説明

CATV伝送用増幅器

【課題】複数の端子仕様に対応させることができ、改修時の施工を容易にすることができるCATV伝送用増幅器を提供する。
【解決手段】複数の出力端子を備えた幹線分岐増幅器に複数のソケット端子を備えた出力切替部を設ける。出力切替部は、回路切替カードを通常の向き及び逆向きに装着できるように構成する。回路切替カードは、1〜9番の接続ピンを備え、回路配線によって所定番号のピン間を接続する。出力切替部のソケットコネクター部に回路切替カードを通常の向きに装着した場合は、分岐増幅器の出力と複数の出力端子との間を端子仕様1となるように接続する。また、回路切替カードを逆向きに装着した場合は、分岐増幅器の出力と複数の出力端子との間を端子仕様2となるように接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路切替カードを用いて複数の端子仕様に対応させることができる回路切替手段、当該回路切替手段を具備した電子機器装置、及びCATV伝送用増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
CATVシステムでは、受信点装置(ヘッドエンド)で受信したテレビ信号を伝送する際、高品位の同軸ケーブルにより一定の間隔でCATV伝送用増幅器(幹線増幅器)を多段にカスケードに接続し、該増幅器で信号を増幅しながら加入者端末が集合するエリアまで伝送している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
既設の施設において、例えば製品寿命や故障、あるいは伝送帯域の拡張などでCATV伝送用増幅器を交換する場合がある。
【0004】
上記CATV伝送用増幅器において、幹線出力と分岐出力を備えた幹線分岐増幅器、または幹線出力と分配出力を備えた幹線分配増幅器の端子仕様は、メーカーによって様々であるが、多くは図10(a)に示す端子仕様1と、同図(b)に示す端子仕様2の2種類に分けられる。なお、図10は幹線分岐増幅器10の端子仕様を示しているが、幹線分配増幅器においても同様の端子仕様となっている。
【0005】
図10(a)に示す幹線分岐増幅器10の端子仕様1は、ケース本体の左側に入力端子11と第1の分岐出力端子13aが設けられ、右側に幹線出力端子12と第2の分岐出力端子13bが設けられている。この場合、入力端子11とケース本体の左右対称の位置に幹線出力端子12が設けられる。また第1の分岐出力端子13aとケース本体の左右対称の位置に第2の分岐出力端子13bが設けられる。
【0006】
図10(b)に示す幹線分岐増幅器10の端子仕様2は、ケース本体の左側に入力端子11と第1の分岐出力端子13aが設けられ、右側に第2の分岐出力端子13bと幹線出力端子12とが設けられている。この場合、入力端子11とケース本体の左右対称の位置に第2の分岐出力端子13bが設けられ、第1の分岐出力端子13aとケース本体の左右対称の位置に幹線出力端子12が設けられる。すなわち、図10(b)に示す幹線分岐増幅器10の端子仕様2は、上記端子仕様1に対して幹線出力端子12と第2の分岐出力端子13bの位置が入れ替わっている。
【0007】
国内のメーカーでは、図10(a)に示す端子仕様1を採用しているが、海外メーカーなどでは、図10(b)に示す端子仕様を採用している所もある。また、古い機器では、図10(b)に示す端子仕様2を採用している場合がある。
【0008】
しかし、現在では、図10(b)に示す端子仕様2を採用しているメーカーが少なくなっている。このため図10(b)に示す端子仕様2の増幅器を元位置交換で改修、すなわちケーブルはそのまま使用して増幅器のみ交換する場合には、図10(a)に示した端子仕様1の増幅器を選択せざるを得ない場合が多く、幹線出力のケーブルと分岐出力のケーブルを交差して接続しなければならない状況となり、施工が複雑化し、ケーブルが届かず、ケーブルを引き直さなければならないという問題が生じている。
【0009】
また、本発明に関連する公知技術として、CATVシステム等の伝送路に使用される広帯域増幅器において、高周波増幅器及び損失補償部が組み込まれたメイン基板に対し、上記メイン基板の損失補償部にコネクターを介して着脱可能に波形整形回路からなるサブ基板を設けると共に、上記損失補償部の入力端子と出力端子との間に高周波スイッチを設け、上記サブ基板の着脱を検出し、サブ基板が装着されているときは上記高周波スイッチをオフして伝送信号を上記波形整形回路を通過させ、サブ基板が装着されていない状態では上記高周波スイッチをオンして伝送信号を上記入力端子から出力端子に伝送させることにより、サブ基板を安全に交換できるようにした技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−320416号公報
【特許文献2】特開平11−215032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のように既存CATV用増幅器が長期の使用によって性能が劣化し、あるいは故障等によって交換の必要が生じた場合において、ケーブルの交換は行わず、現在では使用されていない図10(b)に示す端子仕様の増幅器を交換する場合には、端子仕様が現在のものと異なるために幹線出力のケーブルと分岐出力のケーブルを交差して接続しなければならない状況となり、施工が複雑化し、ケーブルが届かず、ケーブルを引き直さなければならない等の問題が発生する。
【0012】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、回路切替カードの挿入、差し替えにより、簡易に回路を切替えることを可能とする回路切替手段と、当該回路切替手段を搭載して複数の端子仕様に対応させることができ、改修時の施工を容易にすることができる電子機器装置(殊にCATV伝送用増幅器)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明は、回路切替手段において、回路基板上に所定の間隔で離して設けたパネルに長方形の開口を設け、前記パネルの長方形の開口に、カード状の基板からなる回路切替カードの挿入を案内するために、2つの対称的に対向して形成された案内溝を有するスロット部材を前記長方形の開口から前記回路基板側に貫挿し、更に前記回路基板において前記スロット部材のスロットの横方向の中心線に対応する線上に、複数のソケット端子を等間隔に一列に配置するソケットコネクター部を設けたのものに対し、前記スロット部材の案内溝を案内として、複数の接続ピンを前記カード状の基板の一端側に等間隔に一列に設けたピンコネクター部を有する前記回路切替カードにより、前記回路切替カードを表側方向若しくは裏側方向何れかの方向に前記スロット部材の案内溝を案内としてスロットに挿入することで前記ソケットコネクター部と前記ピンコネクター部の接続状態を反転可能にして回路を切替えることを特徴とする。
【0014】
第2の発明は、電子機器装置において、回路基板上に設けたパネルに長方形の開口を設け、前記パネルの長方形の開口に、カード状の基板からなる回路切替カードの挿入を案内するために2つの対称的に対向して形成された案内溝を有するスロット部材をパネルの長方形の開口に設け、更に前記回路基板のスロット部材の直下に複数のソケット端子を一列に配置するソケットコネクター部を設け、前記スロット部材の案内溝を案内として、複数の接続ピンを前記カード状の基板の一端側に等間隔に一列に設けてなるピンコネクター部を有する前記回路切替カードを、スロット部材の第1の方向若しくは第2の方向何れかの方向に前記案内溝を案内としてスロットに挿入することで、回路を切替えることを可能する回路切替手段を設けたことを特徴とする。
【0015】
第3の発明は、CATV伝送用増幅器において、入力信号を増幅回路により増幅して複数の出力端子に分岐あるいは分配するCATV伝送用増幅器において、前記増幅回路と前記複数の出力端子との間に設けられる出力切替部と、複数の接続ピンを備えると共に所定位置の接続ピン間を接続する回路配線を備え、前記出力切替部に設けた一列、等間隔で配置された複数のソケット端子からなるソケットコネクター部に第1の向き及び第2の向きに装着可能である回路切替カードとを具備し、前記回路切替カードは、前記出力切替部のソケットコネクター部に対して第1の向きに装着した場合と第2の向きに装着した場合とで前記増幅回路の出力と複数の出力端子との間の回路が切替わり、異なる端子仕様とすることができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、CATV用増幅器などの電子機器装置の出力切替部に設けられたカードスロット部材に装着する回路切替カードの向きを通常の向き(以下第1の向きとする)と逆向き(以下第2の向きとする)に差し替えることにより、幹線出力及び分岐出力あるいは分配出力の端子位置を切替えて端子仕様を任意に設定することができる。従って、既存CATV用増幅器が長期の使用によって性能が劣化し、あるいは故障等によって交換の必要が生じた場合、その増幅器の端子仕様が仕様1あるいは仕様2の何れであっても、回路切替カードの装着方向を差し替えるだけで容易に対応することができ、幹線出力と分岐出力のケーブルを交差させて接続する必要が無く、施工を短時間で終了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1に係る幹線分岐増幅器の構成を示す図である。
【図2】同実施例1における幹線分岐増幅器のケース本体における出力切替のための出力切替部に使用されるカードスロット部材の設置の状況を示す斜視図である。
【図3】同実施例1におけるカードスロット部材の上部開口部を示す斜視図である。
【図4】同実施例1における出力切替部の回路配線図である。
【図5】同実施例1における回路切替カードの構成を示し、(a)は正面側の斜視図、(b)は裏面側の斜視図である。
【図6】同実施例1におけるカードスロット部材に回路切替カードを装着した状態を示し、(a)は回路切替カードを第1の向きに装着したときの斜視図、(b)は回路切替カードを第2の向きに装着したときの斜視図である。
【図7A】同実施例1において、回路切替カードが第1の方向にカードスロット部材の第1の案内溝を案内としてメイン基板のソケット端子に挿入される状態の詳細を示す図である。
【図7B】同実施例1において、回路切替カードが第2の方向にカードスロット部材の第2の案内溝を案内としてメイン基板のソケット端子に挿入される状態の詳細を示す図である。
【図7C】同実施例1において、回路切替カードが第1の方向にカードスロット部材の第1の案内溝を案内としてメイン基板上のソケットコネクター部のソケット端子に略挿入された状態の詳細を示す図である。
【図8】同実施例1において、出力切替部のソケットコネクター部に回路切替カードのピンコネクター部を装着した場合の回路構成を示し、(a)は回路切替カードを第1の向きに装着した場合の回路構成図、(b)は回路切替カードを第2の向きに装着した場合の回路構成図である。
【図9】同実施例1における幹線分岐増幅器の端子仕様の切替動作を示し、(a)は回路切替カードを第1の向きに装着した場合の端子仕様1の信号出力状態を示す図、(b)は回路切替カードを第2の向きに装着した場合の端子仕様2の信号出力状態を示す図である。
【図10】本発明の対象とする幹線分岐増幅器の端子仕様を示し、(a)は端子仕様1の構成図、(b)は端子仕様2の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
この実施例1は、回路切替カードのピンコネクター部とメイン基板上のソケットコネクター部を用いて、上記回路切替カードを第1の方向若しくは第2の方向何れかの向きに上記回路切替カードを、2つの案内溝を有するカードスロット部材を介して上記メイン基板上の上記ソケットコネクター部に、その接続される配列の向きを正、逆に正確に挿入、接続させることで、出力の回路経路を切替えることができる出力切替部を具備するCATVシステムにおける幹線分岐増幅器に実施した場合を例として示している。
【0020】
図1は本発明の実施例1に係る幹線分岐増幅器20の構成図である。図1において、21はケース本体で、このケース本体21の左側に入力端子22が設けられ、右側に第1出力端子23a及び第2出力端子23bが設けられる。更に、ケース本体21の左側に第3出力端子23cが設けられる。この場合、入力端子22と第1出力端子23aとがケース本体の左右に対称の位置に設けられる。また第2出力端子23bと第3出力端子23cとがケース本体の左右に対称の位置に設けられる。
【0021】
また、ケース本体21内には、分岐増幅回路の主要な回路部分が搭載された印刷配線板であるメイン基板24が設けられている。ケース本体21を斜視した図2において、詳細は図示しないが、上記メイン基板24の上方、約15mm離して約0.2mm厚のアルミニュウムなどの板材からなるメインパネル25が上記メイン基板24の保護カバーとしてケース本体21に取付けられている。
【0022】
上記メイン基板24には、複数のソケット端子41から構成されるソケットコネクター部43を有する出力切替部39が設けられる。上記出力切替部39は、図7Aにその詳細を示すように上記メインパネル25の長方形の開口に、カード状の基板52からなる回路切替カード50の挿入を案内する対称的に2つの対向して形成された案内溝42a、42bを有するカードスロット部材40を上記メインパネルの長方形の開口から上記メイン基板側に貫挿し、更に前記メイン基板24において上記スロットの横方向の中心線に対応する線上に、複数のソケット端子41を等間隔に一列に配置するソケットコネクター部43を設けた構成となっている。ソケット端子41には、印刷基板に直接半田付けされるコネクター用のソケット端子(例えば、一般に市販されているオムロン社のソルダースリーブ端子(形名:XR2E))などが用いられる。
【0023】
分岐増幅回路30及び該分岐増幅回路30に対する上記第1出力端子23a及び第2出力端子23bの接続を切替える出力切替部39が設けられる。
【0024】
分岐増幅回路30は、増幅器31、32、方向性結合器33、増幅器34、35及び信号を2分岐する分岐器36により構成される。信号伝送用ケーブルから入力端子22に入力された信号は、増幅器31、32で増幅され、方向性結合器33を介して増幅器34へ入力される。この増幅器34の出力は、前記メイン基板24上の出力切替部39の1番ソケット端子へ入力Aとして接続される。
【0025】
また、増幅器32から出力される信号は、方向性結合器33で分岐されて増幅器35に入力され、増幅された後、分岐器36で2分岐される。この分岐器36の一方の分岐出力は、第3出力端子23cへ接続され、他方の分岐出力は出力切替部39のソケットコネクター部43の6番ソケット端子へ入力Bとして接続される。また、ソケットコネクター部43の3番ソケット端子が第1出力端子23aに出力Aとして接続され、8番ソケット端子が第2出力端子23bに出力Bとして接続される。
【0026】
図3はカードスロット部材40の上部開口部を示している。
【0027】
上記メイン基板24に設けられた出力切替部39に対して、図3に示すようにその直上部に回路切替カード50の挿入の案内のためのカードスロット部材40がメインパネル25にネジ61a、61bにより取付けられている。
【0028】
図3に示すように上記カードスロット部材40は2つの案内溝42a、42bを備え、詳細を後述する回路切替カード50の第1の向きと、回路切替カード50の面を反転させた第2の向きで装着する際に前記回路切替カード50を適切に案内できるようになっている。すなわち、カードスロット部材40の案内溝42aは回路切替カード50を第1の向きに案内して装着でき、案内溝42bには回路切替カード50を第2の向きに案内して装着できる。
【0029】
上記出力切替部39のソケットコネクター部43には、図4に示す回路配線が施されている。上記したように1番ソケット端子は入力A、3番ソケット端子は出力A、6番ソケット端子は入力B、8番ソケット端子は出力Bとして設定される。そして、2番ソケット端子は空き端子、4、5、7番ソケット端子は直接接地される。また、9番ソケット端子は直流電圧Vccが抵抗Rを介して与えられると共に、コンデンサC1を介して接地される。すなわち、9番ソケット端子は直流電圧Vccによりプルアップされる。出力切替部39のカードスロット部材40には、詳細を後述するように回路切替カード50が装着されるが、その装着状態を9番ソケット端子の電圧を監視することで検知している。
【0030】
上記出力切替部39のカードスロット部材40には、図5に示す回路切替カード50が装着される。図5は回路切替カード50の構成を示したもので、(a)は回路切替カード50の第1の面側の斜視図、(b)は回路切替カード50の第2の面側の斜視図である。
【0031】
回路切替カード50は、第1の面側に対応する基板52の52a側(以下A面と呼ぶ)の下部に接続ピン保持部材53を備えている。この接続ピン保持部材53には上記出力切替部39のソケットコネクター部43の1〜9番のソケット端子41に対応する1〜9番の接続ピン51が下方に突出して、ピンコネクター部44を構成している。上記基板52のA面52a及び第2の面側に対応する52b側(以下B面と呼ぶ)には、それぞれプリント配線が施され、1〜9番の接続ピン51における所定のピン番号間が接続される。すなわち、基板52のA面52aにおいては、1−3番ピン間が配線54aにより接続され、6−8番ピン間が配線54bにより接続される。また、基板52のB面52bにおいては、2−9番ピン間が配線54cにより接続され、4−7番ピン間が配線54dにより接続される。なお、5番ピンは空き端子となっている。
【0032】
図6は、カードスロット部材40に回路切替カード50を装着した状態を示したもので、(a)は回路切替カード50を第1の向きに装着した状態を示す斜視図、(b)は回路切替カード50を第2の向き、すなわち、面を反転して装着した状態を示す斜視図である。
【0033】
図7Aは回路切替カード50を第1の向きに挿入した場合の断面を示した図である。図7Bは回路切替カード50を第2の向きに挿入した場合の断面を示した図である。また図7Cは上記第1の向きの挿入で回路切替カード50がソケット端子41に接触する途中における説明図である。
【0034】
カードスロット部材40に回路切替カード50を第1の向きに装着した場合、回路切替カード50は、上記カードスロット部材40の案内溝42aに案内されて、スロット内に挿入され、スロットの中心線上に配置されたソケットコネクター部43を構成するソケット端子41に接触して接続される。出力切替部39の1〜9番のソケットコネクター部43に対して回路切替カード50の1〜9番のピンコネクター部44が接続され、図8(a)に示した回路が構成される。すなわち、ソケットコネクター部43の1−3番ソケット端子間が回路切替カード50の配線54aにより接続され、6−8番ソケット間が回路切替カード50の配線54bにより接続される。また、ソケットコネクター部43の4−7番ソケット端子は、回路切替カード50の配線54dにより接続され、共に接地された状態に保持される。そして、カードスロット部材40の2−9番ソケット端子は、回路切替カード50の配線54cにより接続される。上記2番ソケット端子は、空き端子のため、ハイ(HIGH)レベルの状態に保持される。
【0035】
上記図8(a)に示した回路では、図1の増幅器34から出力切替部39のソケットコネクター部43の1番ソケット端子に入力された入力Aは、回路切替カード50の配線54a及びソケットコネクター部43の3番ソケット端子を介して第1出力端子23aから幹線出力Aとして取り出される。
【0036】
また、分岐器36で分岐されてソケットコネクター部43の6番ソケットに入力された入力Bは、回路切替カード50の配線54b及びソケットコネクター部43の8番ソケット端子を介して第2出力端子23bから分岐出力Bとして取り出される。
【0037】
この結果、出力切替部39のカードスロット部材40に回路切替カード50を第1の向きに装着した場合には、図9(a)に示すように増幅器34で増幅された信号(入力A)が第1出力端子23aから幹線出力Aとして取り出されると共に、分岐器36で分岐された信号(入力B)が第2出力端子23bから分岐出力Bとして取り出される端子仕様1(図10(a)参照)の幹線分岐増幅器20となる。なお、分岐器36から第3出力端子23cに分岐された信号は、出力切替部39の切替え動作とは関係なく、常に第3出力端子23cから分岐出力として取り出される。
【0038】
また、カードスロット部材40に回路切替カード50を第2の向きに装着した場合、出力切替部39のソケットコネクター部43の1〜9番のソケット端子41に対して回路切替カード50のピンコネクター部44が9〜1番ピンの順に接続され、図8(b)に示した回路が構成される。すなわち、ソケットコネクター部43の1−8番ソケット端子間が回路切替カード50の9−2番ピンを介して配線54cにより接続され、3−6番ソケット端子間が回路切替カード50の7−4番ピンを介して配線54dにより接続される。また、ソケットコネクター部43の2−4番ソケット端子間は、回路切替カード50の8−6番ピンを介して配線54bにより接続されて接地される。また、ソケットコネクター部43の7−9番ソケット端子間は、回路切替カード50の3−1番ピンを介して配線54aにより接続されて接地される。従って、ソケットコネクター部43の9番ソケット端子は、ロー(LOW)レベルに保持される。
【0039】
上記図8(b)に示した回路では、図1の増幅器34から出力切替部39のソケットコネクター部43の1番ソケット端子に入力された入力Aは、回路切替カード50の配線54c及びソケットコネクター部43の8番ソケット端子を介して第2出力端子23bから幹線出力Bとして取り出される。
【0040】
また、分岐器36で分岐されて出力切替部39のソケットコネクター部43の6番ソケット端子に入力された入力Bは、回路切替カード50の配線54d及びソケットコネクター部43の3番ソケット端子を介して第1出力端子23aから分岐出力Aとして取り出される。
【0041】
この結果、出力切替部39のカードスロット部材40に回路切替カード50を第2の向きに装着した場合には、回路切替カード50は、上記カードスロット部材40の案内溝42bに案内されて、スロット内に挿入され、スロットの中心線上に配置されたソケットコネクター部43を構成するソケット端子41に接触して接続される。この際、上記第1の向きに回路切替カード50を挿入した場合と回路切替カード50の面の向きが反転しているので、回路切替カード50のピンコネクター部とソケットコネクター部43との接続は反転する。この結果、図9(b)に示すように増幅器34で増幅された信号(入力A)が第2出力端子23bから幹線出力Bとして取り出されると共に、分岐器36で分岐された信号(入力B)が第1出力端子23aから分岐出力Aとして取り出される端子仕様2(図10(b)参照)の幹線分岐増幅器20となる。また、ソケットコネクター部43の9番ソケット端子は、接地されてロー(LOW)レベルとなる。
【0042】
上記ソケットコネクター部43の9番ソケット端子に生じる電圧(電位)は、回路切替カード50を第1の向きに装着した場合にはハイ(HIGH)レベル、回路切替カード50を逆向きに装着した場合にはロー(LOW)レベルとなるので、9番ソケット端子の電圧を利用して回路切替カード50の状態表示を行わせることができる。また、監視ユニットが搭載された増幅器では、監視ユニットで上記出力切替部39における9番ソケット端子の電圧を監視することにより、監視センター側で回路切替カード50の装着状態を監視することができる。
【0043】
上記のように幹線分岐増幅器20は、カードスロット部材40に対する回路切替カード50の装着方向を第1の向きと第2の向きに差し替えるだけで、幹線出力及び分岐出力の端子位置を切替えて端子仕様1あるいは端子仕様2に設定することができる。
【0044】
従って、既存CATV用増幅器が長期の使用によって性能が劣化し、あるいは故障等によって交換の必要が生じた場合、その増幅器の端子仕様が仕様1あるいは仕様2の何れであっても、回路切替カード50の装着方向を差し替えるだけで容易に対応することができ、幹線出力と分岐出力のケーブルを交差させて接続する必要が無く、施工を短時間で終了することができる。
【0045】
なお、上記実施例1では、幹線分岐増幅器20に実施した場合を例として説明したが、その他、幹線分配増幅器、あるいは切替手段を具備する電子機器装置であっても、上記実施例1と同様にして実施することができる。
【0046】
また、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【符号の説明】
【0047】
20…幹線分岐増幅器、21…ケース本体、22…入力端子、23a…第1出力端子、23b…第2出力端子、23c…第3出力端子、24…メイン基板、25…メインパネル、30…分岐増幅回路、31、32、34、35…増幅器、33…方向性結合器、36…分岐器、39…出力切替部、40…カードスロット部材、41…ソケット端子、42a、42b…案内溝、43…ソケットコネクター部、44…ピンコネクター部、50…回路切替カード、51…回路切替カードの接続ピン、52…回路切替カードの基板、52a…基板の第1の面(A面)、52b…基板の第2の面(B面)、53…回路切替カードの接続ピン保持部材、54a、54b、54c、54d…回路切替カードの配線、61a、61b…ネジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上に所定の間隔で離して設けたパネルに長方形の開口を設け、前記パネルの長方形の開口に、カード状の基板からなる回路切替カードの挿入を案内するために、2つの対称的に対向して形成された案内溝を有するスロット部材を前記長方形の開口から前記回路基板側に貫挿し、更に前記回路基板において前記スロット部材のスロットの横方向の中心線に対応する線上に、複数のソケット端子を等間隔に一列に配置するソケットコネクター部を設けたのものに対し、前記スロット部材の案内溝を案内として、複数の接続ピンを前記カード状の基板の一端側に等間隔に一列に設けたピンコネクター部を有する前記回路切替カードにより、前記回路切替カードを表側方向若しくは裏側方向何れかの方向に前記スロット部材の案内溝を案内としてスロットに挿入することで前記ソケットコネクター部と前記ピンコネクター部の接続状態を反転可能にして回路を切替えることを特徴とする回路切替手段。
【請求項2】
回路基板上に設けたパネルに長方形の開口を設け、前記パネルの長方形の開口に、カード状の基板からなる回路切替カードの挿入を案内するために2つの対称的に対向して形成された案内溝を有するスロット部材をパネルの長方形の開口に設け、更に前記回路基板のスロット部材の直下に複数のソケット端子を一列に配置するソケットコネクター部を設け、前記スロット部材の案内溝を案内として、複数の接続ピンを前記カード状の基板の一端側に等間隔に一列に設けてなるピンコネクター部を有する前記回路切替カードを、スロット部材の第1の方向若しくは第2の方向何れかの方向に前記案内溝を案内としてスロットに挿入することで、回路を切替えることを可能する回路切替手段を設けたことを特徴とする電子機器装置。
【請求項3】
入力信号を増幅回路により増幅して複数の出力端子に分岐あるいは分配するCATV伝送用増幅器において、前記増幅回路と前記複数の出力端子との間に設けられる出力切替部と、複数の接続ピンを備えると共に所定位置の接続ピン間を接続する回路配線を備え、前記出力切替部に設けた一列、等間隔で配置された複数のソケット端子からなるソケットコネクター部に第1の向き及び第2の向きに装着可能である回路切替カードとを具備し、
前記回路切替カードは、前記出力切替部のソケットコネクター部に対して第1の向きに装着した場合と第2の向きに装着した場合とで前記増幅回路の出力と複数の出力端子との間の回路が切替わり、異なる端子仕様とすることができることを特徴とするCATV伝送用増幅器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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