説明

DNAを定量又は検出する方法

【課題】簡便に生物由来検体を検出する方法を提供する。
【解決手段】目的とするDNA領域を有するDNAである被検オリゴヌクレオチドを含有する検体を調製する第一工程、第一工程で調製された検体に含有される被検オリゴヌクレオチドと、該被検オリゴヌクレオチドと相補的に結合し、且つ、複数の識別機能を有する検出オリゴヌクレオチドとを混合させて、該被検オリゴヌクレオチドと該検出オリゴヌクレオチドとからなる検出複合体を形成させ、該検出複合体を支持体へ固定化させる第二工程、第二工程で形成した検出複合体に含まれる検出オリゴヌクレオチドをその識別機能により検出することにより、前記目的とするDNA領域を有するDNAを定量又は検出する第三工程を有する検体中に含まれる目的とするDNA領域を有するDNAを定量又は検出する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体中に含まれる目的とするDNA領域を有するDNAを定量又は検出する方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
生物由来検体を検出する方法としては、例えば、生物由来検体に含まれるゲノムDNAを抽出した後、DNAポリメラーゼによるDNA合成の連鎖反応(Polymerase Chain Reaction;以下、PCRと記すこともある。)によってDNAを増幅させて検出する方法や、生物由来検体中のDNAが有する目的のDNA領域に蛍光標識したオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせて検出する方法等が知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。
【0003】
【非特許文献1】Chiquet C., Lina G., Benito Y., Cornut P.L., Etienne J., Romanet J.P., Denis P., Vandenesch F.,Polymerase chain reaction identification in aqueous humor of patients with postoperative endophthalmitis.,J. Cataract. Refract. Surg.,2007;33(4):635-641.
【非特許文献2】Brandriff B.F., Gordon L.A., Trask B.J.,DNA sequence mapping by fluorescence in situ hybridization.,Environ. Mol. Mutagen.1991;18(4):259-262.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記PCRにおいては、PCRで増幅しようとする目的領域のDNAの塩基配列に対して相補的な1組のオリゴヌクレオチドプライマー(以下、プライマー対と記すこともある。)を用いて液相中にて行われるために、増幅されたDNA断片を精製した後、これをPCRのための反応容器へ移し換える操作、また目的領域を増幅させるための前記プライマー対を含む反応試薬を反応系に添加するための操作等も必要である。更に、増幅しようとする目的領域のDNAの増幅を確認するために、電気泳動等の分析操作に供する必要もあり、それらの操作は繁雑であった。また、蛍光標識したオリゴヌクレオチドをプローブとして利用する場合、組織切片の染色等には利用されているものの、臨床の現場等、迅速性が要求される場面で、簡便に検体を検出することが困難であった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、簡便に生物由来検体を検出する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、かかる状況下鋭意検討した結果、本発明に至った。
即ち、本発明は、
[発明1]
検体中に含まれる目的とするDNA領域を有するDNAを定量又は検出する方法であって、
(1)目的とするDNA領域を有するDNAである被検オリゴヌクレオチドを含有する検体を調製する第一工程、
(2)第一工程で調製された検体に含有される被検オリゴヌクレオチドと、該被検オリゴヌクレオチドと相補的に結合し、且つ、複数の識別機能を有する検出オリゴヌクレオチドとを混合させて、該被検オリゴヌクレオチドと該検出オリゴヌクレオチドとからなる検出複合体を形成させ、該検出複合体を支持体へ固定化させる第二工程、
(3)第二工程で形成した検出複合体に含まれる検出オリゴヌクレオチドをその識別機能により検出することにより、前記目的とするDNA領域を有するDNAを定量又は検出する第三工程、
を有することを特徴とする方法。
[発明2]
複数の識別機能を有する検出オリゴヌクレオチドが、複数のオリゴヌクレオチドが相補的に結合してなる複合検出オリゴヌクレオチド、又は複数のメチル化部位を有するメチル化オリゴヌクレオチドからなる複合検出オリゴヌクレオチドである発明1に記載の方法。
[発明3]
複合検出オリゴヌクレオチドが、メチル化DNAを有するオリゴヌクレオチドからなる発明2に記載の方法。
[発明4]
複合検出オリゴヌクレオチドの識別機能が、結合されたメチル化DNA抗体の識別機能である発明2又は3に記載の方法。
[発明5]
メチル化DNAが5-メチルシトシンである発明3又は4に記載の方法。
[発明6]
メチル化DNA抗体がメチルシトシン抗体である発明4又は5に記載の方法。
[発明7]
検体が、下記のいずれかの生物由来検体である発明1〜6のいずれか一に記載の方法。
(a)哺乳動物由来の血液、体液、糞尿、体分泌物、細胞溶解液又は組織溶解液
(b)哺乳動物由来の血液、体液、糞尿、体分泌物、細胞溶解液及び組織溶解液からなる群より選ばれる一から抽出されたDNA
(c)哺乳動物由来の組織、細胞、組織溶解液及び細胞溶解液からなる群より選ばれる一から抽出されたRNAを鋳型として作製されたDNA
(e)細菌、真菌又はウイルスから抽出されたDNA
(f)細菌、真菌又はウイルスから抽出されたRNAを鋳型として作製されたDNA
[発明8]
発明2〜7のいずれか一に記載の方法で用いる複合検出オリゴヌクレオチドを用いた検体の標識方法。
[発明9]
発明2〜7のいずれか一に記載の方法で用いる複合検出オリゴヌクレオチドと該複合検出オリゴヌクレオチドを標識し得る試薬とを用いた検体の標識方法。
[発明10]
標識対象が、DNA又はタンパク質である発明8又は9に記載の方法。
[発明11]
第二工程において、検出複合体と支持体とを、被検オリゴヌクレオチドと検出オリゴヌクレオチドとの結合を阻害せず、且つ、該被検オリゴヌクレオチドに相補的に結合し得る特定オリゴヌクレオチドを介して結合させる発明1〜10のいずれか一に記載の方法。
[発明12]
目的とするDNA領域を有するDNAが、下記のいずれかの目的とするDNA領域を有するDNAである発明1〜11のいずれか一に記載の方法。
(a)目的とするDNA領域を認識切断部位としない制限酵素で予め消化処理されてなるDNA
(b)予め精製されてなる目的とするDNA領域を有するDNA
(c)血液中の目的とするDNA領域を有する遊離DNA
(d)微生物ゲノム由来の目的とするDNA領域を有するDNA
(e)RNAから逆転写酵素によって生成された目的とするDNA領域を有するDNA
[発明13]
検体中に含まれる目的とするDNA領域を有するDNAを定量又は検出する方法であって、
(1)目的とするDNA領域を有するDNAである被検オリゴヌクレオチドを含有する検体を調製する第一工程、
(2)第一工程で調製された検体に含有される被検オリゴヌクレオチドと、該被検オリゴヌクレオチドと相補的に結合し、且つ、メチル化オリゴヌクレオチドからなる検出オリゴヌクレオチドとを混合させて、該被検オリゴヌクレオチドと該検出オリゴヌクレオチドとからなる検出複合体を形成させ、該検出複合体を支持体へ固定化させる第二工程、
(3)第二工程で形成した検出複合体に含まれる検出オリゴヌクレオチドをその識別機能により検出することにより、前記目的とするDNA領域を有するDNAを定量又は検出する第三工程、
を有することを特徴とする方法。
等を提供するものである。
[発明14]
識別機能が、メチル化DNA抗体、メチルシトシン抗体を用いることを特徴とする発明13に記載の方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、オリゴヌクレオチドを検出する高感度で簡便な方法の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、検体中に含まれる目的とするDNA領域を有するDNAを定量又は検出する方法等に関するものである。
【0008】
本発明の第一工程の「目的とするDNA領域を有するDNAである被検オリゴヌクレオチドを含有する検体を調製する」は、目的とするDNA領域を有するDNAをDNA試料として調製することを意味する。
【0009】
本発明における「検体」としては、非生物由来検体と生物由来検体とが挙げられる。非生物由来検体とは、例えば食品、河川、土壌、一般市販製品の表面付着物等の真菌、細菌、ウイルス等の混入微生物や核酸が含まれ得るものを意味する。
尚、特に食品においては食中毒菌の有無の検査と原因菌の特定が重要であり、通常は微生物表面の抗原を利用した免疫法が使用される。しかし、免疫法は、抗原を作るために多大の労力を必要とし、更に病原菌の特定が必要となる。即ち、微生物検査における免疫法は、微生物種の特異性を利用しているため、一回の検査で複数菌種をまとめて、その有無を検査することが難しいだけでなく、免疫法を確立できない微生物に対しては、PCR法等を用いる等、検査には多大の労力が必要となる。本発明は、まず、免疫法による検査が難しい場合でも、遺伝子から検査方法を確立でき、次に、複数の微生物を同時に検出することが可能な検査方法を提供できる。即ち、本発明は、非生物由来検体中に存在する真菌類、微生物類、ウイルス等の検査に利用できる。また、本発明を用いることにより、例えば食品中の混入微生物やウイルスを検出することが可能となり、感染症の検査や食品汚染検査等で利用が期待できる。
【0010】
生物由来検体とは、(a)哺乳動物由来の血液、体液、糞尿、体分泌物、細胞溶解液又は組織溶解液、(b)哺乳動物由来の血液、体液、糞尿、体分泌物、細胞溶解液及び組織溶解液からなる群より選ばれる一から抽出されたDNA、(c)哺乳動物由来の組織、細胞、組織溶解液及び細胞溶解液からなる群より選ばれる一から抽出されたRNAを鋳型として作製されたDNA、(e)細菌、真菌又はウイルスから抽出されたDNA、(f)細菌、真菌又はウイルスから抽出されたRNAを鋳型として作製されたDNA、等が挙げられる。尚、前記組織とは、血液、リンパ節等を含む広義の意味であり、前記体液とは血漿、血清、リンパ液等を意味し、前記体分泌物とは尿や乳汁等を意味する。
【0011】
検体中に含まれるDNAとしては、前記生体試料や前記混入微生物から抽出して得られたゲノムDNA、ゲノムDNA由来のDNA断片、若しくはRNA等を挙げることができる。また、哺乳動物由来の検体がヒトの血液、体液又は体分泌物等である場合には、ヒトの定期健康診断における臨床検査等で採取したものを利用することができる。血液を検体として用いる場合には、血液から通常の方法に準じて血漿又は血清を調製し、調製された血漿又は血清を検体として、その中に含まれる遊離DNA(胃癌細胞等の癌細胞由来のDNAが含まれる)を分析すると、血球由来のDNAを避けて胃癌細胞等の癌細胞由来のDNAを解析することができ、胃癌細胞等の癌細胞、それを含む組織等を検出する感度を向上させることができる。
【0012】
ゲノムDNAを哺乳動物由来の検体から得るには、例えば市販のDNA抽出用キット等を用いればよい。また、RNAからDNAを得るためには、市販のcDNA作製キット等の逆転写酵素を用いてRNAからDNAを合成するようなキットを用いればよい。また、本発明においては、検体としては、人工的に合成されたDNAであってもよい。
【0013】
本発明における「哺乳動物」とは、哺乳動物に属する動物の全てを意味する。哺乳動物に属する動物とは、動物界 脊索動物門 脊椎動物亜門 哺乳綱(Mammalia)に分類される動物の総称であり、より具体的には、ヒト、サル、マーモセット、モルモット、ラット、マウス、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ等を意味する。
【0014】
本発明における「体液」とは、固体を構成する細胞間に存在する液体を意味し、血漿と間質液を意味し、多くの場合、固体の恒常性の維持機能を果たす。より具体的には、リンパ液、組織液(組織間液、細胞間液、間質液)、体腔液、漿膜腔液、胸水、腹水、心嚢液、脳脊髄液(髄液)、関節液(滑液)、眼房水(房水)、脳脊髄液、等を意味する。
【0015】
本発明における「体分泌液」とは、外分泌腺からの分泌液を意味する。より具体的には、唾液、胃液、 胆汁、 膵液、腸液、 汗、 涙、 鼻水、 精液、 膣液、 羊水、 乳汁、等を意味する。
【0016】
本発明における「細胞溶解液」とは、細胞培養用の10cmプレート等で培養した細胞、即ち細胞株や初代培養細胞、血球細胞等を破壊することにより得られる細胞内液を含む溶解液を意味する。細胞膜を破壊する方法としては、超音波による方法、界面活性剤を用いる方法、アルカリ溶液をを用いる方法等が挙げられる。尚、細胞を溶解するためには、様々なキット等を利用してもよい。例えば具体的には、10cmプレートでコンフルエントになるまで細胞を培養した後、培養液を捨てて、0.6mLのRIPAバッファー(1x TBS, 1% nonidet P-40, 0.5% sodium deoxysholate, 0.1% SDS, 0.004% sodium azide)を10cmプレートに加える。4℃で15分間プレートをゆっくり揺り動かしてから、10cmプレート上の接着細胞を、スクレーパー等を用いて剥がし、プレート上の溶解液をマイクロチューブに移す。溶解液の1/10容量の10mg/mL PMSFを添加してから、氷上で30-60分間放置する。4℃で10分間、10,000xgで遠心し、上清を細胞溶解液として取得する。
【0017】
本発明における「組織溶解液」とは、哺乳動物等の動物から採取した組織中の細胞を破壊することにより取得する細胞内液を含む溶解液を意味する。
より具体的には、動物から取得した組織の重量を測定した後、カミソリ等を用いて組織を小片に裁断する。凍結組織をスライスする場合は、更に小さい小片にする必要がある。裁断後、氷冷RIPAバッファー(プロテアーゼインヒビター、フォスファターゼインヒビター等を添加してもよく、例えば、RIPAバッファーの1/10容量の10mg/mL PMSFを添加してもよい)を組織1gあたり3mLの比率で添加し、4℃でホモジナイズする。ホモジナイズには、ソニケーターや加圧型細胞破砕装置を用いる。ホモジナイズの作業では、溶液を常に4℃に維持し、発熱を抑えるようにする。ホモジナイズ液を、マイクロチューブに移して、4℃で10分間、10,000xgで遠心し、上清を組織溶解液として取得する。
【0018】
第一工程は、目的とするDNA領域を有するDNAである被検オリゴヌクレオチドを検体中から取得する工程である。
【0019】
本発明における「被検オリゴヌクレオチド」とは、目的とするDNA領域を含むオリゴヌクレオチドである。また、被検オリゴヌクレオチドは、目的領域を含むDNAであってもよく、目的領域を含むRNAであってもよい。即ち、ゲノムDNA中の目的とするDNA領域や、目的とするRNA(一部であっても勿論かまわない。)やRNAを鋳型として作製されたDNA(一部であっても勿論かまわない。)、或いはそれらを含むDNA断片やRNA断片を意味する。また、本発明方法における被検オリゴヌクレオチドは、人工的に合成されたものであってもよい。
【0020】
本発明においては、例えば、被検オリゴヌクレオチドが、細菌、真菌、又はウイルスから抽出されたDNAや、細菌、真菌、又はウイルスから抽出されたRNA或いはRNAを鋳型として作製されたDNA、及びそれらの部分配列を有するオリゴヌクレオチドである場合、被検オリゴヌクレオチドを検出することは、食品中の微生物汚染や感染症の原因となる微生物或いはウイルスの有無及びその種類の推測が可能となる指標を定量又は検出する。また、例えば、被検オリゴヌクレオチドが、血液中の遊離DNA及びそれらの部分配列を有するオリゴヌクレオチドを指す場合、被検オリゴヌクレオチドを検出することは、血液中の遊離DNAの定量により癌の進行度の推測が可能となる指標を定量又は検出する。また、被検オリゴヌクレオチドが、組織、組織溶解液、細胞溶解液又は組織溶解液から抽出されたDNAやRNA、又は該RNAを鋳型として作製されたDNA、及びそれらの部分配列を有するオリゴヌクレオチドを指す場合、被検オリゴヌクレオチドを検出することは、細胞で機能しているRNAの量を定量することになり、RNAの機能と関連する細胞の機能や性質・状態の推測が可能となる指標を定量又は検出することになる。例えば、組織溶解液から、微生物やウイルス由来のRNA或いはDNAが検出されれば、微生物やウイルスの組織感染の推測が可能となる。例えば、癌においては、血液中のゲノムDNA由来の遊離DNAが増加することが知られており、血中遊離DNAを定量又は検出することで、癌の進行具合(程度)を推測できる指標とすることができる。この場合、被検オリゴヌクレオチドとしては、血液中のゲノムDNA由来の遊離DNA或いは該遊離DNAに含まれる目的とするDNA領域を含むオリゴヌクレオチド、及びそれらの部分配列を有するオリゴヌクレオチドのいずれかが望ましい。
【0021】
第一工程における「目的とするDNA領域を有するDNAである被検オリゴヌクレオチドを含有する検体を調製する」とは、検出したい目的とするDNA領域を含むDNA試料を被検オリゴヌクレオチドとして取得することも意味する。例えば、RNA上の塩基配列を検出したい場合、該RNAを鋳型として逆転写酵素により合成されたDNAを、該RNA上の検出したい塩基配列の相補的塩基配列を目的とするDNA領域として含む被検オリゴヌクレオチドとして取得することも意味する。また、RNAを検出したい場合には、「目的とする領域を有するRNAである被検オリゴヌクレオチドを検体中から取得する」とは、検出したい目的とするRNA領域を含むRNA試料を被検オリゴヌクレオチドとして取得することを意味する。
【0022】
第一工程で取得される被検オリゴヌクレオチドがDNAである場合は、該被検オリゴヌクレオチドが有する目的とする領域を認識切断部位としない制限酵素で予め消化処理されていてもよく、また予め精製されてなるDNA試料中に含まれていてもよい。他に、第一工程で取得されるDNAとして、血液中の遊離DNA、微生物ゲノム由来のDNA、検体中のRNAから逆転写酵素によって作製されたDNA等が挙げられる。更には、「目的とするDNA領域を有するDNA」は合成されたDNAであってもよい。また、第一工程で取得される被検オリゴヌクレオチドがRNAとしては、組織溶解液、細胞溶解液の遊RNA、精製されたRNA、微生物から取得されたRNA等が挙げられる。
【0023】
第一工程においては、目的とする領域の塩基配列を含むゲノムDNAを取得するには、検体が哺乳動物由来の場合は、例えば、市販のDNA抽出用キット(Genfind v2 Kit(ベックマン・コールター社製)、FastPure DNA Kit(タカラバイオ社製))等を用いてDNAを抽出すればよい。或いは、検体が真菌のような微生物である場合、Methods in Yeast Genetics(Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載されているような、一般的な酵母ゲノムの調製法等を用いればよく、検体が大腸菌のような原核生物である場合、Molecular Cloning -A Laboratory Manual-(Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載されているような、一般的な微生物ゲノム調製法等を用いればよい。
また、哺乳類由来の組織や細胞株等の検体からRNAを取得したい場合には、組織や細胞株等から市販のRNA抽出用キット(ISOGEN(311-02501)(NIPPON GENE社製)、或いは、FastRNA Pro Green Kit (フナコシ社製)、FastRNA Pro Blue Kit (フナコシ社製)、FastRNA Pro Red Kit (フナコシ社製)、等)を用いてRNAを抽出することができる。RNAを鋳型としてDNAを合成するためには、逆転写酵素を用いればよく、市販のキット(トランスクリプターハイフィデリティcDNA合成キット、ロシュディアグノスティク社製)を用いることができる。また、ウイルス粒子を抽出してから、ウイルスのDNAを抽出してもよい。また、市販のキット(QuickGene RNA tissue kit S II、富士フィルム社製)等を用いてウイルスゲノムを抽出してもよい。或いは、ウイルスが感染した組織からRNAを抽出し逆転写酵素によりウイルス由来のDNAを取得してもよいし、ウイルスが感染した組織からDNAを取得してもよい。
また、検体が食品(一般食料品)である場合、食品から微生物等を分離してからDNAを取得してもよく、食品に含まれる微生物以外の例えばウイルス等のゲノムDNAと微生物由来のゲノムDNAを同時に取得してもよい。
また、検体が哺乳動物由来の組織であり、目的とするDNA領域がウイルス由来のDNAである場合は、組織中から市販のRNA抽出用キット(ISOGEN(311-02501)NIPPON GENE社製)、或いは、FastRNA Pro Green Kit (フナコシ社製)、FastRNA Pro Blue Kit (フナコシ社製)、FastRNA Pro Red Kit (フナコシ社製)等を用いてRNAを抽出し、逆転写酵素によってDNAを取得してもよい。また、検体が哺乳動物由来の検体である場合、ウイルス粒子を抽出してからウイルスのDNAを抽出してもよく、或いはウイルス粒子を抽出してから市販のキット(QuickGene RNA tissue kit S II、富士フィルム社製)等を用いてウイルスRNAを抽出し、逆転写酵素によりウイルス由来のDNAを取得してもよい。ウイルスが感染した組織からRNAを抽出し逆転写酵素によりウイルス由来のDNAを取得してもよいし、ウイルスが感染した組織からDNAを取得して、ウイルス由来のDNAを取得してもよい。尚、RNAから逆転写酵素によりDNAを取得する場合には、市販のキット(トランスクリプターハイフィデリティcDNA合成キット、ロシュディアグノスティク社製)等を用いてもよい。
【0024】
本発明における「目的とするDNA領域」(以下、目的領域と記すこともある。)とは、検体中に含まれるDNAのうち、本発明により検出又は定量したい(目的とする)DNA領域である。検体がDNAである場合の目的とするDNA領域とは、DNAの塩基配列上の所定の塩基配列を意味し、検体がRNAである場合には、RNAから逆転写酵素により作製されたDNA上の塩基配列であって、RNA上の検出又は定量対象となる所定の塩基配列の相補的塩基配列を意味する。また、「目的とするDNA領域」は、該DNAが有する目的とするDNA領域内の塩基配列に認識切断部位を有さない制限酵素で予め消化処理されてなるDNAであってもよく、また予め精製されてなるDNA試料、血液中の遊離DNA、微生物ゲノム由来のDNA、検体中のRNAから逆転写酵素によって合成されたDNA等であってもよい。
【0025】
また、「目的とするDNA領域」は、ゲノム中に複数見られる塩基配列(以下、反復配列と記すこともある。)であってもよく、疾患の指標となる塩基配列であれば更によい。例えば、癌においては、血液中のゲノムDNA由来の遊離DNAが増加することが知られており、この場合、被検オリゴヌクレオチドとは血液中の遊離DNA中の反復配列やその部分配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。これら反復配列やその部分配列を有するオリゴヌクレオチドの定量された値は、癌の進行程度を表す指標とすることができる。尚、後述するが反復配列としては、単純反復配列(縦列反復配列又はタンデムリピートと呼ばれる)、散在反復配列、重複遺伝子又は偽遺伝子等でもよい。
【0026】
本発明における「目的とするRNA領域」とは、一つは、生物細胞中のRNA上の検出したい塩基配列を意味する。また、生物由来検体中に含まれる「目的とするRNA領域」とは、検体から抽出されたRNAを意味する。具体的には、リボソーマルRNA、メッセンジャーRNA、トランスファーRNA、及び、マイクロRNA等を意味する。RNAは宿主のゲノムからRNAポリメラーゼから転写されたものだけでなく、RNAをゲノムとするウイルスのゲノムRNA等も含むものであり、RNAであれば何でもよいことを意味する。
【0027】
本発明における「目的とするDNA領域」は、疾患等と関連した遺伝子であってもよい。例えば、癌と関連した遺伝子としては、Lysyl oxidase、HRAS-like suppressor、bA305P22.2.1、Gamma filamin、HAND1、Homologue of RIKEN 2210016F16、FLJ32130、PPARG angiopoietin-related protein、Thrombomodulin、p53-responsive gene 2、Fibrillin2、Neurofilament3、disintegrin and metalloproteinase domain 23、G protein-coupled receptor 7、G-protein coupled somatostatin and angiotensin-like peptide receptor、Solute carrier family 6 neurotransmitter transporter noradrenalin member 2等の有用タンパク質遺伝子のプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)等を挙げることができる。前記「目的とするDNA領域」においてメチル化されたDNAを個々に検出若しくは定量することは勿論であるが、例えば、1つの検出系において、当該「目的とするDNA領域」をより多く用いれば、それだけ定量精度及び検出感度が向上する。
【0028】
具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子がLysyl oxidase遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のLysyl oxidase遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、Lysyl oxidase遺伝子の塩基配列(Genbank Accession No.AF270645に記載される塩基配列の塩基番号16001〜18661で示される塩基配列に相当する。)が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のLysyl oxidaseタンパク質のアミノ末端のメチオニンをコードするATGコドンが、塩基番号18031〜18033に示されており、上記エクソン1の塩基配列は、塩基番号17958〜18662に示されている。
【0029】
また具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子がHRAS-like suppressor遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のHRAS-like suppressor遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、HRAS-like suppressor遺伝子の塩基配列(Genbank Accession No.AC068162に記載される塩基配列の塩基番号172001〜173953で示される塩基配列に相当する。)が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のHRAS-like suppressor遺伝子のエクソン1の塩基配列は、塩基番号173744〜173954に示されている。
【0030】
また具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子が、bA305P22.2.1遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のbA305P22.2.1遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、bA305P22.2.1遺伝子の塩基配列(Genbank Accession No.AL121673に記載される塩基配列の塩基番号13001〜13889で示される塩基配列に相当する。)が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のbA305P22.2.1タンパク質のアミノ末端のメチオニンをコードするATGコドンが、塩基番号13850〜13852に示されており、上記エクソン1の塩基配列は、塩基番号13664〜13890に示されている。
【0031】
また具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子が、Gamma filamin遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のGamma filamin遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、Gamma filamin遺伝子の塩基配列(Genbank Accession No.AC074373に記載される塩基配列の塩基番号63528〜64390で示される塩基配列の相補的配列に相当する。)が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のGamma filaminタンパク質のアミノ末端のメチオニンをコードするATGコドンが、塩基番号64101〜64103に示されており、上記エクソン1の塩基配列は、塩基番号63991〜64391に示されている。
【0032】
また具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子が、HAND1遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のHAND1遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、HAND1遺伝子の塩基配列(Genbank Accession No.AC026688に記載される塩基配列の塩基番号24303〜26500で示される塩基配列の相補的配列に相当する。)が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のHAND1タンパク質のアミノ末端のメチオニンをコードするATGコドンが、塩基番号25959〜25961に示されており、上記エクソン1の塩基配列は、塩基番号25703〜26501に示されている。
【0033】
また具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子が、Homologue of RIKEN 2210016F16遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のHomologue of RIKEN 2210016F16遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、Homologue of RIKEN 2210016F16遺伝子の塩基配列(Genbank Accession No.AL354733に記載される塩基配列の塩基番号157056〜159000で示される塩基配列の相補的塩基配列に相当する。)が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のHomologue of RIKEN 2210016F16タンパク質のエクソン1の塩基配列は、塩基番号158448〜159001に示されている。
【0034】
また具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子が、FLJ32130遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のFLJ32130遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、FLJ32130遺伝子の塩基配列(Genbank Accession No.AC002310に記載される塩基配列の塩基番号1〜2379で示される塩基配列の相補的塩基配列に相当する。)が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のFLJ32130タンパク質のアミノ酸末端のメチオニンをコードするATGコドンが、塩基番号2136〜2138に示されており、上記エクソン1と考えられる塩基配列は、塩基番号2136〜2379に示されている。
【0035】
また具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子が、PPARG angiopoietin-related protein遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のPPARG angiopoietin-related protein遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、配列番号8で示される塩基配列が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のPPARG angiopoietin-related proteinタンパク質のアミノ末端のメチオニンをコードするATGコドンの、5’側約1200塩基〜2000塩基が含まれる領域が望ましい。
【0036】
また具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子が、Thrombomodulin遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のThrombomodulin遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、Thrombomodulin遺伝子の塩基配列(Genbank Accession No.AF495471に記載される塩基配列の塩基番号1〜6096で示される塩基配列に相当する。)が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のThrombomodulinタンパク質のアミノ末端のメチオニンをコードするATGコドンが、塩基番号2590〜2592に示されており、上記エクソン1の塩基配列は、塩基番号2048〜6096に示されている。
【0037】
また具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子が、p53-responsive gene 2遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のp53-responsive gene 2遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、p53-responsive gene 2遺伝子の塩基配列(Genbank Accession No.AC009471に記載される塩基配列の塩基番号113501〜116000で示される塩基配列の相補的配列に相当する。)が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のp53-responsive gene 2遺伝子のエクソン1の塩基配列は、塩基番号114059〜115309に示されている。
【0038】
また具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子が、Fibrillin2遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のFibrillin2遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、Fibrillin2遺伝子の塩基配列(Genbank Accession No.AC113387に記載される塩基配列の塩基番号118801〜121000で示される塩基配列の相補的配列に相当する。)が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のFibrillin2遺伝子のエクソン1の塩基配列は、塩基番号119892〜112146に示されている。
【0039】
また具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子が、Neurofilament3遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のNeurofilament3遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、Neurofilament3遺伝子の塩基配列(Genbank Accession No.AF106564に記載される塩基配列の塩基番号28001〜30000で示される塩基配列の相補的配列に相当する。)が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のNeurofilament3遺伝子のエクソン1の塩基配列は、塩基番号28615〜29695に示されている。
【0040】
また具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子が、disintegrin and metalloproteinase domain 23遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のdisintegrin and metalloproteinase domain 23遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、disintegrin and metalloproteinase domain 23遺伝子の塩基配列(Genbank Accession No.AC009225に記載される塩基配列の塩基番号21001〜23300で示される塩基配列に相当する。)が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のdisintegrin and metalloproteinase domain 23遺伝子のエクソン1の塩基配列は、塩基番号22195〜22631に示されている。
【0041】
また具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子が、G protein-coupled receptor 7遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のG protein-coupled receptor 7遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、G protein-coupled receptor 7遺伝子の塩基配列(Genbank Accession No.AC009800に記載される塩基配列の塩基番号75001〜78000で示される塩基配列に相当する。)が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のG protein-coupled receptor 7遺伝子のエクソン1の塩基配列は、塩基番号76667〜77653に示されている。
【0042】
また具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子が、G-protein coupled somatostatin and angiotensin-like peptide receptor遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、のプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のG-protein coupled somatostatin and angiotensin-like peptide receptor遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、G-protein coupled somatostatin and angiotensin-like peptide receptor遺伝子の塩基配列(Genbank Accession No.AC008971に記載される塩基配列の塩基番号57001〜60000で示される塩基配列の相補的配列に相当する。)が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のG-protein coupled somatostatin and angiotensin-like peptide receptor遺伝子のエクソン1の塩基配列は、塩基番号57777〜59633に示されている。
【0043】
また具体的には例えば、有用タンパク質遺伝子が、Solute carrier family 6 neurotransmitter transporter noradrenalin member 2遺伝子である場合には、そのプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列中に存在する一つ以上のCpGで示される塩基配列としては、ヒト由来のSolute carrier family 6 neurotransmitter transporter noradrenalin member 2遺伝子のエクソン1と、その5’上流に位置するプロモーター領域とが含まれるゲノムDNAの塩基配列を挙げることができ、より具体的には、Solute carrier family 6 neurotransmitter transporter noradrenalin member 2遺伝子の塩基配列(Genbank Accession No.AC026802に記載される塩基配列の塩基番号78801〜81000で示される塩基配列の相補的配列に相当する。)が挙げられる。本領域においては、ヒト由来のSolute carrier family 6 neurotransmitter transporter noradrenalin member 2遺伝子のエクソン1の塩基配列は、塩基番号80280〜80605に示されている。
【0044】
「目的とするDNA領域」(以下、目的領域と記すこともある。)としては、例えば、MLH1、RUNX3、CDH1、TIMP3、CSPG、RARβ、14-3-3σ、CALCA、HIC1、ESR1、PTEN、SOCS1、BLT1、ESR2、MTMG、TWIST、INK4、CDKN2、GSTP、DCR2、TP73、PGR、HIC2、MTHFR、TFF1、MLLT7、SLC5A8、THBS1、SOCS2、ACTB、CDH13、FGF18、GSTM3、HSD17B4、HSPA2、PPP1R13B、PTGS2、SYK、TERT、TITF1、BRACA1、AATF、ABCB1、ABCC1、ABI1、ABL1、AF1Q、AF3P21、AF4、AF9、AFF3、AKAP12、AKAP9、ALEX3、ALK、ALOX15、APAF1、APC、ARHA、ARHGAP26、ARHGEF12、ARNT、ATBF1、ATF1、ATM、AXIN2、BCAS3、BCAS4、BCL1、BCL10、BCL11A、BCL11B、BCL2、BCL5、BCL7A、BCR、BIRC3、BMPR1A、BRCA2、BRD4、BRIP1、BTG1、BUB1B、CAGE-1、CARS、CASC5、CCDC6、CCND2、CCND3、CDH11、CDKN1B、CDKN2A、CDX2、CEP110、CKN1、CLP1、CLTC、CLTCL1、CNC、COL1A1、COX6C、CREBBP、CXXC6、DAB2IP、DDIT3、DDX43、DIRC1、DIRC2、DKK1、E2F3、EEN、EGFR、ELL、EPS15、ERBB2、ERC1、ERCC1、ERCC4、ERG、ETV1、ETV6、EVI1、EWSR1、EXT1、EXT2、FANCA、FANCD2、FANCF、FAS、FBP17、FCRL4、FEV、FGFR1、FHIT、FLI1、FOXO3A、FUS、FVT1、GAS7、GLI1、GNAS、GOLGA5、GOPC、GRB2、HCMOGT-1、HIST1H4I、HLF、HMGA2、HOXA13、HOXC11、HOXC13、HOXD13、HSPBAP1、HSPCB、HSPD1、HSPH1、IKZF2、INTS6、IRF4、JAG1、JAG2、JAK2、JARID1A、JAZF1、JMJD2C、JUN、KIT、KITLG、KLF5、KLF6、LASP1、LDB1、LHFP、LMO1、LMO2、LPHN2、LPP、LYL1、MADH4、MAF、MAFB、MDM2、MDS2、MET、MKL1、MLF1、MLH1、MLL、MLLT10、MMP2、MN1、MRE11B、MSF、MSH2、MSH6、MSI2、MUC1、MUTYH、MXI1、MYC、MYH9、MYST3、NF1、NFKB1、NIN、NKX2-5、NONO、NOTCH1、N-RAS、NTRK3、NUMA1、NUP214、NUP98、OLIG2、P53、PALB2、PAX2、PAX5、PAX7、PAX9、PBX1、PCM1、PCSK7、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PHOX2B、PICALM、PLAG1、PLCB1、PLK、PML、PMS1、POLH、POU5F1P1、POU6F2、PPP1R13L、PRDM16、PRRX1、PSIP1、PTCH、RABEP1、RAD51L1、RAD53、RANBP17、RAP1GDS1、RAP2B、RARA、RASSF1、RB1、RBL2、RBM15、RBM5、RCHY1、RECQL、RECQL5、RET、RUNX、RUNX1T1、SBDS、SDHC、SDHD、SET、SHH、SIL、SIX1、SNAI2、SPI1、SPINK7、STARD3、STAT3、STK11、STK4、SUFU、SYK、SYNPO2、TBX2、TCF3、THBS2、THRAP3、TMPRSS2、TNF、TOP1、TPM4、TPR、TRIM24、TRIM33、TRIP11、TSC1、TSC2、TSHR、TTL、VAV1、VHL、WFDC1、WT1、WWOX、XPC、ZBTB16、ZNF146、ZNF217等のシンボルで示される遺伝子のプロモーター領域、非翻訳領域又は翻訳領域(コーディング領域)の塩基配列含むDNAの領域等を挙げることができる。これら目的とするDNA領域を個々に定量又は検出することは勿論であるが、例えば、1つの検出系において、これら目的とするDNA領域をより多く用いればそれだけ定量精度及び検出感度が向上する。
【0045】
本発明における目的領域が、微生物由来の塩基配列である場合、検体中から抽出したゲノムDNA又はDNA断片、或いは、検体中から抽出したRNAを逆転写酵素によりDNAとした塩基配列を意味する。したがって、検出オリゴヌクレオチドとの相補的な結合が可能な塩基配列としては、当該微生物に特異的な領域を選択すればよい。例えば、本発明における目的領域が微生物の塩基配列である場合、目的領域を検体中から選択的に抽出するためには、微生物ゲノムDNA、或いは、検体中から抽出したRNAを逆転写酵素によりDNA等の塩基配列のうち、目的領域近傍にある微生物特有の塩基配列を特定オリゴヌクレオチドと特異的に結合する塩基配列とすればよい。
【0046】
本発明における「目的とするDNA領域を有するDNA」としては、グラム陽性菌、グラム陰性菌等の細菌、真菌、ウイルス、病原性原虫等の微生物等由来のDNAや、該微生物等由来のRNAから逆転写酵素により取得したDNAを挙げることができる。例えばMycoplasma genitalium、Mycoplasma pneumoniae、Borrelia burgdorferi B31、Rickettsia prowazekii、Treponema pallidum、Chlamydia pneumoniae、Chlamydia trachomatis、Helicobacter pylori J99、Helicobacter pylori 26695、Haemophilus influenzae Rd、Mycobacterium tuberculosis H37Rv、Pseudomonas aeruginosa、Legionella pneumophila、Serratia marcescens、Escherichia coli、Listeria monocytogenes、Salmonella enterica、Campylobacter jejuni subsp. Jejuni、Staphylococcus aureus、Vibrio parahaemolyticus、Bacillusu cereus、Clostridium botulinum、Clostridium perfringens、Yersinia enterocolitica、Yersinia pseudotuberuculosis、Trichophyton ruburum、Trichophyton mentagrophytes、Candida albicans、Cryptococcus neoformans、Aspergillus fumigatus、Pneumocystis carinii、Coccidioides immitis、Cytomegalovirus、human herpesvirus 5、Epstein-Barr virus、Human Immunodeficiency Virus、Human Papilloma Virus、Enterovirus、Norovirus Influenza Virus、Toxoplasma gondii、Cryptosporidium parvum、Entamoeba histolyticaのゲノムDNA或いはRNAから逆転写酵素により作製されたDNAは、検体中の感染症原因菌、或いは食品中の食中毒原因菌等の検出に利用できる。
【0047】
通常、生検サンプル中、或いは食品等の一般製品中に含まれる病原性微生物等の有無を検査する場合、通常、各々微生物等の抗原に対して免疫法による検査により、病原性微生物等の有無或いは病原性微生物等の特定をする。しかし、免疫法による検査に用いる抗体作製は容易ではなく、更に複数の菌を検出するためには、各々細菌等の抗原に対する抗体を作製する必要がある。しかし、本発明を用いることにより、抗体を作製することなく検査が可能となる。即ち、本発明を用いることにより、抗体作製が難しい微生物、或いは抗体が作製されていない微生物に対する簡易な検査法の提供が可能となる。また、本発明では、異なる微生物の塩基配列を同時に検査できることから、一つの検体中に含まれる数種類の微生物を、同時に検出できるようになる。これらの微生物としては具体的には、Listeria monocytogenes、Salmonella enterica、Campylobacter jejuni subsp. Jejuni、Staphylococcus aureus、Vibrio parahaemolyticus、Bacillusu cereus、Clostridium botulinum、Yersinia enterocolitica、Yersinia pseudotuberuculosis、Clostridium perfringens等の食中毒菌が知られているが、これらの菌を同時に検出する技術は知られていない。本発明では複数の塩基配列の同時検出が可能であるため、複数の食中毒菌の有無を同時に検査することが可能になる。また、検出対象の塩基配列として、CRISPR (Clustered regularly interspaced short palindromic repeats)領域のように、ゲノム中に複数見出される塩基配列を後述する特定オリゴヌクレオチドにより選択(結合)する場合、1ゲノム中の1遺伝子を検出するよりも高感度での検出が可能となる。このような技術は、感染症の診断や、食中毒菌の迅速検出にも有用である。また、本発明は環境中の微生物のゲノムを検出することにより、産業上の有用な菌の同定や、土壌や河川や湖沼の底質等の微生物群の簡易調査等にも用いることができる。環境中に生息する微生物のうち、例えば、Methanococcus jannaschii、Methanobacterium thermoautotrophicum deltaH、Aquifex aeolicus、Pyrococcus horikoshii OT3、Archaeoglobus fulgidus、Thermotoga maritima MSB8、Aeropyrum pernix K1、Haloferax mediterraneiを生息を確認することが可能となる。また、Geobacter sulfurreducensのように工業上利用でき得る細菌、Streptococcus thermophilusのような醗酵に用いられる微生物等の検出及び同定も可能となる。
【0048】
例えば、微生物中のゲノムを検出するための目的領域と後述する検出オリゴヌクレオチドが相補的に結合する領域としては、具体的には、Genbank Accession No. NC_001139等に示される酵母染色体VIIの塩基番号271743-272083の塩基配列、Genbank Accession No. NC_001139等に示される酵母染色体VIIの塩基番号384569-384685の塩基配列ように、遺伝子をコードしない塩基配列でもよい。また、種々の病原性微生物に共通する特徴的な遺伝子の、病原性微生物で保存された塩基配列を検出対象とすることは、複数の病原性微生物を同時に検出する方法を提供し得るものであるため有用である。具体的には、mce-family遺伝子(Micobacterium tuberculosis)、13番染色体上のtRNA-Tyr塩基配列(Cryptococcus neoformans)、chitin synthase activator (Chs3)は、Aspergillus fumigatus及びNeosartorya 属に特有の塩基配列を有することから、ヒトの痰、肺の生検サンプル中から抽出したDNA中に、これら微生物由来のDNAが含まれるか否かを検定することで、微生物による感染症の検定に用いることができる。また、actA(Listeria monocytogenes)、pyrG(NC_002163、Campylobacter jejuni subsp. jejuni)などは食中毒菌に特有共通した遺伝子であることから、これらの遺伝子は、食中毒における微生物検定に用いることができる。また、thrAは、Salmonella enterica、Yersinia enterocolitica、Escherichia coliで保存された配列を有しており、ひとつの遺伝子で複数の微生物を検出することも可能である。
【0049】
「反復配列」とは、ゲノム中に同じ所定の配列が複数個見られる塩基配列を意味している。このような反復配列としては、単純反復配列(縦列反復配列又はタンデムリピートと呼ばれる)や散在反復配列等が知られている。
単純反復配列は、同じ配列が同じ向きに隣り合って存在することを特徴とし、サテライトDNA、ミニサテライト、マイクロサテライト、セントロメア、テロメア、動原体、リボソーム集団遺伝子のような一連の塩基配列等が知られている。
散在反復配列は、隣り合わず散在することを特徴とし、レトロトランスポゾンに由来するDNAと考えられている。散在反復配列は、塩基配列の長さにより、SINE(Short Interspersed Repetitive Element:短鎖散在反復配列)とLINE(Long Interspersed Elements:長鎖散在反復配列)に分類され、ヒトの塩基配列としては、各々、Alu配列やLINE−1配列が代表的な反復配列として知られている。また、RNAやタンパク質から逆転移した不活性なプロセッシング済みの偽遺伝子、遺伝子重複により増幅した遺伝子配列も知られている。
重複遺伝子とは、一つのゲノム上に複数の高い相同性を有する遺伝子が存在する場合を指し、多くの場合は、一遺伝子の近傍にタンデムに並んで存在する塩基配列である。尚、偽遺伝子にも重複遺伝子に含まれるものが知られている。
【0050】
反復配列の具体的な例としては、例えば、比較的短い塩基配列からなる繰り返しとしては、(A)n、(T)n、(GA)n、(CA)n、(TAA)n、(GGA)n、(CAGC)n、(CATA)n、(GAAA)n、(TATG)n、(TTTG)n、(TTTA)n、(TTTC)n、(TAAA)n、(TTCA)n、(TATAA)n、(TCTCC)n、(TTTCC)n、(TTTAA)n、(TTTTC)n、(TTTTA)n、(TTTTG)n、(CAAAA)n、(CACCC)n、(TATATG)n、(CATATA)n、(TCTCTG)n、(AGGGGG)n、(CCCCCA)n、(TGGGGG)n(nは繰返し数を意味する)等の配列が知られており、転写因子に由来する配列としては、hATグループとして、MER1-Charlie、Zaphodが該当し、Tc-1グループとして、MER2-Tigger、Tc-1、Marinerが該当する。その他、具体的には、Tigger1、Tigger2a、Tigger5、Charlie4a、Charlie7等が知られている。これらの配列は、一般的に短く且つ単純な塩基配列であり、後述の特定接着配列及び検出用接着配列を設定することは難しいが、本発明における、後述の特定接着配列及び検出用接着配列の設定対象と設定可能な配列を有していれば、本発明にも利用可能であることから、必ずしも本発明の対象として排除するものではない。また、サテライトDNA、ミニサテライト、マイクロサテライトなどは、単純反復配列に分類される反復配列である。
また、遺伝子中に多コピー存在する配列として、セントロメアに存在する配列としてALR6、また、snRNAとしてU2やU6、或いは、tRNAやrRNAのように一般的にゲノム中に多コピー存在することが知られている遺伝子の他、遺伝子重複によりゲノム中に複数コピー存在する遺伝子等を挙げることができる。
【0051】
偽遺伝子とは、DNAの配列のうち、遺伝子産物(特にタンパク質)をコードしていたことを想像させるような特徴のある塩基配列を有しているが、現在は機能を失っている遺伝子をいう。元の機能を有する配列に突然変異が生じた結果生まれたと考えられている。例えば、突然変異によりストップコドンが生じてタンパク質のペプチド鎖が短くなってしまいタンパク質として機能を果たせなくなる場合や、一塩基置換等の突然変異により正常な転写に必要な調節配列が機能を失う場合などがある。偽遺伝子は元の正常な遺伝子が別に残っている場合が多いが、単独で偽遺伝子になるものもある。
偽遺伝子は、遺伝子配列の特徴により3タイプに分類できる。mRNAからレトロトランスポゾンの逆転写酵素によって作られたDNAがゲノムに挿入される場合(プロセス型偽遺伝子)、ゲノム内で元の遺伝子配列が重複し、そのコピーのうち一部が突然変異等により機能を喪失して偽遺伝子になる場合(重複偽遺伝子又は非プロセス型偽遺伝子)、及び、ゲノム内の遺伝子が(重複遺伝子がなく単独の遺伝子のまま)機能を失うことにより偽遺伝子になる場合がある。本発明における「偽遺伝子」とは、所謂、プロセス型偽遺伝子と重複偽遺伝子を意味する。
尚、現在、偽遺伝子として知られる遺伝子の中には、転写されている例や、遺伝子機能を有する例(偽遺伝子と呼ぶべきかどうかは定まっていない)も知られるようになっていることから、本発明方法における、「偽遺伝子」とは、遺伝子機能の有無、或いは転写されるか否かではなく、前記の「プロセス型偽遺伝子」と「重複偽遺伝子(非プロセス型偽遺伝子)」を意味するものである。
【0052】
重複遺伝子とは、遺伝子重複によりゲノム中の特定の遺伝子や遺伝子断片が倍加することにより生じた遺伝子又はその遺伝子断片を意味する。遺伝子重複とは、遺伝子を含むDNAのある領域が重複する現象のことである。遺伝子重複が起こる原因としては、遺伝的組換えの異常、レトロトランスポゾンの転移、染色体全体の重複等がある。例えば、1つの遺伝子がコピーされてゲノムDNAに挿入されることを意味し、異なる染色体位置へ挿入される場合と元の遺伝子の近傍に挿入される場合がある。元の遺伝子の近傍への挿入により、コピーされた遺伝子が並んでいる場所をタンデムリピートと呼び、遺伝子重複によって作り出された遺伝子のグループを遺伝子族(遺伝子ファミリー)と呼ぶ。
【0053】
その他、レトロウイルスや、末端にLTR(Lomg terminal repeat)を有するレトロトランスポゾン、MaLRs(Mammalian apparent LTR-Retrotransposons)のような、ウイルス由来と考えられる内在配列や、レトロウイルス由来のLTRについても、一ゲノム中に複数存在することが知られている。例えば、レトロトウイルス由来のLTRとしては、具体的には、LTR1、LTR1B、LTR5、LTR7、LTR8、LTR16A1、LTR16A1、LTR16C、LTR26、LTR26E、MER48、MLT2CB等のサブファミリーが知られている。また、レトロトランスポゾン由来のLTRは、ERV、ERVK、ERVLの各クラスに分類され、具体的には、LTR8A、LTR28、MER21B、MER83、MER31B、MER49、MER66B、HERVH、ERVL、LTR16A1、LTR33A、LTR50、LTR52、MLT2A1、MLT2E 、MER11C、MER11C等のサブファミリーを挙げることができる。更に、MaLRsは、典型的なレトロトランスポゾンと同様にその配列の両端にLTRを含むが、LTRにはさまれた内部配列がレトロウイルス由来ではない配列のDNA因子を指す。例えば、MLT1A1、MLT1A2、MLT1B、MLT1C、MLT1D 、MLT1F、MLT1G 、MLT1H、MLT1J 、MLT1K 、MLT1I 、MLT2CB 、MSTA、MSTA-int、MSTB 、THE1A、THE1B、THE1B-internal、THE1等のサブファミリーを挙げることができる。
【0054】
「散在反復配列」は、隣り合わず散在することを特徴としており、レトロトランスポゾンに由来すると考えられている。また、散在反復配列は、その長さにより、SINE(Short Interspersed Repetitive Element:短鎖散在反復配列)とLINE(Long Interspersed Elements:長鎖散在反復配列)に分類されてる。SINEのうち、大部分はAluファミリーに属する配列である。特徴としては、7SL RNAの3’側の配列或いは5’側の配列を有し、尚且つLeft-monomerとRight-monomerと呼ばれる領域にはさまれたAT−Rich領域を有している。Aluファミリーのサブファミリーとしては、Alu、AluJb、AluJo、AluSc、AluSg、AluSp、AluSq、AluSx、AluYを、更には、FAM(Fossil Alu Monomer)と、FAMの配列を有するFLAM(Free Left Alu Monomer)とFRAM(Free Right Alu Monomer)を挙げることができる。Aluファミリー以外のSINEとしては、MIR、及びTher/MIR3が知られており、夫々、サブファミリーとして、MIR、MIR3が知られている。そのほか、他の生物種のAluファミリーのサブファミリーとしては、B1、B2、B4、PB1、PB1D等が知られている。LINEとしては、LINE1からLine23のサブファミリーが報告されているが、LINE-1、LINE2、LINE3が広くゲノム中に存在することが知られている。尚、LINE-1については、例えば、L1M1、L1M2、L1M3、L1M3d、L1M4、L1M4c、L1MA2、L1MA7、L1MA8、L1MA9、L1MB1、L1MB1、L1MB3、L1MB4、L1MB5、L1MB6、L1MB7、L1MCa、L1MCb、L1MC2、L1MC3、L1MC4、L1MC4a、L1MC5、L1MDa、L1ME、L1MEc、L1MEd、L1MEg、L1ME1、L1ME2、L1ME3、L1ME3A、L1ME3B、L1ME4a、L1PB3、L1P4、L1PA2、L1PA3、L1PA4、L1PA5、L1PA6、L1PA7、L1PA10、L1PA12、L1PA13、L1PA14、L1PA16、L1PB1、L1PB3、L1PB4、L1PREC2、HAL1のサブファミリーが知られており、LINE-2としては、L2、L2cのサブファミリーが知られている。尚、例えば、Aluファミリー又はAluのサブファミリーに共通の配列、LINE-1ファミリー或いはLINE-1のサブファミリーに共通の配列に対して、後述の特定接着配列及び検出用接着配列を設定できれば、一ゲノム中に複数の検出対象を設定することができるため、ゲノムの検出をより高感度にすることができる。
目的とするDNA領域としては、具体的に例えばLINE−1の部分配列(配列番号12、配列番号13或いは配列番号14に示す塩基配列)やAluの部分配列(配列番号15に示す塩基配列)又はそれらの相同性を示す塩基配列等を挙げることができる。
【0055】
尚、本発明において、反復配列を測定することは、一ゲノム中に複数存在する塩基配列を同時に測定することを意味し、例えば配列番号13で示される塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列は、ヒトゲノム中に約280コピーあり、配列番号15で示される塩基配列と80%以上の相同性を有する塩基配列は、ヒトゲノム中に約820コピーある。したがって、夫々の塩基配列中に検出用接着配列と特定接着配列を設定できれば、1ゲノムの中に一種類しかない配列に対して検出用接着配列と特定接着配列を設定する場合に比べると、1ゲノムの検出感度を、理論上で280〜820倍上げることが可能となる。
【0056】
第二工程は、第一工程で調製された検体に含有される被検オリゴヌクレオチドと、該被検オリゴヌクレオチドと相補的に結合し、且つ、複数の識別機能を有する検出オリゴヌクレオチドとを混合させて、該被検オリゴヌクレオチドと該検出オリゴヌクレオチドとからなる検出複合体を形成させ、該検出複合体を支持体へ固定化させる工程である。
また、複数の識別機能を有する検出オリゴヌクレオチドは、複数のオリゴヌクレオチドが相補的に結合してなる複合検出オリゴヌクレオチド、又は複数のメチル化部位を有するメチル化オリゴヌクレオチドからなる複合検出オリゴヌクレオチドである請求項1に記載の方法。
【0057】
本発明における「検出オリゴヌクレオチド」とは、後述の「識別機能」により検出可能であり、且つ、被検オリゴヌクレオチドに相補的に結合するオリゴヌクレオチドを意味する。また、検出オリゴヌクレオチドは、「識別機能」を有し、且つ、被検オリゴヌクレオチドに相補的に結合すれば、どのようなオリゴヌクレオチドであっても良く、複数のオリゴヌクレオチドが相補的に結合してなる複合オリゴヌクレオチドであっても良い。なお、識別機能として、後述の「検出分子」を結合させる場合には、検出オリゴヌクレオチドは、後述の、「検出配列」を有していても良い。
【0058】
本発明方法における「複数の識別機能を有する検出オリゴヌクレオチド」とは、検出オリゴヌクレオチドが複数の識別機能を有していることを意味する。例えば、検出オリゴヌクレオチドが、複数のオリゴヌクレオチドが相補的に結合してなる複合オリゴヌクレオチドである場合、複合オリゴヌクレオチド上に複数の識別機能を有していれば何でもよく、特に、識別機能の位置を特定するものではない。より具体的には、後述の「複合検出オリゴヌクレオチド」であってもよい。また、検出オリゴヌクレオチドが、一本のオリゴヌクレオチドである場合、オリゴヌクレオチド上に複数の識別機能があれば何でも良い。例えば、検出オリゴヌクレオチドがメチル化オリゴヌクレオチドである場合、検出オリゴヌクレオチド上に、複数有するメチル化DNAを合成して検出オリゴヌクレオチドとして利用することができる。メチル化DNAはメチル化DNA抗体を用いて検出することができるので、検出オリゴヌクレオチドへのメチル化DNA抗体の結合数が多いほど、高い検出感度を得ることが期待される。なお、メチル化DNAを検出するためには、メチル化DNA抗体を用いる方法の他に、後述の「オスミウム錯体」を利用する方法もある。
検出オリゴヌクレオチドがメチル化オリゴヌクレオチドである場合、検出オリゴヌクレオチド上の識別機能を容易に増加させる事ができ、尚且つ、メチル化DNA抗体を用いる検出方法やオスミウム錯体等を用いる検出方法等、多様な検出方法から測定に適した検出方法を選択することが可能になる。
【0059】
本発明における「複合検出オリゴヌクレオチド」とは、被検オリゴヌクレオチドと相補的に結合し、且つ、複数のオリゴヌクレオチドが相補的に結合してなるオリゴヌクレオチドである。また、複合検出オリゴヌクレオチドは、後述する識別機能を有しており、複数のオリゴヌクレオチドが各々オリゴヌクレオチドが有する互いに相補的な塩基配列からなる接着塩基配列により結合されてなる構造をとる。
尚、識別機能は、予め、複合検出オリゴヌクレオチドに結合されているものであっても良く、間接的に結合されるものであっても良い。
複合検出オリゴヌクレオチドを構成するオリゴヌクレオチドは、その全て又は一部分がメチル化されていても構わない。本発明において、複合検出オリゴヌクレオチドの少なくとも一部分がメチル化されたものを、メチル化複合検出オリゴヌクレオチドと呼ぶこともある。メチル化オリゴヌクレオチドを相補的に結合させて複合検出オリゴヌクレオチドを形成させる場合には、メチル化複合検出オリゴヌクレオチドは、例えば、メチル化オリゴヌクレオチドのみを結合させてもよく、メチル化オリゴヌクレオチドとメチル化されていないオリゴヌクレオチドとを組み合せて結合させてもよい。
【0060】
「メチル化オリゴヌクレオチド」とは、オリゴヌクレオチドを構成するヌクレオチドの塩基がメチル化されたオリゴヌクレオチドを意味するものであり、本発明においては、人工的に合成されたものであってもよい。また、人工的に合成されたオリゴヌクレオチドやゲノムDNAを断片化して得られたオリゴヌクレオチドを、メチル基転移酵素で修飾して作成してもよい。いくつかのメチル基転移酵素は、オリゴヌクレオチド中の「CpG」中のシトシンの5位をメチル化することが知られており、このようなメチル化酵素の具体例としては、SssI methylase、Dmnt1 methylase等を挙げることができる。尚、ゲノムDNAは部分的にメチル化されているので、細胞等から取得したゲノムDNAを断片化すると、ゲノム中でメチル化されている領域がメチル化オリゴヌクレオチドとして取得できる場合もある。また、シトシンの5位がメチル化されたメチル化オリゴヌクレオチドは、5−メチルシトシンをシトシンの代わりに用いて人工的に合成されたメチル化オリゴヌクレオチドであってもよい。この場合、「CpG」のシトシンだけでなく全てのシトシン(例えば、5’−CA−3’、5’−CT−3’、5’−CC−3’等)を、5−メチルシトシンとして合成することが可能である。
【0061】
「DNAメチル化酵素」とは、DNA中の塩基をメチル化する酵素であり、哺乳動物細胞、細菌等から、多くのDNAメチル化酵素が単離されている。DNAメチル化酵素は、基質の塩基の種類から、アデニンメチル化酵素、シトシンメチル化酵素等、複数種類に分類される。シトシンメチル化酵素は、DNA塩基配列中の特定の配列を認識し、その配列の近くのシトシンをメチル化する酵素であり、認識する塩基配列により異なったシトシンメチル化酵素が知られている。
また、DNAメチル化酵素の触媒するDNAのメチル化反応は、制限修飾系と呼ばれる原始的な免疫系から多数見出されている。制限修飾系とは、細菌で機能するゲノム全体を定期的にメチル化することにより、特定の配列を認識する制限酵素(制限エンドヌクレアーゼ)によって消化されないようにした上で、外来DNA(特にバクテリオファージ)を制限酵素によって消化する機能で、バクテリオファージ感染から微生物ゲノムを防御するシステムのことである。ゲノムのメチル化に機能している酵素は、シトシン又はアデニンをメチル化し、多くはプリン残基の6位の窒素(N6)、或いは5位の炭素(C5)をメチル化することが知られている。このような酵素のうち、シトシンのC5をメチル化するシトシンメチル化酵素としては、SssI(M.SssI)メチラーゼ、AluIメチラーゼ、HhaIメチラーゼ、HpaIIメチラーゼ、MspIメチラーゼ、HaeIIIメチラーゼ等が知られている。また、これらシトシンのC5位をメチル化する酵素は、認識する塩基配列が異なっており、CpGを認識するシトシンメチル化酵素は、SssIのみである。
また、ヒトゲノム中のDNAのメチル化反応としては、エピジェネティクス(遺伝子配列によらない遺伝子発現の多様性を生みだす仕組み)として、CpGのシトシンの5位(C5)のメチル化が知られており、このようなシトシンメチル化酵素として、DNAメチルトランスフェラーゼが知られている。DNAメチルトランスフェラーゼとしては、DnmtIメチルトランスフェラーゼが知られている。
従って、ヒト細胞中ではCpG配列のシトシンのC5位がメチル化されているため、人為的にゲノムをメチル化する場合には、SssIを用いることで、ヒト細胞内でのメチル化と同じ配列(CpG)の、同じシトシンの、同じ位置をメチル化することが可能となる。
シトシンメチル化酵素によりメチル化されたDNAにするためには、具体的には例えば、以下のように実施すればよい。DNA試料に、最適な10×緩衝液(NEBuffer2 (NEB社製))を5μL、S-adenosyl methionine (3.2 mM, NEB社製)を0.5μl、シトシンメチル化酵素SssI(NEB社製)を夫々0.5μL加え、次いで該混合物に滅菌超純水を加えて液量を50μLとし、37℃で30分間インキュベーションすればよい。
【0062】
本発明においては、複合検出オリゴヌクレオチドを構成するオリゴヌクレオチドが相互に相補的に直列に結合(連結)する場合(「直列型」と呼ぶこともある)、複合検出オリゴヌクレオチドを構成するオリゴヌクレオチド(メチル化オリゴヌクレオチドを含む)のうち、被検オリゴヌクレオチド上の連結塩基配列と相補性によって結合する相補連結塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(メチル化オリゴヌクレオチドを含む)を第1オリゴヌクレオチドと呼ぶ。
【0063】
第1オリゴヌクレオチドは、被検オリゴヌクレオチドの塩基配列とは相補的な結合をせず、且つ第1オリゴヌクレオチドと相補的に結合し得るオリゴヌクレオチド(メチル化オリゴヌクレオチドを含む)である第2オリゴヌクレオチドの相補接着配列と相補的に結合し得る接着塩基配列である第1接着塩基配列を有する。また、第2オリゴヌクレオチドは、第1接着塩基配列と相補的に結合し得る塩基配列からなる相補第1接着塩基配列を有する。
【0064】
第2オリゴヌクレオチドは、被検オリゴヌクレオチド及び第1接着配列以外の第1オリゴヌクレオチドの塩基配列部分とは相補的な結合をせず、第2オリゴヌクレオチドと相補的に結合し得るオリゴヌクレオチド(メチル化オリゴヌクレオチドを含む)である第3オリゴヌクレオチドと相補的に結合し得る接着塩基配列である第2接着塩基配列を有する。この第2接着塩基配列と相補的に結合し得る塩基配列からなる相補第2接着塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(メチル化オリゴヌクレオチドを含む)を第3オリゴヌクレオチドと呼ぶ。
【0065】
同様に、第N接着塩基配列と相補的に結合し得る塩基配列からなる相補第N接着塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(メチル化オリゴヌクレオチドを含む)を第(N+1)オリゴヌクレオチドと呼ぶ。第(N+1)オリゴヌクレオチドは、被検オリゴヌクレオチド及び第N接着配列以外の第1オリゴヌクレオチドから第Nオリゴヌクレオチドまでのオリゴヌクレオチドの塩基配列部分とは相補的な結合をせず、第(N+1)オリゴヌクレオチドと相補的に結合し得るオリゴヌクレオチド(メチル化オリゴヌクレオチドを含む)である第(N+2)オリゴヌクレオチドと相補的に結合し得る接着塩基配列である第(N+1)接着塩基配列を有する。この第(N+1)接着塩基配列と相補的に結合し得る塩基配列からなる相補第(N+1)接着塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(メチル化オリゴヌクレオチドを含む)を第(N+2)オリゴヌクレオチドと呼ぶ。
【0066】
同様に、第(N−1)接着塩基配列と相補的に結合し得る塩基配列からなる相補第(N−1)接着塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(メチル化オリゴヌクレオチドを含む)を第Nオリゴヌクレオチドと呼ぶ。第Nオリゴヌクレオチドは、被検オリゴヌクレオチド及び第(N−1)接着配列以外の第1オリゴヌクレオチドから第(N−1)オリゴヌクレオチドまでのオリゴヌクレオチドの塩基配列部分とは相補的な結合をせず、第Nオリゴヌクレオチドと相補的に結合し得るオリゴヌクレオチド(メチル化オリゴヌクレオチドを含む)である第(N+1)オリゴヌクレオチドと相補的に結合し得る接着塩基配列である第N接着塩基配列を有する。
尚、第(N+1)オリゴヌクレオチドが存在しない場合には、第Nオリゴヌクレオチドを終末オリゴヌクレオチドと呼び、該第Nオリゴヌクレオチドは第N接着塩基配列を有していなくても構わない。
即ち、本発明における複合検出オリゴヌクレオチドの一つの形態は、第1オリゴヌクレオチドから終末オリゴヌクレオチドまでが、接着塩基配列と相補接着塩基配列との相補的な結合により連結されたものである。
【0067】
複合検出オリゴヌクレオチドが、複数のメチル化部位を有するメチル化オリゴヌクレオチドからなる第1オリゴヌクレオチドのみで形成されている場合は、上記に従い、その第1オリゴヌクレオチドは、接着塩基配列を有していなくてよい。
また、複合検出オリゴヌクレオチドを用いず、一つのメチル化部位のみを有するメチル化オリゴヌクレオチドからなる検出オリゴヌクレオチドを用いても検体中に含まれる目的とするDNA領域を有するDNAを定量又は検出することは可能である。
【0068】
接着塩基配列と相補接着塩基配列は、オリゴヌクレオチド(メチル化オリゴヌクレオチドを含む)が相補的に結合し得るものであればよく、オリゴヌクレオチド(メチル化オリゴヌクレオチドを含む)の末端に位置していてもよく、中間に位置していてもよい。
更に、第N接着塩基配列は、相補第N接着塩基配列以外の塩基配列と相補的な結合をせず、且つ、該相補第N接着塩基配列以外の塩基配列のいずれの相補的な結合も阻害しないことが望ましい。また、第N接着塩基配列は、相補第N接着塩基配列以外の複合検出オリゴヌクレオチドを構成するオリゴヌクレオチド、検体中に含まれる核酸、被検オリゴヌクレオチド及び後述の特定オリゴヌクレオチドを含むその他のオリゴヌクレオチドの塩基配列と相補的な結合をしないことが望ましい。
【0069】
本発明方法では、複合検出オリゴヌクレオチドを構成するオリゴヌクレオチドが相互に相補的に分岐して(直列以外で)結合(連結)しうる場合(「分岐型」と呼ぶこともある)、複合検出オリゴヌクレオチドを構成するオリゴヌクレオチド(メチル化オリゴヌクレオチドを含む)のうち、第Nオリゴヌクレオチド上に複数の接着塩基配列が存在してもよい。例えば、第Nオリゴヌクレオチドに接着塩基配列がM個存在する場合には、夫々、第(N,1)接着塩基配列、第(N,2)接着塩基配列、第(N,3)接着塩基配列、・・・、第(N,(M−1))接着塩基配列、第(N,M)接着塩基配列と呼び、それらの接着塩基配列に相補性によって結合するオリゴヌクレオチドを夫々、第((N+1),1)オリゴヌクレオチド、第((N+1),2)オリゴヌクレオチド、第((N+1),3)オリゴヌクレオチド、・・・、第((N+1),(N−1))オリゴヌクレオチド、第((N+1),M)オリゴヌクレオチド、と呼ぶ。この際、例えば、第((N+2),1)オリゴヌクレオチドが存在しない場合、第((N+1),1)オリゴヌクレオチドは、終末オリゴヌクレオチドであり、第((N+1),1)接着塩基配列は存在しなくともよい。
【0070】
同様に、第(N,1)オリゴヌクレオチド上に複数の接着塩基配列が存在する場合、例えば、第(N,1)オリゴヌクレオチド上に接着塩基配列がL個存在する場合には、夫々第(N,1,1)接着塩基配列、第(N,1,2)接着塩基配列、第(N,1,3)接着塩基配列、・・・、第(N,1,(L−1))接着塩基配列、第(N,1,L)接着塩基配列、と呼び、それらの接着塩基配列に相補性によって結合するオリゴヌクレオチドを夫々第((N+1),1,1)オリゴヌクレオチド、第((N+1),1,2)オリゴヌクレオチド、第((N+1),1,3)オリゴヌクレオチド、・・・、第((N+1),1,(L−1))オリゴヌクレオチド、第((N+1),1,L)オリゴヌクレオチド、と呼ぶ。この際、例えば、第((N+2),1,1)オリゴヌクレオチドが存在しない場合、第((N+1),1,1)オリゴヌクレオチドは、終末オリゴヌクレオチドであり、第((N+1),1,1)接着塩基配列は存在しなくともよい。
【0071】
尚、分岐型の複合オリゴヌクレオチドとは、第1オリゴヌクレオチドが複数種類存在し、被検オリゴヌクレオチド上に複数の第1オリゴヌクレオチドが結合する場合も含むものである。この場合、被検オリゴヌクレオチド上にM個の第1オリゴヌクレオチドがある場合には、被検オリゴヌクレオチド上の第1連結配列、第2連結配列・・・・第N連結配列に対して夫々相補的に結合し得る、第(1,1)接着配列、第(1,2)接着配列、第(1,3)接着配列・・・第(1、M)接着配列を夫々有する、第(1,1)オリゴヌクレオチド、第(1,2)オリゴヌクレオチド、第(1,3)オリゴヌクレオチド・・・第(1,M)オリゴヌクレオチドであればよい。
また、第1オリゴヌクレオチド上にM個の第2オリゴヌクレオチドがある場合には、第1オリゴヌクレオチド上の第1連結配列、第2連結配列・・・・第M連結配列に対して夫々相補的に結合し得る、第(2,1)接着配列、第(2,2)接着配列、第(2,3)接着配列・・・第(2,M)接着配列を夫々有する、第(2,1)オリゴヌクレオチド、第(2,2)オリゴヌクレオチド、第(2,3)オリゴヌクレオチド・・・第(2、M)オリゴヌクレオチドであればよい。
さらに、第Nオリゴヌクレオチド上にM個の第N+1オリゴヌクレオチドがある場合には、第Nオリゴヌクレオチド上の第1連結配列、第2連結配列・・・・第M連結配列に対して夫々相補的に結合し得る、第(N+1,1)接着配列、第(N+1,2)接着配列、第(N+1,3)接着配列・・・第(N+1,M)接着配列を夫々有する、第(N+1,1)オリゴヌクレオチド、第(N+1,2)オリゴヌクレオチド、第(N+1,3)オリゴヌクレオチド・・・第(N+1、M)オリゴヌクレオチドであればよい。
尚、第(N,M)オリゴヌクレオチド上にP個の第N+1オリゴヌクレオチドがある場合には、第(N,M)オリゴヌクレオチド上の第(N+1,M,1)連結配列、第(N+1,M,2)連結配列・・・・第(N+1,M,P)連結配列に対して夫々相補的に結合し得る、第(N+1,M,1)接着配列、第(N+1,M,2)接着配列、第(N+1,M,3)接着配列・・・第(N+1,M,P)接着配列を夫々有する、第(N+1,M,1)オリゴヌクレオチド、第(N+1,M,2)オリゴヌクレオチド、第(N+1,M,3)オリゴヌクレオチド・・・第(N+1,M,P)オリゴヌクレオチドであればよい。
さらに、第(N,M,・・・,X)オリゴヌクレオチド上にP個の第N+1オリゴヌクレオチドがある場合には、第(N,M,・・・,X)オリゴヌクレオチド上の第(N+1,M, ・・・,X,1)連結配列、第(N+1,M, ・・・,X,2)連結配列・・・・第(N+1,M, ・・・,X,P)連結配列に対して夫々相補的に結合し得る、第(N+1,M, ・・・,X,1)接着配列、第(N+1,M, ・・・,X,2)接着配列、第(N+1,M, ・・・,X,3)接着配列・・・第(N+1,M, ・・・,X,P)接着配列を夫々有する、第(N+1,M, ・・・,X,1)オリゴヌクレオチド、第(N+1,M, ・・・,X,2)オリゴヌクレオチド、第(N+1,M, ・・・,X,3)オリゴヌクレオチド・・・第(N+1,M, ・・・,X,P)オリゴヌクレオチドであればよい。
【0072】
以上の如く、様々な組み合わせを行い高感度化することが可能であり、検出したい感度や精度に応じ、各オリゴヌクレオチドや終末オリゴヌクレオチドの組み合わせを調製することができる。
【0073】
尚、一つのオリゴヌクレオチド上に、複数の接着塩基配列が存在する場合、それら接着塩基配列は、同じでもよいし全て異なっていてもよい。具体的に例えば、前記第(N,1)接着塩基配列、第(N,2)接着塩基配列、第(N,3)接着塩基配列の塩基配列は、全て同じでもよいし、夫々異なる塩基配列であってもよい。連結接着配列と相補連結塩基配列、及び、接着塩基配列と相補接着塩基配列は互いに相補的に結合し得る塩基配列であればよく、具体的には90%以上の相同性を有していればよく、また各々通常5〜100bp、望ましくは10〜50bpであればよい。接着塩基配列と相補接着塩基配列は、ゲノムとの相補的な結合をしないように設計されることが望ましく、また人工的に合成したDNAが望ましい。設計された接着塩基配列と連結塩基配列等が、ゲノムとの相補的な結合をしないことを簡便に確認するためには、PubMeD等の公的機関等のゲノムデータベースでBlast検索を実施し、80%以上の相同性を示す塩基配列がないことを確認すればよい。
【0074】
即ち、「複合検出オリゴヌクレオチド」は、連結塩基配列と相補連結塩基配列との相補的な結合により被検オリゴヌクレオチドと連結され、検出複合体をを形成する。
検出複合体は、一つの被検オリゴヌクレオチドに複合検出オリゴヌクレオチドが結合したもの、又は複数の複合検出オリゴヌクレオチドが結合したものである。複数の複合検出オリゴヌクレオチドが一つの被検オリゴヌクレオチドに結合する場合、各々複合検出オリゴヌクレオチドは同一の複合検出オリゴヌクレオチドであってもよく、又は異なる複合検出オリゴヌクレオチドであってもよい。また、被検オリゴヌクレオチド上の連結塩基配列は複数種類の連結塩基配列が各々一つずつであってもよく、一種類の連結塩基配列が複数あってもよい。
【0075】
本発明における「検出複合体」とは、被検オリゴヌクレオチドの連結塩基配列と複合検出オリゴヌクレオチドの相補連結塩基配列の相補的な結合により、被検オリゴヌクレオチドに複合検出オリゴヌクレオチドが連結されたものを意味する。検出複合体は、後述する識別機能により検出することにより、後述する第三工程において前記目的とするDNA領域を有するDNAを定量又は検出するするための識別機能を有するか、又は識別機能を有する検出分子と結合できるものでしてあればよい。
【0076】
「識別機能」とは、複合検出オリゴヌクレオチドを検出又は定量できる機能である。即ち、識別機能は複合検出オリゴヌクレオチドを識別できる機能であれば何でもよく、例えば、複合検出オリゴヌクレオチドの標識に基づく識別機能や、複合検出オリゴヌクレオチドに結合する検出分子によって検出オリゴヌクレオチドに付与される識別機能を意味する。具体的には、複合検出オリゴヌクレオチドを構成するオリゴヌクレオチドの5’末端若しくは3’末端にユーロピウム標識、金コロイド標識、ラテックスビーズ標識、放射性同位体標識、蛍光物質(FITC等)標識、horseradish Peroxidase(HRP)標識、アルカリホスファターゼ標識等がなされた複合検出オリゴヌクレオチドの蛍光・発色等の特性を挙げることができる。
ユーロピウムの検出のためには、Enhancement Solution(PerkinElmer社製)を添加・混合し、約45分間室温で静置した後、蛍光検出器で蛍光(励起340nm/蛍光612nm)を測定すればよい。また、複合検出オリゴヌクレオチドがメチル化複合オリゴヌクレオチドである場合には、検出分子としては、具体的には、メチル化DNA抗体や、オスミウム錯体(非特許文献3)等が挙げられる。メチル化複合オリゴヌクレオチドとは、具体的には5-メチルシトシン、6-メチルアデニン等を含む複合オリゴヌクレオチドを意味する。更に、複合検出オリゴヌクレオチドがFITC標識されている場合には、検出分子としてFITC抗体を挙げることができる。
【非特許文献3】Tanaka K., Tainaka K., Kamei T., Okamoto A., Direct labeling of 5-methylcytosine and its applications.,J. Am. Chem. Soc.,2007;129:5612-5620.
【0077】
検出分子がメチル化DNA抗体である場合には、以下の方法により、定量又は検出のために利用される識別機能としての機能を付与することができる。具体的には、ユーロピウム標識、金コロイド標識、ラテックスビーズ標識、放射性同位体標識、蛍光物質(FITC等)標識、horseradish Peroxidase(HRP)標識、アルカリホスファターゼ標識、ビオチン標識等、標識が蛍光・発色等の機能である。尚、これら検出分子としての抗体に識別機能を付与する方法としては、検出分子である抗体に直接識別機能を結合させてもよいし、識別機能を有した二次抗体又は三次抗体を検出分子である抗体に結合させる方法が挙げられる。具体的には、蛍光物質で標識された抗体、horseradish Peroxidase(HRP)標識された抗体、アルカリホスファターゼ標識された抗体、ビオチン標識された抗体、ユーロピウム標識された抗体は、市販されているので二次抗体又は三次抗体として利用する事ができる。また、酵素サイクル法で検出可能な基質を結合した抗体であってもよい。これら機能の定量又は検出手段としては、例えば、放射線検出器、分光光度計等による測定、又は目視等が挙げられる。例えば、複合検出オリゴヌクレオチドを、その識別機能により検出又は定量する場合として、具体的に検出又は定量可能な機能としてユーロピウムが付加された二次抗体を使用する場合、検出複合体に二次抗体を結合させた後、Enhancement Solution(PerkinElmer社製)を添加・混合し、約45分間室温で静置する。その後、蛍光検出器で蛍光(励起340nm/蛍光612nm)を測定すればよい。
【0078】
複合検出オリゴヌクレオチド上のメチル化DNAにメチル化DNA抗体を結合させて、その機能により検出又は定量する場合には、具体的に例えば、以下のように操作を行えばよい。支持体に結合させた検出複合体にメチル化DNA抗体を結合させた後、メチル化DNA抗体に対する二次抗体(例えば、Eu-N1標識マウスIgG抗体:PerkinElmer社製)を添加し、室温で約1時間静置し、二次抗体の検出複合体への結合を促す。その後、Enhancement Solution(PerkinElmer社製)を添加・混合し、例えば約45分間室温で静置する。その後、蛍光検出器で蛍光(励起340nm/蛍光612nm)を測定することにより、検出又は定量する。
尚、支持体に結合させる為にメチル化DNA抗体を用いる場合には、支持体に結合させる為に用いたメチル化DNA抗体とは異なる基質特異性を有するメチル化DNA抗体を、該検出オリゴヌクレオチドのメチル化DNAに結合する検出分子として用いる。
【0079】
また、複合検出オリゴヌクレオチド上のメチル化DNAに結合するメチル化DNA抗体をFITCで標識する場合には、二次抗体としてFITCを結合させた抗体を用いることもできる。この場合、公知の方法により、FITCの蛍光を測定し、検出又は定量することもでき、抗FITC抗体を二次抗体として検出又は定量することもできる。更に、検出オリゴヌクレオチドにFITCを直接結合させた場合は、FITCを識別機能として利用することもできるし、horseradish Peroxidase(HRP)標識されたFITC抗体、アルカリホスファターゼ標識されたFITC抗体、ビオチン標識されたFITC抗体、ユーロピウム標識されたFITC抗体等により標識機能を付与することもできる。具体的には、複合検出オリゴヌクレオチドとして、FITC標識したオリゴヌクレオチドを複合検出オリゴヌクレオチドとして使用する場合は、該複合検出オリゴヌクレオチドを含む検出複合体を支持体に結合させた後に、horseradish Peroxidase(HRP)標識された抗体(例えば、HRP標識FITC抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories社製)を添加し、室温で約1時間〜2時間静置し、FITC抗体の支持体に結合した検出複合体への結合を促す。その後、FITC抗体溶液を洗浄除去してから、適切な基質(例えば、Substrate Reagent Pack #DY999:R&D SYSTEMS社製)を添加・混合する。約5〜60分間室温で静置した後、ストップ溶液 (2N H2SO4水溶液)を添加してhorseradish Peroxidase(HRP)の反応を停止させ、反応停止後30分以内に450nmの吸光度を測定すればよい。
【0080】
また、被検オリゴヌクレオチドを支持体に固定化するためにビオチンを利用しない場合、ビオチン化検出オリゴヌクレオチドを検出又は定量に用いることができる。ビオチン化された検出オリゴヌクレオチドを検出又は定量する場合には、例えば、HRP標識ストレプトアビジンを支持体に固定化された検出複合体に添加・混合し、ビオチン化検出オリゴヌクレオチドとHRP標識ストレプトアビジンとの結合体を形成・分離した後、公知の方法によりHRPの活性を測定することによりビオチン化メチル化DNA抗体を検出又は定量できる。
また、識別機能としては、酵素サイクル法等の高感度検出法で用いられる基質等を利用するものであってもよい。具体的には、酵素サイクル法で用いられる酵素を結合した抗体を検出分子として、検出複合体に結合させればよい。尚、本発明において検出分子に付与される識別機能としては、上記の記載の方法に限定されるものではない。
【0081】
「検出分子」とは、複合検出オリゴヌクレオチドを検出又は定量する性質を有していればよい。また、検出分子は、複合検出オリゴヌクレオチドの検出配列を認識するものであってもよく、予め複合検出オリゴヌクレオチドに結合されていても構わない。即ち、検出分子は、検出オリゴヌクレオチドに特異的に結合する性質を有し、且つ、定量又は検出のために利用される機能・特性である「識別機能」を有するか、或いは識別機能を付与され得るものであればよい。具体的には、検出分子は、検出配列がメチル化オリゴヌクレオチドの場合、該メチル化オリゴヌクレオチドに結合して該メチル化オリゴヌクレオチドを検出できるものであればよく、該メチル化オリゴヌクレオチドに特異的に結合して識別機能を示すものであればよい。(但し、支持体に結合させる為にメチル化DNA抗体を用いる場合には、支持体に結合させる為に用いたメチル化DNA抗体とは異なる基質特異性を有するメチル化DNA抗体を、該検出オリゴヌクレオチドのメチル化DNAに結合する検出分子として用いる)。他に例えば、検出分子はメチル化DNA抗体であってもよい。また、検出配列が検出分子そのものである場合、複合検出オリゴヌクレオチドを検出するために、新たな検出分子を添加しなくともよく、検出オリゴヌクレオチドに組み込まれた検出分子を検出することにより、該検出オリゴヌクレオチドの検出が可能になる。
【0082】
本発明方法における「検出配列」とは、検出分子を複合検出オリゴヌクレオチドに結合させるための塩基配列を意味する。
検出配列は、接着配列、相補接着配列等、本発明方法における検出複合体の形成に関与する塩基配列と相補的に結合し無い配列であれば良く、合成された塩基配列であっても、自然界に存在する塩基配列と相同性を有していてもよく、検出複合体に検出分子が結合可能な形で存在していれば構わない。
例えば具体的には、全ての複合検出オリゴヌクレチドに検出配列があっても良く、検出複合体に含まれる特定の複合検出オリゴヌクレオチドのみが有していても良い。
【0083】
本発明において「メチル化DNA抗体」とは、DNA中のメチル化された塩基を抗原として結合する抗体を意味する。具体的には、メチルシトシン抗体であり、一本鎖DNA中の5位がメチル化されたシトシンを認識して結合する性質を有している抗体を挙げることができる。また、市販されているメチル化DNA抗体であっても、本明細書記載のメチル化状態のDNAを特異的に認識して、特異的に結合できる抗体であればよい。メチル化DNA抗体は、メチル化された塩基、メチル化DNA等を抗原として、通常の方法により作製できる。具体的にメチルシトシン抗体を作成するためには、5−メチルシチジン、5−メチルシトシン、或いは、5−メチルシトシンを含むDNA等を抗原として作製された抗体からDNA中のメチルシトシンへの特異的な結合を指標として選抜することで作製できる。尚、このような固定化メチル化DNA抗体の性質(1つのメチル化された塩基(シトシン)に1つの抗体が結合すること)から考えると、目的とするDNA領域としては、数多くのメチル化された塩基(シトシン)、即ちCpG、が存在する領域を選抜することが望ましく、また、定量精度及び検出感度の向上が期待できる。
【0084】
動物に抗原を接触させて得られる抗体としては、動物から精製した抗原を免疫した後、IgG画分の抗体(ポリクローナル抗体)を利用する方法と、単一のクローンを生産する抗体(モノクローナル抗体)を利用する方法がある。本発明においてはメチル化DNA、或いはメチルシトシンを特異的に認識できる抗体であることが望ましいため、モノクローナル抗体を利用することが望ましい。
【0085】
モノクローナル抗体を作製する方法としては、細胞融合法による方法をあげることができる。例えば、細胞融合法は免疫したマウス由来の脾細胞(B細胞)と骨髄腫細胞とを細胞融合させることでハイブリドーマを作製し、ハイブリドーマの生産する抗体を選抜して、メチルシトシン抗体(モノクローナル抗体)を作製できる。細胞融合法でモノクローナル抗体を作製する場合は、抗原を精製する必要がなく、例えば、5−メチルシチジン、5−メチルシトシン、又は、5−メチルシトシンを含むDNA等の混合物を抗原として、免疫に用いる動物に投与できる。投与方法としては、5−メチルシチジン、5−メチルシトシン、又は、5−メチルシトシンを含むDNA等を、直接、抗体を産生させるマウスへ投与する。抗体が産生されにくい場合は、抗原を支持体へ結合させて免疫してもよい。また、アジュバント溶液(例えば、流動パラフィンとAracel Aを混合し、アジュバントとして結核菌の死菌を混合したもの)と抗原をよく混合することや、リポソームに組み入れて免疫することで、抗原の免疫性を上げることができる。或いは、抗原を含む溶液とアジュバント溶液を等量添加し、十分に乳液状にしてから、マウスの皮下或いは腹腔内に注射する方法や、ミョウバン水とよく混合してから百日咳死菌をアジュバントとして添加する方法がある。尚、最初の免疫をしてから適当な期間の後、マウスの腹腔内或いは静脈内に追加免疫することもできる。また、抗原の量が少ない場合には、抗原が浮遊する溶液を、直接マウス脾臓に注入して免疫してもよい。最終免疫から数日後に脾臓を摘出し脂肪組織を剥離してから、脾細胞浮遊液を作製する。この脾細胞と、例えばHGPRT欠損骨髄腫細胞とを細胞融合してハイブリドーマを作製する。細胞融合剤としては脾細胞(B細胞)と骨髄腫細胞を効率的に融合できる方法ならば何でもよく、例えば、センダイウイルス(HVJ)、ポリエチレングリコール(PEG)を用いる方法等が挙げられる。また、高電圧パルスを用いる方法で細胞融合をしてもよい。細胞融合操作の後、HAT培地で培養し、脾細胞と骨髄腫細胞が融合したハイブリドーマのクローンを選択し、スクリーニングが可能になるまで細胞が成育するのを待つ。目的とする抗体を生産するハイブリドーマを選択するための抗体の検出法や抗体力価の測定法には、抗原抗体反応系を利用できる。具体的には、可溶性抗原に対する抗体測定法で、放射性同位元素免疫定量法(RIA)、酵素免疫定量法(ELISA)等が挙げられる。
【0086】
「相補的に結合」とは、塩基同士の水素結合による塩基対合により二本鎖DNAあるいはDNAとRNAからなるヘテロ二本鎖を形成することを意味する。例えば、二本鎖DNAを構成する二本鎖の各々一本鎖DNAを構成する塩基が、プリンとピリミジンの塩基対合により二本鎖を形成することであり、より具体的には、複数の連続した、チミンとアデニン、グアニンとシトシンの水素結合による塩基結合により、二本鎖DNAを形成することを意味する。また例えば、DNAとRNAからなるヘテロ二本鎖を構成するDNAとRNAを構成する塩基が、プリンとピリミジンの塩基対合により二本鎖を形成することであり、より具体的には、複数の連続した、チミンとアデニン、ウラシルとアデニン、グアニンとシトシンの水素結合による塩基結合により、二本鎖DNAを形成することを意味する。
相補性によって結合することを「相補的に結合する」と呼ぶこともある。「相補的に結合」は、「相補的な結合」、「相補性により結合」、「相補的な(塩基対合による)結合」、「相補的な塩基対合」、「相補的に塩基対合し得る」又は「相補性によって結合」と表現することもある。また、相補的に結合し得る塩基配列を互いに「相補性を有する」、「相補性である」と表現することもある。尚、人工的に作製されるオリゴヌクレオチドに含まれるイノシンが、シトシン、又はアデニン、又はチミンと水素結合で結合することも意味する。「相補的な塩基配列」、「目的とするDNA領域(に対して相補性である塩基配列)を含む一本鎖DNA」とは、目的とするDNA領域を含む一本鎖DNAとの結合体(二本鎖)を形成するために必要な塩基配列、即ち、目的とするDNA領域の塩基配列の一部に相補的な塩基配列を含む塩基配列であることを意味し、「相補的塩基配列」と表現することもある。また、相補的塩基配列は、「相補的」、「相補性により結合し得る塩基配列」、又は「相補的な配列」と表現することもある。
尚、「相同性を示す塩基配列」とは、配列同一性を有する塩基配列を意味する。本発明において、配列相同性の比率を記述しない場合は、少なくとも75%以上、望ましくは80%以上の配列同一性を有する塩基配列のことを言う。具体的に「配列番号1と相同性を示す塩基配列」とは、配列番号1の塩基配列或いは配列番号1の部分配列と、少なくとも75%以上の配列同一性を有する塩基配列で、望ましくは80%以上の配列同一性を有する塩基配列であることを意味する。
【0087】
第二工程において検出複合体は、支持体に固定化される。検出複合体を支持体に固定化する場合に、予め得られている被検オリゴヌクレオチドの5’末端又は3’末端をビオチン化し、上記と同様の方法を実施することにより、直接、支持体へ結合させてもよい。
【0088】
例えば、ストレプトアビジン標識された抗体に、ビオチン標識された被検オリゴヌクレオチドを固体化してもよい。このような場合には、複合検出オリゴヌクレオチドの識別機能により被検オリゴヌクレオチドを定量又は検出することは、ストレプトアビジン標識された抗体を定量又は検出することになる。即ち、被検オリゴヌクレオチドを人工的に合成したオリゴヌクレオチドとする場合は、被検オリゴヌクレオチドを固定化する対象(即ち支持体)の定量又は検出に利用することができる。
【0089】
本発明における「被検オリゴヌクレオチド」を固定化する支持体としては、DNAやRNAの検出のみならず、抗体等のタンパク質であってもよい。例えば、「複合検出オリゴヌクレオチド」がメチル化オリゴヌクレオチドを含む場合、「複合検出オリゴヌクレオチド」には、複数のメチル化DNA抗体が結合し得るためメチル化DNA抗体の結合数に相関した検出感度で支持体を検出することが可能となる。通常抗体等の検出には、抗体一分子に対して、標識分子はひとつであるため(HRP、FITC等)、本発明により高感度化が期待される。また、メチル化オリゴヌクレオチドが、5−メチルシトシンを含む場合、複合検出オリゴヌクレオチドはオスミウム錯体により識別可能となり、「複合検出オリゴヌクレオチド」に含まれる5−メチルシトシンの数と相関した検出感度の高感度化を期待できる。
【0090】
具体的に、第3オリゴヌクレオチドまでを用いた複合検出オリゴヌクレオチドと被検オリゴヌクレオチドからなる検出複合体をビオチン化特定オリゴヌクレオチドにより、支持体へ固定化する場合、被検オリゴヌクレオチドを含むゲノムDNA水溶液(0.1pmol/10μl、ゲノムDNAの場合、予め適切な制限酵素で処理し、DNAを断片化しておくことが望ましい。)に、被検オリゴヌクレオチドと相補性によって結合する第1オリゴヌクレオチド水溶液(0.02μM)、第1オリゴヌクレオチドと相補性によって結合する第2オリゴヌクレオチド水溶液(0.02μM)、第2オリゴヌクレオチドと相補性によって結合する第3オリゴヌクレオチド水溶液(0.02μM、この場合、第3オリゴヌクレオチドが終末オリゴヌクレオチドとなる。)、該被検オリゴヌクレオチドと該複合検出オリゴヌクレオチドとの結合を阻害せず、且つ、該被検オリゴヌクレオチドと相補的に結合するビオチン化特定オリゴヌクレオチド(0.02μM)を夫々5μL加え、更に100mMのMgClを20μL、及び最適な10×緩衝液(330mM Tris-Acetate pH 7.9、660mM KOAc、100mM MgOAc2、5mM Dithothreitol)を10μl加え 、次いで当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100μLとし、95℃で10分間加熱し、70℃で10分間保温の後、50℃で10分間保温してから、37℃で10分間冷却処理して、検出複合体と特定オリゴヌクレオチドが相補的に結合した、特定検出複合体を取得する。このようにして形成された特定検出複合体をアビジンプレートに移し、30分間、室温で静置すればよい。その後、残溶液の除去及び洗浄を行う。洗浄バッファー[例えば、0.05%のTween20含有リン酸バッファー(1mM KH2PO4、3mM Na2HPO 7H2O、154mM NaCl pH7.4)]を、200μL/ウェルの割合で添加し、溶液を取り除く。この洗浄操作を数回繰り返し、特定オリゴヌクレオチドを介してアビジンプレートに結合した検出複合体を残す(選択する)。尚、上記方法における第1オリゴヌクレオチド〜終末オリゴヌクレオチドのうち、少なくとも一つ以上のオリゴヌクレオチドは、メチル化オリゴヌクレオチドでなければならない。勿論、全てのオリゴヌクレオチドが、メチル化オリゴヌクレオチドであってもよい。上記では、第3オリゴヌクレオチドまでの場合を示したが、第Nオリゴヌクレオチドまで、上記、同様の方法で実施すればよい。被検メチル化オリゴヌクレオチド複合体を固定化(選択)する際、最終的に、被検メチル化オリゴヌクレオチド複合体が形成され、固定化(選択)されればよいので、上記方法では、被検オリゴヌクレオチド、ビオチン化特定オリゴヌクレオチド、メチル化オリゴヌクレオチド(複合体)を同時に添加し、当該複合体を取得し、その後、ビオチン化特定オリゴヌクレオチドを用いて固定化(選択)しているが、その順番は、特に限定されない。即ち、先にビオチン化特定オリゴヌクレオチドをアビジンプレートに固定化しておき、その後、被検オリゴヌクレオチド及びメチル化オリゴヌクレオチド(複合体)を添加し、被検メチル化オリゴヌクレオチド複合体を取得し、固定化(選択)してもよい。
尚、洗浄バッファーは、溶液中に浮遊している一本鎖DNA等の除去に適していればよく、前記洗浄バッファーに限らず、DELFIAバッファー(PerkinElmer社製、Tris-HCl pH 7.8 with Tween 80)、TEバッファー等でもよい。
【0091】
「支持体」としては、検出複合体が結合可能な支持体であれば、材質及び形状はなんでもよい。例えば、形状は、使用目的に適っていればよく、チューブ状、テストプレート状、フィルター状、ディスク状、ビーズ状等が挙げられる。また、材質としては、通常の免疫測定法用支持体として用いられるもの、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ナイロン等の合成樹脂、或いは、前記合成樹脂にスルホン基、アミノ基等の反応性官能基を導入したものでもよい。また、ガラス、多糖類又はその誘導体(セルロース、ニトロセルロース等)、シリカゲル、多孔性セラミックス、金属酸化物等でもよい。尚、支持体は、金コロイド(金ナノ粒子)、ラテックスビーズであってもよい。また、支持体として、生体分子としてのタンパク質や抗体、脂質等の生体分子、オリゴヌクレオチドであってもよい。
【0092】
第二工程における「検出複合体を支持体へ固定化させる」場合、該被検オリゴヌクレオチドと該複合検出オリゴヌクレオチドとの結合を阻害せず、且つ、該被検オリゴヌクレオチドと相補的に結合し、且つ、支持体に結合し得る特定オリゴヌクレオチドとを、相補的に結合させることにより、検出複合体を支持体へ固定化してもよい。特定オリゴヌクレオチドを支持体に結合させる場合には、特定オリゴヌクレオチドは、支持体への結合機能と被検オリゴヌクレオチドと相補的に結合できる配列を有していればよい。
【0093】
本発明の第二工程における「検出複合体を形成」する方法としては、具体的には例えば、第3オリゴヌクレオチドまでを用いた複合検出オリゴヌクレオチドと被検オリゴヌクレオチドからなる検出複合体を取得する場合、被検オリゴヌクレオチドを含むゲノムDNA水溶液(0.1pmol/10μl、ゲノムDNAの場合、予め適切な制限酵素で処理し、DNAを断片化しておくことが望ましい。)に、被検オリゴヌクレオチドと相補性によって結合する第1オリゴヌクレオチド水溶液(0.02μM)、第1オリゴヌクレオチドと相補性によって結合する第2オリゴヌクレオチド水溶液(0.02μM)、及び、第2オリゴヌクレオチドと相補性によって結合する第3オリゴヌクレオチド水溶液(0.02μM、この場合、第3オリゴヌクレオチドが終末オリゴヌクレオチドとなる。)を夫々5μL加え、更に100mMのMgClを20μL、及び最適な10×緩衝液(330mM Tris-Acetate pH 7.9、660mM KOAc、100mM MgOAc2、5mM Dithothreitol)を10μl加え 、次いで当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100μLとし、95℃で10分間加熱し、70℃で10分間保温の後、50℃で10分間保温してから、37℃で10分間冷却処理すればよい。尚、上記方法における第1オリゴヌクレオチド〜終末オリゴヌクレオチドのうち、少なくとも一つ以上のオリゴヌクレオチドは、メチル化オリゴヌクレオチドでなければならない。勿論、全てのオリゴヌクレオチドが、メチル化オリゴヌクレオチドであってもよい。上記では、第3オリゴヌクレオチドまでの場合を示したが、第Nオリゴヌクレオチドまで、上記、同様の方法で実施すればよい。
【0094】
本発明における「特定オリゴヌクレオチド」とは、目的とするDNA領域を含むDNAと相補性により結合し得る塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、且つ、支持体に結合する機能を有していればよい。具体的には、目的とするDNA領域を有するDNAと相補的に結合する特定接着配列を有し、且つ、前記支持体に結合する。また、「特定オリゴヌクレオチド」は、複合検出オリゴヌクレオチドと被検オリゴヌクレオチドとの結合を阻害しないことが望ましく、更に、複合検出オリゴヌクレオチドの形成を阻害しないことが望ましい。更に、検体中に含まれる核酸やその他のオリゴヌクレオチドの塩基配列と相補的な結合をしないことが望ましい。
【0095】
「特定接着配列」とは、目的とするDNA領域を有する塩基配列(被検オリゴヌクレオチド)に相補的な塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであって、特定接着配列が対合し得る被検オリゴヌクレオチドの塩基配列の相補的塩基配列は、特定接着配列の塩基配列と75%以上、望ましくは90%以上の相同性を有していることを意味する。特定接着配列の塩基配列の長さは、5bp〜100bp、望ましくは10bp〜50bpであればよい。また、特定接着配列は、検出用接着配列と目的とするDNA領域との結合を阻害しないものであればよい。また、「特定接着配列」は、ゲノム中の反復配列に結合する塩基配列であることが望ましく、同一反復配列中に検出用接着配列が設計されているものであれば更によい。また、同一反復配列中に設計された検出用接着配列と特定接着配列は、互いに、被検オリゴヌクレオチドとの結合を阻害しないものが望ましい。
【0096】
特定オリゴヌクレオチドを支持体に固定化するためには、具体的には、特定オリゴヌクレオチドの5’末端又は3’末端をビオチン化して得られたビオチン化オリゴヌクレオチドをストレプトアビジンで被覆した支持体(例えば、ストレプトアビジンで被覆したPCRチューブ、ストレプトアビジンで被覆した磁気ビーズ、ストレプトアビジンで一部を被覆したクロマトストリップ等)に固定する方法を挙げることができる。
また、特定オリゴヌクレオチドの5’末端又は3’末端を、アミノ基、チオール基、アルデヒド基等の活性官能基を有する分子を共有結合させた後、シランカップリング剤等で表面を活性化させたガラス、多糖類誘導体、シリカゲル、或いは前記合成樹脂等、若しくは耐熱性プラスチック製の支持体に共有結合させる方法もある。尚、共有結合には、例えば、トリグリセライドを5個直列に連結して成るようなスペーサー、クロスリンカー等により共有結合させる。また更に、ガラス若しくはシリコン製の支持体の上で直接、特定オリゴヌクレオチドの末端側から化学合成させる方法も挙げられる。
【0097】
第三工程は、第二工程で形成した検出複合体に含まれる複合検出オリゴヌクレオチドをその識別機能により検出することにより、前記目的とするDNA領域を有するDNAを定量又は検出する工程である。
【0098】
本発明の第三工程における「検出複合体に含まれる複合検出オリゴヌクレオチドをその識別機能により検出」する方法としては、例えば、(1)被検検出オリゴヌクレオチドとしてメチル化オリゴヌクレオチドを利用する場合、検出複合体が結合されたアビジンプレートに、メチル化DNA抗体と結合するユーロピウム(以下、「Eu」と記載することもある)標識された抗体(二次抗体)を結合させ、Enhancement solution(Perkin Elmer社製)を添加後、励起340nm/蛍光612nmで蛍光を測定すればよい。Eu標識の代わりに、FITC標識を用いることもできる。また、FITC標識した抗体(二次抗体)は、更に、HRP標識したFITC抗体を結合させ、HRPの酵素活性により検出することもできる。HRPの酵素活性を利用して検出する場合、基質(R&D社、#DY999)を添加して室温でインキュベーションした後、Stop solution (1M H2SO4: 50 μL/well) を添加して、吸光450 nm (Reference 650 nm) を測定すればよい。
(2)例えば、前記の方法具体例で得られたアビジンプレートに結合した検出複合体に、メチル化DNA抗体を適当量(例えば、4μg/mL溶液を100μL/ウエル)ウエルに添加し、その後、室温で例えば約3時間静置し、メチル化DNA抗体と、複合検出オリゴヌクレオチドに含まれるメチル化DNAとの結合を促す。その後、残溶液の除去及び洗浄を行う。洗浄バッファー(例えば、0.05% Tween20含有リン酸バッファー(1mM KH2PO4、3mM Na2HPO 7H2O、154mM NaCl pH7.4))を例えば300μL/ウエルの割合で添加し、溶液を取り除く。この洗浄操作を数回繰り返し、メチル化DNA抗体が結合した検出複合体をウエル上に残す。尚、洗浄バッファーは、上記の遊離のメチル化DNA抗体、溶液中に浮遊している一本鎖DNA等の除去に適していればよく、前記洗浄バッファーに限らず、DELFIAバッファー(PerkinElmer社製、Tris-HCl pH 7.8 with Tween 80)、TEバッファー等でもよい。
(3)例えば、アビジンプレートの各ウエルにメチルシトシン抗体[Aviva Systems Biology社製、0.5μg/mL 0.1% BSA含有リン酸バッファー(1mM KH2PO4、3mM Na2HPO 7H2O、154mM NaCl pH7.4)溶液]を100μLを添加し、1時間室温で放置した。その後、溶液をピペッティングにて取り除き、各ウエルを洗浄バッファー[0.05% Tween20含有リン酸バッファー(1mM KH2PO4、3mM Na2HPO 7H2O、154mM NaCl pH7.4)]200μLで3回洗浄する。更に、メチル化DNA抗体に対する二次抗体(例えば、Eu-N1標識マウスIgG抗体:PerkinElmer社製)を添加し、室温で約1時間静置し、二次抗体の複合体への結合を促す。その後、Enhancement Solution(PerkinElmer社製)を添加・混合し、例えば約45分間室温で静置する。その後、蛍光検出器で蛍光(励起340nm/蛍光612nm)を測定することにより、メチル化DNA抗体を検出若しくは定量する。
また、或いは、アビジンプレートに結合した検出複合体に、二次抗体として、2μg/mLに調整したFITCで標識したマウスIgG抗体(ヤギ)を、100μL/ウェルの割合で添加し、1時間室温で静置後、残溶液を除去し、洗浄バッファー[例えば、0.05%のTween20含有リン酸バッファー(1mM KH2PO4、3mM Na2HPO 7H2O、154mM NaCl pH7.4)]を、200μL/ウェルの割合で添加し、溶液を取り除く。この洗浄操作を数回繰り返す。更に、FITCに対する三次抗体(例えば、HRP標識FITC抗体:Jackson ImmunoResearch Laboratories社製)を100μL/ウェルの割合でアビジンコートプレートに添加し室温でインキュベーションする。洗浄バッファー[例えば、0.05%のTween20含有リン酸バッファー(1mM KH2PO4、3mM Na2HPO 7H2O、154mM NaCl pH7.4)]を、200μL/ウェルの割合で添加し、溶液を取り除く。この洗浄操作を数回繰り返す。基質(R&D社、#DY999)を100μL/ウェルの割合で添加し、10秒ほど攪拌する。室温でインキュベーションし、Stop solution (1M H2SO4: 50 μL/well) を添加し、10秒ほど攪拌する。30分以内に吸光450 nm (Reference 650 nm) を測定する(遮光が望ましい)。
【0099】
本発明において目的とするRNA領域を有するRNAを定量又は検出する方法としては、まず、生体由来検体から目的とするRNA領域を有するRNAを取得すればよい。
例えば具体的には、生体由来検体からRNAを得るためには、例えば、市販のRNA抽出用キット等を用いてRNAを抽出すればよい。
次に、目的とするRNA領域を有するRNAと相補的に結合し得る被検検出オリゴヌクレオチドとの結合体を支持体に固定化させて、被検検出オリゴヌクレオチドの識別機能により検出すればよい。該目的とするRNA領域を有するRNAと該被検検出オリゴヌクレオチドからなる検出複合体を支持体に固体化するためには、検出複合体を構成する該目的とするRNA領域を有するRNAと相補的に結合し得るオリゴヌクレオチドであり、且つ、支持体への結合する機能を有する特定オリゴヌクレオチドを、該検出複合体を形成する際に添加し、該目的とするRNA領域を有するRNAと該被検検出オリゴヌクレオチドと該特定オリゴヌクレオチドからなる複合体を形成させて、支持体に固定化すればよい。
「該目的とするRNA領域を有するRNAと該被検検出オリゴヌクレオチドと該特定オリゴヌクレオチドからなる複合体を形成」させるには、例えば、生体由来検体から抽出したRNAを、第1オリゴヌクレオチドから第3オリゴヌクレオチドで形成される「直鎖型」の複合検出オリゴヌクレオチドと該目的とするRNA領域を有するRNAが相補的に結合してなる検出複合体とビオチン化特定オリゴヌクレオチドとの複合体を形成させて、支持体へ固定化すればよい。具体的には、該RNAを含む水溶液(0.1pmol/10μl、RNAseを含まない水溶液で調製する。具体的には、120気圧で20分処理した水等を用いて、水溶液を調製する等)に、該RNAと相補性によって結合する第1オリゴヌクレオチド水溶液(0.02μM)、第1オリゴヌクレオチドと相補性によって結合する第2オリゴヌクレオチド水溶液(0.02μM)、第2オリゴヌクレオチドと相補性によって結合する第3オリゴヌクレオチド水溶液(0.02μM、この場合、第3オリゴヌクレオチドが終末オリゴヌクレオチドとなる。)、該RNAと該複合検出オリゴヌクレオチドとの結合を阻害せず、且つ、該RNAと相補的に結合するビオチン化特定オリゴヌクレオチド(0.02μM)を夫々5μL加えた溶液を加えた混合液(50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%硫酸デキストラン、及び20μg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含む)を調製し、当該混合液の液量を100μLとし、95℃で10分間加熱し、70℃で10分間保温の後、50℃で10分間保温してから、37℃で10分間冷却処理して、検出複合体と特定オリゴヌクレオチドが相補的に結合した、特定検出複合体を取得する。尚、当該混合液は、一般的なハイブリダイゼーション溶液であり、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されているような周知のハイブリダイゼーションの方法に用いられる溶液である。
「該目的とするRNA領域を有するRNAと該被検検出オリゴヌクレオチドと該特定オリゴヌクレオチドからなる複合体」を「支持体に固定化」させるには、具体的には、第1オリゴヌクレオチドから第3オリゴヌクレオチドで形成される「直鎖型」の複合検出オリゴヌクレオチドと該目的とするRNA領域を有するRNAが相補的に結合してなる検出複合体にビオチン化特定オリゴヌクレオチドを相補的に結合させてなる複合体をアビジンプレートに移し、30分間、室温で静置すればよい。その後、残溶液の除去及び洗浄を行う。洗浄バッファー[例えば、0.05%のTween20含有リン酸バッファー(1mM KH2PO4、3mM Na2HPO 7H2O、154mM NaCl pH7.4)]を、200μL/ウェルの割合で添加し、溶液を取り除く。この洗浄操作を数回繰り返し、特定オリゴヌクレオチドを介してアビジンプレートに結合した検出複合体を残す(選択する)。尚、上記方法における第1オリゴヌクレオチド〜終末オリゴヌクレオチドのうち、少なくとも一つ以上のオリゴヌクレオチドは、メチル化オリゴヌクレオチドでなければならない。勿論、全てのオリゴヌクレオチドが、メチル化オリゴヌクレオチドであってもよい。上記では、第3オリゴヌクレオチドまでの場合を示したが、第Nオリゴヌクレオチドまで、上記、同様の方法で実施すればよい。被検メチル化オリゴヌクレオチド複合体を固定化(選択)する際、最終的に、被検メチル化オリゴヌクレオチド複合体が形成され、固定化(選択)されればよいので、上記方法では、被検オリゴヌクレオチド、ビオチン化特定オリゴヌクレオチド、メチル化オリゴヌクレオチド(複合体)を同時に添加し、当該複合体を取得し、その後、ビオチン化特定オリゴヌクレオチドを用いて固定化(選択)しているが、その順番は、特に限定されない。即ち、先にビオチン化特定オリゴヌクレオチドをアビジンプレートに固定化しておき、その後、被検オリゴヌクレオチド及びメチル化オリゴヌクレオチド(複合体)を添加し、被検メチル化オリゴヌクレオチド複合体を取得し、固定化(選択)してもよい。
本発明において目的とするRNA領域を有するRNAを定量又は検出する方法として、「前記第1オリゴヌクレオチドから第3オリゴヌクレオチドで形成される「直鎖型」の複合検出オリゴヌクレオチドと該目的とするRNA領域を有するRNAが相補的に結合してなる検出複合体にビオチン化特定オリゴヌクレオチドを相補的に結合させてなる複合体」を定量又は検出するためには、被検検出オリゴヌクレオチドの識別機能を用いればよい。具体的には、アビジンプレートの各ウエルにメチルシトシン抗体[Aviva Systems Biology社製、0.5μg/mL 0.1% BSA含有リン酸バッファー(1mM KH2PO4、3mM Na2HPO 7H2O、154mM NaCl pH7.4)溶液]を100μLを添加し、1時間室温で放置した。その後、溶液をピペッティングにて取り除き、各ウエルを洗浄バッファー[0.05% Tween20含有リン酸バッファー(1mM KH2PO4、3mM Na2HPO 7H2O、154mM NaCl pH7.4)]200μLで3回洗浄する。更に、メチル化DNA抗体に対する二次抗体(例えば、Eu-N1標識マウスIgG抗体:PerkinElmer社製)を添加し、室温で約1時間静置し、二次抗体の複合体への結合を促す。その後、Enhancement Solution(PerkinElmer社製)を添加・混合し、例えば約45分間室温で静置する。その後、蛍光検出器で蛍光(励起340nm/蛍光612nm)を測定することにより、メチル化DNA抗体を検出若しくは定量することにより、生物由来検体中に含まれる、該RNAの目的とする領域と相関した測定値を得ることが可能である。
【0100】
本発明は、下記のような場面において利用すればよい。
各種疾患において、各種疾患の度合いに相関性を示すRNAそのもの、そのRNAを鋳型として作製されたDNAや各種疾患の度合いに相関性を示すDNA等を定量又は検出することにより、各種疾患の度合いを推定することが可能となる。例えば、癌等においては、血液中の遊離DNAの定量により定期健康診断におけるスクリーニング検査として利用が可能である。また、感染症等においては、疾患原因となる細菌、ウイルスのDNA、RNA、そのRNAを鋳型として逆転写酵素により作製されたDNAを検出或いは定量することにより、原因菌や原因ウイルスの特定が可能と考えられる。また、これまで、微量のためPCR等を実施してDNAを増幅した後に検出していたDNAや、逆転写酵素によりDNAを合成して検出していたRNA等について、本発明によりPCR等の煩雑な方法を行わずともDNAの検出が可能になる。し、また、逆転写酵素によりDNAを合成しなくともRNAの定量又は検出を可能にする。
【0101】
血液、尿等の生体試料中に含まれる微量物質の検出若しくは定量する方法として、免疫学的測定方法が汎用されている。当該免疫学的測定方法のうち、クロマトグラフィーを用いた所謂イムノクロマト法は操作が簡単であり、検定に要する時間も短いため、現在、例えば、病院における臨床検査、研究室における検定試験等の多くの場面で広く利用されている。また、近年、標識されたDNA(遺伝子)をクロマトストリップ上で展開し、目的DNA(遺伝子)を捕獲できるプローブを用いてハイブリダイゼーションすることにより、目的DNA(遺伝子)を検出する、所謂ハイブリッドクロマト法が利用されるようになってきた。この方法も操作が簡便であり、検定に要する時間も短いため、現在、病院における臨床検査、研究室における検定試験等の場面で広く利用され始められている。本発明測定方法は、上記のイムノクロマト法とハイブリッドクロマト法とを混合した方法を概念的に可能としている。本発明測定方法では、複合体形成及び複合体取得に関して、その順序は特に限定されないため、種々の方法が可能である。具体的には例えば、以下のように実施すればよい。
例えば、第二工程終了直後の試料に、ビオチン化特定オリゴヌクレオチドと識別機能を有する検出オリゴヌクレオチドを添加し、目的とするDNA領域を含むメチル化された一本鎖DNAと識別機能を有する検出オリゴヌクレオチドとビオチン化特定オリゴンクレオチドとを結合させて、目的とするDNA領域を含む一本鎖DNAと、識別機能を有する検出オリゴヌクレオチドと、ビオチン化特定オリゴヌクレオチドとが結合した検出複合体を形成させる。得られた試料を、クロマトストリップの導入部に滴下(導入)すると、前記複合体が、展開部を毛細管現象により移動し、予めストレプトアビジンで被覆しておいた部分に捕獲される。その後、得られた複合体に含まれる検出オリゴヌクレオチドを、その識別機能に基づき検出若しくは定量することにより、目的とするDNA領域有するDNAを検出若しくは定量できる。

目的とするDNA領域に複数の検出部位(夫々異なる目的とするDNA領域と相補的に結合し得る検出オリゴヌクレオチドを用いる)を存在させ、各目的とするDNA領域を順次検出若しくは定量することも可能であり、また、複数の目的とするDNA領域と複合体を形成できるように、ゲノム中の反復配列や重複遺伝子或いは複数の異なる遺伝子を同時に検出するような、複数の目的とするDNA領域と相補的に結合し得る検出オリゴヌクレオチドを用いても、検出感度を飛躍的に上げることができる。更に、1つの目的領域の中でも、数多くの検出オリゴヌクレオチドを設計し、それらを支持体側又は検出側で用いても、検出感度を飛躍的に上げることができる。
【0102】
検出オリゴヌクレオチド、ビオチン化特定オリゴヌクレオチド、及び、目的とするDNA領域或いは目的とするRNA領域との複合体を形成し支持体へ結合させる過程を実施する方法としては、前記の方法に限定されるものではなく、免疫抗体法を用いる方法であれば何でもよい。例えば、ELISA法では、クロマトストリップ法と同様の原理を用いるため、複合体を形成し支持体へ結合させる過程を記載の順番で実施することは可能である。
【0103】
このような本発明における、メチル化オリゴヌクレオチド等は、検出用キットの試薬として有用である。また、本発明の権利範囲は、該方法の実質的な原理を利用してなる前記のような検出用キットのような形態での使用も含むものである。
【0104】
このような本発明における、メチル化オリゴヌクレオチド等は、検出用キットの試薬として有用である。また、本発明の権利範囲は、当該方法の実質的な原理を利用してなる前記のような検出用キットのような形態での使用ももちろん含むものである。
【0105】
データベース上で公開されている塩基配列から、微生物特有の塩基配列を探索することができる。例えば、PubMed等の公開データベース上にある塩基配列であれば、通常の手続きにより取得することが可能であり、取得した塩基配列は、通常の手続きによるBlast検索をかけることにより、特有の塩基配列であるか否かを検討することができる。尚、特有の塩基配列とは、検出対象の塩基配列が、検出対象微生物以外の生物由来の塩基配列と相同性を示す塩基配列を有さないことを意味する。
特に、検体がヒト生検サンプルである場合、ヒト遺伝子と相補的な結合をしない特定オリゴヌクレオチドを設計することは重要である。また、同様に、検体が食品である場合、食品に含まれる検出対象以外の生物由来の塩基配列と相補的な結合をしない接着用塩基配列、特定塩基配列を設計することは重要である。
【0106】
尚、ある領域中の反復配列を調べたい場合、PubMed等の一般的な配列検索のデータベースで検索することは難しく、通常は、Repbase(http://www.girinst.org/repbase/)、RepeatMasker(http://www.repeatmasker.org/)等のデータベースを用いればよい。本発明の特定接着配列及び検出用接着配列を設定できれば、検出感度を上げることができる。更に、これらの反復配列を測定することは、例えば、血液中の遊離DNA量のサロゲートマーカーとして扱うことが可能であり、生物種特異的な反復配列に注目する場合は、生物種の特定等に利用することができる。
【0107】
本発明方法における「複合検出オリゴヌクレオチドを用いた検体の標識方法」とは、複数のオリゴヌクレオチドが相補的に結合した複合検出オリゴヌクレオチドを結合させることで被検オリゴヌクレオチド標識する方法を意味する。例えば、複合検出オリゴヌクレオチドの識別機能としてメチル化DNAを検出する方法を利用する場合、理論上、複合検出オリゴヌクレオチド上にメチル化DNAを上限なく設計することができるため、複合検出オリゴヌクレオチド上に設計したメチル化DNAの数に相関した検出感度の増加を期待するできる。即ち、本発明方法は、このように複合検出オリゴヌクレオチドを用いることにより、検出感度を増加させる方法を含むことを意味する。
【0108】
また、検出オリゴヌクレオチドは1つのメチル化オリゴヌクレオチドからなっていてもよく、この場合、検出オリゴヌクレオチド上に設計されたメチル化DNAの数に相関した検出感度の向上を期待することができる。即ち、本発明方法は、メチル化オリゴヌクレオチドを検出オリゴヌクレオチドとして用いることにより、前記複合検出オリゴヌクレオチドによる検出感度の向上と同様に、検出オリゴヌクレオチド上に設計されたメチル化DNAの数に相関した検出感度を期待する方法であることも意味する。
【0109】
本発明方法において「複合検出オリゴヌクレオチドと該複合検出オリゴヌクレオチドを標識し得る試薬とを用いた検体の標識方法」とは、複合検出オリゴヌクレオチドによる標識方法と複合検出オリゴヌクレオチドの識別機能を組み合わせたいかなる方法も含まれる。例えば、複合検出オリゴヌクレオチドの識別機能がメチル化DNAを利用する場合において、複合検出オリゴヌクレオチドをメチル化DNA抗体で検出する場合、複合検出オリゴヌクレオチドとメチル化DNA抗体を用いた標識方法を意味する。また、例えば、複合検出オリゴヌクレオチドを、蛍光標識したオリゴヌクレオチドを相補的に結合させて標識する場合、複合検出オリゴヌクレオチドと蛍光標識されたオリゴヌクレオチドを用いた標識方法を意味する。
【実施例】
【0110】
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0111】
実施例1
【0112】
被検オリゴヌクレオチドとして配列番号1で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成し、以下のTEバッファー溶液を調製した。
溶液A: 0 pmol/10 μL TEバッファー溶液(ネガティブコントロール液)
溶液B: 0.001 pmoL/10 μL TEバッファー溶液
溶液C: 0.01 pmoL/10 μL TEバッファー溶液
【0113】
<被検オリゴヌクレオチド>
5’- AGTGACACCATCGAGAATGTCAGATCCGGATCAGAGCGCCATCTAGATGGACATGTCACTGTCTGACTACAACATCCAGA -3’ (配列番号1)
【0114】
被検オリゴヌクレオチドを取得するために用いる特定オリゴヌクレオチドとして配列番号2で示される塩基配列からなる5’末端ビオチン化オリゴヌクレオチドを合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。
【0115】
<5’末端ビオチン化オリゴヌクレオチド>
5’- Biotin- TCTGGATGTTGTAGTCAGACAG -3’ (配列番号2)
【0116】
被検オリゴヌクレオチドを検出するために、一般的なDNA検出に用いる蛍光修飾オリゴヌクレオチド(コントロール1処理群用)として、フルオレセイン抗体が1箇所結合可能な配列番号3で示される塩基配列からなる5’末端FITC化オリゴヌクレオチドを合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。
【0117】
<5’末端FITC化オリゴヌクレオチド>
5’-FITC-TGACATTCTCGATGGTGTCACT-3’ (配列番号3)
【0118】
また、被検オリゴヌクレオチドを検出するために、一般的なDNA検出に用いる蛍光修飾オリゴヌクレオチド(コントロール2処理群用)として、フルオレセイン抗体が1箇所結合可能な配列番号4で示される塩基配列からなる3’末端FLC化オリゴヌクレオチドを合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。
【0119】
<3’末端FLC化オリゴヌクレオチド>
5’- TGACATTCTCGATGGTGTCACTCACACACACACACACACACACACAGACAACGCCTCGTTCTCGG-FLC -3’ (配列番号4)
【0120】
被検オリゴヌクレオチドを検出するための、被検オリゴヌクレオチドと相補性によって結合するメチル化オリゴヌクレオチド(第1オリゴヌクレオチド、X処理群用)として、メチルシトシン抗体が1箇所結合可能な配列番号5で示される塩基配列からなるメチル化オリゴヌクレオチドM1を合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。
【0121】
<メチル化オリゴヌクレオチドM1> Nはメチル化シトシンを示す。
5’- TGACATTCTCGATGGTGTCACTCACACACACACACACACACACANAGACAACGCCTCGTTCTCGG -3’ (配列番号5)
【0122】
また、被検オリゴヌクレオチドを検出するための、被検オリゴヌクレオチドと相補性によって結合するメチル化オリゴヌクレオチド(第1オリゴヌクレオチド、Y処理群用)として、メチルシトシン抗体が12箇所結合可能な配列番号6で示される塩基配列からなるメチル化オリゴヌクレオチドM12Aを合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。
【0123】
<メチル化オリゴヌクレオチドM12A> Nはメチル化シトシンを示す。
5’- TGACATTCTCGATGGTGTCACTNANANANANANANANANANANANAGACAACGCCTCGTTCTCGG -3’ (配列番号6)
【0124】
上記で得た被検オリゴヌクレオチド、特定オリゴヌクレオチド及びメチル化(又は蛍光修飾)オリゴヌクレオチド溶液について、以下の4通りの処理(コントロール1処理群、コントロール2処理群、X処理群、Y処理群)を施した。
【0125】
<コントロール1処理群>
PCRチューブに、前記で調製した被検オリゴヌクレオチド溶液10 μLと、前記の特定オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記の5’末端FITC化オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、緩衝液(330 mM Tris-Acetate pH 7.9、660 mM KOAc、100 mM MgOAc2、5 mM Dithiothreitol)を10 μLと、100 mM MgCl2溶液20 μLを添加し、更に当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100 μLとし、混合した。その後、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、また同時に被検オリゴヌクレオチドと5’末端FITC化オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させる(即ち、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドと5’末端FITC化オリゴヌクレオチドの複合体を形成させる)ために、本PCRチューブを95 ℃で10分間加熱し、70 ℃まで速やかに冷却し、その温度で10分間保温した。次いで、50 ℃まで冷却し10分間保温し、更に37 ℃で10分間保温した後、室温に戻した。
【0126】
<コントロール2処理群>
PCRチューブに、前記で調製した被検オリゴヌクレオチド溶液10 μLと、前記の特定オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記の3’末端FLC化オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、緩衝液(330 mM Tris-Acetate pH 7.9、660 mM KOAc、100 mM MgOAc2、5 mM Dithiothreitol)を10 μLと、100 mM MgCl2溶液20 μLを添加し、更に当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100 μLとし、混合した。その後、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、また同時に被検オリゴヌクレオチドと3’末端FLC化オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させる(即ち、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドと3’末端FLC化オリゴヌクレオチドの複合体を形成させる)ために、本PCRチューブを95 ℃で10分間加熱し、70 ℃まで速やかに冷却し、その温度で10分間保温した。次いで、50 ℃まで冷却し10分間保温し、更に37 ℃で10分間保温した後、室温に戻した。
【0127】
<X処理群>
PCRチューブに、前記で調製した被検オリゴヌクレオチド溶液10 μLと、前記の特定オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記のメチル化オリゴヌクレオチドM1溶液5 μLと、緩衝液(330 mM Tris-Acetate pH 7.9、660 mM KOAc、100 mM MgOAc2、5 mM Dithiothreitol)を10 μLと、100 mM MgCl2溶液20 μLを添加し、更に当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100 μLとし、混合した。その後、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、また同時に被検オリゴヌクレオチドとメチル化オリゴヌクレオチドM1との二本鎖を形成させる(即ち、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとメチル化オリゴヌクレオチドM1の複合体を形成させる)ために、本PCRチューブを95 ℃で10分間加熱し、70 ℃まで速やかに冷却し、その温度で10分間保温した。次いで、50 ℃まで冷却し10分間保温し、更に37 ℃で10分間保温した後、室温に戻した。
【0128】
<Y処理群>
PCRチューブに、前記で調製した被検オリゴヌクレオチド溶液10 μLと、前記の特定オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記のメチル化オリゴヌクレオチドM12A溶液5 μLと、緩衝液(330 mM Tris-Acetate pH 7.9、660 mM KOAc、100 mM MgOAc2、5 mM Dithiothreitol)を10 μLと、100 mM MgCl2溶液20 μLを添加し、更に当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100 μLとし、混合した。その後、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、また同時に被検オリゴヌクレオチドとメチル化オリゴヌクレオチドM12Aとの二本鎖を形成させる(即ち、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとメチル化オリゴヌクレオチドM12Aの複合体を形成させる)ために、本PCRチューブを95 ℃で10分間加熱し、70 ℃まで速やかに冷却し、その温度で10分間保温した。次いで、50 ℃まで冷却し10分間保温し、更に37 ℃で10分間保温した後、室温に戻した。
【0129】
得られた混合物全てをストレプトアビジン被覆済み8ウェルストリップに移し、約30分間、室温で放置し、8ウェルストリップに被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとメチル化(又は蛍光修飾)オリゴヌクレオチドの複合体をビオチン-ストレプトアビジン結合を介して固定化した。その後、溶液をデカンテーションにて取り除き、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0130】
以降の操作は、コントロール1処理群及びコントロール2処理群、と、X処理群及びY処理群で、以下の異なる処理を実施した。
【0131】
コントロール1処理群及びコントロール2処理群(5’末端FITC化オリゴヌクレオチド及び3’末端FLC化オリゴヌクレオチドを用いた場合)については、以下の処理を行った。
【0132】
各ウェルに抗体溶液[Peroxidase-conjugated IgG Fraction Monoclonal Mouse Anti-Fluorescein: Jackson ImmunoResearch Laboratories社製、0.1 μg/mL 0.1%BSA含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)溶液]を100 μLの割合で添加し、1時間室温で放置した。その後、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0133】
基質(R&D社製、#DY999)を、各ウェルに100 μLの割合で添加・混合し、反応を開始した。
【0134】
約5分間室温で放置し、ストップ溶液 (1N H2SO4水溶液)を各ウェルに50 μLの割合で添加し、反応を停止した。反応停止後30分以内に450 nmの吸光度を測定した。
【0135】
X処理群及びY処理群(メチル化オリゴヌクレオチドM1及びメチル化オリゴヌクレオチドM12Aを用いた場合)については、以下の処理を行った。
【0136】
各ウェルに1次抗体溶液[メチルシトシン抗体: AVIVA社製、1 μg/mL 0.1%BSA含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)溶液]を100 μLの割合で添加し、1時間室温で放置した。その後、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0137】
その後、2次抗体溶液[マウスIgG抗体FITC(ヤギ由来): MBL社製、2 μg/mL 0.1%BSA含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)溶液]を各ウェルに100 μLの割合で添加後、1時間室温で放置した。放置後、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0138】
各ウェルに3次抗体溶液[Peroxidase-conjugated IgG Fraction Monoclonal Mouse Anti-Fluorescein: Jackson ImmunoResearch Laboratories社製、0.1 μg/mL 0.1%BSA含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)溶液]を100 μLの割合で添加し、1時間室温で放置した。その後、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0139】
基質(R&D社製、#DY999)を、各ウェルに100 μLの割合で添加・混合し、反応を開始した。
【0140】
約5分間室温で放置し、ストップ溶液 (1N H2SO4水溶液)を各ウェルに50 μLの割合で添加し、反応を停止した。反応停止後30分以内に450 nmの吸光度を測定した。
【0141】
データの解析については、以下の方法を用いた。ネガティブコントロール液の値がすべての群で一定の値となるように、すべての測定値を各群のネガティブコントロール液の測定値で除して、全群でのネガティブコントロール液の最小値を乗ずる。次に各値から全群でのネガティブコントロール液の最小値を減じてこれを補正値として用いる。
[補正値] = [測定値] x [最小値] / [各群ネガティブコントロール液の値] [最小値]
【0142】
その結果を図1に示した。本実験において、コントロール1処理群、コントロール2処理群、及び、X群における検出感度は、ほぼ同等であった。従って、メチルシトシン抗体が結合可能な箇所が1箇所(メチル化シトシンが1個)であれば、これまでの検出法における検出感度とあまり差異はないことがわかった。メチルシトシン抗体が結合可能な箇所を多く有する(12箇所)メチル化オリゴヌクレオチドを用いたY処理群では、コントロール1処理群、コントロール2処理群、及び、X群に比べ、検出感度が高いことが明らかとなった。即ち、メチルシトシン抗体が結合可能な箇所を多く有する(メチル化シトシンが多く存在する)オリゴヌクレオチドを用いると検出感度が向上することが示された。
【0143】
実施例2
被検オリゴヌクレオチドとして配列番号1で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成し、以下のTEバッファー溶液を調製した。
溶液A: 0 pmol/10 μL TEバッファー溶液(ネガティブコントロール液)
溶液B: 0.0001 pmoL/10 μL TEバッファー溶液
溶液C: 0.001 pmoL/10 μL TEバッファー溶液
溶液D: 0.01 pmoL/10 μL TEバッファー溶液
【0144】
<被検オリゴヌクレオチド>
5’-AGTGACACCATCGAGAATGTCAGATCCGGATCAGAGCGCCATCTAGATGGACATGTCACTGTCTGACTACAACATCCAGA -3’ (配列番号1)
【0145】
被検オリゴヌクレオチドを取得するために用いる特定オリゴヌクレオチドとして配列番号2で示される塩基配列からなる5’末端ビオチン化オリゴヌクレオチドを合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。
【0146】
<5’末端ビオチン化オリゴヌクレオチド>
5’- Biotin- TCTGGATGTTGTAGTCAGACAG -3’ (配列番号2)
【0147】
被検オリゴヌクレオチドを検出するための、被検オリゴヌクレオチドと相補性によって結合するメチル化オリゴヌクレオチド(第1オリゴヌクレオチド、X処理群用)として配列番号5で示される塩基配列からなるメチルシトシン抗体が1箇所結合可能なメチル化オリゴヌクレオチドM1を合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。
【0148】
<メチル化オリゴヌクレオチドM1> Nはメチル化シトシンを示す。
5’- TGACATTCTCGATGGTGTCACTCACACACACACACACACACACANAGACAACGCCTCGTTCTCGG -3’ (配列番号5)
【0149】
また、被検オリゴヌクレオチドを検出するための、被検オリゴヌクレオチドと相補性によって結合するメチル化オリゴヌクレオチド(第1オリゴヌクレオチド、Y処理群用)として配列番号6で示される塩基配列からなるメチルシトシン抗体が12箇所結合可能なメチル化オリゴヌクレオチドM12Aを合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。
【0150】
<メチル化オリゴヌクレオチドM12A> Nはメチル化シトシンを示す。
5’- TGACATTCTCGATGGTGTCACTNANANANANANANANANANANANAGACAACGCCTCGTTCTCGG -3’ (配列番号6)
【0151】
得られた被検オリゴヌクレオチド、特定オリゴヌクレオチド及びメチル化オリゴヌクレオチド溶液について、以下の2通りの処理(X処理群、Y処理群)を施した。
【0152】
<X処理群>
PCRチューブに、前記で調製した被検オリゴヌクレオチド溶液10 μLと、前記の特定オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記のメチル化オリゴヌクレオチドM1溶液5 μLと、緩衝液(330 mM Tris-Acetate pH 7.9、660 mM KOAc、100 mM MgOAc2、5 mM Dithiothreitol)を10 μLと、100 mM MgCl2溶液20 μLを添加し、更に当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100 μLとし、混合した。その後、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、また同時に被検オリゴヌクレオチドとメチル化オリゴヌクレオチドM1との二本鎖を形成させる(即ち、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとメチル化オリゴヌクレオチドM1の複合体を形成させる)ために、本PCRチューブを95 ℃で10分間加熱し、70 ℃まで速やかに冷却し、その温度で10分間保温した。次いで、50 ℃まで冷却し10分間保温し、更に37 ℃で10分間保温した後、室温に戻した。
【0153】
<Y処理群>
PCRチューブに、前記で調製した被検オリゴヌクレオチド溶液10 μLと、前記の特定オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記のメチル化オリゴヌクレオチドM12A溶液5 μLと、緩衝液(330 mM Tris-Acetate pH 7.9、660 mM KOAc、100 mM MgOAc2、5 mM Dithiothreitol)を10 μLと、100 mM MgCl2溶液20 μLを添加し、更に当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100 μLとし、混合した。その後、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、また同時に被検オリゴヌクレオチドとメチル化オリゴヌクレオチドM12Aとの二本鎖を形成させる(即ち、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとメチル化オリゴヌクレオチドM12Aの複合体を形成させる)ために、本PCRチューブを95 ℃で10分間加熱し、70 ℃まで速やかに冷却し、その温度で10分間保温した。次いで、50 ℃まで冷却し10分間保温し、更に37 ℃で10分間保温した後、室温に戻した。
【0154】
得られた混合物全てをストレプトアビジン被覆済み8ウェルストリップに移し、約30分間、室温で放置し、8ウェルストリップに被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとメチル化オリゴヌクレオチドの複合体をビオチン-ストレプトアビジン結合を介して固定化した。その後、溶液をデカンテーションにて取り除き、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0155】
各ウェルに1次抗体[メチルシトシン抗体: AVIVA社製、1 μg/mL 0.1%BSA含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)溶液]を100 μLの割合で添加し、1時間室温で放置した。その後、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0156】
その後、2次抗体[マウスIgG抗体Eu-N1:0.25 μg/mL 0.1%BSA含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)溶液]を各ウェルに100 μLの割合で添加後、1時間室温で放置した。放置後、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0157】
Enhancement Solutionを各ウェルに200 μLの割合で添加、混合し、5分間、室温でプレートシェーカーを用いて振盪した。その後、励起340 nm/蛍光612 nmで蛍光を測定した。
【0158】
データの解析については、以下の方法を用いた。ネガティブコントロール液の値がすべての群で一定の値となるように、すべての測定値を各群のネガティブコントロール液の測定値で除して、全群でのネガティブコントロール液の最小値を乗ずる。次に各値から全群でのネガティブコントロール液の最小値を減じてこれを補正値として用いる。
[補正値] = [測定値] x [最小値] / [各群ネガティブコントロール液の値] [最小値]
【0159】
その結果を図2に示した。本実験において、メチルシトシン抗体が結合可能な箇所を多く有する(12箇所)メチル化オリゴヌクレオチドを用いたY群では、X群に比べ、検出感度が高いことが明らかとなった。即ち、メチルシトシン抗体が結合可能な箇所を多く有する(メチル化シトシンが多く存在する)オリゴヌクレオチドを用いると検出感度が向上することが示された。
【0160】
実施例3
被検オリゴヌクレオチドとして配列番号1で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成し、以下のTEバッファー溶液を調製した。
溶液A: 0 pmol/10 μL TEバッファー溶液(ネガティブコントロール液)
溶液B: 0.003 pmoL/10 μL TEバッファー溶液
溶液C: 0.01 pmoL/10 μL TEバッファー溶液
溶液D: 0.03 pmoL/10 μL TEバッファー溶液
【0161】
<被検オリゴヌクレオチド>
5’- AGTGACACCATCGAGAATGTCAGATCCGGATCAGAGCGCCATCTAGATGGACATGTCACTGTCTGACTACAACATCCAGA -3’ (配列番号1)
【0162】
被検オリゴヌクレオチドを取得するために用いる特定オリゴヌクレオチドとして配列番号2で示される塩基配列からなる5’末端ビオチン化オリゴヌクレオチドを合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。
【0163】
<5’末端ビオチン化オリゴヌクレオチド>
5’- Biotin- TCTGGATGTTGTAGTCAGACAG -3’ (配列番号2)
【0164】
被検オリゴヌクレオチドを検出するための、被検オリゴヌクレオチドと相補性によって結合するオリゴヌクレオチドとして配列番号7で示される塩基配列からなるメチルシトシン抗体が3箇所結合可能なメチル化オリゴヌクレオチド(第1オリゴヌクレオチド)を合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。この第1オリゴヌクレオチドは、接着塩基配列である第1接着塩基配列を、3’末端に有する。
【0165】
<第1オリゴヌクレオチド> Nはメチル化シトシンを示す。
5’- TGACATTCTCGATGGTGTCACTANACANACANATGCGCACCGTGCGCGAGC -3’ (配列番号7)
【0166】
被検オリゴヌクレオチドを検出するための、第1接着塩基配列と相補的に結合し得る塩基配列からなる相補第1接着塩基配列を有する(第1オリゴヌクレオチドと相補性によって結合する)オリゴヌクレオチドとして配列番号8で示される塩基配列からなるメチル化されていないオリゴヌクレオチド(第2オリゴヌクレオチド)を合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。この第2オリゴヌクレオチドは、接着塩基配列である第2接着塩基配列を、5’末端に有する。
【0167】
<第2オリゴヌクレオチド>
5’- ATAGTCTCGTGGTGCGCCGTACACACACACAGCTCGCGCACGGTGCGCA -3’ (配列番号8)
【0168】
被検オリゴヌクレオチドを検出するための、第2接着塩基配列と相補的に結合し得る塩基配列からなる相補第2接着塩基配列を有する(第2オリゴヌクレオチドと相補性によって結合する)オリゴヌクレオチドとして配列番号9で示される塩基配列からなるメチルシトシン抗体が3箇所結合可能なメチル化オリゴヌクレオチド(第3オリゴヌクレオチド)を合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。
【0169】
<第3オリゴヌクレオチド> Nはメチル化シトシンを示す。
5’- ACGGCGCACCACGAGACTATANACANACANACAGACACAGACTGGCAAGTTGGA -3’ (配列番号9)
【0170】
得られた被検オリゴヌクレオチド、特定オリゴヌクレオチド、第1オリゴヌクレオチド、第2オリゴヌクレオチド、第3オリゴヌクレオチド溶液を用いて、以下の3通りの処理(処理法1、2及び3)を施した。
【0171】
処理法1:PCRチューブに、前記で調製した被検オリゴヌクレオチド溶液10 μLと、前記の特定オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記の第1オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、緩衝液(330 mM Tris-Acetate pH 7.9、660 mM KOAc、100 mM MgOAc2、5 mM Dithiothreitol)を10 μLと、1 mg/mL BSA溶液10 μLと、100 mM MgCl2溶液20 μLを添加し、更に当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100 μLとし、混合した。その後、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、また同時に被検オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させる(即ち、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドの複合体を形成させる)ために、本PCRチューブを95 ℃で10分間加熱し、70 ℃まで速やかに冷却し、その温度で10分間保温した。次いで、50 ℃まで冷却し10分間保温し、更に37 ℃で10分間保温した後、室温に戻した。
【0172】
処理法2:PCRチューブに、前記で調製した被検オリゴヌクレオチド溶液10 μLと、前記の特定オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記の第1オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、第2オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、緩衝液(330 mM Tris-Acetate pH 7.9、660 mM KOAc、100 mM MgOAc2、5 mM Dithiothreitol)を10 μLと、1 mg/mL BSA溶液10 μLと、100 mM MgCl2溶液20 μLを添加し、更に当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100 μLとし、混合した。その後、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、また同時に被検オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、更に同時に第1オリゴヌクレオチドと第2オリゴヌクレオチとの二本鎖を形成させる(即ち、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドと第2オリゴヌクレオチドの複合体を形成させる)ために、本PCRチューブを95 ℃で10分間加熱し、70 ℃まで速やかに冷却し、その温度で10分間保温した。次いで、50 ℃まで冷却し10分間保温し、更に37 ℃で10分間保温した後、室温に戻した。
【0173】
処理法3:PCRチューブに、前記で調製した被検オリゴヌクレオチド溶液10 μLと、前記の特定オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記の第1オリゴヌクレオチド溶液、第2オリゴヌクレオチド溶液、第3オリゴヌクレオチド溶液を夫々5 μLと、緩衝液(330 mM Tris-Acetate pH 7.9、660 mM KOAc、100 mM MgOAc2、5 mM Dithiothreitol)を10 μLと、1 mg/mL BSA溶液10 μLと、100 mM MgCl2溶液20 μLを添加し、更に当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100 μLとし、混合した。その後、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、また同時に被検オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、更に同時に第1オリゴヌクレオチドと第2オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、また更に同時に第2オリゴヌクレオチドと第3オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させる(即ち、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドと第2オリゴヌクレオチドと第3オリゴヌクレオチドの複合体を形成させる)ために、本PCRチューブを95 ℃で10分間加熱し、70 ℃まで速やかに冷却し、その温度で10分間保温した。次いで、50 ℃まで冷却し10分間保温し、更に37 ℃で10分間保温した後、室温に戻した。
【0174】
処理法1、2及び3で得られた混合物すべてをストレプトアビジン被覆済み8ウェルストリップに移し、約30分間、室温で放置し、8ウェルストリップに被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチド、及び、又は、第2オリゴヌクレオチド、及び、又は、第3オリゴヌクレオチドの複合体を固定化した。その後、溶液をデカンテーションにて取り除き、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0175】
各ウェルに1次抗体溶液[メチルシトシン抗体: AVIVA社製、1 μg/mL 0.1%BSA含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154mM NaCl pH7.4)溶液]を100 μLの割合で添加し、1時間室温で放置した。その後、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0176】
その後、2次抗体[マウスIgG抗体Eu-N1:0.25 μg/mL 0.1%BSA含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)溶液]を各ウェルに100 μLの割合で添加後、1時間室温で放置した。放置後、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0177】
Enhancement Solutionを各ウェルに200 μLの割合で添加、混合し、5分間、室温でプレートシェーカーを用いて振盪した。その後、励起340 nm/蛍光612 nmで蛍光を測定した。
【0178】
データの解析については、以下の方法を用いた。ネガティブコントロール液の値がすべての群で一定の値となるように、すべての測定値を各群のネガティブコントロール液の測定値で除して、全群でのネガティブコントロール液の最小値を乗ずる。次に各値から全群でのネガティブコントロール液の最小値を減じてこれを補正値として用いる。
[補正値] = [測定値] x [最小値] / [各群ネガティブコントロール液の値] [最小値]
【0179】
その結果を図3に示した。被検オリゴヌクレオチドを検出するために、第1オリゴヌクレオチドのみを用いた場合(処理法1)、と第1オリゴヌクレオチド及び第2オリゴヌクレオチドを用いた場合(処理法2)では、検出感度に差異は認められなかった。これは、第2オリゴヌクレオチドとしてメチル化されていないオリゴヌクレオチドを使用しているため、即ち、メチルシトシン抗体が結合可能な箇所(メチル化シトシン)は同数のため、検出感度が同等になったものと考えられた。被検オリゴヌクレオチドを検出するために、第1オリゴヌクレオチド、第2オリゴヌクレオチド、及び第3オリゴヌクレオチドを用いた場合(処理法3)では、検出感度が向上することが明らかとなった。これは、被検オリゴヌクレオチドに、第1オリゴヌクレオチド、第2オリゴヌクレオチド及び第3オリゴヌクレオチドが連結したため、メチルシトシン抗体が結合可能な箇所(メチル化シトシン)を多く有することになったためによると考えられた。
【0180】
実施例4
被検オリゴヌクレオチドとして配列番号1で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成し、以下のTEバッファー溶液を調製した。
溶液A: 0 pmoL/10 μL TEバッファー溶液(ネガティブコントロール液)
溶液B: 0.003 pmoL/10 μL TEバッファー溶液
溶液C: 0.01 pmoL/10 μL TEバッファー溶液
溶液D: 0.03 pmol/10 μL TEバッファー溶液
【0181】
<被検オリゴヌクレオチド>
5’- AGTGACACCATCGAGAATGTCAGATCCGGATCAGAGCGCCATCTAGATGGACATGTCACTGTCTGACTACAACATCCAGA -3’ (配列番号1)
【0182】
被検オリゴヌクレオチドを取得するために用いる特定オリゴヌクレオチドとして配列番号2で示される塩基配列からなる5’末端ビオチン化オリゴヌクレオチドを合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。
【0183】
<5’末端ビオチン化オリゴヌクレオチド>
5’- Biotin- TCTGGATGTTGTAGTCAGACAG -3’ (配列番号2)
【0184】
被検オリゴヌクレオチドを検出するための、被検オリゴヌクレオチドと相補性によって結合するメチル化されていないオリゴヌクレオチド(第1オリゴヌクレオチド)として、配列番号10で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(第1オリゴヌクレオチド)を合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。この第1オリゴヌクレオチドは、接着塩基配列である第(1、1)接着塩基配列及び第(1、2)接着塩基配列を有する。
【0185】
<第1オリゴヌクレオチド>
5’- TGACATTCTCGATGGTGTCACTCACACACACACACTCGCTTCGCGGGCAGTCAACACACACACACAGACAACGCCTCGTTCTCGG -3’ (配列番号10)
【0186】
被検オリゴヌクレオチドを検出するための、第(1、1)接着塩基配列と相補的に結合し得る塩基配列からなる相補第(1、1)接着塩基配列を有する(第1オリゴヌクレオチドと相補性によって結合する)オリゴヌクレオチド(第(2、1)オリゴヌクレオチド)として、配列番号11で示される塩基配列からなるメチルシトシン抗体が12箇所結合可能なメチル化オリゴヌクレオチド(第(2、1)オリゴヌクレオチド)を合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。
【0187】
<第(2、1)オリゴヌクレオチド> Nはメチル化シトシンを示す。
5’- AGCCGACGAAGGGCTTATTAGNANANANANANANANANANANANACCGAGAACGAGGCGTTGTCT -3’ (配列番号11)
【0188】
被検オリゴヌクレオチドを検出するための、第(1、2)接着塩基配列と相補的に結合し得る塩基配列からなる相補第(1、2)接着塩基配列を有する(第1オリゴヌクレオチドと相補性によって結合する)オリゴヌクレオチド(第(2、2)オリゴヌクレオチド)として、メチル化オリゴヌクレオチドとして配列番号16で示される塩基配列からなるメチルシトシン抗体が12箇所結合可能なメチル化オリゴヌクレオチド(第(2、2)オリゴヌクレオチド)を合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。
【0189】
<第(2、2)オリゴヌクレオチド> Nはメチル化シトシンを示す。
5’- GTTGGCCACTGCGGAGTCGCGOANANANANANANANANANANANATTGACTGCCCGCGAAGCGAG -3’ (配列番号16)
【0190】
得られた被検オリゴヌクレオチド、特定オリゴヌクレオチド、第1オリゴヌクレオチド、第(2、1)オリゴヌクレオチド、第(2、2)オリゴヌクレオチド溶液を用いて、以下の3通りの処理(処理法1、2及び3)を施した。
【0191】
処理法1:PCRチューブに、前記で調製した被検オリゴヌクレオチド溶液10 μLと、前記の特定オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記の第1オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記の第(2、1)オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、緩衝液(330 mM Tris-Acetate pH 7.9、660 mM KOAc、100 mM MgOAc2、5 mM Dithiothreitol)を10 μLと、1 mg/mL BSA溶液10 μLと、100 mM MgCl2溶液20 μLを添加し、更に当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100 μLとし、混合した。その後、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、また同時に被検オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、更に同時に第1オリゴヌクレオチドと第(2、1)オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させる(即ち、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドと第(2、1)オリゴヌクレオチドの複合体を形成させる)ために、本PCRチューブを95 ℃で10分間加熱し、70 ℃まで速やかに冷却し、その温度で10分間保温した。次いで、50 ℃まで冷却し10分間保温し、更に37 ℃で10分間保温した後、室温に戻した。
【0192】
処理法2:PCRチューブに、前記で調製した被検オリゴヌクレオチド溶液10 μLと、前記の特定オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記の第1オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記の第(2、2)オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、緩衝液(330 mM Tris-Acetate pH 7.9、660 mM KOAc、100 mM MgOAc2、5 mM Dithiothreitol)を10 μLと、1 mg/mL BSA溶液10 μLと、100 mM MgCl2溶液20 μLを添加し、更に当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100 μLとし、混合した。その後、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、また同時に被検オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、更に同時に第1オリゴヌクレオチドと第(2、2)オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させる(即ち、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドと第(2、2)オリゴヌクレオチドの複合体を形成させる)ために、本PCRチューブを95 ℃で10分間加熱し、70 ℃まで速やかに冷却し、その温度で10分間保温した。次いで、50 ℃まで冷却し10分間保温し、更に37 ℃で10分間保温した後、室温に戻した。
【0193】
処理法3:PCRチューブに、前記で調製した被検オリゴヌクレオチド溶液10 μLと、前記の特定オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記の第1オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記の第(2、1)オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記の第(2、2)オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、緩衝液(330 mM Tris-Acetate pH 7.9、660 mM KOAc、100 mM MgOAc2、5 mM Dithiothreitol)を10 μLと、1 mg/mL BSA溶液10 μLと、100 mM MgCl2溶液20 μLを添加し、更に当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100 μLとし、混合した。その後、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、また同時に被検オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、更に同時に第1オリゴヌクレオチドと第(2、1)オリゴヌクレオチド及び第(2、2)オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させる(即ち、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドと第(2、1)オリゴヌクレオチド及び第(2、2)オリゴヌクレオチドの複合体を形成させる)ために、本PCRチューブを95 ℃で10分間加熱し、70 ℃まで速やかに冷却し、その温度で10分間保温した。次いで、50 ℃まで冷却し10分間保温し、更に37 ℃で10分間保温した後、室温に戻した。
【0194】
得られた混合物すべてをストレプトアビジン被覆済み8ウェルストリップに移し、約30分間、室温で放置し、8ウェルストリップに被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドと第(2、1)オリゴヌクレオチド、及び、又は、第(2、2)オリゴヌクレオチドの複合体を固定化した。その後、溶液をデカンテーションにて取り除き、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0195】
各ウェルに1次抗体[メチルシトシン抗体: AVIVA社製、1 μg/mL 0.1%BSA含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154mM NaCl pH7.4)溶液]を100 μLの割合で添加し、1時間室温で放置した。その後、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0196】
その後、2次抗体[マウスIgG抗体Eu-N1:0.25 μg/mL 0.1%BSA含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)溶液]を各ウェルに100 μLの割合で添加後、1時間室温で放置した。放置後、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0197】
Enhancement Solutionを各ウェルに200 μLの割合で添加、混合し、5分間、室温でプレートシェーカーを用いて振盪した。その後、励起340 nm/蛍光612 nmで蛍光を測定した。
【0198】
データの解析については、以下の方法を用いた。ネガティブコントロール液の値がすべての群で一定の値となるように、すべての測定値を各群のネガティブコントロール液の測定値で除して、全群でのネガティブコントロール液の最小値を乗ずる。次に各値から全群でのネガティブコントロール液の最小値を減じてこれを補正値として用いる。
[補正値] = [測定値] x [最小値] / [各群ネガティブコントロール液の値] [最小値]
【0199】
その結果を図4に示した。被検オリゴヌクレオチドを検出するために、第1オリゴヌクレオチド、及び、第(2、1)オリゴヌクレオチドを用いた場合(処理法1)、と第1オリゴヌクレオチド、及び、第(2、2)オリゴヌクレオチドを用いた場合(処理法2)では、検出感度に差異は認められなかった。これは、メチルシトシン抗体が結合可能な箇所(メチル化シトシン)は同数のためと考えられた。被検オリゴヌクレオチドを検出するために、第1オリゴヌクレオチド、第(2、1)オリゴヌクレオチド、及び第(2、2)オリゴヌクレオチドを用いた場合(処理法3)では、検出感度が向上することが明らかとなった。これは、被検オリゴヌクレオチドに、第1オリゴヌクレオチド、第(2、1)オリゴヌクレオチド、第(2、2)オリゴヌクレオチドとの複合体を形成することにより、メチルシトシン抗体が結合可能な箇所(メチル化シトシン)を多く有することによると考えられた。
【0200】
実施例5
被検オリゴヌクレオチドとして配列番号1で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成し、以下のTEバッファー溶液を調製した。
溶液A: 0 pmoL/10 μL TEバッファー溶液(ネガティブコントロール液)
溶液B: 0.003 pmoL/10 μL TEバッファー溶液
溶液C: 0.01 pmoL/10 μL TEバッファー溶液
溶液D: 0.03 pmol/10 μL TEバッファー溶液
【0201】
<被検オリゴヌクレオチド>
5’- AGTGACACCATCGAGAATGTCAGATCCGGATCAGAGCGCCATCTAGATGGACATGTCACTGTCTGACTACAACATCCAGA -3’ (配列番号1)
【0202】
被検オリゴヌクレオチドを取得するために用いる特定オリゴヌクレオチドとして配列番号2で示される塩基配列からなる5’末端ビオチン化オリゴヌクレオチドを合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。
【0203】
<5’末端ビオチン化オリゴヌクレオチド>
5’- Biotin- TCTGGATGTTGTAGTCAGACAG -3’ (配列番号2)
【0204】
被検オリゴヌクレオチドを検出するための、被検オリゴヌクレオチドと相補性によって結合するオリゴヌクレオチド(第1オリゴヌクレオチド)として、配列番号17で示される塩基配列からなるメチルシトシン抗体が3箇所結合可能なメチル化オリゴヌクレオチドを合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。この第1オリゴヌクレオチドは、接着塩基配列である第1接着塩基配列を有する。
【0205】
<第1オリゴヌクレオチド> Nはメチル化シトシンを示す。
5’- TGACATTCTCGATGGTGTCACTCACACACACACACTCGCTTCGCGGGCAGTCAACANACANACANAGACAACGCCTCGTTCTCGG -3’ (配列番号17)
【0206】
被検オリゴヌクレオチドを検出するための、第1接着塩基配列と相補的に結合し得る塩基配列からなる相補第1接着塩基配列を有する(第1オリゴヌクレオチドと相補性によって結合する)オリゴヌクレオチド(第2オリゴヌクレオチド)として、配列番号16で示される塩基配列からなるメチルシトシン抗体が12箇所結合可能なメチル化オリゴヌクレオチドを合成し、0.1 pmoL/5 μLのTEバッファー溶液を調製した。
【0207】
<第2オリゴヌクレオチド> Nはメチル化シトシンを示す。
5’- GTTGGCCACTGCGGAGTCGCGOANANANANANANANANANANANATTGACTGCCCGCGAAGCGAG -3’ (配列番号16)
【0208】
得られた被検オリゴヌクレオチド、特定オリゴヌクレオチド、第1オリゴヌクレオチド、第2オリゴヌクレオチド溶液を用いて、以下の2通りの処理(処理法1及び2)を施した。
【0209】
処理法1:PCRチューブに、前記で調製した被検オリゴヌクレオチド溶液10 μLと、前記の特定オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記の第1オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、緩衝液(330 mM Tris-Acetate pH 7.9、660 mM KOAc、100 mM MgOAc2、5 mM Dithiothreitol)を10 μLと、1 mg/mL BSA溶液10 μLと、100 mM MgCl2溶液20 μLを添加し、更に当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100 μLとし、混合した。その後、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、また同時に被検オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させる(即ち、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドの複合体を形成させる)ために、本PCRチューブを95 ℃で10分間加熱し、70 ℃まで速やかに冷却し、その温度で10分間保温した。次いで、50 ℃まで冷却し10分間保温し、更に37 ℃で10分間保温した後、室温に戻した。
【0210】
処理法2:PCRチューブに、前記で調製した被検オリゴヌクレオチド溶液10 μLと、前記の特定オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記の第1オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、前記の第2オリゴヌクレオチド溶液5 μLと、緩衝液(330 mM Tris-Acetate pH 7.9、660 mM KOAc、100 mM MgOAc2、5 mM Dithiothreitol)を10 μLと、1 mg/mL BSA溶液10 μLと、100 mM MgCl2溶液20 μLを添加し、更に当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を100 μLとし、混合した。その後、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、また同時に被検オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、更に同時に第1オリゴヌクレオチドと第2オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させる(即ち、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチドと第2オリゴヌクレオチドの複合体を形成させる)ために、本PCRチューブを95 ℃で10分間加熱し、70 ℃まで速やかに冷却し、その温度で10分間保温した。次いで、50 ℃まで冷却し10分間保温し、更に37 ℃で10分間保温した後、室温に戻した。
【0211】
得られた混合物すべてをストレプトアビジン被覆済み8ウェルストリップに移し、約30分間、室温で放置し、8ウェルストリップに被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチド及び第1オリゴヌクレオチド、又は、被検オリゴヌクレオチドと特定オリゴヌクレオチドと第1オリゴヌクレオチド及び第2オリゴヌクレオチドの複合体を固定化した。その後、溶液をデカンテーションにて取り除き、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0212】
各ウェルに1次抗体溶液[メチルシトシン抗体: AVIVA社製、1 μg/mL 0.1%BSA含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)溶液]を100 μLの割合で添加し、1時間室温で放置した。その後、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0213】
その後、2次抗体溶液[マウスIgG抗体FITC(ヤギ由来): MBL社製、2 μg/mL 0.1%BSA含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)溶液]を各ウェルに100 μLの割合で添加後、1時間室温で放置した。放置後、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0214】
各ウェルに3次抗体溶液[Peroxidase-conjugated IgG Fraction Monoclonal Mouse Anti-Fluorescein: Jackson ImmunoResearch Laboratories社製、0.1 μg/mL 0.1%BSA含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)溶液]を100 μLの割合で添加し、1時間室温で放置した。その後、各ウェルを洗浄バッファー[0.05%Tween20含有リン酸バッファー(1 mM KH2PO4、3 mM Na2HPO4 7H2O、154 mM NaCl pH7.4)]200 μLで3回洗浄した。
【0215】
基質(R&D社製、#DY999)を、各ウェルに100 μLの割合で添加・混合し、反応を開始した。
【0216】
約5分間室温で放置し、ストップ溶液 (1N H2SO4水溶液)を各ウェルに50 μLの割合で添加し、反応を停止した。反応停止後30分以内に450 nmの吸光度を測定した。
【0217】
データの解析については、以下の方法を用いた。ネガティブコントロール液の値がすべての群で一定の値となるように、すべての測定値を各群のネガティブコントロール液の測定値で除して、全群でのネガティブコントロール液の最小値を乗ずる。次に各値から全群でのネガティブコントロール液の最小値を減じてこれを補正値として用いる。
[補正値] = [測定値] x [最小値] / [各群ネガティブコントロール液の値] [最小値]
【0218】
その結果を図5に示した。被検オリゴヌクレオチドを検出するために、第1オリゴヌクレオチドのみを用いた場合(処理法1)と第1オリゴヌクレオチド及び第2オリゴヌクレオチドを用いた場合(処理法2)では、処理法2において検出感度が向上することが明らかとなった。これは、被検オリゴヌクレオチドに、第1オリゴヌクレオチドと第2オリゴヌクレオチドの複合体を形成することにより、メチルシトシン抗体が結合可能な箇所(メチル化シトシン)を多く有することによると考えられた。
【産業上の利用可能性】
【0219】
本発明により、生物由来検体中に含まれる目的とする領域のDNA量を簡便に高感度で測定する方法等を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1】図1は、実施例1において、コントロール1処理(5’末端FITC化オリゴヌクレオチドを使用)、コントロール2処理(3’末端FLC化オリゴヌクレオチドを使用)、X処理(メチル化オリゴヌクレオチドM1を使用)及びY処理(メチル化オリゴヌクレオチドM12を使用)を施し、被検オリゴヌクレオチドを検出する実験を実施した結果を示した図である。図中、Bは被検オリゴヌクレオチド濃度が0.001 pmol/10 μL TEバッファー溶液について吸光度を測定した値を示している。Cは被検オリゴヌクレオチド濃度が0.01 pmol DNA/10 μL TEバッファー溶液について吸光度を測定した値を示している。
【図2】図2は、実施例2において、X処理(メチル化オリゴヌクレオチドM1を使用)及びY処理(メチル化オリゴヌクレオチドM12を使用)を施し、被検オリゴヌクレオチドを検出する実験を実施した結果を示した図である。図中、Bは被検オリゴヌクレオチド濃度が0.0001 pmol/10 μL TEバッファー溶液について蛍光を測定した値を示している。Cは被検オリゴヌクレオチド濃度が0.001 pmol/10 μL TEバッファー溶液について蛍光を測定した値を示している。Dは被検オリゴヌクレオチド濃度が0.01 pmol/10 μL TEバッファー溶液について蛍光を測定した値を示している。
【図3】図3は、実施例3において、処理法1(第1オリゴヌクレオチドのみを使用)、処理法2(第1オリゴヌクレオチド及び第2オリゴヌクレオチドを使用)及び処理法3(第1オリゴヌクレオチド、第2オリゴヌクレオチド及び第3オリゴヌクレオチドを使用)を施し、被検オリゴヌクレオチドを検出する実験を実施した結果を示した図である。図中、Bは被検オリゴヌクレオチド濃度が0.003 pmol/10 μL TEバッファー溶液について蛍光を測定した値を示している。Cは被検オリゴヌクレオチド濃度が0.01 pmol/10 μL TEバッファー溶液について蛍光を測定した値を示している。Dは被検オリゴヌクレオチド濃度が0.03 pmol/10 μL TEバッファー溶液について蛍光を測定した値を示している。
【図4】図4は、実施例4において、処理法1(第1オリゴヌクレオチド及び第2、1オリゴヌクレオチドを使用)、処理法2(第1オリゴヌクレオチド及び第2、2オリゴヌクレオチドを使用)及び処理法3(第1オリゴヌクレオチド、第2、1オリゴヌクレオチド及び第2、2オリゴヌクレオチドを使用)を施し、被検オリゴヌクレオチドを検出する実験を実施した結果を示した図である。図中、Bは被検オリゴヌクレオチド濃度が0.003 pmol/10 μL TEバッファー溶液について蛍光を測定した値を示している。Cは被検オリゴヌクレオチド濃度が0.01 pmol/10 μL TEバッファー溶液について蛍光を測定した値を示している。Dは被検オリゴヌクレオチド濃度が0.03 pmol/10 μL TEバッファー溶液について蛍光を測定した値を示している。
【図5】図5は、実施例5において、処理法1(第1オリゴヌクレオチドを使用)及び処理法2(第1オリゴヌクレオチド及び第2オリゴヌクレオチドを使用)を施し、被検オリゴヌクレオチドを検出する実験を実施した結果を示した図である。図中、Bは被検オリゴヌクレオチド濃度が0.003 pmol/10 μL TEバッファー溶液について蛍光を測定した値を示している。Cは被検オリゴヌクレオチド濃度が0.01 pmol/10 μL TEバッファー溶液について蛍光を測定した値を示している。Dは被検オリゴヌクレオチド濃度が0.03 pmol/10 μL TEバッファー溶液について蛍光を測定した値を示している。
【0221】
[配列表フリーテキスト]
配列番号1
実験のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号2
実験のために設計された5’末端ビオチン化オリゴヌクレオチド
配列番号3
実験のために設計された5’末端FITC化オリゴヌクレオチド
配列番号4
実験のために設計された3’末端FLC化オリゴヌクレオチド
配列番号5
実験のために設計されたメチル化オリゴヌクレオチド
配列番号6
実験のために設計されたメチル化オリゴヌクレオチド
配列番号7
実験のために設計されたメチル化オリゴヌクレオチド
配列番号8
実験のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号9
実験のために設計されたメチル化オリゴヌクレオチド
配列番号10
実験のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号11
実験のために設計されたメチル化オリゴヌクレオチド
配列番号12
LINE1の部分配列
配列番号13
LINE1の部分配列
配列番号14
LINE1の部分配列
配列番号15
AluYa8の部分配列
配列番号16
実験のために設計されたメチル化オリゴヌクレオチド
配列番号17
実験のために設計されたメチル化オリゴヌクレオチド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体中に含まれる目的とするDNA領域を有するDNAを定量又は検出する方法であって、
(1)目的とするDNA領域を有するDNAである被検オリゴヌクレオチドを含有する検体を調製する第一工程、
(2)第一工程で調製された検体に含有される被検オリゴヌクレオチドと、該被検オリゴヌクレオチドと相補的に結合し、且つ、複数の識別機能を有する検出オリゴヌクレオチドとを混合させて、該被検オリゴヌクレオチドと該検出オリゴヌクレオチドとからなる検出複合体を形成させ、該検出複合体を支持体へ固定化させる第二工程、
(3)第二工程で形成した検出複合体に含まれる検出オリゴヌクレオチドをその識別機能により検出することにより、前記目的とするDNA領域を有するDNAを定量又は検出する第三工程、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
複数の識別機能を有する検出オリゴヌクレオチドが、複数のオリゴヌクレオチドが相補的に結合してなる複合検出オリゴヌクレオチド、又は複数のメチル化部位を有するメチル化オリゴヌクレオチドからなる複合検出オリゴヌクレオチドである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複合検出オリゴヌクレオチドが、メチル化DNAを有するオリゴヌクレオチドからなる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複合検出オリゴヌクレオチドの識別機能が、結合されたメチル化DNA抗体の識別機能である請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
メチル化DNAが5-メチルシトシンである請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
メチル化DNA抗体がメチルシトシン抗体である請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
検体が、下記のいずれかの生物由来検体である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
(a)哺乳動物由来の血液、体液、糞尿、体分泌物、細胞溶解液又は組織溶解液
(b)哺乳動物由来の血液、体液、糞尿、体分泌物、細胞溶解液及び組織溶解液からなる群より選ばれる一から抽出されたDNA
(c)哺乳動物由来の組織、細胞、組織溶解液及び細胞溶解液からなる群より選ばれる一から抽出されたRNAを鋳型として作製されたDNA
(e)細菌、真菌又はウイルスから抽出されたDNA
(f)細菌、真菌又はウイルスから抽出されたRNAを鋳型として作製されたDNA
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法で用いる複合検出オリゴヌクレオチドを用いた検体の標識方法。
【請求項9】
請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法で用いる複合検出オリゴヌクレオチドと該複合検出オリゴヌクレオチドを標識し得る試薬とを用いた検体の標識方法。
【請求項10】
標識対象が、DNA又はタンパク質である請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
第二工程において、検出複合体と支持体とを、被検オリゴヌクレオチドと検出オリゴヌクレオチドとの結合を阻害せず、且つ、該被検オリゴヌクレオチドに相補的に結合し得る特定オリゴヌクレオチドを介して結合させる請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
目的とするDNA領域を有するDNAが、下記のいずれかの目的とするDNA領域を有するDNAである請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
(a)目的とするDNA領域を認識切断部位としない制限酵素で予め消化処理されてなるDNA
(b)予め精製されてなる目的とするDNA領域を有するDNA
(c)血液中の目的とするDNA領域を有する遊離DNA
(d)微生物ゲノム由来の目的とするDNA領域を有するDNA
(e)RNAから逆転写酵素によって生成された目的とするDNA領域を有するDNA
【請求項13】
検体中に含まれる目的とするDNA領域を有するDNAを定量又は検出する方法であって、
(1)目的とするDNA領域を有するDNAである被検オリゴヌクレオチドを含有する検体を調製する第一工程、
(2)第一工程で調製された検体に含有される被検オリゴヌクレオチドと、該被検オリゴヌクレオチドと相補的に結合し、且つ、メチル化オリゴヌクレオチドからなる検出オリゴヌクレオチドとを混合させて、該被検オリゴヌクレオチドと該検出オリゴヌクレオチドとからなる検出複合体を形成させ、該検出複合体を支持体へ固定化させる第二工程、
(3)第二工程で形成した検出複合体に含まれる検出オリゴヌクレオチドをその識別機能により検出することにより、前記目的とするDNA領域を有するDNAを定量又は検出する第三工程、
を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
識別機能が、メチル化DNA抗体、メチルシトシン抗体を用いることを特徴とする請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−48566(P2010−48566A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210467(P2008−210467)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】