H型鋼を用いたスラブの補強工法
【課題】簡便な施工でスラブとスラブ、スラブと梁との連結を堅牢にし、既設RCラーメン高架橋の耐力や剛性の向上および振動対策を図ることができるH型鋼を用いたスラブの補強工法を提供する。
【解決手段】H型鋼を用いたスラブの補強工法において、スラブ1の下面1Aに設置されるH型鋼2からなるスラブ1の補強用小梁と、前記スラブ1に設置される打ち込み式あと施工アンカー5と、前記スラブ1の梁4と接合するあと施工アンカー8を設置するために配置される、前記補強用小梁の端部に連結部材6によって連結され、衝立形状を有する端部補強板7とを施工する。
【解決手段】H型鋼を用いたスラブの補強工法において、スラブ1の下面1Aに設置されるH型鋼2からなるスラブ1の補強用小梁と、前記スラブ1に設置される打ち込み式あと施工アンカー5と、前記スラブ1の梁4と接合するあと施工アンカー8を設置するために配置される、前記補強用小梁の端部に連結部材6によって連結され、衝立形状を有する端部補強板7とを施工する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、H型鋼を用いたスラブの補強工法に係り、特に、H形鋼によるRCラーメン高架橋のスラブの補強工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート構造(Reinforced Concrete;以下、RC)が本格的に鉄道施設に用いられるようになった大正期以降、数多くのラーメン高架橋が建設されてきた。これらのラーメン高架橋は、建設から多くの歳月が経過していることから、耐久性や耐震性の観点から大規模な改修が必要となる場合がある(下記非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】田所 敏弥,「アーチ型鋼材によるRCラーメン高架橋の梁補強」,RRR 2010.3,pp.46
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、既存のRCラーメン高架橋は、立地条件や列車の過密な運行状況などのため、大規模な取り換えや改修が難しいのが現状である。
本発明は、上記状況に鑑みて、簡便な施工でスラブとスラブ、スラブと梁との連結を堅牢にし、既設RCラーメン高架橋の耐力や剛性の向上および振動対策を図ることができる、H型鋼を用いたスラブの補強工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕H型鋼を用いたスラブの補強工法において、スラブの下面に設置されるH型鋼からなるスラブの補強用小梁と、前記スラブに設置される打ち込み式あと施工アンカーと、前記スラブの梁と接合するあと施工アンカーを設置するために配置される、前記補強用小梁の端部に連結部材によって連結され、衝立形状を有する端部補強板とを施工することを特徴とする。
【0006】
〔2〕上記〔1〕記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記スラブの梁と接合する前記あと施工アンカーは、隣接する径間の連結を図る貫通式あと施工アンカーであることを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記スラブの下面と前記補強用小梁との間に、前記スラブの不陸調整およびひび割れ補修、ならびに前記スラブと前記補強用小梁のズレ止め防止を図る充填材を注入することを特徴とする。
【0007】
〔4〕上記〔1〕又は〔2〕記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記補強用小梁が、線路方向に配置される第1のH型鋼と、この第1のH型鋼に連結され、線路直角方向に配置される第2のH型鋼とにより構築される井桁状の補強用小梁であることを特徴とする。
〔5〕上記〔1〕又は〔2〕記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記補強用小梁が、第1のH型鋼と、この第1のH型鋼間に該第1のH型鋼に対して直角方向に配置される第2のH型鋼とにより構築されるラダー状の補強用小梁であることを特徴とする。
【0008】
〔6〕上記〔1〕又は〔2〕記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記補強用小梁が、線路方向に配置される2本の第1のH型鋼と、この2本の第1のH型鋼の間に該第1のH型鋼とボルトにより接合して配置される2本の第2のH型鋼と、この2本の第2のH型鋼の間にこの第2のH型鋼とボルトにより接合して配置される第3のH型鋼とからなり、前記2本の第1のH型鋼と前記2本の第2のH型鋼で囲まれた範囲に埋設型枠を配置してモルタルを打設することを特徴とする。
【0009】
〔7〕上記〔6〕記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記モルタルを貫通して線路方向に延在する鋼管を前記梁に接合させるようにしたことを特徴とする。
〔8〕上記〔6〕記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記スラブの下面と前記第1のH型鋼との間に床版を配置するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡便な施工でスラブとスラブ、スラブと梁との連結を堅牢にし、既設RCラーメン高架橋の耐力や剛性の向上および振動対策を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図である。
【図3】本発明の第1実施例の変形例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図である。
【図4】本発明の第2実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図である。
【図5】本発明の第3実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)である。
【図6】本発明の第3実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図である。
【図7】本発明の第4実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)である。
【図8】本発明の第4実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図である。
【図9】本発明の第5実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)である。
【図10】本発明の第5実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図である。
【図11】本発明の第6実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)である。
【図12】本発明の第6実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の施工状況を線路直角方向から見た模式図である。
【図13】本発明の第7実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)である。
【図14】本発明の第7実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の施工状況を線路方向から見た模式図である。
【図15】本発明の第8実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)である。
【図16】本発明の第8実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の施工状況を線路直角方向から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のH型鋼を用いたスラブの補強工法は、スラブの下面に設置されるH型鋼からなるスラブの補強用小梁と、前記スラブに設置される打ち込み式あと施工アンカーと、前記スラブの梁と接合するあと施工アンカーを設置するために配置される、前記補強用小梁の端部に連結部材によって連結され、衝立形状を有する端部補強板とを施工する。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の概略構成図であり、そのスラブを下方より見上げた概略構成図、図2はその補強工法を示す要部模式図であり、図2(a)は線路方向から見た図、図2(b)は線路直角方向から見た図、図2(c)は端部補強板の断面図、図3は本発明の第1実施例の変形例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図である。
【0014】
これらの図において、1はスラブ(鉄筋コンクリートの床板、天井板、デッキなどの構築体を言う)、3はこのスラブ1の下面1Aに線路直角方向に設置されたH型鋼2からなる補強用小梁、4はスラブ1の縦梁、5はスラブ1に配置される打ち込み式のあと施工アンカー、7は縦梁4にあと施工アンカー8を設置するために配置される、H型鋼2の端部2Aに連結部材6によって連結され、衝立形状を有する端部補強板、7Aは端部補強板7の底部板である。
【0015】
このように構成することで、スラブ1に設置した打ち込み式のあと施工アンカー5が、スラブ1の補強用小梁3とスラブ1の一体化を図るためのズレ止めとして機能する。さらに、縦梁4に設置したあと施工アンカー8によって、端部補強板7を介して連結した補強用小梁3と縦梁4との一体化を図ることができる。
また、図3に示すように、スラブ1の縦梁4に設置するあと施工アンカーを貫通アンカー9としてもよい。つまり、スラブ1の縦梁4の両側に端部補強板7,7′を配置して、その端部補強板7,7′の底部板7A,7A′を貫通するように貫通アンカー9を配置して止め具10,10′で固定する。
【0016】
このように構成することにより、H型鋼2からなるスラブ1の補強用小梁3をスラブ1およびスラブ1の縦梁4と一体化させることができ、また、次の隣接する径間のスラブの補強と連携させることができる。
したがって、この第1実施例によれば、耐力と剛性の向上を図ることができ、また、振幅により騒音の原因となるスラブの腹に補強用小梁3を設置することで、振動対策も図ることができる。
【0017】
図4は本発明の第2実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図であり、図4(a)は線路方向から見た図、図4(b)は線路直角方向から見た図である。なお、ここでは、端部補強板17の断面図は図示しないが、上記した図2(c)と同様である。
これらの図において、11はスラブ、13はこのスラブ11の下面11Aに線路直角方向に設置されたH型鋼12からなる補強用小梁、14はスラブ11の縦梁、15はスラブ11に配置される打ち込み式のあと施工アンカー、17は縦梁14にあと施工アンカー18を設置するために配置される、H型鋼12の端部12Aに連結部材16によって連結され、衝立形状を有する端部補強板、17Aはその端部補強板17の底板部、19は充填材である。
【0018】
充填材19は、スラブ11の不陸調整およびひび割れ補修、また、スラブ11と補強用小梁13のズレ止め防止を目的とし、補強用小梁13とスラブ11との間に注入により充填する。この充填材19としては、高流動セメントやセメントスラリーを用いる。
この実施例は、特に既設のスラブの補修工法として好適であり、スラブの不陸調整およびひび割れ補修を行うことができ、また、スラブと補強小梁のズレ止め効果を向上させることができる。
【0019】
図5は本発明の第3実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)、図6はその補強工法を示す要部模式図であり、図6(a)は線路直角方向から見た図、図6(b)は線路方向から見た図、図6(c)は井桁部のH型鋼を示す模式図である。なお、ここでは、端部補強板27の断面図は図示しないが、上記した図2(c)と同様である。
【0020】
この実施例は、H型鋼を井桁状に配置したスラブの補強工法である。
これらの図において、21はスラブ、22はスラブ21の下面21Aに線路方向に配置される第1のH型鋼、23は線路直角方向に配置される第2のH型鋼であり、第1のH型鋼22と第2のH型鋼23とで井桁状の補強用小梁24の構造とする。25はスラブ21に配置される打ち込み式のあと施工アンカー、27は梁29にあと施工アンカー28を設置するために配置される、第1のH型鋼22の端部22Aに連結部材26によって連結され、衝立形状を有する端部補強板、29,30は梁である。なお、第2のH型鋼23と梁30との連結も、第1のH型鋼22と同様に構成されている。
【0021】
これらの図に示すように、第1のH型鋼22は梁29に、第2のH型鋼23は梁30に接合させる。梁29,30への接合方法は、図6(a)に示すような貫通式のあと施工アンカー28を用いてもよいし、図2に示したような打ち込み式のあと施工アンカーを用いてもよい。
図7は本発明の第4実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)、図8はその補強工法を示す要部模式図であり、図8(a)は線路直角方向から見た図、図8(b)は線路方向から見た図、図8(c)はそのラダー状に配置した補強用小梁を示す模式図である。なお、ここでは、端部補強板37の断面図は図示しないが、上記した図2(c)と同様である。
【0022】
この実施例は、H型鋼を線路方向にラダー状に配置したスラブの補強工法である。
これらの図において、31はスラブ、32はスラブ31の下面31Aに線路方向に配置される第1のH型鋼、33は線路直角方向に配置される第2のH型鋼であり、第1のH型鋼32と第2のH型鋼33とにより線路方向に配置されるラダー状の補強用小梁34とする。35はスラブ31に配置される打ち込み式のあと施工アンカー、37は梁39にあと施工アンカー38を設置するために配置される、第1のH型鋼32の端部32Aに連結部材36によって連結され、衝立形状を有する端部補強板、39,40は梁である。
【0023】
これらの図に示すように、ラダー状の補強用小梁34は、線路直下に設置し、列車荷重に対し有効に耐荷性能を発揮できるような構造とする。H型鋼32の梁39への接合方法は、図8(a)に示すような貫通式のあと施工アンカー38を用いてもよいし、図2に示すような打ち込み式のあと施工アンカーを用いてもよい。
図9は本発明の第5実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)、図10はその補強工法を示す要部模式図であり、図10(a)は線路方向から見た図、図10(b)は線路直角方向から見た図、図10(c)はそのラダー状に配置した補強用小梁を示す模式図である。なお、ここでは、端部補強板47の断面図は図示しないが、上記した図2(c)と同様である。
【0024】
この実施例は、H型鋼を線路直角方向にラダー状に配置したスラブの補強工法である。
これらの図において、41はスラブ、42はスラブ41の下面41Aに線路直角方向に配置される第1のH型鋼、43は線路方向に配置される第2のH型鋼であり、第1のH型鋼42と第2のH型鋼43とにより線路直角方向に配置されるラダー状の補強用小梁44とする。45はスラブ41に配置される打ち込み式のあと施工アンカー、47は梁50にあと施工アンカー48を設置するために配置される、第1のH型鋼42の端部42Aに連結部材46によって連結され、衝立形状を有する端部補強板、49,50は梁である。
【0025】
これらの図に示すように、本実施例のラダー状の補強用小梁44は、線路直角方向に配置する構造である。このラダー状の補強用小梁44は、線路方向の列車荷重作用時に振幅が大きくなる1/2点,1/4点に設置する。線路直角方向に配置する第1のH型鋼42の梁50への結合方法は、図10(a)に示すような貫通式のあと施工アンカー48を用いてもよいし、図2に示すような打ち込み式のあと施工アンカーを用いてもよい。
【0026】
図11は本発明の第6実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)、図12はその施工状況を線路直角方向から見た模式図である。
これらの図において、51はスラブ、52はスラブ51の下面51Aに線路直角方向に2本配置される第1のH型鋼、53はその2本の第1のH型鋼52の間に線路方向に2本配置される第2のH型鋼、54はその2本の第2のH型鋼53の間に線路直角方向に配置される第3のH型鋼であり、これらの第1のH型鋼52,第2のH型鋼53,第3のH型鋼54によって補強用小梁55を構成する。56は補強用小梁55の2本の第1のH型鋼52と2本の第2のH型鋼53で囲まれた範囲に設けられる埋設型枠、57はその埋設型枠56に流し込まれるモルタル、58,59は梁である。
【0027】
なお、第1のH型鋼52と梁59は、図2に示すような打ち込み式のあと施工アンカー、又は図3に示すような貫通式のあと施工アンカーで接合する。また、第2のH型鋼53は第1のH型鋼52とボルト接合させ、第3のH型鋼54は第2のH型鋼53とボルト接合させる。このように構成された補強用小梁55の2本の第1のH型鋼52と2本の第2のH型鋼53で囲まれた範囲に埋設型枠56を設置し、モルタル57を打設する。
【0028】
図13は本発明の第7実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)、図14はその施工状況を線路方向から見た模式図である。
これらの図において、61はスラブ、62はスラブ61の下面61Aに線路直角方向に2本配置される第1のH型鋼、63はその2本の第1のH型鋼62の間に線路方向に配置される第2のH型鋼、64は線路方向に配置され、梁69に接合させる鋼管、65は2本の第2のH型鋼63の間に線路直角方向に配置される第3のH型鋼であり、第1のH型鋼62,第2のH型鋼63,第3のH型鋼65によって補強用小梁66を構成する。67は補強用小梁66に設けられる埋設型枠、68はその埋設型枠67に流し込まれるモルタル、69,70は梁である。
【0029】
ここでは、第1のH型鋼62と梁70は、図2に示す打ち込み式のあと施工アンカー、又は図3に示す貫通式のあと施工アンカーで接合する。第2のH型鋼63は第1のH型鋼62とボルト接合させ、第3のH型鋼65は第2のH型鋼63とボルト接合させる。また、鋼管64と梁69との接合は、貫通方式又はアンカー方式とすることができる。
図15は本発明の第8実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)、図16はその施工状況を線路直角方向から見た模式図である。
【0030】
これらの図において、71はスラブ、72はスラブ71の下面71Aに貼り付けられる床版(FRP,炭素繊維など)、73は線路直角方向に2本配置される第1のH型鋼、74はその2本の第1のH型鋼73の間に線路方向に2本配置される第2のH型鋼、75はその2本の第2のH型鋼74の間に線路直角方向に配置される第3のH型鋼であり、これらの第1のH型鋼73,第2のH型鋼74,第3のH型鋼75によって補強用小梁76を構成する。ここで、第1のH型鋼73と梁77は、図2に示す打ち込み式のあと施工アンカー、又は図3に示す貫通式のあと施工アンカーで接合する。また、第2のH型鋼74は第1のH型鋼73とボルト接合させ、第3のH型鋼75は第2のH型鋼74とボルト接合させる。
【0031】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、簡便な施工でスラブとスラブ、スラブと梁との連結を堅牢にし、既設RCラーメン高架橋の耐力や剛性の向上および振動対策を図ることができるH型鋼を用いたスラブの補強工法として利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1,11,21,31,41,51,61,71 スラブ
1A,11A,21A,31A,41A,51A,61A,71A スラブの下面
2,12 H型鋼
2A,12A H型鋼の端部
3,13,24,34,44,55,66,76 補強用小梁
4,14 スラブの縦梁
5,15,25,35,45 スラブへのあと施工アンカー
6,16,26,36,46 連結部材
7,7′,17,27,37,47 端部補強板
7A,7A′,17A 端部補強板の底部板
8,18,28,38,48 梁へのあと施工アンカー
9 貫通アンカー
10,10′ 止め具
19 充填材
22,32,42,52,62,73 第1のH型鋼
22A,32A,42A 第1のH型鋼の端部
23,33,43,53,63,74 第2のH型鋼
29,30,39,40,49,50,58,59,69,70,77 梁
54,65,75 第3のH型鋼
56,67 埋設型枠
57,68 モルタル
64 鋼管
72 床版
【技術分野】
【0001】
本発明は、H型鋼を用いたスラブの補強工法に係り、特に、H形鋼によるRCラーメン高架橋のスラブの補強工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート構造(Reinforced Concrete;以下、RC)が本格的に鉄道施設に用いられるようになった大正期以降、数多くのラーメン高架橋が建設されてきた。これらのラーメン高架橋は、建設から多くの歳月が経過していることから、耐久性や耐震性の観点から大規模な改修が必要となる場合がある(下記非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】田所 敏弥,「アーチ型鋼材によるRCラーメン高架橋の梁補強」,RRR 2010.3,pp.46
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、既存のRCラーメン高架橋は、立地条件や列車の過密な運行状況などのため、大規模な取り換えや改修が難しいのが現状である。
本発明は、上記状況に鑑みて、簡便な施工でスラブとスラブ、スラブと梁との連結を堅牢にし、既設RCラーメン高架橋の耐力や剛性の向上および振動対策を図ることができる、H型鋼を用いたスラブの補強工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕H型鋼を用いたスラブの補強工法において、スラブの下面に設置されるH型鋼からなるスラブの補強用小梁と、前記スラブに設置される打ち込み式あと施工アンカーと、前記スラブの梁と接合するあと施工アンカーを設置するために配置される、前記補強用小梁の端部に連結部材によって連結され、衝立形状を有する端部補強板とを施工することを特徴とする。
【0006】
〔2〕上記〔1〕記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記スラブの梁と接合する前記あと施工アンカーは、隣接する径間の連結を図る貫通式あと施工アンカーであることを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記スラブの下面と前記補強用小梁との間に、前記スラブの不陸調整およびひび割れ補修、ならびに前記スラブと前記補強用小梁のズレ止め防止を図る充填材を注入することを特徴とする。
【0007】
〔4〕上記〔1〕又は〔2〕記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記補強用小梁が、線路方向に配置される第1のH型鋼と、この第1のH型鋼に連結され、線路直角方向に配置される第2のH型鋼とにより構築される井桁状の補強用小梁であることを特徴とする。
〔5〕上記〔1〕又は〔2〕記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記補強用小梁が、第1のH型鋼と、この第1のH型鋼間に該第1のH型鋼に対して直角方向に配置される第2のH型鋼とにより構築されるラダー状の補強用小梁であることを特徴とする。
【0008】
〔6〕上記〔1〕又は〔2〕記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記補強用小梁が、線路方向に配置される2本の第1のH型鋼と、この2本の第1のH型鋼の間に該第1のH型鋼とボルトにより接合して配置される2本の第2のH型鋼と、この2本の第2のH型鋼の間にこの第2のH型鋼とボルトにより接合して配置される第3のH型鋼とからなり、前記2本の第1のH型鋼と前記2本の第2のH型鋼で囲まれた範囲に埋設型枠を配置してモルタルを打設することを特徴とする。
【0009】
〔7〕上記〔6〕記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記モルタルを貫通して線路方向に延在する鋼管を前記梁に接合させるようにしたことを特徴とする。
〔8〕上記〔6〕記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記スラブの下面と前記第1のH型鋼との間に床版を配置するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡便な施工でスラブとスラブ、スラブと梁との連結を堅牢にし、既設RCラーメン高架橋の耐力や剛性の向上および振動対策を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図である。
【図3】本発明の第1実施例の変形例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図である。
【図4】本発明の第2実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図である。
【図5】本発明の第3実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)である。
【図6】本発明の第3実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図である。
【図7】本発明の第4実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)である。
【図8】本発明の第4実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図である。
【図9】本発明の第5実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)である。
【図10】本発明の第5実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図である。
【図11】本発明の第6実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)である。
【図12】本発明の第6実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の施工状況を線路直角方向から見た模式図である。
【図13】本発明の第7実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)である。
【図14】本発明の第7実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の施工状況を線路方向から見た模式図である。
【図15】本発明の第8実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)である。
【図16】本発明の第8実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の施工状況を線路直角方向から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のH型鋼を用いたスラブの補強工法は、スラブの下面に設置されるH型鋼からなるスラブの補強用小梁と、前記スラブに設置される打ち込み式あと施工アンカーと、前記スラブの梁と接合するあと施工アンカーを設置するために配置される、前記補強用小梁の端部に連結部材によって連結され、衝立形状を有する端部補強板とを施工する。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の概略構成図であり、そのスラブを下方より見上げた概略構成図、図2はその補強工法を示す要部模式図であり、図2(a)は線路方向から見た図、図2(b)は線路直角方向から見た図、図2(c)は端部補強板の断面図、図3は本発明の第1実施例の変形例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図である。
【0014】
これらの図において、1はスラブ(鉄筋コンクリートの床板、天井板、デッキなどの構築体を言う)、3はこのスラブ1の下面1Aに線路直角方向に設置されたH型鋼2からなる補強用小梁、4はスラブ1の縦梁、5はスラブ1に配置される打ち込み式のあと施工アンカー、7は縦梁4にあと施工アンカー8を設置するために配置される、H型鋼2の端部2Aに連結部材6によって連結され、衝立形状を有する端部補強板、7Aは端部補強板7の底部板である。
【0015】
このように構成することで、スラブ1に設置した打ち込み式のあと施工アンカー5が、スラブ1の補強用小梁3とスラブ1の一体化を図るためのズレ止めとして機能する。さらに、縦梁4に設置したあと施工アンカー8によって、端部補強板7を介して連結した補強用小梁3と縦梁4との一体化を図ることができる。
また、図3に示すように、スラブ1の縦梁4に設置するあと施工アンカーを貫通アンカー9としてもよい。つまり、スラブ1の縦梁4の両側に端部補強板7,7′を配置して、その端部補強板7,7′の底部板7A,7A′を貫通するように貫通アンカー9を配置して止め具10,10′で固定する。
【0016】
このように構成することにより、H型鋼2からなるスラブ1の補強用小梁3をスラブ1およびスラブ1の縦梁4と一体化させることができ、また、次の隣接する径間のスラブの補強と連携させることができる。
したがって、この第1実施例によれば、耐力と剛性の向上を図ることができ、また、振幅により騒音の原因となるスラブの腹に補強用小梁3を設置することで、振動対策も図ることができる。
【0017】
図4は本発明の第2実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法を示す要部模式図であり、図4(a)は線路方向から見た図、図4(b)は線路直角方向から見た図である。なお、ここでは、端部補強板17の断面図は図示しないが、上記した図2(c)と同様である。
これらの図において、11はスラブ、13はこのスラブ11の下面11Aに線路直角方向に設置されたH型鋼12からなる補強用小梁、14はスラブ11の縦梁、15はスラブ11に配置される打ち込み式のあと施工アンカー、17は縦梁14にあと施工アンカー18を設置するために配置される、H型鋼12の端部12Aに連結部材16によって連結され、衝立形状を有する端部補強板、17Aはその端部補強板17の底板部、19は充填材である。
【0018】
充填材19は、スラブ11の不陸調整およびひび割れ補修、また、スラブ11と補強用小梁13のズレ止め防止を目的とし、補強用小梁13とスラブ11との間に注入により充填する。この充填材19としては、高流動セメントやセメントスラリーを用いる。
この実施例は、特に既設のスラブの補修工法として好適であり、スラブの不陸調整およびひび割れ補修を行うことができ、また、スラブと補強小梁のズレ止め効果を向上させることができる。
【0019】
図5は本発明の第3実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)、図6はその補強工法を示す要部模式図であり、図6(a)は線路直角方向から見た図、図6(b)は線路方向から見た図、図6(c)は井桁部のH型鋼を示す模式図である。なお、ここでは、端部補強板27の断面図は図示しないが、上記した図2(c)と同様である。
【0020】
この実施例は、H型鋼を井桁状に配置したスラブの補強工法である。
これらの図において、21はスラブ、22はスラブ21の下面21Aに線路方向に配置される第1のH型鋼、23は線路直角方向に配置される第2のH型鋼であり、第1のH型鋼22と第2のH型鋼23とで井桁状の補強用小梁24の構造とする。25はスラブ21に配置される打ち込み式のあと施工アンカー、27は梁29にあと施工アンカー28を設置するために配置される、第1のH型鋼22の端部22Aに連結部材26によって連結され、衝立形状を有する端部補強板、29,30は梁である。なお、第2のH型鋼23と梁30との連結も、第1のH型鋼22と同様に構成されている。
【0021】
これらの図に示すように、第1のH型鋼22は梁29に、第2のH型鋼23は梁30に接合させる。梁29,30への接合方法は、図6(a)に示すような貫通式のあと施工アンカー28を用いてもよいし、図2に示したような打ち込み式のあと施工アンカーを用いてもよい。
図7は本発明の第4実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)、図8はその補強工法を示す要部模式図であり、図8(a)は線路直角方向から見た図、図8(b)は線路方向から見た図、図8(c)はそのラダー状に配置した補強用小梁を示す模式図である。なお、ここでは、端部補強板37の断面図は図示しないが、上記した図2(c)と同様である。
【0022】
この実施例は、H型鋼を線路方向にラダー状に配置したスラブの補強工法である。
これらの図において、31はスラブ、32はスラブ31の下面31Aに線路方向に配置される第1のH型鋼、33は線路直角方向に配置される第2のH型鋼であり、第1のH型鋼32と第2のH型鋼33とにより線路方向に配置されるラダー状の補強用小梁34とする。35はスラブ31に配置される打ち込み式のあと施工アンカー、37は梁39にあと施工アンカー38を設置するために配置される、第1のH型鋼32の端部32Aに連結部材36によって連結され、衝立形状を有する端部補強板、39,40は梁である。
【0023】
これらの図に示すように、ラダー状の補強用小梁34は、線路直下に設置し、列車荷重に対し有効に耐荷性能を発揮できるような構造とする。H型鋼32の梁39への接合方法は、図8(a)に示すような貫通式のあと施工アンカー38を用いてもよいし、図2に示すような打ち込み式のあと施工アンカーを用いてもよい。
図9は本発明の第5実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)、図10はその補強工法を示す要部模式図であり、図10(a)は線路方向から見た図、図10(b)は線路直角方向から見た図、図10(c)はそのラダー状に配置した補強用小梁を示す模式図である。なお、ここでは、端部補強板47の断面図は図示しないが、上記した図2(c)と同様である。
【0024】
この実施例は、H型鋼を線路直角方向にラダー状に配置したスラブの補強工法である。
これらの図において、41はスラブ、42はスラブ41の下面41Aに線路直角方向に配置される第1のH型鋼、43は線路方向に配置される第2のH型鋼であり、第1のH型鋼42と第2のH型鋼43とにより線路直角方向に配置されるラダー状の補強用小梁44とする。45はスラブ41に配置される打ち込み式のあと施工アンカー、47は梁50にあと施工アンカー48を設置するために配置される、第1のH型鋼42の端部42Aに連結部材46によって連結され、衝立形状を有する端部補強板、49,50は梁である。
【0025】
これらの図に示すように、本実施例のラダー状の補強用小梁44は、線路直角方向に配置する構造である。このラダー状の補強用小梁44は、線路方向の列車荷重作用時に振幅が大きくなる1/2点,1/4点に設置する。線路直角方向に配置する第1のH型鋼42の梁50への結合方法は、図10(a)に示すような貫通式のあと施工アンカー48を用いてもよいし、図2に示すような打ち込み式のあと施工アンカーを用いてもよい。
【0026】
図11は本発明の第6実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)、図12はその施工状況を線路直角方向から見た模式図である。
これらの図において、51はスラブ、52はスラブ51の下面51Aに線路直角方向に2本配置される第1のH型鋼、53はその2本の第1のH型鋼52の間に線路方向に2本配置される第2のH型鋼、54はその2本の第2のH型鋼53の間に線路直角方向に配置される第3のH型鋼であり、これらの第1のH型鋼52,第2のH型鋼53,第3のH型鋼54によって補強用小梁55を構成する。56は補強用小梁55の2本の第1のH型鋼52と2本の第2のH型鋼53で囲まれた範囲に設けられる埋設型枠、57はその埋設型枠56に流し込まれるモルタル、58,59は梁である。
【0027】
なお、第1のH型鋼52と梁59は、図2に示すような打ち込み式のあと施工アンカー、又は図3に示すような貫通式のあと施工アンカーで接合する。また、第2のH型鋼53は第1のH型鋼52とボルト接合させ、第3のH型鋼54は第2のH型鋼53とボルト接合させる。このように構成された補強用小梁55の2本の第1のH型鋼52と2本の第2のH型鋼53で囲まれた範囲に埋設型枠56を設置し、モルタル57を打設する。
【0028】
図13は本発明の第7実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)、図14はその施工状況を線路方向から見た模式図である。
これらの図において、61はスラブ、62はスラブ61の下面61Aに線路直角方向に2本配置される第1のH型鋼、63はその2本の第1のH型鋼62の間に線路方向に配置される第2のH型鋼、64は線路方向に配置され、梁69に接合させる鋼管、65は2本の第2のH型鋼63の間に線路直角方向に配置される第3のH型鋼であり、第1のH型鋼62,第2のH型鋼63,第3のH型鋼65によって補強用小梁66を構成する。67は補強用小梁66に設けられる埋設型枠、68はその埋設型枠67に流し込まれるモルタル、69,70は梁である。
【0029】
ここでは、第1のH型鋼62と梁70は、図2に示す打ち込み式のあと施工アンカー、又は図3に示す貫通式のあと施工アンカーで接合する。第2のH型鋼63は第1のH型鋼62とボルト接合させ、第3のH型鋼65は第2のH型鋼63とボルト接合させる。また、鋼管64と梁69との接合は、貫通方式又はアンカー方式とすることができる。
図15は本発明の第8実施例を示すH型鋼を用いたスラブの補強工法の模式図(見上げ図)、図16はその施工状況を線路直角方向から見た模式図である。
【0030】
これらの図において、71はスラブ、72はスラブ71の下面71Aに貼り付けられる床版(FRP,炭素繊維など)、73は線路直角方向に2本配置される第1のH型鋼、74はその2本の第1のH型鋼73の間に線路方向に2本配置される第2のH型鋼、75はその2本の第2のH型鋼74の間に線路直角方向に配置される第3のH型鋼であり、これらの第1のH型鋼73,第2のH型鋼74,第3のH型鋼75によって補強用小梁76を構成する。ここで、第1のH型鋼73と梁77は、図2に示す打ち込み式のあと施工アンカー、又は図3に示す貫通式のあと施工アンカーで接合する。また、第2のH型鋼74は第1のH型鋼73とボルト接合させ、第3のH型鋼75は第2のH型鋼74とボルト接合させる。
【0031】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、簡便な施工でスラブとスラブ、スラブと梁との連結を堅牢にし、既設RCラーメン高架橋の耐力や剛性の向上および振動対策を図ることができるH型鋼を用いたスラブの補強工法として利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1,11,21,31,41,51,61,71 スラブ
1A,11A,21A,31A,41A,51A,61A,71A スラブの下面
2,12 H型鋼
2A,12A H型鋼の端部
3,13,24,34,44,55,66,76 補強用小梁
4,14 スラブの縦梁
5,15,25,35,45 スラブへのあと施工アンカー
6,16,26,36,46 連結部材
7,7′,17,27,37,47 端部補強板
7A,7A′,17A 端部補強板の底部板
8,18,28,38,48 梁へのあと施工アンカー
9 貫通アンカー
10,10′ 止め具
19 充填材
22,32,42,52,62,73 第1のH型鋼
22A,32A,42A 第1のH型鋼の端部
23,33,43,53,63,74 第2のH型鋼
29,30,39,40,49,50,58,59,69,70,77 梁
54,65,75 第3のH型鋼
56,67 埋設型枠
57,68 モルタル
64 鋼管
72 床版
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)スラブの下面に設置されるH型鋼からなるスラブの補強用小梁と、
(b)前記スラブに設置される打ち込み式あと施工アンカーと、
(c)前記スラブの梁と接合するあと施工アンカーを設置するために配置される、前記補強用小梁の端部に連結部材によって連結され、衝立形状を有する端部補強板とを施工することを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【請求項2】
請求項1記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記スラブの梁と接合する前記あと施工アンカーは、隣接する径間の連結を図る貫通式あと施工アンカーであることを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記スラブの下面と前記補強用小梁との間に、前記スラブの不陸調整およびひび割れ補修、ならびに前記スラブと前記補強用小梁のズレ止め防止を図る充填材を注入することを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【請求項4】
請求項1又は2記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記補強用小梁が、線路方向に配置される第1のH型鋼と、該第1のH型鋼に連結され、線路直角方向に配置される第2のH型鋼とにより構築される井桁状の補強用小梁であることを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【請求項5】
請求項1又は2記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記補強用小梁が、第1のH型鋼と、該第1のH型鋼間に該第1のH型鋼に対して直角方向に配置される第2のH型鋼とにより構築されるラダー状の補強用小梁であることを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【請求項6】
請求項1又は2記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記補強用 小梁が、線路方向に配置される2本の第1のH型鋼と、該2本の第1のH型鋼の間に該第1のH型鋼とボルトにより接合して配置される2本の第2のH型鋼と、該2本の第2のH型鋼の間に該第2のH型鋼とボルトにより接合して配置される第3のH型鋼とからなり、前記2本の第1のH型鋼と前記2本の第2のH型鋼で囲まれた範囲に埋設型枠を配置してモルタルを打設することを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【請求項7】
請求項6記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記モルタルを貫通して線路方向に延在する鋼管を前記梁に接合させるようにしたことを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【請求項8】
請求項6記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記スラブの下面と前記第1のH型鋼との間に床版を配置するようにしたことを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【請求項1】
(a)スラブの下面に設置されるH型鋼からなるスラブの補強用小梁と、
(b)前記スラブに設置される打ち込み式あと施工アンカーと、
(c)前記スラブの梁と接合するあと施工アンカーを設置するために配置される、前記補強用小梁の端部に連結部材によって連結され、衝立形状を有する端部補強板とを施工することを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【請求項2】
請求項1記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記スラブの梁と接合する前記あと施工アンカーは、隣接する径間の連結を図る貫通式あと施工アンカーであることを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記スラブの下面と前記補強用小梁との間に、前記スラブの不陸調整およびひび割れ補修、ならびに前記スラブと前記補強用小梁のズレ止め防止を図る充填材を注入することを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【請求項4】
請求項1又は2記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記補強用小梁が、線路方向に配置される第1のH型鋼と、該第1のH型鋼に連結され、線路直角方向に配置される第2のH型鋼とにより構築される井桁状の補強用小梁であることを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【請求項5】
請求項1又は2記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記補強用小梁が、第1のH型鋼と、該第1のH型鋼間に該第1のH型鋼に対して直角方向に配置される第2のH型鋼とにより構築されるラダー状の補強用小梁であることを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【請求項6】
請求項1又は2記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記補強用 小梁が、線路方向に配置される2本の第1のH型鋼と、該2本の第1のH型鋼の間に該第1のH型鋼とボルトにより接合して配置される2本の第2のH型鋼と、該2本の第2のH型鋼の間に該第2のH型鋼とボルトにより接合して配置される第3のH型鋼とからなり、前記2本の第1のH型鋼と前記2本の第2のH型鋼で囲まれた範囲に埋設型枠を配置してモルタルを打設することを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【請求項7】
請求項6記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記モルタルを貫通して線路方向に延在する鋼管を前記梁に接合させるようにしたことを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【請求項8】
請求項6記載のH型鋼を用いたスラブの補強工法において、前記スラブの下面と前記第1のH型鋼との間に床版を配置するようにしたことを特徴とするH型鋼を用いたスラブの補強工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−149399(P2012−149399A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7399(P2011−7399)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(303056368)東急建設株式会社 (225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(303056368)東急建設株式会社 (225)
【Fターム(参考)】
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