説明

CD22を保有する細胞および腫瘍へ標的化された、組換え抗体および免疫複合体

【課題】CD22を保有する細胞および腫瘍へ標的化された、組換え抗体および免疫複合体で
あって、高い、親和性および細胞傷害性を有する免疫複合体を提供することを、本発明の
課題とする。
【解決手段】アミノ酸44位でシステインを含むVHおよびアミノ酸100位でシステインを含
むVLを有する組換え抗CD22抗体に結合した、治療剤または検出可能な標識ペプチドを含有
する、組換え免疫複合体を提供することによって、上記課題は、解決された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗CD22抗体、抗CD22免疫複合体、CD22アッセイ方法、およびCD22発現細胞の
増殖を阻害する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
白血病およびリンパ腫は、免疫毒素を用いた処置の魅力的な標的である。B細胞悪性腫
瘍を有する患者の応答は、免疫毒素活性の第1相および第2相臨床試験において、広範に
研究されてきた(非特許文献1〜4)。今日まで、いくつかの抗腫瘍応答が知られている
が、正常組織に対する免疫毒素媒介性毒性により、しばしば用量を治療的レベルへ増大す
ることが妨げられた。いくつかのB細胞特異的抗原(例えば、CD19、CD22、およびCD40)
は、リシンA鎖のような植物毒素およびPseudomonas 外毒素A(PE)のような細菌性毒素で
作製される免疫毒素により標的化されてきた。Uckunら、(1992),Blood 79, 2201-2214;G
hetieら、(1991),Cancer Res. 51, 5876-5880;Franciscoら、(1995),Cancer Res. 55,
3099-3104。
【0003】
CD22(Igスーパーファミリーに属する、系統に制限されるB細胞抗原)は、慢性Bリン
パ球細胞(B-CLL)、バーキットリンパ腫のようなBリンパ細胞、および毛様細胞性白血
病、を含む多くの型の悪性B細胞の表面、ならびに正常成熟Bリンパ球の表面に発現する
。CD22は、初期のB細胞発生において細胞表面上に存在せず、そして幹細胞上にも存在し
ない。Vaickusら、(1991),Crit.Rev. Oncol/Hematol. 11, 267-297。さらに、排出され
る(shed)抗原は、正常ヒト血清またはCLL患者からの血清において検出されなかった。L
iら、(1989),Cell.Immunol. 118, 85-99。
【0004】
RFB4 IgGは、抗CD22モノクローナル抗体である。この抗体は、リシンおよびPseudomona
s外毒素A(PE)の両方と化学的に結合し、そしてインビトロおよびインビボの両方におい
て、B細胞に対する活性を示す;Ghetieら、(1991), CancerRes. 51, 5876-5880;Ghetie
ら、(1988),Cancer Res. 48, 2610-2617。RFB4は、B系統の細胞について高度に特異的
であり、他の正常細胞型との交差反応性は検出できない。Liら、(1989),Cell. immunol.
118, 85-99。以前に、RFB4IgGは、リシンA鎖、およびPE35と呼ばれる短縮型PEの両方と
共有結合されている。これらの結合分子は、実験的なリンパ腫異種移植片モデルに対し効
果的であり、そして臨床的な設定において、リシン−ベース免疫毒素はまた、ヒト疾患に
対し、いくらかの効果を示す。Amlotら、(1993),Blood 82,2624-2633;Sausville、(1995
), Blood 85,3457-3465。
【0005】
化学的結合体は、頻繁に非常に安定でかつ強力であるが、これらは大きくそしてその結
合部位でおそらく不均質(heterogeneous)であり、これにより最適下の活性を生じ得る
。大量のIgGおよび化学結合の作製の必要性はまた、薬物製造能力に、いくつかの制限を
加える。腫瘍を透過する能力は、透過分子のサイズを逆に関連するので、大きなサイズの
抗体−毒素結合体は、リンパ腫に見出されるような腫瘍塊を透過する能力を損ない得る。
【0006】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Amlotら、(1993), Blood 82, 2624-2633
【非特許文献2】Sausvilleら、(1995) Blood 85, 3457-3465
【非特許文献3】Grossbardら、(1993) Blood 81, 2263-2271
【非特許文献4】Grossbardら、(1993) Clin.Oncol. 11,726-737
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの局面において、本発明は、驚くべきほどに非常に安定でありそしてCD22抗原を保
有する細胞(最も代表的には悪性B細胞)に対して強力な、組換え免疫複合体および抗体
成分に関連する。免疫複合体は、VHのアミノ酸44位に位置するシステインおよびVLのアミ
ノ酸100位のシステインを介してジスルフィド安定化された組換え抗CD22抗体に結合する
、治療剤または検出可能な標識ペプチドを含む。治療剤は、Pseudomonas外毒素(PE)また
はその細胞傷害性フラグメント(例えば、PE38)のような毒素であり得る。いくつかの実
施態様において、抗CD22抗体は、RFB4結合フラグメントである。他の実施態様において、
抗体は、配列番号1にコードされる、配列番号2と実質的に類似の可変重(VH)鎖および
配列番号3にコードされる、配列番号4と実質的に類似の可変軽(VL)鎖を含有する(図
1もまた参照のこと)。可変重鎖は、毒素のカルボキシル末端と結合したペプチドであり
得る。必要に応じて、VH鎖は、配列番号5のリンカーペプチドのようなリンカーペプチド
を介してVL鎖に結合したペプチドである。いくつかの実施態様において、VH鎖は、システ
イン−システインジスルフィド結合を介してVL鎖に連結される。
【0009】
別の局面において、本発明は、組換え免疫複合体をコードする発現カセット、および組
換え免疫複合体をコードする発現カセットを含有する宿主細胞に関する。いくつかの実施
態様において、抗CD22抗体は、配列番号2と実質的に類似の可変重(VH)鎖および配列番
号4と実質的に類似の可変軽(VL)鎖を含有する。
【0010】
さらに別の局面において、本発明は、悪性B細胞の増殖を阻害する方法に関する。この
方法は、悪性B細胞を、抗CD22抗体に結合した毒素ペプチドを含有する有効量の組換え免
疫複合体と接触させる工程を包含する。毒素は、Pseudomonas 外毒素(PE)またはPE38のよ
うなその細胞傷害性フラグメントであり得る。いくつかの実施態様において、悪性B細胞
は、インビボにおいて免疫複合体と接触する。悪性B細胞は、げっ歯類B細胞、イヌB細
胞、または霊長類B細胞(例えば、ヒトB細胞)であり得る。
【0011】
別の局面において、本発明は、配列番号2と実質的に類似の可変重(VH)鎖、および配
列番号4と実質的に類似の可変軽(VL)鎖を含有する、抗CD22 Fvフラグメントに関する
。Fvフラグメントは、dsFvフラグメントであり得る。いくつかの実施態様において、Fvフ
ラグメントは検出可能に標識され、他の実施態様では、Fvフラグメントは治療剤に結合さ
れる。治療剤は、Pseudomonas外毒素(PE)またはその細胞傷害性フラグメントであり得る

【0012】
さらなる局面において、本発明は、生物学的サンプルにおけるCD22タンパク質の存在を
検出する方法に指向される。この方法は、生物学的サンプルを、配列番号2と実質的に類
似の可変重(VH)鎖、および配列番号4と実質的に類似の可変軽(VL)鎖を含有する抗CD
22抗体と接触させる工程;ならびに、抗体を、免疫学的に反応性の条件下で、CD22タンパ
ク質に結合させる工程であって、ここで結合抗体の検出はCD22タンパク質の存在を示す工
程を包含する。いくつかの実施態様において、抗体は、dsFvフラグメントである。この方
法で用いられる抗体は、検出可能に標識され得る。いくつかの実施態様において、方法は
、哺乳動物においてインビボで行われる。
【0013】
本発明は、以下を提供する:
(項目1) 治療剤、またはアミノ酸44位でシステインを含むVHおよびアミノ酸100位で
システインを含むVLを有する組換え抗CD22抗体に結合した検出可能な標識ペプチドを含有
する、組換え免疫複合体。
(項目2) 前記治療剤が毒素である、項目1に記載の組換え免疫複合体。
(項目3) 前記毒素が、Pseudomonas 外毒素(PE)、またはその細胞傷害性フラグメン
トである、項目2に記載の組換え免疫複合体。
(項目4) 前記細胞傷害性フラグメントがPE38である、項目3に記載の組換え免疫複合
体。
(項目5) 前記抗CD22抗体が、RFB4結合フラグメントである、項目1に記載の組換え免
疫複合体。
(項目6) 前記抗体が、配列番号2に実質的に類似する可変重(VH)鎖、および配列番
号4に実質的に類似する可変軽(VL)鎖を含む、項目1に記載の組換え免疫複合体。
(項目7) 前記可変重(VH)鎖が、前記毒素のカルボキシル末端に結合したペプチドで
ある、項目3に記載の組換え免疫複合体。
(項目8) 前記VH鎖が、リンカーペプチドを介して前記VL鎖に結合されるペプチドであ
る、項目6に記載の組換え免疫複合体。
(項目9) 前記VH鎖が、システイン−システインジスルフィド結合を介して前記VL鎖に
連結される、項目6に記載の組換え免疫複合体。
(項目10) 前記リンカーペプチドが、配列番号5の配列を有する、項目8に記載の組
換え免疫複合体。
(項目11) 毒素ペプチドをコードする配列、ならびにアミノ酸44位でシステインをコ
ードするVHおよびアミノ酸100位でシステインをコードするVLを有する抗CD22抗体を含む
、組換え免疫複合体をコードする、発現カセット。
(項目12) 前記抗体がRFB4 dsFvである、項目11に記載の発現カセット。
(項目13) 前記毒素が、Pseudomonas 外毒素(PE)、またはその細胞傷害性フラグメ
ントである、項目11に記載の発現カセット。
(項目14) 前記細胞傷害性フラグメントがPE38である、項目11に記載の発現カセッ
ト。
(項目15) 前記抗体が、配列番号1に実質的に類似する可変重(VH)鎖、および配列
番号3に実質的に類似する可変軽(VL)鎖を含む、項目11に記載の発現カセット。
(項目16) 配列番号5の配列を有するリンカーペプチドをコードする配列をさらに含
む、項目15に記載の発現カセット。
(項目17) 項目11に記載の発現カセットを含む、宿主細胞。
(項目18) 配列番号2の配列に実質的に類似する、VH配列。
(項目19) 配列番号4の配列に実質的に類似する、VL配列。
(項目20) 配列番号1の配列に実質的に類似する、核酸配列。
(項目21) 配列番号3の配列に実質的に類似する、核酸配列。
(項目22) 悪性B細胞の増殖を阻害するための方法であって、該悪性B細胞を項目1
に記載の有効量の組換え免疫複合体と接触させる工程を包含する、方法。
(項目23) 前記毒素が、Pseudomonas 外毒素(PE)、またはその細胞傷害性フラグメ
ントである、項目22に記載の方法。
(項目24) 前記悪性B細胞が、インビボで接触される、項目22に記載の方法。
(項目25) 前記悪性B細胞が、げっ歯類B細胞、イヌB細胞、および霊長類B細胞か
らなる群から選択される、項目22に記載の方法。
(項目26) 前記細胞傷害性フラグメントが、PE38フラグメントである、項目23に記
載の方法。
(項目27) 前記免疫複合体が、RFB4結合フラグメントである、項目22に記載の方法

(項目28) 前記免疫複合体が、配列番号2の可変重(VH)鎖、および配列番号4の可
変軽(VL)鎖を含む、項目22に記載の方法。
(項目29) 可変重鎖が、前記毒素のカルボキシル末端で結合したペプチドである、項
目23に記載の方法。
(項目30) 前記VH鎖が、リンカーペプチドを介して前記VL鎖に結合されるペプチドで
ある、項目29に記載の方法。
(項目31) 前記VH鎖が、システイン−システインジスルフィド結合を介して前記VL
に連結される、項目29に記載の方法。
(項目32) 前記リンカーペプチドが、配列番号5の配列を有する、項目31に記載の
方法。
(項目33) 配列番号2に実質的に類似する可変重(VH)鎖、および配列番号4に実質
的に類似する可変軽(VL)鎖を含む、抗CD22抗体。
(項目34) 前記抗体が、検出可能に標識されている、項目33に記載の抗CD22 Fvフ
ラグメント。
(項目35) 前記抗体が、治療剤に結合される、項目33に記載の抗体。
(項目36) 前記治療剤が、Pseudomonas 外毒素(PE)、またはその細胞傷害性フラグ
メントである、項目33に記載の抗体。
(項目37) 生物学的サンプル中のCD22タンパク質の存在を検出するための方法であっ
て、該方法は、以下の工程:
(a)該生物学的サンプルを、配列番号2に実質的に類似する可変重(VH)鎖、および配
列番号2に実質的に類似する可変軽(VL)鎖を含む、抗CD22抗体と接触させる工程;
(b)免疫学的に反応する条件下において、該抗体を該CD22タンパク質に結合させる工程
であって、ここで、該結合した抗体の検出は、該CD22タンパク質の存在を示す、工程、
を包含する、方法。
(項目38) 前記抗体が、検出可能に標識される、項目37に記載の方法。
(項目39) 前記方法が、哺乳動物においてインビボで行われる、項目37に記載の方
法。

【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、RFB4の軽鎖および重鎖の可変領域の推定アミノ酸配列を示す図である。太字で示したアミノ酸は、N末端タンパク質配列分析により決定された。
【図2A】図2Aは、PE38に融合されたRFB4の可変軽鎖および可変重鎖からなる1本鎖免疫毒素をコードするプラスミド(pEM9)の構築を示す図である。
【図2B】図2Bは、RFB4可変軽鎖-cys100、およびPE38に融合された可変重鎖-cys44をコードするプラスミドpEM15およびpEM16の構築を示す図である。
【図3】図3は、24時間インキュベーション後の、種々の細胞株についてのRFB4(dsFv)PE38の細胞傷害性を示す図である。[3H]ロイシンの取り込みは、免疫毒素非存在下でインキュベートされたコントロール細胞による取り込まれたcpmのパーセントとして表す。白丸CA46;白三角JD-38;十字Raji;黒四角Namalwa;黒丸Daudi;黒三角HUT102。
【図4】図4は、CA46細胞での、ネイティブ抗体と比較したRFB4免疫毒素の相対結合活性を示す図である。全抗体および組換え免疫毒素は、微量の125I標識化RFB4IgGの結合と競合させるために用いられた。競合したカウントを、コンペティター非存在下でインキュベートした細胞からのカウントのパーセントとして表した。白四角RFB4IgG;黒丸RFB4(scFv)PE38;黒三角RFB4(dsFv)PE38。
【図5】図5は、RFB4(dsFv)PE38の安定性。RFB4(dsFv)PE38を、37℃で、示した日数の間インキュベートし、そして細胞傷害性を、37℃でインキュベートしないサンプルと比較した結果を示す図である。白丸7日;白三角5日;黒丸3日;黒三角1日;黒四角0日。
【図6】図6Aは、RFB4(dsFv)PE38の抗腫瘍獲得(anti-tumor-take)活性を示す図である。胸腺欠損ヌードマウスを−4日目に照射し、0日目に、5×106CA46細胞を播種した。1日目から、5、3、または1μgのRFB4(dsFv)PE38またはPBS/0.2%BSA希釈液の注射を、毎日、4用量与えた。腫瘍増殖は、腫瘍容積の測定によりモニターし、各群の平均腫瘍容積として表した。白四角5μg;黒三角3μg;白丸1μg;黒四角PBS/0.2%BSA希釈液コントロール。 図6Bは、RFB4(dsFv)PE38の抗腫瘍獲得活性を示す図である。胸腺欠損ヌードマウスを−3日目に照射し、0日目に、107CA46細胞を播種した。1日目から、5、2、または1μgのRFB4(dsFv)PE38またはPBS/0.2%BSAの注射を、毎日、4用量与えた。腫瘍増殖を、腫瘍容積の測定によりモニターし、各群の平均腫瘍容積として表す。白四角5μg;黒三角2μg;白丸1μg;黒四角PBS/0.2%BSA希釈液コントロール。
【図7】図7Aは、CA46腫瘍に対する、RFB4(dsFv)PE38の抗腫瘍活性。胸腺欠損ヌードマウスを−3日目に照射し、0日目に、107CA46細胞を播種した結果を示す図である。4日目から、平均50mm3のサイズの腫瘍を有するマウスを、8、5、または3μgのRFB4(dsFv)PE38またはPBS/0.2%BSA希釈液で処置し、2日毎に、3用量行った。腫瘍サイズを、腫瘍容積の測定によりモニターし、各群の平均腫瘍容積として表す。8μgのRFB4(dsFv)PE38を受けた3/5のマウスは、処置中に死亡し、そして5μgを受けた1/5は、死亡した。白四角8μg;黒三角5μg;白丸3μg;黒四角PBS/0.2%BSA希釈液コントロール。 図7Bは、CA46腫瘍に対する、RFB4(dsFv)PE38の抗腫瘍活性を示す図である。胸腺欠損ヌードマウスを−3日目に照射し、0日目に、107CA46細胞を播種した。4日目から、平均50mm3のサイズの腫瘍を有するマウスを、8、5、または1μgのRFB4(dsFv)PE38または30μgのRFB4IgGまたはPBS/0.2%BSA希釈液で、4、6、7および8日目に処置した。腫瘍サイズを、腫瘍容積の測定によりモニターし、各群の平均腫瘍容積として表す。8μgのRFB4(dsFv)PE38を受けた3/5のマウスは、処置中に死亡し、そして5μgを受けた2/5は、死亡した。黒丸8μg;白四角5μg;白丸1μg;十字30μgRFB4IgG;黒四角PBS/0.2% BSA希釈液コントロール。
【図8】図8Aおよび図8Bは、マウスにおけるRFB4(dsFv)-PE38の抗腫瘍活性を示す図である、 雌胸腺欠損ヌードマウスを、−3日目に照射(3 Gy)し、0日目に、107 CA46細胞を皮下注射した。腫瘍は4日目までに形成し、そしてマウスを、示された毒素および用量の3用量を、2日毎に処置した。応答は用量依存的であり、そして抗Tac(Fv)-PE38およびRFB4-IgGのネガティブコントロール分子を用いた場合は、応答は得られなかった。
【図9】図9Aおよび図9Bは、RFB4(dsFv)-PE38の薬物動態を示す図である。3つの群のマウスに、RFB4(dsFv)-PE38を注射した。示された時点で、血液を採取した。2匹のマカクザルを、それぞれ示した用量で処置した。血漿レベルは、細胞傷害性アッセイにより決定した。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
(概要)
本発明は、CD22に対して高度に特異的な組換え抗体および免疫複合体を提供する。模範
的な分子は、抗-CD22ジスルフィド安定化抗体、好ましくは、Fv(dsFV)フラグメントに遺
伝子融合されたPseudomonas外毒素(PE)を利用した。かなり予想外に、組換えPE-dsFv免疫
毒素は、細胞傷害性が単鎖Fv(scFv)フラグメントよりさらにほぼ10倍であることが判明し
た。dsFvは、システインをコードするようにVHのアミノ酸位44およびVLのアミノ酸位100
の核酸を変異させることによって産生された。
【0016】
本発明の構築物から産生される組換え分子の多くは、IgG-毒素化学結合体の1/3の大き
さであり、ならびに組成において同質である。小さいサイズは、固形腫瘍において薬物浸
透を改善し、一方、IgG分子の定常部の除去が実験動物および患者の循環からのより早い
クリアランスを生じる。一緒になって、これらの性質は、免疫毒素(IT)が非標的組織およ
び抗原の非常に低いレベルを発現する組織と相互作用し得る時間を減少することによって
、副作用を減少させる。そして、組換え免疫毒素の同質調製物は、大量に容易に産生され
得る。
【0017】
本発明の抗CD22ジスルフィド安定化免疫複合体により提供される驚くほどに高い活性お
よび独特の薬理学的性質のために、これらは、B細胞悪性腫瘍の処置用またはこのような
悪性腫瘍の薬剤の検出用の高度に有効な治療剤となる。
【0018】
(定義)
単位、接頭語、および記号は、SIで認められている形態で示され得る。数値範囲は、範
囲を定義する数値を含める。他に示されなければ、核酸は、5'から3'配向で左から右に記
載され、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシ配向において左から右に記載される。本
明細書中で提供された表題は、全体として本明細書への言及によって有され得る、本発明
の種々の局面または実施態様の限定ではない。従って、直下に定義した用語は、完全に本
明細書への言及によってより十分に定義される。
【0019】
用語「CD22」は、ラット、マウス、および霊長類、特にヒトのような哺乳動物のB細胞
の表面に存在するCD22抗原への言及を含む。例えば、Wilsonら、J.Exp.Med.173(1):137-1
46(1991);Wilsonら、J.Immunol,150(11):5013-5024(1993)を参照のこと(それぞれ、本明
細書中で参考として援用される)。用語「CD22タンパク質」は、CD22およびCD22のRFB4免
疫反応性フラグメントへの両方の言及を含む。このようなCD22免疫反応性フラグメントは
、非CD22コントロールタンパク質より少なくとも5倍大きい、RFB4結合フラグメントに対
する親和性(例えば、実施例1を参照のこと)を有する。結合親和性のための模範的アッセ
イを、実施例2に記載する。
【0020】
Pseudomonas外毒素(PE)に関する用語「細胞傷害性フラグメント」は、ネイティブPE、
またはネイティブな分子に存在する1つ以上の連続したサブ配列を欠くネイティブPE由来
の連続したサブ配列への言及を含み、またはこれは、このようなフラグメントの保存的に
改変された改変体である。細胞傷害性フラグメントは、ネイティブPEの細胞傷害性の少な
くとも50%、好ましくは75%、さらに好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは95%
を保持する。ネイティブPE配列は公開されている。PE35、PE38、およびPE40の模範的細胞
傷害性PEフラグメントは、米国特許第5,602,095号;第5,608,039号;および第4,892,827号
において開示され、これらのそれぞれは、本明細書中に参考として援用される。
【0021】
本明細書に使用される「生物学的サンプル」は、CD22またはCD22タンパク質を含む生物
学的組織または体液のサンプルである。このようなサンプルは、唾液、羊水、血液、血液
細胞(例えば白血球)、または組織を含むがそれらに限定されない。生物学的サンプルはま
た、組織学的目的のために採取した凍結切片のような組織切片を含み得る。生物学的サン
プルの例は、免疫系由来の細胞サンプルを含む(例えばB細胞)。生物学的サンプルは、代
表的に多細胞性の真核細胞から得られ、好ましくは、ラット、マウス、雌ウシ、イヌ、モ
ルモット、またはウサギ、および最も好ましくは、マカクのような霊長類、チンパンジー
、またはヒトのような哺乳動物から得られる。
【0022】
本明細書中で使用される「組換え」は、そのネイティブ形態でタンパク質を発現し得る
DNAの内因性コピーを有さない細胞を使用して産生されるタンパク質への言及を含む。こ
の細胞は、適切な単離された核酸配列の導入によって遺伝的に変更されているので、組換
えタンパク質を産生する。その用語はまた、異種核酸の導入、または、その細胞に対して
ネイティブではない形態へのネイティブ核酸の変更によって改変された、または細胞が、
そのように改変された細胞に由来する、細胞、または核酸、またはベクターへの言及を含
む。従って、例えば、組換え細胞は、発現されるまたは決して発現されない条件下で、細
胞のネイティブ(非組換え)形態では見られない遺伝子を発現するか、あるいはそうでなけ
れば異常発現されるネイティブ遺伝子を発現する。
【0023】
用語「治療剤」は、抗炎症剤、サイトカイン、抗感染剤、酵素活性化剤または阻害剤、
アロステリック改変剤、または抗生物質または他の治療効果を有するものとして作用する
ことが、現在公知である、または後に開発されるいくらものペプチド化合物を含む。
【0024】
用語「有効量」または「〜に有効な量」または「治療的有効量」は、細胞タンパク質合
成を少なくとも50%阻害するか、または細胞を死滅させるような、所望の結果を生じるの
に十分な投与量への言及を含む。
【0025】
用語「インビボ」は、細胞が得られた生物体の身体の内部への言及を含む。「エキソビ
ボ」は、細胞が得られた生物体の身体の外部を意味する。
【0026】
用語「免疫複合体」は、抗体結合フラグメントのような、抗体への治療剤または検出可
能標識の共有結合への言及を含む。結合は、リンカーペプチドに対して直接的または間接
的であり得る。
【0027】
用語「標識」または「検出可能標識」は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的
、電気的、光学的、または化学的手段によって検出可能な任意の組成物への言及を含む。
【0028】
用語「毒素」は、アブリン、リシン、Pseudomonas外毒素(PE)、ジフテリア(diptheria)
毒素(DT)、ボツリヌス毒素、またはそれらの改変された毒素への言及を含む。例えば、PE
およびDTは、代表的に肝毒性による死を引き起こす高度に毒性の化合物である。しかし、
PEおよびDTは、毒素のネイティブな標的化成分(例えば、PEのドメインlaおよびDTのB鎖)
を取り除き、そして異なる抗体標的化部分とそれを置き換えることにより、免疫毒性とし
て使用するための形態に改変され得る。
【0029】
本明細書中で使用される「哺乳動物細胞」は、ヒト、ラット、マウス、モルモット、チ
ンパンジーまたはマカクを含む哺乳動物由来の細胞への言及を含む。細胞は、インビボま
たはエキソビボで培養され得る。
【0030】
本明細書中で使用される「発現された」は、核酸のタンパク質への翻訳への言及を含む

【0031】
本明細書中で使用される「核酸」は、1本鎖または2本鎖形態のいずれかのデオキシリ
ボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのポリマーへの言及を含み、そして他に限定され
なければ、天然に存在するヌクレオチドに類似する様式で核酸にハイブリダイズする天然
ヌクレオチドの公知のアナログを包含する。他に示されなければ、特定の核酸配列は、そ
の相補的配列を含む。
【0032】
本明細書中で使用される、特定化された核酸に関する「コードする」とは、特定化され
たタンパク質への翻訳のための情報を含む核酸への言及を含む。その情報は、コドンの使
用によって特定化される。代表的には、アミノ酸配列は、「普遍的」な遺伝子コードを使
用して核酸によってコードされる。しかし、ある植物、動物、および真菌のミトコンドリ
ア、細菌のMycoplasmacapricolum(Proc.Natl.Acad.Sci.,82:2306-2309(1985))または繊
毛性大核に存在するような普遍的コードの改変体は、核酸がこれらの生物体の翻訳機構を
使用して発現されるときに使用され得る。
【0033】
本明細書中で使用される「抗体」は、体液性応答のインビトロ産生またはインビボ産生
によって得られる免疫グロブリン分子への言及を含み、そしてポリクローナル抗体および
モノクローナル抗体の両方を含む。その用語はまた、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス
抗体)、異種結合抗体(例えば、二重特異的抗体)および組換え単鎖Fvフラグメント(scFv)
またはジスルフィド安定化(dsFv)Fvフラグメントのような、遺伝子操作された形態を含み
(米国特許出願第08/077,252号(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)、そ
れは、本明細書中に参考として援用される。用語「抗体」はまた、抗体の抗原結合形態を
含む(例えば、Fab'、F(ab')2、Fab、Fv、rlgG、および逆位IgG)。PierceCatalogand Han
dbook,1994-1995(PierceChemical Co.,Rockford,IL)も参照のこと。特定の抗原と免疫学
的に反応性の抗体は、インビボにおいて、または組換え方法(例えば、ファージまたは類
似するベクターにおける組換え抗体のライブラリーの選択)によって生成され得る。例え
ば、Huseら、(1989)Science246:1275-1281;およびWardら、(1989)Nature341:544-546;お
よびVaughanら、(1996)NatureBiotechnology,14:309-314を参照のこと。
【0034】
抗体に関する用語「結合フラグメント」は、インビボ生成抗体のFc領域の実質的に全て
を欠く抗体を言う。模範的な抗体結合フラグメントは、scFv、dsFv、Fab、および(Fab')2
フラグメントを含む。
【0035】
用語「免疫学的反応条件」は、特定のエピトープに対して生成される抗体を、実質的に
すべての他のエピトープへの結合よりも検出可能により大きい程度に、および/またはそ
の結合を実質的に排除するようにその特定のエピトープに結合させる条件への言及を含む
。免疫学的反応条件は、抗体結合反応の形式に依存し、そして代表的には、免疫アッセイ
プロトコルにおいて利用される形式またはインビボにおいて遭遇されるそれらの条件であ
る。免疫アッセ形式および条件の記載については、Harlow およびLane(1988)Antibodies,
ALaboratory Manual, Cold SpringHarbor Publications, New Yorkを参照のこと。
【0036】
本明細書中で使用される「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は交
換可能に使用され、そしてアミノ酸残基のポリマーへの言及を含む。この用語は、天然に
存在するアミノ酸ポリマーと同様に、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在す
るアミノ酸の人工化学アナログであるアミノ酸ポリマーに適用される。
【0037】
用語「残基」または「アミノ酸残基」または「アミノ酸」は、タンパク質、ポリペプチ
ド、またはペプチド(集団的に「ペプチド」)に取り込まれているアミノ酸への言及を含む
。アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸であり得、そして他に限定されなければ、天然に
存在するアミノ酸と類似の様式で機能し得る、天然アミノ酸の公知のアナログを包含し得
る。
【0038】
本明細書中で言及されるアミノ酸およびアナログは、時折、以下のように略記表記によ
って記載される:
(アミノ酸命名法)
名 前 3文字 1文字
アラニン Ala A
アルギニン Arg R
アスパラギン Asn N
アスパラギン酸 Asp D
システイン Cys C
グルタミン酸 Glu E
グルタミン Gln Q
グリシン Gly G
ヒスチジン His H
ホモセリン Hse -
イソロイシン Ile I
ロイシン Leu L
リジン Lys K
メチオニン Met M
メチオニン Met(O) -
スルホキシド
メチオニンメチル Met(S-Me)
スルホニウム
ノルロイシン Nle -
フェニルアラニン Phe F
プロリン Pro P
セリン Ser S
トレオニン Thr T
トリプトファン Trp W
チロシン Tyr Y
バリン Val V。
【0039】
タンパク質を記載するとき「保存的置換」とは、タンパク質活性を実質的に変更しない
タンパク質のアミノ酸組成における変化をいう。従って、特定のアミノ酸配列の「保存的
に改変した変化」は、タンパク質活性に重要ではないそれらのアミノ酸のアミノ酸置換、
または重要アミノ酸の置換でさえも実質的に活性を変更しないような類似した性質(例え
ば、酸性、塩基性、正もしくは負に荷電した、極性もしくは非極性など)を有する他のア
ミノ酸とのアミノ酸の置換を言う。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換表は、
当該分野で周知である。以下の6つの群は、それぞれ互いについて保存的置換であるアミ
ノ酸を含む:
1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
Creighton(1984)ProteinsW.H.Freemanand Companyをも参照のこと。
【0040】
ペプチドの文脈において用語「実質的に類似」は、ペプチドが、10〜20アミノ酸の比較
ウィンドウにわたって参照配列に、少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%の配列同
一性を有する配列を含むことを示す。配列同一性の割合は、2つの最適に整列した配列を
比較ウィンドウにわたって比較することによって決定され、ここで比較ウィンドウにおけ
るポリヌクレオチド配列の一部は、2つの配列を最適整列について参照配列(付加または
欠失を含まない)と比較して付加または欠失(例えばギャップ)を含み得る。割合は、同一
の核酸塩基またはアミノ酸残基が両配列に存在する位置の数を決定して一致した位置の数
を得、一致した位置の数を比較のウィンドウにおける位置の全数で除算し、そしてこの結
果に100を乗算して配列同一性の割合を得ることによって計算される。
【0041】
次いで、2つの核酸またはポリペプチド配列の文脈において「配列同一性」とは、特定
化された比較ウィンドウにわたって最大一致に整列化したときに同じになる、2つの配列
におけるヌクレオチド(または残基)への言及を含む。配列同一性の割合がタンパク質に関
して使用されるとき、同一でない残基位置は、保存的アミノ酸置換によってしばしば異な
ることが認識され、ここではアミノ酸残基は、類似の化学性質(例えば、荷電または疎水
性)を有する他のアミノ酸残基に対して置換され、それゆえ分子の機能的な性質を変化し
ない。配列が保存的置換において異なる場合、配列同一性の割合は、置換の保存的性質に
ついて矯正するように、上向きに調整され得る。この調整を行う手段は、当業者に周知で
ある。代表的には、これは、完全ミスマッチよりむしろ部分ミスマッチとして保存的置換
をスコア付けすること、それにより配列同一性の割合を増加させることを包含する。従っ
て、例えば、同一アミノ酸が1のスコアで与えられ、そして非保存的置換が0のスコアで
与えられる場合、保存的置換は0および1の間のスコアで与えられる。保存的置換のスコ
ア付けは、例えば、PC/GENE(Intelligenetics,MountainView, California, USA)のプロ
グラムで実行されるように、例えば、MeyersおよびMiller, ComputerApplic. Biol. Sci.
, 4:11-17(1988)のアルゴリズムに従って計算される。2つのペプチド配列が実質的に類
似であることを示すことは、1つのペプチドが、第2のペプチドに対して生じる抗体と免
疫学的に反応性であることである。従って、例えば、2つのペプチドが、保存的置換によ
ってのみ異なる場合、ペプチドは、第2のペプチドと実質的に類似している。
【0042】
核酸配列は、それらが実質的に類似のペプチドをコードする場合、「実質的に類似」で
ある。
【0043】
本明細書中で使用される「比較ウィンドウ」は、配列が、2つの配列が最適に整列され
た後連続した位置の同じ数の参照配列と比較し得る、約10〜20残基のセグメントへの言及
を含む。比較のための配列の整列方法は、当該分野において周知である。比較のための配
列の最適整列は、SmithおよびWaterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482の局所相同性アルゴ
リズムによって;NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性整列アルゴリ
ズムによって;PearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad. Sci. USA 85:2444の類似性
検索方法によって;これらのアルゴリズムのコンピューター実行によって(WisconsinGene
tics Software Package、GeneticsComputer Group(GCG)、575 Science Dr.、Madison、W
isconsin、USAにおけるIntellgenetics、MountainView、California、GAP、BESTFIT、BLA
ST、FASTA、およびTFASTAによるPC/GeneプログラムにおけるCLUSTALを含むが、これらに
限定されない)実施され得る;CLUSTALプログラムは、HigginsおよびSharp(1988)Gene,73
:237-244およびHigginsおよびSharp(1989)CABIOS 5:151-153;Corpetら、(1988)Nucleic
AcidsResearch 16, 10881-90;Huangら、(1992) Computer Applications in theBiosci
ences 8,155-65、およびPearsonら、(1994)Methods in Molecular Biology 24,307-31に
よって十分に記載される。
【0044】
用語「接触」は、直接的な物理的結合における配置に対する参照を含む。
【0045】
用語「悪性B細胞」は、形質転換されたB細胞(例えば、慢性B-リンパ性細胞(B-CLL)
、Bリンパ腫細胞、(例えば、バーキットリンパ腫)および毛様細胞白血病があるがこれ
らに限定されない)、ならびに正常成熟Bリンパ球についての言及を含む。B細胞は、例え
ば、ラット、マウスおよび霊長類のB細胞(特に、ヒトB細胞)である。悪性B細胞は、表
面上で全体または一部においてCD22を発現し、その結果、標準的な結合アッセイを使用し
た場合、抗CD22抗体は、CD22を保有しないB細胞よりも少なくとも5倍高く、そしてより
好ましくは少なくとも10倍高い結合親和性で悪性B細胞を認識し、そして結合する。例示
的な結合アッセイは本明細書の実施例2に記載されている。
【0046】
用語「発現ベクター」は、宿主細胞における特定の核酸の転写を可能にする一連の特定
の核酸エレメントを有する、組換え的にまたは合成的に生成された核酸構築物に対する言
及を含む。発現ベクターは、プラスミド、ウイルス、または核酸フラグメントの一部であ
り得る。代表的には、発現ベクターは、転写される核酸およびプロモーターを含む。
【0047】
用語「リンカーペプチド」は、可変軽鎖に対する可変重鎖の間接的な結合を供給する抗
体結合フラグメント(例えば、Fvフラグメント)内のペプチドに対する言及を含む。
【0048】
「宿主細胞」によって、発現ベクターの複製または発現を支持し得る細胞が意味される
。宿主細胞は、原核生物細胞(例えば、E.coli)、または真核生物細胞(例えば、酵母、
昆虫、両生類、または哺乳動物細胞)であり得る。
【0049】
本明細書中で使用される、用語「抗CD22」は、CD22に特異的な抗体またはFvフラグメン
トに関して、CD22(特に、CD22の細胞外エピトープ)に対して産生される抗体に対する言
及を含む。好ましい実施態様において、CD22は霊長類のCD22(例えば、ヒトCD22)である
。CD22の供給源は周知である。
【0050】
用語「RFB4結合フラグメント」は、RFB4dsFvと同じエピトープに結合する抗体に対する
言及を含み、そして少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、そして最も好
ましくは少なくとも約90%の本明細書中(例えば、実施例1)に開示されるようなRFB4ds
Fvフラグメントの結合親和性を有する。結合親和性についての例示的なアッセイは実施例
2に記載されている。
【0051】
(A.PEの保存的修飾改変体)
PEの保存的修飾改変体またはその細胞毒性フラグメントは、アミノ酸レベルで少なくと
も80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列類似性、より好ましくは少なくと
も90%の配列類似性、そして最も好ましくは少なくとも95%の配列類似性を有する。
【0052】
用語「保存的修飾改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定
の核酸配列に関しては、保存的修飾改変体は、同一または本質的に同一なアミノ酸配列を
コードするそれらの核酸をいい、またはその核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は、
本質的に同一な配列をいう。遺伝コードが縮重しているために、多数の機能的に同一な核
酸は、任意の所定のポリペプチドをコードする。例えば、コドンGCA GCC GCG およびGCU
の全てが、アミノ酸のアラニンをコードする。従って、コドンによりアラニンが特定され
るあらゆる部位において、コドンは、コードされたポリペプチドを変化させることなく記
載される任意の対応コドンに変化され得る。このような核酸の変化は「サイレントな改変
」であり、これはある種の保存的修飾変化である。ポリペプチドをコードする本明細書中
のあらゆる核酸配列もまた、核酸の、起こり得るあらゆるサイレント改変体を記載する。
当業者は、核酸内のそれぞれのコドン(これは通常はメチオニンに対する唯一のコドンで
ある、AUGを除く)が機能的に同一な分子を生じるために改変され得ることを認識する。
従って、ポリペプチドをコードする核酸のそれぞれのサイレントな変化が、記載される配
列のそれぞれにおいて選択される。
【0053】
アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされる配列における唯一のアミノ酸または少
ない割合のアミノ酸を変化、付加、または欠失させる核酸、ペプチド、ポリペプチドまた
はタンパク質配列に対する個別の置換、欠失、または付加が、その変化がアミノ酸の化学
的に類似のアミノ酸への置換を生じるが、「保存的修飾改変体」であることを認識する。
【0054】
(B.PEの細胞毒性についてのアッセイ)
本発明で使用されるPseudomonasの外毒素は、所望されるレベルの細胞毒性について、
当業者に周知のアッセイによりアッセイされ得る。例示的な細胞毒性のアッセイは、本明
細書中(例えば、実施例4)に記載される。従って、PEの細胞毒性フラグメントおよびこ
のようなフラグメントの保存的修飾改変体は、細胞毒性について容易にアッセイされ得る
。多数の候補PE分子は、細胞毒性について、当該分野で周知の方法により同時にアッセイ
され得る。例えば、サブグループは、鎖相棒傷害性についてアッセイされ得る。候補分子
のポジティブに反応する候補分子サブグループは、連続的に細分され、そして所望される
細胞毒性フラグメントが同定されるまで、再アッセイされ得る。このような方法は、PEの
多数の細胞毒性フラグメントまたは保存的修飾改変体の迅速なスクリーニングを可能にす
る。
【0055】
(抗CD22抗体)
本発明は、CD22の細胞外決定因子を標的化する抗体を提供する。CD22はB細胞で提示さ
れる抗原である。本明細書中に記載される免疫複合体は、本発明の抗体を使用してCD22に
標的化される。これらの抗体は、免疫学的条件下においてB-細胞の表面に表され、および
細胞外環境からの抗体に対して接近可能であるCD22の決定因子に対して選択的に反応性で
ある。好ましい実施態様において、免疫複合体組成物に使用される抗体は、RFB4結合フラ
グメントである。
【0056】
用語「選択的反応性」または「〜に対して特異的な」は、CD22標的分子を保有する細胞
または組織(全体または一部分において)との抗体の優先的な結合に対する言及であり、
その標的分子を欠く細胞または組織に対する言及ではない。当然だが、特定の非特異的相
互作用の程度は、分子と非標的化細胞または組織との間で生じ得ることが認識される。そ
れにもかかわらず、特異的な結合は、標的CD22分子の特異的な認識により媒介される場合
、区別され得る。代表的な特異的結合は、結合分子とCD22を欠く細胞間よりも送達される
分子とCD22を保有する細胞間での非常に強い結合を生じる。特異的な結合は、CD22欠失細
胞または組織と比較して、代表的には2倍より大きい、好ましくは5倍より大きい、より
好ましくは10倍より大きい、そして最も好ましくは100倍よりも大きいCD22保有細胞また
は組織に対する結合リガンドの量の増加を生じる。このような条件下でのタンパク質に対
する特異的な結合は、特定のタンパク質に対するその特異性について選択された抗体を必
要とする。種々のイムノアッセイの形式は、特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗
体の選択のために適切である。例えば、固相ELISAアッセイは、タンパク質と特異的に免
疫反応するモノクローナル抗体を選択するために日常的に使用される。イムノアッセイの
形式および特異的な免疫反応性を決定するために使用され得る条件の説明については、Ha
rlowおよびLane(1988)Antibodies,ALaboratory Manual,Cold Spring Harbor Publicati
ons,New Yorkを参照のこと。
【0057】
好ましくは、本発明の方法で使用される反応条件は、生きた哺乳動物または哺乳動物細
胞の内部の代表的条件(例えば、温度、浸透圧、pH)に対する言及を含む「生理学的条件
」である。いくつかの器官は厳しい条件に供されることが理解されるが、生物内部環境お
よび細胞内部環境は、通常、約pH7(すなわち、pH 6.0〜pH 8.0、より代表的には、pH 6.5
〜7.5)で変動し、主な溶媒として水を含み、そして0℃より高く、50℃より低い温度にあ
る。浸透圧は、細胞生存および細胞増殖に支持的な範囲内である。
【0058】
本発明で使用される抗CD22抗体は、PEカルボキシル末端、PEアミノ末端を介して、PEの
内部アミノ酸残基(例えば、システイン)を介して、または任意のその組合せを介して、
Pseudomonas外毒素(PE)に連結され得る。同様に、PEは、抗体の重鎖、軽鎖、またはFc領
域に直接連結され得る。連結は、抗体のアミノ末端およびカルボキシ末端を介して、また
は内部アミノ酸残基を介して生じ得る。さらに、複数のPE分子(例えば、2〜10のいずれ
か1つ)が抗CD22抗体に連結され得、そして/または複数の抗体(例えば、2〜5のいず
れか1つ)がPE分子と連結され得る。本発明の多価免疫複合体組成物で使用される抗体は
、同じかまたは異なるCD22エピトープであり得る。
【0059】
本発明の好ましい実施態様において、抗CD22抗体は、抗体結合フラグメント(例えば、
scFvまたはdsFv抗体(例えば、RFB4dsFv))である。Fvフラグメントは、代表的には約25k
Daであり、そして完全な抗原結合部位を含む。FvフラグメントのVH鎖およびVL鎖は、非共
有結合的相互作用により共に保持される。これらの鎖は、希釈によって分離する傾向があ
るので、方法は、グルタルアルデヒド、分子内ジスルフィド、またはペプチドリンカーを
介して鎖を架橋するために開発されてきた。いくつかの好ましい実施態様において、Fv抗
体結合フラグメントは、配列番号2と実質的に類似のRFB4可変重鎖、またはその保存的修
飾改変体、および/または配列番号4と実質的に類似のRFB4可変軽鎖、またはその保存的
修飾改変体を有する。dsFVフラグメントに使用されるこのような保存的修飾改変体は、錯
の間のジスルフィド結合に使用されるシステイン残基を保持する。配列番号2のプロトタ
イプ配列および/または配列番号4のプロトタイプ配列の保存的修飾改変体は、そのプロ
トタイプ配列に対してアミノ酸レベルで少なくとも約80%の配列同一性、好ましくは約85
%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性、そして最も好ましくは少
なくとも95%の配列同一性を有する。
【0060】
本発明のいくつかの実施態様において、抗体結合フラグメントは、軽鎖を介してPEに直
接連結される。そしていくかの実施態様において、抗体結合フラグメントは、重鎖を介し
てPEに直接連結される。Fvフラグメントは、それらのアミノ末端またはカルボキシ末端を
経てPEに連結され得る。好ましい実施態様において、PEはPE38である。
【0061】
ジスルフィド安定化Fvフラグメントの可変重鎖および可変軽鎖(VHおよびVL)は、2つ
の鎖の各々に存在するシステイン残基の間のジスルフィド結合を介して共有結合される。
ジスルフィド安定化Fv(dsFv)フラグメントは、得られた抗体分子が形成される場合、さら
なるジスルフィド結合を提供するシステイン残基を得るために、ネイティブなFv配列が特
異的な部位で変異されているものの1つである。優先度の高い順番の選択されるアミノ酸
の対は以下である。
【0062】
VH44-VL100、
VH105-VL43、
VH105-VL42、
VH44-VL101、
VH106-VL43、
VH104-VL43、
VH44-VL99、
VH45-VL98、
VH46-VL98、
VH103-VL43、
VH103-VL44、
VH103-VL45、
最も好ましくは、システインの置換は以下の部位でなされる:
VH44-VL100;または
VH105-VL43。
【0063】
表記VH44-VL100は、例えば、部位44でシステインを有するVH、および部位100でVLのシ
ステインを有するVHを有するポリペプチドをいう;位置は、「SequencesofProteins of
ImmunologicalInterest,」E.Kabatら、U.S.Government Printingoffice,NIH Publicatio
nNo.91-3242(1991)(これは本明細書中で参照として援用される(「KabatおよびWu」)
)に与えられる番号付けに従う。VHおよびVLは当該分野で公知(KabatおよびWuを含む)
のように同定される。本明細書のVHまたはVLのアミノ酸位置は、KabatおよびWuに参照さ
れる。DsFvフラグメントは、少なくとも1つのジスルフィド結合を含むが、2、3、4、5ま
たはそれ以上の所望の結合を含み得る。
【0064】
いくつかの抗体の実施態様の2つのVHおよびVL鎖は、直接的に一緒に結合され得るが、
当業者は、分子が1つ以上のアミノ酸からなるペプチドリンカーにより分離され得ること
を認識する。一般に、ペプチドリンカーは、タンパク質を結合するか、またはいくつかの
最小の距離もしくはそれらの間の他の空間的な関連性を保持する以外に特異的な生物学的
活性を有さない。しかし、ペプチドリンカーの構成アミノ酸は、分子のいくつかの特性(
例えば、フォールディング、正味の電荷、または疎水性)に影響するために選択され得る
。一本鎖Fv(scFv)抗体は、必要に応じた長さにおいて、50アミノ酸未満、一般には40アミ
ノ酸未満、好ましくは30アミノ酸未満、そしてより好ましくは20アミノ酸未満のペプチド
リンカーを含む。いくつかの実施態様において、ペプチドリンカーは、配列Gly-Gly-Gly-
Ser(配列番号15)、好ましくは2、3、4、5、または6のこのような配列のコンカテ
マーである。ペプチドリンカーおよびそれらの使用は、当該分野で周知である。例えば、
Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、前出;Birdら、Science、前出;Glockshuberら、前
出;米国特許第4,946,778号、米国特許第5,132,045号および最も細菌では、Stemmerら、B
iotnchniques14:256-265(1993)(全てが参考として本明細書中で援用される)を参照のこ
と。
【0065】
(組換え抗体生成)
抗体は組み換えたものであり、代表的にはscFvまたはdsFvである。Fv抗体の作製方法は
記載されている。Huseら、Science246:1275-1281(1989);およびWardら、Nature341:544-
546(1989);およびVaughanら、(1996)NatureBiotechnology,14:309-314を参照のこと。
一般的には、適切な抗体は、通常、少なくも10-7M、好ましくは少なくとも10-8M、好ま
しくは少なくとも10-9M、より好ましくは少なくとも10-10M、最も好ましくは少なくと
も10-11Mの親和定数で結合する。
【0066】
(抗体の結合親和性)
本発明の抗体は、CD22の細胞外エピトープを特異的に結合し得る。抗CD22抗体は、抗体
が結合するか、または、測定されたようにCD22と結合し得るか、または標準的な抗体-抗
原アッセイ(例えば、競合アッセイ、飽和アッセイ、または標準的なイムノアッセイ(例
えば、ELISAまたはRIA))により決定される場合、CD22についての結合親和性を有する。こ
の特異性の定義は、単一の重鎖および/または軽鎖、CDR、重鎖および/または軽鎖の融
合タンパク質またはフラグメント(これらはそれらが単独のCD22または組み合わされてCD
22に結合する場合、CD22について特異的である)に適用する。
【0067】
競合アッセイでは、抗体のリガンドを結合する能力は、リガンドを結合することが公知
である化合物の結合と競合する抗体の能力を検出することにより決定される。競合アッセ
イの多数の型が公知でありそして本明細書中で議論される。あるいは、インヒビター非存
在下での試験化合物の結合を測定するアッセイはもまた、使用され得る。例えば、分子ま
たは他の化合物のCD22を結合する能力は、目的の分子を直接標識することにより検出され
得るか、または分子は標識されず、そして種々のサンドイッチアッセイの様式を使用して
間接的に検出され得る。結合アッセイ(例えば、競合結合アッセイ)の多くの型が公知で
ある(例えば、米国特許第3,376,110号、同第4,016,043号、ならびにHarlowおよびLane、
Antibodies:ALaboratoryManual,Cold Spring Harbor Publications,N.Y.(1988)を参照の
こと、これらは本明細書中で参考として援用される)。競合アッセイを使用するのとは異
なる試験化合物の1つの化合物単独に対する結合を測定するためのアッセイもまた利用可
能である。例えば、抗体は、リガンドの存在を同定するために使用され得る。モノクロー
ナル抗体アッセイ(例えば、ELISA)についての標準的な手順が使用され得る(Harlowおよ
びLane、前出を参照のこと)。使用され得る種々のシグナル産生系の総説については、米
国特許第4,391,904号(これは本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0068】
(免疫複合体の生成)
(A.免疫毒素)
毒素は、免疫毒素を入手するために本発明の抗体と使用され得る。例示的な毒素は、リ
シン、アブリン、ジフテリア毒素およびそれらのサブユニット、ならびにボツリヌス毒素
A〜Fを含む。これらの毒素は、商業的供給源(例えば、Sigma Chemical Company,St.Lo
us,MO)から容易に入手可能である。ジフテリア毒素は、Corynebacteriumdiphtheriaeから
単離される。リシンはRicinus communis(ヒメマメ)由来のレクチンRCA60である。この用
語はまた、その毒性改変体を参照する。米国特許第5,079,163号および同第4,689,401号を
参照のこと。Ricinuscommunisアグルチニン(RCA)は、それぞれおよそ65,000および120,
000の分子量に従ってRCA60およびRCA120と称される2つの形態を生じる。Nicholsonおよ
びBlaustein,J.Biochim.Biophys.Acta,266:543(1972)。A鎖はタンパク質合成の不活化お
よび細胞殺傷の原因である。B鎖はリシンを細胞表面上のガラクトース残基に結合し、そ
してA鎖の細胞質ゾルへの輸送を促進する(Olsnesら、Nature,1974;249:627-631)。米国
特許第3,060,165号を参照のこと。
【0069】
アブリンは、Abrusprecatorius由来の毒性レクチンを含む。この毒性の要素である、ア
ブリンa、b、c、およびdは、約63,000〜67,000Daの分子量を有し、そして2つのジス
ルフィド結合ポリペプチド鎖AおよびBから構成される。A鎖はタンパク質合成を阻害す
る;B-鎖(アブリン-b)はD-ガラクトース残基を結合する。Funatsuら、Theaminoacid
sequence of theA-chain of abrin-a and comparison withricin,Agr.Biol.Chem.52:109
5(1988)を参照のこと。Olsnes,MethodsEnzymol.50:330-335(1978)もまた参照のこ
と。
【0070】
好ましい実施態様において、毒素は、Pseudomonas外毒素である。Pseudomonas外毒素A
(PE)は、Pseudomonasaeruginosaによって分泌される、極度に活性なモノマー性タンパ
ク質(分子量66kD)である。これは、そのADPリボシル化を触媒すること(酸化NADのADP
リボシル部分のEF-2への転移を触媒すること)によって、伸長因子2(EF-2)の不活化を
介して真核生物細胞におけるタンパク質合成を阻害する。
【0071】
この毒素は、協調的に作用して細胞傷害性を生じる、3つの構造ドメインを含む。ドメ
インIa(アミノ酸1〜252)は、細胞結合を媒介する。ドメインII(アミノ酸253〜364)は
、細胞質ゾルへのトランスロケーションを媒介し、そしてドメインIII(アミノ酸400〜61
3)は、伸長因子2のADPリボシル化を媒介し、これは、タンパク質を不活化し、そして細
胞死を引き起こす。ドメインIb(アミノ酸365-399)の機能は、未知のままであるが、そ
の大部分であるアミノ酸365-380は、細胞傷害性を損失することなく欠失され得る。Siega
llら、J.Biol.Chem.264:14256-14261(1989)を参照のこと。これは、本明細書において
参考として援用される。
【0072】
本発明において使用されるPseudomonas外毒素(PE)は、ネイティブな配列、ネイティ
ブな配列の細胞傷害性フラグメント、およびネイティブPEおよびその細胞傷害性フラグメ
ントの保存的に改変された改変体を含む。PEの細胞傷害性フラグメントは、標的細胞にお
いて引き続くタンパク質加水分解もしくは他のプロセシングを伴うかまたは伴わないで(
例えば、タンパク質またはプロタンパク質として)、細胞傷害性であるものを含む。PEの
細胞傷害性フラグメントは、PE40、PE38、およびPE35を含む。PE40は、当該分野で以前に
記載されているようなPEの短縮型誘導体である。Paiら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:3
358-3362(1991);Kondoら、J.Biol.Chem.263:9470-9475(1988)を参照のこと。PE38は
、アミノ酸253-364および381-613から構成される短縮型PEである。PE35は、ネイティブPE
の280位のMetに続いてアミノ酸281-364および381-613から構成されるPEの35kDカルボキシ
末端フラグメントである。好ましい実施態様において、細胞傷害性フラグメントPE38が使
用される。PE38は、細胞内において、プロセシングの際にその細胞傷害性形態へと活性化
され得るプロタンパク質である。
【0073】
本明細書において提供されるPseudomonas外毒素および抗体を用いて、当業者は、機能
的に等価な核酸(例えば、配列は異なるが、同じPEまたは抗体配列をコードする核酸)を
含む種々のクローンを容易に構築し得る。従って、本発明は、抗体および結合体ならびに
それらの融合物をコードする核酸を提供する。
【0074】
(B.組換え方法)
本発明の核酸は、任意の適切な方法(例えば、クローニングおよび適切な配列の制限ま
たはNarangら、Meth.Enzymol.68:90-99(1979)のホスホトリエステル法;Brownら、Meth.
Enzymol.68:109-151(1979)のホスホジエステル法;Beaucageら、Tetra.Lett.22:1859-1
862(1981)のジエチルホスホルアミダイト法;BeacucageおよびCaruthers(1981)、Tetra
hedronLett.22(20):1859-1862、例えば、自動化合成機(例えば、Needham-VanDevanter
ら(1984)NucleicAcidsRes、12:6159-6168に記載される);ならびに米国特許第4,458,
066号の固体支持体法)により記載される固相ホスホルアミダイトトリエステル法による
直接化学合成を含む)によって調製され得る。化学合成は、一本鎖オリゴヌクレオチドを
生成する。これは、相補的配列とのハイブリダイゼーションによるか、またはその一本鎖
をテンプレートとして使用してDNAポリメラーゼを用いる重合化によって二本鎖に変換さ
れ得る。当業者は、DNAの化学合成が約100塩基の配列に制限され、より長い配列がより短
い配列の連結によって得られ得ることを認識する。これらの目的を達成するためのクロー
ニング方法論、および核酸の配列を確認するための配列決定法は、当該分野で周知であり
、そして本明細書において例示される。
【0075】
本発明の、免疫複合体であるPEおよび抗体はまた、標準的なペプチド合成法を用いて全
体または部分的に構築され得る。約50アミノ酸長未満の本発明のポリペプチドの固相合成
は、配列のC末端アミノ酸を、不溶性の支持体に結合させ、続いて配列の残りのアミノ酸
の連続的な付加によって達成され得る。固相合成のための技術は、BaranyおよびMerrifie
ld、Solid-PhasePeptideSynthesis;3〜284頁、The Peptides:Analysis、Synthesis、
Biology、第2巻:SpecialMethodsin Peptide Synthesis、第A部、Merrifieldら、J.Am.
Chem.Soc.、85:2149-2156(1963)、およびStewartら、SolidPhasePeptide Synthesis、
第2版PierceChem.Co. Rockford III(1984)によって記載されている。より長いタンパ
ク質は、より短いフラグメントのアミノ末端およびカルボキシ末端の縮合によって合成さ
れ得る。カルボキシ末端の活性化(例えば、カップリング試薬であるN,N'ジシクロヘキシ
ルカルボジイミドの使用による)によるペプチド結合の形成方法は、当業者に公知である

【0076】
適切なクローニングおよび配列決定技術、ならびに多くのクローニングの実施へと当業
者を導くのに充分な指示の他の例は、Sambrookら、Molecular Cloning:A;Laboratory Ma
nual(第2版、第1〜3巻、ColdSpringHarbor Laboratory(1989)),Methods in Enzy
mology,第152巻、Guideto MolecularCloning Tehcniques(BergerおよびKimmel(編)
)、SanDiego:Academic Press、Inc.(1987))、またはCurrentProtocols in Molecula
r Biology、(Ausubelら(編)、GreenePublishing andWiley-Interscience、New York(1
987)に見い出される。生物学的試薬および実験装置の製造業者からの製品情報もまた、
公知の生物学的方法において有用な情報を提供する。このような製造業者には、SIGMAche
mical company(SaintLouis、MO)、R&D systems(Minneapolis、MN)、Pharmacia LKBBi
otechnology(Piscataway、NJ)、CLONTECHLaboratories、Inc.(Palo Alto、CA)、ChemG
enes Corp.、AldrichChemical Company(Milwaukee、WI)、Glen Research、Inc.、GIBC
O BRLLife Technologies、Inc,(Gaithersberg、MD)、FlukaChemika-Biochemika Analy
tika(FlukaChemieAG、Buchs、Switzerland)、Invitrogen、San Diego、CA、およびApp
lied Biosystems(FosterCity、CA)、ならびに当業者に公知の他の多くの商業供給源が
含まれる。
【0077】
ネイティブPEまたは抗CD-22抗体をコードする核酸は、本発明のPE、抗体、または免疫
複合体を形成するように改変され得る。部位特異的変異誘発による改変は、当該分野で周
知である。ネイティブPEまたは抗CD22抗体(例えば、RBF4)をコードする核酸は、インビ
トロ方法によって増幅され得る。増幅方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ
連鎖反応(LCR)、転写ベースの増幅系(TAS)、自己維持的(self-sustained)配列複製
系(SSR)を含む。広範な種々のクローニング方法、宿主細胞、およびインビトロ増幅方
法論は、当業者に周知である。
【0078】
一旦、本発明のPE、抗CD22抗体、または免疫複合体をコードする核酸が単離およびクロ
ーニングされると、細菌、酵母、昆虫、および哺乳動物細胞のような組換え操作された細
胞において所望のタンパク質を発現し得る。当業者は、E.coli、他の細菌宿主、酵母、お
よび種々の高等真核生物細胞(例えば、COS、CHO、およびHela細胞株ならびにミエローマ
細胞株)を含むタンパク質の発現のために利用可能な多数の発現系についてよく知ってい
ることが期待される。原核生物または真核生物におけるタンパク質の発現について公知の
種々の方法を詳細に記載する試みは行わない。手短には、本発明の単離されたタンパク質
をコードする天然の核酸または合成核酸の発現は、代表的には、プロモーター(これは、
構成性または誘導性のいずれかである)にDNAまたはcDNAを作動可能に連結すること、続
いて発現ベクターへの組込みによって達成される。ベクターは、原核生物または真核生物
のいずれかにおける複製および組込みに適切であり得る。代表的な発現ベクターは、タン
パク質をコードするDNAの発現を調節するのに有用な、転写および翻訳のターミネーター
、開始配列、およびプロモーターを含む。クローニングした遺伝子の高レベルの発現を得
るために、少なくとも、転写を導く強力なプロモーター、翻訳開始のためのリボソーム結
合部位、および転写/翻訳ターミネーターを含む発現ベクターを構築することが所望され
る。E.coliについて、これは、プロモーター(例えば、T7、trp、lac、またはλプロモー
ター)、リボソーム結合部位、および好ましくは転写終結シグナルを含む。真核細胞生物
について、コントロール配列は、プロモーターおよび好ましくは免疫グロブリン遺伝子、
SV40、サイトメガロウイルスに由来するエンハンサー、およびポリアデニル化配列を含み
得、そしてスプライスドナーおよびアクセプター配列を含み得る。本発明のプラスミドは
、選択された宿主細胞に、E.coliについての塩化カルシウム形質転換および哺乳動物細胞
についてのリン酸カルシウム処理またはエレクトロポレーションのような周知の方法によ
って、移入され得る。このプラスミドによって形質転換された細胞は、プラスミド上に含
まれる遺伝子(例えば、amp、gpt、neoおよびhyg遺伝子)によって付与される抗生物質に
対する耐性によって選択され得る。
【0079】
当業者は、本発明のポリペプチド(すなわち、抗CD22抗体、PE、またはそれらの組合せ
から形成される免疫複合体)をコードする核酸に、その生物学活性を減ずることなく改変
を施し得ることを認識する。いくつかの改変は、クローニング、発現、または標的分子の
融合タンパク質への組込みを容易にするためになされ得る。このような改変は、当業者に
周知であり、そして例えば、開始部位を提供するためにアミノ末端に付加されたメチオニ
ン、または便利に配置される制限部位を作製するための、いずれか一方の末端に配置され
たさらなるアミノ酸(例えば、ポリHis)、または終止コドン、あるいは精製配列を含む

【0080】
(C.精製)
一旦発現されると、本発明の組換え免疫複合体、抗体、および/またはPseudomonas外
毒素は、当該分野で標準的な手順に従って精製され得、これは、硫酸アンモニウム沈澱、
アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィーなどを含む(一般的には、R.Scopes、
ProteinPurification、Springer-Verlag、N.Y.(1982)を参照のこと)。少なくとも約90
〜95%均質性の実質的に純粋な組成物が好ましく、そして98〜99%またはそれより高い均
質性が薬学的使用に最も好ましい。一旦所望に応じて、部分的または均質にまで精製され
ると、ポリペプチドは薬学的目的のために、内毒素を実質的に含まないべきであり、次い
で治療的に使用され得る。
【0081】
E.coliのような細菌からの、単鎖抗体の発現および/または適切に折り畳まれた形態(
単鎖抗体を含む)への再折り畳みのための方法は、記載されてきており、そして周知であ
り、そして本発明の抗体に適用可能である。Buchnerら、AnalyticalBiochemistry 205:2
63-270(1992);Pluckthun、Biotechnology、9:545(1991);Huseら、Science、246:1
275(1989)およびWardら、Nature、341:544(1989)を参照のこと。これらはすべて、本
明細書において参考として援用される。
【0082】
しばしば、E.coliまたは他の細菌由来の機能性タンパク質は、封入体から産生され、そ
して強力な変性剤を用いるタンパク質の可溶化、および続く再折り畳みを必要とする。可
溶化工程において、当該分野で周知なように、ジスルフィド結合を分解するために還元剤
が存在していなければならない。還元剤を有する例示的な緩衝液は:0.1MTris、pH8、6
Mグアニジン、2mM EDTA、0.3MDTE(ジチオエリスリトール)である。タンパク質ジスル
フィド結合の再酸化は、Saxenaら、Biochemistry9:5015-5021(1970)(本明細書におい
て参考として援用される)において記載され、および特にBuchnerら、Anal.Biochem.前出
(1992)によって記載されるように、還元形態および酸化形態の低分子量チオール試薬の
存在下で有効に触媒され得る。
【0083】
再生は、代表的に、変性および還元したタンパク質の再折り畳み緩衝液への希釈(例え
ば、100倍)によって達成される。例示的な緩衝液は、0.1MTris、pH8.0、0.5M L-アルギ
ニン、8mM酸化型グルタチオン(GSSG)、および2mMEDTAである。
【0084】
単鎖抗体プロトコルへの必要な改変として、重鎖および軽鎖領域は、別個に可溶化およ
び還元され、次いで再折り畳み溶液中へ合わされる。好ましい収率は、これらの2つのタ
ンパク質が、あるタンパク質に対する他のタンパク質のモル過剰が5倍過剰を超えないよ
うなモル比で混合される場合に、得られる。酸化還元シャフリングが完了した後に、再折
り畳み溶液へ過剰量の酸化型グルタチオンまたは他の低分子量酸化化合物を添加すること
も所望される。
【0085】
(薬学的組成物および投与)
本発明の抗体および/または免疫複合体組成物(すなわち、抗体に結合したPE)は、静
脈投与または体腔または器官の内腔への投与のような非経口投与に特に有用である。投与
のための組成物は、一般に、薬学的に受容可能なキャリア、好ましくは水性キャリア中に
溶解された抗体および/または免疫複合体の溶液を含む。種々の水性キャリア、例えば、
緩衝化生理食塩水などが使用され得る。これらの溶液は、滅菌され、そして一般に所望さ
れない物質を含まない。これらの組成物は、従来からの周知の滅菌技術によって滅菌され
得る。この組成物は、適切な生理条件のために必要に応じて、薬学的に受容可能な補助物
質(例えば、pH調整剤、および緩衝剤、毒性調整剤など、例えば、酢酸ナトリウム、塩化
ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなど)を含み得る。融合タ
ンパク質のこれらの処方物における濃度は、広範に変化し得、そして選択された特定の投
与の態様および患者の必要性に従って、液体容積、粘性、体重などに主に基づいて選択さ
れる。
【0086】
従って、静脈投与のための代表的な薬学的免疫複合体組成物は、1日当たり合計約0.3
から約30mg/kgの処置である。投与量は、好ましくは、連続的または1日あたり3回の約0
.1〜10mg/kg投与量に割り当てられる。好ましくは、投与量は、1日おきに、約0.2〜2mg
/kgを1日当たり3回、または連続注入で1日当たり0.6〜6mg/kgで与えられる。投与可能
な組成物を調製するための実際の方法は、公知であるか、当業者には明らかであり、そし
てRemington'sPharmaceuticalScience、第19版、Mack Publishing Company、Easton、Pe
nnsylvania(1995)のような刊行物においてより詳細に記載されている。
【0087】
本発明の免疫複合体を含む組成物は、治療的処置のために投与され得る。治療適用にお
いて、組成物は、疾患に苦しむ患者に、その疾患およびその合併症を治癒するかまたは少
なくとも部分的に抑止するのに充分な量で投与される。これを達成するのに適切な量は、
「治療的有効用量」として規定される。この使用のために有効な量は、疾患の重篤度およ
び患者の健康の全身状態に依存する。
【0088】
組成物の単回または複数回投与は、患者に必要とされそして寛容である投与量および頻
度に依存して投与され得る。いずれにせよ、組成物は、患者を有効に処置するために、本
発明のタンパク質の充分量を提供するべきである。好ましくは、投与量は、1日おきに1
日当たり3回、または1日おきに連続的に投与されるが、治療結果が達成されるまで、ま
たは副作用が治療の中止を要求する(warrant)までのいずれかで定期的に適用され得る。
一般的に、用量は、患者に受容され得ない毒性をもたらすことなく、疾患の症状または症
候を処置または改善するのに充分であるべきである。化合物の有効量は、被験体の症状の
軽減、または臨床医または他の資格のある観察者によって観察される場合に、客観的に同
定可能な改善を提供する量である。
【0089】
本発明の免疫複合体組成物の制御放出非経口処方物は、移植片、油性注射物、または特
定の系として作製され得る。タンパク質送達系の広範な総説について、Banga、A.J.「The
rapeuticPeptides and Proteins:Formulation、Proceeding、andDelivery Systems」Te
chnomicPublishing Company、Inc.1995、Lancaster、PA,を参照のこと。これは本明細書
で参考として援用される。特定の系は、以下:ミクロスフェア、マイクロ粒子、マイクロ
カプセル、ナノカプセル、ナノスフェア、およびナノ粒子を含む。マイクロカプセルは、
中心核として治療タンパク質を含む。ミクロスフェアにおいて、治療剤は、粒子内全域に
拡散されている。約1μmより小さな、粒子、ミクロスフェア、およびマイクロカプセルは
、一般に、それぞれ、ナノ粒子、ナノスフェア、およびナノカプセルといわれる。キャピ
ラリーは、約5μmの直径を有し、その結果、ナノ粒子のみが静脈投与される。マイクロ
粒子は、代表的に、直径約100μmであり、そして皮下または筋肉内投与される。例えば、
Kreuter、J.1994、「Nanoparticles」、ColloidalDrug Devicery Systems、J.Kreuter編
、MarcelDekker、Inc.New York、NY.219〜342頁;TiceおよびTabibi、1992、「Parenter
al DrugDelivery:Injectibles」Treatise on Controlled Drug Delivery、A.Kydonieus
編、MarcelDekker Inc.New York、NY,315〜339頁(これらは両方とも本明細書において
参考として援用される)を参照のこと。
【0090】
ポリマーは、本発明の免疫複合体組成物の制御放出における使用のために使用され得る
。制御薬物送達における使用のための種々の分解性および非分解性のポリマー性マトリク
スは、当該分野で公知である。Langer、R、1993、「Polymer-Controlled Drug Delivery
Systems」AccountsChem.Res.、26:537〜542。例えば、ブロックコポリマー、ポラキサ
マー407は、低温では可動性の粘性物質として存在するが、体温では半固体ゲルを形成す
る。これは、組換えインターロイキン-2およびウレアーゼの処方物および持続性送達のた
めの有効なビヒクルであることが示されている。Johnstonら、Pharm.Res.9:425-434(19
92);Pecら、J.Parent.Sci.Tech.44(2):58-65(1990)。ヒドロキシアパタイトはまた
、タンパク質の制御放出のためのマイクロキャリアとして使用され得る。Ijntermaら、In
t.J.Pharm,112:215-224(1994)。リポソームは、制御された放出および捕捉された薬物
の薬物標的化のために使用され得る。Betageriら、1993、「Targetingof Liposomes」Lip
osome Drug DeliverySystems、Technomic Publishing Co.、Inc.Lancaster、PA。治療タ
ンパク質の制御送達のための多数のさらなる系が公知である。例えば、米国特許第5,055,
303号、同5,188,837号、同4,235,871号、同4,501,728号、同4,837,028号、同4,957,735号
、および同5,019,369号;5,055,303号;同5,514,670号;同5,413,797号;同5,268,164号
;同5,004,697号;同4,902,505号;同5,506,206号;5,271,961号;5,254,342号;ならび
に5,534,496号、これらの各々は、本明細書において参考として援用される。
【0091】
本発明の組換え融合タンパク質の種々の使用の中には、タンパク質の毒性作用によって
除去され得る特定のヒト細胞によって生じる種々の疾患状態が含まれる。本発明の免疫複
合体のための1つの好ましい適用は、CD22を発現する悪性B細胞の処置である。例示的な
悪性B細胞には、慢性Bリンパ球細胞(B-CLL)、Bリンパ腫細胞(例えば、バーキットリ
ンパ腫)、および毛様細胞性白血病が含まれる。
【0092】
(診断用キット)
別の実施態様において、本発明は、生物学的サンプル中のCD22またはその免疫反応性フ
ラグメント(すなわち、集団的に「CD22タンパク質」)の検出のためのキットを提供する
。キットは、代表的には、本発明の抗CD22抗体を含み、これは、配列番号2と実質的に類
似の可変重(VH)鎖および配列番号4と実質的に類似の
可変軽(VL)鎖を含む。いくつかの実施態様において、抗CD22抗体はCD22Fvフラグメント
である;好ましくはdsFvフラグメントである。
【0093】
さらに、キットは、代表的には、本発明の抗体の使用の手段を開示する教示用材料(in
structionalmaterial)(例えば、サンプル中のB細胞の検出のため)を含む。キットは
また、キットが設計される特定の適用を促進するためのさらなる成分を含み得る。従って
、例えば、キットはさらに、標識を検出する手段(例えば、酵素学的標識のための酵素基
質、蛍光標識を検出するためのフィルターセット、ヒツジ抗マウスHRPのような適切な二
次標識など)を含む。キットはさらに、特定の方法の実施のために日常的に使用される緩
衝液および他の試薬を含み得る。このようなキットおよび適切な内容物は、当業者に周知
である。
【0094】
(検出用標識)
本発明の抗体は、必要に応じて、検出用標識に共有結合し得るかまたは非共有結合し得
る。このような使用に適切な検出用標識としては、分光光学、光化学、生物化学、免疫化
学、電気学、光学、または化学手段によって検出可能な任意の組成物が挙げられる。本発
明において有用な標識としては、磁性ビーズ(例えば、DYNABEADS)、蛍光色素(例えば
、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク
質など)、放射性標識(例えば、3H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、西
洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびELISAに一般に使用される
他のもの)、およびコロイド状金または着色ガラスもしくはプラスチック(例えば、ポリ
スチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズのような比色定量用標識が挙げられ
る。
【0095】
このような標識を検出する手段は、当業者に周知である。従って、例えば、放射性標識
は、写真用フィルムまたはシンチレーションカウンターを用いて検出され得、蛍光マーカ
ーは、放射光を検出するための光検出器を用い検出され得る。酵素標識は、代表的には、
基質とともに酵素を提供し、そして基質に対する酵素の作用によって産生される反応産物
を検出することによって検出され、そして比色定量用標識は、着色標識を単に可視化する
ことによって検出される。
【0096】
(他の治療的関与)
本発明の抗体はまた、任意の数の異なる診断用または治療用化合物を、CD22抗原を保有
する細胞に標的するために使用され得る。従って、本発明の抗体(例えば、抗CD22 Fvフ
ラグメント)は、CD22を保有する細胞に直接送達される薬物に、直接またはリンカーを介
して結合され得る。治療用薬剤としては、核酸、タンパク質、ペプチド、アミノ酸もしく
は誘導体、糖タンパク質、放射性同位体、脂質、炭水化物、または組換えウイルスのよう
な化合物が挙げられる。核酸治療用および診断用部分としては、アンチセンス核酸、一本
鎖もしくは二本鎖DNAと共有結合するための誘導体化ジオリゴヌクレオチド、および三重
鎖形成オリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0097】
あるいは、抗CD22抗体に結合される分子は、薬物のような治療用組成物を含むリポソー
ムまたはミセルのようなカプセル化系、核酸(例えば、アンチセンス核酸)、または好ま
しくは循環系への直接的な暴露から遮蔽される別の治療用部分であり得る。抗体に結合さ
れるリポソームを調製する手段は、当業者に公知である。例えば、米国特許第4,957,735
号、Connorら、Pharm.Ther.,28:341-365(1985)を参照のこと。
【0098】
(抗体への結合体化)
治療用、診断用、またはカプセル化分子または系は、本発明の抗CD22抗体または免疫複
合体に、当業者に公知の多数の手段を用いて連結され得る。共有結合手段および非共有結
合手段は両方とも、本発明の抗CD22抗体とともに使用され得る。
【0099】
分子を標的する抗体または他のポリペプチドに薬剤を結合するための手段は、その薬剤
の化学的構造によって変化する。ポリペプチドは、代表的には、種々の官能基;たとえば
、カルボキシル酸(COOH)または遊離アミン(-NH2)基を含み、これらは、エフェクター
分子においてそれらのエフェクターに結合する適切な官能基との反応に適切である。
【0100】
あるいは、標的分子および/またはエフェクター分子は、さらなる反応性官能基を暴露
または結合するために誘導体化され得る。誘導体化は、Pierce Chemical Compamy, Rockf
ord Illinoisから入手可能なリンカーのような、多数のリンカー分子のいずれかの結合に
関与し得る。
【0101】
本明細書中で用いられるように、「リンカー」とは、標的分子をエフェクター分子に結
合させるために使用される分子である。リンカーは、標的分子およびエフェクター分子の
両方に対して共有結合を形成し得る。適切なリンカーは当業者に周知であり、そして直鎖
もしくは分岐鎖炭素リンカー、ヘテロ環状炭素リンカー、またはペプチドリンカーが挙げ
られるがこれらに限定されない。標的分子およびエフェクター分子がポリペプチドである
場合、リンカーは、それらの側基を介して(例えば、システインに対するジスルフィド結
合を介して)構成アミノ酸に結合され得る。しかし、好ましい実施態様において、リンカ
ーは、末端アミノ酸のα炭素アミノおよびカルボキシル基に結合される。
【0102】
特定の薬剤上の基と反応性の1つの官能基および抗体と反応性の別の基を有する二官能
性リンカーは、所望の免疫複合体を形成するために使用され得る。あるいは、誘導体化は
、標的分子の化学処理(例えば、遊離アルデヒド基を生成する過ヨウ素酸塩を輸す得る糖
タンパク質抗体の糖部分のグリコール切断)を含み得る。抗体上の遊離アルデヒド基は、
薬剤に結合するその薬剤上の遊離アミンまたはヒドラジン基と反応され得る。(米国特許
第4,671,958号を参照のこと)。ポリペプチド(例えば、抗体または抗体フラグメント)
における遊離スルフィドリル基の生成のための手順もまた公知である(米国特許第4,659,
839号を参照のこと)。種々の化合物(抗体のようなタンパク質に対する放射性ヌクレオ
チド金属キレート、毒素、および薬物を含む)の結合のための多くの手順およびリンカー
分子は公知である。例えば、欧州特許出願題188,256号;米国特許題4,671,958号、同第4,
659,839号、同第4,414,148号、同第4,699,784号、同第4,680,338号、同第4,569,789号、
及び同第4,589,071号;ならびにBorlinghausら、CancerRes.47:4071−4075(1987)を参
照のこと。
【0103】
いくつかの状況において、キメラ分子がその標的部位に到達している場合、標的分子か
らエフェクター分子を遊離させることが所望される。それゆえ、標的部位の近傍において
切断可能な結合を含むキメラ結合体は、エフェクターがその標的部位で放出される場合に
使用され得る。抗体から薬剤を放出させるための結合の切断は、酵素活性あるいは、免疫
複合体が、標的細胞の内側または標的部位の近傍のいずれかで従う条件によって促され得
る。標的部位が腫瘍である場合、腫瘍部位に存在する条件下(例えば、腫瘍関連酵素また
は酸性pHに暴露される場合)で切断可能なリンカーが使用され得る。
【0104】
多数の異なる切断可能なリンカーは、当業者に公知である。米国特許第4,618,492号;
同第4,542,225号、および同第4,625,014号を参照のこと。薬剤のこれらのリンカー群から
の放出のための機構としては、例えば、感光性結合の照射および酸触媒性加水分解が挙げ
られる。米国特許第4,671,958号は、例えば、患者の補体系のタンパク質分解性酵素によ
るインビボでの標的部位で切断されるリンカーを含む免疫複合体の説明を含む。種々の放
射性診断用化合物、放射線治療用化合物、薬物、毒素、および他の薬剤を抗体に結合する
ことが報告されている多数の方法を参照して、当業者は、抗体または他のポリペプチドに
所定の薬剤を結合するための適切な方法を決定し得る。
【0105】
(CD22タンパク質イムノアッセイ)
本発明のCD22タンパク質(すなわち、CD22およびそのRFB4免疫反応性フラグメント)を
検出する手段は、本発明の重要な局面ではない。CD22タンパク質は、多数の十分認識され
た免疫学的結合アッセイのいずれかを用いて、検出および/または定量され得る(例えば
、米国特許第4,366,241号;同第4,376,110号;同第4,517,288号;および同第4,837,168号
を参照のこと)。一般的なイムノアッセイの概説については、Methodsin Cell Biology
第37巻:Antibodiesin Cell Biology, Asai編、Academic Press,Inc. NewYork(1993)
;Basicand Clinical Immunology 第7版、SitesおよびTerr編(1991)もまた参照のこ
と。免疫学的結合アッセイ(またはイムノアッセイ)は、代表的には、分析物(この場合
、CD22タンパク質)に特異的に結合し、そしてしばしば分析物を固定化する抗体を利用す
る。本発明のイムノアッセイに使用される本発明の抗体は、前出において非常に詳細に議
論される。抗CD22抗体は、本明細書中に記載のように当業者に公知の多数の手段のいずれ
かによって産生され得る。
【0106】
イムノアッセイはまた、しばしば、捕捉薬剤および分析物によって形成される結合複合
体に特異的に結合しそして標識する標識薬剤を利用する。標識薬剤は、それ自体、抗体/
分析物複合体を含む部分の1つであり得る。従って、標識薬剤は、標識化CD22タンパク質
または標識化抗CD22タンパク質抗体であり得る。あるいは、標識薬剤は、抗体/CD22タン
パク質複合体に特異的に結合する第3の部分(例えば、別の抗体)であり得る。
【0107】
いくつかの実施態様において、標識剤は、標識を有する第2のCD22タンパク質抗体であ
る。あるいは、第2のCD22タンパク質抗体は、標識を欠如し得るが、次いで、第2の抗体
が由来する種の抗体に特異的な、標識された第3の抗体によって結合され得る。第2の抗
体は、第3の標識された分子(例えば、酵素標識されたストレプトアビジン)が特異的に結
合し得る検出可能な部分(例えば、ビオチン)を用いて改変され得る。
【0108】
免疫グロブリン定常領域に特異的に結合し得る他のタンパク質(例えば、プロテインA
またはプロテインG)もまた、標識剤として用いられ得る。これらのタンパク質は、連鎖
球菌細菌の細胞壁の通常の成分である。これらは、種々の種に由来する免疫グロブリン定
常領域との強力な非免疫原性の反応性を示す(一般的には、Kronvalら(1973)J.Immunol.,1
11:1401-1406、およびAkerstromら(1985)J.Immunol.135:2589-2542)。
【0109】
アッセイ全体を通して、インキュベーションおよび/または洗浄工程は、試薬の各組合
せ後に必要とされ得る。インキュベーション工程は、約5秒から数時間、好ましくは約5
分から約24時間の範囲で変化し得る。しかし、インキュベーション時間は、アッセイ形式
、分析物、溶液の容量、濃度などに依存する。通常は、このアッセイは、周囲の温度で実
施されるが、このアッセイはまた、ある範囲の温度(10℃〜40℃)にわたって行われ得る。
【0110】
本発明のイムノアッセイの詳細は、用いられる特定の形式に伴って変化し得るが、生物
学的サンプルにおけるCD22タンパク質を検出する方法は、一般的に、生物学的サンプルを
、免疫学的に反応性の条件下で、CD22タンパク質に特異的に反応する抗体と接触させる工
程を包含する。この抗体を、免疫学的に反応性の条件下でCD22タンパク質に結合させる。
そしてこの結合された抗体の存在を直接にまたは間接に検出する。
【0111】
本発明は、理解を明瞭にする目的で説明および例示によっていくらか詳細に記載されて
いるが、特定の変更および改変が、添付の請求の範囲内で実施され得ることは明らかであ
る。
【実施例】
【0112】
(実施例1)
実施例1は、RFB4(scFv)PE38、RFB4VH-PE38、およびRFB4VLを発現する組換えクローン
のクローニング、発現、および精製を記載する。
【0113】
(クローニング)
精製RFB4IgGを、10mMDTTを用いて還元した。そして軽鎖および重鎖を4-20%SDS-PAGE(
Novex)で分離し、そしてPVDF膜にブロットした。軽鎖および重鎖のバンドを膜から切り出
し、そしてN末端配列分析を行った。N末端アミノ酸分析によって、図1にRFB4mAbの軽
鎖および重鎖の両方についての配列データを得た。これを、図1に示す。
【0114】
RFB4の重鎖および軽鎖可変領域をコードするcDNAを得るために、総RNAをRFB4ハイブリ
ドーマ細胞から調製し、そして第1鎖のcDNAを得るために逆転写した。次に、PCRを行っ
て、重鎖および軽鎖を増幅した。重鎖および軽鎖特異的プライマーを、N末端アミノ酸デ
ータに基づいて合成し、そして定常領域CH1(重鎖)およびC-κ(軽鎖)由来のプライマーと
ともにこれらのプライマーを用いて増幅を行った。これは、重鎖の可変部分およびCH1の
一部の増幅ならびに軽鎖の可変領域およびC-rの一部の増幅を生じる。総RNAならびにN末
端タンパク質配列データから設計されたRFB4特異的5'プライマーRFB4VH5およびRFB4VL5が
用いられることを除いて、PCR増幅を、BenharI.およびPastan I.(1994)、Protein Eng. 7
,1509-1515に記載のように行った。クローニングにおいて用いられる全てのプライマーの
配列は、表1に列挙される。プライマーは、5'から3'で示される。プライマーγCH1およ
びC-κを、記載のように(BenharおよびPastan、1994)設計した。RFB4VH5およびRFB4VL5
を、エドマン分解によって決定されたN末端タンパク質配列に従って設計した。RFB4 VH5
は、NdeI部位(太字)および開始Met(太字斜体)をコードする。RFB4VL3は、HindIII部位(斜
体)をコードする。プライマーRFB4VH3およびRFB4 VL3を、cDNAクローンから決定したヌ
クレオチド配列に従って設計した。プライマーRFB4VH3およびRFB4 VL5は、部分的に重複
した部分Gly4Serリンカー配列(斜体に下線を付した)を含む。VLGly100残基をCysに変異さ
せるプライマーRFB4VL3 dsFv(下線を付した)は、ターミネーターコドン(太字)およびEco
RI部位(斜体)を含む。プライマーRFB4VHdsFv(cys)は、VHArg44をCysに変異する(下線)。
RFB4 VH3dsFvは、さらなるLysコドンおよびHindIII部位(斜体)を含む。RFB4VL5 dsFvは
、NdeI部位(太字)および開始Met(斜体にした太字)を含む。
【0115】
【表1】


PCR産物を、PCRクローニングベクター(Invitrogen)中にクローニングした。そして、Se
quenase(USBiochemicalCorp.)試薬およびプロトコルを用いて配列決定した。VHおよびVL
のヌクレオチドおよび推定アミノ酸配列を図1に示す。
【0116】
VHおよびVLを、RFB4VH5およびRFB4VL5プライマーならびに新たなRFB4特異的プライマ
ー(3’DNA配列に基づいたRFB4VH3およびRFB4VL3)を用いて再増幅した。VH3およびVL3を
、各cDNAの3’末端にアニールするように設計した。VH3およびVL5は、VH鎖およびVL鎖を
結合させるために用いられる(Gly4Ser)3フレキシブルペプチドリンカーをコードする重複
配列を含む(図2A)。組換えPCRを増幅した軽鎖および重鎖を用いて実施し、VH-リンカー-V
L産物を作製し、次いで、これを用いて、NdeIおよびHindIII部位でプラスミドpUL17のVH-
リンカー-VLを置換し、pEM9を作製した。これは、RFB4(scFV)PE38と称されるRFB4VH-リン
カーVL-PE38融合構築物をコードする(図2A)。
【0117】
ジスルフィド連結された免疫複合体の結合部分は、システインに変異した各鎖の単一の
重要な残基を介して共有結合したVH鎖およびVL鎖からなる。各鎖のシステイン残基は、一
般的に非常に安定なジスルフィド結合を形成するために会合し、そして免疫毒素が凝集す
る傾向を顕著に減少させる。Reiterら(1994)、Biochemistry33:5451-9。RFB4(dsFv)PE38
を作製するために、NdeI部位を導入する5’プライマーRFB4dsFvならびに終止コドン、Ec
oRI部位を導入し、およびグリシン残基100をシステインに変異させる3’プライマーRFB4V
L3 dsFvを用いてVLを増幅した。VHを、HindIII部位およびVHのC末端にリジン残基を導入
するRFB4VH5およびRFB4VH3 dsFvを用いて増幅した。PCR産物をNdeIとともにHindIII(VH)
またはEcoRI(VL)のいずれかを用いて消化し、そしてpUL17(VH)のVH-リンカー-VLを置換す
るか、またはVH-リンカー-VL-PE38(VL)全体を置換するために用いた。クローニングされ
た産物であるpEM16(RFB4VL-Cys100をコードする)を、配列決定し、そしてGlyからCysへの
変異が導入されたことを示した(図2B)。VH-PE38をMuta-Gene部位特異的変異誘発キットお
よびプロトコル(Bio-Rad)ならびにリン酸化プライマーVHdsFv(Cys)を用いて変異誘発させ
、Arg44をCysに変化した。得られた変異構築物pEM15を配列決定し、ArgからCysへの変異
が導入されたことを示した(図2B)。Cys44変異が導入されたクローンを、DNA配列決定によ
り同定した(図2B)。
【0118】
(組換えクローンの発現および精製)
RFB4(scFv)PE38、RFB4VH-PE38およびRFB4VL(すなわち、pEM10、ならびにpEM15およびp
EM16)をコードする発現プラスミドを、E.coliBL21(λDE3)において別々に発現させた。St
udier F.M.およびMoffattB.A.(1986)、J.Mol.Biol. 189、113-130。形質転換された細菌
の培養物を、高レベル発現のためにIPTGを用いて誘導し、タンパク質産物を封入体に蓄積
させた。単鎖およびジスルフィド連結された免疫毒素を、一般的に記載されるように、精
製された封入体タンパク質の再折り畳みにより生成した。BuchnerJ., Pastan I.およびBr
inkmannU.(1992), Anal.Biochem. 205,263-270。簡潔には、封入体を溶菌により細胞ペ
ーストから調製し、そして非イオン性界面活性剤中で洗浄し、次いで、6Mグアニジン-HCl
、0.1MTris、pH8、2mM EDTA中で可溶化した。10mg/mlに可溶化させたタンパク質は、10m
g/ml DTE(65mM)を用いて還元し、次いで、100容量の0.1MTris、0.5ML-アルギニン、0.9m
M 酸化型グルタチオン、2mMEDTA中で、10℃にて迅速に希釈した。等重量のVLおよびPE38
を用いて、RFB4(dsFv)PE38を再折り畳みした。pH8に調節した緩衝液中(室温)で、単鎖免
疫毒素を再折り畳みし、そしてpH 9.5に調節した緩衝液中(室温)で、dsFvを再折り畳みし
た。免疫毒素を48時間にわたって再折り畳みし、次いで、伝導率を3.5mMho未満にするま
で100mM尿素、20mMTris、pH8に対して透析した。適切に再折り畳みされたタンパク質を
、Q-セファロースおよびMonoQ(Pharmacia、ArlingtonHeights、IL)を用いた連続陰イオン
交換FPLCにより精製し、次いで、30mlのTSKG3000SW(TosoHaas、Montgomeryville、PA)を
用いたゲル濾過により精製した。精製した免疫毒素を-80℃で保存した。
【0119】
(実施例2)
実施例2は、組換え免疫毒素の相対的な結合親和性を研究するための結合アッセイを記
載する。
【0120】
組換え免疫毒素の相対的な結合親和性を、4℃で、CA46標的細胞に対する結合について
125I標識RFB4 IgGと競合させることによって測定した。106/mlより多く増殖したCA46細胞
を、氷冷結合緩衝液(RPMI,50mM BES, pH6.8, 1% BSA)中で2回洗浄し、そして106細胞/
150μl結合緩衝液/ウェルで96ウェルプレートに氷上でプレートした。細胞に、0.35ngの
結合緩衝液中の125I-RFB4(2.5×109cpm/nmol)、および種々の濃度のRFB4(Fv)PE38および
RFB4(dsFv)PE38を添加した。細胞を3時間氷上でインキュベートし、冷却結合緩衝液中で
2回洗浄し、そして200μlの0.5%SDS/TEに溶解した。結合した125I-RFB4をWallac1470 W
izardガンマカウンター上で定量した。2連のサンプルの平均を計算のために使用した。
図4に示すように、125I-RFB4IgGのCA46細胞に対する結合の50%の減少が、70nMRFB4(sc
Fv)PE38で達成され、そしてDaudiに対する結合の50%の減少は、90nMのRFB4(scFv)PE38で
達成された。CA46細胞に対する結合は、10nMRFB4(dsFv)PE38で50%減少した。天然のRFB4
IgGは、標識したRFB4IgGのCA46細胞に対する結合を、4.5nMで50%減少させ、Daudi細胞
に対しては10nMで50%減少させた。
【0121】
(実施例3)
実施例3は、37℃での長期間におけるRFB4(dsFv)RE38およびRFR4(scFv)PE38の安定性の
研究を記載する。
【0122】
PEに基づく組換え免疫毒素の安定性は、そのインビトロ活性と相関されてきた。Benhar
I.およびPastan I.(1994), Protein Eng. 7, 1509-1515。従って、RFB4(dsFv)PE38を、3
7℃で1〜7日間インキュベートし、そしてインキュベーション後のその細胞傷害性活性
を、未処理の免疫毒素の活性と比較した。RFB4(Fv)PE38を、2〜24時間37℃でインキュベ
ートした。処理したサンプルの細胞傷害性を、-80℃で維持したサンプルと比較した。dsF
v免疫毒素の37℃での高い安定性の以前の知見に一致して、RFB4(dsFv)PE38はまた、24時
間アッセイにおける完全な細胞傷害性活性の維持により判断したところ、全7日間にわた
って非常に安定であった(図5)。類似のアッセイにおいて、RFB4(Fv)PE38は、37℃での
24時間インキュベーション後に、細胞傷害性活性を失わなかった。
【0123】
(実施例4)
実施例4は種々の細胞型を使用する細胞傷害性アッセイを記載する
RFB4(scFv)PE38およびRFB4(dsFv)PE38(図3)を、5つのバーキットリンパ腫細胞株(
CA46、Daudi、JD38、Namalwa、およびRaji)およびHUT102、CD22ネガティブであるT細胞
株について試験した。Daidi、Raji、およびNamalwa細胞を、ATCC, Rockville, MDから購
入した。細胞を、20%(Daudi)または10%ウシ胎仔血清(FBS)(全ての他の株)、50U/m
lのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、1mMのピルビン酸ナトリウム、およびさ
らに2mM L-グルタミンを含有するRPMI1640において維持した。細胞傷害性アッセイのた
めに、200μlの培養培地中の4×104細胞/ウェルを、96ウェルプレートにプレートした。
免疫毒素を、PBS/0.2%HSA中に連続希釈し、そして10μlを細胞に添加した。プレートを、
37℃で示した時間インキュベートし、次いで37℃で4〜5時間、10μlのPBS中の1μCi/
ウェルの3H-ロイシンでパルスした。放射標識した物質をフィルターマットに捕捉し、そ
してBetaplateシンチレーションカウンター(Pharmacia,Gaithersburg,MD)において計
数した。3連のサンプル値を平均化し、そしてタンパク質合成の阻害を、毒素を添加して
いないコントロールウェルと比較した取り込みのパーセントを計算することによって決定
した。
【0124】
RFB4(dsFv)PE38は、一般に、バーキット株に対してRFB4(scFv)PE38よりも2〜7倍細胞
傷害性が大きく、そしていずれも非B細胞株に対して有意な細胞傷害性活性を有さなかっ
た(表II)。
【0125】
【表2】


試験したB細胞株のうち、両方のRFB4免疫毒素に対する感受性においてバリエーション
が存在し、RFB4(dsFv)PE38は、CA46、JD38、およびRaji上で0.25〜0.6ng/mlの範囲のIC50
値、Namalwa上で1.5ng/ml、およびDaudi上で20ng/mlのIC50値を有していた(表II)。引
き続く研究は、Daudi細胞がFE38を効率的にプロセスし得ないことを示している。RFB4(ds
Fv)PE38免疫毒素の細胞傷害性活性は、PE35をRFB4抗体にジスルフィド結合を介して連結
することによって構築したRFB4-PE35免疫毒素にモル濃度ベースで都合良く匹敵する。
【0126】
(実施例5)
実施例5は、RFB4(dsFv)PE38の細胞傷害性活性の時間的測定を記載する。
【0127】
細胞がインターナライズし、そして免疫毒素をプロセスするのに要する時間は、治療的
に興味深い。なぜなら、処置された患者における免疫毒素の血液レベルは、悪性細胞を中
毒化させるのに十分長い間、細胞傷害性閾値を超えたままでなければならないからである
。それゆえ、細胞傷害性についての時間要求性を研究した。
【0128】
RFB4(dsFv)PE38希釈物を、2時間の時点で免疫毒素をRPME+10%FCSで洗浄することに
よって培地から除去し、そしてアッセイの残りの22時間を標準的な培地と交換した以外は
、CA46およびJD38細胞とともに、2、24、および48時間標準的な細胞傷害性アッセイにお
いてインキュベートした。48時間アッセイについては、細胞を24時間の代わりに48時間連
続的にインキュベートした。
【0129】
2時間の曝露に続いて、中毒化させるのに必要な細胞内輸送のための時間を許容するた
めに、免疫毒素を含まない培地においてさらに22時間インキュベートした。CA46およびJD
38細胞の両方について、免疫毒素への曝露時間を、2時間から24時間に増加させることに
よって、IC50を5〜10倍減少させた。細胞をRFB4(dsFv)PE38とともに48時間連続的にイン
キュベートすることによって、24時間のインキュベーション後に観察した効果に対し、細
胞傷害性に対して(もしあれば)わずかなさらなる効果を生じた。それゆえ、使用した細
胞株は、最大量の免疫毒素と結合しそしてインターナライズするのに2時間より多い曝露
を必要とし、そして24時間までにはほとんど完全な程度にまで中毒化することが結論づけ
られた。24時間を超える時間まで曝露を増大させることはインビトロで何ら利点を提供し
ない。
【0130】
(実施例6)
実施例6は、RFB4(dsFv)PE38およびRFB4(Fv)PE38のマウスにおける毒性研究およびその
CA46腫瘍樹立の阻害を記載する。
【0131】
RFB4(dsFv)PE38のインビトロでの良好な細胞傷害性および安定性は、この分子が、リン
パ腫の動物モデルにおいて良好な抗腫瘍活性を有することを予測する。皮下固形腫瘍モデ
ルにおけるRFB4(dsFv)PE38の腫瘍を阻害する能力を、ヌードマウスに注入したCA46バーキ
ットリンパ腫細胞を使用して最初に評価した。2つのプロトコルを使用した。第一のプロ
トコルにおいて、-4日目にマウスを照射し、そして5×106のCA46細胞を注入した。マウス
を、5つの群に分割し、そしてCA46細胞の注入後24時間に開始して、連続して4日間(1
〜4日間)、種々の量の免疫毒素、およびさらに希釈コントロールで処理した(図6A)。
第二のプロトコルにおいて、雌胸腺欠損ヌードマウスを-3日目に照射し、次いで107のCA4
6細胞を0日目に皮下注射した(図6B)。腫瘍体積を、21日間記録し、そして腫瘍を発達さ
せなかったマウスをさらに80日間モニターした。
【0132】
(マウスにおける毒性)
最初の研究を、マウスにおける免疫毒素の毒性を決定するために行った。6〜8週齢の
Balb/C雌マウスを、NationalCancer Institute, Frederick, MDから入手した。多用量の
静脈内(i.v.)LD50値を、用量×3qodの処置スケジュールについて決定した。種々の量の
免疫毒素を、PBS/0.2%HSAで200μlに希釈し、そして尾静脈に1日おきに3用量注入した
。2匹のマウスに各用量を注入し、そしてマウスを体重の損失および死について最後の注
入後14日間モニターした。
【0133】
(CA46腫瘍樹立の阻害)
6〜8週齢の雌胸腺欠損マウスを、National Cancer Institute, Frederick, MDから入
手した。マウスを、悪性細胞の注入の3または4日前に、300radのガンマ線で処理した。
CA46細胞を、注入の2日前に1.8×105/mlで播種した。0日目に、CA46細胞を、血清を含
まないRPMIで洗浄し、そしてRPMI中の108細胞/mlまたは5×106細胞/mlのいずれかに調整
した。各マウスに、100μlの細胞懸濁液を皮下注射によって投与した。マウスを尾静脈注
射によって毎日連続して4日間、200μl容量の種々の量の免疫毒素またはコントロール物
質で処置した。腫瘍の外観を、最初の処置の後21日間毎日または一日おきにモニターした
。検出可能な腫瘍を21日後に成長させなかったマウスを、注入部位での腫瘍の成長につい
て100日までモニターした。マウスに第二のプロトコルを使用して接種し、そして5μgま
たは3μgのRFB4(dsFv)PE38で処理したマウスは、非常に小さな腫瘍結節を発達させ、こ
れは全てのマウスにおいて5μgの用量で、および10匹のマウスのうち9匹において3μg
の用量の処置で完全に消失した。1μgの免疫毒素での処置により、腫瘍の発達は観察期
間の全体にわたって有意に遅れたが、治癒しなかった。
【0134】
(樹立したCA46腫瘍に対する免疫毒素S活性)
抗腫瘍実験(上記)の成功は、RFB4(dsFv)PE38の樹立した腫瘍を消滅させる能力の試験
を勢いづけた。胸腺欠損雌ヌードマウスを、-3日目に照射し、次いで0日目に107個のCA4
6細胞を注射した。4日目までに、大部分のマウスが5×5mmのサイズの腫瘍を発達させ
た。4日目に開始して、腫瘍を保有するマウスを、4日間毎日、または3日間1日おきに
処置した。処置は、連続して5日間、種々の量の免疫毒素またはコントロール物質で尾静
脈における注射によって与えられた。腫瘍のサイズを、毎日または一日おきに正確なキャ
リパーを使用してモニターした。腫瘍の体積を、式v=l(w2)×0.4(ここで、lは長さ、そ
してwは幅である)によって計算した。
【0135】
いずれかの処理プロトコルを使用して、免疫毒素の最後の投与の後1週間から10日間の
期間で腫瘍増殖の阻害を観察した(図7A、7B)。これらの抗腫瘍応答を、8、5、または
3μgのRFB4(dsFv)PE38を使用して達成した。全ての処置マウスにおける腫瘍は、最終的
には成長を再開した。30μgの用量のRFB4IgGは単独では、腫瘍の成長を有意に阻害しなか
ったが、1μgのRFB4(dsFv)PE38は、免疫毒素投与の期間の間成長を阻害し得た。5また
は2μgいずれかの免疫毒素を接種および処置されたマウスは、小さな腫瘍細胞結節を発
達させ、これは処置の際に消失し、次いでゆっくりと再成長した。1μgの免疫毒素での
処置は、コントロールと比較して腫瘍の発達を遅延させたが、腫瘍はその後迅速に成長し
た。
【0136】
まとめると、研究は両方の免疫毒素分子が37℃で延長したインキュベーション時間安定
であることを示す。いくつかの抗原ポジティブおよび抗原ネガティブ細胞株に関する細胞
傷害性プロフィールは、組換え分子がCD22保有細胞に対して高度にそして選択的に毒性で
あること、およびCD22ネガティブ株に対して非毒性であることを実証した。細胞の最大中
毒化に必要とされるインキュベーションの期間は、2時間を超えることが決定されたが、
24時間を超えるインキュベーション時間では観察されるさらなる利点はほとんど認められ
なかった。それゆえ、RFB4免疫毒素の安定性は、効率的な中毒化に必要とされる時間に匹
敵する。
【0137】
RFB4(dsFv)PE38は、すべての感受性の細胞株に対して、RFB4(scFv)PE38よりも約2〜7
倍強く活性であるが、両方とも24時間後に類似の安定性を有する。これらの組換え分子の
競合結合研究は、標識されたIgG全体と比較して、結合について競合する能力における差
異、およびCD22抗原に対するRFB4(scFv)PE38の親和性の推論される減少を示した。
【0138】
ジスルフィド結合した免疫毒素が極めて安定であり、抗体全体に類似の結合特性および
より優れた細胞傷害性効果を有したので、ジスルフィド結合した免疫毒素を、動物モデル
におけるさらなる評価のために選択した。その抗腫瘍活性を、照射されたヌードマウスに
CA46細胞を注入することから形成された腫瘍を消失させる能力を評価することによって評
価し、そして免疫毒素の投与が腫瘍の移植の24時間後に開始された場合に、それが腫瘍細
胞を消失させ得ることを示し、そして樹立された腫瘍を有するマウスに投与した場合に有
意な抗腫瘍活性を有した。コントロール処置腫瘍に比較して、1〜8μgの任意の量のRFB
4(dsFv)PE38での処置は、処置期間の終わりまで、およびさらに10日間まで、用量に依存
して、腫瘍の消失を引き起こすか、または定常的な体積を維持した。
【0139】
(実施例7)
この実施例は、RFB4(dsFv)-PE38の、ヒト患者由来のCD22ポジティブ悪性細胞に対する
細胞傷害性を記載する。
【0140】
慢性のリンパ球性白血病細胞の16の新鮮なサンプルを異なるヒト患者から得た。ヘアリ
ー細胞白血病(HCL)、大細胞リンパ腫(LCL)、および前リンパ球性白血球(PLL)のサ
ンプルもまた得た。これらの細胞を、上記実施例4のように細胞傷害性アッセイにおいて
それぞれRFB4(dsFv)-PE38で24時間インキュベートした。各細胞サンプルについてのIC50(
ng/ml)のRFB4(dsFv)-PE38を、以下の表IIIに提供する。CD22部位/細胞の数もまた比較の
ために提供する。比較的少ない数のCD22部位/細胞を有する細胞でさえも、非常に有効に
免疫毒素によって殺傷されることに注目するのは興味深い。これらの結果は、RFB4(dsFv)
PE38が、多くの新鮮なヒト慢性リンパ球性白血病細胞に対して有意に毒性であることを示
す。
【0141】
【表3】


(実施例8)
RFB4(dsFv)PE38は、マウスにおけるCD22ポジティブヒト腫瘍に対して強力な抗腫瘍活性
を示す。
【0142】
CA46腫瘍を、上記のようにマウスにおいて樹立した。3つの群におけるマウスに、RFB4
(dsFv)PE38を静脈内注射した。用量を以下の表IVに示すようにμg/kgqod×3で与えた。
完全な応答(CR)の合計もまた示す。この試験から明らかな好ましい有効用量は、275μg
/Kg i.v. qod×3である。
【0143】
毒性アッセイにおいて、RFB4(dsFv)PE38の投薬が275μg/Kgで始まり1200μg/Kgまでの
腫瘍樹立マウスにおいて、LD10を500μg/Kgi.v. qod×3で得、そしてLD50を900μg/Kg i
.v. qod×3で得た。表Vを参照のこと。試験したマウスの数および投薬量範囲あたりの死
亡率の数を提供する。
【0144】
類似の抗腫瘍アッセイにおいて、上記のマウスにおいて、RFB4(dsFv)PE38が、以下に提
供される用量で連続的i.p.注入により投与される試験を行った。そして以下の表VIに結果
を提供する。従って、薬物は、マウスにおいて腫瘍活性を阻害するのに有効であった。
【0145】
【表4】

【0146】
【表5】

【0147】
【表6】


RFB4が霊長類に結合するが、マウスCD22に結合しないので、毒性学研究を、RFB4(dsFv)
PE38に500μg/Kgi.v.QOD×3まで十分に寛容であったカニクイザルにおいて行った。
【0148】
(実施例9)
(RFB4(dsFv)PE38に対するサルの寛容性)
RFB4は霊長類CD22に結合するが、マウスCD22に結合しないので、RFB4(dsFv)PE38に500
μg/Kgi.v.qod×3まで十分に寛容であった毒性学研究をカニクイザルにおいて行った。
サルに投与した投薬量は、以下のとおりであった:
0.1μg/Kgi.v.QOD×3
0.5μg/Kgi.v.QOD×3
1.25mg/Kgi.v.QOD×3
1.75mg/Kgi.v.QOD×3
2.0mg/Kgi.v.QOD×3
標準的な研究室値を、2、4、6、8、15、および21日に採取した血清サンプルから得、
そして肝臓酵素トランスアミナーゼおよびクレアチニンの2倍以下の上昇があった以外は
、全て正常範囲にあった。図9Aおよび9Bを参照のこと。従って、RFB4(dsFv)PE38は、CD22
抗原がRFB4抗体によって認識される哺乳動物に高用量で投与され得る。第Iフェーズの臨
床試験を、CD22ポジティブ悪性腫瘍を有するヒトにおいて計画する。
【0149】
本明細書中で言及される全ての刊行物および特許を、各々の刊行物または特許が特別に
そして個々に参考として援用されることが示されているのと同様な程度まで、本明細書中
で参考として援用される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸44位でシステインを含むVおよびアミノ酸100位でシステインを含むVを有する組換え抗CD22抗体に結合した、治療剤ペプチドを含有する、組換え免疫複合体であって、ここで、該抗CD22抗体は、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する可変重(V)鎖および配列番号4に対して少なくとも95%の同一性を有する可変軽(V)鎖を含むRFB4ジスルフィド安定化Fv(dsFv)である、組換え免疫複合体。
【請求項2】
前記抗体が、配列番号2において44位のArgがCys残基に置換されたV、および、配列番号4において100位のGlyがCys残基に置換されたVを有する、請求項1に記載の組換え免疫複合体。
【請求項3】
前記治療剤が毒素である、請求項1または2に記載の組換え免疫複合体。
【請求項4】
前記毒素が、Pseudomonas 外毒素(PE)、またはその細胞傷害性フラグメントである、請求項3に記載の組換え免疫複合体。
【請求項5】
前記細胞傷害性フラグメントがPE38である、請求項4に記載の組換え免疫複合体。
【請求項6】
前記可変重(V)鎖が、前記毒素のアミノ末端に結合したペプチドである、請求項3〜5いずれか一項に記載の組換え免疫複合体。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか一項に記載の組換え免疫複合体をコードする、発現カセット。
【請求項8】
請求項7に記載の発現カセットを含む、宿主細胞。
【請求項9】
悪性B細胞の増殖を阻害するための、請求項1〜6いずれか一項に記載の有効量の組換え免疫複合体を含む組成物であって、ここで、該組成物は、該悪性B細胞との接触に適切である、組成物。
【請求項10】
前記悪性B細胞が、インビボで接触される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記悪性B細胞が、げっ歯類B細胞、イヌB細胞、および霊長類B細胞からなる群から選択される、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の組成物であって、ここで、前記悪性B細胞が、慢性リンパ性白血病細胞である、組成物。
【請求項13】
請求項11に記載の組成物であって、ここで、前記悪性B細胞が、毛様細胞白血病細胞である、組成物。
【請求項14】
請求項11に記載の組成物であって、ここで、前記悪性B細胞が、前リンパ球性白血病細胞である、組成物。
【請求項15】
請求項11に記載の組成物であって、ここで、前記悪性B細胞が、B細胞リンパ腫細胞である、組成物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−200752(P2010−200752A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84519(P2010−84519)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【分割の表示】特願2008−70484(P2008−70484)の分割
【原出願日】平成10年3月19日(1998.3.19)
【出願人】(508082728)アメリカ合衆国 (2)
【Fターム(参考)】