説明

CEC通信装置、それを用いた映像音響装置およびCEC通信方法

【課題】ソフト不具合によるCEC通信不通を検知した時、自動的にCECのリセットによるCEC通信復旧処理をすることでCEC不通復旧の手間をなくすことと、CEC通信の稼動率を向上することができるCEC送通信装置を提供する。
【解決手段】ソフト不具合によるCEC通信不通をCEC通信ライン監視部108によって検知した時、CEC制御部102がCECネットワーク上のCEC機器のリセット順を決定しCECリセット部107にCECリセット要求を通知し、CECリセット部107がCEC以外のHDMIのライン(図1ではDDC)経由でCECネットワーク上のCEC機器にCECのリセット実行、CEC通信復旧処理をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)規格で規格化されている機器制御信号・制御プロトコルであるCEC(Consumer Electronics Control)通信制御を行うためのCEC通信装置およびそれを用いた映像音響装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、シリアル通信を用いて1つの機器から他の機器を操作することが増えている。一例として、HDMI規格では、テレビジョン受像機(TV)やDVDプレイヤ、DVD/HDDレコーダなどの映像音響装置を相互に制御するCECが追補に定義されている。CECは単線双方向非同期シリアル通信である。CECのラインはネットワーク上の全ての機器と直接接続されている。そのため1つの機器の不具合がネットワーク全体に影響を与える。
【0003】
例えば、1つの機器のソフトの不具合によってCEC出力端子がLowレベルに固定された場合、その影響でネットワーク全体の通信ラインがLowレベルに固定、CECネットワーク全体が通信不能となる。
【0004】
従来のシリアル通信では、通信の不能を検知した場合に、自動的に自機の複数存在する出力端子を物理的に総当りで切り離しながら通信テストを行うことで故障から復旧する(例えば、特許文献1参照)。CEC規格においては通信不通を検知した場合の通信復旧機能が存在しない。
【特許文献1】特開平8−87458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のようなソフトの不具合によるCEC出力端子がLowレベルに固定された場合の通信不能状態となった時の対策は現在無く、通信不能状態のまま継続する。対策としては、HDMIケーブルの再接続によるCECのリセットをかけCECの復旧を行わなければいけないという課題を有していた。
【0006】
現状ではCEC対応機器は少なくHDMIケーブルの再接続によるCECリセットは手間がかからないが、将来下記のようなことが考えられる。
【0007】
各社で家庭内機器のCECを用いた連携動作に重点を置いた取組が加速しており、CECに対応した多種多様な機器が存在するようになる反面、CECの動作が不安定な機器の増加が予想でき、CEC通信不通が発生する機会も増加すると予想される。CEC不通のたびに全機器をHDMIケーブルの再接続を行わなければいけない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、ソフト不具合によるCEC通信不通を検知した時、自動的にCECのリセットによるCEC通信復旧処理をすることでCEC不通復旧の手間をなくすことと、CEC通信の稼動率を向上することができるCEC送通信装置およびそれを用いた映像音響装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のCEC通信装置は、HDMI規格で規定されている機器間通信制御であるCECによる通信制御を行うCEC通信装置であって、CEC通信装置を制御するCEC制御部と、CECコマンドを送受信するCEC送受信部と、リセットする機器の順番を決定するリセット順決定部と、CEC通信ラインを監視するCEC通信ライン監視部と、CEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応機器のCEC通信装置にリセットコマンドの送信の要求を行うCECリセット部を備え、前記CEC通信ライン監視部によりCEC通信不通を検知した時に、CECリセット部がCEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応機器のCEC通信装置にリセットコマンドを前記リセット順決定部で決定した順番で送り、CEC通信不通の状態から復旧する。
【0010】
上記本発明のCEC通信装置においては、前記CEC通信ライン監視部によりCEC不通を検知した時に、前記リセット順決定部でのリセット順のルールを前記リセット順決定部により通信の頻度が高い機器が通信障害の原因である可能性が高いとして、通信の頻度が高い機器のリセットする優先度を高く設定し、リセット順を決定してもよい。
【0011】
また、上記本発明のCEC通信装置においては、前記リセット順決定部によりCECが不通になった時点の履歴上で最後に通信した機器が通信障害の原因となった可能性が高いとして、最後に通信した機器をリセットする優先度を高く設定しリセット順を決定してもよい。
【0012】
本発明の映像音響装置は、HDMI規格で規定されている機器間通信制御であるCECによる通信制御を行うCEC通信装置を備える映像音響装置であって、映像音響装置内のCEC通信装置を制御するCEC制御部と、CECコマンドを送受信するCEC送受信部と、リセットする機器の順番を決定するリセット順決定部と、CEC通信ラインを監視するCEC通信ライン監視部と、CEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応の映像音響装置にリセットコマンドの送信の要求を行うCECリセット部を備えている。
【0013】
前記CEC通信ライン監視部によりCEC通信不通を検知した時に、CECリセット部がCEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応の映像音響装置にリセットコマンドを前記リセット順決定部で決定した順番で送り、CEC通信不通の状態から復旧する。
【0014】
本発明の映像音響装置においては、前記CEC通信ライン監視部によりCEC不通を検知した時に、前記リセット順決定部でのリセット順のルールを前記リセット順決定部により通信の頻度が高い機器が通信障害の原因である可能性が高いとして、通信の頻度が高い機器のリセットする優先度を高く設定し、リセット順を決定してもよい。
【0015】
また、上記本発明の映像音響装置においては、前記リセット順決定部によりCECが不通になった時点の履歴上で最後に通信した機器が通信障害の原因となった可能性が高いとして、最後に通信した機器をリセットする優先度を高く設定しリセット順を決定してもよい。
【0016】
なお、本発明は、上記のようなCEC通信装置として実現できるだけでなく、CEC通信方法として実現したり、CEC通信装置が備える構成要素を、ハードウェアではなく、コンピュータに実行させるプログラム(ソフトウェア)として実現したり、そのようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能なCD−ROM等の記録媒体として実現することもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のCEC通信装置により、CEC通信不通を検知した時に自動的にCEC通信不通を復旧することができる。
【0018】
また、CEC通信履歴を参照しCEC不通の原因となっている可能性が高い機器から順にCECリセットを実行するので、CECネットワーク全体が通信不通となった時に正規だった機器にCECリセットをかけずに復旧することができるので、CECモジュールが正規である機器はCEC通信不通が発生する前の状態を保持することができる可能性があり、CEC通信不通を検知時に一斉全機器リセットする場合より迅速にCEC通信不通検知前の状態に復旧できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1におけるCEC通信装置の構成を示すブロック図である。実施の形態1では他のCEC対応機器のCEC通信装置にリセットコマンドの送信の要求を通知するためのCEC以外のHDMIの接続ラインにDDC(Display Data Channel)を用いて説明する。
【0021】
DDCとは、source機器とsink機器間の構造及びステータス交換に用いられるラインである。図2は、CECとDDCの接続の図である。CECはネットワーク上の全ての機器と直接接続されているが、DDCは直接HDMIケーブルで接続されている機器のみと接続しており、HDMI端子対応映像音響装置内でsource側のDDCラインとsink側のDDCラインの接続が無い。
【0022】
CEC不通の状態からの復旧処理を実行する際にHDMIの規格で定義されている物理アドレスを用いる。図3はHDMIの接続構成の図である。HDMIは図3のようにツリー状の接続構成をとる。物理アドレスは機器がツリー上の接続位置と対応付けられるアドレスで、4桁で表す。HDMI端子対応映像音響機器であれば必ず物理アドレスを持っている。主な用途としては、物理的な接続の情報が必要な際に用いる。図3のように、ルートの位置である機器の物理アドレスは0.0.0.0、ルートの子の位置である機器の物理アドレスは1.0.0.0、2.0.0.0、・・・、2.0.0.0の子の位置である機器の物理アドレスは2.1.0.0、2.2.0.0、・・・というようなルールで定義される。
【0023】
HDMIモジュール110はCEC通信装置100と、CEC以外のHDMIの接続ラインであるDDC(source)部111と、DDC(sink)部112を有している。DDC(source)部111は他機のDDC(sink)部120と接続し、DDC(sink)部112は他機のDDC(source)部121と接続しており、source機器とsink機器間の構造及びステータス交換に用いられている。
【0024】
CEC通信装置100は、HDMI規格で規定されている機器間通信制御であるCECによる通信制御を行う装置であって、CEC通信装置を制御するCEC制御部102と、CECコマンドを送受信するCEC送受信部101と、リセットする機器の順番を決定するリセット順決定部104と、CEC通信ライン108aを監視するCEC通信ライン監視部108と、CEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応機器のCEC通信装置にリセットコマンドの送信の要求を行うCECリセット部107を有している。このCEC通信装置100は、CEC通信ライン監視部108によりCEC通信不通を検知した時に、CECリセット部107がCEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応機器のCEC通信装置にリセットコマンドをリセット順決定部104で決定した順番で送り、CEC通信不通の状態から復旧する点に特徴を有する。
【0025】
なお、符号132は他のHDMI端子対応映像音響機器とのCEC信号の入出力を示し、符号130は自機のDDC(source)部111と他機のDDC(sink)部120との接続を示し、符号131は他機のDDC(source)部121と自機のDDC(sink)部112との接続を示し、符号109はシステム制御部1021(図10参照)との入出力との間の入出力を示す。
【0026】
CEC通信装置100はCECネットワーク参加時にCEC復旧処理の準備処理を行い、CEC通信不通を検知した時CEC復旧処理を行う。
【0027】
まず、CECネットワーク参加時の動作を説明する。
【0028】
自機が含まれる映像音響装置(DVDレコーダ)内のシステム制御部1021(図10参照)からCEC制御部102へCECネットワーク参加通知が行われCECネットワークへの参加処理の時、CECネットワーク参加を検知したCEC制御部102は自機がCEC不通からの復旧処理を担当するかしないかの判定を行うため、既にCECネットワーク上に復旧処理担当の機器が存在するかを判定するCECメッセージの送信要求をCEC送受信部101へ通知する。CECネットワーク上に復旧処理担当の機器が存在するかを判定するCECメッセージ送信要求を受信したCEC送受信部101はCECネットワーク上に復旧処理担当の機器が存在するかを判定するCECメッセージをCECネットワーク上に存在する他機全てに送信する。
【0029】
復旧処理担当機器存在CECメッセージを受信しなかった場合(CECネットワーク上に復旧処理担当機器が存在しない場合)、CEC通信装置100は復旧処理担当(以下「ホスト」と呼称する)となる。
【0030】
ホストとなったCEC通信装置100の動作を説明する。ホストとなったCEC通信装置100はCEC通信復旧処理の準備としてCECネットワーク上の全機器の物理アドレスを取得するため、CECネットワーク上の全機器の物理アドレス問い合わせのCECメッセージの送信要求をCEC制御部102に送る。CECネットワーク上の全機器の物理アドレス問い合わせのCECメッセージ送信要求を受信したCEC制御部102はCECネットワーク上の全機器の物理アドレス問い合わせのCECメッセージ送信要求をCEC送受信部101へ通知する。CECネットワーク上の全機器の物理アドレス問い合わせのCECメッセージ送信要求を受信したCEC送受信部101はCECネットワーク上の全機器の物理アドレス問い合わせのCECメッセージをCECネットワーク上に存在する他機全てに送信する。他機からの物理アドレス通知のCECメッセージを受信したCEC送受信部101はCEC制御部102へ他機の物理アドレスと論理アドレスを通知する。論理アドレスとは、CECの通信上で用いられるアドレスであり、CECメッセージ中に含まれている。他機の物理アドレスと論理アドレスを受信したCEC制御部102は物理アドレスと論理アドレスを紐付けしCEC制御部102内に格納する。CEC通信不通検知時はCEC通信が使用不能のため論理アドレスは使用不能である。よって、DDCラインでCECリセット命令を実行時のアドレスとして物理アドレスを使用するため、CEC制御部102からCECネットワーク上の全ての機器の論理アドレスと、論理アドレスと紐付けされた物理アドレスとCEC対応機器の対応付けを行う必要がある。
【0031】
通常のCEC通信時、CEC送受信部よりCEC通信履歴を取得しCEC制御部102内にCEC通信履歴を記憶する。
【0032】
また、ホストとなった後に、他機からCECネットワーク上にホストが存在するかを判定するCECメッセージをCEC送受信部101が受信した場合、他機からのCECネットワーク上にホストが存在するかを判定するCECメッセージ受信通知をCEC制御部102に通知する。他機からのCECネットワーク上にホストが存在するかを判定するCECメッセージ受信通知を受信したCEC制御部102は自機がホストであることを送信元の機器に通知するCECメッセージの送信要求をCEC制御部102に通知する。またこの時、自機がホストであることを送信元の機器に通知するCECメッセージ送信要求に自機の物理アドレスの情報を付加する。自機がホストであることを送信元の機器に通知するCECメッセージ送信要求を受信したCEC制御部102は自機がホストであることを送信元の機器に通知するCECメッセージを他機へ送信する。
【0033】
復旧処理担当機器存在メッセージを受信した場合(CECネットワーク上に復旧処理担当機器が存在する場合)、CEC通信装置100は通信復旧待ち状態(以下「スレーブ」と呼称する)となる。復旧処理担当機器存在メッセージに付加されているホストの物理アドレスをCEC送受信部101からCEC制御部102へ通知し、CEC制御部102にホストの物理アドレスを格納する。
【0034】
ホストである他機から物理アドレス問い合わせのCECメッセージをCEC送受信部101が受信した場合、他機からの物理アドレス問い合わせのCECメッセージ受信通知をCEC制御部102に通知する。他機からの物理アドレス問い合わせのCECメッセージ受信通知を受信したCEC制御部102はホストである他機に物理アドレスを通知するCECメッセージ送信要求をCEC制御部102に通知する。ホストである他機に物理アドレスを通知するCECメッセージ送信要求を受信したCEC制御部102はホストである他機に物理アドレスを通知するCECメッセージをホストである他機へ送信する。
【0035】
上記CECネットワーク参加時にCEC通信装置100がホストとなる場合の動作のフローを図4、図5に示す。
【0036】
図4は自機がCEC不通からの復旧処理を担当するかしないかの判定処理をし、自機がホストとなる場合のシーケンス図である。CEC通信装置100がCECネットワークに参加した時、CECネットワーク上の全ての他機にホストである機器が存在するかを判定するCECメッセージ401を送信する。図中(a)の時点では自機はホストかスレーブかは未確定である。他機から復旧処理担当機器存在CECメッセージ403を受取らなかった場合(他機からの応答が復旧処理担当機器不在CECメッセージ402のみ受信の場合)、自機はホストとなる((b)の時点でホストとなる)。ホストとなった自機はCEC復旧処理の準備として、全ての他機に物理アドレス問合せのCECメッセージ404を送信する。自機が他機より物理アドレス通知のCECメッセージ405を受信すると物理アドレスと論理アドレス(CECメッセージ中に論理アドレスは含まれている)を紐付けする。CECネットワーク上の全ての機器の論理アドレスと物理アドレスが紐付けされた一覧表を作成し、CEC制御部102(図1参照)に格納する。
【0037】
図5は、自機がホストとなった後に他機からCECネットワーク上にホストが存在するかを判定するCECメッセージ501を受信した場合のシーケンス図である。他機からCECネットワーク上にホストが存在するかを判定するCECメッセージ501を受信すると、応答として復旧処理担当機器存在CECメッセージ503を送信する。復旧処理担当機器存在CECメッセージ503に自機の物理アドレス情報を付加し、他機にホストである自機の物理アドレスを通知する。
【0038】
上記CECネットワーク参加時にCEC通信装置100がスレーブとなる場合の動作のフローを図6、図7に示す。
【0039】
図6は自機がCEC不通からの復旧処理を担当するかしないかの判定処理をし、自機がスレーブとなる場合のシーケンス図である。CEC通信装置100がCECネットワークに参加した時、CECネットワーク上の全ての他機にホストである機器が存在するかを判定するCECメッセージ601を送信する。図中(c)の時点では自機はホストかスレーブかは未確定である。他機から復旧処理担当機器存在CECメッセージ403を受信した場合、自機はスレーブとなる((d)の時点でスレーブとなる)。
【0040】
図7は、自機がスレーブとなった後に、ホストである他機から物理アドレス問い合わせのCECメッセージを受信した場合のシーケンス図である。ホストである他機から物理アドレス問合せのCECメッセージ702を受信すると、物理アドレス通知のCECメッセージ702をホストである他機へ送信する。ホストである他機へスレーブである自機の物理アドレスを通知する。
【0041】
次に、CEC通信ライン監視部108によりCECライン108aがLowに固定されることによるCEC不通を検知した場合の動作をCEC通信装置100がホストである時の動作とスレーブである時の動作をそれぞれ説明する。
【0042】
CEC通信装置100がホストである場合の動作の説明をする。CEC通信ライン監視部108がCEC送受信部からCECライン108aのLow出力固定によるCEC不通を検知した場合、CEC制御部102へCEC不通通知を通知する。CEC制御部102はCEC不通通知を受信するとリセット順決定部104へCECリセット順決定要求を出す。CECリセット順決定要求を受信したリセット順決定部104はCEC制御部102からCEC通信履歴を取得し、CEC対応機器のリセット順を決定する。リセット順決定部104で決定したCEC対応機器のリセット順をCEC制御部102へ通知する。
【0043】
決定したCEC対応機器のリセットの順を受信したCEC制御部102は決定したCEC対応機器のリセットの順より抽出したCECリセットの対象となる機器の物理アドレスをCECリセット部107へ通知する。CECリセットの対象となる機器の物理アドレスとホストである自機の物理アドレスを受信したCECリセット部107はCECリセットの対象となる機器の物理アドレスと自機の物理アドレスを比較しDDC(source)部111もしくはDDC(sink)部112に通知するかを判断し、CECリセット命令とホストである自機の物理アドレスとCECリセットの対象となる機器の物理アドレスをDDC(source)部111もしくはDDC(sink)部112に通知する。
【0044】
CECリセット命令と自機の物理アドレスとCECリセットの対象となる機器の物理アドレスをDDC(source)部111が受信した場合、スレーブである他機のDDC(sink)部120へCECリセット命令と自機の物理アドレスとCECリセットの対象となる機器の物理アドレスを通知する。
【0045】
CECリセット命令と自機の物理アドレスとCECリセットの対象となる機器の物理アドレスをDDC(sink)部112が受信した場合、スレーブである他機のDDC(source)部121へCECリセット命令と自機の物理アドレスとCECリセットの対象となる機器の物理アドレスを通知する。
【0046】
ホストであるCEC通信装置100は、スレーブである機器にCECリセット命令とCECリセットの対象となる機器の物理アドレスを送信した後はCECリセットの対象となる機器からのCECリセット完了通知待ち状態となる。
【0047】
CECリセット命令と自機の物理アドレスとCECリセットの対象となる機器の物理アドレスを受信したスレーブである他機のDDC(source)部121、DDC(sink)部120の動作は後述の「自機がスレーブである時の動作の説明」で説明する。
【0048】
スレーブである他機のDDC(sink)部120もしくはDDC(source)部121からCECリセット完了通知がDDC(source)部111もしくはDDC(sink)部112に通知されると、DDC(source)部111もしくはDDC(sink)部112はCECリセット部107にCECリセット完了通知を通知する。CECリセット部107がCEC制御部102にCECリセット完了通知を通知する。CECリセット完了通知を受信したCEC制御部102はCEC通信ライン監視部108へCEC通信ライン監視要求を通知する。CEC通信ライン監視部108はCEC送受信部よりCEC通信ライン状態の情報を取得する。CEC通信ライン監視部108はCEC制御部102へCEC通信ライン状態の情報を通知する。CEC制御部102はCEC通信ライン状態が「High」の状態ならばCEC通信不通が復旧したとしてCEC復旧処理を完了する。CEC制御部102はCEC通信ライン状態が「Low」の状態ならば、CEC通信不通が復旧していないとしてリセット順決定部104で決定した順番に従って2番目にCECリセット対象となる機器にCECモジュールリセット処理を行う。CEC通信ライン108aが復旧する、もしくはCECライン108a上の機器全てにCECリセットを実行するまでリセット順決定部で決定した順番に従ってリセットを実行する。
【0049】
CEC通信装置100がスレーブである場合の動作の説明をする。CECリセット命令とCECリセットの対象となる機器の物理アドレスを他機のDDC(sink)部120からDDC(source)部111に、もしくはDDC(source)部121からDDC(sink)部112に通知された場合、CECリセット命令と自機の物理アドレスとCECリセットの対象となる機器の物理アドレスをCECリセット部107に通知する。CECリセット部107はCEC制御部102より自機の物理アドレスを取得し、自機に対するCECリセットであるかを判定するため受信したCECリセットの対象となる機器の物理アドレスと自機の物理アドレスを比較する。
【0050】
受信したCECリセットの対象となる機器の物理アドレスと自機の物理アドレスが一致した場合(自機がCECリセット対象の機器である場合)、CEC制御部102へCECモジュールリセット命令を通知する。CEC制御部102がCECモジュールのリセットを実行後、CECリセット部へCECリセット完了送信要求とホストである機器の物理アドレスを通知する。CECリセット完了送信要求とホストである機器の物理アドレスを受信したCECリセット部107はホストである機器の物理アドレスを参照しDDC(source)部111もしくはDDC(sink)部112に通知するかを判断し、CECリセット完了通知をDDC(source)部111もしくはDDC(sink)部112に通知する。
【0051】
受信したCECリセットの対象となる機器の物理アドレスと自機の物理アドレスが一致しない場合(自機がCECリセット対象の機器ではない)、CECリセット部107はCECリセットの対象となる機器の物理アドレスと自機の物理アドレスを比較し、DDC(source)部111もしくはDDC(sink)部112に通知するかを判断し、CECリセット命令とCECリセットの対象となる機器の物理アドレスをDDC(source)部111もしくはDDC(sink)部112に通知する。
【0052】
ここで、自機がスレーブである時にCECリセット完了通知を他機のDDC(sink)部120からDDC(source)部111に、もしくはDDC(source)部121からDDC(sink)部112に通知された場合について説明する。DDC(source)部111もしくはDDC(sink)部112はCECリセット完了通知をCECリセット部107へ通知する。CECリセット部107はホストである機器にCECリセット完了通知をするため、CEC制御部102より自機の物理アドレスとホストである機器の物理アドレスを取得し、自機の物理アドレスとホストである機器の物理アドレスを比較することでDDC(source)部111もしくはDDC(sink)部112に通知するかを判断し、CECリセット完了通知をDDC(source)部111もしくはDDC(sink)部112に通知する。
【0053】
上記のCEC通信不通検知時のCEC通信装置100の動作を図8、図9で示す。
【0054】
図9は、CEC通信不通を検知した時にホストであるCEC通信装置100AとスレーブであるCEC通信装置100BとスレーブであるCEC通信装置100Cの物理的な接続構成を示した図である。
【0055】
図8は、CEC通信不通を検知した時にホストであるCEC通信装置100AがスレーブであるCEC通信装置100Bを経由して、スレーブであるCEC通信装置100CにCECリセット命令通知しCECリセットを実行する時のシーケンス図である。スレーブであるCEC通信装置100BはCECリセット対象機器ではなく、一方、スレーブであるCEC通信装置100BはCECリセット対象機器である。CEC通信装置100A、CEC通信装置100B、CEC通信装置100Cについては図1に示したCEC通信装置100と同じ構成を有している。
【0056】
ホストであるCEC通信装置100AがスレーブであるCEC通信装置100BにCECリセット命令通知801を送信し、CECリセット命令通知のACKを受信した後にCEC通信装置100Aのリセット順決定部104にて決定したCEC対応機器のリセット順に従いCECリセットの対象となる機器の物理アドレス通知805をスレーブであるCEC通信装置100Bに送信する。
【0057】
CECリセット命令通知801とCECリセットの対象機器の物理アドレス通知805を受信後に、スレーブであるCEC通信装置100BはCECネットワーク上のどの機器に対するCECリセット命令であるかを判定するため、受信したCECリセットの対象機器の物理アドレスとCEC通信装置100Bの物理アドレスを比較する。比較の結果、CEC通信装置100BはCECリセット対象の機器ではないと判定、さらに、CECリセットの対象機器がCEC通信装置100Bのsink側に接続されていると判定する(処理802)。CEC通信装置100Bはsink側に接続されているCEC通信装置100CにCECリセット命令通知811を送信し、CECリセットの対象機器の物理アドレス通知812をCEC通信装置100Cに通知する。
【0058】
CECリセット命令通知811とCECリセットの対象機器の物理アドレス通知812を受信後に、CEC通信装置100CはCECネットワーク上のどの機器に対するCECリセット命令であるかを判定するため、受信したCECリセットの対象機器の物理アドレスとCEC通信装置100Cの物理アドレスを比較する。CEC通信装置100CがCECリセット対象機器と判定(処理802)し、CECモジュールリセット処理(処理803)を実行する。処理803を実行完了後、CEC通信装置100CはホストであるCEC通信装置AにCECリセット完了通知をCEC通信装置100B経由で通知する。CEC通信装置100CはCECリセット完了通知813をCEC通信装置100Bに通知する。
【0059】
CECリセット完了通知813を受信したCEC通信装置100Bは、CEC通信装置100Bの物理アドレスとホストの物理アドレスを比較する。比較の結果、CEC通信装置100Bはホストではないと判定、さらに、ホストがCEC通信装置100Bのsink側に接続されていると判定する(処理804)。CEC通信装置100Bはsink側に接続されているCEC通信装置100AにCECリセット完了通知806を通知する。
【0060】
CECリセット完了通知806を受信したホストである自機はCEC通信ライン状態を確認する。CEC通信ライン状態が「High」の状態ならばCEC通信不通が復旧したとしてCEC復旧処理を完了し「Low」の状態ならば、CEC通信不通が復旧していないとしてリセット順決定部104で決定した順番に従って2番目にCECリセット対象となる機器にCECリセット処理を行う。
【0061】
以上のように、本実施の形態におけるCEC通信装置100によれば、ソフト不具合等によるCEC通信不通をCEC通信ライン監視部108によって検知した時、CEC制御部102がCECネットワーク上のCEC機器のリセット順を決定してCECリセット部107にCECリセット要求を通知し、CECリセット部107がCEC以外のHDMIのライン(図1ではDDC)経由でCECネットワーク上のCEC機器にCECのリセットを実行し、CEC通信復旧処理をする。これにより、CEC通信不通を検知した時に自動的にCEC通信不通が復旧される。
【0062】
なお、前記リセット順決定部104において、通信の頻度が高い機器が通信障害の原因である可能性が高いとして通信の頻度が高い機器であればあるほどCECリセットする優先度を高く設定し、CECリセットを実行する順番を決定してもよい。
【0063】
具体的には、CEC通信装置100において、CEC制御部102はCEC送受信部101での送受信をCEC通信履歴として記憶し、CEC通信ライン監視部108によりCEC通信不通を検知した時に、リセット順決定部104はCEC制御部102内のCEC通信履歴を元に通信の頻度が高い機器が通信障害の原因である可能性が高いとして、通信の頻度が高い機器のリセットする優先度を高く設定し、CEC通信ライン監視部108によりCEC通信不通を検知した時に、CECリセット部107がCEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応機器のCEC通信装置にリセットコマンドをリセット順決定部104で決定した順番で送り、CEC通信不通の状態から復旧してもよい。
【0064】
また、前記リセット順決定部104において、CECが不通になった時点の通信履歴上で最後に通信した機器が通信障害の原因となった可能性が高いとして、通信履歴上で最後に通信した機器であればあるほどCECリセットをする優先度を高く設定し、CECリセットを実行する順番を決定してもよい。
【0065】
具体的には、CEC通信装置100において、CEC制御部102はCEC送受信部101での送受信をCEC通信履歴として記憶し、CEC通信ライン監視部108によりCEC通信不通を検知した時に、リセット順決定部104はCEC制御部102内のCEC通信履歴を元にCECが通信不通になった時点の履歴上で最後に通信した機器が通信障害の原因となった可能性が高いとして、最後に通信した機器をリセットする優先度を高く設定し、CEC通信ライン監視部108によりCEC通信不通を検知した時に、CECリセット部107がCEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応機器のCEC通信装置にリセットコマンドをリセット順決定部104で決定した順番で送り、CEC通信不通の状態から復旧してもよい。
【0066】
このように、CEC通信履歴を参照し、CEC不通の原因となっている可能性が高い機器から順にCECリセットを実行することで、CECネットワーク全体が通信不通となった時に正規だった機器にCECリセットをかけずに復旧することができるので、CECモジュールが正規である機器はCEC通信不通が発生する前の状態を保持することができる可能性があり、CEC通信不通を検知時に一斉全機器リセットする場合より迅速にCEC通信不通検知前の状態に復旧できる。
【0067】
(実施の形態2)
図10は、実施の形態2における映像音響システムの構成を示すブロック図である。この映像音響システムでは、3台の映像音響装置1000、1010および1020がHDMIケーブルを介して接続されている。
【0068】
TV1000は、システム制御部1001と、HDMIの制御を行うHDMIモジュール110Dと、CEC通信装置100Dと、DDCのsink側のデータ送受信を行うDDC(sink)部112Dと、DDCのsource側のデータ送受信を行うDDC(source)部111Dとを有している。CEC通信装置100Dについては図1に示したCEC通信装置100と同じ構成を有している。
【0069】
アンプ1010は、システム制御部1011と、HDMIの制御を行うHDMIモジュール110Eと、CEC通信装置100Eと、DDCのsink側のデータ送受信を行うDDC(sink)部112Eと、DDCのsource側のデータ送受信を行うDDC(source)部111Eとを有している。CEC通信装置100Eについては図1に示したCEC通信装置100と同じ構成を有している。
【0070】
DVDレコーダ1020は、システム制御部1021と、HDMIの制御を行うHDMIモジュール110Fと、CEC通信装置100Fと、DDCのsink側のデータ送受信を行うDDC(sink)部112Fと、DDCのsource側のデータ送受信を行うDDC(source)部111Fとを有している。CEC通信装置100Fについては図1に示したCEC通信装置100と同じ構成を有している。
【0071】
この映像音響システムは、各映像音響装置1000、1010および1020がCECネットワーク参加時にCEC通信復旧準備処理を行い、CEC通信不通を検知した場合に自動的にCEC通信不通を復旧するものである。
【0072】
まず、映像音響装置1000、1010および1020がCECネットワーク参加時のCEC通信復旧準備処理について説明する。CEC通信復旧準備処理では、各映像音響装置1000、1010および1020がCEC通信復旧役であるホストになるかCEC通信復旧待ち役であるスレーブとなるかの判定を行う。どの映像音響装置がホストかスレーブになるかは各機器のHDMIケーブルでの接続順に依存するため本実施の形態では最初にTV1000とアンプ1010を接続し、次にアンプ1010とDVDレコーダ1020をHDMIケーブルで接続したものとする。また、本実施の形態ではTV1000がホストとなる場合を挙げ説明をする。これはTV1000とアンプ1010をHDMIケーブルで接続した時、TV1000、アンプ1010の両映像音響装置がホストでもスレーブでもない未確定状態であるため、TV1000、アンプ1010両方がホストとなる可能性があるためである。これに関しての対策は後で述べる。
【0073】
TV1000とアンプ1010をHDMIケーブルで接続すると、TV1000とアンプ1010はCECネットワーク参加を検知する。TV1000のシステム制御部1001からCEC通信装置100DへCECネットワーク参加通知をする。CEC通信装置100Dは既にCECネットワーク上に復旧処理担当の機器が存在するかを判定するCECメッセージをCECネットワーク上に存在する映像音響装置全て(現段階ではアンプ1010のみ)に通知する。アンプ1010より早く復旧処理担当の機器が存在するかを判定するCECメッセージを送出し、CECネットワーク上に存在する映像音響装置全てから復旧処理担当機器存在CECメッセージを受信しなかった場合(CECネットワーク上に復旧処理担当機器が存在しない場合)、TV1000は復旧処理担当(ホスト)となる。ホストとなったTV1000はCEC復旧処理の準備として、全ての他機(現段階ではアンプ1010のみ)に物理アドレス問合せのCECメッセージを送信する。他機(現段階ではアンプ1010のみ)より物理アドレス通知のCECメッセージを受信すると物理アドレスと論理アドレスを紐付けし、CEC通信装置100D内のCEC制御部102(図1参照)に格納する。CEC通信が開始されるとCEC通信履歴をCEC通信装置100D内のCEC制御部102(図1参照)に記憶しておく。
【0074】
ホストになった後にCECネットワーク上に復旧処理担当の機器が存在するかを判定するCECメッセージを受信した場合、ホストであるTV1000の物理アドレス情報を付加した復旧処理担当機器存在CECメッセージを送信元に送信する。
【0075】
一方、アンプ1010のシステム制御部1011からCEC通信装置100EへCECネットワーク参加通知をする。CEC通信装置100Dは既にCECネットワーク上に復旧処理担当の機器が存在するかを判定するCECメッセージをCECネットワーク上に存在する映像音響装置全て(現段階ではTV1000のみ)に通知する。TV1000が既にホストとなっているため、TV1000からの復旧処理担当機器存在CECメッセージを受信し、アンプ1010はCEC通信復旧処理待ち役(スレーブ)となる。
【0076】
復旧処理担当機器存在CECメッセージに付加されているTV1000の物理アドレスをCEC通信装置100E内のCEC制御部102(図1参照)に格納する。
【0077】
上記の場合は、TV1000がアンプ1010より先にCECネットワーク上に復旧処理担当の機器が存在するかを判定するCECメッセージを送出した場合である。アンプ1010がTV1000より先にCECネットワーク上に復旧処理担当の機器が存在するかを判定するCECメッセージを送出すればアンプ1010がホストとなる。タイミングによってはTV1000、アンプ1010両方がホストとなる可能性があるが、ホストとなった後にCECネットワーク上に復旧処理担当の機器が存在するかを判定するCECメッセージをCECネットワーク上の全機器に通知し、自機以外にホストとなっている機器が存在するのであれば、優先順位を設定しどちらかのホストがスレーブとなることで対策が可能である。優先順位の例としては、両ホストの物理アドレスを比較しルートの値(0.0.0.0)に近い値である機器のほうをホストとするなどが考えられる。
【0078】
さらに、アンプ1010とDVDレコーダ1020をHDMIケーブルで接続すると、DVDレコーダ1020がCECネットワーク参加を検知する。DVDレコーダ1020のシステム制御部1021からCEC通信装置100FへCECネットワーク参加通知をする。CEC通信装置100Fは既にCECネットワーク上に復旧処理担当の機器が存在するかを判定するCECメッセージをCECネットワーク上に存在する映像音響装置全て(TV1000とアンプ1010)に通知する。TV1000が既にホストとなっているため、TV1000からの復旧処理担当機器存在CECメッセージを受信し、アンプ1010はCEC通信復旧処理待ち役(スレーブ)となる。復旧処理担当機器存在CECメッセージに付加されているTV1000の物理アドレスをCEC通信装置100F内のCEC制御部102(図1参照)に格納する。
【0079】
次に、CEC復旧処理について説明する。DVDレコーダ1020がソフトの不具合でCECライン108aがLowに固定されたためのCEC通信不通を、TV1000のCEC通信装置100D内のCEC通信ライン監視部108により検知した場合の動作を説明する。
【0080】
ホストであるTV1000のCEC通信装置100D内のCEC通信ライン監視部108がCECライン108aのLow出力固定によるCEC不通を検知した場合、CEC通信装置100D内のリセット順決定部104がCEC通信履歴を元にCECリセットを実行する順を決定する。ここでは一番目にリセット実行される映像音響装置にDVDレコーダ1020が決定されたとする。CECリセット命令通知とCECリセットの対象機器の物理アドレス通知を行うため、TV1000の物理アドレスとCECリセットの対象機器であるDVDレコーダの物理アドレスを比較する。比較の結果、CECリセットの対象機器であるDVDレコーダはTV1000のDDC(source)部111Dの下にあることを判定する。CECリセット命令通知とCECリセットの対象機器の物理アドレス通知をDDC(sink)部112DからDDC(source)部111Eへ通知する。
【0081】
アンプ1010がDDC(source)部111EからCECリセット命令通知とCECリセットの対象機器の物理アドレス通知を受信後に、CECネットワーク上のどの機器に対するCECリセット命令であるかを判定するため、受信したCECリセットの対象機器の物理アドレスとアンプ1010の物理アドレスを比較する。比較の結果、アンプ1010はCECリセット対象の機器ではないと判定、さらに、CECリセットの対象機器がCEC通信装置100Eのsink側に接続されていると判定する。アンプ1010はsink側に接続されているDVDレコーダ1020にCECリセット命令通知とCECリセットの対象機器の物理アドレス通知を実行する。
【0082】
DVDレコーダ1020はCECリセット命令通知とCECリセットの対象機器の物理アドレス通知を受信後に、CECネットワーク上のどの機器に対するCECリセット命令であるかを判定するため、受信したCECリセットの対象機器の物理アドレスとDVDレコーダ1020の物理アドレスを比較する。比較の結果、CECリセットの対象機器の物理アドレスとDVDレコーダ1020の物理アドレスが一致し、DVDレコーダ1020のCEC通信装置100FにCECモジュールリセット処理を実行する。CEC通信装置100FにCECモジュールリセット処理実行完了後、DVDレコーダ1020はホストであるTV1000にCECリセット完了通知をアンプ1010経由で通知する。DVDレコーダ1020はCECリセット完了通知をDDC(source)部111FからDDC(sink)部112Eへ通知する。
【0083】
CECリセット完了通知をDDC(sink)部112Eから受信したアンプ1010は、アンプ1010の物理アドレスとホストの物理アドレスを比較する。比較の結果、アンプ1010はホストではないと判定、さらにホストがアンプ1010のsource側に接続されていると判定する。アンプ1010はDDC(source)部111EからDDC(sink)部112Dへ通知する。
【0084】
CECリセット完了通知をDDC(sink)部112Dから受信したTV1000は、CEC通信装置100D内のCEC通信ライン監視部108にてCEC通信ライン状態を確認する。DVDレコーダ1020のCECモジュールリセットによるCEC通信復旧処理がなされ、CEC通信ライン状態が「High」の状態ならばCEC通信不通が復旧したとしてCEC復旧処理を完了する。CEC通信ライン状態が「Low」の状態ならば、CEC通信不通が復旧していないとしてリセット順決定部で決定した順番に従って2番目にCECリセット対象となる機器(TV1000もしくはアンプ1010)にCECリセット処理を行う。CEC復旧処理完了を検知、もしくはTV1000とアンプ1010にCECモジュールリセット処理を実行した場合、CEC復旧処理を完了する。
【0085】
なお、前記リセット順決定部104において、通信の頻度が高い機器が通信障害の原因である可能性が高いとして通信の頻度が高い機器であればあるほどCECリセットする優先度を高く設定し、CECリセットを実行する順番を決定してもよい。
【0086】
また、前記リセット順決定部104において、CECが不通になった時点の通信履歴上で最後に通信した機器が通信障害の原因となった可能性が高いとして、通信履歴上で最後に通信した機器であればあるほどCECリセットをする優先度を高く設定し、CECリセットを実行する順番を決定してもよい。
【0087】
以上、本発明に係るCEC通信装置および映像音響装置について、実施の形態1および2に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施したものや、上記実施の形態における構成要素を任意に組み合わせて実現される別の形態等も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明にかかるCEC通信装置によれば、CEC通信不通を検知した時に自動的にCEC通信不通を復旧することができるので、本発明は、CEC通信制御を行う装置として、例えば、CEC通信装置を装備する映像音響装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態1におけるCEC通信装置の構成を示すブロック図
【図2】CECとDDCの接続を示す図
【図3】HDMIの接続構成を示す図
【図4】自機がCEC不通からの復旧処理を担当するかしないかの判定処理をし、自機がホストとなる場合のシーケンス図
【図5】自機がホストとなった後に他機からCECネットワーク上にホストが存在するかを判定するCECメッセージを受信した場合のシーケンス図
【図6】自機がCEC不通からの復旧処理を担当するかしないかの判定処理をし、自機がスレーブとなる場合のシーケンス図
【図7】自機がスレーブとなった後に、ホストである他機から物理アドレス問い合わせのCECメッセージを受信した場合のシーケンス図
【図8】CEC通信不通を検知した時にホストであるCEC通信装置100AがスレーブであるCEC通信装置100Bを経由して、スレーブであるCEC通信装置100CにCECリセット命令通知しCECリセットを実行する時のシーケンス図
【図9】CEC通信不通を検知した時にホストであるCEC通信装置100AとスレーブであるCEC通信装置100BとスレーブであるCEC通信装置100Cの物理的な接続構成を示した図
【図10】本発明の実施の形態2における映像音響システムの構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0090】
100、100A〜100F CEC通信装置
101 CEC送受信部
102 CEC制御部
104 リセット順決定部
107 CECリセット部
108 CEC通信ライン監視部
108a CEC通信ライン
110、110D〜110F HDMIモジュール
111、111D〜111F、121 DDC(source)部
112、112D〜112F、120 DDC(sink)部
1000 TV
1001、1011、1021 システム制御部
1010 アンプ
1020 DVDレコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HDMI(High−Definition Multimedia Interface)規格で規定されている機器間通信制御であるCEC(Consumer Electronics Control)による通信制御を行うCEC通信装置であって、
当該CEC通信装置を制御するCEC制御部と、
CECコマンドを送受信するCEC送受信部と、
リセットする機器の順番を決定するリセット順決定部と、
CEC通信ラインを監視するCEC通信ライン監視部と、
CEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応機器のCEC通信装置にリセットコマンドの送信の要求を行うCECリセット部を備え、
前記CEC通信ライン監視部によりCEC通信不通を検知した時に、前記CECリセット部がCEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応機器のCEC通信装置にリセットコマンドを前記リセット順決定部で決定した順番で送り、CEC通信不通の状態から復旧することを特徴とするCEC通信装置。
【請求項2】
前記CEC制御部にてCECネットワーク参加を検知した時にCEC通信不通復帰準備処理として、CECネットワーク上にCEC通信不通復帰役のCEC通信装置が存在するかを判定し、CECネットワーク上にCEC通信不通復帰役のCEC通信装置が存在しない場合にはCEC通信不通復帰役となり、前記CEC通信ライン監視部によりCEC通信不通を検知した時に、CEC通信不通復帰役のCEC通信装置のCECリセット部がCEC以外のHDMIの接続ライン経由でCECネットワーク上のCEC通信不通復帰処理待ち役となっている他のCEC通信装置にリセットコマンドを前記リセット順決定部で決定した順番でCECネットワーク上のCEC通信不通復帰処理待ち役となっている他のCEC通信装置に送り、CEC通信不通の状態から復旧することを特徴とする請求項1に記載のCEC通信装置。
【請求項3】
前記CEC制御部にてCECネットワーク参加を検知した時にCEC通信不通復帰準備処理として、CECネットワーク上にCEC通信不通復帰役のCEC通信装置が存在するかを判定し、CECネットワーク上にCEC通信不通復帰役のCEC通信装置が存在する場合にはCEC通信不通復帰処理待ち役となり、CEC通信不通復帰処理時にCEC通信不通復帰役のCEC通信装置からCEC通信不通復帰処理待ち役である自機に対するCECリセットコマンドを受信した場合、自機に対するCECリセットコマンドであるときには自機のCECモジュールにリセットを実行することを特徴とする請求項1に記載のCEC通信装置。
【請求項4】
前記CEC制御部は前記CEC送受信部での送受信をCEC通信履歴として記憶し、前記CEC通信ライン監視部によりCEC通信不通を検知した時に、前記リセット順決定部は前記CEC制御部内のCEC通信履歴を元に通信の頻度が高い機器が通信障害の原因である可能性が高いとして、通信の頻度が高い機器のリセットする優先度を高く設定し、前記CEC通信ライン監視部によりCEC通信不通を検知した時に、前記CECリセット部がCEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応機器のCEC通信装置にリセットコマンドを前記リセット順決定部で決定した順番で送り、CEC通信不通の状態から復旧することを特徴とする請求項1または2に記載のCEC通信装置。
【請求項5】
前記CEC制御部は前記CEC送受信部での送受信をCEC通信履歴として記憶し、前記CEC通信ライン監視部によりCEC通信不通を検知した時に、前記リセット順決定部は前記CEC制御部内のCEC通信履歴を元にCECが通信不通になった時点の履歴上で最後に通信した機器が通信障害の原因となった可能性が高いとして、最後に通信した機器をリセットする優先度を高く設定し、前記CEC通信ライン監視部によりCEC通信不通を検知した時に、前記CECリセット部がCEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応機器のCEC通信装置にリセットコマンドを前記リセット順決定部で決定した順番で送り、CEC通信不通の状態から復旧することを特徴とする請求項1または2に記載のCEC通信装置。
【請求項6】
HDMI規格で規定されている機器間通信制御であるCECによる通信制御を行うCEC通信装置を備える映像音響装置であって、
映像音響装置内のCEC通信装置を制御するCEC制御部と、
CECコマンドを送受信するCEC送受信部と、
リセットする機器の順番を決定するリセット順決定部と、
CEC通信ラインを監視するCEC通信ライン監視部と、
CEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応の映像音響装置にリセットコマンドの送信の要求を行うCECリセット部を備え、
前記CEC通信ライン監視部によりCEC通信不通を検知した時に、前記CECリセット部がCEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応の映像音響装置にリセットコマンドを前記リセット順決定部で決定した順番で送り、CEC通信不通の状態から復旧することを特徴とする映像音響装置。
【請求項7】
前記CEC制御部にてCECネットワーク参加を検知した時にCEC通信不通復帰準備処理として、CECネットワーク上にCEC通信不通復帰役の映像音響装置が存在するかを判定しCECネットワーク上にCEC通信不通復帰役の映像音響装置が存在しない場合にはCEC通信不通復帰役となり、前記CEC通信ライン監視部によりCEC通信不通を検知した時に、CEC通信不通復帰役の映像音響装置内のCEC通信装置のCECリセット部がCEC以外のHDMIの接続ライン経由でCECネットワーク上のCEC通信不通復帰処理待ち役となっている他のCEC対応の映像音響装置にリセットコマンドを前記リセット順決定部で決定した順番でCECネットワーク上のCEC通信不通復帰処理待ち役となっている他の映像音響装置に送り、CEC通信不通の状態から復旧することを特徴とする請求項6に記載の映像音響装置。
【請求項8】
前記CEC制御部にてCECネットワーク参加を検知した時にCEC通信不通復帰準備処理として、CECネットワーク上にCEC通信不通復帰役の映像音響装置が存在するかを判定し、CECネットワーク上にCEC通信不通復帰役の映像音響装置が存在する場合にはCEC通信不通復帰処理待ち役となり、CEC通信不通復帰処理時にCEC通信不通復帰役のCEC対応の映像音響装置からCEC通信不通復帰処理待ち役である自機に対するCECリセットコマンドを受信した場合、自機に対するCECリセットコマンドであるときには自機のCECモジュールにリセットを実行することを特徴とする請求項6に記載の映像音響装置。
【請求項9】
前記CEC制御部は前記CEC送受信部での送受信をCEC通信履歴として記憶し、前記CEC通信ライン監視部によりCEC通信不通を検知した時に、前記リセット順決定部は前記CEC制御部内のCEC通信履歴を元に通信の頻度が高い機器が通信障害の原因である可能性が高いとして、通信の頻度が高い機器のリセットする優先度を高く設定し、前記CEC通信ライン監視部によりCEC通信不通を検知した時に、前記CECリセット部がCEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応の映像音響装置にリセットコマンドを前記リセット順決定部で決定した順番で送り、CEC通信不通の状態から復旧することを特徴とする請求項6または7に記載の映像音響装置。
【請求項10】
前記CEC制御部は前記CEC送受信部での送受信をCEC通信履歴として記憶し、前記CEC通信ライン監視部によりCEC通信不通を検知した時に、前記リセット順決定部は前記CEC制御部内のCEC通信履歴を元にCECが通信不通になった時点の履歴上で最後に通信した機器が通信障害の原因となった可能性が高いとして、最後に通信した機器をリセットする優先度を高く設定し、前記CEC通信ライン監視部によりCEC通信不通を検知した時に、前記CECリセット部がCEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応の映像音響装置にリセットコマンドを前記リセット順決定部で決定した順番で送り、CEC通信不通の状態から復旧することを特徴とする請求項6または7に記載の映像音響装置。
【請求項11】
HDMI規格で規定されている機器間通信制御であるCECによる通信方法であって、
当該CEC通信装置を制御するCEC制御ステップと、
CECコマンドを送受信するCEC送受信ステップと、
リセットする機器の順番を決定するリセット順決定ステップと、
CEC通信ラインを監視するCEC通信ライン監視ステップと、
CEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応機器のCEC通信装置にリセットコマンドの送信の要求を行うCECリセットステップとを含み、
前記CEC通信ライン監視ステップによりCEC通信不通を検知した時に、前記CECリセットステップにおいて、CEC以外のHDMIの接続ライン経由で他のCEC対応機器のCEC通信装置にリセットコマンドを前記リセット順決定ステップで決定した順番で送り、CEC通信不通の状態から復旧することを特徴とするCEC通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−15403(P2010−15403A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175104(P2008−175104)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】