説明

CO2排出量管理システム、及びCO2排出量管理方法

【課題】ネットワーク環境にある画像形成装置のCO排出量の上限値に対するCO排出量の管理又は抑制を可能とした上で、利便性の向上も図る。
【解決手段】画像形成装置は、印刷ジョブ出力に対する消費電力量からCO排出量に換算された情報を取得し、印刷ジョブ出力毎のCO排出量を集計し、特定期間のCO排出量の上限値を記憶し(S101)、CO排出量の集計結果と記憶されたCO排出量上限値を比較してCO排出量の上限値を超過したかどうかを判定し(S105)、管理装置はCO排出量の上限値を超過した画像形成装置からの通知を受けて代行印刷が可能な画像形成装置情報を検索し(S108)、いずれかの画像形成装置がCO排出量の上限値を超過した場合、検索結果に基づいて決定された画像形成装置に未出力の印刷ジョブを出力させる(S109,S110)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像形成装置がネットワーク接続されて使用されるネットワークシステムにおけるCO排出量の削減を考慮したCO排出量管理システム、このCO2排出量管理システムで実行されるCO2排出量管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の環境負荷問題に対応してCO排出量が問題となっている。画像形成装置は消費電力だけでなく、使用される用紙、トナー等の消耗品も含まれるため、両者に関するCO排出量を求める技術が知られている。このような技術としては、例えば特許文献1あるいは2に開示された発明が公知である。
【0003】
このうち特許文献1(特開2002−6696号公報)には、CO排出実態の把握が容易なCO排出量算出方法とCO排出量管理システム、及びCO排出量低減のための推奨モードを提示し、改善予測を行うことが可能な画像形成装置を提供するため、画像形成装置を使用することにより特定期間に消費される消費電力の値を得てCO排出量に換算し、画像形成装置を使用することにより特定期間に消費される消耗品の消費量を得てCO排出量を求め、上記各排出量を加算して、これを画像形成装置の特定期間のCO排出量として出力することを特徴とする発明が記載されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2006−317355号公報)には、ネットワーク上に接続された複数の仕様の異なる機器について、消費電力及びCO排出量の算出を図るため、ネットワークを介して接続された機器の動作に関する情報を取得する計算条件取得部と、計算条件取得部で取得された機器の動作に関する情報を参照して、機器の消費電力に関する電力情報を取得するための監視プロトコルを選定する監視条件設定部と、監視条件設定部で選定された監視プロトコルに基づいて、消費電力に関する電力情報を取得することを特徴とする発明が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のようなCO排出量の低減が見込める推奨モードの提示あるいは表示では、画像形成装置のCO排出量が上限値未満の場合でも、利用者が推奨モードを選択しなかった場合は、利用者が独自の印刷設定モードで印刷出力を行うことが可能である。そのため、ユーザの意思で推奨モードではなく通常の印刷モードで印刷枚数等の多い印刷ジョブを出力させてしまった場合は、結果的に画像形成装置のCO排出量の上限値を超過してしまう場合があり得る。
【0006】
また、画像形成装置のCO排出量が上限値を超過した場合でも、推奨モードを提示あるいは表示するだけで、推奨モードで印刷出力が可能であり、画像形成装置のCO排出量の上限値が管理されているわけでない。そのため、結果的に装置のCO排出量の上限値を超過してしまう場合がある。さらに、画像形成装置のCO排出量の上限値を超過した場合の対応策について何ら考慮されているわけでもない。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ネットワーク環境にある画像形成装置のCO排出量の上限値に対するCO排出量の管理又は抑制を可能とした上で、利便性の向上も図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、第1の手段は、ネットワーク接続された複数の画像形成装置の使用時におけるCO排出量を削減するCO排出量管理システムであって、前記画像形成装置は、印刷ジョブ出力に対する消費電力量からCO排出量に換算された情報を取得するCO排出量取得手段と、前記CO排出量取得手段により取得された印刷ジョブ出力毎のCO排出量を集計する集計手段と、特定期間のCO排出量の上限値を記憶する上限値記憶手段と、前記集計手段によるCO排出量の集計結果と前記上限値記憶手段により記憶された画像形成装置のCO排出量上限値を比較し、判定する判定手段と、を備え、前記ネットワークには、前記複数の画像形成装置のそれぞれの前記上限値記憶手段に記憶されたCO排出量の上限値と、前記集計手段によるCO排出量の取得情報を管理する管理装置がさらに接続され、前記管理装置は、前記判定手段に基づく判定結果に基づき、CO排出量の上限値を超過した画像形成装置からの通知を受けて代行印刷が可能な画像形成装置情報を検索する検索手段と、前記検索手段によって検索され、代行印刷が可能な画像形成装置情報を未出力の印刷ジョブの出力指示元に通知する代行通知手段と、を備え、いずれかの画像形成装置がCO排出量の上限値を超過した場合、代行通知手段から通知を受けた画像形成装置によって前記未出力の印刷ジョブを出力させることを特徴とする。
【0009】
第2の手段は、第1の手段において、前記複数の画像形成装置は特定の共有グループを形成し、前記管理装置は、前記形成された共有グループ内の各画像形成装置の前記上限値と前記CO排出量の取得情報を管理することを特徴とする。
【0010】
第3の手段は、第2の手段において、前記特定の共有グループは、画像形成装置を使用するユーザの使用環境条件に基づいて前記代行印刷の共有使用が可能な複数の画像形成装置を1つのグループとして形成することを特徴とする。
【0011】
第4の手段は、第1ないし第3のいずれかの手段において、前記画像形成装置は、前記判定手段に基づく判定結果に基づき、CO排出量の上限値を超過した場合、前記画像形成装置の未出力の印刷ジョブの出力指示元の情報と共に、当該画像形成装置の印刷ジョブ出力を使用不可とする警告情報を表示手段に表示し、前記管理装置に通知する警告通知手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
第5の手段は、第1ないし第4のいずれかの手段において、前記検索手段は、前記管理装置が管理する各画像形成装置のCO排出量上限値と、前記各画像形成装置のCO排出量とに基づいてCO排出量の上限値未満の画像形成装置を代行印刷候補とする第1の検索候補手段と、前記第1の検索候補手段の画像形成装置の中から代行印刷候補を検索する第2の検索候補手段と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
第6の手段は、第5の手段において、前記第2の検索候補手段は、前記第1の検索候補手段の画像形成装置の中から、省エネモードから復帰している状態の画像形成装置を優先的に代行印刷候補とし、前記検索手段は、前記第2の検索候補手段によって検索された前記代行印刷候補の中からCO排出量上限値とCO排出量との差分量が最も多い画像形成装置を代行画像形成装置として決定することを特徴とする。
【0014】
第7の手段は、第5の手段において、前記第2の検索候補手段で検索された画像形成装置が全て省エネモード状態の場合、前記第2の検索候補手段で検索された省エネモード状態の画像形成装置の中からCO排出量上限値とCO排出量との差分量が最も多い画像形成装置を代行画像形成装置として決定することを特徴とする。
【0015】
第8の手段は、第4の手段において、前記代行通知手段は、前記警告通知手段から警告情報を通知した画像形成装置にスプールされている未出力の印刷ジョブの出力指示元を判断する機能を有し、未出力の印刷ジョブ出力の指示元が警告情報を通知した画像形成装置からのコピー印刷ジョブの出力指示の場合、前記検索手段により検索された代行印刷が可能な代行画像形成装置に関する情報を、警告情報を通知した画像形成装置の表示手段に表示させることを特徴とする。
【0016】
第9の手段は、第8の手段において、前記代行通知手段は、前記未出力の印刷ジョブ出力の指示元が、パーソナルコンピュータからのプリント印刷ジョブの出力指示の場合、前記検索手段により検索された代行印刷が可能な代行画像形成装置に関する情報を、警告情報を通知した画像形成装置の表示手段に表示させるとともに、未出力の印刷ジョブ出力の指示元であるパーソナルコンピュータに通知すること特徴とする。
【0017】
第10の手段は、第1ないし第9のいずれかの手段において、前記判定手段に基づく判定結果に基づきCO排出量の上限値を超過し、印刷ジョブ出力が使用不可となった画像形成装置において、上限値記憶手段でCO排出量の上限値を定めている所定期間に達した場合、前記所定期間内に前記集計手段で集計されたCO排出量のデータ情報をクリアさせ、使用不可としていた前記画像形成装置の印刷ジョブの出力を許可するとともに、前記画像形成装置が使用可能となった旨の情報を表示手段に表示させることを特徴とする。
【0018】
第11の手段は、ネットワーク接続された複数の画像形成装置の使用時におけるCO排出量を削減する画像形成ネットワークシステムのCO排出量削減方法であって、前記画像形成装置は、印刷ジョブ出力に対する消費電力量からCO排出量に換算された情報を取得し、取得された印刷ジョブ出力毎のCO排出量を集計し、特定期間のCO排出量の上限値を記憶し、CO排出量の集計結果と、前記記憶された画像形成装置のCO排出量上限値を比較していずれかの画像形成装置がCO排出量の上限値を超過したかどうかを判定し、前記ネットワークに別途接続された管理装置は、前記複数の画像形成装置のそれぞれのCO排出量の上限値と、前記集計されたCO排出量の取得情報を管理し、前記判定結果に基づき、CO排出量の上限値を超過した画像形成装置からの通知を受けて代行印刷が可能な画像形成装置情報を検索し、前記検索された代行印刷が可能な画像形成装置情報を未出力の印刷ジョブの出力指示元に通知し、前記複数の画像形成装置のうちいずれかの画像形成装置がCO排出量の上限値を超過した場合、前記通知を受けた画像形成装置によって前記未出力の印刷ジョブを出力させることを特徴とする。
【0019】
なお、後述の実施形態では、ネットワークは符号NTに、複数の画像形成装置は符号201〜20Nに、CO排出量取得手段はCO排出量取得部109に、集計手段は集計部110に、上限値記憶手段は上限値記憶部111に、判定手段は判定部112に、管理装置は符号114に、検索手段は検索部115に、代行通知手段は代行通知部116に、特定の共有グループは符号G1に、表示手段は表示部104に、警告通知手段は警告通知部113に、第1の検索候補手段は第1の検索候補部115aに、第2の検索候補手段は第2の検索候補部115bに、パーソナルコンピュータはPC301〜30Mに、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、前記のように構成されているので、ネットワーク環境にある画像形成装置のCO排出量の上限値に対するCO排出量の管理又は抑制を可能とした上で、利便性の向上も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係るネットワーク環境の画像形成システムの全体的な構成を示すブロック図である。
【図2】代行印刷指示部の指示に従って代行印刷処理を実行する処理手順を示すフローチャートである。
【図3】検索部による代行画像形成装置の検索及び決定の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】代行通知部における通知処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】画像形成装置の使用許可処理の処理例を示す図である。
【図6】管理装置で管理されているネットワーク接続された特定の共有グループ内の画像形成装置の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、ネットワークに接続された特定の共有グループ内の複数の画像形成装置において、共有グループ内の各画像形成装置の特定期間のCO排出量の上限値に対するCO排出量を管理し、共有グループ内の特定の画像形成装置の特定期間のCO排出量が上限値を超過した場合、CO排出量の上限値を超過した画像形成装置の印刷ジョブ出力を強制的に使用不可とすることにより特定期間のCO排出量の上限値に対するCO排出量を抑制し、管理サーバが共有グループ内に接続されているCO排出量の上限値を超過していない他の画像形成装置を検索し、管理サーバで検索し、決定された共有グループ内の他の画像形成装置を共有装置として、前記使用不可となった画像形成装置の印刷ジョブの代行印刷処理を行わせるようになっている。
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るネットワーク環境の画像形成システムの全体的な構成を示すブロック図である。同図において、本実施形態における画像形成システムは、ネットワークNTに接続された複数の画像形成装置201,202,・・・20N(N:2以上の整数)と、ネットワーク環境下で接続され、画像形成装置201〜20Nに対してプリント印刷出力の指示が可能なPC(パーソナルコンピュータ)301,302,・・・30M(M:1以上の整数)と、ネットワーク環境下で接続された管理装置114とから基本的に構成されている。
【0024】
1つの画像形成装置201は、CPU(マイクロプロセッサ)101、メモリ102、HDD103、表示部104、データ送受信部105、ネットワークI/F106、画像形成部107、CO2排出量算出部108、CO2排出量取得部109、集計部110、上限値記憶部111、判定部112、警告通知部113、及び代行印刷指示部117を備えている。CPU101は図示しないROM及びRAMを含み、RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用し、ROMに記憶されたプログラムに従い、画像形成装置201全体及び各部の制御を実行する。メモリ102は印刷ジョブの画像イメージデータを形成し、あるいは、CPU101がデータ処理をする際に一時的にデータを格納する。HDD103は、メモリ102により形成された印刷ジョブの画像イメージデータの書き込み(蓄積)及び蓄積されたデータの読み出しが可能である。表示部104は、画像形成装置の印刷設定に関する種々の情報の表示し、あるいは印刷する際の種々の設定入力が可能な入力手段としても機能する。データ送受信部105は、画像形成装置のネットワークI/F106を介して、画像形成装置201とネットワークNTに接続された機器間とのデータの送受信を行うためのものである。画像形成装置107は、メモリ102により形成された画像イメージデータあるいはHDD103に一時的に蓄積されている画像イメージデータを読み出して、記録紙に印刷させる。なお、画像形成装置201の各部はバスを介してCPU101に接続され、バスに接続されたネットワークI/F106を介してネットワークNTと通信可能に接続されている。
【0025】
CO排出量算出部108は、CPU101の演算処理に基づき、画像形成装置201の印刷ジョブ出力に対する消費電力量からCO排出量を算出する。CO排出量取得部109は、CO排出量算出部で算出されたCO排出量の情報を取得することが可能となっている。集計部110は、CPU101の演算処理に基づき、CO排出量取得部109で取得した印刷ジョブ出力毎のCO排出量を集計する。上限値記憶部111は、各画像形成装置201〜20Nの所定の特定期間のCO排出量の上限値の情報を予め設定し、記憶する。判定部112は、集計部110で集計したCO排出量の集計データと、上限値記憶部111に記憶されている画像形成装置のCO排出量上限値をCPU101の演算結果に基づき比較し、大小を判定する。警告通知部113は、判定部112の判定結果に基づく警告情報を画像形成装置201〜20Nもしくは管理装置114に通知する。
【0026】
管理装置114は、検索部115と代行通知部116を備え、ネットワーク環境下に接続され、ネットワークNTに接続されているある特定の共有グループ内の各画像形成装置201〜20Nから取得したCO排出量の上限値とCO排出量の情報を各画像形成装置201〜20Nについて管理する。検索部115は、第1及び第2の検索候補部115a,115bを含み、警告情報通知手段113からの警告通知情報を検出した際、管理手段114で管理されている各画像形成装置毎のCO排出量の情報から、ある特定の共有グループ内の画像形成装置から代行印刷が可能な画像形成装置を検索する。代行通知部116は、検索手段115で検索された、代行印刷が可能な画像形成装置201〜20Nの情報をネットワークNT経由で画像形成装置201〜20NあるいはPC301〜30M等に通知する。言い換えれば、代行印刷が可能な画像形成装置情報を未出力の印刷ジョブの出力指示元(ここでは、PC301〜30Mのいずれか)に通知する。
【0027】
代行印刷指示部117は、管理装置114の代行通知部116からの通知に基づき、検索部115で検索された代行印刷が可能な画像形成装置20Y(ただし、Yは、1≦Y≦Nの整数であって、Y≠Xとする。Xは後述する。)に対して、印刷ジョブの代行印刷を指示する。
【0028】
図2は、代行印刷指示部117の指示に従って代行印刷処理を実行する処理手順を示すフローチャートである。
同図において、画像形成装置201〜20Nの所定の特定期間のCO排出量の上限値の情報は、NVRAM等の不揮発性メモリ等に予め設定され、また記憶される(ステップS101)。CO排出量算出部108はCPU101の演算処理に基づいて画像形成装置の印刷ジョブ毎に消費電力量からCO排出量を算出し、算出されたCO排出量の情報をCO排出量取得部109が取得する(ステップS102)。集計部110はCPU101の演算処理に基づいてCO排出量取得部109が取得した印刷ジョブ出力毎のCO排出量を集計し、管理する(ステップS103)。CPU101は、集計部110で集計されたCO排出量の集計データと、上限値記憶部111に記憶されている画像形成装置201〜20NのCO排出量上限値とを比較する(ステップS104)。
【0029】
次いで、判定部112が前記比較結果を判定し、集計部110によって集計された画像形成装置201〜20NのCO排出量が、上限値記憶部111に記憶されている画像形成装置のCO排出量上限値を超過した場合(ステップS105−Yes)、CPU101はCO排出量の上限値を超過した当該画像形成装置(例えば「20X」、ただし、Xは1≦X≦Nの整数とする。)の印刷ジョブデータを一時的にHDD103にスプールさせる(ステップS106)。また、警告通知部113はCO排出量の上限値を超過した当該画像形成装置20Xの印刷ジョブ出力を使用不可とする警告通知情報を当該画像形成装置20Xと管理装置114に通知する(ステップS107)。
【0030】
管理装置114が警告通知部113から送信される警告通知情報を検出すると、検索部115は管理装置114が管理しているある特定の共有グループG1内の各画像形成装置のCO排出量の情報に基づき、代行印刷が可能な画像形成装置20Yを検索し、決定する(ステップS108)。代行通知部116は検索部115で検索され、決定された代行印刷が可能な画像形成装置20Yの情報をネットワークNT経由で、使用不可となった画像形成装置20Xにスプールされている印刷ジョブ出力の指示元に通知する。コピー印刷ジョブの場合、画像形成装置20Yの表示部104に通知し、PC30Z(ただし、Zは1≦Z≦Mの整数とする。)からのプリント印刷の場合、画像形成装置20Yの表示部104と印刷指示元のPC30Zにも通知する(ステップS109)。
【0031】
代行印刷指示部117は、代行通知部116からの通知に基づき、検索部115で検索された代行印刷が可能な画像形成装置20Yに対して、HDD103にスプールされている印刷ジョブの代行印刷の指示を行い、代行画像形成装置20Yは代行印刷処理を行う(ステップS110)。
【0032】
図3は、検索部による代行画像形成装置の検索及び決定の処理手順を示すフローチャートである。
同図において、管理装置114はネットワークNTに接続されているある特定の共有グループG1(G1は複数のグループのうちの1つを示す。)内の各画像形成装置201〜20N(図6参照)から取得したCO排出量上限値と、CO排出量の情報を管理し(ステップS201)、警告通知部113から警告通知情報を検出すると(ステップS202)、検索部115は管理装置114で管理されている共有グループG1内の各画像形成装置201〜20Nの中から代行印刷が可能な装置の検索を開始する(ステップS203)。
【0033】
検索では、まず、第1の検索候補部115aで、管理装置114で管理されている各画像形成装置のCO排出量上限値とCO排出量との情報からCO排出量が上限値未満の画像形成装置を代行印刷候補として検索する(ステップS204)。次いで、第2の検索候補部115bで、前記第1の検索候補部115aで検索された画像形成装置201〜20Nの中から、省エネから復帰している状態の画像形成装置を代行印刷候補として検索する(ステップS205)。
【0034】
その後、第2の検索候補部115bで検索された画像形成装置の中から、CO排出量の上限値とCO排出量との差分量(マージン量)が最も多い画像形成装置を代行画像形成装置20Yとして決定する(ステップS206,S207,S209)。
【0035】
このようにして省エネ復帰している状態の画像形成装置を優先的に代行印刷装置として検索し、決定することにより、省エネ復帰動作時における画像形成装置のCO排出量を低減することが可能となる。
【0036】
また、前記第2の検索候補部115bで検索された画像形成装置201〜20Nの状態が全て省エネ移行中の状態の場合は(ステップS206)、検索された省エネ移行中の画像形成装置の中から、CO排出量の上限値とCO排出量との差分量(マージン量)が最も多い画像形成装置を代行画像形成装置20Yとして決定する(ステップS208,S209)。
【0037】
図4は、代行通知部における通知処理の処理手順を示すフローチャートである。
図4において、代行通知部116は、検索部115で代行印刷が可能な代行画像形成装置を検索し、決定した後、通知処理を開始する(ステップS301)。CO排出量上限値を超過し、使用不可となった画像形成装置20Xにスプールされている印刷ジョブが、前記使用不可となった当該画像形成装置20Xからのコピー印刷ジョブの出力指示の場合(ステップS302、S303−Yes、S304)、代行通知部116は検索部115で検索し、決定した代行画像形成装置20Yに関する情報を、当該画像形成装置20Yの表示部104に表示し、代行を通知する。また、CO排出量上限値を超過し、使用不可となった画像形成装置20Xにスプールされている印刷ジョブが、ネットワークNTに接続されているPC30Zからのプリント印刷ジョブの出力指示の場合(ステップS302、S303−No、S305)、代行通知部116は、検索部115で検索し、決定された代行画像形成装置20Yに関する情報を、当該画像形成装置20Yの表示部104に表示し、通知すると共に、印刷指示元のPC30Zにも通知する。
【0038】
図5は、画像形成装置の使用許可処理の処理例を示す図である。
画像形成装置の所定期間のCO排出量の上限値は、予め上限値記憶部111に設定され、記憶されている。集計部110では、CO排出量取得部109から取得した画像形成装置201〜20Nの印刷ジョブ出力毎のCO排出量を集計していく。また、CO排出量の上限値を定めている所定期間は、RTC(リアルタイムクロック)等の機能で、期間(時間)を計測し、管理している。図5に示した処理例では、期間初期SO(ポイントS0)で所定期間1のサイクルが開始され、集計部110によるCO排出量の集計が開始される。ある期間が経過したポイントS1において集計部110で集計したCO排出量が上限値記憶部111に記憶されているCO排出量上限値を超過すると、所定期間1内のポイントS1からポイントS2の期間は、当該画像形成装置20Xの印刷ジョブ出力を使用不可にする。
【0039】
そして、ポイントSに達すると、CO排出量の上限値を定めている所定期間1のサイクルが完了し、ポイントS2からポイントS3の過程で、集計部110で集計されたCO排出量のデータ情報をクリアする。そして、使用不可としていた当該画像形成装置20Xの印刷ジョブの出力を許可すると共に、表示部104に当該画像形成装置20Xが使用可能となった旨の情報を通知し、表示する。ポイントS3で集計部110のCO排出量は0となっているので、このポイントS3から次の所定期間2のサイクルが開始され、このサイクルにおいて集計部110によるCO排出量の集計が開始され、図2に示した処理が実行される。
【0040】
図6は、管理装置で管理されているネットワーク接続された特定の共有グループ内の画像形成装置の例を示すブロック図である。
【0041】
管理装置114はネットワークNTに接続されている複数の画像形成装置201〜20Nについてある特定の共有グループを形成し、管理している。管理装置114による共有グループの形成は、画像形成装置201〜20Nを使用するユーザの使用環境条件等に基づいて、代行印刷の共有使用が可能な画像形成装置201〜20Nを共有グループG1として形成する。共有グループG1は、各オフィス毎に設置され、管理されている画像形成装置201〜20Nを1つの共有グループとし、あるいは、各組織(各部署)毎に設置され、管理されている画像形成装置201〜20Nを1つの共有グループとする、というようにして形成される。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば
1)ネットワークNTに接続された各画像形成装置201〜20NのCO排出量の上限値に対するCO排出量を管理し、特定の画像形成装置20XのCO排出量がCO排出量の上限値を超過した場合、ネットワークNTに接続されている他の画像形成装置で、かつCO排出量の上限値を超過していない最適な画像形成装置20Yで代行印刷をさせる。これにより、各画像形成装置201〜20NのCO排出量の上限値に対するCO排出量の管理及び抑制が可能となる。また、ネットワークNTに接続された画像形成装置201〜20Nでの共有使用による使い勝手(利便性)の高い画像形成装置システムを実現することができる。
2)ネットワークNTに接続された特定の共有グループG1内の複数の画像形成装置201〜20Nにおいて、共有グループG1内の各画像形成装置201〜20Nの特定期間のCO排出量の上限値に対するCO排出量を管理する管理装置114を備え、共有グループG1内の特定の画像形成装置20Xの特定期間のCO排出量が上限値を超過した場合、CO排出量の上限値を超過した画像形成装置20Xの印刷ジョブ出力を強制的に使用不可とする。これにより、特定期間のCO排出量の上限値に対するCO排出量の管理及び抑制が可能となる。
3)CO排出量の上限値を超過した画像形成装置20Xの印刷ジョブ出力を強制的に使用不可とした場合、管理装置114が検索部115により共有グループG1内に接続されているCO排出量の上限値を超過していない他の画像形成装置を検索し、決定する。このように管理装置114の検索部115で検索し、決定された画像形成装置20Yを共有装置として、前記使用不可となった画像形成装置20Xの印刷ジョブの代行印刷処理を行わせることが可能なため、ネットワークNTの共有グループG1内で接続された画像形成装置201〜20Nの共有使用に伴う使い勝手(利便性)の向上を図ることができる。
等の効果を奏する。
【0043】
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された発明の技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。
【符号の説明】
【0044】
101 CPU
104 表示部
109 CO排出量取得部
110 集計部
111 上限値記憶部
112 判定部
113 警告通知部
114 管理装置
115 検索部
115a 第1の検索候補部
115b 第2の検索候補部
116 代行通知部
201〜20N 複数の画像形成装置
301〜30M パーソナルコンピュータ
G1 特定の共有グループ
NT ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特開2002−006696号公報
【特許文献2】特開2006−317355号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク接続された複数の画像形成装置の使用時におけるCO排出量を削減するCO排出量管理システムであって、
前記画像形成装置は、
印刷ジョブ出力に対する消費電力量からCO排出量に換算された情報を取得するCO排出量取得手段と、
前記CO排出量取得手段により取得された印刷ジョブ出力毎のCO排出量を集計する集計手段と、
特定期間のCO排出量の上限値を記憶する上限値記憶手段と、
前記集計手段によるCO排出量の集計結果と前記上限値記憶手段により記憶された画像形成装置のCO排出量上限値を比較し、判定する判定手段と、
を備え、前記ネットワークには、前記複数の画像形成装置のそれぞれの前記上限値記憶手段に記憶されたCO排出量の上限値と、前記集計手段によるCO排出量の取得情報を管理する管理装置がさらに接続され、
前記管理装置は、
前記判定手段に基づく判定結果に基づき、CO排出量の上限値を超過した画像形成装置からの通知を受けて代行印刷が可能な画像形成装置情報を検索する検索手段と、
前記検索手段によって検索され、代行印刷が可能な画像形成装置情報を未出力の印刷ジョブの出力指示元に通知する代行通知手段と、
を備え、いずれかの画像形成装置がCO排出量の上限値を超過した場合、代行通知手段から通知を受けた画像形成装置によって前記未出力の印刷ジョブを出力させること
を特徴とするCO排出量管理システム。
【請求項2】
請求項1記載のCO排出量管理システムであって、
前記複数の画像形成装置は特定の共有グループを形成し、
前記管理装置は、前記形成された共有グループ内の各画像形成装置の前記上限値と前記CO排出量の取得情報を管理すること
を特徴とするCO排出量管理システム。
【請求項3】
請求項2記載のCO排出量管理システムであって、
前記特定の共有グループは、画像形成装置を使用するユーザの使用環境条件に基づいて前記代行印刷の共有使用が可能な複数の画像形成装置を1つのグループとして形成すること
を特徴とするCO排出量管理システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のCO排出量管理システムであって、
前記画像形成装置は、前記判定手段に基づく判定結果に基づき、CO排出量の上限値を超過した場合、前記画像形成装置の未出力の印刷ジョブの出力指示元の情報と共に、当該画像形成装置の印刷ジョブ出力を使用不可とする警告情報を表示手段に表示し、前記管理装置に通知する警告通知手段を備えていること
を特徴とするCO排出量削減システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のCO排出量管理システムであって、
前記検索手段は、
前記管理装置が管理する各画像形成装置のCO排出量上限値と、前記各画像形成装置のCO排出量とに基づいてCO排出量の上限値未満の画像形成装置を代行印刷候補とする第1の検索候補手段と、
前記第1の検索候補手段の画像形成装置の中から代行印刷候補を検索する第2の検索候補手段と、
を備えていることを特徴とするCO排出量管理システム。
【請求項6】
請求項5記載のCO排出量削減システムであって、
前記第2の検索候補手段は、前記第1の検索候補手段の画像形成装置の中から、省エネモードから復帰している状態の画像形成装置を優先的に代行印刷候補とし、
前記検索手段は、前記第2の検索候補手段によって検索された前記代行印刷候補の中からCO排出量上限値とCO排出量との差分量が最も多い画像形成装置を代行画像形成装置として決定すること
を特徴とするCO排出量管理システム。
【請求項7】
請求項5記載のCO排出量削減システムであって、
前記第2の検索候補手段で検索された画像形成装置が全て省エネモード状態の場合、前記第2の検索候補手段で検索された省エネモード状態の画像形成装置の中からCO排出量上限値とCO排出量との差分量が最も多い画像形成装置を代行画像形成装置として決定すること
を特徴とするCO排出量管理システム。
【請求項8】
請求項4記載のCO排出量管理システムであって、
前記代行通知手段は、前記警告通知手段から警告情報を通知した画像形成装置にスプールされている未出力の印刷ジョブの出力指示元を判断する機能を有し、未出力の印刷ジョブ出力の指示元が警告情報を通知した画像形成装置からのコピー印刷ジョブの出力指示の場合、前記検索手段により検索された代行印刷が可能な代行画像形成装置に関する情報を、警告情報を通知した画像形成装置の表示手段に表示させること
を特徴とするCO排出量管理システム。
【請求項9】
請求項8記載のCO排出量管理システムであって、
前記代行通知手段は、前記未出力の印刷ジョブ出力の指示元が、パーソナルコンピュータからのプリント印刷ジョブの出力指示の場合、前記検索手段により検索された代行印刷が可能な代行画像形成装置に関する情報を、警告情報を通知した画像形成装置の表示手段に表示させるとともに、未出力の印刷ジョブ出力の指示元であるパーソナルコンピュータに通知すること
特徴とするCO排出量管理システム。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載のCO排出量管理システムであって、
前記判定手段に基づく判定結果に基づきCO排出量の上限値を超過し、印刷ジョブ出力が使用不可となった画像形成装置において、上限値記憶手段でCO排出量の上限値を定めている所定期間に達した場合、前記所定期間内に前記集計手段で集計されたCO排出量のデータ情報をクリアさせ、使用不可としていた前記画像形成装置の印刷ジョブの出力を許可するとともに、前記画像形成装置が使用可能となった旨の情報を表示手段に表示させること
を特徴とするCO排出量管理システム。
【請求項11】
ネットワーク接続された複数の画像形成装置の使用時におけるCO排出量を削減する画像形成ネットワークシステムのCO排出量削減方法であって、
前記画像形成装置は、
印刷ジョブ出力に対する消費電力量からCO排出量に換算された情報を取得し、
取得された印刷ジョブ出力毎のCO排出量を集計し、
特定期間のCO排出量の上限値を記憶し、
CO排出量の集計結果と、前記記憶された画像形成装置のCO排出量上限値を比較していずれかの画像形成装置がCO排出量の上限値を超過したかどうかを判定し、
前記ネットワークに別途接続された管理装置は、
前記複数の画像形成装置のそれぞれのCO排出量の上限値と、前記集計されたCO排出量の取得情報を管理し、
前記判定結果に基づき、CO排出量の上限値を超過した画像形成装置からの通知を受けて代行印刷が可能な画像形成装置情報を検索し、
前記検索された代行印刷が可能な画像形成装置情報を未出力の印刷ジョブの出力指示元に通知し、
前記複数の画像形成装置のうちいずれかの画像形成装置がCO排出量の上限値を超過した場合、前記通知を受けた画像形成装置によって前記未出力の印刷ジョブを出力させること
を特徴とする画像形成ネットワークシステムのCO排出量管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−150593(P2011−150593A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12253(P2010−12253)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】