説明

GLP−1アナログの半組換え調製

組換え発現技術と化学的ペプチド合成法を組み合わせた非タンパク新生アミノ酸をN末端部に有するGLP−1アナログ及び誘導体の生産の半組換え方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換え発現技術の使用と化学ペプチド合成を組み合わせてN末端部に非タンパク新生アミノ酸を含むGLP−1アナログ及び誘導体の調製のための半組換え法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)は、血糖代謝、胃腸管分泌及び代謝及び食物摂取の調節に関連する37アミノ酸残基の消化管ホルモンである。GLP−1は、とりわけ回腸末端部、膵臓及び脳のL細胞で合成されるプレプログルカゴンに由来する。GLP−1は、グルコース依存的な形でインスリン分泌を刺激し、インスリン生合成を刺激し、ベータ細胞レスキューを促進し、グルカゴン分泌、胃内容排出及び食物摂取を低減させる。ヒトGLP−1は、共にインスリン分泌性薬剤であるGLP−1(7−37)及びGLP−1(7−36)−アミドに加水分解される。2型糖尿病患者に投与されるGLP−1の薬理学的用量は循環インスリンレベルを有意に上昇させ、血漿グルカゴンレベルを低下させることが示されている。GLP−1の作用は、膵臓、心臓、腎臓、中枢神経系及び消化管においてGLP−1レセプターによって媒介される。よって、GLP−1は糖尿病の治療において非常に重要になることが予想される。
【0003】
しかしながら、天然ヒトGLP−1は、GLP−1レセプターアンタゴニストとして作用する切断型GLP−1(9−36)アミド代謝物への血漿酵素ジペプチジルペプチダーゼIVによる分解によって迅速に不活性化される。これはペプチドに短い循環半減期を付与する。
この短い循環半減期は、多くの糖尿病患者、特にいわゆる「針恐怖症」、つまり自分で注射をすることに対して大きな恐怖がある2型糖尿病セグメントに対して問題である。2型糖尿病セグメントでは、殆どの患者は経口低血糖剤で治療される。GLP−1化合物は注射可能な薬学的製品であることが予想されるので、注射の恐怖は、これらの臨床的に非常に有望な化合物を幅広く使用するための深刻な障害になりうる。
【0004】
よって、ある範囲の異なったアプローチ及び方法を用いて、インビボでのより長い作用期間を提供するためにGLP−1化合物の構造を改変することがなされている。よって、かなりの努力が、例えばDPP−IVによる分解速度を低減させるためにDPP−IV媒介加水分解を受けることが少ないGLP−1化合物のアナログ及び誘導体を開発するのに払われている。WO2006/097538、WO2006/097536、WO2006/037810、WO2006/005667、WO2005/058958、WO2005/027978、WO98/08871及びUS2001/0011071には、DPP−IVによる加水分解に対してある種の保護を付与しうる、非タンパク新生アミノ酸、つまり非天然アミノ酸)を含むGLPアナログを含む様々なGLP−1アナログ及び誘導体が記載されている。
【0005】
天然GLP−1のような、タンパク新生アミノ酸 (つまり、天然アミノ酸)のみを含むポリペプチドは組換え技術を使用して又は化学合成によって製造することができる。しかしながら、N末端が伸展されたGLP−1アナログのような非タンパク新生アミノ酸を含むポリペプチドは、組換え発現技術によって実際的な形で現在は調製することができず、一般に化学合成によって調製されている。ペプチド合成のための最も広く使用されている方法は、固体担体としてポリマーを使用して十分な保護されたアミノ酸が段階的な形で導入される固相ペプチド合成法である。
【0006】
固相ペプチド合成法(SPPS)は、ある種のペプチドの調製では非常に効率的でありうるが、過剰な反応物の一貫した使用と合わさって保護されたアミノ酸の使用のためこのアプローチは比較的高価になる。また、固相ポリペプチド合成における各アミノ酸の伸長には徹底的な洗浄手順を必要とする。典型的には、一つのアミノ酸の導入には、NMP、DMF又はDCMのような溶媒を用いた10までの洗浄工程が関与する。
インスリン分泌性剤、GLP−1アナログ、GLP−1の切断型アナログ及びGLP−1の誘導体のようなポリペプチドを、SPPSを使用して合成する場合、合成中の二次構造の形成がしばしば個々の合成工程の効率を低下させてしまう。その結果、大きなペプチド又はある種のアミノ酸配列を含むペプチドは、しばしば低い純度及び収率で製造される。不純物は、一又は複数のアミノ酸が最終配列中で失われている欠失ペプチドであることが多い。これらの不純物は所望のペプチドから分離することが非常に難しく、欠失ペプチドで汚染された生成物が生じる場合がある。
【0007】
N末端部に非タンパク新生アミノ酸を有することによってDPP−IV保護されたGLP−1アナログ及び誘導体の効率的で経済的な調製方法を提供することが本発明の目的である。該方法は、組換え技術を使用する切断型GLP−1前躯体分子の対費用効率に優れた生産を、非タンパク新生アミノ酸を含むN末端伸展の化学合成と組み合わせている。GLP−1アナログ又は誘導体の製造コストの有意な低減が達成される。安価なGLP−1アナログ及び誘導体は治療を利用できる患者の数を最大にし、また例えば経皮及び経肺デリバリーなど、皮下注射よりもバイオアベイラビリティが低い代替のデリバリー経路の利点を活用するために非常に望ましい。
【発明の概要】
【0008】
その最も広い態様では、本発明は、N末端部に一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むことによって保護されたDPP−IVであるGLP−1アナログ及び誘導体を製造する方法に関する。
よって、一態様では、本発明は、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むGLP−1アナログ又は誘導体を製造するための方法であって、
(i)上記GLP−1アナログ又は誘導体の前躯体分子をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞を該前躯体分子の発現に適した条件下で培養し、
(ii)発現された前躯体分子を培養ブロスから分離し、
(iii)発現された前躯体分子に一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展をカップリングさせ、
(iv)得られたGLP−1アナログ又は誘導体を、当該分野で知られている適切な手段によって単離する
工程を含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は酵母プラスミドpSA273を示す。該プラスミドは、プラスミド中に出芽酵母TPI遺伝子の転写プロモーター及び転写ターミネーター間に挿入されたEcoRI−XbaI断片を含む発現カセットを含む。発現カセットはMFa1プレプロリーダー、二塩基プロセシングエンドペプチダーゼKex2のLys−Arg切断部位、及びGLP−1前躯体(R34)GLP−1(11−37)からなる融合産物をコードする。
【図2】図2は、GLP−1前躯体をコードするNcoI−XbaI DNA断片を示している。DNA断片によってコードされるGLP−1前躯体アミノ酸配列は太字で示してある。a)(R34)GLP−1(11−37);b)Ext1−(E22,R26,R34)GLP−1(8−37)K38−Ext2及びc)Ext1−(E22,R26,R34,K37)GLP−1(8−37)−Ext2;d)(R34)GLP−1(9−37)。
【図3】図3は、GLP−1前躯体及び最適化されたリーダー配列をコードするNcoI−XbaI DNA断片を示している。(34R)GLP−1(11−37)は非限定的実施例として示す。大文字は異なった配列を示す。DNA断片によってコードされる最適化されたアミノ酸は太字で示す。「KR」は最少Kex2p切断部位LysArgを含むコンストラクトを示している。
【図4−1】図4は、実施例として(34R)GLP−1(11−37)リーダー最適化を示す。P1からP6までの最適化:(A−F)。
【図4−2】図4は、実施例として(34R)GLP−1(11−37)リーダー最適化を示す。P1からP6までの最適化:(A−F)。
【図4−3】図4は、実施例として(34R)GLP−1(11−37)リーダー最適化を示す。プロリンの導入:(H、I)。DAPaseでの下流プロセシングのためのコンストラクト:(G、J、K、L)。
【図4−4】図4は、実施例として(34R)GLP−1(11−37)リーダー最適化を示す。P7からP11への荷電アミノ酸の導入:(M−Z、K5−7、L2−4)。DAPaseでの下流プロセシングのためのコンストラクト:(G、J、K、L)。
【図4−5】図4は、実施例として(34R)GLP−1(11−37)リーダー最適化を示す。P7からP11への荷電アミノ酸の導入:(M−Z、K5−7、L2−4)。DAPaseでの下流プロセシングのためのコンストラクト:(G、J、K、L)。
【図4−6】図4は、実施例として(34R)GLP−1(11−37)リーダー最適化を示す。P7からP11への荷電アミノ酸の導入:(M−Z、K5−7、L2−4)。
【図4−7】図4は、実施例として(34R)GLP−1(11−37)リーダー最適化を示す。P7からP11への荷電アミノ酸の導入:(M−Z、K5−7、L2−4)。
【図4−8】図4は、実施例として(34R)GLP−1(11−37)リーダー最適化を示す。P7からP11への荷電アミノ酸の導入:(M−Z、K5−7、L2−4)。
【図4−9】図4は、実施例として(34R)GLP−1(11−37)リーダー最適化を示す。P7からP11への荷電アミノ酸の導入:(M−Z、K5−7、L2−4)。
【図4−10】図4は、実施例として(34R)GLP−1(11−37)リーダー最適化を示す。P7からP11への荷電アミノ酸の導入:(M−Z、K5−7、L2−4)。
【図4−11】図4は、実施例として(34R)GLP−1(11−37)リーダー最適化を示す。P7からP11への荷電アミノ酸の導入:(M−Z、K5−7、L2−4)。収率はMFalpha−リーダー及び単純なLysArg Kex2p切断部位を持つ(34R)GLP−1(11−37)に対するパーセントで与える。
【0010】
発明の詳細な記載
本発明者等は、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸をN末端部に含むGLP−1アナログ及び誘導体を調製するための経済的で効率的な方法を開発した。よって、タンパク新生アミノ酸のみを含む組換え的に生産されたGLP−1前駆体分子を、例えば伸展断片の場合によっては活性化されるカルボン酸誘導体とGLP−1アナログの前躯体を反応させることにより、非タンパク新生アミノ酸又は一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むペプチドを使用してN末端に効果的に伸展せしめ得ることが見出された。
より詳細には、本発明は、7、8、9及び/又は10位を含むN末端に一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むGLP−1アナログ及び誘導体の半組換え調製方法を提供する。また、アシル化によるGLP−1アナログ前躯体分子中のリジン残基のε−Nの誘導体化の有用な方法が提供される。よって、本発明は、化学合成のフレキシビリティと組換え技術を使用するGLP−1アナログ及び誘導体の対費用効率に優れた生産を組み合わせる。
【0011】
本明細書では、次の用語は示した意味を有する:
ここで使用される「ポリペプチド」及び「ペプチド」なる用語は、ペプチド結合により結合した少なくとも2つの構成アミノ酸からなる化合物を意味する。構成アミノ酸は遺伝暗号によりコードされるアミノ酸の群からのものであり得、また遺伝暗号によりコードされない天然アミノ酸、並びに合成アミノ酸でありうる。遺伝暗号によりコードされない天然アミノ酸は、例えばγ−カルボキシグルタメート、オルニチン、ホスホセリン、D−アラニン及びD−グルタミンである。合成アミノ酸は、化学合成により製造されたアミノ酸、すなわち遺伝暗号によりコードされるアミノ酸のD−異性体、例えばD−アラニン及びD−ロイシン、Aib(α−アミノイソ酪酸)、Abu(α−アミノ酪酸)、Tle(tert−ブチルグリシン)、β−アラニン、3−アミノメチル安息香酸、アントラニル酸を含む。
【0012】
22のタンパク新生アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンである。
よって、非タンパク新生アミノ酸は、ペプチド結合を介してペプチドに導入可能であるが、タンパク新生アミノ酸ではない部分である。非タンパク新生アミノ酸の例は、限定されないが、γ−カルボキシグルタメート、オルニチン、ホスホセリン、D−アミノ酸、例えばD−アラニン及びD−グルタミンである。合成の非タンパク新生合成アミノ酸は、化学合成により製造されたアミノ酸を含み、すなわち遺伝暗号によりコードされるアミノ酸のD−異性体、例えばD−アラニン及びD−ロイシン、Aib(α−アミノイソ酪酸)、Abu(α−アミノ酪酸)、Tle(tert−ブチルグリシン)、3−アミノメチル安息香酸、アントラニル酸、デス−アミノ−ヒスチジン、アミノ酸のベータアナログ、例えばβ−アラニン等、D−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα−アセチル−ヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジン、α−メチル−ヒスチジン、3−ピリジルアラニン、2−ピリジルアラニン又は4−ピリジルアラニン、(1−アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1−アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロへプチル)カルボン酸、又は(1−アミノシクロオクチル)カルボン酸、α−メチルプロリン、1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、及び4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−C]ピリジン−6−カルボン酸β−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−アラニンである。
【0013】
ポリペプチドを言及する、ここで使用される「DPP−IV保護された」なる用語は、前記化合物を血漿ペプチダーゼジペプチジルアミノペプチダーゼ−4(DPP−IV)耐性にするために化学的に修飾されたポリペプチドを意味する。血漿中のDPP−IV酵素は幾つかのペプチドホルモン、例えば、GLP−1、GLP−2、エクセンジン−4等の分解に含まれることが知られている。従って、DPP−IVによる分解速度を低減させるために、DPP−IVを介した加水分解を受けやすいポリペプチドのアナログ及び誘導体を開発する多大な努力がなされる。一実施態様では、DPP−IV保護されたペプチドは、GLP−1(7−37)よりもDPP−IVに対してより耐性である。
【0014】
DPP−IVによる分解に対するペプチドの耐性は、次の分解アッセイによって決定される:
100μLの0.1Mのトリエチルアミン−HClバッファー、pH7.4中において、ペプチドアリコート(5nmol)を、5mUの酵素活性に相当する1μLの精製DPP−IVと共に37℃で10−180分インキュベートする。10%のトリフルオロ酢酸5μLを添加して、酵素反応を終結させ、ペプチド分解産物を分離し、HPLC分析を使用して定量する。この分析を実施するための一方法は次の通りである:混合物をVydac C18ワイドポア(30nm孔、5μmの粒子)250×4.6mmのカラムに適用し、Siegel等, Regul. Pept. 1999;79;93-103及びMentlein等, Eur. J. Biochem. 1993;214:829-35に従って、0.1%のトリフルオロ酢酸中に線形段階的勾配でアセトニトリルが入ったもの(3分間は0%のアセトニトリル、17分間は0−24%のアセトニトリル、1分間は24−48%のアセトニトリル)を、1ml/分の流量で溶出させる。ペプチドとその分解産物を、220nm(ペプチド結合)又は280nm(芳香族アミノ酸)の吸光度によりモニターし、標準のものに関連させてそれらのピーク面積を積分することにより定量する。ジペプチジルペプチダーゼDPP−IVによるペプチドの加水分解速度は、加水分解されるペプチドが10%未満になるインキュベーション時間で推定される。
【0015】
その最も広い意味では、ここで使用される「GLP−1アナログ」なる用語は、ペプチド又はエキセンディンのファミリーのアナログのグルカゴンファミリーの分子のアナログを意味する。ペプチドのグルカゴンファミリーはプレプログルカゴン遺伝子によってコードされ、相同性の高い3つの小ペプチド、つまり、グルカゴン(1−29)、GLP−1(1−37)及びGLP−2(1−33)を包含する。エキセンディンはトカゲに発現されたペプチドであり、GLP−1のように、インスリン分泌性である。エキセンディンの例は、エキセンディン−3及びエキセンディン−4である。
【0016】
ペプチドに言及してここで使用される「アナログ」なる用語は、ペプチドの一又は複数のアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基で置換され、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基が該ペプチドから欠失され、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基が該ペプチドに付加されている修飾されたペプチドを意味する。アミノ酸残基のかかる付加又は欠失は、ペプチドのN末端及び/又はペプチドのC末端で起こりうる。よって、本発明に係るGLP−1アナログは、ペプチドの一又は複数のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基によって置換されており、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基がペプチドから欠失されており、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基がペプチドに付加されている本発明に係るGLP−1のアナログ(1−37)である。
【0017】
本発明の目的では、任意のアミノ酸の置換、欠失及び/又は付加は、配列番号:1としてここに含まれるヒトGLP−1(7−37)の配列に対するものを言う。しかしながら、列挙された配列のアミノ酸残基の番号付けは、常に1番から出発するが、本発明の目的において我々は、当該分野で確立されている実務に従い、アミノ酸残基7番から出発し、それに番号7を割り当てることを望む。よって一般的には、GLP−1(7−37)配列の位置番号に対するここでの任意の言及は、7位にあるHisから出発し、37位のGlyで終結する配列に対するものである。
【0018】
GLP−1アナログを記述するために簡単なシステムがしばしば使用される:例えば[Arg34]GLP−1(7−37)Lysは、34位の自然に生じたリジンがアルギニンで置換され、リジンがC末端に付加されているGLP−1(7−37)アナログを意味する。他の例の[Arg34]GLP−1(11−37)は、34位の自然に生じたリジンがアルギニンで置換され、7、8、9及び10位のアミノ酸が存在しないGLP−1アナログを意味する。
【0019】
修飾されたGLP−1(7−37)配列を特徴付けるためにここで使用される「同等の位置」なる表現は、(配列番号:1の配列を有する)天然のGLP−1(7−37)配列における対応位置を意味する。対応位置は、例えば簡単な筆記及び目視(eyeballing)により、容易に推測される。代替法として、標準的なタンパク質又はペプチドアラインメントプログラム、例えばNeedleman−Wunschアラインメントである「アライン(align)」を使用してもよい。該アルゴリズムは、Needleman, S.B. 及びWunsch, C.D.,(1970), Journal of Molecular Biology, 48: 443-453に記載されており、またMyers 及び W. Miller、「Optimal Alignments in Linear Space」 CABIOS(computer applications in the biosciences)(1988) 4:11-17によるアラインプログラムである。アラインメントについて、デフォルトスコアリングマトリックスBLOSUM50及びデフォルトアイデンティティマトリックスが使用されてもよく、ギャップにおける最初の残基についてのペナルティは−12、ギャップにおける付加残基のペナルティは−2にセットしうる。
【0020】
ペプチドに関してここで使用される「誘導体」なる用語は、少なくとも一の置換基がその未修飾のペプチド又はアナログに存在していない化学的に修飾されたペプチド又はそのアナログ、すなわち共有結合的に修飾されたペプチドを意味する。典型的な修飾は、アミド、炭水化物、アルキル基、アシル基、エステル等である。GLP−1(7−37)の誘導体の例は、Ne26−(g−Glu(N−ヘキサデカノイル)))−[Arg34、Lys26])GLP−1(7−37)である。
光学異性体が述べられていない全てのアミノ酸はL−異性体を意味するものと理解されなければならない。
【0021】
本発明の実施態様では、GLP−1アナログ中の最大17のアミノ酸が、ヒトGLP−1(7−37)に対して修飾(置換、欠失、付加又はその任意の組合せ)されている。本発明の実施態様では、GLP−1アナログ中の最大15のアミノ酸が修飾されている。本発明の実施態様では、GLP−1アナログ中の最大10のアミノ酸が修飾されている。本発明の実施態様では、GLP−1アナログ中の最大8のアミノ酸が修飾されている。本発明の実施態様では、GLP−1アナログ中の最大7のアミノ酸が修飾されている。本発明の実施態様では、GLP−1アナログ中の最大6のアミノ酸が修飾されている。本発明の実施態様では、GLP−1アナログ中の最大5のアミノ酸が修飾されている。本発明の実施態様では、GLP−1アナログ中の最大4のアミノ酸が修飾されている。本発明の実施態様では、GLP−1アナログ中の最大3のアミノ酸が修飾されている。本発明の実施態様では、GLP−1アナログ中の最大2のアミノ酸が修飾されている。本発明の実施態様では、GLP−1アナログ中の1つのアミノ酸が修飾されている。
【0022】
一実施態様では、GLP−1アナログはインスリン分泌性剤である。
一実施態様では、GLP−1アナログはGLP−1アゴニストである。
ここで使用される「GLP−1アゴニスト」なる用語は、ヒトGLP−1レセプターを完全に又は亜部分的に活性化する任意のグルカゴン様ペプチドを意味する。好ましい実施態様では、「GLP−1アゴニスト」は、当該分野で知られた方法(例えばWO98/08871参照)によって測定して、1μM以下、例えば100nM以下の親和性定数(KD)又は作用強度(EC50)をもって、GLP−1レセプターに結合し、インスリン分泌活性を示す任意のグルカゴン様ペプチドであり、ここで、インスリン分泌活性は当業者に知られたインビボ又はインビトロアッセイで測定することができる。例えば、GLP-1アゴニストは、動物に投与され、インスリン濃度が経時的に測定されうる。
【0023】
本発明の一態様では、本発明の薬学的組成物に含められるGLP−1アナログは、GLP−1のアナログであり、ここで、アナログは少なくとも一の非タンパク新生ペプチドを含む。
本発明の一態様では、GLP−1アナログは、Aib8,22,35GLP−1(7−37)、Aib8,35GLP−1(7−37)、Aib8,22GLP−1(7−37)、Aib8,22,35Arg26,34Lys38GLP−1(7−38)、Aib8,35Arg26,34Lys38GLP−1(7−38)、Aib8,22Arg26,34Lys38GLP−1(7−38)、Aib8,22,35Arg26,34Lys38GLP−1(7−38)、Aib8,35Arg26,34Lys38GLP−1(7−38)、Aib8,22,35Arg26Lys38GLP−1(7−38)、Aib8,35Arg26Lys38GLP−1(7−38)、Aib8,22Arg26Lys38GLP−1(7−38)、Aib8,22,35Arg34Lys38GLP−1(7−38)、Aib8,35Arg34Lys38GLP−1(7−38)、Aib8,22Arg34Lys38GLP−1(7−38)、Aib8,22,35Ala37Lys38GLP−1(7−38)、Aib8,35Ala37Lys38GLP−1(7−38)、Aib8,22Ala37Lys38GLP−1(7−38)、Aib8,22,35Lys37GLP−1(7−37)、Aib8,35Lys37GLP−1(7−37)及びAib8,22Lys37GLP−1(7−38)からなる群から選択される。
【0024】
本発明の一態様では、GLP−1アナログは、
[デスアミノHis,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1(7−37)アミド、
[デスアミノHis,Arg34]GLP−1−(7−37)、[Aib,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[デスアミノHis、Glu22Arg26、Arg34、Phe(m−CF3)28]GLP−1−(7−37)アミド、[デスアミノHis,Glu22,Arg26,Arg34]GLP−1−(7−37)−Lys、
[デスアミノHis,Glu22,Arg26,Arg34]GLP−1−(7−37)−Lys、
[デスアミノHis,Arg26,Arg34,]GLP−1−(7−37)−Lys、
[デスアミノHis,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[デスアミノHis,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[デスアミノHis,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)、
[デスアミノHis,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)、
[デスアミノHis,Glu22,Arg26,Glu30,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)、
[Aib,Lys20,Arg26,Glu30,Thr(O−benzyl)33,]GLP−1−(7−37)アミド、
[Aib,Glu22,Arg26,Lys30]GLP−1−(7−37)、[Aib、Glu22、Arg26,Lys31]GLP−1−(7−37)、
[Aib,Lys20,Arg26,2−ナフチルアラニン28、Glu30,]GLP−1(7−37)アミド、
[Aib、Glu22、Arg26、Arg34,]GLP−1−(7−37)−Lys、
[Aib,Lys20,Arg26、2−ナフチルアラニン12、Glu30,]GLP−1−(7−37)アミド、
[Aib,Glu22,Arg26,Lys31,Arg34]GLP−1−(7−37)、
[Aib,Arg34]GLP−1−(7−37)、
[Aib,Arg34]GLP−1−(7−37)−アミド、
[Aib,Lys18,Arg26,Arg34]GLP−1(7−37)、
[Aib,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[Aib、Lys26]GLP−1(7−37)アミド、
[Aib,Arg34]GLP−1−(7−34)、
[Aib,Arg34]GLP−1−(7−35)、
[Aib,Lys33,Arg34]GLP−1−(7−34)、
[Aib,Arg34]GLP−1−(7−36)アミド、
[Aib,Lys26,Arg34]GLP−1−(7−36)アミド、
[Aib,Glu22,Arg26,Arg34]GLP−1−(7−37)Lys、
[Aib,Lys20,Glu22,Arg26,Glu30,Pro37]GLP−1−(7−37)アミド、
[Aib,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[デスアミノHis,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[デスアミノHis,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
Aib,Glu22,Arg26,Glu30,Pro37]GLP−1−(7−37)Lys、
[Aib,Glu22,Arg26,Glu30,Pro37]GLP−1−((7−37)Lys、
[Aib,Arg26,Arg34]GLP−1−(7−37)
からなる群から選択される。
【0025】
更に他の実施態様では、本発明の薬学的組成物に含められるGLP−1アナログは、GLP−2のアナログであり、該アナログは少なくとも一の非タンパク新生ペプチドを含む。
更に他の実施態様では、GLP−1アナログは、エキセンディン−4又はエキセンディン−3のアナログであり、該アナログは少なくとも一の非タンパク新生ペプチドを含む。エキセンディン並びにそのアナログの例はWO97/46584、US5424286及びWO01/04156に開示されている。US5424286はエキセンディンペプチドを用いたインスリン放出の刺激方法を記載している。開示されたエキセンディンペプチドは、HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGX(配列番号12)を含み、ここで、X−P又はYで、エキセンディン−3はHSDGTFITSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS(配列番号13)で、エキセンディン−4(1−39)はHGEGTFITSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS(配列番号2)である。WO97/46584はエキセンディンペプチドの切断型を記載している。開示されたペプチドは、インスリンの分泌及び生合成を増加させるが、グルカゴンのものは低減させる。WO01/04156はエキセンディン−4アナログ及び誘導体並びにこれらの分子の調製を記載している。
【0026】
ここで使用される「エキセンディン−4ペプチド」なる用語は、エキセンディン−4(1−39)(配列番号:2)、エキセンディン−4(1−39)アナログ、エキセンディン−4(1−39)誘導体又はエキセンディン−4(1−39)アナログの誘導体、のインスリン分泌性断片、そのインスリン分泌性アナログ及びそのインスリン分泌性誘導体を意味する。エキセンディン−4のインスリン分泌性断片は、全配列をエキセンディン−4(配列番号:2)の配列に見出すことができ、少なくとも一の末端アミノ酸が欠失しているインスリン分泌性剤である。エキセンディン−4(1−39)のインスリン分泌性断片の例は、エキセンディン−4(1−38)及びエキセンディン−4(1−31)である。
【0027】
ある化合物のインスリン分泌性は、当該分野でよく知られているインビボ又はインビトロアッセイにより決定することができる。例えば、化合物を動物に投与し、インスリン濃度を経時的にモニターすることができる。エキセンディン−4(1−39)のインスリン分泌性アナログは、一又は複数のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置き換えられており、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基が欠失されており、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基が付加されている各分子を意味し、但し、該アナログは、インスリン分泌性であるか、インスリン分泌性化合物のプロドラッグである。エキセンディン−4(1−39)のインスリン分泌性アナログの例は、SerAsp−エキセンディン−4(1−39)であり、ここで2及び3位のアミノ酸残基がそれぞれセリン及びアスパラギン酸で置き換えられている(この特定のアナログは、エキセンディン−3として、当該分野で知られている)。エキセンディン−4(1−39)のインスリン分泌性誘導体及びそのアナログは、当業者がこれらのペプチドのアナログであることを認めたもの、すなわち、親ペプチドに存在しない少なくとも一の置換を有するものであり、但し、該誘導体は、インスリン分泌性であるか、インスリン分泌性化合物のプロドラッグである。置換基の例は、アミド類、炭水化物、アルキル基、エステル、及び親油性置換基である。エキセンディン−4(1−39)のインスリン分泌性誘導体及びそのアナログの例は、Tyr31−エキセンディン−4(1−31)−アミドである。
【0028】
ここで使用される「安定したエキセンディン−4化合物」なる用語は、化学的に修飾されたエキセンディン−4(1−39)、つまり一般的な方法によって定量して、ヒトにおいて少なくとも10時間のインビボ血漿排出半減期を示すアシル化エキセンディン−3又はアシル化エキセンディン−4アナログを意味する。
光学異性体が述べられていない全てのアミノ酸はL異性体を意味するものと理解されなければならない。
【0029】
ここで使用される場合「インスリン分泌性剤」なる用語は、ヒトGLP−1レセプターのアゴニストである化合物、すなわち、ヒトGLP−1レセプターを含む適切な媒体(このような媒体の一つは以下に開示される)において、cAMPの形成を刺激する化合物を意味する。
【0030】
クローンされたヒトGLP−1レセプターを発現するベビーハムスター腎臓(BHK)細胞(BHK−467−12A)を、100IU/mLのペニシリン、100μL/mLのストレプトマイシン、5%のウシ胎仔血清及び0.5mg/mLのジェネテシンG−418(Life Technologies)が添加されたDMEM培地で増殖させた。細胞を、リン酸緩衝食塩水で2回洗浄し、ヴェルセンを用いて収集した。バッファー1(20mM HEPES−Na、10mM EDTA、pH7.4)においてUltraturraxを用いてホモジナイズすることにより、細胞から細胞膜を調製した。ホモジネートを、4℃で15分、48000×gで遠心分離した。洗浄手順をもう一回繰り返した。最終ペレットをバッファー2に懸濁させ、直ぐにアッセイに使用するか、又は−80℃で保存した。
【0031】
機能的レセプターアッセイを、インスリン分泌性剤による刺激に対する反応として、サイクリックAMP(cAMP)を測定することにより、実施した。形成したcAMPを、アルファスクリーン(AlphaScreen)TMcAMPキット(Perkin Elmer Life Sciences)により定量した。次の添加物:1mMのATP、1μMのGTP、0.5mMの3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)、0.01%のトゥイーン(Tween)−20、0.1%のBSA、6μgの膜調製物、15μg/mLのアセプタービーズ、20μg/mLのドナービーズで、6nMのビオチニル−cAMPでプレインキュベートされたものと共に、全用量50μLのバッファー3(50mMのトリス−HCI、5mMのHEPES、10mMのMgCl、pH7.4)内の、96−ウェルマイクロタイタープレート半領域においてインキュベートを実施した。アゴニスト活性について試験される化合物を、バッファー3に溶解し、希釈した。各実験について、GTPは新たに調製した。室温で3時間、ゆっくりと攪拌しつつ、暗所でプレートをインキュベートし、続いてフュージョン(FusionTM)機器(Perkin Elmer Life Sciences)において計数した。個々の化合物について、濃度−反応曲線をプロットし、プリズム(Prism)バージョン4.0(GraphPad、Carlsbad、CA)を用いた4パラメーターロジスティックモデルを使用し、EC50値を推定した。
【0032】
ここで使用される「半組換え」なる用語は、組換えプロセスによって、つまり宿主細胞の培養から、GLP−1アナログの第一断片のような第一ペプチド断片を調製し、ついで、ペプチドの第一断片にペプチドの第二断片をカップリングさせる工程を含む方法を意味し、ここで、第二断片はする化学的に、つまり溶液中において、又は固相ペプチド化学法を使用して樹脂上で調製される。断片のカップリングは化学的に又は酵素的に実施されうる。
ここで使用される「発現された前躯体分子を分離させる」なる用語は、組換え的に生産された化合物の単離を含む任意の種類の分離を意味し、また宿主細胞を崩壊させ又は透過させることを含む。
【0033】
従って、本発明は、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸をN末端部分に含むGLP−1アナログ又は誘導体を製造するための方法であって、
(i)上記GLP−1アナログの前躯体分子をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞を該前躯体分子の発現に適した条件下で培養し、
(ii)発現された前躯体分子を培養ブロスから分離し、
(iii)発現された前躯体分子に一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展をカップリングさせ、
(iv)得られたGLP−1アナログ又は誘導体を適切な手段によって単離する
工程を含む方法に関する。
【0034】
本文脈において、「GLP−1アナログの前躯体分子」なる用語は、GLP−1、GLP−2、エキセンディン−3又はエキセンディン−4ペプチドから誘導されるペプチド、つまり、N末端アミノ酸伸展の付加前のGLP−1アナログ配列として理解されなければならない。例としては、限定されないが、ヒトGLP−1(11−37)又はそのアナログ、ヒトGLP−1(9−37)又はそのアナログ及びヒトGLP−1(8−37)又はそのアナログが含まれる。
従って、一態様では、本発明に係るGLP−1アナログの前躯体分子は、配列番号1に示されたGLP−1(7−37)配列から誘導されたGLP−1ペプチドを含む。
【0035】
エキセンディン−4は、Gila巨大トカゲ(アメリカドクトカゲ(Heloderma suspectum)及びメキシコドクトカゲ(Heloderma horridum))の毒液から単離された39アミノ酸残基のペプチドである。このペプチドは、オーバーラップ領域においてGLP−1(7−37)と52%の相同性を共有する。エキセンディン−4は強力なGLP−1レセプターアゴニストであり、ヌに注射されたときにインスリン放出とその後の血糖値低下を刺激することがまた示されている。
よって、オーバーラップ領域におけるGLP−1(7−37)との52%の相同性のため、本発明に係るGLP−1アナログの前躯体分子は、ある実施態様では、配列番号2に示されたエキセンディン−4ペプチドから誘導されうる。
【0036】
従って、GLP−1アナログの前躯体分子は、更なる態様では、一般式:
Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa16−Ser−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Glu−Xaa22−Xaa23−Ala−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−Xaa42−Xaa43−Xaa44−Xaa45(配列番号3)
(上式中、
Xaa16はVal又はLeuであり;
Xaa18はSer、Lys又はArgであり;
Xaa19はTyr又はGlnであり;
Xaa20はLeu又はMetであり;
Xaa22はGly又はGluであり;
Xaa23はGln、Glu、Lys又はArgであり;
Xaa25はAla又はValであり;
Xaa26はLys、Glu又はArgであり;
Xaa27はGlu又はLeuであり;
Xaa30はAla、Glu又はArgであり;
Xaa33はVal、Lys又はArgであり;
Xaa34はLys、Glu、Asn、His又はArgであり;
Xaa35はGlyであり;
Xaa36はArg、Gly又はLysであり;
Xaa37はGly、Ala、Glu、Pro、Lys,又は不存在であり;
Xaa38はLys、Ser,又は不存在であり;
Xaa39はSer、Lys,又は不存在であり;
Xaa40はGly,又は不存在であり;
Xaa41はAla,又は不存在であり;
Xaa42はPro,又は不存在であり;
Xaa43はPro,又は不存在であり;
Xaa44はPro,又は不存在であり;
Xaa45はSer,又は不存在であり;
但し、Xaa38、Xaa39、Xaa40、Xaa41、Xaa42、Xaa43、Xaa44又はXaa45が不存在ならば、下流の各アミノ酸残基もまた不存在である)
のアミノ酸配列を含みうる。
【0037】
本発明の更なる態様では、GLP−1アナログの前躯体分子は、一般式:
Xaa−Xaa10−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa16−Ser−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Glu−Xaa22−Xaa23−Ala−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−Xaa42−Xaa43−Xaa44−Xaa45(配列番号4)
(上式中、
XaaはGlu又はAspであり、
Xaa10はGly又はAlaであり、
Xaa16はVal又はLeuであり;
Xaa18はSer、Lys又はArgであり;
Xaa19はTyr又はGlnであり;
Xaa20はLeu又はMetであり;
Xaa22はGly又はGluであり;
Xaa23はGln、Glu、Lys又はArgであり;
Xaa25はAla又はValであり;
Xaa26はLys、Glu又はArgであり;
Xaa27はGlu又はLeuであり;
Xaa30はAla、Glu又はArgであり;
Xaa33はVal、Lys又はArgであり;
Xaa34はLys、Glu、Asn、His又はArgであり;
Xaa35はGlyであり;
Xaa36はArg、Gly又はLysであり;
Xaa37はGly、Ala、Glu、Pro、Lys,又は不存在であり;
Xaa38はLys、Ser,又は不存在であり;
Xaa39はSer、Lys,又は不存在であり;
Xaa40はGly,又は不存在であり;
Xaa41はAla,又は不存在であり;
Xaa42はPro,又は不存在であり;
Xaa43はPro,又は不存在であり;
Xaa44はPro,又は不存在であり;
Xaa45はSer,又は不存在であり;
但し、Xaa38、Xaa39、Xaa40、Xaa41、Xaa42、Xaa43、Xaa44又はXaa45が不存在の場合、下流の各アミノ酸残基もまた不存在である)
のアミノ酸配列を含む前躯体分子のリストから選択される。
【0038】
本発明の更なる態様では、GLP−1アナログの前躯体分子は、一般式:
Xaa−Xaa−Xaa10−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa16−Ser−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Glu−Xaa22−Xaa23−Ala−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−Xaa42−Xaa43−Xaa44−Xaa45(配列番号5)
(上式中、
XaaはAla、Gly、Val、Leu、Ile又はLysであり;
XaaはGlu又はAspであり;
Xaa10はGly又はAlaであり;
Xaa16はVal又はLeuであり;
Xaa18はSer、Lys又はArgであり;
Xaa19はTyr又はGlnであり;
Xaa20はLeu又はMetであり;
Xaa22はGly又はGluであり;
Xaa23はGln、Glu、Lys又はArgであり;
Xaa25はAla又はValであり;
Xaa26はLys、Glu又はArgであり;
Xaa27はGlu又はLeuであり;
Xaa30はAla、Glu又はArgであり;
Xaa33はVal、Lys又はArgであり;
Xaa34はLys、Glu、Asn、His又はArgであり;
Xaa35はGlyであり;
Xaa36はArg、Gly又はLysであり;
Xaa37はGly、Ala、Glu、Pro、Lys,又は不存在であり;
Xaa38はLys、Ser,又は不存在であり;
Xaa39はSer、Lys,又は不存在であり;
Xaa40はGly,又は不存在であり;
Xaa41はAla,又は不存在であり;
Xaa42はPro,又は不存在であり;
Xaa43はPro,又は不存在であり;
Xaa44はPro,又は不存在であり;
Xaa45はSer,又は不存在であり;
但し、Xaa38、Xaa39、Xaa40、Xaa41、Xaa42、Xaa43、Xaa44又はXaa45が不存在の場合、下流の各アミノ酸残基もまた不存在である)
のアミノ酸配列を含む前躯体分子から選択される。
【0039】
本発明のGLP−1アナログ前躯体分子は、GLP−1アナログの前躯体分子をコードするヌクレオチド配列を含む適切な宿主細胞を前躯体分子の発現に適した条件下で培養することにより、当業者に知られた一般的な方法及び原理を使用する組換えDNA技術によって調製することができる。
GLP−1アナログの前躯体分子をコードする核酸配列は、例えば自動DNA合成機においてオリゴヌクレオチドを合成し、ついで精製し、アニールし、ライゲートさせ、核酸配列を適切なベクター中にクローニングすることにより、当該分野で良く知られている確立された標準的方法によって合成的に調製することができる。
【0040】
GLP−1アナログの前躯体分子をコードする核酸配列のクローニングは、例えば良く知られたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、行うことができる。
GLP−1アナログの前躯体分子をコードする核酸配列は、組換えDNA手順を簡便に施すことができる任意のベクターであり得る組換え発現ベクター中に挿入される。ベクターの選択はしばしばそれが導入される宿主細胞に依存する。よって、ベクターは、自己複製ベクター、つまり染色体外体として存在し、その複製が染色体複製に独立であるベクター、例えばプラスミドでありうる。あるいは、ベクターは、宿主細胞中に導入されたときに宿主細胞ゲノム中に組み込まれ、それが組み込まれた染色体(群)と共に複製されるものであってもよい。
【0041】
細胞外産物の場合、上清のタンパク質性成分は、当該ポリペプチドのタイプに応じて、濾過、カラムクロマトグラフィー又は沈殿、例えば精密濾過法、限外濾過、等電沈殿、様々なクロマトグラフィー手順による精製、例えばイオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等によって単離される。細胞内又は周辺質産物の場合は、培養培地から単離された細胞が崩壊され又は透過処理され、抽出されてポリペプチド産物又はその前躯体が回収される。
GLP−1アナログの前躯体分子をコードするDNA配列は、適切には、例えばゲノム又はcDNAライブラリーを調製し、標準的な技術に従い合成オリゴヌクレオチドプローブを使用するハイブリダイゼーションによりペプチドの全て又は一部をコードするDNA配列をスクリーニングすることにより得られる、ゲノム又はcDNA由来ものであってよい(例えば、Sambrook, J, Fritsch, EF及びManiatis, T, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989を参照)。また、ポリペプチドをコードするDNA配列は、確立された標準的な方法、例えばBeaucage及びCaruthers, Tetrahedron Letters 22 (1981), 1859-1869に記載されているホスホアミダイト(phosphoamidite)法、又はMatthes等, EMBO Journal 3 (1984), 801-805に記載されている方法により、合成的に調製することもできる。またDNA配列は、例えばUS4683202、又はSaiki等, Science 239 (1988),487-491に記載されているように、特異的プライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応により調製することもできる。
【0042】
GLP−1アナログの前躯体分子をコードするDNA配列は、便宜的に、組換えDNA手順が施されうる任意のベクターに挿入することができ、ベクターの選択は、しばしば、それが挿入される宿主細胞に依存する。よって、ベクターは自己複製ベクター、すなわち染色体外実体として存在するベクターであってよく、その複製は染色体複製、例えばプラスミドとは無関係である。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入された場合に、宿主細胞ゲノム中に組み込まれ、その内部に組み込まれた染色体と共に複製されるものでありうる。
ベクターは、好ましくは、GLP−1アナログの前躯体分子をコードするDNA配列が、プロモーターー等、DNAの転写に必要な付加的なセグメントに作用可能に結合している発現ベクターである。プロモーターーは、選択された宿主細胞において転写活性を示す任意のDNA配列であってよく、宿主細胞に対して同族又は異種であるタンパク質をコードする遺伝子から誘導されてもよい。種々の宿主細胞において本発明のペプチドをコードするDNAの転写を方向付けるのに適切なプロモーターーの例は、例えば上掲のSambrook等、当該分野でよく知られている。
【0043】
また、GLP−1アナログの前躯体分子をコードするDNA配列は、必要であるならば、適切なターミネーターー、ポリアデニル化シグナル、転写エンハンサー配列、及び翻訳エンハンサー配列に作用可能に結合されうる。本発明の組換えベクターは、当該宿主細胞において、ベクターが確実に複製するDNA配列を更に含みうる。
ベクターは、選択可能なマーカー、例えばその産物が遺伝子、宿主細胞における欠陥を補完し、薬剤、例えばアンピシリン、カイナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ハイグロマイシン、又はメトトレキセートに対する耐性を付与する遺伝子をまた含みうる。大規模な製造に対しては、選択可能マーカーは好ましくは抗生物質耐性ではなく、例えばベクター中の抗生物質耐性遺伝子は、ベクターが大規模製造に使用される場合、好ましくは切除される。ベクターから抗生物質耐性遺伝子を除去する方法は当該分野で知られており、例えば、出典明示によりここに援用されるUS6358705を参照のこと。
【0044】
宿主細胞の分泌経路に本発明のGLP−1アナログの前躯体分子を向かわせるために、分泌シグナル配列(リーダー配列、プロプレ配列又はプレ配列としても知られている)が、組換えベクター中に提供されうる。分泌シグナル配列は、正確なリーディングフレームで、ペプチドをコードするDNA配列に結合している。分泌シグナル配列は、通常、ペプチドをコードするDNA配列に対し、5’に位置している。分泌シグナル配列は通常ペプチドに付随しているものでもよく、又は他の分泌タンパク質をコードする遺伝子からのものであってもよい。
GLP−1アナログの前躯体分子をコードするDNA配列、プロモーターー及び場合によってはターミネーターー及び/又は分泌シグナル配列をそれぞれライゲーションし、複製に必要な情報を含む適切なベクターにそれらを挿入するのに使用される手順は、当業者によく知られている(例えば上掲のSambrook等)。
【0045】
DNA配列又は組換えベクターが導入される宿主細胞は、GLP−1アナログの前躯体分子を生産可能な任意の細胞であってよく、限定されないが、哺乳動物宿主細胞、トリ宿主細胞、昆虫宿主細胞、植物宿主細胞、細菌宿主細胞、真菌宿主細胞及び酵母宿主細胞を含む。よく知られており、当該分野で使用される適切な宿主細胞の例は、限定されるものではないが、出芽酵母、ピキア・パストリス及び他の酵母、大腸菌、枯草菌、及び蛍光菌又は哺乳類BHK又はCHO細胞系である。
外来性核酸を宿主中に導入する方法は、当該分野でよく知られており、使用される宿主細胞で変動する。宿主細胞は、適切な条件下で培養されると、GLP−1前躯体分子を合成し、これは、続いて(宿主細胞がそれを培地中に分泌するならば)培養培地から又は(それが分泌されないならば)それを生産する宿主細胞から直接収集されうる。
【0046】
一実施態様では、GLP−1前駆体分子は酵母細胞中で生産される。酵母発現宿主は、当該分野でよく知られており、限定されないが、出芽酵母、カンジダ・アルビカンス及びカンジダ・マルトーサ(C. maltosa)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(polymorpha), クルイベロミセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)及びクルイベロミセス・ラクチス(K. lactis)、ピキア・ギレリモンディイ(Pichia guillerimondii)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)及びピキア・パストリス(Pichia pastoris)、分裂酵母、及びアルカン資化酵母(Yarrowia lipolytica)を含む。
一実施態様では、GLP−1前駆体分子は細菌系において生産される。細菌発現宿主は当該分野でよく知られており、限定されないが、大腸菌、枯草菌、蛍光菌、ラクトコッカス・ラクティス、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、及びストレプトコッカス・リビダンス(Streptococcus lividans)を含む。
一実施態様では、GLP−1前駆体分子は糸状菌において発現される。糸状菌宿主は、当該分野でよく知られており、限定されないが、パンカビ、アオカビ属、トリポクラジウム(Tolypocladium)、及びアスペルギルス宿主、例えばアスペルギルス・ニデュランス、コウジカビ及びクロコウジカビを含む。
【0047】
一実施態様では、GLP−1前駆体分子は昆虫細胞において生産される。発現系は、ネッタイシマカ、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)、カイコ、キイロショウジョウバエ、ヨトウガ、及びイラクサギンウワバに対して開発されている。これらの細胞株の各々はタンパク質の発現の分野の当業者によって知られ、また利用可能である。
一実施態様では、GLP−1前駆体分子は他の高等真核細胞中で生産される。これらには、限定されないが、トリ細胞及び植物細胞、例えばコナミドリムシが含まれる。
一実施態様では、GLP−1前駆体分子は哺乳動物宿主細胞株中で生産される。これらの例には、限定されないが、ベビーハムスター腎臓(BHK)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)及びCOS細胞が含まれる。より具体的な例には、限定されないが、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7、ATCC CRL1651);ヒト胎児由来腎臓細胞株(293);ヒト肝細胞(HepG2、HB8065)が含まれる。
【0048】
適切な宿主細胞は当業者によって選択される。
宿主細胞を培養するために使用される培地は、宿主細胞を増殖させるのに適した任意の一般的な培地、例えば最少培地又は適切な栄養分を含む複合培地でありうる。適切な培地は市販の供給者から入手でき、又は刊行された処方(例えばアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログ)に従って調製されうる。
【0049】
細胞によって生産されるGLP−1アナログの前駆体分子は、ついで、遠心分離又は濾過による培地からの宿主細胞の分離を含む一般的な手段によって培養ブロス又は培養培地から分離することができる。
上述のように、血漿ペプチダーゼジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−IV)に対して化合物をより耐性にするために、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展を発現されたGLP−1アナログ前躯体分子にカップリングさせることが本発明の態様である。
【0050】
かかる非タンパク新生アミノ酸は、γ−カルボキシグルタマート、オルニチン、ホスホセリン、D−アミノ酸、例えばD−アラニン及びD−グルタミン、D−アラニン及びD−ロイシン、Aib(α−アミノイソ酪酸)、Abu(α−アミノ酪酸)、Tle(tert−ブチルグリシン)、3−アミノメチル安息香酸、アントラニル酸、デス−アミノ−ヒスチジン、β−アラニン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα−アセチル−ヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジン、α−メチル−ヒスチジン、3−ピリジルアラニン、2−ピリジルアラニン、4−ピリジルアラニン、(1−アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1−アミノシクロブチル)カルボン酸、(1−アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1−アミノシクロへプチル)カルボン酸、(1−アミノシクロオクチル)カルボン酸、α−メチルプロリン、1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、及び4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−C]ピリジン−6−カルボン酸β−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−アラニンから選択されうる。デスアミノ−ヒスチジンは、アミノ基を含んでいないが、ここでは、分類と命名を容易にするために、非タンパク新生アミノ酸と呼ばれる。
【0051】
本発明の一態様では、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展の長さは1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸又は4アミノ酸である。
本発明の一態様では、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展の長さは1アミノ酸、2アミノ酸又は4アミノ酸である。
本発明の一態様では、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展の長さは1アミノ酸又は2アミノ酸である。
本発明の一態様では、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展の長さは2アミノ酸である。
本発明の一態様では、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展の長さは1アミノ酸である。
N末端アミノ酸伸展のアミノ酸の全てが必ずしも非タンパク新生アミノ酸ではないことが考えられる。よって、ある態様では、N末端アミノ酸伸展は1、2、3又は4の非タンパク新生アミノ酸を含む。
【0052】
発明の一態様では、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展は、一般式
Xaa−Xaa−Xaa−Xaa10
(上式中、
Xaaは、シ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、N−アセチル−ヒスチジン,α−フルオロメチル−ヒスチジン,α−メチル−ヒスチジン、3−ピリジルアラニン、2−ピリジルアラニン及び4−ピリジルアラニン、1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、及び4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−C]ピリジン−6−カルボン酸β−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−アラニンから選択され;
XaaはAla、Gly、Val、Leu、Ile、Lys、Aib、(1−アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1−アミノシクロブチル)カルボン酸、(1−アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘプチル)カルボン酸,又は(1−アミノシクロオクチル)カルボン酸及びα−メチルプロリンから選択され、
XaaはGlu、Asp、γ,γ−ジメチルGlu、β,β−ジメチルGlu及びβ,β−ジメチルAspから選択され、及び
Xaa10はGly、Aib、(1−アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1−アミノシクロブチル)カルボン酸、(1−アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘプチル)カルボン酸、及び(1−アミノシクロオクチル)カルボン酸から選択される)
を有する。
【0053】
配列Xaa−Xaa−Xaa−Xaa10の遊離のカルボン酸は、文献(Organic Synthesis solid Phase, Florencio Zaragoza Dorwald, Wiley-VCH Verlag GmbH, D-69469 Weinheim, 2000), (Novabiochem Catalog, Merck Biosciences 2006/2007)及び(Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis, Edited by W.C. Chan及びP.D. White, Oxford University Press, 2000, ISBN 0-19-963724-5)に記載された適切な反応条件を使用し十分に保護されたビルディングブロックを使用して、Fmocベース方策によって、2−クロロトリチルクロリド樹脂のような樹脂上に又は溶液中に効率的に調製されうる。配列中のアミノ酸は保護され又は脱保護されうる。配列Xaa−Xaa−Xaa−Xaa10のN末端伸展ペプチドは活性化されたアシル化剤に活性化されうる。「活性化された」アシル化剤なる用語は、例えば“Amide bond formation and peptide coupling" [Tetrahedron 61(46), 10827-10852 (2005)]に記載されているような一般的技術を使用して活性化されたアシル化剤を意味する。活性化されたエステルの例には、限定されないが、酸塩化物、酸臭化物、酸フッ化物、対称無水物、混合無水物、一般的なカルボジイミド、例えば限定されないが、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を使用して活性化されたカルボン酸が含まれる。更に含まれるものは、限定されないが、上述のカルボジイミドと添加剤を使用するカルボン酸、例えば限定されないが、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール、6−クロロ−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOAt)、3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(DhbtOH)である。また含まれるものは、限定されないが、ウロニウム塩又はホスホニウム塩で活性化されたカルボン酸、例えば限定されないが、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、2−(6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、(2−(6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウムテトラフルオロボレート)(TCTU)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、1−ベンゾトリアゾリオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PYBOP)である。他の活性化されたエステルには、限定されないが、文献 (Organic Synthesis on solid Phase, Florencio Zaragoza Dorwald, Wiley-VCH Verlag GmbH, D-69469 Weinheim, 2000), (Novabiochem Catalog, Merck Biosciences 2006/2007)及び(Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis, W.C. Chan及びP.D. White編, Oxford University Press, 2000, ISBN 0-19-963724-5)に記載された反応条件を使用するN−ヒドロキシスクシンイミドのエステル(NHSエステル)、ペンタフルオロフェノールエステル(PfP−エステル)、2,4−ジニトロフェニルエステル、4−ニトロフェニルエステル、3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HODhbt)及びカルボニルジイミダゾール(CDI)、N−エチル−5−フェニルイソキサゾリウム−3’−スルホネート(NEPIS)、好ましくはN−ヒドロキシスクシンイミドエステル又はHOBtエステル又はその誘導体が含まれる。
【0054】
一般式Xaa−Xaa−Xaa−Xaa10を有するN末端伸展ペプチドの一例は、

(上式中、R1及びR2は個々に選択される保護基、例えば限定されないが、カルバメートで、限定されないが9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)及びベンジルカルバメート(Cbz)を含むもの;アミドで、限定されないが、ベンズアミドを含むもの;イミドで、限定されないが、N−フタルイミドを含むもの;及びアルキル類で、限定されないが、1−アダマンチル(1−Adoc)及びトリフェニルメチル(Trt)を含むものである。)である。好ましい実施態様では、R1は9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)及びベンジルカルバメート(Cbz)からなる群から選択され、R2はtert−ブトキシカルボニル(Boc)及びトリフェニルメチル(Trt)からなる群から選択される。R3は個々に選択される保護基、例えば限定されないが、エステルで、限定されないが、メチル、エチル、tert−ブチル、ベンジル及び9H−フルオレン−9−イルメチル(Fm)を含むものである。好ましい実施態様では、R3はtert−ブチル又はベンジルである。
【0055】
対応するN−ヒドロキシスクシンイミドエステルとして活性化される配列Xaa−Xaa−Xaa−Xaa10のN末端伸展ペプチドの一例は、

(上式中、R1、R2、及びR3は、例えば上述のもののような個々に選択される保護基である)である。
【0056】
本発明の更なる態様では、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展は、一般式
Xaa−Xaa
(上式中、
XaaはL−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、N−アセチル−ヒスチジン,α−フルオロメチル−ヒスチジン,α−メチル−ヒスチジン、3−ピリジルアラニン、2−ピリジルアラニン及び4−ピリジルアラニンであり;1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−C]ピリジン−6−カルボン酸β−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−アラニンから選択され;及び
XaaはGly、Aib、(1−アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1−アミノシクロブチル)カルボン酸、(1−アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘプチル)カルボン酸,又は(1−アミノシクロオクチル)カルボン酸及びα−メチルプロリンから選択される)
を有している。
【0057】
配列Xaa−Xaaの遊離カルボン酸は上に記載された適切な反応条件を使用し十分に保護されたビルディングブロックを使用して、例えばFmocベース方策によって、2-クロロトリチルクロリド樹脂のような樹脂上に効率的に調製されうるか、あるいはそれは溶液中に調製されうる。配列中のアミノ酸は保護され又は脱保護されうる。
配列Xaa−XaaのN末端伸展ペプチドは上述の活性化されたアシル化剤に活性化されうる。
式Xaa−XaaのN末端伸展ペプチドの例は、

(上式中、R1及びR2は上述のような個々に選択される保護基である)である。
対応するN−ヒドロキシスクシンイミドエステルとして活性化された配列Xaa−XaaのN末端伸展ペプチドの例は、

(上式中、R1及びR2は上述のような個々に選択される保護基である)である。
【0058】
本発明のまた更なる態様では、一の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展は、一般式Xaa
(上式中、
XaaはD−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、N−アセチル−ヒスチジン,α−フルオロメチル−ヒスチジン,α−メチル−ヒスチジン、3−ピリジルアラニン、2−ピリジルアラニン及び4−ピリジルアラニンであり;1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、及び4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−C]ピリジン−6−カルボン酸β−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−アラニンから選択される)を有する。
配列Xaaの遊離カルボン酸は上に記載された適切な反応条件を使用し十分に保護されたビルディングブロックを使用して、例えば2−クロロトリチルクロリド樹脂のような樹脂上に効率的に調製されうるか、あるいは溶液中に調製されうる。配列中のアミノ酸は保護され又は脱保護されうる。
【0059】
N末端伸展Xaa中のアミノ酸は、上述のように活性化されたアシル化剤に活性化されうる。
式Xaaのアミノ酸の例は、

(上式中、R2は上述の保護基又は水素である)
である。
対応するN−ヒドロキシスクシンイミドエステルとして活性化される式Xaaのアミノ酸の例は、

である。
【0060】
本発明の更なる態様では、本発明に従って製造されるGLP−1アナログは、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展が、上述の一般式Xaa−Xaa−Xaa−Xaa10を有するGLP−1アナログであり;
該GLP−1アナログの前躯体分子は、上述の一般式
Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa16−Ser−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Glu−Xaa22−Xaa23−Ala−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−Xaa42−Xaa43−Xaa44−Xaa45を有する。
【0061】
本発明の更なる態様では、本発明に従って製造されるGLP−1アナログは、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展が、上述の一般式Xaa−Xaaを有するGLP−1アナログであり;
該GLP−1アナログの前躯体分子は、上述の一般式
Xaa−Xaa10−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa16−Ser−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Glu−Xaa22−Xaa23−Ala−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−Xaa42−Xaa43−Xaa44−Xaa45を有する。
【0062】
本発明のまた更なる態様では、本発明に従って製造されるGLP−1アナログは、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展が、上述の一般式Xaaを有するGLP−1アナログであり;
該GLP−1アナログの前躯体分子は、上述の一般式
Xaa−Xaa−Xaa10−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa16−Ser−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Glu−Xaa22−Xaa23−Ala−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−Xaa42−Xaa43−Xaa44−Xaa45を有する。
【0063】
例えばGLP−1アナログ前躯体分子のような保護されていないポリペプチド断片への更なるアミノ酸アナログのカップリングは、使用された反応条件下で生じうる可能な多数の副反応のために些細な仕事ではない場合がある。例えばN−ヒドロキシスクシンイミドエステルのような活性エステルのような求電子試薬は一般にポリペプチド中に存在する求核試薬と反応する。かかる求核試薬はチオール類、アミン類、イミダゾール類、フェノール性ヒドロキシ基、アルコール類、及びグアニジン類でありうる。官能基に対するアシル化率は、個々の基の固有の反応性に依存するが、またポリペプチドの一次、二次、三次及び四次構造にさえ依存する。従って、ポリペプチド中の異なったアミノ酸部分の相対反応性を予測することは難しい場合が多い。実際、保護されていないポリペプチドへの反応は生成物の混合物を生じる。しかしながら、ポリペプチド中の個々の基の相対反応性は、ある場合には反応が実施される条件によって部分的に制御されうる。よって、反応混合物中のpH変化により、幾つかの基の反応性が変更されうる。同様に、非プロトン性からプロトン性への溶媒変化により、幾つかの基の反応性が変更されうる。
【0064】
本発明に係る方法では、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展のGLP−1前躯体分子へのカップリングは、ある有用な実施態様では、1−メチル−ピロリジン−2−オン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチル−ホルムアミドから選択される有機極性溶媒を含む溶媒中で生じうる。
他の有用な実施態様では、N末端アミノ酸伸展のカップリングは、水性溶媒混合物、例えば1−メチル−ピロリジン−2−オン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチル−ホルムアミドから選択される溶媒の様な有機極性溶媒を含みうる水性溶媒混合物中で生じうる。
【0065】
更に、本発明に係るN末端アミノ酸伸展のカップリングは、有用な実施態様では、反応混合物中のpHが6と12の間、例えば7と10の間である水性溶媒混合物中で生じることが見出された。更なる実施態様では、反応混合物中のpHは7−8、8−9、9−10又は10−12の範囲にある。
先に記載したように、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展中のアミノ酸は一又は複数の保護基を含みうる。よって、本発明に係る方法は一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展からこれらの保護基の一又は複数を除去する一又は複数の工程を更に含みうることが考えられる。かかる脱保護工程は文献に十分に記載されている。
【0066】
本発明に係る方法は、発現された前躯体分子又は発現された前躯体分子へのN末端伸展分子のカップリングから得られたGLP−1アナログ中の少なくとも一のリジン残基のεアミノ基をアシル化剤でアシル化する更なる工程を含みうる。
ある実施態様では、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展をGLP−1アナログ前躯体分子にカップリングするまえにこの工程を実施することが有用でありうる。よって、本発明に係る方法において使用されるGLP−1アナログ前躯体分子は、ある実施態様では、場合によっては、例えばリジン残基のイプシロン−アミノ−基で活性化された、アシル化剤でアシル化され得る。
【0067】
よって、一態様では、本発明は、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸をN末端部に含むGLP−1アナログ又は誘導体を製造する方法であって、
(i)上記GLP−1アナログの前躯体分子をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞を該前躯体分子の発現に適した条件下で培養し、
(ii)発現された前躯体分子を培養ブロスから分離し、
(iii)場合によっては、発現された前躯体分子中の少なくとも一のリジン残基のεアミノ基を、場合によっては活性化されるアシル化剤でアシル化して、前躯体分子誘導体を得、場合によっては該前躯体分子誘導体を単離し、
(iv)発現された前躯体分子又は前躯体分子誘導体に一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展をカップリングさせ、
(v)得られたGLP−1アナログ又は誘導体を適切な手段によって単離する
工程を含む方法に関する。
【0068】
本発明に係る方法は、少なくとも一のリジン残基のイプシロン−アミノ−基を上述のアミン保護剤で選択的に保護する工程を場合によっては更に含みうる。
ある実施態様では、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展のGLP−1アナログ前躯体分子へのカップリングの前にこの保護工程を実施することが有利な場合がある。よって、本発明の該実施態様に係る方法において使用される得られたリジン保護されたGLP−1アナログ前躯体分子誘導体は、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展にカップリングされうる。リジン保護されたGLP−1アナログ前躯体分子へのN末端アミノ酸伸展の該カップリングの後に、任意のリジンのイプシロンアミン基上の保護基が、一般的技術を使用して除去され得、リジンの得られたイプシロン−アミノ−基が場合によっては活性化されるアシル化剤で場合によってはアシル化されうる。
【0069】
よって、一態様では、本発明は、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸をN末端部に含むGLP−1アナログを製造する方法であって、
(i)上記インスリン分泌性ペプチドの前躯体分子をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞を該前躯体分子の発現に適した条件下で培養し、
(ii)発現された前躯体分子を培養ブロスから分離し、
(iii)発現された前躯体分子中の少なくとも一のリジン残基のεアミノ基を保護剤で保護して保護された前躯体分子を得、場合によっては該保護された前躯体分子を単離し、
(iv)発現された前躯体分子に一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展をカップリングさせ、場合によっては該保護されたGLP−1アナログを単離し、
(v)イプシロンアミノ保護基を脱保護し、場合によっては得られたGLP−1アナログを単離し、
(vi)場合によっては、GLP−1アナログ中の少なくとも一のリジン残基のイプシロン−アミノ−基を、場合によっては活性化されるアシル化剤でアシル化して前躯体分子誘導体を得、
(vii)得られたGLP−1アナログ又は誘導体を、当該分野で知られている適切な手段によって単離する
工程を含む方法に関する。
【0070】
本発明の一態様では、リジン残基のイプシロン−アミノ−基のアシル化に使用されるアシル化剤は、一般式:
A−OH、A−C−D−OH、A−B−C−OH又はA−B−C−D−OH
のカルボン酸アナログであり、ここで、一つの末端の遊離カルボン酸、例えばA−OH、A−C−D−OH、A−B−C−OH又はA−B−C−D−OHの−OH基は、場合によっては活性化され、任意の他の含まれる遊離カルボン酸は場合によっては適切な保護基、例えば限定されないがtert−ブチル、ベンジル又はアリルから選択されるもので保護され、
ここで、
Aは、

からなる群から選択され、
ここで、nは14、15、16、17、18及び19からなる群から選択され、pは10、11、12、13及び14からなる群から選択され、dは0、1、2、3、4及び5からなる群から選択され、及びmは11、12、13、14、15、16、17からなる群から選択され、kは0、1、2、3、4、5、11及び27からなる群から選択され、mは0、1、2、3、4、5及び6からなる群から選択され、R1は9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルカルバメート(Cbz)−の群から選択され、
Bは

からなる群から選択され、
ここで、xは0、1、2、3及び4からなる群から選択され、yは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12からなる群から選択され、
Cは

からなる群から選択され、
ここで、b及びeはそれぞれ独立して0、1及び2からなる群から選択され、c及びfはそれぞれ独立して0、1及び2からなる群から選択され、但し、cが0のとき、bは1又は2であり、又はcが1または2のとき、bは0であり、fが0のとき、eは1又は2であり、又はfが1又は2のときeは0であり、Dは

からなる群から選択され、ここで、kは0、1、2、3、4、5、11及び27からなる群から選択され、mは0、1、2、3、4、5及び6からなる群から選択される。
【0071】
発明の一態様では、リジン部分のε−Nのアシル化に使用される断片A−OH、A−C−D−OH、A−B−C−OH又はA−B−C−D−OHは、上述の活性化されたアシル化剤に活性化されるカルボン酸誘導体である。
発明の一態様では、遊離の官能化学基、例えば断片A−OH、A−C−D−OH、A−B−C−OH又はA−B−C−D−OHの断片A又はC中に含まれるカルボン酸は、限定されないがtert−ブチル、ベンジル又はアリルから選択される適切な保護基で保護される。
ここで用いられる場合、ペプチド及び/又はカルボン酸のような官能化学基についてアシル化剤に関連して「含まれる」なる用語は、ペプチド又はアシル化剤中に存在する官能化学基を意味する。
【0072】
カルボン酸誘導体は、(Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis, Edited by W.C. Chan及びP.D. White, Oxford University Press, 2000, ISBN 0-19-963724-5)に記載された反応条件を使用して十分に保護されたビルディングブロックを使用するFmocベース方策によって、2-クロロトリチルクロリド樹脂のような樹脂上に効率的に調製されうる。
【0073】
断片A−B−C−D−OHの例は、

である。
対応する活性化アナログはN−ヒドロキシスクシンイミドエステルでありうる;

断片A−B−C−D−の例は、


である。
【0074】
断片A−C−D−の例は、


である。
【0075】
断片A−B−C−の例は、

である。
【0076】
全ての特に述べた断片A−OH、A−C−D−OH、A−B−C−OH又はA−B−C−D−OHにおいて、任意の含まれる遊離カルボン酸は、場合によっては、限定されないがtert−ブチル、ベンジル又はアリルから選択される適切な保護基で保護されうる。
全ての特に述べた断片A−OH、A−C−D−OH、A−B−C−OH又はA−B−C−D−OHにおいて、記載されていようといまいと、キラル中心は同じ断片中の他のキラル中心とは独立してR又はSエナンチオマーでありうる。
一実施態様では、一又は複数のキラル中心が存在する場合、断はエナンチオマーの混合物の形態でありうる。
他の実施態様では、一又は複数のキラル中心が存在する場合、断片は、キラル中心の各々がRかSである純粋なエナンチオマーの形態であり得る。
他の実施態様では、キラリティーは本発明の特に述べられた断片に示される通りである。
【0077】
発明の一態様では、リジンアミノ酸残基のεアミン保護基は、限定されないが、次の例から選択されうる:

【0078】
本発明に係る方法では、アシル化工程は、ある有用な実施態様では、1−メチル−ピロリジン−2−オン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチル−ホルムアミドから選択される有機極性溶媒を含む溶媒中で生じうる。
更なる実施態様では、アシル化工程は、有機極性溶媒を含む水性溶媒混合物のような水性溶媒混合物中で生じうる。かかる有機極性溶媒は、有利には、1−メチル−ピロリジン−2−オン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチル−ホルムアミドから選択されうる。
更なる実施態様では、アシル化工程は水溶液中で生じうる。
【0079】
1−メチル−ピロリジン−2−オン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド及びN,N−ジメチルホルムアミド又はN−メチル−ホルムアミドの量は、ある実施態様では、該溶媒の量が80%(v/v)未満、例えば50%(v/v)未満であるようなものである。他の態様では、1−メチル−ピロリジン−2−オン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド又はN−メチル−ホルムアミドの量は40−45、45−50、50−60、60−70及び70−80%(v/v)の範囲を含む約40−80%(v/v)の範囲である。アシル化剤は固形物として反応混合物に添加されうることも更に考えられる。
【0080】
アシル化工程が生じる水性溶媒混合物のpH値は、有用な実施態様では、9と13の間、例えば10と12の間、例えば10.5と11.5の間である。更なる実施態様では、反応混合物中のpHは9−10、10−11、11−12又は12−13の範囲である。
本発明によって使用されるアシル化剤は、一又は複数の保護基を含みうる。よって、本発明に係る方法は、GLP−1アナログ前躯体分子にひとたびカップリングがなされたら、アシル化剤からこれらの保護基の一又は複数を除去する一又は複数の工程を更に含みうることが考えられる。かかる脱保護工程は文献に十分に記載されている。
【0081】
宿主細胞における効率的な異種タンパク質の発現には、タンパク質がプロペプチド、すなわち(リーダー配列、プレプロ配列又はプレ配列としても知られている)分泌シグナル配列を有するポリペプチドの形態で発現されることがしばしば必要である。しかしながら、このリーダー配列は通常は所望のポリペプチドでは望まれず、よって、本発明に係る方法は、ある態様では、GLP−1アナログ前躯体分子から末端及び/又はC末端プロペプチド伸展を除去する更なる工程を含む。
【0082】
本発明に係る方法は、適切な手段、例えば当該分野で知られている標準的な精製法によって、得られたGLP−1アナログ又は誘導体を単離する工程を含む。
本発明に係る方法から得られるGLP−1アナログ又は誘導体を、ある実施態様ではアルブミン結合部分で誘導体化するか又はペグ化することもまた本発明の範囲内にある。、
本発明のリーダー配列は図4に列挙された最適形態でありうる。
【0083】
ここで使用される「アルブミン結合部分」なる用語は、ヒト血清アルブミンに非共有的に結合する残基を意味する。治療用ポリペプチドに結合されるアルブミン結合残基は、ヒト血清アルブミンに対して典型的には10μM以下、好ましくは1μM以下の親和性を有している。遠い酸性基を有する4−40の炭素原子を含む直鎖状及び分岐状親油性部分の中に、ある範囲のアルブミン結合残基が知られている。
【0084】
発明の実施態様
1. 一又は複数の非タンパク新生アミノ酸をN末端部分に含むGLP−1アナログ又は誘導体を製造するための方法であって、
(i)上記GLP−1アナログの前躯体分子をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞を該前躯体分子の発現に適した条件下で培養し、
(ii)発現された前躯体分子を培養ブロスから分離し、
(iii)発現された前躯体分子に一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展をカップリングさせ、
(iv)得られたGLP−1アナログ又は誘導体を適切な手段によって単離する
工程を含む方法。
2. 一又は複数の非タンパク新生アミノ酸をN末端部分に含むGLP−1アナログ又は誘導体を製造するための方法であって、
i)上記GLP−1アナログの前躯体分子をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞を該前躯体分子の発現に適した条件下で培養し、
ii)発現された前躯体分子を培養ブロスから分離し、
iii)前駆体分子のリジン基を保護し、
iv)保護された前躯体分子に一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展をカップリングさせて、保護されたGLP−1アナログを得、
v)上記GLP−1アナログのリジン基を脱保護し、
iv)得られたGLP−1アナログ又は誘導体を適切な手段によって単離する
工程を含む方法。
3. N末端アミノ酸伸展が、カップリング工程におけるその使用前に保護され、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展が、保護された前駆体分子にカップリングされ、保護されたGLP−1アナログがN末端伸展のカップリング後に再び脱保護される実施態様1又は2に記載の方法。
4. 一又は複数の非タンパク新生アミノ酸をN末端部分に含むGLP−1アナログ又は誘導体を製造するための方法であって、
i)上記GLP−1アナログの前躯体分子をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞を該前躯体分子の発現に適した条件下で培養し、
ii)発現された前躯体分子を培養ブロスから分離し、
iii)発現された前躯体分子に一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含む保護されたN末端アミノ酸伸展をカップリングさせ、
iv)保護されたGLP−1アナログ又は誘導体の保護基を脱保護し、
v)得られたGLP−1アナログ又は誘導体を適切な手段によって単離する
工程を含む方法。
5. 一又は複数の非タンパク新生アミノ酸をN末端部分に含むGLP−1アナログ又は誘導体を製造するための方法であって、
i)上記GLP−1アナログの前躯体分子をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞を該前躯体分子の発現に適した条件下で培養し、
ii)発現された前躯体分子を培養ブロスから分離し、
iii)前駆体分子のリジン基を保護し、
iv)保護された前躯体分子に一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含む保護されたN末端アミノ酸伸展をカップリングさせて、保護されたGLP−1アナログ又は誘導体を得、
v)保護されたGLP−1アナログ又は誘導体の保護基を脱保護し、
vi)得られたGLP−1アナログ又は誘導体を適切な手段によって単離する
工程を含む方法。
6. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、上記GLP−1アナログの前躯体分子が、一般式:
Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa16−Ser−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Glu−Xaa22−Xaa23−Ala−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−Xaa42−Xaa43−Xaa44−Xaa45
(上式中、
Xaa16はVal又はLeuであり;
Xaa18はSer、Lys又はArgであり;
Xaa19はTyr又はGlnであり;
Xaa20はLeu又はMetであり;
Xaa22はGly又はGluであり;
Xaa23はGln、Glu、Lys又はArgであり;
Xaa25はAla又はValであり;
Xaa26はLys、Glu又はArgであり;
Xaa27はGlu又はLeuであり;
Xaa30はAla、Glu又はArgであり;
Xaa33はVal、Lys又はArgであり;
Xaa34はLys、Glu、Asn、His又はArgであり;
Xaa35はGlyであり;
Xaa36はArg、Gly又はLysであり;
Xaa37はGly、Ala、Glu、Pro、Lys,又は不存在であり;
Xaa38はLys、Ser,又は不存在であり;
Xaa39はSer、Lys,又は不存在であり;
Xaa40はGly,又は不存在であり;
Xaa41はAla,又は不存在であり;
Xaa42はPro,又は不存在であり;
Xaa43はPro,又は不存在であり;
Xaa44はPro,又は不存在であり;
Xaa45はSer,又は不存在であり;
但し、Xaa38、Xaa39、Xaa40、Xaa41、Xaa42、Xaa43、Xaa44又はXaa45が不存在ならば、下流の各アミノ酸残基もまた不存在である)
のアミノ酸配列を含む前躯体分子のリストから選択される方法。
7. 実施態様1−5の何れかに記載の方法において、上記GLP−1アナログの前躯体分子が、一般式:
Xaa−Xaa10−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa16−Ser−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Glu−Xaa22−Xaa23−Ala−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−Xaa42−Xaa43−Xaa44−Xaa45
(上式中、
XaaはGlu又はAsp
Xaa10はGly又はAla
Xaa16はVal又はLeuであり;
Xaa18はSer、Lys又はArgであり;
Xaa19はTyr又はGlnであり;
Xaa20はLeu又はMetであり;
Xaa22はGly又はGluであり;
Xaa23はGln、Glu、Lys又はArgであり;
Xaa25はAla又はValであり;
Xaa26はLys、Glu又はArgであり;
Xaa27はGlu又はLeuであり;
Xaa30はAla、Glu又はArgであり;
Xaa33はVal、Lys又はArgであり;
Xaa34はLys、Glu、Asn、His又はArgであり;
Xaa35はGlyであり;
Xaa36はArg、Gly又はLysであり;
Xaa37はGly、Ala、Glu、Pro、Lys,又は不存在であり;
Xaa38はLys、Ser,又は不存在であり;
Xaa39はSer、Lys,又は不存在であり;
Xaa40はGly,又は不存在であり;
Xaa41はAla,又は不存在であり;
Xaa42はPro,又は不存在であり;
Xaa43はPro,又は不存在であり;
Xaa44はPro,又は不存在であり;
Xaa45はSer,又は不存在であり;
但し、Xaa38、Xaa39、Xaa40、Xaa41、Xaa42、Xaa43、Xaa44又はXaa45が不存在ならば、下流の各アミノ酸残基もまた不存在である)
のアミノ酸配列を含む前躯体分子のリストから選択される方法。
8. 実施態様1−5の何れか一項に記載の方法において、上記GLP−1アナログの前躯体分子が、一般式:
Xaa−Xaa−Xaa10−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa16−Ser−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Glu−Xaa22−Xaa23−Ala−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−Xaa42−Xaa43−Xaa44−Xaa45
(上式中、
XaaはAla、Gly、Val、Leu、Ile、Lys
XaaはGlu、Asp
Xaa10はGly、Ala
Xaa16はVal又はLeuであり;
Xaa18はSer、Lys又はArgであり;
Xaa19はTyr又はGlnであり;
Xaa20はLeu又はMetであり;
Xaa22はGly又はGluであり;
Xaa23はGln、Glu、Lys又はArgであり;
Xaa25はAla又はValであり;
Xaa26はLys、Glu又はArgであり;
Xaa27はGlu又はLeuであり;
Xaa30はAla、Glu又はArgであり;
Xaa33はVal、Lys又はArgであり;
Xaa34はLys、Glu、Asn、His又はArgであり;
Xaa35はGlyであり;
Xaa36はArg、Gly又はLysであり;
Xaa37はGly、Ala、Glu、Pro、Lys,又は不存在であり;
Xaa38はLys、Ser,又は不存在であり;
Xaa39はSer、Lys,又は不存在であり;
Xaa40はGly,又は不存在であり;
Xaa41はAla,又は不存在であり;
Xaa42はPro,又は不存在であり;
Xaa43はPro,又は不存在であり;
Xaa44はPro,又は不存在であり;
Xaa45はSer,又は不存在であり;
但し、Xaa38、Xaa39、Xaa40、Xaa41、Xaa42、Xaa43、Xaa44又はXaa45が不存在ならば、下流の各アミノ酸残基もまた不存在である)
のアミノ酸配列を含む前躯体分子のリストから選択される方法。
9. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展中の非タンパク新生アミノ酸が、γ−カルボキシグルタマート、オルニチン、ホスホセリン、D−アミノ酸、例えばD−アラニン及びD−グルタミン、D−アラニン及びD−ロイシン、Aib(α−アミノイソ酪酸)、Abu(α−アミノ酪酸)、Tle(tert−ブチルグリシン)、3−アミノメチル安息香酸、アントラニル酸、デス−アミノ−ヒスチジン、β−アラニン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα−アセチル−ヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジン、α−メチル−ヒスチジン、3−ピリジルアラニン、2−ピリジルアラニン、4−ピリジルアラニン、(1−アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1−アミノシクロブチル)カルボン酸、(1−アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1−アミノシクロへプチル)カルボン酸、(1−アミノシクロオクチル)カルボン酸、α−メチルプロリン、1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、及び4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−C]ピリジン−6−カルボン酸β−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−アラニンからなる群から選択される方法。
10. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展の長さが1アミノ酸である方法。
11. 実施態様1−9の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展の長さが2アミノ酸である方法。
12. 実施態様1−9の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展の長さが3アミノ酸である方法。
13. 実施態様1−9の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展の長さが4アミノ酸である方法。
14. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、N末端アミノ酸伸展が2つの非タンパク新生アミノ酸を含む方法。
15. 実施態様1−13の何れかに記載の方法において、N末端アミノ酸伸展が3つの非タンパク新生アミノ酸を含む方法。
16. 実施態様1−13の何れかに記載の方法において、N末端アミノ酸伸展が4つの非タンパク新生アミノ酸を含む方法。
17. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展が、一般式
Xaa−Xaa−Xaa−Xaa10
(上式中、
XaaはL−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、N−アセチル−ヒスチジン,α−フルオロメチル−ヒスチジン,α−メチル−ヒスチジン、3−ピリジルアラニン、2−ピリジルアラニン及び4−ピリジルアラニン、1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、及び4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−C]ピリジン−6−カルボン酸β−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−アラニンから選択され、
XaaはAla、Gly、Val、Leu、Ile、Lys、Aib、(1−アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1−アミノシクロブチル)カルボン酸、(1−アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘプチル)カルボン酸,又は(1−アミノシクロオクチル)カルボン酸及びα−メチルプロリンから選択され、
XaaはGlu、Asp、γ,γ−ジメチルGlu、β,β−ジメチルGlu及びβ,β−ジメチルAspから選択され、及び
Xaa10はGly、Aib、(1−アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1−アミノシクロブチル)カルボン酸、(1−アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘプチル)カルボン酸、及び(1−アミノシクロオクチル)カルボン酸から選択される)
を有している方法。
18. 実施態様1−16の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展が、一般式
Xaa−Xaa
(上式中、
XaaはL−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、N−アセチル−ヒスチジン,α−フルオロメチル−ヒスチジン,α−メチル−ヒスチジン、3−ピリジルアラニン、2−ピリジルアラニン及び4−ピリジルアラニンであり;1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−C]ピリジン−6−カルボン酸β−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−アラニンから選択され;及び
XaaはGly、Aib、(1−アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1−アミノシクロブチル)カルボン酸、(1−アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘプチル)カルボン酸,又は(1−アミノシクロオクチル)カルボン酸及びα−メチルプロリンから選択される)
を有している方法。
19. 実施態様1−16の何れかに記載の方法において、一の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展が一般式
Xaa
(上式中、XaaはD−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、N−アセチル−ヒスチジン,α−フルオロメチル−ヒスチジン,α−メチル−ヒスチジン、3−ピリジルアラニン、2−ピリジルアラニン及び4−ピリジルアラニンであり;1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、及び4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−C]ピリジン−6−カルボン酸β−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−アラニンから選択される)を有している方法。
20. 実施態様19に記載の方法において、N末端アミノ酸伸展がデスアミノ−ヒスチジンであり、カップリング反応が、発現された前躯体分子と、4−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニル)−エチル]−1H−イミダゾール−1−イウム塩、例えばトリフルオロ酢酸塩によって実施される方法。
21. 実施態様1−5の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展が、実施態様17に定義された一般式
Xaa−Xaa−Xaa−Xaa10を有しており;
GLP−1アナログが、実施態様3に定義された一般式
Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa16−Ser−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Glu−Xaa22−Xaa23−Ala−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−Xaa42−Xaa43−Xaa44−Xaa45
を有している方法。
22. 実施態様1−5の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展が、実施態様8において定義された一般式
Xaa−Xaaを有し;
GLP−1アナログが、実施態様4に定義された一般式
Xaa−Xaa10−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa16−Ser−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Glu−Xaa22−Xaa23−Ala−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−Xaa42−Xaa43−Xaa44−Xaa45を有している方法。
23. 実施態様1−5の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展が、実施態様9に定義された一般式
Xaaを有し;
GLP−1アナログが実施態様4に記載の一般式
Xaa−Xaa−Xaa10−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa16−Ser−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Glu−Xaa22−Xaa23−Ala−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−Xaa42−Xaa43−Xaa44−Xaa45を有している方法。
24. 実施態様17−23の何れかに記載の方法において、N末端アミノ酸伸展Xaa−Xaa−Xaa−Xaa10又はXaa−Xaa中のC末端非タンパク新生又はタンパク新生アミノ酸あるいは非タンパク新生アミノ酸Xaaが活性化される方法。
25. 実施態様24に記載の方法において、活性化されたアミノ酸が、酸塩化物、酸臭化物、酸フッ化物、対称無水物、混合無水物、一般的なカルボジイミドを使用して活性化されたカルボン酸、カルボジイミド及び添加剤を使用するカルボン酸及びウロニウム塩又はホスホニウム塩で活性化されたカルボン酸からなる群から選択される方法。
26. 実施態様24に記載の方法において、活性化されたアミノ酸が、一般的なカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を使用して活性化されたカルボン酸からなる群から選択される方法。
27. 実施態様24に記載の方法において、活性化されたアミノ酸が、カルボジイミドと、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール、6−クロロ−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOAt)及び3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(DhbtOH)からなる群から選択される添加剤を使用するカルボン酸からなる群から選択される方法。
28. 実施態様24に記載の方法において、活性化されたアミノ酸が、ウロニウム塩又はホスホニウム塩、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム−ヘキサフルオロ−ホスフェート(HBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、1−ベンゾトリアゾリオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PYBOP)、N−ヒドロキシスクシンイミドのエステル(NHSエステル)、ペンタフルオロフェノールエステル(PfP−エステル)、2,4−ジニトロフェニルエステル、4−ニトロフェニルエステル、3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HODhbt)カルボニルジイミダゾール(CDI)、N−エチル−5−フェニルイソキサゾリウム−3’−スルホネート(NEPIS)で活性化されたカルボン酸からなる群から選択される方法。
29. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展のカップリングが、1−メチル−ピロリジン−2−オン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドN,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチル−ホルムアミドからなる群から選択される有機極性溶媒中で生じる方法。
30. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展のカップリングが、水性溶媒混合物中で生じる方法。
31. 実施態様30に記載の方法において、水性溶媒混合物が、1−メチル−ピロリジン−2−オン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドN,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチル−ホルムアミドからなる群から選択される有機極性溶媒を含む方法。
32. 実施態様30又は31に記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展のカップリングが水性溶媒混合物中で生じ、反応混合物中のpHが4と12の間、好ましく6と10の間である方法。
33. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展中のアミノ酸が一又は複数の保護基を含む方法。
34. 実施態様33に記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含む上記N末端アミノ酸伸展から一又は複数の保護基を除去する工程を更に含む方法。
35. 実施態様1に記載の方法において、発現された前躯体分子中の少なくとも一のリジン残基のεアミノ基をアシル化剤でアシル化する工程を更に含む方法。
36. 実施態様35に記載の方法において、アシル化剤が、活性化されていてもよく、及び/又は一又は複数の保護基で保護されていてもよい一般式
A−OH、A−C−D−OH、A−B−C−OH又はA−B−C−D−OH
のカルボン酸アナログであり、
ここで、
Aは

からなる群から選択され、
ここで、nは14、15、16、17、18及び19からなる群から選択され、pは10、11、12、13及び14からなる群から選択され、dは0、1、2、3、4及び5からなる群から選択され、及びmは11、12、13、14、15、16、17からなる群から選択され、kは0、1、2、3、4、5、11及び27からなる群から選択され、mは0、1、2、3、4、5及び6からなる群から選択され、R1は9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルカルバメート(Cbz)−の群から選択され、
Bは

からなる群から選択され、
ここで、xは0、1、2、3及び4からなる群から選択され、yは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12からなる群から選択され、
Cは

からなる群から選択され、
ここで、b及びeはそれぞれ独立して0、1及び2からなる群から選択され、c及びfはそれぞれ独立して0、1及び2からなる群から選択され、但し、cが0のとき、bは1又は2であり、又はcが1または2のとき、bは0であり、fが0のとき、eは1又は2であり、又はfが1又は2のときeは0であり、
Dは

からなる群から選択され、ここで、kは0、1、2、3、4、5、11及び27からなる群から選択され、mは0、1、2、3、4、5及び6からなる群から選択される方法。
37. 実施態様36に記載の方法において、カルボン酸A−OH、A−C−D−OH、A−B−C−OH又はA−B−C−D−OHが活性化されたアシル化剤に活性化される方法。
38. 実施態様35に記載の方法において、上記アシル化工程が水性溶媒混合物中で生じる方法。
39. 実施態様38に記載の方法において、上記水性溶媒混合物が有機極性溶媒を含む方法。
40. 実施態様39に記載の方法において、上記有機極性溶媒が、1−メチル−ピロリジン−2−オン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチル−ホルムアミドからなる群から選択される方法。
41. 実施態様40に記載の方法において、1−メチル−ピロリジン−2−オン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド又はN−メチル−ホルムアミドの量が80%(v/v)未満である方法。
42. 実施態様40に記載の方法において、1−メチル−ピロリジン−2−オン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド又はN-メチル−ホルムアミドの量が50%(v/v)未満である方法。
43. 実施態様40に記載の方法において、1−メチル−ピロリジン−2−オン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド又はN−メチル−ホルムアミドの量が約40−80%(v/v)の範囲である方法。
44. 実施態様35に記載の方法において、アシル化剤が固形物として反応混合物に添加される方法。
45. 実施態様35に記載の方法において、上記アシル化工程が、水性溶媒混合物中で生じ、反応混合物中のpHが9と13の間、好ましくは10と12の間、又は更により好ましくは10.5と11.5の間である方法。
46. 実施態様35に記載の方法において、活性化されていてもよいアシル化剤が,一又は複数の保護基を含む方法。
47. 実施態様46に記載の方法において、上記活性化されたアシル化剤から一又は複数の保護基を除去する工程を更に含む方法。
48. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、得られた前躯体分子からN末端プロペプチド伸展を除去する工程を更に含む方法。
49. 実施態様1−47の何れかに記載の方法において、得られた前躯体分子からC末端プロペプチド伸展を除去する工程を更に含む方法。
50. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、宿主細胞が哺乳動物宿主細胞である方法。
51. 実施態様1−49の何れかに記載の方法において、宿主細胞が細菌宿主細胞である方法。
52. 実施態様1−49の何れかに記載の方法において、宿主細胞が酵母宿主細胞である方法。
53. 実施態様52に記載の方法において、酵母宿主細胞が出芽酵母である方法。
54. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、GLP−1アナログが、ヒトGLP−1(7−37)、ヒトGLP−2、エキセンディン−3又はエキセンディン−4のアナログ又は誘導体である方法。
55. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、GLP−1アナログがヒトGLP−1(7−37)のアナログ又は誘導体である方法。
56. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、上記GLP−1アナログが、
Aib−GLP−1(7−36)−アミド、Aib−GLP−1(7−37)、Aib8,35GLP−1(7−37)、[Aib,Arg34]GLP−1−(7−37)、[デスアミノHis,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)、[デスアミノHis,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[デスアミノHis,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[デスアミノHis,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[デスアミノHis,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)、
[デスアミノHis,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)、
[デスアミノHis,Glu22,Arg26,Glu30,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)、
[デスアミノHis,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1(7−37)アミド、
[デスアミノHis,Arg34]GLP−1−(7−37)、[Aib,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[デスアミノHis、Glu22Arg26、Arg34、Phe(m−CF3)28]GLP−1−(7−37)アミド、[デスアミノHis,Glu22,Arg26,Arg34]GLP−1−(7−37)−Lys、
[デスアミノHis,Glu22,Arg26,Arg34]GLP−1−(7−37)−Lys、
[dデスアミノHis,Arg26,Arg34,]GLP−1−(7−37)−Lys、
[デスアミノHis,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
及びそのアナログからなる群から選択される方法。
57. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、GLP−1アナログが薬学的組成物中の唯一の生物学的に活性な物質である方法。
58. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、GLP−1アナログがエキセンディン−4アナログである方法。
59. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、少なくとも一のリジン残基のイプシロン−アミノ−基を選択的に保護する工程を含む方法。
60. 実施態様59に記載の方法において、工程(ii)の後に、発現された前躯体分子を培養ブロスから分離する工程が添加される方法。
61. 実施態様59に記載の方法において、実施態様1に記載の工程(iv)の後に、得られたGLP−1アナログ又は誘導体を適切な手段によって単離する工程が添加される方法。
62. 実施態様19に記載の方法において、N末端アミノ酸が、活性化されたアシル化剤4−{3−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−3−オキソプロピル}−1Hイミダゾール−1−イウム

によって導入されたデスアミノ−ヒスチジンである方法。
63. 実施態様19に記載の方法において、N末端アミノ酸が、活性化されたアシル化剤4−{3−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−3−オキソプロピル}−1Hイミダゾール−1−イウムトリフルオロアセテート

の使用により導入されたデスアミノ−ヒスチジンである方法。
64. 先の実施態様の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展のカップリングが、1−メチル−ピロリジン−2−オン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドN,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチル−ホルムアミドからなる群から選択される有機極性溶媒中で生じる方法。
65. 実施態様1−63の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展のカップリングが、水性溶媒混合物中で生じる方法。
66. 実施態様65に記載の方法において、水性溶媒混合物が、1−メチル−ピロリジン−2−オン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドN,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチル−ホルムアミドからなる群から選択される有機極性溶媒を含む方法。
67. 実施態様1−63の何れかに記載の方法において、一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展のカップリングが水性溶媒混合物中で生じ、反応混合物中のpHが7と11の間、好ましくは8と10の間である方法。
68. 活性化されたアシル化剤4−{3−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−3−オキソプロピル}−1Hイミダゾール−1−イウム:

の使用でインスリン分泌性剤にデス−アミノヒスチジンを導入する方法。
69. 活性化されたアシル化剤4−{3−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−3−オキソプロピル}−1Hイミダゾール−1−イウムトリフルオロアセテート

の使用でインスリン分泌性剤にデス−アミノヒスチジンを導入する方法。
【0085】
以下、本発明を次の非限定的実施例及び図面により詳細に記載する。
【実施例】
【0086】
使用される略語:
Adoc: アダマンチルオキシカルボニル
Aib: α−アミノイソ酪酸
Boc: tertブチルオキシカルボニル
CHCN: アセトニトリル
DCM: ジクロロメタン
DIC: ジイソプロピルカルボジイミド
DIPEA: ジイソプロピルエチルアミン
DMF: N,Nジメチルホルムアミド
EtOAc: エチルアセテート
EtO: ジエチルエーテル
Fmoc: 9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル
HATU: 2−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル−)−1,1,3,3テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HBTU: 2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル−)−1,1,3,3テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
O: 水
HOAt: 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
HOBt: 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
MeCN: アセトニトリル
Mtt: 4−メチルトリチル
MW: 分子量
NaOH: 水酸化ナトリウム
NHS: N−ヒドロキシスクシンイミド
NMP: 1−メチル−ピロリジン−2−オン
OtBu: tertブチルエステル
PyBoP (ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
PyBroP ブロモ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
r.t: 室温
OSu: N−ヒドロキシスクシンイミドエステル
tBu: tert−ブチル
TBME: tert−ブチルメチルエーテル
TEA: トリエチルアミン
TFA: トリフルオロ酢酸
TFFH テトラメチルフルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート
TIPS: トリイソプロピルシラン
Trt: トリチル,トリフェニルメチル
TSTU: O−(N−スクシンイミジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
【0087】
一般的方法
ペプチド調製のための一般的方法(方法A)
ペプチドは、0.25mmol又は1.0mmolスケールでApplied Biosystems433ペプチド合成機で、NMP(N−メチルピロリドン)中でのHBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル−)−1,1,3,3テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)又はHATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)媒介カップリング及びFmoc保護基の脱保護のUVモニタリングを用いる製造者提供のFastMoc UVプロトコルを使用して、Fmoc方策に従って合成することができる。Wang又はトリチルベース樹脂を固形担体として使用することができ、使用された保護されたアミノ酸誘導体はABI433A合成機に適した予め計量されたカートリッジで供給される標準的なFmoc−アミノ酸(例えばAnaspec,又はNovabiochemから供給)である。N末端アミノ酸はαアミノ基でBoc保護されている(例えばBoc−His(Boc)OHがN末端にHisを持つペプチドに使用される)。ペプチドの合成は、ある場合には、限定されないが、2−Fmoc−オキシ−4−メトキシベンジル又は2,4,6−トリメトキシベンジルのような、酸性条件下で切断されうる基を持つジペプチドアミド結合で保護されたジペプチドの使用によって改善されうる。セリン又はスレオニンがペプチド中に存在している場合には、疑似プロリンジペプチドを使用することができる(例えばNovobiochem2002/2003又は更に新しい版のカタログ、又はW.R. Sampson(1999)、J.Pep.Sci.5、403を参照)。
【0088】
ペプチド調製のための一般的方法(方法B)
ペプチド合成の一代替法は、マイクロ波ベースのLibertyペプチド合成機(CEM Corp.、North Carolina)でのFmocケミストリーによる。Wang又はトリチルベース樹脂を固形担体として使用することができる。カップリングケミストリーは、NMP中0.4Mで8−10倍のモル過剰のアミノ酸溶液を使用してNMP中のDIC/HOAtで実施される。カップリング条件は70℃までで5分である。脱保護は70℃までNMP中の5%ピペリジンで達成される。
GLP−1前駆体分子は、当該ポリペプチドのタイプに応じて、例えば様々なクロマトグラフィー手順、例えばイオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、逆相HPLC等によって精製できる。
【0089】
アシル化剤A−OH A−B−C−D−OH、A−C−D−OH、A−B−C−OH及びN末端アミノ酸伸展Xaa−Xaa−Xaa−Xaa10、Xaa−Xaa及びXaaの調製のための一般的方法
必要なカルボン酸は、標準的Fmoc化学を使用して2−クロロトリチルクロリド樹脂で調製することができる。先ず、Fmoc保護されたアミノカルボン酸を、樹脂を適切な溶媒、例えばNMP、DCM、DMF等、好ましくはDCMに膨潤させることによって2−クロロトリチルクロリド樹脂に結合させることができる。十分に保護されたFmocアミノカルボン酸が、DIPEA又はTEAのような適切な塩基と共に添加され、樹脂が室温で例えば30分のような適切な期間、撹拌される。樹脂は、NMP、DMF又はDCMのような適切な溶媒で洗浄される。
Fmoc脱保護は、NMP中のピペリジン、好ましくはNMP中の20%ピペリジンを室温で1から30分、典型的には10分使用することにより達成され、その後に樹脂をNMP、DMF又はDCMで十分に洗浄する。該工程は、完全な脱保護が得られるまで、典型的には3回以上、繰り返される。
【0090】
次のFmoc保護されたアミノカルボン酸のカップリングは標準的なカップリング条件を使用して達成される;樹脂がNMP、DMF、DCM又はこれらの混合物のような溶媒中で膨潤させられる。NMP、DMF、DCM又はこれらの混合物のような溶媒中のFmoc保護アミノカルボン酸の他の溶液及びHOBt又はHOAtにDIC又はその等価物を加える。この混合物を樹脂に加え、混合物にDIPEA又はTEAを加え、混合物を室温で1から16時間、典型的には3時間撹拌する。あるいは、混合物を1から60分撹拌した後、DIPEA又はTEAを混合物に加える。カップリングがTNBS試験、ニンヒドリン試験又はクロラニル試験によって完了していないと判断されると、ネガティブ試験まで工程が繰り返される。
あるいは、Fmoc保護アミノカルボン酸の活性化は、次のカップリング試薬;PyBOP、PyBrOP、HBTU、HATU,又はTFFHを使用して達成することができる。
【0091】
十分に保護されたFmoc−アミノカルボン酸の更なる導入は、上記の手順を使用してなすことができる。カルボン酸誘導体の取り込みを含む最後のカップリング工程が、上述のカップリング条件を使用して導入される。
樹脂からの切断は、DCM中の20%トリフルオロエタノール、DCM−TIPS−TFA(95.5:2.5:2)又はヘキサフルオロイソプロパノールで5分から3時間、樹脂を処理することにより達成することができ、完全に保護された誘導体が得られる。
樹脂からの切断はまた5分から3時間、TFA−TIPS−水(95:2.5:2.5)を使用することにより達成することができ、完全に脱保護された誘導体が得られる。
あるいは、誘導体は、文献に記載された標準的な手順を使用して溶液中で調製することができる。
適切に保護されたビルディングブロックは市販されており、又は文献に記載された手順を使用して調製されうる。
Xaaは市販されており、又は文献に記載された手順を介して調製されうる。
【0092】
アシル化剤A−OH A−B−C−D−OH、A−C−D−OH、A−B−C−OH及びN末端アミノ酸伸展Xaa−Xaa−Xaa−Xaa10、Xaa−Xaa及びXaaの活性化のための一般的方法
必要とされるアミノ酸の活性化は、文献に記載された標準的な手順を使用して達成することができる。活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミドエステルが必要とされる場合、カルボン酸は、適切な溶媒、例えばTHF、酢酸エチル、NMP又はDMFに溶解される。O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートのような試薬が、DIPEA又はTEAのような塩基と共に溶液に添加される。混合物は、反応が完了するまで、典型的には3から16時間、室温で撹拌される。あるいは、カルボン酸はN−ヒドロキシスクシンイミドと共に溶解され、DICで処理されうる。生成混合物は更なる精製なしに直接使用することができ、又はそれに水性ワークアップを施すことができる。
【0093】
精製
粗ペプチドは、C18シリカを充填したカラムでの分取HPLCによって精製した。乾燥後、粗ペプチドをHO中の50%酢酸に溶解させ、HOで希釈し、カラムに注入し、ついで水中CHCN及び0.1%TFA 10ml/分の勾配で40℃で50分、溶離させた。ペプチドを含む画分を集め、水での希釈後に凍結乾燥した。
【0094】
分析
LCMS
LCMSは、Sciex API100 Single四極子質量分析計からなる装置で実施した。機器制御及びデータ獲得はウィンドウ2000コンピュータで動くSciex Sampleコントロールソフトウェアによって行った。HPLCポンプは、
A: 水中0.05%トリフルオロ酢酸
B: アセトニトリル中0.05%トリフルオロ酢酸
を含む2つの溶離液リザーバに接続した。
分析は、アセトニトリルの勾配で溶離されたカラムに適切な容積の試料(好ましくは20μl)を注入することによって室温で実施した。
使用したHPLC条件、検出器設定及び質量分析計設定は次の表にまとめる:
カラム: Waters Xterra MS C−18X3mm内径5μm
勾配: 5%−90%アセトニトリル線形、7.5分、1.5ml/分
検出: 210nm(DADからのアナログ出力)
ELS (ELSからのアナログ出力):40℃
MSイオン化モード: API−ES
【0095】
HPLC
方法01_B4_2: RP−分析を、ウォーターズ996ダイオードアレイ検出器が取り付けられたウォーターズ600Sシステムを使用して実施した。42℃で、シンメトリー(Symmetry)300C18、5μm、3.9mm×150mmカラムを使用し、214nmと254nmでのUV検出を収集した。1.0ml/分の流量で、15分以上かけ、5−95%のアセトニトリル、90−0%の水、及び5%のトリフルオロ酢酸(1.0%)の線形勾配を用いて溶出させた。
【0096】
方法02_B4_4: RP−分析を、ウォーターズ2487二重バンド検出器が取り付けられたアリアンス・ウォーターズ2695システムを使用して実施した。42℃で、シンメトリー300C18、5μm、3.9mm×150mmカラムを使用し、214nmと254nmでのUV検出を収集した。1.0ml/分の流量で、15分以上かけ、5−95%のアセトニトリル、90−0%の水、及び5%のトリフルオロ酢酸(1.0%)の線形勾配を用いて溶出させた。
【0097】
実施例1
酵母発現系の構築とGLP−1アナログ前駆体分子(R34)GLP−1(8−37)の生産
発現プラスミドは、C−POTタイプのものであり、EP171142に記載のものと類似している。これらは、出芽酵母(S.cerevisiae)中での安定性及びプラスミド選別の目的で分裂酵母トリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子(POT)を含有することを特徴とする2μベースの発現ベクターである。また、プラスミドは、出芽酵母トリオースリン酸イソメラーゼプロモーターー及びターミネーターーを含んでいる。これらの配列は、1)リーダーとインスリン生成物の融合タンパク質をコードするEcoRI−XbaI断片の配列、2)サイレント変異が導入され、発現ベクター中の2μ領域のNcoI部位が除去されていることを除き、全ての配列が、プラスミドpKFN1003(WO90100075に記載)の対応配列と類似している。異なる融合タンパク質のクローニングを容易にするために、MFa1プレプロリーダーをコードするDNA配列が変化させられてNcoI部位(図2参照)が導入され、MFa1*プレプロリーダーと呼ばれる。よって、NcoI−Xbal断片が、興味あるGLP−1前躯体分子をコードするNcoI−Xbal断片によって単に置き換えられている。かかるNcoI−Xbal断片は標準的な技術に従って合成オリゴヌクレオチドとPCRを使用して合成することができる。α−リーダーに加えて、他のリーダーを使用することができる。
【0098】
(R34)GLP−1(11−37)、(E22,R26,R34)GLP−1(8−37)K38及び(E22,R26,R34,K37)GLP−1(8−37)をコードする配列を含む合成DNA断片を、Geneart AG, BioPark, Josef-Engert-Str. 11, D-93053 Regensburg, Germanyから取得した。(E22,R26,R34)GLP−1(8−37)K38及び(E22,R26,R34,K37)GLP−1(8−37)をコードする合成DNAには、酵母での発現を容易にするために(図2)、N末端及びC末端伸展をコードする3’及び5’DNA配列が備えられ、Ext1−(E22,R26,R34)GLP−1(8−37)K38−Ext2及びExt1−(E22,R26,R34,K37)GLP−1(8−37)−Ext2と名付けた。合成DNAをNcoI及びXbaIで消化させ、修飾されたcPOTタイプの発現ベクターのNcoI−XbaIベクター断片に結合させた(図1)。これにより、それぞれ(R34)GLP−1(11−37)(配列番号6)、Ext1−(E22,R26,R34)GLP−1(8−37)K38−Ext2(配列番号7)及びExt1−(E22,R26,R34,K37)GLP−1(8−37)−Ext2(配列番号8)をコードする3種の発現プラスミドpSA273、pSA277及びpSA278が得られた。
【0099】
発現プラスミドを、標準的な技術(Sambrook等、1989)を使用して、大腸菌中で増殖させ、アンピシリンの存在下で成長させ、単離した。プラスミドDNAを挿入のために適切な制限ヌクレアーゼ(例えばEcoRI、NcoI、XbaI)によってチェックし、配列解析によってGLP−1アナログ前躯体分子(R34)GLP−1(11−37)、Ext1−(E22,R26,R34)GLP−1(8−37)K38−Ext2及びExt1−(E22,R26,R34,K37)GLP−1(8−37)−Ext2の適切な配列を含むことが示された(図2)。
プラスミドを出芽酵母株ME1719(MATa/αleu2/leu2pep4−3/pep4−3Δtpi::LEU2/Δtpi::LEU2Δura3/Δura3Δyps1::URA3/Δyps1::ura3Cir+)中に形質転換した。この株はWO98/01535に記載されている。プラスミドを有する酵母形質転換体を、YPD(1%酵母抽出物、2%ペプトン、2%グルコース)寒天(2%)プレート上の炭素源としてグルコース利用によって選択した。これによって3つの酵母株:(R34)GLP−1(11−37)(配列番号9)、Ext1−(E22,R26,R34)GLP−1(8−37)K38−Ext2(配列番号10)及びExt1−(E22,R26,R34,K37)GLP−1(8−37)−Ext2(配列番号11)を発現するySA251、ySA259及びySA260がそれぞれ得られた。
【0100】
ME1719酵母株ySA251、ySA259及びySA260を5mlの増殖培地、例えば、5g/L(NHSO、184mg/L(NHHPO、2.88g/LKHPO、1.42g/L MgSOO、1.28g/L、KSO、10.00g/L コハク酸、10.00g/L カザミノ酸、0.0112g/L FeSO7HO、0.0086g/L MnSOO、0.0014g/L CuSO.5HO、0.00185g/L ZnSO7HO、0.0129g/L CaCl2.2HO、0.071g/L クエン酸、28.0mg/L m−イノシトール、14.0mg/L 塩化コリン、2.8mg/L チアミン、2.8mg/L ナイアシンアミド、2.1mg/L Ca−パントテン酸、0.14mg/L ビオチン、0.14mg/L 葉酸、40g/L グルコースからなる培地中に播種した。培養を30℃で3日間、実施した。遠心分離後、上清を定量的HPLC分析のために除去し、この方法で分泌されたGLP−1アナログの濃度を測定した。GLP−1前駆体分子の同一性をLC/MS分析によって確認した。(E22,R26,R34)GLP−1(8−37)K38及び(E22,R26,R34,K37)GLP−1(8−37)の発現を容易にするために用いたN末端及びC末端伸展を、十分に確立された手順に従って、リジン特異的アクロモバクター溶菌性プロテアーゼ1によって除去した。
【0101】
実施例2
酵母発現系の構築及びGLP−1アナログ前躯体分子(R34)GLP−1(9−37)の生産
(R34)GLP−1(9−37)をコードする合成DNA断片を、プライマー5’−AGGGGTATCCATGGCTAAGAGAGAAGGTACCTTCACCTCTGAC−3’及び5’−AATCTTAGTTTCTAGAGCCTGCG−3’及び(R34)GLP−1(7−37)をコードするDNA配列を含むプラスミドを使用する標準的PCRによって構築した。プライマーは5’NcoI部位及び3’XbaI部位と設計した。よって、PCR断片は精製後にNcoI及びXbaIによって消化され得、実施例1に記載の修飾されたcPOTタイプの発現ベクターのNcoI−XbaIベクター断片にライゲートできた。(R34)GLP−1(9−37)をコードする得られたベクターはpSA82と名付けた。
発現プラスミドを、標準的な技術(Sambrook等、1989)を使用して、大腸菌中で増殖させ、アンピシリンの存在下で成長させ、単離した。プラスミドDNAを挿入のために適切な制限ヌクレアーゼ(例えばEcoRI、NcoI、XbaI)によってチェックし、配列解析によってGLP−1アナログ前躯体分子(R34)GLP−1(9−37)の適切な配列を含むことが示された。
プラスミドを出芽酵母株ME1719中に形質転換し、ラスミドを有する酵母形質転換体を、実施例1に記載されたようにして選択した。(R34)GLP−1(9−37)を発現する得られた酵母株をySA96と名付けた。
酵母株を増殖培地中で培養し、(R34)GLP−1(9−37)を、実施例1に記載されたようにして培地から回収した。
【0102】
実施例3
GLP−1前躯体のための酵母発現系の構築
リーダー及びKex2p切断部位を、プロセシングされた分泌ペプチドの発現収率を増強するために最適化した。様々なリーダー及び(R34)GLP−1(11−37)、又は(R34)GLP−1(9−37)コンストラクトをコードする合成DNA断片を標準的なPCRによって増幅させた。順方向プライマーは、最適化リーダー配列をコードする配列及びNcoI−部位を含んでいた。逆方向プライマーはXbaI−部位を含んでいた。よって、NcoI−XbaI制限PCR断片のNcoI−XbaIへのクローニングの許容は、cPOT−タイプ発現ベクターを制限した。配列、(R34)GLP−1(11−37)コード化発現コンストラクトのプラスミド番号付け及び株名については図4を参照のこと。
発現プラスミドを、標準的な技術(Sambrook等、1989)を使用して、アンピシリンの存在下で大腸菌中で増殖させ、単離した。プラスミドコンストラクトは、適切な制限酵素を使用する制限エンドヌクレアーゼ消化によって検査した。コード配列は実証した配列であった。
【0103】
プラスミドを出芽酵母株ME1719に形質転換した。プラスミドを有する酵母細胞を実施例に記載されたようにして選択した。酵母株の培養は本質的に実施例1に記載された通りとした。
Kex2p切断部位の近く配列P1からP6の最適化は中程度の収率増加を生じた(図4:B)。配列(P3からP6)におけるプロリンの導入を、Kex2p切断部位のKex2pへの暴露増加の潜在的手段として探求した。しかしながら、これは、(R34)GLP−1(11−37)の場合はそうではないが、有益な効果が(R34)GLP−1(11−37)(図4:H、I)に対して観察された。残基P7からP11の変異は発現収率について顕著な効果を有しており、2−2.5倍の増加が、荷電アミノ酸を含むモチーフを導入したとき観察された(図4:M−Z、K5−7、L2−4)。一連のコンストラクトを、下流のプロセスにおいて(図4:G、J、K、L)、DAP−1(ジペプチジルアミノペプチダーゼ)でのプロセシングに対して設計した。コンストラクトJ及びLは、GLP−1ペプチドのDAP−1による乱雑な切断に対して保護するためにThr−11の前の位置にQを含んでいた。このGlnは、ついで、酵素Q−シクラーゼ及びpGAPase(Qiagen)を使用して除去することができる。

【0104】
実施例4
N末端伸展Boc−His(Boc)−Aib−Glu(O−tBu)−Gly−OHの調製

2−クロロトリチルクロリド樹脂(1%DVB、1.4mmol/g、10g、14.0mmol)をDCM中で予め膨潤させた後、それに100mL DCM中のFmoc−Gly−OH(8.3g、28mmol)及びDIPEA(9.03g、70mmol)の溶液を加え、室温で30分攪拌した。樹脂をNMP(2×100mL)及び2×100mL DCM−MeOH−DIPEA(80:15:5、10分)と、ついでNMP(3×100mL)で洗浄した後、NMP(3×100mL)中の20%ピペリジンで各10分間処理した。樹脂をNMP(6×100mL)、DCM(2×100mL)及びMeOH(2×100mL)で洗浄し、真空下で一晩乾燥させた。樹脂を、100mLのNMP中20%ピペリジンで10分間処理した。該工程を2回繰り返した後、NMP(5×100mL)で洗浄した。
【0105】
Fmoc−Glu(O−tBu)−OH(23.8g、56mmol)を100mLのNMP及び20mLのCMの混合物に溶解させた。HOAt(7.62g、56mmol)を添加した後、DIC(7.07g、56mmol)を滴下して加えた。混合物を15分間撹拌した後、DIPEA(9.03g、70mmol)を加え、混合物を樹脂に移した。樹脂を16時間撹拌した後、それをNMP(4×100mL)で洗浄した。樹脂を、NMP(100mL)中の20%ピペリジンで10分間処理した。該工程を2回繰り返した後、NMP(5×100mL)で洗浄した。
【0106】
Fmoc−Aib−OH(18.22g、56mmol)を100mLのNMP及び20mLのDCMの混合物に溶解させた。HOAt(7.62g、56mmol)を加えた後、DIC(7.07g、56mmol)を滴下して加えた。混合物を20分撹拌した後、それを樹脂に加えた。混合物を30分撹拌した後、DIPEAを加えた。混合物を16時間攪拌した後、樹脂をNMP(4×100mL)で洗浄した。樹脂をNMP(100mL)中の20%ピペリジンで10分間処理した。該工程を2回繰り返した後、それをNMP(5×100mL)で洗浄した。
Boc−His(Boc)−OH(19.9g、56mmol)を100mLのNMP及び20mLのDCMの混合物に溶解させた。HOAt(7.62g、56mmol)を加えた後、DIC(7.07g、56mmol)を滴下して加えた。混合物を20分間攪拌した後、それを樹脂に加えた。混合物を30分撹拌した後、DIPEAを加えた。混合物を16時間攪拌した後、樹脂をNMP(3×100mL)、DCM(4×100mL)で洗浄した。
【0107】
トリフルオロエタノール−DCM(1:4、125mL)を加え、樹脂を1時間撹拌した。濾液を集め、トリフルオロエタノール−DCM(1:4、125mL)を一部加え、15分撹拌した。濾液を集め、溶媒を真空下で除去して清澄な油を得た。氷冷ジエチルエーテル(300mL)を加えたところで、白色沈殿物が形成された。軽油エーテル(100mL)を加え、沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥させた。
収量:7.3g
HPLC(方法01_B4):Rt=7.8分
LCMS:m/z=944(M+H)
算定MW=943.2
【0108】
実施例5
N末端伸展Boc−His(Boc)−Aib−Glu(O−tBu)−Gly−OSucの調製

無水THF(60mL)中のBoc−His(Boc)−Aib−Glu(O−tBu)−Gly−OH(1.0g、1.47mmol)の溶液にDIPEA(0.47g、3.66mmol)及びO−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(1.10g、3.66mmol)を加え、反応混合物を室温で24時間撹拌した。ジクロロメタン(250mL)を加え、溶液をHO(2×100mL)で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮して、1.1gのBoc−His(Boc)−Aib−Glu(O−tBu)−Gly−OSuを得た。
HPLC(方法01_B4):Rt=8.3分
LCMS:m/z=780.9(M+H)
算定MW=779.9
【0109】
実施例6
アシル化剤17−((S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ヘプタデカン酸tert−ブチルエステルの調製

表題化合物を、上に記載され実施例4と同様のアシル化剤A−OH A−B−C−D−OH、A−C−D−OH、A−B−C−OHの調製と活性化の一般方法によって調製した。
HPLC(方法01_B4):Rt=16.2分
LCMS:m/z=944(M+H)
算定MW=943.2
【0110】
実施例7
アシル化剤17−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]−エチルカルバモイル}−メトキシ)−エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)−ヘプタデカン酸の調製

17−((S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]−エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ヘプタデカン酸tert−ブチルエステルをTFAに溶解させ、得られた溶液を2時間撹拌し、真空で蒸発させて乾固させた。得られた油をトルエンと共に3回、共蒸発させて乾固し、油性残留物を得た。
LCMS:m/z=831(M+H)
【0111】
実施例8
GLP−1誘導体[Arg34]GLP−1−(11−37)−N−イプシロン26−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP−1−(7−37)の調製

[Arg34]GLP−(11−37)(50mg、0.017mmol)を2mLの水に加え、DIPEA(89μL、0.51mmol)を加えた。pHが10.6と測定される前に、混合物を10分撹拌した。ついで、MeCN(1.5mL)中の17−((S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ヘプタデカン酸tert−ブチルエステル(20.5mg、0.022mmol)の溶液を10分かけて滴下して加えた。反応混合物を1時間撹拌した後、MeCNを除去し、溶液を凍結乾燥した。
得られた残留物をNMP(2mL)に溶解し、ついでDIPEA(22μL、0.17mmol)及びBoc−His(Boc)−Aib−Glu(OtBu)−Gly−OSu(26mg、0.033mmol)を加えた。反応混合物を4時間撹拌した後、His(Boc)−Aib−Glu(OtBu)−Gly−OSu(13mg0.017mmol)の更なる部分を加え、反応混合物を一晩撹拌した。氷冷ジエチルエーテル(20mL)を加えたところ、白色沈殿物が形成された。該沈殿物を遠心分離によって分離し、上清をデカントした。沈殿物を10mLのジエチルエーテルで洗浄し、空気中で乾燥させた。
【0112】
脱保護
粗中間体をTFA−トリイソプロピルシラン−HO(95:2.5:2.5、10mL)に溶解し、3時間撹拌したところで、溶液を約1mLまで真空濃縮した。氷冷ジエチルエーテル(20mL)を加えたところで、沈殿物が形成された。沈殿物を遠心分離によって単離し、上清をデカントした。沈殿物をジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。粗化合物を酢酸−HO(3:7)(10mL)に溶解し、HPLCで精製した。
HPLC(方法02_B4):Rt=9.6分
LCMS:m/z=1372.5(M+3H)3+
算定MW=4113.7
【0113】
実施例9
GLP−1誘導体N−イプシロン26−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−tert−ブトキシカルボニルヘプタデカノイル−アミノ)−4(S)−tert−ブトキシカルボニルブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル]−[Arg34]GLP−1−(9−37)ペプチドの調製

NMP(2.0ml)中の17−{(S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−[2−(2−{[2−(2−カルボキシメトキシエトキシ)エチルカルバモイル]メトキシ}エトキシ)エチルカルバモイル]プロピルカルバモイル}ヘプタデカン酸tert−ブチルエステル(94.0mg、0.112mmol)の溶液にO−(1−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(TSTU、41.7mg、0.139mmol)及びTEA(96.0μl、0.69mmol)を加えた。室温で30分撹拌した後、水(9mL)及びTEA(96.0μl、0.69mmol)中の[Arg34]GLP−1−(9−37)ペプチド(220mg、0.069mmol)の溶液に、混合物を滴下して加えた。室温で更に30分間攪拌した後、混合物を水(30ml)で希釈し、16時間凍結乾燥して、油/非晶質混合物を得、これを酢酸−アセトニトリル−水の混合物(30:20:50、180ml)に溶解させ、濾過し、HPLCにより精製して、N−イプシロン26−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−tert−ブトキシカルボニルヘプタデカノイル−アミノ)−4(S)−tert−ブトキシカルボニルブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル]−[Arg34]GLP−1−(9−37)ペプチドを得た。
HPLC(方法02_B4_4):Rt=12.1分
LCMS:m/z=1335.5(M+3H)3+
算定MW=4003.6
【0114】
実施例10
GLP−1アナログN−イプシロン26−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシ−ヘプタデカノイルアミノ)−ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]−エトキシ}エトキシ)−アセチル][Aib8,Arg34]GLP−1−(7−37)ペプチドの調製

NMP(2.0mL)中のBoc−His(Boc)−Aib−OH(23mg、0.052mmol)の溶液に、2−(1H−9−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、20mg、0.052mmol)及びTEA(29μl、0.208mmol)を加えた。45分撹拌後、混合物をN−イプシロン26−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−tert−ブトキシカルボニルヘプタデカノイルアミノ)−4(S)−tert−ブトキシカルボニルブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)−エトキシ]エトキシ)アセチル]−[Arg34]GLP−1−(9−37)ペプチド(83mg、0.021mmol)及びTEA3.6ul、0.026mmol)の溶液に加えた。14日間攪拌した後、反応混合物を水(100ml)で希釈し、HPLCによって精製した。精製した画分をプールし、有機溶媒を真空除去した後、残留物を16時間凍結乾燥した。
残留物にトリフルオロ酢酸−トリイソプロピルシラン−水(94:3:3,10ml)の混合物を加えた。2時間撹拌後、反応混合物を真空蒸発させ、残留物を水−アンモニア(99:1,100ml)の混合物に溶解させ、分取HPLCによって精製して、表題化合物を得た。
HPLC(方法02_B4_4):Rt=9.4分
LCMS:m/z=1372(M+3H)3+
計算MW=4113.7
【0115】
実施例11
アシル化剤20−[4−((S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−{2−[2−({2−[2−(2,5ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)−エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}−プロピルカルバモイル)ピペリジン−1−イル]−20−オキソ−イコ酸tertブチルエステルの調製

表題化合物を、上述した実施例4と同様のアシル化剤A−OH A−B−C−D−OH、A−C−D−OH、A−B−C−OHの調製及び活性化の一般方法によって調整した。
LCMS:m/z=1111(M+H)
LCMS:m/z=1082.6(M+H)
算定MW=1082.4
【0116】
実施例12
GLP−1アナログ[デスアミノ−His7,Glu22,Arg26,34,Lys37(Lys(2−{2−[2−(2−{2−[2−((S)−4−カルボキシ−4−{[1−(19−カルボキシノナデカノイル)ピペリジン−4−カルボニル]アミノ}−ブチリルアミノ)エトキシ]−エトキシ}−アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル)]−GLP−1(7−37)ペプチドの調製

2mL水中の[Glu22,Arg26,34,Lys37]GLP−1−(8−37)ペプチド(46mg、0.013mmol)の溶液にDIPEA(50.4mg、0.39mmol)を加え、混合物を10分間攪拌した後、1mLのMeCN中の20−[4−((S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−{2−[2−({2−[2−(2,5ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−メトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−プロピルカルバモイル)−ピペリジン−1−イル]−20−オキソ−イコ酸tertブチルエステル(32.4mg、0.03mmol)の溶液を15分の時間をかけて滴下して加えた。反応混合物を20分間攪拌した後、水(20mL)を加え、溶液を凍結乾燥させた。
【0117】
得られた残留物をNMP(1mL)に溶解させ、4−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニル)−エチル]−イミダゾール−1−カルボン酸アダマンタン−1−イルエステル(Adoc−デスアミノHis−OSuエステル)混合物を3時間攪拌した後、それを滴下して氷冷ジエチルエーテル(20mL)に加えた。白色沈殿物を遠心分離によって単離し、ジエチルエーテル(20mL)で2回洗浄し、乾燥させた。
得られた残留物をTFA−TIPS−水(95:2.5:2.5、1mL)で3時間処理した後、それを滴下して氷冷ジエチルエーテル(10mL)に加えた。白色沈殿物を遠心分離によって単離し、ジエチルエーテル(10mL)で2回洗浄した。三流物を分取HPLCによって精製して、表題化合物を得た。
HPLC(方法01_B4_2):Rt=11.1分
LCMS:m/z=1484(M+3H)3+
算定MW=4452.1
【0118】
実施例13
4−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニル)エチル]イミダゾール−1−カルボン酸アダマンタン−1−イルエステルの調製

4−(2−カルボキシエチル)イミダゾール−1−カルボン酸アダマンタン−1−イルエステル(1g、3.1mmol)をTHF(5mL)及びDMF(10mL)に溶解させた。溶液を0℃に冷却し、TSTU及びDIEAを加えた。溶液を0℃で1時間、室温で16時間、撹拌した。試料を真空下で濃縮させた。EtOAc(100mL)を加え、溶液を0.2NのHCl(2×50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空で濃縮して、粘着性の結晶残留物(1.18g、90%収率)を得た。粗生成物を更なる精製なしに使用した。
LCMS:m/z=416.2(M+H)
H−NMR(DMSO、300MHz)(選択されたシグナル)δ 8.22(s、1H)、7.37(s、1H)、3.02(t、2H)、2.82−2.88(m、2H)、2.81(s、4H)、2.19(s−br、9H)、1.66(s、6H)。
【0119】
実施例14
GLP−1アナログN−イプシロン37{2−[2−(2−{2−[2−((R)−3−カルボキシ−3−{[1−(19−カルボキシノナデカノイル)ピペリジン−4−カルボニル]アミノ}プロピオニルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル[Glu22、Arg26,34、Lys37]GLP−1(8−37)ペプチドの調製

GLP−1アナログを、Fmoc−Lys(Mtt)−wang樹脂を用いて開始し、CEM Libertyペプチド合成機を使用して調製した。Ala8からのFmoc基を除去した後、N末端を、ジ−tert−ブチルジカルボネートでの2重カップリングを実施することによって保護した。樹脂をDCMで洗浄し、樹脂を室温でヘキサフルオロイソプロパノールで15分間処理し、樹脂をDCMで洗浄することによって、Mtt基を除去した。N−イプシロン37の修飾物を、Fmoc保護試薬及びエイコサン二酸モノ−tert−ブチルエステルを使用してCEM Libertペプチド合成機で調製した。粗ペプチドを樹脂TFA−TIPS−水(95:2.5:2.5)から切断し、氷冷エーテル中に沈殿させ、遠心分離によって単離し、粗ペプチドを分取HPLC(4cm径×200mm、C18、60mL/分、33−53%アセトニトリル)によって精製した。
LCMS:m/z=1065.8(M+4H)4+
【0120】
実施例15
GLP−1アナログN−イプシロン37{2−[2−(2−{2−[2−((R)−3−カルボキシ−3−{[1−(19−カルボキシノナデカノイル)ピペリジン−4−カルボニル]アミノ}プロピオニルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル[デスアミノ−His(Adoc)7、Glu22、Arg26,34、Lys37]GLP−1(7−37)ペプチドの調製
GLP−1アナログN−イプシロン37{2−[2−(2−{2−[2−((R)−3−カルボキシ−3−{[1−(19−カルボキシノナデカノイル)ピペリジン−4−カルボニル]アミノ}プロピオニルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル[Glu22、Arg26,34、Lys37]GLP−1(8−37)ペプチド(2.1mg、0.001mmol)をNMP(105μL)に溶解させた。4−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニル)エチル]イミダゾール−1−カルボン酸アダマンタン−1−イルエステルの溶液を、1296μLのNMP中に25.3mgを溶解させ留ことによって調製し、25μLのこの溶液をペプチド溶液に加えた後、DIEA(0.9μL)も加えた。生成物への転換についてLCMS分析を続けた。室温で2時間後、出発ペプチドに対する生成物のELSシグナル比は976:28(97%転化率)であると観察された。
LCMS:m/z=1141.1(M+4H)4+
【0121】
実施例16
アシル化剤19−{[トランス−4−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−メトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−プロピルカルバモイル)−シクロヘキシルメチル]−カルバモイル}−ノナデカン酸の調製

19−{[トランス−4−((S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−メトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−プロピルカルバモイル)−シクロヘキシルメチル]−カルバモイル}−ノナデカン酸tert−ブチルエステル(1.0g、0.9mmol)をTFA(10mL)中で1時間45分撹拌した後、100mLの氷冷ジエチルエーテルを加えた。白色沈殿物を遠心分離によって単離し、ジエチルエーテルで3×洗浄して表題化合物を得た。沈殿物を真空下で16時間乾燥させた。
LCMS:m/z=999(M+1)
【0122】
実施例17
GLP−1アナログN−イプシロン37−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−({トランス−4−[(19−カルボキシノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)−ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル]−[デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)ペプチドの調製

6mLの水に溶解させた組換え技術で調製した[Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(8−37)(300mg、0.09mmol)にDIPEA(373μL、2.19mmol)を加え、10分間撹拌したところで、NMP(1.7mL)中の19−{[トランス−4−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−メトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−プロピルカルバモイル)−シクロヘキシルメチル]−カルバモイル}−ノナデカン酸(175.7mg、0.18mmol)の溶液を滴下して加えた。混合物を90分撹拌した後、NaHPOx7HO(470.6mg、1.76mmol)を加え、pHを、1NのHClを使用して8.4に調節した。
【0123】
他のフラスコ中で、3−(1H−イミダゾール−4−イル)−プロピオン酸(93.2mg、0.53mmol)、O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(159.0mg、0.53mmol)及びDIPEA(180μL、1.06mmol)をNMP(0.75mL)に混合し、溶液を1時間撹拌した後、ペプチドを含む反応混合物にそれを滴下して加えた。混合物を14時間撹拌したところで、ピペリジン(350μL、3.51mmol)を加えた。混合物を更に2時間撹拌した後、20mLの全容積になるまでそれを水で希釈し、水中33から53%のMeCNの勾配を使用して分取HPLCにより精製した。
LCMS:m/z=1475.8(M+3H)3+
【0124】
実施例18
GLP−1アナログN−イプシロン26−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−(17−carboxyヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)−アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP−1−(7−37)の別の調製

2mLの水に溶解させた組換え技術で調製した[Arg34]GLP−1−(11−37)(100mg、0.033mmol)にDIPEA(113μL、0.66mmol)を加え、10分間撹拌したところで、17−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニル−メトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−メトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−プロピル−カルバモイル)−ヘプタデカン酸(55mg、0.066mmol)(実施例2,3及び13に従って調製した)を15分かけて少しずつ添加した。混合物を60分撹拌した後、NaHPOx7H2O(353.9mg、1.32mmol)を加え、pHを、1NのHClを使用して8.3に調節した。Fmoc−His−Aib−Glu−Gly−OSu(246.2mg、0.33mmol)を、該ペプチドを含む反応混合物に加え、混合物を14時間撹拌したところで、ピペリジン(400μL、4.05mmol)を加えた。混合物を更に30分撹拌した後、40mLの全容積になるまでそれを水−MeCN(9:1)で希釈し、水中30から50%MeCNの勾配を使用して、分取HPLCにより精製した。
LCMS:m/z=1372.5(M+3H)3+
【0125】
実施例19
GLP−1アナログN−イプシロン26−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)−アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP−1−(7−37)ペプチドの別の調製
アシル化: Metrohm 848 Titrino+滴定装置の70mLの反応チャンバ中で、組換え[Arg34]GLP−1−(11−37)(99mgであり;33μmol)をHO(4mL)に懸濁させた。pHを、自動滴定SETプログラムによって制御されたpH=11.3に調節した(3.8mL、0.1MのNaOH(水性)の添加による)。pH=11.3で、ペプチドは完全に溶解した。活性化された側鎖17−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]−エチルカルバモイル}−メトキシ)−エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)−ヘプタデカン酸(55mg、66μmol、2当量)をNMP(250μL)に溶解させ、250μLのHamiltonシリンジに移した。自動シリンジポンプの作動によって、250μL(2.0当量)のこの溶液を10分かけて加えた。更に60分後に、試料(10μL)を取り出し、90μLのMeCN−HO(1:1)で希釈した。UPLCは、N26アシル化産物(およそ95%)の主要ピーク+微量の未反応ペプチド+微量の加水分解された側鎖を示した。
【0126】
ライゲーション: テトラペプチドNHSエステルFmoc−His−Aib−Glu−Gly−OSu(123mg、165μmol、5当量)をNMP(250μL)に溶解させた。反応混合物のpHを希酢酸で6.9に調節した。ついで、滴定装置のpHスタット機能によって7.0に調節した。250μLのNHSエステルを20分かけて加えた。pHはpH=7.0±0.1に安定化された。
試料を更に30分後に採り、UPLCは1:1の比のアシル化中間体及び予想生成物(N末端位置でFmoc保護)を示した。
更に5当量のテトラペプチドNHSエステルを上記のようにして加えた。溶液を撹拌しながら16時間放置した。そのときの比は2:8のアシル化中間体及び生成物であった。
更に2.5当量(全体で12.5当量)のテトラペプチドNHSエステルを上記のようにして加えた。溶液を撹拌しながら16時間放置した。そのときの比はおよそ1:9のアシル化中間体及び生成物であった。
ピペリジン(1.6mL)を反応混合物に加え、1時間撹拌を継続した。
UPLCは完全な脱保護を示した。粗生成物を逆相HPLCで精製して、62mg(45%)の所望の生成物(98%純度)を得た。
LCMS:m/z=1372.5(M+3H)3+
【0127】
実施例20
Fmoc−His(Boc)−Aib−Glu(O−tBu)−Gly−OHの調製


【0128】
グリシンの充填
樹脂をDCM(1リットル、20分)で前もって膨潤させた後、それに、500mLのDCM中のFmoc−Gly−OH及びDIPEAの溶液を加え、60分撹拌した。樹脂をDMF(2×500mL)及び2×500mLのDCM−MeOH−DIPEA(80:15:5、10分)、ついでDMF(3×500mL)、DCM(500mL)で洗浄し、室温で一晩放置した。
【0129】
カップリング1
DMF(500mL)中の20%ピペリジンを50分、Fmoc脱保護に使用した後、樹脂をDMF(8×500mL)で洗浄した。
Fmoc−Glu(OtBu)−OH及びTCTUを700mLのDMFに溶解させ、反応器に加え、DIPEAを加えた。混合物を6時間撹拌した。HPLC試験では、遊離のアミン基が尚も存在していた;カップリングを1/4の試薬を用いて繰り返した。カップリング反応が終わったとき(アミノ基が存在しない)、樹脂をDMF(4×500mL)で洗浄した。
【0130】
カップリング2
Fmoc−Aib−OH及びTCTUを700mLのDMF溶液に溶解させ、反応器に入れ、DIPEAを加えた。混合物を50分撹拌した。カップリング反応が終わったとき(アミノ基が存在しない)、樹脂をDMF(4×500mL)で洗浄した。
【0131】
カップリング3
DMF(500mL)中の20%ピペリジンを30分、Fmoc脱保護に使用した後、樹脂をDMF(8×500mL)で洗浄した。
Fmoc−His(Boc)−OH及びTCTUを700mLのDMFに溶解させ、溶液を反応器に加え、DIPEAを加えた。混合物を50分撹拌した。カップリング反応が終わったとき(アミノ基が存在しない)、樹脂をDMF(3×500mL)及びDCM(2×500mL)で洗浄した。
【0132】
第一の切断
第一の切断は1/7の樹脂を使用して行った。トリフルオロエタノール−DCM(1:4、500mL)を加え、樹脂を70分撹拌した。濾液を集め、溶媒を真空除去して油を得た。その油を酢酸エチルに溶解させ、冷蔵庫に入れておいて結晶を形成させた。結晶を濾過し、ジエチルエーテルを使用して洗浄し、空気乾燥させて、6.1gの生成物(収率45%)、HPLCによる純度99.0%を得た。
第二の切断
第二の切断は3/7のの樹脂を使用して行った。トリフルオロエタノール−DCM(1:4、1000mL)を加え、樹脂を90分撹拌した。濾液を集め、溶媒を真空除去して油を得た。その油を酢酸エチルに溶解させ、冷蔵庫に一晩入れておいて結晶を形成させた。結晶を濾過し、ジエチルエーテルによって洗浄し、空気乾燥させて、33.1gの生成物(収率80%)、HPLCによる純度98.7%を得た。
収量:6.1g(45%)
ESI+MS m/z:805.1(M+H)、1610.7(2M+H)
HPLC R(Luna 4.6×250、5ul、100A;アセトニトリル/バッファー30:70から60:40、30分、1mL/分、220nm):23.31分;純度99.0%
及び33,1g(80%)
ESI+MS m/z:805.1(M+H)、1610.8(2M+H)
HPLC R(Luna 4.6×250、5ul、100A、アセトニトリル/バッファー 30:70から60:40、30分、1mL/分、220nm):23.16分;純度98.7%
バッファー:2.71gのKHPO、7.13gのNaHPO・2HO、HO(2L)に溶解;
【0133】
実施例21
Fmoc−His−Aib−Glu−Gly−OSuc・TFA塩の調製

Fmoc−His(Boc)−Aib−Glu(O−tBu)−Gly−OH(1.25g、1.56mmol)をTHF(10mL)に溶解させ、DIPEA(0.64g、3.73mmol)及びTSTU(0.56g、1.87mmol、1.2当量)を加えた。混合物を一晩撹拌した。
LCMS: およそ95%の転化率。混合物を濾過し、溶媒を真空下で除去した。EtOAc(100mL)を加え有機相を冷0.1NのHClで2回洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、filtered粗Fmoc−His(Boc)−Aib−Glu(OtBu)−Gly−OSu(1.1g、79%)を得た。粗生成物をDCM(2mL)に溶解させ、TFA(1mL)を加えた。1時間撹拌した。LCMS:100%が脱保護された。有機溶媒の蒸発後に、氷冷ジエチルエーテルを残留物に加え、得られた沈殿物を濾過によって集め、真空オーブンで乾燥させて、Fmoc−His−Aib−Glu−Gly−OSu(430mg)を得た。
LCMS:m/z=746.3(M+H)
【0134】
実施例22
3−(1−トリチル−1H−イミダゾール−4−イル)−プロピオン酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステルの調製

3−(N−トリチルイミダゾール−4−イル)プロピオン酸(Jung等, Bioorg. Med. Chem. Lett., 6, 2317-2336、1998)(50g、0.13mol)をDCM(500mL)に溶解させ、氷浴を用いて内部温度を30℃以下に保ちながら、N−ヒドロキシスクシンイミド(24g、0.209mol)及びN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(35g 0.170mol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を濾過し、得られた溶液を真空濃縮し、加熱してTHF(350mL)に再溶解させ、2−プロパノール(350ml)と混合して32℃の温度とし、ついで5℃に冷却した。結晶性生成物を濾過し、2−プロパノール(150mL)で洗浄し、真空で乾燥させて表題化合物(47.3g、収率75%)を得た。
H NMR(D−DMSO、400MHz):δ 7.15−6.99(m、9H)、6.82(s、1H)、6.81−6.62(m、6H)、6.38(s、1H)、2.63(t、3H)、2.4(m、6H)。
【0135】
実施例23
4−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニル)−エチル]−1H−イミダゾール−1−イウムトリフルオロアセテートの調製

3−(1−トリチル−1H−イミダゾール−4−イル)−プロピオン酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステル(40g、83mmol)をDCM(240mL)に溶解させた。トリイソプロピルシラン(42mL)及びトリフルオロ酢酸(240mL)を加え、得られた溶液を室温で90分撹拌した。その溶液を真空蒸発させ、アセトニトリル(120mL)に再溶解させ、tert−ブチルメチルエーテル(290mL)を滴下して加え、溶液を8℃に冷却した。沈殿物を濾過によって集め、真空乾燥させて白色化合物(24g、82%)を得た。
H NMR(D−DMSO、400MHz):δ 8.90(s、1H)、7.47(s、1H)、3.09(t、2H)、2.79(t、2H)、2.79(s、4H)。
【0136】
実施例24
GLP−1アナログN−イプシロン37−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−({トランス−4−[(19−カルボキシノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)−ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル]−[デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)ペプチドの別の調製

組換え技術で調製された[Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(8−37)ペプチド(80g、0.023mol)を水(6400mL)に溶解させ、トリエチルアミン(28mL)を加えてpH11.0にした。(22S)−22−{[(トランス−4−{[(19−カルボキシノナデカノイル)アミノ]メチル}−シクロヘキシル)カルボニル]アミノ}−1−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−1,10,19−トリオキソ−3,6,12,15−テトラオキサ−9,18−ジアザトリコサ−23−ン酸(34.9g、0.035mol)をNMP(210mL)に溶解させ、トリエチルアミンの連続添加によってpHを11.0−11.1の間に維持しながら、2時間かけて溶液に加えた。pHは、1M硫酸(水性、140mL)の添加によって7.0に調節した。4−[2−(2,5−Diオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニル)−エチル]−1H−イミダゾール−1−イウムトリフルオロアセテート(36.99g、0.105mol)はNMPに溶解させ、トリエチルアミンの連続添加によってpHを7.0−7.1の間に維持しながら、2時間かけて溶液に加えた。pHは、1MのNaOH(水性、500mL)の添加によって11.2に調節し、溶液を室温で7時間撹拌した。pHを、1Mの硫酸(水性、140mL)の添加によって7.4に調節し、全7973.8gを分取HPLCによって精製した。
LCMS:m/z=1476(M+3H)3+
【0137】
実施例25
[Aib8,Arg34]GLP−1−(7−37)ペプチドの調製

Arg34−GLP−1[9−37]・4TFA(103mg;0.028mmol)を2mLの水に溶解し、更なる2×1mLの水と共に滴定反応チャンバーに移した。反応チャンバーに撹拌磁石、pH電極及び滴定剤チューブを備えた。溶液のpHは1.9であった。滴定装置は固定pH=11.3での「スタット」法にプログラムした。滴定剤水酸化ナトリウム(3.27mL、0.1M水性)を滴定装置によって加えてpH=11.3とした。(Boc)O(186mg、0.85mmol、3当量)をNMP(2.500mL)に溶解させ、250μLのHammiltonシリンジにこの溶液(つまり、250μL;18.6mg(Boc)O、3当量)を満たした。
【0138】
水(1.0mL)を反応チャンバーに加え、全容量8.3mLとし、ついで(Boc)ONMP溶液を、室温でシリンジポンプを使って20分かけて添加した。滴定装置は、滴定剤の自動添加によってpH=11.3を維持した。更に10分撹拌した後、LCMSは、diboc生成物(9%)及び出発材料(3%)と共に88%のLys26(NHBoc)生成物を示した。溶液のpHは、小容量の希HOAc(水性)で6.5に調節され、滴定装置は更なる反応に対してpH=7.5に設定された。
Boc−His(Boc)−Aib−OSu(305mg、0.568mmol、20当量)の溶液をNMP(500μL)に溶解させ、全容量715μLを得た。この溶液から2×250μL(2×7当量)を、pH=7.5を維持しながら2×30分かけて反応混合物に添加した。Boc−His(Boc)−Aib−OSuの即座の沈殿が観察されたが、撹拌すると溶解した。添加終了時に、混合物をpH=7.5及び室温で更に2時間撹拌し、溶解と反応物の反応を進めた。
混合物を凍結乾燥させ、3%TIPS及び3%水を含むTFAで2時間処理した。溶媒を蒸発させ、残留物をHPLCによって精製して所望の生成物を得た。
LCMSm/z:849.88(M+4H)4+、1132.86(M+3H)3+。算定値3396.698(M+H)
【0139】
実施例26
Boc−His(Boc)−Aib−OHの調製

Aib: 2−クロロトリチルクロリド樹脂1%DVB(充填1.1mmol/g)(10.0g、11mmol)の充填物をDCM中で予め膨潤させた後、それにDCM(100mL)中のFmoc−Aib−OH(7.16g、22mmol)及びDIPEA(9.4mL、55mmol)の溶液を加えた。混合物を60分撹拌した。樹脂をNMP(2×100mL)及びDCM−MeOH−DIPEA(80:15:5)(2×100mL、各10分)、及びNMP(3×100mL)で洗浄した。洗浄した樹脂をNMP(3×100mL、各10分)中の20%ピペリジンで処理した。樹脂をNMP(6×100mL)で洗浄した。
【0140】
カップリング: Boc−His(Boc)−OH(15.64g、44mmol)をNMP(100mL)に溶解させ、DCM(20mL)及びHOBt(5.95g、44mmol)を加えた後、DIC(6.81mL、44mmol)をゆっくりと添加した。混合物を15分間撹拌した後、sDIPEA(9.40mL、55mmol)を加えた。活性化された混合物を樹脂に加え、樹脂を16時間撹拌した後、それをNMP(4×100mL)及びDCM(10×100mL)で洗浄した。
切断: トリフルオロエタノール−DCM(1:4、100mL)を加え、樹脂を1時間撹拌した。濾液を集め、トリフルオロエタノール−DCM(1:4、100mL)を更に加え、15分撹拌し、濾液を集めた。組み合わせた濾液を真空蒸発させ、石油エーテル(50mL)を加えた。得られた沈殿物を石油エーテルで洗浄し、収集し、16時間40℃で真空オーブンで乾燥させ、Boc−His(Boc)−Aib−OH(1.00g、収率21%、純度95%)を得た。
LCMSm/z:441.18(M+H)。算定値440.227(M+H)
【0141】
実施例27
Boc−His(Boc)−Aib−OSuの調製

Boc−His(Boc)−Aib−OH(0.70g、1.59mmol)をTHF(5.0mL)に溶解させ、TSTU(1.44g、4.77mmol)及びDIPEA(1.36mL、7.95mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した。LCMSはオキサゾロン産物への略完全な転化を示した。反応混合物を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をDCM(10mL)に再溶解させ、N−ヒドロキシスクシンイミド(292mg、2.56mmol、1.6当量)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。UPLCは、所望のSu−エステル(85%)の主要ピーク、微量の未反応出発物質及び5%の閉環オキサゾロンを示す。溶媒を減圧下で室温で蒸発させ、HO(25mL)を加えて未反応のN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解させた。HOをデカントし、残留物を残基EtOAc(100mL)に溶解させ、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、70%の所望の生成物を含む白色フォームを得た。
LCMSm/z:538.18(M+H)。算定値538.251(M+H)
【0142】
実施例28
Fmoc−His−Aib−OSuの調製

Fmoc−His(Trt)−Aib−OH(5g、7.1mmol)をTHF(50ml)に溶解した。DCC(1.61g、7.8mmol)及びNHS(0.94g、8.2mmol)を加え、得られた溶液を室温で16時間攪拌した。DCUを濾過し溶液を真空蒸発させた。得られた油をDCM(34ml)に溶解し、トリフルオロ酢酸(34ml)及びTIPS(6ml)を加えた。溶液を室温で2時間攪拌し、25mlまで真空蒸発させ、TBME(200mL)に滴下して加え、60分撹拌し、得られた白色沈殿物を濾過によって集め、更なるTBMEで洗浄した。集めた沈殿物を真空下で16時間乾燥させた。
LCMS:m/z=560(M+H)
【0143】
実施例29
GLP−1誘導体[Aib8,Arg34]GLP−1−(7−37)ペプチドの調製

[Arg34]GLP−1(9−37)ペプチド・4TFA(103mg;0.028mmol)を0.1MのTEA(水性、7.5ml)に溶解し、更なるTEAを加え(140ml)、11.28のpHを得た。FmocOSu(90mg)をNMP(1600μl)に溶解し、334μl(0.055mmol)のこの溶液を滴下してペプチド水溶液に添加した。1MのHSO(水性)の添加により、pHを7に調節した。FmocHisAibOSuトリフルオロ酢酸塩(90mg、0.134mmol)をNMP(800μl)に溶解させ、1MのNaOH(水性)の連続添加によってpHを7.0から7.5に維持しながら、溶液に滴下した。ピペリジン(2ml)を加え、得られた溶液を室温で60分撹拌した。TBME(5mL)を加え、混合物を30分撹拌した。水性相を分離し、凍結乾燥した。
LCMS:m/z=1134(M+3H)3+

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数の非タンパク新生アミノ酸をN末端部分に含むGLP−1アナログ又は誘導体を製造するための方法であって、
i)上記GLP−1アナログの前躯体分子をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞を該前躯体分子の発現に適した条件下で培養し、
ii)発現された前躯体分子を培養ブロスから分離し、
iii)発現された前躯体分子に一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展をカップリングさせ、
iv)得られたGLP−1アナログ又は誘導体を適切な手段によって単離する
工程を含む方法。
【請求項2】
前躯体分子のリジン基が工程ii)の後に保護され、N末端伸展のカップリング後に再び脱保護される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
N末端アミノ酸伸展が工程iii)での使用前に保護され、N末端伸展のカップリング後に再び脱保護される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記GLP−1アナログの前躯体分子が、一般式:
Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa16−Ser−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Glu−Xaa22−Xaa23−Ala−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−Xaa42−Xaa43−Xaa44−Xaa45
(上式中、
Xaa16はVal又はLeuであり;
Xaa18はSer、Lys又はArgであり;
Xaa19はTyr又はGlnであり;
Xaa20はLeu又はMetであり;
Xaa22はGly又はGluであり;
Xaa23はGln、Glu、Lys又はArgであり;
Xaa25はAla又はValであり;
Xaa26はLys、Glu又はArgであり;
Xaa27はGlu又はLeuであり;
Xaa30はAla、Glu又はArgであり;
Xaa33はVal、Lys又はArgであり;
Xaa34はLys、Glu、Asn、His又はArgであり;
Xaa35はGlyであり;
Xaa36はArg、Gly又はLysであり;
Xaa37はGly、Ala、Glu、Pro、Lys,又は不存在であり;
Xaa38はLys、Ser,又は不存在であり;
Xaa39はSer、Lys,又は不存在であり;
Xaa40はGly,又は不存在であり;
Xaa41はAla,又は不存在であり;
Xaa42はPro,又は不存在であり;
Xaa43はPro,又は不存在であり;
Xaa44はPro,又は不存在であり;
Xaa45はSer,又は不存在であり;
但し、Xaa38、Xaa39、Xaa40、Xaa41、Xaa42、Xaa43、Xaa44又はXaa45が不存在ならば、下流の各アミノ酸残基もまた不存在である)
のアミノ酸配列を含む前躯体分子のリストから選択される請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
上記GLP−1アナログの前躯体分子が、一般式:
Xaa−Xaa10−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa16−Ser−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Glu−Xaa22−Xaa23−Ala−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−Xaa42−Xaa43−Xaa44−Xaa45
(上式中、
XaaはGlu又はAsp
Xaa10はGly又はAla
Xaa16はVal又はLeuであり;
Xaa18はSer、Lys又はArgであり;
Xaa19はTyr又はGlnであり;
Xaa20はLeu又はMetであり;
Xaa22はGly又はGluであり;
Xaa23はGln、Glu、Lys又はArgであり;
Xaa25はAla又はValであり;
Xaa26はLys、Glu又はArgであり;
Xaa27はGlu又はLeuであり;
Xaa30はAla、Glu又はArgであり;
Xaa33はVal、Lys又はArgであり;
Xaa34はLys、Glu、Asn、His又はArgであり;
Xaa35はGlyであり;
Xaa36はArg、Gly又はLysであり;
Xaa37はGly、Ala、Glu、Pro、Lys,又は不存在であり;
Xaa38はLys、Ser,又は不存在であり;
Xaa39はSer、Lys,又は不存在であり;
Xaa40はGly,又は不存在であり;
Xaa41はAla,又は不存在であり;
Xaa42はPro,又は不存在であり;
Xaa43はPro,又は不存在であり;
Xaa44はPro,又は不存在であり;
Xaa45はSer,又は不存在であり;
但し、Xaa38、Xaa39、Xaa40、Xaa41、Xaa42、Xaa43、Xaa44又はXaa45が不存在ならば、下流の各アミノ酸残基もまた不存在である)
のアミノ酸配列を含む前躯体分子のリストから選択される請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
上記GLP−1アナログの前躯体分子が、一般式:
Xaa−Xaa−Xaa10−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Xaa16−Ser−Xaa18−Xaa19−Xaa20−Glu−Xaa22−Xaa23−Ala−Xaa25−Xaa26−Xaa27−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Xaa33−Xaa34−Xaa35−Xaa36−Xaa37−Xaa38−Xaa39−Xaa40−Xaa41−Xaa42−Xaa43−Xaa44−Xaa45
(上式中、
XaaはAla、Gly、Val、Leu、Ile、Lys
XaaはGlu、Asp
Xaa10はGly、Ala
Xaa16はVal又はLeuであり;
Xaa18はSer、Lys又はArgであり;
Xaa19はTyr又はGlnであり;
Xaa20はLeu又はMetであり;
Xaa22はGly又はGluであり;
Xaa23はGln、Glu、Lys又はArgであり;
Xaa25はAla又はValであり;
Xaa26はLys、Glu又はArgであり;
Xaa27はGlu又はLeuであり;
Xaa30はAla、Glu又はArgであり;
Xaa33はVal、Lys又はArgであり;
Xaa34はLys、Glu、Asn、His又はArgであり;
Xaa35はGlyであり;
Xaa36はArg、Gly又はLysであり;
Xaa37はGly、Ala、Glu、Pro、Lys,又は不存在であり;
Xaa38はLys、Ser,又は不存在であり;
Xaa39はSer、Lys,又は不存在であり;
Xaa40はGly,又は不存在であり;
Xaa41はAla,又は不存在であり;
Xaa42はPro,又は不存在であり;
Xaa43はPro,又は不存在であり;
Xaa44はPro,又は不存在であり;
Xaa45はSer,又は不存在であり;
但し、Xaa38、Xaa39、Xaa40、Xaa41、Xaa42、Xaa43、Xaa44又はXaa45が不存在ならば、下流の各アミノ酸残基もまた不存在である)
のアミノ酸配列を含む前躯体分子のリストから選択される請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展中の非タンパク新生アミノ酸が、γ−カルボキシグルタマート、オルニチン、ホスホセリン、D−アミノ酸、例えばD−アラニン及びD−グルタミン、D−アラニン及びD−ロイシン、Aib(α−アミノイソ酪酸)、Abu(α−アミノ酪酸)、Tle(tert−ブチルグリシン)、3−アミノメチル安息香酸、アントラニル酸、デス−アミノ−ヒスチジン、β−アラニン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα−アセチル−ヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジン、α−メチル−ヒスチジン、3−ピリジルアラニン、2−ピリジルアラニン、4−ピリジルアラニン、(1−アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1−アミノシクロブチル)カルボン酸、(1−アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1−アミノシクロへプチル)カルボン酸、(1−アミノシクロオクチル)カルボン酸、α−メチルプロリン、1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、及び4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−C]ピリジン−6−カルボン酸β−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−アラニンからなる群から選択される請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展が、一般式
Xaa−Xaa−Xaa−Xaa10
(上式中、
Xaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、N−アセチル−ヒスチジン,α−フルオロメチル−ヒスチジン,α−メチル−ヒスチジン、3−ピリジルアラニン、2−ピリジルアラニン及び4−ピリジルアラニン、1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、及び4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−C]ピリジン−6−カルボン酸β−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−アラニンから選択され、

Xaaは、Ala、Gly、Val、Leu、Ile、Lys、Aib、(1−アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1−アミノシクロブチル)カルボン酸、(1−アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘプチル)カルボン酸,又は(1−アミノシクロオクチル)カルボン酸及びα−メチルプロリンから選択され、
Xaaは、Glu、Asp、γ,γ−ジメチルGlu、β,β−ジメチルGlu及びβ,β−ジメチルAspから選択され、
Xaa10は、Gly、Aib、(1−アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1−アミノシクロブチル)カルボン酸、(1−アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘプチル)カルボン酸、及び(1−アミノシクロオクチル)カルボン酸から選択される)
を有する請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
一又は複数の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展が、一般式
Xaa−Xaa
(上式中、
Xaaは、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、N−アセチル−ヒスチジン,α−フルオロメチル−ヒスチジン,α−メチル−ヒスチジン、3−ピリジルアラニン、2−ピリジルアラニン及び4−ピリジルアラニンであり;1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−C]ピリジン−6−カルボン酸β−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−アラニンから選択され;
Xaaは、Gly、Aib、(1−アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1−アミノシクロブチル)カルボン酸、(1−アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1−アミノシクロヘプチル)カルボン酸,又は(1−アミノシクロオクチル)カルボン酸及びα−メチルプロリンから選択される)
を有する請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
一の非タンパク新生アミノ酸を含むN末端アミノ酸伸展が、一般式
Xaa
(上式中、XaaはD−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、N−アセチル−ヒスチジン,α−フルオロメチル−ヒスチジン,α−メチル−ヒスチジン、3−ピリジルアラニン、2−ピリジルアラニン及び4−ピリジルアラニンであり;1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、及び4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−C]ピリジン−6−カルボン酸β−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−アラニンから選択される)を有する請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
N末端アミノ酸伸展がデスアミノ−ヒスチジンであり、カップリング反応が、発現された前躯体分子と、4−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニル)−エチル]−1H−イミダゾール−1−イウム塩、例えばトリフルオロ酢酸塩によって実施される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
発現された前躯体分子中の少なくとも一のリジン残基のεアミノ基を、活性化されていてもよく、及び/又は一又は複数の保護基で保護されていてもよいアシル化剤でアシル化する工程を更に含む請求項1から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
アシル化剤が、活性化されていてもよく、及び/又は一又は複数の保護基で保護されていてもよい一般式:
A−OH、A−C−D−OH、A−B−C−OH又はA−B−C−D−OH
(上式中、
Aは

からなる群から選択され、ここで、
nは14、15、16、17、18及び19からなる群から選択され、pは10、11、12、13及び14からなる群から選択され、dは0、1、2、3、4及び5からなる群から選択され、及びmは11、12、13、14、15、16、17からなる群から選択され、kは0、1、2、3、4、5、11及び27からなる群から選択され、mは0、1、2、3、4、5及び6からなる群から選択され、R1は一般的に許容される保護基であり、
Bは

からなる群から選択され、ここで、
xは0、1、2、3及び4からなる群から選択され、yは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12からなる群から選択され、
Cは

からなる群から選択され、ここで、
b及びeはそれぞれ独立して0、1及び2からなる群から選択され、c及びfはそれぞれ独立して0、1及び2からなる群から選択され、但し、cが0のとき、bは1又は2であり、又はcが1または2のとき、bは0であり、fが0のとき、eは1又は2であり、又はfが1又は2のときeは0であり、
一又は複数の遊離のカルボン酸が存在する場合、それらは一般的に許容される保護基で保護されていてもよく、
Dは

からなる群から選択され、ここで、kは0、1、2、3、4、5、11及び27からなる群から選択され、mは0、1、2、3、4、5及び6からなる群から選択される)
のカルボン酸アナログである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
R1が、9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルカルバメート(Cbz)からなる群から選択される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
宿主細胞が、哺乳動物宿主細胞、トリ宿主細胞、昆虫宿主細胞、植物宿主細胞、細菌宿主細胞、真菌宿主細胞及び酵母宿主細胞から選択される請求項1から14の何れか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図4−5】
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【図4−6】
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【図4−7】
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【図4−8】
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【図4−9】
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【図4−10】
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【図4−11】
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【公表番号】特表2011−509077(P2011−509077A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540119(P2010−540119)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/068211
【国際公開番号】WO2009/083549
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】