説明

DC電力線を介する通信

電力供給と通信の複合システム、送信器、受信器、および、電力線を介したデータ通信方法を提供する。電力供給部が、電流源を含み、電力線に出力電流を送出するように構成されている。電流源は、DC成分を出力電流に提供するように構成され、電力供給部は、データ信号に従って出力電流を変調するように構成されている。負荷インターフェイスが、負荷端子にて負荷に接続可能に構成され、電力線からのDC電力を負荷端子に向けて供給可能に構成され、且つ、電力線から受け取った電流を復調してデータ信号を受け取るように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC電力を伝達する電気的接続手段を介する双方向データ通信に関する。本発明は、例えば、センサアレイやトランスデューサアレイに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
多くのアプリケーションにおいて、一つ以上の装置について、電力が供給され、且つ、他の装置とデータ通信するための手段が設けられることが、重要である。これら電力供給およびデータ通信を別々に実現することは容易であるが、電力供給およびデータ通信を同一接続手段により実現することが要求される場合もある。同一接続手段による実現は、ケーブル配線のサイズや、重量、品質が制約される状況、または接続数を制限することが望ましい状況で、有利である。
【0003】
AC電力を供給する接続によるデータ通信のための技術は周知である。DC電源接続により通信を提供するための技術も存在する。これらは、複数のDC電動トランスデューサを使用するとき、特に当該トランスデューサが広い領域に拡散されるときに、有益な技術である。
【0004】
例えば米国特許第5727025号明細書の技術は、データ信号によって変調されたキャリア信号をDC電力信号に重畳することによるデータ通信に関連する。しかし、当該文献には、DC電力信号をどのようにして変調するかについても、複数の送信器からの信号をどのようにしてDC電力線で多重化するかについても、明記されていない。
【0005】
多くのシステムは、電力を供給する中央サーバと複数のクライアントとの間の通信を必要とする。そのようなアプリケーションとして、例えば航空機における複数のディスプレイスクリーンへのビデオ信号の送信など、中央サーバから複数の出力装置への通信がある。別のアプリケーションとして、複数の装置がデータを中央サーバに通信する、例えば大型科学機器内のセンサアレイがある。双方向通信も有益である。
【0006】
これらの状況および他の状況においては、DC電力線における熱損失を低減し、電力供給部から負荷への、通信信号を含む電力伝達の効率を高めることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5727025号明細書
【発明の概要】
【0008】
このような背景において、本発明は、電力供給と通信の複合システムを提供する。このシステムは、電力供給部および負荷インターフェイスを備える。電力供給部は、電流源を含み、出力電流を電力線に送出するように構成されている。電流源は、DC成分を出力電流に提供するように構成されている。そして、電力供給部は、更に、データ信号に従って出力電流を変調するように構成されている。
【0009】
負荷インターフェイスは、負荷端子にて負荷と接続可能に構成されている。負荷インターフェイスは、また、電力線からのDC電力を負荷端子に向けて供給するように構成され、且つ、電力線から受け取った電流を復調してデータ信号を受け取るように構成されている。
【0010】
このような構成の本発明においては、電力供給部が負荷に対して電力を供給しつつ、電力供給部と負荷インターフェイスとの間でDC電力線を介してデータ通信を行うことが可能である。調整可能な電流源を電力供給部にて使用することは、電力供給のための接続における熱損失(電力線における電流と関係がある)を最小化することができることを意味する。これは、システムをより頑健にすると共に、AC電源接続を設けることができず且つ長い電力ケーブルを必要とする用途に対する適合性、例えば地下粒子検出装置における適合性を高める。負荷インターフェイスは、また、負荷によって消費される電流が一定であるか否か、或は、それが時間と共に変動するか否かに関係なく、電流を復調して信号を受け取ることも可能である。
【0011】
電流源は、大きさが一定のDC成分(固定成分)を出力電流に提供するように構成されていることが好ましい。このDC成分の大きさは、システムにおける負荷によって消費される最大電流に等しくさせてもよい。代替的に又は追加的に、電流源は、可変電流成分を提供するように構成してもよい。可変成分については、特に可変成分が固定成分と合成されるときに、データ信号に従って出力電流を変調するように、調整することが可能である。
【0012】
電力供給部は、電流源に接続された電流シンクを備えていてもよく、当該電流シンクは、出力電流を調整して出力電流を変調させるように構成されてもよい。これに代えて、電力供給部は、出力電流を他の方法によって変調するように構成されてもよい。変調はデジタルであることが好ましいが、代替的にアナログ変調でも可能である。パルス変調を使用することが好ましい。
【0013】
好適な実施形態においては、負荷インターフェイスは、前記負荷端子間の電圧が略一定になるように調整するシャントレギュレータを含む。シャントレギュレータは、回路構成上、負荷端子間に配することができ、且つ、負荷インターフェイスが電力線から受け取った電流のうち負荷端子を介して引き出されない電流を引き出すように動作するのが好ましい。シャントレギュレータは、好適には、負荷両端間の電圧を検知し、負荷両端間の電圧が略一定に維持されるように、電力線からの電流の一部について、負荷を避けるように引き出す。
【0014】
シャントレギュレータは、また、電力線の電流の変動をも検知することができる。これらの変動は復調器に提供することができ、復調器は検知された電流の変動を復調し、それによってデータ信号を受け取る。復調器については、マイクロプロセッサを用いて、或は専用ハードウェアを用いて、実現することができる。
【0015】
負荷インターフェイスについては、更に、第2のデータ信号に従って負荷インターフェイス両端間電圧を変調するように構成することが好ましい。電力供給部については、更に、電力供給部両端間電圧を変調して第2のデータ信号を受け取るように構成することが好ましい。
【0016】
電流変調を利用して電力供給部から負荷インターフェイスに信号を伝達し、且つ、電圧変調を利用して負荷インターフェイスから電力供給部に信号を伝達することにより、電力線による同時双方向通信が可能となる。負荷インターフェイスは、電力線から受け取る電力によって動作することが好ましい。電圧変調はデジタルであることが好ましいが、代替的にアナログ変調を使用することもできる。
【0017】
好適な実施形態においては、第2の負荷インターフェイスが第1の負荷インターフェイスと直列に接続される。第2の負荷インターフェイスは、DC電力接続線から受け取った電流を復調し、且つ、DC電力線における第2の負荷インターフェイス両端間電圧を変調する。第2の負荷インターフェイスは、実質的にDC電力を負荷に供給する。この負荷は、第1の負荷インターフェイスによって動作する負荷(第1の負荷)であってもよいし、或は、当該負荷とは異なる第2の負荷であってもよい。負荷が第2の負荷である場合、当該第2の負荷は、第1の負荷と同一のパラメータ(電流消費を含む)を有するものでもよい。或は、第2の負荷は、第1の負荷と異なるパラメータ(電流消費を含む)を有するものでもよい。
【0018】
電流値が略一定の電流源の使用は、好都合にも、各負荷に供給される電流が固定されることを意味する。更に、第1および第2の負荷は、共に、DC電力接続線における各々の両端間電圧を独立して変調可能であってもよい。
【0019】
その結果、別個のデータ伝送線は不要となり、負荷は電流を吸い込むことができないので全ての負荷が同一電流信号を受け取り、最大信号速度を高くすることができ、電力供給用ケーブルの断線可能性が低下するのでシステムは本質的に頑健となり、そして、信号伝達に係る電力消費は低くなる傾向がある。更に、負荷による電圧変調は差動伝送信号であり、従ってノイズに対する耐性が高まる。したがって、本発明は、輸送システム(例えば、自動車や船舶の電気設備)、油田、および鉱山における、ビデオシステムにも適用可能である。
【0020】
本発明は、また、次のような電力供給部および負荷インターフェイスを備える、電力供給と通信の複合システムにも適用することができる。電力供給部は、DC成分を含む出力電流を電力線に送出するように構成されている。負荷インターフェイスは、負荷端子にて負荷と接続可能に構成され、電力線からのDC電力を負荷端子に向けて供給するように構成され、且つ、電力線における負荷インターフェイス両端間電圧をデータ信号に従って変調するように構成されている。そして、電力供給部は、更に、電力線における電力供給部両端間電圧を復調して前記データ信号を受け取るように構成されている。
【0021】
本発明は、種々の方法で実施することができ、そのうちの一つにつき、単なる例として、添付の図面を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】電力供給部と、負荷インターフェイスと、負荷とを有する本発明に係るシステムのブロック図である。
【図2】図1のシステムの実施形態を表わす回路図である。
【図3】複数の負荷インターフェイスおよび複数の負荷を含んでなる本発明に係るシステムのブロック図である。
【図4】図2に示される負荷インターフェイスの実施形態の更に詳細な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、図1を参照すると、本発明に係るシステムのブロック図が示されている。システムは、DC電力接続線30を介して負荷インターフェイス20に電力を供給する電力供給部10を備える。負荷インターフェイス20には、負荷25が接続されている。
【0024】
電力供給部10は、DC電力接続線30を流れる電流を調整する。DC電力が接続線30を流れるように、電流は、ゼロでない一定の成分を含む。これとともに、電力供給部10は、接続線30に供給される調整電流に可変成分をも含ませる。電流の当該変動は、負荷インターフェイス20に伝達されるように意図されたデータ信号に基づいて行われる。この変動は、それによって電流を変調させる。
【0025】
負荷インターフェイス20は、接続線30を流れる電流から電力を引き出す。負荷インターフェイス20は、DC電力を負荷25に供給する。負荷インターフェイス20は、また、電流の種々の成分を検知し、電流を復調して、電力供給部10によって伝達されるデータ信号を得る。
【0026】
負荷インターフェイス20は、また、第2のデータ信号に基づいてそれ自体の両端間電圧をも変動させ、それによって負荷インターフェイスの両端間電圧を変調する。電力供給部はこれらの電圧の変動を検知し、検知された電圧を復調して第2のデータ信号を受け取る。
【0027】
次に、図2を参照すると、図1のシステムの実施形態を表わす回路図が示されている。電力供給部10は、実質的にDC電流を提供する電流源110と、マイクロプロセッサ120と、差動増幅器130とを備える。負荷インターフェイス20は、インピーダンス210と、インピーダンススイッチ220と、マイクロプロセッサ230と、シャントレギュレータ240とを備える。負荷インターフェイス20は負荷25に接続されている。
【0028】
電力供給部10では、マイクロプロセッサ120が電流源110を制御する。電流源110は、接続線30およびその後に負荷インターフェイス20を流れる電流を、生じる。電流源によって供給されるDC電流において、データ信号に基づいてデジタルまたはアナログの可変信号を重畳させるために、電流源110に近接して或はその一部として電流シンクが設けられる。これを利用して、マイクロプロセッサ120は、電流源110によって供給されるDC電流の上に電流パルスを重畳させる。電流パルスはデータ信号を表わす。
【0029】
負荷インターフェイス20を流れる電流の一部は、シャントレギュレータ240を流れる。これは、負荷25に対するローカル電源として働き、負荷25の両端間電圧が略一定であることを確実にする。シャントレギュレータ240は、負荷25に並列して配された可変抵抗器として働く。シャントレギュレータ240は、シャントレギュレータの両端間電圧が固定値に維持されるように、電力線から電流を引き出す。電力供給部10によって供給される電流が負荷25の電流消費を超えると、過剰電流がシャントレギュレータ240を流れる。
【0030】
シャントレギュレータ240を負荷25に近接させることにより、いわゆるPSRR(即ち、電源電圧の変化によって入力オフセット電圧が増減する割合を表す値)は本質的に高くなる。したがって、システムは、電力線30の電圧または電流の変動に対する感度が低下する。これにより、ノイズまたは不要信号ピックアップの電力線への影響が軽減される。更に、シャントレギュレータ240の使用は、電力供給部10側の視点から捉えると、負荷インターフェイス20の電気系に対する負荷25の影響が大幅に軽減されることを意味する。
【0031】
シャントレギュレータ240を流れる過剰電流は、電力供給部で電流に付加される変調を含む。この変調信号は、復調および復号のために、シャントレギュレータ240からマイクロプロセッサ230に受け渡すことができる。
【0032】
マイクロプロセッサ230は、また、インピーダンススイッチ220をも制御する。インピーダンススイッチ220を切り替えることにより、インピーダンス210は、回路に接続されたり、回路から断続される。これは、負荷インターフェイス20の総合インピーダンスを変動させる。負荷インターフェイス20のインピーダンスが変動すると、それに応じて、負荷インターフェイス20の両端間での電圧降下が変動する。それにより、マイクロプロセッサ230は、負荷インターフェイス20の両端間の略一定電圧に電圧パルスを重畳させる。電圧パルスはデータ信号を表わす。
【0033】
電圧の変動は、電力供給部10の差動増幅器130によって検知することができる。すなわち、差動増幅器130の入力に電圧パルスが発生する。それによって当該パルスは、負荷インターフェイス20側から伝達されたデータ信号の復調および復号のために、マイクロプロセッサ120に受け渡される。
【0034】
ここで、図3を参照すると、図1のシステムに基づくが複数の負荷インターフェイスを有するシステムのブロック図が示されている。複数の負荷インターフェイスは直列に接続されている。各負荷インターフェイスには負荷25が接続されているが、これらの負荷は負荷インターフェイス間で同一である必要はない。
【0035】
単一の電力供給部と直列の負荷に電力を供給するコンセプトは、直列電力供給として公知である。このコンセプトは、負荷が電圧調整を必要とし且つ同様の電流を引き出すことが期待される場合に、有益である。その場合、電流源によって提供される電流の選択は、効率上の理由から、電力線における熱損失を最小化するように決定される。定電圧源を使用する並列電力供給では、電力供給部から引き出される電流は、各負荷および該当する場合には負荷インターフェイスによって引き出される全ての電流の総和に等しい。これは電力接続手段における著しい熱損失を導く。対照的に、直列電力供給が使用される場合、電力供給部から引き出される電流は、システムの全ての負荷において引き出される中の最大個別電流程度が必要になるだけである。したがって、熱損失は低減される。このようなコンセプトは、特に、電力接続手段のインピーダンスが大きくなることがある場合に、例えば長いケーブルが必要である場合に、適用可能である。そのような用途として、検出機器装備(detector instrumentation)が挙げられるが、他の用途にも使用することができる。
【0036】
図3の実施形態では、電力供給部10は、直列に配された負荷の各々に対して接続線30介して伝達される電流を変調する。これにより、各負荷は、電力供給部10から送信されたデータ信号を受け取ることができる。更に、各負荷は、データ信号を電力供給部10に送り返すために、それ自体の両端間電圧を変調することができる。
【0037】
図4を参照すると、図2に示した負荷インターフェイスの実施形態の更に詳細な回路図が示されている。電力線からの電流はインピーダンス210を介して引き出される。インピーダンススイッチは、マイクロプロセッサ230によって制御されるパストランジスタ221,222によって設けられる。また、電流は、負荷を接続することのできる負荷端子250と並列に接続されたシャントレギュレータ240内に流れる。
【0038】
パストランジスタ221,222は、マイクロプロセッサ230によって制御され、これにより、電力供給部10から見て負荷インターフェイス20のインピーダンスを変動させる。このようにして、デジタル信号はパストランジスタ221,222に印加することができ、このデジタル信号に従ってパストランジスタはインピーダンス210を接続および断続させる。したがって、負荷インターフェイス20の両端間電圧は、このデジタル信号に従って変動する。
【0039】
シャントレギュレータ240は分圧器を備え、当該分圧器は、抵抗器241,242、演算増幅器243、バンドギャップリファレンス244、電源装置245、および、低インピーダンス電流センス246を含む。
【0040】
電源装置245は、比較器243によって制御され、電力供給部10から受け取り負荷25によって消費されない過剰電流のシンクとして働く。このように構成することで、負荷25の両端間電圧およびそれによって消費される電流は略一定に維持される。電源装置245によって引き出される過剰電流は、低インピーダンス電流センス246によって検知される。この低インピーダンス電流センスはホールプローブまたは抵抗器とすることができる。過剰電流は電流センスの両端に比例的な電圧降下を生じ、それはマイクロプロセッサ230によって測定される。これにより、電力供給部10から送信される電流パルスは、負荷インターフェイス20によって検出される電圧パルスに変換される。
【0041】
負荷が切断されたときに、或は、有意の電流引出しを停止したときに、問題を緩和するために、過電流保護をシャントレギュレータに設けることが有益な場合がある。
【0042】
電力供給部10から負荷インターフェイス20への伝送によるシステムの電力消費は、DC接続抵抗や、電流変動を検知するために使用される方法(例えば低インピーダンス電流センスの値)、電流変動の振幅に依存することが観察されている。更に、伝送のための帯域幅はシャントレギュレータの帯域幅によって決定され、高くすることができる。
【0043】
特定の実施形態について上述したが、当業者ならば、種々の変形例および代替例を思いつき得る。例えば、当業者ならば、負荷インターフェイス20のインピーダンスを変動させるための様々な方法のように、負荷インターフェイス20の両端間電圧降下を変動させるための代替的方法があることを容易に理解できるであろう。
【0044】
好適な実施形態における電力消費負荷は、大きさ一定のDC電流によって電力を供給されるが、電力消費負荷が当該一定電流を引き出す必要の無いことを当業者は理解し得るであろう。代替的には、電力消費負荷は可変電流を引き出すことがある。そのような場合、電力消費負荷によって使用されない過剰電流は時間と共に変動することがある。そのような変動を電力供給部によって送信される変調から分離するための当業界で公知の処理またはフィルタリング技術、例えばパターン認識があることを、当業者ならば理解可能である。任意選択的に負荷の両端間電圧を変動させることもできる。
【0045】
上述した実施形態は、最初にシステムの構成要素を制御し、第2に変調を生じさせ、第3に必要に応じて復調を達成するためにマイクロプロセッサを使用するが、これらの機能の一つ以上をデジタル論理回路の構成に置き換えることができることを、当業者ならば理解し得るであろう。様々な機能を様々な形のハードウェアまたはソフトウェアで実現してもよい。代替的には、これらの機能の一つ以上にアナログ回路構成を使用してもよい。
【0046】
また、当業者であれば、通信のため、又は、更なる回路構成もしくは電力供給部自体のどちらかを制御するために、電力供給部で受け取る信号を使用することができることも認識し得るであろう。例えば、本発明は、電力および音信号を航空機の座席に提供するためのシステムに使用することができる。そのような実施例では、各座席のユーザが音信号の好みを指示することができ、各負荷インターフェイスによって送信される信号はこの好みに対応することとなる。そして、電力供給部で受け取った信号は、オーディオ装置、例えばCDプレーヤを制御するために使用することができる。
【0047】
追加的にまたは代替的に、負荷インターフェイスで受け取った信号は負荷に受け渡すことができ、或は、更なる装置に受け渡すことができる。例えば、負荷がセンサである場合、負荷インターフェイスで受け取った信号は、センサによって測定される対象のパラメータに加えて又はそれに代えて、センサのパラメータを変更することができる。
【0048】
上記の実施形態におけるシャントレギュレータは集積回路にて実現されているが、当業者であれば、これに代えて、個別部品を用いて実現することができることを理解し得るであろう。また、演算増幅器回路は別の形の比較器回路に置き換えることができ、バンドギャップリファレンスをツェナダイオードに置き換えることもできる。
【0049】
負荷における電流を検知する手法が存在することや、入力インピーダンスを変動する代替的方法が手法することも、容易に理解されよう。これら手法には、例えば、ホールプロービングや、巨大磁気抵抗効果、電子インダクタを用いた手法が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線に出力電流を送出するように構成され、前記出力電流にDC成分を提供するように構成された電流源を含み、且つ、データ信号に従って前記出力電流を変調するように構成された、電力供給部と、
負荷端子にて負荷と接続可能に構成され、前記電力線からのDC電力を前記負荷端子に向けて供給するように構成され、且つ、前記電力線から受け取った電流を復調して前記データ信号を受け取るように構成された、負荷インターフェイスと、を備える、電力供給と通信の複合システム。
【請求項2】
前記負荷インターフェイスは、前記電力線における負荷インターフェイス両端間電圧を、第2のデータ信号に従って変調するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記負荷インターフェイスは、前記電力線における負荷インターフェイス両端間電圧を変調するように、前記電力線における前記負荷インターフェイスのインピーダンスを変動させるように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電力供給部は、前記電力線における電力供給部両端間電圧を復調して前記第2のデータ信号を受け取るように構成されている、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
DC成分を含む出力電流を電力線に送出するように構成された電力供給部と、
負荷端子にて負荷と接続可能に構成され、前記電力線からDC電力を負荷端子に向けて供給するように構成され、且つ、前記電力線における負荷インターフェイス両端間電圧をデータ信号に従って変調するように構成された、負荷インターフェイスと、を備え、
前記電力供給部は、前記電力線における電力供給部両端間電圧を復調して前記第2のデータ信号を受け取るように構成されている、電力供給と通信の複合システム。
【請求項6】
前記電流源は、大きさが一定のDC成分を提供するように構成されている、請求項1から5のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項7】
前記電流源は、可変成分を提供するように構成されている、請求項1から6のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項8】
前記電流源は、前記データ信号に従って前記出力電流の可変成分を調整して前記出力電流を変調するように構成されている、請求項1に従属する請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記電力供給部は、前記電流源に接続された電流シンクを含み、当該電流シンクは、前記出力電流を調整して前記出力電流を変調するように構成されている、請求項1から7のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項10】
前記負荷インターフェイスはシャントレギュレータを含み、当該シャントレギュレータは、前記負荷端子間の電圧について略一定となるべく調整するように構成されている、請求項1から9のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項11】
前記シャントレギュレータは、回路構成上、前記負荷端子間に配され、且つ、前記負荷インターフェイスが前記電力線から受け取った電流のうち、前記負荷端子を介して引き出されない電流を、引き出すように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記シャントレギュレータは、前記電力線の電流の変動を検知するように構成されている、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
前記負荷インターフェイスは復調器を含み、当該復調器は、検知された電流の変動を復調し、それによって前記データ信号を受け取るように構成されている、請求項1に従属する請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記負荷インターフェイスは第1の負荷インターフェイスであり、
前記電力線上にて前記第1の負荷インターフェイスと直列に接続された第2の負荷インターフェイスを更に備え、
前記第2の負荷インターフェイスは、負荷と接続可能に構成されており、且つ、前記電力線からのDC電流を当該負荷に供給するように構成されている、請求項1から13のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項15】
前記第2の負荷インターフェイスは、前記電力線から受け取った電流を復調して前記データ信号を受け取るように構成された、請求項1に従属する請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2の負荷インターフェイスは、前記電力線における第2の負荷インターフェイス両端間電圧を、第3のデータ信号に従って変調するように構成されている、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項17】
前記電力供給部は、前記電力線における電力供給部両端間電圧を復調して前記第3のデータ信号を受け取るように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記負荷インターフェイスは、前記電力線から受け取った電力によって動作するように構成されている、請求項1から17のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項19】
前記負荷インターフェイスは第1の負荷インターフェイスであり、
前記電力線上にて前記第1の負荷インターフェイスと直列に接続された第2の負荷インターフェイスを更に備え、
前記第2の負荷インターフェイスは、負荷端子にて負荷と接続可能に構成されており、且つ、前記電力線における第2の負荷インターフェイス両端間電圧を、第2のデータ信号に従って変調するように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
負荷に接続された負荷インターフェイスと電力供給部との間で電力線を介してデータ通信を行う方法であって、
前記電力供給部は、電流源を含み、前記電力線に出力電流を送出するものであり、
前記電流源から前記出力電流にDC成分を提供するステップと、
データ信号に従って前記出力電流を変調するステップと、
前記電力線から前記負荷インターフェイスを介して前記負荷にDC電流を供給するステップと、
前記電力線から前記負荷インターフェイスにて受け取った電流を復調して前記データ信号を受け取るステップと、を含む方法。
【請求項21】
前記電力線における負荷インターフェイス両端間電圧を第2のデータ信号に従って変調するステップを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記電力線における負荷インターフェイス両端間電圧を変調する前記ステップは、前記電力線における前記負荷インターフェイスのインピーダンスを変動させるステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記電力線における電力供給部両端間の前記変調された電圧、を復調して、前記第2のデータ信号を受け取るステップを更に含む、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
出力電流を変調する前記ステップは、前記電流源に接続された電流シンクを前記データ信号に従って調整するステップを含む、請求項20から23のいずれか一つに記載の方法。
【請求項25】
電力供給部と負荷インターフェイスとの間で電力線を介してデータ通信を行う方法であって、
前記電力供給部は、DC成分を含む出力電流を前記電力線に送出するものであり、
前記電力線における負荷インターフェイス両端間電圧をデータ信号に従って変調するステップと、
前記電力線における電力供給部両端間の前記変調された電圧、を復調して、前記データ信号を受け取るステップと、を含む方法。
【請求項26】
前記DC成分の大きさは一定である、請求項20から25のいずれか一つに記載の方法。
【請求項27】
前記電流源から前記出力電流に可変成分を提供するステップを更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
出力電流を変調する前記ステップは、前記データ信号に従って前記可変成分を調整するステップを含む、請求項20に従属する請求項27に記載の方法。
【請求項29】
出力電流を有する電力供給可能データ送信器であって、
連結される負荷に電力を供給するために前記出力電流にDC成分を提供するように構成された電流源と、
データ信号に従って前記出力電流を変調するように構成された変調器と、を備える電力供給可能データ送信器。
【請求項30】
データ信号に従って変調されたDC電流を伝達する電力線に接続されるように構成され、負荷端子にて負荷に接続可能に構成され、且つ、前記電力線からのDC電力を前記負荷端子に向けて供給するように構成された、受信器であって、
前記受信器は復調器を備え、
前記復調器は、前記電力線から受け取った電流を復調して、連結された電力供給可能データ送信器からのデータ信号を受け取るように、構成されている、受信器。
【請求項31】
DC電流供給用に連結される電力供給部に接続された電力線から電力を受け取るように構成され、負荷端子にて負荷に接続可能に構成され、且つ、前記電力線からのDC電力を前記負荷端子に向けて供給するように構成された、送信器であって、
前記送信器は変調器を備え、
前記変調器は、前記電力線における変調器両端間電圧をデータ信号に従って変調するように構成されている、送信器。
【請求項32】
出力端子を有する電力供給可能受信器であって、
連結される送信器に電力を供給するために前記出力端子に向けてDC電流成分を供給するように構成された電流源と、
前記出力端子間の電圧を復調してデータ信号を受け取るように構成された復調器と、を備える電力供給可能受信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−524319(P2010−524319A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501581(P2010−501581)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001154
【国際公開番号】WO2008/119996
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(507187802)ザ サイエンス アンド テクノロジー ファシリティーズ カウンシル (15)
【氏名又は名称原語表記】THE SCIENCE AND TECHNOLOGY FACILITIES COUNCIL
【住所又は居所原語表記】Harwell Innovation Campus, Rutherford Appleton Laboratory, Chilton, Didcot, Oxon OX11 0QX, UNITED KINGDOM
【Fターム(参考)】