説明

C.I.ピグメントイエロー155に基づく易分散性顔料調合物

本発明は、
A)5〜99重量%のPY155、及び
B)次の構造単位を含む、1〜95重量%のコポリマー、
を含む、固形顔料調合物に関する。
(i)1〜70モル%の構造単位B1
【化1】


(ii)1〜70モル%の構造単位B2
【化2】


(iii)1〜70モル%の構造単位B3
【化3】




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に電子写真用トナー及び現像剤に使用するための、易分散性顔料調合物の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
顔料誘導体及び低分子量化合物を用いての顔料の表面改質は既知であるが、応用媒体中での良好な分散性に関する性能は多くの場合に十分ではなく、ポリマーシェルの的確な選択を必要とする。
【0003】
EP−A−0908789(特許文献1)からは、C.I.ピグメントイエロー155を、電子写真用トナー及び現像剤、粉末塗料及びカラーフィルター中に黄色顔料として使用することが知られている。電子写真記録法では、感光体上に“荷電潜像”を生成させる。この“荷電潜像”は、静電気的に荷電させたトナーが供されることによって現像され、次いで例えば紙、繊維材料、フィルムまたはプラスチック上に転写され、そして例えば圧力、放射線、熱または溶剤作用により定着される。典型的なトナーは、一成分もしくは二成分粉末トナー(一成分もしくは二成分現像剤とも称される)であり、更に特殊トナー、例えば磁気トナー、液体トナーまたは重合トナーも使用される。重合トナーとは、例えば懸濁重合(縮合)または乳化重合によって生じ、トナーの向上した粒子特性を与えるトナーのことである。更に、非水系分散物中で生成されるトナーも意味される。
【0004】
静電画像を現像するためのトナーの慣用の製造は、構成分、例えば顔料、キャリア樹脂(トナーバインダー)及び他のトナー構成分を溶融状態(例えば押出機中で)混合し、次いで粉砕及び篩い分けすることによって行われる。近年では、トナーを製造するための化学的方法に益々関心が寄せられている。この所謂“化学トナー”を製造する多くの様々な方法がある。これには、例えば懸濁もしくは乳化重合、溶液−分散法、及び凝集(Aggregation)法などがある。
【0005】
溶融物として混合する従来の方法とは異なり、化学的トナー製造方法では構成分は、通常、液体(水、溶剤、モノマー混合物)として分散される。これは、使用する構成分、特に顔料及び荷電制御剤に新たな要求を課す。というのも、これらは、化学的トナー製造法に決定的な影響を及ぼし得るからである。
【0006】
二相系で進行する方法(例えば懸濁もしくは乳化重合)における重要な側面の一つは、例えば、各相に対するトナー構成分の親和性である。それで、例えば懸濁重合においては、トナー構成分がモノマー相中に留まり、水性相中には移らないことが望ましい。これによってのみ、トナー構成分が、重合の後に、完成したトナー粒子中に含まれることが保証される。更に、全ての成分が、液状相の物理的性質(例えば粘度)に、それゆえ中で重合が行われるモノマー液滴の形成に影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP−A−0908789
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
化学トナー製造法に使用することができる、P.Y.155に基づく顔料調合物を提供するというのが本発明が取り組む課題であった。化学トナー法に慣用のモノマー混合物を分散させる際に良好な分散性(低い剪断力下での迅速な色強度の発現)を有し、顔料分散物の低い粘度を与え、並びに高い疎水度を有する顔料調合物を簡単でかつ経済的な方法で製造することが目的であった。
【0009】
プラスチックの着色に、印刷用着色料もしくはインキまたは塗料の製造に、あるいは慣用のトナープロセスにおいて既知のP.Y.155に基づく顔料調合物のいずれも、これらの性質の全ては十分には満たすことができない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、以下に記載の顔料調合物が上記の要求を充たし得ることが見出された。
【0011】
本発明の対象は、
A)5〜99重量%、好ましくは40〜95重量%の次式(I)のアゾ顔料、
【0012】
【化1】

【0013】
B)以下の構造単位を含む、1〜95重量%、好ましくは5〜60重量%のコポリマー;
(i)1〜70モル%、好ましくは5〜60モル%の構造単位B1
【0014】
【化2】

【0015】
(ii)1〜70モル%、好ましくは5〜60モル%の構造単位B2
【0016】
【化3】

【0017】
(iii)1〜70モル%、好ましくは5〜60モル%の構造単位B3
【0018】
【化4】

【0019】
[式中、
、R及びRは、互いに独立して、水素またはC〜Cアルキルであり、
は、C−C60−アルキル、C−C18−アリール、C−C−アルキレン−C−C12−アリールまたはC−C18−ヘテロアリールを表し、
は、線状もしくは分枝状C−C40−アルキル、C−C30−シクロアルキル、C−C−アルキレン−C−C12−アリールまたはC−C30−アリールを意味し、
は、−COO−(CH−を意味し、
pは、1〜8の数を表し、
、R及びRは、互いに独立して、水素、線状もしくは分枝状C−C40−アルキル、C−C30−シクロアルキル、C−C30−アリールまたはベンジルを意味し、そして
nは、0〜1の数、好ましくは0.5〜0.99の数である]
を含む固形顔料調合物である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
数nは、アミン基の四級化度を表し、0〜100モル%、好ましくは50〜99モル%である。
【0021】
上述のアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、場合によっては置換されていてもよい。適当な置換基は、例えば(C−C)−アルキル、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素及びヨウ素、好ましくは塩素、ヒドロキシ及び(C−C)−アルコキシである。
、R及びRは、好ましくは水素またはメチルを意味する。
は、好ましくはC−C30−アルキル、C−C10−アリール、ベンジル、5もしくは6員の芳香族窒素含有C−C−ヘテロ環を意味する。
は、好ましくはC−C20−アルキル、C−C−シクロアルキル、ベンジル、フェニルまたはナフチルを意味する。
pは、好ましくは1、2、3、4、5または6を意味する。
、R及びRは、好ましくは、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、フェニル及びベンジルを意味する。
【0022】
更なる本発明の対象は、コポリマー(B)が、
(i)1〜70モル%、好ましくは5〜60モル%は構造単位B1、
(ii)1〜70モル%、好ましくは5〜60モル%は構造単位B2、及び
(iii)1〜70モル%、好ましくは5〜60モル%は構造単位B3、
からなることを特徴とする、顔料調合物である。
【0023】
構造単位B1は、以下の一般式(b1)のα,β−不飽和オレフィンから誘導される。
【0024】
【化5】

【0025】
例としては、以下のα,β−不飽和オレフィン、すなわちスチレン、アルファ−メチルスチレン、ジメチルスチレン、アルファ−エチルスチレン、ジエチルスチレン、i−プロピルスチレン、tert.−ブチルスチレン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、及びアルファ−オレフィン、例えばデセン、ドデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、オクタデセン、C20−アルファ−オレフィン、C24−アルファ−オレフィンまたはC30−アルファ−オレフィンが挙げられる。
【0026】
構造単位B2は、以下の一般式(b2)のエチレン性不飽和モノカルボン酸のエステルから誘導される。
【0027】
【化6】

【0028】
これの例は、メチル−、エチル−、プロピル−、イソプロピル−、n−ブチル−、t−ブチル−、ペンチル−、ヘキシル−、2−エチルヘキシル−、2−ヒドロキシエチル−、ノニル−、ラウリル−、シクロヘキシル−、イソボルニル−(メタ)アクリレート並びにフェニル−、ナフチル−及びベンジル(メタ)アクリレートである。
【0029】
構造単位B3は、以下の一般式(b3)のエチレン性不飽和モノカルボン酸のエステルから誘導され、これは重合の前または後に四級化することができる。
【0030】
【化7】

【0031】
これの例としては、以下のモノマー、すなわち2−アミノエチル−、N,N−ジエチルアミノエチル−、N,N−ジメチルアミノエチル−、N,N−ジプロピルアミノエチル−、N,N−ジブチルアミノエチル−、N,N−ジヘキシルアミノエチル−、N,N−ジエチルアミノブチル−、N,N−ジメチルアミノブチル−、N,N−ジプロピルアミノブチル−、N,N−ジブチルアミノブチル−、N,N−ジヘキシルアミノブチル−、N,N−ジエチルアミノプロピル−、N,N−ジメチルアミノプロピル−、N,N−ジプロピルアミノプロピル−、N,N−ジブチルアミノプロピル−、N,N−ジヘキシルアミノプロピル−、N,N−ジエチルアミノヘキシル−、N,N−ジメチルアミノヘキシル−、N,N−ジプロピルアミノヘキシル−、N,N−ジブチルアミノヘキシル−及びN,N−ジヘキシルアミノヘキシル−(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0032】
四級化剤としては、全ての種類の有機及び無機酸、及び/またはアルキル化剤、例えばヨウ化メチル、硫酸ジメチルまたは塩化ベンジルを使用し得る。
【0033】
該コポリマーはそれ自体は公知であり、当業者には既知の重合方法、例えば遊離基重合を用いて製造できる。更に、該コポリマーは、当業者に既知の制御された重合方法、例えば“可逆的付加開裂連鎖移動法”(RAFT)、“ニトロキシド仲介重合(NMP)”、“原子移動ラジカル重合”(ATRP)、及び“グループトランスファ重合”(GTP)を用いて製造できる。適当なコポリマーのモル質量は好ましくは1,000〜100,000g/モルの範囲である。特に適当なコポリマーは、2,000〜30,000g/モルの範囲のモル質量を有する。該コポリマーは、ランダム、交互、グラジエントまたはブロック状に構成することができる。
【0034】
C.I.ピグメントイエロー155は、商業的に入手可能な品質で使用でき、本発明の顔料調合物中には好ましくは30〜500nm、好ましくは50〜350nmの粒度(d50)で存在する。
【0035】
本発明の顔料調合物は、フィラー、難燃剤、防腐剤、光保護剤、顔料系もしくは非顔料系分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、樹脂、ワックス、消泡剤、帯電防止剤または荷電制御剤からなる群からの慣用の助剤を、好ましくは顔料調合物の総重量を基準にして0.1〜20重量%の慣用の量で、含むことができる。
【0036】
本発明の更なる対象は、上記の固形顔料調合物を製造する方法であって、粉末、グラニュール、プレスケーキまたは懸濁物の形の式(1)の顔料を、水または有機溶剤または水と有機溶剤との混合物の存在下に、少なくとも一種のコポリマー(B)、場合によっては及び前述の慣用の助剤と混合し、次いで固形の形で単離することを特徴とする、前記方法である。
【0037】
有利には、本発明の顔料調合物の製造は、水性顔料懸濁物をコポリマーと一緒に攪拌し、次いで濾別、乾燥及び粉末化することによって行われる。以下に記載のプロセスステップ(コポリマーの存在下での分散及び/または仕上げ)は、望む製品の性質に応じて有利となり得るものであり、必ずしも必要なものではない。特に有利な混合は、粉砕または分散装置を使用して達成し得る。このためには、攪拌装置、ディスソルバ(鋸歯攪拌機)、ローターステーターミル、ボールミル、攪拌ボールミル、例えばサンドもしくはビーズミル、高速混合機、混練装置、ロールミルまたは高性能ビーズミルを使用できる。この際、本発明の顔料調合物の微分散または粉砕は、所望の粒度分布まで行われ、そして0〜100℃、有利には10〜70℃、好ましくは20〜60℃の範囲の温度で行うことができる。こうして得られた微分散顔料調合物は、更に仕上げ処理に付すことができる。仕上げ処理は、有利には、存在する有機溶剤、水または水/溶剤混合物中で、50〜250℃、特に70〜200℃、就中100〜190℃の温度で、有利には5分間〜24時間、特に5分間〜18時間、就中5分間〜6時間、行われる。好ましくは、仕上げ処理は、沸騰温度で、または加圧下に溶剤系の沸点を超える温度下で行われる。純粋に水系の顔料分散物が好ましい場合には、場合により使用される溶剤は水蒸気蒸溜によって除去できる。
【0038】
本発明の顔料調合物は、例えば濾過、デカンテーション、遠心分離、噴霧乾燥、流動床乾燥、ベルト乾燥、噴霧造粒またはパドル乾燥器中での乾燥によって、固形の形態で単離される。本発明の顔料調合物の単離は、好ましくは、濾過、次いで乾燥によって行われる。得られる顔料調合物が粗粒状に生ずる場合には、これは、有利には、更に粉砕、例えば乾式粉砕に付する。
【0039】
本発明の顔料調合物は、従来のP.Y.155と比較して、顔料分散物のより高い疎水度及びより低い粘度を有し、それ故、化学トナーの製造法における要求をより優秀に充たす。
【0040】
本発明の顔料調合物は、電子写真用トナー及び現像剤、例えば一成分または二成分粉末トナー(一成分または二成分現像剤とも称される)、磁気トナー、液体トナー、ラテックストナー、重合トナー及び特殊トナー中の着色剤として適している。この際、本発明の顔料調合物は、単独の着色剤として、または他の黄色着色剤との組み合わせで、あるいは他の色相の着色剤を用いて他の色相の調色のために、カラートナーに使用することができる。
【0041】
ブラック、シアン、イエロー、マゼンタ、グリーン、オレンジ、レッド及びブルーの色の二種またはそれ以上のカラーセットとしても電子写真用カラートナーを製造するためには、着色剤、例えば有機カラー顔料、無機顔料または染料を、通常は粉末、分散物、プレスケーキ、溶液またはマスターバッチの形態で加える。有機カラー顔料は、アゾ顔料または多環式顔料またはこのような顔料の混晶(固溶体)の群から選択することができる。
【0042】
好ましいブルー及び/またはグリーン顔料は、銅フタロシアニン、例えばC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、ピグメントブルー16(金属不含のフタロシアニン)、またはアルミニウム、ニッケル、鉄もしくはバナジウムを中心原子として有するフタロシアニン、更にトリアリールカルボニウム顔料、例えばピグメントブルー1、2、9、10、14、60、62、68、80、ピグメントグリーン1、4、7、45; オレンジ顔料、例えばピグメントオレンジ5、62、36、34、13、43、71; イエロー顔料、例えばピグメントイエロー12、13、14、17、74、83、93、97、111、122、139、151、155、180、174、175、185、188、191、213、214、レッド顔料、例えばピグメントレッド48、57、122、146、147、149、150、184、185、186、202、207、209、238、254、255、269、270、272、バイオレット顔料、例えばピグメントバイオレット1、19、カーボンブラック、鉄/マンガン酸化物; 更にC.I.ピグメントバイオレット19及びC.I.ピグメントレッド122からなる混晶である。
【0043】
特に輝度を高めるため、並びに色相の調色のためには、有機染料との混合物が勧められる。このようなものとしては、好ましくは次のもの、すなわち水溶性染料、例えばダイレクト、レアクティブまたはアシッド染料、並びに溶剤可溶性染料、例えばソルベント染料、分散染料及び建染染料が挙げられる。例としては、C.I.リアクティブイエロー37、アシッドイエロー23、レアクティブレッド23、180、アシッドレッド52、リアクティブブルー19、21、アシッドブルー9、ダイレクトブルー199、ソルベントイエロー14、16、25、56、62、64、79、81、82、83、83:1、93、98、133、162、174、ソルベントレッド8、19、24、49、89、90、91、92、109、118、119、122、124、127、135、160、195、212、215、ソルベントブルー44、45、ソルベントオレンジ41、60、63、ディスパースイエロー64、バットレッド41、ソルベントブラック45、27が挙げられる。
【0044】
本発明の更なる対象は、それぞれ電子写真用トナーの総重量を基準にして、30〜99.99重量%、好ましくは40〜99.5重量%の慣用のバインダー、例えば重合樹脂、重付加樹脂または重縮合樹脂、例えばスチレン樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレンブタジエン樹脂、アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール−エポキシド樹脂、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンコポリマー、または“バイオベース”ポリマー(ダイズまたはトウモロコシなどの再生可能原料から製造される)またはこれらの組み合わせ、0.001〜50重量%、好ましくは0.05〜20重量%の本発明の顔料調合物、場合により0.001〜50重量%、好ましくは0.05〜20重量%の更なる着色剤、場合により0.01〜50重量%、好ましくは0.01〜20重量%のワックス、場合により及び0.01〜50重量%、好ましくは0.05〜20重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の少なくとも一種の荷電制御剤を含む電子写真用トナーである。
【0045】
更に、本発明の顔料調合物は、物体、例えば金属、木材、プラスチック、ガラス、セラミック、コンクリート、繊維材料、紙またはゴムからなる物体の表面被覆に使用される粉体及び粉末塗料、特に摩擦電気的もしくは動電気的(elektrokinetisch)に噴霧可能な粉末塗料中の着色剤として適している。粉末塗料樹脂としては、典型的には、エポキシド樹脂、カルボキシル−及びヒドロキシル基含有ポリエステル樹脂、ポリウレタン−及びアクリル樹脂が、通例の硬化剤と組み合わせて使用される。複数種の樹脂の組み合わせも使用される。例えば、エポキシド樹脂は、しばしば、カルボキシル−及びヒドロキシル基含有ポリエステル樹脂と組み合わせて使用される。典型的な硬化剤成分(樹脂系に依存する)は、例えば酸無水物、イミダゾール類並びにジシアンジアミド及びこれの誘導体、キャップされたイソシアネート類、ビスアシルウレタン類、フェノール−及びメラミン樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート類、オキサゾリン類及びジカルボン酸類である。
【0046】
更に、本発明の顔料調合物は、水系または非水系のインクジェットインキ、マイクロエマルションインキ、UVインキ中の着色剤として、並びにホットメルトプロセスに従い機能するインキ中の着色剤として適している。インクジェット用インキは、一般的に、本発明の顔料調合物を(乾燥物として計算して)合計0.5〜50重量%、好ましくは1〜25重量%含む。
【0047】
マイクロエマルションインキは、有機溶剤、水、場合によって及び追加のハイドロトロープ物質(相溶化剤)に基づく。マイクロエマルションインキは、一般的に、本発明の顔料調合物0.5〜15重量%、好ましくは1.5〜8重量%、水5〜99重量%、及び有機溶剤及び/またはハイドロトロープ化合物0.5〜94.5重量%を含む。
【0048】
“溶剤系”インクジェットインキは、好ましくは、本発明の顔料調合物0.5〜15重量%、有機溶剤及び/またはハイドロトロープ化合物85〜99.5重量%を含む。典型的な有機溶剤は、エステル類、ケトン類、アセテート類、アルコール類の単独または混合物である。
【0049】
ホットメルトインキは、大概は、室温下に固形であり、加温下に液状になるワックス、脂肪酸、脂肪アルコールまたはスルホンアミド類に基づき、この際、好ましい溶融範囲は約60℃〜約140℃である。ホットメルト型インクジェットインキは、例えば、ワックス20〜90重量%、及び本発明の顔料調合物1〜10重量%から本質的になる。更に、0〜20重量%の追加のポリマー(“染料溶解剤”として)、0〜5重量%の分散助剤、0〜20重量%の粘度調節剤、0〜20重量%の可塑剤、0〜10重量%の粘着性付与剤、0〜10重量%の透明性安定化剤(例えばワックスの結晶化を防止する剤)、及び0〜2重量%の酸化防止剤も含まれ得る。UVインキは、典型的には、低分子量モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−及び/またはペンタ−官能性アクリレートのモノマー、及び/またはアクリレート−、ウレタン−、エポキシ−、またはポリエステル−ベースのオリゴマーからなる。UVインキは、典型的には、カチオン、アニオンまたはラジカルにより開始/架橋される。
【0050】
更に、本発明の顔料調合物は、加法混色及び減法混色のためのカラーフィルターのための着色剤として、並びに電子インキ(“エレクトニックインキ”もしくは“e−インキ”)または“電子ペーパー”(“e−ペーパー”)のための着色剤として適している。
【0051】
反射型または透明型カラーフィルターの所謂カラーフォルターを製造するためには、顔料を、適当なバインダー(アクリレート、アクリルエステル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、エポキシド、ポリエステル、メラミン、ゼラチン、カゼイン)中の、ペーストの形態でまたは顔料着色したフォトレジストとして、個々のLCD素子(例えば、TFT−LCD=薄膜トランジスタ液晶ディスプレーまたは例えば((S)TN−LCD=(超)捻りネマチックLCD))に付与する。高い熱安定性の他に、安定したペーストまたは顔料着色されたフォトレジストには、高い顔料純度も前提条件である。更に、顔料着色されたカラーフィルターは、インクジェット印刷法または他の適当な印刷法によっても施用できる。
【0052】
本発明の顔料調合物は、当然に、全ての種類の天然及び合成材料の顔料着色及び染色にも適しており、特に水及び/または溶剤を含む、ペイント、コーティング系、例えば壁紙用着色料、印刷インキ、エマルション塗料及び着色ニスの顔料着色及び染色に適している。
【0053】
更に、本発明の顔料調合物は、全ての種類の高分子量材料の着色に、例えば天然及び合成繊維材料、好ましくはセルロース繊維の着色に、並びにパルプの着色及び積層材の着色に適している。更なる用途は、印刷インキ、例えば、テクスタイル印刷用インキ、フレキソ印刷用インキ、装飾印刷用インキまたは凹版印刷用インキの製造、壁紙用着色料、水で希釈可能な塗料、木材保護系、ビスコース紡糸着色料、ワニス、ソーセージケーシング、種、肥料、ガラス、特にガラスフラスコの製造、並びに屋根瓦のバルク着色、漆喰、コンクリート、木材着色用媒染剤、色鉛筆の芯、フェルトペン、ワックス、パラフィン、製図用インキ、ボールペン用ペースト、チョーク、洗剤及び洗浄剤、靴の手入れ剤、ラテックス製品、研磨剤の着色である。
【0054】
加えて、本発明の顔料調合物は、様々な種類の被覆されたもしくは被覆されていない基材の印刷に使用でき、例えば厚紙、ボール紙、木材、及び木材原材料、金属製材料、半導体材料、セラミック材料、ガラス、ガラス繊維及びセラミック繊維、無機原材料、コンクリート、皮革、食品、化粧料、皮膚及び毛髪の印刷に使用することができる。この際、前記基材は、二次元に平坦であるかまたは空間に広がること、すなわち立体的に形成することができ、また完全にまたは部分的にのみ印刷または被覆することができる。
【実施例】
【0055】
本発明の顔料調合物を製造するための一般的指示
含湿プレスケーキ(35重量%)の形の商業的に入手可能なC.I.ピグメントイエロー155(Toner(登録商標)Yellow 3GP)60gを、水1,000g中の完成したコポリマー6.8gと1時間50℃で混合した。次いで、この表面コートされた顔料を濾別し、濾液の伝導率が<0.5mS/cmとなるまで水で洗浄した。このコートされた顔料を、80℃で循環空気乾燥キャビネット中で乾燥し、次いで粉末化した。65gの顔料調合物が得られた。
【0056】
例1〜6:
表1に示すコポリマー1〜6を添加した前記一般的指示による製造
対照例:コポリマーを添加しなかった。
【0057】
【表1】

【0058】
IBMA = イソボルニルメタクリレート
ST = スチレン
BMA = n−ブチルメタクリレート
MMA = メチルメタクリレート
DMAEMA = N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMAEMA−Bz = N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、塩化ベンジルで四級化
EHMA = 2−エチルヘキシルメタクリレート
HEMA = 2−ヒドロキシエチルメタクリレート
VI = ビニルイミダゾール
【0059】
試験方法:
1.粘度:
顔料調合物を、ガラスビーズを添加して、5%の濃度でスチレン中にペイントシェーカーで分散する。篩を用いてガラスビーズを分離した後、この分散物について、コーン・プレート粘度計を用いて粘度曲線(T=23℃、剪断速度60秒間で0〜250s−1)を記録する。以下の表に、250s−1の剪断速度での値を示す。
2.疎水度:
0.1gの顔料を10gの水に加える。顔料が水の表面上に残るか(高疎水度)または水に濡れて底に沈むか(低疎水度)を観察する。次いで、この顔料/水混合物を短時間、手で振盪し、次いでもう一度目視評価する。
評価:
++ = 非常に高い疎水度(顔料は濡れず、水の表面上に残る)、
+ = 高い疎水度(殆どの量の試料が水表面上に残り、水相が着色される)、
− = 低い疎水度(顔料は水で濡れて底に沈む)
【0060】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)5〜99重量%の式(1)のアゾ顔料;
【化1】

B)以下の構造単位を含む、1〜95重量%のコポリマー;
(i)1〜70モル%の構造単位B1
【化2】

(ii)1〜70モル%の構造単位B2
【化3】

(iii)1〜70モル%の構造単位B3
【化4】

[式中、
、R及びRは、互いに独立して、水素またはC−C−アルキルであり、
は、C−C60−アルキル、C−C18−アリール、C−C−アルキレン−C−C12−アリールまたはC−C18−ヘテロアリールを表し、
は、線状もしくは分枝状C−C40−アルキル、C−C30−シクロアルキル、C−C−アルキレン−C−C12−アリールまたはC−C30−アリールを意味し、
は、−COO−(CH−を意味し、
pは、1〜8の数を表し、
、R及びRは、互いに独立して、水素、線状もしくは分枝状C−C40−アルキル、C−C30−シクロアルキル、C−C30−アリールまたはベンジルを意味し、そして
nは、0〜1の数を表す]
を含む、固形顔料調合物。
【請求項2】
A)40〜95重量%の式(1)のアゾ顔料、及び
B)5〜60重量%のコポリマー、
を含む、請求項1の顔料調合物。
【請求項3】
コポリマー(B)が、
(i)5〜60モル%の構造単位B1、
(ii)5〜60モル%の構造単位B2、及び
(iii)5〜60モル%の構造単位B3、
を含むことを特徴とする、請求項1または2の顔料調合物。
【請求項4】
コポリマー(B)が、
(i)1〜70モル%は構造単位B1、
(ii)1〜70モル%は構造単位B2、及び
(iii)1〜70モル%は構造単位B3、
からなることを特徴とする、請求項1〜3の一つまたはそれ以上の顔料調合物。
【請求項5】
コポリマー(B)が、
(i)5〜60モル%は構造単位B1、
(ii)5〜60モル%は構造単位B2、及び
(iii)5〜60モル%は構造単位B3、
からなることを特徴とする、請求項1〜4の一つまたはそれ以上の顔料調合物。
【請求項6】
、R及びRが、同一かまたは異なり、水素またはメチルを意味することを特徴とする、請求項1〜4の一つまたはそれ以上の顔料調合物。
【請求項7】
が、C−C30−アルキル、C−C10−アリール、ベンジル、5または6員の芳香族窒素含有C−C−ヘテロ環を意味することを特徴とする、請求項1〜5の一つまたはそれ以上の顔料調合物。
【請求項8】
が、C−C20−アルキル、C−C−シクロアルキル、ベンジル、フェニルまたはナフチルを意味することを特徴とする、請求項1〜6の一つまたはそれ以上の顔料調合物。
【請求項9】
、R及びRが、同一かまたは異なり、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、フェニルまたはベンジルを意味することを特徴とする、請求項1〜7の一つまたはそれ以上の顔料調合物。
【請求項10】
式(1)の顔料が30〜500nmの粒度(d50)を有することを特徴とする、請求項1〜8の一つまたはそれ以上の顔料調合物。
【請求項11】
フィラー、難燃剤、防腐剤、光保護剤、顔料系もしくは非顔料系分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、樹脂、ワックス、消泡剤、帯電防止剤または荷電制御剤の群からの助剤を含む、請求項1〜9の一つまたはそれ以上の顔料調合物。
【請求項12】
式(1)の顔料を、粉末、グラニュール、プレスケーキまたは懸濁物の形態で、水または有機溶剤または水と有機溶剤との混合物の存在下に、少なくとも一種のコポリマー(B)と混合し、次いで固形の形態で単離することを特徴とする、請求項1〜10の一つまたはそれ以上の顔料調合物の製造方法。
【請求項13】
天然及び合成材料の顔料着色及び染色のための、請求項1〜10の一つまたはそれ以上の顔料調合物の使用。
【請求項14】
壁紙用着色剤、印刷インキ、エマルションペイント、着色ニス、電子写真用トナーもしくは現像剤、インクジェット用インキ、及びカラーフィルターの顔料着色のための、請求項12の使用。
【請求項15】
各々電子写真用トナーの総重量を基準にして、バインダー30〜99.99重量%、請求項1〜10の一つまたはそれ以上の顔料調合物0.001〜50重量%、場合により更に別の着色剤0.001〜50重量%、場合によりワックス0.01〜50重量%、場合により及び荷電制御剤0.01〜50重量%を含む、電子写真用トナー。

【公表番号】特表2013−507457(P2013−507457A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532478(P2012−532478)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005799
【国際公開番号】WO2011/042120
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】