説明

CD10に特異的に結合する抗体組成物

【課題】 エフェクター機能が増強された医薬品として有用な抗CD10抗体組成物が求められている。
【解決手段】 CD10に特異的に結合し、N-グリコシド結合複合型糖鎖をFc領域に有する抗体分子からなる組成物であって、N-グリコシド結合複合型糖鎖が該糖鎖の還元末端のN-アセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖である抗体組成物、該抗体組成物を生産する形質転換体、該抗体組成物の製造方法および該抗体組成物を含有する医薬を提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD10に特異的に結合し、N-グリコシド結合複合型糖鎖をFc領域に有する遺伝子組換え抗体分子からなる抗体組成物であって、N-グリコシド結合複合型糖鎖が該糖鎖の還元末端のN-アセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖である抗体組成物。
【請求項2】
フコースが結合していない糖鎖が、該フコースの1位がN-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN-アセチルグルコサミンの6位にα結合していない糖鎖である、請求項1に記載の抗体組成物。
【請求項3】
配列番号24で示されるアミノ酸配列の52〜750番目に存在するエピトープに特異的に結合する請求項3に記載の抗体組成物。
【請求項4】
CD10発現細胞に特異的に結合する請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項5】
CD10発現細胞に対し、細胞傷害活性を示す請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項6】
CD10発現細胞に対し、非ヒト動物由来ハイブリドーマが生産するモノクローナル抗体よりも高い細胞傷害活性を示す請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項7】
細胞傷害活性が抗体依存性細胞傷害 (ADCC) 活性である請求項5または6に記載の抗体組成物。
【請求項8】
それぞれ配列番号14、15および16で示されるアミノ酸配列からなる抗体分子重鎖 (H鎖) 可変領域 (V領域) の相補性決定領域 (CDR) 1、CDR2、CDR3を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項9】
それぞれ配列番号17、18および19で示されるアミノ酸配列からなる抗体分子軽鎖 (L鎖) 可変領域 (V領域) の相補性決定領域 (CDR) 1、CDR2、CDR3を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項10】
それぞれ配列番号14、15および16で示されるアミノ酸配列からなる抗体分子重鎖 (H鎖) 可変領域 (V領域) の相補性決定領域 (CDR) 1、CDR2、CDR3、およびそれぞれ配列番号17、18および19で示されるアミノ酸配列からなる抗体軽鎖 (L鎖) V領域の相補性決定領域 (CDR) 1、CDR2、CDR3を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項11】
遺伝子組換え抗体がヒト型キメラ抗体またはヒト型CDR移植抗体である請求項1〜10のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項12】
ヒト型キメラ抗体がCD10に特異的に結合するモノクローナル抗体の重鎖 (H鎖) 可変領域 (V領域) および軽鎖 (L鎖) V領域の相補性決定領域(CDR)を含む、請求項11に記載の抗体組成物。
【請求項13】
抗体分子の重鎖 (H鎖) 可変領域 (V領域) が、配列番号21で示されるアミノ酸配列を含む、請求項12に記載の抗体組成物。
【請求項14】
抗体分子の軽鎖 (L鎖) 可変領域 (V領域) が、配列番号23で示されるアミノ酸配列を含む請求項13に記載の抗体組成物。
【請求項15】
抗体分子の重鎖 (H鎖) 可変領域 (V領域) が、配列番号21で示されるアミノ酸配列を含み、抗体分子の軽鎖 (L鎖) V領域が、配列番号23で示されるアミノ酸配列を含む請求項12〜14のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項16】
ヒト型CDR移植抗体がCD10に特異的に結合するモノクローナル抗体の重鎖 (H鎖) 可変領域 (V領域) および軽鎖 (L鎖) V領域の相補性決定領域(CDR)を含む、請求項11に記載の抗体組成物。
【請求項17】
CD10に特異的に結合するモノクローナル抗体の重鎖 (H鎖) 可変領域 (V領域) および軽鎖 (L鎖) V領域の相補性決定領域 (CDR) とヒト抗体のH鎖V領域およびL鎖V領域のフレームワーク領域 (FR) を含む、請求項16に記載の抗体組成物。
【請求項18】
CD10に特異的に結合するモノクローナル抗体の重鎖 (H鎖) 可変領域 (V領域) および軽鎖 (L鎖) V領域の相補性決定領域 (CDR) とヒト抗体のH鎖V領域およびL鎖V領域のフレームワーク領域 (FR)、ならびにヒト抗体のH鎖定常領域 (C領域) およびL鎖C領域を含む、請求項16または17に記載の抗体組成物。
【請求項19】
CD10に特異的に結合する抗体分子をコードするDNAを宿主細胞に導入して得られる、請求項1〜18のいずれか1項に記載の抗体組成物を生産する形質転換体。
【請求項20】
宿主細胞が、細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に関与する酵素、またはN-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN-アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素の活性が欠失するようにゲノムが改変された細胞である、請求項19に記載の形質転換体。
【請求項21】
宿主細胞が、細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に関与する酵素、またはN-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN-アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム上の対立遺伝子のすべてがノックアウトされた細胞である、請求項19に記載の形質転換体。
【請求項22】
細胞内糖ヌクレオチドGDP-フコースの合成に関与する酵素が、GDP-マンノース 4,6-デヒドラターゼ(GMD)およびGDP-4-ケト-6-デオキシ-D-マンノース-3,5-エピメラーゼ(Fx)からなる群から選ばれる酵素である、請求項20または21に記載の形質転換体。
【請求項23】
GDP-マンノース 4,6-デヒドラターゼが、以下の(a)および(b)からなる群から選ばれるDNAがコードする蛋白質である、請求項22に記載の形質転換体。
(a) 配列番号1で表される塩基配列からなるDNA;
(b) 配列番号1で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつGDP-マンノース 4,6-デヒドラターゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。
【請求項24】
GDP-マンノース 4,6-デヒドラターゼが、以下の (a)〜(c) からなる群から選ばれる蛋白質である、請求項23に記載の形質転換体。
(a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつGDP-マンノース 4,6-デヒドラターゼ活性を有する蛋白質;
(c) 配列番号2で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつGDP-マンノース 4,6-デヒドラターゼ活性を有する蛋白質。
【請求項25】
GDP-4-ケト-6-デオキシ-D-マンノース-3,5-エピメラーゼが、以下の (a)および(b)からなる群から選ばれるDNAがコードする蛋白質である、請求項22に記載の形質転換体。
(a) 配列番号3で表される塩基配列からなるDNA;
(b) 配列番号3で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつGDP-4-ケト-6-デオキシ-D-マンノース-3,5-エピメラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。
【請求項26】
GDP-4-ケト-6-デオキシ-D-マンノース-3,5-エピメラーゼが、以下の (a)〜(c) からなる群から選ばれる蛋白質である、請求項22に記載の形質転換体。
(a) 配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b) 配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつGDP-4-ケト-6-デオキシ-D-マンノース-3,5-エピメラーゼ活性を有する蛋白質;
(c) 配列番号4で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつGDP-4-ケト-6-デオキシ-D-マンノース-3,5-エピメラーゼ活性を有する蛋白質。
【請求項27】
N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN-アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素がα1,6-フコシルトランスフェラーゼである請求項25または26に記載の形質転換体。
【請求項28】
α1,6-フコシルトランスフェラーゼが、以下の (a)〜(d)からなる群から選ばれるDNAがコードする蛋白質である、請求項27に記載の形質転換体。
(a) 配列番号5で表される塩基配列からなるDNA;
(b) 配列番号6で表される塩基配列からなるDNA;
(c) 配列番号5で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつα1,6-フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA;
(d) 配列番号6で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつα1,6-フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。
【請求項29】
α1,6-フコシルトランスフェラーゼが、以下の (a)〜(f)からなる群から選ばれる蛋白質である、請求項27に記載の形質転換体。
(a) 配列番号7で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b) 配列番号8で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(c) 配列番号7で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつα1,6-フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質;
(d) 配列番号8で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつα1,6-フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質;
(e) 配列番号7で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつα1,6-フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質;
(f) 配列番号8で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつα1,6-フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質。
【請求項30】
形質転換体がFERM BP-8478である請求項29に記載の形質転換体。
【請求項31】
宿主細胞が、下記の(a)〜(i)からなる群から選ばれる細胞である請求項19〜30のいずれか1項に記載の形質転換体。
(a) チャイニーズハムスター卵巣組織由来CHO細胞;
(b) ラットミエローマ細胞株YB2/3HL.P2.G11.16Ag.20細胞;
(c) マウスミエローマ細胞株NS0細胞;
(d) マウスミエローマ細胞株SP2/0-Ag14細胞;
(e) シリアンハムスター腎臓組織由来BHK細胞;
(f) 抗体を産生するハイブリドーマ細胞;
(g) ヒト白血病細胞株ナマルバ細胞;
(h) 胚性幹細胞;
(i) 受精卵細胞。
【請求項32】
請求項19〜31のいずれか1項に記載の形質転換体を培地に培養し、培養物中に抗体組成物を生成蓄積させ、該抗体組成物を採取し、精製する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の抗体組成物の製造方法。
【請求項33】
請求項32に記載の製造方法により得られる、請求項1〜18のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項34】
請求項1〜18および33いずれか1項に記載の抗体組成物を有効成分として含有する医薬。
【請求項35】
請求項1〜18および33のいずれか1項に記載の抗体組成物を有効成分として含有するCD10関連疾患の治療薬。
【請求項36】
CD10関連疾患が、癌または炎症性疾患である請求項35に記載の治療薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−129903(P2007−129903A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−350160(P2003−350160)
【出願日】平成15年10月8日(2003.10.8)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】