説明

ELデバイス

【課題】 EL素子の発光層で発生した光を効率的に出射させることができ、且つ、EL素子から出射した光を有効に利用することができるELデバイスを提供すること。
【解決手段】 本発明のELデバイス1は、板状の金属陰極4と、透明基板12の一方の面12aに設けられた板状の透明陽極6と、金属陰極と透明陽極との間に配置された板状の発光部とを有するEL素子2と、透明基板の他方の面12bを覆う反射材14とを備えていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ELデバイスに係り、詳細には、EL素子で発生した光を有効に利用することができるELデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
画像等を表示するディスプレイの1つとして、EL(Electro Luminescence)を利用したEL素子が知られている。このEL素子は、2枚の板状電極間に薄膜状の発光層を挟んだサンドイッチ構造を備え、電極に電圧をかけて発光層を発光させ、透明材料で形成された一方の電極を通して、光を外部に導き出す構造である。発光層を含まれる物質の種類によって有機ELと無機ELに分類される。
【0003】
図5を参照して、有機EL素子の基本構造の一例を説明する。図5に示すように、有機EL素子50は、MgAg合金等からなる板状の金属陰極52と、インジウム/錫酸化物等からなる板状の透明陽極54を備えている。透明陽極54は、ガラス基板56の一方の面56a上に設けられている。また、金属陰極52と透明陽極54の間には、ジアミン系化合物等からなる正孔輸送層58とキノリノールアルミニウム錯体等の発光体を含む発光層60が積層されている。
【0004】
このような構成を有する有機EL素子では、直流電源62によって金属陰極52と透明陽極54に直流電圧を印加すると、透明陽極54から正孔輸送層58に注入された正孔が発光層60に進入し、金属陰極52から注入された電子が発光層60中を拡散移動する。この結果、発光層60内で正孔と電子が再結合し、電気的に中和され、発光層60の発光体の分子が基底状態から励起状態になる。この励起状態の発光体の分子が基底状態に戻る際に放出されるエネルギーにより、発光層60が発光する。そして、透明電極54を透過しガラス基板56の他方の面56b(発光面)から出射してきた光が画像表示等に利用される。即ち、EL素子は、面発光素子として利用されている。
本発明は、このような公知公用の技術をもとに開発されたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような構成を有するEL素子では、発光層60で発生し、ガラス基板56の他方の面(出射面)56bから出射する光を利用して画像表示等を行っている。しかしながら、ガラス基板56に入射し出射面56bに達した光の多くが、出射面56bとその外側の空気層の境界面で全反射して、ガラス基板56の端面56c、56dから出射してしまい、発光層で発生した光を出射面から有効に取出すことができないという問題があった。
【0006】
さらに、出射面56bから出射した光も、出射面56bに直交する方向に出射する成分が少ないためEL素子の正面輝度が低く、出射した光の有効利用が図れないという問題もあった。
また、従来からEL素子自体を面光源として使用した場合には、耐久性に乏しく、さらに、EL素子以外の他の線光源や面光源においても、厚さが400μm以下の極めて薄型のもので、かつ、耐久性に優れ、可撓性を有するフレキシブルな光源を製造するには、技術的に限界があった。
【0007】
本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、EL素子の発光層で発生した光を効率的に出射させることができ、且つ、EL素子から出射した光を有効に利用することができるELデバイスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、板状の第1の電極と、透明基板の一方の面に設けられた板状の透明な第2の電極と、上記第1および第2の電極の間に配置された板状の発光部とを有するEL素子と、上記透明基板の他方の面を覆う反射材とを備えていることを特徴とするELデバイスが提供される。
【0009】
このように構成された本発明においては、通常は発光面(出射面)として利用される透明基板の他方の面が反射材で覆われているため、発光部から発光した光は、この透明基板の他方の面の反射材で反射して透明基板の端面より出射する。この結果、本発明のELデバイスは、端面発光型の発光素子となり、線光源として利用することができる。
また、透明基板の端面より光を効率よく取り出すことができるため、駆動電力が小さくなり、ELデバイスの長寿命化が図れる。
【0010】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記透明基板の端面の少なくとも一面を覆う反射材を更に備えている。
このような構成によれば、出射面として利用される端面が少なくなるので、出射面となる端面からの単位面積あたり光量が多くなる。
【0011】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記透明基板の端面に光学的に密着されている導光板を含む。
このような構成によれば、端面から出射した光が導光板に入射し、導光版の表面から出射するので、ELデバイス全体では面光源となる。
【0012】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記導光板上には、プリズムシートが配置されている。
このような構成によれば、プリズムシートにより、導光板から出射した光が導光板の出射面と直交する方向に偏向されるので、正面輝度が向上した面光源となる。
【0013】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記プリズムシートは、プリズム部が上記導光板を向くように配置されている。
このような構成によれば、プリズムシートのプリズム部により、導光板から出射した光が導光板の出射面と直交する方向に偏向されるので、正面輝度が向上した面光源となる。
【0014】
本発明の他の好ましい態様によれば、導光板は、漏光モジュレータを備えている。
このような構成によれば、漏光モジュレータにより、ELデバイスを均斉度に優れた面光源として利用することができる。
【0015】
本発明の他の好ましい態様によれば、透明基板は、可撓性を有する有機材料からなる。
本発明の他の好ましい態様によれば、ELデバイスの厚さは、400μm以下である。
本発明の他の好ましい態様によれば、漏光モジュレータは、プリズム列を備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、EL素子の発光層で発生した光を効率的に出射させることができ、且つ、EL素子から出射した光を有効に利用することができるELデバイスが提供される。
また、本発明によれば、きわめて薄型で、耐久性に優れ、可撓性を有するフレキシブルな線光源又は面光源が製造可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態のELデバイスについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のELデバイス1の構造を模式的に示す一部破断した斜視図である。図1に示すように、ELデバイス1は、有機EL素子2を備えた矩形の板状の有機ELデバイスである。有機EL素子2は、MgAg合金等の金属からなる板状の金属陰極4と、インジウム/錫酸化物等の透明体からなる板状の透明陽極6と、これら金属陰極4と透明陽極6との間に積層されたジアミン系化合物等を含む正孔輸送層8およびキノリノールアルミニウム錯体等を含む発光層10とを備えている。
【0018】
透明陽極6は、有機EL素子2を構成する透明基板12の上面12aに光学的に密着するように配置されている。この透明基板12は、ペットフィルム等の可撓性を有する有機材料で形成されていることが好ましい。
ここで、「光学的に密着」とは、光透過性を有する物体どうしがその間に空気層を形成することなく密着している状態をいう。
【0019】
有機EL素子2は、下面2b、前端面2c、左端面2d、後端面2e(または透明基板12の下面12b、前端面12c、左端面12d、後端面12e)が、金属反射膜14で覆われており、右端面2fのみが露出した構造を有している。
したがって、本実施形態のELデバイス1では、発光層10で生じ透明基板12の一方の面12aから透明基板12に入射した光は、透明基板12の右端面(出射面)12fのみから出射するようになっている。
【0020】
また、透明基板12はペットフィルム等で形成されており、有機EL素子2の下面2bから上面2aまでの厚さは、400μm以下、好ましくは300μm以下、最も好ましくは200μm以下となっている。
【0021】
さらに、有機EL素子2には、金属陰極4と透明陽極6に直流電圧を印加することができるように直流電源18が接続されている。
【0022】
直流電源18により金属陰極4と透明陽極6に直流電圧が印加されると、発光層10が発光し、発光層10で発生した光が、透明陽極6を通過して透明基板12の上面12aから透明基板12に入射する。
【0023】
上述したように、本実施形態のELデバイス1では、有機EL素子2の上面2aは金属陰極4であり、有機EL素子2の右端面2f以外の各面2b,2c,2d,2eは金属反射膜14で覆われているため、各面2b,2c,2d,2eから出射しようとする無駄な光が金属反射膜14で反射されて出射面12fのみから出射される。したがって、透明基板12の右端面12fは高輝度な光を線状に出射する線光源の窓として機能するため、ELデバイス1を線光源として有効利用することができる。
【0024】
さらに、ELデバイス1は、最大厚さが400μm以下、好ましくは300μm以下、最も好ましくは200μm以下のきわめて薄型で可撓性のあるフレキシブルな線光源を構成するため、LED光源では実現不可能な構成を可能にすることができる。
【0025】
次に、本発明の第2実施形態のELデバイスを説明する。図2は、本発明の第2実施形態のELデバイス20を示す一部破断した概略正面図である。図2に示されているように、第2実施形態のELデバイス20は、第1実施形態のELデバイス1と導光板22を組み合わせて、全体として面光源を構成している。したがって、図2では、図1と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0026】
図2に示されているように、本発明の第2実施形態によるELデバイス20では、第1の実施形態のELデバイス1の有機EL素子2の右端面(出射面)2fに導光板22の端面(入射面)22aが光学的に密着させられた構成を有している。
【0027】
また、導光板22の上面(出射面)22bは、ブラスト加工などの処理により、微細な凹凸形状を有する粗面(マット)に加工され、端面から入射した光を上面から出射させるように構成されている。
【0028】
さらに、導光板22のマット22bの上方には、導光板22の出射面22bに沿うように、プリズムシート24が配置されている。このプリズムシート24は、一方の面に多数の柱状三角プリズムが並列状態で連続的に形成された透明シートであり、図2に示されているように、柱状三角プリズムが、光の出射方向と反対方向に突出する下向きプレートシートとされている。
【0029】
一方、導光板22の下面22cは、入射面22aに対してほぼ垂直方向(x方向)延びる多数のレンズ列からなるレンズ面(図示せず)に加工されている。レンズ列としては、ほぼx方向に延びたプリズム列、レンチキュラーレンズ列、V字状溝の他、yz方向の断面の形状がほぼ三角形状のプリズム列が挙げられる。
【0030】
また、導光板22の下面22cの下方には、この下面22cに沿うように、反射シート26が配置されている。この反射シート26は、導光板22の下面22cに対向する面が金属蒸着反射層からなるプラスチックシートである。
【0031】
ELデバイス20の最大厚さ(導光板22の厚さに相当)は、400μm以下、好ましくは300μm以下、最も好ましくは200μm以下となっている。
【0032】
上述した本発明の第2実施形態によるELデバイス20においては、線光源である有機EL素子2の出射面2fで出射した光は、導光板22の入射面22aから導光板22の内へ入射する。導光板22の下面22cには、反射シート26が配置されているので、導光板22に入射した光は、導光板22の出射面22bからしか出射できない。
【0033】
出射面22bはマット16に加工されているので、出射面22bの臨界角が大きくなる。その結果、ELデバイス20では、出射面22bを通して導光板22から出射しようとする光がこの出射面22bで全反射を起こしにくくなり、有機EL素子2で発生した光が導光板22の出射面22bから効率良く取り出される。
【0034】
また、ELデバイス20では、導光板22から出射した光は、プリズムシート24によって導光板22の出射面22bと直交する方向(Z方向)に偏向され、ELデバイス20から出射する。この結果、ELデバイス20の正面輝度が向上し、ELデバイス20は、高効率の画像表示装置(ディスプレイ)や面光源(バックライト)として利用することができる。
【0035】
さらに、ELデバイス20では、光を効率よく取り出すと共に正面輝度を高めることができるため、駆動電力を小さくでき、製品寿命が長くなる。
また、ELデバイス20において、線光源としての輝度を向上させるには、印加電圧を高めて有機EL素子2の発光強度を高める代わりに、有機EL素子2の出射面2f及び導光板22の入射面22aの面積を大きく設定すればよい。この結果、有機EL素子2の寿命も長くなり、線光源としての輝度も大きく向上させることができる。
【0036】
さらに、ELデバイス20は、最大厚さが400μm以下、好ましくは300μm以下、最も好ましくは200μm以下と、きわめて薄型で可撓性のあるフレキシブルな面光源であるため、LED等を利用した従来の構成では実現不可能な構成を可能にすることができる。
【0037】
なお、上述した本実施形態のELデバイス20では、有機EL素子2の右端面(出射面)2fと導光板22の入射面22aとが光学的に密着するように、導光板22を有機EL素子2に配置した形態について説明したが、このような形態に限定されず、有機EL素子2の右端面2f以外の端面2c,2d,2eについても金属反射膜14で覆わずに、さらなる導光板の入射面を光学的に密着させてもよい。このように、1つの有機EL素子に複数の導光板を光学的に密着させて配置することにより、1つの線光源である有機EL素子で複数の面を発光させるELデバイスを構成することができる。
【0038】
つぎに、本発明の第3実施形態のELデバイスを説明する。図3は、本発明の第3実施形態のELデバイス30を示す、図2と同様の一部破断した概略正面図である。
図3に示されているように、第3実施形態のELデバイス30は、第1及び第2実施形態のELデバイス1,20と基本的には同一の構成を備えている。したがって、図3では、図1及び図2と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0039】
図3に示すように、本発明の第3実施形態のELデバイス30では、第1の実施形態のELデバイス1における有機EL素子2の右端面(出射面)2fと漏光モジュレータ34を備えた導光板32の端面(入射面)32aとが光学的に密着するように、導光板32が有機EL素子2に配置されている。
【0040】
また、漏光モジュレータ34は、導光板32の上面32bに配置されている複合層36と、この複合層36の上面に配置されている光出射制御機能層38とを備えている。
【0041】
さらに、複合層36では、屈折率がn1の低屈折率領域部36aと、n1よりも大きい屈折率n2を有する高屈折率領域部36bとが交互に配置されている。これら低屈折率領域部36a及び高屈折率領域部36bは、屈折率n3が導光板32の入射面32aと平行な方向(y方向)に帯状に延びている。
【0042】
また、光出射制御機能層38は、その上面(出射面)38aが第2実施形態の導光板22の上面22bと同様に、ブラスト加工などの処理により、微細な凹凸形状を有する粗面(マット)に加工されている層である。
【0043】
さらに、ELデバイス30の最大厚さ(導光板32の下面32cから光出射制御機能層38の上面38aまでの厚さ)は、400μm以下、好ましくは300μm以下、最も好ましくは200μm以下となっている。
【0044】
上述した本発明の第3実施形態によるELデバイス30においては、線光源である有機EL素子2の出射面2fから出射した光は、導光板32の入射面32aから入射し、導光板32の内部を伝搬する。
【0045】
この導光板32の内部における光の最大導波モードは、主として低屈折領域部36aと導光板32との屈折率の差によって定められる。すなわち、光線が導光板32から低屈折率領域部36aへ向かう時、導光板32の屈折率n3と低屈折率領域部36aの屈折率n1との関係により決定される全反射臨界角θ1よりも入射角が大きい入射光は、全反射モードとなって導光板32の内部を伝搬する。
【0046】
また、各屈折率の関係がn3>n2>n1である場合、この導光板32の内部を伝搬する全反射モードの光が高屈折率領域部36bに出会うと、導光板32の屈折率n3と高屈折率領域部36bの屈折率n2との関係により決定される全反射臨界角θ2(θ2>θ1とする)よりも小さく且つ臨界角θ1よりも入射角が大きい光は、高屈折率領域部36bを介して光出射制御機能層38へ漏れる。
【0047】
したがって、複合層36における高屈折率領域部36bの占有密度(複合層36の単位面積あたりの高屈折率領域部36bの占有面積)を複合層36の面内で場所により適宜変化させることにより、光出射制御機能層38へ到達できる光の量を所望に制御することができる。
【0048】
また、光出射制御機能層38の上面(出射面)38aは、マットに加工されているので、出射面38aの臨界角が大きくなる。その結果、ELデバイス30では、光出射制御機能層38の出射面38aで全反射を起こしにくくなり、有機EL素子2で発生した光が光出射制御機能層38の出射面38aから効率良く取り出される。
【0049】
さらに、導光板32の屈折率n3と高屈折率領域部36bの屈折率n2との相対的な屈折率の差を適宜選択することにより、全反射臨界角θ2を所望に設定することができ、光出射制御機能層38からの出射光の分布を制御することもできる。
【0050】
上述した本実施形態のELデバイス30によれば、光出射制御機能層38へ到達する光の量を自由に調整することができ、かつ光出射制御機能層38からの出射光の分布を制御することもできるため、線光源である有機EL素子からの光を効率よく取り出すと共に均斉度に優れて再現性のよい面光源として利用することができる。
【0051】
さらに、ELデバイス30では、光を効率よく取り出すと共に均斉度に優れているため、駆動電力を小さくでき、製品寿命が長くなる。
【0052】
また、ELデバイス30は、最大厚さが400μm以下、好ましくは300μm以下、最も好ましくは200μm以下のきわめて薄型で可撓性のあるフレキシブルな面光源を構成するため、LED光源では実現不可能な構成を可能にすることができる。
【0053】
また、上述した本実施形態のELデバイス30についても、第2実施形態と同様に、有機EL素子2の右端面2f以外の端面2c,2d,2eについても金属反射膜14で覆わずに、さらなる導光板の入射面を光学的に密着させてもよい。これにより、1つの線光源である有機EL素子から複数の面光源を作り出すことができる。
【0054】
つぎに、本発明の第4実施形態のELデバイスを説明する。図4は、本発明の第4実施形態のELデバイス40を示す、図2及び図3と同様の一部破断した概略正面図である。
図4に示されているように、第4実施形態のELデバイス40は、第1〜第3実施形態のELデバイス1,20,30と基本的には同一の構成を備えている。したがって、図4では、図1〜図3と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0055】
図4に示すように、本発明の第4実施形態のELデバイス40では、第1の実施形態のELデバイス1における有機EL素子2の右端面(出射面)2fとプリズム付き漏光モジュレータ44を備えた導光板42の端面(入射面)42aとが光学的に密着するように、導光板42が有機EL素子2に取り付けられている。
【0056】
また、プリズム付き漏光モジュレータ44は、導光板42の下面42cに配置されている複合層36と、この複合層36の下面に配置されている光出射制御機能層48とを備えている。
【0057】
さらに、光出射制御機能層48の下面には、第1及び第2プリズム面48a,48bからなるプリズム列48cが多数形成されている。各プリズム列48cは、導光板42の入射面42aとほぼ平行に延びるように配列されている。
また、第1プリズム面48aは、導光板42の入射面42aから近い側の面を構成し、導光板の下面42cに対して約80°〜100°の傾斜角に設定されている。一方、第2プリズム面48bは、導光板42の入射面42aから遠い側の面を構成し、導光板の下面42cに対して約35°〜55°の傾斜角に設定されている。
【0058】
さらに、ELデバイス40の最大厚さ(光出射制御機能層48の下面から導光板42の上面(出射面)42bまでの厚さ)は、400μm以下、好ましくは300μm以下、最も好ましくは200μm以下となっている。
なお、導光板42の上面(出射面)42bは、上述した第2実施形態の導光板22の上面(出射面)22bと同様に、ブラスト加工などの処理により、微細な凹凸形状を有する粗面(マット)に加工され、端面から入射した光を上面から出射させるように構成されている。
【0059】
本発明の第4実施形態によるELデバイス40によれば、上述した第3実施形態のELデバイス30の漏光モジュレータ34と同様な作用効果に加えて、各プリズム列48cが導光板42の入射面42aとほぼ平行となるように配列されているため、導光板42の入射面42aから入射される光を導光板42の上面(出射面)22bの法線方向に立ち上がらせることができる。
【0060】
また、本実施形態のELデバイス40によれば、プリズム列48cの第1プリズム面48aが導光板の下面42cに対して約80°〜100°の傾斜角に設定され、第2プリズム面48bが導光板42の下面42cに対して約35°〜55°の傾斜角に設定されているため、導光板42の出射面22bから出射される出射光のピークを出射面22bのほぼ法線方向に向けると共に、出射光の角度分布(広がり)を狭くすることができ、高輝度で出射指向性に優れた面光源として利用することができる。
【0061】
さらに、ELデバイス40は、最大厚さが400μm以下、好ましくは300μm以下、最も好ましくは200μm以下のきわめて薄型で可撓性のあるフレキシブルな面光源を構成するため、LED光源では実現不可能な構成を可能にすることができる。
【0062】
本発明の上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【0063】
たとえば、本発明は、上記実施形態のような構成のEL素子以外のEL素子、例えば、発光層と電子輸送層を積層させた構成、正孔輸送層と発光層と電子輸送層の3つの層を積層させた構成を有するEL素子を用いたELデバイスにも適用可能である。
【0064】
さらに、上記実施形態のELデバイスはいずれも、発光源として有機EL素子を使用しているが、本発明は有機EL素子に代えて無機EL素子を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1実施形態のELデバイスの構成を模式的に示す一部破断した斜視図である。
【図2】本発明の第2実施形態のELデバイスの構成を模式的に示す一部破断した正面図である。
【図3】本発明の第3実施形態のELデバイスの構成を模式的に示す一部破断した正面図である。
【図4】本発明の第4実施形態のELデバイスの構成を模式的に示す一部破断した正面図である。
【図5】従来の有機EL素子の構造を模式的に示す概略図である。
【符号の説明】
【0066】
1:ELデバイス
2:有機EL素子
4:金属陰極
6:透明陽極
8:正孔輸送層
10:発光層
12:透明基板
14:金属反射膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の第1の電極と、透明基板の一方の面に設けられた板状の透明な第2の電極と、上記第1および第2の電極の間に配置された板状の発光部とを有するEL素子と、
上記透明基板の他方の面を覆う反射材とを備えている、
ことを特徴とするELデバイス。
【請求項2】
上記透明基板の端面の少なくとも一面を覆う反射材を更に備えている、
請求項1に記載のELデバイス。
【請求項3】
上記透明基板の端面に光学的に密着されている導光板を含む、
請求項1または2記載のELデバイス。
【請求項4】
上記導光板上には、プリズムシートが配置されている、
請求項3に記載のELデバイス。
【請求項5】
上記プリズムシートは、プリズム部が上記導光板を向くように配置されている、
請求項4に記載のELデバイス。
【請求項6】
上記導光板は、漏光モジュレータを備えている、
請求項3に記載のELデバイス。
【請求項7】
上記透明基板は、可撓性を有する有機材料からなる、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のELデバイス。
【請求項8】
上記ELデバイスの厚さは、400μm以下である、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のELデバイス。
【請求項9】
上記漏光モジュレータは、プリズム列を備えている、
請求項6記載のELデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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