説明

GDF−5を含む細胞外マトリックスで軟骨形成を誘発又は増強する方法

【課題】インビボ又はインビトロで軟骨形成を誘発又は増強する方法及び組成物を提供すること。
【解決手段】インビボ又はインビトロで軟骨形成を誘発又は増強する方法は、コラーゲンI型、コラーゲンII型、又はコラーゲンI型若しくはコラーゲンII型とヒアルロン酸塩との混合物、であってGDF−5を更に含有しているものを含む細胞外マトリックスに、インビボ又はインビトロで細胞を晒すことにより実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟骨形成を誘発又は増強する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関節軟骨の限られた再生能力は、退行性及び外傷性の関節損傷処置における主な障害物であると指摘されている。機能的関節表面を維持するには、関節の軟骨細胞が、成長又は分化因子から発生する細胞外信号、機械的刺激、細胞外マトリックスの特定成分との相互作用に対して応答することが必要とされる。本発明は、コラーゲンI型、コラーゲンII型、ヒアルロン酸塩を加えたコラーゲンI型、又はヒアルロン酸塩を加えたコラーゲンII型、及び、軟骨形成の成長活性において関節発生に関与する骨形成タンパク質(BMP)ファミリーのメンバーである分化因子−5(GDF−5)からなる細胞外マトリックスについてのものである。
【0003】
多くの細胞種においての協調的機能は、細胞外マトリックス(ECM)等の不溶性分子と、成長因子を誘発する可溶性因子とに由来する細胞外信号の統合化によって制御されている。脊椎動物四肢の骨格成分は、間葉細胞から胚の発生中に誘発される。その骨格成分は、凝縮して軟骨及び骨を作る分化プログラムを開始させる。骨形成タンパク質は、骨格パターン化において間葉の凝縮に重要な役割を果たしており、これには関節形成プロセスが含まれる。これは、発生中の長い骨の軟骨コアを通して間葉の前軟骨凝縮段階でGDF−5が主に発見されることを示す、インサイチュハイブリダイゼーション及び免疫染色法に基づくものである。また、これは、四肢関節形成の約30%の破壊をもたらす、GDF−5のヌル突然変異(マウスbrachypodism座でのフレームシフト突然変異)に基づくものである。この突然変異には、前足及び後足における基部指骨と中央指骨との間での関節発生の完全な欠如が含まれる。軟骨形成及び関節形成にとって必要とされる、細胞の凝縮を制御するGDF−5の役割は、骨形成タンパク質機能の既知のアンタゴニストであるノギン遺伝子のヌル突然変異により更に証明される。GDF−5発現の欠如から判断されるところによると、ノギンを欠如しているマウスでは、軟骨凝縮が始まっても関節形成プロセスは行われなかった。
【0004】
人間の疾患及び骨格パターン化においての関節形成の重要性にもかかわらず、いつどこで関節が形成されるかを制御する分子メカニズムについては、ごくわずかなことしか知られていない。典型的に、四肢では、別々の成分の衝突又は並置によってではなく、むしろ比較的大きな骨格前駆体の分割によって関節が生じる。このプロセスは、以下のステップを含む一連のステップを通して起こる。すなわち、1)発生中の軟骨成分にわたって、横縞に広がる高密度の特定領域が初期的に形成されるステップ、2)プログラム化された細胞死と、インターゾーンの中央におけるマトリックス生産性の変化とにより、3層構造が作られるステップ、3)インターゾーンの2端における関節軟骨が分化するステップ、4)対向する骨格成分の間にギャップを作るように合体している、流体で満たされた空間が蓄積されるステップ。GDF−5の発現は、インターゾーンが形態的に出現する24時間から36時間前に、関節発生領域において始まる。この発現は、特定の部位において少なくとも2−3日間続き、関節発生の3層化されたインターゾーン段階においてもなお顕著である。関節発生の後段階においては、GDF−5の発現量は減少する。組換えhGDF−5についての生物学的及び生化学的インビトロ分析により、GDF−5の主な生理学的役割は、間葉前駆細胞の軟骨形成の初期段階に制限されるだろうということが提案されている。これは、以下に基づくものである。すなわち、1)GDF−5が、ラットの四肢芽細胞で軟骨形成及び間葉の凝集を刺激すること、2)GDF−5が、高分化型の造骨細胞種であるMC3T3−E1細胞を使って測定されるアルカリフォスファターゼ活性を刺激できないこと、3)GDF−5が、より原始的でより低分化のラット骨原性細胞ROB−26内のアルカリフォスファターゼ活性を刺激すること、4)GDF−5が、間葉由来の低分化細胞においてより優勢に発現される、BMPs受容体の特徴的なヘテロダイマーに結合すること。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第98/31345号
【特許文献2】特開平7−116240号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Growth Factors,1996年,13巻,2号,65−74頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、GDF−5を含む細胞外マトリックスにより、細胞内の軟骨形成を誘発又は強化する方法及び組成物についてのものである。この細胞外マトリックスは、コラーゲンI型、コラーゲンII型、ヒアルロン酸塩を加えたコラーゲンI型又はヒアルロン酸塩を加えたコラーゲンII型から成り、成長及び分化因子−5(GDF−5)を含む。軟骨形成を誘発又は増強するGDF−5の有効量は、約1ng/mlから10mg/mlのマトリックスタンパク質である。マトリックスは、比較的固定された三次元構造を持つ固形の多孔質組成のものである。
【0008】
より具体的には、以下の発明を提供する。
[1] 細胞内の軟骨形成を誘発又は増強するための方法であって、前記細胞を、コラーゲンI型及びGDF−5を含むマトリックス組成物に晒すステップを含む前記方法。
[2] 細胞内の軟骨形成を誘発又は増強するための方法であって、前記細胞を、コラーゲンII型及びGDF−5を含むマトリックス組成物に晒すステップを含む前記方法。
[3] 細胞内の軟骨形成を誘発又は増強するための方法であって、前記細胞を、コラーゲンI型、ヒアルロン酸塩及びGDF−5を含むマトリックス組成物に晒すステップを含む前記方法。
[4] 細胞内の軟骨形成を誘発又は増強するための方法であって、前記細胞を、コラーゲンII型、ヒアルロン酸塩及びGDF−5を含むマトリックス組成物に晒すステップを含む前記方法。
[5] 前記細胞を晒すステップがインビボで起こる、上記[1]、[2]、[3]又は[4]記載の方法。
[6] 前記細胞を晒すステップがインビトロで起こる、上記[1]、[2]、[3]又は[4]記載の方法。
[7] 前記細胞が結合組織を構成する、上記[5]記載の方法。
[8] 軟骨形成を誘発又は増強するのに十分な有効量のGDF−5を含有する、コラーゲンI型の細胞外マトリックスを含む組成物。
[9] 軟骨形成を誘発又は増強するのに十分な有効量のGDF−5を含有する、コラーゲンII型の細胞外マトリックスを含む組成物。
[10] 軟骨形成を誘発又は増強するのに十分な有効量のGDF−5を含有する、コラーゲンI型及びヒアルロン酸塩の細胞外マトリックスを含む組成物。
[11] 軟骨形成を誘発又は増強するのに十分な有効量のGDF−5を含有する、コラーゲンII型及びヒアルロン酸塩の細胞外マトリックスを含む組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
軟骨形成は、コラーゲンI型、コラーゲンII型、ヒアルロン酸塩を加えたコラーゲンI型、又はヒアルロン酸塩を加えたコラーゲンII型の細胞外マトリックス組成物でGDF−5を含むものによって誘発される。コラーゲンI型及びコラーゲンII型の各々は、骨及び軟骨において最も多量のECMタンパク質の代表である。
【0010】
コラーゲンは、骨、けん、皮膚等から得ることができる。コラーゲン源は、どんな好都合の動物源であっても、哺乳動物又は鳥類であってもよい。その中には、牛、豚、ウマ等、又はニワトリ、七面鳥、又はコラーゲンのその他の家畜源が含まれる。
【0011】
ヒアルロン酸は、N−アセチル−D−グルコサミンとD-グルクロン酸単糖類が交互にβ1−4結合で連結したユニットと、β1−3グリコシド結合で連結した二糖ユニットとを含んだ天然にある多糖類である。通常は、ナトリウム塩として生じて、約50000から8×10の範囲の分子量を有する。
【0012】
典型的に、コラーゲン又はコラーゲン−ヒアルロン酸塩の混合物は、凍結乾燥によるマトリックスとして提供される。コラーゲン−ヒアルロン酸塩は、本明細書に援用されている米国特許第5866165号において記載されているようにして、活性フォルミルアルデヒドヒアルロン酸塩でコラーゲンを処理することによって作られる。また、コラーゲン-ヒアルロン酸塩の組成物は、凍結乾燥によるマトリックスとして提供される。
【0013】
マトリックスは、GDF−5の有効量で植え付けられることが好ましい。この有効量は、約1mg/mlから10mg/mlのマトリックスタンパク質である。
【0014】
インビトロでの使用を示すために、精製された種々の細胞外マトリックスタンパク質上で、組換えヒトGDF−5(100ng/ml)の存在下、3週間にわたってラット胎児の頭頂骨細胞(FRC’s)を培養し、形態レベルにおける分化、プロテオグリカンの全体的な合成及び堆積、そしてアグリカン及びコラーゲンII型の発現を評価した。この結果より、コラーゲンI型又はコラーゲンII型上でFRCsが培養された場合にのみ、GDF−5が軟骨小結節形成を刺激することが示された。免疫組織学的及び転写分析での判定によると、アルシアンブルーで強く染色された軟骨小結節は、コラーゲンII型及びアグリカン発現に対して陽性を示した。小結節を囲む単層内の細胞は、軟骨形成マーカーに対して陰性であった。明らかな対照として、FRC’sがフィブロネクチン、コラーゲンIV型又は組織培養用のプラスチック上で培養された場合には、GDF−5は軟骨形成を刺激しなかった。
【0015】
コラーゲンI型及びコラーゲンII型、コラーゲンIV型又はフィブロネクチンを含む異なるECMタンパク質で、先ず、プラスチックプレートを塗布した。この結果より、GDF−5が、アルシアンブルー色素に強く結合する軟骨形成細胞の凝集体形成を刺激することが示された。これらの条件下においては、媒体のみ、コラーゲンIV型又はフィブロネクチンの存在下で培養されたFRC中では、GDF−5は特徴的な小結節の形成を刺激しない。プラスチックの培養用12ウエル(コースター社、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)を、0.01%(w/v)の上記細胞外マトリックスタンパク質で、37℃で2時間にわたって塗布した。その後、未吸着のタンパク質を除去し、10%FBSを含むDMEM中で2×10細胞/ウエルの密度において、ラット胎児の頭頂骨細胞を培養した。GDF−5(100ng/ml)を補充した又は補充しなかった媒地中で、培養プレートを21日間にわたって維持した。その後、上記プレートをアルシアンブルー色素(0.5%(w/v)の3%酢酸溶液)で一晩にわたって染色し、そして洗浄した後写真撮影をした。アルシアンブルーを計量するために、細胞を8Mの尿素で溶解し、分光光度計(モレキュラーデバイス社、サニーヴェール、カリフォルニア州)を使って染色量を計った。アルシアンブルーは、プロテオグリカンを含むアニオン系のタンパク質に結合すると示されているカチオン系の色素であるので、これらの結果は、GDF−5が、FRC亜集団の細胞の形態に変化を誘発することを提案している。
【0016】
細胞の形態変化と軟骨形成プロセスとの関連性を調べるために、コラーゲンI型の存在下でGDF−5により処理されたFRC培養物から、トータル細胞RNA及び細胞タンパク質を単離した。FRC培養物から単離したトータル細胞RNAを、アグリカン、コラーゲンII型又はコラーゲンI型を増強するように設計したプライマーを使って半定量的なPCR分析にかけた。GDF−5で処理された培養物中では、コラーゲンII型及びアグリカンのmRNA発現は、各々約2倍及び約3倍に増大するという結果が示された。このような条件下では、コラーゲンI型のmRNA発現が約20%減少した。アグリカン及びコラーゲンII型の発現は、スロットブロット分析を使うことにより確証した。
【0017】
全細胞溶解物(100μg)を、8%又は5%のSDSPAGE上で電気泳動により分離し、イモビロンPへ移し、コラーゲンII型又はアグリカンに特異的な抗体を使って免疫ブロットした。この結果より、コラーゲンII型又はアグリカンの定常状態レベルを、GDF−5が非常に増加させることが示された。これらの条件下においては、FRC細胞がコラーゲンI型の非存在下で培養されると、GDF−5はコラーゲンII型の発現もアグリカンの発現も刺激しない。
【0018】
また、コラーゲンは、インビボでの使用のためにマトリックスで提供される。コラーゲンI型繊維を、蒸留水に2重量%の割合で分散させ、ヘビーデューティー用ブレンダー内で3回、各々5秒間にわたって低速で均質化した。その後、必要に応じてHCl又はNaOHを加えることにより、スラリーのpHが、a)pH3.0、b)pH7.0、又はc)pH10.0になるように調製した。その後、スラリーを型に鋳造し、凍結乾燥前に以下の温度で冷凍した。
a)pH3.0のスラリー、−78℃、−40℃又は−20℃
b)pH7.0スラリー、−40℃
c)pH10.0のスラリー、−40℃
上記マトリックスの凍結乾燥サイクルは次の通りである:0℃で2時間、−40℃で2時間、−20℃で2時間、−4℃で4時間、25℃で1時間。
【0019】
上記のコラーゲンマトリックスを、pH7−8のヒアルロン酸塩ポリアルデヒドの2重量%溶液に浸すことにより、(米国特許第5866165号に開示されたように調製された)活性フォルミルアルデヒド基を含むヒアルロン酸塩をコラーゲンマトリックスに加えた。浸されたマトリックスを、4時間にわたって室温で振とうさせ、3回洗浄し、コラーゲンマトリックスを調製するために上述の凍結乾燥サイクルを使い凍結乾燥した。
【0020】
コラーゲンI型から作られた多孔質マトリックスに、インプラント(2×3×3mm)当り1×10個になるように細胞を植え付けた。その後、マトリックスに包埋された細胞を、GDF−5(100ng/ml)を補充した又は補充しなかった培養物中で、3週間にわたって培養した。各インプラントから単離されたトータルRNAをRT−PCRにかけた。この結果より、GDF−5が、軟骨形成にとって周知の2つのマーカーであるアグリカン及びコラーゲンII型の発現を誘発したことが示された。これに平行して、インプラント材料について組織学的評価を行い、続けてアルシアン又はトルディンブルー染色を行った。この結果より、アルシアンブルー染色の増強と細胞形状の変化によって強調されるFRC細胞形態に対し、GDF−5が著しい変化を誘発できるということが分かる。DNA、RNA又はタンパク質の全量について組織学的評価で測定すると、これらの条件下においては、GDF−5の欠如したECM中ではFRC細胞は増殖も分化もできなかった。このような知見から、3Dマトリックス構造を所有するコラーゲンI型によって、GDF−5の生物学的反応が非常に増強されるだろうということが提案される。
【0021】
異なる多孔性を有するインプラント可能な一連の材料を調製することによって、コラーゲンをベースにした3Dマトリックスの表面特性又は多孔性を調べた。各マトリックス複合体をヒアルロン酸(軟骨の主成分)で、又はヒアルロン酸無しで塗布した。その後、インプラントに、インプラント当り1×10個になるように細胞を植え付け、GDF−5(100ng/ml)の存在下で3週間にわたって培養した。その後、各インプラントから抽出したトータルRNAを、半定量的なPCR分析にかけた。その結果、ヒアルロン酸で塗布され最も高い多孔性(約300ミクロン)を有するマトリックス内に植え付けられたときにのみ、FRC細胞は、コラーゲンII型及びアグリカンの発現レベルを非常に増加させるということが示された。このような知見を合わせて、GDF−5の軟骨形成活性は、以下のマトリックスによって充分に且つ効果的に補強されることが示される。すなわち、1)高い細孔サイズ(約100から300ミクロン)を含むマトリックス、且つ、2)ヒアルロン酸で塗布されたコラーゲンI型から構成されるマトリックス。
【0022】
また、細胞内信号介在物質の特性が良く分かった阻害剤を使うことにより、コラーゲンI型の存在でGDF−5が軟骨形成を誘発する分子信号メカニズムを調べた。その結果、ジブチリルcAMP、NaVO、又はEGTAによってではなく、カルシウムイオノホアA23187及びラパマイシンによって、リガントに依存する軟骨形成が完全に阻害されることが示された。p70S6キナーゼ活性に対するラパマイシンの周知の阻害効果は、GDF−5/コラーゲンI型により誘発された軟骨形成がp70S6キナーゼ活性を介して媒介されることを示す。細胞内カルシウム濃度に対するA23187の周知の効果は、GDF−5/コラーゲンI型により誘発された軟骨形成が、細胞内カルシウム濃度の持続的な減少を介して媒介されることを示す。
【0023】
これらの結果は、細胞がコラーゲンI型と相互作用することにより、GDF−5の軟骨誘発活性が増強されることを示す。この効果は、下流マトリックスと因子受容体信号経路とが収束することによって媒介されると思われる。
【0024】
上記データにより、GDF−5を含むコラーゲンI型細胞外マトリックスの組成物及び構造体によって、GDF−5の生物学的機能が調節されることが示される。時間的且つ空間的にこの事象が制御されることになり、細胞の形態形成及び関節発生をインビボで制御することが可能であることが示される。
【0025】
成長及び分化因子により誘発された軟骨形成は、GDF−5に非常に特異的である。分裂促進因子及び原型分化因子のうちの幾つかの能力を以下の条件の下で評価することにより、GDF−5によるECM依存型軟骨形成が非常に特異的であることが示された。コラーゲンI型及び種々の成長因子の存在下で培養したFRCを単色染色することにより、軟骨形成を評価した。その結果、この種の分化因子の他の2つのメンバーであるBMPs及びTGFbの粗調製物によると、軟骨形成が全く刺激されなかった。また、これらの条件下においては、bFGF又はIGF−I、IGF−IIを含む成長因子によっても、軟骨形成は刺激されなかった。これらの知見を合わせて、TGFbスーパーファミリーの他のメンバーによって示される反応と、GDF−5の生物学的反応が区別されることが提案される。
【実施例】
【0026】
(コラーゲンをベースにしたマトリックス上でのrhGDF−5のインビボ活性)
【0027】
rhGDF−5(1.5μg及び50μg)が添加されたコラーゲン/ヒアルロン酸マトリックス(CN/HA)であってラットの筋肉内に14日間インプラントしたものには、アルカリフォスファターゼ活性と軟骨形成において、用量に依存した増加があった。このような条件下では、rhGDF−5と混合されたミネラル化コラーゲンによっての軟骨形成及び完全な終末分化の形跡がほとんど検出されなかった。
【0028】
【表1】

【0029】
方法
インビボアッセイ、ラット軟組織インプラント
生後8週間のSprague-Dawley種の雄ラットを平滑切開することによって作られた脛骨筋肉ポーチ後側の筋肉内に、又は、胸部域の皮下に、マトリックス/成長因子の組み合わせをインプラントした。手術から14日後に、インプラントを回収し、その重さを量り、普通の組織学的処理を行った(10%のホルマリンで固定して、パラフィンで包埋し、6μmに切片化して、ヘマトキシリン及びエオシンで染色した)。あるいは、インプラントを取り出して、アルカリフォスファターゼ活性についてのアッセイを行った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟骨形成を誘発又は増強するための医薬品を製造する方法であって、コラーゲンII型及びGDF−5を含むマトリックス組成物を形成するステップを含む前記方法。
【請求項2】
軟骨形成を誘発又は増強するための医薬品を製造する方法であって、コラーゲンI型、ヒアルロン酸塩及びGDF−5を含むマトリックス組成物を形成するステップを含む前記方法。
【請求項3】
軟骨形成を誘発又は増強するための医薬品を製造する方法であって、コラーゲンII型、ヒアルロン酸塩及びGDF−5を含むマトリックス組成物を形成するステップを含む前記方法。
【請求項4】
軟骨形成を誘発又は増強するのに十分な有効量のGDF−5を含有する、コラーゲンII型の細胞外マトリックスを含む組成物。
【請求項5】
軟骨形成を誘発又は増強するのに十分な有効量のGDF−5を含有する、コラーゲンI型及びヒアルロン酸塩の細胞外マトリックスを含む組成物。
【請求項6】
軟骨形成を誘発又は増強するのに十分な有効量のGDF−5を含有する、コラーゲンII型及びヒアルロン酸塩の細胞外マトリックスを含む組成物。

【公開番号】特開2010−248267(P2010−248267A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176401(P2010−176401)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【分割の表示】特願2000−575523(P2000−575523)の分割
【原出願日】平成11年10月14日(1999.10.14)
【出願人】(599054950)デピュイ スパイン、インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】DEPUY SPINE,INC.
【Fターム(参考)】