3を発現する骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発する。
【背景技術】
【0002】
(線維芽細胞増殖因子)
線維芽細胞増殖因子(FGF)は、発達過程で調節され且つ広く様々な組織内に発現する、20種を超える構造的に関連のあるポリペプチドのファミリーを構成する。FGFは、増殖、細胞移動、及び分化を刺激し、骨格及び四肢の発達、創傷治癒、組織修復、血液新生、血管形成、及び腫瘍形成で主要な役割を演ずる(Oraitz及びItoh,Genome Biology 2001,2(3):reviews 3005.1〜3005.12に概説されている)。
【0003】
FGFの生物学的作用は、タンパク質キナーゼである受容体タンパク質チロシンキナーゼ(RPTK)ファミリーに属する特定の細胞表面受容体によって媒介される。これらのタンパク質は、細胞外リガンド結合ドメイン、1回膜貫通ドメイン、及びFGFとの結合によりリン酸化に付される細胞内チロシンキナーゼドメインからなる。FGF受容体(FGFR)細胞外領域は、3つの免疫グロブリン様(Ig様)ループ又はドメイン(D1、D2、及びD3)、酸性ボックス、及びヘパリン結合ドメインを含有する。多数の受容体変種をコード化する4つのFGFR遺伝子が、今日までに明らかにされている。
【0004】
(B細胞関連の悪性腫瘍)
B細胞腫瘍物には、前駆Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫(前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病)、B細胞慢性リンパ球白血病/小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、形質異細胞骨髄腫/形質細胞腫、MALTタイプの結節外辺縁帯B細胞リンパ腫、結節辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、外套細胞リンパ腫、びまん性大B細胞リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、及び多発性骨髄腫が含まれる。
【0005】
(多発性骨髄腫)
多発性骨髄腫(MM)は、形質細胞の致命的な造血器悪性腫瘍である。IgHスイッチ組換えを受ける形質細胞は、典型的には骨髄に戻り、そこで存在する。骨髄間質との相互作用が、悪性形質細胞の増殖及び腫瘍形成をもたらす。髄内骨髄腫の進行は、溶解性骨疾患及び骨粗しょう症、高カルシウム血症、貧血、免疫不全、及び腎不全を含めた益々重篤な2次的特徴に関連する。
【0006】
多発性骨髄腫は、非ホジキンリンパ腫の次に広く蔓延している血液癌である。これは、全ての癌の約1%を占め、全ての癌死亡の2%を示す。多発性骨髄腫が発症するピーク年齢は65から70才であるが、最近の統計では、罹患率が上昇し且つ発症年齢がより早くなったことが示されている。
【0007】
何十年もの間、MMの治療は、細胞毒性化学療法、主に標準用量経口投与でのメルファランとプレドニゾンとの併用を基礎にしてきた。骨髄毒性を低下させるための、高用量メルファラン療法と自家骨髄移植との併用(Child他(2003)NEJM 348;19 1875〜1883)も評価されており、全体の生存期間を、標準用量化学療法よりもやや上昇させている。
【0008】
いくつかの遺伝的決定因子は、MMの発症及び進行の原因であることが示されている。MMの症例の約15%〜20%は、染色体転座、t(4;14)(p16.3;q32)を伴っており、der(4)からのMMSET及びder(14)からのFGFR3の発現を調節解除している。特に野生型FGFR3は、非常に高いレベルで異所的に発現するようになり、骨髄腫細胞内で増殖性シグナルを誘発する。この転座は、MMでの主な現象であることが示されており、場合によってはFGFR3の変異の活性化を疾患の進行につれて獲得する。最近の研究では、t(4;14)を有する患者が特に悪い予後になることを実証している。
【0009】
FGFR3は、MMの治療標的であることが、生体外及び生体内での動物研究によって確認されている。原則として、MMの治療に有用な理想的なFGFR3阻害剤は、下記の性質、即ち
FGFR3を認識し、野生型及び変異型のFGFR3の活性化形態を阻害することができ、
FGFR3に特異的であり、即ちその他のFGFR又はチロシンキナーゼタンパク質を阻害せず、
生体適合性があり、即ち患者に対して非免疫原性であり無毒性であり、
血流中での半減期が長い
という性質を示す。
【0010】
本発明の譲受人の一部に同時譲渡された国際特許出願公開WO 02/102973は、受容体チロシンキナーゼに対する抗体、特に抗線維芽増殖因子受容体3(FGFR3)抗体を開示している。FGFR3に特異的であることが示されたある抗体は、FGFR3活性を中和し、軟骨形成不全などの骨格形成異常及び膀胱癌などの増殖性疾患の治療に有用である。この開示は、とりわけ多発性骨髄腫も含め、FGF受容体が関与していることが分かっている増殖性疾患の一覧を示している。
【0011】
国際特許出願公開WO 03/004056は、骨髄腫細胞にアポトーシスを誘発させるKl21様抗体を使用して、多発性骨髄腫を治療する方法について教示している。
【0012】
PEG化は、生体内でのより高い溶解性とより長い循環寿命を実現するために、単鎖とモノクローナルの両方の抗体を修飾するのに用いられている。PEG(40000)は、ErbB2(HER2)腫瘍性タンパク質に特異的なmab、N12及びL26に結合する(Hurwitz他(2000)Cancer Immunol.Immunother.49 226〜234)。Koumenis他(Int.J.Pharmaceut.198 83〜95(2000))も、PEG結合によって、ヒト化抗IL−8のF(ab’)2形態の循環半減期の延長を実現した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
化学療法及び放射線両方を含めたB細胞悪性腫瘍を治療する伝統的な方法は、毒性ある副作用が原因でその有用性に限度があった。モノクローナル抗体の使用は、標的抗原を発現する細胞に対するその毒性を制限する。当技術分野では、多発性骨髄腫の予防又は治療に有効な抗FGFR3抗体が、まだ明らかにされていない。
【0014】
本明細書におけるどの文献の引用も、そのような文献が適切な従来技術であり又は本出願の任意の請求項の特許性に対して重要と考えられることを認めるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、初めて、多発性骨髄腫を含めたB細胞悪性腫瘍の治療に非常に有効な治療薬を提供する。多発性骨髄腫は難病であり、従来の療法は、患者の5%にしか完全な寛解がもたらされず、全体の平均生存期間はわずかに約36カ月である。今回、2量体FGFR3細胞外ドメインに特異的なヒト組換え抗体が、多発性骨髄腫のあるサブタイプを予防し、緩和し、又は治療するのに非常に有効であることを開示する。
【0016】
一態様では、本発明は、FGFR3に対して特異性及び親和性を有する単離された抗体の抗原結合部分を含んだ治療上有効な量の分子であって、FGFR3を発現する骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発する分子と、医薬品として許容される担体とを、その必要のある対象に投与するステップを含む、多発性骨髄腫を予防し、緩和し、又は治療する方法に関する。
【0017】
別の態様は、FGFR3に対して特異性及び親和性を有する単離された抗体の抗原結合部分を含む分子であって、FGFR3を発現する骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発する分子の、多発性骨髄腫を治療する薬剤を製造するための使用に関する。
【0018】
本発明の別の態様は、FGFR3に対して特異性及び親和性を有する単離された抗体の抗原結合部分を含んだ治療上有効な量の分子を、活性成分として含む、B細胞悪性腫瘍を予防し、緩和し、又は治療するための医薬組成物に関する。
【0019】
本明細書に記述される分子及びその組成物のいくつかは、国際特許出願WO 02/102972に開示されており、その教示を、本発明の出願人の一部に同時譲渡された本明細書で完全に述べるかのように、参照により本明細書に組み込む。これらの組成物は、骨格形成異常及び増殖性疾患の治療に有用であることが既に開示された。この分子は、野生型と恒常的に活性な型の両方のFGFR3を阻害するのに有効であることが示された。WO 02/102972は、特定の徴候の治療に有用な特定の化合物に関する本発明の特許請求の範囲を、予測していない開示である。ここでは、前記知られている組成物のいくつかが、多発性骨髄腫の治療及び緩和に特に有効であることを開示する。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)に対して特異性及び親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単一ドメイン抗体、組換え抗体、及びこれらの断片から選択される。好ましい抗体種は組換え抗体である。より好ましい抗体種は、組換え単鎖抗体及び組換えFab抗体から選択される。単鎖抗体は、抗原結合能力を有し且つ免疫グロブリン軽鎖及び重鎖の可変領域に対して相同な又は類似するアミノ酸配列を含んだ単鎖複合体ポリペプチド、即ち連鎖型VH−VL又は単鎖Fv(scFv)にすることができる。
【0021】
ある実施形態では、本発明は、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)に対して特異性及び親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子であって、配列番号1〜9のいずれかに記載されるポリペプチド配列を有するVH−CDR3領域、及び配列番号10〜18のいずれかに記載されるポリペプチド配列を有するVL−CDR3領域を含む分子と、医薬品として許容される担体とを含んだ医薬組成物を投与することを含む、多発性骨髄腫を予防し、緩和し、又は治療する方法を提供する。対応するVH−CDR3領域及びVL−CDR3領域のポリヌクレオチド配列を、配列番号39〜47及び配列番号48〜56にそれぞれ示す。これらの配列は、本発明の譲受人の一部に譲渡されたWO 02/102972に開示されている。
【0022】
1つの好ましい実施形態によれば、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)に対して特異性及び親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子は、配列番号1で示されるポリペプチド配列を有するVH−CDR3領域、及び配列番号10で示されるポリペプチド配列を有するVL−CDR3領域と、医薬品として許容される担体とを含む。VH−CDR3領域及びVL−CDR3領域の対応するポリヌクレオチド配列を、配列番号39及び配列番号48にそれぞれ示す。
【0023】
本発明の別の好ましい実施形態は、配列番号1で示されるポリペプチド配列を有するVH−CDR3領域、及び配列番号10で示されるポリペプチド配列を有するVL−CDR3領域を含む、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)に対して特異性及び親和性を有する抗体の抗原結合部分と、医薬品として許容される担体(PRO−OO1と示す)とを含む、多発性骨髄腫を予防し、緩和し、又は治療するための医薬組成物である。
【0024】
様々な追加の実施形態によれば、本発明は、線維芽細胞増殖因子受容体3に対して特異性及び親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む治療上有効な分子であって、配列番号19〜27のいずれかに示されるポリペプチド配列を有するVHドメイン、及び配列番号28〜36のいずれかに示されるポリペプチド配列を有するVLドメインを含む分子と、医薬品として許容される担体とを含んだ組成物を投与するステップを含む、多発性骨髄腫を予防し、緩和し、又は治療する方法を提供する。VH及びVLドメインの、対応するポリヌクレオチド配列を、配列番号57〜65及び配列番号66〜74にそれぞれ示す。
【0025】
ある好ましい実施形態によれば、線維芽細胞増殖因子受容体3に対して特異性及び親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子は、配列番号19で示されるポリペプチド配列を有するVHドメイン、及び配列番号28で示されるポリペプチド配列を有するVLドメインと、医薬品として許容される担体とを含む。VH及びVLドメインの、対応するポリヌクレオチド配列を、配列番号57及び配列番号66にそれぞれ示す。
【0026】
さらに別の好ましい実施形態では、医薬組成物は、配列番号38の対応するポリヌクレオチド配列を有する、配列番号37で示されるポリペプチド配列を有する単鎖Fv分子(scFv)と、医薬品として許容される担体とを含む。
【0027】
また本発明は、FGFR3に免疫特異的に結合する1個又は複数のPEG化抗体及びその断片を含んだ医薬組成物も提供する。この場合、PEG化抗体及びその断片は、FGFR3に結合し中和する能力によって決定される際、天然の分子の生物活性を保持している。
【0028】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、配列番号37で示されるポリペプチド配列を有するPEG化単鎖Fv分子(scFv)を含み、ロイシン、即ちN末端の当初のアミノ酸をセリンに代えて、目標とされるPEG化を可能としている。
【0029】
ある実施形態では、抗体の抗原結合ドメインを含む分子の親和性は、結合アッセイ及びBIAcore(生体分子相互作用分析システム)を含めた当技術分野で知られている方法によって測定される。ある実施形態によれば、抗体の抗原結合ドメインの親和性は、BIAcore反応器で測定したときに約30nM未満であり、好ましくは約15nm未満であり、より好ましくは約5nm未満である。
【0030】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物を、別の治療薬と組み合わせて患者に投与する。そのようなその他の治療薬は、抗体又は化学療法薬でよい。化学療法薬は、多発性骨髄腫の治療で一般に使用され、メルファラン、ドキソルビシン、カルムスチン、シクロホスファミド、サリドマイド、ボルテゾミブ、及びレナリドマイドを含めることができる(しかしこれらに限定するものではない)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明は、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)に対して特異性及び親和性を有する抗体が、生体外及び生体内で骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発させるという発見に基づく。
【0032】
本発明は、FGFR3に対して特異性及び親和性を有する単離された抗体の抗原結合部分を含んだ治療上有効な量の分子であって、骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発させる分子と、医薬品として許容される担体とを含んだ医薬組成物を、その必要のある対象に投与するステップを含む、B細胞悪性腫瘍を治療する方法に関する。1つの好ましい実施形態では、B細胞悪性腫瘍は多発性骨髄腫である。
【0033】
本発明はさらに、B細胞悪性腫瘍、好ましくは多発性骨髄腫を予防し、緩和し、又は治療する薬剤を製造するための、少なくとも1個の抗FGFR3抗体の使用に関する。
【0034】
いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、抗FGFR3抗体は、間質と骨髄腫細胞との間の接着を妨げる可能性がある。この相互作用は、骨髄腫形質細胞の増殖及び疾患の進行に極めて重要であり、溶解性骨疾患などの局所的徴候、及び免疫無防備状態や貧血などの全身性徴候をもたらす。
【0035】
本発明の譲受人の一部に同時譲渡された国際特許出願WO 02/102972は、特異的な抗線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)抗体を含む、受容体タンパク質チロシンキナーゼに対するモノクローナル抗体を開示する。ファージディスプレー抗体ライブラリーから抗体(例えばFab)をスクリーニングするための、FGFR3受容体の細胞外ドメインの可溶性2量体形態の利用は、FGFR3に結合し且つリガンド結合を妨げる、非常に数多くの高親和性(KD<50nM)抗体(Fab)をもたらし、それによってFGFR3のリガンド依存的活性が阻止される。ある抗体は、FGFR3に対して特異的であり、FGFR3活性を中和するのに、また軟骨形成不全などの骨格形成異常及び膀胱癌などの増殖性疾患の治療に有用であることが示された。リガンド依存的な、又は恒常的な活性を阻止するのに有用な追加の抗体も、特定され単離された。
【0036】
本発明者等はこの度、その出願に開示された一定の分子が、FGFR3発現骨髄腫細胞、特に多発性骨髄腫患者の骨髄間質中に位置する骨髄腫細胞で、アポトーシスを誘発させるのに非常に有効であることを発見した。ここでは、これらの分子を、多発性骨髄腫の予防、緩和、及び治療について開示する。
【0037】
便宜のため、本明細書、実施例、及び特許請求の範囲で用いられるある用語について、以下に述べる。
【0038】
「線維芽細胞増殖因子受容体」又は「FGFR」という用語は、典型的には細胞外リガンド結合ドメイン、1回膜貫通ヘリックス、及びチロシンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインを含む、FGFによって生じたシグナルを細胞内部に伝達するのに必要な、FGFに特異的な受容体を示す。FGFR細胞外ドメインは、3つの免疫グロブリン様(Ig様)ドメイン(D1、D2、及びD3)、ヘパリン結合ドメイン、及び酸性ボックスからなる。多数の受容体タンパク質変種をコード化する4個のFGFR遺伝子が分かっている。FGFR3 mRNAの選択的スプライシングは、この受容体の少なくとも2個の既知のアイソフォーム、FGFR3IIIc及びFGFR3IIIbを生成する。
【0039】
本明細書及び以下の特許請求の範囲全体を通して、「FGFR3特異的」という用語は、FGFR3ポリペプチドに対して又はこれをコード化するポリヌクレオチドに対して、別のFGF受容体タンパク質又はポリヌクレオチドよりも高い親和性又は活性又は結合性を有する任意のエフェクターを指す。エフェクターは、リガンド、阻害剤、抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、又は小有機分子、例えばチロシンキナーゼ阻害剤などを含めた任意の分子にすることができる。「FGFR3特異的」という用語は、エフェクターが別のFGF受容体サブタイプに対して若干の活性を有する状況を、排除又は除外しないことを明白に理解すべきである。さらに、別の受容体サブタイプを介して媒介された活性が、観察される治療上の有用性に臨床上重要である場合、これは明らかに、特許請求の範囲で請求される本発明の範囲に包含されることを理解すべきである。
【0040】
本明細書で使用される「親和性」は、単一の抗原連結部位と1価の抗原決定基との反応の強度を指す。親和性は、結合定数として測定される。
【0041】
抗体の特異性は、いくつかの抗原決定基との反応を可能にし、且つその他とは反応させない抗体の性質である。特異性は、結合部位の化学組成、物理力、及び分子構造に依存する。
【0042】
本明細書で使用される、形質細胞骨髄腫としても知られる「多発性骨髄腫」は、形質細胞の増殖性血液疾患を指す。多発性骨髄腫は、骨髄内の過剰な数の異常形質細胞と、無傷のモノクローナル免疫グロブリン(IgG、IgA、IgD、又はIgE)又はベンス−ジョーンズタンパク質の過剰産生によって特徴付けられる。高カルシウム血症、貧血、腎障害、細菌感染に対する高罹患率、及び正常免疫グロブリンの不十分な産生は、多発性骨髄腫の一般的な臨床徴候である。また、びまん性骨粗しょう症及び軸骨格で主に観察される溶解性骨病変によっても、しばしば特徴付けられる。
【0043】
本明細書で使用する「間質」は、骨髄内の細胞、及び骨髄腫細胞の周囲の支持組織を指す。骨髄腫細胞と骨髄との接着は、骨髄腫の増殖を強化する。
【0044】
本発明の一態様は、FGFR3の活性を減少させ又は阻害する抗体の抗原結合部分を含む分子と、医薬品として許容される担体とを投与することによって、多発性骨髄腫を予防し、緩和し、又は治療する方法を対象とする。本発明の一実施形態によれば、抗体の抗原結合部分は、FGFR3の細胞外ドメインに向けられる。
【0045】
本発明の一実施形態は、FGFR3のリガンド依存的活性化を阻止する抗原結合ドメインを含む分子を対象とする。
【0046】
本発明による、抗体の抗原結合部分を有する分子は、FGFR3のリガンド依存的活性化及び/又はリガンド非依存的(恒常的)活性化を阻止するのに有用である。HuCAL(登録商標)(Human Combinatorial Antibody Library)クローンと呼ばれる抗体ライブラリーから得られたそのような抗体/分子の好ましい実施形態を、表1に示し、独自のVH−CDR3及びVL−CDR3配列を表2に示す。
【0047】
表1:多発性骨髄腫の阻害、治療、又は緩和に有用な抗体の性質
【表1】
キーポイント:FGFR3及びFGFR1に対するそれぞれの分子の親和性(nM)は、BIAcore及び/又はFACSにより測定した。IC50は、FGF9で行ったFDCP−FGFR3増殖アッセイにおいて、抗原結合部位を有するある分子の2量体dHLXフォーマットに関して決定した。Fab−dHLXは、Fabモノマーの2量体が、発現ベクターの挿入後に融合タンパク質として生成される、Fabミニ抗体フォーマットを指す。BIAcoreによって得られた値は、抗体と受容体との間の相互作用が特異的であることを実証した。
【0048】
表2:VH−CDR3及び対応するVL−CDR3ポリペプチド配列
【表2】
【0049】
VHは可変重鎖を指し、VLは可変軽鎖を指し、CDG3は相補性決定領域3を指す。ある好ましい実施形態では、本発明は、配列番号1〜9のいずれかに示されるポリペプチド配列を有するVH−CDR3領域、及び配列番号10〜18のいずれかに示されるポリペプチド配列を有する対応するVL−CDR3領域を含む治療上有効な分子と、医薬品として許容される担体とを含んだ組成物を投与することを含む、多発性骨髄腫を治療し又は予防する方法を提供する。VH−CDR3及びVL−CDR3領域の、対応するポリヌクレオチド配列は、配列番号39〜47及び配列番号48〜56のいずれか1つにそれぞれ示される。ポリヌクレオチド配列を表3に示す。
【0050】
ある実施形態によれば、本発明は、配列番号19〜27のいずれか1つに示されるポリペプチド配列を有するVHドメイン、及び配列番号28〜36のいずれか1つに示されるポリペプチド配列を有する対応するVLドメインを含む、治療上有効な分子と、医薬品として許容される担体とを含んだ組成物を投与することを含む、多発性骨髄腫を治療し又は予防する方法を提供する。好ましいVH及びVL配列を本明細書に示す。
【0051】
【化1】
【0052】
【化2】
【0053】
【化3】
【0054】
【化4】
【0055】
【化5】
【0056】
【化6】
【0057】
【化7】
【0058】
【化8】
【0059】
【化9】
【0060】
【化10】
【0061】
【化11】
【0062】
【化12】
【0063】
【化13】
【0064】
【化14】
【0065】
【化15】
【0066】
【化16】
【0067】
【化17】
【0068】
【化18】
【0069】
VH及びVLドメインの、対応するポリヌクレオチド配列は、配列番号57〜65及び配列番号66〜74をそれぞれ有する。
【0070】
【化19】
【0071】
【化20】
【0072】
【化21】
【0073】
【化22】
【0074】
【化23】
【0075】
【化24】
【0076】
【化25】
【0077】
【化26】
【0078】
【化27】
【0079】
【化28】
【0080】
【化29】
【0081】
【化30】
【0082】
【化31】
【0083】
【化32】
【0084】
【化33】
【0085】
【化34】
【0086】
【化35】
【0087】
【化36】
【0088】
さらに別の好ましい実施形態では、医薬組成物は、対応するポリヌクレオチド配列、配列番号38を有する、配列番号37で示される単鎖Fv分子(scFv)と、医薬品として許容される担体とを含む。ポリペプチド配列及びポリヌクレオチド配列のそれぞれを、ここに示す。
【0089】
PRO−001 scFvポリペプチド f配列番号37)
【化37】
【0090】
PRO−001 scFv DNA f配列番号38)
【化38】
【0091】
表3:VH−CDR3及び対応するVL−CDR3ポリヌクレオチド配列
【表3】
【0092】
(抗体)
自然抗体又は免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって共に結び付けられた2つの重鎖と2つの軽鎖とを有し、各軽鎖はジスルフィド結合によってそれぞれの重鎖に「Y」字形構造に結び付けられている。抗体のタンパク質分解性消化は、Fv(可変断片)ドメイン及びFc(結晶性断片)ドメインをもたらす。抗原結合ドメインFabは、ポリペプチド配列が様々に異なる領域を含む。F(ab’)2という用語は、ジスルフィド結合によって共に結び付けられた2つのFab’アームを表す。抗体の中心軸を、Fc断片と呼ぶ。各重鎖は、一端に可変ドメイン(VH)を有し、その後にいくつかの定常ドメイン(CH)を有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を有し、その他端に定常ドメイン(CL)を有し、この軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと位置合わせされており、軽鎖定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と位置合わせされている。
【0093】
軽鎖及び重鎖の各対の可変ドメインは、抗原結合部位を形成する。軽鎖及び重鎖上のドメインは、同じ一般構造を有し、各ドメインは、4つのフレームワーク領域を含み、その配列は比較的保存され、相補性決定領域として知られる3つの超可変領域(CDR1〜3)により接合される。これらのドメインは、抗原結合部位の特異性及び親和性に寄与する。
【0094】
重鎖のアイソタイプ(γ、α、δ、ε、又はμ)は、免疫グロブリンの種類(それぞれIgG、IgA、IgD、IgE、又はIgM)を決定する。軽鎖は、全ての抗体の種類で見出される2つのアイソタイプ(カッパ、Κ、又はラムダ、λ)のいずれかである。
【0095】
「抗体」又は「抗体の抗原結合部分を有する分子」という用語は、抗原上の特異的エピトープに結合することが可能であり、且つポリクローナル混合物からなるものでも又は本質的にモノクローナルからなるものでよい免疫グロブリン分子を指す。抗体は、自然源から又は組換え源から得られた免疫グロブリン全体又はその断片でよい。本発明による抗体は、例えば全抗体、抗体断片、又は別の免疫学的活性なその断片、例えば相補性決定領域などを含めた様々な形で存在することができる。同様に抗体は、機能的抗原結合ドメイン、即ち重鎖及び軽鎖可変ドメインを有する抗体断片でよい。抗体断片は、Fv、Fab F(ab)2、scFv(単鎖Fv)、dAb(単一ドメイン抗体)、2重特異性抗体、ダイアボディ、及びトリアボディからなる群から選択される形態で存在してもよい。
【0096】
本発明の範囲内には、キメラ抗体;ヒト及びヒト化抗体;単一ドメイン抗体;組換え及び設計製作された抗体と、その断片が含まれる。さらに、抗体の可変領域をコード化するDNAを、その他の抗体をコード化するDNAに挿入して、キメラ抗体を生成することができる(例えば、米国特許第4816567号参照)。単鎖抗体は、本発明の範囲内に包含される。単鎖抗体は、抗原結合能力を有し且つ免疫グロブリン軽鎖及び重鎖の可変領域(結び付けられたVH−VL又は単鎖FV(scFv))に対して相同性又は類似性があるアミノ酸配列を含む、単鎖複合体ポリペプチドにすることができる。VH及びVLの両方は、自然モノクローナル抗体配列をコピーすることができ、或いはこの鎖の一方又は両方は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5091513号に記載されるタイプのCDR−FIL構造を含むことができる。軽鎖及び重鎖の可変領域から切り離されたポリペプチド類似体は、ポリペプチドリンカーによって一緒に保持される。そのような単鎖抗体を生成する方法、特に、VH鎖及びVL鎖のポリペプチド構造をコード化するDNAが知られている方法は、例えば、そのそれぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4946778号、第5091513号、及び第5096815号に記載されている方法に従って実現することができる。
【0097】
さらに、CDR移植を行って、親和性又は特異性を含めた抗体分子のある性質を変化させることができる。CDR移植の非限定的な例は、米国特許第5225539号に開示されている。
【0098】
本明細書で使用する「抗体の抗原結合部分を有する分子」は、任意のアイソタイプ及び任意の動物細胞系又は微生物により生成された無傷の免疫グロブリン分子だけではなく、その抗原結合反応性部分も含むものとし、Fab断片、Fab1断片、F(ab’)2断片、その重鎖及び/又は軽鎖の可変部分、Fabミニ抗体(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるWO93/15210;米国特許第5910573号;WO96/13583;WO96/37621参照)、2量体2重特異性ミニ抗体(Muller他,1998 FEBS Letters,432:45〜49参照)及びそのような反応性部分を組み込んだキメラ又は単鎖抗体、並びにそのような抗体反応性部分が物理的に挿入されている任意のその他のタイプの分子又は細胞であって、例えばキメラT細胞受容体やそのような受容体を有するT細胞など、又はそのような反応性部分を含有する分子の一部を用いて治療用部分を送達するように開発された分子が含まれるが、これらに限定するものではない。そのような分子は、酵素切断、ペプチド合成、又は組換え技法を含むがこれらに限定することのない、任意の知られている技法によって提供することができる。
【0099】
本明細書で使用する「Fc」という用語は、食作用を媒介し、炎症を引き起こし、Igを特定の組織に向ける免疫グロブリン分子の部分(結晶化可能な断片)を意味し、Fc部分は補体活性化にも重要である。
【0100】
本発明の一実施形態では、RPTKの細胞外ドメインと免疫グロブリン定常ドメインとの融合を含むキメラを、受容体に対するリガンドのアッセイを行うのに、また抗体及びその断片をスクリーニングするのに役立つように構成することができる。
【0101】
「細胞外ドメイン」は、本明細書で使用する場合、通常その細胞の外側に位置する本明細書に開示されるFGFR3のポリペプチド配列を指す。細胞外ドメインは、成熟FGFR3の、隣接する(C末端)疎水性膜貫通及び細胞内配列の一部又は全てが欠失しているポリペプチド配列を包含する。したがって、細胞外ドメイン含有ポリペプチドは、細胞外ドメインと膜貫通ドメインの一部とを含むことができる。或いは、好ましい実施形態では、ポリペプチドがFGFR3の細胞外ドメインのみ含む。切断型細胞外ドメインは、一般に可溶性である。熟練した専門家なら、FGFR3の細胞外及び膜貫通ドメインを、これらのドメインが描写されている既知のRPTK(受容体タンパク質チロシンキナーゼ)アミノ酸配列とアライメントを行うことによって、容易に決定することができる。或いは、疎水性膜貫通ドメインは、ポリペプチド配列の疎水性プロットに基づいて容易に描写することができる。細胞外ドメインは、膜貫通ドメインのN末端側にある。
【0102】
「エピトープ」という用語は、抗体又はその断片によって結合することが可能な任意の分子の部分であって、その抗体により認識することもできる部分を指すものとする。エピトープ又は抗原決定基は、通常、アミノ酸や糖側鎖など、分子の化学的に活性な表面の群からなり、特異的3次元構造特性並びに特異的電荷特性を有する。
【0103】
「抗原」は、抗体によって結合することが可能な分子又は分子の一部であって、さらに動物に、この抗原のエピトープに結合することが可能な抗体を生成させることが可能な分子又は分子の一部である。抗原は、1つ又は複数のエピトープを有することができる。上述の特異的反応は、抗原が、高度に選択的な手法によってこの抗原に対応する抗体と反応し、且つその他の抗原によって引き起こされる可能性のある多数のその他の抗体とは反応しないことを示すものとする。
【0104】
本明細書で使用する「中和抗体」は、明細書の通りに生体内又は生体外アッセイによって決定される際、受容体を介する活性又はシグナル伝達を低下させ又は阻害(阻止)することが可能な、特定の受容体に対する抗原結合部位を有する分子を指す。
【0105】
「モノクローナル抗体」又は「mAb」は、特定の抗原に対して実質的に同種の抗体集団である。mAbは、当業者に知られている方法により得ることができる。例えば、これら文献の内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる、Kohler及びMilstein,Nature,256(55 17):495〜497(1975);米国特許第4376110号;Ausubel他(編),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,Inc.(New York)(1987〜1999);Harlow他,Antibodies:A Laboratory Manual,CSHL(Cold Spring Harbor,NY)(1988);及びColligan他(編),Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons,Inc.(New York)(1992〜2000)を参照されたい。本発明のmAbは、IgG、IgM、IgE、IgA、及びこれらの任意のサブクラスを含めた任意の免疫グロブリンの種類でよい。mAbを生成するハイブリドーマは、生体外又は生体内で培養することができる。mAbの高い力価は、生体内での生成によって得ることができ、個々のハイブリドーマからの細胞を、初期プライム化Balb/cマウスに腹腔内注射することにより、高濃度の所望のmAbを含有する腹水を生成する。アイソタイプIgM又はIgGのmAbは、そのような腹水から、又は培養上澄みから、当業者に周知のカラムクロマトグラフィ法を使用して精製することができる。
【0106】
キメラ抗体は、その分子の異なる部分が異なる動物種から得られる分子であって、例えば、マウスmAbから得られる可変領域及びヒト免疫グロブリン定常領域を有するような分子である。実質的にヒト抗体(アクセプター抗体と呼ぶ)から得られる可変領域フレームワーク残基、及び実質的にマウス抗体(ドナー抗体と呼ぶ)から得られる相補性決定領域を有する抗体を、ヒト化抗体とも呼ぶ。キメラ抗体は、例えばマウスmAbが、ハイブリドーマからのより高い収量を有するがヒトにおける免疫原性がより高い場合、主に、適用の際に免疫原性を低下させ且つ生成の際に収量を増加させるために使用し、したがってヒト/マウスキメラmAbが使用されるようになる。キメラ抗体及びその生成方法は、当技術分野で知られている(Better他,Science 24Od(4855):1041〜1043(1988);Cabilly他,PNAS USA 81(11)3273〜7(1984);Liu他,PNAS USA,84(10):3439〜3443(1987);Morrison他,PNAS USA 81(21):6851〜6855(1984);Boulianne他,Nature 312(5995):643〜646(1984);Neuberger他,Nature 314(6008):268〜270(1985);Cabilly他,欧州特許出願第125023号、第171496号、第173494号、第184187号、第173494号、国際特許出願WO 86/01533、WO 97/02671、WO 90/07861、WO 92/22653、及び米国特許第5693762号、第5693761号、第5585089号、第5530101号、及び第5225539号)。これらの参考文献を、参照により本明細書に組み込む。
【0107】
生体内で抗体を産生する従来の方法の他に、抗体は、ファージディスプレー技術を使用して生体外で生成することができる。そのような組換え抗体の生成は、従来の抗体生成に比べてさらに速く、膨大な数の抗原に対して生成することができる。これとは対照的に、従来の方法では、多くの抗原が非免疫原性であり又は極めて毒性が高いことが判明し、したがって動物で抗体を生成するのに使用することができない。さらに、組換え抗体の親和性成熟(即ち、親和性及び特異性の増大)は、非常に単純であり且つ比較的速い。最後に、特定の抗原に対する多数の種々の抗体を、1つの選択手順で生成することができる。組換えモノクローナル抗体を生成するには、全てがファージディスプレーライブラリーを基にした様々な方法を使用することができ、それによって、異なる抗原認識部位を有する抗体の大きなプールが生成される。そのようなライブラリーは、いくつかの方法で作製することができる。1つは、重鎖生殖系列遺伝子のプール内で合成CDR3領域をクローニングすることによって、合成レパートリーを生成することができ、したがって、そこから様々な特異性を有する組換え抗体断片を選択することができる、大きな抗体レパートリーが生成される。1つは、抗体ライブラリーを構成するための出発材料として、ヒトのリンパ球プールを使用することができる。ヒトIgM抗体の未処置のレパートリーを構成することが可能であり、したがって、極めて多様なヒトライブラリーを生成することが可能である。この方法は、種々の抗原に対して多数の抗体を選択するために、首尾良く広範にわたって使用されている。バクテリオファージライブラリーの構成及び組換え抗体の選択に関するプロトコルは、周知の参考テキスト、Current Protocols in Immunology,Colligan他(編),John Wiley&Sons,Inc.(1992〜2000),Chapter 17,Section 17.1に示されている。
【0108】
(薬理)
本発明は、FGFR3に対して特異性及び親和性を有する分子であって骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発する分子の1種又は複数を活性剤として含む、本明細書に様々に記述される状態を治療し又は予防するための医薬品を製造するための、獣医学用及びヒト医療用の両方に向けた医薬品製剤も企図するものである。
【0109】
そのような医薬及び薬物製剤では、活性剤は、この活性剤のための1種又は複数の医薬品として許容される担体、及び任意選択で、任意のその他の治療成分と共に利用することが好ましい。担体は、製剤のその他の成分と適合するがそのレシピエントに対して過度に有害ではないという意味で、医薬品として許容されなければならない。活性剤は、上述のように、所望の薬理効果を実現するのに有効な量で、且つ所望の日用量を実現するのに適切な量で提供される。
【0110】
典型的な場合、抗体の抗原結合部分を含み、或いはペプチド擬態の拮抗リガンド若しくは可溶性受容体又は有機分子若しくはポリヌクレオチドを含んだ別のポリペプチドを含む本発明の分子は、治療目的のために滅菌生理食塩液中に懸濁されることになる。或いは医薬組成物は、活性成分(抗体の抗原結合部分を含む分子)の放出が制御されるように、又はその患者の系内での存在が延長されるように処方することができる。非常に数多くの適切な薬物送達システムが知られており、例えば移植可能な薬物放出システム、ヒドロゲル、ヒドロキシメチルセルロース、マイクロカプセル、リポソーム、マイクロエマルジョン、及び小球体などが含まれる。制御放出調合剤は、本発明による分子と複合体を形成し又は本発明による分子を吸着するためにポリマーを使用することによって調製することができる。例えば生体適合性ポリマーは、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)のマトリックスと、ステアリン酸ダイマー及びセバリン酸のポリ無水物コポリマーのマトリックスを含む。そのようなマトリックスからの、本発明による分子の放出速度、即ち抗体又は抗体断片の放出速度は、分子の分子量、マトリックス内の分子の量、及び分散した粒子のサイズに依存する(Saltzman他,Biophys.J,55:163(1989);Sherwood他,Biotechnology,10(11):1446〜9(1992))。その他の固体剤形は、Ansel他,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,第5版(Lea&Febiger 1990)及びGennaro(編),Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版(Mack Publishing Co.,1990)に記載されている。
【0111】
本発明の医薬組成物は、経口、局所、鼻内、皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、関節内、病変内、又は非経口など、任意の適切な手段によって投与することができる。通常、静脈内(i.v.)、関節内、局所、又は非経口投与が好ましい。
【0112】
本発明による分子の治療上有効な量は、とりわけ投与スケジュール、投与される分子の単位用量、分子をその他の治療薬と組み合わせて投与するか否か、患者の免疫状態及び健康、投与される分子の治療活性、及び治療を行う医師の判断に依存することが、当業者に明らかであろう。本明細書で使用する「治療上有効な量」は、経時的に、治療される障害に関連した1つ又は複数の症状を軽減させるのに必要とされる、分子の量を指す。
【0113】
本発明の分子の適切な投与量は、投与経路、分子のタイプ(ポリペプチド、ポリヌクレオチド、有機分子など)、年齢、体重、性別、又は患者の状態に応じて様々に変化し、最終的には医師が決定すべきであるが、経口投与の場合、1日の投与量は、一般に体重1kg当たり約0.01mgから約500mgの間、好ましくは約0.01mgから約50mgの間、より好ましくは約0.1mgから約10mgの間にすることができる。非経口投与の場合、1日の投与量は、一般に体重1kg当たり約0.001mgから約100mgの間、好ましくは約0.001mgから約10mgの間、より好ましくは約0.01mgから約1mgの間にすることができる。1日の投与量は、例えば毎日1〜4回に分けて投与する典型的な投薬計画で、投与することができる。その他の好ましい投与方法には、体重1kg当たり約0.01mgから約100mgを関節内投与することが含まれる。有効量に到達するための様々な問題が、例えばGoodman及びGilmanのThe Pharmacological Bases of Therapeutics,第8版,Pergamon Press,1990;及びRemington’s Pharmaceutical Sciences,第17版,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990に記載されている。
【0114】
活性成分としての本発明の分子は、医薬品として許容され且つ周知の活性成分に対して適合性ある賦形剤に、溶解し、分散され、又は混合される。適切な賦形剤は、例えば水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、デキストロース、グリセロール、又はエタノールなど、及びこれらの組合せである。その他の適切な担体は、当業者に周知である。さらに望むなら、組成物は、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤などの、少量の補助物質を含有することができる。
【0115】
本発明の分子の1種又は複数と、メトトレキセートやグルココルチコイドなどの抗炎症薬とを組み合わせた治療は、FGFR3活性を阻害するためのより効率的な治療を提供することができる。一実施形態では、医薬組成物は、抗体、抗炎症薬、及び医薬品として許容される担体を含む。
【0116】
(ポリヌクレオチド)
「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)などの分子を指し、適切な場合にはリボ核酸(RNA)を指す。この用語は、均等物として、ヌクレオチド類似体から作製されたRNA又はDNAの類似体を、また記述される実施形態に適用されるように、1本鎖(センス又はアンチセンス)及び2本鎖ポリヌクレオチドも含むと理解すべきである。
【0117】
本発明の範囲内には、多発性骨髄腫を治療するための医薬品の調製に有用な、抗FGFR3抗体をコード化する核酸分子が含まれる。核酸分子は、当業者に十分理解されるように、配列番号57〜74のいずれか1つに示される上記コード化ヌクレオチド配列に対して、少なくとも75%の配列同一性、好ましくは約90%、より好ましくは約95%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。重鎖及び軽鎖の超可変領域では、核酸分子が、配列番号39〜56のいずれか1つに示される分子に対して、少なくとも50%の配列同一性、好ましくは約70%、より好ましくは約80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0118】
また本発明は、高ストリンジェンシー条件下で、配列番号57〜74のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド又はその相補体とハイブリダイズする核酸も提供する。本明細書で使用する高ストリンジェント条件は、約5%〜25%までの配列多様性、好ましくは約5%〜15%の配列多様性に寛容なものである。限定することなく、高ストリンジェント(ハイブリッドの計算されたTmよりも10℃低い)条件の例としては、0.1×SSC(標準食塩クエン酸緩衝液)及び0.5%SDSの洗浄溶液を、ハイブリッドの計算されたTmよりも低い適切なTiで使用する。この条件の最終的なストリンジェンシーは、特に、使用されるハイブリダイゼーション条件によって安定性の低いハイブリッドが安定なハイブリッドと共に形成される場合、主に洗浄条件に起因する。したがって、より高いストリンジェンシーでの洗浄条件は、安定性の低いハイブリッドを除去する。上述の、高度にストリンジェントな条件から中程度にストリンジェントな条件で使用することができる一般的なハイブリダゼーション条件は、6×SSC(又は6×SSPE)、5×デンハート試薬、0.5%SDS、100μg/mlの変性、断片化サケ精子DNAの溶液での、適切なインキュベーション温度Tiでのハイブリダイゼーションである。適切な高ストリンジェンシー条件に関しては、一般に、Sambrook他,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Press(1989)を参照されたい。
【0119】
ストリンジェンシー条件は、ハイブリダイゼーション実験及び洗浄で使用される温度、ハイブリダイゼーション溶液中及び洗浄溶液中の1価の陽イオンのモル濃度、及びハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージの関数である。一般に、プローブでのハイブリダイゼーションによる感度は、プローブの量及び特異的活性、標的核酸の量、標識の検出可能性、ハイブリダイゼーション速度、及びハイブリダイゼーションの持続時間の影響を受ける。ハイブリダイゼーション速度は、DNA:DNAハイブリッドに関するTmよりも20〜25℃低いTi(インキュベーション温度)、及びDNA:RNAハイブリッドに関するTmよりも10〜15℃低いTiで最大になる。約1.5MのNa+のイオン強度によっても最大になる。この速度は、2重鎖の長さに正比例し、ミスマッチの程度に逆比例する。
【0120】
しかし、ハイブリダイゼーションにおける特異性は、所望のハイブリッドと「バックグラウンド」のハイブリッドとの間での、安定性の差の関数である。ハイブリッドの安定性は、2重鎖の長さ、塩基組成、イオン強度、ミスマッチ、及び不安定化剤(少しでも存在する場合)の関数である。
【0121】
完全ハイブリッドのTmは、DNA:DNAハイブリッドに関して
Tm=81.5℃+16.6(log M)+0.41(%GC)−0.61(%form)−500/L
のように、Meinkoth及びWahlの方程式を使用して(Anal.Biochem.138(2):267〜84(1984))推定することができ、またDNA:RNAハイブリッドに関しては、
Tm=79.8℃+18.5(log M)+0.58(%GC)−11.8(%GC)2−0.56(%form)−820/L
のように推定することができ、
但しMは、1価の陽イオンのモル濃度、0.01〜0.4M NaClであり、
%GCは、DNA中のG及びCヌクレオチドのパーセンテージ、30%〜75%であり、
%formは、ハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージであり、
Lは、塩基対におけるハイブリッドの長さである。
【0122】
Tmは、それぞれ1%のミスマッチごとに、0.5〜1.5℃だけ低下する(計算のそれぞれに関して、I℃の平均を使用することができる)。Tmは、実験的により決定してもよい。上記法的式でハイブリッドの長さ(L)が増加するにつれ、Tmが上昇し且つ安定性が増大し、完全長ラット遺伝子配列をプローブとして使用することができる。
【0123】
フィルターハイブリダイゼーションは、典型的には68℃で且つ高イオン強度(例えば5〜6×SSC)で実施されるが、これはストリンジェントなものでなく、その後、1回又は複数の洗浄を行ってストリンジェンシーを高め、最後の1回が、最終的に望まれる高ストリンジェンシーになる。Tmに関する方程式は、最終洗浄に関して適切なTiを推定するのに使用することができ、又は完全2重鎖のTmを実験により決定し、次いでTiをそれに応じて調節することができる。
【0124】
また本発明は、分子の保存的アミノ酸変種も提供する。本発明による変種は、コード化されたタンパク質の分子構造全体を保存するものを作製することもできる。開示されたタンパク質生成物を含む個々のアミノ酸の性質が与えられると、いくつかの合理的な置換が当業者によって認識されることになる。アミノ酸置換、即ち「保存的置換」は、例えば関係する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及び/又は両親媒性の類似性に基づいて行うことができる。
【0125】
多くの治療用ヒトタンパク質は、循環内でのその半減期が短く且つ安定性が低くなっており、したがって治療効果を維持するには、高用量の使用が必要である。PEG化は、PEGをタンパク質に共有結合させる方法である(Greenwald他(2003)Advanced Drug Delivery Reviews 55 217〜250に概説されている)。PEG(ポリエチレングリコール)は、有機溶媒並びに水に溶解する独特のポリマーであり、無毒性で、腎臓経路及び肝臓経路の組合せによって排除され、したがって、医薬品としての用途で使用するのに理想的なものになる。PEG化タンパク質は、通常、血液循環内で著しく延長された半減期を有し、免疫原性及び抗原性が低下する一方でその生物活性が維持される。
【0126】
タンパク質に関する初期の研究では、Mw 5000のPEGをしばしば利用した。しかし、より高いMwの、より少ないストランドのPEG、例えばMwが20000又は40000であるPEGも用いられる。
【0127】
したがって本発明は、本発明の分子がPEG化したものも提供する。具体的には本発明は、生体内での半減期が延びたために、対象に対する前記抗体又はその断片の投与量及び/又は投与頻度を減少させることが可能な、FGFR3に対して特異性及び親和性を有するPEG化モノクローナル抗体又はその断片を包含する。
【0128】
この分子は、Mw 5000からMw 40000に及ぶ異なる分子量のPEG分子を使用するが好ましくはMw 5000から20000のPEG分子を使用する、当技術分野で周知のPEG化法のいずれかによって(Lee他(1999)Bioconjugate Chem.10 973〜981)PEG化することができる。
【0129】
分子の生物活性に対して最小限の障害を有するPRG化を可能にするために、PEG部分を、分子のN末端に付加することができる。このため、N末端のアミノ酸(位置2)がロイシンではなくセリンである本発明のscFv分子(配列番号37)が生成され、これで、目標とするPEG化か可能になった。
【0130】
これまで本発明について十分に述べてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく且つ過度な実験を行うことなく、広範にわたる同等のパラメータ、濃度、及び条件内で同じことを実施できることが、当業者に理解されよう。
【0131】
本発明について、その特定の実施形態に関連して述べてきたが、さらなる修正が可能であることが理解されよう。本出願は、一般に、本発明の原理に従って、且つ本発明が関係する技術分野の範囲で知られており又は慣行に含まれるような、また添付される特許請求の範囲の通りに上記にて述べた本質的な特徴に適用することができるような、本発明の開示からの逸脱も含めて、本発明の任意の変形例、使用例、適用例、包含するものとする。
【0132】
学術雑誌論文又は要約、公開され又は対応する米国の又は外国の特許出願、発行された米国の又は外国の特許、或いは任意のその他の参考文献を含めた、本明細書で引用される全ての参考文献は、そこに引用された参考文献に示される全てのデータ、表、図、及び文も含めて、参照によりその全体を本明細書に組み込む。さらに、本明細書で引用される参考文献の中で引用された参考文献の内容全体も、参照によりその全体を組み込む。
【0133】
特定の実施形態の前述の説明は、本発明の一般的な本質を完全に明らかにし、他の者は、当業者の範囲内の知識を利用することによって(本明細書で引用される参考文献の内容を含む)、必要以上の実験をすることなく、また本発明の一般的概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を容易に修正し且つ/又は様々な適用例に適合させることができる。したがって、そのような適合例及び修正例は、本明細書に提示される教示及び指針に基づいて、開示される実施形態の均等物の意味及び範囲内にあるものとする。本発明の語法又は用語は説明を目的とするものであって限定を目的するものではなく、したがって本明細書の用語又は語法は、当業者の知識と組み合わせて、本明細書に提示される教示及び指針に照らすことにより、当業者によって解釈されることを理解すべきである。
【実施例】
【0134】
(方法)
(細胞系及び組織培養)
誘導的な手法でFGFR3を発現する、非形質転換ラット軟骨細胞系(RCJ−FGFR3)については、既に記述されている(Rauchenberger R.他,J.Biol.Chem.2003;278:38194〜205)。細胞を、15%ウシ胎児血清(FCS)、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、600μg/ml G418(Gibco BRL,Ontario,カナダ)、2μg/mlテトラサイクリン(Sigma,Ontario,カナダ)、及び50μg/mlハイグロマイシンB(Gibco BRL)が補われたα−最小必須培地で維持した。FGFR3発現は、テトラサイクリンの除去及び血清飢餓によって誘発させた。マウス骨髄前駆細胞系(FDCP−1)に、完全長FGFR1(FDCP−FGFR1)、FGFR2(FDCP−FGFR2)、FGFR3(FDCP−FGFR3)、又はFGFR3S249C突然変異cDNAをトランスフェクトし、10%FCS、100μg/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、10ng/ml FGF、及び5μg/mlヘパリン(Sigma)と共にIscove培地(GibcoBRL)で培養した。ヒト骨髄細胞系(UTMC2、H929、KMSIl、KMS18、8226)は、2.5%FCS及びペニシリン−ストレプトマイシン(Hyclone,Logan,UT)が補われたIscove修飾Dulbecco培地(IMDM)で維持した。WT FGFR3を発現するB9細胞(B9−FGFR3WT)、FGFR3−F384Lを発現するB9細胞(B9−FGFR3F384L)、FGFR3−Y373Cを発現するB9細胞(B9−FGFR3Y373C)、FGFR3−G394Dを発現するB9細胞(B9−FGFR3G394D)については、既に記述されている(Plowright EE他,Blood.2000;95:992〜998;Trudel S他,Blood.2005;105:2941〜8)。これらを、5%FCS、ペニシリン−ストレプトマイシン、及び1%IL−6調整培地が補われたIMDMで維持した。骨髄間質細胞(BMSC)を、MM患者から得られた骨髄(BM)標本から得て、前述のように調製した(Hideshima T他,Blood 2000;96:2943〜2950)。BMSCを、集密になるまで6ウェルプレート上で増殖させ、次いで以下に示すアポトーシス研究のために20Gyを照射した。
【0135】
(免疫沈降及び免疫ブロット)
細胞を、溶解緩衝液(50mM Tris/HCl、pH8.0、150mM NaCl2、0.1mM ZnCl2、0.5%Nonidet Np−40、1mg/ml完全プロテアーゼ阻害剤ミックス(Roche Molecular Biochemicals,Mannheim,ドイツ))に溶解し、12000×gで15分間の遠心分離によって清澄化した。溶解産物を、抗FGFR3(C15)と共に4℃で16時間免疫沈降にかけ、7.5%ドデシルナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)及び抗ホスホチロシン(R&Dからの4G10)によるウェスタンブロットによって分析した。タンパク質バンドを、ホースラディッシュペルオキシダーゼに連結された2次抗体及びPierceからのECLキットを使用して、製造業者の取扱い説明書に従って視覚化した。
【0136】
(生存度アッセイ)
細胞生存度を、3−(4,5−ジメチルチアゾール)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム(MTT)又は指示される場合には(2,3−ビス(2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル)−5−[(フェニルアミノ)カルボニル]−2H−テトラゾリイウム水酸化物(XTT)の染料吸光度によって評価した。細胞を、培養培地中で96ウェルプレートに、ウェル当たり20000個(FDCP−I細胞)、5000個(B9細胞)、又は25000個(MM細胞系)の密度で播いた。細胞を、下記のサイトカインの1種、即ち10ng/ml FGF9及び5μg/mlヘパリン、1%マウスIL−6、50ng/ml IGF−I、又は指示される場合には50ng/mlヒトIL−6の1種が存在しない状態で又は存在下でインキュベートし、PRO−001、対照抗体(精製されたヒトFab)、又は100nM PD173074の濃度を増加させた。プレートを、37℃、5%CO2で48時間又は72時間インキュベートした。MTT及びXTTアッセイを、製造業者の取扱い説明書に従って実施した(それぞれBoehringer Mannheim,Mannheim,ドイツ及びBiological Industries Ltd.,イスラエル)。各実験条件は、2重に又は3重に実施した。
【0137】
(増殖アッセイ)
細胞増殖を、[3H]−チミジン組込みアッセイによって決定した。UTMC2細胞(20000細胞/ウェル)を、ビヒクル対照又は5μg/ml PRO−001の存在下、96ウェルプレートで37℃でインキュベートした。[3H]−チミジン(0.5μCi)を、各ウェルに8時間添加した。細胞を、自動細胞収集器でガラスフィルタ上に収集し、PACKARD TOP計数器(CANBERPA PACKARD,カナダ)で計数した。
【0138】
(フローサイトメトリー分析)
細胞(5×105)を、冷リン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄し、次いで下記の1種、即ちPRO−001 Fab又はヒトFab対照抗体、ウサギ抗FGFR3(100)、又はウサギ免疫前血清の1種と共にPBS中で30分間インキュベートした。次いで細胞を、PE共役ヤギ抗ヒトF(ab’)22次抗体又はヤギ抗ウサギIgG−PEで、氷上で30分間染色した。フローサイトメトリーをFACSCaliberフローサイトメータ(BD Bioscience,San Jose,CA)上で実施し、Cellquestソフトウェア(Becton Dickinson)を使用して分析した。FGFリガンドが結合を競い合う能力を評価するために、細胞を、30ng/ml FGF及び5μg/mlヘパリンの存在下又は存在しない状態で、30分間インキュベートし、次いで上述のPRO−001 Fabで染色した。
【0139】
(細胞内リンタンパク質染色)
フローサイトメトリーによるERK 1/2リン酸化の決定については、既に記述されている(Chow S.他,Cytometry 2001;46:72〜78)。細胞に、血清飢餓処理を一晩行い、次いで30ng/mlのFGF及び10μg/mlのヘパリンで、37℃で10分間刺激を与えた。最終濃度2%が得られるように、10%ホルムアルデヒドを培地に直接添加することによって、細胞を固定した。細胞を、37℃の固定液中で10分間インキュベートし、次いで氷上でさらに2分間インキュベートした。氷冷メタノールを撹拌しながら添加することによって(最終濃度90%に)、細胞の透過化処理を行い、氷上で30分間インキュベートした。細胞を、PBSに4%FCSを加えたもので洗浄し、抗ERKI1/2(Cell Signaling TEchnology,Beverly,MA)で15分間染色し、次いで指示される場合には、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)共役ヤギ抗ウサギ及び抗CD 138−PE(PharMinogen,San Diego,CA)で標識した。悪性腫瘍細胞は、高レベルのCD138を発現する細胞であることが確認された。フローサイトメトリーを、FACSCaliber(登録商標)フローサイトメータ(BD Biosciences,San Jose,CA)で実施し、Cellquest(登録商標)ソフトウェア(Becton Dickinson)を使用して分析した。
【0140】
(アポトーシス分析)
アポトーシスの研究のため、細胞を、BMSCで被覆され且つ対照(ビヒクル又は抗体)又は5μg/ml PRO−001が補充された6ウェルプレートに初期密度2.5×105/mLで播き、48時間培養した。アポトーシスを、アネキシンV染色により決定し(Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN)、フローサイトメトリーにより分析した。アネキシンVは、細胞膜中でホスホジチル−セリンに特異的に結合するタンパク質である。結合は、膜が破壊され始めると生じ、リン脂質が細胞外媒体中に放出される。
【0141】
(1次患者サンプル)
研究用に特定された患者は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)によって、t(4;14)転座を有することが決定された。FGFR3の発現を、前述のフローサイトメトリーにより確認した(Chesi M.他,Blood.2001;97:729〜736)。簡単に言うと、赤血球を溶解し、骨髄単核細胞を氷上で30分間、ウサギ抗FGFR3(H100)又はウサギ免疫前血清と共にインキュベートした。細胞を洗浄し、次いでFITC結合ヤギ抗ウサギIgG及びマウス抗CD138−PEで染色して、MM細胞を特定した。次いでサンプルを、フローサイトメトリーにより分析した。
【0142】
全てのt(4;14)陽性サンプルを、FGFR3突然変異の存在に関してさらに分析した。4対のプライマーを、突然変異を活性化させるための既知のホットスポットである、細胞外(EC)ドメイン、膜貫通(TM)ドメイン、チロシンキナーゼ(TK)ドメインのコドン、及び終止コドン(SC)を含有するFGFR3の領域が増幅されるように設計した。最初のPCR反応は、CD138精製骨髄腫細胞から抽出されたゲノムDNAで実施され、単位複製配列をDHPLC分析のために使用した。結果は、PDR産物の配列分析によって確認された。
【0143】
細胞死分析では、骨髄吸引液から新たに単離された単核細胞を、フィコール−ハイパック比重沈降によって分離し、20%FCS、1%グルタミン、ペニシリン−ストレプトマイシン、及び30ng/ml aFGF、及び10μg/mlヘパリンが補われたIMDM中、5×105細胞/mlの細胞密度で播いた。細胞を、対照又は5μg/ml PRO−001の存在下で、最長12日間培養した。培地、aFGF/ヘパリン、及び薬物を、3日ごとに補充した。3、7、及び12日後、細胞を、抗CD38−PE、抗CD45−サイクローム(PharMinogen)、及びFITC結合アネキシンVで3回染色し、又は抗CD138−PE及びFITC結合アネキシンVで標識した。対照は、非染色細胞、アイソタイプ対照染色細胞、及び1回染色細胞を含んでいた。悪性腫瘍形質細胞は、CD138又は高レベルのCD38を発現し、CD45(CD38++/CD45−)を全く発現しないか若しくは低レベルで発現する細胞と定義した。サンプルを、Cellquestソフトウェアを使用したFACScanによって分析した。骨髄吸引液は、IRB承認プロトコル下での同意により得られた。
【0144】
(異種移植マウスモデル)
FDCP−FGFR3S249C細胞をPBSで3回洗浄し、次いで2×106細胞/200μl PBSで再懸濁した。細胞を、CD1ヌード成体メス(Harlan,Laboratories,イスラエル)に対してそのマウスの側腹部の片側又は両方に、25G針を用いて皮下注射(S.C.)した。処理は、細胞接種後1週間で開始したが、このときマウスを無作為化して、PRO−001又は等体積のPBSのみ与えた。投薬は、3週間にわたり、腹腔内(LP.)注射によって毎週2回実施した。マウスを2〜4日ごとに追跡し、発症した腫瘍について、カリパを使用して3次元で寸法を測定した。腫瘍体積は、これら3つの値を掛けることによって推定した。
【0145】
(PEG化)
PRO−001 Ser scFvを、PBS中で5倍に希釈して1mg/mlにし、10倍過剰な過ヨウ素酸塩を用いて室温で10分間酸化させた。この反応を、さらに15分間、酸化剤よりも10倍過剰なジアミノプロパノールを添加することによって終了させた。酸化した材料を、PBSに対して室温で2時間透析し、次いで50mM NaOAc(pH5.3)に対して室温でさらに透析することによって、pHを低下させた。mPEG−HZ−5K及びmPEG−HZ−20K(IDBから購入)を酢酸(pH5.3)に溶解し、それぞれ10倍及び2.5倍過剰なモル数で、酸化したPRO59scSerに添加した。水に溶解したmPEG−HZ−40K(Nektarから購入)を、酸化した単鎖に1.3当量添加した。反応生成物を、クーマシー染色SDS−PAGEによって24時間後に分析した。
【0146】
(実施例1:PRO−001の遮断活性及びFGFR3に対する選択性)
ヒト抗FGFR3 Fab PRO−001を、示差的全細胞パニング法を使用して(Rauchenberger R.他,J.Biol Chem.2003;278:38 194〜205)、Hu−CAL(登録商標)−Fab−1ヒトコンビナトリアルライブラリーから単離した。FACS分析は、PRO−001 FabがWT FGFR3に結合すること、及びB9−FGFR3WT細胞との結合を、FGFを添加することによって減少できることを明らかにし、PRO−001及びFGFは共通のエピトープを共有するという考えを裏付けている(図1A)。図1Bは、PRO−001が、FGF刺激B9−FGFR3WT細胞の増殖を阻害することを示す。この増殖阻害は、用量依存的である。ミリリットル当たり1マイクログラムの抗体(1μg/ml)は、約25%だけ増殖を阻害するが、5μg/mlの抗体は、60%よりも多く増殖を阻害する。さらに、PRO−001は、FGFR3突然変異F384Lを発現するB9細胞のFGF刺激増殖(FGFR3の非形質転換多形)並びにG394D及びY373C−FGFR3を発現する細胞のFGF刺激増殖(MM患者で特定された恒常的に活性化したFGFR3突然変異)も、用量依存的な手法で阻害し、このときIC50は、FGF結合を阻害する能力と一致した約3μg/mlである。
【0147】
PRO−001がFGFR3のキナーゼ活性を阻害することを確認するために、本発明者等は、PRO−001が、WT FGFR3をトランスフェクトしたRCJ細胞(RCJ−FGFR3)においてリガンド刺激受容体リン酸化に及ぼす影響について試験をした。抗ホスホチロシン免疫ブロットでは、PRO−001によって阻害されるが対照Fabによっては阻害されないリガンド刺激によるFGFR3の自己リン酸化が高まることが明らかにされた(図1C)。FGFR3活性化の阻害は、下流のJNKリン酸化の低減に関連していた。細胞ベースアッセイでのPRO−001の特異性及び遮断活性を確認するために、本発明者等は、FDCP−1細胞系を発現するFGFR1〜3に対するPRO−001の活性について試験をした。FDCP−1の細胞増殖は、通常、IL−3の存在に依存する。しかしIL−3は、同族RTKを発現する細胞内で、FGFリガンドにより置換することができる。DFCP−FGFR3細胞のFGF刺激増殖は、PRO−001によって強力に阻害され、このときのIC50(細胞の50%を阻害する濃度)は0.5μg/mlであった(図1D)。これとは対照的に、FGFR1又はFGFR2を発現するFDCP−1細胞の増殖は、10倍高い濃度まで影響を受けなかった。したがってPRO−001は、FGFR3の非常に特異的で強力な阻害剤である。
【0148】
(実施例2:抗FGFR3は、FGF刺激UTMC2ヒト骨髄腫細胞の生存能力を阻害する)
PRO−001を、FGFR3を発現するt(4;14)骨髄腫細胞系:WT FGFR3を発現するUTMC2細胞、及びWT FGFR3を発現するH929細胞であって、下流のN−Rasの活性化突然変異を含む細胞について試験をした。FGF及びPRO−001(5μg/ml)、対照抗体(アイソタイプ)、又は100nM PD 173074の存在下での細胞増殖を、MTTアッセイにより決定した。FGF刺激UTMC2細胞の増殖は、PRO−001によって著しく阻害された(図2)。PRO−001によるUT1VEC2のFGF刺激増殖の阻害は、PD 173074によって誘発されたものと同等であった(キナーゼドメインに結合し阻害するATP類似体)。FGFR3発現が不十分な8226細胞、及びH929細胞は、PRO−001及びPD 173074の両方に耐性があり、どちらの試薬もRasの上流で作用し且つFGFR3を選択的に標的とすることを示している。
【0149】
PRO−001は、KMSl 1(FGFR3−Y373C)及びKMS18(FGFR3−G384D)、突然変異FGFR3を発現しFGFとは無関係に増殖する細胞の生存能力を阻害できなかった。
【0150】
(実施例3:抗FGFR3は、FGF刺激UTMC2ヒト骨髄腫細胞の下流ERK1/2リン酸化を阻害する)
図3は、フローサイトメトリーにより検出したときの、本発明の抗FGFR3抗体と共にFGF刺激UTMC2細胞をインキュベーションした後の細胞外シグナル調節タンパク質キナーゼ(ERK)1/2リン酸化の阻害を示す。リン酸化ERKのレベルは、本発明の抗FGFR3抗体と共にインキュベーションした後の非刺激細胞の場合に戻っている。
【0151】
(実施例4:IL−6及びIGF−Iは、抗FGFR3に対する耐性を与えない)
図4は、FGF9(30ng/ml)、IL6(50ng/ml)、又はIGF−I(50ng/ml)で刺激を与え、抗FGFR3抗体で処理した細胞の、生存度を示す。IL6及びIGF−Iは骨髄腫細胞を刺激し、そのため抗FGFR3抗体による処理に対して感受性を有したままである。これらの結果は、薬物耐性を与えることが分かっているパラクリン因子が、FGFR阻害の潜在的な抗腫瘍作用を克服できないことを実証している。細胞は、FGFR阻害剤、対照としてPD173074で処理した。
【0152】
(実施例5:抗FGFR3は、骨髄間質細胞と共に同時培養したUTMC2細胞のアポトーシスを誘発する)
抗FGFR3は、骨髄間質細胞、BMSCと同時培養したときに、UTMC2細胞のアポトーシスを高レベルで誘発し、したがって骨髄腫細胞の環境を模倣する(図5)。抗体は、BMSCに対する直接的な毒性がない。これらのデータは、FGFR3小分子キナーゼ阻害剤を使用した先の研究と一致している。
【0153】
(実施例6:抗FGFR3は、原発性骨髄腫細胞を発現するFGFR3のアポトーシスを誘発する)
次の実験は、PRO−001が原発性ヒトMM細胞に及ぼす影響を試験するために設計された。骨髄サンプルを、10名の患者から得たが、そのうち5つは、FISHによってt(4;14)陽性であることが既に明らかにされている。フローサイトメトリーによるFGFR3発現の測定及びFGFR3遺伝子型を含めたサンプルの特徴を、表Iにまとめる。試験をしたt(4;14)陽性サンプルの中で、CD138骨髄腫細胞は、FFR3の表面発現を示し、FGFR3の突然変異は確認されなかった。図6Aは、FGFR3を発現する細胞が、抗FGFR3抗体によって明らかにされ(黒色の線)、アイソタイプ対照によっては明らかにされなかった(灰色の線)ことを示す。図6Bは、FGFに曝された細胞(薄い灰色)と比較した場合、PRO−001が、骨髄腫細胞でのFGF誘導ERKリン酸化を阻止したことを示す(濃い灰色)。非刺激細胞を、比較のため示す(濃い領域)。
【0154】
最後に、新たな骨髄サンプルから単離された単核細胞画分を、5μg/ml PRO−001又はアイソタイプ対照と共にインキュベートし、CD38++/CD45−細胞のアネキシンV染色及び表面CD138発現の減少によって、アポトーシスを決定した。全てのFGFR3発現骨髄腫サンプルは、対照抗体と比較した場合、PRO−001に対して強力なアポトーシス応答を示した(図7は、代表的な実験を示す)。さらに細胞傷害効果は、t(4;14)陰性サンプルがPRO−001に対する応答で高いアポトーシスを示さなかった点で、選択的であった。
【0155】
【表4】
キーポイント:CD138原発性MM細胞でのFGFR3発現は、フローサイトメトリーによって分析し、蛍光は、下記の通りに示した:+、弱い;−H− 中間;+++ 強い;− 無し。CD138選択細胞を、FGFR3突然変異に関してスクリーニングした。WTは野生型状態を示し、N/Dは、決定されなかったことを示す。
【0156】
(実施例7:SCIDマウス腫瘍モデル)
生体内での抗FGFR3の潜在的な抗腫瘍作用を評価するために、本発明者等は、構成性突然変異体FGFR3S249Cを発現するFDCP細胞(FDCP−FGFRS82490)を注射したヌードマウスを含む動物モデルを使用した。FDCP−FGFR3S249Cは、IL−3及びFGFが存在しない状態で増殖し、ヌードマウスに注射すると素早く(2〜3週間以内で)腫瘍を形成する。PRO−001は、生体外で、FDCP−FGFR3S249CのFGF非依存型増殖を効率的に阻止した(図8A)。
【0157】
ヌードマウスの2箇所の部位、即ち側腹部のそれぞれに1回ずつ、2×106 FDCP−FGFR3S249C細胞をそれぞれ皮下注射した。細胞注射から1週間後、マウスをPRO−001 Fabで処置した。処置の最初の1週間の間に、FGFRを飽和させるため、マウスには1匹当たり約1mgという比較的高い用量を与えた。この後、続けて行われるFab送達の12日間の間に、わずかに減少させた用量を与えた(表II)。本発明者等は、毎日注射した場合(図示せず)と比較して、このスケジュールの効力に著しい差が無いことを見出したので、平均して3日ごとにマウスを処置した。細胞注射から4週間後、PRO−001は、腫瘍増殖を、平均して対照マウスの場合の10%まで劇的に低下させた(図8B)。高い毒性又は著しい体重減少は、処理期間全体を通して観察されなかった。
【表5】
【0158】
本発明は、ある動物疾患モデルによって例示される。これらのモデルは、本発明の原理の例示的な目的で使用される非限定的な例とされる。
【0159】
(実施例8:PRO−001 scFvのPEG化)
PEG部分を、本発明の単鎖抗体(PRO−001 scFv)のアミノ末端に、セリン残基を通じて付加した。PEG化させるため、2位にアミノ酸であるセリンを有するscFv(配列番号37)を生成した。N末端にセリンを有するPRO−001 scFvは、PCRによって生成し、前述のように(WO 02/102972)配列決定によって確認した。簡単に言うと、封入体を、PBS、PBS+0.1%トリトン、及び3M尿素中で洗浄した。洗浄したペレットをPBS+5M尿素に溶解し、GSH/GSSG(それぞれ0.5mM)酸化還元電位を加え、次いで尿素ステップ勾配に対して徐々に透析した。再び折り畳まれたPRO−001ser scFvとFGFR3との結合活性を、ELISAによって比較し、親単鎖に類似した活性が示された(図9)。
【0160】
PEG化は、方法のセクションで述べたように実施した。クーマシー染色SDS−PAGEによる反応生成物の分析では、単鎖の約50%が、mPEG−HZ−5K、mPEG−HZ−20K、又はmPEG−HZ−40Kのいずれかとコンジュゲートすることが明らかにされた(図10)。次に本発明者等は、FGFR3ex/Fc−タンパク質Aセファロース上で反応ミックスをインキュベートすることによって、PEG化単鎖の活性について試験をした。非結合画分を収集し、FGFR3ex/Fc−タンパク質Aセファロースと共にさらに2サイクル実施した。各サイクルの結合材料と、最後の1サイクルの非結合画分とをクーマシー染色によって分析したが、非修飾の並びにPEG化された単鎖の両方は、どちらのタイプも結合した画分のみに存在して非結合画分には存在しないので、FGFR3に結合したことが実証された。相互分布が、FGFR1 ex/Fc−タンパク質Aセファロースと共に分画した後に得られ、PEG化したPRO−001Ser scFvによる特異的認識が実証された。PEG化PRO−001Ser scFvの相対的活性を決定するために、PEG化反応生成物をQセファロース陰イオン交換器に添加し、大量のPEG化単鎖を含有する画分が得られた。PEG化PRO−001を、高レベルでFDCP−FGFR3又はFDCP−FGFR1細胞に添加し、細胞増殖を測定した。mPEG−HZ−5KによりPEG化されたPRO−001は、十分なFGFR3中和活性を保持していた(図11)。mPEG−HZ−20Kへのコンジュゲートは、抗体活性を5分の1に低下させ、mPEG−HZ−40Kへのコンジュゲートは約40分の1に低下させた。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1A】PRO 001で蛍光標識され、その後、PE共役抗ヒト2次抗体で標識された、B9−FGFR WT(野生型)細胞を示すフローサイトメトリーチャートである。塗りつぶされたヒストグラムは、親B9細胞(FGFR3発現が不十分)を示し;薄い破線は、FGFを含まないB9−FGFR WTを示し;濃い実線は、FGFの存在下でのB9−WTを示す。Y軸は、細胞の量を示す計数値を表す。X軸は、蛍光強度を表す。
【図1B】種々の濃度のPRO−001で処理したB9−FGFR WT細胞の生存度を示すグラフである。塗りつぶした棒は対照(PRO−001を含まない)を表す。点が付された棒は、PRO−001で処理した細胞を表す。
【図1C】RCJ−FGFR3細胞溶解産物の免疫染色を示すウェスタンブロットの写真である。RCJ細胞を、Fabと共にプレインキュベーションを行って、又はそのようなプレインキュベーション無しで、FGF(+)で刺激した。レーン1−FGF刺激無し、及びFabとのプレインキュベーション無し。レーン2−FGF刺激有り、Fabとのプレインキュベーション無し。レーン3−FGF刺激有り、対照(C)抗体とのプレインキュベーション有り。レーン4−FGF刺激有り、及び抗FGFR3(001)Fabとのプレインキュベーション有り。中間パネル(ホスホ−JNK)は、抗ホスホ−JNK抗体でプローブされた全細胞溶解産物を示す。上部パネル(ホスホ−FGFR3)は、抗FGFR3抗体による免疫沈降(IP)がなされ、次いで抗ホスホチロシン(4G10)を用いたウェスタンブロットにより分析された、細胞溶解産物を示す。下部パネル(FGFR3)は、抗FGFR3抗体による免疫沈降(IP)がなされ、次いで抗FGFR3を用いたウェスタンブロットにより分析された、細胞溶解産物を示す。
【図1D】XTT分析により決定したときの、高濃度のPRO−001の存在下での、FGFR発現FDCP細胞の増殖を示すグラフである。データは、2連で行った培養の結果の平均である。X軸は、PRO−001 Fabの濃度を表す。Y軸は、%阻害を表す。
【図2】PRO−001の存在下での、ヒト骨髄腫細胞系の生存度を示すグラフである。生存度は、FGF±阻害剤の存在下での光学密度(OD)と、FGFが存在しない状態でのODとの比として報告される。
【図3】UTMC2細胞におけるERK(細胞外シグナル調節タンパク質キナーゼ)のリン酸化を示す、フローサイトメトリーチャートである。塗つぶされたヒストグラムは、FGF刺激の無いUTMC2を表し(非刺激);薄い線は、FGFで刺激され、対照抗体で処理された細胞を表し(FGF/ビヒクル);濃い線は、FGFで刺激され、PRO−001で処理された細胞を表す(FGF/PRO−001)。
【図4】FGF、IL6、又はIGF−Iで処理されたUTMC2細胞の生存度を示すグラフである。濃い棒は、対照抗体で処理された、刺激を受けた細胞を表し;点が付された棒は、5μg/mlのPRO−001で処理された、刺激を受けた細胞を表し;四角で埋め尽くされた棒は、100nMのPD173074で処理された、刺激を受けた細胞を表す。
【図5】BMSCの存在下、PRO−001での処理に応答したUTMC2細胞のアポトーシスを示すグラフである(間質)。BMSC単独(間質)、又はUTM2細胞と一緒のBMSC(間質/UTMS2)を、対照抗体又は5μg/mlのPRO−001と共に72時間培養し、アネキシンV結合及びヨウ化プロピジウム排除のフローサイトメトリーアッセイによって、アポトーシスを評価した。値は、4回の培養の平均±SDを表す。
【図6A】抗FGFR抗体PRO−001で処理された、ヒト原発性骨髄腫細胞のフローサイトメトリーチャートである。新たに単離したBMSCを、PRO−001(黒色の線)又は対照抗体(灰色の線)で染色し、次いでPE共役抗ヒト2次抗体で染色した。
【図6B】抗FGFR抗体PRO−001で処理された、ヒト原発性骨髄腫細胞のフローサイトメトリーチャートである。原発性骨髄腫細胞を、2時間、FGFが存在しない状態で(塗りつぶされている)又はFGFの存在下で(薄い線)インキュベートし、又は5μg/mlのPRO−001と共に(濃い線)プレインキュベートし、次いでFGFで刺激を与えた。EKR1/2リン酸化を、フローサイトメトリー分析によって評価した。
【図7】アネキシンVで染色されたCD138陽性原発性MM細胞を示すフローサイトメトリーチャートである。原発性骨髄腫細胞を、対照Fab(下部パネル)又は5μg/mlのPRO−001(上部パネル)の存在下で培養した。細胞を7日後に収集し、アネキシンV−FITCで染色し、フローサイトメトリーにより分析した。骨髄腫細胞は、CD138++であることが確認された。CD138++細胞の全パーセンテージを、左上の象限に示す。示されているのは、代表的な実験である。
【図8A】FDCP−FGFR3S249Cの生存度を示すグラフである。細胞を、多量のPRO−001又は対照抗体(C)の存在下で2日間培養した。細胞増殖を、XTT分析によって決定した。データは、2回の培養の平均である。
【図8B】PRO−001がFGFR3促進型異種移植腫瘍モデルに及ぼす影響を示すグラフである。ヌードマウス(各グループに3匹)に対し、その2カ所に、即ち各側腹部に1回ずつ(α−右側腹部、b−左側腹部)、それぞれ2×106FDCP−FGFR3S249C細胞をS.C.注射した。1週間後、マウスを無作為化して、表Iに記載されたスケジュールに従ってLP注射によりPRO−001を与え、又は対照としてPBSを与えた。腫瘍体積を、細胞注射後22又は29日で3つの寸法の測定値から推定した。
【図9】PRO−001Ser scFvのFGFR3結合活性を示すグラフである。MaxiSorpプレートを、指示量の単鎖で被覆した。可溶性FGFR3/Fcを添加し、結合した受容体をHRP抗Fcで測定した。
【図10】mPEG−HZ5K、mPEG−HZ20K、及びmPEG−HZ40K共役PRO−001Serの特異的FGFR3結合を示す、クーマシー染色したSDS−PAGEの写真である。PEG化反応ミックス(P)を、FGFR3/Fc又はFGFR1/Fcタンパク質Aセファロースビーズと共にインキュベートした。非結合材料を収集し、さらに2回続けて新たなビーズと共にインキュベートした。最後の結合サイクルから得た、結合した画分(B1、B2、及びB3)並びに非結合材料(U2)を、クーマシー染色したSDS−PAGEによって分析した。U−非修飾単鎖。
【図11】PRO−001−PEG接合体のFGFR3中和活性を示すグラフである。mPEG−HZ−5K、mPEG−HZ−20K、又はmPEG−HZ−40KによりPEG化されたPRO−001 Serを、FDCP−FGFR3細胞又はFDCP−FGFR1細胞を対照として使用したXTTによって分析した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、その必要のある個体に、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)に対する少なくとも1種の抗体を投与することによって、B細胞悪性腫瘍、特に多発性骨髄腫(MM)を、予防し、緩和し、治療する、医薬組成物及び方法に関する。具体的には、上記少なくとも1種のFGFR3抗体は、野生型FGFR3を発現する骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発する。
【背景技術】
【0002】
(線維芽細胞増殖因子)
線維芽細胞増殖因子(FGF)は、発達過程で調節され且つ広く様々な組織内に発現する、20種を超える構造的に関連のあるポリペプチドのファミリーを構成する。FGFは、増殖、細胞移動、及び分化を刺激し、骨格及び四肢の発達、創傷治癒、組織修復、血液新生、血管形成、及び腫瘍形成で主要な役割を演ずる(Oraitz及びItoh,Genome Biology 2001,2(3):reviews 3005.1〜3005.12に概説されている)。
【0003】
FGFの生物学的作用は、タンパク質キナーゼである受容体タンパク質チロシンキナーゼ(RPTK)ファミリーに属する特定の細胞表面受容体によって媒介される。これらのタンパク質は、細胞外リガンド結合ドメイン、1回膜貫通ドメイン、及びFGFとの結合によりリン酸化に付される細胞内チロシンキナーゼドメインからなる。FGF受容体(FGFR)細胞外領域は、3つの免疫グロブリン様(Ig様)ループ又はドメイン(D1、D2、及びD3)、酸性ボックス、及びヘパリン結合ドメインを含有する。多数の受容体変種をコード化する4つのFGFR遺伝子が、今日までに明らかにされている。
【0004】
(B細胞関連の悪性腫瘍)
B細胞腫瘍物には、前駆Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫(前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病)、B細胞慢性リンパ球白血病/小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、形質異細胞骨髄腫/形質細胞腫、MALTタイプの結節外辺縁帯B細胞リンパ腫、結節辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、外套細胞リンパ腫、びまん性大B細胞リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、及び多発性骨髄腫が含まれる。
【0005】
(多発性骨髄腫)
多発性骨髄腫(MM)は、形質細胞の致命的な造血器悪性腫瘍である。IgHスイッチ組換えを受ける形質細胞は、典型的には骨髄に戻り、そこで存在する。骨髄間質との相互作用が、悪性形質細胞の増殖及び腫瘍形成をもたらす。髄内骨髄腫の進行は、溶解性骨疾患及び骨粗しょう症、高カルシウム血症、貧血、免疫不全、及び腎不全を含めた益々重篤な2次的特徴に関連する。
【0006】
多発性骨髄腫は、非ホジキンリンパ腫の次に広く蔓延している血液癌である。これは、全ての癌の約1%を占め、全ての癌死亡の2%を示す。多発性骨髄腫が発症するピーク年齢は65から70才であるが、最近の統計では、罹患率が上昇し且つ発症年齢がより早くなったことが示されている。
【0007】
何十年もの間、MMの治療は、細胞毒性化学療法、主に標準用量経口投与でのメルファランとプレドニゾンとの併用を基礎にしてきた。骨髄毒性を低下させるための、高用量メルファラン療法と自家骨髄移植との併用(Child他(2003)NEJM 348;19 1875〜1883)も評価されており、全体の生存期間を、標準用量化学療法よりもやや上昇させている。
【0008】
いくつかの遺伝的決定因子は、MMの発症及び進行の原因であることが示されている。MMの症例の約15%〜20%は、染色体転座、t(4;14)(p16.3;q32)を伴っており、der(4)からのMMSET及びder(14)からのFGFR3の発現を調節解除している。特に野生型FGFR3は、非常に高いレベルで異所的に発現するようになり、骨髄腫細胞内で増殖性シグナルを誘発する。この転座は、MMでの主な現象であることが示されており、場合によってはFGFR3の変異の活性化を疾患の進行につれて獲得する。最近の研究では、t(4;14)を有する患者が特に悪い予後になることを実証している。
【0009】
FGFR3は、MMの治療標的であることが、生体外及び生体内での動物研究によって確認されている。原則として、MMの治療に有用な理想的なFGFR3阻害剤は、下記の性質、即ち
FGFR3を認識し、野生型及び変異型のFGFR3の活性化形態を阻害することができ、
FGFR3に特異的であり、即ちその他のFGFR又はチロシンキナーゼタンパク質を阻害せず、
生体適合性があり、即ち患者に対して非免疫原性であり無毒性であり、
血流中での半減期が長い
という性質を示す。
【0010】
本発明の譲受人の一部に同時譲渡された国際特許出願公開WO 02/102973は、受容体チロシンキナーゼに対する抗体、特に抗線維芽増殖因子受容体3(FGFR3)抗体を開示している。FGFR3に特異的であることが示されたある抗体は、FGFR3活性を中和し、軟骨形成不全などの骨格形成異常及び膀胱癌などの増殖性疾患の治療に有用である。この開示は、とりわけ多発性骨髄腫も含め、FGF受容体が関与していることが分かっている増殖性疾患の一覧を示している。
【0011】
国際特許出願公開WO 03/004056は、骨髄腫細胞にアポトーシスを誘発させるKl21様抗体を使用して、多発性骨髄腫を治療する方法について教示している。
【0012】
PEG化は、生体内でのより高い溶解性とより長い循環寿命を実現するために、単鎖とモノクローナルの両方の抗体を修飾するのに用いられている。PEG(40000)は、ErbB2(HER2)腫瘍性タンパク質に特異的なmab、N12及びL26に結合する(Hurwitz他(2000)Cancer Immunol.Immunother.49 226〜234)。Koumenis他(Int.J.Pharmaceut.198 83〜95(2000))も、PEG結合によって、ヒト化抗IL−8のF(ab’)2形態の循環半減期の延長を実現した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
化学療法及び放射線両方を含めたB細胞悪性腫瘍を治療する伝統的な方法は、毒性ある副作用が原因でその有用性に限度があった。モノクローナル抗体の使用は、標的抗原を発現する細胞に対するその毒性を制限する。当技術分野では、多発性骨髄腫の予防又は治療に有効な抗FGFR3抗体が、まだ明らかにされていない。
【0014】
本明細書におけるどの文献の引用も、そのような文献が適切な従来技術であり又は本出願の任意の請求項の特許性に対して重要と考えられることを認めるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、初めて、多発性骨髄腫を含めたB細胞悪性腫瘍の治療に非常に有効な治療薬を提供する。多発性骨髄腫は難病であり、従来の療法は、患者の5%にしか完全な寛解がもたらされず、全体の平均生存期間はわずかに約36カ月である。今回、2量体FGFR3細胞外ドメインに特異的なヒト組換え抗体が、多発性骨髄腫のあるサブタイプを予防し、緩和し、又は治療するのに非常に有効であることを開示する。
【0016】
一態様では、本発明は、FGFR3に対して特異性及び親和性を有する単離された抗体の抗原結合部分を含んだ治療上有効な量の分子であって、FGFR3を発現する骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発する分子と、医薬品として許容される担体とを、その必要のある対象に投与するステップを含む、多発性骨髄腫を予防し、緩和し、又は治療する方法に関する。
【0017】
別の態様は、FGFR3に対して特異性及び親和性を有する単離された抗体の抗原結合部分を含む分子であって、FGFR3を発現する骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発する分子の、多発性骨髄腫を治療する薬剤を製造するための使用に関する。
【0018】
本発明の別の態様は、FGFR3に対して特異性及び親和性を有する単離された抗体の抗原結合部分を含んだ治療上有効な量の分子を、活性成分として含む、B細胞悪性腫瘍を予防し、緩和し、又は治療するための医薬組成物に関する。
【0019】
本明細書に記述される分子及びその組成物のいくつかは、国際特許出願WO 02/102972に開示されており、その教示を、本発明の出願人の一部に同時譲渡された本明細書で完全に述べるかのように、参照により本明細書に組み込む。これらの組成物は、骨格形成異常及び増殖性疾患の治療に有用であることが既に開示された。この分子は、野生型と恒常的に活性な型の両方のFGFR3を阻害するのに有効であることが示された。WO 02/102972は、特定の徴候の治療に有用な特定の化合物に関する本発明の特許請求の範囲を、予測していない開示である。ここでは、前記知られている組成物のいくつかが、多発性骨髄腫の治療及び緩和に特に有効であることを開示する。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)に対して特異性及び親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単一ドメイン抗体、組換え抗体、及びこれらの断片から選択される。好ましい抗体種は組換え抗体である。より好ましい抗体種は、組換え単鎖抗体及び組換えFab抗体から選択される。単鎖抗体は、抗原結合能力を有し且つ免疫グロブリン軽鎖及び重鎖の可変領域に対して相同な又は類似するアミノ酸配列を含んだ単鎖複合体ポリペプチド、即ち連鎖型VH−VL又は単鎖Fv(scFv)にすることができる。
【0021】
ある実施形態では、本発明は、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)に対して特異性及び親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子であって、配列番号1〜9のいずれかに記載されるポリペプチド配列を有するVH−CDR3領域、及び配列番号10〜18のいずれかに記載されるポリペプチド配列を有するVL−CDR3領域を含む分子と、医薬品として許容される担体とを含んだ医薬組成物を投与することを含む、多発性骨髄腫を予防し、緩和し、又は治療する方法を提供する。対応するVH−CDR3領域及びVL−CDR3領域のポリヌクレオチド配列を、配列番号39〜47及び配列番号48〜56にそれぞれ示す。これらの配列は、本発明の譲受人の一部に譲渡されたWO 02/102972に開示されている。
【0022】
1つの好ましい実施形態によれば、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)に対して特異性及び親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子は、配列番号1で示されるポリペプチド配列を有するVH−CDR3領域、及び配列番号10で示されるポリペプチド配列を有するVL−CDR3領域と、医薬品として許容される担体とを含む。VH−CDR3領域及びVL−CDR3領域の対応するポリヌクレオチド配列を、配列番号39及び配列番号48にそれぞれ示す。
【0023】
本発明の別の好ましい実施形態は、配列番号1で示されるポリペプチド配列を有するVH−CDR3領域、及び配列番号10で示されるポリペプチド配列を有するVL−CDR3領域を含む、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)に対して特異性及び親和性を有する抗体の抗原結合部分と、医薬品として許容される担体(PRO−OO1と示す)とを含む、多発性骨髄腫を予防し、緩和し、又は治療するための医薬組成物である。
【0024】
様々な追加の実施形態によれば、本発明は、線維芽細胞増殖因子受容体3に対して特異性及び親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む治療上有効な分子であって、配列番号19〜27のいずれかに示されるポリペプチド配列を有するVHドメイン、及び配列番号28〜36のいずれかに示されるポリペプチド配列を有するVLドメインを含む分子と、医薬品として許容される担体とを含んだ組成物を投与するステップを含む、多発性骨髄腫を予防し、緩和し、又は治療する方法を提供する。VH及びVLドメインの、対応するポリヌクレオチド配列を、配列番号57〜65及び配列番号66〜74にそれぞれ示す。
【0025】
ある好ましい実施形態によれば、線維芽細胞増殖因子受容体3に対して特異性及び親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子は、配列番号19で示されるポリペプチド配列を有するVHドメイン、及び配列番号28で示されるポリペプチド配列を有するVLドメインと、医薬品として許容される担体とを含む。VH及びVLドメインの、対応するポリヌクレオチド配列を、配列番号57及び配列番号66にそれぞれ示す。
【0026】
さらに別の好ましい実施形態では、医薬組成物は、配列番号38の対応するポリヌクレオチド配列を有する、配列番号37で示されるポリペプチド配列を有する単鎖Fv分子(scFv)と、医薬品として許容される担体とを含む。
【0027】
また本発明は、FGFR3に免疫特異的に結合する1個又は複数のPEG化抗体及びその断片を含んだ医薬組成物も提供する。この場合、PEG化抗体及びその断片は、FGFR3に結合し中和する能力によって決定される際、天然の分子の生物活性を保持している。
【0028】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、配列番号37で示されるポリペプチド配列を有するPEG化単鎖Fv分子(scFv)を含み、ロイシン、即ちN末端の当初のアミノ酸をセリンに代えて、目標とされるPEG化を可能としている。
【0029】
ある実施形態では、抗体の抗原結合ドメインを含む分子の親和性は、結合アッセイ及びBIAcore(生体分子相互作用分析システム)を含めた当技術分野で知られている方法によって測定される。ある実施形態によれば、抗体の抗原結合ドメインの親和性は、BIAcore反応器で測定したときに約30nM未満であり、好ましくは約15nm未満であり、より好ましくは約5nm未満である。
【0030】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物を、別の治療薬と組み合わせて患者に投与する。そのようなその他の治療薬は、抗体又は化学療法薬でよい。化学療法薬は、多発性骨髄腫の治療で一般に使用され、メルファラン、ドキソルビシン、カルムスチン、シクロホスファミド、サリドマイド、ボルテゾミブ、及びレナリドマイドを含めることができる(しかしこれらに限定するものではない)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明は、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)に対して特異性及び親和性を有する抗体が、生体外及び生体内で骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発させるという発見に基づく。
【0032】
本発明は、FGFR3に対して特異性及び親和性を有する単離された抗体の抗原結合部分を含んだ治療上有効な量の分子であって、骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発させる分子と、医薬品として許容される担体とを含んだ医薬組成物を、その必要のある対象に投与するステップを含む、B細胞悪性腫瘍を治療する方法に関する。1つの好ましい実施形態では、B細胞悪性腫瘍は多発性骨髄腫である。
【0033】
本発明はさらに、B細胞悪性腫瘍、好ましくは多発性骨髄腫を予防し、緩和し、又は治療する薬剤を製造するための、少なくとも1個の抗FGFR3抗体の使用に関する。
【0034】
いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、抗FGFR3抗体は、間質と骨髄腫細胞との間の接着を妨げる可能性がある。この相互作用は、骨髄腫形質細胞の増殖及び疾患の進行に極めて重要であり、溶解性骨疾患などの局所的徴候、及び免疫無防備状態や貧血などの全身性徴候をもたらす。
【0035】
本発明の譲受人の一部に同時譲渡された国際特許出願WO 02/102972は、特異的な抗線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)抗体を含む、受容体タンパク質チロシンキナーゼに対するモノクローナル抗体を開示する。ファージディスプレー抗体ライブラリーから抗体(例えばFab)をスクリーニングするための、FGFR3受容体の細胞外ドメインの可溶性2量体形態の利用は、FGFR3に結合し且つリガンド結合を妨げる、非常に数多くの高親和性(KD<50nM)抗体(Fab)をもたらし、それによってFGFR3のリガンド依存的活性が阻止される。ある抗体は、FGFR3に対して特異的であり、FGFR3活性を中和するのに、また軟骨形成不全などの骨格形成異常及び膀胱癌などの増殖性疾患の治療に有用であることが示された。リガンド依存的な、又は恒常的な活性を阻止するのに有用な追加の抗体も、特定され単離された。
【0036】
本発明者等はこの度、その出願に開示された一定の分子が、FGFR3発現骨髄腫細胞、特に多発性骨髄腫患者の骨髄間質中に位置する骨髄腫細胞で、アポトーシスを誘発させるのに非常に有効であることを発見した。ここでは、これらの分子を、多発性骨髄腫の予防、緩和、及び治療について開示する。
【0037】
便宜のため、本明細書、実施例、及び特許請求の範囲で用いられるある用語について、以下に述べる。
【0038】
「線維芽細胞増殖因子受容体」又は「FGFR」という用語は、典型的には細胞外リガンド結合ドメイン、1回膜貫通ヘリックス、及びチロシンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインを含む、FGFによって生じたシグナルを細胞内部に伝達するのに必要な、FGFに特異的な受容体を示す。FGFR細胞外ドメインは、3つの免疫グロブリン様(Ig様)ドメイン(D1、D2、及びD3)、ヘパリン結合ドメイン、及び酸性ボックスからなる。多数の受容体タンパク質変種をコード化する4個のFGFR遺伝子が分かっている。FGFR3 mRNAの選択的スプライシングは、この受容体の少なくとも2個の既知のアイソフォーム、FGFR3IIIc及びFGFR3IIIbを生成する。
【0039】
本明細書及び以下の特許請求の範囲全体を通して、「FGFR3特異的」という用語は、FGFR3ポリペプチドに対して又はこれをコード化するポリヌクレオチドに対して、別のFGF受容体タンパク質又はポリヌクレオチドよりも高い親和性又は活性又は結合性を有する任意のエフェクターを指す。エフェクターは、リガンド、阻害剤、抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、又は小有機分子、例えばチロシンキナーゼ阻害剤などを含めた任意の分子にすることができる。「FGFR3特異的」という用語は、エフェクターが別のFGF受容体サブタイプに対して若干の活性を有する状況を、排除又は除外しないことを明白に理解すべきである。さらに、別の受容体サブタイプを介して媒介された活性が、観察される治療上の有用性に臨床上重要である場合、これは明らかに、特許請求の範囲で請求される本発明の範囲に包含されることを理解すべきである。
【0040】
本明細書で使用される「親和性」は、単一の抗原連結部位と1価の抗原決定基との反応の強度を指す。親和性は、結合定数として測定される。
【0041】
抗体の特異性は、いくつかの抗原決定基との反応を可能にし、且つその他とは反応させない抗体の性質である。特異性は、結合部位の化学組成、物理力、及び分子構造に依存する。
【0042】
本明細書で使用される、形質細胞骨髄腫としても知られる「多発性骨髄腫」は、形質細胞の増殖性血液疾患を指す。多発性骨髄腫は、骨髄内の過剰な数の異常形質細胞と、無傷のモノクローナル免疫グロブリン(IgG、IgA、IgD、又はIgE)又はベンス−ジョーンズタンパク質の過剰産生によって特徴付けられる。高カルシウム血症、貧血、腎障害、細菌感染に対する高罹患率、及び正常免疫グロブリンの不十分な産生は、多発性骨髄腫の一般的な臨床徴候である。また、びまん性骨粗しょう症及び軸骨格で主に観察される溶解性骨病変によっても、しばしば特徴付けられる。
【0043】
本明細書で使用する「間質」は、骨髄内の細胞、及び骨髄腫細胞の周囲の支持組織を指す。骨髄腫細胞と骨髄との接着は、骨髄腫の増殖を強化する。
【0044】
本発明の一態様は、FGFR3の活性を減少させ又は阻害する抗体の抗原結合部分を含む分子と、医薬品として許容される担体とを投与することによって、多発性骨髄腫を予防し、緩和し、又は治療する方法を対象とする。本発明の一実施形態によれば、抗体の抗原結合部分は、FGFR3の細胞外ドメインに向けられる。
【0045】
本発明の一実施形態は、FGFR3のリガンド依存的活性化を阻止する抗原結合ドメインを含む分子を対象とする。
【0046】
本発明による、抗体の抗原結合部分を有する分子は、FGFR3のリガンド依存的活性化及び/又はリガンド非依存的(恒常的)活性化を阻止するのに有用である。HuCAL(登録商標)(Human Combinatorial Antibody Library)クローンと呼ばれる抗体ライブラリーから得られたそのような抗体/分子の好ましい実施形態を、表1に示し、独自のVH−CDR3及びVL−CDR3配列を表2に示す。
【0047】
表1:多発性骨髄腫の阻害、治療、又は緩和に有用な抗体の性質
【表1】
キーポイント:FGFR3及びFGFR1に対するそれぞれの分子の親和性(nM)は、BIAcore及び/又はFACSにより測定した。IC50は、FGF9で行ったFDCP−FGFR3増殖アッセイにおいて、抗原結合部位を有するある分子の2量体dHLXフォーマットに関して決定した。Fab−dHLXは、Fabモノマーの2量体が、発現ベクターの挿入後に融合タンパク質として生成される、Fabミニ抗体フォーマットを指す。BIAcoreによって得られた値は、抗体と受容体との間の相互作用が特異的であることを実証した。
【0048】
表2:VH−CDR3及び対応するVL−CDR3ポリペプチド配列
【表2】
【0049】
VHは可変重鎖を指し、VLは可変軽鎖を指し、CDG3は相補性決定領域3を指す。ある好ましい実施形態では、本発明は、配列番号1〜9のいずれかに示されるポリペプチド配列を有するVH−CDR3領域、及び配列番号10〜18のいずれかに示されるポリペプチド配列を有する対応するVL−CDR3領域を含む治療上有効な分子と、医薬品として許容される担体とを含んだ組成物を投与することを含む、多発性骨髄腫を治療し又は予防する方法を提供する。VH−CDR3及びVL−CDR3領域の、対応するポリヌクレオチド配列は、配列番号39〜47及び配列番号48〜56のいずれか1つにそれぞれ示される。ポリヌクレオチド配列を表3に示す。
【0050】
ある実施形態によれば、本発明は、配列番号19〜27のいずれか1つに示されるポリペプチド配列を有するVHドメイン、及び配列番号28〜36のいずれか1つに示されるポリペプチド配列を有する対応するVLドメインを含む、治療上有効な分子と、医薬品として許容される担体とを含んだ組成物を投与することを含む、多発性骨髄腫を治療し又は予防する方法を提供する。好ましいVH及びVL配列を本明細書に示す。
【0051】
【化1】
【0052】
【化2】
【0053】
【化3】
【0054】
【化4】
【0055】
【化5】
【0056】
【化6】
【0057】
【化7】
【0058】
【化8】
【0059】
【化9】
【0060】
【化10】
【0061】
【化11】
【0062】
【化12】
【0063】
【化13】
【0064】
【化14】
【0065】
【化15】
【0066】
【化16】
【0067】
【化17】
【0068】
【化18】
【0069】
VH及びVLドメインの、対応するポリヌクレオチド配列は、配列番号57〜65及び配列番号66〜74をそれぞれ有する。
【0070】
【化19】
【0071】
【化20】
【0072】
【化21】
【0073】
【化22】
【0074】
【化23】
【0075】
【化24】
【0076】
【化25】
【0077】
【化26】
【0078】
【化27】
【0079】
【化28】
【0080】
【化29】
【0081】
【化30】
【0082】
【化31】
【0083】
【化32】
【0084】
【化33】
【0085】
【化34】
【0086】
【化35】
【0087】
【化36】
【0088】
さらに別の好ましい実施形態では、医薬組成物は、対応するポリヌクレオチド配列、配列番号38を有する、配列番号37で示される単鎖Fv分子(scFv)と、医薬品として許容される担体とを含む。ポリペプチド配列及びポリヌクレオチド配列のそれぞれを、ここに示す。
【0089】
PRO−001 scFvポリペプチド f配列番号37)
【化37】
【0090】
PRO−001 scFv DNA f配列番号38)
【化38】
【0091】
表3:VH−CDR3及び対応するVL−CDR3ポリヌクレオチド配列
【表3】
【0092】
(抗体)
自然抗体又は免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって共に結び付けられた2つの重鎖と2つの軽鎖とを有し、各軽鎖はジスルフィド結合によってそれぞれの重鎖に「Y」字形構造に結び付けられている。抗体のタンパク質分解性消化は、Fv(可変断片)ドメイン及びFc(結晶性断片)ドメインをもたらす。抗原結合ドメインFabは、ポリペプチド配列が様々に異なる領域を含む。F(ab’)2という用語は、ジスルフィド結合によって共に結び付けられた2つのFab’アームを表す。抗体の中心軸を、Fc断片と呼ぶ。各重鎖は、一端に可変ドメイン(VH)を有し、その後にいくつかの定常ドメイン(CH)を有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を有し、その他端に定常ドメイン(CL)を有し、この軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと位置合わせされており、軽鎖定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と位置合わせされている。
【0093】
軽鎖及び重鎖の各対の可変ドメインは、抗原結合部位を形成する。軽鎖及び重鎖上のドメインは、同じ一般構造を有し、各ドメインは、4つのフレームワーク領域を含み、その配列は比較的保存され、相補性決定領域として知られる3つの超可変領域(CDR1〜3)により接合される。これらのドメインは、抗原結合部位の特異性及び親和性に寄与する。
【0094】
重鎖のアイソタイプ(γ、α、δ、ε、又はμ)は、免疫グロブリンの種類(それぞれIgG、IgA、IgD、IgE、又はIgM)を決定する。軽鎖は、全ての抗体の種類で見出される2つのアイソタイプ(カッパ、Κ、又はラムダ、λ)のいずれかである。
【0095】
「抗体」又は「抗体の抗原結合部分を有する分子」という用語は、抗原上の特異的エピトープに結合することが可能であり、且つポリクローナル混合物からなるものでも又は本質的にモノクローナルからなるものでよい免疫グロブリン分子を指す。抗体は、自然源から又は組換え源から得られた免疫グロブリン全体又はその断片でよい。本発明による抗体は、例えば全抗体、抗体断片、又は別の免疫学的活性なその断片、例えば相補性決定領域などを含めた様々な形で存在することができる。同様に抗体は、機能的抗原結合ドメイン、即ち重鎖及び軽鎖可変ドメインを有する抗体断片でよい。抗体断片は、Fv、Fab F(ab)2、scFv(単鎖Fv)、dAb(単一ドメイン抗体)、2重特異性抗体、ダイアボディ、及びトリアボディからなる群から選択される形態で存在してもよい。
【0096】
本発明の範囲内には、キメラ抗体;ヒト及びヒト化抗体;単一ドメイン抗体;組換え及び設計製作された抗体と、その断片が含まれる。さらに、抗体の可変領域をコード化するDNAを、その他の抗体をコード化するDNAに挿入して、キメラ抗体を生成することができる(例えば、米国特許第4816567号参照)。単鎖抗体は、本発明の範囲内に包含される。単鎖抗体は、抗原結合能力を有し且つ免疫グロブリン軽鎖及び重鎖の可変領域(結び付けられたVH−VL又は単鎖FV(scFv))に対して相同性又は類似性があるアミノ酸配列を含む、単鎖複合体ポリペプチドにすることができる。VH及びVLの両方は、自然モノクローナル抗体配列をコピーすることができ、或いはこの鎖の一方又は両方は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5091513号に記載されるタイプのCDR−FIL構造を含むことができる。軽鎖及び重鎖の可変領域から切り離されたポリペプチド類似体は、ポリペプチドリンカーによって一緒に保持される。そのような単鎖抗体を生成する方法、特に、VH鎖及びVL鎖のポリペプチド構造をコード化するDNAが知られている方法は、例えば、そのそれぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4946778号、第5091513号、及び第5096815号に記載されている方法に従って実現することができる。
【0097】
さらに、CDR移植を行って、親和性又は特異性を含めた抗体分子のある性質を変化させることができる。CDR移植の非限定的な例は、米国特許第5225539号に開示されている。
【0098】
本明細書で使用する「抗体の抗原結合部分を有する分子」は、任意のアイソタイプ及び任意の動物細胞系又は微生物により生成された無傷の免疫グロブリン分子だけではなく、その抗原結合反応性部分も含むものとし、Fab断片、Fab1断片、F(ab’)2断片、その重鎖及び/又は軽鎖の可変部分、Fabミニ抗体(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるWO93/15210;米国特許第5910573号;WO96/13583;WO96/37621参照)、2量体2重特異性ミニ抗体(Muller他,1998 FEBS Letters,432:45〜49参照)及びそのような反応性部分を組み込んだキメラ又は単鎖抗体、並びにそのような抗体反応性部分が物理的に挿入されている任意のその他のタイプの分子又は細胞であって、例えばキメラT細胞受容体やそのような受容体を有するT細胞など、又はそのような反応性部分を含有する分子の一部を用いて治療用部分を送達するように開発された分子が含まれるが、これらに限定するものではない。そのような分子は、酵素切断、ペプチド合成、又は組換え技法を含むがこれらに限定することのない、任意の知られている技法によって提供することができる。
【0099】
本明細書で使用する「Fc」という用語は、食作用を媒介し、炎症を引き起こし、Igを特定の組織に向ける免疫グロブリン分子の部分(結晶化可能な断片)を意味し、Fc部分は補体活性化にも重要である。
【0100】
本発明の一実施形態では、RPTKの細胞外ドメインと免疫グロブリン定常ドメインとの融合を含むキメラを、受容体に対するリガンドのアッセイを行うのに、また抗体及びその断片をスクリーニングするのに役立つように構成することができる。
【0101】
「細胞外ドメイン」は、本明細書で使用する場合、通常その細胞の外側に位置する本明細書に開示されるFGFR3のポリペプチド配列を指す。細胞外ドメインは、成熟FGFR3の、隣接する(C末端)疎水性膜貫通及び細胞内配列の一部又は全てが欠失しているポリペプチド配列を包含する。したがって、細胞外ドメイン含有ポリペプチドは、細胞外ドメインと膜貫通ドメインの一部とを含むことができる。或いは、好ましい実施形態では、ポリペプチドがFGFR3の細胞外ドメインのみ含む。切断型細胞外ドメインは、一般に可溶性である。熟練した専門家なら、FGFR3の細胞外及び膜貫通ドメインを、これらのドメインが描写されている既知のRPTK(受容体タンパク質チロシンキナーゼ)アミノ酸配列とアライメントを行うことによって、容易に決定することができる。或いは、疎水性膜貫通ドメインは、ポリペプチド配列の疎水性プロットに基づいて容易に描写することができる。細胞外ドメインは、膜貫通ドメインのN末端側にある。
【0102】
「エピトープ」という用語は、抗体又はその断片によって結合することが可能な任意の分子の部分であって、その抗体により認識することもできる部分を指すものとする。エピトープ又は抗原決定基は、通常、アミノ酸や糖側鎖など、分子の化学的に活性な表面の群からなり、特異的3次元構造特性並びに特異的電荷特性を有する。
【0103】
「抗原」は、抗体によって結合することが可能な分子又は分子の一部であって、さらに動物に、この抗原のエピトープに結合することが可能な抗体を生成させることが可能な分子又は分子の一部である。抗原は、1つ又は複数のエピトープを有することができる。上述の特異的反応は、抗原が、高度に選択的な手法によってこの抗原に対応する抗体と反応し、且つその他の抗原によって引き起こされる可能性のある多数のその他の抗体とは反応しないことを示すものとする。
【0104】
本明細書で使用する「中和抗体」は、明細書の通りに生体内又は生体外アッセイによって決定される際、受容体を介する活性又はシグナル伝達を低下させ又は阻害(阻止)することが可能な、特定の受容体に対する抗原結合部位を有する分子を指す。
【0105】
「モノクローナル抗体」又は「mAb」は、特定の抗原に対して実質的に同種の抗体集団である。mAbは、当業者に知られている方法により得ることができる。例えば、これら文献の内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる、Kohler及びMilstein,Nature,256(55 17):495〜497(1975);米国特許第4376110号;Ausubel他(編),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,Inc.(New York)(1987〜1999);Harlow他,Antibodies:A Laboratory Manual,CSHL(Cold Spring Harbor,NY)(1988);及びColligan他(編),Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons,Inc.(New York)(1992〜2000)を参照されたい。本発明のmAbは、IgG、IgM、IgE、IgA、及びこれらの任意のサブクラスを含めた任意の免疫グロブリンの種類でよい。mAbを生成するハイブリドーマは、生体外又は生体内で培養することができる。mAbの高い力価は、生体内での生成によって得ることができ、個々のハイブリドーマからの細胞を、初期プライム化Balb/cマウスに腹腔内注射することにより、高濃度の所望のmAbを含有する腹水を生成する。アイソタイプIgM又はIgGのmAbは、そのような腹水から、又は培養上澄みから、当業者に周知のカラムクロマトグラフィ法を使用して精製することができる。
【0106】
キメラ抗体は、その分子の異なる部分が異なる動物種から得られる分子であって、例えば、マウスmAbから得られる可変領域及びヒト免疫グロブリン定常領域を有するような分子である。実質的にヒト抗体(アクセプター抗体と呼ぶ)から得られる可変領域フレームワーク残基、及び実質的にマウス抗体(ドナー抗体と呼ぶ)から得られる相補性決定領域を有する抗体を、ヒト化抗体とも呼ぶ。キメラ抗体は、例えばマウスmAbが、ハイブリドーマからのより高い収量を有するがヒトにおける免疫原性がより高い場合、主に、適用の際に免疫原性を低下させ且つ生成の際に収量を増加させるために使用し、したがってヒト/マウスキメラmAbが使用されるようになる。キメラ抗体及びその生成方法は、当技術分野で知られている(Better他,Science 24Od(4855):1041〜1043(1988);Cabilly他,PNAS USA 81(11)3273〜7(1984);Liu他,PNAS USA,84(10):3439〜3443(1987);Morrison他,PNAS USA 81(21):6851〜6855(1984);Boulianne他,Nature 312(5995):643〜646(1984);Neuberger他,Nature 314(6008):268〜270(1985);Cabilly他,欧州特許出願第125023号、第171496号、第173494号、第184187号、第173494号、国際特許出願WO 86/01533、WO 97/02671、WO 90/07861、WO 92/22653、及び米国特許第5693762号、第5693761号、第5585089号、第5530101号、及び第5225539号)。これらの参考文献を、参照により本明細書に組み込む。
【0107】
生体内で抗体を産生する従来の方法の他に、抗体は、ファージディスプレー技術を使用して生体外で生成することができる。そのような組換え抗体の生成は、従来の抗体生成に比べてさらに速く、膨大な数の抗原に対して生成することができる。これとは対照的に、従来の方法では、多くの抗原が非免疫原性であり又は極めて毒性が高いことが判明し、したがって動物で抗体を生成するのに使用することができない。さらに、組換え抗体の親和性成熟(即ち、親和性及び特異性の増大)は、非常に単純であり且つ比較的速い。最後に、特定の抗原に対する多数の種々の抗体を、1つの選択手順で生成することができる。組換えモノクローナル抗体を生成するには、全てがファージディスプレーライブラリーを基にした様々な方法を使用することができ、それによって、異なる抗原認識部位を有する抗体の大きなプールが生成される。そのようなライブラリーは、いくつかの方法で作製することができる。1つは、重鎖生殖系列遺伝子のプール内で合成CDR3領域をクローニングすることによって、合成レパートリーを生成することができ、したがって、そこから様々な特異性を有する組換え抗体断片を選択することができる、大きな抗体レパートリーが生成される。1つは、抗体ライブラリーを構成するための出発材料として、ヒトのリンパ球プールを使用することができる。ヒトIgM抗体の未処置のレパートリーを構成することが可能であり、したがって、極めて多様なヒトライブラリーを生成することが可能である。この方法は、種々の抗原に対して多数の抗体を選択するために、首尾良く広範にわたって使用されている。バクテリオファージライブラリーの構成及び組換え抗体の選択に関するプロトコルは、周知の参考テキスト、Current Protocols in Immunology,Colligan他(編),John Wiley&Sons,Inc.(1992〜2000),Chapter 17,Section 17.1に示されている。
【0108】
(薬理)
本発明は、FGFR3に対して特異性及び親和性を有する分子であって骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発する分子の1種又は複数を活性剤として含む、本明細書に様々に記述される状態を治療し又は予防するための医薬品を製造するための、獣医学用及びヒト医療用の両方に向けた医薬品製剤も企図するものである。
【0109】
そのような医薬及び薬物製剤では、活性剤は、この活性剤のための1種又は複数の医薬品として許容される担体、及び任意選択で、任意のその他の治療成分と共に利用することが好ましい。担体は、製剤のその他の成分と適合するがそのレシピエントに対して過度に有害ではないという意味で、医薬品として許容されなければならない。活性剤は、上述のように、所望の薬理効果を実現するのに有効な量で、且つ所望の日用量を実現するのに適切な量で提供される。
【0110】
典型的な場合、抗体の抗原結合部分を含み、或いはペプチド擬態の拮抗リガンド若しくは可溶性受容体又は有機分子若しくはポリヌクレオチドを含んだ別のポリペプチドを含む本発明の分子は、治療目的のために滅菌生理食塩液中に懸濁されることになる。或いは医薬組成物は、活性成分(抗体の抗原結合部分を含む分子)の放出が制御されるように、又はその患者の系内での存在が延長されるように処方することができる。非常に数多くの適切な薬物送達システムが知られており、例えば移植可能な薬物放出システム、ヒドロゲル、ヒドロキシメチルセルロース、マイクロカプセル、リポソーム、マイクロエマルジョン、及び小球体などが含まれる。制御放出調合剤は、本発明による分子と複合体を形成し又は本発明による分子を吸着するためにポリマーを使用することによって調製することができる。例えば生体適合性ポリマーは、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)のマトリックスと、ステアリン酸ダイマー及びセバリン酸のポリ無水物コポリマーのマトリックスを含む。そのようなマトリックスからの、本発明による分子の放出速度、即ち抗体又は抗体断片の放出速度は、分子の分子量、マトリックス内の分子の量、及び分散した粒子のサイズに依存する(Saltzman他,Biophys.J,55:163(1989);Sherwood他,Biotechnology,10(11):1446〜9(1992))。その他の固体剤形は、Ansel他,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,第5版(Lea&Febiger 1990)及びGennaro(編),Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版(Mack Publishing Co.,1990)に記載されている。
【0111】
本発明の医薬組成物は、経口、局所、鼻内、皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、関節内、病変内、又は非経口など、任意の適切な手段によって投与することができる。通常、静脈内(i.v.)、関節内、局所、又は非経口投与が好ましい。
【0112】
本発明による分子の治療上有効な量は、とりわけ投与スケジュール、投与される分子の単位用量、分子をその他の治療薬と組み合わせて投与するか否か、患者の免疫状態及び健康、投与される分子の治療活性、及び治療を行う医師の判断に依存することが、当業者に明らかであろう。本明細書で使用する「治療上有効な量」は、経時的に、治療される障害に関連した1つ又は複数の症状を軽減させるのに必要とされる、分子の量を指す。
【0113】
本発明の分子の適切な投与量は、投与経路、分子のタイプ(ポリペプチド、ポリヌクレオチド、有機分子など)、年齢、体重、性別、又は患者の状態に応じて様々に変化し、最終的には医師が決定すべきであるが、経口投与の場合、1日の投与量は、一般に体重1kg当たり約0.01mgから約500mgの間、好ましくは約0.01mgから約50mgの間、より好ましくは約0.1mgから約10mgの間にすることができる。非経口投与の場合、1日の投与量は、一般に体重1kg当たり約0.001mgから約100mgの間、好ましくは約0.001mgから約10mgの間、より好ましくは約0.01mgから約1mgの間にすることができる。1日の投与量は、例えば毎日1〜4回に分けて投与する典型的な投薬計画で、投与することができる。その他の好ましい投与方法には、体重1kg当たり約0.01mgから約100mgを関節内投与することが含まれる。有効量に到達するための様々な問題が、例えばGoodman及びGilmanのThe Pharmacological Bases of Therapeutics,第8版,Pergamon Press,1990;及びRemington’s Pharmaceutical Sciences,第17版,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990に記載されている。
【0114】
活性成分としての本発明の分子は、医薬品として許容され且つ周知の活性成分に対して適合性ある賦形剤に、溶解し、分散され、又は混合される。適切な賦形剤は、例えば水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、デキストロース、グリセロール、又はエタノールなど、及びこれらの組合せである。その他の適切な担体は、当業者に周知である。さらに望むなら、組成物は、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤などの、少量の補助物質を含有することができる。
【0115】
本発明の分子の1種又は複数と、メトトレキセートやグルココルチコイドなどの抗炎症薬とを組み合わせた治療は、FGFR3活性を阻害するためのより効率的な治療を提供することができる。一実施形態では、医薬組成物は、抗体、抗炎症薬、及び医薬品として許容される担体を含む。
【0116】
(ポリヌクレオチド)
「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)などの分子を指し、適切な場合にはリボ核酸(RNA)を指す。この用語は、均等物として、ヌクレオチド類似体から作製されたRNA又はDNAの類似体を、また記述される実施形態に適用されるように、1本鎖(センス又はアンチセンス)及び2本鎖ポリヌクレオチドも含むと理解すべきである。
【0117】
本発明の範囲内には、多発性骨髄腫を治療するための医薬品の調製に有用な、抗FGFR3抗体をコード化する核酸分子が含まれる。核酸分子は、当業者に十分理解されるように、配列番号57〜74のいずれか1つに示される上記コード化ヌクレオチド配列に対して、少なくとも75%の配列同一性、好ましくは約90%、より好ましくは約95%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。重鎖及び軽鎖の超可変領域では、核酸分子が、配列番号39〜56のいずれか1つに示される分子に対して、少なくとも50%の配列同一性、好ましくは約70%、より好ましくは約80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0118】
また本発明は、高ストリンジェンシー条件下で、配列番号57〜74のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド又はその相補体とハイブリダイズする核酸も提供する。本明細書で使用する高ストリンジェント条件は、約5%〜25%までの配列多様性、好ましくは約5%〜15%の配列多様性に寛容なものである。限定することなく、高ストリンジェント(ハイブリッドの計算されたTmよりも10℃低い)条件の例としては、0.1×SSC(標準食塩クエン酸緩衝液)及び0.5%SDSの洗浄溶液を、ハイブリッドの計算されたTmよりも低い適切なTiで使用する。この条件の最終的なストリンジェンシーは、特に、使用されるハイブリダイゼーション条件によって安定性の低いハイブリッドが安定なハイブリッドと共に形成される場合、主に洗浄条件に起因する。したがって、より高いストリンジェンシーでの洗浄条件は、安定性の低いハイブリッドを除去する。上述の、高度にストリンジェントな条件から中程度にストリンジェントな条件で使用することができる一般的なハイブリダゼーション条件は、6×SSC(又は6×SSPE)、5×デンハート試薬、0.5%SDS、100μg/mlの変性、断片化サケ精子DNAの溶液での、適切なインキュベーション温度Tiでのハイブリダイゼーションである。適切な高ストリンジェンシー条件に関しては、一般に、Sambrook他,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Press(1989)を参照されたい。
【0119】
ストリンジェンシー条件は、ハイブリダイゼーション実験及び洗浄で使用される温度、ハイブリダイゼーション溶液中及び洗浄溶液中の1価の陽イオンのモル濃度、及びハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージの関数である。一般に、プローブでのハイブリダイゼーションによる感度は、プローブの量及び特異的活性、標的核酸の量、標識の検出可能性、ハイブリダイゼーション速度、及びハイブリダイゼーションの持続時間の影響を受ける。ハイブリダイゼーション速度は、DNA:DNAハイブリッドに関するTmよりも20〜25℃低いTi(インキュベーション温度)、及びDNA:RNAハイブリッドに関するTmよりも10〜15℃低いTiで最大になる。約1.5MのNa+のイオン強度によっても最大になる。この速度は、2重鎖の長さに正比例し、ミスマッチの程度に逆比例する。
【0120】
しかし、ハイブリダイゼーションにおける特異性は、所望のハイブリッドと「バックグラウンド」のハイブリッドとの間での、安定性の差の関数である。ハイブリッドの安定性は、2重鎖の長さ、塩基組成、イオン強度、ミスマッチ、及び不安定化剤(少しでも存在する場合)の関数である。
【0121】
完全ハイブリッドのTmは、DNA:DNAハイブリッドに関して
Tm=81.5℃+16.6(log M)+0.41(%GC)−0.61(%form)−500/L
のように、Meinkoth及びWahlの方程式を使用して(Anal.Biochem.138(2):267〜84(1984))推定することができ、またDNA:RNAハイブリッドに関しては、
Tm=79.8℃+18.5(log M)+0.58(%GC)−11.8(%GC)2−0.56(%form)−820/L
のように推定することができ、
但しMは、1価の陽イオンのモル濃度、0.01〜0.4M NaClであり、
%GCは、DNA中のG及びCヌクレオチドのパーセンテージ、30%〜75%であり、
%formは、ハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージであり、
Lは、塩基対におけるハイブリッドの長さである。
【0122】
Tmは、それぞれ1%のミスマッチごとに、0.5〜1.5℃だけ低下する(計算のそれぞれに関して、I℃の平均を使用することができる)。Tmは、実験的により決定してもよい。上記法的式でハイブリッドの長さ(L)が増加するにつれ、Tmが上昇し且つ安定性が増大し、完全長ラット遺伝子配列をプローブとして使用することができる。
【0123】
フィルターハイブリダイゼーションは、典型的には68℃で且つ高イオン強度(例えば5〜6×SSC)で実施されるが、これはストリンジェントなものでなく、その後、1回又は複数の洗浄を行ってストリンジェンシーを高め、最後の1回が、最終的に望まれる高ストリンジェンシーになる。Tmに関する方程式は、最終洗浄に関して適切なTiを推定するのに使用することができ、又は完全2重鎖のTmを実験により決定し、次いでTiをそれに応じて調節することができる。
【0124】
また本発明は、分子の保存的アミノ酸変種も提供する。本発明による変種は、コード化されたタンパク質の分子構造全体を保存するものを作製することもできる。開示されたタンパク質生成物を含む個々のアミノ酸の性質が与えられると、いくつかの合理的な置換が当業者によって認識されることになる。アミノ酸置換、即ち「保存的置換」は、例えば関係する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及び/又は両親媒性の類似性に基づいて行うことができる。
【0125】
多くの治療用ヒトタンパク質は、循環内でのその半減期が短く且つ安定性が低くなっており、したがって治療効果を維持するには、高用量の使用が必要である。PEG化は、PEGをタンパク質に共有結合させる方法である(Greenwald他(2003)Advanced Drug Delivery Reviews 55 217〜250に概説されている)。PEG(ポリエチレングリコール)は、有機溶媒並びに水に溶解する独特のポリマーであり、無毒性で、腎臓経路及び肝臓経路の組合せによって排除され、したがって、医薬品としての用途で使用するのに理想的なものになる。PEG化タンパク質は、通常、血液循環内で著しく延長された半減期を有し、免疫原性及び抗原性が低下する一方でその生物活性が維持される。
【0126】
タンパク質に関する初期の研究では、Mw 5000のPEGをしばしば利用した。しかし、より高いMwの、より少ないストランドのPEG、例えばMwが20000又は40000であるPEGも用いられる。
【0127】
したがって本発明は、本発明の分子がPEG化したものも提供する。具体的には本発明は、生体内での半減期が延びたために、対象に対する前記抗体又はその断片の投与量及び/又は投与頻度を減少させることが可能な、FGFR3に対して特異性及び親和性を有するPEG化モノクローナル抗体又はその断片を包含する。
【0128】
この分子は、Mw 5000からMw 40000に及ぶ異なる分子量のPEG分子を使用するが好ましくはMw 5000から20000のPEG分子を使用する、当技術分野で周知のPEG化法のいずれかによって(Lee他(1999)Bioconjugate Chem.10 973〜981)PEG化することができる。
【0129】
分子の生物活性に対して最小限の障害を有するPRG化を可能にするために、PEG部分を、分子のN末端に付加することができる。このため、N末端のアミノ酸(位置2)がロイシンではなくセリンである本発明のscFv分子(配列番号37)が生成され、これで、目標とするPEG化か可能になった。
【0130】
これまで本発明について十分に述べてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく且つ過度な実験を行うことなく、広範にわたる同等のパラメータ、濃度、及び条件内で同じことを実施できることが、当業者に理解されよう。
【0131】
本発明について、その特定の実施形態に関連して述べてきたが、さらなる修正が可能であることが理解されよう。本出願は、一般に、本発明の原理に従って、且つ本発明が関係する技術分野の範囲で知られており又は慣行に含まれるような、また添付される特許請求の範囲の通りに上記にて述べた本質的な特徴に適用することができるような、本発明の開示からの逸脱も含めて、本発明の任意の変形例、使用例、適用例、包含するものとする。
【0132】
学術雑誌論文又は要約、公開され又は対応する米国の又は外国の特許出願、発行された米国の又は外国の特許、或いは任意のその他の参考文献を含めた、本明細書で引用される全ての参考文献は、そこに引用された参考文献に示される全てのデータ、表、図、及び文も含めて、参照によりその全体を本明細書に組み込む。さらに、本明細書で引用される参考文献の中で引用された参考文献の内容全体も、参照によりその全体を組み込む。
【0133】
特定の実施形態の前述の説明は、本発明の一般的な本質を完全に明らかにし、他の者は、当業者の範囲内の知識を利用することによって(本明細書で引用される参考文献の内容を含む)、必要以上の実験をすることなく、また本発明の一般的概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を容易に修正し且つ/又は様々な適用例に適合させることができる。したがって、そのような適合例及び修正例は、本明細書に提示される教示及び指針に基づいて、開示される実施形態の均等物の意味及び範囲内にあるものとする。本発明の語法又は用語は説明を目的とするものであって限定を目的するものではなく、したがって本明細書の用語又は語法は、当業者の知識と組み合わせて、本明細書に提示される教示及び指針に照らすことにより、当業者によって解釈されることを理解すべきである。
【実施例】
【0134】
(方法)
(細胞系及び組織培養)
誘導的な手法でFGFR3を発現する、非形質転換ラット軟骨細胞系(RCJ−FGFR3)については、既に記述されている(Rauchenberger R.他,J.Biol.Chem.2003;278:38194〜205)。細胞を、15%ウシ胎児血清(FCS)、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、600μg/ml G418(Gibco BRL,Ontario,カナダ)、2μg/mlテトラサイクリン(Sigma,Ontario,カナダ)、及び50μg/mlハイグロマイシンB(Gibco BRL)が補われたα−最小必須培地で維持した。FGFR3発現は、テトラサイクリンの除去及び血清飢餓によって誘発させた。マウス骨髄前駆細胞系(FDCP−1)に、完全長FGFR1(FDCP−FGFR1)、FGFR2(FDCP−FGFR2)、FGFR3(FDCP−FGFR3)、又はFGFR3S249C突然変異cDNAをトランスフェクトし、10%FCS、100μg/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、10ng/ml FGF、及び5μg/mlヘパリン(Sigma)と共にIscove培地(GibcoBRL)で培養した。ヒト骨髄細胞系(UTMC2、H929、KMSIl、KMS18、8226)は、2.5%FCS及びペニシリン−ストレプトマイシン(Hyclone,Logan,UT)が補われたIscove修飾Dulbecco培地(IMDM)で維持した。WT FGFR3を発現するB9細胞(B9−FGFR3WT)、FGFR3−F384Lを発現するB9細胞(B9−FGFR3F384L)、FGFR3−Y373Cを発現するB9細胞(B9−FGFR3Y373C)、FGFR3−G394Dを発現するB9細胞(B9−FGFR3G394D)については、既に記述されている(Plowright EE他,Blood.2000;95:992〜998;Trudel S他,Blood.2005;105:2941〜8)。これらを、5%FCS、ペニシリン−ストレプトマイシン、及び1%IL−6調整培地が補われたIMDMで維持した。骨髄間質細胞(BMSC)を、MM患者から得られた骨髄(BM)標本から得て、前述のように調製した(Hideshima T他,Blood 2000;96:2943〜2950)。BMSCを、集密になるまで6ウェルプレート上で増殖させ、次いで以下に示すアポトーシス研究のために20Gyを照射した。
【0135】
(免疫沈降及び免疫ブロット)
細胞を、溶解緩衝液(50mM Tris/HCl、pH8.0、150mM NaCl2、0.1mM ZnCl2、0.5%Nonidet Np−40、1mg/ml完全プロテアーゼ阻害剤ミックス(Roche Molecular Biochemicals,Mannheim,ドイツ))に溶解し、12000×gで15分間の遠心分離によって清澄化した。溶解産物を、抗FGFR3(C15)と共に4℃で16時間免疫沈降にかけ、7.5%ドデシルナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)及び抗ホスホチロシン(R&Dからの4G10)によるウェスタンブロットによって分析した。タンパク質バンドを、ホースラディッシュペルオキシダーゼに連結された2次抗体及びPierceからのECLキットを使用して、製造業者の取扱い説明書に従って視覚化した。
【0136】
(生存度アッセイ)
細胞生存度を、3−(4,5−ジメチルチアゾール)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム(MTT)又は指示される場合には(2,3−ビス(2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル)−5−[(フェニルアミノ)カルボニル]−2H−テトラゾリイウム水酸化物(XTT)の染料吸光度によって評価した。細胞を、培養培地中で96ウェルプレートに、ウェル当たり20000個(FDCP−I細胞)、5000個(B9細胞)、又は25000個(MM細胞系)の密度で播いた。細胞を、下記のサイトカインの1種、即ち10ng/ml FGF9及び5μg/mlヘパリン、1%マウスIL−6、50ng/ml IGF−I、又は指示される場合には50ng/mlヒトIL−6の1種が存在しない状態で又は存在下でインキュベートし、PRO−001、対照抗体(精製されたヒトFab)、又は100nM PD173074の濃度を増加させた。プレートを、37℃、5%CO2で48時間又は72時間インキュベートした。MTT及びXTTアッセイを、製造業者の取扱い説明書に従って実施した(それぞれBoehringer Mannheim,Mannheim,ドイツ及びBiological Industries Ltd.,イスラエル)。各実験条件は、2重に又は3重に実施した。
【0137】
(増殖アッセイ)
細胞増殖を、[3H]−チミジン組込みアッセイによって決定した。UTMC2細胞(20000細胞/ウェル)を、ビヒクル対照又は5μg/ml PRO−001の存在下、96ウェルプレートで37℃でインキュベートした。[3H]−チミジン(0.5μCi)を、各ウェルに8時間添加した。細胞を、自動細胞収集器でガラスフィルタ上に収集し、PACKARD TOP計数器(CANBERPA PACKARD,カナダ)で計数した。
【0138】
(フローサイトメトリー分析)
細胞(5×105)を、冷リン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄し、次いで下記の1種、即ちPRO−001 Fab又はヒトFab対照抗体、ウサギ抗FGFR3(100)、又はウサギ免疫前血清の1種と共にPBS中で30分間インキュベートした。次いで細胞を、PE共役ヤギ抗ヒトF(ab’)22次抗体又はヤギ抗ウサギIgG−PEで、氷上で30分間染色した。フローサイトメトリーをFACSCaliberフローサイトメータ(BD Bioscience,San Jose,CA)上で実施し、Cellquestソフトウェア(Becton Dickinson)を使用して分析した。FGFリガンドが結合を競い合う能力を評価するために、細胞を、30ng/ml FGF及び5μg/mlヘパリンの存在下又は存在しない状態で、30分間インキュベートし、次いで上述のPRO−001 Fabで染色した。
【0139】
(細胞内リンタンパク質染色)
フローサイトメトリーによるERK 1/2リン酸化の決定については、既に記述されている(Chow S.他,Cytometry 2001;46:72〜78)。細胞に、血清飢餓処理を一晩行い、次いで30ng/mlのFGF及び10μg/mlのヘパリンで、37℃で10分間刺激を与えた。最終濃度2%が得られるように、10%ホルムアルデヒドを培地に直接添加することによって、細胞を固定した。細胞を、37℃の固定液中で10分間インキュベートし、次いで氷上でさらに2分間インキュベートした。氷冷メタノールを撹拌しながら添加することによって(最終濃度90%に)、細胞の透過化処理を行い、氷上で30分間インキュベートした。細胞を、PBSに4%FCSを加えたもので洗浄し、抗ERKI1/2(Cell Signaling TEchnology,Beverly,MA)で15分間染色し、次いで指示される場合には、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)共役ヤギ抗ウサギ及び抗CD 138−PE(PharMinogen,San Diego,CA)で標識した。悪性腫瘍細胞は、高レベルのCD138を発現する細胞であることが確認された。フローサイトメトリーを、FACSCaliber(登録商標)フローサイトメータ(BD Biosciences,San Jose,CA)で実施し、Cellquest(登録商標)ソフトウェア(Becton Dickinson)を使用して分析した。
【0140】
(アポトーシス分析)
アポトーシスの研究のため、細胞を、BMSCで被覆され且つ対照(ビヒクル又は抗体)又は5μg/ml PRO−001が補充された6ウェルプレートに初期密度2.5×105/mLで播き、48時間培養した。アポトーシスを、アネキシンV染色により決定し(Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN)、フローサイトメトリーにより分析した。アネキシンVは、細胞膜中でホスホジチル−セリンに特異的に結合するタンパク質である。結合は、膜が破壊され始めると生じ、リン脂質が細胞外媒体中に放出される。
【0141】
(1次患者サンプル)
研究用に特定された患者は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)によって、t(4;14)転座を有することが決定された。FGFR3の発現を、前述のフローサイトメトリーにより確認した(Chesi M.他,Blood.2001;97:729〜736)。簡単に言うと、赤血球を溶解し、骨髄単核細胞を氷上で30分間、ウサギ抗FGFR3(H100)又はウサギ免疫前血清と共にインキュベートした。細胞を洗浄し、次いでFITC結合ヤギ抗ウサギIgG及びマウス抗CD138−PEで染色して、MM細胞を特定した。次いでサンプルを、フローサイトメトリーにより分析した。
【0142】
全てのt(4;14)陽性サンプルを、FGFR3突然変異の存在に関してさらに分析した。4対のプライマーを、突然変異を活性化させるための既知のホットスポットである、細胞外(EC)ドメイン、膜貫通(TM)ドメイン、チロシンキナーゼ(TK)ドメインのコドン、及び終止コドン(SC)を含有するFGFR3の領域が増幅されるように設計した。最初のPCR反応は、CD138精製骨髄腫細胞から抽出されたゲノムDNAで実施され、単位複製配列をDHPLC分析のために使用した。結果は、PDR産物の配列分析によって確認された。
【0143】
細胞死分析では、骨髄吸引液から新たに単離された単核細胞を、フィコール−ハイパック比重沈降によって分離し、20%FCS、1%グルタミン、ペニシリン−ストレプトマイシン、及び30ng/ml aFGF、及び10μg/mlヘパリンが補われたIMDM中、5×105細胞/mlの細胞密度で播いた。細胞を、対照又は5μg/ml PRO−001の存在下で、最長12日間培養した。培地、aFGF/ヘパリン、及び薬物を、3日ごとに補充した。3、7、及び12日後、細胞を、抗CD38−PE、抗CD45−サイクローム(PharMinogen)、及びFITC結合アネキシンVで3回染色し、又は抗CD138−PE及びFITC結合アネキシンVで標識した。対照は、非染色細胞、アイソタイプ対照染色細胞、及び1回染色細胞を含んでいた。悪性腫瘍形質細胞は、CD138又は高レベルのCD38を発現し、CD45(CD38++/CD45−)を全く発現しないか若しくは低レベルで発現する細胞と定義した。サンプルを、Cellquestソフトウェアを使用したFACScanによって分析した。骨髄吸引液は、IRB承認プロトコル下での同意により得られた。
【0144】
(異種移植マウスモデル)
FDCP−FGFR3S249C細胞をPBSで3回洗浄し、次いで2×106細胞/200μl PBSで再懸濁した。細胞を、CD1ヌード成体メス(Harlan,Laboratories,イスラエル)に対してそのマウスの側腹部の片側又は両方に、25G針を用いて皮下注射(S.C.)した。処理は、細胞接種後1週間で開始したが、このときマウスを無作為化して、PRO−001又は等体積のPBSのみ与えた。投薬は、3週間にわたり、腹腔内(LP.)注射によって毎週2回実施した。マウスを2〜4日ごとに追跡し、発症した腫瘍について、カリパを使用して3次元で寸法を測定した。腫瘍体積は、これら3つの値を掛けることによって推定した。
【0145】
(PEG化)
PRO−001 Ser scFvを、PBS中で5倍に希釈して1mg/mlにし、10倍過剰な過ヨウ素酸塩を用いて室温で10分間酸化させた。この反応を、さらに15分間、酸化剤よりも10倍過剰なジアミノプロパノールを添加することによって終了させた。酸化した材料を、PBSに対して室温で2時間透析し、次いで50mM NaOAc(pH5.3)に対して室温でさらに透析することによって、pHを低下させた。mPEG−HZ−5K及びmPEG−HZ−20K(IDBから購入)を酢酸(pH5.3)に溶解し、それぞれ10倍及び2.5倍過剰なモル数で、酸化したPRO59scSerに添加した。水に溶解したmPEG−HZ−40K(Nektarから購入)を、酸化した単鎖に1.3当量添加した。反応生成物を、クーマシー染色SDS−PAGEによって24時間後に分析した。
【0146】
(実施例1:PRO−001の遮断活性及びFGFR3に対する選択性)
ヒト抗FGFR3 Fab PRO−001を、示差的全細胞パニング法を使用して(Rauchenberger R.他,J.Biol Chem.2003;278:38 194〜205)、Hu−CAL(登録商標)−Fab−1ヒトコンビナトリアルライブラリーから単離した。FACS分析は、PRO−001 FabがWT FGFR3に結合すること、及びB9−FGFR3WT細胞との結合を、FGFを添加することによって減少できることを明らかにし、PRO−001及びFGFは共通のエピトープを共有するという考えを裏付けている(図1A)。図1Bは、PRO−001が、FGF刺激B9−FGFR3WT細胞の増殖を阻害することを示す。この増殖阻害は、用量依存的である。ミリリットル当たり1マイクログラムの抗体(1μg/ml)は、約25%だけ増殖を阻害するが、5μg/mlの抗体は、60%よりも多く増殖を阻害する。さらに、PRO−001は、FGFR3突然変異F384Lを発現するB9細胞のFGF刺激増殖(FGFR3の非形質転換多形)並びにG394D及びY373C−FGFR3を発現する細胞のFGF刺激増殖(MM患者で特定された恒常的に活性化したFGFR3突然変異)も、用量依存的な手法で阻害し、このときIC50は、FGF結合を阻害する能力と一致した約3μg/mlである。
【0147】
PRO−001がFGFR3のキナーゼ活性を阻害することを確認するために、本発明者等は、PRO−001が、WT FGFR3をトランスフェクトしたRCJ細胞(RCJ−FGFR3)においてリガンド刺激受容体リン酸化に及ぼす影響について試験をした。抗ホスホチロシン免疫ブロットでは、PRO−001によって阻害されるが対照Fabによっては阻害されないリガンド刺激によるFGFR3の自己リン酸化が高まることが明らかにされた(図1C)。FGFR3活性化の阻害は、下流のJNKリン酸化の低減に関連していた。細胞ベースアッセイでのPRO−001の特異性及び遮断活性を確認するために、本発明者等は、FDCP−1細胞系を発現するFGFR1〜3に対するPRO−001の活性について試験をした。FDCP−1の細胞増殖は、通常、IL−3の存在に依存する。しかしIL−3は、同族RTKを発現する細胞内で、FGFリガンドにより置換することができる。DFCP−FGFR3細胞のFGF刺激増殖は、PRO−001によって強力に阻害され、このときのIC50(細胞の50%を阻害する濃度)は0.5μg/mlであった(図1D)。これとは対照的に、FGFR1又はFGFR2を発現するFDCP−1細胞の増殖は、10倍高い濃度まで影響を受けなかった。したがってPRO−001は、FGFR3の非常に特異的で強力な阻害剤である。
【0148】
(実施例2:抗FGFR3は、FGF刺激UTMC2ヒト骨髄腫細胞の生存能力を阻害する)
PRO−001を、FGFR3を発現するt(4;14)骨髄腫細胞系:WT FGFR3を発現するUTMC2細胞、及びWT FGFR3を発現するH929細胞であって、下流のN−Rasの活性化突然変異を含む細胞について試験をした。FGF及びPRO−001(5μg/ml)、対照抗体(アイソタイプ)、又は100nM PD 173074の存在下での細胞増殖を、MTTアッセイにより決定した。FGF刺激UTMC2細胞の増殖は、PRO−001によって著しく阻害された(図2)。PRO−001によるUT1VEC2のFGF刺激増殖の阻害は、PD 173074によって誘発されたものと同等であった(キナーゼドメインに結合し阻害するATP類似体)。FGFR3発現が不十分な8226細胞、及びH929細胞は、PRO−001及びPD 173074の両方に耐性があり、どちらの試薬もRasの上流で作用し且つFGFR3を選択的に標的とすることを示している。
【0149】
PRO−001は、KMSl 1(FGFR3−Y373C)及びKMS18(FGFR3−G384D)、突然変異FGFR3を発現しFGFとは無関係に増殖する細胞の生存能力を阻害できなかった。
【0150】
(実施例3:抗FGFR3は、FGF刺激UTMC2ヒト骨髄腫細胞の下流ERK1/2リン酸化を阻害する)
図3は、フローサイトメトリーにより検出したときの、本発明の抗FGFR3抗体と共にFGF刺激UTMC2細胞をインキュベーションした後の細胞外シグナル調節タンパク質キナーゼ(ERK)1/2リン酸化の阻害を示す。リン酸化ERKのレベルは、本発明の抗FGFR3抗体と共にインキュベーションした後の非刺激細胞の場合に戻っている。
【0151】
(実施例4:IL−6及びIGF−Iは、抗FGFR3に対する耐性を与えない)
図4は、FGF9(30ng/ml)、IL6(50ng/ml)、又はIGF−I(50ng/ml)で刺激を与え、抗FGFR3抗体で処理した細胞の、生存度を示す。IL6及びIGF−Iは骨髄腫細胞を刺激し、そのため抗FGFR3抗体による処理に対して感受性を有したままである。これらの結果は、薬物耐性を与えることが分かっているパラクリン因子が、FGFR阻害の潜在的な抗腫瘍作用を克服できないことを実証している。細胞は、FGFR阻害剤、対照としてPD173074で処理した。
【0152】
(実施例5:抗FGFR3は、骨髄間質細胞と共に同時培養したUTMC2細胞のアポトーシスを誘発する)
抗FGFR3は、骨髄間質細胞、BMSCと同時培養したときに、UTMC2細胞のアポトーシスを高レベルで誘発し、したがって骨髄腫細胞の環境を模倣する(図5)。抗体は、BMSCに対する直接的な毒性がない。これらのデータは、FGFR3小分子キナーゼ阻害剤を使用した先の研究と一致している。
【0153】
(実施例6:抗FGFR3は、原発性骨髄腫細胞を発現するFGFR3のアポトーシスを誘発する)
次の実験は、PRO−001が原発性ヒトMM細胞に及ぼす影響を試験するために設計された。骨髄サンプルを、10名の患者から得たが、そのうち5つは、FISHによってt(4;14)陽性であることが既に明らかにされている。フローサイトメトリーによるFGFR3発現の測定及びFGFR3遺伝子型を含めたサンプルの特徴を、表Iにまとめる。試験をしたt(4;14)陽性サンプルの中で、CD138骨髄腫細胞は、FFR3の表面発現を示し、FGFR3の突然変異は確認されなかった。図6Aは、FGFR3を発現する細胞が、抗FGFR3抗体によって明らかにされ(黒色の線)、アイソタイプ対照によっては明らかにされなかった(灰色の線)ことを示す。図6Bは、FGFに曝された細胞(薄い灰色)と比較した場合、PRO−001が、骨髄腫細胞でのFGF誘導ERKリン酸化を阻止したことを示す(濃い灰色)。非刺激細胞を、比較のため示す(濃い領域)。
【0154】
最後に、新たな骨髄サンプルから単離された単核細胞画分を、5μg/ml PRO−001又はアイソタイプ対照と共にインキュベートし、CD38++/CD45−細胞のアネキシンV染色及び表面CD138発現の減少によって、アポトーシスを決定した。全てのFGFR3発現骨髄腫サンプルは、対照抗体と比較した場合、PRO−001に対して強力なアポトーシス応答を示した(図7は、代表的な実験を示す)。さらに細胞傷害効果は、t(4;14)陰性サンプルがPRO−001に対する応答で高いアポトーシスを示さなかった点で、選択的であった。
【0155】
【表4】
キーポイント:CD138原発性MM細胞でのFGFR3発現は、フローサイトメトリーによって分析し、蛍光は、下記の通りに示した:+、弱い;−H− 中間;+++ 強い;− 無し。CD138選択細胞を、FGFR3突然変異に関してスクリーニングした。WTは野生型状態を示し、N/Dは、決定されなかったことを示す。
【0156】
(実施例7:SCIDマウス腫瘍モデル)
生体内での抗FGFR3の潜在的な抗腫瘍作用を評価するために、本発明者等は、構成性突然変異体FGFR3S249Cを発現するFDCP細胞(FDCP−FGFRS82490)を注射したヌードマウスを含む動物モデルを使用した。FDCP−FGFR3S249Cは、IL−3及びFGFが存在しない状態で増殖し、ヌードマウスに注射すると素早く(2〜3週間以内で)腫瘍を形成する。PRO−001は、生体外で、FDCP−FGFR3S249CのFGF非依存型増殖を効率的に阻止した(図8A)。
【0157】
ヌードマウスの2箇所の部位、即ち側腹部のそれぞれに1回ずつ、2×106 FDCP−FGFR3S249C細胞をそれぞれ皮下注射した。細胞注射から1週間後、マウスをPRO−001 Fabで処置した。処置の最初の1週間の間に、FGFRを飽和させるため、マウスには1匹当たり約1mgという比較的高い用量を与えた。この後、続けて行われるFab送達の12日間の間に、わずかに減少させた用量を与えた(表II)。本発明者等は、毎日注射した場合(図示せず)と比較して、このスケジュールの効力に著しい差が無いことを見出したので、平均して3日ごとにマウスを処置した。細胞注射から4週間後、PRO−001は、腫瘍増殖を、平均して対照マウスの場合の10%まで劇的に低下させた(図8B)。高い毒性又は著しい体重減少は、処理期間全体を通して観察されなかった。
【表5】
【0158】
本発明は、ある動物疾患モデルによって例示される。これらのモデルは、本発明の原理の例示的な目的で使用される非限定的な例とされる。
【0159】
(実施例8:PRO−001 scFvのPEG化)
PEG部分を、本発明の単鎖抗体(PRO−001 scFv)のアミノ末端に、セリン残基を通じて付加した。PEG化させるため、2位にアミノ酸であるセリンを有するscFv(配列番号37)を生成した。N末端にセリンを有するPRO−001 scFvは、PCRによって生成し、前述のように(WO 02/102972)配列決定によって確認した。簡単に言うと、封入体を、PBS、PBS+0.1%トリトン、及び3M尿素中で洗浄した。洗浄したペレットをPBS+5M尿素に溶解し、GSH/GSSG(それぞれ0.5mM)酸化還元電位を加え、次いで尿素ステップ勾配に対して徐々に透析した。再び折り畳まれたPRO−001ser scFvとFGFR3との結合活性を、ELISAによって比較し、親単鎖に類似した活性が示された(図9)。
【0160】
PEG化は、方法のセクションで述べたように実施した。クーマシー染色SDS−PAGEによる反応生成物の分析では、単鎖の約50%が、mPEG−HZ−5K、mPEG−HZ−20K、又はmPEG−HZ−40Kのいずれかとコンジュゲートすることが明らかにされた(図10)。次に本発明者等は、FGFR3ex/Fc−タンパク質Aセファロース上で反応ミックスをインキュベートすることによって、PEG化単鎖の活性について試験をした。非結合画分を収集し、FGFR3ex/Fc−タンパク質Aセファロースと共にさらに2サイクル実施した。各サイクルの結合材料と、最後の1サイクルの非結合画分とをクーマシー染色によって分析したが、非修飾の並びにPEG化された単鎖の両方は、どちらのタイプも結合した画分のみに存在して非結合画分には存在しないので、FGFR3に結合したことが実証された。相互分布が、FGFR1 ex/Fc−タンパク質Aセファロースと共に分画した後に得られ、PEG化したPRO−001Ser scFvによる特異的認識が実証された。PEG化PRO−001Ser scFvの相対的活性を決定するために、PEG化反応生成物をQセファロース陰イオン交換器に添加し、大量のPEG化単鎖を含有する画分が得られた。PEG化PRO−001を、高レベルでFDCP−FGFR3又はFDCP−FGFR1細胞に添加し、細胞増殖を測定した。mPEG−HZ−5KによりPEG化されたPRO−001は、十分なFGFR3中和活性を保持していた(図11)。mPEG−HZ−20Kへのコンジュゲートは、抗体活性を5分の1に低下させ、mPEG−HZ−40Kへのコンジュゲートは約40分の1に低下させた。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1A】PRO 001で蛍光標識され、その後、PE共役抗ヒト2次抗体で標識された、B9−FGFR WT(野生型)細胞を示すフローサイトメトリーチャートである。塗りつぶされたヒストグラムは、親B9細胞(FGFR3発現が不十分)を示し;薄い破線は、FGFを含まないB9−FGFR WTを示し;濃い実線は、FGFの存在下でのB9−WTを示す。Y軸は、細胞の量を示す計数値を表す。X軸は、蛍光強度を表す。
【図1B】種々の濃度のPRO−001で処理したB9−FGFR WT細胞の生存度を示すグラフである。塗りつぶした棒は対照(PRO−001を含まない)を表す。点が付された棒は、PRO−001で処理した細胞を表す。
【図1C】RCJ−FGFR3細胞溶解産物の免疫染色を示すウェスタンブロットの写真である。RCJ細胞を、Fabと共にプレインキュベーションを行って、又はそのようなプレインキュベーション無しで、FGF(+)で刺激した。レーン1−FGF刺激無し、及びFabとのプレインキュベーション無し。レーン2−FGF刺激有り、Fabとのプレインキュベーション無し。レーン3−FGF刺激有り、対照(C)抗体とのプレインキュベーション有り。レーン4−FGF刺激有り、及び抗FGFR3(001)Fabとのプレインキュベーション有り。中間パネル(ホスホ−JNK)は、抗ホスホ−JNK抗体でプローブされた全細胞溶解産物を示す。上部パネル(ホスホ−FGFR3)は、抗FGFR3抗体による免疫沈降(IP)がなされ、次いで抗ホスホチロシン(4G10)を用いたウェスタンブロットにより分析された、細胞溶解産物を示す。下部パネル(FGFR3)は、抗FGFR3抗体による免疫沈降(IP)がなされ、次いで抗FGFR3を用いたウェスタンブロットにより分析された、細胞溶解産物を示す。
【図1D】XTT分析により決定したときの、高濃度のPRO−001の存在下での、FGFR発現FDCP細胞の増殖を示すグラフである。データは、2連で行った培養の結果の平均である。X軸は、PRO−001 Fabの濃度を表す。Y軸は、%阻害を表す。
【図2】PRO−001の存在下での、ヒト骨髄腫細胞系の生存度を示すグラフである。生存度は、FGF±阻害剤の存在下での光学密度(OD)と、FGFが存在しない状態でのODとの比として報告される。
【図3】UTMC2細胞におけるERK(細胞外シグナル調節タンパク質キナーゼ)のリン酸化を示す、フローサイトメトリーチャートである。塗つぶされたヒストグラムは、FGF刺激の無いUTMC2を表し(非刺激);薄い線は、FGFで刺激され、対照抗体で処理された細胞を表し(FGF/ビヒクル);濃い線は、FGFで刺激され、PRO−001で処理された細胞を表す(FGF/PRO−001)。
【図4】FGF、IL6、又はIGF−Iで処理されたUTMC2細胞の生存度を示すグラフである。濃い棒は、対照抗体で処理された、刺激を受けた細胞を表し;点が付された棒は、5μg/mlのPRO−001で処理された、刺激を受けた細胞を表し;四角で埋め尽くされた棒は、100nMのPD173074で処理された、刺激を受けた細胞を表す。
【図5】BMSCの存在下、PRO−001での処理に応答したUTMC2細胞のアポトーシスを示すグラフである(間質)。BMSC単独(間質)、又はUTM2細胞と一緒のBMSC(間質/UTMS2)を、対照抗体又は5μg/mlのPRO−001と共に72時間培養し、アネキシンV結合及びヨウ化プロピジウム排除のフローサイトメトリーアッセイによって、アポトーシスを評価した。値は、4回の培養の平均±SDを表す。
【図6A】抗FGFR抗体PRO−001で処理された、ヒト原発性骨髄腫細胞のフローサイトメトリーチャートである。新たに単離したBMSCを、PRO−001(黒色の線)又は対照抗体(灰色の線)で染色し、次いでPE共役抗ヒト2次抗体で染色した。
【図6B】抗FGFR抗体PRO−001で処理された、ヒト原発性骨髄腫細胞のフローサイトメトリーチャートである。原発性骨髄腫細胞を、2時間、FGFが存在しない状態で(塗りつぶされている)又はFGFの存在下で(薄い線)インキュベートし、又は5μg/mlのPRO−001と共に(濃い線)プレインキュベートし、次いでFGFで刺激を与えた。EKR1/2リン酸化を、フローサイトメトリー分析によって評価した。
【図7】アネキシンVで染色されたCD138陽性原発性MM細胞を示すフローサイトメトリーチャートである。原発性骨髄腫細胞を、対照Fab(下部パネル)又は5μg/mlのPRO−001(上部パネル)の存在下で培養した。細胞を7日後に収集し、アネキシンV−FITCで染色し、フローサイトメトリーにより分析した。骨髄腫細胞は、CD138++であることが確認された。CD138++細胞の全パーセンテージを、左上の象限に示す。示されているのは、代表的な実験である。
【図8A】FDCP−FGFR3S249Cの生存度を示すグラフである。細胞を、多量のPRO−001又は対照抗体(C)の存在下で2日間培養した。細胞増殖を、XTT分析によって決定した。データは、2回の培養の平均である。
【図8B】PRO−001がFGFR3促進型異種移植腫瘍モデルに及ぼす影響を示すグラフである。ヌードマウス(各グループに3匹)に対し、その2カ所に、即ち各側腹部に1回ずつ(α−右側腹部、b−左側腹部)、それぞれ2×106FDCP−FGFR3S249C細胞をS.C.注射した。1週間後、マウスを無作為化して、表Iに記載されたスケジュールに従ってLP注射によりPRO−001を与え、又は対照としてPBSを与えた。腫瘍体積を、細胞注射後22又は29日で3つの寸法の測定値から推定した。
【図9】PRO−001Ser scFvのFGFR3結合活性を示すグラフである。MaxiSorpプレートを、指示量の単鎖で被覆した。可溶性FGFR3/Fcを添加し、結合した受容体をHRP抗Fcで測定した。
【図10】mPEG−HZ5K、mPEG−HZ20K、及びmPEG−HZ40K共役PRO−001Serの特異的FGFR3結合を示す、クーマシー染色したSDS−PAGEの写真である。PEG化反応ミックス(P)を、FGFR3/Fc又はFGFR1/Fcタンパク質Aセファロースビーズと共にインキュベートした。非結合材料を収集し、さらに2回続けて新たなビーズと共にインキュベートした。最後の結合サイクルから得た、結合した画分(B1、B2、及びB3)並びに非結合材料(U2)を、クーマシー染色したSDS−PAGEによって分析した。U−非修飾単鎖。
【図11】PRO−001−PEG接合体のFGFR3中和活性を示すグラフである。mPEG−HZ−5K、mPEG−HZ−20K、又はmPEG−HZ−40KによりPEG化されたPRO−001 Serを、FDCP−FGFR3細胞又はFDCP−FGFR1細胞を対照として使用したXTTによって分析した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FGFR3に対して特異性及び親和性を有する単離された抗体の抗原結合部分を含み、骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発する治療上有効な量の分子と、医薬品として許容される担体とを含んだ医薬組成物を、その必要のある対象に投与するステップを含む、B細胞悪性腫瘍を予防し、緩和し、又は治療する方法。
【請求項2】
前記B細胞悪性腫瘍が多発性骨髄腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記骨髄腫細胞が野生型FGFR3を発現している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、FGFR3の細胞外ドメインに対して特異性及び親和性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単一ドメイン抗体、組換え抗体、及びこれらの断片から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、モノクローナル抗体又はそのタンパク質分解断片である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記モノクローナル抗体又はそのタンパク質分解断片がFab断片である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が組換え抗体である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が、組換えFab抗体断片である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が、組換え単鎖抗体である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号1〜9のいずれかに示されるポリペプチドからなる群から選択されるVH−CDR3領域と、配列番号10〜18のいずれかに示されるポリペプチドからなる群から選択されるVL−CDR3領域とを含む、請求項6又は8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号1で示されるVH−CDR3領域と、配列番号10で示されるVL−CDR3領域とを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号19〜27のいずれかに示されるポリペプチドの群から選択されるVH領域と、配列番号28〜36のいずれかに示されるポリペプチドの群から選択されるVL領域とを含む、請求項6又は8に記載の方法。
【請求項14】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号19で示されるVH領域と、配列番号28で示されるVL領域とを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子がPEG化されている、請求項11から14までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号37で示される単鎖Fvである、請求項5に記載の方法。
【請求項17】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子がPEG化されている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号39〜47のいずれかに示されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVH−CDR3領域と、配列番号48〜56のいずれかに示されるポリペプチドからなる群から選択されるVL−CDR3領域とを含む、請求項6又は8に記載の方法。
【請求項19】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号39で示されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVH−CDR3領域と、配列番号48で示されるVL−CDR3領域とを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号57〜65のいずれかに示されるポリヌクレオチドの群から選択されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVH領域と、配列番号66〜74のいずれかに示されるポリヌクレオチドの群から選択されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVL領域とを含む、請求項6又は8に記載の方法。
【請求項21】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号57で示されるポリヌクレオチドによってコード化されたVH領域と、配列番号66で示されるポリヌクレオチドによってコード化されたVL領域とを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号37で示される配列を有する単鎖Fvである、請求項5に記載の方法。
【請求項23】
前記抗体の抗原結合部分を含む記分子が、配列番号37で示される配列を有するポリヌクレオチドによってコード化された単鎖Fvである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
FGFR3に対して特異性及び親和性を有する単離された抗体の抗原結合部分を含み、FGFR3を発現する悪性B細胞のアポトーシスを誘発する、治療上有効な量の分子の、B細胞悪性腫瘍を治療する医薬を調製するための使用。
【請求項25】
前記B細胞悪性腫瘍が多発性骨髄腫である、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
FGFR3に対して特異性及び親和性を有する単離された抗体の抗原結合部分を含み、骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発する、治療上有効な量の活性成分としての分子と、医薬品として許容される担体とを含む、B細胞悪性腫瘍を予防し、緩和し、又は治療するための医薬組成物。
【請求項27】
前記B細胞悪性腫瘍が多発性骨髄腫である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、FGFR3の細胞外ドメインに対して特異性及び親和性を有する分子である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単一ドメイン抗体、組換え抗体、及びこれらの断片から選択される、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、モノクローナル抗体又はそのタンパク質分解断片である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記モノクローナル抗体又はそのタンパク質分解断片がFab断片である、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が組換え抗体である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が組換えFab抗体断片である、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が組換え単鎖抗体である、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号1〜9のいずれかに示されるポリペプチドからなる群から選択されるVH−CDR3領域と、配列番号10〜18のいずれかに示されるポリペプチドからなる群から選択されるVL−CDR3領域とを含む、請求項30又は32に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号1で示されるVH−CDR3領域と、配列番号10で示されるVL−CDR3領域とを含む、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号19〜27のいずれかに示されるポリペプチドの群から選択されるVH領域と、配列番号28〜36のいずれかに示されるポリペプチドの群から選択されるVL領域とを含む、請求項30又は32に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号19で示されるVH領域と、配列番号28で示されるVL領域とを含む、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子がPEG化されている、請求項35から38までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号37で示される単鎖Fvである、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子がPEG化されている、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号39〜47のいずれかに示されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVH−CDR3領域と、配列番号48〜56のいずれかに示されるポリペプチドからなる群から選択されるVL−CDR3領域とを含む、請求項30又は32に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号39で示されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVH−CDR3領域と、配列番号48で示されるVL−CDR3領域とを含む、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号57〜65のいずれかに示されるポリヌクレオチドの群から選択されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVH領域と、配列番号66〜74のいずれかに示されるポリヌクレオチドの群から選択されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVL領域とを含む、請求項30又は32に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号57で示されるポリヌクレオチドによってコード化されたVH領域と、配列番号66で示されるポリヌクレオチドによってコード化されたVL領域とを含む、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号38で示される配列を有するポリヌクレオチドによってコード化された単鎖Fvである、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項47】
抗体又は化学療法薬である少なくとも1種のその他の活性成分と組み合わせた使用に用いられる、請求項29から41までのいずれか一項に記載の抗体を活性成分として含む、B細胞悪性腫瘍を予防し、緩和し、又は治療するための医薬組成物。
【請求項1】
FGFR3に対して特異性及び親和性を有する単離された抗体の抗原結合部分を含み、骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発する治療上有効な量の分子と、医薬品として許容される担体とを含んだ医薬組成物を、その必要のある対象に投与するステップを含む、B細胞悪性腫瘍を予防し、緩和し、又は治療する方法。
【請求項2】
前記B細胞悪性腫瘍が多発性骨髄腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記骨髄腫細胞が野生型FGFR3を発現している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、FGFR3の細胞外ドメインに対して特異性及び親和性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単一ドメイン抗体、組換え抗体、及びこれらの断片から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、モノクローナル抗体又はそのタンパク質分解断片である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記モノクローナル抗体又はそのタンパク質分解断片がFab断片である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が組換え抗体である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が、組換えFab抗体断片である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が、組換え単鎖抗体である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号1〜9のいずれかに示されるポリペプチドからなる群から選択されるVH−CDR3領域と、配列番号10〜18のいずれかに示されるポリペプチドからなる群から選択されるVL−CDR3領域とを含む、請求項6又は8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号1で示されるVH−CDR3領域と、配列番号10で示されるVL−CDR3領域とを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号19〜27のいずれかに示されるポリペプチドの群から選択されるVH領域と、配列番号28〜36のいずれかに示されるポリペプチドの群から選択されるVL領域とを含む、請求項6又は8に記載の方法。
【請求項14】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号19で示されるVH領域と、配列番号28で示されるVL領域とを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子がPEG化されている、請求項11から14までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号37で示される単鎖Fvである、請求項5に記載の方法。
【請求項17】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子がPEG化されている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号39〜47のいずれかに示されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVH−CDR3領域と、配列番号48〜56のいずれかに示されるポリペプチドからなる群から選択されるVL−CDR3領域とを含む、請求項6又は8に記載の方法。
【請求項19】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号39で示されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVH−CDR3領域と、配列番号48で示されるVL−CDR3領域とを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号57〜65のいずれかに示されるポリヌクレオチドの群から選択されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVH領域と、配列番号66〜74のいずれかに示されるポリヌクレオチドの群から選択されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVL領域とを含む、請求項6又は8に記載の方法。
【請求項21】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号57で示されるポリヌクレオチドによってコード化されたVH領域と、配列番号66で示されるポリヌクレオチドによってコード化されたVL領域とを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号37で示される配列を有する単鎖Fvである、請求項5に記載の方法。
【請求項23】
前記抗体の抗原結合部分を含む記分子が、配列番号37で示される配列を有するポリヌクレオチドによってコード化された単鎖Fvである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
FGFR3に対して特異性及び親和性を有する単離された抗体の抗原結合部分を含み、FGFR3を発現する悪性B細胞のアポトーシスを誘発する、治療上有効な量の分子の、B細胞悪性腫瘍を治療する医薬を調製するための使用。
【請求項25】
前記B細胞悪性腫瘍が多発性骨髄腫である、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
FGFR3に対して特異性及び親和性を有する単離された抗体の抗原結合部分を含み、骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発する、治療上有効な量の活性成分としての分子と、医薬品として許容される担体とを含む、B細胞悪性腫瘍を予防し、緩和し、又は治療するための医薬組成物。
【請求項27】
前記B細胞悪性腫瘍が多発性骨髄腫である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、FGFR3の細胞外ドメインに対して特異性及び親和性を有する分子である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単一ドメイン抗体、組換え抗体、及びこれらの断片から選択される、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、モノクローナル抗体又はそのタンパク質分解断片である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記モノクローナル抗体又はそのタンパク質分解断片がFab断片である、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が組換え抗体である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が組換えFab抗体断片である、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記単離された抗体の抗原結合部分を含む分子が組換え単鎖抗体である、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号1〜9のいずれかに示されるポリペプチドからなる群から選択されるVH−CDR3領域と、配列番号10〜18のいずれかに示されるポリペプチドからなる群から選択されるVL−CDR3領域とを含む、請求項30又は32に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号1で示されるVH−CDR3領域と、配列番号10で示されるVL−CDR3領域とを含む、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号19〜27のいずれかに示されるポリペプチドの群から選択されるVH領域と、配列番号28〜36のいずれかに示されるポリペプチドの群から選択されるVL領域とを含む、請求項30又は32に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号19で示されるVH領域と、配列番号28で示されるVL領域とを含む、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子がPEG化されている、請求項35から38までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号37で示される単鎖Fvである、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子がPEG化されている、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号39〜47のいずれかに示されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVH−CDR3領域と、配列番号48〜56のいずれかに示されるポリペプチドからなる群から選択されるVL−CDR3領域とを含む、請求項30又は32に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号39で示されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVH−CDR3領域と、配列番号48で示されるVL−CDR3領域とを含む、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号57〜65のいずれかに示されるポリヌクレオチドの群から選択されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVH領域と、配列番号66〜74のいずれかに示されるポリヌクレオチドの群から選択されるポリヌクレオチド配列によってコード化されたVL領域とを含む、請求項30又は32に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記FGFR3に対して特異的親和性を有する抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号57で示されるポリヌクレオチドによってコード化されたVH領域と、配列番号66で示されるポリヌクレオチドによってコード化されたVL領域とを含む、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記抗体の抗原結合部分を含む分子が、配列番号38で示される配列を有するポリヌクレオチドによってコード化された単鎖Fvである、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項47】
抗体又は化学療法薬である少なくとも1種のその他の活性成分と組み合わせた使用に用いられる、請求項29から41までのいずれか一項に記載の抗体を活性成分として含む、B細胞悪性腫瘍を予防し、緩和し、又は治療するための医薬組成物。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−519028(P2008−519028A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539710(P2007−539710)
【出願日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【国際出願番号】PCT/IL2005/001154
【国際公開番号】WO2006/048877
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(507147390)フィブロン リミテッド (1)
【出願人】(507148294)ユニバーシティー ヘルス ネットワーク (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【国際出願番号】PCT/IL2005/001154
【国際公開番号】WO2006/048877
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(507147390)フィブロン リミテッド (1)
【出願人】(507148294)ユニバーシティー ヘルス ネットワーク (3)
【Fターム(参考)】
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