説明

DNAの単一分子増幅および検出

希少核酸の検出、定量化、および統計解析のための単一分子増幅を実施する方法およびシステムが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年4月11日に出願された、ナップ(Knapp)らによる米国仮特許出願第60/462,384号「マイクロ流体フォーマットでのDNAの単一分子増幅および検出(SINGLE MOLECULE AMPLIFICATION AND
DETECTION OF DNA IN A MICROFLUIDIC FORMAT)」、及び、2002年12月20日に出願された、ナップ(Knapp)らによる仮特許出願第60/436,098号「マイクロ流体フォーマットでのDNAの単一分子増幅および検出(SINGLE MOLECULE AMPLIFICATION AND DETECTION OF DNA IN A MICROFLUIDIC FORMAT)」に対応する通常の特許出願である。本出願は、参照により内容全体が本明細書に組み込まれるこれらの各先行出願の優先権及び利益を請求する。
【0002】
連邦政府により支援された研究及び開発の下に行われた本発明に対する権利に関する陳述
本出願の技術の一部は、NIST−ATP認可70NANB8H4000の下に開発された。政府は、本発明にある一定の権利を有する場合がある。
(技術分野)
【0003】
本発明は、例えば、病気の診断、病原体又は環境汚染物質などの検出のための、例えば、複雑な混合物から単一分子を増幅することによる、単一分子検出に関する。増幅は、例えば、低コピー数の反応混合物に等分される複雑なサンプル中の希少分子の検出能力を提供する、マイクロ流体システムなどのハイスループットシステムで行われ、それによって、例えば、複雑なサンプルの多数のアリコートを増幅することにより、目的の希少コピー核酸を検出する。
【背景技術】
【0004】
核酸の検出は、医療、法医学、産業加工、穀物および動物の品種改良、および他の多くの分野の中枢である。病状(例えば、癌など)、感染性有機体(例えば、HIVなど)、遺伝系統、および遺伝マーカーなどの検出能力は、病気の診断および予後、マーカー選抜、犯罪現場の特徴の正確な識別、産業有機体を増殖させる能力、および他の多くの技術のための普遍的技術である。
【0005】
核酸検出の最も有力で基本的な技術の1つは、核酸増幅である。即ち、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素PCR(RT−PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、並びに、Q−βレプリカーゼおよび他のRNA/転写媒介技術(例えば、NASBA)などの多くの典型的なフォーマットで、目的の核酸の検出の前に目的の核酸の増幅が行われるが、それは、核酸の多くのコピーを検出する方が単一コピーを検出するよりも容易なためである。
【0006】
PCR、RT−PCRおよびLCRは、多くの異なる分野で、特に広く使用されている。これらの方法および他の増幅方法の使用に関する詳細は、例えば、サムブルック(Sambrook)ら、Molecular Cloning−A Laboratory Manual(第3版)、第1−3巻、コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク(New York)、2000(「サムブルック(Sambrook)」);Current Protocols in Molecular Biology、F.M.オースベル(Ausube
l)ら編、Current Protocols、グリーンパブリッシング社とジョンワイリーアンドサンズ社の共同事業(a joint venture between Greene Publishing Associates,Inc. and John Wiley&Sons,Inc.)、(2002年補完(supplemented through 2002))(「オースベル(Ausubel)」);および、PCR Protocols A Guide to Methods and Applications(イニス(Innis)ら編)、アカデミックプレス社(Academic Press Inc.)、カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego,CA)(1990)(「イニス(Innis)」)を含む様々な標準テキストのいずれかに見出すことができる。多くの利用可能な生物学テキストで、PCRおよび関連する増幅方法に関して更に詳しく検討されている。
【0007】
更に最近では、例えば、マイクロ流体デバイス内での増幅反応を含む、PCRおよび他の増幅反応を実施する多くのハイスループット手法、並びに、デバイス内又はデバイス上で増幅された核酸を検出および解析する方法が開発されてきた。このような技術に関する詳細は、例えば、コップ(Kopp)ら、(1998)、「Chemical Amplification:Continuous Flow PCR on a Chip」、Science、280(5366):1046;ナップ(Knapp)らに付与された米国特許第6,444,461号明細書(2002年9月3日)「分離のためのマイクロ流体デバイスおよび方法(MICROFLUIDIC DEVICES AND METHODS FOR SEPARATION)」;ナップ(Knapp)らに付与された米国特許第6,406,893号明細書(2002年6月18日)「非熱的核酸操作のためのマイクロ流体方法(MICROFLUIDIC METHODS FOR NON−THERMAL NUCLEIC ACID MANIPULATIONS)」;ナップ(Knapp)らに付与された米国特許第6,391,622号明細書(2002年5月21日)「閉鎖ループ生化学分析器(CLOSED−LOOP BIOCHEMICAL
ANALYZERS)」;コプフ−シル(Kopf−Sill)に付与された米国特許第6,303,343号明細書(2001年10月16日)、「非効率的高速PCR(INEFFICIENT FAST PCR)」;ナグル(Nagle)らに付与された米国特許第6,171,850号明細書(2001年1月9日)、「温度制御された反応および解析を実施するための一体化デバイスおよびシステム(INTEGRATED DEVICES AND SYSTEMS FOR PERFORMING TEMPERATURE CONTROLLED REACTIONS AND ANALYSES)」;ローウィー(Loewy)らに付与された米国特許第5,939,291号明細書(1999年8月17日)「核酸増幅のためのマイクロ流体方法(MICROFLUIDIC
METHOD FOR NUCLEIC ACID AMPLIFICATION)」;ワイルディング(Wilding)らに付与された米国特許第5,955,029号明細書(1999年9月21日)「メソスケールポリヌクレオチド増幅デバイスおよび方法(MESOSCALE POLYNUCLEOTIDE AMPLIFICATION DEVICE AND METHOD)」;チャウ(Chow)らに付与された米国特許第5,965,410号明細書(1999年10月12日)「マイクロチャネル内の流体パラメータを制御するための電流(ELECTRICAL CURRENT FOR CONTROLLING FLUID PARAMETERS IN MICROCHANNELS)」、および他の多くのものなどの技術文献および特許文献に見出される。
【0008】
増幅技術の広範な用途、およびこれらの技術の真にハイスループットのシステムへの適応にも関わらず、核酸、特に希少コピー核酸の増幅および検出には、ある一定の技術的問題が残っている。このことは、増幅試薬が所与のサンプル中で希少核酸の他に高コピー核酸を増幅し、これらの2つの核酸が同じサンプル中でヌクレオチド1つ又は数個しか異なっていない場合、特に当てはまる。例えば、1セットのプライマーが所与のサンプル中で
低コピー核酸だけではなく高コピー核酸ともハイブリダイズする場合、高コピー核酸の幾何学的増幅は、比例して増幅反応を支配し、得られる増幅された核酸のどの母集団でも、低コピー核酸の識別は困難であるか又は不可能である。そのため、例えば、希少核酸だけを増幅するプライマーセットを容易に識別できない場合、遺伝子の低コピー数対立遺伝子は、検出が非常に困難な可能性がある(また、従事者は、試薬の完全な特異性が実際には希少であるか又は存在しないことが分かるであろう)。サンプル中のより高いコピー数の核酸の増幅によって、低コピー核酸のどのシグナルも圧倒されてしまう。このような問題にも関わらず、希少コピー核酸の識別は、初期段階における病気又は感染の識別、並びに他の多くの用途に重大な可能性がある。
【0009】
これらの問題が従来技術によって簡単に対処されなかったことは、言及に値する。単一コピー増幅を理論的演習として記載した著者も数人おり(例えば、マリス(Mullis)ら、(1986)Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.、51:263−273;リー(Li)ら、(1988)、Nature、335:414−417;サイキ(Saiki)ら、(1988)、Science、239:487−491;および、チャン(Zhang)ら、(1992)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:5847−5851)、また、単一DNAテンプレート分子の確率論的PCR増幅とそれに続くマイクロスケールデバイス内での産物のCE解析を記載したものもいる(ラガリー(Lagally)ら、(2001)、Anal.Chem.、73:565−570)が、これらの従来の手法はどれも、サンプル中の希少コピー核酸の検出に好適ではない。即ち、これらの手法のどれも、ハイスループット自動化に好適ではなく、従来技術のデバイスは希少コピー核酸の実用的な検出に適応できない。例えば、ラガリー(Lagally)らのデバイス(同上)は、増幅されるサンプルをチャンバに流入させ、システムの流れを停止させ、増幅反応を実施し、増幅産物がチャンバから流出するようにデバイスを手動で再構成し、一度に1つの反応を行うため、増幅産物をチャンバから流出させ、産物を検出した。この煩わしいプロセスでは、有用な時間内に行われ、且つ、解析される増幅反応がほとんど起こらず、システムの作動に、ほとんど連続的にユーザーの介入が必要である。
【0010】
従来技術で全く対処されていない増幅方法に関する別の問題は、希少核酸の定量分析の実施がかなり困難な可能性があるということである。検出に関する前記の問題は、定量分析にも当てはまり、希少核酸が増幅できる場合でさえ、定量化はサンプル中の高コピー数核酸の存在に影響を受けるという更なる問題がある。このことは、たとえ増幅が希少核酸の検出が起こり得るほど十分に特異的であっても、増幅反応中、反応成分に対して高コピー数核酸が希少核酸と競合するという点で、高コピー数核酸は依然として増幅反応に競合的効果を有する。そのため、サンプル中の希少核酸の濃度を正確に評価することは、特に、システムの成分が予め特徴付けられていない場合、一般には可能でない(勿論、増幅のために選択された物質が既に特徴付けられている場合、増幅産物の定量的な評価は幾分単純である)。既に完全に特徴付けられている物質の増幅は、学問的に重要であるが、未知の物質の特徴付けに適応できなければ、この手法は、ほとんど実際的な価値がない。例えば、希少核酸を定量化することができなければ、例えば、病気の診断をする能力、病気の予後を確立する能力、および目的の核酸の正確な統計評価を実施する能力が制限される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、サンプル中の目的の希少核酸を識別および定量化する、確実なハイスループット法を提供することにより、これらの問題を克服する。サンプル中の目的の希少核酸を識別および定量化するための、関連する多くの方法およびシステムが本明細書中に提供される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、単一分子増幅をサンプル中の目的の希少核酸の検出および統計的な特徴付けに、例えば、病気の診断(例えば、癌の診断)、病原体の検出、および希少環境核酸の検出などに使用できるという驚くべき発見に関する。例えば、目的の希少核酸を含むサンプルに由来する反応混合物で多くの個々の増幅反応を実施することができ、ここで、各反応混合物は、例えば、目的の核酸が反応混合物中で識別されるまで、目的の希少核酸のコピーをほとんど有していないか(例えば、1つ)、又は、全く有していない。低コピー数反応で、サンプル中の追加の核酸も増幅することができ、統計学的方法を使用して、目的の核酸と追加の核酸との相対比を決定することができる、例えば、目的の核酸の相対濃度又は絶対濃度を決定することができる。望ましくは、本発明の方法の工程のほとんど、又は全部を連続フローフォーマットで実施し、方法全体の速度を非常に速くすることができる。或いは、工程の1つ以上をストップトフローモードで実施することができ、例えば、ここで、検出器は、一度に複数の増幅領域を同時に走査するように構成されている(同時検出により、これらの実施形態のスループットが増大する)。
【0013】
ハイスループットマイクロ流体システムで実施されるものなどのハイスループット増幅システムは、これらの方法の実施に特によく適応され、これは、例えば、目的の核酸が検出されるまで、および/又は信頼性のある統計的評価を実施できるのに十分な、目的の核酸のコピーが検出されるまで、多くの低コピー数増幅反応を実施することにより、解析されるサンプル中に極めて低濃度で存在する目的の核酸を検出するのに使用できる。関連する態様では、本発明は、また、初期核酸からのシグナルが増幅中にどれくらい多く分散するかを考慮し、その分散と、熱拡散率および/又はテイラー・アリス分散、又は関連する現象から生じる期待される分散とを比較することによって(又は、単に、観察される分散と経験的に観察される対照反応の比較によっても)、初期核酸のコピーが反応混合物中に存在するかどうか、およびどれくらいの数の初期核酸のコピーが反応混合物中に存在するか(又は、初期核酸が反応混合物中に存在するかどうか)を決定する新規な方法も提供する。これは、予測される、又は経験的に観察されるシグナル形状に対して、目的の核酸を含むアリコートから発生するシグナルの形状(振幅、シグナル幅、および/又は他のシグナル形状特徴)を監視することを包含し得る。シグナルのこれらの形状特徴は、極めて再現性が高く、目的のシグナルをバックグラウンドのランダムなシグナル変動と区別する能力を提供する。アリコート中の分子数、および目的のシグナルをバックグラウンドのシグナル変動と区別する能力は、共に、この部類の方法で実施され得る。本明細書の様々な方法の実施に適応されるシステムおよびキットも、本発明の特徴である。定量化される核酸は、組成物中で既知(例えば、対照)であっても、又は未知であってもよい。それらは、実験核酸(問題となっている実験の主な目的の核酸)を含んでも、又は他の未知の核酸(例えば、目的の生物学的サンプルからの特徴付けられていないゲノムDNA、および/又はcDNA)であってもよい。
【0014】
従って、第1の態様では、目的の核酸を検出する方法を提供する。この方法では、目的の核酸および1つ以上の追加の核酸を含むサンプルを複数の反応混合物に等分する。反応混合物の少なくとも2つは、単一コピー反応混合物であり、それぞれ、目的の核酸を1コピーだけ含む。複数の反応混合物は、更に、追加の核酸を少なくとも1コピー含む少なくとも1つの追加の反応混合物を含む。複数の反応混合物は、1つ以上の増幅反応を施される(この文脈では、増幅反応は、目的の核酸を増幅しても、又は増幅しなくてもよい、即ち、反応が目的の核酸をゼロコピー有する場合、目的の核酸は増幅されない;反応が目的の核酸を1コピー以上有する場合、目的の核酸は増幅される)。目的の核酸が、1つ以上の単一コピー反応混合物中に検出される。
【0015】
密接に関連する態様では、本発明は、低コピー核酸とは異なる、1つ以上のより高いコピー数の追加の核酸を有するサンプル中で目的の低コピー核酸を検出する方法を包含する
。この方法は、サンプルを複数の反応混合物に等分することを包含する。混合物は、目的の核酸をゼロコピー包含する、複数(例えば、約5以上、約10以上、約50以上、約100以上、約150以上、又は約500以上)のゼロコピー反応混合物と、目的の核酸を1コピーだけ含む少なくとも1つの単一コピー反応混合物とを包含する。(増幅が実際に起こるか否かに関わらず)ゼロコピー反応混合物および単一コピー反応混合物に増幅反応を施す。次いで、目的の核酸が、単一コピー反応混合物中に検出される(これは、目的の核酸が1つ又は複数の個々の単一コピー反応で検出されるという可能性を包含する)。
【0016】
追加の関連する部類の実施形態では、サンプル中の目的の核酸を定量化する関連する方法を提供する。この方法では、サンプルは、それぞれ、目的の核酸を2コピー以下(一般に1コピー以下)含む、少なくとも25の反応混合物に等分される。反応混合物に1つ以上の増幅反応を施す。次いで、目的の核酸が、複数の反応混合物中に検出される。多くの実施形態では、目的の核酸の統計評価は、複数の反応混合物中の目的の核酸の検出に基づいて実施される。1部類の実施形態では、2コピー以下を含む少なくとも50以上、少なくとも75以上、又は少なくとも100以上の反応混合物に1つ以上の増幅反応を施す。
【0017】
追加の部類の関連する実施形態では、目的の低コピー核酸を検出する方法を提供する。この方法では、目的の低コピー核酸を含むサンプルを、複数の反応混合物に等分する。複数の反応混合物は目的の核酸をゼロコピー含有し、および、反応混合物の少なくとも1つは、目的の核酸を少なくとも1コピー含む。複数のゼロコピー反応混合物に、少なくとも1つのマイクロチャンバ又はマイクロチャネルを備えるマイクロ流体デバイス中で、1つ以上の増幅反応を施す。目的の核酸は、ゼロコピー反応混合物中には存在しないと決定される。少なくとも1つの追加のゼロコピー反応混合物、および目的の核酸を含む反応混合物に1つ以上の増幅反応を施す。目的の核酸は、目的の核酸を含む反応混合物中で検出される。換言すれば、少なくとも核酸が検出されるまで、反応混合物を増幅し、マイクロ流体デバイス中に目的の核酸が存在するかどうかを検査する。低コピー数核酸では、これは、目的の核酸が見出されるまで、ゼロコピー反応混合物で多数の増幅反応を実施することを必要とする可能性がある。
【0018】
本発明は、また、例えば、拡散/分散を考慮に入れることにより、サンプル中の目的の核酸を定量化する方法を提供する。この方法では、目的の核酸を1コピー又はその相補的コピーを1つ含むサンプルを、少なくとも1つの反応混合物に等分する。反応混合物に少なくとも1つの増幅反応を施すが、それによって目的の核酸のコピーが増幅される。目的の核酸又はそれに対応するシグナルが存在する形状、容量、幅、長さ、高さ、又は面積などが検出される。その形状、容量、幅、高さ、長さ、又は面積は、反応混合物又はサンプル中の目的の核酸のコピー数に相関し、それによって、サンプル中の目的の核酸が定量化される。シグナルのこれらの形状特徴は、極めて再現性が高いため、目的のシグナルを、バックグランドのランダムなシグナル変動と区別することは簡単である。関連する態様では、拡散/分散の知識およびこれらの現象の再現性を使用して、1つ以上の標的分子のシグナルをランダムなベースラインシステム変動と確実に区別することができる。いずれの場合も、この相関は、様々な方法のいずれかで、例えば、形状、容量、幅、長さ、および/又は他のシグナル形状特徴を、熱拡散率および/又はテイラー・アリス分散を考慮に入れて予測される値と比較することにより、および/又は、システムで実施される既知の反応に関して経験的に観察される値から逆算することにより実施できる。本方法は、特に、物質が流れる間に分散する、連続フローシステムに関するということは言及に値する。
【0019】
更に別の部類の実施形態では、希少核酸を検出するハイスループットストップトフロー方法を提供する。例えば、目的の核酸を検出する方法が提供され、この方法では、目的の核酸を含むサンプルを、複数の反応混合物に等分する。反応混合物の少なくとも2つは単一コピー反応混合物であり、それぞれ、目的の核酸を1コピーだけ含む。反応混合物は、
マイクロチャネルの網状構造全体を流れ、マイクロチャネルの網状構造内で、ストップトフロー状態で1つ以上の増幅反応を施される。目的の核酸が、ストップトフロー状態で単一コピー反応混合物中に検出される。望ましくは、検出工程は、同時に複数の反応産物の検出を包含することができる。例えば、CCDアレイ、又は適切な画像処理装置を使用して、増幅された産物からのシグナルの「雲」があるかどうかチップ全体(又はその小区域)を走査することができる。即ち、増幅後、チャネル全体又はチャネルの網状構造全体を同時に走査することができ、増幅でシグナルが生じるいずれかの又は全部の領域を同時に(又は、必要に応じて、スキャナ/検出器を2回以上パスさせて)検出することができる。
【0020】
前記方法は互いに重なり、前記方法のいずれかを互いに組み合わせて実施できることが分かるであろう。同様に、前記方法のいずれか又は全部は、関連する方法のスループットを改善するように連続フローフォーマットで実施することができるか、および/又は、マイクロチャネル網状構造の複数の領域(又は全体)の画像解析と組み合わせたストップトフローを使用することができる。
【0021】
本発明の方法のいずれか又は全部に関して、反応混合物は、目的の核酸、および1つ又は複数の追加の核酸を含むことができ、関連する方法は、反応混合物中の目的の核酸および/又は複数の追加の核酸を検出することを包含する。本方法は、任意に、反応混合物中又はサンプル中、又はその両方の目的の核酸又は複数の追加の核酸、又はその両方の数を加算することを含む。反応混合物中の目的の核酸又は複数の追加の核酸と、反応混合物中又はサンプル中の目的の核酸および/又は複数の追加の核酸の合計との比を決定することができる。これから、反応混合物中又はサンプル中の目的の核酸の濃度を決定することができる。同様に、目的の核酸および複数の追加の核酸の数の合計は、反応混合物中の核酸の総数を示すことができる。
【0022】
本発明の方法のいずれか又は全部に関して、サンプル又は反応混合物の等分は、サンプルを希釈して複数の反応容器(例えば、マイクロタイタープレートのウェル)に入れること、および/又は、サンプルをマイクロ流体希釈チャネル又はチャンバに流入させることを含むことができる。マイクロ流体実施形態では、サンプルは、任意に、マイクロ流体希釈チャネル又はチャンバ内で希釈され、それによって、サンプルは、マイクロ流体希釈チャネル又はチャンバ内の複数の希釈されたアリコートに等分される。任意に、例えば、複数のサンプルをデバイス又は反応容器に同時に流入させることにより、等分/希釈プロセスの一部又は全部を多重化することができる。サンプル、アリコート、反応混合物などを圧力下で(例えば、マイクロ流体デバイスの中に)、又は電気浸透で、又は他のいずれかの利用可能な方法で流すことができる。マイクロ流体実施形態では便宜上、例えば、増幅反応のための反応成分および/又は緩衝剤成分(例えば、ポリメラーゼ、プライマー、座特異試薬、標識物質、塩、マグネシウム、および/又は水など)の幾つか又は全部を含む、共通の反応成分リザーバからサンプルを希釈することができる。或いは、1つ以上の追加のリザーバに1つ以上の成分を配置することができ、増幅前に成分を混合することができる。望ましくは、これらの工程のいずれか又は全部を連続フローフォーマットで、又は本明細書に記載のストップトフロー/同時画像解析方法を利用して、実施することができる。
【0023】
本発明の方法では、目的の核酸および/又は追加のいずれかの核酸の濃度は、任意に、低く、例えば、1アリコート当り約1分子である。例えば、サンプルを1ナノリットル当り目的の分子約1個以下の濃度に希釈することができる。任意に、希釈されるアリコートは、それぞれ、同程度に希釈されるが、希釈されるアリコートは異なるように希釈(例えば、希釈シリーズを形成)することもできる。例えば、マイクロ流体用途の試薬費用を低く維持するため、アリコートの形状、容量をかなり小さくすることができる。例えば、ア
リコートは、約100nl未満の容量、例えば、約10nl未満の容量、又は、例えば、約1nl以下の容量にすることができる。
【0024】
多くの実施形態では、反応混合物の少なくとも1つは、水溶液中にある(典型的な増幅反応に使用される酵素は、典型的には、水性環境で十分に機能する)。これは、マイクロ流体デバイス中ではサンプルプラグの形態、マイクロタイタープレートのリザーバ内では流体の形態、又は、反応混合物の少なくとも1つが非混和性液体中に懸濁されている水性液滴を含むエマルションの水相中に配合されているような、他の形態を取ることができる(この実施形態では、反応混合物がエマルション中に配合されるとき、反応混合物で増幅を実施することができる)。エマルション実施形態では、目的の核酸は、任意に、増幅反応を実施する前、水相の少なくとも1つの水性液滴中に単一コピーとして存在する。増幅反応を実施した後、目的の核酸がエマルション中に検出される。任意に、複数の追加の核酸もエマルションの水相中に配合され、この方法は複数の追加の核酸を検出することも含む。本明細書の他の実施形態に関して、例えば、エマルション中の目的の核酸の濃度を決定するため、例えば、エマルション中の追加の核酸と目的の核酸との比について統計解析を実施することができる。
【0025】
本明細書の方法のいずれかでは、反応混合物の少なくとも10は、任意に、低コピー反応混合物(例えば、目的の核酸又は追加の核酸を100コピー以下、通常50コピー以下、典型的には10コピー以下、一般には2コピー以下、および多くの場合1コピー以下含む)である。任意に、反応混合物の少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも500以上は、低コピー反応混合物である。低コピー反応混合物は、目的の核酸を1コピー以下含む、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも500以上の単一コピー反応混合物又はゼロコピー反応混合物を含み得る。反応混合物は、目的の核酸のコピーを含まない可能性があり、含まないことが多い。そのため、複数の反応混合物は、目的の核酸のコピーを含まない、複数のゼロコピー反応混合物を含み得る。即ち、反応混合物の少なくとも約10、25、50、100、150、500、1,000、又は更に10,000以上が、目的の核酸のコピーを有していないゼロコピー反応混合物の可能性がある。一態様では、本発明は、多くのこのようなゼロコピー反応混合物を迅速に検索し、目的の核酸を識別する能力を提供する。
【0026】
本発明の幾つかの実施形態では、サンプルは、目的の核酸とは異なる少なくとも1つの追加の核酸を含む。追加の核酸は、サンプル中に目的の核酸より高いコピー数で存在する可能性があり、また存在することが多い。追加の核酸は、既知の核酸(例えば、対照又はハイブリダイゼーション遮断核酸)であっても、又は、組成の一部若しくは全部に関してそれ自体知られていなくてもよい(目的の核酸が生物学的サンプル中、例えば、患者の細胞又は組織サンプル中に検出される場合にはよくある)。例えば、追加の核酸は、サンプル中に目的の核酸の少なくとも約100倍、少なくとも約1,000倍、少なくとも約10,000倍、少なくとも約100,000倍、少なくとも約1,000,000倍以上の濃度で存在し得る(即ち、サンプル中の目的の核酸の少なくとも約100倍、少なくとも約1000倍、少なくとも約10,000倍、少なくとも約100,000倍、少なくとも約1,000,000倍以上のコピーを有し得る)。十分な数のサンプルアリコートをスクリーニングすることによって、その相対濃度に関わらず目的の核酸を検出することができる。
【0027】
任意に、目的の核酸とは独立して、追加の核酸を検出することができる。例えば、目的の核酸および/又は追加の核酸の統計解析のために、目的の核酸と追加の核酸との比を決定することができる。反応混合物中の核酸(目的の核酸でも、追加の核酸でも、又は他の核酸でも)の数を加算することができ、核酸の濃度(又は相対濃度)をサンプル中で、又
は、本明細書の様々なアリコートおよび反応混合物中のいずれかで決定することができる。
【0028】
目的の核酸は、本質的に、いずれかの検出可能な核酸とすることができる。例としては、SNP、低コピー核酸、癌関連核酸、感染性又は病原体関連核酸、および法医学核酸などが挙げられる。極めて低いコピー数の核酸を識別する本発明の方法の能力のため、本発明は、癌細胞又は病原体が低濃度で存在する初期段階の病気の診断に好適に適用される。例えば、結腸癌細胞は、便サンプル中に存在する可能性があるが、少なくとも結腸癌の初期段階では、癌細胞DNAの濃度は、このようなサンプル中の全DNAと比較して小さい(典型的には、DNAサンプルが由来する細胞の1%よりずっと少ない)。本発明は、このようなサンプル中の癌DNAを識別および定量化するのに使用でき、病気の診断および予後判断のための新規な方法を提供する。類似の手法を使用して、このようなサンプルが通常、採取される又は由来するいずれかの流体又は組織(例えば、血液、尿、唾液、涙、痰、便、射精流体、又は膣分泌物など)から、癌DNA又は病原体核酸を識別することができる。これらのサンプルから、ウイルス(例えば、HIV、ヘルペスウイルス、ポックスウイルスなど)、寄生生物(例えば、マラリア原虫(プラスモディウム(Plasmodium))、線虫など)、細菌(例えば、病原性大腸菌(E.coli)、サルモネラ(salmonella)など)などの感染性/病原性の外的病原因子を識別することができる。病原体が、関連する非病原性有機体と比較して比較的低濃度で存在する場合(例えば、病原性大腸菌(E.coli)は、非病原性大腸菌(E.coli)と比較して腸内に最初は低濃度で存在する)、本方法は特に好適である。
【0029】
最も典型的には、本発明の方法は、温度サイクル増幅反応を利用するが、非温度サイクル反応(例えば、熱の代わりに変性剤の使用、ミクロスケール用途で比較的実用的な手順)も使用できる。1つの典型的な部類の実施形態では、反応混合物は、1つ以上のマイクロスケール増幅チャンバ又はチャネル内で反応混合物を温度サイクルさせることにより、1つ以上の増幅反応を施される。例えば、(例えば、ミクロスケール増幅チャンバ又はチャネル内で)反応混合物の流体に電流を流して加熱する、(例えば、ミクロスケール増幅チャンバ又はチャネル内で)反応混合物に接触する又は近接している加熱要素を抵抗加熱する、ジュール−トムソンデバイス又はペルチェデバイスで、又は他のいずれかの利用可能な加熱方法、又は加熱および冷却方法で加熱することにより、ミクロスケールデバイス内で(又は反応容器内で)様々な温度サイクル法を使用することができる。
【0030】
任意に、操作間の相互汚染を低減するため、操作実施の合間にシステムの構成要素を1つ以上の試薬で処理することができる。例えば、増幅チャネルは、以前の1つ以上の増幅産物からの望ましくない汚染を低減するため、増幅反応の合間にチャネルに酸又は塩基を流入させることができる。
【0031】
好都合な部類の実施形態では、検出は、例えば、TaqMan(商標)プローブ(二重標識されたプローブをポリメラーゼ媒介消化の前、その間、又はその後に二重標識されたプローブを検出することによる操作)の使用、又は分子ビーコンの使用などによる、リアルタイムPCR検出を包含することができる。例えば、標識されていないプローブからアンプリコンを分離した後、例えば、単に、標識されたプローブでアンプリコンを検出するだけで、リアルタイム検出を省略することができる。
【0032】
任意に、検出段階は、反応混合物中又はサンプル中、又はその両方の目的の核酸を定量化することを包含することができる。或いは、検出段階とは別に、核酸を定量化することができる。どちらの場合も、目的の核酸の定量化は、任意に、複数の単一コピー反応混合物中の核酸を検出すること、および、目的の核酸を1コピーだけ含む反応混合物のパーセンテージ又は分布を決定するため、統計的又は確率論的解析を実施することを含む。統計
的又は確率論的解析は、例えば、ポアソン解析、モンテカルロ解析、遺伝的アルゴリズムの適用、ニューラル・ネットワーク・トレーニング(neural network training)、マルコフモデル化、隠れマルコフモデル化、多次元スケーリング、部分最小二乗法(PLS)解析、又は主成分解析(PCA)などのいずれかの利用可能な技術又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0033】
本方法はいずれも、所与の反応混合物中の目的の核酸に対するシグナルの再現性のある形状、長さ、幅、高さ、容量、又は面積を検出することによって、目的の核酸の初期出発濃度を決定することができる。例えば、シグナルは、目的の核酸に結合している標識物質から検出することができる。その形状、長さ、幅、高さ、容量、又は面積を、任意に、テイラー−アリス分散計算又は熱拡散率計算又はその両方に基づいて、又は増幅のための既知の数の出発核酸を有する経験的に観察された反応混合物セットとの比較により、反応混合物の1つに存在する、および/又は、サンプル中に存在する目的の核酸の数に相関させる。そのため、一態様では、本発明は、所与の反応混合物中の1つ以上の増幅された核酸の拡散又は分散又はその両方を計算すること、および、拡散又は分散又はその両方を増幅前の所与の反応混合物の1つにある目的の核酸のコピー数に相関させることを含む。
【0034】
本明細書の方法を実施するために適応されるシステムおよび/又はキットは、本発明の特徴である。本明細書の方法工程のいずれかを実施するため、システムおよび/又はキットは、システム命令(例えば、コンピュータ、又はコンピュータで読み取り可能な媒体で、例えば、システムソフトウェアとして実施される)を具備することができる。また、サンプルを等分/希釈するための流体ハンドリング要素、例えば、マイクロ流体ハンドリング要素、および検出要素も、本明細書のシステムおよびキットの構成要素である。更に、パッケージ材料、一体化要素(例えば、機器ケース、電源など)、並びに、システムおよびキットの使用説明書なども本発明の特徴とすることができる。
【0035】
一実施形態では、本発明は、サンプル中の目的の低コピー核酸を検出するシステムを提供する。本システムは、サンプルを複数のアリコートに希釈する希釈モジュール、および、複数のアリコートの1つ以上を温度サイクルさせるように構成されている増幅チャネル又はチャンバを備えるマイクロ流体デバイスを具備する。マイクロ流体デバイスと一体化した、又はマイクロ流体デバイスの近位にある検出器も具備され、ここで、検出器は、マイクロ流体デバイス内又はマイクロ流体デバイス上の、目的の核酸の1つ以上の増幅されたコピーを検出するように構成されている。また、目的の核酸のコピーを含まない複数のゼロコピーアリコートと、目的の核酸を1コピーだけ含む1つ以上の単一コピーアリコートとを含む、複数のアリコートにサンプルを等分するように希釈モジュールを指示するシステム命令も具備する。典型的には、本システムは、また、検出器で検出される時、目的の核酸の増幅されたコピーが占める再現性のあるシグナル形状、長さ、幅、容量、又は面積を、アリコートの1つに存在する目的の核酸のコピー数、又はサンプル中に存在する目的の核酸のコピー数、又はその両方に相関させるシステムソフトウェアも具備する。システムの動作中、目的のサンプルが連続的に流れるように動作するようにシステム構成要素のいずれか又は全部を選択することができる。或いは、本明細書に記載のストップトフロー/同時画像解析方法を適用することができる。
【0036】
関連する実施形態では、サンプル中の目的の1つ以上の低コピー核酸を定量化するためのシステムを提供する。本システムでは、希釈モジュールでサンプルを複数のアリコートに希釈する。増幅チャネル又はチャンバを備えるマイクロ流体デバイスは、複数のアリコートの1つ以上を温度サイクルさせるように構成されている。マイクロ流体デバイスと一体化した、又はその近位にある検出器は、アリコートの温度サイクルの後、アリコートの1つに存在する目的の核酸の増幅されたコピーが占める、再現性のある形状、長さ、幅、容量、又は面積を検出するように構成されている。本システムは、また、目的の核酸の増
幅されたコピーが占める形状、長さ、幅、容量、又は面積を、アリコートの1つに存在する目的の核酸のコピー数、又はサンプル中に存在する目的の核酸のコピー数、又はその両方に相関させるシステムソフトウェアも具備する。任意に、システムは、目的の核酸のコピーを含まない複数のゼロコピーアリコートと、目的の核酸を1コピーだけ含む1つ以上の単一コピーアリコートとを包含する複数のアリコートにサンプルを等分するように希釈モジュールを指示するシステム命令を具備する。
【0037】
前記システム実施形態のどちらでも、希釈モジュールは、任意に、マイクロ流体デバイスと一体化している。マイクロ流体デバイスは、また、マイクロチャンバ又はチャネルに電流を流すように位置決めされている1つ以上の電極を具備することもできる。マイクロチャンバ又はチャネルへの電流の流れを使用して、マイクロチャンバ又はチャネル内の流体を加熱することができる。マイクロ流体デバイスは、任意に、マイクロチャンバ又はチャネル内、又はその近位に位置決めされ、マイクロチャンバ又はチャネル内の流体を加熱する、1つ以上の加熱要素(例えば、抵抗加熱要素、ペルチェデバイス、又はジュール−トムソンデバイス)を具備するか、又は、それに連結される。
【0038】
検出器は、典型的には、マイクロ流体デバイス内又はマイクロ流体デバイス上の1つ以上の電磁エネルギーシグナルを検出するように構成されているが、他のデバイスセンサ(例えば、pHセンサ、伝導率センサなど)を使用することもできる。例えば、検出器は、サンプルの蛍光、ルミネセンスおよび/又は蛍光偏光を検出することができる。
【0039】
システムは、任意に、本明細書の方法工程のいずれかを実施するための命令を有するソフトウェアを含む。例えば、システムは、温度サイクルを施されるアリコートの1つ以上から受け取られるシグナルの統計的又は確率論的解析を1つ以上実施する、統計的又は確率論的システムソフトウェアを具備することができる。例えば、統計的又は確率論的解析には、ポアソン解析、モンテカルロ解析、遺伝的アルゴリズムの適用、ニューラル・ネットワーク・トレーニング、マルコフモデル化、隠れマルコフモデル化、多次元スケーリング、PLS解析、および/又はPCA解析を挙げることができる。統計的又は確率論的解析は、任意に、サンプル中の目的の核酸の濃度、割合、又は数を定量的に決定することを含む。
【0040】
また、前記のシステムは、任意に、希釈モジュールで希釈されるまでサンプルを貯蔵するサンプル貯蔵モジュール、又は、サンプルをサンプル貯蔵モジュールから取り出し、希釈モジュールに送達するサンプル取り出しモジュールなどの流体ハンドリング又は貯蔵特徴を包含する。これらの特徴は、任意に、システムに流体(例えば、サンプルを含む)の連続フローを提供するように設計される(そのため、より高いサンプルスループットを提供する)。本明細書のシステムにストップトフロー/同時画像解析を、代替として又は組合せて使用することができる。
【0041】
前記方法又はシステムのいずれかを組み合わせて使用することができる。本発明の追加の特徴は、以下の概要で明らかになるであろう。
【0042】
図1は本明細書の実施例で使用される8チャネルPCRシッパーチップのチップ設計を表す概略図である。
【0043】
図2は予測される(ポアソン)値と比較した、2つの実験の実施に関する増幅パーセント対投入コピー数のグラフである。
【0044】
図3Aと図3Bはピーク面積の棒グラフである。
【0045】
図4A−Dは増幅反応のピーク幅を表すグラフである。
【0046】
図5は単一分子増幅ピーク幅のグラフ解析である。
【0047】
図6は本発明のシステムの概略図である。
【0048】
図7は本発明のシステムの概略図である。
【0049】
図8はチャネルの網状構造の同時画像処理を使用して目的の核酸があるかどうかを走査するストップトフローシステムの概略図である。
【0050】
図9は温度サイクル後の流体網状構造の概略図である。スポットは、単一コピー増幅反応からの蛍光「雲」を表す。スポットは、定量的PCR解析を行うために計数される。
【0051】
図10は単一分子DNA増幅を示すデータグラフである。
【0052】
図11は単一分子DNA増幅を示すデータグラフである(6つのパス)。
【0053】
図12は単一分子DNA増幅を示すデータグラフである(3つのパネル)。
【0054】
図13はTaqManプローブを使用してオンチップで発現される癌検出に関する2つの変異部位の検出グラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
本発明は、一部には、サンプル中で又はサンプルから希少核酸をどのように増幅し検出するかを考慮する際の驚くべき概念の変化から導かれる。かつて、増幅反応および検出反応の特異性および感度を改善する方法を見出そうとする試みによって希少核酸の検出が実施された。これは、反応によって目的の核酸の特異的な増幅および識別がより良好にできるほど、システムの信頼性とスループットが良好になるためである。単純な類似を考えると、干草の山の中で一本の針を見つけようとするとき、従来技術の考えは、干草の山からその針を取り出す、より効率的な方法に焦点を当てている。
【0056】
本発明は、目的の核酸を識別するために取る手法が全く異なっている。複雑なサンプルから直接目的の核酸を取り出そうとする代わりに、全サンプルを単に、低コピー数アリコートに解体し、目的の核酸が見出されるまで、低コピー数アリコートに増幅反応を施す。単純な類似を続けると、干草の山全体を個々の干草一本一本にばらし、それぞれを検査して、それが干草であるか針であるかを見る。
【0057】
近代的なハイスループットシステムにより、この新しい概念的手法が可能になる、即ち、例えば、マイクロ流体増幅反応技術を使用する、低コストで相当に多数の増幅反応を実施する能力によって、サンプル中の目的のどのような特定の核酸に関しても、ずっと徹底的にサンプリングすることができる。これらのシステムの連続フロー又はハイスループットストップトフローの性質によってその手法が更に容易になる。更に、このような徹底的なサンプリング方法によるサンプルの検査で、サンプルの組成および目的の核酸の存在量に関する多くの定量的情報(および、統計解析に付随する可能性)が得られる。これによって、目的の核酸の存在量(又は、相対的存在量)に関する診断および予後の情報が得られる。
【0058】
定義
本発明は、特定のデバイス又は生物学的システム、又は増幅方法に限定されるものでは
なく、勿論、変わり得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであって、限定することを意図したものではないことも理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される時、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容が明らかにそうでないことを規定しない限り、任意に、複数の指示対象を包含する。そのため、例えば、「1つのマイクロ流体デバイス」と言うとき、これは、任意に、1つ、2つ又はそれより多くのデバイスの組み合わせを包含する。
【0059】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明の関連する分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等のどのような方法も、およびどのような物質も本発明の試験の実施に使用できるが、好ましい物質および方法を本明細書に記載する。本発明の説明および請求において、下記の定義に従って以下の用語を使用する。
【0060】
「アリコート」は、目的の成分(例えば、サンプル)の一部である。アリコートは、目的の構成成分と比較して、希釈されたもの、濃縮されたもの、又は希釈されていないものとすることができる。
【0061】
「目的の核酸」は、サンプル中で増幅、検出、および/又は定量化されるいずれかの核酸である。
【0062】
「増幅反応」は、1)テンプレートの増幅を起す、又は、2)テンプレートが存在するとした場合、テンプレートの増幅を起すであろう、反応である。そのため、「増幅反応」は、増幅される核酸を含むサンプルアリコートで、又はその核酸を含まないサンプルアリコートで実施することができる。テンプレートが実際に増幅することは、増幅反応を実施するための要件ではない。
【0063】
「ゼロコピー」反応混合物又はアリコートは、関連する核酸(例えば、目的の核酸、又は追加の核酸)のコピーを有していない反応混合物又はアリコートである。これは、関連する核酸以外に、サンプルからの核酸を含む可能性があるか、又は、サンプルからのテンプレート核酸が全くない可能性がある。
【0064】
「単一コピー」反応混合物又はアリコートは、関連する核酸を1コピー有する反応混合物又はアリコートである。
【0065】
「低コピー」反応混合物又はアリコートは、関連する核酸を数コピーだけ有する反応混合物又はアリコートである。典型的には、このような反応は、関連する核酸を50コピー以下、一般には25コピー以下、通常は10コピー以下、多くの場合5コピー以下、2コピー以下、又は1コピー以下有する。
【0066】
「高コピー」核酸反応混合物又はアリコートは、低コピー数反応混合物又はアリコートよりも少なくとも1桁多いコピーを有し、一般に、低コピー数反応混合物よりも2桁、3桁、4桁又は5桁以上も多い。
【0067】
サンプル中の核酸の絶対数又は相対数を決定するとき、核酸は、サンプル中で「定量化」又は「計量」される。これは、その核酸のコピー数、濃度、その核酸とサンプルの他の何らかの構成成分(例えば、別の核酸)との比、又は他のいずれかの適切な表現で表されてもよい。
【0068】
目的の核酸およびサンプル
本発明の方法で検出される目的の核酸は、本質的にどのような核酸であってもよい。多くの核酸およびアミノ酸の配列(これから、逆転写によって核酸配列を誘導できる)が利用可能である。何十万もの既知の核酸を識別しようとする試みはなされず、そのいずれかを本発明の方法で検出することができる。既知の核酸の一般の配列レポジトリには、GenBank EMBL、DDBJ、およびNCBIが挙げられる。他のレポジトリは、インターネット検索で容易に識別できる。核酸は、RNA(例えば、増幅はRT−PCR又はLCRを包含する)又はDNA(例えば、増幅はPCR又はLCRを包含する)、又はその類似体(例えば、合成核酸又はその類似体の検出のため)とすることができる。核酸中のどのような変化(例えば、変異、単一ヌクレオチド多型(SNP)、対立遺伝子、アイソタイプなど)も検出することができる。更に、本発明は定量的であるため、本方法により発現レベル又は遺伝子コピー数の変化を検出することができる。
【0069】
一般に、本発明の方法は、患者に由来する、例えば、患者の体液および/又は排泄物に由来するサンプルに目的の核酸があるかどうかスクリーニングする際に特に有用である。これは、比較的多量のこのような物質に由来するサンプルを本発明の方法でスクリーニングできる(また、このような物質を取り出すことは、比較的非侵襲的である)からである。目的の核酸(例えば、癌細胞中に存在する)は、サンプルの関連する核酸母集団の1%以下を容易に構成することができる(例えば、目的の遺伝子の対立遺伝子を約1%、0.1%、0.001%、0.0001%又はそれ未満)。そのため、本質的に目的のどの組織でもできるように、本発明の方法で、希少核酸があるかどうか、便、痰、唾液、血液、リンパ、涙、汗、尿、膣分泌物、又は射精流体などを容易にスクリーニングすることができる。これらのサンプルは、典型的には、インフォームドコンセントに従い、標準的な医学実験室方法で患者から採取される。
【0070】
等分および増幅の前に、任意に、例えば、バーガー(Berger)およびキンメル(Kimmel)、Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology、第152巻、アカデミックプレス社(Academic Press,Inc.)、カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego,CA)(「バーガー(Berger)」);サムブルック(Sambrook)ら、Molecular Cloning−A Laboratory Manual(第3版)、第1−3巻、コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク(New York)、2000(「サムブルック(Sambrook)」);および/又は、Current Protocols in Molecular Biology、F.M.オースベル(Ausubel)ら編、Current Protocols、グリーンパブリッシング社とジョンワイリーアンドサンズ社の共同事業(a joint venture between Greene Publishing Associates,Inc.
and John Wiley&Sons,Inc.)、(2002年補完(supplemented through 2002))(「オースベル(Ausubel)」)などに教示されているものなどの、いずれかの利用可能な方法でサンプルから核酸を精製する。また、細胞又は他のサンプルからの核酸の精製用に、非常に多くのキットが市販されている(例えば、共にファーマシア・バイオテック(Pharmacia Biotech)製のイージー・プレップ(EasyPrep)(商標)、フレキシ・プレップ(FlexiPrep)(商標);ストラタジーン(Stratagene)製のストラタ・クリーン(StrataClean)(商標);および、キアゲン(Qiagen)製のQIAプレップ(QIAprep)(商標)を参照されたい)。或いは、例えば、等分および希釈の後、単に、サンプルに直接増幅を施すことができる。単一分子検出の利点の1つは、反応中のサンプル成分が低濃度であるため、核酸を精製する必要性が低減し得ることである。即ち、サンプルの希釈によって、目的の核酸が反応混合物中に分配されると
同時に、望ましくない成分の存在量が低減する。
【0071】
本明細書の方法で検出される、目的の核酸の1つの好ましい部類は、癌に関わるものである。例えば、過剰発現した又は変異したポリペプチド成長因子をコードするもの(例えば、sis)、過剰発現した又は変異した成長因子受容体をコードするもの(例えば、erb−BI)、G−蛋白質などの過剰発現した又は変異したシグナル伝達蛋白質をコードするもの(例えば、Ras)、又は非受容体チロシンキナーゼをコードするもの(例えば、abl)、又は過剰発現した又は変異した調節蛋白質をコードするもの(例えば、myc、myb、jun、fosなど)および/又は同様のものをコードするものなど、癌に関連するどのような核酸も本発明の方法で検出することができる。一般に、癌は、シグナル伝達分子および対応する癌遺伝子産物(例えば、Mos、Ras、Raf、およびMetをコードする核酸);および、転写活性化因子およびサプレッサ(例えば、p53、Tat、Fos、Myc、Jun、Myb、Rel、および/又は核受容体)に関連付けられることが多い。口語で細胞の「分子警察官(molecular policeman)」と称されるp53は、既知の全ての癌の約50%がp53の1つ以上の遺伝子損傷に端を発する可能性があるため、特に関連性がある。
【0072】
検討のため、一例として、癌に関する遺伝子の一部類を考えると、多くの核ホルモン受容体がこれまでに詳述されており、癌遺伝子活性を付与するようにこれらの受容体を修飾できる機構が解明されてきた。例えば、甲状腺ホルモン作用の生理学的および分子的基盤は、イェン(Yen)(2001)、「Physiological and Molecular Basis of Thyroid Hormone Action」、Physiological Reviews、81(3):1097−1142、および、それに引用されている参考文献に概説されている。既知の十分に特徴付けられている核受容体には、グルココルチコイド受容体(GR)、アンドロゲン受容体(AR)、ミネラルコルチコイド受容体(MR)、プロゲスチン受容体(PR)、エストロゲン受容体(ER)、甲状腺ホルモン受容体(TR)、ビタミンD受容体(VDR)、レチノイド受容体(RARおよびRXR)、およびエイコサノイドに結合するペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)が挙げられる。また、いわゆる「オーファン核受容体」は、核受容体スーパーファミリーの一部であり、ステロイド受容体および甲状腺受容体などの古典的核受容体と構造的に相同である。これらの受容体又はその腫瘍形成形態のいずれかをコードする核酸を本発明の方法で検出することができる。現在利用可能な全ての製薬治療の約40%は、核受容体および/又はその腫瘍形成形態の作用薬又は拮抗薬であり、本発明の方法による解析の標的としてこれらの受容体(および、そのコード核酸)の相対的な重要性が強調される。
【0073】
既に記載したように、目的の核酸の好ましい部類の1つは、例えば、便に由来するサンプル中にある、結腸癌の症状を示すものである。結腸癌は、散発性又は遺伝性の可能性がある一般的な病気である。結腸癌の様々なパターンの分子的基盤がある程度詳細に知られている。一般に、生殖細胞系の変異は、遺伝性の結腸癌症候群の基になるが、体細胞変異の蓄積は、散発性結腸癌の基になる。アシュケナージ系ユダヤ人では、以前は多型性であると考えられていた変異が家族性結腸癌を引き起こす場合がある。少なくとも3つの異なる部類の遺伝子、即ち、癌遺伝子、抑制遺伝子、および不適正塩基対の修復遺伝子の変異が、結腸癌病因に記載されてきた。一例の核酸は、DCC(結腸癌における欠損)、フィブロネクチンと相同性を有する細胞接着分子をコードする。結腸癌の追加の形態は、損傷を含む常染色体優性遺伝子、hMSH2である。家族性腺腫性ポリポーシスは、染色体#5上のMCC座に損傷を有する結腸癌の別の形態である。結腸癌の追加の詳細に関しては、カルバート(Calvert)ら、(2002)、「The Genetics of
Colorectal Cancer」、Annals of Internal Medicine、137(7):603−612、および、それに引用されている参考文
献を参照されたい。便中に検出され得る様々な結腸癌および結腸癌マーカーに関しては、例えば、ボーランド(Boland)、(2002年)、「Advances in Colorectal Cancer Screening:Molecular Basis for Stool−Based DNA Tests for Colorectal Cancer:A Primer for Clinicians」、Reviews In Gastroenterological Disorders、第2巻、付録1、および、それに引用されている参考文献を参照されたい。他の癌に関しては、Rasおよびp53などの癌と関係する他の様々な遺伝子の変異が、癌の有用な診断指標である。
【0074】
子宮頸癌は、例えば、膣分泌物から得られるサンプル中における検出のための別の好ましい標的である。子宮頸癌は、パポバウイルスによって引き起こされる可能性があり、2つの癌遺伝子E6およびE7を有する。E6は、p53に結合してそれを除去し、E7は、PRBに結合してそれを除去する。p53の損失、および、pRBの調節を有していないE2F/DP成長因子の制御されない作用は、子宮頸癌に繋がる1つの機構である。
【0075】
本発明の方法による検出のための別の好ましい標的は、例えば、涙に由来するサンプル中の網膜芽腫である。網膜芽細胞腫は、pRB遺伝子の不活性化から生じる目の腫瘍である。親が変異pRB遺伝子を有するとき、遺伝で伝達されることが分かっている(且つ、勿論、体細胞変異は癌の非遺伝性形態を引き起こす可能性がある)。
【0076】
本発明の方法で神経線維腫症1型を検出することができる。ras癌遺伝子のGTPアーゼ活性を活性化させるNF1遺伝子を不活性化させる。NF1が欠損している場合、rasは過活性であり、神経腫瘍を引き起こす。本発明の方法は、CSF中の、又は組織サンプリングによる神経線維腫症1型の検出に使用することができる。
【0077】
癌の他の多くの形態が知られており、本発明の方法を使用して関連する遺伝子損傷を検出することによって見出すことができる。適切な損傷を検出することによって検出され得る癌には、リンパ、血液、胃、腸、結腸、精巣、すい臓、膀胱、子宮頸部、子宮、皮膚、および、既知の遺伝子損傷が存在する本質的に全ての他の部位の癌が挙げられる。このトピックの概要には、The Molecular Basis of Human Cancer、コールマン(Colemen)およびツォンガリス(Tsongalis)(編)、ヒューマナプレス(Humana Press);ISBN:0896036340;第1版(2001年8月)を参照されたい。
【0078】
同様に、例えば、感染性真菌類(例えば、アスペルギルス(Aspergillus)属又はカンジダ(Candida)種など);細菌類、特に、病原性細菌類のモデルの役割をする(且つ、勿論、そのうちのある特定の株は病原性である)大腸菌(E.coli)、並びに、ブドウ球菌(Staphylococci)(例えば、黄色ブドウ球菌(aureus))又は連鎖球菌(Streptococci)(例えば、肺炎球菌(pneumoniae))などの医学上重要な細菌類;胞子虫類(例えば、プラスモディウム属(Plasmodia))、根足虫網(rhizopods)(例えば、エントアメーバ属(Entamoeba))および鞭毛虫類(トリパノソーマ属(Trypanosoma)、リーシュマニア属(Leishmania)、トリコモナス属(Trichomonas)、ジアルジア属(Giardia)など)などの原生動物亜界;(+)RNAウイルス(例としては、ポックスウイルス(例えば、ワクシニア(vaccinia));ピコルナウイルス(例えば、ポリオ(polio));トガウイルス(風疹(rubella));フラビウイルス(例えば、HCV);およびコロナウイルスが挙げられる)、(−)RNAウイルス(例えば、ラブドウイルス(例えば、VSV);パラミクソウイルス(Paramyxovimses)(例えば、RSV);オルトミクソウイルス(Or
thomyxovimses)(例えば、インフルエンザ);ブニヤウイルス;およびアレナウイルス)、dsDNAウイルス(例えば、レオウイルス)、RNAからDNAを合成するウイルス、即ちレトロウイルス(例えば、HIVおよびHTLV)および、ある種のDNAからRNAを合成するウイルス(B型肝炎など)などのウイルス類などでは、病原体又は感染性有機体からの核酸を本発明の方法で検出することができる。
【0079】
アミダーゼ、アミノ酸ラセマーゼ、アシラーゼ、デハロゲナーゼ、ジオキシゲナーゼ、ジアリールプロパンペルオキシダーゼ、エピメラーゼ、エポキシドヒドロラーゼ、エステラーゼ、イソメラーゼ、キナーゼ、グルコースイソメラーゼ、グリコシダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ハロペルオキシダーゼ、モノオキシゲナーゼ(例えば、p450s)、リパーゼ、リグニンペルオキシダーゼ、ニトリルヒドラターゼ、ニトリラーゼ、プロテアーゼ、ホスファターゼ、サブチリシン、トランスアミナーゼ、およびヌクレアーゼなどの、様々な核酸コード酵素(例えば、産業用酵素)も本発明の方法に従って検出することができる。同様に、昆虫抵抗蛋白質(例えば、Cry蛋白質)、澱粉および脂質生成酵素、植物及び昆虫毒素、毒素抵抗蛋白質、マイコトキシン解毒蛋白質、植物成長酵素(例えば、リブロース1,5−ビスホスフェートカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ、「ルビスコ(RUBISCO)」)、リポキシゲナーゼ(LOX)、および、ホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシラーゼなどの農業関連の蛋白質も検出することができる。
【0080】
サンプルの等分
標準的又はマイクロ流体の流体ハンドリング法(又はこれらの組合せ)を使用して、サンプルを等分および/又は希釈することができる。希釈/等分のための標準的流体ハンドリング法には、例えば、適切な容量のサンプルをマイクロタイタートレイにピペットで移し、適切な希釈剤を添加することが挙げられる。これらの操作は、手動で、又は、マイクロタイタートレイを使用するように設計されている、利用可能なハイスループット流体ハンドラーを使用して実施することができる。本発明は、目的のサンプルの多数のアリコートを作成し、使用することを想到しているため、ハイスループット装置(例えば、自動ピペッタおよびロボット式マイクロタイタートレイハンドリングを組み込んでいる)が好ましい。
【0081】
流体ハンドリング用の多くの自動システムが市販されており、これらを本発明の文脈のサンプルの等分および/又は希釈に使用することができる。例えば、様々な自動システムが、ザイマーク社(マサチューセッツ州ホプキントン、ザイマーク・センター)(Zymark Corporation(Zymark Center, Hopkinton,MA))から入手可能であり、これらは、典型的には、例えば、ロボット工学および流体ハンドリングモジュールを具備する様々なザイメート(Zymate)システムを利用する(また、http://www.zymark.com/も参照されたい)。同様に、例えば、マイクロタイタートレイ操作のため、様々な実験室システムで使用される一般的なORCA(登録商標)ロボットも、例えば、ベックマン・コウルター社(カリフォルニア州フラートン)(Beckman Coulter,Inc.(Fullerton,CA))から市販されている。いずれの場合も、本発明の方法を実施する際、マイクロ流体システムの代わりに、又はそれと共に慣用的なハイスループットシステムを使用することができる(例えば、慣用的なシステムを使用してサンプルを等分し、マイクロタイタートレイに入れることができ、マイクロ流体システムはそれから物質を吸引することができる)。
【0082】
一態様では、エマルションが作り出され、ここで、サンプルアリコートは、エマルション内の液滴を含むか、又はそれからなる。標準的な温度サイクル反応により、エマルションを増幅することができ、増幅された核酸を、標準的な装置(例えば、顕微鏡ステーショ
ン又はCCDアレイ)を使用してエマルションの液滴内で検出する。
【0083】
マイクロ流体システムは、本発明に好都合に適用できる、好ましい流体ハンドリングおよび増幅技術を提供する。典型的な実施形態では、サンプルをマイクロスケールのキャビティ(少なくとも1つの寸法が約500μM未満のサイズ、多くの場合、約100μM未満のチャネル、チャンバなど)の網状構造を備えるマイクロ流体デバイスの中に吸引し、キャビティの網状構造内でサンプルを混合、希釈、等分、又はその他操作する。例えば、マイクロスケールデバイスは、マイクロスケールデバイスの本体構造から外側に延びる、網状構造と流体連通する1つ以上のキャピラリを備えることができる。キャピラリに負圧(真空)を印加し、流体を容器(例えば、マイクロタイタートレイのウェル)から網状構造の中に吸引する。複数のキャピラリチャネルを備えるデバイスを使用することにより、このプロセスを多重化することができ、多くのサンプルを網状構造の中に吸引して同時に処理することが可能になる。また、この基本的システムを使用して、例えば、サンプルをマイクロ流体デバイスの中に吸引する前に、キャピラリから流体を一部又は完全に排出し、サンプルを水和させることにより、乾燥サンプルとのサンプル界面相互作用をすることもできる(流体は、典型的には、キャピラリの先端の懸滴としてサンプルと接触した後、キャピラリの中に吸引されて戻る)。また、どちらの手法に関しても、パース(Parce)らに付与された米国特許第6,482,364号明細書(2002年11月19日)「ピペッタ要素を具備するマイクロ流体システム(MICROFLUIDIC SYSTEMS INCLUDING PIPETTOR ELEMENTS)」;パース(Parce)らに付与された米国特許第6,042,709号明細書(2000年3月28日)「マイクロ流体サンプリングシステムおよび方法(MICROFLUIDIC SAMPLING SYSTEM AND METHODS)」;パース(Parce)らに付与された米国特許第6,287,520号明細書(2001年9月11日)「電気ピペッタおよび電気泳動バイアスの補償手段(ELECTROPIPETTOR AND COMPENSATION MEANS FOR ELECTROPHORETIC BIAS)」;およびナップ(Knapp)らに付与された米国特許第6,235,471号明細書(2001年5月22日)「閉ループ生化学分析器(CLOSED−LOOP BIOCHEMICAL ANALYZERS)」を参照されたい。本質的にどの流体操作(等分、希釈、加熱および冷却)も、利用可能な方法を使用して網状構造内で実施することができる。マイクロスケールデバイス内における希釈および等分操作に関する詳細は、例えば、パース(Parce)らに付与された米国特許第6,149,870号明細書(2000年11月21日)「マイクロ流体システム中における物質のin−situ濃縮および/又は希釈用装置(APPARATUS FOR IN SITU CONCENTRATION AND/OR DILUTION OF MATERIALS IN MICROFLUIDIC SYSTEMS)」;パース(Parce)らに付与された米国特許第5,869,004号明細書(1999年2月9日)「マイクロ流体システム内における物質のin−situ濃縮および/又は希釈のための方法および装置(METHODS AND APPARATUS FOR IN SITU CONCENTRATION AND/OR DILUTION OF MATERIALS IN MICROFLUIDIC SYSTEMS)」;およびナップ(Knapp)らに付与された米国特許第6,440,722号明細書(2002年8月27日)「反応を最適化するためのマイクロ流体デバイスおよび方法(MICROFLUIDIC DEVICES AND METHODS FOR OPTIMIZING REACTIONS)」などの特許文献に見出すことができる。混合/希釈される又は等分されるサンプルおよび成分は、ピペッタ要素を通して、又はデバイス自体の反応成分リザーバから、又は、通常その両方でマイクロスケールデバイスに入れることができる。例えば、サンプルは、ピペッタチャネルを通してマイクロ流体デバイスに入れられ、希釈され、これにオン−デバイス希釈および/又は試薬リザーバからの共通試薬を供給することができる。座特異試薬(例えば、増幅プライマー)は、デバイス上でウェル内に存在するか、又はデバイスから離して(例
えば、マイクロタイタープレート内に)貯蔵することができる(この場合、それらにピペッタチャネルでアクセスすることができる)。これらの操作のいずれか、又は全部を連続フォーマット又はストップトフローフォーマットで実施することができる。
【0084】
チップが果たす機能は、典型的には、反応アセンブリ(反応成分のアセンブリ)、温度サイクルさせること、および、画像化工程中の光学システムのための「キュベット」の役割をすることを包含する。反応アセンブリでは、加熱を始める直前に混合される反応混合物成分(特に、マグネシウムおよび酵素)が集められる。これは、「ホットスタート」と称され、特異性の利点を提供する。温度サイクル中に、システムは、任意に、一定の流体移動と一定の温度変化の両方を提供する。画像化中、定量化の分散/拡散方法を使用して十分なダイナミックレンジを提供するのに、高データ転送速度CCDが有用である。
【0085】
本発明の実施に使用できる流体ハンドリングおよび解析の全態様を実施する市販のシステムが入手可能である。例としては、キャリパー・テクノロジーズ(カリフォルニア州マウンテンビュー)(Caliper Technologies(Mountain View,CA))製の250HTSシステムおよびAMS90SEが挙げられる。これらのシステムは、一連の連続フロー方式で実験を実施し、シッパーと称される、「チップ−トゥー−ワールド(chip−to−world)」インターフェイス、又はサンプルアクセスシステムを採用し、それを通してマイクロウェルプレート内の物質が、チップに取り付けられている1本又は複数本のキャピラリに少しずつ吸い込まれ、チップのチャネルの中に吸引される。そこで、それらは、目的の成分と混合され、処理および結果検出工程が実施される。
【0086】
慣用的な流体ハンドリング法又はマイクロ流体法(又はその両方)のどれを使用しても、等分および/又は希釈事象を実施して特定の結果を達成することができる。例えば、サンプルを各アリコートで等しく希釈することができるか、又は、或いは、アリコートを異なるように希釈することができる(例えば、希釈シリーズを作成できる)。アリコート自体は、システムが使用する流体ハンドリング法に適切な一定の容量(例えば、マイクロタイタープレートで、およそ数マイクロリットル〜マイクロ流体法で100nL、10nL、又は更に1nL以下)を有する。
【0087】
アリコートは、いずれかの関連する核酸を高コピー数又は低コピー数(例えば、低コピー数アリコートでは、関連する核酸を50コピー以下、一般には25コピー以下、通常10コピー以下、多くの場合5コピー以下、2コピー以下、又は1コピー以下)有するように選択される。作成されるアリコートの数は、サンプルのサイズ、および従事者が所望する定量的情報の量に依存する。例えば、希少核酸の単純な検出を所望する場合、アリコートの1つに核酸が検出されるような十分に低いコピー数のアリコートがサンプルから作成される。更に定量的な情報が必要な場合、例えば、所与の信頼性の値まで、信頼性のある統計情報を提供するのに十分なコピーが作成される。いずれの場合も、これは、1アリコート〜10アリコート以上の幾つか、例えば、10アリコート、100アリコート、1,000アリコート、10,000アリコート、100,000アリコート、1,000,000アリコート、1,000,000,000アリコート以上を包含することができる。本発明に従って作成され、目的の核酸があるかどうかを評価することができるアリコートの数に理論的な限界はないが、システムのスループットおよびサンプルのサイズに関して実際に考慮すべきことがある(スループットが低いほど、所与の時間内に解析できるアリコートは少なく;サンプルサイズが大きいほど、サンプルから作成できるアリコートは多い)。マイクロ流体法を使用して、試薬の使用量(および混入試薬の費用)を最小限にすることができる。任意に、増幅中などにサンプルおよび試薬の連続フローを提供するように、システムをフォーマット化することによって、本発明のシステムは、目的の核酸があるかどうか多くの異なるサンプルを検索するプロセスの速度を非常に速くすることが
できる。同様に、ストップトフロー法を使用する場合、PCR反応からのシグナルを同時に処理し、目的の核酸があるかどうか、サンプルを検索するプロセスの速度を速くすることができる。下記の実施例では、モデルサンプルのポアソン統計に妥当な定量的情報を提供するのに、各希釈範囲に対して約150アリコートが十分である。同様に、本方法にそれより多く又は少ないアリコートを使用できることも明白である。
【0088】
本明細書の実施形態の多くでは、サンプル中の関連する核酸の希少性(および、選択される希釈)のため、アリコートの多くが目的の核酸をゼロコピー有することは言及に値する。これは、連続フロー解析システムの検出問題とならない−流量を使用して、目的の核酸の検出前に、検出器がどれくらい多くのアリコートを(検出せずに)通過したかを計算することができる。非連続フローシステム(例えば、マイクロウェルプレートに基づくシステム)では、単にブランク反応(増幅産物がないウェル)を計数して、目的の核酸の増幅頻度を決定することができる。どの場合も、システムで1〜10以上の幾つかのゼロコピー反応を行って、評価することができ、例えば、目的の核酸の検出プロセスで約10、25、50、100、500、1,000、10,000、100,000、又は1,000,000以上のゼロコピー反応を検出することができる。同様に、目的の核酸以外の追加の核酸(例えば、対照、又は、関連する座特異試薬で同様に増幅される目的の核酸の代替の対立遺伝子)を本システムで検出することができる(又は検出できない)。システム中のこのような代替の核酸の目的の核酸に対する割合は、例えば、1倍、10倍、100倍、1,000倍、10,000倍、100,000倍、1,000,000倍、1,000,000,000倍以上など、1未満〜10以上の範囲に及ぶことができる。
【0089】
更に、本明細書の実施例および図で実証されるように、連続フローフォーマットは、驚くほど効率的なシステムである、即ち、システムに入る単一分子が高い割合で増幅される。この効率は、例えば、生物戦争又は感染性の病気の検出用途で、非常に希少な分子が存在する場合、それを検出することを確実にするのに有用である。高い効率は、本明細書の実施例、表、および図に証明されている。典型的には、本発明のシステムを使用して、目的のサンプル中に存在する、又は、増幅を施されるアリコートの集合の中に存在する希少分子の少なくとも90%、一般には95%、多くの場合99%以上を増幅することができる。
【0090】
アリコートの増幅
本発明の方法は、目的の核酸、および、任意に1つ以上の追加の核酸を増幅することを包含する。PCR、RT−PCR、LCRおよび/又は様々なRNA媒介増幅法のいずれかを包含する、どの利用可能な増幅方法を使用することもできる。PCR、RT−PCR、およびLCRは、本発明の方法における目的の核酸を増幅するのに好ましい増幅方法である。また、リアルタイムPCRおよび/又はRT−PCR(例えば、TaqMan(商標)プローブ又は分子ビーコンに基づくプローブで媒介される)を使用して、増幅された核酸の検出を容易にすることもできる。
【0091】
当業者は、一般に、これらの増幅方法の詳細に精通していることが期待される。これらの増幅方法に関する詳細は、例えば、サムブルック(Sambrook)(2000年);オースベル(Ausubel)(2002年)およびイニス(Innis)(1990年)(全て前記のもの)に見出すことができる。追加の詳細は、PCR:A Practical Approach(The Practical Approach Series)、クワーク(Quirke)ら(編)、(1992)、オックスフォードユニバーシティプレス(Oxford University Press)に見出すことができる。
【0092】
また、追加の詳細は、様々なPCRの応用に関する文献に見出すことができる。例えば
、植物中の核酸の増幅に関する詳細は、例えば、Plant Molecular Biology(1993)、クロイ(Croy)(編)、バイオスサイエンティフィックパブリッシャーズ(BIOS Scientific Publishers,Inc.)に見出すことができる。同様に、癌検出用のPCRに関する追加の詳細は、例えば、バーナード(Bernard)およびウィットワー(Wittwer)、(2002)、「Real Time PCR Technology for Cancer Diagnostics」、Clinical Chemistry、48(8):1178−1185;ペルー(Perou)ら、(2000)、「Molecular portraits of human breast tumors」、Nature、406:747−52;ヴァンヴェール(van’t Veer)ら、(2002)、「Gene expression profiling predicts clinical outcome of breast cancer」、Nature、415:530−6;ローゼンウォルド(Rosenwald)ら、(2001)、「Relation of gene expression phenotype to immunoglobulin mutation genotype in B cell chronic lymphocytic leukemia」、J.Exp.Med、194:1639−47;アリーザーデ(Alizadeh)ら、(2000)、「Distinct
types of diffuse large B−cell lymphoma identified by gene expression profiling」、Nature 403:503−11;ガーバー(Garber)ら、(2001)、「Diversity of gene expression in adenocarcinoma of the lung」、Proc Natl Acad Sci USA、98:13784−9;ティルコネン(Tirkkonen)ら、(1998)、「Molecular cytogenetics of primary breast cancer by CGH」、Genes Chromosomes Cancer、21:177−84;ワタナベ(Watanabe)ら、(2001)、「A nobel amplification at 17q21−23 in ovarian cancer cell lines detected by comparative genomic hybridization」、Gynecol Oncol、81:172−7;および他の多くのものなどの様々な出典のいずれかに見出すことができる。
【0093】
分子ビーコン
一態様では、例えば、分子ビーコン又はTaqMan(商標)プローブを使用して、本明細書に記載の様々なアリコート又は反応混合物でリアルタイムPCRを実施する。分子ビーコン(MB)は、適切なハイブリダイゼーション条件で自己ハイブリダイズしてステムおよびループ構造を形成するオリゴヌクレオチド又はPNAである。MBは、オリゴヌクレオチド又はPNAの末端に標識物質又はクエンチャーを有し、そのため、分子内ハイブリダイゼーションを可能にする条件で、典型的には、クエンチャーで標識物質が消光される(又は、その蛍光が少なくとも変化する)。MBが分子内ハイブリダイゼーションを示さない条件では(例えば、標的核酸、例えば、増幅中のアンプリコン領域に結合するとき)MB標識物質は消光されない。
【0094】
MBを作成し、使用する標準的な方法に関する詳細は文献で十分に確立されており、MBは、多くの商業的試薬供給元から入手可能である。また、例えば、レオン(Leone)ら、(1995)、「Molecular beacon probes combined with amplification by NASBA enable homogeneous real−time detection of RNA.」、Nucleic Acids Res.、26:2150−2155;タイアギ(Tyagi)およびクレイマー(Kramer)、(1996)、「Molecular be
acons:probes that fluoresce upon hybridization」、Nature Biotechnology、14:303−308;ブロック(Blok)およびクレイマー(Kramer)、(1997)「Amplifiable hybridization probes containing a molecular switch」、Mol Cell Probes、11:187−194;スイ(Hsuih)ら、(1997)、「Novel,ligation−dependent PCR assay for detection of hepatitis C in serum」、J.Clin. Microbiol、34:501−507;コストリキス(Kostrikis)ら、(1998)、「Molecular beacons:spectral genotyping of human
alleles」、Science、279:1228−1229;ソコル(Sokol)ら、(1998)、「Real time detection of DNA:RNA hybridization in living cells」、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、95:11538−11543;タイアギ(Tyagi)ら、(1998)、「Multicolor molecular beacons for alelle discrimination」、Nature Biotechnology、16:49−53;ボネット(Bonnet)ら、(1999)、「Thermodymnamic basis of the chemical
specificity of structured DNA probes」、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、96:6167−6176;ファン(Fang)ら、(1999)、「Designing a novel molecular beacon for surface−immobilized DNA hybridization studies」、J.Am.Chem.Soc.、121:2921−2922;マラス(Marras)ら、(1999)、「Multiplex detection of single−nucleotide variation using molecular beacons」、Genet.Anal.Biomol.Eng.、14:151−156;および、ヴェット(Vet)ら、(1999)、「Multiplex detection of four pathogenic retroviruses using molecular beacons」、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、96:6394−6399を参照されたい。MB構成およびその使用に関する追加の詳細は、例えば、タイアギ(Tyagi)らに付与され、「検出可能に標識された二重立体配座オリゴヌクレオチドプローブ、アッセイ、およびキット(Detectably labeled dual conformation oligonucleotide probes,assay,and kits)」と題された、米国特許第5,925,517号明細書(1999年7月20日);タイアギ(Tyagi)らに付与され、「非FRET蛍光消光を有する核酸検出プローブ、並びに、このようなプローブを具備するキットおよびアッセイ(Nucleic acid detection probes having non−FRET fluorescence quenching and kits and
assays including such probes)」と題された、米国特許第6,150,097号明細書(2000年11月21日);および、タイアギ(Tyagi)らに付与され、「波長シフトプローブおよびプライマー、並びに、アッセイおよびキットにおけるそれらの使用(Wavelength−shifting probes and primers and their use in assays and kits)」と題された、米国特許第6,037,130号明細書(2000年3月14日)などの特許文献に見出される。
【0095】
MBは、リアルタイムの、例えば、PCR、LCR又は他の核酸増幅反応中などに、核酸を検出および定量化するための確実な試薬である(例えば、MBは、それが形成される時、標的の検出に使用できる)。クルアケム(Cruachem)(cruachem.
com)、オスウェル・リサーチ・プロダクツ社(Oswel Research Products Ltd.)(英国;oswel.com)、リサーチ・ジェネティクス(Research Genetics)(インビトロゲンの事業部、アラバマ州ハンツビル(a division of Invitrogen, Huntsville AL)(resgen.com))、ザ・ミッドランド・サーティファイド・リエージェント社(the Midland Certified Reagent Company)(テキサス州ミッドランド(Midland,TX)mcrc.com)、およびゴリラ・ジェノミックス,LLC(カリフォルニア州アラミダ)(Gorilla Genomics,LLC(Alameda,CA))を含む様々な商業的供給業者が、標準的および注文の分子ベーコンを製造している。また、ストラータジーン(カリフォルニア州ラホイヤ)(Stratagene(La Jolla,CA))製のセンチネル(Sentinel)(商標)分子ビーコン対立遺伝子区別キット(Molecular Beacon Alleic Discrimination Kits)、並びに、ユーロジェンテックSA(Eurogentec SA)(ベルギー、eurogentec.com)およびアイソジェン・バイオサイエンスBV(Isogen Bioscience BV)(オランダ、isogen.com)製の様々なキットなどの、分子ビーコンを利用する様々なキットも市販されている。
【0096】
MB成分(例えば、蛍光体又はクエンチャーで標識されたものを含むオリゴ)は、慣用的な方法で合成することができる。例えば、オリゴ又はペプチド核酸(PNA)は、標準的な方法を使用する市販の自動化オリゴヌクレオチド/PNA合成装置で合成することができる。自動合成中に、又は後合成反応でオリゴ又はPNAに標識物質を結合させることができるが、それらは、以前に記載されており、例えば、タイアギ(Tyagi)およびクレイマー(Kramer)、(1996)、「Molecular beacons:probes that fluoresce upon hybridization」、Nature Biotechnology、14:303−308;および、タイアギ(Tyagi)らに付与され、「波長シフトプローブおよびプライマー、並びに、アッセイおよびキットにおけるそれらの使用(Wavelength−shifting probes and primers and their use in assays and kits)」と題された、米国特許第6,037,130号明細書(2000年3月14日);および、タイアギ(Tyagi)らに付与され、「検出可能に標識された二重立体配座オリゴヌクレオチドプローブ、アッセイ、およびキット(Detectably labeled dual conformation oligonucleotide probes,assay and kits)」と題された、米国特許第5,925,517号明細書(1999年7月20日);を参照されたい。官能化オリゴの合成に関する追加の詳細は、ネルソン(Nelson)ら、(1989)、「Bifunctional Oligonucleotide Probes Synthesized Using A Nobel CPG Support Are Able
To Detect Single Base Pair Mutations」、Nucleic Acids Research、17:7187−7194に見出すことができる。標識物質/クエンチャーは、例えば、クエンチャー(例えば、4−ジメチルアミノアゾベンゼン−4’−スルホニル部分(DABSYL))を導入するため、例えば、制御される細孔ガラスカラムを使用してオリゴヌクレオチド又はPNAに導入することができる。例えば、自動合成中にオリゴヌクレオチドの3’末端にクエンチャーを付加することができ;結合部位が一級アミノ基であるとき、4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸のスクシニミジルエステル(DABCYL)を使用でき;結合部位がスルフヒドリル(sulphydryl)基であるとき、4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−マレイミド(DABMI)を使用できる。同様に、ヌクレオシドをフルオレセインで置換するフルオレセインフォスフォアミダイトを使用して、又は、スペーサーを介してチミジン環にフルオレセイン部分を導入するフルオレセインdTフォスフォアミ
ダイトを使用することにより、フルオレセインをオリゴに導入することができる。フルオレセイン部分を末端位置に結合させるため、ヨードアセトアミドフルオレセインをスルフヒドリル基にカップリングさせることができる。テトラクロロフルオレセイン(TET)は、5’−テトラクロロ−フルオレセインフォスフォアミダイトを使用して自動合成中に導入することができる。他の反応性蛍光体誘導体、および、それらの各結合部位には、アミノ基にカップリングされる5−カルボキシローダミン−6G(RHD)のスクシンイミジルエステル;スルフヒドリル基にカップリングされるテトラメチルローダミンのヨードアセトアミド;アミノ基にカップリングされるテトラメチルローダミンのイソチオシアネート;又は、スルフヒドリル基にカップリングされるテキサスレッドのスルホニルクロライドが挙げられる。これらの標識された成分の合成中に、共役オリゴヌクレオチド又はPNAを、必要に応じて、例えば、高圧液体クロマトグラフィー又は他の方法で精製することができる。
【0097】
TaqMan(商標)プローブ
二重標識された蛍光遺伝子オリゴヌクレオチドプローブを使用するPCR定量化は、一般に、「TaqMan(商標)」プローブと称され、本発明に従って実施することができる。これらのプローブは、2つの異なる蛍光色素で標識された短い(例えば、20〜25塩基の)オリゴデオキシヌクレオチドで構成されている。各プローブの5’末端には、レポーター色素があり、各プローブの3’末端には、クエンチャー色素が見出される。オリゴヌクレオチドプローブ配列は、PCRアンプリコン中に存在する内部標的配列に相補的である。プローブがそのままであるとき、2つの蛍光体間でエネルギー移動が起こり、レポーターからの発光はFRETによりクエンチャーで消光される。PCRの伸長段階中に、プローブは、反応に使用されるポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によって開裂され、それによって、オリゴヌクレオチド−クエンチャーからレポーターが放出され、レポーター発光強度が増大する。
【0098】
従って、TaqMan(商標)プローブは、標識物質およびクエンチャーを有するオリゴヌクレオチドであり、増幅中に使用されるポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ作用による増幅中に標識物質が放出される。これによって合成中に増幅のリアルタイム測定が行われる。例えば、アプライド・バイオシステムズ(カリフォルニア州フォスターシティの事業本部)(Applied Biosystems(Division Headquarters in Foster City,CA))、並びに、バイオサーチ・テクノロジーズ(Biosearch Technologies)などの様々な専門販売社から、様々なTaqMan(商標)試薬が市販されている(例えば、ブラックホールクエンチャープローブなど)。
【0099】
一般的なプローブ合成方法
一般に、プローブ、分子ビーコン、PNA、LNA(ロックト核酸)などを含むオリゴヌクレオチドを製造する合成方法は、周知である。例えば、オリゴヌクレオチドは、ボウケージ(Beaucage)およびカルサー(Caruther)、(1981)、Tetrahedron Letts.、22(20):1859−1862により記載された固体相フォスフォアミダイトトリエステル法に従って、例えば、市販の自動化合成装置、例えば、ニードハム−ヴァンデヴァンター(Needham−VanDevanter)ら、(1984)、Nucleic Acid Res.、12:6159−6168に記載されるようなものを使用して化学的に合成できる。修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、当業者に既知の様々な商業的供給元から注文することができる。オリゴ合成サービスの多くの商業的供給者があり、そのため、これは広くアスセスできる技術である。どの核酸も、ザ・ミッドランド・サーティファイド・リエージェント社(The Midland Certified Reagent Company)(mcrc@oligos.com)、ザ・グレート・アメリカン・ジーン社(The Gre
at American Gene Company)(www.genco.com)、イクスプレス・ジェン社(Express Gen Inc.)(www.expressgen.com)、オペロン・テクノロジーズ社(カリフォルニア州アラミダ)(Operon Technologies Inc.(Alameda,CA))および他の多くの供給元などの様々な商業的供給元のいずれかから特別注文することができる。同様にPNAも、ペプチド・ジェニック(PeptidoGenic)(pkim@ccnet.com)、HTIバイオ−プロダクツ社(HTI Bio−products,inc)(www.htibio.com)、BMAバイオメディカルズ社(BMA Biomedicals Ltd)(英国)、バイオ−シンセシス社(Bio−Synthesis,Inc.)および他の多くの供給元などの様々な供給元のいずれかから特別注文することができる。
【0100】
マイクロ流体システム内での増幅
例えば、マイクロ流体デバイス内での増幅反応を含む、PCRおよび他の増幅反応を実施する多くのハイスループット法、並びに、該デバイス内又はデバイス上で増幅された核酸を検出および解析する方法が開発されてきた。このような技術に関する詳細は、例えば技術および特許文献、例えば、コップ(Kopp)ら、(1998)、「Chemical Amplification:Continuous Flow PCR on a
Chip」、Science、280(5366):1046;ナップ(Knapp)らに付与された米国特許第6,444,461号明細書(2002年9月3日)「マイクロ流体デバイスおよび分離方法(MICROFLUIDIC DEVICES AND METHODS FOR SEPARATION)」;ナップ(Knapp)らに付与された米国特許第6,406,893号明細書(2002年6月18日)「非熱的核酸操作のためのマイクロ流体方法(MICROFLUIDIC METHODS FOR NON−THERMAL NUCLEIC ACID MANIPULATIONS)」;ナップ(Knapp)らに付与された米国特許第6,391,622号明細書(2002年5月21日)「閉ループ生化学分析器(CLOSED−LOOP BIOCHEMICAL ANALYZERS)」;コプフ−シル(Kopf−Sill)に付与された米国特許第6,303,343号明細書(2001年10月16日)「非効率的高速PCR(INEFFICIENT FAST PCR)」;ナグル(Nagle)らに付与された米国特許第6,171,850号明細書(2001年1月9日)「温度制御された反応および解析を実施するための一体化デバイスおよびシステム(INTEGRATED DEVICES AND SYSTEMS FOR PERFORMING TEMPERATURE CONTROLLED REACTIONS AND ANALYSES)」;ローウィー(Loewy)らに付与された米国特許第5,939,291号明細書(1999年8月17日)「核酸増幅のためのマイクロ流体方法(MICROFLUIDIC METHOD FOR NUCLEIC ACID AMPLIFICATION)」;ワイルディング(Wilding)らに付与された米国特許第5,955,029号明細書(1999年9月21日)「メソスケールポリヌクレオチド増幅デバイスおよび方法(MESOSCALE POLYNUCLEOTIDE AMPLIFICATION DEVICE AND METHOD)」;チャウ(Chow)らに付与された米国特許第5,965,410号明細書(1999年10月12日)「マイクロチャネル内の流体パラメータを制御するための電流(ELECTRICAL CURRENT FOR CONTROLLING FLUID PARAMETERS IN MICROCHANNELS)」;Service(1998)「Microchips Arrays Put DNA on the Spot」、Science 282:396−399、チャン(Zhang)ら、(1999)、「Automated and Integrated System for High−Throughput DNA Genotyping Directly from Blood」、Anal.Chem.、71:1138−1145、および、他の多くの文献などなどに見出される。
【0101】
例えば、ナップ(Knapp)らに付与された米国特許第6,391,622号明細書(2002年5月21日)「閉ループ生化学分析器(CLOSED−LOOP BIOCHEMICAL ANALYZERS)」およびその中に引用されている参考文献は、試薬貯蔵システムにアクセスでき、マイクロ流体システム内で様々な方法のいずれかによりPCR又は他の増幅反応を実施できるマイクロ流体要素を備えるシステムを記載している。例えば、マイクロ流体システムは、物質を本体構造の中に吸引するため、マイクロ流体システムの本体構造から外側に延びる1つ以上のキャピラリを有することができる。本体構造内には、マイクロ流体キャビティ(少なくとも1つの寸法が約500ミクロンより小さい、典型的には約100ミクロンより小さいチャネル、又はチャンバなど)があり、その中で増幅反応が実施される。本体構造から延び出しているキャピラリは、例えば、真空又は電気浸透力を印加することにより、流体をキャピラリの中に吸引することによって、標準試薬貯蔵要素(マイクロタイタープレートなど)にアクセスすることができる。同様に、キャピラリは、流体を一部又は完全に排出してライブラリ要素を再水和させることにより、および、その後、再水和流体をキャピラリの中に吸引して戻すことにより、支持体上の乾燥した試薬ライブラリ(例えば、キャリパー・テクノロジーズ(Caliper Technologies)により製造されるライブラリ・カード(LibraryCard)(商標)試薬アレイなど)にアクセスすることができる。例えば、キャピラリは流体を一部排出し、キャピラリ上に懸滴を形成することができ、次いで、これを水和される物質と接触させる。次いで、懸滴中の物質は、キャピラリの中に吸引されて戻る。いずれの場合も、分子ビーコン又はTaqMan(商標)プローブは、関連する増幅反応に組み込まれ、マイクロ流体デバイス中で検出されて、リアルタイムのPCR検出を提供することができる。或いは、PCRアンプリコンは、例えば、ハイブリダイズされていないプローブを、ハイブリダイズしたプローブから分離する分離操作の前又は後の、標識されたプローブへのハイブリダイゼーションなど、慣用的な方法で検出することができる。例えば、マイクロスケールデバイスのチャネル内で電気泳動分離を実施することができる。
【0102】
慣用的なハイスループットシステム
代替の実施形態では、マイクロ流体法の代わりに、又はそれと共に、標準的な流体ハンドリング法が使用される。本発明に関連する希釈又は他の操作と同様に、PCRは、標準的な反応容器(例えば、マイクロタイタープレート)内で実施することができる。流体ハンドリングの非マイクロ流体法に、様々なハイスループットシステムが利用可能である(典型的には、例えば、96ウェル、384ウェル、又は1536ウェルのマイクロタイタープレートなどの幾つかの反応チャンバを備えるプレートを含む)。これらの手法は、慣用的なロボット工学を利用して流体ハンドリング操作を実施することができ、慣用的な市販の温度サイクル装置を使用して増幅反応を実施することができる。自動流体ハンドリングシステムの検討については、上記を参照されたい。
【0103】
増幅された核酸の検出
本発明では、増幅された核酸の検出に利用可能ないずれかの方法を使用できる。一般的な手法には、分子ビーコン又はTaqMan(商標)プローブを用いるリアルタイム増幅検出、インターカレート用色素(エチジウムブロマイド又はサイバーグリーン)の検出、増幅プローブ又は増幅された核酸自体に組み込まれた標識物質の検出(例えば、組み込まれていない標識物質から増幅産物を電気泳動分離した後)、および/又は、核酸に結合する二次的な試薬の検出が挙げられる。これらの一般的な手法に関する詳細は、例えば、サムブルック(Sambrook)(2000年)、オースベル(Ausubel)(2002年)、および、リアルタイムPCR検出に関する本明細書のセクションの参考文献など、本明細書中に引用される参考文献に見出される。核酸を標識するための追加の標識方法および対応する検出方法は、例えば、ハウグランド(Haugland)、(1996)、Handbook of Fluorescent Probes and Res
earch Chemicals 第6版、Molecular Probes,Inc.、(オレゴン州ユージーン(Eugene OR));又は、ハウグランド(Haugland)、(2001)、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals 第8版、Molecular
Probes,Inc.、(オレゴン州ユージーン(Eugene OR))(CD ROMで入手可能)に見出すことができる。
【0104】
増幅された核酸(アンプリコン)を溶液中に(例えば、分子ビーコン又はTaqMan(商標)プローブを使用して)、又は、分離中もしくは分離後に(例えば、電気泳動で)検出することができる。これらの方法に関する詳細は、前記参考文献中に見出すことができる。
【0105】
増幅および検出は、通常は、本発明のマイクロ流体デバイスを備えるシステムに一体化されている。核酸を検出する検出特徴を具備する利用可能なマイクロ流体システムには、キャリパー・テクノロジーズ(カリフォルニア州マウンテンビュー)(Caliper Technologies(Mountain View,CA))製の250HTSシステム、およびAMS90SE、並びに、アジレント2100バイオアナライザー(Agilent 2100 bioanalyzer)(アジレント、カリフォルニア州パロアルト(Agilent,Palo Alto,CA))が挙げられる。検出(および、分離/検出)能力を備えるシステムに関する更なる詳細は、例えば、本明細書で既に言及した参考文献、および、パース(Parce)ら「マイクロスケール流体デバイス中のハイスループットスクリーニングアッセイシステム(High Throughput Screening Assay Systems in Microscale Fluidic Devices)」、国際公開第98/00231号パンフレットなどの特許文献に十分に記載されている。
【0106】
一般に、本明細書のデバイスは、任意に、シグナル検出器、例えば、蛍光、リン光、放射能、pH、電荷、吸光度、ルミネセンス、温度、又は磁気などを検出するシグナル検出器を具備する。蛍光検出が、特に好ましく、一般に、増幅された核酸の検出に使用される(しかし、上流および/又は下流操作は、他の検出方法を含み得るアンプリコンで実施することができる)。
【0107】
検出器で、任意に、増幅反応からの1つ又は複数のシグナルを監視する。例えば、検出器で、「リアルタイム」増幅アッセイ結果に対応する光学シグナルを監視することができる。
【0108】
例示的な検出器には、光電子増倍管、分光光度計、CCDアレイ、走査型検出器、顕微鏡、および/又は、ガルバノスキャナ(galvo−scann)などが挙げられる。検出可能なシグナルを放射するアンプリコン又は他の成分は、検出器を通過して流れることができるか、又は、或いは、検出器は増幅反応の部位に対して移動できる(又は、検出器は、例えばCCDアレイ内と同様に、チャネル部位又はモニターウェルに対応する多くの空間位置を同時に監視することができる)。
【0109】
検出器は、例えば、検出器シグナル情報をアッセイ結果情報(例えば、目的の核酸の存在など)などに変換するソフトウェアを有するコンピュータを具備するか又はそれに操作可能に連結することができる。
【0110】
シグナルは、例えば、既知の供給源からの信号を監視してマイクロ流体システムを較正することにより、任意に較正される。
【0111】
また、マイクロ流体システムは、システム内のシグナルを監視するため、複数の異なる検出システムを採用することができる。本発明の検出システムを使用して、特定のチャネル領域(又は他の反応検出領域)内の物質を検出および監視する。検出されると、前述のようにチャネル内の細胞の流量および速度も任意に測定および制御される。
【0112】
検出システムの例には、光学センサ、温度センサ、圧力センサ、pHセンサ、および伝導率センサなどが挙げられる。これらの種類のセンサは、それぞれ、本明細書に記載のマイクロ流体システムに容易に組み込まれる。これらのシステムでは、このような検出器は、検出器がデバイス、チャネル、又はチャンバと感知連通するように、マイクロ流体デバイス、又はデバイスの1つ以上のチャネル、チャンバ、若しくはコンジット内に、又はそれに隣接して配置される。本明細書で使用される時、特定の領域又は要素の「感知連通する」の語句は、一般に、検出器は、検出器が意図されている、マイクロ流体デバイス、マイクロ流体デバイスの一部、又はマイクロ流体デバイスの一部の内容物の特性を検出できるような位置にある検出器の配置を指す。例えば、マイクロスケールチャネルと感知連通して配置されるpHセンサは、そのチャネル内に配置される流体のpHを決定することができる。同様に、マイクロ流体デバイスの本体と感知連通して配置される温度センサは、デバイス自体の温度を決定することができる。
【0113】
特に好ましい検出システムは、本明細書に記載のマイクロ流体システムに組み込まれるマイクロ流体デバイスのチャネルおよび/又はチャンバ内の物質の光学特性を検出する光学検出システムを具備する。このような光学検出システムは、典型的には、マイクロ流体デバイスのマイクロスケールチャネルに隣接して配置され、デバイスのチャネル又はチャンバを横切って配置される光学検出窓を介してチャネルと感知連通している。光学検出システムには、チャネル内の物質から放射される光、物質の透過率又は吸光度、並びに物質のスペクトル特性を測定できるシステムが挙げられる。好ましい態様では、検出器は、蛍光物質又は化学ルミネセンス物質などの物質から放射される光の量を測定する。そのようなものとして、検出システムは、典型的には、検出窓を通して透過される光に基づくシグナルを集め、そのシグナルを適切な光検出器に伝達するため、集光素子(collection optics)を具備する。様々な倍率、視野径、および焦点距離を有する顕微鏡対物レンズが、この光学装置の少なくとも一部として容易に利用される。光検出器は、任意に、分光光度計、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、光電子増倍管、ダイオードアレイ、又は幾つかの場合、および画像システム(電荷結合素子(CCD)など)などである。検出された光データをコンピュータに伝達して解析、記憶、およびデータ処理するため、検出システムは、典型的には、AD変換器又はDA変換器を介してコンピュータに接続される。
【0114】
標識されたアンプリコンなどの蛍光物質の場合、検出器は、典型的には、蛍光物質を活性化させるのに適切な波長の光を作り出す光源、並びに、検出窓を通してチャネル又はチャンバ内に収容されている物質に光源を向ける光学素子を備える。光源は、適切な波長を提供するどのような数の光源であってもよく、レーザ、レーザダイオード、およびLEDが挙げられる。他の検出システムでは、他の光源が使用される。例えば、光散散乱/透過率検出機構などには、広帯域光源を使用する。典型的には、光選択パラメータは当業者に周知である。
【0115】
検出器は、別々の装置として存在することができるが、本システム又はマイクロ流体デバイスと一体化させて単一の機器にすることもできる。これらの機能を単一の装置に一体化すると、コンピュータとこれらの機器との接続が容易になり、僅かな数の、又は単一の連通ポートを使用して、制御器、検出器、およびコンピュータ間で情報を伝達することが可能になる。
【0116】
目的の核酸の計数および統計解析
本発明の特徴の1つは、それがサンプル中の希少(および他の)核酸の確実な定量化を提供することである。この確実な定量化は、サンプルの統計的又は確率論的解析の実施能力を提供する。例えば、ポアソン解析、モンテカルロ解析、遺伝的アルゴリズムの適用、ニューラル・ネットワーク・トレーニング、マルコフモデル化、隠れマルコフモデル化、多次元スケーリング、部分最小二乗法(PLS)解析、又は主成分解析(PCA)は、全て、本発明で作成されるデータに適用できる。これらの統計評価を使用してサンプル中の所与の核酸の濃度又は存在量を決定し、存在量を、診断又は予後に関連する診断又は予後に相関させることができる。
【0117】
データを作成および解析する方法、並びに、関連する他の概念を理解するのに有用な一般的な参考文献には、ニール・ウェイス(Neil Weiss)、(1999)、Introductory Statistics & Elementary Statistics、第5版、ISBN:0201434490;バーリンシュタイン(Berinstein)、(1998)、Finding Statistics Online:How to Locate the Elusive Numbers You Need.、ニュージャージー州メドフォード(Medford,NJ):インフォメーショントゥデイ(Information Today);エベリット(Everitt)、(1998)、The Cambridge Dictionary of Statistics、ニューヨーク(New York):ケンブリッジユニバーシティプレス(Cambridge University Press);コッツ(Kotz)、(1988)、Encyclopedia of Statistical Sciences、第1−9巻および付録、ニューヨーク(New York):ワイリー(Wiley);ディロン(Dillon)およびゴールドシュタイン(Goldstein)、(1984)、Multivariate Analysis:Methods and Applications、ニューヨーク(New York):ワイリー(Wiley);タバシュニック(Tabachnick)およびフィデル(Fidell)、(1996)、Using Multivariate Statistics、ニューヨーク(New York):HarperCollins College Publishers;ボックス(Box)ら、(1978)、Statistics for Experimenters、ニューヨーク(New York):ワイリー(Wiley);コーネル(Cornell)、(1990)、Experiments with Mixtures、ニューヨーク(New York):ワイリー(Wiley);ジョン(John)P.W.M.、(1998)、Statistical Design and Analysis of Experiments、フィラデルフィア(Philadelphia):SIAM;ジバス(Gibas)およびジャムベック(Jambeck)、(2001)、Bioinformatics Computer Skills、O’Reilly、Sebastipol,CA;ペブツナー(Pevzner)、(2000)、Computatioal Molecular Biology and
Algorithmic Approach、The MIT Press、マサチューセッツ州ケンブリッジ(Cambridge MA);ダブリン(Durbin)ら、(1998)、Biological Sequence Analysis:Probabilistic Models of Proteins and Nucleic
Acids、ケンブリッジユニバーシティプレス(Cambridge University Press)、英国ケンブリッジ(Cambridge,UK); および、ラシディ(Rashidi)およびベーラー(Buehler)、(2000)、Bioinformatic Basics:Applications in Biological Science and Medicine、CRC Press LLC、フロリダ州ボーカラトーン(Boca Raton,FL)が挙げられる。
【0118】
拡散および分散の計算
本発明の特徴の1つは、非常に再現性の高いピーク形状、例えば、増幅反応からのシグナルの振幅および/又は幅および/又は他の形状特徴を、反応の出発コピー数に相関させることができる、および/又はバックグランド変動から目的のシグナルを区別するのに使用できるという発見である。この相関は、熱拡散率およびテーラー・アリス拡散を考慮に入れて理論的レベルで実施することができるか、又は、標準と比較して(例えば、出発物質の既知のコピー数を有する増幅反応に対するピーク形状、例えば、高さ、幅、又は全体形状プロファイルと比較して)実施することができる。
【0119】
理論的計算法では、標識物質は、典型的には、最初、−h<x<hの範囲に制限され、標識物質又は標識物質に対応する成分(例えば、目的の核酸)のピーク中心(x=0)および濃度(C)に関する時間(t)および空間位置(x)の関数として、1/2・C{erf[(h−x)/(2Dt)1/2]}に等しく、式中、Cは時間t=0における初期濃度であり、erfは誤差関数であり、Dは全分散の係数である。Dは、システム内の熱拡散とテイラー分散(D)との合計に等しい。また、テイラー分散(D)は、標識物質が中を流れるマイクロ流体キャビティの寸法および形状、流速(u)および熱拡散率(D)に依存する。典型的には、D=K(d)/Dであり、式中、Kは、標識物質が中を流れるマイクロ流体キャビティの関数である比例定数であり、dはマイクロ流体キャビティの特性長である。例えば、マイクロ流体キャビティが円形のチャネルであり、K=1/192である場合、dは円形チャネルの直径であり、D=D+Dである。熱拡散率およびテイラー・アリス分散に関する更なる詳細は、2000年6月30日に出願された、アンドレア・チャウ(Andrea Chow)による米国特許出願第09/609,030号明細書、「調節因子カイネティクスを決定するためのマイクロ流体システムおよび方法(MICROFLUIDIC SYSTEMS AND METHODS FOR DETERMINING MODULATOR KINETICS)」に見出すことができる。
【0120】
追加のシステムの詳細
本発明のシステムは、マイクロ流体デバイス、検出器、サンプル貯蔵要素(マイクロタイタープレート、成分の乾燥アレイなど)、流量制御器、増幅デバイス又はマイクロ流体モジュール、および/又はコンピュータなどを具備することができる。これらのシステムは、目的の核酸の等分、増幅、および解析に使用することができる。システムのマイクロ流体デバイス、増幅成分、検出器および貯蔵要素について、既に、詳細を幾らか説明してきた。以下の検討は、適切な制御器およびコンピュータについて説明するが、多くの構成が利用可能であり、当業者はそれらの使用に精通していることが期待され、それらをどのように本発明に適用できるかが分かる。
【0121】
流量制御器
例えば、圧力に基づく制御又は動電学的制御で、本発明のデバイス内の流体および/又は物質の移送および方向を制御するため、任意に様々な制御器械類を本明細書に記載のマイクロ流体デバイスと共に利用する。
【0122】
例えば、多くの場合、流体の移送および方向は、流体を押し流すために外部又は内部圧力供給源を組み込んだ、圧力に基づくフローシステムを使用して、全部又は一部制御される。内部供給源には、例えば、当該技術分野で記載されてきたダイヤフラムポンプ、サーマルポンプ、およびラム波ポンプ(Lamb wave pump)などの微細構造ポンプが挙げられる。例えば、米国特許第5,271,724号明細書、同第5,277,556号明細書、および同第5,375,979号明細書、並びに、公開されたPCT出願国際公開第94/05414号パンフレット、および国際公開第97/02357号パンフレットを参照されたい。また、本明細書に記載のシステムは動電学的な物質の方向およ
び移送システムも利用できる。
【0123】
好ましくは、外部圧力供給源を使用し、チャネル末端のポートに印加する。印加されるこの圧力又は真空によって、チャネルの長さの両端に圧力差が発生し、流体がその中を押し流される。本明細書に記載の相互接続したチャネル網状構造では、複数のポートに異なる圧力又は真空を印加することによって、又は、好ましくは、共通の排出ポートに単一の真空を印加し、適切な抵抗を有する様々なチャネルを構成して所望の流量を得ることによって、容量に対する異なる流量が達成される。例示的なシステムは、1999年1月28日に出願された米国特許出願第09/238,467号明細書に記載されている。
【0124】
典型的には、制御器システムは、本明細書に記載のマイクロ流体デバイス又はシステム要素を受容するか、又はそれとインターフェースするように適切に構成されている。例えば、制御器および/又は検出器は、任意に、制御器および/又は検出器とデバイスとの間の適切なインターフェースを容易にするように、マイクロ流体デバイスを取り付ける載物台を備える。典型的には、載物台は、ネスティングウェル(nesting well)、配列ピンおよび/又は穴、および(適切なデバイス配列を容易にする)非対称縁部構造などの、適切な取り付け/配列構造要素を備える。多くのこのような構成は本明細書に引用される参考文献に記載されている。
【0125】
また、任意に、前記検討の制御器械類を使用して、目的の領域の下流の物質の動電学的注入又は抜き取りを提供し、上流の流量を制御する。また、前述と同じ器械類および技術を利用し、流量制御要素として機能する下流ポートに流体を注入する。
【0126】
コンピュータ
前述のように、制御器システムおよび/又は検出器システムのどちらか又は両方を、適切にプログラムされた処理装置又はコンピュータに連結させるが、これは、予めプログラムされた又はユーザが入力した命令に従ってこれらの器械類の動作を命令し、これらの器械類からデータおよび情報を受け取り、この情報を翻訳、処理、およびユーザに報告する機能をする。このようなものとしてコンピュータを、典型的には、これらの器械類(例えば、必要に応じてAD変換器又はDA変換器を備える)の1つ又は両方に適切に連結させる。
【0127】
コンピュータは、典型的には、設定されたパラメータ領域にユーザが入力する(例えば、GUI)形態か、又は、予めプログラムされた(例えば、様々な異なる特定の操作に対して予めプログラムされた)命令の形態で、ユーザの命令を受け取る適切なソフトウェアを具備する。次いで、ソフトウェアは、所望の操作を実行するため、これらの命令を流体の方向および移送制御器の動作を命令する適切な言語に変換する。次いで、コンピュータは、システム内に具備される1つ以上のセンサ/検出器からのデータを受け取り、データを翻訳し、それをユーザが理解するフォーマットで提供するか、又はそのデータを使用し、例えば、流量(連続フローの流量を含む)、温度、および印加電圧などの監視および制御におけるようなプログラミングに従って他の制御器命令を開始する。
【0128】
システムおよび/又はキットは、本明細書の方法工程のいずれかを実施するためのシステム命令(例えば、コンピュータで、又はコンピュータ読み取り可能な媒体で、例えば、システムソフトウェアとして実施される)を具備することができる。例えば、本システムは、任意に、検出器で検出される時、目的の核酸の増幅されたコピーが占める形状、長さ、幅、容量、および/又は面積を、アリコートの1つに存在する目的の核酸のコピー数、又はサンプル中に存在する目的の核酸のコピー数、又はその両方に相関させるシステムソフトウェアを具備する。同様に、本システムは、任意に、目的の核酸のコピーを含まない複数のゼロコピーアリコートと、目的の核酸を1コピーだけ含む1つ以上の単一コピーア
リコートを包含する、複数のアリコートにサンプルを等分するように希釈モジュールを指示するシステム命令を具備する。
【0129】
また、前述の統計的機能を、例えば、コンピュータ内、コンピュータメモリ内、又はコンピュータ読み取り可能な媒体で実施されるシステムソフトウェアに組み込むこともできる。例えば、コンピュータは、(例えば、温度サイクルにより)増幅を施されるアリコートの1つ以上から受け取られるシグナルの統計的又は確率論的解析を1つ以上実施する、統計的又は確率論的システムソフトウェアを具備することができる。例えば、統計的又は確率論的解析には、ポアソン解析、モンテカルロ解析、遺伝的アルゴリズムの適用、ニューラル・ネットワーク・トレーニング、マルコフモデル化、隠れマルコフモデル化、多次元スケーリング、PLS解析、および/又はPCA解析を挙げることができる。統計的又は確率論的解析ソフトウェアは、任意に、サンプル中の目的の核酸の濃度、割合、又は数を定量的に決定する。
【0130】
本発明では、コンピュータは、典型的には、チャネル内の物質を監視するソフトウェアを具備する。更に、任意に、ソフトウェアを使用して、物質の動電学的又は圧力調節による注入又は抜き取りを制御する。この注入又は抜き取りを使用して、前述のように流量を調節し、成分の混合などを行う。
【0131】
例示的システム
図6および図7は、本発明のモデルシステムの概略的説明を提供する。図6に示されるように、システム600は、マイクロ流体デバイス601を具備する。デバイス601は、その中に作製されている主チャネル604を具備する。増幅成分は、例えば真空供給源608で(および/又は、後述のリザーバ又はウェルのいずれかで)真空を印加することにより、例えば、リザーバ606から主チャネル604を通って流れる。増幅成分をウェル610又は612から主チャネル604に流入させることもできる。また、物質をウェル606又は608から流すことができるか、又は、例えば、それらが廃棄物ウェルとして使用されるとき、若しくは、真空供給源に連結されるときには、物質をこれらのウェルに流入させることができる。ウェル614、612、610、606、608からの流れは、流体の圧力を調節することによって、又は動電学的手法により実施することができる。図6および図7に表されるチャネルの配列の代わりに、図1のデバイスなどの配列を代用することができる。他の様々な適切なマイクロ流体構成は本明細書中で言及されている参考文献に記載されている。
【0132】
増幅反応の実施に関連する物質は、列挙したウェルから流すことができるか、又は、デバイス601の外部の供給源から流すことができる。図示されるように、一体化されたシステムは、外側の試薬供給源にアクセスするため、例えば、デバイス601から突出するピペッタチャネル620を具備することができる。例えば、図示されるように、ピペッタチャネル620は、プレートのウェル内にサンプル又はサンプルアリコート、又は座特異試薬、又は本発明の実施に有用な他の試薬を具備するマイクロウェルプレート622にアクセスすることができる。増幅に関連するアリコート又は試薬をピペッタチャネル620を通してチャネル604に流入させることができる。検出器624は、チャネル604と感知連通しており、例えば、前述のように標識物質のアンプリコンとの相互作用から生じるシグナルを検出する。検出器624は、検出器624によって検出されたシグナル情報をデジタル化、記憶、および処理するコンピュータ626に操作可能に連結される。
【0133】
電圧/圧力制御器628は、例えば、システムのウェルで、又は、チャネル604に流体連結された真空継手(又は、前述の他のチャネル)で電圧、圧力、又はその両方を制御する。任意に、図示されるように、コンピュータ626は、電圧/圧力制御器628を制御する。1組の実施形態では、コンピュータ626は、シグナル情報を使用し、反応パラ
メータを更に選択する。例えば、プレート622からウェル内の目的の核酸の増幅を検出すると、コンピュータは、任意に、例えば、異なる濃度のアリコートを増幅反応に送るため、ウェルからピペッタチャネル620を通して追加のアリコートを抜き取って解析することを指示する。同様に、核酸が存在しないこと(ゼロコピー反応)を決定すると、コンピュータ626は、別のアリコートを処理するように制御器628に指示することができる。統計的情報を所望する場合、コンピュータ626は、適切な流体操作を実施して、統計解析に十分なデータを作成するように制御器628に指示する。コンピュータ626は、任意に、ユーザが見ることのできるディスプレイに連結されるか、又はそれを備え、使用者によるコンピュータの制御を可能にし、システムで検出された結果を使用者が見るように読出しを提供する。
【0134】
図7は、マイクロ流体システムで試薬又はサンプルの固相アレイにアクセスする、代替の実施形態を表す。図7に示されているように、システム700は、マイクロ流体デバイス701を具備する。デバイス701は、ピペッタチャネル720およびデバイス内に作製されているマイクロ流体網状構造を具備する。典型的には、マイクロ流体網状構造に(正又は負の)圧力および/又は動電学的圧力を印加することにより、増幅成分をデバイス701に通流させる。
【0135】
図示されるように、一体化されたシステムは、外側の試薬供給源にアクセスするため、例えば、デバイス701から突出するピペッタチャネル720を備えることができる。例えば、図示されるように、ピペッタチャネル720は、サンプル又はサンプルアリコート、又は座特異試薬、又は本発明の実施に有用な他の試薬を具備する固相アレイ725にアクセスすることができる。流体を一部又は完全にチャネル720から排出し、アレイ725上の物質を再水和させる。例えば、チャネル720は、物質を再水和するのに使用される懸滴を含むことができ、懸滴はチャネル720の中に抜き取られ、マイクロ流体デバイス701の中に分配される。検出器724は、デバイス701およびコンピュータ/制御器726と感知連通する。コンピュータ/制御器726は、図6のコンピュータ626と類似の方式で操作することができる。どちらの場合も、コンピュータ626又はコンピュータ制御器726は、任意に、トレイ622又はアレイ725、および/又はマイクロ流体デバイス601又は701の移動を制御し、関連するピペッタチャネルがアレイ上、又はトレイのウェル内のサンプル又は他の物質を処理することを可能にする。
【0136】
前記システムの多くの変形も適切である。例えば、多くの種類の加熱システムを本発明に使用することができる。例えば、固定された加熱領域の周りにチャネルを回旋させることができる。ロボット工学又は流体システム要素を使用して、複数の異なる温度の水浴(例えば、典型的なアニ−リング、反応、および解離条件における典型的な増幅反応では、3つの水浴)中で流体を加熱することができる。
【0137】
追加のキットの詳細
本発明は、また、本明細書に記載の方法を実行するためのキットを提供する。特に、これらのキットは、典型的には、本明細書に記載のシステム成分、並びに、調査者による本方法の実施を容易にするための追加の成分を具備する。
【0138】
また、キットは、典型的には、中にシステム成分がパッケージされる容器も具備する。本発明のキットの要素は、典型的には、単一のパッケージ又は1セットの関連するパッケージ内に一緒にパッケージされる。パッケージは、任意に、本明細書のアッセイに使用される試薬(例えば、緩衝剤、増幅試薬、および標準試薬など)並びに、本明細書に記載の方法に従ってアッセイを実行するための使用説明書を具備する。予めパッケージされた試薬の場合、キットは、任意に、測定することなく本方法に組み込むことが容易な、予め測定された、又は予め計量された試薬(例えば、キットの最終使用者によって容易に再構成
され得る予め測定された流体アリコート、又は予め重量測定された又は予め測定された固体試薬)を具備する。
【0139】
一般に、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスは、デバイスの好ましい機能を果たす試薬を具備するようにパッケージされる。例えば、キットは、アッセイ成分、試薬、サンプル物質、又は対照物質などと共に、記載されているマイクロ流体デバイスのいずれかを具備することができる。また、このようなキットは、典型的には、デバイスおよび試薬を使用するための適切な使用説明書を具備し、試薬がデバイス自体に予め配置されていない場合は、試薬をデバイスのチャネルおよび/又はチャンバに導入するための適切な使用説明書を有する。この後者の場合、これらのキットは、任意に、物質をマイクロ流体システムに導入するための特別な補助デバイス、例えば、適切に構成されたシリンジ/ポンプなどを具備する(好ましい一実施形態では、デバイス自体が、物質をデバイスのチャネルおよびチャンバに導入するための電気ピペッタなどのピペッタ要素を備える)。前者の場合、このようなキットは、典型的には、必要な試薬がデバイス内のチャネル/チャンバ内に予め配置されているマイクロ流体デバイスを具備する。一般に、このような試薬は、劣化又は長期の貯蔵中の他の損失(例えば漏出)を防止するように、安定化された形態で提供される。化学安定剤(即ち、酵素阻害剤、マイクロサイド(microcides)/静菌薬、抗凝固薬)の包含、例えば、固体支持体上への固定化、マトリックス(例えば、ゲル)中への閉じ込め、又は凍結乾燥などによる物質の物理的安定化など、貯蔵される試薬に多くの安定化プロセスが広く使用される。
【実施例】
【0140】
以下の実施例は、特許請求する発明を説明するために提供されるものであって、それを限定するものではない。本明細書に記載の実施例および実施形態は、説明を目的とするためだけのものであり、これに鑑みた様々な修正および変更が当業者に示唆されるが、これらは、本出願および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲に包含されることを理解されたい。
【0141】
単一分子増幅およびマイクロ流体フォーマットでのDNAの検出
序文
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるDNAの所望の領域の増幅は、分子生物学の分野に大きな変化をもたらした。増幅中に何マイクロリットルもの流体を使用する慣用的なPCRのフォーマットでは、出発DNAコピー数は、典型的には、少なくとも何百分子から何万分子である。マイクロ流体工学における最近の進歩は、ナノリットルの反応容量範囲まで千倍もPCRを小型化することが実行可能であるということを実証してきた。サンプル濃度が一定のままであるとき、このような小容量のDNAテンプレートの出発数は、幾つかの用途では統計的に許容不可能であると考えられ得るカットオフコピー数未満に低下する可能性がある。例えば、単一ヌクレオチド多型性(SNP)解析では、出発コピー数が低すぎる(約数十コピー未満の)場合、異型接合サンプルからの2つの異なる対立遺伝子の増幅は、統計的変動のため、量が等しくなるように増幅しない場合があり、そのサンプルの正しいSNP識別が不確実になる可能性がある。
【0142】
理論的限界では、PCR反応の出発テンプレートとして、DNAコピーが1つだけ必要である。このような反応から、増幅産物は、多くのDNA親テンプレートの混合物ではなく、単一の親DNAテンプレートの純粋な「クローン」である。単一分子増幅および検出は、他の方法では達成できない幾つかの興味深い用途に使用される。このような用途の1つは、癌遺伝子の検出である。本実施例は、(1)マイクロ流体技術を使用して単一分子PCRを実施する方法、(2)単一分子増幅の解析および検出、並びに(3)癌検出のために単一分子PCR検出を使用する例示的用途、を記載する。
【0143】
我々は、マイクロ流体チャネル内で単一分子PCRが可能であることを実験的に実証してきた。流れがない実験では、(増幅産物に対応する)蛍光プローブの局在化した「雲」が加熱されたチャネルに沿って観察されたという点で、単一分子PCRを支持する証拠がある。単一分子PCRの証拠は、実験的観察を支持するのに十分な統計が得られるように非常に多くの実験を容易に実施できるシッパーチップ連続フローフォーマットにおいて、更に明確である。
【0144】
連続フロープロトコル
図1のチップ設計概略図に示されるシッパーチップを使用し、シッパーを通してDNAサンプル(例えば、ゲノムDNA)をチップ100上にのせ、圧力勾配を使用して分配チャネル105に入れた。連続フローで、組立てライン方式で、まず、オンチップ試薬リザーバから共通試薬チャネル106を通して共通試薬とサンプルを混合した後、8つの等しいアリコートに分割し、8つの独立した解析チャネル110〜118に入れた。各アリコートはチャネル特定のチップリザーバから供給される座特異試薬と混合された後、チップ100の制御加熱領域を提供する、チャネル110〜118の近位の金属トレースを含む加熱領域130を通流する。チャネル特定試薬のためにチャネル110〜118に試薬を添加すると、オンチップ「ホットスタート」を提供する整然としたマイクロ流体方法が提供され、この場合、試薬は全て増幅直前に解析チャネルに添加される。領域の温度は、加熱領域130内のチャネルでPCR条件に対して適切にサイクルされた(温度設定点および各停止時間を制御する)。全PCRサイクルが所望の数、通常は25〜40サイクルを満たすように加熱チャネル長さおよび流体速度を選択する(しかし、サイクル時間が短く、サイクル数が多い非効率的PCR法も使用できる;また、「非効率的高速PCR(INEFFICIENT FAST PCR)」と題され、コプフ−シル(Kopf−Sill)に付与された米国特許第6,303,343号明細書(2001年10月16日)も参照されたい)。8チャネル検出領域135は、チャネル110〜118内のPCRアンプリコンを検出する適切な検出器も備える。
【0145】
希少分子増幅および検出
図1に表されるPCRシッパーチップを使用して、連続フローフォーマットで実験的に、単一分子PCR増幅を実証した。希釈度を増して、1nL当り1分子未満まで濃度を低くしたDNAサンプルは、シッパーにサンプルを供給するマイクロタイタープレート内で調製された(オンチップ希釈は、代替の実施形態で実施することができた)。1チャネル当り1分子未満まで低くした非常に低濃度のDNAのサンプリングにおける統計的変動により、増幅シグナルを示すチャネルもあれば、示さないチャネルもあることが期待される。増幅が観察される試験のフラクションは、ポアソン統計で最もよく説明される。
【0146】
表1は、8チャネルそれぞれのDNAの平均コピー数が0.02〜48まで様々であったときの、1組のPCR実験の結果を要約している。各DNA濃度で、8つのPCR実験を同時に行った。表1に、各サンプルの測定可能なPCR蛍光シグナルの発生数を記録したが、最大発生数は8、最小は0であった。PCRの発生パーセントを計算し、ポアソン統計予測と比較した。PCRの発生パーセントの測定値と予測値との間に非常に良好な一致が見られた。表2は、別の日に行った類似の組の実験の反復を要約している。図2は、両方の組の実験に対する予測統計値(ポアソン)と測定統計値(実施1および実施2)のグラフによる比較である。予測値と実際の測定値は、よく一致していることが分かる。
【表1】


【表2】

【0147】
連続フローモードでは、少しずつ吸い込まれたサンプルは、分子拡散および流れにより誘導される分散のためプラグ長さで広がる。出発DNAテンプレートを何十コピー又は何百コピー含有する、少しずつ吸い込まれたサンプルでは、テイラー・アリス分散を考慮することによって、蛍光PCRプローブ領域の幅に対する拡散および分散の影響を予測することができる。単一分子PCRについて、類似の計算を行うことができ、その蛍光産物のピーク形状は、大きいサンプルプラグのピーク形状ほど広くない。ピークがより狭いのは、主に、DNAを増幅する出発領域が単一分子の場合にはより狭い(数百μmではなく数nm)ためである。図3は、チャネル内のDNAの出発コピー数の関数としての、ピーク面積およびピーク幅の解析を要約する。実際に、より低いコピー数の増幅は、予測されるような狭いピークを示した(また、その逆もそうであった)。
【0148】
単一分子を増幅し、タイピングするシステムの証拠は、また、サンプルが異型接合体のとき、全ピークが一方又は他方のTaqManプローブに対して陽性であるが、両方に対して陽性ではないことも包含する。
【0149】
同様に、本発明に従って実施できる単一分子タイピングには別の用途がある。例えば、ゲノム中に一緒に近くに位置する配列に対して、2つのTaqMan(商標)又は分子ビーコンアッセイを開発することができる。これらのアッセイを使用して、近位の配列が増
幅された同じ分子上に存在するかどうかを決定することができる。これは、サイズ決めアッセイを行う間接的方法である。個々の分子がTaqMan(商標)/ビーコン部位を両方有するかどうかを尋ねることができ、分子がどれくらいの頻度で両方の部位を包含するサイズを有するかが示される。また、2つの部位をタイピングすることができ、ハプロタイピング法を提供する。
【0150】
taqmanプローブ開裂で発生する蛍光を測定することによりpcr増幅をオンチップで監視する実験
この実施例は、TaqManプローブ開裂で発生する蛍光を測定することにより、PCR増幅をオンチップで監視する実験を提供する。図5は、1/2・maxにおけるピーク幅、対、(オンチップ)1チャネル当りの計算された投入コピー数を示す。
【0151】
この実験では、必要なPCR試薬を全てオンチップ装填した。384ウェルのプレート内で1つのDNAサンプルをアッセイ緩衝剤で希釈した(0.72ng/μL〜11.5ng/μL)。増幅サイクル時間は、17秒であった(90℃で5秒、58℃で7秒、72℃で5秒)。注入された全サンプルに合計35の増幅サイクルを施した。合計200秒間、サンプルを注入し、(サンプルの合間に)350秒間、緩衝剤で洗浄する。オンチップの各マイクロ流体チャネル(合計8つ)について、PCRシグナル(ピーク)幅を最大ピークの(1/2)で測定した。データから、どのチャネルでも単一分子の増幅によって時間内に(約40〜50秒で)同じ幅が得られることが分かる。より多くの分子(コピー)をチップに注入すると、それらは重なり合うようになり、時間内にピーク幅が増大する。しかし、注入時間が長いと、注入されたDNAスラグの縁部に現れる単一分子もある。
【0152】
対立遺伝子タイピング方法の応用
癌研究において、癌遺伝子の検出は非常に困難であるが、それは、通常、変異した遺伝子が、サンプル中の野生型よりもずっと低濃度で生じるためである。ここで、一度に単一のクローンを調査できるため、単一分子からの増幅を検出する能力により、バックグランドに高濃度の野生型がある、低濃度の変異遺伝子を検出する問題が解決される。チップ上に平行処理されるPCRを有するマイクロ流体シッパーチップフォーマットを使用すると、所与のサンプル中に存在する癌の原因となる僅かな数の変異遺伝子を見つけるため、相当数のPCRを行うことが実用的である時点まで、一度に単一クローンを検査する速度が速くなる。図4は、1チャネル当り平均で1コピー未満までの非常に低い出発コピー数でのSNP解析の未処理の蛍光強度測定値を表わす。これらのデータは、単一分子PCR条件でSNPを検出する可能性を示す。
【0153】
図10〜12は、単一分子増幅を実証する、追加の実験の実施による追加のデータを示す。図10〜11に示されるように、第1のSNP対立遺伝子100%を有する第1の実験データセットが左に示され、第2のSNP対立遺伝子1%(および、第1の対立遺伝子99%)を有する第2の実験データセットが右に示されている。図の上部シグナル線は、第1の対立遺伝子の増幅を検出するための(「赤色」シグナルを提供する)第1の色素検出システムを使用したデータであり、底部の線は、第2の対立遺伝子の増幅を検出するための第2の色素検出システム(「青色」シグナル)からのデータである。データは、1サンプルスラグ中に検出された合計約700のDNA分子を表している。図示されるように、右側だけが第2のSNPの増幅に対応するシグナルピークを示している。データから、本発明のシステムは、大きい母集団内の希少分子を正確に増幅および検出できることが分かる。即ち、モデルとして、それぞれ、SNPの2つの対立遺伝子について同型接合である2つのDNAサンプルを混合した。この実験では、もう一方の対立遺伝子のDNA分子の大きい母集団の中に存在した1つの対立遺伝子の単一DNA分子を検出した(この場合、約700中に5〜7の低コピー対立遺伝子)。図11は、6つの別々の実験の実施の結果を記載し、分子毎の特有のピーク形状が一定であることを実証し、PCRおよび、得ら
れるアンプリコンの分散は両方とも非常に再現性が高いという実験的証拠を提供している。1)マイクロ流体システムでは、希少分子がより少数の野生型分子中に存在するように、チャネルを通してサンプルを広げることが実用的である(各アリコート中の出発物質に比例する増幅によって生じる問題が低減する);および2)再現性のある流体ハンドリング及び解析によって、分子シグナルとランダムなシグナル変動を区別するのに使用できる、予測可能な単一分子ピーク形状が得られる、という点で、実際、本発明におけるような、ラボチップ(LabChip)(登録商標)に基づくシステムによって、希少分子に対する無制限の感度が可能である。
【0154】
図12は、第2のSNPに対する第1のSNPの滴定を記載しており、第1のSNP(上部の線の「FAM DNA」)および第2のSNP(「VIC DNA」下部の線)に対応するアンプリコンからのシグナルは、適切なシグナル相関を示すことが分かる。記載されるパーセンテージは、第1の同型接合サンプル(第1の同型接合サンプルの対立遺伝子は両方とも「FAM」である、即ち、同型接合サンプルからの物質は「FF」同型接合である)および第2の同型接合サンプル(VIC DNAサンプル中の対立遺伝子は両方とも「VV」である)からのDNAパーセンテージに対応する。この文脈では、「FAM
DNA」は、FAM色素標識物質を有する特異的なオリゴ配列によって探査されるDNA配列を表し、「VIC DNA」は、VIC色素標識物質を有する特異的なオリゴ配列によって探査されるDNA配列を表す。「FF」は、「FAM」(オリゴ)配列に対する同型接合DNAサンプルを表し、「VV」は、「VIC」(オリゴ)配列に対する同型接合DNAサンプルを表す。
【0155】
癌マーカの検出の実証
図13は、TaqManプローブを使用し、オンチップで発現される癌検出に関連する2つの変異部位の検出の一例を記載する。癌診断に対する本発明のシステムの妥当性を実証するため、それを使用して、TaqManプローブを使用する多くの癌(例えば、結腸直腸癌)マーカを試験した。これらのアッセイのうちの2つを図13に示し、1つはK−RAS遺伝子に関し、1つはp53遺伝子に関し、両方の診断用マーカは様々な癌(結腸癌など)に用いられる。データの線は、2つの波長における蛍光、対、1つのマイクロ流体チャネルの時間を示す。2つのTaqManプローブ(1つは正常な対立遺伝子に特異的なものであり、1つは変異対立遺伝子に特異的なものである)を設計し、このオンチップアッセイフォーマットで試験した。正常なDNAの存在は、野生型プローブで検出され(上部のデータの線の白黒複写で表される「赤色」シグナル)、変異DNA分子は変異プローブで検出される(底部のデータの線として白黒複写で表される「青色」シグナル)。サンプルスラグ中のDNA分子(約500)のほとんどは正常であり、強い「赤色」の上部蛍光シグナルおよび弱い「青色」の底部蛍光シグナルで示される。このシグナルは、正常なゲノムDNA分子の増幅産物を取囲む、対立遺伝子に特異的な(赤色、上部)およびバックグランド(青色、底部)TaqManプローブ開裂によって生成する。変異分子(適切な点変異を有する合成DNAテンプレート)がシステムを移動するとき、これは増幅され、(赤色(上部)バックグランドピークを有する)大きい青色(底部)ピークとして認識される。
【0156】
異種核酸混合物の正確な解析を可能にする、マイクロ流体工学による単一分子増幅デバイスおよび方法
連続フローPCRシステムは、マイクロ流体処理環境中における異なる増幅反応の空間的分離を可能にする。通常、空間的分離は、異なる反応を分離するのに使用され、ここで、出発テンプレート濃度は、両方の親に由来する対立遺伝子の正確な表現を確実にするほど十分に高い(例えば、約50ゲノム当量を使用することが多い)。本発明では、それぞれの増幅および検出産物が流体的に分離されるように、個々のテンプレート分子が分離されるほど十分、DNAを希釈することによって同じ作業を達成する。検出産物が対立遺伝
子に特異的である場合、2つの対立遺伝子の1方だけに対するシグナルが検出される。各対立遺伝子に対する結果を計数することができ、遺伝子型がかなり正確に得られる。本方法によるジェノタイピングの欠点は、スループットが減少すること、遺伝子型を得るのに1つだけではなく多くの反応を必要とするということである。ジェノタイピングは、典型的には1つの反応で実施されるが、それは、2つの対立遺伝子システムの出発濃度が、通常約50/50(又は、少なくとも同程度の大きさ)であり、ジェノタイピング生化学のシグナル対ノイズ比が良いからである。
【0157】
しかし、出発サンプル中の異なる対立遺伝子の表現が非常に異なる場合、ジェノタイピング生化学は、十分に表現されていない対立遺伝子の正確な定量化が得られるほど十分に良くはない。実際、実際的な問題として、5コピーに1つほどの僅かしか存在しない対立遺伝子の検出に、多くの典型的な検出生化学を使用することは非常に困難である。癌では、変異/正常比は、かなり低い(何千に1つの)可能性があり、そのため、慣用的な生化学的方法では検出不可能である。他方、単一分子を増幅する場合、反応を所望されるだけ長く繰返し、連続システム内で流して行うことができる−また、理論的検出限界が存在しない(実際的なものだけである。変異遺伝子型が非常に希少である場合、連続フローフォーマットで多くの反応を実施しなければならない)。
【0158】
また、これは、PCRで感染性外的病原因子を定量化する方法を提供する。現在、これは、サイクル毎の定量化、および類似の条件で増幅されたテンプレート分子の標準曲線との比較に依存するPCR又はRT−PCRによって行われる。本発明では、既知の流量でサンプルを流し、テンプレート濃度を更に精密で定量的に決定するため、単位容量当りの増幅を測定した。ウェル内のサンプルの希釈した濃度を増幅することによって同じことを達成できる。陽性のウェルの総数がe=0.37に等しかったとき、各ウェルはその中に単一テンプレート分子だけを有する統計的確率が高かった。また、独立で信頼性の高いコピー数の測定方法を使用する場合、所与のどの時間でも、流れに1分子より多くが存在し得た。
【0159】
ウィルス検出および解析のためのストップ−フロー条件下のマイクロ流体デバイス内での単一分子PCR
ウィルス検出のための所望の感度(例えば、約50〜100コピー/ml)は、チップ上の処理容量と初期サンプル容量との不適合のため、マイクロ流体プラットフォームを使用する検出に応用することを困難にする。しかし、この用途で実証されるマイクロ流体デバイス内のPCRの特徴の1つは、核酸の単一コピーを計量する能力である。これによって、生物学的に関連する細胞又はウィルス粒子濃度で、目的のサンプル中の感染した細胞又はウィルス粒子の数を計数できる。この実施例では、およそ10マイクロリットルくらいの出発容量からの定量的な単一分子PCRを記載する(サンプルを約1mlから約10μlにする初期予備濃縮工程は、例えば、磁気ビーズの存在下における免疫沈降などの標準的な技術で実施される)。
【0160】
例えば、ウィルス粒子>50個を含有する濃縮溶液約10μl(又はその容量の実質的なフラクション)を、マイクロ流体チップ上で以下の方法で完全に処理することができる。サンプルを、例えば、プライマー、プローブ、dNTPなどのPCRに必要な試薬と(例えば、1:1の比で)オンチップ混合する。およそ10μlくらいのホールドアップ容量を有するマイクロ流体網状構造(図8を参照されたい)に混合物を圧力装填し、流れを停止させる。図示されるように、図8の概略的デバイスは、PCR試薬ウェル801、サンプルウェル802、真空/廃棄物ウェル803、画像化領域804、およびマイクロ流体網状構造805を備える。次いで、チップに外部から熱を加えることにより、又は任意に抵抗加熱若しくはジュール加熱で網状構造の内容物を温度サイクルさせる。温度サイクルが終了すると、チップを画像化して蛍光の「雲」の全ての位置を確認するが(図9参照
)、「雲」は、それぞれ、典型的には、ウィルス粒子からのDNAの単一コピーに対応する。
【0161】
図9は、温度サイクル後の図8の流体網状構造の概略図である。スポット806は、単一アンプリコンからの蛍光「雲」を表す(例えば、一例では、ウィルス粒子アンプリコン)。定量的PCRではスポット806を計数することができる。この特定の用途では、定点に検出器を有する連続フローモードよりも、チップの流体網状構造全体を同時に画像化する方が非常に効率的であるように思われる。しかし、代替で連続フローを使用することができる。画像化するチップの有効面積は、典型的には、およそ20×30mmくらいである(しかし、任意にこれより小さくても、又は大きくてもよい)。この面積は、DNAアレイ用途に通常使用される技術による高解像度画像化(約1〜2μmの解像度)に匹敵する。これらには、CCD画像化、および/又は共焦点レーザ走査などを挙げることができる。
【0162】
定量化のダイナミックレンジは、典型的には、少なくとも2〜3桁であり、一部にはチップの大きさに依存する。20×30mmの典型的なサイズでは、ダイナミックレンジは、約2桁である。ダイナミックレンジを推定する方法の1つは、コピー間の平均間隔を調査した後、実験中、期待される拡散距離を算出することである。マイクロ流体チップ上でこのような種類の容量を処理できることを実証する大まかな計算を下記に表す。
【0163】
10μLのサンプルをnLの範囲まで更に濃縮することが必要かどうか決定するため、次の計算を実施した。到達した結論は、更に濃縮することは必要でないということであった。
【0164】
深さ30μm、幅120μm、および長さ30mmの一連(例えば、64)の平行なチャネルに装填する場合、これらのチャネルの全容量は6.2μLである。その6.2μLのうち、その容量の半分はPCR試薬に由来し、もう半分は元の10μLのサンプルに由来するということが更に仮定される場合、一回の実施当り10μLのうちおよそ3μLがサンプリングされ、これは統計的サンプリング、および、実用的な使い易さの観点から妥当な容量である。更に、10μLの濃縮サンプルが、初期出発容量1mLのプラスマからの粒子を100個含有する場合、PCR効率が100%に近ければ、一回の実施当りPCR雲を約30検出できる。これらの雲は、チャネルに沿って互いに平均62mm離れているか、又は2チャネルごとに約1つの雲がある。
【0165】
対処する次の問題は、チップのサイズおよび検出の実用性である。64(2二進法分裂)の平行チャネルが、間に200μmのランディング領域を有する状態で一緒に合わせると、それらは21mmを占める。そのため、チャネル内に出現すべき30のPCR雲(ストップフローモード)を見つけるのに30mm×21mmの面積を画像化(又は走査)する。これは、典型的なDNAチップのサイズに類似しており、入手可能なチップスキャナを検出に使用できることを意味する。
【0166】
要約すれば、1mLを10μLに濃縮し、チップウェルに入れる場合、検出するために更に濃縮する必要がない。容量を増大するために何か行う場合(溶離緩衝剤に中和化学物質を添加すること、溶解剤を添加することなど)、更なる濃縮工程が望ましい可能性がある。溶解剤の添加を回避するため、ウェル内の10μLの溶液中の粒子を超音波溶解することが望ましい可能性がある。
【0167】
以下は、前記方法による定量分析のための、1つの例示的プロトコルである。1.例えば、サンプルを1mLから10μLに減少させるためのアフィニティキャプチャー(標準的な技術)および溶離によるオフチップ濃縮;2.チップウェル内に10μL入れ、粒子
を溶解させるため超音波出力を印加する;3.DNAサンプルを平行チャネルに装填し、圧力でPCR試薬をオンチップ添加した後、フローを停止させる;4.全チャネルについて、ストップフローモードでPCRを実施するため外部ヒータを作動させる;および、5.チャネルを画像化又は走査して、単一分子PCRの信号を検出する。
【0168】
本発明の一態様は、チップ上におけるストップトフロー状態を確実にする方法を提供する。採用できる多くの方法がある。例えば、感温材料(例えば、ポリマー)を使用してストップ−フロー状態を作り出すことができる。ストップトフローを達成する単純な方法は、弁と組合わせられる、標準的なチップキャピラリ又はチップ−配管接続を使用することである。
【0169】
明確さおよび理解のために前記発明を少し詳しく説明してきたが、本開示を読むことにより、当業者には、本発明の真の範囲から逸脱することなく形態および詳細に様々な変更をなし得ることが明らかであろう。例えば、前述の技術および装置は、全て、様々な組合せで使用することができる。本出願に引用される全ての出版物、特許、特許出願、および/又は他の文献は、それぞれ個々の出版物、特許、特許出願、および/又は他の文献が参照によりあらゆる目的で組み込まれることを個々に示唆されているのと同程度まで、参照によりその内容全体が、あらゆる目的で組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】本明細書の実施例で使用される8チャネルPCRシッパーチップのチップ設計を表す概略図である。
【図2】予測される(ポアソン)値と比較した、2つの実験の実施に関する増幅パーセント対投入コピー数のグラフである。
【図3】Aはピーク面積の棒グラフである。Bはピーク面積の棒グラフである。
【図4−1】Aは増幅反応のピーク幅を表すグラフである。Bは増幅反応のピーク幅を表すグラフである。
【図4−2】Cは増幅反応のピーク幅を表すグラフである。Dは増幅反応のピーク幅を表すグラフである。
【図5】単一分子増幅ピーク幅のグラフ解析である。
【図6】本発明のシステムの概略図である。
【図7】本発明のシステムの概略図である。
【図8】チャネルの網状構造の同時画像処理を使用して目的の核酸があるかどうかを走査するストップトフローシステムの概略図である。
【図9】温度サイクル後の流体網状構造の概略図である。スポットは、単一コピー増幅反応からの蛍光「雲」を表す。スポットは、定量的PCR解析を行うために計数される。
【図10】単一分子DNA増幅を示すデータグラフである。
【図11】単一分子DNA増幅を示すデータグラフである(6つのパス)。
【図12】単一分子DNA増幅を示すデータグラフである(3つのパネル)。
【図13】TaqManプローブを使用してオンチップで発現される癌検出に関する2つの変異部位の検出グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的の核酸を検出する方法であって、
前記目的の核酸および1つ以上の追加の核酸を含むサンプルを複数の反応混合物に等分する工程であり、前記反応混合物の少なくとも2つが、それぞれ前記目的の核酸を1コピーだけ含む単一コピー反応混合物であり、前記複数の反応混合物が、更に、前記追加の核酸を少なくとも1コピー含む少なくとも1つの追加の反応混合物を含む工程、
前記反応混合物を流す間、前記複数の反応混合物に1つ以上の増幅反応を施す工程、および、
前記単一コピー反応混合物中の前記目的の核酸を検出する工程、
を含む方法。
【請求項2】
目的の低コピー核酸とは異なる、1つ以上のより高いコピー数の追加の核酸を含むサンプル中の目的の低コピー核酸を検出する方法であって、
前記サンプルを複数の反応混合物に等分する工程であり、前記反応混合が、前記目的の核酸をゼロコピー含む複数のゼロコピー反応混合物と、前記目的の核酸を1コピーだけ含む少なくとも1つの単一コピー反応混合物とを含む工程、
前記ゼロコピー反応混合物と単一コピー反応混合物に増幅反応を施す工程、および、
前記単一コピー反応混合物中の前記目的の核酸を検出する工程、
を含む方法。
【請求項3】
サンプル中の目的の核酸を定量化する方法であって、
前記目的の核酸を1コピー又はその相補的コピーを1つ含むサンプルを少なくとも1つの反応混合物に等分する工程、
前記反応混合物に少なくとも1つの増幅反応を施し、それにより前記目的の核酸のコピーを増幅する工程、
前記目的の核酸又はそれに対応するシグナルが存在する形状、容量、幅、長さ、高さ、又は面積を検出する工程、および、
前記形状、容量、幅、高さ、長さ、又は面積を前記反応混合物又はサンプル中の前記目的の核酸のコピー数に相関させ、それによって前記サンプル中の前記目的の核酸を定量化する工程、
を含む方法。
【請求項4】
サンプル中の目的の核酸を定量化する方法であって、
それぞれ前記目的の核酸を2コピー以下含む少なくとも25の反応混合物に、前記サンプルを等分する工程、
前記反応混合物に1つ以上の増幅反応を施す工程、および、
複数の前記反応混合物中の前記目的の核酸を検出する工程、
を含む方法。
【請求項5】
目的の低コピー核酸を検出する方法であって、
前記目的の低コピー核酸を含むサンプルを、複数の反応混合物に等分する工程であり、複数の前記反応混合物が、前記目的の核酸をゼロコピー含有し、少なくとも1つの前記反応混合物が前記目的の核酸を少なくとも1コピー含む工程、
少なくとも1つのマイクロチャンバ又はマイクロチャネルを備えるマイクロ流体デバイス内の前記複数のゼロコピー反応混合物の少なくとも10に、1つ以上の増幅反応を施す工程、
前記目的の核酸が、前記ゼロコピー反応混合物中に存在しないことを決定する工程、
少なくとも1つの追加のゼロコピー反応混合物と、前記目的の核酸を含む前記反応混合物に、1つ以上の増幅反応を施す工程、および、
前記目的の核酸を含む前記反応混合物中の前記目的の核酸を検出する工程、
を含む方法。
【請求項6】
目的の核酸を検出する方法であって、
前記目的の核酸を含むサンプルを複数の反応混合物に等分する工程であり、前記反応混合物の少なくとも2つは、それぞれ前記目的の核酸を1コピーだけ含む単一コピー反応混合物である工程、
前記反応混合物をマイクロチャネルの網状構造全体に流す工程、
前記複数の反応混合物に、前記マイクロチャネルの網状構造内でストップトフロー状態で1つ以上の増幅反応を施す工程、および、
前記ストップトフロー状態で前記単一コピー反応混合物中の前記目的の核酸を検出する工程、
を含む方法。
【請求項7】
前記反応混合物が、前記目的の核酸および複数の追加の核酸を含み、前記方法が前記反応混合物中の前記目的の核酸を検出する工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、前記複数の追加の核酸を検出する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の追加の核酸が、1つ以上の実験核酸を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の追加の核酸が、1つ以上の未知の核酸を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の追加の核酸が、1つ以上の対照核酸を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、前記目的の核酸、又は前記複数の追加の核酸、又はその両方を反応混合物中に添加する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、前記反応混合物中の前記目的の核酸又は前記複数の追加の核酸、対、前記反応混合物中の前記目的の核酸と前記複数の追加の核酸との合計の比を決定する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、前記反応混合物中の前記目的の核酸の濃度を決定する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記目的の核酸と前記複数の追加の核酸との合計が、前記反応混合物中の核酸の総数を示す、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記等分する工程が、前記サンプルを希釈して複数の反応容器に入れる工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記反応容器が、マイクロタイタープレート内のウェルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記反応容器が、マイクロチャネル網状構造内のマイクロチャネルである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記目的の核酸が、前記方法の複数の工程中に連続的に流される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記等分する工程が、前記サンプルをマイクロ流体希釈チャネル又はチャンバに流入させ、前記サンプルを前記マイクロ流体希釈チャネル又はチャンバ内で希釈する工程を含み、それによって、前記サンプルが前記マイクロ流体希釈チャネル又はチャンバ内の複数の希釈されたアリコートに等分される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
複数のサンプルが、前記デバイスに同時に流入される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記サンプルが、圧力下で前記デバイスに流入される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記サンプルが、共通の反応成分リザーバから物質を流すことにより希釈される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記サンプルが、各反応混合物中で1ナノリットル当り目的の核酸約1分子以下の濃度に希釈又は濃縮される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記反応成分リザーバが、座特異増幅試薬を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の希釈されたアリコートが、それぞれ同程度に希釈される、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の希釈されたアリコートが、異なる程度に希釈される、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記希釈されたアリコートが、希釈シリーズを形成する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記アリコートが、容量約100nl未満である、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記アリコートが、容量約10nl未満である、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記アリコートが、容量約1nl以下である、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記反応混合物の少なくとも1つが、水溶液中にある、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記反応混合物の少なくとも1つが、非混和性液体中に懸濁された水性液滴を含むエマルションの水相中に配合される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記反応混合物が前記エマルション中に配合されるとき、前記増幅が前記反応混合物で実施される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記目的の核酸が、前記増幅反応の実施前に、前記水相の少なくとも1つの水性液滴中に単一コピーとして存在する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記増幅反応が実施された後、前記目的の核酸が前記エマルション中に検出される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
複数の追加の核酸も前記エマルションの前記水相中に配合され、前記方法が前記複数の追加の核酸を検出する工程を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記エマルション中の前記追加の核酸と、前記エマルション中の前記目的の核酸との比が決定される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記エマルション中の前記追加の核酸と前記目的の核酸との総数が決定され、且つ、前記エマルション中の前記目的の核酸の濃度も決定される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記反応混合物の少なくとも10が、前記目的の核酸又は前記追加の核酸を2コピー以下含む、低コピー反応混合物である、請求項1、2、3、5又は6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも10の低コピー反応混合物が、前記目的の核酸を1コピー以下含む少なくとも10の単一コピー又はゼロコピー反応混合物を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記反応混合物の少なくとも25が、前記目的の核酸を2コピー以下含む低コピー反応混合物である、請求項1、2、3、5又は6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも10の低コピー反応混合物が、前記目的の核酸を1コピー以下含む少なくとも10の単一コピー又はゼロコピー反応混合物を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記反応混合物の少なくとも50が、前記目的の核酸を2コピー以下含む低コピー反応混合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも10の低コピー反応混合物が、前記目的の核酸を1コピー以下含む少なくとも10の単一コピー又はゼロコピー反応混合物を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記反応混合物の少なくとも100が、前記目的の核酸を2コピー以下含む低コピー反応混合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも100の低コピー反応混合物が、前記目的の核酸を1コピー以下含む少なくとも100の単一コピー又はゼロコピー反応混合物を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記反応混合物の少なくとも150が、前記目的の核酸を2コピー以下含む低コピー反応混合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記少なくとも150の低コピー反応混合物が、前記目的の核酸を1コピー以下含む少なくとも150の単一コピー又はゼロコピー反応混合物を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記反応混合物が、前記目的の核酸のコピーを含まない複数のゼロコピー反応混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記反応混合物が、前記目的の核酸のコピーを含まない複数のゼロコピー反応混合物を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項52】
前記反応混合物が、前記目的の核酸のコピーを含まない複数のゼロコピー反応混合物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項53】
前記複数のゼロコピー反応混合物が、少なくとも約10のゼロコピー反応混合物を含む、請求項2、5、50、51又は52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記複数のゼロコピー反応混合物が、少なくとも約25のゼロコピー反応混合物を含む、請求項2、5、50、51又は52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記複数のゼロコピー反応混合物が、少なくとも約50のゼロコピー反応混合物を含む、請求項2、5、50、51又は52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記複数のゼロコピー反応混合物が、少なくとも約100のゼロコピー反応混合物を含む、請求項2、5、50、51又は52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記複数のゼロコピー反応混合物が、少なくとも約500のゼロコピー反応混合物を含む、請求項2、5、50、51又は52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記複数のゼロコピー反応混合物が、少なくとも約1,000のゼロコピー反応混合物を含む、請求項2、5、50、51又は52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記複数のゼロコピー反応混合物が、少なくとも約10,000のゼロコピー反応混合物を含む、請求項2、5、50、51又は52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記サンプルが、前記目的の核酸とは異なる少なくとも1つの追加の核酸を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項61】
前記サンプルが、前記目的の核酸とは異なる少なくとも1つの追加の核酸を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項62】
前記サンプルが、前記目的の核酸とは異なる少なくとも1つの追加の核酸を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項63】
前記サンプルが、前記目的の核酸とは異なる少なくとも1つの追加の核酸を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項64】
前記追加の核酸が、前記サンプル中に前記目的の核酸よりも多くのコピーを含む、請求項1、2、60、61、62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記方法が、前記目的の核酸とは独立した前記追加の核酸を検出する工程を含む、請求項1、2、60、61、62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記目的の核酸と前記追加の核酸との比を決定する工程を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記反応混合物中に前記核酸を添加する工程を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記反応混合物中の前記目的の核酸の濃度を決定する工程を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記追加の核酸が、前記サンプル中の前記目的の核酸の少なくとも約100倍も多くのコピーを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
前記追加の核酸が、前記サンプル中の前記目的の核酸の少なくとも約1,000倍も多くのコピーを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項71】
前記追加の核酸が、前記サンプル中の前記目的の核酸の少なくとも約10,000倍も多くのコピーを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項72】
前記追加の核酸が、前記サンプル中の前記目的の核酸の少なくとも約100,000倍も多くのコピーを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項73】
前記追加の核酸が、前記サンプル中の前記目的の核酸の少なくとも約1,000,000倍も多くのコピーを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項74】
前記目的の核酸が、SNPである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記目的の核酸が、低コピー核酸である、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項76】
前記目的の核酸が、癌に関連する核酸である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記目的の核酸が、結腸癌に関連する核酸である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記サンプルが、1つ以上の癌細胞を含む複数の細胞に由来するDNAを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記癌細胞が、前記サンプルの由来する前記複数の細胞中の細胞の1%未満を構成する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記癌細胞が、結腸癌細胞である、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記癌細胞が、便に由来する結腸癌細胞である、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
前記目的の核酸が、感染性外的病原因子からの核酸である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記サンプルが、複数の細胞、および1種類以上の感染性外的病原因子に由来するDNAを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記感染性外的病原因子が、細胞又はウィルスである、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記感染性外的病原因子からのDNAが、前記サンプル中のDNAの1%未満を構成する、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記目的の核酸が、法医学核酸である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記反応混合物に1つ以上の増幅反応を施す工程が、1つ以上のマイクロスケール増幅チャンバ又はチャネル内で前記反応混合物を温度サイクルさせる工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記反応混合物に1つ以上の増幅反応を施す工程が、1つ以上のマイクロスケール増幅チャンバ又はチャネル内で1つ以上の非熱的増幅反応を実施する工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記マイクロスケール増幅チャンバ又はチャネル内の流体に電流を流すことにより、前記反応混合物が前記1つ以上のマイクロスケールチャネル内で加熱される、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記マイクロスケール増幅チャンバ又はチャネルに接触する又は近接している加熱要素を抵抗加熱することにより、前記反応混合物が前記1つ以上のマイクロスケール増幅チャネル内で加熱される、請求項87に記載の方法。
【請求項91】
前記マイクロスケール増幅チャンバ又はチャネル内の流体をジュール−トムソンデバイス又はペルチェデバイスで加熱することにより、前記反応混合物が前記1つ以上のマイクロスケール増幅チャネル内で加熱される、請求項87に記載の方法。
【請求項92】
前記検出工程が、リアルタイムPCR検出を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記リアルタイムPCR検出が、分子ビーコン媒介検出、又は二重標識されたプローブのポリメラーゼ媒介消化の前、その間、若しくはその後に二重標識されたプローブを検出することによる目的の核酸の検出を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記検出工程が、前記反応混合物中又は前記サンプル中、又はその両方の前記目的の核酸を定量化する工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記目的の核酸を定量化する工程が、複数の単一コピー反応混合物中の前記核酸を検出する工程、および、統計的又は確率論的解析を実施して、前記目的の核酸を1コピーだけ含む反応混合物のパーセンテージ又は分布を決定する工程を含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記統計的又は確率論的解析が、ポアソン解析、モンテカルロ解析、遺伝的アルゴリズムの適用、ニューラル・ネットワーク・トレーニング、マルコフモデル化、隠れマルコフモデル化、多次元スケーリング、PLS解析、又はPCA解析の1つ以上を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記検出工程が、所与の反応混合物中のシグナルの形状、長さ、幅、高さ、容量、又は面積を測定する工程を含む、請求項1、2、4、5、又は6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記形状、長さ、幅、高さ、容量、又は面積を検出する工程が、前記目的の核酸に結合された標識物質を検出する工程を含む、請求項3又は97に記載の方法。
【請求項99】
前記長さ、幅、高さ、容量、又は面積を、予測される長さ、幅、高さ、容量、又は面積と比較することにより、前記形状、長さ、幅、高さ、容量、又は面積が、前記反応混合物の1つ又はサンプル中に存在する目的の核酸の数に相関され、前記予測される長さ、幅、高さ、容量、又は面積が、テイラー・アリス分散計算、又は熱拡散率計算、又はその両方に基づいている、請求項3又は97に記載の方法。
【請求項100】
前記長さ、幅、高さ、容量、又は面積を、既知の数の基準核酸を含むアリコートから増幅される基準核酸で観察される長さ、幅、高さ、容量、又は面積と比較することにより、前記形状、長さ、幅、高さ、容量、又は面積が、前記反応混合物の1つ又はサンプル中に存在する目的の核酸の数に相関される、請求項3又は97に記載の方法。
【請求項101】
前記所与の反応混合物中の1つ以上の増幅された核酸の拡散、又は分散、又はその両方を計算する工程、および、前記反応を施す工程の前に、前記拡散、又は前記分散、又はその両方を前記所与の反応混合物の1つの中の前記目的の核酸のコピー数に相関させる工程を更に含む、請求項3又は97に記載の方法。
【請求項102】
前記所与の反応混合物中の1つ以上の増幅された核酸の拡散、又は分散、又はその両方を計算する工程を更に含み、拡散、又は分散、又はその両方を計算する工程が、テイラー・アリス分散、又は熱拡散率、又はその両方の計算を含む、請求項3又は97に記載の方法。
【請求項103】
前記目的の核酸を検出する工程が、単一検出チャネル内の前記目的の核酸を含む複数の増幅反応からの複数のシグナルを検出する工程を含む、請求項1、2、4又は5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記複数の増幅が、前記検出工程中に連続的に流して行われる、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記シグナルが、前記検出チャネル内の複数のシグナル雲を含む、請求項103に記載の方法。
【請求項106】
前記目的の核酸を検出する工程が、単一検出チャネル内の前記目的の核酸を含む複数の増幅反応からの複数のシグナルを検出する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項107】
前記複数の増幅が、前記検出工程中に連続的に流して行われる、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記シグナルが、前記検出チャネル内の複数のシグナル雲を含む、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
前記目的の核酸を検出する工程が、1つ以上の検出チャネル内の前記目的の核酸を含む複数の増幅反応からの複数のシグナルを同時に検出する工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項110】
前記シグナルが、前記検出チャネル内の複数のシグナル雲を含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記シグナル雲が、CCDアレイ又は画像処理装置を用いて1つ以上の検出チャネル内で同時に検出される、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記サンプル中、又は前記反応混合物の1つの中、又はその両方の前記目的の核酸を定量化する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項113】
前記サンプル中、又は前記反応混合物の1つの中、又はその両方の前記目的の核酸を定量化する工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項114】
前記サンプル中、又は前記反応混合物の1つの中、又はその両方の前記目的の核酸を定量化する工程を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項115】
前記目的の核酸を定量化する工程が、複数の反応混合物中の前記目的の核酸を検出する
工程を含み、更に、統計的又は確率論的解析を実施して、前記目的の核酸を1コピーだけ含む反応混合物のパーセンテージ又は分布を決定する工程を含む、請求項3、4、112、113、又は114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項116】
前記統計的又は確率論的解析が、ポアソン解析、モンテカルロ解析、遺伝的アルゴリズムの適用、ニューラル・ネットワーク・トレーニング、マルコフモデル化、隠れマルコフモデル化、多次元スケーリング、PLS解析、又はPCA解析の1つ以上を含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
1つ以上の増幅領域を酸又は塩基で処理し、前記領域内の前記サンプルの汚染を低減する工程を更に含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
サンプル中の目的の低コピー核酸を検出するシステムであって、
前記サンプルを複数のアリコートに希釈する希釈モジュール、
前記複数のアリコートの1つ以上を温度サイクルするように構成されている増幅チャネル又はチャンバを備える、マイクロ流体デバイス、
前記マイクロ流体デバイスと一体化している又は近位にある、前記マイクロ流体デバイスの内又は前記マイクロ流体デバイス上にある前記目的の核酸の1つ以上の増幅されたコピーを検出するように構成されている検出器、および
前記目的の核酸のコピーを含まない複数のゼロコピーアリコートと、前記目的の核酸を1コピーだけ含む1つ以上の単一コピーアリコートとを包含する複数のアリコートに、前記サンプルを等分するように前記希釈モジュールに指示するシステム命令、
を備えるシステム。
【請求項119】
前記検出器で検出される前記目的の核酸の増幅されたコピーが占める形状、長さ、幅、容量、又は面積を、前記アリコートの1つの中に存在する前記目的の核酸のコピー数、又は、サンプル中に存在する前記目的の核酸のコピー数、又はその両方に相関させるシステムソフトウェアを更に含む、請求項118に記載のシステム。
【請求項120】
前記マイクロ流体デバイスは、前記増幅チャネル又はチャンバ内の前記複数のアリコートの少なくとも1つで1つ以上の増幅反応を実施する間、前記複数のアリコートが前記増幅チャンバを通流することを可能にするように構成されている、請求項118に記載のシステム。
【請求項121】
前記マイクロ流体デバイスは、前記増幅チャネル又はチャンバ内の前記複数のアリコートの少なくとも1つで1つ以上の増幅反応を実施する間、ストップトフロー状態を提供するように構成されている、請求項118に記載のシステム。
【請求項122】
サンプル中の1つ以上の目的の低コピー核酸を定量化するシステムであって、
前記サンプルを複数のアリコートに希釈する希釈モジュール、
前記複数のアリコートの1つ以上を温度サイクルするように構成されている増幅チャネル又はチャンバを含むマイクロ流体デバイス、
前記マイクロ流体デバイスと一体化しているか又は近位にあり、前記アリコートの温度サイクルした後、前記アリコートの1つに存在する前記目的の核酸の増幅されたコピーが占める形状、長さ、幅、容量、又は面積を検出するように構成されている検出器、および、
前記目的の核酸の増幅されたコピーが占める前記形状、長さ、幅、容量、又は面積を、前記アリコートの1つに存在する前記目的の核酸のコピー数、又は、前記サンプル中に存在する前記目的の核酸のコピー数、又はその両方に相関させるシステムソフトウェア、
を備えるシステム。
【請求項123】
前記マイクロ流体デバイスは、前記増幅チャネル又はチャンバ内の前記複数のアリコートの少なくとも1つで1つ以上の増幅反応を実施する間、前記複数のアリコートが前記増幅チャンバを通流することを可能にするように構成されている、請求項122に記載のシステム。
【請求項124】
前記マイクロ流体デバイスは、前記増幅チャネル又はチャンバ内の前記複数のアリコートの少なくとも1つで1つ以上の増幅反応を実施する間、前記増幅チャンバ内で前記複数のアリコートのストップトフローを提供するように構成されている、請求項122に記載のシステム。
【請求項125】
前記目的の核酸のコピーを含まない複数のゼロコピーアリコートと、前記目的の核酸を1コピーだけ含む1つ以上の単一コピーアリコートとを包含する複数のアリコートに、前記サンプルを等分するように前記希釈モジュールに指示するシステム命令を更に備える、請求項122に記載のシステム。
【請求項126】
前記希釈モジュールが、前記マイクロ流体デバイスと一体化している、請求項118又は122に記載のシステム。
【請求項127】
前記マイクロ流体デバイスが、前記マイクロチャンバ又はチャネルに電流を流すように位置決めされている1つ以上の電極を備え、それによって、前記マイクロチャンバ又はチャネルへの前記電流の流れが、前記マイクロチャンバ又はチャネル中の流体を加熱する、請求項118又は122に記載のシステム。
【請求項128】
前記マイクロ流体デバイスが、前記マイクロチャンバ又はチャネル内に、又はその近位に位置決めされ、前記マイクロチャンバ又はチャネル内の流体を加熱する、1つ以上の加熱要素を備えるか、又はそれに連結されている、請求項118又は122に記載のシステム。
【請求項129】
前記加熱要素が、抵抗加熱要素を含む、請求項128に記載のシステム。
【請求項130】
前記加熱要素が、ペルチェデバイス又はジュール−トムソンデバイスを含む、請求項128に記載のシステム。
【請求項131】
前記検出器が、前記マイクロ流体デバイス内又は前記マイクロ流体デバイス上の1つ以上の電磁エネルギーシグナルを検出するように構成されている、請求項118又は122に記載のシステム。
【請求項132】
前記検出器が、蛍光、ルミネセンス、又は蛍光偏光を検出する、請求項131に記載のシステム。
【請求項133】
前記システムが、温度サイクルを施されるアリコートの1つ以上から受け取られるシグナルの統計的又は確率論的解析を1つ以上実施する、統計的又は確率論的システムソフトウェアを備える、請求項118又は122に記載のシステム。
【請求項134】
前記統計的又は確率論的解析が、ポアソン解析、モンテカルロ解析、遺伝的アルゴリズムの適用、ニューラル・ネットワーク・トレーニング、マルコフモデル化、隠れマルコフモデル化、多次元スケーリング、PLS解析、又はPCA解析の1つ以上を含む、請求項133に記載のシステム。
【請求項135】
前記統計的又は確率論的解析が、前記サンプル中の前記目的の核酸の濃度、割合、又は数を定量的に決定する工程を含む、請求項133に記載のシステム。
【請求項136】
前記サンプルが前記希釈モジュールで希釈されるまで、前記サンプルを貯蔵するサンプル貯蔵モジュールを更に備える、請求項118又は122に記載のシステム。
【請求項137】
前記サンプル貯蔵モジュールから前記サンプルを取り出し、それを前記希釈モジュールに送達するサンプル取り出しモジュールを更に備える、請求項136に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−511239(P2006−511239A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513579(P2005−513579)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2003/040599
【国際公開番号】WO2004/083443
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(504333950)カリパー・ライフ・サイエンシズ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】