説明

EUV露光ドーズの制御方法、EUVリソグラフィ方法、およびそれらの方法を用いる装置

【課題】1単位時間当たりの露光可能なダイの数を最適化するために、新たなドーズ制御方法を提供する。
【解決手段】対応する励起レーザ放射のパルスによってEUV放射のパルスが燃料材料の励起から生成される変換効率を変化させることによって、リソグラフィ装置のEUV露光ドーズをパルス毎に制御する。変換効率は、レーザビームと相互作用する燃料材料の割合を変化させることによって、および/または、相互作用の質を変化させることによって、いくつかの異なる方法で変化させることができる。変換効率を変化させるメカニズムは、レーザパルスタイミングを変化させること、プリパルスエネルギーを変化させること、および/または、1つ以上の方向でメインレーザビームを可変的にずらすことに基づくことができる。生成されたEUV放射の対称を維持する工程を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、EUV放射源を備えるリソグラフィ装置のEUV露光ドーズを制御する方法、システム、および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。
【0003】
[0003] リソグラフィは、ICならびに他のデバイスおよび/または構造の製造における重要なステップの1つとして広く認識されている。しかし、リソグラフィを使用して作成されるフィーチャの寸法が小さくなるにつれ、リソグラフィは、小型ICあるいは他のデバイスおよび/または構造を製造できるようにするための、より重要な要因になりつつある。
【0004】
[0004] パターンプリンティングの限界の理論的な推定値は、式(1)に示す分解能のレイリー基準によって与えることができる:
【数1】

ここで、λは、使用される放射の波長であり、NAPSは、パターンを印刷するために使用される投影システムの開口数である。kは、レイリー定数とも呼ばれるプロセス依存調整係数であり、CDは、印刷されたフィーチャのフィーチャサイズ(またはクリティカルディメンジョン)である。式(1)から、フィーチャの最小印刷可能サイズの縮小は、3つの方法、すなわち露光波長λを短くすること、開口数NAPSを大きくすること、またはkの値を小さくすること、によって達成可能であるということになる。
【0005】
[0005] 露光波長を短くし、ひいては最小印刷可能サイズを縮小するために、極端紫外線(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射は、5nm〜20nmの範囲内、例えば、13nm〜14nmの範囲内の波長を有する電磁放射である。また、10nm未満、例えば、6.7nmや6.8nmなどの5nm〜10nmの範囲内の波長を有するEUV放射を使用できることがさらに提案されている。そのような放射は、極端紫外線または軟X線と呼ばれる。可能な放射源としては、例えば、レーザ生成プラズマ源および放電生成プラズマ源が含まれる。
【0006】
[0006] EUV放射は、プラズマを使用して生成することができる。EUV放射を生成する放射システムは、燃料を励起してプラズマを提供するレーザと、プラズマを収容する放射源コレクタ装置とを含み得る。プラズマは、例えば、レーザビームを適切な材料(例えば、スズ)の粒子、または適切なガス流または蒸気流(Xeガス、Li蒸気など)などの燃料に誘導することによって生成することができる。結果として得られるプラズマは、放射コレクタを使用して集光される出力放射、例えば、EUV放射を放出する。放射コレクタは、ミラー法線入射放射コレクタとすることができ、このミラー法線入射放射コレクタは、放射を受け、その放射をビームに集束させる。
【0007】
[0007] 放射源コレクタ装置は、真空環境を提供してプラズマを支持するように配置された囲い構造または放射源チャンバを含み得る。そのような放射システムは、通常、レーザ生成プラズマ(LPP)源と呼ばれる。
【0008】
[0008] 投影リソグラフィにおいて、基板上に設けられたレジスト層上へのパターンの結像中、許容値内に有効露光ドーズを保つことが望ましい。リソグラフィ装置の対応する機能を、本明細書において、ドーズ制御、または単にDCと呼び、これは、1秒当たりの放出EUV放射エネルギーを一定値に保つことを意味する。一般に、露光ドーズは、光の強度、スリット幅、およびウェーハがスキャンされる速度に関連する。COレーザLPP源を用いて、COレーザ源を駆動するRF励起エネルギーを制御することによって、従って、各レーザ放射パルスのエネルギーを制御することによって、ドーズ制御が提供される。LPP源は、通常、毎秒、数千または数万の割合で燃料小滴およびレーザパルスを生成することになる。RF励起エネルギーを変化させる公知の機構を介するドーズ制御は、概して、パルス単位の時間尺度で起こり得る放出放射の変化を補正するのに十分なほど速くない。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 1単位時間当たりの露光可能なダイの数を最適化するために、ドーズ制御の代替方法を提供すること、特に、応答がより速く、かつ、例えばEUV放射ドーズのパルス対単位の変化を補正するのに十分な程度速いドーズ制御を提供することが望ましい。
【0010】
[0010] 本発明の少なくとも1つの実施形態の第一の態様によれば、EUV放射源を有するリソグラフィ装置のEUV露光ドーズを制御する方法であって、達成可能最大変換効率より低いがターゲットEUV露光ドーズを達成するのに十分なターゲット変換効率を設定することによって、対応する励起レーザ放射のパルスによってEUV放射のパルスが燃料材料の励起から生成される変換効率をパルス毎に制御し、該変換効率を該ターゲット変換効率の上方および下方に変化させることによって正および負の両方のドーズ補正をパルス間で適用できるようにすることを含む、方法が提供される。
【0011】
[0011] 発明者らは、LPP源において、変換効率を変化させる機構を、レーザのメインパルスエネルギーを変化させる機構と比べてはるかに高い応答性を有するように形成することができると認識している。従って、変換効率を変化させることによって、はるかに短い時間尺度で、かつ、必要に応じてパルス毎にEUV放射ドーズを制御する方法が提供される。
【0012】
[0012] ターゲット変換効率は、意図的に達成可能最大変換効率未満に設定され得る。これによって、公称値から上方および下方の両方に変換効率を変化させる選択肢が与えられ、それによってターゲット値あたりで簡易なフィードバック制御を実施することが可能になる。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態において、変換効率を変化させるために、膨張した燃料材料の位置とレーザ放射の断面との空間的重なりを変化させる。これは、例えば、レーザエネルギーのパルスのタイミングを変化させることを除いて行うことができる一方で、他の方法も利用可能である。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態において、当該方法は、燃料材料を加熱し膨張させるために用いられるプリパルスのタイミングおよび/またはエネルギーを変化させる。
【0015】
[0015] いくつかの実施形態において、変換効率を変化させる方法によってEUV放射の分布の変化が引き起こされる。これらの変化は、分布を所望の位置に戻すこと、またはいくつかのパルスにわたって所望の平均分布を達成することなど、さまざまな方法で補償することができる。
【0016】
[0016] 本発明の一態様によれば、対応する励起レーザ放射のパルスにより膨脹、加熱された燃料材料の一部の励起によってEUV放射のパルスが生成されるタイプのEUV放射源を有するリソグラフィ装置のEUV露光ドーズを、達成可能最大変換効率より低いがターゲットEUV露光ドーズを達成するのに十分なターゲット変換効率を設定することによって当該レーザ放射が当該EUV放射に変換される変換効率をパルス毎に制御し、当該変換効率を当該ターゲット変換効率の上および下に変化させることによって正および負の両方のドーズ補正をパルス間で適用できるようにすること、によって制御することと、EUV放射をパターニングしてパターン付き放射ビームを形成することと、パターン付き放射ビームを基板上に投影することと、を含む、デバイス製造方法が提供される。
【0017】
[0017] 本発明の一態様によれば、EUV放射源と、EUV放射源から受けた放射ビームを調整するように構成された照明システムと、放射ビームの断面にパターンを与えてパターン付き放射ビームを形成可能なパターニングデバイスを支持するように構築されたサポートと、基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムと、達成可能最大変換効率より低いがターゲットEUV露光ドーズを達成するのに十分なターゲット変換効率を設定することによって、膨張、加熱された燃料材料の一部の励起によって励起レーザ放射が当該EUV放射に変換される変換効率をパルス毎に制御し、当該変換効率を当該ターゲット変換効率の上および下に変化させることによって正および負の両方のドーズ補正をパルス間で適用できるようにすること、によってEUV放射源によって生成された露光ドーズを制御するように構成されたコントローラと、を備える、リソグラフィ装置が提供される。
【0018】
[0018] 本発明のこれらの態様および他の態様は、以下に説明する例および請求の範囲を考慮することにより、当該技術に精通した読者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
[0019] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
【0020】
【図1】[0020] 図1は、本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を示す。
【図2】[0021] 図2は、図1のリソグラフィ装置の実施形態の、より詳細な概略図である。
【図3】[0022] 図3は、最大変換効率CEを伴う状態での図1のリソグラフィ装置におけるターゲット材料前処理位置およびプラズマ形成位置を概略的に示す。
【図4】[0023] 図4は、低減CEをもたらす小滴雲とメインパルスレーザビームとの不一致を概略的に示す。
【図5】[0024] 図5は、本発明の一実施形態に従ってCEを制御する際の、主レーザパルスと軌跡TRに沿って移動する小滴雲との変化する相互作用度を概略的に示す。
【図6】[0025] 図6は、図5の実施形態の動作における、不一致距離δに対するCEの概略のグラフである。
【図7】[0026] (a)、(b)、および(c)は、図5の実施形態における、CEについての3つの異なる設定でのメインパルスと燃料雲との相互作用領域を概略的に示す。
【図8】[0027] (a)、(b)、および(c)は、本発明の一実施形態における、CEについての3つの異なる設定での2つの主レーザパルスとそれぞれの燃料雲との相互作用領域を概略的に示す。
【図9】[0028] (a)および(b)は、本発明の一実施形態における、CEについての3つの異なる設定での雲と主レーザパルスとの相互作用領域を概略的に示す。
【図10】[0029] 図10は、リソグラフィ装置の動作におけるウェーハ(基板)上の露光スリットのスキャン方向を概略的に示す。
【図11】[0030] 図11は、プリパルスエネルギーを変化させることによってCEが制御される、本発明の一実施形態を概略的に示す。
【図12】[0031] 図12は、図11の実施形態の動作における、燃料雲のサイズに対するCEの概略のグラフである。
【図13】[0032] 図13は、プリパルスエネルギーを変化させることによってCEが制御される、本発明の一実施形態を概略的に示す。
【図14】[0033] 図14は、図13の実施形態の動作における、燃料雲のサイズに対するCEの概略のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0034] 図1は、本発明の一実施形態に係る放射源コレクタ装置42を含むリソグラフィ装置100を概略的に示している。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、EUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスクまたはレチクル)MAを支持するように構成され、かつパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、反射投影システム)PSと、を備える。
【0022】
[0035] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0023】
[0036] サポート構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。
【0024】
[0037] 「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。放射ビームに付与されたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定機能層に対応する場合がある。
【0025】
[0038] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レベンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0026】
[0039] 照明システムなどの投影システムは、使われている露光放射にとって、あるいは真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光学コンポーネントを含むことができる。EUV放射に対して真空を用いることが望ましいことがある。というのは、他のガスは放射を吸収し過ぎる場合があるからである。従って、真空壁および真空ポンプを用いて、真空環境をビーム経路全体に提供することができる。
【0027】
[0040] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、反射型マスクを採用しているもの)である。
【0028】
[0041] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」マシンにおいては、追加のテーブルを並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0029】
[0042] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源コレクタ装置42から極端紫外線放射ビームを受ける。EUV光を生成する方法としては、EUV範囲の1つ以上の発光線を用いて材料を少なくとも1つの元素、例えば、キセノン、リチウム、またはスズ、を有するプラズマ状態に変換することが含まれるが、必ずしもこれに限定されない。レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれることが多いそのような方法において、必要な線発光素子を有する材料の小滴、流れ、またはクラスタなどの燃料をレーザビームで照射することによって、必要なプラズマを生成することができる。放射源コレクタ装置42は、燃料を励起するレーザビームを供給するための図1に示されないレーザを含むEUV放射システムの一部であってよい。結果として得られるプラズマは、出力放射、例えばEUV放射を放出し、この出力放射は、放射源コレクタ装置内に配置される放射コレクタを使用して集光される。例えば、COレーザを使用して燃料励起のためのレーザビームを供給する場合、レーザおよび放射源コレクタ装置は、別個の構成要素であってもよい。
【0030】
[0043] そのような場合には、レーザは、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、レーザから放射源コレクタ装置へ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が、DPP源と呼ばれることが多い放電生成プラズマEUVジェネレータである場合、放射源は、放射源コレクタ装置の一体部分とすることもできる。
【0031】
[0044] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、ファセット視野ミラーデバイスおよびファセット瞳ミラーデバイスといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0032】
[0045] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサPS1を使い、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。
【0033】
[0046] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
1.ステップモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。
2.スキャンモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。
3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
【0034】
[0047] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0035】
[0048] 図2は、放射源コレクタ装置42と、照明システムILと、投影システムPSとを備えるリソグラフィ装置100をより詳細に示している。放射源コレクタ装置42は、真空環境を放射源コレクタ装置42の囲い構造47内に維持することができるように構築および配置される。EUV放射放出プラズマ210は、放電生成プラズマ源によって形成することができる。EUV放射は、ガスまたは蒸気、例えば、Xeガス、Li蒸気またはSn蒸気によって生成することができ、非常に高温のプラズマ210が生成されて電磁スペクトルのEUV範囲の放射を放出する。非常に高温のプラズマ210は、例えば、少なくとも部分的にイオン化されたプラズマをもたらすCOレーザ光を用いる光学励起によって生成される。Xe、Li、Sn蒸気または他の適切なガスまたは蒸気の、例えば10Paの分圧が、放射を効率よく発生させるために必要となり得る。一実施形態において、励起されたスズ(Sn)のプラズマを設けてEUV放射を生成する。
【0036】
[0049] 放射源コレクタ装置42は、放射源チャンバ47を備え、本実施形態において、EUV放射源だけでなく、コレクタミラー50を実質的に囲み、このコレクタミラー50は、図2の実施形態において、法線入射ミラーであり、例えば、多層ミラーである。
【0037】
[0050] LPP EUV放射源の一部として、レーザシステム61(以下により詳細に述べる)は、ビームデリバリシステム65によって送出されたレーザビーム63を、コレクタミラー50に設けられた開口67を介して供給するように構築および配置される。また、放射源コレクタ装置は、ターゲット材料供給源71によって供給される、SnまたはXeなどのターゲット材料69を含む。本実施形態において、ビームデリバリシステム65は、所定のプラズマ形成位置73と一致するビーム経路を設けるように配置される。プラズマ形成位置は、コレクタミラー50の第1焦点に実質的に一致するように配置され得る。
【0038】
[0051] 動作中、燃料とも呼ばれることがあるターゲット材料69は、小滴の形態でターゲット材料源71によって供給される。ターゲット材料69のそのような小滴が所定のプラズマ形成位置73に到達すると、レーザビーム63は、小滴に衝突し、EUV放射放出プラズマ210が放射源チャンバ47内で発生する。パルスレーザの場合、このことは、レーザ放射のパルスが、小滴が位置73を通過することと一致するように時間調整することを伴う。図2の実施形態において、位置73でプラズマによって放出されたEUV放射は、法線入射コレクタミラー50によって、任意にスペクトル純度フィルタSPFを介してコレクタミラー50の第2焦点上に集束される。
【0039】
[0052] 図2において放射ビーム56が示すように、放射源チャンバ47から出る放射ビームは、いわゆる法線入射リフレクタ53、54を介して照明システムILを横切る。法線入射リフレクタは、サポート(例えば、レチクルまたはマスクテーブル)MT上に位置決めされたパターニングデバイス(例えば、レチクルまたはマスク)上にビーム56を誘導する。パターン付きビーム57が形成され、このパターン付きビーム57は、投影システムPSによって、反射素子58、59を介して、ウェーハステージまたは基板テーブルWTに担持された基板上で結像される。一般に、図示された素子より数の多い素子が照明システムILおよび投影システムPSに存在してよい。例えば、投影システムPSにおいて、図2に示す2つの素子58、59に加えて、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の反射素子が存在してよい。
【0040】
[0053] 図2に概略的に示すように、透過型光学スペクトル純度フィルタSPFが用いられ得る。EUVを透過させる光学フィルタ、およびUV放射または赤外放射をより透過させない、または実質的にUV放射または赤外放射を吸収する光フィルタが、当該技術において知られており、格子または透過型フィルタを含んでいる。
【0041】
[0054] 図2を参照すると、放射源コレクタモジュール42は、キセノン(Xe)、スズ(Sn)、またはリチウム(Ln)などの燃料内にレーザビーム63を堆積させるように配置され、それによって電子温度が数10eVの高電離プラズマ210が生成される。より高いエネルギーEUV放射は、他の燃料材料(例えば、TbおよびGd)を用いて生成することができる。イオンの脱励起および再結合中に生成されたエネルギー放射は、プラズマから放出され、近法線入射コレクタ50によって集光され、開口52上に集束される。プラズマ210および開口52は、それぞれ、コレクタ50の第1焦点および第2焦点に配置される。
【0042】
[0055] 例えば液体スズである燃料を送出するために、小滴ジェネレータまたはターゲット材料源71が放射源チャンバ47内に配置されて、プラズマ210の所望の位置73に向けて小滴流を発射する。動作中、放射インパルスを送出して各燃料小滴をプラズマ210に変えるために、レーザビーム63は、ターゲット材料源71の動作と同期して送出され得る。小滴の送出の周波数は、数キロヘルツ、もしくは数十または数百キロヘルツとすることができる。実際には、レーザビーム63は、レーザシステム61によって少なくとも2つのパルスで送出され得る。すなわち、燃料材料を小さい雲に気化させるために、小滴がプラズマ位置73に到達する前に、制限されたエネルギーを有するプリパルスPPが小滴に対して送出され、そして、レーザエネルギーのメインパルスMPが所望の位置73で当該雲に対して送出されてプラズマ210を生成する。典型的な例において、プラズマ210の直径は、約200〜300μmである。トラップ72が囲い構造47の反対側に設けられて、いかなる理由であれプラズマに変化しない燃料を捕捉する。
【0043】
[0056] レーザシステム61についてより詳細に言及すると、図示の例におけるレーザは、MOPA(Master Oscillator Power Amplifier;主発振器電力増幅器)型である。レーザシステム61は、レーザエネルギーのメインパルスを膨張した小滴雲に向けて発射する、図においてMOと表記された「主」レーザまたは「シード」レーザ、およびこれに続く電力増幅器システムPA、ならびにレーザエネルギーのプリパルスを小滴に向けて発射するプリパルスレーザを含む。ビームデリバリシステム65を設けてレーザエネルギー63を放射源チャンバ47内に送出する。実際には、レーザエネルギーのプリパルス素子が別個のレーザによって送出され得る。レーザシステム61、ターゲット材料源71、および他のコンポーネントは、制御モジュール20によって制御することができる。制御モジュール20は、多くの制御機能を実行することができ、システムのさまざまな素子についての多くのセンサ入力および制御出力を有する。センサは、放射源コレクタ装置42の素子内またはそのような素子の周囲、また、任意にリソグラフィ装置内のその他の場所に配置され得る。本発明の一実施形態では、メインパルスおよびプリパルスを、同一のレーザから得る。本発明の別の実施形態では、メインパルスおよびプリパルスを、互いに独立した別々のレーザから得る。
【0044】
[0057] 当該技術に精通した読者は、装置、そのさまざまなコンポーネント、および放射ビーム55、56、57のジオメトリおよび挙動を測定および説明するために基準軸X、Y、およびZが定義され得ることが分かるであろう。装置の各部分において、X、Y、およびZ軸の局所基準系が定義され得る。局所基準系のZ軸は、例えば、システムの所与の点において光軸Oの方向と一致する場合があり、または、パターニングデバイス(レチクル)MAの平面に対して垂直、かつ基板Wの平面に対して垂直である場合がある。放射源コレクタ装置42において、X軸は以下に説明する燃料流69の方向に実質的に一致する一方で、Y軸は燃料流69の方向に直交し、図3に示すようにページから出る向きである。その一方で、レチクルMAを保持するサポート構造MTの付近において、X軸は、概して、Y軸と位置合わせされたスキャン方向と交差する。便宜上、図2の概略図の領域において、表示されているとおり、再び、X軸はページから出る向きである。これらの指示は、当該技術分野において慣例的なものであり、便宜上、本明細書において用いられる。原則としては、任意の基準系を選択して装置およびその挙動を説明することができる。
【0045】
[0058] コントローラ20において多くの手段を利用することができる。そのような手段には、EUV放射放出プラズマ210の像の位置の監視が含まれる。この像は、仮想源点または中間焦点IFとも呼ばれ、コレクタミラー50の第2焦点、またはその付近に位置決めされる。それらの手段には、特に、放射源チャンバ47の出口において、中間焦点IFが開口52に対して中央に位置決めされることを確認することが含まれる。LPP源に基づくシステムにおいて、アライメント制御は、通常、コレクタ光学系50を移動させるのではなく、プラズマ210の位置を制御することによって達成される。コレクタ光学系、出口開口52、およびイルミネータILは、セットアッププロセス中に正確に位置合わせされるので、開口52はコレクタ光学系の第2焦点に位置する。しかし、放射源光学系の出口においてEUV放射によって形成された仮想源点IFの正確な位置は、コレクタ光学系の第1焦点に対するプラズマ210の正確な位置によって決まる。十分なアライメントを維持するのに十分な程度正確にこの位置を固定することは、通常、能動的監視および能動的制御を必要とする。
【0046】
[0059] このために、本例のコントローラ20は、燃料の注入および、例えば、レーザシステム61からのパルスを励振するタイミングを制御することによってプラズマ210(EUV放射源)の位置を制御し得る。典型的な例では、レーザ放射63のパルスの励振は、50kHz(20μs周期)の割合で、かつ、例えば20msから20秒続くバーストで送出される。各主レーザパルスの継続時間は1μsであり得る一方で、結果として得られるEUV放射パルスは、約2μs持続し得る。適切な制御によって、EUV放射ビーム55がコレクタ光学系50によって正確に集束され、かつ開口52に対して中央に位置決めされるということを維持することができる。これが達成されない場合、ビーム全体またはビームの一部が囲い構造の周囲材料に衝突することになる。そのような場合、放熱機構を用いて、囲い構造に入射するEUV放射を吸収することができる。
【0047】
[0060] 現在の方式によると、制御モジュール20には、プラズマ位置に関する情報の第1フィードバック経路を提供する1つ以上のセンサアレイ(図示せず)からの監視データが供給される。センサは、さまざまなタイプであってよく、例えば、米国特許出願公開第2005−0274897A1号に記載されている。センサは、放射ビーム経路に沿った2つ以上の位置に配置され得る。一実施形態において、センサは、例えば、フィールドミラーデバイス53の周囲に、および/またはフィールドミラーデバイス53の後ろに配置され得る。説明したセンサ信号は、イルミネータILおよび投影システムPSの光学システムの制御に用いることができる。放射源コレクタ装置42の制御モジュール20を支援してEUVプラズマ源73の強度および位置を調整するために、フィードバック経路を介してセンサ信号を用いることができる。センサ信号を処理して、例えば、仮想源IFの観察位置を決定することができ、これを外挿してEUV源の位置を間接的に決定する。センサ信号が示すように仮想源位置が変化する場合、制御モジュール20によって補正を適用して、再度、開口52においてビームを中央に位置決めすることができる。また、ビームデリバリシステム65は、ミラーを含むことができる。レーザシステム61によって発射されたレーザ光のメインパルスは、ミラーに入射してよく、ミラーによってターゲット材料69の小滴に向けて誘導されてよい。ミラーの傾斜角度を監視するそのようなミラーの付近にセンサを設けることができ、傾斜角度に関連する該当監視データは、制御モジュール20にフィードバックされる。制御モジュール20は、センサからの該当監視データを用いてアクチュエータACを作動させてミラーの傾斜角度を調整することができる。
【0048】
[0061] イルミネータセンサからの信号に全面的に頼るのではなく、通常、追加のセンサおよびフィードバック経路を放射源コレクタ装置42自体に設けて、放射源の、より高速な、直接的な、および/または独立的な制御を提供する。そのようなセンサは、例えば、プラズマの位置を監視する1つ以上のカメラを含み得る。手段のこのような組合せによって、ビーム55の位置を開口52に維持することができ、機器への損傷を回避し、放射の効率的な使用を維持する。
【0049】
[0062] プラズマ210の位置を監視することに加えて、照明システムのセンサおよびレチクルレベルのセンサは、EUV放射の強度を監視し、制御モジュール20へのフィードバックを供給する。従来、強度は、例えば、レーザパルスのエネルギーを調整することによって制御される。
【0050】
[0063] コレクタ光学系50によって通過させられた放射は、本例において、中間焦点IFの付近に位置する透過型フィルタスペクトル純度フィルタSPFを通過する。
【0051】
[0064] レーザ光のプリパルスおよびレーザ光のメインパルスで順にターゲット材料を照射する配置を備えるLPP EUV光源が、米国特許出願公開第2011−0013166号に記載されている。レーザ光のプリパルスは、レーザ光のメインパルスがターゲット材料に衝突する位置にターゲット材料が到達する前に、ターゲット材料を加熱し膨張させる役割を果たす。そのような配置において、改善された変換効率を得ることができる。加熱され膨張したターゲット材料の小滴は、本明細書において、小滴雲または雲とも呼ばれる。
【0052】
[0065] 図3は、ターゲット材料69の小滴が、所定のプラズマ形成位置73に対して小滴の軌跡の上流に位置する所定の前処理位置73’に到達する配置を概略的に示している。使用中、ターゲット材料69(例えば、SnまたはXe)の小滴は、図2において、所定の前処理位置73’および所定のプラズマ生成位置73の上方の位置から小滴を落下または発射させることによって、軌跡に沿って移動する。そのような小滴が所定の前処理位置73’に到達すると、光学利得媒体の少なくとも一部が位置決めされる、プリパルスのレーザ光ビーム経路83’が確立される。光学利得媒体は、メインパルスのさらなるビーム経路83に沿ってさらなる増幅光子ビームを生成して、所定のプラズマ形成位置73において前処理されたターゲット材料69の小滴と相互作用する。知られているように、レーザ放射ビームは、「ビームウエスト」として知られている位置まで漸減し、その後再び広がる有限の断面領域を有する。レーザビーム83のビームウエストは、プラズマ位置73の直前に示されているが、漸減はこれらの図面において非常に誇張されている。従って、所定のプラズマ形成位置73の位置に対するレーザビーム83のビームウエストの位置は、主レーザパルスが初めにレーザビーム83のビームウエストを横切り、次に所定のプラズマ形成位置73を横切るように配置される。
【0053】
[0066] 所定の前処理位置73’での相互作用は、ターゲット材料69の小滴が所定のプラズマ形成位置73に到達する前にターゲット材料69の小滴を加熱し膨張させる。これは、EUV放射が小滴から生成されるときに変換効率について有利であり得る。従って、所定の小滴または雲を伴うEUV放射システムは、より多くのEUV放射を提供することが期待され、それによって、EUV放射が用いられるいかなるリソグラフィ装置のスループットも向上させる。
【0054】
[0067] 変換効率が上昇するにつれて、基板上に設けられたレジスト層へのパターンの結像によってダイをパターニングするために適切な露光時間、つまり、適切な有効露光ドーズを設ける時間がより短くなる。従って、それに対応して十分に速いドーズ制御を設けることが望ましい。
【0055】
[0068] 本発明の一実施形態において、LPP源のパルスレーザは、40〜400kHzで動作する。本実施形態において、パルス単位で(従って、単一のレーザパルスについて、または少数のパルスについて)、励起レーザ放射のパルスによってEUV放射のパルスが加熱され膨張したSn燃料の一部の励起から生成される変換効率を制御することによって、EUV露光ドーズを制御する方法が提供される。ドーズ制御を設ける従来の方法は、COレーザを駆動するRFエネルギーを変化させるおよび/または制御することから成り立つことが理解されよう。COレーザのRFエネルギーを変化させることは、RFエネルギーを増加させることからCOレーザのパルスパワーが増加するまで、少なくとも100μsかかる低速機構である。この従来技術のDCは、例えば、100μsの時定数を有する一方、1つ以上の桁小さい時定数が十分高速のDCにとって望ましい。さらに、従来技術のDCによってシードレーザのパワーを変化させることは有効でないことが理解されよう。というのは、COレーザの最後の共振器は、通常、完全に消耗し、よってシードパワーを変化させることは出力パワーの変化につながらない。
【0056】
[0069] 本発明の一態様によれば、プリパルス送出の、対応するメインパルス送出に対するタイミングは、制御および/または調整され、それによってEUV生成プロセスの変換効率CEを変化させる。これは、メインパルスエネルギーを変化させることなく達成することができることが理解されよう。ただし、所望の場合、より長い時間尺度にわたってメインパルスエネルギーを調整することができる。プリパルスおよびメインパルスの相対的タイミングを変化させる効果が、図3および図4の比較によって概略的に示されている。例えば、図3および図4の矢印TRが示す小滴雲の軌跡は、メインパルスのタイミングによって影響を受けない。しかし、メインパルスが衝突する小滴雲の一部は、このタイミングによって影響を受ける。図4は、プリパルスに対するメインパルスの遅延の影響を示している。パルスが到着する時点で、燃料材料の一部はビーム経路83の外側に進んでおり、EUV放出プラズマに変換されないことになる。従って、図4に示す状況での変換効率は、図3に示す状況での変換効率より低い。同様に、仮にメインパルスのタイミングが進められる場合、燃料材料の一部がビーム経路にまだ入っていないことになり、変換効率は、再び、達成可能な最大値と比較して低減するであろう。
【0057】
[0070] 図5は、軌跡TRに沿う小滴雲と主レーザパルスとのアライメント度の詳細を概略的に示している。図5によると、ターゲット材料69の小滴流がターゲット材料源71から生成された後、レーザビーム83’を形成するレーザ光のプリパルスを、時間t0においてプリパルスレーザによって発射することができ、それによって各燃料小滴を燃料雲に変える。そして、当該燃料雲は、軌跡TRに沿って進む。軌跡TRは、プリパルスエネルギーP1によって決まる角度ψだけ当初の小滴の軌跡から逸れる。プリパルスまたはメインパルスを発射する時間は、ターゲット材料源71によって小滴を生成する時間に対する値であることが定義され得る。雲のサイズは、軌跡TRに沿って位置100、102、104を通過する際にさらに膨張し得る。従来、雲が軌跡に沿って移動して光軸Oを横切るとき、雲がメインパルスビーム経路83に完全に一致することができるように時間t2においてメインパルス83が発射されることが望ましい。しかし、本発明の一実施形態において、メインパルスを雲に対して送出する時間は、以下の式に従って、t2からオフセットを引いた時間においてメインパルスを送出することによって量dtだけ故意にオフセットされる。
【数2】

【0058】
[0071] 式(2)において、dtは、正の時間量であり、従って、時間dtによるオフセットは、結果的に時間t2より早くメインパルスレーザを発射させることになる。結果として、主ビーム経路83と雲との完全一致ではなく、指定された公称位置102においてビーム経路83と雲との部分アライメント領域が存在する。EUV放射エネルギーが雲と相互作用するメインパルス83のレーザエネルギーの一部から生成されると、部分アライメント、従ってビーム経路83とターゲット材料69との相互作用度を制御することによって、露光ドーズ制御を達成することができる。ビーム経路83と雲との完全一致と比較して、メインパルス83と雲との相互作用度を制御することが可能であり、それによって、メインパルス83による雲の燃料励起から生成されるEUV放射の量を制御する。従って、高速露光ドーズ制御は、メインパルス83とターゲット材料69の小滴との相互作用度を変化させることによって可能になる。これは、発射時間t2に対して、オフセットdtの上に、パルスごとに追加のオフセットδを適用することによってなされる。例えば、追加のオフセットδ=δ1(δ1は正の時間量)は相互作用の低下につながり、追加のオフセットδ=δ2(δ2は負の時間量)は相互作用の増加につながる。時間t2を量dtによって公称時間t2−dtまでオフセットすること(ここで、変換効率は達成可能最大値未満である)によって、公称値から上方または下方に変換効率を変化させることが可能であり、それによってフィードバック制御ループにおけるこの現象の利用を大幅に容易にすることが分かるであろう。X方向に沿う雲の速度コンポーネントはプリパルスエネルギーP1によって影響されないので、燃料雲の中心から光軸OへのX方向の距離は、メインパルス83の発射タイミングのみによって決定される。図5において、両矢印は、メインパルスの異なるタイミングについての距離dを示し、各両矢印は、関連するメインパルスタイミングを指す。図5に示すように、メインパルス83を雲に向けて発射するタイミングを制御することによって、メインパルスレーザビームによる燃料雲の部分アライメント、従って、雲とメインパルス83との相互作用度を変化させることが可能である。
【0059】
[0072] 図6は、公称位置102に対する雲のX軸距離に影響を及ぼすメインパルスタイミング調整値δ(追加のオフセット)の変換効率CEに対する効果を示すグラフである。図6を参照すると、δがゼロのとき、CE値は公称値CENOMである。CE値は、タイミング調整値δが−dtであるとき最大値CEMAXであり、これは、雲が光軸Oに到達してレーザビームと完全に一致するまで、図5に示すメインパルス83の発射時間を遅らせることを意味する。図6のCEのグラフによって、CEがタイミング調整値δとのおおよその線形関係を有する動作領域Rが与えられることが分かる。実際には、当然、線形関係はおおよそのものでしかなく、示したグラフは単に概略のものである。CE値をCENOMより小さくするために、調整値δは、ゼロより大きく、または−2dtより小さくすることになる。これは、t3>t2−(dt+δ2)およびδ2<−2dt(図5に示されていない)で、メインパルス83の発射時間が図示のようなt1=t2−(dt+δ1)、またはt3であることを意味する。
【0060】
[0073] このような実施形態によれば、変換効率を制御する方法は、達成可能な最大変換効率より低いもののターゲットEUV露光ドーズを達成するために十分なターゲット変換効率を設定することを含み、それによって変換効率を当該ターゲット変換効率の上方または下方に変化させることによって正および負の両方のドーズ補正をパルス間で適用できることが分かる。
【0061】
[0074] 変換効率は、メインパルスレーザ放射ビームの断面積と膨張した燃料材料の雲の断面積との相互断面(重なり度)を変化させることによって変化する。燃料材料がレーザ放射の断面を横切る一方で、レーザ放射の各パルスのタイミングを進める、または遅らせることによって少なくとも部分的に相互断面を変化させることができ、それによってより多いまたはより少ない割合の当該材料がパルスの時間におけるレーザ放射断面内にある。
【0062】
[0075] ダイの露光に寄与する1つ以上のEUVパルスについてのEUVパルスエネルギーに基づいて、次のパルスについての新しいEUVエネルギーセットポイントを導出し、次のメインパルスまたはパルス群のタイミング調整値δを変化させることによって上方または下方に制御することができる。より長い時定数でのフィードバックにより、従来のフィードバック制御を介してレーザエネルギーを調整することによって、タイミング調整値で観測されたバイアスを解消することができる。
【0063】
[0076] 図7の(a)、(b)、(c)は、δ1=δ2=dtである状態についての、図5に示す、メインパルスレーザビーム83と軌跡TRに沿う異なる位置100、102、102cにおける燃料雲との相互作用度のより詳細なXZ面断面を概略的に示している。図7(a)は、メインパルスの発射時間がt2−dtであり、それによって燃料雲と光軸Oとの間の当該X軸方向距離がdである状態を示している。図7(b)は、メインパルスの発射時間がt1=t2−2dtであり、それによって燃料雲と光軸Oとの間の当該X軸方向距離がdより長い状態を示している。図7(c)は、メインパルス83の発射時間がt2であり、それによって雲とメインパルス83との完全一致が存在する状態を示している。従来、雲の位置102cは雲のターゲット位置または公称位置として選択されるものであるが、そのような場合、メインパルス83と雲との相互作用度を変化させるだけでは露光ドーズを上方に調整することはできず、その代わりに、露光ドーズの下方調整のみが可能である。雲の公称位置が位置102(図7(a))として設定される場合、パルス単位で、雲とメインパルス83との相互作用度を下方に(図7(b))または上方に(図7(c))変化させることができ、それによって高速のドーズ制御を達成する。
【0064】
[0077] 図7に示す公称位置102のオフセットの望ましくない副作用は、メインパルスレーザ放射と相互作用する燃料雲の一部の位置の非対称である。結果として、EUV放射源である生成されたプラズマは、変化する量だけ光軸Oからオフセットされる。そのようなオフセットは、照明システムILに入るEUV放射の強度分布の非対称および潜在的な他の変化を発生させ、これは投影システムPSの結像の質に悪影響を及ぼすおそれがある。この非対称を解消または平均する、さらなる実施形態およびその変更例を説明する。これに対する第一の解決策は、図8を参照して以下にさらに説明するように、「反対」方向に次のメインパルスをオフセットすることである。別の解決策は、図9を参照して以下にさらに説明するように、雲とレーザビーム経路メインパルスの両方を調整することである。
【0065】
[0078] 図10は、上記実施形態の第1変更例における、2つの燃料雲とレーザ放射の2つのメインパルスとの相互作用度のより詳細なXZ平面断面を概略的に示している。図8(a)は、図7と同様に、プリパルスタイミングに対する時間t2−dtにおいて第1メインパルスを発射することを示している。ただし、第2メインパルスは、t2+dtにおいて、すなわち、第1パルスで用いられたオフセットと反対のオフセットで発射される。第1メインパルスとその燃料雲との相互作用領域は122として網掛けされ、第2メインパルスとその燃料雲との相互作用領域は124として網掛けされている。第1メインパルスと第2メインパルスを発射するためのオフセット−dtおよび+dtを有する効果は、X方向に同等でかつ反対の量だけ、相互作用領域、従って生成されたプラズマをオフセットすることである。結果として、図7(a)と比較して、2つのパルスにわたって平均された際のEUV放射の強度分布は、光軸Oを中心としてより対称的である。この平均対称は、タイミング調整値を変化させて上方および下方に変換効率を制御しながら維持することができる。図8(b)は、減少した相互作用領域が132および134としてそれぞれ示される、図7(b)に示す状態の対称バージョンを示している。図8(c)は、相互作用領域が最大に増加している、図7(c)に示す状態の対称バージョンを示している。
【0066】
[0079] 図9は、第1実施形態の別の変更例における2つの異なる状態での雲とメインパルスとの相互作用度のより詳細な断面を概略的に示している。この図の平面はXY平面であり、従って光軸Oの方向はページに入る(またはページから出る)方向である。この変更例において、レーザパルスのタイミングの変化とともに、レーザ放射の断面積の位置がオフセットされ、パルスごとに変化し、それによって、変換効率が変化しながらリソグラフィ装置の光軸に対する強度分布の変化が低減する。
【0067】
[0080] 図9(a)は、公称変換効率における、燃料雲の位置100aおよびレーザビーム経路83aの断面図である。オフセットdtを適用し、それによって燃料雲69が光軸Oを中心に位置決めされる少し前に(または少し後に)に発生するようにレーザパルスを時間調整する。しかし、この変更例では、図7(a)に見られたプラズマ位置の非対称を回避するために、レーザビーム経路83も位置83aと反対方向にオフセットされる。燃料雲のオフセットはdtと表記され、レーザビームのオフセットはdLと表記される。反対方向のこれら2つのオフセットの結果として、雲とレーザパルスとの相互作用領域202は、少なくともおおよそ、光軸Oを中心に位置決めされたままである。
【0068】
[0081] レーザオフセットdLは、レーザ放射をプラズマ位置73に送出するミラーまたは他の光学系65を動かすまたは傾斜させることによって適用できる。そのようなレーザオフセットdLを既定の態様、またはゆっくり変化する態様で適用して、公称変換効率値に関連付けられたオフセットによって生じた非対称を単に低減させ得る。あるいは、光学系を十分に速く動かすことができる場合、パルス単位の変化の一部としてレーザオフセットdLが適用され得る。図11(b)は、光軸を中心に相互作用領域200を正確に位置決めし続けながら雲の位置とレーザビームの位置の両方を調整してパルス毎に変換効率を低減するためのさらなる選択肢を示している。レーザパルスのタイミング(調整値δ)のみを調整するのではなく、レーザビーム経路83の位置も、新しい位置83bに対してパルス毎に調整(調整値δL)する。反対方向の調整(図示せず)を行って公称値の上方に変換効率を上昇させることができる。
【0069】
[0082] 図10は、光軸と交差し、かつパターニングデバイスMAおよび基板Wの付近にある平面におけるスキャン方向と非スキャン方向の差を示している。パターン付き照明の縞またはスリットSTは、スキャン方向、すなわち慣例によりY方向に基板のターゲット部分を横切る。スキャン(Y)方向の非対称および照明の他の変化は、スキャン動作中、平均される傾向がある。しかし、非スキャン(X)方向に沿って、EUV強度分布の非対称または他の変化は、基板上の結果として得られる像の系統的非均一性につながることになる。照明システムILはそのような変化を大幅に低減させるように設計されるが、変化を完全に解消することはできない。このため、プラズマ位置においてX方向の非対称を最小にすることができることが特に有用である。
【0070】
[0083] 上記実施形態および変更例の異なる素子を組み合わせて所望の性能を実現することができる。また、小滴を生成する時間を制御してメインパルスを発射する時間を制御する効果と同様の効果が得られ得ると理解されたい。ただし、レーザパルスタイミングを制御することは、パルス単位の時間尺度においてより容易であり得る。
【0071】
[0084] 図11は、本発明の一実施形態の動作を概略的に示している。ここで、雲とメインパルス83との低減した相互作用は、プリパルスエネルギーを低減させることによって達成され、そして、プリパルスエネルギーを変化させてパルス毎に変換効率を変化させる。発明者らは、レーザビームと燃料雲との完全一致が存在する状態であっても、変換効率が雲のサイズによって変化するという証拠を持っている。小滴全体がレーザビーム内にあっても、多くの要因が燃料材料とレーザ放射との相互作用の質に影響を及ぼす場合があることが理解されよう。
【0072】
[0085] 図11によると、プリパルスがビーム経路83’においてエネルギーP1aで発射される場合、メインパルスが発射される際に、雲は時間T2において大きい膨張サイズLである。プリパルスがより低いエネルギーP1bで発射される場合、雲は時間T2において小さい膨張サイズSである。プリパルスが発射されない場合、時間T2において雲は存在せず、メインパルスが時間T2において膨張していない小滴NCに向かって発射される。メインパルスエネルギーとは無関係にプリパルスエネルギーを制御することができる場合、図12に示すように、メインパルスのエネルギーが一定である場合、雲の低減されたサイズがより低いCEをもたらすことがある。図12において、変換効率CEは、プリパルスエネルギーP1の関数としてグラフ化され、メインパルスエネルギーP2は一定である。横軸に沿って、プリパルスエネルギー(P1=0、P1a、P1b、P1c)と、対応するサイズ膨張度(NC、S、L、XL)の両方が示されている。
【0073】
[0086] 従って、本発明の一態様によれば、前述の新しいEUVエネルギーセットポイントもプリパルスエネルギーの変化に変えることができる。プリパルスがメインパルスと同一の共振器から出るCOレーザの場合、これは、プリパルスが共振器を消耗させないので、シードパワーを低減させることによって達成することができる。プリパルスとメインパルスとを同一のレーザから得る必要はないことが理解されよう。プリパルスは別個のYAGレーザによって送出されてもよく、例えば、そのような場合、複雑化することなくプリパルスパワーを独立して変化させることができる。
【0074】
[0087] 本発明の一態様による一実施形態において、前述の第2実施形態内であり、かつ図11に示す、プリパルスレーザビーム83’およびメインパルスレーザビーム83のビームウエストの配置は、プリパルスエネルギーの望ましくないパルス単位の変化が変換効率の実質的な変化につながらないようにされる。これは、変換効率が実質的に一定である値、例えば、変換効率がその最大値CEMAXをとる値に公称プリパルスエネルギーP1を設定することによって達成することができる。図12において、そのような公称プリパルスエネルギーは、値P1=P1dによって示されている。従って、図11の実施形態に構成において、このように、プリパルスエネルギーP1のパルス単位の変化がある状態で、固有の露光ドーズ安定性が与えられ得る。固有の露光ドーズ安定性を可能にするプリパルスレーザビーム83’およびメインパルスレーザビーム83のビームウエストの配置の特徴は、プリパルスレーザビームおよびメインパルスレーザビームが実質的に平行であり、かつ、メインパルスレーザビーム83のビームウエストの位置が、プリパルスレーザビーム83’のビームウエストから離れるようにレーザ光の伝播方向に沿ってずれることである。後者のレーザビームウエストは、所定の前処理位置73’と実質的に一致する。
【0075】
[0088] 図11および図12において、燃料雲全体がレーザビーム断面内にあると同時にCEの変化が達成される。図13は、単に相互作用の質のみならずレーザビームと相互作用する雲の割合が変化する、プリパルスエネルギーの変化に基づいた実施形態を示している。図13を参照すると、プリパルスがエネルギーP1cで発射される場合、メインパルスが発射される際に、雲は時間T2において完全に膨張したサイズLである。プリパルスがより高いエネルギーP1dで発射される場合、雲は時間T2において過度に膨張したサイズXLであるので、そのサイズは大きすぎて主ビーム経路83内に効果的に収まらない。メインパルスエネルギーとは無関係にプリパルスエネルギーが制御される場合、プリパルスエネルギーの増加はメインパルスエネルギーの増加に必ずしも関係しない。膨張した雲のサイズが主レーザパルスの断面積より大きい程度までプリパルスエネルギーを増加させる場合、図14に示すようにCE値が減少することになる。
【0076】
[0089] 前述の実施形態のように、プリパルスは、同一のレーザシステムに由来しても別個のレーザに由来してもよい。図11〜図14の実施形態において、プラズマが生成される相互作用領域は光軸を中心に位置決めされたままである。従って、上述したような非対称を補正する方策は、必ずしも必要でない場合がある。上述の方法を組み合わせて露光ドーズの制御を達成し得ることが理解されよう。
【0077】
[0090] 上述の方法は別として、コレクタ光学系COに対してプラズマの焦点はずれを起こさせることによって露光ドーズを制御することが可能であり得るので、放射エネルギーの一部のみがIF開口を通過し、放射エネルギーの残りが囲い構造に入射する。しかし、囲い構造に入射する放射エネルギーは熱をもたらし、囲い構造に損傷を与え得るので、プラズマの焦点はずれを起こさせることは通常望ましくない。従って、プラズマの焦点はずれを起こさせることによって露光ドーズを制御する場合、そのような場合に熱を吸収するために放熱機構を有することが必要である。
【0078】
[0091] 図示しないさらなる実施形態において、X方向の代わりに、または、X方向に加えて、小滴および/またはレーザビームをY方向にずらすことによって変換効率を変化させてよい。Y方向のずれを実施することはより難しい場合があるが、結像性能への悪影響無しに非対称をスキャン方向に発生させることができるという利点を有し得る。
【0079】
[0092] 図示しないさらなる実施形態において、X方向および/またはY方向の代わりに、または、X方向および/またはY方向に加えて、Z方向にレーザビーム(ビームウエスト)の焦点を動かすことによって変換効率を変化させてよい。これは、プリパルスおよび/またはメインパルスのためであり得る。このことが変換効率に影響を及ぼすメカニズムは、レーザ放射と燃料材料との相互作用の質を変えることによって、および/または、レーザビームと相互作用する雲の割合を低減させることによることであってよい。そのようなすべての実施形態において、公称変換効率を達成可能最大値未満に設定するようにコントローラを設計するという原理を採用することができ、それによって公称値からの上方および下方への容易な調整が可能になる。
【0080】
[0093] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。
【0081】
[0094] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途に使われてもよい。さらなる実施形態が、以下のように番号付けられた節によって設けられてよい。
【0082】
[0095] 1. 対応する励起レーザ放射ビームのパルスにより膨脹、加熱された燃料材料の一部の励起によってEUV放射のパルスが生成されるタイプのEUV放射源を有するリソグラフィ装置のEUV露光ドーズを制御する方法であって、該レーザ放射が該EUV放射に変換される変換効率をパルス毎に制御することを含み、前記燃料材料は、最初に燃料小滴として送出され、次に所定の前処理位置において該小滴は、励起位置において前記励起レーザ放射ビームに衝突する前にプリパルスレーザビームによって加熱され膨張し、前記変換効率を制御することは、前記プリパルスレーザビームのビームウエストの位置が前記所定の前処理位置に実質的に一致するように前記プリパルスレーザビームを配置することと、前記励起レーザ放射ビームのビームウエストの位置が前記励起位置から離れるようにレーザ光の伝播方向に沿ってずれるように、前記励起レーザ放射ビームを配置することと、を含む、方法
【0083】
[0096] 2. 前記変換効率を制御することは、達成可能最大変換効率より低いがターゲットEUV露光ドーズを達成するのに十分なターゲット変換効率を設定し、該変換効率を該ターゲット変換効率の上および下に変化させることによって正および負の両方のドーズ補正をパルス間で適用できるようにすることを含む、前記1に記載の方法。
【0084】
[0097] 3. 前記変換効率を制御することは、前記励起レーザ放射ビームパルスに対する前記プリパルスレーザビームのエネルギーを変化させることによって前記燃料材料の膨張度を変化させることを含む、前記節2又は3記載の方法。
【0085】
[0098] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。
【0086】
[0099] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。従って、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応する励起レーザ放射のパルスにより膨脹、加熱された燃料材料の一部の励起によってEUV放射のパルスが生成されるタイプのEUV放射源を有するリソグラフィ装置のEUV露光ドーズを制御する方法であって、達成可能最大変換効率より低いがターゲットEUV露光ドーズを達成するのに十分なターゲット変換効率を設定することによって該レーザ放射が該EUV放射に変換される変換効率をパルス毎に制御し、該変換効率を該ターゲット変換効率の上および下に変化させることによって正および負の両方のドーズ補正をパルス間で適用できるようにすることを含む、方法。
【請求項2】
前記変換効率を制御することは、前記励起レーザ放射の断面積と前記膨張した燃料材料の断面積との相互断面を変化させることによって、各レーザパルスによって励起された前記膨張した燃料材料の割合を制御することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記燃料材料が前記レーザ放射断面を横切る一方で励起レーザ放射の各パルスのタイミングを進める、または遅らせることによって前記相互断面を少なくとも部分的に変化させ、より多いまたはより少ない割合の前記燃料材料が該パルスの該時間において前記レーザ放射断面内にあるようにする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記燃料材料は、最初に燃料小滴として送出され、次に前記励起レーザ放射パルスに衝突する前にレーザ放射のプリパルスによって加熱され膨張し、前記変換効率を制御することは、前記励起レーザ放射パルスに対するプリパルス送出のタイミングを変化させることによって前記励起レーザ放射パルスの該時間において前記燃料材料の位置を変化させることを含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記燃料材料は、最初に燃料小滴として送出され、次に前記励起レーザ放射パルスに衝突する前にレーザ放射のプリパルスによって加熱され膨張され、前記変換効率を制御することは、前記励起レーザ放射パルスに対するプリパルスのエネルギーを変化させることによって前記燃料材料の膨張度を変化させることを含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ターゲットプリパルスエネルギーが、最大達成可能変換効率に対応するサイズより小さいがターゲットEUV露光ドーズを達成するのに十分な程度に前記燃料材料が膨張するレベルに設定され、前記プリパルスエネルギーを該ターゲットプリパルスエネルギーの上および下に変化させることによって正および負の両方のドーズ補正をパルス間で適用できるようにする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ターゲットプリパルスエネルギーが、最大達成可能変換効率に対応するサイズより大きいがターゲットEUV露光ドーズを達成するのに十分な程度に前記燃料材料が膨張するレベルに設定され、前記プリパルスエネルギーを該ターゲットプリパルスエネルギーの上および下に変化させることによって正および負の両方のドーズ補正をパルス間で適用できるようにする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記変換効率の変化は、前記リソグラフィ装置の光軸に対する前記EUV放射の強度分布の変化も引き起こし、前記変換効率は、異なるパルスにわたって平均された、より均一な強度分布を維持するために、異なるパルスについての異なる動作によって変化する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記変換効率の変化は、前記励起レーザ放射の断面積に対する前記EUV放射の強度分布の変化も引き起こし、前記励起レーザ放射の前記断面積の位置は、前記リソグラフィ装置の光軸に対する前記強度分布の変化を低減させるために、前記変換効率が変化しながらパルス毎に変化する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記レーザ放射の前記断面積の前記位置を変化させることは、1つ以上の可動光学素子を用いて実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記燃料材料は、最初に燃料小滴として送出され、次に所定の前処理位置において、該燃料材料は、前記励起レーザ放射パルスに衝突する前にレーザ放射のプリパルスによって加熱され膨張し、前記変換効率を制御することは、
プリパルスレーザビームとメインパルスレーザビームとを実質的に平行になるように配置することと、
前記メインパルスレーザビームのビームウエストの位置を、前記プリパルスレーザビームのビームウエストから離れるようにレーザ光の伝播方向に沿ってずれるように配置することであって、前記プリパルスレーザビームのビームウエストが前記所定の前処理位置と実質的に一致することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
パターン付き放射ビームを基板上に投影することであって、該放射が請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法によって制御されたドーズのEUV放射であることを含む、デバイス製造方法。
【請求項13】
EUV放射源と、
前記EUV放射源から受けた放射ビームを調整する照明システムと、
前記放射ビームの断面にパターンを与えてパターン付き放射ビームを形成可能なパターニングデバイスを支持するサポートと、
基板を保持する基板テーブルと、
前記パターン付き放射ビームを前記基板のターゲット部分上に投影する投影システムと、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法により前記EUV放射源によって生成された露光ドーズを制御するコントローラと、
を備える、リソグラフィ装置。
【請求項14】
対応する励起レーザ放射のパルスにより膨脹、加熱された燃料材料の一部の励起によってEUV放射のパルスが生成されるタイプのEUV放射源を有するリソグラフィ装置のEUV露光ドーズを、達成可能最大変換効率より低いがターゲットEUV露光ドーズを達成するのに十分なターゲット変換効率を設定することによって該レーザ放射が該EUV放射に変換される変換効率をパルス毎に制御し、該変換効率を該ターゲット変換効率の上および下に変化させることによって正および負の両方のドーズ補正をパルス間で適用できるようにすること、によって制御することと、
前記EUV放射をパターニングしてパターン付き放射ビームを形成することと、
前記パターン付き放射ビームを基板上に投影することと、
を含む、デバイス製造方法。
【請求項15】
EUV放射源と、
前記EUV放射源から受けた放射ビームを調整する照明システムと、
前記放射ビームの断面にパターンを与えてパターン付き放射ビームを形成可能なパターニングデバイスを支持するサポートと、
基板を保持する基板テーブルと、
前記パターン付き放射ビームを前記基板のターゲット部分上に投影する投影システムと、
達成可能最大変換効率より低いがターゲットEUV露光ドーズを達成するのに十分なターゲット変換効率を設定することによって、膨張、加熱された燃料材料の一部の励起によって励起レーザ放射がEUV放射に変換される変換効率をパルス毎に制御し、該変換効率を該ターゲット変換効率の上および下に変化させることによって正および負の両方のドーズ補正をパルス間で適用できるようにすること、によって前記EUV放射源によって生成された露光ドーズを制御するコントローラと、
を備える、リソグラフィ装置。
【請求項16】
対応する励起レーザ放射ビームのパルスにより膨脹、加熱された燃料材料の一部の励起によってEUV放射のパルスが生成されるタイプのEUV放射源を有するリソグラフィ装置のEUV露光ドーズを制御する方法であって、該レーザ放射が該EUV放射に変換される変換効率をパルス毎に制御することを含み、前記燃料材料は、最初に燃料小滴として送出され、次に所定の前処理位置において該小滴は、励起位置において前記励起レーザ放射ビームに衝突する前にプリパルスレーザビームによって加熱され膨張し、前記変換効率を制御することは、
前記プリパルスレーザビームのビームウエストの位置が前記所定の前処理位置に実質的に一致するように前記プリパルスレーザビームを配置することと、
前記励起レーザ放射ビームのビームウエストの位置が前記励起位置から離れるようにレーザ光の伝播方向に沿ってずれるように、前記励起レーザ放射ビームを配置することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記変換効率を制御することは、達成可能最大変換効率より低いがターゲットEUV露光ドーズを達成するのに十分なターゲット変換効率を設定し、該変換効率を該ターゲット変換効率の上および下に変化させることによって正および負の両方のドーズ補正をパルス間で適用できるようにすることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記変換効率を制御することは、前記励起レーザ放射ビームパルスに対する前記プリパルスレーザビームのエネルギーを変化させることによって前記燃料材料の膨張度を変化させることを含む、請求項16または17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図12】
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【図14】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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