説明

DINレール取付け構造

【課題】接地されているDINレールと機器内部との絶縁距離を確保し、DINレールのガタツキや微振動を抑えて、機器がDINレールを横滑りし落下して破損することを未然に防ぐ。
【解決手段】固定係合爪部成形用金型抜き穴9が、リアケース5の外面部側に形成された凹部10と、凹部10の底部に形成された穴部11で構成し、弾性閉塞体12は、ベース部13と、このベース部13に突設された栓状部14と、この栓状部14に突設された弾接用突出部15を有し、弾接用突出部15にレール弾接部15Bが形成し、ベース部13を凹部10に嵌合すると共に、栓状部14を穴部11に嵌合して固定係合爪部成形用金型抜き穴9を弾性閉塞体12により閉塞し、弾接用突出部15を固定係合爪部8の裏面側に突出させて、レール弾接部15BをDINレール1の係合辺部1Bに弾接させ、DINレール1を固定係合爪部8とロックスライダ30とで挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源装置或いはプログラマブルコントロールユニット等の機器をDINレールに取り付けるためのDINレール取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、DINレール取付け構造は、機器、例えば、電源機器の筐体の背面部に装着されたレール係合装置を備えており、レール係合装置を構成するプレート本体には、横方向に沿う係合凹部が形成してあり、係合凹部の上側辺部には固定係合爪部が形成してある。また、係合凹部の下側辺部には、係合凹部に対向するようにスライドロック溝部が形成してある。
【0003】
そして、スライドロック溝部には、スライドロック部材がばね部材により固定係合爪部側に付勢された状態で摺動可能に設けてあり、このスライドロック部材の先端部に設けた可動固定係合爪部が係合凹部内に突出している。
【0004】
そして、電源機器を手で持って、レール係合装置の固定係合爪部をDINレールの一方の係合辺部に引っ掛けた状態で、電源機器をDINレール側に移動して、スライドロック部材の可動固定係合爪部をDINレールの他方の係合辺部に押し付けることにより、この押付力の、可動固定係合爪部の斜面部で生じる分力で、ばね部材のばね力に抗してスライドロック部材をアンロック方向に移動させ、DINレールを係合凹部に挿入し、ばね部材のばね力でスライドロック部材をロック方向に移動させて、可動固定係合爪部をDINレールの他方の係合辺部に係合させることで、電源機器がDINレールに取付けてある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−64114号公報。
【0005】
上記したDINレール取付け構造は、機器の筐体そのものに係合凹部及び固定係合爪部を一体成形するものではなく、筐体の背面部に装着部を形成して、この装着部にレール係合装置を装着するものであるが、部品点数を減らすと共に機器の小型化等を狙って、上記したDINレール取付け構造とは別に、従来、電源機器の筐体そのものに係合凹部及び固定係合爪部を一体成形したものがある。
【0006】
その一例としては、図17に示すように、筐体40の背面部に、係合凹部41と固定固定係合爪部42とスライドロック溝部43とを金型のサイドコアにより形成して、スライドロック溝部43に、スライドロック部材44をばね部材(図示せず)により固定係合爪方向(ロック方向)に付勢された状態で摺動可能に設けたDINレール取付け構造がある。
【0007】
また、他の例としては、図18に示すように、筐体の一部であるリアケース40Aの外面部に係合凹部41とスライドロック溝部43とを金型のサイドコアにより形成し、固定固定係合爪部42を可動コアにより形成して、スライドロック溝部43に、スライドロック部材44をばね部材(図示せず)により固定係合爪方向(ロック方向)に付勢された状態で摺動可能に設けたDINレール取付け構造がある。この場合、係合凹部41の面部41aに可動コアの抜きにより形成された固定係合爪部成形用金型抜き穴45が形成されることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図17に示す従来のDINレール取付け構造にあっては、筐体40の背面部に係合凹部41と固定固定係合爪部42とスライドロック溝部43とを金型のサイドコアにより形成しているために、成型金型の構造が複雑となって金型費用が高いという問題点があった。
【0009】
また、DINレールは種々の製造メーカが製作しているが、基本寸法は同じであっても製造工程の違いで微妙に寸法が異なっている。例えば、アルミ押出し成形で製作されたもの、1mm鉄板をプレス成形して製作されたもの、厚めの鉄板をプレス成形し両係合辺部を薄く絞ったもの等がある。筐体40の背面部やリアケース40Aに成形された係合凹部41と固定係合爪部42の形状を全ての種類のDINレールに対応するようにすると、係合辺部が薄めのDINレールを使用した場合は係合が緩くなり、DINレールのガタツキや微振動で製品である機器がDINレールを横滑りし落下するという不具合が発生する。
【0010】
また、図18に示す従来のDINレール取付け構造にあっては、リアケース40Aの外面部に係合凹部41とスライドロック溝部43とを金型のサイドコアにより成形し、固定係合爪部42を可動コアにより成形するために、金型費用は安価に抑えられる。しかし、係合凹部41の面部41aに固定係合爪部成形用金型抜き穴45が形成されることになるために、接地されているDINレールと機器内部の電子回路との絶縁距離が不足する場合がある。
【0011】
このような絶縁距離不足の対策としては、リアケース40の肉厚を厚くすることが考えられるが、この場合、コスト高の原因になるし、また、機器内部の電子回路の物理的距離をとることが考えられるが、この場合、機器が大きくなって、コスト高の原因になる。このために、固定係合爪部成形用金型抜き穴45を絶縁シート(図示せず)で被うようにしたものもあるが、この場合も、上記したDINレールのガタツキや微振動による機器の横滑りや落下等の課題は解消されるものではなかった。
【0012】
本発明は、上記した従来の問題点に着目して成されたものであって、その目的とするところは、金型費用が安価に抑えられてコストダウンになるばかりか、接地されているDINレールと機器内部との絶縁距離を確保することができるし、DINレールのガタツキや微振動を抑えることができて、機器がDINレールを横滑りし落下して破損することを未然に防ぐことができるDINレール取付け構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明に係るDINレール取付け構造は、機器の筐体のレール取付面部に設けた係合凹部にDINレールを係脱可能に係合して、係合凹部の一辺部に位置する固定係合爪部と係合凹部の他辺部に位置するロック部材とでDINレールを挟持するようにし、且つ係合凹部の面部に固定係合爪部成形用金型抜き穴が形成されたDINレール取付け構造であって、固定係合爪部成形用金型抜き穴を弾性閉塞体により閉塞すると共に、この弾性閉塞体の一部を固定係合爪部の背部に位置させてDINレールの係合辺部に弾接させ、前記挟持を行なうようにしたものである。
【0014】
かかる構成により、金型費用が安価に抑えられてコストダウンになるばかりか、固定係合爪部成形用金型抜き穴が弾性閉塞体で閉塞されているために、この弾性閉塞体が、接地されているDINレールと機器内部との絶縁距離を確保する機能を発揮するし、また、弾性閉塞体の一部を固定係合爪部の背部に位置させてDINレールの係合辺部に弾接させ、固定係合爪部とロック部材とでDINレールの挟持を行なうようにしたことにより、弾性閉塞体の弾性でDINレールのガタツキや微振動を抑えることができる。このために、DINレールのガタツキや微振動が原因で機器がDINレールを横滑りし落下するという不具合を未然に防止することができる。
【0015】
なお、ここで、固定係合爪部成形用金型抜き穴とは、固定係合爪部を成形する場合、固定係合爪部成形金型としての可動コアを使用するために、この可動コアを抜いた跡として係合凹部の面部に残った成形穴のことである。また、筐体とは、例えば、リアケースとフロントケースとの組み合わせで構成してあって、レール取付面部とは、例えば、リアケースの外面部が該当するし、弾性閉塞体とは、例えば、絶縁性ゴムのような絶縁性の弾性材が該当するし、ロック部材とは、例えば、従来のスライドロック部材に相当するもので、ばね片部によりスナップアクション式にロック位置とロック解除位置の何れかへ択一に付勢される。
【0016】
また、本発明に係るDINレール取付け構造は、上記した本発明に係るDINレール取付け構造において、固定係合爪部成形用金型抜き穴は、レール取付面部に形成された凹部と、この凹部の底部に形成された穴部で構成してあり、弾性閉塞体は、ベース部と、このベース部に突設された栓状部と、この栓状部に突設された弾接用突出部を有していて、この弾接用突出部にレール弾接部が形成してあり、ベース部を凹部に嵌合すると共に、栓状部を穴部に嵌合して固定係合爪部成形用金型抜き穴を弾性閉塞体により閉塞し、弾接用突出部を固定係合爪部の裏面側に突出させて、レール弾接部を係合辺部に弾接させ挟持を行なうようにしたものである。
【0017】
かかる構成により、ベース部を凹部に嵌合すると共に、栓状部を穴部に嵌合して固定係合爪部成形用金型抜き穴を弾性閉塞体により閉塞することができて、弾性閉塞体がDINレールと機器内部との絶縁距離を確保する機能を発揮するし、また、弾接用突出部を固定係合爪部の裏面側に突出させて、レール弾接部をDINレールの係合辺部に弾接させ、固定係合爪部とロック部材とでDINレールの挟持を行なうようにしたことにより、弾性閉塞体の弾性でDINレールのガタツキや微振動を抑えることができる。このために、DINレールのガタツキや微振動が原因で機器がDINレールを横滑りし落下するという不具合を未然に防止することができる。
【0018】
また、本発明に係るDINレール取付け構造は、上記した本発明に係るDINレール取付け構造において、係合凹部の面部に突起部を形成して、当該突起部で係合辺部を固定係合爪部の裏側に押し付けるようにしたものである。
【0019】
かかる構成により、突起部によりDINレールの係合辺部を固定係合爪部の裏側に押し付けることで、係合辺部の先部がレール弾接部に弾接することと相俟って、より効果的にDINレールのガタツキや微振動を抑えることができる。このために、DINレールのガタツキや微振動が原因で機器がDINレールを横滑りし落下するという不具合を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るDINレール取付け構造によれば、金型費用が安価に抑えられてコストダウンになるばかりか、固定係合爪部成形用金型抜き穴が弾性閉塞体で閉塞されているために、この弾性閉塞体が、接地されているDINレールと機器内部との絶縁距離を確保する機能を発揮するし、また、弾性閉塞体の一部を固定係合爪部の背部に位置させてDINレールの係合辺部に弾接させ、固定係合爪部とロック部材とでDINレールの挟持を行なうようにしたことにより、弾性閉塞体の弾性でDINレールのガタツキや微振動を抑えることができる。このために、DINレールのガタツキや微振動が原因で機器がDINレールを横滑りし落下するという不具合を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
本発明に係るDINレール取付け構造によりDINレールに取り付けられる電源機器を正面から見た場合を図1に示し、その側面を図2に示し、また、その背面を図3に示す。なお、説明の便宜上、前後方向、上下方向及び左右方向を図示のように設定する。
【0023】
図1及び図2において、1はDINレールであり、2は、このDINレール1に係脱可能に且つ摺動可能に取付けられる電源機器(DINレール1に取付け可能な機器)である。
【0024】
DINレール1は、レール本体1Aの両辺部(上、下辺部)に係合辺部1B、1Cを形成して構成してある。
【0025】
電源機器2は筐体3を有しており、この筐体3は、フロントケース4の後端部にリアケース5を係脱可能に係止して構成してある。このリアケース5がDINレール取付面部である筐体3の背面部を形成している。そして、このリアケース5には、その中央部にレール係合部6が形成してある。
【0026】
このレール係合部6は、図3に示すように、リアケース5の後面部(裏面部)5aの、上下方向の略中央部に、左右方向(横方向)に沿う係合凹部7を有しており、この係合凹部7の上辺部には左右一対の固定係合爪部8が形成してある。そして、係合凹部7の面部7aには、固定係合爪部8に対向させて長方形状の固定係合爪部成型用金型抜き穴9が形成してある。この固定係合爪部成形用金型抜き穴9は、固定係合爪部8を成形する場合、固定係合爪部成形金型としての可動コアを使用するために、この可動コアを抜いた跡として係合凹部7の面部7aに残った成形穴である。
【0027】
この固定係合爪部成型用金型抜き穴9は、図7,図10及び図11に示すように、リアケース5の外面部5b側に形成された長方形状の凹部10と、この凹部10の底部10aに形成された長方形状の穴部11とで構成してあり、この穴部11の上面部11bは凹部10の上面部10bと同一平面内にあって、穴部11の上面部11bは係合凹部7の上面部7bより上方に位置しており、穴部11の上面部11bから係合凹部7の上面部7bに至る寸法はh1である。
【0028】
弾性閉塞体12は絶縁性ゴムのような絶縁性の弾性材からなり、この弾性閉塞体12は、図12乃至図14に示すように、固定係合爪部成型用金型抜き穴9の凹部10に嵌合される長方形状のベース部13と、このベース部13に突設され且つ穴部11に嵌合される栓状部14と、この栓状部14に突設された弾接用突出部15を有している。この弾接用突出部15は、その先端面が係合爪弾接部15Aにしてあり、その下面がレール弾接部15Bにしてある。
【0029】
この場合、栓状部14の上面部14aと弾接用突出部15の上面部15aはベース部13の上面部13aと同一平面内にあり、レール弾接部15Bは栓状部14の下面部14bより上方に位置している。そして、弾接用突出部15の上面部15aからレール弾接部15Bに至る厚さ寸法h2は、上記した穴部11の上面部11bから係合凹部7の上面部7bに至る寸法h1より大きくしてある。
【0030】
そして、図15及び図16に示すように、固定係合爪部成型用金型抜き穴9が弾性閉塞体12により閉塞してある。この場合、弾性閉塞体12のベース部13が固定係合爪部成型用金型抜き穴9の凹部10に嵌合してあり、栓状部14が穴部11に嵌合してあって、弾接用突出部15の先端の係合爪弾接部15Aが固定係合爪部8の裏面に弾接している。そして、弾接用突出部15の上面部15aからレール弾接部15Bに至る厚さ寸法h2が穴部11の上面部11bから係合凹部7の上面部7bに至る寸法h1より大きくしてあるために、レール弾接部15Bは係合凹部7の上面部7aより下方に位置している。
【0031】
また、係合凹部7の面部7Aには、固定係合爪部成型用金型抜き穴9の外側方及び固定係合爪部成型用金型抜き穴9間に位置させて突起部16が形成してある。
【0032】
また、図3及び図4に示すように、リアケース5の後面部5aには、その下側に係合凹部7に直交するようにしてスライダ係合溝部20が形成してあり、スライダ係合溝部20の底部には一対のカム溝21が形成してある。これらのカム溝21は各々中立位置21aより両側にロックスライダ摺動方向(上下方向)に対して傾斜した傾斜部21b、21cを有するく字形に形成してある。また、スライダ係合溝部20の底部には、カム溝21にロック部材であるロックスライダ30を案内する案内溝22が設けてあり、また、スライダ係合溝部20の両側部には摺動溝部24が形成してある。
【0033】
ロックスライダ30は、その先端部(図にて上端部)に爪部(可動係合爪部)31を有しており、また、その中間部に、先端に係合突起32を有し且つロックスライダ摺動方向に延在する一対のばね片部33を有しており、その両側部に摺動突起部34を有している。
【0034】
そして、ロックスライダ30は、その摺動突起部34を摺動溝部24に挿入し、その係合突起32をカム溝21に摺動可能に係合してスライダ係合溝部20に移動可能に取付けてある。なお、ロックスライダ30のスライダ係合溝部20に対する組み付け時に、案内溝21が係合突起32を受け入れてこれをカム溝21へ導く。
【0035】
上記したように、係合突起32がカム溝21に摺動可能に係合されることでロックスライダ30のスライダ係合溝部20におけるロックスライダ摺動方向の移動量が制限され、爪部31が係合凹部7内に突出して爪部31によリDINレール1の下側の係合辺部1Cに係合するロック位置と、爪部31が係合凹部7内より退避してDINレール1の下側の係合辺部1Cから離脱するロック解除位置との間に移動するようにしてある。
【0036】
係合突起32はロックスライダ30のロック位置とロック解除位置との間の移動に応じてカム溝21の中立位置21aを越えてカム溝21の何れかの端部に位置し、ばね片部33は、係合突起32がカム溝21の中立位置21aに位置している状態で最大に棲み、スナップアクション式にロックスライダ30をロック位置とロック解除位置の何れかへ択一に付勢している。
【0037】
上述したように、ロックスライダ30は係合突起32がカム溝21の中立位置21aに位置することを境にしてばね片部33のばね力によりロック位置とロック解除位置の何れかへ付勢され、スナップアクション式にロック位置あるいはロック解除位置の何れかの位置に安定保持される。
【0038】
電源機器2をDINレール1に取り付ける場合は、ロックスライダ30をロック位置に位置させた状態で、係合凹部7の固定係合爪部8をDINレール1の上側の係合辺部1Bに係合させて電源機器2をDINレール1に押し込むことにより、係合辺部1Bをレール弾接部15Bに弾接させて弾性閉塞体12の弾接用突出部15を圧縮させ、ロックスライダ30の爪部31がDINレール1の下側の係合辺部1Cに弾性的に当接し、この押付力の、爪部31の斜面部31a(図4、図5参照)で生じる分力によって係合突起32がカム溝21の傾斜部21bを中立位置21aへ向けて移動しつつロックスライダ30がばね片部33のばね力に抗して後退移動し、爪部31がDINレール1の係合辺部1Cを乗り越えるようになる。
【0039】
爪部31がDINレール1の係合辺部1Cを乗り越えると、ロックスライダ30はばね片部33のばね力により元のロック位置に戻り、爪部31が別操作を必要とすることなく、図5に示すように、DINレール1の係合辺部1Cに係合する。
【0040】
この場合、弾性閉塞体12の弾接用突出部15の圧縮反力がDINレール1に加わり、弾性閉塞体12とロックスライダ30とでDINレール1を挟持するようになる。
【0041】
そして、係合凹部7の面部7aに形成した突起部16でDINレール1の上側の係合辺部1Bを固定係合爪部8の裏側に押し付けるようになる。
【0042】
また、電源機器2をDINレール1から外す場合は、ロックスライダ30をロック解除位置に位置させることで、ロックスライダ30の爪部31をDINレール1の下側の係合辺部1Cから外し、係合凹部7の固定係合爪部8をDINレール1の上側の係合辺部1Bから外して行なう。この場合、弾性閉塞体12の弾接用突出部15は元の状態に復元する。
【0043】
上記したように、本発明の実施の形態によれば、ベース部13を凹部10に嵌合すると共に、栓状部14を穴部11に嵌合して固定係合爪部成形用金型抜き穴9を弾性閉塞体12により閉塞することで、弾性閉塞体12によりDINレール1と電源機器2内部の電子回路との絶縁距離を確保することができる。
【0044】
また、弾性閉塞体12の弾接用突出部15を固定係合爪部8の裏面側に突出させて、レール弾接部15BをDINレール1の係合辺部1Bに弾接させ、しかも、係合凹部7の面部7aに形成した突起部16でDINレール1の係合辺部1Bを固定係合爪部8の裏側に押し付けるようになるから、DINレール1のガタツキや微振動を抑えることができる。このために、DINレール1のガタツキや微振動が原因で電源機器2がDINレール1を横滑りし落下するという不具合を未然に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係るDINレール取付け構造は、金型費用が安価に抑えられてコストダウンになるばかりか、接地されているDINレールと機器内部との絶縁距離を確保することができるし、また、弾性閉塞体の弾性でDINレールのガタツキや微振動を抑えることができ、DINレールのガタツキや微振動が原因で機器がDINレールを横滑りし落下するという不具合を未然に防止することができることから、スイッチング電源装置、その他のDINレールに取付け可能な機器(例えば、プログラマブルコントローラユニット等)をDINレールに取り付けるためのDINレール取付け構造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係るDINレール取付け構造によりDINレールに取り付けられた電源機器の正面図である。
【図2】同電源機器の側面図である。
【図3】同電源機器の背面図である。
【図4】本発明に係るDINレール取付け構造におけるロックスライダ機構の分解状態の斜視図である。
【図5】本発明に係るDINレール取付け構造を用いて電源機器をDINレールに取付けた状態の一部省略した縦断面図である。
【図6】電源機器の筐体の構成要素であるリアケースの側面図である。
【図7】図6のA方向からの矢視図である。
【図8】図7のB−B線に沿う断面図である。
【図9】図6のC部の拡大図である。
【図10】図8のD部の拡大図である。
【図11】図10のE方向からの矢視図である。
【図12】本発明に係るDINレール取付け構造における弾性閉塞体の側面図である。
【図13】図12のF方向からの矢視図である。
【図14】図12のG方向からの矢視図である。
【図15】本発明に係るDINレール取付け構造において、リアケースの成形金型抜き穴に弾性閉塞体を装着した状態の一部省略した側面図である。
【図16】本発明に係るDINレール取付け構造において、リアケースの成形金型抜き穴に弾性閉塞体を装着した状態の一部省略した縦断面図である。
【図17】従来のDINレール取付け構造を備えた機器の一部省略した斜視図である。
【図18】従来のDINレール取付け構造を備えた他の機器の一部省略した斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 DINレール
1A レール本体
1B 係合辺部
1C 係合辺部
2 電源機器(機器)
3 筐体
4 フロントケース
5 リアケース(DINレール取付面部)
6 レール係合部
7 係合凹部
7a 面部
8 固定係合爪部
9 固定係合爪部成型用金型抜き穴
10 凹部
11 穴部
12 弾性閉塞体(絶縁性の弾性材、絶縁性ゴム)
13 ベース部
14 栓状部
15 弾接用突出部
15A 係合爪弾接部
15B レール弾接部
16 突起部
20 スライダ係合溝部
21 カム溝
22 案内溝
30 ロックスライダ(ロック部材)
31 爪部
32 係合突起
33 ばね片部
34 摺動突起部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の筐体のレール取付面部に設けた係合凹部にDINレールを係脱可能に係合して、前記係合凹部の一辺部に位置する固定係合爪部と前記係合凹部の他辺部に位置するロック部材とで前記DINレールを挟持するようにし、且つ前記係合凹部の面部に固定係合爪部成形用金型抜き穴が形成されたDINレール取付け構造であって、
前記固定係合爪部成形用金型抜き穴を弾性閉塞体により閉塞すると共に、この弾性閉塞体の一部を前記固定係合爪部の背部に位置させて前記DINレールの係合辺部に接触させ、前記挟持を行なうようにしたことを特徴とするDINレール取付け構造。
【請求項2】
前記固定係合爪部成形用金型抜き穴は、前記レール取付面部に形成された凹部と、この凹部の底部に形成された穴部で構成してあり、前記弾性閉塞体は、ベース部と、このベース部に突設された栓状部と、この栓状部に突設された弾接用突出部を有していて、この弾接用突出部にレール弾接部が形成してあり、前記ベース部を前記凹部に嵌合すると共に、前記栓状部を前記穴部に嵌合して前記固定係合爪部成形用金型抜き穴を前記弾性閉塞体により閉塞し、前記弾接用突出部を前記固定係合爪部の裏面側に突出させて、前記レール弾接部を前記係合辺部に接触させ、前記挟持を行なうようにしたことを特徴とする請求項1に記載のDINレール取付け構造。
【請求項3】
前記係合凹部の面部に突起部を形成して、当該突起部で前記係合辺部を前記固定係合爪部の裏側に押し付けるようにしたことを特徴とする請求項2に記載のDINレール取付け構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−189102(P2007−189102A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−6564(P2006−6564)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】