説明

EL表示装置

【課題】簡易な構成によって画素のグラデーション状態を変化させることにより、表示のデザイン性、意匠性、および視認性を向上させることができるEL表示装置を提供する。
【解決手段】陽極配線15の各配線(SEG_1〜3)に対して電源切替手段30の各スイッチSW1〜SW3の接続状態を切り替え、発光層13に対して電源を供給する位置を変化させる。これにより、電源切替手段30の接続状態の切り替えに応じて発光層13に対して電流を注入しやすい位置を変化させることができるので、画素10の発光状態を変化させることができ、意匠性、デザイン性、および視認性を向上させることができる。また、単一の電源供給手段20から電源切替手段30の接続状態によって陽極12に供給する電源を制御しているので、複数の電圧源や変調源を持たない簡素な構成でEL表示装置を構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素のグラデーション状態を変化させるEL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画素を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)の発光輝度を調整する技術が、例えば特許文献1、2で提案されている。
【0003】
特許文献1では、有機EL素子を挟んだ一対の電極のうちの一方の電極に対して抵抗調整部を設けることにより、当該一方の電極の抵抗値を連続的あるいは段階的に変化させた表示装置が提案されている。これにより、表示面内において発光輝度が連続的あるいは段階的に変化したグラデーション表示が得られる。
【0004】
また、特許文献2では、陽極および陰極の少なくとも一方は2以上の接続部を介して電源と接続されており、これら2以上の接続部の少なくとも一部において互いに異なる波形の駆動電圧(印加する電圧の振幅、周波数、位相、オフセットの少なくとも1種を変調)が印加される技術が提案されている。これにより、単一発光面内において、経時的な輝度分布、色分布を持った表示が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−285523号
【特許文献2】国際公開第2005/122648号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、一方の電極の抵抗値は抵抗調整部によって決まるため、抵抗値を変更することができない。このため、1つのグラデーションのある表示のみしかできないので、表示のデザイン性、意匠性が上がらないという問題がある。
【0007】
また、特許文献2では、2以上の接続部に駆動電圧を印加しているため、表示面内において異なる発光状態を実現できるものの、振幅、周波数、位相、電圧オフセットを行うための複雑な回路が必要となり、コストがかかるという問題がある。
【0008】
さらに、電極として、通常、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性の導電材料のみが用いられるが、この場合は当該電極における電圧降下が大きくなるため、印加する電圧も高電圧化してしまう。また、ITOに加えて画素を囲む金属補助配線を用いた場合、金属補助配線によって電圧降下は小さくなるが、同時に、抵抗値の差も無くなる。このため、グラデーション表示ができなくなり、先行文献と同様の効果は見込めない。
【0009】
なお、上記では画素を構成するものとして有機EL素子を例に説明したが、画素を構成するものは有機EL素子に限らず無機EL素子の場合もある。そして、上記のグラデーション表示の問題は無機EL素子についても同様に生じる。
【0010】
本発明は上記点に鑑み、簡易な構成によって画素のグラデーション状態を変化させることにより、表示のデザイン性、意匠性、および視認性を向上させることができるEL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、陽極(12)と陰極(14)とに挟まれた発光層(13)を有し、陽極(12)と陰極(14)との間に電源が供給されることにより、所定の発光をする任意形状をした画素(10)を備えたEL表示装置であって、陽極(12)は、発光層(13)の全体が配置される一面(15a)を有し、この一面(15a)に発光層(13)が配設された第1電極(15)と、第1電極(15)の一面(15a)に配設されていると共に発光層(13)に対して複数に分割されて配設され、第1電極(15)よりも低抵抗な第2電極(16〜18)と、を有している。
【0012】
また、EL表示装置は、第1電極(15)および第2電極(16〜18)に対して電源を供給する電源供給手段(20)と、第1電極(15)のうち複数の第2電極(16〜18)が配設された各部分と電源供給手段(20)との間に接続され、電源供給手段(20)と各部分とのいずれかを接続するように接続状態を切り替える電源切替手段(30)と、を備えている。
【0013】
さらに、電源供給手段(20)は、画素(10)の陽極(12)に対して電源を供給する単一のものである。そして、第1電極(15)に対して電源切替手段(30)の接続状態を切り替えて画素(10)に対して電源を供給する位置を変化させることにより、画素(10)のグラデーション状態を変化させることを特徴とする。
【0014】
これによると、単一の電源供給手段(20)によって陽極(12)に供給する電源を電源切替手段(30)の接続状態によって制御しているので、複数の電圧源や変調源を持たない簡素な構成でEL表示装置を構成することができる。また、電源切替手段(30)の接続状態を切り替えて画素(10)の発光状態を変化させることが可能となり、意匠性、デザイン性、および視認性を向上させることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明のように、第2電極(16〜18)は、発光層(13)の周囲に複数に分割されて配設されていても良い。これにより、意匠性、デザイン性、および視認性を向上させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、センサ(41)によって画素(10)の周囲の明るさを検知する検知部(40)を備えており、検知部(40)で検知された画素(10)の周囲の明るさに応じて画素(10)のグラデーション状態を変化させることを特徴とする。これにより、画素(10)の周囲の明るさに応じた視認性を実現することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、ユーザの操作によって動作する操作部(50)を備えており、操作部(50)の動作時に画素(10)のグラデーション状態を変化させることを特徴とする。これにより、ユーザがEL表示装置をオン/オフした際やユーザがEL表示装置を操作したときのオープニングやエンディングの演出等のデザイン性の高い表示を行うことができる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のEL表示装置は車載用であって、ユーザによって車両の電源状態がオンからオフまたはオフからオンに遷移したときに画素(10)のグラデーション状態を変化させることを特徴とする。これにより、車両の遷移状態に応じてオープニングやエンディングの演出等のデザイン性の高い表示を行うことができる。
【0019】
請求項6に記載の発明では、発光層(13)は有機EL材料により構成されていることを特徴とする。このように、発光層(13)が特に有機EL材料で構成されていれば、EL表示装置を照明やバックライトなどの光源として応用を容易にすることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明のように、請求項1ないし6のいずれか1つに記載のEL表示装置を備えた照明装置として構成することができる。このように、EL表示装置を照明装置として用いることができる。
【0021】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係るEL表示装置の概略図である。
【図2】図1に示される画素の平面図である。
【図3】図1に示される各スイッチの接続状態に応じたグラデーション状態を示した図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るEL表示装置の画素の平面図である。
【図5】図4に示される各スイッチの接続状態に応じたグラデーション状態を示した図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るEL表示装置の画素の平面図である。
【図7】図6に示される各スイッチの接続状態に応じたグラデーション状態を示した図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係るEL表示装置の構成図である。
【図9】照度レベルに応じたグラデーション状態を示した図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係るEL表示装置の構成図である。
【図11】スイッチ遷移に応じたグラデーション状態を示した図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係るEL表示装置の構成図である。
【図13】電源状態に応じたグラデーション状態を示した図である。
【図14】本発明の第7実施形態において、EL表示装置を車両のメータに応用した例を示した図である。
【図15】本発明の第7実施形態に係るEL表示装置の構成図である。
【図16】IG状態に応じたグラデーション状態を示した図である。
【図17】本発明の第8実施形態においてEL表示装置の応用例を示した図である。
【図18】本発明の第9実施形態においてEL表示装置の応用例を示した図である。
【図19】他の実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るEL表示装置の概略図である。この図に示されるように、EL表示装置は、画素10と、電源供給手段20と、電源切替手段30と、を備えている。
【0025】
画素10は、透明なガラス等によって形成された基板11を有している。その基板11の上には、陽極12が形成されている。また、陽極12の上に発光層13が一様な厚さで平面的に形成されている。さらに、発光層13の上に陰極配線14が形成されている。陰極配線14はグランドに接続されている。このように、画素10は陽極12と陰極配線14とに挟まれた発光層13を有している。本実施形態では、発光層13は有機EL材料により構成されている。
【0026】
陽極12は、ITO等により形成された透明電極である。この陽極12は、陽極配線15と陽極補助配線16〜18とにより構成されている。
【0027】
陽極配線15は、発光層13の全体が配置される一面15aを有しており、この一面15aに発光層13が配設されている。このため、具体的には、発光層13は陽極配線15と陰極配線14との間に挟まれている。
【0028】
陽極補助配線16〜18は、陽極配線15の一面15aに配設されている。つまり、陽極補助配線16〜18は、陽極配線15の一部をそれぞれ補助的に覆っている。また、発光層13の周囲に複数に分割されて配設されている。「分割されて」とは、各陽極補助配線16〜18が互いに接触せずにそれぞれ離れているという意味であり、離間しているという意味でもある。このような陽極補助配線16〜18は陽極配線15よりも低抵抗な配線である。陽極補助配線16〜18としてITOよりも抵抗が低いCrやMo等の配線材が採用される。
【0029】
本実施形態では、陽極補助配線16〜18は3つに分割されて発光層13の周囲に配置されている。これについて、図2を参照して説明する。
【0030】
図2は、画素10の平面図である。なお、図2では陰極配線14を省略しており、その代わりに発光層13がグランドに接続されている様子を示してある。また、基板11の表面の面方向において図2に示されるようにx方向とこのx方向に垂直なy方向を規定している。
【0031】
図2に示されるように、発光層13は四角形状をなしており、発光層13においてx方向に平行な側面に平行に2本の陽極補助配線16および陽極補助配線18が配設されている。これら陽極補助配線16および陽極補助配線18はx方向において発光層13の側面の端から端まで全体にわたって形成されている。また、発光層13においてy方向に平行な一方の側面の一部に陽極補助配線17が配設されている。このように、陽極補助配線16〜18は発光層13の周囲の三ヶ所にそれぞれ分かれて配設されている。なお、図2では各陽極補助配線16〜18に斜線ハッチングを付けてある。
【0032】
そして、陽極配線15のうち各陽極補助配線16〜18が配設された各部分から当該陽極配線15の一部が外部と電気的な接続を行うための配線(SEG_1、SEG_2、SEG_3)としてそれぞれ延びている。
【0033】
本実施形態では、x方向に沿って形成された陽極補助配線16(紙面上部側)に対応する陽極配線15の配線をSEG_1とする。また、発光層13においてy方向に平行な一方の側面の一部に配設された陽極補助配線17(紙面右側)に対応する陽極配線15の配線をSEG_2とする。さらに、x方向に沿って形成された他方の陽極補助配線18(紙面下部側)に対応する陽極配線15の配線をSEG_3とする。
【0034】
電源供給手段20は、上記の各配線(SEG1〜3)のいずれかを介して陽極配線15および陽極補助配線16〜18に対して電源を供給する手段である。本実施形態では電源供給手段20として定電流源が用いられている。この定電流源は、画素10の陽極12すなわち各配線に対して電源を供給する単一のものである。
【0035】
電源切替手段30は、陽極配線15のうち複数の陽極補助配線16〜18が配設された各部分に対応する各配線(SEG1〜3)と電源供給手段20との間に接続されており、電源供給手段20と陽極配線15の各配線とのいずれかを接続するように接続状態を切り替える手段である。
【0036】
具体的に、電源切替手段30は、陽極配線15の各配線に対応した3つのスイッチSW1〜SW3を備えている。各スイッチSW1〜SW3の各接点の一方は電源供給手段20である定電流源にそれぞれ接続され、各スイッチSW1〜SW3の各接点の他方は陽極配線15の各配線にそれぞれ接続されている。すなわち、各スイッチSW1〜SW3は、電源供給手段20と陽極配線15との間に並列に設けられている。各スイッチSW1〜SW3は、EL表示装置に備えられた図示しない駆動回路等によりオン/オフ制御される。
【0037】
以上が、本実施形態に係るEL表示装置の全体構成である。上記の構成では、陽極配線15と陰極配線14との間に電源が供給されることにより画素10が所定の発光をする。この発光は陽極配線15および基板11を透過してユーザに視認される。
【0038】
次に、上記のEL表示装置において、画素10のグラデーション表示について、図3を参照して説明する。
【0039】
まず、陽極補助配線16に対応する配線(SEG_1)に接続されたスイッチSW1のみをオンすることにより、陽極補助配線16から発光層13に対して電源を供給する。これにより、陽極12のうち陽極補助配線16の近傍においては抵抗値が低く、発光層13に対して電流の注入がしやすいが、y方向の距離に応じて陽極補助配線16から遠くなるほど連続的に陽極12の抵抗値が高くなるため、発光層13に対する電流の注入がしにくくなる。すなわち、発光層13に対する電流の注入がしやすければ発光層13の輝度が高くなるが、発光層13に対する電流の注入がしにくくなるに従って発光層13の輝度が低下する。このため、図3の(1)に示されるように、発光層13の上(陽極補助配線16側)から下(陽極補助配線18側)へのグラデーションが発生する。
【0040】
また、陽極補助配線17に対応する配線(SEG_2)に接続されたスイッチSW2のみをオンすることにより、陽極補助配線17から発光層13に対して電源を供給する。これにより、陽極12のうち陽極補助配線17の近傍においては抵抗値が低く、発光層13に対して電流の注入がしやすいが、x方向の距離に応じて陽極補助配線17から遠くなるほど連続的に陽極12の抵抗値が高くなるため、発光層13に対する電流の注入がしにくくなる。このため、図3の(2)に示されるように、発光層13の右(陽極補助配線17側)から左(陽極補助配線17の反対側)へのグラデーションが発生する。
【0041】
さらに、陽極補助配線18に対応する配線(SEG_3)に接続されたスイッチSW3のみをオンすることにより、陽極補助配線18から発光層13に対して電源を供給する。これにより、陽極12のうち陽極補助配線18の近傍においては抵抗値が低く、発光層13に対して電流の注入がしやすいが、y方向の距離に応じて陽極補助配線18から遠くなるほど連続的に陽極12の抵抗値が高くなるため、発光層13に対する電流の注入がしにくくなる。このため、図3の(3)に示されるように、発光層13の下(陽極補助配線18側)から上(陽極補助配線16側)へのグラデーションが発生する。
【0042】
そして、陽極補助配線16および陽極補助配線17に対応する各配線(SEG_1、SEG_2)に接続されたスイッチSW1およびスイッチSW2をオンすることにより、陽極補助配線16および陽極補助配線17から発光層13に対して電源を供給する。これにより、陽極12のうち陽極補助配線16および陽極補助配線17の近傍においては抵抗値が低く、発光層13に対して電流の注入がしやすいが、x方向およびy方向の距離に応じて陽極補助配線16および陽極補助配線17から連続的に抵抗値が高くなるため、発光層13に対する電流の注入がしにくくなる。このため、図3の(4)に示されるように、発光層13の右上(発光層13のうち陽極補助配線16側および陽極補助配線17側の角部)が明るくなり、この対角が暗くなるようにグラデーションが発生する。
【0043】
図3の(4)では、陽極補助配線16および陽極補助配線17から発光層13に対して電源を供給するため、画素10には「発光層13の右上から対角にグラデーション」が表示されることになるが、陽極補助配線17および陽極補助配線18から発光層13に対して電源を供給することにより、画素10に「発光層13の右下(発光層13のうち陽極補助配線17側および陽極補助配線18側の角部)から対角にグラデーション」を表示することも可能である。
【0044】
また、陽極補助配線16および陽極補助配線18に対応する配線(SEG_1、SEG_3)に接続されたスイッチSW1およびスイッチSW3をオンすることにより、陽極補助配線16および陽極補助配線18から発光層13に対して電源を供給する。これにより、陽極12のうち陽極補助配線16および陽極補助配線18の近傍においては抵抗値が低く、発光層13に対して電流の注入がしやすいが、x方向の距離に応じて陽極補助配線16および陽極補助配線18から遠くなるほど連続的に陽極12の抵抗値が高くなるため、発光層13に対する電流の注入がしにくくなる。しかしながら、発光層13においてy方向に電源を供給するため、陽極補助配線16および陽極補助配線18から発光層13におけるy方向の中心までの距離が短くなる。このため、図3の(5)に示されるように、グラデーションのつき方は小さくなり、ほぼ均一に近い発光状態が得られる。
【0045】
上記のように、電源切替手段30の各スイッチSW1〜SW3の接続状態を切り替えることにより、1つの画素10においてグラデーション状態を複数に変化させることができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、陽極配線15の各配線に対して電源切替手段30の各スイッチSW1〜SW3の接続状態を切り替えて発光層13に対して電源を供給する位置を変化させることにより、画素10の発光状態(グラデーションのつき方)を変化させることが特徴となっている。
【0047】
これにより、電源切替手段30の接続状態の切り替えに応じた画素10の発光状態を実現できるので、1つの画素10において単一のグラデーション表示だけでなく様々なグラデーション表示を行うことができる。したがって、EL表示装置の意匠性、デザイン性、および視認性を向上させることができる。例えば、画素10のグラデーションを大きくすることにより、意匠性、デザイン性の高い表示と画素10のグラデーションを少なくすることにより画素10内でムラが少ないくっきりした視認性の高い表示を両立することができる。
【0048】
また、単一の電源供給手段20によって陽極12に供給する電源を電源切替手段30の各スイッチSW1〜SW3の接続状態によって制御する構成となっている。このため、複数の電圧源や変調源を持たない簡素な構成でEL表示装置を構成することができる。
【0049】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、陰極配線14が特許請求の範囲の「陰極」に対応する。また、陽極配線15が特許請求の範囲の「第1電極」に対応し、陽極補助配線16〜18が特許請求の範囲の「第2電極」に対応する。
【0050】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。図4は、本実施形態に係る画素10の平面図である。この図に示されるように、本実施形態では、陽極補助配線17が発光層13の範囲内に設けられている。具体的には、陽極補助配線17は、y方向において陽極補助配線16と陽極補助配線18との中間に位置し、x方向に沿って形成されている。この場合、陽極補助配線17は陽極配線15の一面15aと発光層13との間に位置している。なお、陽極補助配線16および陽極補助配線18の配置位置は第1実施形態と同じである。
【0051】
そして、図5に示されるように各スイッチSW1〜SW3の接続状態によって、グラデーション状態を変化させることができる。
【0052】
具体的には、陽極補助配線16に対応する配線(SEG_1)に接続されたスイッチSW1のみをオンすることにより、陽極補助配線16から発光層13に対して電源を供給する。これにより、陽極12のうち陽極補助配線16の近傍においては抵抗値が低く、発光層13に対して電流の注入がしやすいが、y方向の距離に応じて陽極補助配線16から遠くなるほど連続的に陽極12の抵抗値が高くなるため、発光層13に対する電流の注入がしにくくなる。すなわち、発光層13に対する電流の注入がしやすければ発光層13の輝度が高くなるが、発光層13に対する電流の注入がしにくくなるに従って発光層13の輝度が低下する。このため、図5の(1)に示されるように、発光層13の上(陽極補助配線16側)から下(陽極補助配線18側)へのグラデーションが発生する。
【0053】
同様に、陽極補助配線17に対応する配線(SEG_2)に接続されたスイッチSW2のみをオンすることにより、陽極補助配線17から発光層13に対して電源を供給する。これにより、陽極12のうち陽極補助配線17の近傍においては抵抗値が低く、発光層13に対して電流の注入がしやすいが、y方向の距離に応じて陽極補助配線17から陽極補助配線16側および陽極補助配線18側に遠くなるほど連続的に陽極12の抵抗値が高くなるため、発光層13に対する電流の注入がしにくくなる。このため、図5の(2)に示されるように、発光層13のうちy方向の中央(陽極補助配線17)から上下方向(陽極補助配線16側および陽極補助配線18側)にグラデーションが発生する。
【0054】
そして、陽極補助配線16〜18に対応する各配線に接続されたスイッチSW1〜SW3のすべてをオンすることにより、陽極補助配線16〜18から発光層13に対して電源を供給する。これにより、陽極12のうち陽極補助配線16〜18の近傍においては抵抗値が低く、発光層13に対して電流の注入がしやすいが、各陽極補助配線16〜18からy方向の距離に応じて連続的に陽極12の抵抗値が高くなるため、発光層13に対する電流の注入がしにくくなる。しかしながら、発光層13に対して陽極補助配線16および陽極補助配線18からも電源を供給するため、発光層13においてy方向における電源供給の距離が短くなる。このため、図5の(3)に示されるように、グラデーションのつき方は極めて小さくなり、ほぼ均一に近い発光状態が得られる。
【0055】
なお、スイッチSW3のみをオンする場合は上記第1実施形態の図3の(3)の場合と同じである。
【0056】
以上のように、陽極補助配線16〜18のうちの陽極補助配線17を、発光層13の周囲ではなく、発光層13が陽極配線15の一面15aに配置される範囲内に配置することもできる。
【0057】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。図6は、本実施形態に係る画素10の平面図である。この図に示されるように、本実施形態では、発光層13の周囲の4個所に陽極補助配線16〜19が設けられている。
【0058】
陽極補助配線16および陽極補助配線18は上述のように発光層13の周囲にx方向に沿って設けられているが、発光層13のx方向の側面の長さよりも短く形成されていると共にx方向の中心付近に配置されている。
【0059】
また、陽極補助配線17および陽極補助配線19は、発光層13の周囲にy方向に沿って設けられている。これら陽極補助配線17および陽極補助配線19は、発光層13のy方向の側面の長さと同じ長さに形成されている。
【0060】
そして、陽極配線15には陽極補助配線19に対応する部分に配線(SEG_4)が設けられている。この配線(SEG_4)は、電源切替手段30に設けられたスイッチSW4に接続されている。スイッチSW4は他のスイッチSW1〜SW3に対して並列に電源供給手段20の定電流源に接続されている。
【0061】
上記のような構成において、図7に示されるように各スイッチSW1〜SW4の接続状態によって、グラデーション状態を変化させることができる。
【0062】
具体的には、陽極補助配線16および陽極補助配線18に対応する配線(SEG_1、SEG_3)に接続されたスイッチSW1およびスイッチSW3をオンすることにより、陽極補助配線16および陽極補助配線18から発光層13に対して電源を供給する。これにより、陽極12のうち陽極補助配線16および陽極補助配線18の近傍においては抵抗値が低く、発光層13に対して電流の注入がしやすいが、x方向およびy方向の距離に応じて陽極補助配線16および陽極補助配線18から遠くなるほど連続的に陽極12の抵抗値が高くなるため、発光層13に対する電流の注入がしにくくなる。すなわち、発光層13に対する電流の注入がしやすければ発光層13の輝度が高くなるが、発光層13に対する電流の注入がしにくくなるに従って発光層13の輝度が低下する。このため、図7の(1)に示されるように、発光層13の上下中央(陽極補助配線16付近および陽極補助配線18付近)から放射状にグラデーションが発生する。
【0063】
また、陽極補助配線17および陽極補助配線19に対応する配線(SEG_2、SEG_4)に接続されたスイッチSW2およびスイッチSW4をオンすることにより、陽極補助配線17および陽極補助配線19から発光層13に対して電源を供給する。これにより、陽極12のうち陽極補助配線17および陽極補助配線19の近傍においては抵抗値が低く、発光層13に対して電流の注入がしやすいが、x方向の距離に応じて陽極補助配線17および陽極補助配線19から遠くなるほど連続的に陽極12の抵抗値が高くなるため、発光層13に対する電流の注入がしにくくなる。このため、図7の(2)に示されるように、発光層13の左右(陽極補助配線17側および陽極補助配線19側)から中央(x方向の中心)にグラデーションが発生する。
【0064】
また、陽極補助配線17に対応する配線(SEG_2)に接続されたスイッチSW2のみをオンすることにより、陽極補助配線17から発光層13に対して電源を供給する。これにより、陽極12のうち陽極補助配線17の近傍においては抵抗値が低く、発光層13に対して電流の注入がしやすいが、x方向の距離に応じて陽極補助配線17から遠くなるほど連続的に陽極12の抵抗値が高くなるため、発光層13に対する電流の注入がしにくくなる。このため、図7の(3)に示されるように、発光層13の右(陽極補助配線17側)から左(陽極補助配線19側)にグラデーションが発生する。
【0065】
なお、上記とは逆に、陽極補助配線19に対応する配線(SEG_4)に接続されたスイッチSW4のみをオンすれば、発光層13の左(陽極補助配線19側)から右(陽極補助配線17側)にグラデーションが発生する。
【0066】
また、陽極補助配線16に対応する配線(SEG_1)に接続されたスイッチSW1のみをオンすることにより、陽極補助配線16から発光層13に対して電源を供給する。これにより、陽極12のうち陽極補助配線16の近傍においては抵抗値が低く、発光層13に対して電流の注入がしやすいが、x方向およびy方向の距離に応じて陽極補助配線16から遠くなるほど連続的に陽極12の抵抗値が高くなるため、発光層13に対する電流の注入がしにくくなる。このため、図7の(4)に示されるように、発光層13の上中央(陽極補助配線16近傍)から放射状にグラデーションが発生する。
【0067】
さらに、陽極補助配線16〜19に対応する配線(SEG_1〜4)に接続されたスイッチSW1〜SW4の全てをオンすることにより、陽極補助配線16〜19から発光層13に対して電源を供給する。これにより、陽極12のうち陽極補助配線16〜19の近傍においては抵抗値が低く、発光層13に対して電流の注入がしやすいが、x方向およびy方向の距離に応じて陽極補助配線16〜19から遠くなるほど連続的に陽極12の抵抗値が高くなるため、発光層13に対する電流の注入がしにくくなる。しかしながら、発光層13において左右方向および左右から見てx方向に抵抗値が高くなる上下中央方向からも電源を供給するため、x方向の距離が短くなり、グラデーションのつき方は極めて小さくなり、ほぼ均一に近い発光状態が得られる。
【0068】
以上のように、発光層13の周囲の4ヶ所に陽極補助配線16〜19をそれぞれ配置することもできる。
【0069】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、陽極補助配線16〜19が特許請求の範囲の「第2電極」に対応する。
【0070】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1〜第3実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、画素10の周囲の明るさに応じて、グラデーション状態を変化させることが特徴となっている。
【0071】
図8は、本実施形態に係るEL表示装置の構成図である。この図に示されるように、EL表示装置は検知部40を備えている。この検知部40は、明るさを検知する照度センサ41と、照度センサ41によって検知された照度レベルに応じた切替信号を生成するCPU42と、を備えている。
【0072】
このような構成によると、検知部40のCPU42は照度センサ41で検知された画素10の周囲の明るさ(照度レベル)に応じて電源切替手段30の接続状態を切り替える切替信号を生成し、電源切替手段30に切替信号を出力する。これにより、図9に示されるように、照度レベルに応じて画素10のグラデーション状態を変化させることができる。なお、本実施形態では、発光層13に対する各陽極補助配線16〜18の配置は図2に示される配置を採用している。
【0073】
具体的には、照度レベルが1の場合、電源切替手段30のスイッチSW1のみをオンすることにより、上から下にグラデーション表示を行う。照度レベルが2の場合、電源切替手段30のスイッチSW2のみをオンすることにより、右から左にグラデーション表示を行う。照度レベルが3の場合、電源切替手段30のスイッチSW3のみをオンすることにより、下から上にグラデーション表示を行う。照度レベルが4の場合、電源切替手段30のスイッチSW1およびスイッチSW2をオンすることにより、右上から対角にグラデーション表示を行う。そして、照度レベルが5の場合、電源切替手段30のスイッチSW1およびスイッチSW3をオンすることにより、グラデーション効果を小さくして均一発光を行う。
【0074】
以上のように画素10の周囲の明るさ(照度レベル)に応じて画素10のグラデーション状態を変化させるEL表示装置を構成することができる。これにより、画素10の周囲の明るさに応じた視認性を実現することができる。もちろん、本実施形態についても図4や図6で示された画素10を採用しても良い。
【0075】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、照度センサ41が特許請求の範囲の「センサ」に対応する。
【0076】
(第5実施形態)
本実施形態では、第1〜第4実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、ユーザによる何らかの操作に応じて、グラデーション状態を変化させることが特徴となっている。
【0077】
図10は、本実施形態に係るEL表示装置の構成図である。この図に示されるように、EL表示装置は、ユーザの操作によって動作する操作部50を備えている。このような操作部50は、スイッチ51とCPU42とを備えている。スイッチ51は、例えばプッシュ式のボタンが操作されたときにオンまたはオフするものである。CPU42はスイッチ51の操作状態に応じた切替信号を生成する。
【0078】
このような構成によると、操作部50のCPU42はスイッチ51の操作状態に応じて電源切替手段30の接続状態を切り替える切替信号を生成し、電源切替手段30に切替信号を出力する。これにより、図11に示されるように、スイッチ51のオン/オフに応じて画素10のグラデーション状態を変化させることができる。なお、本実施形態では、発光層13に対する各陽極補助配線16〜18の配置は図2に示される配置を採用している。
【0079】
具体的には、スイッチ51がオフからオン(OFF→ON)に遷移した場合、電源切替手段30のスイッチSW1のみをオンすることにより、上から下にグラデーション表示を行う。スイッチ51がオン(ON)の場合、電源切替手段30のスイッチSW1およびスイッチSW3をオンすることにより、グラデーション効果を小さくして均一発光を行う。そして、スイッチ51がオンからオフ(ON→OFF)に遷移した場合、電源切替手段30のスイッチSW3のみをオンすることにより、下から上にグラデーション表示を行う。
【0080】
以上のように、ユーザがEL表示装置をオン/オフした際やユーザがEL表示装置を操作したとき、すなわち操作部50の動作時にオープニングやエンディングの演出等のデザイン性の高い表示を行うことができる。もちろん、本実施形態についても図4や図6で示された画素10を採用しても良い。
【0081】
なお、上記では、ユーザがボタン(スイッチ51)を押すという直接的な動作について説明したが、EL表示装置が例えば携帯電話に用いられる場合では折りたたみ式携帯電話を開けたときやスライド式携帯電話をスライドさせたときにこれらの動作に応じて間接的にスイッチ51がオンまたはオフするように構成しても良い。このように、携帯電話等の機器がユーザによって操作されたときに画面にグラデーション状態を変化させた表示を行うことができる。
【0082】
(第6実施形態)
本実施形態では、第1〜第5実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、EL表示装置は車載用である。そして、本実施形態では、EL表示装置はユーザによって車両の電源状態がオンからオフまたはオフからオンに遷移したときに画素10のグラデーション状態を変化させる構成となっている。
【0083】
図12は、本実施形態に係るEL表示装置の構成図である。この図に示されるように、電源切替手段30には、ECU60が接続されており、このECU60にはキー61の信号が入力される構成になっている。
【0084】
キー61は、例えばガソリン車であればIGオンオフスイッチであり、ハイブリッド車や電気自動車ではスタートボタンである。すなわち、キー61は、車両の電源状態を出力するものである。そして、ECU60はキー61から受けた信号に応じて電源切替手段30の接続状態を切り替える切替信号を生成し、電源切替手段30に切替信号を出力する。これにより、図13に示されるように、車両の電源状態に応じて画素10のグラデーション状態を変化させることができる。なお、本実施形態では、発光層13に対する各陽極補助配線16〜18の配置は図2に示される配置を採用している。
【0085】
具体的には、車両の電源状態がオフからオン(OFF→ON)に遷移した場合、電源切替手段30のスイッチSW1のみをオンすることにより、上から下にグラデーション表示を行う。電源状態がオン(ON)の場合、電源切替手段30のスイッチSW1およびスイッチSW3をオンすることにより、グラデーション効果を小さくして均一発光を行う。そして、電源状態がオンからオフ(ON→OFF)に遷移した場合、電源切替手段30のスイッチSW3のみをオンすることにより、下から上にグラデーション表示を行う。
【0086】
以上のように、車両の電源状態に応じてオープニングやエンディングの演出等のデザイン性の高い表示を行うことができる。もちろん、本実施形態についても図4や図6で示された画素10を採用しても良い。
【0087】
なお、図12で示されたECU60はEL表示装置に備えられていても良い。この場合、ECU60ではなく、CPU42を採用しても良い。
【0088】
(第7実施形態)
本実施形態では、第1〜第6実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態では発光層13は四角形状に形成されていたが、本実施形態では図14に示されるようにEL表示装置を車両のメータに採用し、発光層13を円弧状に形成して用いることが特徴となっている。
【0089】
図15は、本実施形態に係るEL表示装置の構成図である。この図に示されるように、陽極配線15および発光層13は円弧状に形成されている。そして、陽極補助配線16が円弧状の発光層13の周囲のうちの一端部に配設され、陽極補助配線18が円弧状の発光層13の周囲のうちの他端部に配設されている。また、陽極補助配線17は円弧状の発光層13の周囲のうちの内径側に沿って配設されている。なお、図15では発光層13の上に設けられた陰極配線14を省略している。
【0090】
このような発光層13の形状および各陽極補助配線16〜18の配置によると、図16に示されるように、車両のIG(イグニッション)の遷移に応じて画素10のグラデーション状態を変化させることができる。
【0091】
具体的には、IGがオフからオン(OFF→ON)に遷移した場合、電源切替手段30のスイッチSW3のみをオンすることにより、車速が「0」から「160」に向かって暗くなるグラデーション表示を行う。IG遷移がオン(ON)の場合、電源切替手段30のスイッチSW1〜SW3の全てをオンすることにより、グラデーション効果を小さくして均一発光を行う。そして、IGがオンからオフ(ON→OFF)に遷移した場合、電源切替手段30のスイッチSW1のみをオンすることにより、車速が「160」から「0」に向かって暗くなるグラデーション表示を行う。
【0092】
各スイッチSW1〜SW3の切り替えは、例えば第6実施形態で示されたECU60がキー61からの信号に基づいて行うようにすれば良い。
【0093】
以上のように、車両のメータの文字盤をEL表示装置で構成した場合、IGのオン/オフ遷移状態に応じてグラデーションの状態を変化させることにより、オープニングやエンディングの演出等、デザイン性の高い表示を行うことができる。また、通常の走行状態となるIGがオン状態のときには、くっきりはっきりとした視認性の高い表示を行うことができる。
【0094】
なお、上記ではIG(イグニッション)の状態でグラデーション状態を変化させているが、電気自動車等の場合はスタートボタンのオン/オフ状態の遷移でグラデーション状態を変化させれば良い。
【0095】
(第8実施形態)
本実施形態では、第7実施形態と異なる部分について説明する。第7実施形態では車両のメータにEL表示装置を応用していたが、図17に示されるようにエアコン設定・車両情報・オーディオ情報・時計・外気温などの表示を行うための装置として応用することができる。
【0096】
(第9実施形態)
本実施形態では、第1〜第8実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態はEL表示装置を何らかの表示用として用いていた。しかしながら、図18に示されるように車内の照明装置として応用することもできる。もちろん、車両に限らず家庭用等の照明装置として用いることもできる。
【0097】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示されたEL表示装置および照明装置の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明の画素10を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、上記区実施形態では図19(a)に示されるように発光層13を有機EL材料で構成していたが、図19(b)に示されるように無機EL材料で構成しても良い。また、画素10(発光層13)の形状は、上記の四角形状や円弧形状の他、円形、多角形、「★」等の記号、「A/C」等の文字等他の任意形状でも良い。
【0098】
さらに、上記各実施形態で示された各陽極補助配線16〜19の数や発光層13に対する配設位置は一例であり、どのようなグラデーション表示を行いたいかによって決めれば良い。
【符号の説明】
【0099】
10 画素
12 陽極
13 発光層
14 陰極配線
15 陽極配線
15a 一面
16〜19 陽極補助配線
20 電源供給手段
30 電源切替手段
40 検知部
41 照度センサ
50 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極(12)と陰極(14)とに挟まれた発光層(13)を有し、前記陽極(12)と前記陰極(14)との間に電源が供給されることにより、所定の発光をする任意形状をした画素(10)を備えたEL表示装置であって、
前記陽極(12)は、
前記発光層(13)の全体が配置される一面(15a)を有し、この一面(15a)に前記発光層(13)が配設された第1電極(15)と、
前記第1電極(15)の前記一面(15a)に配設されていると共に前記発光層(13)に対して複数に分割されて配設され、前記第1電極(15)よりも低抵抗な第2電極(16〜18)と、
を有しており、
前記第1電極(15)および前記第2電極(16〜18)に対して前記電源を供給する電源供給手段(20)と、
前記第1電極(15)のうち前記複数の第2電極(16〜18)が配設された各部分と前記電源供給手段(20)との間に接続され、前記電源供給手段(20)と前記各部分とのいずれかを接続するように接続状態を切り替える電源切替手段(30)と、を備え、
前記電源供給手段(20)は、前記画素(10)の前記陽極(12)に対して前記電源を供給する単一のものであり、
前記第1電極(15)に対して前記電源切替手段(30)の接続状態を切り替えて前記画素(10)に対して前記電源を供給する位置を変化させることにより、前記画素(10)のグラデーション状態を変化させることを特徴とするEL表示装置。
【請求項2】
前記第2電極(16〜18)は、前記発光層(13)の周囲に複数に分割されて配設されていることを特徴とする請求項1に記載のEL表示装置。
【請求項3】
センサ(41)によって前記画素(10)の周囲の明るさを検知する検知部(40)を備えており、
前記検知部(40)で検知された前記画素(10)の周囲の明るさに応じて前記画素(10)のグラデーション状態を変化させることを特徴とする請求項1または2に記載のEL表示装置。
【請求項4】
ユーザの操作によって動作する操作部(50)を備えており、
前記操作部(50)の動作時に前記画素(10)のグラデーション状態を変化させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のEL表示装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載のEL表示装置は車載用であって、
ユーザによって車両の電源状態がオンからオフまたはオフからオンに遷移したときに前記画素(10)のグラデーション状態を変化させることを特徴とする車載用のEL表示装置。
【請求項6】
前記発光層(13)は有機EL材料により構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つにEL表示装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載のEL表示装置を備えたことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−209351(P2012−209351A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72489(P2011−72489)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】