説明

COまたはCO2からのアルコール合成

アルミナ上のパラジウム-亜鉛触媒を用いてCOまたはCO2およびH2からアルコールを製造するための方法を記載する。マイクロチャネル内、様々な触媒上でアルコールを合成する方法もまた記載する。エタノール、高級アルコール、および他のC2+酸素化物は、Rh-MnまたはFisher-Tropsch触媒を用いて製造することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
米国特許法§119(e)に従い、本出願は2005年12月16日に出願された米国特許仮出願第60/751,144号および2006年8月21日に出願された同第60/823,093号に対し優先権を主張する。
【0002】
政府の権利
この研究の一部は、規約DE-AC06-76RL01830の下、米国エネルギー省、バイオマス計画事務局により資金提供を受けた。
【0003】
発明の分野
本発明は、アルコール合成法、アルコール合成のための触媒、およびアルコールを合成するための系に関する。アルコールを反応させる方法もまた、本発明のいくつかの局面に含まれる。
【背景技術】
【0004】
序文
アルミナ上のPd/Zn触媒はアルコール水蒸気改質反応のための触媒として公知である。例えば、米国公開特許出願第20040223908号(特許文献1)およびIwasa et al., “Steam Reforming of Methanol over Pd/ZnO:Effect of the formation of Pd/Zn alloys upon the reaction,”Appl. Catal. A:General 125 (1995) 145-147(非特許文献1)を参照されたい。メタノールの水蒸気改質および脱水素化のメカニズムは、Takezawa et al., “Steam Reforming and dehydrogenation of methanol:Difference in the catalytic functions of copper and Group VIII metals,”Cat. Today, 36 (1997) 45-56(非特許文献2)において記載されている。Pd/Zn上でのCO2からのアルコール合成のためのメカニズムは公知ではないが、Cu/ZnO上でのメカニズムはFujitaらにより、“Mechanisms of Methanol Synthesis from Carbon Dioxide and from Carbon Monoxide at Atmospheric Pressure over Cu/ZnO,”J. Catal. 157, 403-413 (1995)(非特許文献3)において記載されている。
【0005】
CO2からのエタノールおよび高級アルコールの合成はFisher-Tropsch触媒を含む複合触媒の使用により可能である。InuiおよびYamamotoは、“Effective synthesis of ethanol from CO2 on polyfunctional composite catalysts,”Catalysis Today vol. 45, pp. 209-214 (1998)(非特許文献4)で、混合した、または連続した触媒の組み合わせを使用して、エタノールおよび高級アルコールを合成することを報告している。
【0006】
【特許文献1】米国公開特許出願第20040223908号
【非特許文献1】Iwasa et al., “Steam Reforming of Methanol over Pd/ZnO:Effect of the formation of Pd/Zn alloys upon the reaction,”Appl. Catal. A:General 125 (1995) 145-147
【非特許文献2】Takezawa et al., “Steam Reforming and dehydrogenation of methanol:Difference in the catalytic functions of copper and Group VIII metals,”Cat. Today, 36 (1997) 45-56
【非特許文献3】Fujita et al., “Mechanisms of Methanol Synthesis from Carbon Dioxide and from Carbon Monoxide at Atmospheric Pressure over Cu/ZnO,”J. Catal. 157, 403-413 (1995)
【非特許文献4】Inui and Yamamoto “Effective synthesis of ethanol from CO2 on polyfunctional composite catalysts,”Catalysis Today vol. 45, pp. 209-214 (1998)
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
1つの局面では、本発明は水素とC1+酸素化物とのC2+酸素化物を形成する段階反応を含む。ステージングは、マイクロチャネルの長さに沿って;および/またはC1+酸素化物を水素と第1のマイクロチャネル、またはマイクロチャネルの第1の部分で反応させ、続いて、追加の水素を提供し、再び反応混合物をマイクロチャネルで反応条件に暴露することにより、実行することができる。「反応条件」は適当な温度での触媒の存在を含む。いくつかの好ましい態様では、反応はCOを含む供給ストリームへの水素の段階的な添加を含む。段階的な水素の代わりに、COおよび/またはCO2を段階的に添加することができ、同様に、C1+酸素化物を段階的に添加することができ;さらに、これらの混合物、例えば、H2およびCO2の混合物を段階的にマイクロチャネル反応チャネル(マイクロチャネル反応チャンバとも呼ばれる)に添加することができる。好ましい態様では、マイクロチャネル反応チャンバは本明細書で記載したようなアルコール合成触媒を含む。他の反応を段階的にするためのマイクロチャネル装置が公知であり、そのような装置は、本発明の過程のために適合させることができる。例えば、Tonkovichらによる米国公開特許出願第2006/0129015号(過酸化水素の合成)およびTonkovichらによる同第2005/0265915号を参照されたい;どちらも本明細書に組み入れられる。
【0008】
別の局面では、本発明は、マイクロチャネル内、アルコール触媒上で水素およびCOを接触させる工程を含むアルコール合成法を提供する。この方法はさらに、本明細書で記載される結果のいずれかにより特徴づけられる。例えば、少なくとも20%のCO変換では、本方法により、驚くべきことに、少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも50%、いくつかの態様では、40〜約60%、いくつかの態様では約56%までのC2+酸素化物への選択性(好ましくはエタノールへの選択性)が得られる。これは、たった20%という文献で報告されている選択性と比較することができる。好ましくは、過程は比較的高いスループット、例えば少なくとも1000h-1、より好ましくは少なくとも3000h-1、いくつかの態様では2000〜100,000h-1、いくつかの態様では2000〜約4000h-1のGHSVで実施される。マイクロチャネル反応器を使用すると、高い発熱CO水素化反応を等温モードで動作させることができ、高い生産性が達成される。マイクロチャネル反応器内での触媒の統合により高スループットおよび高い時空生成物収量でのアルコールへの水素化が可能になり、生成物選択性が驚くほど増加した。マイクロチャネルからの熱流束は好ましくは少なくとも5W/ccであり、いくつかの態様では、5〜8W/ccの範囲であり、ここで「cc」体積は、反応チャンバの体積(すなわち、触媒がフローバイ(flow-by)またはフロースルー構造で存在するマイクロチャネルの部分)である。触媒はさらに、エタノールおよび高級アルコールの製造を増加させるためにFisher-Tropsch触媒を含んでもよい。
【0009】
別の局面では、本発明は、COおよびH2を含む反応ガス混合物を流して触媒と接触させる工程であって、アルミナ上に分散されたPdおよびZnを該触媒が含む工程;ならびに、1つまたは複数のアルコールを形成させる工程を含む、COからアルコールを合成する方法を提供する。いくつかの態様では、1つまたは複数のアルコールを形成させる工程で形成された1つまたは複数のアルコールは本質的にメタノールからなる。触媒はさらに、1つまたは複数のアルコールがかなりの量のエタノールおよび高級アルコールを含むようにすることができるFisher-Tropsch触媒を含んでもよい。
【0010】
別の局面では、本発明は、CO2およびH2を含む反応ガス混合物を流して触媒と接触させる工程であって、アルミナ上に分散されたPdおよびZnを該触媒が含む工程;ならびに、1つまたは複数のアルコールを形成させる工程を含む、CO2からアルコールを合成する新規方法を提供する。
【0011】
関連局面では、本発明は、CO2およびH2を含む反応ガス混合物を流して触媒と接触させる工程であって、該触媒が(a)アルミナ上に分散されたPd-Zn合金および(b)Fisher-Tropsch触媒を含む工程;ならびに、エタノールおよび高級アルコールを形成させる工程を含む、CO2からエタノールおよび高級アルコールを合成する方法を提供する。
【0012】
別の局面では、本発明は、Rh-またはPd-含有組成物をRedOx処理に供し触媒を形成させる第1の工程;その後、次の工程で、C1+酸素化物を触媒の存在下で水素と接触させ、C2+酸素化物を形成させる工程を含む、C2+酸素化物を合成する方法を提供する。C1+酸素化物を触媒の存在下で水素と接触させる工程は好ましくはマイクロチャネル内で実施される。Rh触媒がその高い選択性のために好ましい。シリカ上のRhが特に好ましい。RedOx処理はRh含有(または、より好ましくないが、Pd-含有)組成物を高温で還元する第1の工程を含む。還元は好ましくは水素の存在下で実施される。RedOx処理はさらに、続いて、高温で酸化する第2の工程を含む。高温は室温より高く、好ましくは少なくとも100℃、より好ましくは少なくとも200である。いくつかの態様では、還元は酸化よりも高い温度で実施される。いくつかの態様では、還元は300〜400℃の温度範囲で実施される。いくつかの態様では、酸化は200〜300℃の温度範囲で実施される。1サイクルは還元工程および酸化工程を有し、RedOx処理は少なくとも1サイクル、好ましくは少なくとも2サイクルを含む。Rhおよび/またはPdを含む触媒系、例えば、CuZnAlおよびRh-Mn/SiO2からなるハイブリッド触媒系では、驚くべきことに、RedOx処理により全体のCO変換が増強され、一方、生成物選択性が維持または増加されることが発見された。
【0013】
別の局面では、本発明は、高温のマイクロチャネル内、アルコール触媒上で水素およびCOを接触させる工程を含む、アルコール合成法を提供する。この場合、「高温」は先行技術で報告したものよりも著しく高い温度である。例えば、Cu触媒上で触媒させた反応では、本発明は少なくとも250℃、いくつかの態様では少なくとも270℃で実施され、一方、文献では、Cu触媒は230℃を超えるべきではないことが報告されている。同様に、本発明の方法では、シリカ上のRh触媒上での反応は、少なくとも300℃、いくつかの態様では少なくとも320℃の温度で実施することができる。
【0014】
別の局面では、本発明は、水素を薄層触媒上でC1+酸素化物と反応させC2+酸素化物を形成させる工程を含む。好ましくは反応はマイクロチャネルで実施される。触媒活性材料の薄層を直接反応チャンバ(好ましくはマイクロチャネル)壁に、または反応チャンバ(好ましくはマイクロチャネル反応チャンバ)内に挿入される触媒挿入物上に適用することができる。薄層は好ましくは100μmまたはそれ以下、より好ましくは50μmまたはそれ以下、いくつかの態様では30μmまたはそれ以下、いくつかの態様では20μmまたはそれ以下、いくつかの態様では10μmまたはそれ以下、およびいくつかの態様では5μm〜50μmである。
【0015】
本発明はまた、これらの方法の組み合わせを含む。例えば、マイクロチャネル内、触媒薄層上;好ましくは水素ステージングと共に実施される反応により増強されたエタノール選択性が得られ。水素ステージングにより、反応の間中、水素に対する反応物の望ましい比率が維持される。
【0016】
いくつかの局面では、本発明は反応を実施する方法として記載される。これらの方法はまた、「系」として記載されてもよく、本発明は、本明細書で記載された方法のいずれかを含む系も含む。本発明の系は、装置および/または触媒を反応物および/または生成物と共に含むものとして記載することができる。任意で、系はさらに、それらが動作する条件により特徴づけることができる。
【0017】
本発明の様々な態様は下記の1つまたは複数を含む多くの利点を提供することができる:高い一酸化炭素または二酸化炭素変換、高いアルコール選択性、低いメタノールまたはメタン選択性、短い接触時間での動作、CuZnAlなどの従来の系よりも高い温度で動作できること-高温での反応速度の増強によるスループットの増加が可能、触媒の非発火特性、ならびにかなり高い温度下であっても時間に対する高い安定性。
【0018】
用語解説
「アルコール触媒」は水素とC1+酸素化物との反応を触媒する組成物である。アルコール触媒であることが公知の多くの組成物が存在する。好ましいアルコール触媒としては下記が挙げられ:Rh、好ましくはシリカ上のRh、いくつかの態様ではジルコニアおよび/またはマグネシア上に配置したRh、好ましくはKがドープされ、いくつかの態様ではCoと混合された硫化モリブデン;Pd/Zn;およびCu、好ましい銅触媒製剤は、Cu/ZnO/Cr2O3-CsおよびCu-CoO-ZrO2-Kを含み;ならびにCuおよびRhを含む混合物などのハイブリッド触媒。
【0019】
本発明の目的のために、C1+酸素化物はCO、CO2、メタノール(CH3OH)、またはホルムアルデヒド(CH2O)およびそれらの混合物として規定される。より広い局面では、本発明はC1+酸素化物を含む供給ストリーム(反応物)の使用を含む。いくつかの好ましい態様では、供給ストリーム(反応物)はCOを含む。水素(H2)は、供給ストリーム中に存在してもよく、または処理中に添加してもよい。
【0020】
本発明の目的のために、C2+酸素化物は少なくとも2つの炭素および1つの酸素原子を含む化合物として規定される。この定義は、本明細書で記載した型の方法で(すなわち、C1+酸素化物の触媒反応から)形成することが合理的に予測される化合物の範囲を理解する当業者の化学者に対するものである。いくつかの好ましい態様では、所望の生成物はエタノールおよび高級アルコールに限定されてもよい。いくつかの態様では、エタノール合成がとりわけ好ましい。
【0021】
従来の特許技術のように、「含む」は含有することを意味し、この用語が使用される場合、いくつかのより狭い態様では、本発明は「本質的に〜からなる」として記載され、または最も狭い態様では、「〜からなる」として記載される。「1つの〜を含む」として記載された発明の局面は、単一成分に限定されるものではなく、追加の成分を含んでもよい。1組の成分「本質的に〜からなる」組成物は、実質的に本発明の特徴に影響しない他の成分を有し、同様に、「本質的に」特定の要素を有さない組成物は、所望の性質に実質的に影響する量の要素を含まない。
【0022】
ガス毎時空間速度(「GHSV」)は、反応ゾーン体積(L)でわった標準状態(0℃、1atm)での総毎時流速(L/h)として規定される。粉末触媒を使用する充填床反応器の場合、反応ゾーン体積は触媒体積に等しい。マイクロチャネル反応器では、反応ゾーンはまた、触媒を通り過ぎるバルク流経路の体積を含み-言い換えると、触媒が流れに垂直な断面積内に存在するマイクロチャネルの体積である(例えば、壁コーティング上方の体積を含む)。
【0023】
「マイクロチャネル」は1cmまたはそれ以下、好ましくは2mmまたはそれ以下(いくつかの態様では約1.0mmまたはそれ以下)で、100nmを超え(好ましくは1μmを超える)、いくつかの態様では50〜500μmの、少なくとも1つの内のり寸法(壁〜壁、触媒を計算しない)を有するチャネルである。マイクロチャネルはまた、少なくとも1つの出口とは別の少なくとも1つの入口の存在により規定される。マイクロチャネルはゼオライトまたはメソポーラス材料を通る単なるチャネルではない。マイクロチャネルの長さはマイクロチャネルを通る流れの方向に対応する。マイクロチャネル高さおよび幅はチャネルを通る流れの方向に実質的に垂直である。マイクロチャネルが2つの主面(例えば、積層および接着シートにより形成される表面)を有する積層装置の場合、高さは主面から主面までの距離であり、幅は高さに垂直である。
【0024】
いくつかの好ましい態様では、好ましくは複数の隣接する熱交換マイクロチャネルと熱接触した複数のマイクロチャネル反応チャネルを含むマイクロチャネル反応器を使用する。複数のマイクロチャネルは、例えば、2、10、100、1000またはそれ以上のチャネルを含んでもよい。好ましい態様では、マイクロチャネルは平行配列の平面マイクロチャネルで、例えば、少なくとも3配列の平面マイクロチャネルで配置される。いくつかの好ましい態様では、複数のマイクロチャネル入口が共通ヘッダに接続され、および/または複数のマイクロチャネル出口が共通フッタに接続される。動作中、交互配置された熱交換層(存在すれば)がマイクロチャネル内を流れる加熱および/冷却流体を含む。本発明で使用することが可能なこの型の公知の反応器の非限定的な例としては、米国特許第6,200,536号および同第6,219,973号(どちらも参照により本明細書に組み入れられる)において例示されているマイクロコンポーネントシートアーキテクチャ種のもの(例えば、マイクロチャネルを有するラミネート)が挙げられる。この型のアーキテクチャの使用における性能利点としては、かなり大きな熱および質量移動速度が挙げられる。マイクロチャネル反応器は良好な熱および質量移動、優れた温度制御、滞留時間および副産物の最小化の利点を組み合わせることができる。圧力降下を低くすることができ、高いスループットが得られる。さらに、マイクロチャネル反応器の使用により、従来の系に比べ、より良好な温度制御が達成でき、かなり優れた等温プロファイルが維持できる。プロセスマイクロチャネルの他に、マイクロチャネルまたは非マイクロチャネル熱交換器などの別の特徴が存在する可能性がある。マイクロチャネル熱交換器が好ましい。熱交換流体は、隣接する熱移動マイクロチャネルを通って流れてもよく、ガスまたは液体とすることができ、蒸気、液体金属、または任意の他の公知の熱交換流体を含んでもよく-系は熱交換器内で相変化を有するように最適化することができる。いくつかの好ましい態様では、複数の熱交換層は複数の反応マイクロチャネルと交互に配列される(例えば、少なくとも10の熱交換層が少なくとも10のプロセスマイクロチャネル層と交互に配列される)。マイクロチャネルはマイクロチャネル壁により規定される。
【0025】
発明の詳細な説明
本発明のいくつかの触媒では、Pd-Zn合金はアルミナ担体上に分散される。アルミナは、コストが低く、表面積が高く、Pd/Znと良好に相互作用するので、特に望ましい担体である。いくつかの好ましい態様では、触媒は2〜10重量%のPd(Pd/Znが分散されるアルミナの重量を含むが、金属フェルトまたはフォームなどのいずれの基礎材料も含まない)、いくつかの態様では5〜10wt%を含む。いくつかの好ましい態様では、アルコール合成触媒は0.1〜0.5、より好ましくは0.2〜0.45、さらに好ましくは0.25〜0.39のPd:Znモル比を有する。好ましくは、アルコール収率を減少させる可能性のある非合金化Pdは本質的には存在しない。いくつかの好ましい態様では、Pd/Zn触媒はPdおよびZnを共沈させることにより調製され;これらの成分は無機または有機金属前駆体を用いて共沈される可能性がある。動作前に、水蒸気改質触媒は都合よく、活性化処理、好ましくは350〜500℃での還元に供してもよい。Pd-Zn触媒はPd触媒よりも優れており;いくつかの態様では、結晶ZnOが触媒中に存在する。同様の触媒が、アルコール水蒸気改質を触媒するための公開された米国特許出願200400223908A1において記載されている。
【0026】
いくつかの好ましい触媒において、RhおよびMnはシリカ、チタニア(titania)、またはジルコニア担体上に分散される。好ましい態様では、Rhは1wt%〜10wt%、より好ましくは4〜6%で存在する。Mnは好ましくは1〜6wt%、最も好ましくは3〜4%の範囲である。いくつかの好ましい態様では、触媒は本質的にRh、Mnおよびシリカからなる。
【0027】
触媒は粉末、ペレット、ウォッシュコートなどの任意の従来の型をとってもよい。好ましくは、触媒は流動または流動化触媒ではなく固定される。さらに、いくつかの好ましい構造では、触媒は基礎となる大細孔担体を含む。好ましい大細孔担体の例としては、市販の金属フォーム、より好ましくは金属フェルトが挙げられる。アルミナ上にPd-Zn触媒を堆積させる前では、大細孔担体は少なくとも5%、より好ましくは30〜99%、さらに好ましくは70〜98%の多孔性を有する。好ましくは、担体は、光学顕微鏡および走査電子顕微鏡により測定すると1:m〜1000:mの平均細孔サイズ(細孔直径の和/細孔数)を有する。多孔性担体の好ましい形態はフォームおよびフェルトである。フォームは構造全体の細孔を規定する連続壁を有する連続構造である。フェルトは、ファイバ間に間質空間を有するファイバ群であり、スチールウールのようなもつれたストランドを含む。別の担体はモノリス、例えばハニカムとすることができる。また、触媒はマイクロリアクタ内のマイクロチャネル(5mmまたはそれ以下の寸法を有するチャネル)の1つまたはアレイの壁上に分散させることができる。様々な担体および担体構造が、参照により組み入れられる米国特許第6,680,044号に記載されている。米国特許第6,488,838号(1999年8月17日に出願)もまた本明細書に組み入れられる。
【0028】
本発明の触媒は大細孔担体と共に使用してもよい。大細孔担体を有する(および触媒活性金属を含む)触媒は好ましくは総多孔質材料体積の5〜98%、より好ましくは30〜95%の細孔体積を有する。好ましくは、材料の細孔体積の少なくとも20%(より好ましくは少なくとも50%)は、0.1〜300μm、より好ましくは0.3〜200μm、さらに好ましくは1〜100μmのサイズ(直径)範囲の細孔からなる。細孔体積および細孔サイズ分布は水銀ポロシメトリ(細孔の円筒形状を仮定する)および窒素吸着により測定される。公知のように、水銀ポロシメトリおよび窒素吸着は相補的な技術であり、水銀ポロシメトリは大細孔(30nmを超える)を測定するのにより正確であり、窒素吸着は小細孔(50nm未満)に対しより正確である。約0.1〜300μmの範囲の細孔サイズにより、ほとんどの気相触媒反応条件下で、材料全体に分子的に拡散することができる。
【0029】
エタノールおよび高級アルコールの形成では、Fisher-Tropsch触媒をアルコール合成のための触媒、例えばPd-Zn合金または従来のCu/Zn/Al触媒およびFisher-Tropsch触媒と組み合わせて使用することができる。従来のFischer-Tropsch触媒は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)およびそれらの組み合わせに基づき;これらのいずれも本発明において使用してもよい。これらの触媒金属の他に、プロモータを添加してもよい。プロモータは遷移金属および金属酸化物、ランタニド金属または金属酸化物、ならびにIA族元素(Hを除く)を含むことができる。公知のように、Fisher-Tropsch触媒および任意のプロモータは担体材料(例えばアルミナ)上に分散させることができ、さらに基礎となる担体(例えば金属フェルト)を含んでもよい。
【0030】
触媒のある局面はアルコール合成反応の測定可能な特性に対し、最もよく特徴づけられる可能性がある。いくつかの好ましい態様では、触媒を反応チャンバに配置することにより試験し(実施例で記載されるように)、反応ガス混合物および実施例で記載される他の条件と接触させると、触媒は測定された特性-例えば、実施例における任意の選択した測定値の約10%(または約5%)以内にある特性;または実施例で示される少なくともある一定レベルにある、または実施例で示した範囲内にある、または実施例で示されるような安定性を有する特性により規定することができる。一例では、触媒は、実施例で記載される生産性の約10%(または約5%)内にあるアルコール生産性により規定することができる(触媒が実施例で説明した手順に従い試験される場合)。この場合、触媒は特定の条件の組(実施例から得てもよい)の下で試験される場合、ある特性により「特徴付けることができる」ということができる。方法もまた実施例で示した値により特徴づけてもよい。
【0031】
アルコールを合成するいくつかの本発明の方法では、一酸化炭素(または二酸化炭素、またはCOおよびCO2の混合物)および水素を含む反応ガス混合物をアルコール合成触媒と接触させる。窒素などの不活性ガスもまた存在してもよい。ある好ましい態様では、ガス混合物は、1:1.5〜1:4、より好ましくは1:2〜1:3の(CO+CO2):H2のモル%比で(分圧に等しい)含む。反応ガスが本質的にCOおよび水素からなる場合、比は好ましくは1:1.5〜1:3であり、反応ガスが本質的にCO2および水素からなる場合、比は好ましくは1:2〜1:4である。メタノール合成の場合、反応中の触媒温度は好ましくは500EC未満、より好ましくは220〜450ECの範囲;いくつかの態様では、280℃またはそれ以上、いくつかの態様では350℃またはそれ以上であり;好ましくは触媒反応は、少なくとも20時間、より好ましくは少なくとも10日、測定した特性の有意の変化なく(約5%未満)実行される。安定な反応は本質的に同じ生産性で実行される。メタノールでは、最小生産性は少なくとも400g/hr/L触媒であるべきである。同様に、Pd-Zn触媒をFT触媒と混合する場合、温度は好ましくは500EC未満、より好ましくは280〜450ECの範囲;さらに好ましくは350〜400ECの範囲であり;好ましくは触媒反応は少なくとも20時間、より好ましくは少なくとも10日、安定に実行される。エタノールでは、最小生産性は少なくとも200g/hr/L触媒であるべきである。アルコール合成触媒およびFT触媒を連続して使用する場合、FT反応は望ましくは、アルコール合成触媒上での反応よりも高い温度および高い圧力で実施される。FTゾーンでは、温度はエタノールに対して上記で記載した好ましい温度範囲を有する;Pd-Znゾーンでは、好ましくは280〜330EC、いくつかの態様では290〜310ECの範囲。圧力は好ましくは、少なくとも1MPa、より好ましくは少なくとも5MPa、いくつかの態様では1〜30MPaの範囲、いくつかの態様では2〜15MPaの範囲、いくつかの態様では3〜10MPaの範囲である。反応チャネルを通る流速(GHSV)は好ましくは少なくとも1000hr-1、より好ましくは少なくとも10,000hr-1、いくつかの態様では10,000〜360,000hr-1、いくつかの態様では25,000〜100,000hr-1、いくつかの態様では25,000〜81,000hr-1、ならびにいくつかの態様では25,000〜50,000hr-1である。接触時間(273Kおよび1atmに補正した反応ガスの総体積で割った、触媒を含む反応チャンバの総体積として規定、理想ガス挙動を仮定)が短い方が、反応体積を最小化するには好ましく、好ましくは0.4s未満であり、より好ましくは10〜140msの範囲である。上記範囲と関連して典型的に測定される、一酸化炭素または二酸化炭素の変換(反応物中のモルCOで割った反応物と生成物との間のCOモル変化として規定)は、好ましくは少なくとも50%であり;いくつかの好ましい態様では、変換は10〜80%の範囲である。メタノールに対する選択性は好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%である。
【0032】
RhおよびMnを含む触媒上でのエタノール合成では、下記範囲が好ましいであろう:
T=240〜340℃(260〜280℃が好ましい)
P=10〜100atm(>50atmが好ましい)
GHSV=1000〜100,000h-1(少なくとも2000がより好ましい;いくつかの態様では2000〜100,000h-1)
CO2の変換=20〜80%(いくつかの態様では、40〜50%)
エタノールに対する選択性=20〜80%(いくつかの態様では、40〜60%)
【0033】
従来のCu/Zn/Al触媒をFT触媒と共に含む触媒上でのエタノール合成では、下記範囲が好ましいであろう:
T=240〜420℃(280〜370℃が好ましい)
P=10〜120atm(>50atmが好ましい)
GHSV=1,000〜100,000h-1(20,000〜50,000h-1が好ましい)
CO2の変換=20〜80%(いくつかの態様では、40〜50%)
エタノールに対する選択性=10〜60%(いくつかの態様では、20〜40%)
【0034】
アルコール形成反応は一工程または複数の工程で起きることができる。1つの態様では、方法は、Pd-Zn触媒上でのかなり低い温度でのメタノール合成の第1工程、続いてFe-系触媒などのFisher-Tropsch触媒上での第2のより高温の工程を有する。温度差(各工程の平均温度に基づく)は少なくとも20EC(または少なくとも40EC)とすることができる。この多段階反応は別々の反応器または複数のゾーン、例えば第1のかなり冷たいゾーン、続くより熱いFT反応ゾーンを有する単一反応器において実施することができる。
【0035】
好ましい態様では、1つの工程の温度、例えば、アルコール合成またはFischer-Tropsch反応はマイクロチャネルで等温的に実施される。好ましい態様では、触媒の長さにわたる温度変動は10℃またはそれ以下、より好ましくは5℃またはそれ以下、さらに好ましくは2℃またはそれ以下である。
【0036】
本発明の方法のいずれかにおいて製造させたアルコールまたは他のC2+酸素化物は、例えば、脱水反応により、不飽和化合物に変換することができる。例えば、エタノールは、アルミナまたはゼオライト(例えば、ZSM-5)上、好ましくは200〜300C(より好ましくは260〜280C)、好ましくは約1〜約5atmの圧力で、好ましくはGHSV=1000〜100,000h-1(好ましくは2000〜10,000h-1)で脱水させるとエテンを形成することができ、好ましくはエタノール変換は少なくとも90%であり、エテンに対する好ましい選択性は95%またはそれ以上である。別の代案は水素化脱酸素(hydrodeoxygenation:HDO)反応であり、この場合、H2がC2+酸素化物と反応して水および不飽和化合物が形成され;好ましい条件はNiMoまたはCoMo触媒、圧力約1〜20atm、温度240〜330C、GHSV=1000〜100,000h-1を含み、好ましくはエタノール変換は少なくとも90%であり、エテンに対する好ましい選択性は95%またはそれ以上である。いくつかの好ましい態様では、反応は同じマイクロチャネル内で、マイクロチャネルの同じ領域または連続領域のいずれかで起こり、いくつかの好ましい態様では、分離工程などのいずれの介在工程もない。
【0037】
公開された米国特許出願200400223908A1で記載されているように、Pd-Zn合金触媒は、アルミナ担体を提供する工程;溶解した亜鉛を含む溶液を固体金属酸化物担体に添加する工程;塩基を添加してpHを増加させる工程;ならびに塩基を添加する工程の少なくとも一部に続いてPdを堆積させる工程を含む方法により製造することができる。アルミナ担体はそれ自体、大細孔担体上に堆積させることができる(他の工程の前後のいずれか)。この方法は金属酸化物担体が通常、酸性表面を有する水溶液においてとりわけ好都合である。溶解させたZnは少なくとも部分的に、より好ましくは完全に溶媒に溶解される。溶解させた亜鉛を含む溶液は少なくとも亜鉛を含むが、また、金属を含む他の成分を含有してよく;いくつかの好ましい態様では、亜鉛溶液中には他の金属は存在せず;いくつかの好ましい態様では、溶液は0.1〜3M亜鉛である。添加の順序、Zn溶液にアルミナ添加またはアルミナにZn溶液添加は重要ではなく、本発明はどちらの順序も含む。塩基は亜鉛溶液を添加する前、間または後に添加することができる。好ましくは、塩基は亜鉛溶液後に添加され、より好ましくは徐々に添加され、亜鉛の段階的な析出が得られる。好ましくは、塩基はアンモニア水溶液である。いくつかの好ましい態様では、塩基は7またはそれ以上のpHが得られるまで添加される。塩基の少なくとも一部が添加された後にPdが添加されると改善が得られる。好ましくはPdは塩基が全て添加された後に添加され-これによりPdの最大%が触媒表面上に配置される。Pdは好ましくは亜鉛の堆積後いくつかの好ましい態様では、亜鉛含有層を乾燥させた後、および任意で、焼成させた後、触媒上に堆積される。いくつかの好ましい態様では、Pdは溶液、好ましくは水溶液中でZn含有担体上に含浸される。
【0038】
または、触媒は、初期湿潤含浸技術により、PdおよびZnの溶液でアルミナを含浸させることにより、製造することができる。得られた材料をその後、好ましくは350〜450ECの範囲で、乾燥および焼成させる。
【0039】
触媒を還元してPd-Zn合金を形成させるべきである。いくつかの好ましい態様では、触媒はH2の存在下、少なくとも350ECの温度で、いくつかの態様では400ECを超えて、いくつかの態様では400〜500ECの範囲で還元される。いくつかの好ましい態様では、触媒は400ECを決して超えない温度を用いて水素下で調製、還元される。好ましくは、Zn-含有触媒の焼成は、Pdの堆積の前および/または後のいずれかで、200〜400ECで、より好ましくは250〜350ECで実施される。触媒を還元(または動作)させる時に同様の温度範囲を使用することができる。低温度処理により触媒寿命および表面積が増加する。
【0040】
本発明はまた、前記方法により製造された触媒を含む。
【0041】
反応器2の1つの態様を図1において断面で示す。反応チャンバ4は触媒6を含み、入口8および出口10を有する。図1では、触媒は反応チャンバの上部および底部に示され、開チャネルが反応器入口から出口まで存在し、この構造は「フローバイ」と呼ばれる。他の構造、例えば、流れが多孔質触媒を通して誘導される「フロースルー」も当然、可能である。熱伝導を改善するために、マイクロチャネル熱交換器12を反応チャンバに接触して配置することができる。マイクロチャネル熱交換器12は熱交換流体の通路のためにチャネル14を有する。これらのチャネル14は1cm未満、好ましくは1mm未満の少なくとも1つの寸法を有する。熱輸送距離を減少させるために、チャネル14から触媒6の距離は好ましくは最小に抑えられる。マイクロチャネル熱交換器は、放電加工(EDM)などの公知の技術により製造することができる。
【0042】
アルコール合成反応のための好ましい反応チャンバは任意の長さまたは高さを有してもよい。好ましい反応チャンバ幅は5mmまたはそれ以下、より好ましくは2mmまたはそれ以下であり、いくつかの態様では、反応チャンバ幅は1mmまたはそれ以下である。反応チャンバは好ましくは熱交換チャンバと熱接触し、発熱反応熱が除去される。反応チャンバと熱接触した熱交換チャンバのまた、任意の長さまたは高さを有してもよい。好ましくは熱交換チャンバの長さおよび高さは反応チャンバの寸法に近い。最も好ましくは、熱交換チャンバは、介在チャンバ配向(図2を参照されたい-幅は交互に配置された反応チャンバおよび熱交換チャンバが積層する方向である)で反応チャンバに隣接し、この場合、少なくとも3つの反応チャネル(この態様では、チャネルおよびチャンバという用語は相互に交換可能に使用される)が少なくとも3つの熱交換チャネルと交互に配置される。熱交換チャンバの幅は好ましくは5mmまたはそれ以下、より好ましくは2mmまたはそれ以下であり、いくつかの態様では、熱交換チャンバ幅は1mmまたはそれ以下である。熱交換チャンバ内の流れの向きは並流、逆流、または直交流のいずれかとしてもよい。マイクロチャネル装置内の質量および熱移動のための短い距離により優れた性能が可能になる。
【0043】
反応器はまた、単一のマイクロチャネルではなくマイクロチャネルのアレイを含む、反応チャンバを熱交換チャンバに隣接して配置することにより構成してもよい。この構造では、反応チャンバの幅は5mmを超えてもよいが、アレイ中の単一マイクロチャネルの少なくとも1つの寸法は好ましくは5mm未満である。好ましくは、この寸法は2mm未満である。反応チャンバの所望の幅は触媒の有効熱伝導率の強い関数とすることができる。触媒の有効熱伝導率が高いほど、触媒を広くすることができ、さらに迅速な熱除去が可能になる。現在までに、多くのマイクロチャネル反応器設計が文献で公知であり、当業者であれば、マイクロチャネル装置においてアルコール合成反応を実施するのに適当な設計を選択することができる。
【0044】
実施例
下記の実施例は、多くの試料を製造するために使用される典型的な条件に基づく説明である。ある温度などは、様々な工程を実施するための好ましい値を説明する。
【0045】
1段階共含浸法を用いてAl2O3担持Pd-Zn触媒を調製した。より詳細には、濃硝酸パラジウム溶液(20.19wt% Pd、Engelhard Corp.)をZn(NO3)2・6H2O(99.5%、Aldrich)と60℃で混合した。230m2/gのBET表面積および70〜100メッシュ粒子サイズを有する中性(-Al2O3担体(Engelhard Corp.)を、500℃で2時間予め焼成し、初期湿潤含浸工程前110℃で保持した。担体を60℃で適当な量の予め混合したPdおよびZn硝酸塩溶液を用いて含浸させ、様々なPd負荷(この場合8.9%)およびPd/Znモル比(この場合0.38)を有する最終生成物を得た。湿潤試料を60℃で1時間維持し、その後空気中、110℃で一晩中乾燥させた。乾燥試料をその後、350℃で3時間焼成させた。
【0046】
メタノール合成では、Pd/ZnO-Al2O3触媒を単独で使用した。しかしながら、エタノールおよびC2+アルコール合成では、Pd/ZnO-Al2O3触媒を、C-C鎖伸長触媒(F-T触媒)として公知のFeCuAlK(Fe:Cu:Al:K=1:0.03:2:0.7)触媒と組み合わせた。後者の触媒は、対応する硝酸塩からの共沈により調製した。活性試験中、上記2つの触媒を、それらの粉末を物理的に混合することにより合わせ、その後錠剤機械を用いて直径10mm、高さ2mmのサイズとした。錠剤を破砕し、ふるいにかけ70〜100メッシュの範囲とした。実験を、直径4mmの316ステンレス鋼管で作製した固定床反応器で実施した。反応器は高圧下降流動作モードに対して構成した。ステンレス鋼反応器内でのメタン化反応を最小に抑えるために、シリカ(SiO2)コートステンレス鋼管を高温予熱ゾーンで使用した。実験は全て、触媒床に沿った均一温度分布により示されるように等温条件下で実施した。触媒はインサイチューで、10%水素中、400℃、大気圧で還元させた。還元後、N2/H2混合物を起動中に供給し、定常流を確立し、反応器を所望の温度まで加熱した。触媒床温度が標的に到達すると、所望の比率で予め混合したCO2/H2を反応器に送り込んだ。実験を260〜400℃の温度、2〜8.1MPaの圧力、25000〜81000h-1のGHSVで実施した。典型的な供給組成はCO2:H2=1:3であった。粉末触媒を用いた各実行では、0.20gの触媒を反応器に入れ、体積を測定する。総供給流速は、所望のガス時空速度(GHSV)が達成されるように設定され、これは反応器チャネル体積による測定値である。ガス状生成物を、TCDおよびFIDの両方を備えたオンラインガスクロマトグラフィー(HP 5890GC)により分析した。液体生成物を-3℃の冷却トラップに収集し、GC-質量分析およびGCの両方により分析した。二酸化炭素変換および生成物選択性を、供給および生成物流および炭素収支に基づき計算した。
【0047】
触媒調製法およびRh-Mn含有触媒の活性化
空気中、550℃で予め焼成させたSiO2はDavisonにより供給された(BET表面積=400m2/g)。Engelhardから購入した10% Rh金属を含む硝酸ロジウム溶液を前駆体として使用した。Rh/SiO2自体は合成ガスのエタノールへの変換を触媒することができるが、適当なプロモータ(例えば、Mn、Vなど)を使用すると活性およびエタノールへの選択性が改善される。Mn(NO3)2(99%)およびNH4VO3(>98%)をAldrichから入手し、それぞれ、MnおよびVに対する前駆体として使用した。初期湿潤技術を用いてSiO2担体上でRhおよびMn前駆体を共含浸させることにより、Rh-Mn/SiO2触媒を調製した。RhおよびMnの最終濃度をそれぞれ、6wt%および1.5wt%のレベルで制御した。含浸後、全ての触媒を350℃、3時間の空気焼成に供した。初期湿潤技術を用いて3% Csを含浸させることにより、メタノール合成触媒、F51-8PPT(Katalco Corporation)を改良した。この触媒を比較のより高級なアルコール合成触媒として使用した。触媒は粉末形態および構造化モノリス型構造の両方で試験した。粉末形態で試験する場合、微細粒子粉末触媒をペレット化し、破砕し、ふるいにかけ70〜100メッシュとし、その後、マイクロチャネル反応器に入れた。目的は圧力降下を最小に抑えることであった。構造化Rh-Mn/SiO2触媒をウオッシュコーティング技術により調製した。粉末Rh-Mn/SiO2触媒を、媒質として水を用いて24時間ボールミル加工し、その後、ボールミル加工した触媒スラリーをFeCrAlY金属フェルト上にウォッシュコートした。SEMによるキャラクタリゼーションから、構造化触媒に対する触媒粒子サイズは0.5〜2μmの間で変動することが示された。所望の重量が得られるまでウォッシュコーティングした後、フェルト触媒(構造化触媒)を、活性冷却機能を備えたマイクロチャネル反応器中に設置した。
【0048】
10%水素を含むヘリウムを、220〜350℃の温度範囲で大気圧下、流すことにより、触媒を還元した。触媒を還元-酸化サイクル(RedOx)により処理する特別な触媒処理手順を開発した。RedOx処理中、触媒を最初に10%水素により350℃で12時間処理し、その後室温まで冷却した。反応器を窒素でパージし、2%酸素を含むヘリウムを導入し、反応器温度を1℃/分の傾斜速度で250℃まで増加させた。酸化期間は2時間であり、その後、反応器をヘリウムガス流下、室温まで冷却した。上記還元および酸化手順を1度繰り返し、触媒を、最後に10%水素を含むヘリウムにより還元し、その後供給ガス混合物を導入した。
【0049】
マイクロチャネル反応器および動作
実験を、5.08cm×0.94cm×0.15cmのチャネル寸法を有するマイクロチャネル反応器(316ステンレス鋼)において実施した。マイクロチャネル反応器は高圧下降流モードに対し構成した。反応器システムおよびマイクロチャネル反応器アセンブリの概略図は、参照12で記載したものと同様であった。ステンレス鋼反応器内でのメタン生成反応を最小に抑えるために、シリカ(SiO2)コートステンレス鋼管を高温の予熱ゾーンで使用した。実験を260〜300℃の温度および2〜5.4MPaの圧力で実施した。全ての実験を、触媒床に沿った均一温度分布により示される等温条件下で実施した。
【0050】
N2/H2の混合物を起動中に供給し、定常状態流を確立し、反応器を所望の温度まで加熱した。触媒床温度が標的に到達すると、所望の比率で予め混合した合成ガスを反応器に送り込んだ。典型的な供給組成はCO:H2:CO2:Ar=30:62:4:4であった。Arの存在が変換および選択性計算目的に対する内標準として機能した。総供給流速は、所望のガス時空速度(GHSV)が達成されるように設定された。反応生成物を、TCDおよびFID検出器両方を備えたオンラインガスクロマトグラフィー(HP 5890GC)により分析した。使用したGCカラムはJW Scientificにより製造されたGS-Q 30mである。5℃/分の300℃までの温度プログラムを分析のために選択した。液体生成物を-3℃の冷却トラップに収集し、これもまたGC-質量分析により分析した。一酸化炭素変換および生成物選択性を、供給および生成物流速および炭素収支に基づき計算した。
【0051】
Rh-Mn/SiO2触媒の性能に関する反応温度および圧力の効果
Rh-Mn/SiO2触媒の触媒活性に関する反応温度、圧力および供給組成の影響を表1および2に示す。主生成物はメタン、CO2、MeOH、EtOH、およびC2+炭化水素および酸素化物から構成された。温度の効果を研究するために、反応器を等温モードで動作させた。複数の熱電対を触媒床中に設置し、炉温度を調節して触媒床温度を制御した。触媒床の上部と底部との間の温度差を測定すると±2℃内であり、マイクロチャネル反応器の優れた熱除去能力が示された。表1に示されるように、触媒温度を280から300℃まで上昇させると、温度上昇に伴いCO変換が増加する(条件1および2)。しかしながら、メタン選択性は38.4%から48.1%まで増加し、一方、エタノールに対する選択性は著しく減少する。これにより、Rh-Mn/SiO2上でのアルコール合成は280℃より低い温度で動作させることが好ましいことが示唆される。温度効果をさらに説明するために、より低い温度およびさらに低いGHSVで実験を実施した。表1で示した条件3および4から得られた結果を比較することにより、低温動作により、エタノールへのより高い選択性およびより低いメタン形成が得られる。Rh触媒上では、メタン形成は温度変化に対し非常に敏感である。
【0052】
Rh-Mn/SiO2触媒の活性に関する圧力の効果を300℃の一定温度およびGHSV=3750h-1下で研究し、結果を表2にまとめて示す。反応が条件1から条件2に進むにつれ、この場合、圧力が5.4から3.8MPaまで低下すると、変換が減少するが、一方、生成物選択性は本質的には変わらないままである。これにより、反応が300℃のより高い温度で実施されると、生成物選択性は圧力ではなく反応温度により主に制御され、そのため、圧力を変化させても生成物選択性に顕著な影響を与えないことが示されると考えられる。生成物選択性に対する圧力効果をさらに説明するために、反応を270℃のかなり低い温度で実施した。異なる反応圧力での反応性結果を図5でプロットする。270℃では、圧力増加に伴いCO変換の増加が観察される。酸素化物全体に対する選択性も増加するが、劇的ではない。しかしながら、高温動作とは対照的に、メタン選択性の下方傾向が、反応圧力の増加に伴い観察される。機構的には、高圧は、C2+酸素化物を形成するための金属-(CHx)ad表面種中へのCO挿入に有利に働き、メタン形成に対する(CHx)adの水素化速度が減少する4。これにより、反応器を約270℃より低い温度で動作させる限り、メタン選択性は抑制することができることが示唆される。Rh-Mn/SiO2触媒の触媒活性は、ストリーム動作に対する60時間中非常に安定であったが、触媒失活は観察されなかった。
【0053】
(表1)Rh-Mn/SiO2触媒活性に対する反応温度の影響

【0054】
(表2)Rh-Mn/SiO2触媒性能に対する反応圧力および供給率の効果

【0055】
生成物選択性に対するH2/CO比の効果
表2は、変換および選択性に対するH2/CO比の変動の効果を示す(条件3〜5)。実験はそれぞれ、300℃、3.8MPaおよびGHSV=3750h-1で実施した。H2/CO比を2から1に減少させると(表2、条件2〜3)、CO変換は急激に減少し、CO2選択性は増加し、これにより、水-ガス-シフト反応はより低いH2/CO比で重要になることが示唆される。エタノールへの選択性も減少し、一方、望ましくない生成物C2+炭化水素が増加する。条件3から条件4に変更すると、H2/CO比が1から3に上昇し、CO変換は増加し、CO2選択性は予想通り減少する。エタノール選択性のわずかな増加が観察される。しかしながら、望ましくない生成物メタン選択性も同様に増加する。Rh-Mn/SiO2触媒に対しては、高温および/または低温動作はエタノール形成に有利に働かないようである。そのため、Rh-Mn/SiO2触媒を用いた試験では、エタノール合成はH2/CO比の狭い範囲に限定された。その結果、高圧であるが低温下で動作するように実験を実施した。目的はエタノール形成に有利な条件下での生成物選択性に対するH2/COの影響を明らかにすることであった。図6は、CO変換、メタン選択性、CO2選択性、ならびに比活性のH2/CO比の変化に対する応答を示す。H2/CO比が2から0.6に減少すると、CO変換は減少し、CO2選択性は増加し、一方メタン選択性はかなり減少する。1時間あたり1gの触媒に対し変換されたmmolのCOの観点では、比活性は、H2/CO比の減少に伴い増加する。GHSVはこれらの実験中一定に維持されるので、総CO変換は降下したが、実際の炭素変換率は増加した。
【0056】
RedOxサイクル処理の効果
触媒を活性化するために使用する手順は担持Rh触媒の活性に強く影響する。異なる処理手順により、SiO2担体の表面上でのRh分散の程度が異なる可能性がある。担持Rh触媒の活性および生成物選択性に対する分散の影響はいくつかの研究の対象である13-14。本研究は、重要な触媒活性化手順を証明しようとして始められた。採用した活性化技術の1つは還元-酸化サイクルと呼ばれ、これは実験セクションで記載されている。工業的過程、例えばガソリン改質では、この手順が、担持された貴金属を活性化するために採用されており、高い金属分散および安定性が達成される。
【0057】
2つの触媒、Rh-Mn/SiO2およびRh-Mn-V/SiO2を、RedOx手順により処理し、結果を表3および4にまとめて示す。普通の水素還元処理に比べて、RedOx処理したRh触媒はずっと高い初期変換を示す。初期段階中(TOS 12時間未満)、メタンに対する選択性の変化は両方の触媒に対し1%以内である。RedOx処理は全体の変換を増強するが、メタン形成に対しては有益な効果を有さない。結果として、定常状態動作下では(TOS=72時間)、RedOx処理触媒に対するCO変換は普通に処理したものよりもさらに4%高く、メタン選択性は同様に約2%増加する。
【0058】
Cu-系メタノール合成触媒および担持Rh触媒からなるハイブリッド触媒系もまたRedOxにより処理した。そのようなハイブリッド触媒系を使用する理由は、Cu触媒上で生成したメタノール前駆体(C1種)が鎖成長を促進し、C2酸素化物中間体が得られ、エタノール合成に有利であることを期待してであった。RedOx処理後、ハイブリッド触媒系のストリーム性能に関する時間をモニタした。結果を図3に示す。驚いたことに、RedOx処理後、CO変換は増加し続け、200時間動作後まで横ばい状態ならない。一方、CO2選択性は上方傾向であり、ストリームに対し200時間後横ばい状態になる。主に、Cu-系触媒の周知の水ガスシフト機能に起因するCO2形成が予測される。実行が進むにつれ、メタン選択性は20%から10%まで減少する。絶対基準に基づくと、ハイブリッド触媒上でのメタンに対する選択性は担持Rh触媒単独上よりもずっと低い。全250時間の動作中酸素化物(主にメタノールおよびエタノールを含む)に対する選択性の変動は実際中程度であり、TOS=100時間で一致レベルに到達する。そのような触媒系の性能は2つの触媒の比率を調整することにより最適化することができる。
【0059】
アルカリ金属添加効果
メタン形成を阻止し、エタノール選択性を引き上げようとして、カリウムをRh-Mn/SiO2触媒に添加した。アルカリ金属がCu系触媒上で鎖成長を促進することは周知である。表5は、Csをメタノール合成触媒に添加するとC2+アルコールに対する選択性が増加することを示す。しかしながら、アルカリ金属が担持Rh触媒上でC2+アルコールを促進するかどうかは、文献では明確に証明されていない。表5で示されるように、3% KがRh-Mn/SiO2に添加されると、CO変換が減少する。Kまたは他のアルカリ金属の添加のCO変換に対する負の影響が、合成ガス変換のために使用される多くの他の触媒系において観察される。基本Rh-Mn/SiO2触媒と比べて、Kを添加するとメタン選択性が著しく減少する。メタン選択性が減少する結果、メタノールおよびエタノールに対する選択性の合計が増加するが、エタノールだけの選択性は減少する。正味の利得はメタノール収率である。Kの存在は担持Rh触媒上での鎖成長を促進しないと思われ、これはCu-系触媒とは異なる。これはおそらく、CuおよびRhに基づく触媒系上での反応経路が著しく異なるからである。
【0060】
高スループット下での構造化触媒の性能
上記のように、構造化触媒を調製し、同一の粉末触媒と比較するために試験した。構造化触媒を高い熱伝導性材料、薄いFeCrAlY金属フェルト上にコートした。構造化触媒を、能動冷却が効果的なものとなりうる反応器チャネル壁にしっかりと付着させる。対照実行(基準実行)を粉末形態の同一Rh-Mn/SiO2触媒を用いて実施し、同じ構造のマイクロチャネル反応器中で動作させた。表6で示されるように、構造化触媒を使用する実行EC-02では、反応は少なくともGHSV=20,000h-1の流速で実施することができ、7倍遅いGHSVで動作される対照実行(実行ET-32)と同じ変換レベルが達成される。構造化触媒(すなわち大細孔担体を有する触媒)および能動熱除去の使用により、反応温度およびメタン選択性が高スループットで「逃げ出さなかった」。
【0061】
(表3)Rh-Mn/SiO2の性能に対する還元-酸化サイクル処理の効果

GHSV=1700h-1、P=5.4MPa、T=270℃、H2/CO=2:1
【0062】
(表4)Rh-Mn-V/SiO2の性能に対する還元および酸化サイクル処理の効果

GHSV=1700h-1、P=5.4MPa、T=270℃、H2/CO=2:1
【0063】
(表5)異なるアルコール合成触媒の性能比較

T=280℃、P=5.4MPa、GHSV=3750h-1、H2/CO=2:1
【0064】
触媒性能比較

*S. Ishiguro, S. Ito, K. Kunimori, Catalysis Today 45, 197-201, 1998 (Table 1)
【0065】
これからわかるように、マイクロチャネル反応器を使用すると、高いスループットで動作させることができ、高い変換および改善された選択性が達成できる。
【0066】
(表6)マイクロチャネル反応器における構造化Rh-Mn/SiO2触媒の同一の粉末形態との性能比較

H2/CO=1:1、T=300℃
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】マイクロチャネル熱交換器を含む水ガスシフト反応器の断面図を含む反応器の概略図である。
【図2】並流構造で配向された交互配置マイクロチャネル反応器の概略図である。
【図3】市販CuZnAl触媒を非最適化PdZnAl触媒と比較したメタノール合成。条件は下記の通りとした:P=1170psig、送り=125sccm、70% H2、25% CO2、5% Ar。
【図4】図3と同じ条件下での、CuZnAl-含有触媒とPdZnAl-含有触媒を比較したエタノール合成。
【図5】担持Rh触媒(Rh-Mn-V/SiO2触媒、GHSV=1700h-1、H2/CO=1:1)上でのCO変換および生成物選択性への反応圧力の効果。
【図6】変換および生成物選択性へのH2/CO比の効果(Rh-Mn/SiO2触媒、P=5.4MPa、T=280℃、GHSV=3750h-1)。
【図7】ハイブリッド触媒系の性能に対するRedOx処理の効果(1:2の比で混合されたCuZnAlおよびRh-Mn/SiO2、P=5.4MPa、GHSV=3750h-1、T=280℃)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
H2およびCOまたはCO2を含む反応ガス混合物を流して触媒と接触させる工程であって、アルミナ上に分散されたPdおよびZnを該触媒が含む工程;ならびに、
1つまたは複数のアルコールを形成させる工程
を含む、COまたはCO2からアルコールを合成する方法。
【請求項2】
1つまたは複数のアルコールを形成させる工程で形成された1つまたは複数のアルコールが本質的にメタノールからなる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
触媒がさらにFisher-Tropsch触媒を含み、1つまたは複数のアルコールを形成させる工程で形成された1つまたは複数のアルコールが2またはそれ以上の炭素原子を含む高級アルコールを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
1つまたは複数のアルコールを形成させる工程で形成された1つまたは複数のアルコールが、エタノールが主アルコールであるアルコール混合物を含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
触媒が、共に混合された、アルミナ上に分散されたPd-Zn合金触媒およびFisher-Tropsch触媒を含む、請求項3記載の方法。
【請求項6】
触媒が、本質的にアルミナ上に分散されたPd-Zn合金触媒からなる第1のセクション、およびFisher-Tropsch触媒を含む第2のセクションを含む、請求項3記載の方法。
【請求項7】
流す工程が、接触時間が1秒未満となるように制御される、請求項3記載の方法。
【請求項8】
触媒が5mmまたはそれ以下の幅を有する反応チャネル内に配置され、さらに、触媒全体の温度変動が10℃またはそれ以下である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
第1のセクションおよび第2のセクションが5mmまたはそれ以下の幅を有する反応チャネル内に配置される、請求項6記載の方法。
【請求項10】
反応ガス混合物が、第2のセクションと接触する前に第1のセクションと接触する、請求項6記載の方法。
【請求項11】
触媒が結晶ZnOを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
反応ガス混合物がCOを含み、COがH2と反応してメタノールを形成する、請求項2記載の方法。
【請求項13】
反応ガス混合物がCOおよびCO2を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
反応ガス混合物が、本質的にCOおよびH2からなる、請求項1記載の方法。
【請求項15】
CO2およびH2を含む反応ガス混合物を流して触媒と接触させる工程であって、該触媒が(a)アルミナ上に分散されたPd-Zn合金および(b)Fischer-Tropsch触媒を含む工程;ならびに
エタノールまたは高級アルコールを形成させる工程
を含む、CO2からエタノールまたは高級アルコールを合成する方法。
【請求項16】
マイクロチャネル内、アルコール触媒上で水素およびCOを接触させる工程;
少なくとも20%のCOを、少なくとも30%のC2+酸素化物に対する選択性で、生成物に変換する工程
を含む、アルコールを合成する方法。
【請求項17】
エタノールに対する少なくとも30%の選択性を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
触媒が、マイクロチャネル内で、フローバイ(flow-by)構造で配置される、請求項16記載の方法。
【請求項19】
触媒がアルコール合成触媒およびFischer-Tropsch触媒を含む、請求項16記載の方法。
【請求項20】
アルコール合成触媒およびFischer-Tropsch触媒が共に混合される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
アルコール合成触媒およびFischer-Tropsch触媒がマイクロチャネル内で連続して配列される、請求項19記載の方法。
【請求項22】
触媒が、シリカ、チタニア(titania)、またはジルコニア上に配置されたRhおよびMnを含む、請求項16記載の方法。
【請求項23】
Rh-またはPd-含有組成物をRedOx処理に供して触媒を形成させる第1の工程;
その後、次の工程で、C1+酸素化物を触媒の存在下で水素と接触させ、C2+酸素化物を形成させる工程;
ここで、RedOx処理は少なくとも25℃の温度でRh-またはPd-含有組成物を還元させる第1の工程を含み;および
続く、少なくとも25℃の温度での酸化の第2の工程
を含む、C2+酸素化物を合成する方法。
【請求項24】
C1+酸素化物を触媒の存在下で水素と接触させる工程がマイクロチャネル内で実施される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
触媒がシリカ上のRhを含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
水素およびCOを、マイクロチャネル内、アルコール触媒上で接触させる工程;ならびに
水素およびCOの反応からアルコールを形成させる工程;
を含み、
さらに、触媒がCuを含み、接触させる工程が少なくとも250℃の温度で実施され、または、触媒がシリカ上のRhを含み、接触させる工程が少なくとも300℃の温度で実施される、アルコールを合成する方法。
【請求項27】
水素およびC1+酸素化物をFisher-Tropsch触媒の薄層上で接触させる工程;ならびに
Fisher-Tropsch触媒の薄層上での水素およびC1+酸素化物の反応からC2+酸素化物を形成させる工程
を含み、
薄層が100μmまたはそれ以下である、
C2+酸素化物を合成する方法。
【請求項28】
薄層がマイクロチャネル壁上のコーティングを含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
水素がマイクロチャネルの長さに沿って分散様式で添加される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
薄層が金属フェルトまたは金属フォーム上のコーティングを含む、請求項27記載の方法。
【請求項31】
請求項16記載の方法によりC2+酸素化物を製造する工程および脱水または水酸脱酸素(hydroxydeoxygenation)反応でC2+酸素化物を反応させて不飽和化合物を形成させる工程を含む、不飽和化合物を形成する方法。
【請求項32】
C2+酸素化物がエタノールであり、脱水または水酸脱酸素反応が、エタノールが形成された同じマイクロチャネル内で起こる、請求項31記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−519948(P2009−519948A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545846(P2008−545846)
【出願日】平成18年12月16日(2006.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/047935
【国際公開番号】WO2007/075428
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(506283798)バッテル メモリアル インスティチュート (19)
【Fターム(参考)】