説明

Bacilluscoagulans芽胞を用いてコレステロールを低減させるための方法、系、および組成物

【課題】 本発明は、治療用組成物における共生生物の利用に関する。
【解決手段】 本発明は、乳酸産生細菌(例えば、単離されたBacillus coagulans)を、ビフィドジェニックオリゴ糖または他のコレステロール低減剤と組み合わせて含む、LDLコレステロールおよび血清トリグリセリドを低減する際に用いるための治療用組成物を記載する。この組成物を用いる治療方法、およびこの治療用組成物を備えるシステムもまた記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、治療用組成物における共生生物の利用に関し、具体的には、血清コレステロールの制御および低減のための、乳酸産生細菌、好ましくはBacillus coagulans芽胞の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
共生生物(probiotic agent)は、特定の環境において生育させた場合に、同じ環境において、しばしば他の生物学的生物の生育を阻害することによる利点を有する生物である。共生生物の例には、腸において少なくとも一時的に生育し得、病原体を置換するかまたは破壊し、そして宿主生物に他の利点を提供する、細菌およびバクテリオファージが挙げられる(非特許文献1)。
【0003】
腸にコロニー形成する共生細菌、とりわけLactobacillus株の治療的使用は、以前に開示されている(Winbergら、Pediatr.Nephrol.7:509−514、1993;Malinら、Ann.Nutr.Metab.40:137−145、1996;および米国特許第5,176,911号)。
【0004】
乳酸産生細菌(例えば、Bacullus種、Lactobacillus種およびStreptococcus種)は、食品添加物として使用されてきた。そして、これらが栄養的および治療的価値を提供するといういくつかの主張が存在している(Gorbach、Ann.Med.22:37−41、1990;Reidら、Clin.Microbiol.Rev.、3:335−344、1990)。
【0005】
Bacillus coagulansは、ホモ発酵条件においてL(+)乳酸(右旋性)を産生する、芽胞を形成する非病原性のグラム陽性細菌である。この細菌は、天然の供給源、例えば、栄養培地に接種した、熱処理した土壌サンプルから単離された(Bergey’s Manual of Systemic Bacteriology、第2巻、Sneath,P.H.A.ら編、Williams&Wilkins、Baltimore、MD、1986)。精製したB.coagulans株は、エンドヌクレアーゼ(例えば、米国特許第5,200,336号)、アミラーゼ(米国特許第4,980,180号)、ラクターゼ(米国特許第4,323,651号)、およびシクロ−マルト−デキストリン グルカノ−トランスフェラーゼ(米国特許第5,102,800号)を含む酵素の供給源として役立ってきた。B.coagulansは、乳酸を産生するために使用されてきた(米国特許第5,079,164号)。B.coagulansの1つの株(L.sporogenes Sakaguti&Nakayamaと呼ばれる(ATCC 31284))は、他の乳酸産生細菌およびB.nattoと組み合わせて、蒸したダイズから発酵食品製品を産生した(米国特許第4,110,477号)。B.coagulans株はまた、疾患を低減させるためおよび食料利用を改善するために、従って動物の成育率を増加させるために、家禽および家畜のための動物飼料添加物として使用されてきた(国際PCT特許出願番号 WO 9314187およびWO 9411492)。
【0006】
特に、B.coagulans株は、特定の処方において血清コレステロールを低減させるために使用されてきた(Mohanら、Indian J.Medical.Research、92:431−432、1990)が、このアプローチはトリグリセリドを十分には低減させず、そして「善玉」コレステロール(例えば、高密度リポタンパク質(HDL))の過度の低減を生じた。
【0007】
フルクトオリゴ糖(FOS)を用いる食餌の補充は、血清トリグリセリドの低減を含む、健康上の利点を提供することが報告されてきた。Mitsuokaら、Nutrition Research、4:961−966、1984。
【0008】
しかし、コレステロール関連疾患を処置するために、コレステロールの制御の必要性が残ったままである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】(Salminenら、Antonie Van Leeuwenhoek、70(2−4):347−358、1996;Elmerら、JAMA、275:870−876、1996;Rafter、Scand.J.Gastroenterol.、30:497−502、1995;Perdigonら、J.Dairy Sci.、78:1597−1606、1995;Gandi、Townsend.Lett.Doctors&Patients、108−110頁、1994年1月;Lidbeckら、Eur.J.Cancer Prev.1:341−353、1992)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
非病原性乳酸産生細菌(例えば、Bacillus coagulans)を含む治療用組成物中の活性薬剤、ならびに、有効量のコレステロール低減剤およびビフィドジェニック(bifidogenic)オリゴ糖からなる群より選択される治療用薬剤の組み合わせの使用によって、血清コレステロールが制御され得、そして低減され得る一方、HDLを維持または増加させることが、本発明において発見された。
【0011】
本発明の好ましい実施態様において、ヒトの消化管に対する投与に適切である薬学的に受容可能なキャリア中のフルクトオリゴ糖(FOS)の有効量と組み合わせた、単離されたBacillus coagulans株を含む組成物が提供される。この組成物の1つの実施態様において、Bacillus coagulans株は、芽胞の形態の組成物に含まれる。別の実施態様において、Bacillus coagulans株は、乾燥した細胞塊の形態の組成物に含まれる。
【0012】
本発明はまた、患者において、血清コレステロールを低減させ、そして血清HDLを増加させるための方法を記載する。この方法は、生存可能な乳酸産生細菌、ならびに、コレステロール低減剤およびビフィドジェニックオリゴ糖の有効量からなる群より選択される治療用薬剤を含む、有効量の組成物を投与する工程を含む。この組成物は、必要に応じて、コール酸錯化剤(例えば、金属塩など)を含み得る。
【0013】
本発明はまた、血清コレステロールを低減させるための治療システムを記載し、このシステムは、(本明細書中で記載されるような)ラベルおよび組成物を含む容器を含み、ここでこのラベルは、血清コレステロールの低減のための組成物の使用についての使用説明書を含む。
例えば、本発明は以下を提供する。
(項目1)
患者における血清コレステロールを低減させ、そして血清HDLを増加させるための方法であって、該方法が、該患者の消化管に、生存可能な乳酸産生細菌、ならびに有効量のコレステロール低減剤およびビフィドジェニックオリゴ糖からなる群より選択される治療用薬剤を含む有効量の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目2) 前記乳酸産生細菌が、Bacillus属、Lactobacillus、Sporolactobacillus、およびBifidobacteriumの非病原性メンバーからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
(項目3) 前記乳酸産生Bacillusが、Bacillus coagulans、Bacillus coagulans Hammer、Bacillus brevis亜種coagulans、およびBacillus
laevolacticusからなる群より選択される、項目2に記載の方法。
(項目4) 前記乳酸産生細菌が、Bacillus coagulans亜種Hammerである、項目1に記載の方法。
(項目5) 前記乳酸産生Lactobacillusが、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus DDS−1、Lactobacillus GG、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus salivarius、およびLactobacillus sporogenes(B.coagulansとしても知られる)からなる群より選択される、項目2に記載の方法。
(項目6) 前記乳酸産生Sporolactobacillusが、Sporolactobacillus P44である、項目2に記載の方法。
(項目7) 前記乳酸産生Bifidobacteriumが、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium animalis、Bifidobactrium bifidum、Bifidobacterium bifidus、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium infantus、およびBifidobacterium longumからなる群より選択される、項目2に記載の方法。
(項目8) 前記組成物が、組成物1グラムあたり、105〜1010の生存可能な細菌を含む、項目1に記載の方法。
(項目9) 前記投与する工程が、前記組成物の経口摂取を含む、項目1に記載の方法。
(項目10) 前記投与する工程が、前記消化管に、1日あたり0.1グラム〜5グラムの前記組成物を導入する工程を含む、項目1に記載の方法。
(項目11) 前記投与する工程が、前記消化管に、1日あたり108〜1010の生存可能な細菌を導入する工程を含む、項目1に記載の方法。
(項目12) 前記投与する工程が、前記消化管に、1日あたり5×108〜109の生存可能な細菌を導入する工程を含む、項目11に記載の方法。
(項目13) 前記ビフィドジェニックオリゴ糖が、フルクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、および三糖であるラフィノースからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目14) フルクトオリゴ糖が、約4〜100の糖単位のポリマー鎖長を有する、フルクトースおよびグルコースのポリマーを含む、項目13に記載の方法。
(項目15) 前記組成物が、組成物1グラムあたり、約10ミリグラム〜約1グラムのビフィドジェニックオリゴ糖を含む、項目1に記載の方法。
(項目16) 前記組成物が、組成物1グラムあたり、100〜500ミリグラムのビフィドジェニックオリゴ糖を含む、項目1に記載の方法。
(項目17) 前記投与する工程が、前記消化管に、1日あたり10ミリグラム〜20グラムのビフィドジェニックオリゴ糖を導入する工程を含む、項目1に記載の方法。
(項目18) 前記投与する工程が、前記消化管に、1日あたり150ミリグラム〜5グラムのビフィドジェニックオリゴ糖を導入する工程を含む、項目17に記載の方法。
(項目19) 前記コレステロール低減剤が、スタチン、胆汁封鎖化合物、コレステロールに結合し得る繊維製品、ナイアシン、およびアスピリンからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目20) 前記スタチンが、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、およびシンバスタチンからなる群より選択される、項目19に記載の方法。
(項目21) 前記投与する工程が、前記消化管に、1日あたり10ミリグラム〜80ミリグラムのスタチンを導入する工程を含む、項目20に記載の方法。
(項目22) 前記胆汁封鎖化合物が、コレスチポールおよびコレスチラミンからなる群より選択される、項目19に記載の方法。
(項目23) 前記投与する工程が、前記消化管に、1日あたり1グラム〜20グラムの胆汁封鎖化合物を導入する工程を含む、項目22に記載の方法。
(項目24) 前記フィブリンが、ゲムフィブロジル、フェノフィブレート、オオバコ、糠、グルコマンナンおよびキクイモ粉からなる群より選択される、項目19に記載の方法。
(項目25) 前記投与する工程が、前記消化管に、1日あたり500ミリグラム〜50グラムのフィブリンを導入する工程を含む、項目24に記載の方法。
(項目26) 前記コンポストが、コール酸錯化剤をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目27) 前記錯化剤が、カルシウム、クロム、銅、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、カリウム、ナトリウム、および亜鉛の金属塩からなる群より選択される、項目26に記載の方法。
(項目28) 前記金属塩が、クエン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、クエン酸マグネシウム、またはピコリン酸クロムの形態で提供される、項目27に記載の方法。
(項目29) 前記組成物がさらに、食品物質、矯味矯臭剤、ビタミン、または無機質を含む、項目1に記載の方法。
(項目30) 前記患者が、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化、心筋梗塞、心臓発作、糖尿病、冠動脈心疾患、狭心症、または不安定狭心症の危険性がある、項目1に記載の方法。
(項目31) 血清コレステロールの低減のための治療用組成物であって、生存可能な乳酸産生細菌、ならびに有効量のコレステロール低減剤およびビフィドジェニックオリゴ糖からなる群より選択される治療用薬剤を含有する、組成物。
(項目32) 前記乳酸産生細菌が、Bacillus属、Lactobacillus、Sporolactobacillus、およびBifidobacteriumの非病原性メンバーからなる群より選択される、項目31に記載の組成物。
(項目33) 前記乳酸産生Bacillusが、Bacillus coagulans、Bacillus coagulans Hammer、Bacillus brevis亜種coagulansおよびBacillus
laevolacticusからなる群より選択される、項目32に記載の組成物。
(項目34) 前記乳酸産生細菌が、Bacillus coagulans亜種Hammerである、項目31に記載の組成物。
(項目35) 前記乳酸産生Lactobacillusが、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus DDS−1、Lactobacillus GG、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus salivarius、およびLactobacillus sporogenes(B.coagulansとしても知られる)からなる群より選択される、項目32に記載の組成物。
(項目36) 前記乳酸産生Sporolactobacillusが、Sporolactobacillus P44である、項目32に記載の組成物。
(項目37) 前記乳酸産生Bifidobacteriumが、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium animalis、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium bifidus、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium infantus、およびBifidobacterium longumからなる群より選択される、項目32に記載の組成物。
(項目38) 前記組成物が、組成物1グラムあたり、105〜1010の生存可能な細菌を含む、項目31に記載の組成物。
(項目39) 前記ビフィドジェニックオリゴ糖が、フルクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、および三糖であるラフィノースからなる群より選択される、項目31に記載の組成物。
(項目40) フルクトオリゴ糖が、約4〜100の糖単位のポリマー鎖長を有する、フルクトースおよびグルコースのポリマーを含む、項目39に記載の組成物。
(項目41) 前記組成物が、組成物1グラムあたり、約10ミリグラム〜約1グラムのビフィドジェニックオリゴ糖を含む、項目31に記載の組成物。
(項目42) 前記組成物が、組成物1グラムあたり、100〜500ミリグラムのビフィドジェニックオリゴ糖を含む、項目31に記載の組成物。
(項目43) 前記コレステロール低減剤が、スタチン、胆汁封鎖化合物、コレステロールに結合し得る繊維製品、ナイアシン、およびアスピリンからなる群より選択される、項目31に記載の組成物。
(項目44) 前記スタチンが、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、およびシンバスタチンからなる群より選択される、項目43に記載の組成物。
(項目45) 前記組成物が、組成物1グラムあたり、1ミリグラム〜80ミリグラムのスタチンを含む、項目43に記載の組成物。
(項目46) 前記胆汁封鎖化合物が、コレスチポールおよびコレスチラミンからなる群より選択される、項目43に記載の組成物。
(項目47) 前記組成物が、組成物1グラムあたり、0.1グラム〜0.8グラムの胆汁封鎖化合物を含む、項目43に記載の組成物。
(項目48) 前記フィブリンが、ゲムフィブロジル、フェノフィブレート、オオバコ、糠、グルコマンナンおよびキクイモ粉からなる群より選択される、項目43に記載の組成物。
(項目49) 前記組成物が、組成物1グラムあたり、10ミリグラム〜0.5グラムのフィブリンを含む、項目43に記載の組成物。
(項目50) 前記コンポストが、コール酸錯化剤をさらに含む、項目31に記載の組成物。
(項目51) 前記錯化剤が、カルシウム、クロム、銅、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、カリウム、ナトリウム、および亜鉛の金属塩からなる群より選択される、項目50に記載の組成物。
(項目52) 前記金属塩が、クエン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、クエン酸マグネシウム、またはピコリン酸クロムの形態で提供される、項目51に記載の組成物。
(項目53) 前記組成物がさらに、食品物質、矯味矯臭剤、ビタミン、または無機質を含む、項目31に記載の組成物。
(項目54) 血清コレステロールを低減させるための治療システムであって、該システムは、ラベル、および生存可能な乳酸産生細菌の培養物、ならびに有効量のコレステロール低減剤およびビフィドジェニックオリゴ糖からなる群より選択される治療用薬剤を含有する組成物を含む容器を備え、ここで、該レベルは、血清コレステロールを低減させるための該組成物の使用についての使用説明書を備える、システム。
(項目55) 前記乳酸産生細菌が、Bacillus属、Lactobacillus、Sporolactobacillus、およびBifidobacteriumの非病原性メンバーからなる群より選択される、項目54に記載のシステム。
(項目56) 前記乳酸産生Bacillusが、Bacillus coagulans、Bacillus coagulans Hammer、Bacillus brevis亜種coagulans、およびBacillus laevolacticusからなる群より選択される、項目55に記載のシステム。
(項目57) 前記乳酸産生細菌が、Bacillus coagulans亜種Hammerである、項目55に記載のシステム。
(項目58) 前記乳酸産生Lactobacillusが、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus DDS−1、Lactobacillus GG、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus salivarius、およびLactobacillus sporogenes(B.coagulansとしても知られる)からなる群より選択される、項目55に記載のシステム。
(項目59) 前記乳酸産生Sporolactobacillusが、Sporolactobacillus P44である、項目55に記載のシステム。
(項目60) 前記乳酸産生Bifidobacteriumが、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium animalis、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium bifidus、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium infantus、およびBifidobacterium longumからなる群より選択される、項目55に記載のシステム。
(項目61) 前記組成物が、組成物1グラムあたり、105〜1010の生存可能な細菌を含む、項目54に記載のシステム。
(項目62) 前記ビフィドジェニックオリゴ糖が、フルクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、および三糖であるラフィノースからなる群より選択される、項目54に記載のシステム。
(項目63) フルクトオリゴ糖が、約4〜100の糖単位のポリマー鎖長を有する、フルクトースおよびグルコースのポリマーを含む、項目62に記載のシステム。
(項目64) 前記組成物が、組成物1グラムあたり、約10ミリグラム〜約1グラムのビフィドジェニックオリゴ糖を含む、項目54に記載のシステム。
(項目65) 前記組成物が、組成物1グラムあたり、100〜500ミリグラムのビフィドジェニックオリゴ糖を含む、項目54に記載のシステム。
(項目66) 前記コレステロール低減剤が、スタチン、胆汁封鎖化合物、コレステロールに結合し得る繊維製品、ナイアシン、およびアスピリンからなる群より選択される、項目54に記載のシステム。
(項目67) 前記スタチンが、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、およびシンバスタチンからなる群より選択される、項目66に記載のシステム。
(項目68) 前記組成物が、組成物1グラムあたり、1ミリグラム〜80ミリグラムのスタチンを含む、項目66に記載のシステム。
(項目69) 前記胆汁封鎖化合物が、コレスチポールおよびコレスチラミンからなる群より選択される、項目66に記載のシステム。
(項目70) 前記組成物が、組成物1グラムあたり、0.1グラム〜0.8グラムの胆汁封鎖化合物を含む、項目66に記載のシステム。
(項目71) 前記フィブリンが、ゲムフィブロジル、フェノフィブレート、オオバコ、糠、グルコマンナンおよびキクイモ粉からなる群より選択される、項目66に記載のシステム。
(項目72) 前記組成物が、組成物1グラムあたり、10ミリグラム〜0.5グラムのフィブリンを含む、項目66に記載のシステム。
(項目73) 前記コンポストが、コール酸錯化剤をさらに含む、項目54に記載のシステム。
(項目74) 前記錯化剤が、カルシウム、クロム、銅、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、カリウム、ナトリウム、および亜鉛の金属塩からなる群より選択される、項目54に記載のシステム。
(項目75) 前記金属塩が、クエン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、クエン酸マグネシウム、またはピコリン酸クロムの形態で提供される、項目74に記載のシステム。
(項目76) 前記組成物がさらに、食品物質、矯味矯臭剤、ビタミン、または無機質を含む、項目54に記載のシステム。
【0014】
前記の一般的な記載および以下の詳細な説明の両方が、例示的および説明的であるのみであって、そして特許請求された本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は、非病原性乳酸産生細菌(すなわち、「共生細菌」)(例えば、例示的にはBacillus coagulans)が、ビフィドジェニックオリゴ糖あるいは他の機能性高脂血症薬物ならびにヒトにおけるコレステロールを低減および/または制御するための補充物と組み合わせて、共生細菌として治療用組成物中で使用され得るという発見に関する。従って、本発明は種々の治療用組成物、その組成物を使用するための方法、および治療用組成物を含むシステムを記載する。
【0016】
(A.共生乳酸産生細菌)
本発明における使用のために規定されるような、本発明の方法および組成物における使用に適切な共生細菌は、乳酸を産生し、そして非病原性である。本明細書中に記載されるように同定された、多数の適切な細菌が存在するが、本発明は、細菌の目的および対象が記載される範囲で、現在公知の細菌種に限定されない。乳酸産生の特性は、本発明の共生乳酸産生細菌の有効性に対する鍵となる。なぜなら、乳酸産生は、局所的な微生物叢の環境における酸性度を増大させ、これは、多くの有害かつ所望でない細菌および真菌の増殖を補助しないからである。乳酸産生のメカニズムによって、共生は、競合しかつ有害な細菌の増殖を阻害する。
【0017】
本明細書中で使用される場合、「共生生物」とは、少なくとも一過性または内因性の微生物叢の一部を形成し、それによって、宿主生物に対して有益な予防的効果および/または治療的効果を示す微生物をいう。共生生物は、一般的に、当業者によって安全であること(すなわち、非病原性)が公知である。いかなる特定のメカニズムに束縛されることも望まないが、本発明の乳酸産生細菌の予防および/または治療効果は、部分的には、優れたコロニー形成、所望でない微生物の寄生、乳酸産生、および/または抗菌活性を有する他の細胞外産物、あるいはこれらの組み合わせに起因する、病原体の増殖の競合的阻害から生じる。本発明の乳酸産生細菌のこれらの産物および活性は、相乗的に働いて有益な共生効果を生成する。
【0018】
本発明の共生生物として有用である代表的な乳酸産生細菌(すなわち、「乳酸菌」)は、効率的な乳酸製造菌であり、本明細書中に記載されるような、特定の種が特に好ましいが、Bacillus属の非病原性のメンバー(このメンバーは、胆汁酸塩を脱抱合化(deconjugate)し、遊離のコール酸の形態において、コレステロールを遊離させるヒドロラーゼまたは他の酵素を産生する)、Lactobacillus属およびSporolactobacillus属の全てのメンバー、ならびにBifidobacteerium属の全てのメンバーを含む。
【0019】
例示的な乳酸産生非病原性Bacillus種は、Bacillus coagulans、Bacillus coagulans HammerおよびBacillus brevis亜種coagulansである。
【0020】
例示的な乳酸産生Lactobacillus種には、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus DDS−1、Lactobacillus GG、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus salivarius、およびLactobacillus sporogenes(別名 B.coagulans)が含まれる。
【0021】
例示的な乳酸産生Sporolactobacillus種には、Sporolactobacillus P44を含む、全てのSporolactobacillus種が含まれる。
【0022】
例示的な乳酸産生Bifidobacteerium種には、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium animalis、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium bifidus、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium infantus、およびBifidobacterium longumが含まれる。
【0023】
本発明に従って、特に有用ないくつかのBacillus種が存在し、これらには、乳酸製造菌であるBacillus coagulansおよびBacillus laevolacticusが含まれる。本発明の例であるが、Bacillus coagulansは、本発明において有用な共生細菌の他の酸産生種についてのモデルに過ぎない。従って、本発明は、制限的であるとはみなされず、そして共生細菌の任意の酸産生種が、本発明の組成物、治療システム、および方法において使用され得ることが意図される。
【0024】
本発明において有用な、種々の異なるBacillus種が存在し、これらには、市販の供給源および公的な供給源(例えば、American Type Culture Collection(ATCC))を通して利用可能な多くの異なる株が含まれるが、それらに限定されない。例えば、Bacillus coagulans株は、ATCC受託番号15949、8038、35670、11369、23498、51232、11014、31284、12245、10545および7050として利用可能である。Bacillus laevolacticus株は、ATCC受託番号23495、23493、23494、23549および23492として利用可能である。
【0025】
Bacillus種は、本発明のために特に適切である。特に、熱および他の条件に比較的耐性である芽胞を形成する能力を有する種は、製品処方物における貯蔵(有効期間)のために、ならびに腸の組織におけるpH、塩分などの条件下での組織の生存およびコロニー形成のためにその種を理想的にする。さらなる有用な特性には、非病原性、好気性、通性および従属栄養性であること、これらの種を安全にさせること、ならびに腸にコロニー形成し得ることが含まれる。
【0026】
Bacillus芽胞は耐熱性であり、さらに乾燥粉末として貯蔵し得るので、この芽胞は、乾燥製品の形態の治療用処方物の処方および製造のために特に有用である。
【0027】
例示的な方法および組成物は、Bacillus coagulansを共生生物として使用して、本明細書中に記載される。
【0028】
精製したBacillus coagulansは、本発明において、共生生物として特に有用である。共生生物B.coagulansは、非病原性であり、そして、米国食品医薬品局(FDA)および米国農務省(USDA)、ならびに当業者によって、一般的に安全であるとみなされている(すなわち、GRAS分類)。グラム陽性杆菌であるB.coagulansは、異常芽胞(parasporal)結晶の産生なしに、変動する芽胞嚢の膨潤を伴う、1.0μmより大きい細胞直径を有する。
【0029】
B.coagulansは、耐熱性の芽胞を形成するので、その製造において熱および圧力を必要とする薬学的組成物を製造するために特に有用である。薬学的に受容可能なキャリア中に、生存可能なB.coagulans芽胞を含む処方物は、本発明に従う組成物を製造することおよび使用することにおいて特に好ましい。
【0030】
細胞培養物、細胞ペースト、および芽胞調製物を形成するための、これらの種々のBacillus種の増殖は、一般的に、当該分野において周知である。例示的な培養および調製の方法は、Bacillus coagulansについて本明細書中に記載され、そして本発明の他の乳酸産生細菌の増殖のために、容易に使用/改変され得る。
【0031】
(1.B.coagulansの供給源)
精製したB.coagulans細菌は、American Type Culture Collection(Rockville,MD)から、以下の受託番号を用いて利用可能である:B.coagulans Hammer NRS 727(ATCC番号 11014)、B.coagulans Hammer株C(ATCC番号 11369)、B.coagulans Hammer(ATCC番号 31284)、およびB.coagulans Hammer NCA 4259(ATCC番号 15949)。精製したB.coagulans細菌はまた、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkuturen GmbH(Braunschweig、Germany)から、以下の受託番号を用いて利用可能である:B.coagulans Hammer 1915(DSM番号 2356)、B.coagulans Hammer 1915(DSM番号 2383、ATCC番号 11014に対応)、B.coagulans Hammer(DSM番号 2384、ATCC番号 11369に対応)、およびB.coagulans Hammer(DSM番号 2385、ATCC番号 15949に対応)。B.coagulans細菌はまた、Sabinsa Corporation(Piscataway,NJ)またはK.K.Fermentation,Kyoto、Japanのような商業的な供給業者から得られ得る。
【0032】
これらのB.coagulans株およびその増殖要求性は、以前に記載されている(Bakerら、Can.J.Microbiol、6:557−563、1960;Blumenstock、「Bacullus coagulans Hammer 1915 und andere thermophile
oder mesophile,sauretolerante Bacillus−Arten−eine taxonomische Untersuchung」、Doctoral thesis、Univ.Gottingen、1984;Nakamuraら、Int.J.Syst.Bacteriol.、38:63−73、1988)。B.coagulansの株はまた、周知の手順(Bergey’s Manual of Systemic Bacteriology、第2巻、1117頁、Sneath,P.H.A.ら編、Williams&Wilkins、Baltimore、MD、1986)を用いて、天然の供給源(例えば、熱処理した土壌サンプル)から単離され得る。本明細書中に記載された結果は、本明細書中に記載のように増殖させ、そして凍結乾燥したアリコート中で−80℃にて保存された、American Type
Culture Collectionから得られたB.coagulans
Hammer(ATCC番号 31284)を用いて得られた。本明細書中に記載される特性を示す全てのB.coagulansを、この株の等価物であるとみなす。
【0033】
B.coagulansは、もともと記載されたように、この細菌は、Lactobacillus sporogenesと名付けられたという事実を考慮すると、以前にはLactobacillusとして誤って特徴付けされていた(Nakamuraら、Int.J.Syst.Bacteriol.38:63−73、1988を参照のこと)。しかし、これは誤っていた。なぜなら、B.coagulansは芽胞を産生し、そして代謝を通してL(+)−乳酸を分泌し、これらの両方の面はその有用性に対する鍵となる特徴を提供するからである。その代わりに、これらの発生的および代謝的な面は、この細菌が、乳酸菌に分類されること、および再び名付けられることを必要とした。
【0034】
古典的なLactobacillus種および/またはBifidobacteerium種が、胆汁、特にヒトの胆汁の厳しいpH環境下での不安定性に起因して、腸のコロニー形成に適切ではないことはまた、一般的には認識されていない。対照的に、好ましいBacillus種は、胆汁環境において、生存および腸にコロニー形成し得る。
【0035】
(2.B.coagulansの増殖)
B.coagulansは好気性および通性であり、代表的に、pH5.7〜6.8で2(重量)%までのNaClを含む栄養ブロス中で増殖されるが、NaClもKClも増殖には必要とされない。約4〜約7.5のpHが芽胞からの増殖の開始に最適である。これは、約30℃〜約45℃で最適に増殖され、そして芽胞は低温殺菌法を耐え得る。硝酸塩および硫酸塩供給源を利用することによって、通性および従属栄養性増殖を示す。B.coagulansのさらなる代謝特徴は表1に要約される。
【0036】
【表1】

B.coagulansは、種々の倍地中で増殖され得るが、特定の増殖条件が高レベルの芽胞化を生じる培養物を生成することが、見出されている。例えば、芽胞化は、培養培地が1リットルあたり10mgの硫酸マンガンを含む場合、増強され、約80:20の芽胞対栄養細胞の比を生じる。さらに、特定の増殖条件は特に本発明に適した代謝酵素のスペクトル(すなわち、共生活性および生分解を増強するための乳酸および酵素の産生)を含む細菌芽胞を生成する。これらの特定の増殖条件によって生成される芽胞が好ましいが、任意の適合した増殖条件により生成される芽胞が、本発明に有用なB.coagulansを生成するのに適している。
【0037】
B.coagulansの増殖に適した培地には、Nutristart701、PDB(ポテトデキストロースブロス)、TSB(トリプシンダイズブロス(tryptic soy broth))およびNB(栄養ブロス)が挙げられ、これらはすべて周知であり、そして種々の供給源から入手可能である。家禽および魚組織の酵素消化物を含む、そして食品酵母を含む培地補充物が特に好ましい。好ましい補充物は、少なくとも60%タンパク質および約20%の複合炭水化物および6%の脂質を含む培地を生成する。培地は、種々の商業的供給源、特にDIFCO(Detroit,MI)、Oxoid(Newark,NJ)、BBL(Cockeyesville,MD)、Advanced Microbial Systems(Shakopee、MN)、およびTroy Biologicals(Troy,MI)から入手され得る。
【0038】
B.coagulansの調製の好ましい手順は、本実施例に記載される。
【0039】
(B.ビフィドジェニックオリゴ糖)
ビフィドジェニックオリゴ糖は、本発明の文脈において用いる場合、本発明の乳酸菌の増殖を優先的に促進するために特に有用な、クラスの1つの糖である。これらのオリゴ糖は、フルクトオリゴ糖(FOS)、グルコオリゴ糖(GOS)、フルクトースおよび/またはグルコースの他の長鎖オリゴ糖ポリマー、ならびに三糖であるラフィノースを含む。これらのすべては、病原性細菌により容易に消化されない。この優先的な増殖は、病原性細菌と比べて、乳酸菌のこのクラスの栄養要求によって促進される。ビフィドジェニックオリゴ糖は、常在性のBifidobacteriaおよびLactobacillusによりほぼ例外なく利用されるポリマーであり、そしてBacillusによって同様に利用され得る。Clostridium、Candida、Campylobacter、Klebsiella、Pseudomonas、Staphylococcus、SalmonellaおよびE.Coliのような有毒な微生物は、FOSまたは他のビフィドジェニックオリゴ糖を代謝し得ず、それゆえ本発明の乳酸菌(特に、Bacillus)と組み合わせたこれらのビフィドジェニックオリゴ糖の使用は、有益細菌および共生細菌を増殖させ、そして任意の望ましくない、すなわち病原性の微生物と置換させる。
【0040】
本発明の組成物におけるビフィドジェニックオリゴ糖の使用は相乗効果を提供し、それによって本発明の共生含有組成物の効果を増加させる。この相乗作用は、共生細菌に対する食物補充を増加させることによって(これは感染組織において多くの他の細菌種よりも多くの共生細菌の増殖を優先的に選択する)共生細菌の増殖能力を選択的に増大させることにより少なくとも、明らかである。さらに、BifidobacteriaおよびLactobacillusはまた、乳酸の産生体であることが理解される。ビフィドジェニックオリゴ糖は、本発明により処置されるべき組織に存在し得る所望されない細菌よりも多く、これらの共生細菌を優先的に増殖させ得、それにより身体の共生状態を促進する。従って、処方物におけるビフィドジェニックオリゴ糖の存在は、多様な全ての有益な共生細菌が増殖する能力を上昇させることにより、所望されない微生物のより効果的な阻害を可能にし、その結果利益を提供する。
【0041】
好ましい、そして例示的なビフィドジェニックオリゴ糖はFOSであるが、他の糖もまた、単独かまたは組み合わせのいずれかで利用され得る。
【0042】
FOSは、種々の天然の供給源(商業的供給業者を含む)から入手され得る。生成物が天然の供給源から単離された場合、その成分は広範に変化し得、そしてなお有益な薬剤、すなわち、FOSを提供する。FOSは、代表的には約4〜200の糖単位のポリマー鎖長を有し、より長い長さを有するものが好ましい。例えば、純度は、その処方物中に機能的なFOSが存在する限り、広範に変化し得る。好ましいFOS処方物は、グルコース、フルクトースまたはスクロースのような、単純な糖(単糖類または二糖類)と比較して、少なくとも50重量%のフルクトオリゴ糖、好ましくは少なくとも80%のフルクトオリゴ糖、より好ましくは少なくとも90%のフルクトオリゴ糖、そして最も好ましくは少なくとも95%のフルクトオリゴ糖を含む。糖含量および組成物は、周知である任意の種々の複合炭水化物分析検出方法によって決定され得る。
【0043】
FOSの好ましい供給源には、イヌリン、Imperial Suiker Unie(Suger Land、Texas)からのFrutafit IQ(商標)、Americal Ingredients,Inc.(Anaheim,CA)、Fabrchem,Inc.(Fairfield,CT)およびFruittrimfat Replacers and Sweeteners(Emeryville,CA)からのNutraFlora(商標)が挙げられる。ビフィドジェニックオリゴ糖(例えば、GOS)および他の長鎖オリゴ糖はまた、商業的供給業者から入手可能である。
【0044】
(C.コレステロール低減剤)
(1.スタチン)
スタチンは、コレステロール低減剤のクラスであり、コレステロールの生合成を低下させるHMG−CoAリダクターゼインヒビターとしても公知である。これらの薬剤は3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素−A−HMG−COAリダクターゼの競合的インヒビターである。一旦、身体に投与されると、スタチンは、HMG−CoAリダクターゼを阻害する活性βヒドロキシ酸形態に変化されるかまたは「加水分解」される。この酵素は、HMG−CoAのメバロン酸への転換を触媒する。この転換は、コレステロールの生合成における、重要な、初期の、かつ速度制限の工程である。一旦阻害されれば、コレステロールの形成は遅くなる。コレステロールのレベルの低下は、阻害されるHMG−CoAレダクターゼの量に直接、関連する。従って、コレステロールレベルは酵素阻害に直接関連し、そして酵素阻害は医薬の用量に直接関連する。
【0045】
コレステロールレベルと用量との間のこの関係は、肝臓および腎臓損傷を含む公知の重篤な副作用の危険性を示す。スタチンに、多くの患者は十分に耐性でない。ほとんどの患者は、70kgの成人につき1日あたり、10〜20mgをまず投与される。この用量は、患者の心臓医が投薬により生じ得る肝酵素活性のなんらかの上昇をみとめない限り、1日あたり80mgまで徐々に増加される。重篤な肝臓合併症は、スタチンを用いる合併症の3〜5%であると報告されている。他の重篤なそして致死の可能性のある副作用は同様に報告されている。さらに、多くの投薬がスタチンにより否定され、そしてこれらの否定はまた致死の可能性を有する。本発明の乳酸菌(例えば、B.coagulans)の安全でかつ有効な量の、組成物への添加は、スタチンの作用を増強する。この添加は、用いられるスタチンの用量を低下させ、そして代表的な治療レベルで経験される副作用の多くを減じる。
【0046】
スタチンは、周知でありそして種々の形態で利用される、従って、本発明は限定されるとは解釈されない。好ましいスタチンとしては、セリバスタチン(cerivastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、ロバスタチン(lovastatin)、プラバスタチン(pravestatin)、シンバスタチン(simvastatin)などが挙げられ、そして例えば、Baycor(Bayer)、Lescol(Sandoz)、Mevacor(Merck)、Pravachol(Bristol−Meyers Squibb)またはZocor(Merck)の商品名で種々の商業的供給業者から得られ得る。
【0047】
フルバスタチンは、以下化学式を有する:7−[3−(4−フルオロフェニル)−1−(1−メチルエチル)−1H−インドール−2−イル]−3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプテン酸、1ナトリウム塩。フルバスタチンナトリウムは、白色から淡黄色で、水、エタノールおよびメタノールに可溶の吸湿性の粉末である。
【0048】
シンバスタチンは、Aspergillus terreusの発酵産物から合成的に誘導される。経口摂取後、不活性なラクトンであるシンバスタチンは、対応するβヒドロキシ酸形態へ加水分解される。シンバスタチンは、ブタン酸、2,2−ジメチル−,1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−3,7−ジメチル−8−[2−テトラヒドロ−4−ヒドロキシ−6−オキソ−2H−ピラン−2−イル)−エチル]−1−ナフタレニルエステル、(1S−[1α,3α,7β,8β(2S*,4S*),−8aβ]]の化学式を有する。シンバスタチンの実験に基づく式は、C25385であり、そしてその分子量は418.57である。シンバスタチンは、水に実質的に不溶である、白色から灰色がかった白色の非吸湿性の結晶性粉末であり、そしてクロロホルム、メタノールおよびエタノールによく溶ける。
【0049】
(2.胆汁封鎖(bile sequestration)化合物)
コレステロールは、胆汁酸の主要な、そしておそらく単独の前駆体である。正常な消化の間、胆汁酸は、胆汁を介して肝臓および胆嚢から腸に分泌される。胆汁酸は、食物に存在する脂肪および脂質物質を乳化し、これにより吸収を容易にする。分泌された胆汁酸の大部分は、腸により再吸収され、そして門脈循環を介して肝臓へ戻り、これにより腸肝循環を完了する。胆汁酸のごくわずかな量のみが正常血清において見出される。
【0050】
腸内で胆汁酸に結合し、それによって血液中への再吸収、および肝臓を通じた再循環を妨げる化合物および複合体が排出される。肝臓は胆汁を生成するためにコレステロールを必要とするので、肝臓は、その血液からのコレステロールの取りこみを増大し、これにより血清コレステロールを低下させる。
【0051】
しかし、胆汁封鎖薬剤は、副作用を生じ得、これは乳酸菌の組み合わせ使用により制御される。これらの副作用としては、黒色便、嘔吐または悪心を伴う胃痛、便秘、急激な体重減少、胃腸消化不良、悪心および嘔吐、胃痛、鼓張などの状態が挙げられる。乳酸菌は、便秘を緩和し、そして消化機能全体を改善する薬剤として含まれ、かつ機能する。
【0052】
胆汁酸の封鎖体(sequester)として作用することによりコレステロールを減少する薬剤は、本発明による好ましいコレステロール低減剤であり、これにはコレスチポールおよびコレスチラミンを含む。
【0053】
(a.コレスチポール)
コレスチポールは、通常、塩酸コレスチポールの形態で腸内の胆汁酸に結合し、糞便に排出される複合体を形成する。この非全身的な作用は、腸肝循環からの胆汁酸の部分的な除去を生じ、胆汁酸の再吸収を妨げる。塩酸コレスチポールは、陰イオン交換樹脂であるので、樹脂の塩化物陰イオンは、通常、塩化物イオンよりも樹脂に対してより大きな親和性を有する他の陰イオンにより置換され得る。
【0054】
塩酸コレスチポール投与による胆汁酸の糞便消失の増加は、コレステロールの胆汁酸への酸化の増加を導く。これは、低密度リポタンパク質(LDL)レセプター数の増加、LDLの肝臓での取りこみの増加、およびβリポタンパク質または低密度リポタンパク質血清レベルの低下、ならびに血清コレステロールレベルの低下を生じる。
【0055】
塩酸コレスチポールは、プロトン化されたおよそ5つのうちの1つ、アミン窒素(塩化物形態)を有する、ジエチレントリアミンおよび1−クロロ−2,3−エポキシプロパンの高分子量塩基性陰イオン交換コポリマーである。これは、水または水溶液に懸濁した場合、吸湿性でかつ膨潤する淡黄色の非水溶性樹脂である。コレスチポールはまた、無味無臭であり、そして代表的には、二酸化ケイ素のような不活性のキャリアを用いて顆粒剤として処方される。
【0056】
塩酸コレスチポールは、親水性であり、そして実質的に非水溶性(99.75%)であるため、消化酵素により加水分解されない。塩酸コレスチポール中の高分子量ポリマーは明らかに吸収されない。ヒトにおいて、与えられた場合に、単一の14Cで標識された塩酸コレスチポールの0.17%未満の用量が、1日あたり20グラムの塩酸コレスチポールの60日間の長期投与後、尿中に排出される。
【0057】
コレスチポールは、例えば、Colestid(Upjhohn)、Colestipid、CholestabylおよびLestidの商品名で種々の商業的供給業者から入手可能である。
【0058】
従って、本発明において用いるためのコレスチピッド(colestipid)の代表的な投薬は、本発明の組成物の投与を含む。これには、患者の代謝および耐性、ならびに医師の評価に依存して、1日あたり、70kgの成人につき、約1〜20グラム(gm)、好ましくは約4〜15グラム、そしてより好ましくは約6〜8グラムを含む。
【0059】
(b.コレスチラミン)
コレスチラミンは、代表的に、塩基性陰イオン交換樹脂の塩化物塩の形態で使用されるコレステロール低下薬剤である。
【0060】
コレスチラミン樹脂は、吸収され、そして腸において胆汁酸と結合し、糞便中に排出される不溶性複合体を形成する。これは、胆汁酸の吸収を阻害することにより腸肝循環からの部分的な胆汁酸の除去を生じる。
【0061】
コレスチラミン投与による胆汁酸の糞便消失の増加は、コレステロールの胆汁酸への酸化の増加、βリポタンパク質または低密度リポタンパク質血漿レベルの低下、および血清コレステロールレベルの低下を導く。しかし、ヒトにおいて、コレスチラミンは、コレステロールの肝臓合成の増加、血漿コレステロールレベルの低下を生じる。
【0062】
コレスチラミン樹脂はかなり親水性であるが、水に不溶であり、そして消化管から吸収されない。コレスチラミンは、例えば、Questran(Bristol−Myers Squibb Company)、Cuemid、Colestrol、LismolおよびQuantalanの商品名で種々の商業的供給業者から入手可能である。
【0063】
(3.フィブリン)
本発明はさらに、コレステロール低減剤としてフィブリン酸(fibric acid)誘導体のような繊維製品(fiber product)(すなわち、「フィブリン」)の使用を意図する。これらの繊維製品の作用は、遊離胆汁酸の形態でコレステロールと結合し、それによりコレステロールをバイオアベイラビリティーから除去することである。例証的なフィブリンとしては、ゲムフィブロジル(Lopid)、フェノフィブレート(fenofibrate)(Tricor)、オオバコ(psyllium)、コムギ糠、カラスムギ糠、米糠、トウモロコシの糠、コンニャク粉(グルコマンナン)、キクイモ粉、果物繊維および任意の他の機能性食品(これらの繊維製品を含む)が挙げられる。これらは、血清脂質の低下を補助することが実証されている。
【0064】
治療用組成物への、本フィブリンと本発明の乳酸産生細菌との組み合わせは、結合され得る胆汁酸の量を増加することによってより有効な治療を提供する。これは、繊維を基とするコレステロール製品において欠けている要素である。
【0065】
(4.他の薬剤)
本発明はさらに、コレステロールを低下する能力を有する、そして本発明によって乳酸菌と組み合わせた組成物において有用であると考えられる、他の薬剤を意図する。
【0066】
ニコチン酸(ナイアシン)は、好ましいコレステロール低減剤である。ナイアシンは、総コレステロールおよびLDLコレステロールを低下し、そしてHDLコレステロールを上昇し、そしてまたトリグリセリドを低下する。コレステロールを低下するのに必要なナイアシンの用量は、ナイアシンについての推奨1日許容量(RDA)よりも約100倍多く、そのため毒性である可能性があり得る。従って、この薬物は医師の管理下に与えられるべきである。
【0067】
サリチル酸(アスピリン)もまた、コレステロール低減剤として企図される。アスピリンは、血管の塞栓を有する患者の心臓発作に対して保護効果を有することが示されており、そしてまた本発明による組成物に用いられ得る。コレステロール低減機構は、アスピリンおよび酸性脱共役体のような胆汁:コレステロール複合体(バイオアベイラビリティーを減じる)の酸性の特性に基づくと考えられる。
【0068】
(D.治療用組成物)
コレステロールを制御または低減する場合の使用に適した本発明の組成物は、種々の処方において、乳酸産生細菌(好ましくは、B.coagulans)、B.cogulans芽胞、またはそれらの組み合わせ、ならびに有効量の治療用薬剤(コレステロール低減剤およびビフィドジェニックオリゴ糖からなる群から選択される)を含む。
【0069】
活性な乳酸産生細菌成分は、代表的に、経口投与に適した処方物中に、最終組成物の約0.1重量%〜約50重量%、好ましくは1重量%〜10重量%を含む。
【0070】
代表的な治療コンポストは、1グラムの投薬処方物中に2×105〜1010コロニー形成単位の生存可能な乳酸産生細菌またはその細菌の芽胞を含む(Bacillus cogulansの場合)。
【0071】
代表的な治療用組成物は、本明細書中でさらに記載されるように、乳酸菌に加えて、1つ以上の以下の活性薬剤:ビフィドジェニックオリゴ糖および/またはコレステロール低減剤を、特定の処方に依存して種々の組合せで含み得る。
【0072】
好ましい組成物は、1グラムの組成物中に、約10ミリグラム(mg)〜1グラムのビフィドジェニックオリゴ糖を、好ましくは、100〜500mg含む。
【0073】
本明細書中に記載されるように、治療用組成物はまた、1グラムの組成物中に約1〜80mgのスタチンを含み得る。
【0074】
治療用組成物はまた、1グラムの組成物中に約0.1〜0.8gmの胆汁封鎖(sequestering)化合物を含み得る。
【0075】
治療用組成物はまた、1グラムの組成物中に約10mg〜0.5gmのフィブリンを含み得る。
【0076】
本発明の治療用組成物のための処方は、増殖を促進するための他の共生薬剤または栄養素を含み得る。
【0077】
特に好ましい治療用組成物は、コール酸の再吸着を阻害し、それにより胆汁とのコール酸の排出を増加させる、コール酸錯化剤をさらに含む。例示的錯化剤としては、金属塩(例えば、カルシウム塩、クロム塩、銅塩、ヨウ素塩、鉄塩、マグネシウム塩、マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩、などの塩)が挙げられる。好ましい塩は、カルシウム塩、クロム塩、マグネシウム塩、およびカリウム塩である。経口投与および吸着のために、特定の塩化合物が好ましいが、必要とされるわけではない。特に好ましい塩は、周知のように、クエン酸塩、グルコン酸塩、およびピコリン酸塩(picocollinate)を使用して形成される。好ましい化合物は、クエン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、クエン酸マグネシウムおよびピコリン酸クロムである。
【0078】
コール酸錯化剤は特に好ましい。なぜなら、コール酸錯化剤は、この治療用の発明に有利な局面を加えるからである。特に、コール酸錯化剤は、再吸着されない錯体を形成することにより、コール酸の排出の速度を増大させ、次いで、コレステロール生合成に利用可能なコレステロール前駆体の量を減少させる。この経路によるコール酸の除去は、コレステロールを低減させるという主要目的を補助することにより、活性薬剤の有効性を相乗的に増大させる。
【0079】
これらの組成物はまた、公知の抗酸化剤、緩衝化剤、および他の薬剤(例えば、ビタミンまたはミネラルを含み得る。これらの組成物中の他の薬剤はまた、相乗剤または活性薬剤のいずれかであり得、不活性(例えば、キャリア)であり得、あるいは、美観的(例えば、本明細書中に記載される着色剤または香味剤)であり得る。
【0080】
本発明の治療用組成物の好ましいさらなる成分は、当該分野で周知の多彩な着色剤または香味剤、ビタミン、酵素、および他の栄養素を含み得る。好ましいビタミンとしては、ビタミンB、C、D、E、葉酸、K、ナイアシン、などのビタミンが挙げられる。食餌または補足用酵素(例えば、ラクトース、アミラーゼ、グルカナーゼ、カタラーゼ、などの酵素)もまた含まれ得る。
【0081】
以下のような例示的ビタミンが本組成物中で使用される:コリン(160mg/lb)、B−6(10mg/lb)、B−12(2μg/lb)、ナイアシン(120mg/lb)、パントテン酸(4mg/lb)、リボフラビン(12mg/lb)、イノシトール(1gm/lb)、チアミン(1.5mg/lb)、葉酸(0.5mg/lb)など。
【0082】
本発明の組成物中で使用される化学物質は、以下を含む種々の商業的供給源から入手され得る:Spectrum Quality Products,Inc(Gardena、CA)、Seltzer Chemicals,Inc.(Carlsbad、CA)およびJarchem Industries,Inc.(Newark、NJ)。
【0083】
活性薬剤は、投与されるヒトまたは動物の腸組織と生理学的に適合可能なキャリアと混合され得る。すなわち、このキャリアは、好ましくは、この活性成分の懸濁液を作製する際に使用される界面活性剤特性を除いて実質的に不活性である。これらの組成物は、これらの組成物中の活性剤の効力に干渉しない、他の生理学的に活性な構成成分を含み得る。
【0084】
好ましい治療用組成物はまた、以下の1つ以上のミネラル:クエン酸カルシウム(15〜350mg)、グルコン酸カリウム(5〜150mg)、クエン酸マグネシウム(5〜15mg)、およびピコリン酸クロム(5〜200μg)を含み得、これらの量は、1日に投与されるものとして特定される。この処方は、任意の種々のキャリアおよび/または結合剤を使用して、重量的に満たされ得る。
【0085】
キャリアは、錠剤形態、カプセル形態、または粉末形態の処方物のためには固体ベースの乾燥物質であり得、そして液体形態またはゲル形態の処方物のためには液体またはゲルベースの物質であり得、これらの形態は、投与の経路に部分的に依存する。
【0086】
乾燥処方物のための代表的キャリアとしては、トレハロース、マルトデキストリン、米粉、微結晶性セルロース(MCC)、ステアリン酸マグネシウム、イノシトール、FOS、グルコオリゴ糖(GOS)、デキストロース、スクロースなどのキャリアが挙げられる。
【0087】
適切な液体またはゲルベースのキャリアは当該分野で周知であり、例えば、水および生理学的塩溶液、尿素、アルコールおよびグリコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールおよびプロピレングリコール)などである。好ましくは、水ベースのキャリアは、ほぼ中性のpHである。
【0088】
適切なキャリアとしては、水性キャリアおよび油性キャリア(例えば、白色ペトロラタム、イソプロピルミリステート、ラノリンもしくはラノリンアルコール、鉱油、ソルビタンモノ−オレアート、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール(共にまたは種々の組み合わせで)、ヒドロキシプロピルセルロース(MW=100,000〜1,000,000)、界面活性剤(例えば、ポリオキシステアレートまたはラウリル硫酸ナトリウム)が挙げられ、そしてローション、ゲル、クリーム、または半固体組成物を形成するために水と混合される。他の適切なキャリアは、油中水型エマルジョンまたは水中油型エマルジョンを含み、ならびに乳化剤および軟化剤と溶媒(例えば、スクロースステアレート、スクロースココエート、スクロースジステアレート、鉱油、プロピレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ポリオキシプロピレン−15−ステアリルエーテル、および水)との混合物を含む。例えば、水、グリセロールステアレート、グリセリン、鉱油、合成鯨蝋、セチルアルコール、ブチルパラベン、プロピルパラベン、およびメチルパラベンを含むエマルジョンが市販されている。保存剤もまた、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、およびエチレンジアミンテトラアセテートの塩を含むキャリア中に含まれ得る。周知の、香味剤および/または着色剤もまたキャリア中に含まれ得る。この組成物はまた、グリセロールまたはポリエチレングリコール(MW=800〜20,000)のような可塑剤を含み得る。このキャリアの組成物は、この組成物中に含まれる活性成分の薬理学的活性または乳酸菌の生存率に顕著に干渉しない限り、変化され得る。
【0089】
本発明の代表的な組成物は、さらに任意の以下の不活性成分を含み得る:アカシア、アスパルテーム、クエン酸、D&C Yellow No.10、FD&C Yellow No.6、矯味矯臭剤(天然および/または人工)、ポリソルベート80、ポリエチレングリコールアルギネート、コロイド状二酸化ケイ素およびスクロースおよびキサンタンガム。
【0090】
組成物はまた、以下の不活性成分を含み得る:アスパルテーム、βカロチン、クエン酸、矯味矯臭剤(天然および/または人工)、グリセリン、マルトール、マンニトール、およびメチルセルロース。
【0091】
例示的かつ好ましい処方物は、実施例に記載される。本発明の治療用組成物のために特に好ましい処方物は、実施例に記載される。
【0092】
(E.コレステロールを低減するための治療方法)
本発明は、血清LDLコレステロールおよびトリグリセリドを減少させ、そして血清HDLコレステロールを増加させるための方法を意図する。この方法は、活性成分を含む本発明の治療用組成物を、ヒトまたは動物に、本明細書中に記載の種々の投薬レジメンでの、治療的結果を達成するための投与を包含する。
【0093】
治療用組成物の投与は好ましくは腸へであり、本発明の治療用組成物を含む、ゲル、懸濁液、エアロゾルスプレー、カプセル、錠剤、粉末、または半固体処方物(例えば、坐剤)(これら全ては、当該分野で周知の方法を使用して処方される)を使用する。コレステロールを制御または低減する際に有効な活性成分を含む組成物の投与は、一般に、1日から1ヶ月までの、1〜10の単位投薬(この組成物の1回の投薬につき10mg〜10g)からなる。単位投薬は、一般に、12時間ごとに1回および4時間ごとに1回まで行われる。好ましくは、1日につきこの組成物の2〜4回の投薬(各々が1回の投薬につき約0.1g〜5gを含む)を1〜7日間が、コレステロールを制御または低減するのに十分である。
【0094】
好ましい方法は、1日につき104〜1012の生存可能な細菌または芽胞を、好ましくは、1日につき約107〜1010の生存可能な細菌または芽胞を、そしてより好ましくは、1日につき約5×108〜109の生存可能な細菌または芽胞を、消化管に投与することを包含する。
【0095】
この方法は、本明細書中に記載され、そしてビフィドジェニックオリゴ糖およびコレステロール低減薬剤からなる群から選択される、1つ以上の治療用薬剤の投与をさらに包含する。
【0096】
好ましい方法は、1日につき10mg〜20gmのフルクトオリゴ糖を、好ましくは、1日につき約50mg〜10gmのフルクトオリゴ糖を、そしてより好ましくは、1日につき約150mg〜5gmのフルクトオリゴ糖を、消化管に投与することを包含する。
【0097】
本発明が治療用組成物中のコレステロール低減剤を投与することもまた意図し得る範囲では、本発明に従って投与される組成物はまた、本明細書中に記載される1つ以上の治療用薬剤を含み得る。
【0098】
従って、治療方法における投与のための組成物は、本明細書中に記載されるスタチンを含み得る。本発明の方法での使用のためのスタチンの代表的投薬は、本発明の組成物を、1日に70kgの成体につき約10〜80ミリグラム(mg)、好ましくは、約40〜80mgの量で投与することを包含し、これは、患者の代謝および耐性、ならびに医師の評価に依存する。
【0099】
この治療方法での投与のための組成物は、本明細書中に記載される胆汁封鎖化合物を含み得る。従って、本発明の方法での使用のための胆汁封鎖化合物の代表的投薬は、本発明の組成物を、1日に70kgの成体につき約1〜20グラム(gm)、好ましくは約4〜15gm、そしてより好ましくは約6〜8gmの量で投与することを包含し、これは、患者の代謝および耐性、ならびに医師の評価に依存する。
【0100】
フィブリンが、種々の投薬処方物において使用され得、従って、本発明は、そのように限定されると解釈されるべきではない。代表的な投薬は、1日に70kgの成体につき約0.5〜50グラムのフィブリンを、好ましくは1日につき約5〜10グラムを、消化管に投与することを包含する。
【0101】
アスピリンの代表的な投薬は、1日に70kgの成体につき約300mg〜4gmのサリチル酸を、好ましくは1日につき約0.6〜1.8gmを、投与することを包含する。
【0102】
この方法は、代表的には、上昇した血清LDLコレステロール状態の危険があるいかなる人に対しても実施される。これらの状態としては、アステローム性動脈硬化症、動脈硬化症、心筋梗塞、心臓発作、糖尿病、冠動脈心疾患、狭心症、または不安定狭心症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
他に定義されない限り、本明細書中で用いられる全ての科学用語および技術用語は、関連分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。他に言及されない限り、本明細書中で使用または意図される技術は、当業者に周知の標準的方法論である。実施態様の例は、単なる例示のために過ぎない。
【0104】
(F.コレステロールを低減するための治療システム)
本発明はさらに、血清コレステロールを低減するための治療システムを意図し、このシステムは、ラベルを含む容器および本発明に従う治療用組成物を含み、ここでこのラベルは、血清コレステロールの低減のための組成物の使用のための使用説明書を含む。
【0105】
代表的には、このシステムは、本発明の治療用組成物を含むパッケージの形態で存在するか、またはパッケージ材料と組み合わせて存在する。このパッケージ材料は、このパッケージの成分の使用のためのラベルまたは使用説明書を含む。この使用説明書は、本発明の方法または組成物のための、本明細書中に記載されるパッケージ成分の意図された使用を示す。
【0106】
例えば、システムは、1つ以上の単位投薬量の、本発明に従う治療用組成物を含み得る。あるいは、このシステムは、かさ高い量(bulk quantities)の治療用組成物を含み得る。そのラベルは、単位用量または適切なかさ高い形態のいずれかでその治療用組成物を使用するための使用説明書を含み、そしてこの組成物の保存、疾患の指標、投薬量、投与経路に関する情報などの情報を含み得る。
【0107】
(実施例)
本発明に関する以下の実施例は例示であり、そして当然のことながら、本発明を具体的に限定すると解釈されるべきではない。さらに、現在公知または後に開発される、本発明のそのような改変物は、当業者の範囲内であり、本明細書中に請求される本発明の範囲内にあると考えられる。
【0108】
(1.治療用組成物の処方)
(処方1)
B.coagulans 500,000,000芽胞(約35mg)
クエン酸カルシウム 35ミリグラム(mg)
グルコン酸カリウム 10mg
クエン酸マグネシウム 10mg
ピコリン酸クロム 50マイクログラム(μg)
フルクトオリゴ糖 200mg
微結晶性セルロース 660mg
(処方2)
B.coagulans 500,000,000芽胞(約35mg)
クエン酸カルシウム 35ミリグラム(mg)
グルコン酸カリウム 10mg
ピコリン酸クロム 50マイクログラム(μg)
微結晶性セルロース 870mg
(処方3)
B.coagulans 500,000,000芽胞(約35mg)
クエン酸カルシウム 35ミリグラム(mg)
グルコン酸カリウム 10mg
クエン酸マグネシウム 10mg
ピコリン酸クロム 50マイクログラム(μg)
フルクトオリゴ糖 500mg
微結晶性セルロース 360mg
(処方4)
B.coagulans 500,000,000芽胞(約35mg)
クエン酸カルシウム 35ミリグラム(mg)
グルコン酸カリウム 10mg
クエン酸マグネシウム 35mg
ピコリン酸クロム 50マイクログラム(μg)
フルクトオリゴ糖 300mg
微結晶性セルロース 535mg
(処方5)
B.coagulans 1,000,000,000芽胞(約70mg)
グルコン酸カリウム 10mg
クエン酸マグネシウム 10mg
コレスチポール 20mg
微結晶性セルロース 890mg
(処方6)
B.coagulans 1,000,000,000芽胞(約70mg)
グルコン酸カリウム 10mg
クエン酸マグネシウム 10mg
フルクトオリゴ糖 300mg
コレスチポール 40gm
微結晶性セルロース 570mg
(処方7)
B.coagulans 1,000,000,000芽胞(約70mg)
グルコン酸カリウム 10mg
クエン酸マグネシウム 10mg
シンバスタチン 20mg
微結晶性セルロース 890mg
(処方8)
B.coagulans 1,000,000,000芽胞(約70mg)
グルコン酸カリウム 10mg
クエン酸マグネシウム 10mg
フルクトオリゴ糖 300mg
シンバスタチン 40mg
微結晶性セルロース 570mg
(2.B.coagulans芽胞の調製)
乾燥B.coagulans芽胞の培養物を以下のように調製した。10,000,000の芽胞を、24gmのポテトデキストロースブロス、10gmの家禽類および魚組織の酵素消化物、5gmのFOSならびに10gmのMnSO4を含む1リットルの培養物に接種した。この培養物を72時間、高酸素環境下で72℃にて維持して、1グラムの培養物あたり約150,000,000,000の細胞を有する培養物を生成した。その後、この培養物を濾過して、液体培養培地を除去し、そして細菌ペレットを水に再懸濁し、そして凍結乾燥した。次いで、この凍結乾燥した粉末を、標準的な優良医薬品製造基準(good manufacturing practice:GMP)を用いて微細粉末にする。次いで、この粉末を、実施例1に記載の処方4と合わせ、そして1カプセルあたり0.5gmの量でカプセルに含ませる。
【0109】
(3.B.coagulans組成物の血清LDLに対する効果)
20人の患者を用いるコントロール実験を行った。ここで、実施例2のように生成した2つの錠剤を60日間毎日摂取させた。そしてこれらの患者をLDL、HDLおよび血清トリグリセリドについてモニターした。これらの患者は、31〜34%のLDLコレステロールの平均減少、7〜15%のHDLコレステロールの平均上昇、および11〜16%の血清トリグリセリドレベルの減少を示した。処置の間、85%より多くの頚動脈が閉塞していると診断された3人の患者で、約40%の閉塞まで閉塞の減少を実験した。これらの3人の患者はすべて、閉塞のレベルに基づいてバイパス手術が計画されていたが、これらの手術は全て、処置後に彼らの担当医によって中止された。なぜなら、循環の減少の危険性が沈静化したからである。
【0110】
関連研究において、1日当たり500mgのFOSと組み合わせて1日当たり約150,000,000〜500,000,000の細菌細胞を受ける患者は、2週間の毎日の投与の後に、約30〜40%のLDLコレステロールの減少を実証した。
【0111】
本発明を、種々の処方を用いて上記の実施例において記載してきたが、共生組成物と適合する様々な他のキャリア剤が本実施例で置き換えられて類似の結果を与え得ることは明らかである。従って、本発明は、精神において本発明から逸脱せずに他の特定の形態で実施され得る。本実施例は、全ての点において、制限としてではなく例示としてのみ考慮されるべきであり、そして本発明の範囲は、上記の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の法律的等価性の意味および範囲内でなされる全ての改変は、本発明の範囲内に包含されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の方法。

【公開番号】特開2010−95532(P2010−95532A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11398(P2010−11398)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【分割の表示】特願2000−540840(P2000−540840)の分割
【原出願日】平成11年4月1日(1999.4.1)
【出願人】(500457634)ガネデン バイオテック, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】