説明

E形シールを用いた燃焼キャップ浮動カラー

【課題】ガスタービン燃焼ユニット(10)用の改良型の浮動カラー組立体を提供する。
【解決手段】本浮動カラー組立体は、平坦フランジ(30)を備えた薄板金属カラー(22)と、エポキシ(34)のブロック内に事前圧縮されたE形シール(23)とから成る。カラー(22)は、対応する燃料ノズルバーナ管(16)を覆って嵌合されかつ平坦プレート(24)によってキャップ組立体(10)上に保持される。カラー(22)は、組立て時に該カラーが浮動するように緩められ、それによってキャップ組立体(10)が容易に製作されるようになる。E形シール(23)を事前圧縮するために使用したエポキシ(34)は、作動時に過熱されかつ燃失し、その結果、E形シール(23)が、広がり、かつカラー(22)を回転しないように保ち、それによってカラー摩耗を減少させるのに十分なほど高い着座荷重を該カラー(22)とプレート(24)との間に発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンに関し、より具体的には、ガスタービン燃焼ユニット用の燃焼キャップ浮動カラーに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン燃焼システムは一般的に、幾つかの燃焼室から成り、各燃焼室内部には、幾つかの燃料ノズル組立体が設けられる。燃料ノズルを覆って配置されるのは、キャップ組立体であり、キャップ組立体には、保持プレートによって対応するカウンタボア内部に保持された同数の浮動カラーが設けられる。取付けられると、浮動カラーは、ノズルバーナ管の外表面を覆って嵌合されかつ空気漏洩リミッタとして機能する。大半のキャップ浮動カラーは、燃焼作動時に過酷な摩耗を受けかつ交換されなければならず、その結果として運転費用及び信頼性が大きな問題となる。摩耗カラーの分析によると、作動時におけるカラーの回転がカラー損傷の原因であることを示している。浮動カラーが回転すると、カラーとバッキングプレートとの間に摩擦摩耗が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、浮動カラー摩耗を減少させて、それによって浮動カラーの信頼性を向上させるガスタービン燃焼ユニット用の改良型のキャップ浮動カラー組立体である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本浮動カラー組立体は、対応する燃料ノズルバーナ管を覆って嵌合されかつ平坦プレートによってキャップ組立体上のカウンタボア内に保持される。カラー組立体は、2つの部分、すなわち平坦フランジを備えた薄板金属カラーとエポキシのブロック内に事前圧縮されたE形シールとから成る。カラーは、組立て時に該カラーが浮動するように緩められ、それによってキャップ組立体が容易に製作されるようになる。ガスタービンが運転し始めると、E形シールを事前圧縮しておくるために使用したエポキシは、過熱されかつ燃失し、その結果、E形シールが、広がり、かつカラーを回転しないように保ってそれによってカラー摩耗を減少させるのに十分なほど高い着座荷重を該カラーとプレートとの間に発生させる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】幾つかの燃料ノズル組立体を覆うキャップ組立体の平面図。
【図2】図1に示す燃料ノズル組立体の、それらを覆うキャップがなくかつ端部カバー上に取付けられた状態での上面斜視図。
【図3】その中に燃料ノズル組立体が挿入されまた保持プレートによって対応する浮動カラーが保持される幾つかのカウンタボアを示すキャップ組立体の内部の底面斜視図。
【図4A】燃料組立体の簡略側面部分断面図。
【図4B】図4Aに示す燃料組立体の一部分の部分側面断面図。
【図5A】本発明のカラー組立体の一部として使用するE形シールの側面断面図。
【図5B】図5AのE形シールの平面図。
【図6】キャップ組立体内に取付けられかつ燃料ノズル管に係合した本発明の浮動カラー及びE形シールの部分側面断面図。
【図7】燃料ノズル管に係合しかつ保持プレートによってキャップ組立体の内部に保持された本発明の浮動カラーの概略底面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、ガスタービン用の燃焼キャップ組立体10の平面図を示しており、燃焼キャップ組立体10は、該キャップ組立体10内の5つの対応するカウンタボア20内部に5つの燃料ノズル組立体12を備えている。キャップ組立体10は、燃焼器15内部に取付けられる。
【0007】
図2は、端部カバー17にボルト止めされた状態で示している、図1の5つの燃料ノズル組立体12の上面斜視図である。燃料組立体12の各々は、対応する燃料ノズル管16内に設置されたバーナ組立体14を含む。各燃料ノズル管16は、該燃料ノズル管の外径の変化に対応するショルダ部18を含む。下記に一層詳細に説明するように、燃料ノズル管16のショルダ部18は、本発明の浮動カラー組立体の一部である浮動カラー22に係合する。
【0008】
図3は、図1に示すキャップ組立体10の底面斜視図である。キャップ組立体10は、図1に示す5つのカウンタボア20を含む。カウンタボア20内部には、5つの対応する浮動カラー22が設けられ、これら浮動カラー22は、キャップ組立体10の底面側に取付けられた4つの保持プレート24によって所定の位置に保持される。プレート24によって浮動カラーが保持される方法については、下記に図6に関して一層詳細に説明する。
【0009】
図4Aは、燃料バーナ組立体12の簡略部分側面断面図であり、燃料バーナ組立体12の細部の大分部は、本発明の浮動カラー組立体の説明と関連していない。図4Aは、燃料ノズル管16及び該管内に設置された燃料バーナ14を断面で示しており、また燃料(ノズル)バーナ管16の外面を覆って配置された浮動カラー22もまた断面で示している。
【0010】
図4Bは、図4Aに示す燃料ノズル管16及び浮動カラー22の一部分の拡大断面図であり、燃料バーナ管16の外面を覆って浮動カラー22を配置した時に、浮動カラー22が該燃料バーナ管16に係合する状態をより良好に示している。図4Bに見ることができるように、燃料バーナ管16は、該燃料バーナ管16の外径の変化を構成したショルダ部18を含む。浮動カラー22は、燃料バーナ組立体に対してキャップ組立体10を取付ける場合に管16を覆ってキャップ組立体10内のカウンタボア20が配置された時に、燃料バーナ管16のショルダ部18に係合する。
【0011】
図5A及び図5Bは、バーナ作動時に浮動カラー22を所定の位置に保持するために使用するシールスプリング23のそれぞれ側面断面図及び平面図である。図5Aに見ることができるように、シールスプリング23は、その断面が大文字「E」に類似した形状を有するのが好ましいが、本発明ではその他の形状を有するシールスプリングを使用することができることにも注目されたい。図5Bに見ることができるように、シールスプリング23は略円形であって、燃料バーナ管16の外面を覆って該シールスプリング23を配置することも可能になるような平面図形状を有するのが好ましい。
【0012】
そのE形状の好ましい実施形態では、シールスプリング23は、ヘアピンのような形状をした中央セクション28と、一端部において中央セクション28に連結されて該シールスプリング23の断面「E」形状を完成させる2つの湾曲端部26とを有する。図5Bからも見ることができるように、シールスプリング23の好ましい「E」形状により、該シールスプリング23の圧縮に抗して作用する力を発生させるように圧縮することができるスプリング構成が得られる。ここでもまた、本発明では、同様な逆方向作用力を発生するその他の圧縮可能形状を備えたシールスプリングを使用することができることにも注目されたい。
【0013】
図6は、ガスタービンのキャップ組立体内に最初に取付けられた時における本発明のキャップ浮動カラー設計を示している。図6に示すように、キャップ組立体10は、浮動カラー22の平坦フランジ30が係合するショルダ部32を含む。キャップ10と保持プレート24との間で平坦フランジ30を覆って配置されるのは、シールスプリング23である。図6に見ることができるように、シールスプリング23は、最初はエポキシ34のブロック内に包み込まれる。図6からも見ることができるように、浮動カラー22は、該浮動カラー22が平坦フランジ30から延びるにつれて、該浮動カラー22が燃料バーナ管16の側壁に向かってまた該側壁から離れる方向に内向き及び外向きに湾曲するような該浮動カラー22における曲がりくねった形状を有して、該カラー22の第1の湾曲部36が第1の部位において管16に係合し、また該カラー22の第2の湾曲部38が管ショルダ部18において管16に係合するようになる。
【0014】
図7は、キャップ組立体10上に取付けられかつ燃料ノズル管16を囲む、本発明の浮動カラー22の概略斜視図である。ここでもまた、浮動カラー22が保持プレート24によってキャップ組立体10に対して所定の位置に保持されて、燃料ノズル組立体12の一部である燃料ノズル管16をキャップ組立体10内に挿入した時に浮動カラー22が燃料ノズル管16の外壁に係合するようになることが分かるであろう。
【0015】
ガスタービンの作動時に、最初はシールスプリング23を包み込んでいたエポキシブロック34は、過熱されかつ燃失し、その結果、シールスプリング23が、広がり、かつガスタービンの作動時に燃料ノズル管16の周りで浮動カラー22を回転しないように保つのに十分なほど高い着座荷重を発生させることができる。荷重は、ショルダ部32におけるキャップ組立体10とシールスプリング23の底面側に係合した保持プレート24との間に作用する。
【0016】
従って、本発明では、典型的なキャップ組立体においては、対応する保持プレート24によってキャップ組立体10の内部に保持された5つの浮動カラー22が設けられる。端部カバー17上に取付けられた燃料ノズル14を含む燃料ノズル組立体12を覆ってキャップ組立体10を取付けると、燃料ノズル14は、キャップ組立体10内のカウンタボア20を通して嵌合される。最終的に組立てられると、浮動カラー22は、ノズル管16の外表面上に載置されるか又は着座し、最終的には、最初にシールスプリング23を圧縮しておくために使用したエポキシブロック34が過熱されかつ燃失するとシール荷重を発生する対応するシールスプリング23の伸長によって所定の位置に保持される。シールスプリング23の伸長及び得られたシール荷重により、バーナ作動時に浮動カラー22が回転するのが防止される。これは次に、浮動カラー22の摩耗を減少させて、それによって浮動カラー22の信頼性を向上させる。
【0017】
現時点で最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関して本発明を説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に限定されるものではなく、逆に特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内に含まれる様々な改良及び均等な構成を保護しようとするものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0018】
10 燃焼キャップ組立体
12 燃料ノズル組立体、
14 燃料バーナ組立体
15 燃焼器、燃焼ユニット
16 燃料ノズル管、燃料バーナ管
17 端部カバー
18 ショルダ部
20 カウンタボア
22 浮動カラー
23 シールスプリング
24 保持プレート
26 シールスプリングの湾曲端部
28 シールスプリングの中央セクション
30 平坦フランジ
32 ショルダ部
34 エポキシブロック
36 浮動カラーの第1の湾曲部
38 浮動カラーの湾曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ユニットキャップ(10)用の浮動カラー組立体であって、
前記キャップ(10)に係合するようになったフランジ(30)を備えたカラー(22)と、
前記フランジ(30)と前記キャップ(10)に取付けられたプレートとの間に配置されたシールスプリング(23)と、を含み、
前記シールスプリング(23)が、前記カラーフランジ(30)と前記プレート(24)との間にシール荷重を発生させて前記キャップ(10)に当接させて該フランジ(30)を保持し、それによって燃焼ユニット(15)の作動時に前記カラー(22)が回転するのを防止する、
浮動カラー組立体。
【請求項2】
前記カラー(22)が略円形であり、かつ前記燃焼ユニット(15)に対して前記キャップ(10)を取付けた時に前記管外面内のショルダ部(18)に係合するように燃料ノズルバーナ管(16)の外面を覆って配置される、請求項1記載の浮動カラー組立体。
【請求項3】
前記シールスプリング(23)が略円形であり、かつ前記燃焼ユニット(15)に対して前記キャップ(10)を取付けた時に前記燃料ノズルバーナ管(16)の外面の周りに延びる、請求項2記載の浮動カラー組立体。
【請求項4】
前記カラー(22)が、第1の部位において前記管(16)の外面に係合した第1の湾曲部(36)と、前記管ショルダ部(18)において前記管(16)の外面に係合した第2の湾曲部(38)とを有する、請求項2記載の浮動カラー組立体。
【請求項5】
前記カラー(22)が、前記燃焼ユニット(15)に対する前記キャップ(10)の組立て時に、緩められる、請求項1記載の浮動カラー組立体。
【請求項6】
前記シールスプリング(23)が、前記燃焼ユニット(15)に対する前記キャップ(10)の組立て時に、エポキシ(34)によって圧縮位置に保持される、請求項5記載の浮動カラー組立体。
【請求項7】
前記エポキシ(34)が、燃焼ユニット(15)の作動時に過熱されかつ燃失し、その結果、前記シールスプリング(23)が、圧縮を解放されかつ前記カラーフランジ(30)と前記プレート(24)との間に着座荷重を発生させて、前記カラー(22)を燃焼ユニット(15)の作動時に回転しないように保ち、それによってカラー摩耗を減少させるようにする、請求項6記載の浮動カラー組立体。
【請求項8】
前記シールスプリング(23)が、その断面が大文字「E」に類似した形状を有する、請求項1記載の浮動カラー組立体。
【請求項9】
前記シールスプリング(23)が、ヘアピンのような形状をした中央セクション(28)と、一端部において前記中央セクション(28)に連結されて該シールスプリング(23)の断面「E」形状を完成させる2つの湾曲端部(26)とを有する、請求項8記載の浮動カラー組立体。
【請求項10】
前記キャップ(10)が、前記浮動カラー(22)のフランジ(30)が係合するショルダ部(32)を含む、請求項1記載の浮動カラー組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−236479(P2009−236479A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75415(P2009−75415)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY