説明

DC−DCコンバータ、携帯通信端末、及びDC電圧変換方法

【課題】DC−DCコンバータの電力供給先回路における消費電流が変動すると、電力変換効率における、インダクタンス値の最適値とキャパシタンス値の最適値とが変動してしまう。
【解決手段】電力供給先である外部回路が第1の状態である場合に、第1のセレクタが第1のインダクタを選択し、第2のセレクタが第1のキャパシタを選択するように、外部回路が第1の状態と互いに平均消費電流が異なる第2の状態である場合に、第1のセレクタが第2のインダクタを選択し、第2のセレクタが第2のキャパシタを選択するように、第1のセレクタの選択状態と第2のセレクタの選択状態とを制御することにより、電力供給先回路における消費電流に応じて、利用するインダクタとキャパシタとの組を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC−DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直流電圧を別の直流電圧に変更するDC−DCコンバータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
DC−DCコンバータは、例えば、携帯通信端末といった電池駆動式機器において、電池の出力電圧である直流電圧を、その機器に内蔵された電子部品が必要とするレベルの直流電圧に変換するため用いられる。そして、電池駆動式機器において用いられるDC−DCコンバータには、限りある電池の電気容量を有効に利用するために、高い電力変換効率が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−183699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、DC−DCコンバータは、周期的に電気エネルギーを蓄積して放出するインダクタと出力電圧を平滑化するキャパシタとを含んで構成される。
DC−DCコンバータにおいて、高い電力変換効率を実現するためには、インダクタとキャパシタとについて、それぞれ、インダクタンス値の最適化とキャパシタンス値の最適化とを行う必要がある。
【0005】
しかしながら、一般に、DC−DCコンバータの電力供給先回路における消費電流が変動すると、電力変換効率における、インダクタンス値の最適値とキャパシタンス値の最適値とが変動することが知られている。
従って、電力供給先回路が、実行する処理を切り替えるとその消費電流が変動するような回路である場合には、供給先回路におけるある一の消費電流に着目してインダクタンス値の最適化とキャパシタンス値の最適化とを図ったとしても、供給先回路が、その一の消費電流とは異なる消費電流となる処理を実行している場合には、それらインダクタンス値とキャパシタンス値とが、必ずしも最適なものでなくなってしまっていることがある。
【0006】
そこで、本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、電力供給先回路の消費電流が変動するような場合に、従来より電力変換効率を向上させることができるDC−DCコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係るDC−DCコンバータは、第1及び第2のインダクタと、前記第1のインダクタと前記第2のインダクタとを択一的に選択して充放電路に挿入する第1のセレクタと、第1及び第2のキャパシタと、前記第1のキャパシタと前記第2のキャパシタとを択一的に選択して放電路に挿入する第2のセレクタと、電力供給先である外部回路が第1の状態である場合に、前記第1のセレクタが前記第1のインダクタを選択し、前記第2のセレクタが前記第1のキャパシタを選択し、当該外部回路が当該第1の状態と互いに平均消費電流が異なる第2の状態である場合に、前記第1のセレクタが前記第2のインダクタを選択し、前記第2のセレクタが前記第2のキャパシタを選択するように、前記第1のセレクタの選択状態と前記第2のセレクタの選択状態とを制御する制御回路とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上述の構成を備える本発明に係るDC−DCコンバータは、電力供給先回路が第1の状態である場合と、第1の状態と互いに平均消費電流が異なる第2の状態である場合とで、インダクタのインダクタンス値とキャパシタのキャパシタンス値との組み合わせを切り替える。
従って、このDC−DCコンバータは、第1のインダクタのインダクタンス値と第1のキャパシタのキャパシタンス値とが、供給先回路が第1の状態である場合におけるインダクタンス値の最適値とキャパシタンス値の最適値となるように、そして、第2のインダクタのインダクタンス値と第2のキャパシタのキャパシタンス値とが、供給先回路が第2の状態である場合におけるインダクタンス値の最適値とキャパシタンス値の最適値となるようにすることで、電力供給先回路の消費電流が変動するような場合に、従来より電力変換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)携帯電話機100の斜視図、(b)携帯電話機100内部の主要構成物の斜視図
【図2】携帯電話機100に搭載される電子部品の電源の接続関係を示す図
【図3】第2DC−DCコンバータ122の回路図
【図4】消費電流と電力変換効率との対応関係を示す図
【図5】セレクタ切替処理のフローチャート
【図6】切替信号の電位の推移を示すタイミングチャート
【図7】昇圧型DC−DCコンバータの回路図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態>
<概要>
以下、本発明に係るDC−DCコンバータの一実施形態として、携帯電話機100に内蔵されるDC−DCコンバータについて説明する。
携帯電話機100は、3つのDC−DCコンバータを内蔵している。そして、それらDC−DCコンバータのうちの1つである第2DC−DCコンバータ122は、携帯電話機100が内蔵する電池130が出力する4.2Vの直流電圧を、同じく携帯電話機100が内蔵するCPU(Central Processing Unit)125が必要とする1.2Vの直流電圧に変換する。
【0011】
CPU125は、携帯電話機100が待ち受け状態の場合に平均消費電流が5mAとなり、携帯電話機100が通話状態の場合に平均消費電流が250mAとなる。そして、第2DC−DCコンバータ122は、携帯電話機100が待ち受け状態の場合と通話状態の場合とで、電圧変換に利用するインダクタとキャパシタとの組を切り替えることで、携帯電話機100が待ち受け状態の場合と通話状態の場合との双方において、比較的高い電力変換効率を実現する。
【0012】
以下、この携帯電話機100の構成について、図面を参照しながら説明する。
<構成>
図1(a)は、携帯電話機100の斜視図であり、図1(b)は、携帯電話機100内部の主要構成物の斜視図である。
図1(a)に示されるように、携帯電話機100は、その主表面に、オンフックキーとオフフックキーとを含む複数の入力キーからなる入力キー群101とディスプレイ102とレシーバ孔103とマイク孔104とを備える。
【0013】
また、図1(b)に示されるように、携帯電話機100は、筐体内部に、基板120と電池130とアンテナ構体140とを内蔵している。
電池130は、4.2Vの直流電圧を出力する、例えば、リチウムイオン2次電池であって、携帯電話機100を構成する電子部品に電力を供給する。
アンテナ構体140は、携帯電話機100が外部の基地局と行う通信に利用する2GHz帯の信号を送受信するための通話用アンテナ141を備える構造体である。
【0014】
通話用アンテナ141は、外部の基地局との通信に利用されるモノポールアンテナであって、L字型の金属製(例えば銅製)薄膜からなり、アンテナ構体140の表面に接着されている。
基板120は、電子部品等を装着するプリント基板であって、表面に、第1DC−DCコンバータ121と第2DC−DCコンバータ122と第3DC−DCコンバータ123とユーザインターフェース制御用LSI(Large Scale Integration)124とCPU125と通信用LSI126とメモリ127とが装着されている。
【0015】
ユーザインターフェース制御用LSI124は、第1DC−DCコンバータ121から供給される1.8Vの直流電圧で動作するLSIであって、入力キー群101とディスプレイ102とCPU125とに接続され、CPU125によって制御され、以下の2つの機能を有する。
入力受付機能:携帯電話機100を利用するユーザによる入力キー群101への入力操作を受け付け、受け付けた入力操作に応じた信号をCPU125に出力する機能。
【0016】
出力制御機能:CPU125から送信される画像データを受信すると、その画像データに対応する画像をディスプレイ102に表示させる機能。
メモリ127は、第1DC−DCコンバータ121から供給される1.8Vの直流電圧で動作するメモリであって、RAM(Random Access Memory)とROM(Read Only Memory)とから構成され、CPU125に接続され、CPU125の動作を規定するプログラムと、CPU125が利用するデータとを記憶する。
【0017】
通信用LSI126は、第3DC−DCコンバータ123から供給される2.3Vの直流電圧で動作するLSIであって、CPU125と通話用アンテナ141とに接続され、CPU125によって制御され、以下の4つの機能を有する。
受信機能:通話用アンテナ141を利用して、2GHz帯の信号を受信する機能。
復調機能:受信した2GHz帯の信号を復調して、復調した復調信号をCPU125へ送る機能。
【0018】
変調機能:CPU125から送られる音声信号を2GHz帯の信号に変調する機能。
送信機能:通話用アンテナ141を利用して、変調した2GHz帯の信号を送信する機能。
CPU125は、第2DC−DCコンバータ122から供給される1.2Vの直流電圧で動作するCPUであって、ユーザインターフェース制御用LSI124と通信用LSI126とメモリ127と第2DC−DCコンバータ122と図示しないスピーカと図示しないレシーバとに接続され、メモリ127に記憶されるプログラムを実行することで、以下の4つの機能を実現する。
【0019】
音声出力機能:通信用LSI126から送られる復調信号を受けると、内蔵するDA変換機を利用してアナログ信号に変換して図示しないスピーカに出力することで、その復調信号に対応する音声を、そのスピーカから出力させる機能。
音声入力機能:図示しないレシーバから電気信号が入力されると、内蔵するAD変換機を利用してデジタル信号に変換して、変換したデジタル信号を音声信号として通信用LSI126に出力する機能。
【0020】
切替信号制御機能:携帯電話機100が外部の基地局等を介して外部の携帯電話機等と通話を行っていない待ち受け状態である期間、第2DC−DCコンバータ122への出力である切替信号を論理値“0”(例えば0Vの電位)とし、携帯電話機100が外部の基地局等を介して外部の携帯電話機等と通話を行っている通話状態である期間、切替信号を論理値“1”(例えば1.8Vの電位)とする機能。
【0021】
この切替信号制御機能は、CPU125が後述のセレクタ切替処理を実行することで実現される。なお、セレクタ切替処理については、後程<セレクタ切替処理>の項目において、フローチャートを用いて詳細に説明する。
携帯電話機制御機能:ユーザインターフェース制御用LSI124と通信用LSI126とを制御して、携帯電話機100に、ユーザによる入力キー群への操作に応じた処理を実現させる機能。
【0022】
また、このCPU125は、携帯電話機100の起動時に、切替信号を論理値“0”とするように設定されている。
第1DC−DCコンバータ121と第2DC−DCコンバータ122と第3DC−DCコンバータ123とは、それぞれ、電池130の出力である4.2Vの直流電圧を、携帯電話機100に内蔵される電子部品が必要とする直流電圧に変換するための回路である。
【0023】
図2は、携帯電話機100に搭載される電子部品の電源の接続関係を示す図である。
同図に示されるように、第1DC−DCコンバータ121は、電池130の出力である4.2Vの直流電圧を1.8Vの直流電圧に変換して、ユーザインターフェース制御用LSI124とメモリ127とに供給する。
第3DC−DCコンバータ123は、電池130の出力である4.2Vの直流電圧を2.3Vの直流電圧に変換して、通信用LSI126に供給する。
【0024】
第2DC−DCコンバータ122は、電池130の出力である4.2Vの直流電圧を1.2Vの直流電圧に変換して、CPU125に供給する。
以下、図面を用いて、第2DC−DCコンバータ122の回路構成の詳細について説明する。
図3は、第2DC−DCコンバータ122の回路図である。
【0025】
同図に示されるように、第2DC−DCコンバータ122は、スイッチングIC(Integrated Circuit)300と第1インダクタ311と第2インダクタ312と第1セレクタ313と第1キャパシタ321と第2キャパシタ322と第2セレクタ323とから構成され、入力VDD端子331と出力VDD端子332と切替信号入力端子333とを有する。
【0026】
スイッチングIC300は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)スイッチ301とMOSFETスイッチ302とパルス信号生成回路303とから構成されるICであって、VIN端子304とSW端子305とFB端子306とを有し、VIN端子304とSW端子305との間を電気的に導通する状態と電気的に導通しない状態とに周期的に切り替えるスイッチング機能と、グラウンドとSW端子305との間の整流機能とを有する。
【0027】
MOSFETスイッチ301は、パルス信号生成回路303から出力される、論理値“1”(例えば4.2Vの電位)と論理値“0”(例えば0Vの電位)とを繰り返す、例えば、周波数2MHzの矩形波からなるスイッチング信号に従って、スイッチング信号が論理値“1”の場合にオン、スイッチング信号が論理値“0”の場合にオフとなるスイッチである。
【0028】
MOSFETスイッチ302は、整流作用をするためのMOSFETである。
パルス信号生成回路303は、FB端子306の電位が所定の電位となるように、論理値“1”の期間と論理値“0”の期間とを調整してスイッチング信号を生成し、MOSFETスイッチ301に出力する機能を有する回路である。
なお、このスイッチングIC300のような機能を有するICは、半導体メーカから、DC−DCコンバータを実現するための汎用部品として、容易に入手可能な状態で市販されている。
【0029】
第1インダクタ311は、スイッチングIC300のスイッチング動作に同期して電気エネルギーを蓄積して放出するための、15.0μHのインダクタである。
第2インダクタ312は、スイッチングIC300のスイッチング動作に同期して電気エネルギーを蓄積して放出するための、3.3μHのインダクタである。
第1セレクタ313は、第1インダクタ311と第2インダクタ312とのいずれか一方を選択するためのセレクタであって、例えば、MOSFETによって構成されている。
【0030】
この第1セレクタ313は、切替信号入力端子333から入力される切替信号が論理値“0”の場合に、第1インダクタ311を選択する状態となり、切替信号が論理値“1”の場合に、第2インダクタ312を選択する状態となる。
第1キャパシタ321は、出力VDD端子332の電位を平滑化するための、2.2μFのキャパシタである。
【0031】
第2キャパシタ322は、出力VDD端子332の電位を平滑化するための、10μFのキャパシタである。
第2セレクタ323は、第1キャパシタ321と第2キャパシタ322とのいずれか一方を選択するためのセレクタであって、例えば、MOSFETによって構成されている。
この第2セレクタ323は、切替信号入力端子333から入力される切替信号が論理値“0”の場合に、第1キャパシタ321を選択する状態となり、切替信号が論理値“1”の場合に、第2キャパシタ322を選択する状態となる。
【0032】
なお、切替信号入力端子333から入力される切替信号が論理値“0”の場合には、第1インダクタ311と第1キャパシタ321とが選択されることで、第1インダクタ311と第1キャパシタ321とからなる第1ローパスフィルタが形成されることとなり、切替信号が論理値“1”の場合には、第2インダクタ312と第2キャパシタ322とが選択されることで、第2インダクタ312と第2キャパシタ322とからなる第2ローパスフィルタが形成されることとなる。
【0033】
ここで、第1インダクタ311は15.0μHであり、第1キャパシタ321は2.2μFであることから、第1ローパスフィルタの共振周波数は、およそ28KHzとなっている。そして、この第1ローパスフィルタの共振周波数は、パルス信号生成回路303の生成するパルス信号の周波数である2MHzのおよそ1/72となっている。
また、第2インダクタ312は3.3μHであり、第2キャパシタ322は10μFであることから、第2ローパスフィルタの共振周波数は、第1ローパスフィルタと同様に、およそ28KHzとなっている。
【0034】
なお、第1ローパスフィルタの共振周波数と第2ローパスフィルタの共振周波数とは、パルス信号生成回路303の生成するパルス信号の方形波成分を十分に減衰させることと、電力供給先回路における消費電流変動への応答性を良好なものとすることとの双方を実現することができる値に設定されている。
図4は、切替信号が論理値“0”の場合と論理値“1”の場合とのそれぞれにおける、第2DC−DCコンバータ122の電力供給先回路における消費電流と、第2DC−DCコンバータ122における電力変換効率との対応関係を示す図である。
【0035】
同図において、横軸は第2DC−DCコンバータ122の電力供給先回路における消費電流となっており、縦軸は第2DC−DCコンバータ122における電力変換効率となっている。
同図に示されるように、第2DC−DCコンバータ122は、供給先回路における消費電流が190mA未満の場合には、切替信号が論理値“0”となる方が電力変換効率が良くなり、供給先回路における消費電流が190mA以上の場合には、切替信号が論理値“1”となる方が電力変換効率が良くなっている。
【0036】
<電力変換効率に関する考察>
第2DC−DCコンバータ122の電力変換効率における、供給先回路における消費電流とインダクタのインダクタンス値との関係について考察する。
供給先回路における消費電流が比較的少ない場合(ここでは、供給先回路における消費電流が190mA未満の場合に相当する。)には、MOSFETスイッチ301がオンとなる期間が比較的短くなる。これによりインダクタは、比較的多くの電気エネルギーを蓄積しておく必要がある。インダクタは、インダクタンス値が大きい程起電力が大きくなるという性質があるため、比較的多くのエネルギーをより効率的に蓄積するためには、より大きなインダクタンス値のインダクタの方が有利になる。
【0037】
逆に、供給先回路における消費電流が比較的多い場合(ここでは、供給先回路における消費電流が190mA以上の場合に相当する。)には、MOSFETスイッチ301がオンとなる期間が比較的長くなる。これによりインダクタは、比較的多くの電気エネルギーを蓄積する必要がない。逆に、インダクタは、MOSFETスイッチ301と直列接続されているため、流れる電流が比較的多くなる。インダクタは、インダクタンス値が小さい程直流抵抗の抵抗値が小さくなるという傾向があるため、電流が流れることによって発生する熱によるエネルギー損失を少なくするためには、より小さなインダクタンス値のインダクタの方が有利になる。
【0038】
これらのことから、第2DC−DCコンバータ122において、供給先回路における消費電流が190mA未満の場合には、インダクタのインダクタンス値が15.0μHとなる方が電力変換効率が良くなり、供給先回路における消費電流が190mA以上の場合には、インダクタのインダクタンス値が3.3μHとなる方が電力変換効率が良くなっていると考えられる。
【0039】
以下、図面を参照しながら、上記構成の携帯電話機100の行う動作について説明する。
<動作>
ここでは、携帯電話機100の行う動作のうち、特徴的な動作であるセレクタ切替処理について説明する。
【0040】
<セレクタ切替処理>
セレクタ切替処理は、携帯電話機100が待ち受け状態から通話状態へと状態遷移する場合に、第2DC−DCコンバータ122が直流電圧変換に利用するインダクタとキャパシタとの組み合わせを、第1インダクタ311と第1キャパシタ321との組から、第2インダクタ312と第2キャパシタ322との組へと変更し、携帯電話機100が通話状態から待ち受け状態へと状態遷移する場合に、第2DC−DCコンバータ122が直流電圧変換に利用するインダクタとキャパシタとの組み合わせを、第2インダクタ312と第2キャパシタ322との組から、第1インダクタ311と第1キャパシタ321との組へと変更する処理である。
【0041】
図5は、セレクタ切替処理のフローチャートである。
このセレクタ切替処理は、携帯電話機100が起動されることで開始される。
携帯電話機100が起動されると、携帯電話機100は待ち受け状態となり、CPU125は、切替信号として論理値“0”を出力する。そして、携帯電話機100は、ユーザによって通話を開始するためのオフフックキーの押下操作がなされるのを待つ(ステップS500:Noを繰り返す)。
【0042】
このとき、切替信号の論理値が“0”となっているため、第2DC−DCコンバータ122は、第1セレクタ313が第1インダクタ311を選択し、第2セレクタ323が第1キャパシタ321を選択している状態(以下、この状態を「第1状態」と呼ぶ。)となっている。
また、CPU125は、携帯電話機100が待ち受け状態なので、その平均消費電流は5mAとなっている。
【0043】
ユーザによって通話を開始するためのオフフックキーの押下操作がなされると(ステップS500:Yes)、ユーザインターフェース制御用LSI124は、オフフックキーが押下された旨の信号を、CPU125へ出力する(ステップS510)。
ユーザインターフェース制御用LSI124から、オフフックキーが押下された旨の信号を受けると、CPU125は、通信用LSI126と共同で行う通話に係る処理を開始して、携帯電話機100が、待ち受け状態から通話状態へと遷移する。そしてCPU125は、切替信号を論理値“0”から論理値“1”へと変更する(ステップS520)。
【0044】
切替信号が論理値“0”から論理値“1”へと変更されると、第2DC−DCコンバータ122は、第1状態から、第1セレクタ313が第2インダクタ312を選択し、第2セレクタ323が第2キャパシタ322を選択している状態(以下、この状態を「第2状態」と呼ぶ。)へと状態を遷移させる(ステップS530)。
このとき、CPU125は、通信用LSI126と共同で通話に係る処理を行っており(すなわち、携帯電話機100が通話状態となっており)、その平均電流は250mAとなっている。
【0045】
その後、携帯電話機100は、ユーザによって通話を終了するためのオンフックキーの押下操作がなされるのを待つ(ステップS540:Noを繰り返す)。
ユーザによって通話を終了するためのオンフックキーの押下操作がなされると(ステップS540:Yes)、ユーザインターフェース制御用LSI124は、オンフックキーが押下された旨の信号を、CPU125へ出力する(ステップS550)。
【0046】
ユーザインターフェース制御用LSI124から、オンフックキーが押下された旨の信号を受けると、CPU125は、通信用LSI126と共同で行う通話に係る処理を終了し、切替信号を論理値“1”から論理値“0”へと変更する(ステップS560)。
切替信号が論理値“1”から論理値“0”へと変更されると、第2DC−DCコンバータ122は、第2状態から、第1状態へと状態を遷移させる(ステップS570)。
【0047】
このとき、CPU125は、通信用LSI126と共同で行う通話に係る処理を終了しており(すなわち、携帯電話機100が待ち受け状態となっており)、その平均消費電流は5mAとなっている。
ステップS570の処理が終了すると、携帯電話機100は、再びステップS500の処理に戻って、ステップS500以下の処理を繰り返す。
【0048】
図6は、携帯電話機100がセレクタ切替処理を実行している場合において、携帯電話機100を利用するユーザが、時刻t0に通話を開始するためにオフフックキーを押下し、時刻t1に通話を終了するためにオンフックキーを押下したときにおける、切替信号の電位の推移を示すタイミングチャートである。
同図に示される通り、時刻t0に、ユーザがオフフックキーを押下すると、切替信号の電位は、論理値“0”を示す電位から論理値“1”を示す電位へ推移する(ステップS500:Yes〜ステップS520の処理参照)。そして、第2DC−DCコンバータ122は、第1状態から第2状態へと状態を遷移させる(ステップS530の処理参照)。
【0049】
また、時刻t1に、ユーザがオンフックキーを押下すると、切替信号の電位は、論理値“1”を示す電位から論理値“0”を示す電位へと推移する(ステップS540:Yes〜ステップS560の処理参照)。そして、第2DC−DCコンバータ122は、第2状態から第1状態へと状態を遷移させる(ステップS570の処理参照)。
<まとめ>
上述の携帯電話機100によると、CPU125は、携帯電話機100が待ち受け状態の場合に平均消費電流が5mAとなり、携帯電話機100が通話状態の場合に平均消費電流が250mAとなる。
【0050】
そして、CPU125に直流電圧を供給する第2DC−DCコンバータ122は、携帯電話機100が待ち受け状態の場合に、第1状態となり、携帯電話機100が通話状態の場合に、第2状態となる。
また、図4に示されるように、第2DC−DCコンバータ122は、電力供給先回路の消費電流が5mAである場合に、第1状態における電力変換効率の方が、第2状態における電力変換効率よりも高くなり、電力供給先回路の消費電流が250mAである場合に、第2状態における電力変換効率の方が、第1状態における電力変換効率よりも高くなる。
【0051】
従って、この携帯電話機100は、待ち受け状態と通話状態との双方の状態において、第2DC−DCコンバータ122の電力変換効率を比較的高いものとすることができる。
<補足>
以上、本発明に係るDC−DCコンバータの実施形態として、実施の形態において、第2DC−DCコンバータ122を搭載する携帯電話機100を用いて説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明は上述した実施の形態通りのDC−DCコンバータに限られないことはもちろんである。
(1)実施の形態において、携帯電話機100は、第2DC−DCコンバータ122の電力供給先回路がCPU125である構成の例であった。しかしながら、電力供給先回路が動的に消費電流を変動させる回路であれば、必ずしも電力供給先回路がCPU125となる構成に限られる必要はない。
【0052】
一例として、第2DC−DCコンバータ122の電源供給先回路が通信用LSI126となる構成の携帯電話機が考えられる。この例では、第3DC−DCコンバータ123の替わりに第2DC−DCコンバータ122が利用されることとなる。
(2)実施の形態において、携帯電話機100は、電池130が4.2Vの直流電圧を出力するリチウムイオン2次電池である構成の例であったが、電池130は、直流電圧を出力することができれば、必ずしも出力する直流電圧が4.2Vに限られる必要もないし、必ずしも電池の種類がリチウムイオン2次電池に限られる必要もない。
【0053】
一例として、電池130が、3.0Vの直流電圧を出力する、直列接続された2段構成のアルカリマンガン乾電池である構成等が考えられる。
さらには、電池130の出力する直流電圧が、CPU125が必要とする直流電圧よりも低い電位である構成も考えられる。但し、この構成の場合には、第2DC−DCコンバータ122は、必然的に昇圧型のDC−DCコンバータである必要がある。
【0054】
図7に、昇圧型のDC−DCコンバータの一例である変形DC−DCコンバータ800の回路図を示す。
同図に示されるように、変形DC−DCコンバータ800は、スイッチングIC700と第1インダクタ711と第2インダクタ712と第1セレクタ713と第1キャパシタ721と第2キャパシタ722と第2セレクタ723とから構成され、入力VDD端子731と出力VDD端子732と切替信号入力端子733とを有する。
【0055】
スイッチングIC700は、MOSFETスイッチ701とMOSFETスイッチ702とパルス信号生成回路703とから構成されるICであって、VIN端子704とSW端子705とFB端子706とを有し、VIN端子704とグラウンドとの間を電気的に導通する状態と電気的に導通しない状態とに周期的に切り替えるスイッチング機能と、VIN端子704とSW端子705との間の整流機能とを有する。
【0056】
MOSFETスイッチ701は、パルス信号生成回路703から出力される、論理値“1”(例えば4.2Vの電位)と論理値“0”(例えば0Vの電位)とを繰り返す、例えば、周波数2MHzの矩形波からなるスイッチング信号に従って、スイッチング信号が論理値“1”の場合にオン、スイッチング信号が論理値“0”の場合にオフとなるスイッチである。
【0057】
MOSFETスイッチ702は、整流作用をするためのMOSFETである。
パルス信号生成回路703は、FB端子706の電位が所定の電位となるように、論理値“1”の期間と論理値“0”の期間とを調整してスイッチング信号を生成し、MOSFETスイッチ701に出力する機能を有する回路である。
なお、このスイッチングIC700のような機能を有するICは、半導体メーカから、DC−DCコンバータを実現するための汎用部品として、容易に入手可能な状態で市販されている。
【0058】
第1インダクタ711は、スイッチングIC700のスイッチング動作に同期して電気エネルギーを蓄積して放出するための、15.0μHのインダクタである。
第2インダクタ712は、スイッチングIC700のスイッチング動作に同期して電気エネルギーを蓄積して放出するための、3.3μHのインダクタである。
第1セレクタ713は、第1インダクタ711と第2インダクタ712とのいずれか一方を選択するためのセレクタであって、例えば、MOSFETによって構成されている。
【0059】
この第1セレクタ713は、切替信号入力端子733から入力される切替信号が論理値“0”の場合に、第1インダクタ711を選択する状態となり、切替信号が論理値“1”の場合に、第2インダクタ712を選択する状態となる。
第1キャパシタ721は、出力VDD端子732の電位を平滑化するための、2.2μFのキャパシタである。
【0060】
第2キャパシタ722は、出力VDD端子732の電位を平滑化するための、10μFのキャパシタである。
第2セレクタ723は、第1キャパシタ721と第2キャパシタ722とのいずれか一方を選択するためのセレクタであって、例えば、MOSFETによって構成されている。
この第2セレクタ723は、切替信号入力端子733から入力される切替信号が論理値“0”の場合に、第1キャパシタ721を選択する状態となり、切替信号が論理値“1”の場合に、第2キャパシタ722を選択する状態となる。
(3)実施の形態において、第2DC−DCコンバータ122は、供給先回路の消費電流に応じて、二者択一型の1組のセレクタが、それぞれ互いに異なるインダクタンス値とキャパシタンス値とを持つ、インダクタとキャパシタとの2つの組のうちの1つの組を選択する構成の例であった。しかしながら、供給先回路の消費電流に応じて、電力変換効率において、最も適したインダクタとキャパシタとの組を選択することができれば、必ずしも、二者択一型の1組のセレクタが、インダクタとキャパシタとの2つの組のうちの1つの組を選択する構成に限られる必要はない。
【0061】
一例として、供給先回路の消費電流に応じて、三者択一型の1組のセレクタが、それぞれ互いに異なるインダクタンス値とキャパシタンス値とを持つ、インダクタとキャパシタとの3つの組のうちの1つの組を選択する構成等が考えられる。
(4)実施の形態において、第2DC−DCコンバータ122は、携帯電話機100に搭載されて利用される場合の例であったが、電池を内蔵し、消費電流が動的に変動する回路を備えている電子機器に搭載されて利用されれば、必ずしも、携帯電話機に搭載されて利用される場合に限られる必要はない。
【0062】
第2DC−DCコンバータ122が搭載されて利用される電子機器の例として、例えば、ノートパソコン、PDA(Personal Digital Assistant)、トランシーバ等が考えられる。
(5)実施の形態において、携帯電話機100は、ユーザによって通話を開始するためのオフフックキーの押下操作がなされると、CPU125が切替信号を論理値“0”から論理値“1”へと変更する構成の例であったが、CPU125が通話に係る処理を開始するときに切替信号を論理値“0”から論理値“1”へと変更することができれば、必ずしも、ユーザによって通話を開始するためのオフフックキーの押下操作がなされることを契機として、CPU125が切替信号を論理値“0”から論理値“1”へと変更する構成の例に限られる必要はない。
【0063】
一例として、CPU125が、通話に係る所定の処理を開始したことを契機として、切替信号を論理値“0”から論理値“1”へと変更する構成等の例が考えられる。
また、実施の形態において、携帯電話機100は、ユーザによって通話を終了するためのオンフックキーの押下操作がなされると、CPU125が切替信号を論理値“1”から論理値“0”へと変更する構成の例であったが、CPU125が通話に係る処理を終了するときに切替信号を論理値“1”から論理値“0”へと変更することができれば、必ずしも、ユーザによって通話を開始するためのオンフックキーの押下操作がなされることを契機として、CPU125が切替信号を論理値“1”から論理値“0”へと変更する構成の例に限られる必要はない。
【0064】
一例として、CPU125が、通話に係る所定の処理を終了したことを契機として、切替信号を論理値“1”から論理値“0”へと変更する構成等の例が考えられる。
(6)実施の形態において、携帯電話機100は、CPU125が、通話に係る処理を行っている期間に切替信号を論理値“1”とする構成の例であったが、CPU125の平均消費電流が比較的多い期間(実施の形態においては、平均消費電力が190mA以上となる期間)に切替信号を論理値“1”とすることができれば、必ずしも、通話に係る処理を行っている期間に切替信号を論理値“1”とする構成に限られる必要はない。
【0065】
一例として、携帯電話機100がデジタルTV放送の受信機能を有し、CPU125がデジタルTV放送のデコード処理を行っている期間に消費電流が比較的多く(実施の形態にける、平均消費電力が190mA以上に相当)なる構成において、CPU125がデジタルTV放送のデコード処理を行っている期間に、切替信号を論理値“1”とする構成の例等が考えられる。
【0066】
一例として、携帯電話機100が動画再生機能を有し、CPU125が動画再生処理に係る処理を行っている期間に消費電流が比較的多く(実施の形態にける、平均消費電力が190mA以上に相当)なる構成において、CPU125が動作再生処理に係る処理を行っている期間に、切替信号を論理値“1”とする構成の例等が考えられる。
一例として、携帯電話機100がムービー撮影機能を有し、CPU125がムービー処理に係る処理を行っている期間に消費電流が比較的多く(実施の形態にける、平均消費電力が190mA以上に相当)なる構成において、CPU125がムービー撮影処理に係る処理を行っている期間に、切替信号を論理値“1”とする構成の例等が考えられる。
【0067】
また、別の一例として、CPU125の消費電流をモニターする電流モニター回路を備え、この電流モニター回路が、CPU125の平均消費電流が比較的多い期間(実施の形態においては、平均消費電力が190mA以上となる期間)に論理値“1”、それ以外の期間に論理値“0”となる切替信号を出力する構成の例等が考えられる。
(7)実施の形態において、第2DC−DCコンバータ122は、第1インダクタ311が15.0μHであり、第1キャパシタ321が2.2μFである構成の例であったが、CPU125の平均消費電流が比較的少ない期間において、比較的高い電力変換効率を実現することができれば、必ずしも、第1インダクタ311が15.0μHであり、第1キャパシタ321が2.2μFである構成に限られる必要はない。
【0068】
一例として、第1インダクタ311が33μHであり、第1キャパシタ321が1.0μFである構成が考えられる。
また、実施の形態において、第2DC−DCコンバータ122は、第2インダクタ312が3.3μHであり、第2キャパシタ322が10μFである構成の例であったが、CPU125の平均消費電流が比較的多い期間において、比較的高い電力変換効率を実現することができれば、必ずしも、第2インダクタ312が3.3μHであり、第2キャパシタ322が10μFである構成に限られる必要はない。
【0069】
一例として、第2インダクタ312が6.8μHであり、第2キャパシタ322が4.7μFである構成が考えられる。
(8)実施の形態において、ユーザインターフェース制御用LSI124とCPU125と通信用LSI126とは、互いに独立に集積化されている構成の例であったが、必ずしもこれらの集積回路が互いに独立に集積化されている必要はない。
【0070】
一例として、ユーザインターフェース制御用LSI124とCPU125と通信用LSI126とが1つの集積回路に集積されている構成等が考えられる。さらには、ユーザインターフェース制御用LSI124とCPU125と通信用LSI126とに加えて、メモリ127をも含めて1つの集積回路に集積されている構成も考えられる。
(9)実施の形態において、スイッチングIC300は、整流作用をするためのMOSFETスイッチ302を備える構成の例であったが、グラウンドとSW端子305との間の整流作用をする機能を有していれば、必ずしもMOSFETスイッチ302を備える構成である必要はない。
【0071】
一例として、MOSFETスイッチ302の替わりに、ダイオードを備える構成等が考えられる。
(10)実施の形態において、第2セレクタ323は、第1キャパシタ321と第2キャパシタ322とのいずれか一方を選択するためのセレクタである構成の例であったが、切替信号の論理値が“0”の場合と“1”の場合とで、第2DC−DCコンバータ122が直流電圧変換に利用するキャパシタのキャパシタンス値を変更することができれば、必ずしも第1インダクタ311と第2インダクタ312とのいずれか一方を選択するためのセレクタである構成に限られる必要はない。
【0072】
一例として、第1キャパシタ321が、切替信号の論理値に関わらず常に第2DC−DCコンバータ122が直流電圧変換に利用するキャパシタとして機能するように構成され、第2セレクタ323が、切替信号の論理値が“1”の場合に限って、第2キャパシタ322を第2DC−DCコンバータ122が直流電圧変換に利用するキャパシタに追加するセレクタとして機能するように構成される例等が考えられる。
(11)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
(12)以下、さらに本発明の一実施形態に係るDC−DCコンバータの構成及びその変形例と各効果について説明する。
(a)本発明の一実施形態に係るDC−DCコンバータは、第1及び第2のインダクタと、前記第1のインダクタと前記第2のインダクタとを択一的に選択して充放電路に挿入する第1のセレクタと、第1及び第2のキャパシタと、前記第1のキャパシタと前記第2のキャパシタとを択一的に選択して放電路に挿入する第2のセレクタと、電力供給先である外部回路が第1の状態である場合に、前記第1のセレクタが前記第1のインダクタを選択し、前記第2のセレクタが前記第1のキャパシタを選択し、当該外部回路が当該第1の状態と互いに平均消費電流が異なる第2の状態である場合に、前記第1のセレクタが前記第2のインダクタを選択し、前記第2のセレクタが前記第2のキャパシタを選択するように、前記第1のセレクタの選択状態と前記第2のセレクタの選択状態とを制御する制御回路とを備えることを特徴とする。
【0073】
上述の構成を備える本実施の形態に係るDC−DCコンバータは、電力供給先回路が第1の状態である場合と、第1の状態と互いに平均消費電流が異なる第2の状態である場合とで、インダクタのインダクタンス値とキャパシタのキャパシタンス値との組み合わせを切り替える。
従って、このDC−DCコンバータは、第1のインダクタのインダクタンス値と第2のキャパシタのキャパシタンス値とが、供給先回路が第1の状態である場合におけるインダクタンス値の最適値とキャパシタンス値の最適値となるように、そして、第2のインダクタのインダクタンス値と第2のキャパシタのキャパシタンス値とが、供給先回路が第2の状態である場合におけるインダクタンス値の最適値とキャパシタンス値の最適値となるようにすることで、電力供給先回路の消費電流が変動するような場合に、従来より電力変換効率を向上させることができる。
(b)また、前記第2の状態は、前記第1の状態よりも前記外部回路の消費電流が多い状態であり、前記第1のインダクタの第1インダクタンス値は、前記第2のインダクタの第2インダクタンス値よりも大きく、前記第1のキャパシタの第1キャパシタンス値は、前記第2のキャパシタの第2キャパシタンス値よりも小さいとしてもよい。
【0074】
これにより、外部回路が第1の状態から第2の状態へと状態遷移して外部回路の平均電流が増加した場合に、インダクタのインダクタンス値を小さくして、キャパシタのキャパシタンス値を大きくすることができる。
(c)また、前記第2キャパシタンス値は、前記第1キャパシタンス値と前記第1インダクタンス値との積を前記第2インダクタンス値で除算することで得られる値と略同一であるとしてもよい。
【0075】
これにより、第1のインダクタと第1のキャパシタとを利用して直流電圧変換する状態から、第2のインダクタと第2のキャパシタとを利用して直流電圧変換する状態へと状態遷移しても、インダクタとキャパシタとからなるローパスフィルタの共振周波数特性の変化を略抑制することができる。
(d)また、スイッチング素子を周期的にオンオフすることにより、入力電圧を前記第1及び第2のインダクタに印加する充電路と、前記充電路を通じて第1及び第2のインダクタに蓄積された誘導エネルギーを前記第1及び第2のキャパシタに転送する放電路とを交互に形成し、前記第1及び第2のキャパシタの両端から出力電圧を得るとしてもよい。
【0076】
これにより、出力電圧の平滑化を効率的に行うことができる。
(e)本発明の一実施形態に係る携帯通信端末は、電池と、前記電池から供給される電力を受けて動作する請求項1記載のDC−DCコンバータと、前記DC−DCコンバータから供給される電力を受けて動作する通信回路とを備え、前記外部回路は、前記通信回路であり、前記第1の状態は、待ち受け状態であり、前記第2の状態は、通話状態であることを特徴とする。
【0077】
上述の構成を備える本実施の形態に係る携帯通信端末は、通信回路に電力を供給するDC−DCコンバータの電力変換効率について、携帯通信端末が待ち受け状態である場合と、携帯通信端末が通話状態である場合との双方の場合において、比較的高い電力変換効率を実現することができるようになる。
(f)また、前記DC−DCコンバータは、降圧型DC−DCコンバータであるとしてもよい。
【0078】
これにより、携帯通信端末に内蔵する電池の電力を、その電池の直流電圧よりも低い直流電圧で動作する通信回路に利用することができるようになる。
(g)また、前記通信回路は、通信に係る処理を行うCPUを含んで構成されるとしてもよい。
これにより、通信に係る処理の少なくとも一部を、CPUが実行するソフトウエアによって規定することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、直流電源を使用する機器に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
121 第1DC−DCコンバータ
122 第2DC−DCコンバータ
123 第3DC−DCコンバータ
124 ユーザインターフェース制御用LSI
125 CPU
126 通信用LSI
130 電池
300 スイッチングIC
301 MOSFETスイッチ
302 MOSFETスイッチ
303 パルス信号生成回路
311 第1インダクタ
312 第2インダクタ
313 第1セレクタ
321 第1キャパシタ
322 第2キャパシタ
323 第2セレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2のインダクタと、
前記第1のインダクタと前記第2のインダクタとを択一的に選択して充放電路に挿入する第1のセレクタと、
第1及び第2のキャパシタと、
前記第1のキャパシタと前記第2のキャパシタとを択一的に選択して放電路に挿入する第2のセレクタと、
電力供給先である外部回路が第1の状態である場合に、前記第1のセレクタが前記第1のインダクタを選択し、前記第2のセレクタが前記第1のキャパシタを選択し、
当該外部回路が当該第1の状態と互いに平均消費電流が異なる第2の状態である場合に、前記第1のセレクタが前記第2のインダクタを選択し、前記第2のセレクタが前記第2のキャパシタを選択するように、前記第1のセレクタの選択状態と前記第2のセレクタの選択状態とを制御する制御回路とを備える
ことを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項2】
前記第2の状態は、前記第1の状態よりも前記外部回路の消費電流が多い状態であり、
前記第1のインダクタの第1インダクタンス値は、前記第2のインダクタの第2インダクタンス値よりも大きく、前記第1のキャパシタの第1キャパシタンス値は、前記第2のキャパシタの第2キャパシタンス値よりも小さい
ことを特徴とする請求項1記載のDC−DCコンバータ。
【請求項3】
前記第2キャパシタンス値は、前記第1キャパシタンス値と前記第1インダクタンス値との積を前記第2インダクタンス値で除算することで得られる値と略同一である
ことを特徴とする請求項2記載のDC−DCコンバータ。
【請求項4】
スイッチング素子を周期的にオンオフすることにより、入力電圧を前記第1及び第2のインダクタに印加する充電路と、前記充電路を通じて第1及び第2のインダクタに蓄積された誘導エネルギーを前記第1及び第2のキャパシタに転送する放電路とを交互に形成し、前記第1及び第2のキャパシタの両端から出力電圧を得る、請求項1記載のDC−DCコンバータ。
【請求項5】
電池と、
前記電池から供給される電力を受けて動作する請求項1記載のDC−DCコンバータと、
前記DC−DCコンバータから供給される電力を受けて動作する通信回路とを備え、
前記外部回路は、前記通信回路であり、
前記第1の状態は、待ち受け状態であり、
前記第2の状態は、通話状態である
ことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項6】
前記DC−DCコンバータは、降圧型DC−DCコンバータである
ことを特徴とする請求項5記載の携帯通信端末。
【請求項7】
前記通信回路は、通信に係る処理を行うCPUを含んで構成される
ことを特徴とする請求項6記載の携帯通信端末。
【請求項8】
第1及び第2のインダクタと、前記第1のインダクタと前記第2のインダクタとを択一的に選択して充放電路に挿入する第1のセレクタと、第1及び第2のキャパシタと、前記第1のキャパシタと前記第2のキャパシタとを択一的に選択して放電路に挿入する第2のセレクタとを備えるDC−DCコンバータを用いて行うDC電圧変換方法であって、
前記DC−DCコンバータの電力供給先である外部回路が第1の状態である場合に、前記第1のセレクタが前記第1のインダクタを選択し、前記第2のセレクタが前記第1のキャパシタを選択するように、当該外部回路が当該第1の状態と互いに平均消費電流が異なる第2の状態である場合に、前記第1のセレクタが前記第2のインダクタを選択し、前記第2のセレクタが前記第2のキャパシタを選択するように、前記第1のセレクタの選択状態と前記第2のセレクタの選択状態とを制御する制御ステップを含む
ことを特徴とするDC電圧変換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−93969(P2013−93969A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234342(P2011−234342)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】