説明

FPDモジュール組立装置及びFPDモジュール製造方法

【課題】表示基板の製造ラインで、フィルムに連続して形成された搭載基板を打ち抜いて、表示基板に搭載させる際の精度向上と、製造効率の向上を図る。
【解決手段】搭載基板20が連続して形成されたフィルムの供給元11と、搭載基板の打ち抜き部40との間の所定位置で第1の撮像部61により搭載基板20を撮像する。また、打ち抜き部40で打ち抜かれた搭載基板20を第2の撮像部63で撮像する。そして、両撮像部61,63で撮像された画像から、打ち抜き部40でフィルム10から搭載基板20を打ち抜く位置を調整する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPD(Flat Panel Display)モジュールの組立てを行うFPDモジュール組立装置、及びFPDモジュール製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FPDには、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等がある。本明細書でFPDと称した場合、これら各種方式の平面状のディスプレイを示す。
このFPDにおける表示パネルを構成する基板の周縁部に、表示パネルを駆動する駆動回路チップである駆動ICを接続するようにしてある。その駆動ICの接続としては、例えば、COF(Chip on Film)タイプの搭載基板のTAB(Tape Automated Bonding)搭載が行われる。
また、表示基板の周辺には、PCB(Printed Circuit Board)等のその他の搭載基板が実装され、その結果、FPDモジュールが組み立てられる。
FPDモジュールの組立ラインでは、複数の処理工程により、表示基板の周縁部などに、搭載基板等の実装を行う。
【0003】
COFタイプの搭載基板は、長尺のフィルムに連続した状態で電極パターンなどが形成され、半導体チップが、連続した状態のままのフィルムに搭載される。
そして、FPDモジュールの組立ラインにおいて、半導体チップが搭載されたフィルムから、打ち抜き機で1つ1つの搭載基板を打ち抜く作業を行う。そのような作業で打ち抜かれた搭載基板を、表示基板の周縁部などに搬送し、表示基板上に実装させる作業を行う。
【0004】
このようなCOFタイプの搭載基板が形成されたフィルムは、長手方向と直交する左右の端部に、透孔が一定間隔で連続して設けてある。その透孔を配置する間隔(孔ピッチ)は、フィルム上の搭載基板が配置される間隔(基板ピッチ)と、一定関係を有するようにしてある。
そして、そのフィルムの左右の端部の透孔を、フィルム送り機構側のスプロケットピンに嵌めて、位置決めが行われた上でフィルム送りができるようにして、フィルムを打ち抜き機まで搬送させる。
【0005】
打ち抜き機が配置された位置では、フィルム上の搭載基板を、打ち抜き型で1つずつ打ち抜く。フィルムの端に設けられた透孔の孔ピッチと、フィルム上の搭載基板の基板ピッチとは、例えば、孔ピッチを5mmとして、基板ピッチを15mmとしたとき、孔の3個分ずつフィルムを移動させれば、打ち抜き機の打ち抜き型の上に、次々にフィルム上の搭載基板が位置するようになり、搭載基板を正確に打ち抜くことができる。
このようにして打ち抜かれた搭載基板を、表示基板に実装させる位置まで搬送させる。
【0006】
特許文献1には、この種の搭載基板が形成されたフィルムを、打ち抜き機で打ち抜く構成の一例についての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−47553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、COFなどの搭載基板は、製造効率を向上させるために、フィルムに搭載基板を形成させるピッチを短くして、フィルムの無駄になる面積を減らすことが提案されている。このようなピッチを詰める処理を行うと、フィルムの両端のスプロケット用孔のピッチと、搭載基板の形成ピッチとが一致しなくなる場合があり、搭載基板の打ち抜き時に、スプロケットの送り量の単純な制御だけでは、精度が不十分である問題があった。
【0009】
また、搭載基板は、小型化及び効率化のために、電極パターンを非常に狭いピッチで基板上に配置するようになっており、搭載基板の各電極を表示基板側の決められた位置と合わせて搭載させるために、搭載基板上の電極位置を高精度に設定する必要が生じている。このような点からも、フィルムから搭載基板を打ち抜く際の精度向上が要求されている。
【0010】
本発明は、表示基板の製造ラインで、フィルムに形成された搭載基板を打ち抜いて、表示基板に搭載させる際の精度向上と、製造効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、搭載基板が連続して形成されてロール状に巻き取られたフィルムからフィルムを送り出すフィルム移送機構部と、フィルム移送機構部により送り出されたフィルムから、搭載基板を打ち抜く打ち抜き部を備える。さらに、フィルムの供給元と打ち抜き部との間の所定位置でフィルムを撮像する第1の撮像部と、打ち抜き部で打ち抜かれた搭載基板を撮像する第2の撮像部と、打ち抜き部で打ち抜かれた搭載基板を表示基板の搭載位置まで搬送させて、表示基板に搭載させる搭載処理部とを備える。
そして、第1の撮像部及び第2の撮像部で撮像された画像から、打ち抜き部でフィルムから搭載基板を打ち抜く位置を調整する制御部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、フィルムから搭載基板を打ち抜く際の位置の調整が、フィルム送りを行う途中で撮像した画像と、打ち抜いた後に撮像した画像との2つの画像から判断した誤差で行われ、精度のよい位置調整が行える。このため、例えばフィルム送りのためのフィルムの端の透孔のピッチと、フィルムに搭載基板を配置するピッチが、一定の関係でない構成としても、正確に搭載基板を打ち抜くことができる。従って、搭載基板の打ち抜き精度を維持した上で、COFタイプの基板をフィルム上に無駄なく狭い間隔で配置させる等の効率化が行える効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態の例によるFPDモジュール製造装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態の例によるFPDモジュール製造装置の搭載基板の打ち抜き部の近傍の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態の例によるフィルム構成を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施の形態の例による搭載基板を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施の形態の例による制御処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態の例について、添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する一実施の形態の例は、本発明の好適な例を示したものであるが、本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
説明は以下の順序で行う。
1.FPDモジュール組立装置の全体構成例(図1)
2.搭載基板の打ち抜き構成例(図2−図4)
3.制御構成例(図5)
4.変形例
【0015】
[1.FPDモジュール組立装置の全体構成例]
まず、図1を参照して、本実施の形態の例のFPDモジュール組立装置の全体構成について説明する。
本実施の形態の例においては、液晶表示パネルで構成されるFPDモジュール組立て装置に適用した例である。
【0016】
図1は、フィルム10に形成された搭載基板であるCOF基板20を打ち抜いて、その打ち抜かれたCOF基板20を、表示パネル80に搭載させて、FPDモジュールを組立てる製造ラインの装置構成例を示したものである。図1では、COF基板20をフィルム10から打ち抜く構成を中心に示してあり、その他の部分は概要を示してある。
【0017】
図1に示したように、供給リール11から引き出したフィルム10を、第1送りローラ31及び第2送りローラ32などを介して巻取リール12に移送させるフィルム移送処理を行う構成としてあり、第1送りローラ31と第2送りローラ32との間には、打ち抜き部40を配置してある。図1では、フィルム10が移動する方向(フィルムの長手方向)をx方向としてある。
第1送りローラ31は、第1モータ33で回転駆動される構成としてあり、第2送りローラ32は、第2モータ34で回転駆動される構成としてある。
なお、供給リール11に巻き取られたフィルム10に連続して形成されたCOF基板20には、既に電極が形成されていると共に、ICチップなどの半導体チップについても基板上に既に搭載された状態である。従って、打ち抜き部40で抜き取ることで、表示パネル80に搭載させる搭載基板として完成したCOF基板20が得られる。
【0018】
第1送りローラ31を回転させる第1モータ33と、第2送りローラ32を回転させる第2モータ34とは、それぞれ送りモータ駆動部74からの駆動信号の供給で回転が制御される。第1送りローラ31を回転させる第1モータ33は、回転位置を制御するモータとして機能し、第2送りローラ32を回転させる第2モータ34は、トルクを制御するモータとして機能するように、送りモータ駆動部74が制御する。
【0019】
また、打ち抜き部40の打ち抜き位置の直前のフィルム10を、ガイドローラ51,52で挟むようにしてあり、さらに、打ち抜き部40の打ち抜き位置の直後のフィルム10を、ガイドローラ53,54で挟むようにしてある。このガイドローラ51−54は、図示しない機構で、フィルム10が移動する方向(長手方向)xと直交する幅方向に移動して、フィルム10の幅方向の位置調整が行われる。この幅方向の位置調整は、フィルムガイド駆動部75による駆動制御で行われる。
【0020】
打ち抜き部40は、打ち抜き位置に配置されたフィルム10のCOF基板20を、打ち抜き型41で打ち抜く構成としてある。打ち抜かれたCOF基板20は、この例では図2に矢印Pで示すように上側に打ち上げ、COF基板搬送処理部77による搬送処理で、COF基板20を保持して、液晶画像表示パネルである表示パネル80に実装される位置まで搬送される。表示パネル80に実装される位置まで搬送されたCOF基板20は、基板実装処理部76の制御で、表示パネル80の縁部などに実装させる搭載処理が行われる。基板実装処理部76は、制御部71の制御に基づいて実装処理を行う。COF基板搬送処理部77による搬送処理についても、制御部71の制御に基づいて実行される。
【0021】
第1送りローラ31と打ち抜き部40との間のフィルム10の表面は、ビデオカメラである第1撮像部61で撮像する撮像処理を行う構成としてある。第1撮像部61には、レンズ部62が取り付けてあり、移動するフィルム10の表面(又は裏面)を撮像する。
また、打ち抜き部40で打ち抜かれたCOF基板20が搬送される途中で、COF基板20の表面を、ビデオカメラである第2撮像部63で撮像する撮像処理を行う構成としてある。第2撮像部63には、レンズ部64が取り付けてあり、搬送途中のCOF基板20の表面(又は裏面)を撮像する。
これらの第1撮像部61及び第2撮像部63は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを撮像素子として使用した、いわゆるCCDカメラや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサを撮像素子として使用したCMOSカメラが適用可能であり、フィルム10の移送やCOF基板20の搬送に連動して撮像を行う。撮像時に照明が必要な場合には、各撮像部61,63の近傍に各種ライトを配置する。
【0022】
第1撮像部61で撮像して得た画像データは、第1認識部72に供給する。第1認識部72では、画像認識処理で、フィルム10上に配置されたCOF基板20の位置を検出する。第1認識部72で検出したCOF基板20の位置(送り位置)のデータは、制御部71に供給する。制御部71では、第1認識部72から供給されるCOF基板20の位置のデータと、基準となる位置のデータとのずれを示す誤差値を判断する。
【0023】
第2撮像部63で撮像して得た画像データは、第2認識部73に供給する。第2認識部73では、画像認識処理で、COF基板20の打ち抜き状態の精度に関するデータを検出する。第2認識部73で検出したCOF基板20の打ち抜き精度のデータは、制御部71に供給する。制御部71では、第2認識部73から供給されるCOF基板20の打ち抜き精度のデータを統計処理して平均化し、その平均値を得る。
なお、第1認識部72でCOF基板20の位置を検出する処理と、第2認識部73でCOF基板20の打ち抜き精度を検出する処理の具体的な例については、図2以降の説明で後述する。
【0024】
そして、制御部71で得られた、フィルム10上のCOF基板20の送り位置のデータと、COF基板20の打ち抜き精度のデータを使用して、送りモータ駆動部74に指示を行い、フィルム10の送り量の補正を行う。また、制御部71に得られたこれらのデータに基づいて、フィルムガイド駆動部75に指示を行い、フィルム10の幅方向のずれの補正を行う。これらの補正処理の詳細は、図4のフローチャートの説明で後述する。
【0025】
[2.搭載基板の打ち抜き構成例]
次に、図2〜図4を参照して、表示パネルの搭載基板であるCOF基板20を、フィルム10から打ち抜く詳細構成の例について説明する。
図2では、第1送りローラ31から第2送りローラ32までの間のフィルム10とその近傍の構成を示す。
【0026】
本実施の形態の場合には、図3に示すように、フィルム10は、フィルムの幅方向の左右の端部に一定間隔で連続して透孔13が設けてある。この透孔13は、例えば5mmピッチで連続して配置してある。フィルム10の横幅は、例えば35mmから70mm程度までの間の値である。フィルム10の上にCOF基板20を形成させるピッチは、例えば10mmから15mm程度までの間の一定値としてある。フィルム10は、例えばポリイミドフィルムなどから構成される。
なお、本実施の形態の場合には、透孔13のピッチと、フィルム10の上にCOF基板20を形成させるピッチとには、一定の関係がなくてもよい。具体的には、例えば透孔13を5mmピッチとしたとき、従来はCOF基板20を形成させるピッチを10mmや15mmなどの整数倍の関係としてあったが、本実施の形態の場合には、そのような整数倍の関係はなくてもよい。但し、透孔13のピッチとCOF基板20の配置間隔とが整数倍であっても差し支えない。また、図3の例では、フィルム10の一方の端部と他方の端部のそれぞれに透孔13を配置したが、いずれか一方の端部だけに一定間隔で透孔13を配置した構成でもよい。
【0027】
図4は、フィルム10から抜き取られたCOF基板20を平面的に見た図である。この図4に示すように、COF基板20の表面には、半導体チップ21が取り付けてあり、また導電材が配置された電極23が形成されている。また、COF基板20の表面の一方の側面寄りの位置に、アライメントマーク24が配置してあり、他方の端面寄りの位置にも、アライメントマーク25が配置してある。この2つのアライメントマーク24,25は、例えば電極23と同様な導電材で構成させてもよく、あるいは印刷などの別の工程で形成されたマークでもよい。本実施の形態の場合には、2つのアライメントマーク24,25は、十字状のマークとして、十字の交点で中心位置が判る印としてあるが、位置決めに使用可能なマークであれば、その他の形状でもよい。
【0028】
図2の説明に戻ると、第1送りローラ31には、フィルム10の透孔13と嵌合するスプロケットピン35が設けてある。同様に、第2送りローラ32にも、フィルム10の透孔13と嵌合するスプロケットピン36が設けてある。スプロケットピン35,36は、図2では手前側の透孔13と嵌合するピンしか図示されていないが、奥側の透孔13と嵌合するピンについても設けてある。各スプロケットピン35,36のピンが配置される間隔は、フィルム10に透孔13を配置する間隔と一致させてある。
そして、それぞれのスプロケットピン35,36で透孔13と嵌合しながら、各送りローラ31,32が回転し、フィルム10を巻取りリール12側に移送させる。
【0029】
第1送りローラ31と第2送りローラ32との間でフィルム10が移送される途中の、フィルム10の下側には、打ち抜き部40が配置してある。そして、その打ち抜き部40内の打ち抜き型41で、フィルム10上のCOF基板20を上側に打ち抜く。打ち抜き型41が駆動される機構については、図1,図2では省略してある。打ち抜かれたCOF基板20は、図示しない搬送機構で搬送される。
打ち抜かれたフィルム10は、COF基板20のサイズに対応した抜き取り済み孔14が形成された状態で、巻取リール12(図1)に巻き取られる。
なお、図2では図示しないが、打ち抜き部40を設けた位置にも、スプロケットピンを有するローラを配置させる構成としてもよい。
【0030】
打ち抜き部40に移送される直前のフィルム10は、ガイドローラ51,52で挟む構成としてあり、また、打ち抜き部40から移送された直後のフィルム10は、ガイドローラ53,54で挟む構成としてある。これらのガイドローラ51〜54は、図1で説明したフィルムガイド駆動部74により、フィルム10の移送方向と直交する方向y1,y2に位置を若干動かすことができ、フィルム10の幅方向の位置調整が行われる。
【0031】
それぞれのガイドローラ51,52,53,54は、図2に示すように、中央部分が細径部51a,52a,53a,54aとなっており、その細径部51a,52a,53a,54aの部分では、フィルム10の表面及び裏面とある程度の隙間が形成されるようにしてある。但し、図2ではガイドローラ52の細径部52aはフィルム10で隠れて、図示されていない。
この細径部によるフィルム表面との隙間があることで、フィルム10上のCOF基板20に取り付けられた半導体チップ21とガイドローラ51,52,53,54とが接触することがない。なお、図2の例では、フィルム10の上側に半導体チップ21が取り付けられた例としてあるが、フィルム10の下側に半導体チップが取り付けられる場合もある。
【0032】
そして図2に示すように、第1送りローラ31と、打ち抜き部40との間のフィルム10の表面を、第1撮像部61で撮像する。本実施の形態の場合には、打ち抜き部40で打ち抜き型41により抜き取られるCOF基板20が配置された位置から、2つ前のCOF基板20が位置するフィルム10の表面を第1撮像部61で撮像する。
【0033】
そして、第1撮像部61で撮像した画像データを、図1に示した第1認識部72に供給し、第1認識部72で、画像中のアライメントマーク24,25の位置を画像認識して検出する。その検出したアライメントマーク24,25の位置のデータを制御部71に送り、制御部71で、基準となるアライメントマーク24,25の位置からの誤差を判断する。この誤差を第1の誤差とし、後述する第1補正量を得る処理に使用する。基準となるアライメントマーク24,25の位置とは、フィルム10が正しい移送状態でCOF基板20を打ち抜くときの、COF基板20上のアライメントマーク24,25の理想位置であり、制御部71側にその基準位置のデータが予め設定してある。
【0034】
また、図2では第2撮像部63を図示しないが、第2撮像部63では、打ち抜き部40で打ち抜かれたCOF基板20を撮像し、図1に示した第2認識部73で、画像認識して、そのCOF基板20上のアライメントマーク24,25の位置から、COF基板20の特徴点までの距離を検出する。ここでは、特徴点として、COF基板20の端面としてある。
具体的には、例えば図4に示したように、COF基板20上のアライメントマーク24の中心位置から、COF基板20の一方の側面の端面までの距離W1と、アライメントマーク24の中心位置から、COF基板20の前方の端面までの距離L1とを検出する。同様に、COF基板20上のもう1つのアライメントマーク25の中心位置から、COF基板20の他方の側面の端面までの距離W2と、アライメントマーク25の中心位置から、COF基板20の前方の端面までの距離L2とを検出する。
【0035】
その検出した各距離W1,L1,W2,L2のデータを制御部71に送り、制御部71で、基準となる距離からの誤差を判断する。この誤差を第2の誤差とし、後述する第2補正量を得る処理に使用する。基準となる距離とは、COF基板20を理想位置で正確に打ち抜いたときのCOF基板20を測定した距離であり、制御部71側にその基準距離のデータが予め設定してある。また、この測定した距離との誤差は、毎回の誤差値を統計処理して、所定回の平均値を得る。この平均値は、例えば直近の所定回の平均値として得る。平均値以外の統計処理でもよい
【0036】
[3.制御構成例]
次に、第1撮像部61で撮像された画像と第2撮像部63で撮像された画像から判断した誤差に基づいて、打ち抜き部40でフィルム10からCOF基板20を打ち抜く際の打ち抜き位置を補正する処理の詳細を、図5のフローチャートを参照して説明する。この補正処理は、制御部71の制御で実行されるものである。
【0037】
図5のフローチャートに基づいて説明すると、制御部71は、送りモータ駆動部74に指令を送り、第1モータ33及び第2モータ34を回転駆動させて、供給リール11から引き出されたフィルム10を移送させ、フィルム10上のCOF基板20を搬送させる(ステップS11)。ここで、COF基板20が第1撮像部61で撮像できる位置に搬送されてきた際に、フィルム10上のCOF基板20を第1撮像部61で撮像する(ステップS12)。
【0038】
第1撮像部61で撮像した画像データを第1認識部72に送り、画像中のCOF基板20のアライメントマーク24,25の位置を画像認識で検出する(ステップS13)。この検出したアライメントマーク24,25の位置のデータを制御部71に送り、制御部71で、基準となるアライメントマーク24,25の理想位置からの誤差(第1の誤差)を判断し、判断した誤差を第1補正量とする(ステップS14)。なお、アライメントマークは、2つのアライメントマーク24,25を有し、その2つのアライメントマーク24,25の誤差量の平均値を、第1補正量とする。あるいは、いずれか一方のアライメントマーク24又は25の位置だけを検出して、その検出位置の誤差を直接第1補正量としてもよい。
【0039】
その後、制御部71の制御で、第1モータ33及び第2モータ34を回転駆動させて、フィルム10をさらに移送させて、フィルム10上のCOF基板20を、打ち抜き部40の打ち抜き型41の位置まで移送させる。このときには、予め決められた標準送り量に、第1補正量と第2補正量を加算した値だけフィルム送りさせる(ステップS15)。但し、第2補正量は初期状態では値0であり、フィルム送り動作の進行に従って値が設定される。
【0040】
そして、その位置でフィルム10上のCOF基板20を打ち抜き型41で打ち抜く(ステップS16)。その打ち抜き後、制御部71の制御で、送りモータ33,34を回転駆動させて、標準送り量からステップS15で補正した分を差し引いた量だけフィルム10を移送させ(ステップS17)、ステップS12の処理に戻る。
【0041】
また、ステップS16で打ち抜かれたCOF基板20を取り出して搬送させ(ステップS18)、その搬送途中で、第2撮像部63によりCOF基板20の表面を撮像する(ステップS19)。
その撮像した画像データを第2認識部73で画像認識し、アライメントマーク24,25の位置と端面との距離を検出する(ステップS20)。検出した距離のデータに基づいて、制御部71で標準距離との誤差を計算し(ステップS21)、その検出した誤差値(第2の誤差)を、過去の誤差値との統計処理で平均化し、その平均値を第2補正量とする(ステップS22)。このようにして得られた第2補正量を、ステップS15でモータを作動させる際の第2補正量とする。
この第2補正量を得る平均値は、例えば過去の最新の所定枚のCOF基板20の誤差値を、移動平均で得る。この第2補正量についても、2つのアライメントマーク24,25から検出した端面までの距離L1,L2を平均化する。なお、図4に示した距離L1,L2と直交する距離W1,W2は、図2に示したガイドローラ51〜54を駆動させる等で、y方向(フィルム移送方向と直交する方向)のずれの補正に使用する。
【0042】
この図5のフローチャートに示す制御処理で、フィルム10の送り制御を行いながら、フィルム10に形成されたCOF基板20を打ち抜く処理を行うことで、フィルム10から搭載基板であるCOF基板20を打ち抜く際の寸法精度が向上する。特に、COF基板20を撮像した位置から、打ち抜く位置までのフィルム送り量を、第1撮像部61で撮像したフィルム状態から補正するだけでなく、実際に抜き落とされた基板を測定した値からも補正するため、非常に高精度の補正が行える。
このような高精度に打ち抜かれたCOF基板20が得られるため、表示パネルに搭載させるFPDモジュール組立て時にも、COF基板20の電極23を、表示パネル側に精度良く取り付けることができ、精度のよい良好なFPDモジュール組立てが行える。
【0043】
また、COF基板20上のアライメントマーク24,25を認識して補正するため、フィルム10の両端の透孔13を基準にする必要がなくなり、透孔13を配置するピッチと、フィルム上の基板20を配置するピッチとが整数倍などの一定の関係がなくても、高精度にCOF基板20を打ち抜くことができる。このため、COF基板20をフィルム10上に狭いピッチで配置することが可能になり、無駄になるフィルムが少ない効率のよいFPDモジュール組立が行える効果を有する。
【0044】
[4.変形例]
なお、上述した実施の形態で図1や図2などに示した構成は、好適な一例を示したものであり、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、搭載基板として半導体チップが配置されたCOF基板をフィルムから抜き落とす処理工程に適用したが、その他のフィルム上に連続した搭載基板を打ち抜いて、表示パネルに搭載させる工程に適用してもよい。
搭載基板を搭載させる表示パネルについても、上述した実施の形態では液晶表示パネルに適用したが、これに限定されるものではない。例えば、有機EL表示パネル、プラズマディスプレイ用表示パネル等に各種基板を搭載するFPD組立て装置(組立てライン)に適用してもよい。
【符号の説明】
【0045】
10…フィルム、11…供給リール、12…巻取リール、13…透孔、14…抜き取り済み孔、20…COF基板(搭載基板)、21…半導体チップ、23…電極、24…アライメントマーク、31…第1送りローラ、32…第2送りローラ、33…第1モータ、34…第2モータ、35,36…スプロケットピン、40…打ち抜き部、41…打ち抜き型、51,52,53,54…ガイドローラ、51a,52a,53a,54a…細径部、61…第1撮像部、62…レンズ部、63…第2撮像部、64…レンズ部、71…制御部、72…第1認識部、73…第2認識部、74…送りモータ駆動部、75…フィルムガイド駆動部、76…基板実装処理部、77…COF基板搬送処理部、80…表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載基板が連続して形成されてロール状に巻き取られたフィルムからフィルムを送り出すフィルム移送機構部と、
前記フィルム移送機構部により送り出されたフィルムから、前記搭載基板を打ち抜く打ち抜き部と、
前記フィルムの供給元と前記打ち抜き部との間の所定位置で前記搭載基板を撮像する第1の撮像部と、
前記打ち抜き部で打ち抜かれた前記搭載基板を撮像する第2の撮像部と、
前記打ち抜き部で打ち抜かれた前記搭載基板を表示基板の搭載位置まで搬送させて、前記表示基板に搭載させる搭載処理部と、
前記第1の撮像部及び第2の撮像部で撮像された画像から、前記打ち抜き部でフィルムから搭載基板を打ち抜く位置を調整する制御部とを備えたFPDモジュール組立装置。
【請求項2】
前記フィルムに形成された前記搭載基板には、アライメントマークを配置し、
前記制御部は、前記打ち抜き部で理想位置で打ち抜く際の搭載基板の前記アライメントマーク位置を基準位置とし、
前記第1の撮像部で撮像された画像から前記アライメントマークの位置を認識し、
前記基準位置と前記第1の撮像部で撮像された画像から認識した位置とから第1の誤差を検出し、
前記フィルム移送機構部でフィルムを送り出す移送量を、前記第1の誤差の値で補正する、請求項1に記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記打ち抜き部で理想位置で打ち抜かれた搭載基板の特徴点と前記基準位置との距離を基準距離として算出し、前記第2の撮像部で撮像された画像から前記アライメントマークの位置を認識し、その認識した位置と前記撮像した搭載基板の特徴点との距離を求め、求めた距離と前記基準距離とから第2の誤差を検出し、その第2の誤差の平均値を算出し、
前記第1の誤差の値に、前記第2の誤差の平均値を加算した値で、前記フィルム移送機構部でフィルムを送り出す移送量の補正を行う、請求項2に記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項4】
前記フィルム移送機構部は、前記フィルムの前記打ち抜き部での打ち抜き後に、前記第1及び第2の誤差の値の分を差し引いた移送量で次の移送処理を行う、請求項3に記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項5】
前記フィルムは長手方向の両端又は一端に一定間隔の透孔を有し、
前記フィルム移送機構部は、前記透孔に嵌合するスプロケットピンを使用してフィルムを移送させる、請求項4に記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項6】
搭載基板が連続して形成されてロール状に巻き取られたフィルムからフィルムをフィルム移送機構で送り出すフィルム移送処理と、
前記フィルム移送処理で送り出されたフィルムから、前記搭載基板を打ち抜き位置で打ち抜く打ち抜き処理と、
前記フィルムの供給元と前記打ち抜き位置との間の所定位置でフィルムを撮像する第1の撮像処理と、
前記打ち抜き位置で打ち抜かれた前記搭載基板を撮像する第2の撮像処理と、
前記打ち抜き位置で打ち抜かれた前記搭載基板を表示基板の搭載位置まで搬送させて、前記表示基板に搭載させる搭載処理と、
前記第1の撮像処理及び第2の撮像処理で撮像された画像から、前記打ち抜き位置でフィルムから搭載基板を打ち抜く際の、フィルム位置を補正する補正処理を行うFPDモジュール製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−41181(P2012−41181A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186555(P2010−186555)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】