説明

CSF−1インヒビターの使用

【課題】腫瘍疾患の処置用薬剤を製造するための有効成分を提供する。
【解決手段】胚細胞性腫瘍、上皮性腫瘍および腺癌からなる群から選択される充実性腫瘍の処置のために有効である、コロニー刺激因子1(CSF−1)(主にマクロファージコロニーを形成することができるサイトカイン)の活性阻害化合物としての、CSF−1もしくはその受容体に対する中和抗体、またはCSF−1もしくはその受容体に対するアンチセンス核酸の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCSF−1活性のインヒビターの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
コロニー刺激因子1(CSF−1)は、主にマクロファージコロニーを形成することができるサイトカインである。天然のCSF−1は、グリコシル化された二量体であり、種々の長さ、種々の分子量を有するこの分子の様々な形態がヒトの体内に存在している。例えば、それぞれ224および522アミノ酸を有するCSF−1の主要な2つの形態は、選択的スプライシングにより形成されることが分かっている。さらに、この因子の最短の長さがおよそ150アミノ酸であることが知られている。さらに、CSF−1は、生理学的状態に特異的に依存するあるいは組織特異的な、種々のグリコシル化パターンで存在し得る。
【0003】
CSF−1は、例えば化学療法を原因とする、患者における免疫抑制を克服するために用いられてきた。更に、バクテリア、ウイルスまたは真菌による感染の処置もしくは予防、白血球の刺激および創傷治癒の支援に関する適用があった。
【0004】
さらに、CSF−1は腫瘍疾患の処置にも使用されており(特許文献1)、これは、免疫抑制された腫瘍患者を支援するだけでなく、腫瘍細胞を直接殺傷するためのものである。この場合では、CSF−1の投与によって、主に肉腫(sarcoma tumor)細胞を殺傷することができることが分かった(特許文献2)。
【0005】
しかしながら、従来技術においては、CSF−1の抗腫瘍効果は明らかでなく、Andersonら(非特許文献1)は、CSF−1もその受容体も子宮肉腫の病因には関与していないと報告している。一方、子宮内膜腺癌について、CSF−1およびその受容体のいずれもがその腫瘍の進行に関係していることが知られている。最後に、CSF−1欠損およびマクロファージ欠損マウスにおいて、特定の1つの腫瘍について腫瘍成長の減少が認められた(ルイス肺癌)。だが、腫瘍成長の減少にもかかわらず、このCSF−1欠損マウスは腫瘍を有する対照のマウスよりも早く死亡した(非特許文献2)。推定寿命の短縮もまた、CSF−1欠損マウスにおけるネクローシス形成が大きかった結果であると考えられた。
【0006】
したがって、CSF−1の抗腫瘍剤としての役割が、現にいまだに議論され続けているが、これまで腫瘍の処置に対するCSF−1の負の作用は先行技術において議論されたことも可能性があると考えられたこともなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,725,850号
【特許文献2】米国特許第5,104,650号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Gynecol. Oncol. 74 (2) (1999), 202-207
【非特許文献2】Nowicki et al., Int. J. Cancer 65 (1996), 112-119
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、特にCSF−1の腫瘍における役割を含めて、腫瘍患者を処置するための薬剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、腫瘍疾患の処置のための薬剤を製造するためのCSF−1活性阻害化合物の使用によって達成される。本発明に際して、これまで先行技術において示唆されていた効果に反して、意外にも、CSF−1自身はいかなる抗腫瘍効果も有しないが、腫瘍の成長はCSF−1またはその受容体を阻害する化合物を投与することによって遅延または阻止することができ、これが生存率の増加につながることが分かった。現に、先行技術においては、いくつかの腫瘍において、CSF−1が腫瘍成長の進行に関係していることが分かっているが、これまでは、CSF−1およびCSF−1受容体の成分は腫瘍成長に対する作用は有していないと考えられており、逆に、増加したCSF−1産生が腫瘍の退化につながると、先行技術では考えられていた。例えば、米国特許第5,725,850号は、増加したCSF−1濃度を用いて、マウス悪性腫瘍TU5細胞を殺傷するマクロファージを刺激することができると開示しているが、この活性は、実のところ、CSF−1がインターロイキン−2、IFN−α、IFN−βまたはIFN−γと組み合わせて使用した場合にのみ真に有効であることも開示している。したがって、先行技術において報告されたこの悪性腫瘍殺傷効果は、恐らく、CSF−1とともに、さらに投与されたリンホカインによるものであったのであろう。
【0011】
対照的に、本発明において、CSF−1阻害物質またはCSF−1受容体阻害物質の投与が実際に抗腫瘍効果を有することが認められた。これは、これまで先行技術において展開されていた教示に反するものである。
【0012】
これまでのところ、本発明の知見による、腫瘍疾患に関係するCSF−1の負の効果に焦点を当てた効果のみが、CSF−1欠損、マクロファージ欠損マウスにおける腫瘍成長を遅延した。これに関連して、(これまで先行技術に記載されたCSF−1自身の抗腫瘍効果に基づいて予想されたように)CSF−1欠損マウスにおけるLLC腫瘍成長がCSF−1依存性マクロファージの不在によって促進されないと結論付けられたことにより、腫瘍支質の形成におけるCSF−1依存性マクロファージの役割が指摘された(Nowicki et al.参照)。そこでは、CSF−1によるマウスのインビボ処置において示すことができた有意の抗腫瘍効果も指摘された。LLC腫瘍が移植されたCSF−1欠損マウスにおいて、正常マウスと比較して腫瘍の成長が増加しないことが示されたけれども、実際には、欠損マウスは支質組織をほとんど有していなかった。これらの動物におけるLLC腫瘍は、実質的により壊死性であり、このことも、成長の減少の原因のようであった。いずれにせよ、CSF−1欠損マウスは、腫瘍を患っている対照マウスよりも早く死亡した。Nowickiらは、まず、LLC腫瘍は、中和抗腫瘍免疫におけるCSF−1の関与を実証するための代表的な腫瘍ではないと主張した。Nowickiらのモデルにおいて、この腫瘍が用いられたのは、対照マウスおよびCSF−1マウスの両方において、この腫瘍が再現性をもって成長したからに過ぎない。
【0013】
同様に、Nowickiらは、特に、先行技術において報告されているように外来CSF−1による刺激が起きるならば、CSF−1欠損マウスで得られたデータは、CSF−1依存性マクロファージは誘導された抗腫瘍応答において重要な役割を担うという仮説と矛盾しないと主張した。
【0014】
しかし、実際は、これは、それぞれ、抗腫瘍応答を引き起こすかまたは腫瘍疾患の処置に使用することができるのはCSF−1自身の投与ではなく、CSF−1活性の阻害により有効な腫瘍処置を達成することができることが、本発明において認められた。
【0015】
したがって、本発明は、腫瘍疾患の処置のための医薬の製造のためのCSF−1活性のインヒビターの使用に関する。CSF−1活性のインヒビターを含有する腫瘍疾患を処置するための本発明の薬剤は、このように、抗腫瘍効果がむしろCSF−1自身に帰する、あるいは少なくとも大部分の腫瘍疾患においてCSF−1の中立的な役割が想定されていた、一般に普及していた教示に反するものである。
【0016】
本発明に関して、腫瘍疾患の処置の方法では、CSF−1活性のインヒビターの有効量を腫瘍患者に投与する。
【0017】
CSF−1活性が阻害される形式は特に重要ではない。先行技術においては、数多くのCSF−1活性阻害物質が記載されている。
【0018】
CSF−1活性の阻害のための2つの本質的な解決手段は、CSF−1活性自身の抑制、およびCSF−1受容体の活性の抑制である(米国特許第5,405,772号参照)。
【0019】
本発明によれば、CSF−1またはその受容体に対する中和抗体が、CSF−1活性のインヒビターとして好ましい。そのような中和抗体(Weir et al., J. Bone and Mineral Research 11 (1996), 1474-1481に記載の)は、CSF−1またはCSF−1受容体に、それぞれ、CSF−1活性が、阻害されるかまたは有効にならないように結合する。
【0020】
別法として、アンチセンス技術の助けによってCSF−1活性を阻害することができ、一本鎖核酸の短い配列を用いてCSF−1またはその受容体あるいはCSF−1活性のシグナル伝達機構の別の部分の発現を阻止する。当業者は、アンチセンス技術についてよく理解しており(例えば、参考のため本明細書の一部を構成する、"Antisense Technology-A Practical Approach", Lichtenstein and Nellen (Eds.), IRL Press, Oxford University Press 1997 および "Oligonucleotides as Therapeutic Agents"Ciba Foundation Symposium 209, John Wiley & Sons 1997)、何らかの適当な配列によってCSF−1またはCSF−1受容体に対してその技術を容易に適合させることができる。
【0021】
全体としてまたはその有効な断片として、アンチセンス処置について考慮すべき配列は、本明細書に特に引用することによってその一部を構成する、米国特許第4,847,201号、米国特許第5,792,450号、米国特許第5,681,719号、米国特許第5,861,150号、米国特許第5,104,650号および米国特許第5,725,850号に記載されている。
【0022】
さらに、CSF−1活性の合成インヒビターを、本発明の範囲内で用いることができる。
【0023】
本発明のCSF−1活性の阻害は、充実性腫瘍の成長を阻害または遅延するのに特に適している。
【0024】
本発明の方法は、胚細胞性腫瘍、上皮性腫瘍および腺癌からなる群から選択される充実性腫瘍の処置に特に有効であることが分かった。造血系の悪性腫瘍疾患(即ち白血病)は処置することができない。
【0025】
抗体を中和することによるまたはアンチセンス技術を用いることによる、あるいはCSF−1またはその受容体の化学的インヒビターもしくは競争物質を用いることによるCSF−1活性の上記の好ましい阻害とは別に、本発明にしたがって、細胞または充実性腫瘍の細胞を、それらがその充実性腫瘍の成長および進行を妨げるように遺伝子的に改変することができる。遺伝子治療の方法によって、CSF−1の活性またはCSF−1受容体の活性を、遺伝子的に改変されたCSF−1またはその受容体またはそれらの突然変異体の誘導された発現によって、特に、CSF−1またはその受容体をコードする遺伝子の少なくとも一部の欠失によって、阻害することができる。
【0026】
特に、(胚細胞系を除いて)すべての適当な細胞の種類を本発明にしたがってそれに対して使用することができるこの細胞性インヒビターについては、本発明にしたがって製造される医薬を腫瘍内投与用に製剤化して、それをその腫瘍の部位で直接利用できるようにする。これもまた、存在するインヒビターのための投与の好ましい変法である。
【0027】
但し、本発明の医薬を、別の方法で、特に、局所的、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、胸腔内、くも膜下で、またはカチオン脂質と組み合わせて投与してもよい。
【0028】
前記のとおり、本発明の特に好ましい変法は、アンチセンス法の使用。即ち、CSF−1またはその受容体をコードするmRNAのある特定の領域が逆方向に存在している方法にある。したがって、CSF−1活性の本発明の阻害は、遺伝子治療により発現可能なCSF−1アンチセンス構築物によって引き起こすこともできる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
これらのCSF−1アンチセンス構築物は、例えば、以下の工程を行うことによって製造することができる:
a)PCRによるCSF−1DNAの増幅
b)CSF−1のPCR産物のアンチセンス方向でのサブクローニング
c)工程(b)のE. coli DNAの挿入、および
d)E. coli 増幅されたCSF−1アンチセンス構築物の単離。
【0030】
適当なTaq−DNAポリメラ−ゼの添加により、CSF−1cDNAまたはcDNAライブラリーのわずかな量を、PCRによるCSF−1DNAの増幅の間に増幅させる。次いで、増幅産物、即ちCSF−1のPCR産物を、ベクターへアンチセンス方向にサブクローニングし、回収した組換えDNA、即ちベクター中にクローニングしたCSF−1アンチセンス配列を形質転換によりE. coli に導入し、増幅して、E. coli 増幅したCSF−1アンチセンス構築物、即ちプラスミドを、標準的な方法により細菌細胞から単離し、更なる使用のために供給する。単離については、例えばプラスミド単離のためのアルカリ溶解のそれ自体公知の方法を用いることができる。次いで、増幅されクローニングされたCSF−1アンチセンス構築物の配列決定を行ってもよい。本方法は、特に簡単で正確であるという特徴があり、本発明の方法によって、特異的に活性なCSF−1アンチセンス構築物の高い収量を迅速且つ確実に得ることができる。この方法の詳細を、以下の工程を実行することで説明することができる:
a)PCRによるCSF−1−DNAの増幅
b)CSF−1のPCR産物のアンチセンス方向でのサブクローニング
c)工程(b)で得られたCSF−1アンチセンスcDNA構築物の増幅、および
d)組換えウイルストランスファーベクターへの組込み
e)工程(c)で得られた構築物の増幅、および培養細胞におけるアデノウイルスDNAとの同時トランスフェクション
f)アデノウイルスDNAを用いたCSF−1アンチセンスcDNA構築物の組換え
g)培養細胞における組換え体の増幅
h)組換えアデノウイルスCSF−1アンチセンス構築物の調製および精製
i)および哺乳類生物(培養腫瘍細胞の遺伝子治療)、試験動物(マウス、ラット)におけるそれらの使用、腫瘍患者における使用
j)オリゴヌクレオチドアンチセンス阻害に適当なCSF−1一次配列領域の選択
k)ヌクレア−ゼ耐性CSF−1アンチセンスオリゴヌクレオチドの調製および修飾
l)哺乳類生物(培養腫瘍細胞の遺伝子治療)、試験動物(マウス、ラット)におけるこれらの使用、腫瘍患者における使用。
【0031】
全CSF−1(当然、この方法はCSF−1受容体に対して1:1で用いることができる)またはその一部の増幅は、3'プライマーまたは5’プライマーをそれぞれ用いて好ましく行うことができる。プライマー長は具体的には15〜30ヌクレオチドであり、特に正確で的確な標的化を得るために、特に特異的増幅のために、好ましくは以下の3’プライマー
【化1】

および、5’プライマー
【化2】

をそれぞれ用いることができる。
【0032】
特に正確で特異的な増幅を達成するために、本発明の方法は、好ましくは、CSF−1DNAの増幅をPCR機械において、変性、アニーリングおよび伸張を20〜40サイクル、特に25〜35サイクル行うように実施し、この方法の進行を正確にするためにプログラム可能なPCR機械が特に用いられる。本発明によれば、変性は85〜100℃にて20秒〜4分間、特に93℃〜98℃にて30秒〜2分間、それによりタンパク質配列の完全な、ほぼ100%の変性が保証される。本発明によれば、アニーリングは30〜70℃にて30秒〜4分間、特に37〜65℃にて1分間〜2分間好ましく行われ、この方法を実行することが可能な広範囲の温度間隔によってこの方法の進行にしたがってアニーリングが可能な限り完全行われることを保証することができ、特に、変性後、多くの既知の方法における場合の様に、アニーリングのための温度を体温とほぼ等しい温度まで下げる必要がないので、エネルギーの観点から適当な方法の進行を達成することができる。最後に、伸張は、好ましくは65℃〜80℃にて30秒〜6分間、特に72℃〜74℃にて1〜4分間行い、特に、PCR機械における方法の過程全体から、結果として、増幅された全CSF−1またはその一部を得るための数多くの工程にも関わらず、本方法の所要時間を比較的短いまま維持することができる。
【0033】
さらなる簡便性のため、特に本発明に従う方法の過程を完全にするために、本方法は、それぞれ、変性、アニーリングおよび伸張およびその後のサイクルの前に、増幅を開始する時点で、約95℃でのさらなる変性工程を約2分間行い、増幅の終了時に、72℃〜74℃での最終の伸張を約5〜10分間行うやりかたで実行する。反応開始時でのさらなる変性によって、高いパーセンテージのタンパク質が本方法のサイクルが実行される前に既に変性され、これが、特に最初のサイクルにおいてより完全な回転率につながる。最後に、最終の伸張を用いることにより、得られる産物がさらに増大することが分かっている。
【0034】
CSF−1のPCR産物として合成されたcDNAのサブクローニングのために、CSF−1のPCR産物として合成されたcDNAが、プラスミドベクター、特にpCRII、にサブクローニングされ、4〜25℃で1〜24時間インキュベーションすることによりpCRIIベクターのMCSに組み込まれるように進行するのが好ましい。その場合、プラスミドベクター、好ましくは、例えばInVitrogenから購入できる、適当であることが分かっている既知のpCRIIベクターへのサブクローニングを最初に行う。pCRIIベクターのMCS(即ち、マルチプル・クローニング部位)へのcDNAの組込みは、様々な既知のインキュベーション方法に従って温和なインキュベーションによって行い、ここで、挿入物とベクターの1:3のモル比は特に確実で完全なライゲーションをもたらすことが示された。cDNAをベクターに組み込むとき、例えば、MCSのEcoRI認識配列を開裂部位として用いことができ、本方法の更なる改善をはかることができる。
【0035】
最後に、DNAの特に効果的で信頼性のあるE. coli への挿入は、E. coli 細胞と形質転換するDNAの氷冷混合物の約40℃〜44℃、特に42℃へのショックタイプ加熱による熱ショック、次いで氷浴中で急速に冷却した後インキュベーションおよび培養により、細菌の形質転換によるE. coli への挿入を好ましく実施することによって得ることができる。
【0036】
本発明にしたがう好ましい別の方法としては、具体的には25μF、2.5kVおよび抵抗200Ωでのエレクトロポレーション、次いで再生、インキュベーションおよび細胞コロニーの培養による、プラスミドDNAを用いたE. coliの形質転換により、E. coli へのDNAの挿入を行う。
【0037】
E. coli への挿入の手順はいずれも、コロニーが成長した場合の高い収量によって特徴付けられ、この方法で、悪性腫瘍の治療における更なる使用に十分な量の本発明の構築物を、単純な形質転換法により得ることができる。本発明にしたがう方法の更なる利点は、構築物が高い純度と高い選択性で得られ、その結果、その構築物を単離した後さらに精製する必要がなく、これにより、この方法の所要時間と費用を明らかに少なくすることができるということである。
【0038】
既に存在しているcDNAライブラリーからのPCRによるCSF−1の増幅およびその単離の可能性とは別に、好ましくは、PCRによって増幅されるCSF−1−DNAは、CSF−1発現細胞、具体的には線維芽細胞に由来する全RNAまたはmRNAの単離、次いでPCRを用いた逆転写によるcDNAの合成によって調製することができる。このようなクローニング法は一般的に当業者に知られており、PCRにより増幅される特別なCSF−1−DNAが得られるように適当に適合させ確立されている。その際、CSF発現細胞、具体的には線維芽細胞に由来する全RNAは、RNA抽出のためのグアニジノチオシアネート法を用いることにより、特に好ましいやり方で得ることができ、ここで、別法で用いたmRNAを単離するためにオリゴdTセルロースクロマトグラフィーを用いることができ、これは生成物が非常に高い収量で得られる非常に特異的な反応過程である。全RNAまたはmRNAの単離後に必要な、PCRによる逆転写は、本発明にしたがう方法において記載されたのと同様のやり方で行うことができ、この方法に関して、完全なまたは選択的な生成物がそれぞれ得られるよう、PCR機械でのサイクル数を若干増加させるべきであることが示されている。最終の伸張についても同様の考慮が有用であり、少なくとも10分間に行うのが適当である。しかし、本発明にしたがって行われる全RNAまたはmRNAの単離およびその後のcDNA合成に関して、mRNAライブラリーを用いる方法と比較して、より特異的で純粋な生成物を入手することができ、わずかな消費時間とコストの増加だけでこの生成物を得ることができる。
【0039】
本方法過程の更なる改善、特に、さらに高い、生成物の特異性または純度をそれぞれ得るために、アダプターにライゲーションする前にゲル濾過による精製を行うことができ、それにより出発物質が、本発明に従う方法の過程には不要な小さなフラグメントから精製される。さらに、DNAのリン酸化、および標準的なDNA精製プロトコルまたはアフィニティークロマトグラフィーを用いることによる、回収されたcDNAの精製により、この方法過程によるクローニング効率が増大し得る。収量の更なる増大、および特に純度の改善は、TE緩衝液を用いた更なる抽出によって得ることができる。
【0040】
更なる目的によれば、本発明は、遺伝子治療により発現可能なCSF−1アンチセンス構築物が調製される方法を目的とし、この目的は、CSF−1cDNAをプラスミドベクターから切り出し、次いでアデノウイルストランスファーベクターへアンチセンス方向にクローニングすることによって組換えの感染性のアデノウイルスを形成することにより、遺伝子治療により発現可能なCSF−1アンチセンス構築物を調製することで達成される。その際、CSF−1cDNAを、プラスミドベクター、具体的にはpCRIIから制限酵素を用いて切り出し、次いで、制限酵素によって開裂したトランスファーベクター内へアンチセンス方向にクローニングし、E. coli をそれ自体公知の方法で形質転換した後、組換えプラスミドについてスクリーニングを行う。この方法では、アンチセンス方向で組み込まれたCSF−1−cDNAを含む組換えトランスファーベクターを高い収量で得ることができる。次いで、その組換えトランスファーベクターをアデノウイルスDNAへ、アデノウイルストランスファーベクターが得られるように挿入する。その際、本発明にしたがって、組み込まれたCSF−1cDNAを含むトランスファーベクターとアデノウイルスゲノムプラスミド、特にAd5、との間での相同性組換えによって、感染性の組換えアデノウイルスが形成するように進行するのが好ましい。組換えアデノウイルスベクターが、トランスファーベクターと、この例ではヒト腫瘍細胞系293において存在するそのアデノウイルスのゲノムプラスミドとの間での相同的組換えによって得られるという、事実により、一方でCSF−1をアンチセンス方向で含み、他方で複製欠損ウイルスを含む生成物が得られ、これは、その欠損部位、例えばEIAおよびEIB遺伝子などを、トランス位でもたらす細胞においてのみ増殖させることが可能であり、ウイルスの選択的な増殖を保証することができる、複製欠損ウイルスのこの選択的な増殖によって、このウイルスの同様な選択的使用が可能である。
【0041】
本発明にしたがって用いられる組換えAd5ウイルスは、本発明にしたがって好ましく用いられるヒト293細胞系において増殖することができるヘルパー非依存性ウイルスである。
【0042】
本発明によれば、CSF−1−ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(5−プロピニルアナログ)、CSF−1−メチルホスホネート−アンチセンスオリゴヌクレオチド、CSF−1−2'−O−メチル−アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは末端修飾されたCSF−1アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはCSF−1受容体の対応するアンチセンスオリゴヌクレオチドを、オリゴヌクレオチドとして使用することができる。そのようなオリゴヌクレオチドは、非常に様々な成長因子について先行技術において知られており、標準的な方法により調製される。
【0043】
遺伝子特異的オリゴデオキシヌクレオチドに基づく「アンチセンス阻害技術」では、一本鎖の、合成DNA分子を、ヌクレア−ゼ耐性が増大するように修飾することが必要である。ホスホロチオエート修飾されたオリゴヌクレオチドは、非修飾のオリゴヌクレオチドと比較してより高い安定性を有している、即ち、O原子の、ホスホジエステル架橋において存在するSによる置換。この方法では、例えば、低用量の適用でより長い活性が得られる。この方法で修飾されたオリゴヌクレオチドは、細胞内のヌクレア−ゼ分解に対し、より高い耐性を有し、遺伝子発現を阻害するためのアンチセンス分子として、および化学療法剤として本発明にしたがって使用することができる。当然、治療的使用におけるオリゴヌクレオチドもまた、短いまたは欠陥付加物(faulty adducts)または合成副生成物が使用前に分離されているであろう、精製された形態でのみ使用できるという事実に注意を払わなければならない。本発明によれば、完全に修飾されたオリゴヌクレオチド、および単に部分的に修飾された、ホスホロチオエート架橋を有するオリゴヌクレオチドの両方を使用することができ、この場合、上で言及したように、オリゴヌクレオチドの作用形式および活性は、例えば、標的配列とアンチセンスオリゴヌクレオチドとの間の増大した親和性ならびに細胞への改善された取り込み、ヌクレア−ゼ分解に対する増大した耐性およびより高い検出性を有する、末端修飾されたCSF−1アンチセンスオリゴヌクレオチドと若干相違する。しかし、原則として、悪性腫瘍の治療においてすべてのオリゴヌクレオチドをCSF−1アンチセンス構築物に同じように使用することができ、本発明に従う適用は好ましくは局所的、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、またはカチオン脂質との組み合わせである。
【0044】
本発明にしたがって調製し用いることができる遺伝子治療により発現可能なCSF−1アンチセンス構築物を腫瘍内に投与するのが好ましい。なぜなら、腫瘍内投与により、複製欠損ウイルスを必要とされる部位での体内の腫瘍細胞の感染に用いられることが保証されるからである。原則として、理論的には、遺伝子治療により発現可能なCSF−1アンチセンス構築物を、局所的、静脈内、動脈内、皮下などの慣用的な方法でも投与することができるが、この場合、効力が明らかに限定されるようである。
【0045】
CSF−1アンチセンス構築物、CSF−1アンチセンスオリゴヌクレオチドならびに遺伝子治療により発現可能なCSF−1アンチセンス構築物の製造および使用によって、生物学的な物質の製造および使用が可能となり、悪性腫瘍細胞の成長と増殖が明らかに阻害され、それにより、本発明にしたがって製造された構築物による選択的で標的化された悪性腫瘍の治療が可能になる。
【0046】
特に好ましい使用によれば、ヌクレオチド1〜180(ヒトCSF−1遺伝子配列、EMBL受託番号M37435、LOCUS:HUMCSDF1に由来する)のCSF−1配列として、特に以下の14マー:
【化3】

開始コドン(ATG)(ヌクレオチド120〜106)に続く最初の14ヌクレオチドに相同な14マー
【化4】

開始コドン(ATG)(ヌクレオチド105〜91)の前の14ヌクレオチドに相同な14マー
【化5】

mRNAの転写開始(ヌクレオチド14〜1)に続く14ヌクレオチドに相同な14マー
を使用して、本発明にしたがって進める。
【0047】
以下の実施例によって本発明がさらに詳細に説明される。当然、これには限定されない。
【0048】
実施例1:
CSF−1−cDNA構築物の調製
出発物質として使用される、CSF−1発現細胞(L929線維芽細胞)から全RNAを単離するために、グアニジノ−チオシアネート法をRNA抽出に用いた。以下のようにして行う:
・L929線維芽細胞から培地を除き、1mLの変性溶液を添加し、ピペッティングにより細胞を溶解し、
・ホモジネートを5mLのチューブに移し、0.1mLの2M酢酸ナトリウム(pH4)を添加し、混合した後、水飽和フェノール1mLを加えて混合し、クロロホルム/イソアミールアルコール(49:1)0.2mLを加えて混合し、懸濁液を0〜4℃にて15分間インキュベーションし、
・4℃にて10,000gで20分間遠心し、水相を新しいチューブに移し、
・100%イソプロパノール1体積を加えることによりRNAを沈殿させ、試料を−20℃に30分間冷却した後、4℃にて10,000gで10分間遠心し、上清溶液を捨て、
・上で形成したRNAペレットを0.3mLの変性溶液に溶解し、
・−20℃にて30分間次いで4℃にて10分間、0.3mLの100%イソプロパノールでRNAを沈殿させた後、10,000gで遠心し、上清の溶液を捨て、
・RNAペレットを75%エタノール中で再懸濁し、激しく攪拌し、室温で10〜15分間インキュベーションし、
・10,000gで5分間遠心し、上清溶液を捨て、RNAペレットを5〜10分間真空乾燥し、
・RNAペレットを200μLのDEPc処理した水中に溶解し、UV分光法により260nmにてRNAを定量する。
【0049】
RT−PCR(逆転写酵素PCR)によるCSF−1RNAの増幅
【0050】
回収したCSF−1RNA1μgをマイクロ遠心チューブに入れ、70℃にて10分間インキュベーションし、手短かに遠心した後、氷に浸ける。
【0051】
以下の試薬をCSF−1RNAに加えることにより、反応物20μLを調製する:
MgCl2、25mM 4μL
逆転写緩衝液、10× 2μL
dNTP混合物、10mM 2μL
Rnasinリボヌクレアーゼインヒビター 0.5μL
AMV逆転写酵素 15単位
オリゴ(dT)プライマー 0.5μg
CSF−1RNA 1μg
ヌクレア−ゼ不含水を加えて合計20μLとする。
【0052】
次いで、反応物を42℃にて15分間インキュベーションした後、これを99℃にて5分間加熱し、0〜5にて5分間再びインキュベーションする。増幅のために、溶液を以下のように希釈する:第1鎖cDNA合成反応物を、ヌクレアーゼ不含水で100μLに希釈した後、50μLのPCR増幅反応混合物を以下の試薬と混合することにより調製する(したがって、テンプレート特異的上流および下流プライマー、即ちCSF−1特異的プライマーをここに添加しなければならない):
【表1】

【0053】
以下のPCR反応混合物を使用した:H2
【表2】

【0054】
この場合、Taqポリペプチドメラ−ゼの添加を最後にした。
【0055】
PCR機械を、以下のとおり、変性、アニーリングおよび伸張のための時間と温度についてプログラムした:
反応開始時の変性:95℃で5分間1サイクル
【表3】

最後の伸張:最終のサイクルの後、72℃にて5分間。
【0056】
混合物は、PCR機械がスイッチオフになるまで4℃に保ち、試料を取り出す。各PCR反応物に、100μLのクロロホルムを加え、これを攪拌し、2.00分遠心し、上相をさらに処理するため保存する。生成物のサイズ決定については、10μLのPCR産物をDNAサイズマーカーとともにアガロースゲルに加える。
【0057】
次いで、PCR産物を以下の通り精製する:
・PB緩衝液250μLをPCR反応物50μLに加え、
・QIAquickスピンカラムを5mLの遠心チューブに入れ、
・試料をカラムに加えて3000gで1分間遠心し、
・洗浄:PE緩衝液0.75mLを加え、1分間遠心する。
・QIAquickカラムをマイクロ遠心チューブに移す。10,000gで1分間遠心する。
・QIAquickカラムを1.5mLの反応容器に入れる。
・50μLの10mM Tris−Cl(pH8.5)を加えることによりDNAを溶出し、マイクロ遠心機にて、最高速にて1分間遠心する。
回収した溶出液:約48μL。260nmでのUV分光法によりDNA濃度を測定する。
【0058】
更なる反応について、EcoRIアダプターライゲーションを以下のようにして適当に行う:
T4 DNAリガーゼ10×緩衝液 3μL
アセチル化BSA、1mg/mL 3μL
cDNA(50ng/μL) 5μL
アダプター(20倍モル過剰:10pmアダプター) 1μL
T4 DNAリガーゼ(Weiss単位) 2.5μL
ヌクレアーゼ不含水を加えて30μLにする
【0059】
調製した溶液を15℃にて一晩インキュベーションし、反応混合物を70℃にて10分間加熱することにより酵素を不活化し、最後に反応物を氷上で冷却する。
【0060】
反応を問題なく行うために、挿入DNAを以下のようにしてリン酸化する:
ライゲーション混合物 30μL
T4 PNK10×緩衝液 4μL
ATP、0.1mM(10mMストック溶液の1:100希釈水溶液) 2μL
T4 PNK(10U/μL) 1μL
ヌクレアーゼ不含水 3μL
全体積 40μL
【0061】
溶液を37℃で30分間インキュベーションした後、1体積のTE飽和フェノール:クロロホルムを加え、30秒間攪拌し、マイクロ遠心機にて最高速で3分間遠心し、上部の水相を新しいチューブに移す。次いで、過剰のアダプターを以下の通りに除去する:
【0062】
250μLのPB緩衝液をリン酸化反応物に加え、QIAquickスピンカラムを5mLの遠心チューブに入れ、試料をカラムに加え、3000gで1分間遠心した後、0.75mLのPE緩衝液を加えることにより洗浄し、再び1分間遠心し、QIAquickカラムをマイクロ遠心チューブに移し、10,000gで1分間遠心し、QIAquickカラムを1.5mLの反応容器に入れ、50μLの10M Tris−Cl( pH8.5)を加えることによりDNAを溶出し、マイクロ遠心機にて最高速で1分間遠心する。回収した溶出液:約48μL。
【0063】
次の工程として、cDNAをエタノール沈殿により、以下の通り濃縮する:
DNAを0.5体積の7.5M酢酸アンモニウムおよび2.5体積の冷却した(−20℃)100%エタノールと混合し、−70℃で30分間混合し、静置した後、マイクロ遠心機にて最高速で15分間遠心し、上清の溶液を除き、形成したペレットを1mLの冷却(−20℃)70%エタノールで洗浄して、マイクロ遠心機にて最高速で5分間遠心し、上清の溶液を除き、ペレットを手短に真空乾燥し、更なる処理のために沈殿物を50μLのTE緩衝液中で再懸濁する。UV分光法により260nmにてDNA濃度を測定する。
【0064】
次いで、pCRIIベクターをホスファターゼ処理に付する。ベクターは、ホスファターゼ処理の前にEcoRIによる制限開裂によって以下のとおり線状化する:
制限フォーミュレーション:
1μgのpCRIIDNA
2μLの10×EcoRI緩衝液
2単位のEcoRI
水を加えて全体積20μLとする。
37℃にて2時間インキュベーションする。
【0065】
ベクターDNAの脱リン酸化:
1/10体積の10×脱リン酸化緩衝液の添加。1単位のアルカリホスファターゼを添加したのち37℃で60分間インキュベーション。65℃で15分間加熱することによるアルカリホスファターゼの不活化。
【0066】
次いで、合成したcDNAをベクターpCRIIのEcoRI開裂部位にクローニングする。
【0067】
ライゲーションフォーミュレーション:
100ngのベクターDNA
50ngのCSF−1cDNA
1μLのT4 DNAリガーゼ(1Weiss単位)
1.5μLのT4 DNAリガーゼ10×緩衝液
ヌクレアーゼ不含水を加えて15μLとする。反応混合物を室温で3時間インキュベーションし、pCRII−CSF−1組換えプラスミドを回収する。
【0068】
E. coliにおけるDNAの挿入:
以下のとおり、プラスミドpCRII−CSF−1を形質転換によりE. coli に導入し、増幅する:
エレクトロポレーションによる細菌の形質転換
・氷上のキュベット中で、100μLの電気反応性E. coli を半分の体積のライゲーションフォーミュレーション(7.5μL)と混合し、
・エレクトロポレーション:25μF、2.5kV、200Ω
・細胞を再生するために、1mLのSOC培地を添加し、細胞をチューブに移し、37℃にて1時間インキュベーションした後、アンピシリン選択プレートに蒔き、コロニーを37℃にて一晩培養する。
【0069】
プラスミドの単離:
選択プレートから単一のコロニーを取り、アンピシリンを添加した3mLのLB中で37℃にて8時間インキュベーションし、100mLのLB培地中で1/500に希釈し、激しく攪拌しながら37℃にて12時間増殖させる。次いで、4℃にて6000gで15分間遠心することにより細菌を回収し、細菌のペレットを10mLのP1緩衝液中に溶解し、10mLのP2緩衝液を加え、十分に混合して、室温で5分間インキュベーションする。次いで、10mLの氷冷P3緩衝液を加え、これをすぐに注意深く混合して氷上で20分間インキュベーションし、4℃にて20,000gで30分間遠心する。上清の溶液を、もう一回4℃にて20,000gで15分間遠心し、10mLのQBT緩衝液で平衡化したQIAGEN−500カラムに移す。2×30mLのQC緩衝液でカラムを洗浄したら、DNAを15mLのQF緩衝液で溶出し、10.5mLのイソプロパノール(室温)を添加することによりDNAを沈殿、溶出させる。混合し、すぐに4℃にて15,000gで30分間遠心した後、上清の溶液を除き、DNAペレットを5mLの70%エタノール(室温)で洗浄し、15,000gで10分間遠心し、上清溶液を除く。形成したペレットを5分間風乾し、DNAを100μLのTE(pH8.0)に溶解する。UV分光法により260nmにてDNA濃度を測定する。
【0070】
最後に、増幅しクローニングしたCSF−1構築物のすべての配列を、Sangerの標準的な方法(鎖終端法)にしたがう配列決定法により決定する。CSF−1構築物をここでそのまま使用してもよいし、またはそれを薬学的に許容し得る製剤にさらに加工してもよい。
【0071】
実施例2:
遺伝子治療により発現可能なCSF−1アンチセンス構築物の調製
組換え感染性アデノウイルスの調製
CSF−1cDNAを、実施例1のプラスミドpCRII−CSF−1から切り出した後、アデノウイルストランスファーベクターへアンチセンス方向にクローニングする:
挿入物を、以下のとおりEcoRIを用いて制限開裂によって切り出す:
制限フォーミュレーション
1μgのpCRII−CSF−1DNA
2μLの10×EcoRI緩衝液
2単位のEcoRI
水を加えて全体積20μLとする。
37℃で2時間インキュベーションする。
【0072】
次いで、以下の試薬を添加することにより、Klenow 酵素とのフィル・アップ反応において平滑末端を形成する:
2μLの10×NTB;1μLの1mMdNTP;1単位のKlenow。37℃で15分間インキュベーションし、5〜10分間65℃に加熱してKleow酵素を不活化する。
【0073】
その後、トランスファーベクターpQBI−AdCMV5BFPを制限酵素BalIIで開裂する:
制限フォーミュレーション:
1μgのトランスファーベクターDNA
2μLの10×緩衝液M
2単位のBalII
水を加えて全体積20μLとし、37℃にて2時間インキュベーションし、形成したフラグメントを1%TAEアガロースゲルで分離し、1641bpのCSF−1フラグメントならびにトランスファーベクターを以下のようにしてアガロースゲルから別々に精製する:
【0074】
アガロースゲルから得たDNAフラグメントをそれぞれ小刀で切り出し、ゲル切片の重量を計り、1体積のゲルに対し3体積のQG緩衝液を加えた後、50℃にて10分間インキュベーションする。インキュベーション中は、2分ごとに攪拌し、混合物の色が黄色かどうかをチェックし、次いで1ゲル体積のイソプロパノールを試料に加えて、混合する。QIAquickスピンカラムを2mLの反応容器に入れ、試料をカラムに加え、1分間遠心する。カラムを新しい反応容器に入れる。0.75mLのPE緩衝液をカラムに加えることによって洗浄し、1分間遠心した後、余分な水を捨て、10,000gで1分間カラムを遠心する。
【0075】
DNAの溶出:50μLの10mM Tris−Cl( pH8.5)を加え、最高速で1分間遠心する。次いで、トランスファーベクターpQBI−AdCMV5BFPへのCSF−1cDNAのライゲーション、即ち:
以下のようにして、精製したCSF−1フラグメントを線状化したトランスファーベクターへクローニングする:
ライゲーションフォーミュレーション:
200ngのトランスファーベクターDNA
100ngのCSF−1cDNA
1μLのT4 DNAリガーゼ(1Weiss単位)
1.5μLのT4 DNAリガーゼ10×緩衝液
ヌクレアーゼ不含水を加えて15μLとする。
反応混合物を室温で6時間インキュベーションする。
【0076】
次いで、エレクトロポレーションによる細菌の形質転換を以下の通りに行う:
氷冷下、キュベット中で100μLの電機応答性E. coli を、半分の体積のライゲーションフォーミュレーション(7.5μL)と混合し、25μF、2.5kV、200Ωでエレクトロポレーションを行い、細胞を再生し、1mLのSOC培地を加え、細胞をチューブに移して37℃にて1時間インキュベーションした後、アンピシリン選択プレートに蒔き、コロニーを37℃にて生育させる。
【0077】
次いで、プラスミドを以下のようにして単離する:
選択プレートから単一のコロニーを取り上げ、アンピシリンを添加した3mLのLB中、激しく攪拌しながら37℃にて8時間インキュベーション;最初の培養細胞を100mLのLB培地中、1/500に希釈し、激しく攪拌しながら37℃にて12時間生育させる;4℃にて6000gで15分間遠心することにより細菌を回収し;細菌のペレットを10mLのP1緩衝液中に溶解し、10mLのP2緩衝液を加え、それを混合し室温で5分間インキュベーションする;10mLの氷冷P3緩衝液を加え、これをすぐに注意深く混合して氷上で20分間インキュベーションし、4℃にて20,000gで30分間遠心し、上清の溶液をもう一回4℃にて20,000gで15分間遠心し、この上清溶液を10mLのQBT緩衝液で平衡化したQIAGEN−500カラムに移し、2×30mLのQc緩衝液でカラムを洗浄し、DNAを15mLのQF緩衝液で溶出して、10.5mLのイソプロパノール(室温)を溶出したDNAに添加することにより沈殿させて溶出し、混合して、すぐに4℃にて15,000gで30分間遠心し、上清溶液を除く。DNAペレットを5mLの70%エタノール(室温)で洗浄し、15,000gで10分間遠心し、上清溶液を除き、ペレットを5分間風乾し、DNAを100μLのTE(pH8.0)に溶解する。UV分光法により260nmにてDNA濃度を測定する。フラグメントの分離は1%TAEアガロースゲルにより行い、トランスファーベクターをアガロースゲルから抽出して、以下のようにして精製する:
【0078】
小刀を用いて線状化したベクターをアガロースゲルから切り出し、ゲル片の重量を計り、1体積のゲルに対し3体積のQG緩衝液を加え、50℃にて10分間インキュベーションし、インキュベーション中は、2分ごとに攪拌して、混合物の色が黄色であるかチェックする。次いで、1ゲル体積のイソプロパノールを試料に加え、混合し、QIAquickスピンカラムを2mLの反応容器に配置し、試料をカラムに加え、1分間遠心する。カラムを新しい反応容器に入れ、0.75mLのPE緩衝液をカラムに加え、1分間遠心することにより洗浄する。廃液を捨て、10,000gで1分間カラムを遠心する。DNAの溶出:50μLの10mM Tris−Cl( pH8.0)を加え、最高速で1分間遠心する。収量:約48μL。
【0079】
次いで、線状化した組換えトランスファーベクター(pAdCMV5−CSF−BFP)のウイルスDNA(AD5CMVlacZE1/E3)による293細胞における同時トランスフェクションをリン酸カルシウム法により以下のとおり行う:
【0080】
0.005体積の2mg/mLのキャリアーDNAを1×HEBSに加え、1分間攪拌することにより混合する。HEBS+キャリアーDNAを2mLずつ、滅菌した透明なプラスティック製の反応容器に取り、20μgの線状化した組換えトランスファーベクター(pAdCMV5−CSF−BFP)および20μgのウイルスDNAをこの反応容器に加えて注意深く振盪した後、0.1mLの2.5MのCaCl2をゆっくりと加え、注意深く混合し、室温で25分間インキュベーションする。0.5mLのDNA懸濁液を、生育培地を除去することなく、293細胞を加えた60mmの細胞培養皿に加え、CO2インキュベーター中、37℃で5時間インキュベーションし、培地を除去して10mLのMEMF11−アガロース(予め44℃に平衡化した)を加える。アガロースゲルが固まった後、37℃でインキュベーションする。プラークが5〜14日後に現れる。アデノウイルスプラーク単離物のスクリーニングのために、滅菌したパスツールピペットで切り出すことにより、トランスフェクトした培養細胞からプラークを単離し、0.5mLの滅菌PBS+10%グリセロールを入れた反応容器に移す。使用するまで−70℃で保存する。次いで、60mmディッシュ中の80%コンフルエント293細胞から培地を除き、0.2mLのウイルス(寒天懸濁)を添加する。室温で30分間吸収させる。完全MEMF11+5%ウマ血清を加え、37℃でインキュベーションする。大部分の細胞が分離したら,ウイルスを回収し、感染細胞のDNAを抽出する。ピペットで培地4mLを注意深く取り出し、0.5mLの滅菌グリセロールを加えた反応容器に入れる。これらのウイルス候補物を−70℃で保存する。このディッシュから残りの培地を除く。感染細胞からのDNA抽出のために、0.5mLのプロナーゼ溶液を加え、37℃で10時間インキュベーションする。リゼートを1.5mLの反応容器に移し、緩衝液飽和フェノールにより1回抽出し、10分間遠心し、上部の水相を集め、新しい容器に移し、DNAを沈殿させるために1mLのエタノールを加える。十分に混合する。14,000rpmで10分間遠心し、上清溶液吸い上げ、70%エタノールでペレットを洗浄し、5分間遠心し、上清を吸い上げ、ペレットを風乾する。DNAを50μLの0.1×SSCに溶解し、5μLのHindIII(1単位一晩)で制限開裂を行う。消化した試料を、臭化エチジウムを添加した1%アガロースゲルに加える。次いで、細胞DNAのバックグラウンドスミアによって、紫外線光下でウイルスDNAのバンドが容易に見える。更なる診断用制限酵素開裂により、ならびにBFP(ブルー蛍光タンパク質)の発現を蛍光顕微鏡下でチェックすることにより、組換えウイルス候補物を検査する。さらに2ラウンドのプラーク精製により正しい組換え体をさらに精製し、スクリーニングした後、高力価ストックを調製する。
【0081】
次いで、組換えアデノウイルス(AD5CMV−CSF)の精製と滴定のために、以下のようにプラークアッセイを行う:
60mmディッシュ中のコンフルエント293細胞から培地を吸い上げる。0.2mLのウイルス(プラーク精製については10-3〜10-6希釈のPBS中の寒天懸濁液または滴定については10-3〜10-9希釈のストック溶液)を加える。室温でウイルスを40分間吸収させる。10mLのMEMF11アガロースオーバーレイを加え、37℃にてインキュベーションする。7および10日後の滴定のためにプラークを計数する。プラーク精製:上記のとおりプラークを単離する。
【0082】
最後に、単層細胞の高力価ウイルスストック溶液を以下のとおりに調製する:
150mmディッシュに293細胞を蒔き、80%のコンフルエントを達成させ、これらを感染させる:次いで、高力価ストックを調製するために、293細胞から培地を除き、細胞あたり1〜10PFUの感染多重度(MOI)(150mmディッシュあたり1mLのウイルス懸濁液)で感染を行い、40分間吸収させた後、MEMF11+5%ウマ血清を添加し、37℃でインキュベーションし、細胞変性効果の徴候を毎日チェックする。細胞変性効果がほぼ完全になれば、ディッシュから細胞を掻き取って回収し、細胞を培地と混合して800gで15分間遠心する。培地を吸い上げ、細胞ペレットを、150mmディッシュあたり2mLのPBS+10%グリセロールに再懸濁する。CsCl密度勾配遠心によりウイルス溶液をさらに精製した後、10mM Tris−HCl(pH8.0)に対して透析する。滅菌グリセロールを最終濃度10%になるまで加え、−70℃で保存する。
【0083】
このように、組換え感染性高力価アデノウイルスCSF−1アンチセンス構築物を回収し、これは遺伝子治療に直接用いることができる。
【0084】
実施例3:
細胞の感染における組換え感染性アデノウイルスCSF−1アンチセンス構築物の使用
試験した細胞の系:
ルイス肺癌細胞、
大腸癌細胞、
乳癌細胞
胚細胞性腫瘍
【0085】
感染の実行:
60mmディッシュ中の80%コンフルエンスの細胞単層に、0.5mLのウイルス溶液(AD5CMV−CSF)を種々のMOIで加え、室温で30分間インキュベーションする。
【0086】
対照の感染をAD5CMVlacZ E1/E3(CSF挿入なしのアデノウイルス)、アデノGFP(GFPを有するアデノウイルス)、模擬感染(培地)を用いて行う。6mLの培地を加え、CO2インキュベーター(37℃、5%CO2)中でディッシュをインキュベーションする。
【0087】
マウスのウイルストランスフェクション(アデノウイルス)では、0.5mLの容量中、最大1×109〜5×1010PFUでマウスに腫瘍内投与を行った。
【0088】
感染は以下の作用を示した:
宿主細胞におけるCSF−1遺伝子発現が懸著に減少した。(全ての形質転換細胞におけるmRNA−(CSF−1タンパク質)−レベルが、未処理の野生型細胞と比較して30%未満まで減少。
【0089】
新たな血管形成が阻害された、即ち抗腫瘍形成効果(細胞増殖の遅延)。
【0090】
細胞周期を解析すると、アポトーシスの誘発が認められた。
【0091】
23〜35μLの容量中、2×109PFUまで組換えウイルスを投与することにより気管内投与を行い、この場合、特に腫瘍内投与において、腫瘍のほぼ完全な退行を観察できた。
【0092】
実施例4:
CSF−1特異的オリゴヌクレオチドの調製およびその使用
CSF−1特異的オリゴヌクレオチドの合成
CSF−1特異的オリゴヌクレオチド5’−GCCCGGCGCGGTCA−3’(14マー、塩基対120〜106の開始コドン(ATG)に続く、CSF−1−cDNA一次配列の最初の14ヌクレオチドに相同)の合成は、リン−アミダイト法に基づいて、自動化されたオリゴヌクレオチド合成装置により行った。合成は、与えられたヌクレオチド配列の3’から5’の方向で行い、合成が完了したら、オリゴヌクレオチドが結合したカラムを最初に3mLの濃NH3で洗う。カラムにNH3が完全に浸透するようにこの操作を数回繰り返す。カラムを室温で2時間NH3とインキュベーションし(数回リンスする)、最後にオリゴヌクレオチドを回収する。しっかりと密閉した反応容器中で、溶液を55℃に16時間加熱する。ロータリーエバポレーター中で、NH3を回収する(脱トリチル化を防止するために30μLのトリエチルアミンを添加する)。
【0093】
Beaucage試薬によるホスホロチオエート−オリゴヌクレオチドの調製:
キャッピング工程の前に、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキシド(Pharmacia, Sigma)の0.05M溶液240μLをカラムに直接用いて硫化を行う。このため、適当な反応フラスコに12mLのジクロロジメチルシランと200mLのジクロロメタンの混合物を入れ、溶液を5分後に除去し、メタノールでフラスコをゆすぐ。次いで、フラスコを110℃で一晩乾燥させて、乾燥器中で冷却する。0.5g(2.5mmol)のBeaucage試薬を50mLの乾燥アセトニトリル中に溶解し、この反応フラスコに入れる。反応フラスコをオリゴシンセサイザーに連結し、ポンプにより試薬をカラム(2×)に送り込む。
【0094】
分析用逆相HPLC
(カラム:球状粒子(5μm、300A孔サイズ)のシリカ結合C−18相、さらにヌクレオシル100−5 C−18、100mm×4mm)
未精製のオリゴヌクレオチド(留去沈殿物)を300μLの0.1M酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液( pH7)に取る。
【0095】
紫外線モニターを260nmに設定し、流速を1mL/分に調整する。80%アセトニトリル中で、0.1M酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液( pH7)の0〜50%のグラディエントの緩衝液を50分間かけて流す。次いで、同緩衝液を5分間で50〜100%に増加させる。未精製オリゴヌクレオチドの5μLの少量の試料(全量の2〜5%)をカラムに加え、260nmで吸収を記録する。
【0096】
調製用逆相HPLC
オリゴヌクレオチド溶液の全量300μLをカラムに加えたことを除いては、CSF−1特異的オリゴヌクレオチドの合成のときと同様の操作を用い、260nmでの吸収を追跡し、溶出ピークの中央部分を集め、集めた試料をロータリーエバポレ−ター内で析出させ、80%酢酸1mLを乾燥した試料に加え、室温で1時間インキュベーションし、試料を再びロータリーエバポレ−ター内で析出させる。ペレットを1mLの蒸留滅菌水に溶解し、DMT−OHで2回、酢酸エチルで1回抽出する。試料を乾燥し、ロータリーエバポレ−ター内で析出させる。析出物をある特定の容量の蒸留滅菌水に溶解し、抽出物を260nmで測って量を測定する(配列依存的な減衰係数を考慮に入れて希釈率1:100)。
【0097】
CSF−1アンチセンスホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの使用
調製したCSF−1アンチセンスホスホロチオエート修飾オリゴヌクレオチドを種々の方法で水溶性の純粋な物質(HPLC精製された)として適用し、PBS中に溶解する。試験したのは、静脈注射による全身投与、動脈内投与であり、ここで、供給するまたは器官特異的な血管は、できる限り標的に近い物質の投与を可能するよう選択された動脈を考慮した。腫瘍の位置によっては、他の経路、例えば局所または腹腔内投与が例示される。さらに、浸透圧ミニポンプは、CSF−1アンチセンスが入れられ皮下のまたは静脈内のインプランテーションによって投与される、リザーバとして供することができる(主として、試験動物としてのマウスについて)。この方法の利点は、単純で信頼性のある適用様式にある。さらに、このポンプは、埋め込まれると4週間まで一定の速度での適用を保証するという利点を有する。この場合、投与するCSF−1アンチセンスオリゴヌクレオチドの用量は、ミリグラムの範囲内である。したがって、マウスに対する抗癌治療では、0.1〜20mg/kg体重/日の用量を使用した。それぞれ体重200〜350gを有するラットには100μLの用量を、0.1〜1μg/mLの濃度で静脈内投与した。ヒトの系では、0.05mg/kg/時間の用量が適当である。なぜなら,この用量では、修飾オリゴヌクレオチド単独での投与に起因する毒性作用が生じないからである。CSF−1アンチセンスオリゴヌクレオチド処置レジメは、少なくとも2週間継続すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充実性腫瘍の処置のための医薬の製造のための、CSF−1もしくはその受容体に対する中和抗体またはCSF−1もしくはその受容体に対するアンチセンス核酸の使用。
【請求項2】
医薬を充実性腫瘍の成長を阻害するために製造することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
医薬を悪性腫瘍疾患を遅延させるために製造することを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記アンチセンス核酸により細胞が遺伝子的に改変されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
前記遺伝子的改変がCSF−1またはその受容体の遺伝子の少なくとも一部の欠失である、請求項4記載の使用。
【請求項6】
医薬を腫瘍内投与のために製剤化することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
医薬を、胚細胞性腫瘍、上皮性腫瘍および腺癌からなる群から選択される充実性腫瘍の処置のために製造することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。

【公開番号】特開2009−143930(P2009−143930A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183(P2009−183)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【分割の表示】特願2001−532798(P2001−532798)の分割
【原出願日】平成12年10月25日(2000.10.25)
【出願人】(502155459)
【氏名又は名称原語表記】Seyedhossein AHARINEJAD
【出願人】(502155471)
【氏名又は名称原語表記】Reinhold HOFBAUER
【Fターム(参考)】