説明

Bcl−2タンパク質関連疾患の治療における使用のためのABT−263結晶形態および溶媒和物

ABT−263遊離塩基およびこの結晶形態は、1種以上の抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする疾患、例えば、癌の治療において有用な医薬組成物のための適切な活性医薬成分である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年9月20日に出願された米国仮出願第61/244,051号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本出願に関連した主題を含む以下の係属中の米国出願に対して相互参照がなされる:すべて2010年4月29日に出願された、「Lipid formulation of apoptosis promoter」と表題されたシリアル番号第12/770,112号;「Stabilized lipid formulation of apoptosis promoter」と表題されたシリアル番号第12/770,174号;「Solid oral formulation of ABT−263」と表題されたシリアル番号第12/770,205号;および「Formulation for oral administration of apoptosis promoter」と表題されたシリアル番号第12/770,299号。
【0003】
上記出願のそれぞれの開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
本発明は、アポトーシス促進剤ABT−263、この固体形態ならびにこのような固体形態を含むおよび/またはこのような固体形態を用いて調製される製剤、ならびに抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする疾患を治療するためのその使用方法に関する。より詳細には、本発明は、例えば、ABT−263のこれを必要としている対象への投与のための医薬組成物の調製において活性医薬成分(API)として有用なABT−263の結晶形態に関する。
【背景技術】
【0005】
アポトーシスの回避は、癌の顕著な特徴である(Hanahan & Weinberg(2000年)Cell 100:57−70頁)。癌細胞は、DNA損傷、腫瘍遺伝子活性化、異常な細胞周期進行、および正常な細胞にアポトーシスを起こさせる過酷な微小環境などの細胞ストレスによる絶え間のない攻撃を克服しなければならない。癌細胞がアポトーシスを回避する主要な手段の一つは、Bcl−2ファミリーの抗アポトーシスタンパク質の上方制御による。
【0006】
Bcl−2タンパク質のBH3結合溝を占める化合物は、例えば、Brunckoら(2007年)J.Med.Chem.50:641−662頁によって記載されている。これらの化合物は、式:
【0007】
【化1】

を有し、別名ABT−737として知られる、N−(4−(4−((4’−クロロ−(1,1’−ビフェニル)−2−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(ジメチルアミノ)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)−3−ニトロベンゼン−スルホンアミドを含んでいる。
【0008】
ABT−737は、Bcl−2ファミリー(特に、Bcl−2、Bcl−XおよびBcl−w)のタンパク質に対して高い親和性(<1nM)で結合する。それは、小細胞肺癌(SCLC)およびリンパ系腫瘍に対して単剤活性を示し、他の化学療法剤のアポトーシス促進作用を増強する。ABT−737および関連化合物、ならびにこのような化合物を製造する方法は、Brunckoらの米国特許出願公開第2007/0072860号に開示されている。
【0009】
最近になって、さらなる一連の化合物が、Bcl−2ファミリータンパク質に対して高い結合親和性を有することが確認された。これらの化合物およびこれらを製造する方法は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Brunckoらの米国特許出願公開第2007/0027135号(本明細書では、「’135出願公開」)に開示されており、以下のそれらの式からABT−737に構造的に関係していることがわかる。
【0010】
’135出願公開の「実施例1」として特定されている1つの化合物は、別名ABT−263として知られる、N−(4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−5,5−ジメチル−1−シクロヘキサ−1−エン−1−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(モルホリン−4−イル)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)−3−((トリフルオロメチル)スルホニル)ベンゼンスルホンアミドである。この化合物は、974.6g/molの分子量を有し、式:
【0011】
【化2】

を有する。
【0012】
Tseら(2008年)Cancer Res.68:3421−3428頁およびCancer Research Online(cancerres.aacrjournals.org/)で入手できるこれらに対する補足データは、’135出願公開に記載されたとおりに合成されたABT−263の動物薬物動態学的研究を報告している。この薬剤は、ポリエチレングリコール(PEG)400中または10%エタノール/30%PEG400/60%Phosal50−PG(商標)中10%ジメチルスルホキシド(DMSO)における溶液中で製剤化された。
【0013】
改善された療法が必要とされる疾患の特定のタイプは、非ホジキンリンパ腫(NHL)である。NHLは、米国における新規な癌の第6番目に最もよく見られるタイプであり、60−70歳の患者で主に起こる。NHLは、単独の疾患ではなく、臨床属性および組織学を含むいくつかの特徴に基づいて分類される関連疾患のファミリーである。
【0014】
分類の一方法は、異なる組織学的サブタイプを、疾患の自然史、すなわち、この疾患が無痛性または侵襲性であるかどうかに基づく2つの主な分類に判別するものである。一般に、無痛性サブタイプは、ゆっくりと成長し、一般に不治であるが、一方、侵襲性サブタイプは、急速に成長し、潜在的に治癒可能である。濾胞性リンパ腫は、最も一般的な無痛性サブタイプであり、広範性の大細胞リンパ腫は、最も一般的な侵襲性サブタイプを構成する。腫瘍性タンパク質Bcl−2は、当初は非ホジキンB細胞リンパ腫において記載された。
【0015】
濾胞性リンパ腫の治療は通常、生物学に基づく化学療法または併用化学療法からなる。リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(R−CHOP)による併用療法は、リツキシマブ、シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(RCVP)による併用療法と同様に、日常的に使用される。リツキシマブ(B細胞の表面に均一に発現されたリンタンパク質である、CD20を標的とする)またはフルダラビンによる単剤療法も使用される。リツキシマブの化学療法レジメンへの追加は、応答率の改善および無進行生存率の増加をもたらす可能性がある。
【0016】
放射免疫療法剤、高用量化学療法および幹細胞移植は、難治性または再発性非ホジキンリンパ腫を治療するために使用され得る。現在、治癒をもたらす認可された治療レジメンはなく、現在の指針は、患者が、臨床試験の状況において、さらには第一選択の設定においても、治療されることを薦めている。
【0017】
侵襲性大細胞型B細胞リンパ腫を患う患者の第一選択治療は通常、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(R−CHOP)、または用量調整したエトポシド、プレドニゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびリツキシマブ(DA−EPOCH−R)からなる。
【0018】
大部分のリンパ腫は、最初はこれらの療法のいずれか一つに応答するが、腫瘍は通常、再発し、最終的に難治性になる。患者が受けるレジメンの数が増加するにつれて、疾患はより化学療法耐性になる。第一選択治療に対する平均応答は、約75%、第二選択治療に対しては60%、第三選択治療に対しては50%および第四選択治療に対しては約35−40%である。複数回の再発状況において単剤での20%に近い応答率は、陽性とみなされ、さらなる研究が当然必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0072860号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0027135号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Hanahan & Weinberg(2000年)Cell 100:57−70頁
【非特許文献2】Brunckoら(2007年)J.Med.Chem.50:641−662頁
【非特許文献3】Tseら(2008年)Cancer Res.68:3421−3428頁
【非特許文献4】Cancer Research Online(cancerres.aacrjournals.org/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
現在の化学療法剤は、種々の機構によってアポトーシスを誘導することによってそれらの抗腫瘍応答を誘発する。しかし、多くの腫瘍は、結局はこれらの薬剤に耐性となる。Bcl−2およびBcl−Xは、インビトロおよび最近になってインビボでの短期間生存アッセイで化学療法耐性を与えることが示された。このことは、Bcl−2およびBcl−Xの機能を抑制することを目的とした改良療法を開発することができれば、このような化学療法耐性を克服することに成功し得ることを示唆する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
’135出願公開の実施例1に従って調製した場合、化合物ABT−263は、下流の製剤化のためには活性医薬成分(API)としてあまり適していない非晶質ガラス状固体として回収される。より詳細には、このABT−263の非晶質形態は、精製することが難しく、したがって費用がかかり、工程管理の問題を提起する。2009年4月30日に出願された同時係属の米国仮出願第61/174,274号(本発明に対する従来技術を構成するという承認ではなく参照により本明細書に組み込まれる)で例示された手法の一つは、ABT−263を結晶の塩として調製することである。別の手法において、本発明者らは今回、APIが、例えば経口的に送達可能な錠剤またはカプセルにおいて、賦形剤と一緒に粒子状形態で存在するものを含めて、多種多様な製剤タイプにおいてAPIとして適した一連の新規なABT−263遊離塩基の結晶形態を調製することができた。
【0023】
一実施形態では、本発明は、固体結晶形態のN−(4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−5,5−ジメチル−1−シクロヘキサ−1−エン−1−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(モルホリン−4−イル)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)−3−((トリフルオロメチル)スルホニル)ベンゼンスルホンアミド(ABT−263)遊離塩基を提供する。
【0024】
さらなる実施形態では、本発明は、本明細書で特徴付けされ、I型ABT−263遊離塩基と命名されるABT−263遊離塩基の無溶媒結晶多形体を提供する。
【0025】
なおさらなる実施形態では、本発明は、本明細書で特徴付けされ、II型ABT−263遊離塩基と命名されるABT−263遊離塩基の無溶媒結晶多形体を提供する。
【0026】
様々ななおさらなる実施形態では、本発明は、有機溶媒と一緒のABT−263遊離塩基の溶媒和結晶形態を提供する。
【0027】
なおさらなる実施形態では、本発明は、結晶性ABT−263遊離塩基(例えば、上に提供されているI型またはII型)および1種以上の医薬として許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0028】
さおさらなる実施形態では、本発明は、結晶性ABT−263遊離塩基(例えば、上に提供されているI型またはII型)を医薬として許容される溶媒または溶媒の混合物に溶解させる段階を含む、ABT−263の医薬溶液組成物を調製する方法を提供する。
【0029】
なおさらなる実施形態では、本発明は、アポトーシス異常および/または抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする疾患を有する対象に、治療有効量の結晶形態(例えば、上に提供されているI型またはII型)のABT−263遊離塩基、または結晶形態(例えば、上に提供されているI型またはII型)のABT−263遊離塩基および1種以上の医薬として許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与する段階を含む、該疾患を治療する方法を提供する。このような疾患の例には、癌を含む多くの腫瘍性疾患が含まれる。本方法によって治療され得る癌の具体的な例証となるタイプは、非ホジキンリンパ腫である。本方法によって治療され得る癌の別の具体的な例証となるタイプは、慢性リンパ性白血病である。本方法によって治療され得る癌のさらに別の具体的な例証となるタイプは、例えば、小児科の患者における急性リンパ性白血病である。
【0030】
なおさらに、結晶形態(例えば、上に提供されているI型またはII型)のABT−263遊離塩基および1種以上の医薬として許容される賦形剤を含む医薬組成物を、1日当たり約50から約1000mgのABT−263の投与量で約3時間から約7日間の平均投与間隔で、ヒト癌患者、例えば、非ホジキンリンパ腫を有する患者に投与する段階を含む、該対象の血流中でABT−263および/またはその1種以上の代謝産物の治療的に有効な血漿濃度を維持する方法が提供される。
【0031】
上に提供されたもののより特定の態様を含む本発明のさらなる実施形態は、以下に続く詳細な説明に見出されるまたはそれから明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】無溶媒結晶多形体I型ABT−263遊離塩基のPXRDスキャンを示す図である。
【図2】無溶媒結晶多形体II型ABT−263遊離塩基のPXRDスキャンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
「遊離塩基」という用語は、その任意の塩と異なるABT−263親化合物を指すために本明細書で便宜上使用されるが、厳密に言えば、この親化合物は双性イオンであり、したがって、必ずしも真の塩基として挙動しないことが認められる。
【0034】
本明細書における「無溶媒」という用語は、溶媒が脱溶媒和によって除去されていない、I型またはII型のABT−263遊離塩基などの多形体の結晶格子を指す。溶媒は、多形体の一部でなしにまたはそうでなければその結晶構造に影響を与えることなしに、化合物の固体状態の粒子において少量存在することができ;このような溶媒の存在は、この用語が本明細書で使用される場合、多形体が「無溶媒」であることとやはり矛盾しない。
【0035】
ABT−263遊離塩基は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、上に引用された米国特許出願公開第2007/0027135号の実施例1に記載されたとおりの方法で調製され得る。この方法の生成物は、非晶質のガラス状固体である。粉末が、この生成物から、例えば、凍結乾燥または沈殿技術によって調製され得る。
【0036】
ABT−263遊離塩基の溶媒和物は、下記のとおりに調製された。出発生成物は、’135出願公開に従って調製される非晶質形態を含めて、ABT−263遊離塩基の任意の固体形態であり得る。
【0037】
測定された量のABT−263遊離塩基(示されるように、任意の固体形態が使用され得る)は、表1に示されるように、いくつかの溶媒または溶媒の混合物のそれぞれに懸濁させた。得られた懸濁液を、光から保護しながら、周囲温度で撹拌した。それぞれの場合にABT−263遊離塩基の溶媒和を可能にするのに十分な期間後、結晶をろ過遠心分離により回収した。得られた溶媒和物は、粉末X線回折(PXRD)により特徴付けした。
【0038】
【表1】

【0039】
PXRDデータは、湾曲型位置敏感検出器および平行ビーム光学系を備えたG3000回折計(Inel Corp.、Artenay、フランス)を用いて収集した。回折計は、銅陽極管(1.5kW精密焦点)を用いて40kVおよび30mAで操作した。入射ビームゲルマニウムモノクロメータが単色光をもたらした。回折計は、1度間隔の減衰直接ビームを用いて較正した。較正は、シリコン粉末ラインポジション参照標準(NIST640c)を用いて照査した。機器は、Symphonixソフトウェア(Inel Corp.、Artenay、フランス)を用いてコンピュータ制御し、データは、Jadeソフトウェア(バージョン6.5、Materials Data,Inc.、Livermore、CA)を用いて分析した。試料をアルミニウム製試料ホルダに載せて、スライドガラスで平らにした。
【0040】
上記のとおりに決定した個々の溶媒和物のPXRDピークを表2−14に記載する。ピークポジションは、通常±0.2度ツーシータ(°2θ)である。
【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
【表5】

【0045】
【表6】

【0046】
【表7】

【0047】
【表8】

【0048】
【表9】

【0049】
【表10】

【0050】
【表11】

【0051】
【表12】

【0052】
【表13】

【0053】
【表14】

【0054】
さらに、アニソール、ピリジンおよび2−プロパノールの溶媒和物の単結晶を、以下の方法で結晶学的分析のために調製した。単結晶は個々に、MiTeGenポリイミドマウント上に載置した。強度データは、APEX II CCDカメラを備えたBruker D8システム上で収集した。データは、グラファイト単色化MoKa線(λ=0.71073Å)を用いて100Kで収集した。データは、ωステップ0.5°およびΦステップ90°でω−Φスキャンを用いて4組で収集した。データは、20秒間のフレーム露光で収集した。データは、APEX2ソフトウェアを用いて処理した。ローレンツ偏光効果の補正を適用した。吸収は無視できるものであった。すべての構造は、非水素原子を生成する直接法を用いて解いた。提示された水素原子のすべては、差フーリエ電子密度マップにおいて位置づけた。非水素原子のすべては、非等方的に精密化した。炭素原子と結合した水素原子は、幾何学的に制約されたライディングポジションで精密化した。酸素原子と結合した水素原子は、位置づけられたポジション中に含めた。精密化は、SHELXTL結晶学的ソフトウェアを用いて達成した。
【0055】
アニソール溶媒和物の単結晶を調製するために、非晶質ABT−263遊離塩基を0.5mlのアニソールに溶解させた。単結晶は、2日後に観察した。アニソール溶媒和物の結晶学的データを表15に示し、結晶構造から計算したPXRDピークを表16に記載する。
【0056】
【表15】

【0057】
【表16】

【0058】
ピリジン溶媒和物の単結晶を調製するために、結晶性ABT−263遊離塩基(900mg)をピリジン/ヘキサン混合物(8ml、1:4v/v)に懸濁させた。懸濁液を沈降させ、上清を除去して、50℃に加熱した。非晶質ABT−263遊離塩基(100mg)を上清に50℃で溶解させ、得られた溶液を室温に冷却した。単結晶を1週間後に認め、ピリジン溶媒和物であることがわかった。ピリジン溶媒和物の結晶学的データを表17に示し、結晶構造から計算したPXRDピークを表18に記載する。
【0059】
【表17】

【0060】
【表18】

【0061】
2−プロパノール溶媒和物の単結晶を調製するために、約100mgのABT−263遊離塩基を約1gの酢酸エチルに溶解させた。得られた溶液を2.7gの2−プロパノールに添加した。ABT−263遊離塩基I型の結晶種を添加した。単結晶を2日後に認めた。2−プロパノール溶媒和物の結晶学的データを表19に示し、結晶構造から計算したPXRDピークを表20に記載する。
【0062】
【表19】

【0063】
【表20】

【0064】
表3との比較により、単結晶データから計算したピークポジションとPXRDにより決定したものとの間の密接な一致が示される。一部のピークにおけるわずかなずれは、2つの方法における異なる温度条件を反映している可能性がある(単結晶に対して100K;PXRDに対して室温)。
【0065】
上記の懸濁液結晶化技術は、溶媒和化結晶を調製するために必要な過飽和を生成させるためのいくつかの知られた方法の1つに過ぎない。他の手順には以下が含まれる:
・貧溶媒添加法(ABT−263を、高濃度で可溶性である第1の溶媒または溶媒の混合物に溶解させ、得られた溶液に、この第1の溶媒または溶媒の混合物と混和性である貧溶媒を添加する);
・上記貧溶媒添加法の手順の変形、例えば、ABT−263の溶液を貧溶媒に添加する;
・温度勾配法(ABT−263を溶媒または溶媒の混合物に高温で溶解させ、得られた溶液をより低い温度、例えば、周囲温度以下に冷却する);
・溶媒蒸発法(ABT−263を溶媒または溶媒の混合物に溶解させ、次いで、これを蒸発させる);および
・反応晶析法(酸との塩の形態のABT−263を溶媒または溶媒の混合物に溶解させ、得られた溶液を水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムなどの中和剤の溶液に添加し、遊離塩基を晶出させる;代替として、塩基とのABT−263塩を用いることができ、この場合、pHを酸性中和剤で調整して、遊離塩基を晶出させる)。
【0066】
必要に応じて、上記手順の組合せを用いることができる。発生する過飽和の速度(例えば、貧溶媒もしくは中和剤の添加速度、冷却速度または溶媒蒸発速度による)などの具体的な詳細は、過度な実験なしに当業者によって容易に最適化され得る。
【0067】
例えば、空気乾燥による、エタノール/酢酸エチル溶媒和物の脱溶媒によって、ABT−263遊離塩基の無溶媒結晶形態が得られる。この結晶形態は、I型と命名される。I型ABT−263遊離塩基のPXRDスキャンは図1に示す。I型ABT−263遊離塩基のPXRDピークは表21に記載する。そこで実質的に示されるとおりのピークを有するPXRDパターンは、結晶性ABT−263遊離塩基、より詳細には、I型ABT−263遊離塩基を同定するために使用することができる。この状況において「実質的に示されるとおりの」という表現は、示されたポジションから約0.2°2θを超えてずれていないピークを有することを意味する。
【0068】
【表21】

【0069】
1−プロパノール、2−プロパノール、メタノール、ジオキサン/ヘキサン、酢酸メチル/ヘキサン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピルおよびクロロホルムの溶媒和物を含めて、大部分の溶媒和物の脱溶媒は、エタノール/酢酸エチル溶媒和物の脱溶媒により生じる結晶形態と同一であるとPXRDで示されるABT−263遊離塩基の無溶媒結晶形態を与える。
【0070】
ピリジン、アニソールおよびトリフルオロトルエンの溶媒和物の脱溶媒は、エタノール/酢酸エチル溶媒和物の脱溶媒により生じる型とは異なっているとPXRDにより示されるABT−263遊離塩基の無溶媒結晶形態を与える。ピリジン、アニソールまたはトリフルオロトルエンの溶媒和物由来の結晶形態は、II型と命名される。II型ABT−263遊離塩基のPXRDスキャンは図2に示す。II型ABT−263遊離塩基のPXRDピークは表22に記載する。そこで実質的に示されるとおりのピークを有するPXRDパターンは、結晶性ABT−263遊離塩基、より詳細にはII型ABT−263遊離塩基を同定するために使用することができる。
【0071】
【表22】

【0072】
ベンゼンおよびトルエンの溶媒和物の脱溶媒は、異なる場合において認められており、I型またはII型と同定される結晶を与えた。より高い結晶化度の生成物が得られる場合、それはII型に最も近い。
【0073】
特にI型とII型を識別するための、I型ABT−263遊離塩基に特に特徴的なPXRDピークには、6.21、6.72、12.17、18.03および20.10°2θ(それぞれの場合に±0.2°2θ)におけるピークが含まれる。一実施形態では、I型ABT−263遊離塩基は、これらのポジションのいずれか1つ以上におけるピークを少なくとも特徴とする。別の実施形態では、I型ABT−263遊離塩基は、これらのポジションのそれぞれにおけるピークを少なくとも特徴とする。さらに別の実施形態では、I型ABT−263遊離塩基は、表21に示されるポジションのそれぞれにおけるピークを特徴とする。
【0074】
特にI型とII型を識別するための、II型ABT−263遊離塩基に特に特徴的なPXRDピークには、5.79、8.60、12.76、15.00および20.56°2θ(それぞれの場合に±0.2°2θ)におけるピークが含まれる。一実施形態では、II型ABT−263遊離塩基は、これらのポジションのいずれか1つ以上におけるピークを少なくとも特徴とする。別の実施形態では、II型ABT−263遊離塩基は、これらのポジションのそれぞれにおけるピークを少なくとも特徴とする。さらに別の実施形態では、II型ABT−263遊離塩基は、表22に示されるポジションのそれぞれにおけるピークを特徴とする。
【0075】
溶媒和形態を含めて、ABT−263遊離塩基の結晶形態のいずれも、医薬組成物の調製にAPIとして有用であり得る。しかし、I型およびII型などの無溶媒形態が、本目的に一般に好ましい。
【0076】
上に示されたとおりに、溶媒和形態は、I型およびII型などの無溶媒型の調製においてプロセス中間体として有用である。したがって、本発明の実施形態は、有機溶媒で溶媒和された結晶形態のABT−263遊離塩基を与えることは本明細書における開示から明らかである。「有機溶媒」という用語は、単一の有機溶媒および有機溶媒の混合物を包含すると本明細書で理解される。より詳細には、この実施形態によって、1−プロパノール、2−プロパノール、メタノール、ベンゼン、トルエン、ジオキサン/ヘキサン、酢酸メチル/ヘキサン、エタノール/酢酸エチル、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、クロロホルム、ピリジン、アニソールおよびトリフルオロトルエンの溶媒和物からなる群から選択される結晶性ABT−263遊離塩基溶媒和物が提供される。
【0077】
さらに、本発明の実施形態により、1−プロパノール、2−プロパノール、メタノール、ジオキサン/ヘキサン、酢酸メチル/ヘキサン、エタノール/酢酸エチル、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピルおよびクロロホルムの溶媒和物からなる群から選択されるABT−263遊離塩基溶媒和物を脱溶媒する段階を含む、I型ABT−263遊離塩基を調製する方法が提供されることが本明細書における開示から明らかである。
【0078】
またさらに、本発明の実施形態により、ピリジン、アニソールおよびトリフルオロトルエンの溶媒和物からなる群から選択されるABT−263遊離塩基溶媒和物を脱溶媒する段階を含む、II型ABT−263遊離塩基を調製する方法が提供されることが本明細書における開示から明らかである。関連した実施形態では、II型ABT−263遊離塩基を調製する方法は、ベンゼンおよびトルエンの溶媒和物からなる群から選択されるABT−263遊離塩基溶媒和物を脱溶媒する段階を含む。
【0079】
ABT−263結晶性遊離塩基、例えば、I型、II型またはそれらの組合せは、それらを必要としている対象への、経口を含む、任意の投与経路に適した医薬組成物の調製において使用され得る。したがって、本発明の一部の実施形態では、ABT−263結晶性遊離塩基および1種以上の医薬として許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供される。このような組成物は、薬学の任意の公知のプロセスによって調製され得る。一実施形態では、該組成物は、結晶性I型ABT−263遊離塩基を含む。別の実施形態では、該組成物は、結晶性II型ABT−263遊離塩基を含む。これらの実施形態のいずれによっても、該組成物は、例えば、経口経路によって送達可能であり得る。他の投与経路には、限定されるものではないが、非経口、舌下、頬側、鼻腔内、肺、局所、経皮、皮内、眼、耳、直腸、膣、胃内、頭蓋内、滑液嚢内および関節内投与が含まれる。
【0080】
ABT−263遊離塩基を溶液形態で、例えば、経口または非経口投与のための液体製剤で与えることが望ましい場合、ABT−263遊離塩基は当然、結晶形態でこのような製剤中に存在せず;実際、結晶の存在は、このような製剤中で一般に望ましくない。しかし、それにもかかわらず、本発明の結晶性ABT−263遊離塩基は、このような製剤を調製する方法においてAPIとして重要であり得る。したがって、本発明はさらに、結晶性ABT−263遊離塩基を医薬として許容される溶媒または溶媒の混合物に溶解させる段階を含む、ABT−263の医薬溶液組成物を調製する方法を提供する。一実施形態では、該方法は、溶媒または溶媒の混合物に結晶性I型ABT−263遊離塩基を溶解させる段階を含む。別の実施形態では、該組成物は、溶媒または溶媒の混合物に結晶性II型ABT−263遊離塩基を溶解させる段階を含む。
【0081】
望ましい製剤が、非晶質形態でABT−263遊離塩基を含有する製剤、例えば、固体溶融製剤である場合でさえも、結晶性ABT−263遊離塩基はやはり、このような製剤を調製する方法におけるAPIとして有用であり得る。例えば、ABT−263遊離塩基の固体分散体を調製する例証的な方法は、
(a)(i)結晶性ABT−263遊離塩基、(ii)医薬として許容される水溶性ポリマー担体および(iii)医薬として許容される界面活性剤を含むAPIを、適切な溶媒中に溶解させる段階;および
(b)該溶媒を除去して、該ポリマー担体および該界面活性剤を含み、固体マトリックス中に本質的に非結晶形態で分散した該ABT−263遊離塩基を有する、固体マトリックスを与える段階
を含む。
【0082】
別の例証的な方法は、結晶性ABT−263遊離塩基を少なくとも1種の医薬として許容されるポリマーおよび少なくとも1種の可溶化剤に添加する段階;得られた混合物から均質な溶融物を調製する段階;および該溶融物を固化させて、固体分散体生成物を得る段階を含む。
【0083】
APIとして、ABT−263遊離塩基の結晶形態、例えば、I型、II型またはこれらの混合物は、これまでの利用可能な非晶質形態を上回る利点を有する。例えば、大部分の規制当局によって要求されるAPIの高純度への精製は、より効率的であり、したがって、APIが非晶質形態と対照的に結晶形態である場合に費用はあまりかからない。物理的および化学的安定性、したがってAPI固体の保存期間も典型的に、非晶質形態よりも結晶形態がより良好である。取扱いの容易さは、油性または粘着性の傾向がある非晶質よりも改善される。有機溶媒に対してより大きな親和性を示し、明確な乾燥温度をもたない非晶質材料の場合よりも、明確な乾燥または脱溶媒和の温度を有する結晶材料の場合に、乾燥はより簡単であり、より容易に調節される。粒径分布は、例えば、結晶化過程の操作によって、結晶材料においてより容易に調節され得る。結晶性APIを用いる下流処理は、向上した工程管理を可能にする。液体製剤、例えば、脂質担体中の溶液を調製する際に、結晶性ABT−263は、より速く溶解し、溶解中にゲルを形成する傾向は低い。これらの利点は、例証であり、非限定的である。
【0084】
結晶性ABT−263遊離塩基を含む、またはAPIとして結晶性ABT−263遊離塩基を用いて調製される医薬組成物は、該組成物がそれを必要とする対象に適切なレジメンに従って投与される場合に治療有効量であり得る量で、ABT−263を含有する。投与量は、文脈が別に必要としない限り、本明細書で遊離塩基当量の量と表される。典型的には、適切な頻度、例えば、1日2回から毎週1回で投与され得る単位用量(一度で投与される量)は、約10から約1,000mgである。投与の頻度が1日1回(q.d.)である場合、単位用量と1日用量は同じである。具体的には、本発明の組成物中のABT−263の単位用量は、約25から約1,000mg、より典型的には約50から約500mg、例えば、約50、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450または約500mgであり得る。該組成物が、錠剤またはカプセルなどの別個の剤形として調製される場合、単位用量は、単一剤形または少ない複数の剤形、最も典型的には1から約10の剤形で送達可能であり得る。
【0085】
単位用量が高いほど、製剤中のAPI(この場合ABT−263遊離塩基)の比較的に高い負荷を可能とする賦形剤を選択することがより望ましくなる。典型的には、本発明によって調製される製剤中ABT−263遊離塩基の濃度は、少なくとも約1重量%、例えば、約1重量%から約25重量%であるが、特定の場合にはより低いおよびより高い濃度が許容可能または達成可能であることがある。具体的には、様々な実施形態におけるABT−263遊離塩基当量濃度は、少なくとも約2重量%、例えば、約2重量%から約20重量%、例えば、製剤の約5重量%、約10重量%または約15重量%である。
【0086】
本発明によって調製される組成物は、APIに加えて、1種以上の医薬として許容される賦形剤を含む。該組成物が、経口投与用の固体形態で、例えば、錠剤またはカプセルとして調製される場合、これは典型的には、少なくとも1種以上の固体希釈剤および1種以上の固体崩壊剤を含む。場合によって、賦形剤は、1種以上の結合剤、湿潤剤および/または減摩剤(潤沢剤、抗固着剤および/または流動促進剤)をさらに含む。多くの賦形剤は、医薬組成物中2つ以上の機能を有する。ある種の機能を有する特定の賦形剤、例えば、希釈剤、崩壊剤、結合剤などの本明細書での特徴付けは、その機能に限定すると読まれるべきではない。賦形剤についてのさらなる情報は、Handbook of Pharmaceutical Excipients、第3版(Kibbe編(2000年)、Washigton:American Pharmaceutical Association)などの標準的な参考資料に見出すことができる。
【0087】
適切な希釈剤には例証として、別個にまたは組み合わせて、ラクトース(無水ラクトースおよびラクトース一水和物を含む);ラクチトール;マルチトール;マンニトール;ソルビトール;キシリトール;デキストロースおよびデキストロース一水和物;フルクトース;スクロースおよびスクロース系希釈剤(圧縮糖、粉砂糖および粒状糖など);マルトース;イノシトール;加水分解穀物固形物;デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、バレイショデンプン、タピオカデンプンなど)、デンプン成分(アミロースおよびデキストレート(dextrate)など)および変性または加工デンプン(アルファ化デンプンなど);デキストリン;セルロース(粉末セルロース、微結晶セルロース、ケイ酸化微結晶セルロース、α−および非晶質セルロースならびに粉末セルロースの食品等級供給源、酢酸セルロース);カルシウム塩(炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム一水和物、硫酸カルシウムおよび顆粒状乳酸カルシウム三水和物を含む);炭酸マグネシウム;酸化マグネシウム;ベントナイト;カオリン;塩化ナトリウムなどが含まれる。このような希釈剤は、存在する場合、典型的には、合計で該組成物の約5重量%から約95重量%、例えば、約20重量%から約90重量%、または約50重量%から約85重量%を構成する。選択された1種の希釈剤または複数の希釈剤は、好ましくは適切な流動特性および、錠剤が望ましい場合は、圧縮性を示す。
【0088】
微結晶セルロースおよびケイ酸微結晶セルロースは、特に有用な希釈剤であり、場合によってマンニトールなどの水溶性希釈剤と組み合わせて使用される。具体的には、微結晶セルロースまたはケイ酸微結晶セルロースのマンニトールに対する適切な重量比は、約10:1から約1:1であるが、この範囲外の比が特定の状況で有用である場合がある。
【0089】
適切な崩壊剤には、別個にまたは組み合わせて、デンプン(アルファ化デンプンおよびデンプングリコール酸ナトリウムを含む);クレー;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;セルロース系崩壊剤(粉末セルロース、微結晶セルロース、メチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウムなど);アルギン酸塩;ポビドン;クロスポビドン;ポラクリリンカリウム;ガム(寒天、グアール、ローカストビーン、カラヤ、ペクチンおよびトラガカントガムなど);コロイド状二酸化ケイ素などが含まれる。1種以上の崩壊剤は、存在する場合、典型的には合計で該組成物の約0.2重量%から約30重量%、例えば、約0.5重量%から約20重量%、または約1重量%から約10重量%を構成する。
【0090】
デンプングリコール酸ナトリウムは、特に有用な崩壊剤であり、典型的には合計で該組成物の約1重量%から約20重量%、例えば、約2重量%から約15重量%、または約5%重量から約10重量%を構成する。
【0091】
結合剤または固着剤は、特に該組成物が錠剤の形態である場合に、有用な賦形剤である。このような結合剤および固着剤は、錠剤化されるブレンドに十分な結合をもたらし、通常の処理操作、例えば、サイジング、潤沢化、圧縮および包装を可能にするが、それでもやはり錠剤が崩壊し、該組成物が消化後に吸収されることを可能にするべきである。適切な結合剤および固着剤には、別個にまたは組み合わせて、アカシア;トラガカント;グルコース;ポリデキストロース;デンプン(アルファ化デンプンを含む);ゼラチン;改質セルロース(メチルセルロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびエチルセルロールを含む);デキストリン(マルトデキストリンを含む);ゼイン;アルギン酸およびアルギン酸の塩(例えば、アルギン酸ナトリウム);ケイ酸アルミニウムマグネシウム;ベントナイト;ポリエチレングリコール(PEG);ポリエチレンオキシド;グアーガム;多糖類酸;ポリビニルピロリドン(ポビドンまたはPVP)(例えば、ポビドンK−15、K−30およびK−29/32);ポリアクリル酸(カルボマー);ポリメタクリレートなどが含まれる。1種以上の結合剤および/または固着剤は、存在する場合、典型的には合計で該組成物の約0.5重量%から約25重量%、例えば、約1重量%から約15重量%、または約1.5重量%から約10重量%を構成する。
【0092】
ポビドンまたはヒドロキシプロピルセルロースは、別個にまたは組み合わせて、錠剤製剤用に特に有用な結合剤であり、存在する場合、典型的には該組成物の約0.5重量%から15重量%、例えば、約1重量%から約10重量%、または約2重量%から約8重量%を構成する。
【0093】
湿潤剤は、存在する場合、組成物の生物学的利用能を改善させ得る状態で、薬剤の水との密接な結合を維持するために通常は選択される。湿潤剤として使用され得る界面活性剤の非限定的な例には、別個にまたは組み合わせて、四級アンモニウム化合物、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよび塩化セチルピリジニウム;スルホコハク酸ジオクチルナトリウム;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、ノノキシノール9、ノノキシノール10およびオクトキシノール9);ポロキサマー(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンブロックコポリマー);ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび油(例えば、ポリオキシエチレン(8)カプリル酸/カプリン酸モノ−およびジグリセリド、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油およびポリオキシエチレン(40)水素化ヒマシ油);ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、セテス−10、ラウレス−4、ラウレス−23、オレス−2、オレス−10、オレス−20、ステアレス−2、ステアレス−10、ステアレス−20、ステアレス−100およびポリオキシエチレン(20)セトステアリルエーテル);ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレン(20)ステアレート、ポリオキシエチレン(40)ステアレートおよびポリオキシエチレン(100)ステアレート);ソルビタンエステル(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテートおよびソルビタンモノステアレート);ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、ポリソルベート20およびポリソルベート80);プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、プロピレングリコールラウレート);ラウリル硫酸ナトリウム;脂肪酸およびこの塩(例えば、オレイン酸、オレイン酸ナトリウムおよびオレイン酸トリエタノールアミン);脂肪酸グリセリルエステル(例えば、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリルおよびパルミトステアリン酸グリセリル);チロキサポールなどが含まれる。1種以上の湿潤剤は、存在する場合、典型的には合計で該組成物の約0.1重量%から約15重量%、例えば、約0.2重量%から約10重量%、または約0.5重量%から約7重量%を構成する。
【0094】
非イオン性界面活性剤、より詳細にはポロキサマーは、本明細書で有用であり得る湿潤剤の例である。具体的には、Pluronic(商標)F127などのポロキサマーは、存在する場合、該組成物の約0.1重量%から約10重量%、例えば、約0.2重量%から約7重量%、または約0.5重量%から約5重量%を構成し得る。
【0095】
潤沢剤は、錠剤製剤の圧縮の間に錠剤化混合物と錠剤化装置の間の摩擦を低減させる。適切な潤沢剤には、別個にまたは組み合わせて、ベヘン酸グリセリル;ステアリン酸およびこの塩(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸ナトリウムを含む);水素化植物油;パルミトステアリン酸グリセリル;タルク;ワックス;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;フマル酸ナトリウム;フマル酸ステアリルナトリウム;PEG(例えば、PEG4000およびPEG6000);ポロキサマー;ポリビニルアルコール;オレイン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム;ラウリル硫酸マグネシウムなどが含まれる。1種以上の潤沢剤は、存在する場合、典型的には合計で該組成物の約0.05重量%から約10重量%、例えば、約0.1重量%から約5重量%、または約0.2重量%から約2重量%を構成する。フマル酸ステアリルナトリウムは、特に有用な潤沢剤である。
【0096】
固着防止剤は、錠剤配合物の装置表面への固着を低減する。適切な固着防止剤には、別個にまたは組み合わせて、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、DL−ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウムおよび金属ステアリン酸塩が含まれる。1種以上の固着防止剤は、存在する場合、典型的には合計で該組成物の約0.05重量%から約10重量%、例えば、約0.1重量%から約7重量%、または約0.2重量%から約5重量%を構成する。コロイド状二酸化ケイ素は、特に有用な固着防止剤である。
【0097】
流動促進剤は、流動特性を改善し、錠剤化混合物中の静電気を低減させる。適切な流動促進剤には、別個にまたは組み合わせて、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、粉末セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、三ケイ酸マグネシウムおよび金属ステアリン酸塩が含まれる。1種以上の流動促進剤は、存在する場合、典型的には合計で該組成物の約0.05重量%から約10重量%、例えば、約0.1重量%から約7重量%、または約0.2重量%から約5重量%を構成する。コロイド状二酸化ケイ素は、特に有用な流動促進剤である。
【0098】
他の賦形剤、例えば、緩衝剤、安定剤、酸化防止剤、抗菌剤、着色剤、芳香剤および甘味剤は、医薬の技術分野で公知であり、本発明の組成物中で使用され得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、または例えば、非機能性フィルムまたは放出調節もしくは腸溶コーティングでコーティングされているコアを含むことができる。カプセルは、場合によって1種以上の可塑剤と一緒に、例えば、ゼラチン(硬質ゼラチンカプセルまたは軟質弾性ゼラチンカプセルの形態の)、デンプン、カラギーナンおよび/またはHPMCを含む硬質または軟質シェルを有し得る。
【0099】
本発明の経口送達可能な固体組成物は、これを調製するために使用される任意の方法によって限定されない。直接圧縮によるまたはそれなしの乾燥ブレンディング、および湿式または乾式造粒を含めて、薬学の任意の適切な方法が使用され得る。
【0100】
該組成物が、液体(カプセル化液体を含む)形態で調製される場合、API(結晶性ABT−263遊離塩基)は、例えば、適切な担体、典型的にはAPIのための液体溶媒を含むものに溶解させ得る。単位用量が高いほど、担体中での溶液中の薬剤の比較的高い濃度を可能にする担体を選択することがより望ましくなる。典型的には、担体中APIの遊離塩基当量濃度は、少なくとも約10mg/ml、例えば、約10から約500mg/mlであるが、特定の場合により低いおよびより高い濃度が許容または達成され得る。具体的には、様々な実施形態における薬剤濃度は、少なくとも約10mg/ml、例えば、約10から約250mg/ml、または少なくとも約20mg/ml、例えば、約20から約200mg/ml、例えば、約20、約25、約30、約40、約50、約75、約100または約150mg/mlである。
【0101】
担体は、実質的に非水性である、すなわち、水を有していない、または組成物の性能または特性に対して、実用的な点では、本質的に有害でないために十分少量である水の量を有することができる。典型的には、担体は、ゼロから約5重量%未満の水を含む。本明細書で有用な特定の成分は、これらの分子または超分子構造上または内に少量の水を結合することができ;このような結合水は、存在する場合、本明細書で定義される担体の「実質的に非水性の」特性に影響しない。
【0102】
一部の実施形態では、担体は、1種以上のグリセリド物質を含む。適切なグリセリド物質には、限定されるものではないが、中鎖から長鎖のモノ−、ジ−およびトリグリセリドが含まれる。本明細書で「中鎖」という用語は、約6個以上および約12個未満の炭素原子を別個に有するヒドロカルビル鎖を指し、例えば、CからC10鎖を含む。したがって、カプリリル鎖およびカプリル鎖を含むグリセリド物質、例えば、カプリル酸/カプリン酸モノ−、ジおよび/またはトリグリセリドは、本明細書で「中鎖」グリセリド物質の例である。本明細書で「長鎖」という用語は、少なくとも12個、例えば、約12から約18個の炭素原子を別個に有するヒドロカルビル鎖を指し、例えば、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、オレイル、リノレイルおよびリノレニル鎖を含む。グリセリド物質における中鎖から長鎖のヒドロカルビル基は、飽和、モノ−またはポリ不飽和であり得る。
【0103】
一実施形態では、担体は、中鎖および/または長鎖のトリグリセリド物質を含む。中鎖トリグリセリド物質の適切な例は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド生成物、例えば、Captex355EP(商標)(Abitec Corp.製)およびこれと実質的に等価の生成物などである。長鎖トリグリセリドの適切な例には、任意の医薬として許容される植物油、例えば、カノーラ、ココナッツ、トウモロコシ、綿実、フラックスシード、オリーブ、パーム、ピーナッツ、サフラワー、ゴマ、ダイズおよびヒマワリ油、ならびにこのような油の混合物が含まれる。例えば、魚油を含めて、動物(特に海生動物)起源の油も使用され得る。
【0104】
特に有用であるとわかった担体系は、2種の必須成分:リン脂質およびリン脂質用の医薬として許容される可溶化剤を含む。本明細書における1つの(またはその)リン脂質、可溶化剤または他の製剤成分への単数形での言及は、複数形を含み;したがって、2種以上のリン脂質または2種以上の可溶化剤の組合せ、例えば、混合物は、本明細書で明示的に企図されることが理解される。可溶化剤または可溶化剤とリン脂質との組合せも本薬剤を可溶化するが、担体中に場合によって存在する他の担体成分、例えば、界面活性剤またはアルコール(エタノールなど)などが、状況によっては、本薬剤の可溶化向上をもたらし得る。
【0105】
任意の医薬として許容されるリン脂質またはリン脂質の混合物が使用され得る。一般にこのようなリン脂質は、加水分解でリン酸、脂肪酸、アルコールおよび窒素含有塩基を生成するリン酸エステルである。医薬として許容されるリン脂質には、限定されるものではないが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリンおよびホスファチジルエタノールアミンが含まれ得る。一実施形態では、該組成物は、例えば、天然レシチン由来のホスファチジルコリンを含む。レシチンの任意の供給源が、卵黄などの動物供給源を含めて、使用され得るが、植物供給源が一般に好ましい。ダイズは、本発明における使用のためのホスファチジルコリンを与え得るレシチンの特に豊富な供給源である。
【0106】
具体的には、リン脂質の適切な量は、担体の約15重量%から約75重量%、例えば、約30重量%から約60重量%であるが、より多いおよびより少ない量が特定の状況では有用であり得る。
【0107】
可溶化剤の成分として有用な成分は、特に限定されず、ある程度、本薬剤のおよびリン脂質の所望の濃度に依存する。一実施形態では、可溶化剤は、1種以上のグリコール、1種以上のグリコリドおよび/または1種以上のグリセリド物質を含む。
【0108】
グリコールは一般に、非カプセル化製剤または軟質カプセルシェルが使用される場合にのみ適切であり、硬質ゼラチンシェルなどの硬質シェルに適合しない傾向がある。適切なグリコールには、プロピレングリコールおよび約200から約1,000g/molの分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)、例えば、約400g/molの平均分子量を有するPEG−400が含まれる。このようなグリコールは、本薬剤の比較的高い溶解度を与え得るが;しかし、このようなグリコールを含む担体において溶液中の場合に、ABT−263の酸化分解の可能性が増大し得るが、例えば、グリコールが超酸化物、過酸化物および/または遊離ヒドロキシルラジカルを生成する傾向のためである。担体のグリコール含有量が高いほど、ABT−263の分解への傾向はより大きくなり得る。したがって、一実施形態では、1種以上のグリコールは、担体の少なくとも約1重量%であるが約50重量%未満、例えば、約30重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満または約10重量%未満の全グリコール量で存在する。別の実施形態では、担体は、グリコールを実質的に含まない。
【0109】
グリコリドは、1種以上の有機酸、例えば、中鎖から長鎖脂肪酸でエステル化されたプロピレングリコールまたはPEGなどのグリコールである。適切な例には、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコールおよびジラウリン酸プロピレングリコール製品、例えば、Capmul PG−8(商標)、Capmul PG−12(商標)およびCapmul PG−21(商標)(それぞれ、Abitec Corp.製)およびこれらに実質的に等価の製品が含まれる。
【0110】
リン脂質と一緒に使用するための適切なグリセリド物質には、限定されるものではないが、上記のものが含まれる。1種以上のグリセリド物質が可溶化剤の主成分として存在する場合、グリセリドの適切な全量は、リン脂質を可溶化するために有効な、および担体の他の成分と組み合わせて、溶液中の本薬剤および酸化防止剤を維持するために有効な量である。例えば、中鎖および/または長鎖トリグリセリドなどのグリセリド物質は、担体の約5重量%から約70重量%、例えば、約15重量%から約60重量%または約25重量%から約50重量%の全グリセリド量で存在し得る。
【0111】
グリコール、グリコリドまたはグリセリド物質以外のさらなる可溶化剤が、必要に応じて含まれ得る。このような剤、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)などのN−置換アミド溶媒は、特定の場合に、担体中の本薬剤の溶解度の限度を上昇させ、それにより薬剤負荷の増大を可能にさせることに役立ち得る。しかし、本明細書での有用な担体は概して、このようなさらなる剤なしにABT−263の適切な溶解度を与える。
【0112】
リン脂質を可溶化するために十分な量のグリコール、グリコリドまたはグリセリド物質が存在する場合でさえも、得られた担体溶液および/または本薬剤−担体系が、やや粘稠で、取扱いが困難または不都合であることがある。このような場合、担体中に許容されるように低い粘度を与えるために有効な量で粘度低減剤を含むことが望ましいと見出され得る。このような作用物質の例は、アルコール、より詳細にはエタノールであり、これは好ましくは、水を実質的に含まない形態で導入され、例えば、99%エタノール、脱水アルコールUSPまたは無水アルコールである。しかし、過剰に高い濃度のエタノールは一般に避けるべきである。これは、例えば、本薬剤−担体系が、ゼラチンカプセルで投与されるべき場合に特に当てはまり、高いエタノール濃度がカプセルの力学的な不具合をもたらす傾向のためである。一般に、エタノールの適切な量は、担体の0重量%から約25重量%、例えば、約1重量%から約20重量%または約3重量%から約15重量%である。プロピレングリコールまたはPEGなどのグリコールならびに中鎖モノ−およびジグリセリド(例えば、カプリル酸/カプリン酸モノ−およびジグリセリド)も、比較的低い粘度に対して役立つことができ;本薬剤−担体系が硬質ゼラチンカプセルなどの硬質カプセル中にカプセル化される場合、中鎖モノ−およびジグリセリドがこの点で特に有用である。
【0113】
場合によって、担体は、医薬として許容される非リン脂質界面活性剤をさらに含む。当業者は、本発明の組成物において使用に適切な界面活性剤を選択することができる。具体的には、ポリソルベート80などの界面活性剤は、担体の0重量%から約5重量%、例えば、0重量%から約2重量%または0重量%から約1重量%の量で含まれ得る。
【0114】
好都合には、本発明の組成物において使用に適切なリン脂質+可溶化剤の組合せを含有する予備ブレンド製品が利用できる。予備ブレンドされたリン脂質+可溶化剤生成物は、本組成物の調製の容易さの改善に有利であり得る。
【0115】
予備ブレンドされたリン脂質+可溶化剤製品の具体的な例は、Phosal50PG(商標)(独国、Phospholipid GmbHから入手できる)であり、これは、50重量%以上のホスファチジルコリン、6重量%以下のリソホスファチジルコリン、約35重量%のプロピレングリコール、約3重量%のヒマワリ油由来のモノ−およびジグリセリド、約2重量%のダイズ脂肪酸、約2重量%のエタノール、ならびに約0.2重量%のアスコルビン酸パルミテートを含む。
【0116】
別の具体的な例は、Phosal53MCT(商標)(やはり、Phospholipid GmbHから入手できる)であり、これは、53重量%以上のホスファチジルコリン、6重量%以下のリソホスファチジルコリン、約29重量%の中鎖トリグリセリド、3−6重量%(典型的には約5%)のエタノール、約3重量%のヒマワリ油由来のモノ−およびジグリセリド、約2重量%のオレイン酸ならびに約0.2重量%のアスコルビン酸パルミテートを含有する(基準組成)。上記または実質的に等価の組成を有する製品は、Phosal53MCT(商標)のブランド名でまたは別の名称で販売されるもののいずれであっても、本明細書で「ホスファチジルコリン+中鎖トリグリセリド53/29」と総称的に称される。本文脈で「実質的に等価の組成」を有する製品は、本明細書での製品の利用に関して特性に実質的な違いを示さないように、その成分リストおよび成分の相対量において基準組成と十分に類似している組成を有することを意味する。
【0117】
さらに別の具体的な例は、Lipoid S75(商標)(Lipoid GmbHから入手できる)であり、これは、可溶化系中に70重量%以上のホスファチジルコリンを含有する。これは、中鎖トリグリセリドと、例えば、30/70重量/重量の混合物でさらにブレンドして、20重量%以上のホスファチジルコリン、2−4重量%のホスファチジルエタノールアミン、1.5重量%以下のリソホスファチジルコリンおよび67−73重量%の中鎖トリグリセリドを含有する製品(「Lipoid S75(商標)MCT」)を与える。
【0118】
さらに別の具体例は、Phosal50SA+(商標)(Phospholipid GmbHから入手できる)であり、これは、サフラワー油および他の成分を含む可溶化系中に50重量%以上のホスファチジルコリンおよび6重量%以下のリソホスファチジルコリンを含有する。
【0119】
これらの予備ブレンド製品のそれぞれのホスファチジルコリン成分は、ダイズレシチン由来である。実質的に等価の組成の製品が、他の供給業者から入手可能であり得る。
【0120】
Phosal50PG(商標)、Phosal53MCT(商標)、Lipoid S75(商標)MCTまたはPhosal50SA+(商標)などの予備ブレンド製品は、一部の実施形態では、実質的にその全担体系を構成し得る。他の実施形態では、さらなる成分、例えば、エタノール(予備ブレンド製品中に存在し得るものに追加して)、非リン脂質界面活性剤(ポリソルベート80など)、ポリエチレングリコールおよび/または他の成分が存在する。このようなさらなる成分は、存在する場合、典型的にはほんの少量で含まれる。具体的には、ホスファチジルコリン+中鎖トリグリセリド53/29は、担体中に、担体の約50重量%から100重量%、例えば、約80重量%から100重量%の量で含まれ得る。
【0121】
本発明に対して従来技術を構成するという承認ではなく参照により本明細書に組み込まれる、Krivoshikの米国特許出願公開第2009/0149461号明細書には、Phosal53MCT(商標)および脱水アルコールとして記載される希釈剤中に混合される(25mg/ml)場合に経口用溶液のための粉末の形態で試験薬ABT−263を用いる臨床試験が記載されている。
【0122】
ABT−263は、酸化環境における分解を受けやすく;したがって、しばしば、組成物中に酸化防止剤を含むことが望ましいことがわかる。医薬組成物中に使用される酸化防止剤は、最も典型的には、三重項または一重項酸素、超酸化物、過酸化物および遊離のヒドロキシルラジカルなどの酸化性種の生成を抑制する剤、またはこのような酸化性種をこれらが生成する際に捕捉する剤である。これらのクラスの一般的に使用される酸化防止剤の例には、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レチニルパルミテート、トコフェノール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸およびアスコルビン酸パルミテートが含まれる。このような酸化防止剤を使用することができ;代替として重カルコゲン酸化防止剤が、特に有用であり得る。
【0123】
カルコゲンは、酸素、硫黄、セレンおよびテルルを含めて、周期律表の16族(以前はVIA族として知られる)の元素である。本明細書で「重カルコゲン」は、特に硫黄およびセレンを含む、酸素より重い原子量を有するカルコゲンを意味する。「重カルコゲン酸化防止剤」または「HCA」は、1種以上の酸化性硫黄またはセレン、最も詳細には硫黄の原子を有する酸化防止剤特性を有する化合物である。理論に拘束されることなしに、HCAは、主に競合的基質として、すなわち、「犠牲」酸化防止剤として機能し、これは、酸化性種によって優先的に攻撃され、それにより本薬剤を過剰な分解から保護すると考えられる。
【0124】
一部の実施形態では、HCAは、1種以上の式II:
【0125】
【化3】

(ここで、
nは、0、1または2であり;
は、SまたはSeであり;
は、NHR、OHまたはH(ここで、Rは、アルキルまたはアルキルカルボニルである。)であり;
は、COORまたはCHOH(ここで、Rは、Hまたはアルキルである。)であり;
は、Hまたはアルキルであり;
ここで、アルキル基は、独立して、カルボキシル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノおよびアルキルカルボニルアミノ;その医薬として許容される塩;または、YがSであり、RがHである場合、この−S−S−ダイマーまたはこのようなダイマーの医薬として許容される塩からなる群から独立して選択される1種以上の置換基で独立して場合によって置換されている。)
の酸化防止剤化合物を含む。
【0126】
他の実施形態では、HCAは、式III:
【0127】
【化4】

(ここで、
Yは、S、SeまたはS−Sであり;
およびRは、H、アルキルおよび(CHであり、ここで、nは、0−10であり、Rは、アリールカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、カルボキシルまたはCHR−置換アルキルであり、ここで、RおよびRは、独立して、CO、CHOH、水素またはNHR10であり、ここで、Rは、H、アルキル、置換アルキルまたはアリールアルキルであり、R10は、水素、アルキル、アルキルカルボニルまたはアルコキシカルボニルから独立して選択される。)
の酸化防止剤化合物である。
【0128】
「アルキル」置換基または式IIもしくは式IIIによる置換基の部分を形成するまたは「アルキル」もしくは「アルコキシ」基は、1から約18個の炭素原子を有するものであり、直鎖または分岐鎖からなり得る。
【0129】
式IIIによる置換基の部分を形成する「アリール」基は、非置換のまたは1個以上のヒドロキシ、アルコキシまたはアルキル基で置換されたフェニル基である。
【0130】
一部の実施形態では、式IIにおけるRは、C1−4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)または(C1−4アルキル)カルボニル(例えば、アセチル)である。
【0131】
一部の実施形態では、式IIにおけるRは、HまたはC1−18アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピルまたはイソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチルまたはt−ブチル)、オクチル(例えば、n−オクチルまたは2−エチルヘキシル)、ドデシル(例えば、ラウリル)、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシルまたはオクタデシル(例えば、ステアリル)である。
【0132】
は、典型的にはHまたはC1−4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である。
【0133】
HCAは、例えば、天然もしくは合成のアミノ酸もしくはこの誘導体、例えば、アルキルエステルもしくはN−アシル誘導体、またはこのようなアミノ酸もしくは誘導体の塩とすることができる。アミノ酸またはこの誘導体が、天然源由来である場合、それは典型的にはL配置であるが;しかし、必要に応じて、D−異性体およびD,L−異性体混合物が置き換えられ得ることが理解される。
【0134】
本明細書で有用なHCAの非限定的な例には、β−アルキルメルカプトケトン、システイン、シスチン、ホモシステイン、メチオニン、チオジグリコール酸、チオジプロピオン酸、チオグリセロール、セレノシステイン、セレノメチオニンならびにこれらの塩、エステル、アミドおよびチオエーテルが含まれる。より詳細には、1種以上のHCAは、N−アセチルシステイン、N−アセチルシステインブチルエステル、N−アセチルシステインドデシルエステル、N−アセチル−システインエチルエステル、N−アセチルシステインメチルエステル、N−アセチルシステインオクチルエステル、N−アセチル−システインプロピルエステル、N−アセチルシステインステアリルエステル、N−アセチルシステインテトラデシルエステル、N−アセチルシステイントリデシルエステル、N−アセチルメチオニン、N−アセチルメチオニンブチルエステル、N−アセチルメチオニンドデシルエステル、N−アセチルメチオニンエチルエステル、N−アセチルメチオニンメチルエステル、N−アセチルメチオニンオクチルエステル、N−アセチルメチオニンプロピルエステル、N−アセチルメチオニンステアリルエステル、N−アセチルメチオニンテトラデシルエステル、N−アセチルメチオニントリデシルエステル、N−アセチル−セレノシステイン、N−アセチルセレノシステインブチルエステル、N−アセチルセレノシステインドデシルエステル、N−アセチルセレノシステインエチルエステル、N−アセチルセレノシステインメチルエステル、N−アセチルセレノシステインオクチルエステル、N−アセチルセレノシステインプロピルエステル、N−アセチルセレノシステインステアリルエステル、N−アセチルセレノシステインテトラデシルエステル、N−アセチルセレノシステイントリデシルエステル、N−アセチルセレノメチオニン、N−アセチルセレノメチオニンブチルエステル、N−アセチルセレノメチオニンドデシルエステル、N−アセチルセレノメチオニンエチルエステル、N−アセチルセレノメチオニンメチルエステル、N−アセチルセレノメチオニンオクチルエステル、N−アセチルセレノメチオニンプロピルエステル、N−アセチルセレノメチオニンステアリルエステル、N−アセチルセレノメチオニンテトラデシルエステル、N−アセチルセレノメチオニントリデシルエステル、システイン、システインブチルエステル、システインドデシルエステル、システインエチルエステル、システインメチルエステル、システインオクチルエステル、システインプロピルエステル、システインステアリルエステル、システインテトラデシルエステル、システイントリデシルエステル、シスチン、シスチンジブチルエステル、シスチンジ(ドデシル)エステル、シスチンジエチルエステル、シスチンジメチルエステル、シスチンジオクチルエステル、シスチンジプロピルエステル、シスチンジステアリルエステル、シスチンジ(テトラデシル)エステル、シスチンジ(トリデシル)エステル、N,N−ジアセチルシスチン、N,N−ジアセチルシスチンジブチルエステル、N,N−ジアセチルシスチンジエチルエステル、N,N−ジアセチルシスチンジ(ドデシル)エステル、N,N−ジアセチチルシスチンジメチルエステル、N,N−ジアセチルシスチンジオクチルエステル、N,N−ジアセチルシスチンジプロピルエステル、N,N−ジアセチルシスチンジステアリルエステル、N,N−ジアセチルシスチンジ(テトラデシル)エステル、N,N−ジアセチルシスチンジ(トリデシル)エステル、ジブチルチオジグリコレート、ジブチルチオジプロピオネート、ジ(ドデシル)チオジグリコレート、ジ(ドデシル)チオジプロピオネート、ジエチルチオジグリコレート、ジエチルチオジプロピオネート、ジメチルチオジグリコレート、ジメチルチオジプロピオネート、ジオクチルチオジグリコレート、ジオクチルチオジプロピオネート、ジプロピルチオジグリコレート、ジプロピルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジグリコレート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジ(テトラデシル)チオジグリコレート、ジ(テトラデシル)チオジプロピオネート、ホモシステイン、ホモシステインブチルエステル、ホモシステインドデシルエステル、ホモシステインエチルエステル、ホモシステインメチルエステル、ホモシステインオクチルエステル、ホモシステインプロピルエステル、ホモシステインステアリルエステル、ホモシステインテトラデシルエステル、ホモシステイントリデシルエステル、メチオニン、メチオニンブチルエステル、メチオニンドデシルエステル、メチオニンエチルエステル、メチオニンメチルエステル、メチオニンオクチルエステル、メチオニンプロピルエステル、メチオニンステアリルエステル、メチオニンテトラデシルエステル、メチオニントリデシルエステル、S−メチルシステイン、S−メチルシステインブチルエステル、S−メチルシステインドデシルエステル、S−メチルシステインエチルエステル、S−メチルスシテインメチルエステル、S−メチルシステインオクチルエステル、S−メチルシステインプロピルエステル、S−メチルシステインステアリルエステル、S−メチルシステインテトラデシルエステル、S−メチルシステイントリデシルエステル、セレノシステイン、セレノシステインブチルエステル、セレノシステインドデシルエステル、セレノシステインエチルエステル、セレノシステインメチルエステル、セレノシステインオクチルエステル、セレノシステインプロピルエステル、セレノシステインステアリルエステル、セレノシステインテトラデシルエステル、セレノシステイントリデシルエステル、セレノメチオニン、セレノメチオニンブチルエステル、セレノメチオニンドデシルエステル、セレノメチオニンエチルエステル、セレノメチオニンメチルエステル、セレノメチオニンオクチルエステル、セレノメチオニンプロピルエステル、セレノメチオニンステアリルエステル、セレノメチオニンテトラデシルエステル、セレノメチオニントリデシルエステル、チオジグリコール酸、チオジプロピオン酸、チオグリセロール、これらの異性体および異性体の混合物、ならびにこれらの塩から選択され得る。
【0135】
HCA化合物の塩は、酸付加塩、例えば、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギニン酸塩、炭酸水素酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシラート)、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリセロリン酸塩、グルタミン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、パラ−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩の塩であり得る。特定の実施形態では、個々に上記された化合物の1つの塩酸塩が、酸化防止剤有効量で組成物中に存在する。
【0136】
理論に拘束されることなしに、上に例示されたものなどの重カルコゲン酸化防止剤は、それら自体が容易に酸化可能であり、したがって、ABT−263よりも優先的に酸化されることによってABT−263を保護すると一般に考えられる。一般に、許容される程度のABT−263の保護を与えるこの作用様式に関して、式IIまたは式IIIの酸化防止剤は、実質的な量で、例えば、ABT−263に対するモル比で少なくとも約1:10で存在しなければならない。一部の実施形態では、酸化防止剤のABT−263に対するモル比は、約1:10から約2:1、例えば、約1:5から約1.5:1である。最良の結果は、モル比が約1:1、すなわち、約8:10から約10:8である場合に得られることがある。
【0137】
式IIまたは式IIIの硫黄含有酸化防止剤の酸化防止剤効果にもかかわらず、ABT−263がこの遊離塩基の形態で使用される場合、約1:1のモル比で、このような酸化防止剤は、保存後に濁る溶液をもたらす傾向を有することが見出された。
【0138】
しかし、ABT−263遊離塩基は、液体溶液で(しかし、酸化防止剤の不存在下で)製剤化される場合、塩の形態のABT−263、例えば、ABT−263ビス−HClよりもスルホキシド形成に感受性でないことが見出された。この発見を利用するために、異なるクラスの硫黄含有酸化防止剤、すなわち、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸塩およびチオ硫酸塩のクラスの無機酸化防止剤が、ABT−263遊離塩基とともに使用され得る。さらに複雑なことに、これらの酸化防止剤は、脂質難溶性であり、液体製剤が望ましい場合、水溶液で担体または薬剤−担体系に導入されなければならない。水の存在は、ABT−263溶液中のスルホキシド形成を促進するが、まさにこの作用を最小限にすることが求められる。添加される水の量を制限するために、脂質難溶性酸化防止剤は、本発明の一実施形態では、ABT−263の濃度に対してモル当量を与えるものよりもかなり低い濃度で添加される。
【0139】
亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸塩またはチオ硫酸塩の酸化防止剤などの脂質難溶性の酸化防止剤が使用される場合、これは、約1重量%を超えない、例えば、約0.2重量%から約0.8重量%の量で、薬剤−担体系中に水を伴う。このような少量の水で導入され得るこのような酸化防止剤の量は、典型的には薬剤−担体系の約0.2重量%を超えず、例えば、約0.02重量%から約0.2重量%、または約0.05重量%から約0.15重量%である。
【0140】
製剤に添加される水の量を最小限にするために、例えば、少なくとも約10重量%の酸化防止剤を有する、比較的濃縮した水性原液の形態で酸化防止剤を与えることが望ましい。しかし、過剰に濃縮された原液(例えば、約20%以上)が用いられる場合、これは、製剤中に望ましくない固体の沈殿をもたらし得る。原液中の適切な酸化防止剤濃度は、典型的には約10重量%から約18重量%、例証としては約15重量%である。
【0141】
亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸塩およびチオ硫酸塩のナトリウムおよびカリウムの塩は、本発明による有用な酸化防止剤であり;より詳細には、メタ重亜硫酸ナトリウムおよびカリウムである。
【0142】
スルホキシド形成をさらに最小限にするために、キレート剤、例えば、EDTAまたはこの塩(例えば、ジナトリウムEDTAまたはカルシウムジナトリウムEDTA)が、例えば、薬剤−担体系の約0.002重量%から約0.02重量%の量で、場合によって添加される。EDTAは、酸化防止剤と同様に水性原液として添加され得る。酸化防止剤およびEDTAは、必要に応じて、同じ原液の成分として添加され得る。キレート剤は、酸化分解を促進し得る金属イオンを封鎖する。
【0143】
本明細書で企図される非常に低い酸化防止剤濃度(典型的には、脂質難溶性の酸化防止剤の本実施形態によるABT−263に対するモル比は、約1:20以下である)でさえも、スルホキシド形成は、許容される限度内にとどまることが見出された。
【0144】
スルホキシド形成は、低い過酸化物価を有する製剤成分を選択することによってさらに最小限にすることができる。過酸化物価は、医薬賦形剤の十分に確立された特性であり、一般に賦形剤1キログラム当たり過酸化物のミリ当量(meq/kg)に相当する単位で表される(本明細書におけるように)。一部の賦形剤は本質的に、低い過酸化物価を有するが、他のもの、例えば、オレイル部分などの不飽和脂肪酸および/またはポリオキシエチレン鎖を有するものは、過酸化物の供給源であり得る。例えば、ポリソルベート80の場合、約5以下、例えば、約2以下の過酸化物価を有するポリソルベート80の供給源を選択することが好ましい。適切な供給源には、Crillet4HP(商標)およびSuper−Refined Tween80(商標)(両方ともCrodaから入手できる)が含まれる。
【0145】
理論に拘束されることなしに、ABT−263の治療効力は、少なくとも一部は、Bcl−2ファミリータンパク質、例えば、Bcl−2、Bcl−XまたはBcl−wに、該タンパク質の抗アポトーシス作用を阻害する方法で、例えば、該タンパク質のBH3結合溝を占有することによって、結合する能力によることが考えられる。
【0146】
本発明のなおさらなる実施形態では、アポトーシス異常および/または抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする疾患を有する対象に、治療有効量の結晶性ABT−263遊離塩基、または結晶性ABT−263遊離塩基および1種以上の医薬として許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与する段階を含む、該疾患を治療する方法が提供される。一実施形態では、該方法は、該対象に、結晶性I型ABT−263遊離塩基、または結晶性I型ABT−263遊離塩基および1種以上の医薬として許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与する段階を含む。別の実施形態では、該方法は、該対象に、結晶性II型ABT−263遊離塩基、または結晶性II型ABT−263遊離塩基および1種以上の医薬として許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与する段階を含む。
【0147】
本発明のなおさらなる実施形態では、(a)結晶性ABT−263遊離塩基を医薬として許容される溶媒または溶媒の混合物(例えば、上記賦形剤として挙げた溶媒などから選択される)に溶解させる段階、および(b)得られた溶液を治療有効量で、アポトーシス異常および/または抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする疾患を有する対象に投与する段階を含む、該疾患を治療する方法が提供される。一実施形態では、結晶性ABT−263遊離塩基は、結晶性I型ABT−263遊離塩基である。別の実施形態では、結晶性ABT−263遊離塩基は、結晶性II型ABT−263遊離塩基である。
【0148】
対象は、ヒトまたは非ヒト(例えば、農場、動物園、使役もしくはコンパニオン動物またはモデルとして使用される実験動物)とすることができるが、重要な実施形態では、対象は、例えば、アポトーシス異常および/または抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質の過剰発現を治療するために、該薬剤を必要としているヒト患者である。ヒト対象は、男性または女性および任意の年齢であり得る。患者は、典型的には成人であるが、本発明の方法は、小児科患者における白血病、例えば、急性リンパ性白血病などの小児癌を治療するために有用であり得る。
【0149】
該組成物は、通常は薬剤の治療的に有効な1日用量を与える量で投与される。本明細書で「1日用量」という用語は、投与の頻度にかかわらず、1日当たり投与される薬剤の量を意味する。例えば、対象が1日2回150mgの単位用量を受ける場合、1日用量は300mgである。「1日用量」という用語の使用は、規定された投与量が、1日1回必ず投与されることを意味しないと理解される。しかし、特定の実施形態では、投与頻度は、1日1回(q.d.)であり、1日用量および単位用量はこの実施形態では同じものである。
【0150】
治療的に有効な用量を構成するものは、特定の製剤の生物学的利用能、対象(対象の種および体重を含む)、治療される疾患(例えば、特定のタイプの癌)、疾患の病期および/または重症度、化合物の個々の対象の耐容性、化合物が単剤療法でまたは1種以上の他の薬剤(例えば、癌の治療用の他の化学療法剤)と併用して投与されるかどうか、ならびに他の要因に依存する。したがって、1日用量は、広い限界内で、例えば、約10から約1,000mgで変わり得る。より多いまたはより少ない1日用量が、特定の状況で適切であり得る。本明細書での「治療的に有効な」用量の本明細書での説明は、単に一回のこのような用量が投与される場合に、薬剤が治療的に有効であることを必ずしも必要とせず;典型的には、治療効力は、適切な頻度および投与の期間を含むレジメンに従って繰り返して投与される組成物に依存する。選択される1日用量は、癌を治療する点で利益をもたらすのに十分である一方、許容されないまたは耐容されない程度に有害な副作用を引き起こすのに十分でではないことが非常に好ましい。適切な治療的に有効な用量は、上記されたものなどの要因を考慮に入れて、本明細書での開示および本明細書で引用された技術に基づいて、過度の実験なしに通常の技術の医師によって選択され得る。医師は、例えば、有害な副作用のリスクを低減するために、癌患者に比較的低い1日用量の治療のコースを開始させ、数日または数週間の期間をかけて用量を増量してもよい。
【0151】
例証として、ABT−263の適切な用量は、約3時間から約7日間、例えば、約8時間から約3日間、または約12時間から約2日間の平均投与間隔で投与されて、一般に約25から約1000mg/日または約50から約1000mg/日、より典型的には約50から約500mg/日または約200から約400mg/日、例えば、約50、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450、約500、約750または約1000mg/日である。大部分の場合に、1日1回(q.d.)投与レジメンが適切である。
【0152】
本明細書で「平均投与間隔」は、期間をその期間にわたって投与される単位用量の数で除した期間、例えば、1日または1週間と定義される。例えば、薬剤が1日3回、午前8時頃、正午頃および午後6時頃に投与される場合、平均投与間隔は、8時間である(24時間の期間を3で除した)。薬剤が、錠剤またはカプセルなどの別個の剤形として製剤化される場合、1回に投与される複数(例えば、2から約10)の剤形は、平均投与間隔を定義する目的にとって単位用量とみなされる。
【0153】
1日投与量および投与間隔は、一部の実施形態では、血漿中のABT−263濃度を約0.5から約10μg/mlの範囲で維持するように選択され得る。したがって、このような実施形態によるABT−263治療のコースの間に、定常状態最高血漿中濃度(Cmax)は、一般に約10μg/mlを超えてはならず、定常状態最低血漿中濃度(Cmin)は、一般に約0.5μg/ml未満に減少してはならない。さらに、上で与えられた範囲内で、定常状態で約5以下、例えば、約3以下のCmax/Cmin比を与えるために有効な1日投与量および平均投与間隔を選択することが望ましいとわかる。投与間隔が長ければ長いほど、より大きいCmax/Cmin比をもたらす傾向があることが理解される。具体的には、定常状態で、ABT−263の約3から約8μg/mlのCmaxおよび約1から約5μg/mlのCminが、本方法で目標とされ得る。CmaxおよびCminの定常状態価は、例えば、限定されるものではないが、米国食品医薬局(FDA)などの規制機関に容認されるものを含む標準プロトコルに従って行われる、ヒトPK試験で決定され得る。
【0154】
本明細書で有用な組成物が、わずかな食品作用を示すと考えられる場合、本実施形態による投与は、食品と一緒にまたはそれなしで、すなわち、非絶食または絶食状態であり得る。一般に、本組成物を非絶食患者に投与することが好ましい。
【0155】
本発明の製剤は、単剤療法での、または例えば、他の化学療法剤もしくは電離放射線と一緒の併用療法での使用に適している。本発明の特定の利点は、1日1回レジメンで他の経口投与される薬剤による治療を受けている患者に都合のよいレジメンである、1日1回の経口投与を可能にすることである。経口投与は、患者(彼/彼女)によってまたは患者の家での介護者によって容易に行われ;それは、病院または居住看護設定における患者にとって都合のよい投与経路でもある。
【0156】
併用療法には具体的に、ボルテゾミド、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、デカルバジン、デキサメタゾン、ドセタクセル、ドキソルビシン、エトポシド、フルダラビン、ヒドロキシドキソルビシン、イリノテカン、パクリタクセル、ラパマイシン、リツキシマブ、ビンクリスチンなどの1種以上と、例えば、CHOP(シクロホスファミド+ヒドロキシドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾン)、RCVP(リツキシマブ+シクロホスファミド+ビンクリスチン+プレドニゾン)、R−CHOP(リツキシマブ+CHOP)またはDA−EPOCH−R(用量調整したエトポシド、プレドニゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびリツキシマブ)などの多剤療法と同時に、結晶性ABT−263遊離塩基を含む(またはAPIとして用いて調製された)組成物の投与を含む。
【0157】
ABT−263組成物は、限定されるものではないが、血管形成阻害薬、抗増殖剤、他のアポトーシス促進剤(例えば、Bcl−xL、Bcl−wおよびBfl−1阻害剤)、細胞死受容体経路の活性化剤、BiTE(bi−specific T−cell engager)抗体、デュアル可変ドメイン結合タンパク質(DVD)、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAP)、マイクロRNA、マイトジェン活性化細胞外シグナル制御キナーゼ阻害剤、多価結合タンパク質、ポリ−ADP(アデノシン二リン酸)−リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、抑制性小リボ核酸(siRNA)、キナーゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、ポロ様キナーゼ阻害剤、bcr−ablキナーゼ阻害剤、増殖因子阻害剤、COX−2阻害剤、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、抗分裂剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入性抗生物質、白金含有化学療法剤、増殖因子阻害剤、電離放射線、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的反応修飾剤、免疫剤、抗体、ホルモン療法、レチノイド、デルトイド、植物アルカノイド、プレテアソーム阻害剤、HSP−90阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、プリンアナログ、ピリミジンアナログ、MEK阻害剤、CDK阻害剤、ErbB2受容体阻害剤、mTOR阻害剤ならびに他の抗癌剤を含む1種以上の治療剤との併用療法で投与され得る。
【0158】
血管形成阻害剤には、限定されるものではないが、EGFR阻害剤、PDGFR阻害剤、VEGFR阻害剤、TIE2阻害剤、IGF1R阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ2(MMP−2)阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ9(MMP−9)阻害剤およびトロンボスポンジンアナログが含まれる。
【0159】
EGFR阻害剤の例には、限定されるものではないが、ゲフィチニブ、エルロチニブ、セツキシマブ、EMD−7200、ABX−EGF、HR3、IgA抗体、TP−38(IVAX)、EGFR融合タンパク質、EGF−ワクチン、抗−EGFR免疫リポソームおよびラパチニブが含まれる。
【0160】
PDGFR阻害剤の例には、限定されるものではないが、CP−673451およびCP−868596が含まれる。
【0161】
VEGFR阻害剤の例には、限定されるものではないが、ベバシズマブ、スニチニブ、ソラフェニブ、CP−547632、アキチチニブ、バンデタニブ、AEE788、AZD−2171、VEGFトラップ、バタラニブ、ペガプタニブ、IM862、パゾパニブ、ABT−869およびアンギオザイムが含まれる。
【0162】
ABT−263または本明細書での式Iの化合物以外のBcl−2ファミリータンパク質阻害剤には、限定されるものではないが、AT−101((−)ゴシポール)、Genasense(商標)Bcl−2−標的アンチセンスオリゴヌクレオチド(G3139またはオブリメルセン)、IPI−194、IPI−565、ABT−737、GX−070(オバトクラックス)などが含まれる。
【0163】
細胞死受容体経路の活性化剤には、限定されるものではないが、TRAIL、細胞死受容体(例えば、DR4およびDR5)を標的とする抗体または他の薬剤、例えば、アポマブ、コナツムマブ、ETR2−ST01、GDC0145(レクサツムマブ)、HGS−1029、LBY−135、PRO−1762およびトラスツズマブが含まれる。
【0164】
トロンボスポジンアナログの例には、限定されるものではないが、TSP−1、ABT−510、ABT−567およびABT−898が含まれる。
【0165】
オーロラキナーゼ阻害剤の例には、限定されるものではないが、VX−680、AZD−1152およびMLN−8054が含まれる。
【0166】
ポロ様キナーゼ阻害剤の例には、限定されるものではないが、BI−2536が含まれる。
【0167】
bcr−ablキナーゼ阻害剤の例には、限定されるものではないが、イマチニブおよびダサチニブが含まれる。
【0168】
白金含有剤の例には、限定されるものではないが、シスプラチン、カルボプラチン、エプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチンおよびサトラプラチンが含まれる。
【0169】
mTOR阻害剤の例には、限定されるものではないが、CCI−779、ラパマイシン、テムシロリムス、エベロリムス、RAD001およびAP−23573が含まれる。
【0170】
HSP−90阻害剤の例には、限定されるものではないが、ゲルダナマイシン、ラジシコール、17−AAG、KOS−953、17−DMAG、CNF−101、CNF−1010、17−AAG−nab、NCS−683664、エフングマブ、CNF−2024、PU3、PU24FCl、VER−49009、IPI−504、SNX−2112およびSTA−9090が含まれる。
【0171】
HDAC阻害剤の例には、限定されるものではないが、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、MS−275、バルプロ酸、TSA、LAQ−824、トラポキシンおよびデプシペプチドが含まれる。
【0172】
MEK阻害剤の例には、限定されるものではないが、PD−325901、ARRY−142886、ARRY−438162およびPD−98059が含まれる。
【0173】
CDK阻害剤の例には、限定されるものではないが、フラボピリドール、MCS−5A、CVT−2584、セリシクリブ、ZK−304709、PHA−690509、BMI−1040、GPC−286199、BMS−387032、PD−332991およびAZD−5438が含まれる。
【0174】
COX−2阻害剤の例には、限定されるものではないが、セレコキシブ、パレコキシブ、デラコキシブ、ABT−963、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、BMS−347070、RS57067、NS−398、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、SD−8381、4−メチル−2−(3,4−ジメチルフェニル)−1−(4−スルファモイルフェニル)−1H−ピロール、T−614、JTE−522、S−2474、SVT−2016、CT−3およびSC−58125が含まれる。
【0175】
NSAIDの例には、限定されるものではないが、サルサレート、ジフルニサル、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、ピロキシカム、ナプロキセン、ジクロフェナック、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、エトドラク、ケトロラクおよびオキサプロジンが含まれる。
【0176】
ErbB2受容体阻害剤の例には、限定されるものではないが、CP−724714、カネルチニブ、トラスツズマブ、ペツズマブ、TAK−165、イオナファミブ、GW−282974、EKB−569、PI−166、dHER2、APC−8024、抗−HER/2neu二重特異性抗体B7.her2IgG3およびHER2三機能二重特異性抗体mAB AR−209およびmAB 2B−1が含まれる。
【0177】
アルキル化剤の例には、限定されるものではないが、ナイトロジェンマスタードN−オキシド、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、ブスルファン、ミトブロニトール、カルボコン、チオテパ、ラニムスチン、ニムスチン、Cloretazine(商標)(ラロムスチン)、AMD−473、アルトレタミン、AP−5280、アパジコン、ブロスタリシン、ベンダムスチン、カルムスチン、エストラムスチン、ホテムスチン、グルホスファミド、KW−2170、マホスファミド、ミトラクトール、ロムスチン、トレオスルファン、ダカルバジンおよびテモゾロミドが含まれる。
【0178】
代謝拮抗剤の例には、限定されるものではないが、メトトレキサート、6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、5−フルオロウラシル(5−FU)単独またはロイコボリンとの併用、テガフール、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスファート、エノシタビン、S−1、ペメトレキセド、ゲムシタビン、フルダラビン、5−アザシチジン、カペシタビン、クラドリビン、クロファラビン、デシタビン、エフロルニチン、エテニルシチジン、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素、TS−1、メルファラン、ネララビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド二ナトリウム、ペントスタチン、ペリトレキソール、ラルチトレキセド、トリアピン、トリメトレキサート、ビダラビン、ミコフェノール酸、オクホスフェート、ペントスタチン、チアゾフリン、リバビリン、EICAR、ヒドロキシ尿素およびデフェロキサミンが含まれる。
【0179】
抗生物質の例には、限定されるものではないが、挿入抗生物質、アクラルビシン、アクチノマイシンD、アムルビシン、アンナマイシン、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(リポソーマルドキソルビシンを含む)、エルサミトルシン、エピルビシン、グラルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ネモルビシン、ネオカルジノスタチン、ペプロマイシン、ピラルビシン、レベッカマイシン、スチマラマー、ストレプトゾシン、バルルビシン、ジノスタチンおよびこれらの組合せが含まれる。
【0180】
トポイソメラーゼ阻害剤の例には、限定されるものではないが、アクラルビシン、アモナフィデ、ベロテカン、カンプトセシン、10−ヒドロキシカンプトセシン、9−アミノ−カンプトセシン、アマサクリン、デクスラゾキサン、ジフロモテカン、イリノテカンHCl、エドテカリン、エピルビシン、エトポシド、エキサテカン、ベカテカリン、ギマテカン、ルルトテカン、オラテシン、BN−80915、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピキサントロン、ルビテカン、ソブゾキサン、SN−38、タフルポシドおよびトポテカンが含まれる。
【0181】
抗体の例には、限定されるものではないが、リツキシマブ、セツキシマブ、ベバシズマブ、トラスツズマブ、CD40−特異的抗体およびIGF1R−特異的抗体、chTNT−1/B、デノスマブ、エドレコロマブ、WXG250、ザノリムマブ、リンツズマブおよびチシリムマブが含まれる。
【0182】
ホルモン療法の例には、限定されるものではないが、炭酸セベラマー、リロスタン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、モドラスタン、エキセメスタン、酢酸ロイプロリド、ブセレリン、セトロレリクス、デスロレリン、ヒストレリン、アナストロゾール、ホスレリン、ゴセレリン、デガレリクス、ドキセルカルシフェロール、ファドロゾール、ホルメスタン、タモキシフェン、アルゾキシフェン、ビカルタミド、アバレリクス、トリプトレリン、フィナステリド、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、トリロスタン、ラソフォキシフェン、レトロゾール、フルタミド、メゲステロール、ミフェプリストン、ニルタミド、デキサメタゾン、プレドニゾンおよび他のグルココルチコイドが含まれる。
【0183】
レチノイドまたはデルトイドの例には、限定されるものではないが、セオカルシトール、レキサカルシトール、フェンレチニド、アリレチノイン、トレチノイン、ベキサロテンおよびLGD−1550が含まれる。
【0184】
植物アルカロイドの例には、限定されるものではないが、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンが含まれる。
【0185】
プロテアソーム阻害剤の例には、限定されるものではないが、ボルテゾミブ、MG−132、NPI−0052およびPR−171が含まれる。
【0186】
免疫剤の例には、限定されるものではないが、インターフェロンおよび多くの他の免疫増強剤が含まれる。インターフェロンには、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ−1a、インターフェロンガンマ−1b、インターフェロンガンマ−n1およびこれらの組合せが含まれる。他の薬剤には、フィルグラスチム、レンチナン、シゾフィラン、BCGライブ、ウベニメクス、WF−10(テトラクロロデカオキシドまたはTCDO)、アルデスロイキン、アレムツズマブ、BAM−002、デカルバジン、デクリズマブ、デニロイキン、ゲムツズマブオゾガマイシン、イブリツモナブ、イミキモド、レノグラスチム、メラノーマワクチン、モルグラモスチム、サルガラモスチム、タソネルミン、テクロイキン、チマラシン、トシツモマブ、Virulizin(商標)免疫治療剤(Lorus Pharmaceuticals製)、Z−100(Maruyamaの特異的物質またはSSM)、Zevain(商標)(90Y−イブリツモマブチウキセタン)、エプラツズマブ、ミツモマブ、オレゴボマブ、ペムツモマブ、Provenge(商標)(シプロイセル−T)、テセロイキン、Therocys(商標)(Bacillus Calmette−Guerin)、細胞毒性リンパ球抗原4(CTLA4)抗体およびCTLA4を遮断することができる薬剤、例えば、MDX−010が含まれる。
【0187】
生物学的反応修飾剤の例は、生体または生物学的反応、例えば、組織細胞の生存、増殖または分化の防御機構を修飾して、それらを抗腫瘍活性に向かわせる薬剤である。このような薬剤には、限定されるものではないが、クレスチン、レンチナン、シゾフラン、ピシバニル、PF−3512676およびウベニメクスが含まれる。
【0188】
ピリミジンアナログの例には、限定されるものではないが、5−フルオロウラシル、フロキシウリジン、ドキシフルリジン、ラルチトレキセド、シタラビン、シトシンアラビノシド、フルダラビン、トリアセチルウリジン、トロキサシタビンおよびゲムシタビンが含まれる。
【0189】
プリンアナログの例には、限定されるものではないが、メルカプトプリンおよびチオグアニンが含まれる。
【0190】
抗分裂剤の例には、限定されるものではないが、N−(2−((4−ヒドロキシフェニル)アミノ)ピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼンスルホンアミド、パクリタクセル、ドセタクセル、ラロタクセル、エポチロンD、PNU−100940、バタブリン、イクサベピロン、パツピロン、XRP−9881、ビンフルニンおよびZK−EPO(合成エポチロン)が含まれる。
【0191】
放射線療法の例には、限定されるものではないが、体外照射療法(XBRT)、遠隔照射療法、近接照射療法、密封線源照射療法および非密封線源照射療法が含まれる。
【0192】
BiTE抗体は、2種の細胞に同時に結合することによって、T細胞に癌細胞を攻撃させる二重特異性抗体である。次いで、T細胞は、標的癌細胞を攻撃する。BiTE抗体の例には、限定されるものではないが、アデカツムマブ(Micromet MT201)、ブリナツモマブ(Micromet MT103)などが含まれる。理論に拘束されることなしに、T細胞が標的癌細胞のアポトーシスを誘発する機構の1つは、細胞溶解性顆粒成分の開口分泌によるものであり、これにはペルホリンおよびグランザイムBが含まれる。この点で、Bcl−2は、ペルホリンおよびグランザイムBの両方によるアポトーシスの誘導を弱めることが示された。これらのデータにより、Bcl−2の阻害は、癌細胞に対して標的化される場合に、T細胞により誘発される細胞毒性効果を増強し得ることが示唆される(Suttonら(1997年)J.Immunol.158:5783−5790頁)。
【0193】
SiRNAは、内因性RNA塩基または化学的に修飾されたヌクレオチドを有する分子である。修飾は、細胞活性をなくさず、安定性の増加および/または細胞能力の増加を与える。化学的修飾の例には、ホスホロチオエート基、2’−デオキシヌクレオチド、2’−OCH含有リボヌクレオチド、2’−F−リボヌクレオチド、2’−メトキシエチルリボヌクレオチド、これらの組合せなどが含まれる。siRNAは、様々な長さ(例えば、10−200bps)および構造(例えば、ヘアピン、一本鎖/二本鎖、バルジ、ニック/ギャップ、ミスマッチ)を有し、細胞中で処理されて、活性遺伝子サイレンシングを与える。二本鎖siRNA(dsRNA)は、それぞれのストランド(平滑末端)または不斉末端(オーバーハング)上の同数のヌクレオチドを有し得る。1−2つのヌクレオチドのオーバーハングは、センスおよび/またはアンチセンスストランド上に、ならびに所与のストランドの5’−および/または3’−末端上に存在し得る。例えば、Mcl−1を標的とするsiRNAは、ABT−263の活性を増強することが示された(Tseら(2008年)、上掲およびこの中の参考文献)。
【0194】
多価結合タンパク質は、2つ以上の抗原結合部位を含む結合タンパク質である。多価結合タンパク質は、3つ以上の抗原結合部位を有するように改変され、一般に天然起源の抗体ではない。「多重特異性結合タンパク質」という用語は、2以上の関連または非関連標的に結合することできる結合タンパク質を意味する。デュアル可変ドメイン(DVD)結合タンパク質は、2つ以上の抗原結合部位を含む四価または多価結合タンパク質の結合タンパク質である。このようなDVDは、単一特異性(すなわち、1つの抗原に結合することができる)または多重特異性(2つ以上の抗原に結合することができる)であり得る。2本の重鎖DVDポリペプチドおよび2本の軽鎖DVDポリペプチドを含むDVD結合タンパク質は、DVD Igと称される。DVD Igの各半分は、重鎖DVDポリペプチド、軽鎖DVDポリペプチドおよび2つの抗原結合部位を含む。各結合部位は、抗原結合部位当たりの抗原結合に関与する合計6つのCDRとともに、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含む。
【0195】
PARP阻害剤には、限定されるものではないが、ABT−888、オラパリブ、KU−59436、AZD−2281、AG−014699、BSI−201、BGP−15、INO−1001、ONO−2231などが含まれる。
【0196】
さらにまたは代替として、結晶性ABT−263遊離塩基を含む(またはAPIとして用いて調製される)組成物は、ABT−100、N−セチルコルキノール−O−ホスフェート、アシトレチン、AE−941、アグリコンプロトパナキサジオール、アルグラビン、三酸化ヒ素、AS04アジュバント−吸収HPVワクチン、L−アスパラギナーゼ、アタメスタン、アトラセンタン、AVE−8062、ボセンタン、カンホスファミド、Canvaxin(商標)、カツマキクソマブ、CeaVac(商標)、セルモロイキン、コンブレスタチンA4P、コンツスゲンラデノベク、Cotara(商標)、シプロテロン、デオキシコホルマイシン、デクスラゾキサン、N,N−ジエチル−2−(4−(フェニルメチル)フェノキシ)エタナミン、5,6−ジメチルキサンテノン−4−酢酸、ドコサヘキサン酸/パクリタクセル、ジスコデルモリド、エファプロキシラル、エンザスタウリン、エポチロンB、エチニルウラシル、エクシスリンド、ファリマレブ、Gastrimmune(商標)、GMKワクチン、GVAX(商標)、ハロフギノン、ヒスタミン、ヒドロキシカルバミド、イバンドロン酸、イブリツモマブチウキセタン、IL−13−PE38、イナリマレブ、インターロイキン4、KSB−311、ランレオチド、レナリドミド、ロナファルニブ、ロバスタチン、5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸、ミファムルチド、ミルテホシン、モテキサフィン、オブリメルセン、OncoVAX(商標)、Osidem(商標)、パクリタクセルアルブミン−安定化ナノ粒子、パクリタクセルポリグルメックス、パミドロネート、パニツムマブ、ペグインターフェロンアルファ、ペグアスパラガーゼ、フェノクソディオール、ポリ(I)−ポリ(C12U)、プロカルバジン、ランピルナーゼ、レビマスタット、組換え四価HPVワクチン、スクアラミン、スタウロスポリン、STn−KLHワクチン、T4エンドヌクラーゼV、タザロテン、6,6’,7,12−テトラメトキシ−2,2’−ジメチル−1β−ベルバマン、サリドマイド、TNFerade(商標)、131I−トシツモマブ、トラベクテジン、トリアゾン、腫瘍壊死因子、Ukrain(商標)、ワクチニア−MUC−1ワクチン、L−バリン−L−ボロプロリン、Vitaxin(商標)、ビテスペン、ゾレドロン酸およびゾルビシンから選択される1種以上の抗腫瘍薬との併用療法で投与され得る。
【0197】
一実施形態では、結晶性ABT−263遊離塩基を含む(またはAPIとして用いて調製される)組成物は、これを必要としている対象に治療有効量で、疾患の間に抗アポトーシスBcl−2タンパク質、抗アポトーシスBcl−Xタンパク質および抗アポトーシスBcl−wタンパク質の1種以上が過剰発現される疾患を治療するために投与される。
【0198】
別の実施形態では、結晶性ABT−263遊離塩基を含む(またはAPIとして用いて調製される)組成物は、これを必要としている対象に治療有効量で、異常細胞増殖および/または無調節アポトーシスの疾患を治療するために投与される。
【0199】
このような疾患の例には、限定されるものではないが、癌、中皮腫、膀胱癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頚部癌、皮膚または眼内黒色腫、卵巣癌、乳癌、子宮癌、ファロピウス管癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、膣癌、外陰癌、骨癌、結腸癌、直腸癌、肛門部癌、胃癌、胃腸(胃、結腸直腸および/または十二指腸)癌、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、睾丸癌、肝細胞(肝管および/または胆管)癌、原発性または続発性中枢神経系腫瘍、原発性または続発性脳腫瘍、ホジキン病、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞またはB細胞由来のリンバ性悪性疾患、黒色腫、多発性黒色腫、口腔癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎臓および/または尿管癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、脾臓癌、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫またはこれらの組合せが含まれる。
【0200】
より特定の実施形態では、結晶性ABT−263遊離塩基を含む(またはAPIとして用いて調製される)組成物は、これを必要としている対象に治療有効量で、膀胱癌、脳腫瘍、乳癌、骨髄癌、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、結腸直腸癌、食道癌、肝細胞癌、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞またはB細胞由来のリンパ性悪性疾患、黒色腫、骨髄性白血病、骨髄腫、口腔癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌または脾臓癌を治療するために投与される。
【0201】
これらの実施形態のいずれかによっても、該組成物は、単剤療法でまたは1種以上のさらなる治療剤との併用療法で投与され得る。
【0202】
例えば、対象における中皮腫、膀胱癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頚部癌、皮膚または眼内黒色腫、卵巣癌、乳癌、子宮癌、ファロピウス管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、骨癌、結腸癌、直腸癌、肛門部癌、胃癌、胃腸(胃、結腸直腸および/または十二指腸)癌、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、睾丸癌、肝細胞(肝管および/または胆管)癌、原発性または続発性中枢神経系腫瘍、原発性または続発性脳腫瘍、ホジキン病、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞またはB細胞由来のリンパ性悪性疾患、黒色腫、多発性黒色腫、口腔癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎臓および/または尿管癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、膵臓癌、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫またはこれらの組合せを治療する方法は、該対象に治療有効量の(a)結晶性ABT−263遊離塩基を含む(またはAPIとして用いて調製される)組成物および(b)エトポシド、ビンクリスチン、CHOP、リツキシマブ、ラパマイシン、R−CHOP、RCVP、DA−EPOCH−Rまたはボルテゾミブの1種以上を投与する段階を含む。
【0203】
特定の実施形態では、結晶性ABT−263遊離塩基を含む(またはAPIとして用いて調製される)組成物は、これを必要としている対象に治療有効量で、リンパ性悪性疾患、例えば、B細胞リンパ腫または非ホジキンリンパ腫の治療のために、治療有効量のエトポシド、ビンクリスチン、CHOP、リツキシマブ、ラパマイシン、R−CHOP、RCVP、DA−EPOCH−Rまたはボルテゾミブとの併用療法で投与される。
【0204】
他の特定の実施形態では、結晶性ABT−263遊離塩基を含む(またはAPIとして用いて調製される)組成物は、これを必要としている対象に治療有効量で、慢性リンパ性白血病または急性リンパ性白血病の治療のために、単剤療法でまたは治療有効量のエトポシド、ビンクリスチン、CHOP、リツミキマブ、ラパマイシン、R−CHOP、RCVP、DA−EPOCH−Rまたはボルテゾミブとの併用療法で投与される。
【0205】
本発明への関連のさらなる情報は、Tseら(2008年)Cancer Res.68:3421−3428頁によって最近公表された論文およびそれへのCancer Research Online(cancerres.aacrjournals.org/)で得られる補足データで入手できる。この論文およびその補足データは、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体結晶形態の化合物N−(4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−5,5−ジメチル−1−シクロヘキサ−1−エン−1−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(モルホリン−4−イル)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)−3−((トリフルオロメチル)スルホニル)ベンゼンスルホンアミド(ABT−263遊離塩基)。
【請求項2】
結晶形態が、以下のポジション:6.21、6.72、12.17、18.03および20.10°2θ、±0.2°2θのいずれか1つ以上における粉末X線回折ピークを少なくとも特徴とする、I型ABT−263遊離塩基である、請求項1の化合物。
【請求項3】
結晶形態が、前記ポジションのそれぞれにおける粉末X線回折ピークを少なくとも特徴とする、I型ABT−263遊離塩基である、請求項2の化合物。
【請求項4】
結晶形態が、以下のポジション:6.21、6.72、9.66、10.92、11.34、12.17、14.28、16.40、16.95、17.81、18.03、18.47、19.32、20.10および21.87°2θ、±0.2°2θのそれぞれにおける粉末X線回折ピークを少なくとも特徴とする、I型ABT−263遊離塩基である、請求項2の化合物。
【請求項5】
結晶形態が、以下のポジション:5.79、8.60、12.76、15.00および20.56°2θ、±0.2°2θのいずれか1つ以上における粉末X線回折ピークを少なくとも特徴とする、II型ABT−263遊離塩基である、請求項1の化合物。
【請求項6】
結晶形態が、前記ポジションのそれぞれにおける粉末X線回折ピークを少なくとも特徴とする、II型ABT−263遊離塩基である、請求項5の化合物。
【請求項7】
結晶形態が、以下のポジション:5.79、8.60、9.34、10.79、11.36、11.59、12.76、13.23、13.73、14.01、14.72、15.00、16.28、17.07、17.48、18.75、19.34、19.71、20.56および21.35°2θ、±0.2°2θのそれぞれにおける粉末X線回折ピークを少なくとも特徴とする、II型ABT−263遊離塩基である、請求項5の化合物。
【請求項8】
結晶形態が、有機溶媒で溶媒和されたABT−263遊離塩基を含む溶媒和物である、請求項1の化合物。
【請求項9】
溶媒和物が、エタノール/酢酸エチル混合物、1−プロパノール、2−プロパノール、メタノール、ベンゼン、トルエン、ジオキサン/ヘキサン混合物、酢酸メチル/ヘキサン混合物、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、ピリジン、アニソールおよびトリフルオロトルエンの溶媒和物からなる群から選択される、請求項8の化合物。
【請求項10】
請求項1の化合物および1種以上の医薬として許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項11】
結晶性ABT−263遊離塩基を医薬として許容される溶媒または溶媒の混合物に溶解させる段階を含む、ABT−263の医薬溶液組成物を調製する方法。
【請求項12】
結晶性ABT−263遊離塩基が、I型ABT−263遊離塩基を含む、請求項11の方法。
【請求項13】
結晶性ABT−263遊離塩基が、II型ABT−263遊離塩基を含む、請求項11の方法。
【請求項14】
アポトーシス異常および/または抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする疾患を有する患者に、治療有効量の(a)結晶性ABT−263遊離塩基または(b)結晶性ABT−263遊離塩基および1種以上の医薬として許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与する段階を含む、前記疾患を治療する方法。
【請求項15】
結晶性ABT−263遊離塩基が、I型ABT−263遊離塩基を含む、請求項14の方法。
【請求項16】
結晶性ABT−263遊離塩基が、II型ABT−263遊離塩基を含む、請求項14の方法。
【請求項17】
結晶性ABT−263遊離塩基が、有機溶媒で溶媒和されたABT−263遊離塩基を含む溶媒和物を含む、請求項14の方法。
【請求項18】
溶媒和物が、エタノール/酢酸エチル混合物、1−プロパノール、2−プロパノール、メタノール、ベンゼン、トルエン、ジオキサン/ヘキサン混合物、酢酸メチル/ヘキサン混合物、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、ピリジン、アニソールおよびトリフルオロトルエンの溶媒和物からなる群から選択される、請求項17の方法。
【請求項19】
結晶性ABT−263遊離塩基または医薬組成物が、経口、非経口、舌下、頬側、鼻腔内、肺、局所、経皮、皮内、眼、耳、直腸、膣、胃内、頭蓋内、滑液嚢内または関節内経路で投与される、請求項14の方法。
【請求項20】
疾患が、腫瘍性疾患である、請求項14の方法。
【請求項21】
腫瘍性疾患が、癌、中皮腫、膀胱癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頚部癌、皮膚または眼内黒色腫、卵巣癌、乳癌、子宮癌、ファロピウス管癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、膣癌、外陰癌、骨癌、結腸癌、直腸癌、肛門部癌、胃癌、胃腸(胃、結腸直腸および/または十二指腸)癌、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、睾丸癌、肝細胞(肝管および/または胆管)癌、原発性または続発性中枢神経系腫瘍、原発性または続発性脳腫瘍、ホジキン病、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞またはB細胞由来のリンバ性悪性疾患、黒色腫、多発性黒色腫、口腔癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎臓および/または尿管癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、脾臓癌、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項20の方法。
【請求項22】
腫瘍性疾患が、リンパ性悪性疾患である、請求項20の方法。
【請求項23】
リンパ性悪性疾患が、非ホジキンリンパ腫である、請求項22の方法。
【請求項24】
結晶性ABT−263遊離塩基または医薬組成物が、1日当たり約50から約1000mgのABT−263の用量で約3時間から約7日間の平均治療間隔で経口投与される、請求項14の方法。
【請求項25】
結晶性ABT−263遊離塩基または医薬組成物が、1日当たり約200から約400mgのABT−263遊離塩基当量の用量で1日1回経口投与される、請求項14の方法。
【請求項26】
結晶性ABT−263遊離塩基を医薬として許容される溶媒または溶媒の混合物に溶解させる段階、および得られた溶液を治療有効量で、アポトーシス異常および/または抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする疾患を有する対象に投与する段階を含む、前記疾患を治療する方法。
【請求項27】
結晶性ABT−263遊離塩基が、I型ABT−263遊離塩基を含む、請求項26の方法。
【請求項28】
結晶性ABT−263遊離塩基が、II型ABT−263遊離塩基を含む、請求項26の方法。
【請求項29】
結晶性ABT−263遊離塩基が、有機溶媒で溶媒和されたABT−263遊離塩基を含む溶媒和物を含む、請求項26の方法。
【請求項30】
溶媒和物が、エタノール/酢酸エチル混合物、1−プロパノール、2−プロパノール、メタノール、ベンゼン、トルエン、ジオキサン/ヘキサン混合物、酢酸メチル/ヘキサン混合物、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、ピリジン、アニソールおよびトリフルオロトルエンの溶媒和物からなる群から選択される、請求項29の方法。
【請求項31】
溶液が、経口、非経口、舌下、頬側、鼻腔内、肺、局所、経皮、皮内、眼、耳、直腸、膣、胃内、頭蓋内、滑液嚢内または関節内経路で投与される、請求項26の方法。
【請求項32】
疾患が、腫瘍性疾患である、請求項26の方法。
【請求項33】
腫瘍性疾患が、癌、中皮腫、膀胱癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頚部癌、皮膚または眼内黒色腫、卵巣癌、乳癌、子宮癌、ファロピウス管癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、膣癌、外陰癌、骨癌、結腸癌、直腸癌、肛門部癌、胃癌、胃腸(胃、結腸直腸および/または十二指腸)癌、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、睾丸癌、肝細胞(肝管および/または胆管)癌、原発性または続発性中枢神経系腫瘍、原発性または続発性脳腫瘍、ホジキン病、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞またはB細胞由来のリンバ性悪性疾患、黒色腫、多発性黒色腫、口腔癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎臓および/または尿管癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、脾臓癌、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項32の方法。
【請求項34】
腫瘍性疾患が、リンパ性悪性疾患である、請求項32の方法。
【請求項35】
リンパ性悪性疾患が、非ホジキンリンパ腫である、請求項34の方法。
【請求項36】
溶液が、1日当たり約50から約1000mgのABT−263の用量で約3時間から約7日間の平均治療間隔で経口投与される、請求項26の方法。
【請求項37】
溶液が、1日当たり約200から約400mgのABT−263遊離塩基当量の用量で1日1回経口投与される、請求項26の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−505249(P2013−505249A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529878(P2012−529878)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/048949
【国際公開番号】WO2011/034934
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】