説明

D−乳酸の製造方法

【課題】安価にD−乳酸を製造する。
【解決手段】資化可能な炭素源から光学純度90%以上のD−乳酸を生産する能力を有するバシラス属(Bacillus)に属する微生物を31〜45℃で培養する。培養条件として、二酸化炭素、窒素あるいはアルゴンを通気しながら嫌気的条件下で行い、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムあるいはアンモニアでpH4.5〜7.0に維持し、発酵培地中の酵母エキス濃度0.1%以上0.5%未満の低濃度で培養する。この培養物から高収率、高光学純度かつ高化学純度でD−乳酸を採取する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発酵法による高純度D-乳酸の安価な製造方法に関する。より詳しくは、資化可能な炭素源から光学純度90%以上のD-乳酸を生産する能力を有するバシラス属に属する微生物を用いてD-乳酸を製造するにあたり、培養液を水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムあるいはアンモニアでpH4.5〜7.0に維持し、二酸化炭素、窒素、アンモニアあるいはアルゴンを通気しながら嫌気的条件下で行う。発酵温度を33℃以上45℃以下で行うことにより乳酸生産速度を増加させなおかつ収率を向上させ、培地中の酵母エキス濃度を0.1%以上0.5%未満の低濃度で培養することで、D-乳酸のコストを下げなおかつ化学純度を上げることにより乳酸精製を容易にする。高収率、高光学純度、高化学純度でD-乳酸を安価に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】D-乳酸は、生分解性プラスチックであるポリ乳酸の原料、農薬や医薬原料等に用いられる。
【0003】乳酸をポリ乳酸の原料として用いる場合、光学純度の高い乳酸を原料とする方が、結晶性の高いポリマーが得られる。このことは例えば、ジャーナル オブバイオメディカルマテリアル リサーチ, 5:169-181(1971).に記載されている。そして、結晶性の高いポリ乳酸は、延伸フィルム、紡糸に適している。
【0004】このように、D-乳酸は有用であり、しかも高光学純度、高化学純度かつ安価であることが要求されている。
【0005】従来から、発酵によりD-乳酸を製造する方法が知られている。例えば(1)ラクトバシラス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)を用いたD-乳酸の製造が、米国特許第 5322781号公報に記載されている。(2)ラクトバシラス・ラクティス(Lactobacillus lactis)を用いたD-乳酸の製造が、特開平2-076592号公報に記載されている。
【0006】また、バシラス属に属する微生物がD-乳酸を生産することは知られている。例えば、バシラス・ラエボラクティカスが挙げられる。このことは、ジャーナルオブ ジェネラル アプライド マイクロバイオロジー,13:139-153(1967)に記載されている。この微生物の適温は30℃であると知られている。また、バシラス属に属する微生物がL-乳酸を生産することも知られている。例えば、バシラス・コアグランスが挙げられる。このことは、特開平58-40093号公報、特公昭60-6200号公報に記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記(1)〜(2)は乳酸菌を用いたD-乳酸の製造法である。しかし、これらの乳酸菌は栄養要求性が高く、培地がコスト高となる。培地がコスト高となる原因は、高価な材料である酵母エキスが0.5%以上添加されているためであり、そのために発酵製品であるD-乳酸が高価なものとなる。(2)は、その問題を回避するために他の栄養源として魚タンパク質加水分解生成物や濃縮トウモロコシを加えるといった試みである。しかし、それら酵母エキス以外の栄養源は、品質が優れていないため多量に添加する必要が生じてしまう。また栄養源として添加されるそれら化合物が不純物として、乳酸精製工程に悪影響を及ぼしてしまう。
【0008】一般的にバシラス属は乳酸菌よりも栄養要求生が少ないことが知られており、バシラス属に属する微生物がD-乳酸を生産することが知られていた。しかし、そのD-乳酸生産性はこれら乳酸菌よりも劣っていると考えられていた。そのためD-乳酸生産条件等については全く知られていなかった。
【0009】そこで、本発明の目的は、従来技術の問題点を解決すべく、バシラス属に属する微生物を用いてD-乳酸をより安価に製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、資化可能な炭素源から光学純度90%以上のD−乳酸を生産する能力を有するバシラス(Bacillus)属に属する微生物を33℃以上45℃以下で嫌気培養し、この培養物からD−乳酸を単離精製することを特徴とするD-乳酸の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明する。
【0012】本発明において用いることのできる微生物としては、光学純度90%以上のD−乳酸を生産する能力を有するバシラス属に属するD-乳酸生産菌であればいかなる微生物でもよく、好ましくは、バシラス・ラエボラクティカスが使用できる。さらに好ましくは、バシラス・ラエボラクティカス ATCC 23492、ATCC 23493、ATCC 23494、ATCC 23495、ATCC 23496、ATCC 223549、IAM 12326、IAM 12327、IAM 12328、IAM 12329、IAM 12330、IAM 12331、IAM 12379、DSM 2315、DSM6477、DSM 6510、DSM 6511、DSM 6763、DSM 6764、DSM 6771などが挙げられる。
【0013】光学純度90%以上のD−乳酸を生産する能力を有するバシラス属は、培地中の成分の90%以上が資化可能な炭素源であり、なおかつ乳酸が含まれていない培養液で、バシラス属に属するD-乳酸生産菌の適温で、嫌気的条件下で、炭酸カルシウムにより中和しながら培養し、資化可能な炭素源が完全に消費された後の培養液中に生産された乳酸の光学純度が90%以上であればよい。
【0014】例えば、D-乳酸を製造したときに以下のような方法で、光学純度90%以上のD−乳酸を生産する能力を有するバシラス属であるか判断できる。滅菌したグルコース100g/l、酵母エキス5g/l、硫酸マグネシウム0.2g/l、硫酸第二鉄0.01g/l、硫酸マンガン0.01g/l、塩化ナトリウム0.01g/l、炭酸カルシウム60g/lの培養液にバシラス属に属する微生物を接種し、37℃で、静置培養を行う。経時的に培養液中のグルコース濃度を測定し、グルコースが完全に消費された後の培養液中に生産された乳酸の光学純度を測定する。D-乳酸の光学純度が90%以上であれば、光学純度90%以上のD-乳酸を生産する能力を有する微生物であると判断することができる。またここで資化可能な炭素源とは、例えばグルコース、フラクトース、ガラクトース、アラビノース、セルビオース、ラクトース、メリビオース、サリシン、マンニトール、ソルビトール、シュークロース、イヌリン、マルトース、マンノース、ラフィノース、トレハロース、スターチ等の糖類、あるいは澱粉加水分解物、糖蜜が挙げられる。さらに好ましくは、グルコース、マンノース、フラクトース、スクロース、トレハロース、イヌリン、スターチが挙げられる。
【0015】光学純度を測定する方法は、従来より知られているいかなる方法によってでも行うことができる。例えば、乳酸の全量が0.2 g/lになるように試料を1mM硫酸銅水溶液で調整し、この溶液0.01 mlを以下の条件のカラムにインジェクトし、HPLC法により測定できる。
【0016】カラム:TSK-gel Enantio L1(東ソー社製)
溶媒 :1mM 硫酸銅水溶液流速 :1.0ml/min検出 :UV254nm温度 :30℃また、D-乳酸の光学純度は次式で計算すればよい。
光学純度(%)=100×(D−L)/(L+D)
ここで、LはL−乳酸の濃度、DはD−乳酸の濃度を表す。
【0017】従来バシラス・ラエボラクティカスの発酵温度における適温は30℃であると知られていた。しかしながら、D-乳酸生産性における適温は33℃以上45℃以下であり、これら温度で発酵を行うことにより、乳酸生産速度および収率が向上することにより、より安価にD−乳酸を製造できる。発酵温度は、さらに好ましくは35℃以上45℃以下である。
【0018】バシラス属に属するD−乳酸生産菌はまず通常の回分発酵法における操作と同様の操作で前培養を行い種菌を調整する。つまりは表−1に示した滅菌したGYP培地などで培養し、D−乳酸生産菌の生育が十分に達したら順次培養液量を増加させD−乳酸発酵培地の種菌を調整する。この場合、培養液量の増加は10倍から1000倍程度で増加させればよい。
【0019】
【表1】


【0020】このようにして順次培養液量を増加させて得た種菌を用い、滅菌したD−乳酸発酵培地でD−乳酸を生産すればよい。
【0021】培地の滅菌方法は、従来より知られているいかなる方法によってでも行うことができる。例えば、120℃、20分間オートクレイブ滅菌すればよい。オートクレイブ滅菌の際に培地成分が化学反応し組成が変化する恐れのある場合には、別々にオートクレイブ滅菌すればよい。例えば、グルコースと他の培地成分は別々にわけてオートクレイブ滅菌するほうが好ましい。
【0022】最終的な発酵培地での培養は好気的条件下で行うこともできるが、嫌気的条件下で行うことが好ましい。バシラス属は好気性または通性好気性の微生物であり、通常、通気等を行うことにより好気的条件下で培養する。この様な好気的条件下では、グルコース等の糖はピルビン酸からクレブス回路を経て代謝される。そのため好気的条件下では、収率が著しく低下する。本発明ではバシラス属の微生物を嫌気的条件下で培養することにより、ピルビン酸からD−乳酸を、より高収率で得ることができる。嫌気的条件下で培養を行うためには、静置して行うこともできるが、不活性ガスを通気しながら行うことが好ましい。不活性ガスとしては、二酸化炭素、窒素、アンモニア、アルゴン等を用いればよく、通気量、通気手段はD−乳酸生産性を考え適宜決めればよい。。
【0023】D−乳酸発酵培地の組成は、用いるバシラス属に適した培地を用いればよいが、基本的にはグルコース、フラクトース、ガラクトース、アラビノース、セルビオース、ラクトース、メリビオース、サリシン、マンニトール、ソルビトール、シュークロース、イヌリン、マルトース、マンノース、ラフィノース、トレハロース、スターチ等の糖類、あるいは澱粉加水分解物、糖蜜のようにこれらの糖類を含有するもののうち一種類及び二種類以上に対し、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、リン酸第一カルシウム、硫酸第二鉄、硫酸マンガン、塩化ナトリウム等の無機塩類を必要に応じて加え、増殖促進成分として酵母エキス、ペプトン、肉エキス、大豆粉の成分を添加するのが好ましい。乳酸生産菌は一般に多くの栄養要求性を示すために、これら増殖促進成分の添加が好ましい。
【0024】従来、高価な材料である酵母エキスが培地中に0.5%以上添加されており、発酵製品であるD−乳酸のコストに影響を与え、乳酸の精製工程に悪影響を及ぼしていた。
【0025】しかしながら、バシラス属に属する微生物では酵母エキスが0.1%以上0.5%未満の濃度でもD−乳酸生産性に影響を及ぼさず、より安価にD−乳酸を製造することができる。酵母エキスの濃度はさらに好ましくは0.2%以上0.4%以下である。
【0026】発酵液のpHは乳酸の生産に伴い徐々に低下する。バシラス属のD−乳酸生産菌は酸感受性を有するため、中和剤でpHを4.5以上7.0以下に保つのが好ましい。さらに好ましくはpHを5.5以上6.8以下に保つのが好ましい。pHをこの範囲に保つには、中和剤を使用するのが好ましく、中和剤とてしては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムあるいはアンモニアを用いればよい。さらに好ましくはアンモニアが挙げられる。水溶性、粉末、ガスいかなる種類のものでもよく操作性を考え適宜決めればよい。
【0027】こうして得られた発酵液中の乳酸は、従来より知られている方法によって、精製することができる。例えば、微生物を遠心分離した発酵液をpH1以下にしてからジエチルエーテルや酢酸エチル等で抽出する方法、イオン交換樹脂に吸着、洗浄した後、溶出する方法、酸触媒の存在下でアルコールと反応させてエステルとし、蒸留する方法、カルシウム塩やリチウム塩として晶析する方法などがある。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例におけるD−乳酸の光学純度測定は以下の条件でHPLC法により測定した。
カラム:TSK-gel Enantio L1(東ソー社製)
溶媒 :1mM 硫酸銅水溶液流速 :1.0ml/min検出 :UV254nm温度 :30℃また、D-乳酸の光学純度は次式で計算される。
光学純度(%)=100×(D−L)/(L+D)
ここで、LはL−乳酸の濃度、DはD−乳酸の濃度を表す。
【0029】また、実施例における化学純度は乳酸カルシウムを濃塩酸で溶解し、以下の条件でHPLC法により測定した。
カラム:イオン交換カラム SGR101(島津製作所製)
溶媒 :0.25%硫酸水溶液流速 :1.0ml/min検出 :UV214nm、RI(示差屈折計)
温度 :40℃また、実施例における各種培地はすべて、グルコースと他の培地成分をわけて、120℃、20分間オートクレイブ滅菌した。
【0030】実施例1、比較例1(発酵温度による効果)
バシラス・ラエボラクティカス ATCC 23492を滅菌したGYP培地5mlに接種し、37℃、3日間静置培養した。この培養液0.25mlを表2に示す滅菌した発酵培地5mlに接種し、30℃(比較例1)および37℃(実施例1)で発酵が終了するまで培養した。その培養液を分析した。その結果を表3に示す。
【0031】
【表2】


【0032】
【表3】


【0033】以上の結果より、従来から知られていたバシラス・ラエボラクティカスの適温30℃よりも高温でD−乳酸発酵を行うほうが、D-乳酸生産速度(発酵終了時間が11日から7日)および収率(100g/Lグルコースから得られる乳酸が88.0g/Lから95.3g/L)が優れていることが明らかになった。
【0034】実施例2、比較例2(嫌気培養による効果)
バシラス・ラエボラクティカス ATCC 23492を滅菌したGYP培地5mlに接種し、37℃、3日間静置培養した。この培養液0.25mlを表2に示した滅菌した発酵培地5mlに接種し、発酵が終了するまで37℃、静地培養(実施例2)および37℃、150rpmで振とう培養(比較例2)した。その培養液を分析した。その結果を表4に示す。
【0035】
【表4】


【0036】以上の結果より、D−乳酸生産には嫌気的条件下で培養を行うほうが、好気的条件下で培養を行うよりも収率(100g/Lグルコースから得られる乳酸が10.2g/Lから95.3g/L)が優れていることが明らかになった。
【0037】実施例3(中和剤による効果)
バシラス・ラエボラクティカス ATCC 23492を滅菌したGYP培地5mlに接種し、37℃、3日間静置培養した。この培養液1mlを炭酸カルシウムを1%含む滅菌したGYP培地25mlに接種し、37℃、1日静置培養し種菌を調整した。この種菌50mlを表5に示す滅菌した発酵培地950mlに接種し、二酸化炭素を通気させながら、37℃、8.5%アンモニア水によりpHを5.8〜6.2にコントロールしながら発酵を行った。
【0038】
【表5】


【0039】60時間において発酵が終了し、この発酵液を4000rpmで5分間遠心分離し、菌体を除去し、この上清に55gの炭酸カルシウムを添加し、80℃で1時間加熱することにより塩交換を行った。これを室温まで冷却し、析出した結晶を濾別した後、濾液を再び濃縮して析出した結晶を濾別し、両者を合わせて乳酸カルシウムの白色結晶117g(乳酸97g)を得た。このもののD-乳酸の光学純度は97%であった。
【0040】実施例4(中和剤による効果)
バシラス・ラエボラクティカス ATCC 23492を実施例3と同じように調整した種菌50mlを表5に示した滅菌した発酵培地950mlに接種し、二酸化炭素を通気させながら、37℃、5N水酸化ナトリウムによりpHを5.8〜6.2にコントロールしながら発酵を行った。
【0041】110時間において発酵が終了し、実施例3と同じように乳酸カルシウムを調整したところ、乳酸カルシウムの白色結晶107g(乳酸88g)を得た。このもののD-乳酸の光学純度は97%であった。以上の結果を表6にまとめる。
【0042】中和剤としてアンモニア水を用いD-乳酸発酵を行うほうが、水酸化ナトリウムを用いD−乳酸発酵を行うよりも乳酸生産性(発酵終了時間が110時間から60時間)および収率(100g/Lグルコースから得られる乳酸が88g/Lから97g/L)が優れていることが明らかになった。
【0043】
【表6】


【0044】実施例5(酵母エキスによる効果)
バシラス・ラエボラクティカス ATCC 23492を実施例3と同じように調整した種菌50mlを表7に示した滅菌した発酵培地950mlに接種し、二酸化炭素を通気させながら、37℃、8.5%アンモニア水によりpHを5.8〜6.2にコントロールしながら発酵を行った。
【0045】
【表7】


【0046】発酵が終了後、実施例3と同じように乳酸カルシウムを調整し、このものの化学純度HPLC法により測定した。その結果を表8に示す。
【0047】
【表8】


【0048】以上の結果より、培地中の酵母エキス濃度を0.1%以上0.5%未満においてD−乳酸発酵を行うほうが、培地中の酵母エキス濃度を0.5%以上においてD−乳酸発酵を行うよりも、収率に違いはなく、なおかつ乳酸精製後の化学純度が優れていることが明らかになった。
【0049】
【発明の効果】D−乳酸発酵において、培養条件として、二酸化炭素などを通気することにより嫌気的条件下で行うことにより収率を向上させ、培養温度を30℃より高温にすることにより、乳酸生産速度を向上させ、収率も向上させることが可能になった。また、培養液を中和する際に、中和剤として水酸化ナトリウムを用いるよりアンモニア水を用いることにより、乳酸生産速度を向上させることが可能になった。発酵培地中の酵母エキス濃度0.1%以上0.5%未満の濃度で培養しても、発酵終了時間および収率に影響はなく、D−乳酸コストを抑え、化学純度を向上させることができた。
【0050】D−乳酸は各種光学活性化合物を合成するための出発原料として、また生分解プラスチックの原料として重要であり、近年D−乳酸に対する需要が増大しつつあり、本発明により工業的規模での安価で効率的なD−乳酸の製造が可能となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】資化可能な炭素源から光学純度90%以上のD−乳酸を生産する能力を有するバシラス(Bacillus)属に属する微生物を33℃以上45℃以下で嫌気培養し、この培養物からD−乳酸を単離精製することを特徴とするD-乳酸の製造方法。
【請求項2】二酸化炭素、窒素、アンモニアおよびアルゴンから選ばれる少なくとも1種類を通気しながら嫌気培養することを特徴とする、請求項1に記載のD-乳酸の製造方法。
【請求項3】水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよびアンモニアから選ばれる少なくとも1種類でpH4.5〜7.0に維持しながら培養することを特徴とする、請求項1または2に記載のD-乳酸の製造方法。
【請求項4】酵母エキス濃度0.1%以上0.5%未満の培地で培養することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のD-乳酸の製造方法。
【請求項5】バシラス属に属する微生物がバシラス・ラエボラクティカス(Bacillus laevolacticus)であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のD-乳酸の製造方法。

【公開番号】特開2003−88392(P2003−88392A)
【公開日】平成15年3月25日(2003.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−279110(P2001−279110)
【出願日】平成13年9月14日(2001.9.14)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】