説明

CWDMシステム

【課題】親装置と複数の子装置との間の通信を行うCWDMシステムに関し、子装置の増設、撤去処理の容易化を図る。
【解決手段】親装置1のCWDM装置と複数の子装置2のCWDM装置とを光伝送路3により縦続接続したCWDMシステムに於ける親装置1は、光カプラ6を介して子装置2対応に、光波長λaの光信号の送信部4と、子装置2対応の設定タイミングで受信光波長λb〜λnの光信号を、光カプラ6により分波して入力する受信部5と、送信部4から子装置2対応の設定タイミングによる情報送信制御及び受信部による子装置2対応の受信情報の処理を行う監視制御部7とを含み、子装置2は、複数の送受信部15と、送受信制御を行う監視制御部17と、親装置1からの光信号を複数の送受信部15と次段の子装置とに分波して転送し、且つ複数の送受信部15からの光波長λb〜λnの光信号及び次段の子装置からの光波長多重化光信号を親装置1側へ送出する光カプラ16とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光波長多重伝送と時分割多重伝送とを組み合わせて、親装置と複数の子装置との間の通信を行うCWDMシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の情報を複数の光波長の光信号を用いて伝送する光波長多重(WDM;Wavelength Division Multiplexing)伝送方式は、既に各種の伝送システムに適用されている。この光波長多重伝送方式は、光波長の間隔を狭くして、使用可能の光波長数を多くすることにより大容量伝送を可能とするDWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing)方式と、光波長の間隔を広くしたCWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexing)方式、或はWWDM(Wide Wavelength Division Multiplexing)方式とに大別することができる。前者のDWDM方式は、光波長間隔を例えば1nm程度或はそれ以下とすることにより、伝送光波長範囲内の使用可能光信号数を多くして、例えば、数100Gbps以上の大容量伝送を可能とするものである。しかし、光波長間隔が狭いことにより、光信号発生源は、光波長揺らぎ等が生じないように高安定度制御構成が必要であり、システムコストが増大する。これに対してCWDM方式又はWWDM方式は、光波長間隔を例えば10nm程度又はそれ以上として、伝送光波長範囲内の使用可能光信号数を少なくするもので、中小容量伝送システムに適用される場合が多く、又光波長間隔が比較的広いから、各光信号の多少の波長揺らぎを許容し得ることにより、システムコストを低減することが可能である。
【0003】
図9は、従来例のCWDMシステムの説明図であり、一方のCWDM装置101は、複数の光送受信部SFP11〜SFP1nと、光合分波部COUP1とを含む構成を有し、他方のCWDM装置102も同様に、複数の光送受信部SFP21〜SFP2nと、光合分波部COUP2とを含む構成を有し、一方と他方とのCWDM装置101,102の光合分波部COUP1,COUP2間を光伝送路103により接続し、例えば、一方のCWDM装置101の光送受信装置SFP11〜SFP1nは、それぞれ光波長間隔が比較的広く設定した光波長λ11〜λ1nの光信号を送信し、光合分波部COUP1により合波して、光伝送路103を介して他方のCWDM装置102へ伝送する。このCWDM装置102は、光合分波部COUP2により、光波長λ11〜λ1nの光信号を分波して、各光波長λ11〜λ1n対応の光送受信部SFP21〜SFP2nへ入力し、光波長対応に受信処理を行わせる。又他方のCWDM装置102から一方のCWDM装置101に対しては、光波長間隔が比較的広い光波長λ21〜λ2nの光信号を、光送受信部SFP21〜SFP2nからそれぞれ出力して、光合分波部COUP2により合波し、光伝送路103によりCWDM装置101へ伝送する。このCWDM装置101に於いても前述のCWDM装置102と同様に、光合分波部COUP1により光波長λ21〜λ2nの光信号を分波して、光送受信部SFP11〜SFP1nへ入力し、光波長対応に受信処理を行わせる。それによって、一方の光送受信部SFP11〜SFP1nと、他方の光送受信部SFP21〜SFP2nとの相互間で、光伝送路103を介して光波長多重伝送により通信を行うことができる。
【0004】
又光信号による多重化伝送システムとして、PON(Passive Optical Network)システムが知られている。又電力送配電システムに於いても、光信号を用いて各種の制御情報の伝送や電力使用情報の収集等を行うスマートネットワークの開発が進められている。例えば、図10は、スマートネットワークにPONシステムを適用した概要の説明図であり、151は発電所と変電所とを送電線で接続した発電/送電網、152は変電所等に設けて情報収集や各部の制御を行う為の集約局/親装置とする光加入者線端局装置(SLT;Subscriber Line Terminal)、153,154,155は配電線網のトランス等に設けて子装置とする光加入者線終端装置(ONU;Optical Network Unit)、156は光信号の分配及び集約を行う光カプラを示す。PONシステムは、既に各種のシステム構成が提案されているものであり、以下略号により識別可能の構成部分は略号で示す。親装置としてのSLT152から光カプラ156を介して子装置としてのONU153,154,155に対して受信側を指定する論理リンク識別子(LLID;Logical Link Identifier)、或はONU153,154,155のMACアドレス等を付加して、時分割的に多重化した光信号による情報を伝送し、各ONU153,154,155は、自装置宛の情報を選択して受信処理し、又SLT151から指定されたタイミングでそれぞれ情報を送出することにより、光カプラ156に於いて時分割多重化されて、SLT152に対して伝送される。それにより、SLT152からONU153,154,155側の給配電用のスイッチ等の制御や、需要家側の電力消費量情報の収集制御等を行うことを可能とするものである。
【0005】
又PONシステムは、単一光波長の光信号を用いるシステムが多いが、複数の光波長の光信号を用いるCWDM方式を適用したシステムも知られている。例えば、OLTとONUとの一方又は両方に、光波長の選択設定構成を設け、システム立上げ時又は通信開始時に、OLTとONUとの間の光波長設定交渉により光波長を選択設定する手段を含み、OLTに対して各種の光波長の光信号送受信特性を有するONUの接続を可能としたWDM(Wave Division Multiplexig)型のPONシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。又OLTと複数のONUとを光カプラを介して光伝送路により接続したPONシステムの構成を基に、OLTから各ONUに対する下り方向の信号は、TDMA(Time Division Multiple Access)方式により送信し、各ONUからOLTに対する上り信号は、CDM(Code Division Multiplex)方式により送信する通信システムも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−195227号公報
【特許文献2】特開2008−301153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
親装置と複数の子装置との間で光信号により各種の情報を伝送するシステムは、既に各種の構成が提案されている。又前述のスマートネットワーク或はスマートグリッドに於いては、子装置の増設や撤去が比較的多く発生する可能性が高く、それに対応した保守管理を行う必要がある。又一般の需用家に於いてもインバータ制御機器が多くなり、高調波成分が電力配線を介して伝播することによって、電気信号による通信に妨害を与える問題がある。そこで、光信号により各種情報を伝送する構成を適用して、高調波成分による影響を回避するシステムが適用されている。例えば、前述のスマートネットワークに於いても、PONシステムやCWDM方式に類似したシステム構成によって、各種情報を光信号により伝送することが考えられている。又多種多様の情報を伝送する為に、前述の図10に示すようなCWDM方式を適用することができる。しかし、CWDM方式は、使用可能光波長数を少なくしたことにより、DWDM方式に比較して低コストでシステムを構築することが可能であるが、スマートネットワーク等に適用する場合、多数の子装置が分散配置されたシステム構成となり、且つ需用家側の増設、撤去、改築等に伴って子装置側の増設や撤去等が発生する可能性が高く、その都度、保守要員による親装置側の設定変更等の処理を行う必要が発生する問題がある。
【0008】
又親装置の位置に対して、比較的広範囲に子装置を配置するシステム構成が多く、子装置の増設及び撤去に伴う保守管理作業が煩雑となる場合が多くなり、親装置と各子装置との間をそれぞれ光伝送路により接続するシステム構成が一般的となるが、親装置からの光伝送路数が子装置数に対応して多数となり、コストアップの要因の一つとなると共に、光伝送路の保守管理が容易でなくなる問題が生じる。更に、親装置から比較的遠距離の位置に新規に子装置を設置する場合、その距離に対応した光伝送路を新たに敷設する必要があり、これもコストアップの一因となる。なお、子装置の新設を予想して、予め光伝送路を多数敷設しておくことも考えられるが、初期費用が嵩む問題がある。
【0009】
本発明は、前述の従来の問題点を解決することを目的とし、親装置に対して複数の子装置を光伝送路により接続し、CWDM方式により各種の情報を伝送するシステムを経済的に構築し、且つ保守管理及び子装置の新設、撤去等に伴う親装置側の作業を容易とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のCWDMシステムは、親装置としてのCWDM装置と複数の子装置としてのCWDM装置とを光伝送路により縦続接続し、複数の光波長の光信号により通信を行うCWDMシステムであって、前記親装置は、前記光伝送路に接続して異なる光波長の光信号の合波と分波とを行う光カプラと、該光カプラを介して前記複数の子装置対応の設定タイミングに於いて同一光波長の光信号により情報を送信する送信部と、前記複数の子装置対応の設定タイミングに於いて前記光伝送路を介して受信した複数の光波長の光信号を前記光カプラにより分波して入力する受信部と、前記送信部から前記複数の子装置対応の設定タイミングによる情報送信制御及び前記受信部による前記子装置対応の受信情報の処理を行う監視制御部とを含む構成を有し、前記子装置は、複数の送受信部と、該送受信部を前記親装置による設定タイミングに従って送受信制御を行う監視制御部と、前記親装置からの光信号を前記複数の送受信部と次段の子装置とに対して分波して転送し、且つ前記複数の送受信部からのそれぞれ異なる光波長の光信号及び前記次段の子装置からの光波長多重化による光信号を前記親装置側の光伝送路へ送出する光カプラとを含む構成を有するものである。
【0011】
又前記親装置の前記監視制御部は、前記子装置対応の管理情報の送信タイミングと子装置からの情報収集タイミングとを設定すると共に、追加接続用の管理情報の送信タイミングと子装置からの情報収集タイミングとを設定して、前記送信部及び前記子装置からの受信光信号の波長対応の受信部を制御する構成を備えている。
【0012】
又前記子装置の前記監視制御部は、前記親装置からの管理情報の受信識別により自装置から前記親装置に対する送信タイミングを認識して、前記複数の送受信部からそれぞれ異なる光波長の光信号の送信制御を行う構成を備えている。
【0013】
又前記子装置の前記監視制御部は、前記光伝送路に接続して前記親装置からの管理情報の受信識別により追加接続用の送信タイミングを識別して、該送信タイミングにより前記親装置に対して確認信号の送出と、該確認信号に対する前記親装置からの応答信号受信識別とを基に、前記親装置との間の情報送受信を行うように前記送受信部を制御する構成を備えている。
【発明の効果】
【0014】
CWDM装置による親装置に対して複数の子装置を縦続接続して、CWDM伝送を行うことにより、比較的広範囲に配置した子装置を介して各種情報の収集が可能となり、且つ子装置の追加接続に伴う制御処理は、光伝送路に接続後は、親装置側からの制御によって実行可能となり、CWDMシステムの拡張作業が容易となり、又子装置の撤去時に於いても、親装置側で検出して処理することが可能であるから、CWDMシステムの管理且つ制御の処理が簡単となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1の説明図である。
【図2】本発明の実施例1の複数の子装置接続構成の説明図である。
【図3】本発明の実施例1の子装置追加の説明図である。
【図4】本発明の実施例1の子装置の追加及び削除の説明図である。
【図5】本発明の実施例1の子装置の追加の説明図である。
【図6】本発明の実施例1の子装置の追加の説明図である。
【図7】本発明の実施例1の子装置追加接続時の処理フローチャートである。
【図8】本発明の実施例1の子装置追加接続時の処理フローチャートである。
【図9】従来例のCWDMシステムの説明図である。
【図10】従来例のスマートネットワークの一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のCWDMシステムは、図1を参照して説明すると、親装置1としてのCWDM装置と複数の子装置2としてのCWDM装置とを光伝送路3により縦続接続し、複数の光波長の光信号により通信を行うCWDMシステムであって、親装置1は、光伝送路3に接続して異なる光波長の光信号の合波と分波とを行う光カプラ6と、この光カプラ6を介して、複数の子装置2対応の設定タイミングに於いて同一光波長λaの光信号により情報を送信する送信部4と、複数の子装置5対応の設定タイミングに於いて前記光伝送路6を介して受信した複数の光波長λb〜λnの光信号を、光カプラ6により分波して入力する受信部5と、前記送信部4から前記複数の子装置2対応の設定タイミングによる情報送信制御及び前記受信部による前記子装置2対応の受信情報の処理を行う監視制御部7とを含む構成を有し、前記子装置2は、複数の送受信部15と、これらの送受信部15を前記親装置1による設定タイミングに従って送受信制御を行う監視制御部17と、前記親装置1からの光信号を前記複数の送受信部15と次段の子装置とに対して分波して転送し、且つ前記複数の送受信部15からのそれぞれ異なる光波長λb〜λnの光信号及び前記次段の子装置からの光波長多重化による光信号を前記親装置側の光伝送路へ送出する光カプラ16とを含む構成を有するものである。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1の説明図であり、1はCWDM装置の親装置、2はCWDM装置の子装置、3は光伝送路、4は送信部、5は受信部、6は光カプラ、7は監視制御部、8は管理部、15は送受信部、16は光カプラ、17は監視制御部、18は管理部を示す。親装置1の送信部4は、監視制御部7からの制御に従って光波長λaの光信号を送出する構成を含み、複数の受信部5は、それぞれ光波長λb〜λnの光信号を受信処理する構成を含むものであり、又光カプラ6は、送信部4からの光波長λaの光信号を光伝送路3に送出し、子装置2から光伝送路3を介して受信した光波長λb〜λnの光信号を分波して、それぞれ受信部5に入力する。各受信部5により受信処理した光波長λb〜λn対応の信号を監視制御部7へ転送する。この監視制御部7と管理部8とにより、子装置2側から収集した各種情報の管理や、各子装置に送出する制御情報等の送信タイミングの制御を行うものである。
【0018】
又光伝送路3により親装置1と接続した子装置2は、複数の送受信部15と、光カプラ16と、監視制御部17と、管理部18とを含む構成を有し、光カプラ16は、親装置1からの光波長λaの光信号を複数の送受信部15及び次段の子装置へ送出するように分波(分岐)し、又複数の送受信部15からの光波長λb〜λnの光信号及び次段の子装置側からの光波長λb〜λnの光信号を親装置1へ送出するように合波する。この場合、光カプラ16に入力される各送受信部15からの光波長λb〜λnの光信号と、他の子装置から光伝送路を介して入力された光波長λb〜λnの光信号とは、異なるタイミングで親装置1側へ送信されるように監視制御部17により送受信部15を制御する。このような親装置1側への送信タイミングについては、予め親装置1から子装置2対応に指示するものであり、後述のように、親装置1から複数の子装置2に対して管理情報を所定の周期で送信し、子装置2は、その管理情報の受信により自装置からの送信タイミングを認識できるように制御することができる。
【0019】
図2は、本発明の実施例1の複数の子装置接続構成の説明図であり、図1と同一符号は同一部分を示し、2a,2bは子装置(CWDM装置)を示す。これらの子装置2a,2bを、図示を省略した他の子装置を含めて、CWDM装置の親装置1に対して光伝送路3により縦続接続した構成とする。親装置1は、送信部4から光波長λ1の光信号による管理情報を、所定の時間間隔或は子装置2a,2b対応に指定したタイミングで送信する。子装置2a,2bは、親装置1からの管理情報を受信して自装置の送信タイミングを認識することにより、各子装置2a,2bは異なるタイミングで、送受信部15対応の光波長λb〜λnの光信号を光カプラ16により多重化して親装置1へ送信する。親装置1は、光カプラ6により光波長λb〜λnを分波して、それぞれ光波長対応の受信部5により受信処理する。
【0020】
図3は、本発明の実施例1の子装置追加の処理説明図であり、(A)に示すように、それぞれCWDM装置の親装置と複数のCWDM装置の子装置A,B,Cとを光伝送路により縦続接続し、子装置Nを追加接続する場合について示すもので、親装置から子装置A,B,Cに対してそれぞれ管理情報を、(B)に示すように所定の時間間隔で送信する。この管理情報の伝送間隔時間を、各子装置A,B,Cの送信用の固定時間帯ta,tb,tcとして割当てる。その後の所定期間を、追加子装置用の固定時間帯tnとして設定する。この場合、親装置に接続された子装置A,B,C対応の固定時間帯ta,tb,tcに対して少なくとも追加子装置用の固定時間帯tnを確保しておくもので、この追加子装置用の固定時間帯tnは、tn1,tn2,・・等の複数固定時間帯として確保することも可能である。
【0021】
図4は、本発明の実施例1の子装置の削除及び追加の処理説明図であり、(A)はCWDM装置の親装置に、CWDM装置の子装置A,B,Cが接続されている構成に於いて、子装置Bを削除し、その後に、子装置としてのCWDM装置を追加接続する場合を示し、(B)は子装置Bの削除による固定時間帯tbを示す。即ち、子装置Bを削除することにより、子装置Aと子装置Cとの固定時間帯ta,tc間の固定時間帯tbは空き状態となる。その後に、追加するCWDM装置として示すように、子装置を追加接続した場合、固定時間帯tbは空き状態であるから、追加接続した子装置のCWDM装置の送信時間帯として利用することができる。又同図の(C)は、伝送フレームのフォーマットの一例を示し、6バイトの送信先アドレスと、6バイトの送信元アドレスと、2バイトの伝送フレームのタイプ又は長さと、46バイト又はそれ以上のデータ量の管理情報と、4バイトのフレーム誤り検査フィールド(FCS)を含む場合を示す。
【0022】
図5は、本発明の実施例1の子装置追加の処理説明図であり、(A)はCWDM装置の親装置に、CWDM装置の子装置A,B,Cが接続されているシステム構成に於いて、子装置Nを追加接続し、親装置から、前述の図3の(B)及び図4の(B)に示す所定時間間隔の管理情報を受信し、追加子装置用の固定時間帯tnを判定識別し、この固定時間帯tnにより親装置に対して確認信号を送信する。親装置は、この子装置Nからの確認信号を受信識別することにより、応答信号を子装置Nへ送出する。この応答信号を子装置Nが受信確認すると、図5の(B)に示すように、通信スタート信号を親装置へ送信する。親装置は、子装置Nからの通信スタート信号を受信することにより、子装置Nに対する初期設定を行う。
【0023】
図6は、本発明の実施例1の子装置追加の処理説明図であり、図5の(B)に示す子装置追加の処理に引き続く処理の説明図であって、図6の(A)は、親装置と子装置Nとの間の通信の概要を示し、図6の(B)は、図3の(B)と同様に親装置と各子装置との間の送受信タイミングを示し、親装置から子装置A,B,C,Nに対して管理情報を前述のように光波長λaにより所定の時間間隔で送信し、各子装置A,B,C,Nは、それぞれ固定時間帯としてのta,tb,tc,tnに於いて、それぞれの送受信部対応の光波長λb〜λnの光信号を多重化して親装置に送信する。このように子装置Nを追加接続した場合、更に追加子装置用の固定時間帯を設定することができる。即ち、子装置を追加接続する為の固定時間帯を常に設定しておくことができる。
【0024】
図7及び図8は、本発明の実施例1の処理フローチャートであり、図7は、前述のCWDM装置の親装置に対して子装置を追加接続する場合の子装置側の処理について示すもので、先ず、CWDM子装置を接続する(A1)。即ち、親装置に対して光伝送路を介してCWDM子装置を接続する。そして、CWDM子装置の電源をONとし(A2)、親装置からの光信号による情報を受信する(A3)。例えば、図3の(A)又は図4の(A)に於ける追加するCWDM装置のように、CWDMシステムの親装置に対して接続して、電源オンとし、親装置からの光波長λ1の光信号による管理情報受信を行う。そして、図3の(B)に示す所定時間間隔の管理情報を受信してその内容を参照可能であるか否かを判定し(A4)、参照可能の場合は、管理情報から親装置との間で通信可能な時間帯tnを取得する(A5)。例えば、図3の(B)に示す追加子装置用の固定時間帯tnを自装置の送信時間帯として認識する。この送信時間帯tnに於いて親装置へ確認信号を送信する(A6)。この確認信号に対して、親装置からの応答の有無を判定し(A7)、応答有りの場合、親装置に対して通信スタート信号を送信する(A8)。これに対する親装置からの初期設定情報を受信して(A9)、初期設定完了とし(A10)、それ以降は、時間帯tnを使用して、親装置へ収集情報を送信する(A11)。
【0025】
図8は、前述のCWDM装置の親装置側の処理について示すもので、待機状態(B1)から、設定時間毎に子装置から情報を収集する(B2)。図3に於ける子装置A,B,Cについては、ta,tb,tcの時間毎に収集し、子装置からの情報を受信処理する(B3)。親装置側で管理している子装置の接続情報を基に子装置からの情報収集完了か否かを判定し(B4)、未完了の場合は、ステップ(B3)に戻り、又完了の場合は、追加子装置の有無の判定を含めて追加子装置からの情報受信の有無を判定し(B4)、なしの場合は、ステップ(B1)に移行し、追加子装置からの情報受信の場合は、応答信号を送信し(B5)、追加子装置からの通信スタート信号受信の有無を判定し(B7)、通信スタート信号未受信の場合はステップ(B1)へ移行し、通信スタート信号受信の場合は、追加子装置を含む子装置情報についての管理情報を更新し(B8)、初期設定情報を、追加接続の子装置へ送信し(B9)、追加接続子装置に対する設定制御処理は完了し、ステップ(B1)へ戻る。
【0026】
又子装置を撤去する場合は、図4の(A),(B)に示すように、削除された子装置Bからの情報を親装置側で受信できない状態であることから、図1を参照すると、親装置1の監視制御部7は、子装置B対応の固定時間帯に、子装置Bからの情報を受信できなくなったことを検出することにより、子装置BをCWDMシステムから切り離したことを容易に認識することが可能である。従って、子装置の追加接続及び切り離しについて、親装置側で容易に認識して、子装置を介した光波長多重信号による情報収集の制御処理を実行することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 親装置
2 子装置
3 光伝送路
4 送信部
5 受信部
6 光カプラ
7 監視制御部
8 管理部
15 送受信部
16 光カプラ
17 監視制御部
18 管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親装置としてのCWDM装置と複数の子装置としてのCWDM装置とを光伝送路により縦続接続し、複数の光波長の光信号により通信を行うCWDMシステムに於いて、
前記親装置は、前記光伝送路に接続して異なる光波長の光信号の合波と分波とを行う光カプラと、該光カプラを介して前記複数の子装置対応の設定タイミングに於いて同一光波長の光信号により情報を送信する送信部と、前記複数の子装置対応の設定タイミングに於いて前記光伝送路を介して受信した複数の光波長の光信号を前記光カプラにより分波して入力する受信部と、前記送信部から前記複数の子装置対応の設定タイミングによる情報送信制御及び前記受信部による前記子装置対応の受信情報の処理を行う監視制御部とを含む構成を有し、
前記子装置は、複数の送受信部と、該送受信部を前記親装置による設定タイミングに従って送受信制御を行う監視制御部と、前記親装置からの光信号を前記複数の送受信部と次段の子装置とに対して分波して転送し、且つ前記複数の送受信部からのそれぞれ異なる光波長の光信号及び前記次段の子装置からの光波長多重化による光信号を前記親装置側の光伝送路へ送出する光カプラとを含む構成を有する
ことを特徴とするCWDMシステム。
【請求項2】
前記親装置の前記監視制御部は、前記子装置対応の管理情報の送信タイミングと子装置からの情報収集タイミングとを設定すると共に、追加接続用の管理情報の送信タイミングと子装置からの情報収集タイミングとを設定して、前記送信部及び前記子装置からの受信光信号の波長対応の受信部を制御する構成を備えたことを特徴とする請求項1記載のCWDMシステム。
【請求項3】
前記子装置の前記監視制御部は、前記親装置からの管理情報の受信識別により自装置から前記親装置に対する送信タイミングを認識して、前記複数の送受信部からそれぞれ異なる光波長の光信号の送信制御を行う構成を備えたことを特徴とする請求項1記載のCWDMシステム。
【請求項4】
前記子装置の前記監視制御部は、前記光伝送路に接続して前記親装置からの管理情報の受信識別により追加接続用の送信タイミングを識別して、該送信タイミングにより前記親装置に対して確認信号の送出と、該確認信号に対する前記親装置からの応答信号受信識別とを基に、前記親装置との間の情報送受信を行うように前記送受信部を制御する構成を備えたことを特徴とする請求項1記載のCWDMシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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