説明

HCV治療に対する持続性反応を予測するためのバイオマーカー

本発明は、薬理学的治療に対するC型肝炎ウイルスに感染した患者の反応を予測するために有用であるバイオマーカーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬理学的治療に対するC型肝炎に感染した患者の反応を予測するために有用であるバイオマーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)は、重要な健康上の問題であり、そして世界中の慢性肝疾患の主要な原因である(Boyer,N.et al.J.Hepatol.2000 32:98−112)。HCVに感染した患者は、肝臓の硬変症及びその後の肝細胞の細胞腫を発症する危険性があり、そして従って、HCVは、肝臓移植の重要な徴候である。
【0003】
世界保健機関によれば、世界中に2億人以上の感染した個体がおり、少なくとも3ないし4百万人のヒトが毎年感染している。感染した場合、約20%のヒトはウイルスを一掃するが、しかし残りのヒトはその生涯にわたってHCVを内部に持つことができる。慢性的に感染した個体の10ないし20パーセントは、最終的に肝臓を破壊する硬変症又は癌を発症する。ウイルス性疾病は、汚染した血液及び血液産物、汚染した注射針によって非経口的に、又は性的に、そして垂直的に、感染した母親又は保菌母親からその子孫に伝染される。組換えインターフェロン−α単独、又はヌクレオシド類似のリバビリンとの組合せによる免疫療法に限定されるHCV感染に対する現時点の治療は、耐性が急速に発生するために、臨床的利益は制約される。慢性のHCV感染と有効に戦う改良された療法剤に対する緊急な必要性が存在する。
【0004】
HCVは、flaviviruses、pestiviruses、及びC型肝炎ウイルスを含むhepaciviruses属を含むFlaviviridaeウイルスのファミリーの一員として分類される(Rice,C.M.,Flaviviridae:The viruses and their replication,in:Fields Virology,Editors:Fields,B.N.,Knipe,D.M.,and Howley,P.M.,Lippincott−Raven Publishers,Philadelphia,Pa.,Chapter 30,931−959,1996)。HCVは、概略9.4kbのプラスセンスの一本鎖RNAゲノムを含有するエンベロープ付きウイルスである。ウイルスのゲノムは、5’−非翻訳領域(UTR)、概略3011個のアミノ酸のポリタンパク質前駆体をコードする長いオープンリーディングフレーム(ORF)、及び短い3’UTRからなる。5’UTRは、HCVゲノムの最も高度に保存された部分であり、そしてポリタンパク質翻訳の開始及び制御のために重要である。
【0005】
HCVの遺伝子分析は、そのDNA配列中に>30%の分岐を示す6個の主要な遺伝子型を確認している。それぞれの遺伝子型は、ヌクレオチド配列中に20−25%の分岐を示す一連の更に密接に関連するサブタイプを含有する(Simmonds,P.2004 J.Gen.Virol.85:3173−88)。30種より多いサブタイプが識別されている。米国において、感染した個体の概略70%が、1a及び1b型の感染を有する。1b型は、アジアにおいて最も蔓延しているサブタイプである(X.Forns and J.Bukh,Clinics in Liver Disease 1999 3:693−716;J.Bukh et al.,Semin.Liv.Dis.1995 15:41−63)。不幸にも、1型の感染は、2型又は3型遺伝子型のいずれかよりも療法に対して耐性である(N.N.Zein,Clin.Microbiol.Rev.,2000 13:223−235)。
【0006】
ペスチウイルス及び肝炎ウイルスのORFの非構造タンパク質部分の遺伝的構造及びポリタンパク質プロセッシングは、非常に類似している。これらのプラス鎖のRNAウイルスは、ウイルス複製のために必要な全てのウイルスのタンパク質をコードする一つの大きいORFを保有する。これらのタンパク質は、細胞及びウイルスによりコードされたプロテイナーゼの両方によって翻訳時及び翻訳後加工されて、成熟したウイルスタンパク質を得るポリタンパク質として発現する。ウイルスのゲノムRNAの複製に責任のあるウイルスタンパク質は、ほぼカルボキシ末端に位置する。ORFの三分の二は、非構造(NS)タンパク質と呼ばれる。ペスチウイルス及び肝炎ウイルスの両方において、成熟した非構造(NS)タンパク質は、非構造タンパク質コード領域のアミノ末端からORFのカルボキシ末端への配列順序で、p7、NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、及びNS5Bからなる。
【0007】
ペスチウイルス及び肝炎ウイルスのNSタンパク質は、特異的タンパク質機能の特徴である配列ドメインを共有する。例えば、両方のグループのウイルスのNS3タンパク質は、セリンプロテイナーゼ及びヘリカーゼの特徴であるアミノ酸配列モチーフを保有する(Gorbalenya et al.Nature 1988 333:22;Bazan and Fletterick Virology 1989 171:637−639;Gorbalenya et al.Nucleic Acid Res.1989 17.3889−3897)。同様に、ペスチウイルス及び肝炎ウイルスのNS5Bタンパク質は、RNA依存性RNAポリメラーゼの特徴であるモチーフを有する(Koonin,E.V.and Dolja,V.V.Crit.Rev.Biochem.Molec.Biol.1993 28:375−430)。
【0008】
ウイルスの生活環におけるペスチウイルス及び肝炎ウイルスのNSタンパク質の実際の役割及び機能は、直接的に類似である。両方の場合において、NS3セリンプロテイナーゼは、ORF中のその位置の下流のポリタンパク質前駆体の全てのタンパク質分解加工に対して責任がある(Wiskerchen and Collett Virology 1991 184:341−350;Bartenschlager et al.J.Virol.1993 67:3835−3844;Eckart et al.Biochem.Biophys.Res.Comm.1993 192:399−406;Grakoui et al.J.Virol.1993 67:2832−2843;Grakoui et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1993 90:10583−10587;Ilijikata et al.J.Virol.1993 67:4665−4675;Tome et al.J.Virol.1993 67:4017−4026)。両方の場合におけるNS4Aタンパク質は、NS3セリンプロテアーゼと共に補助因子として作用する(Bartenschlager et al.J.Virol.1994 68:5045−5055;Failla et al.J.Virol.1994 68:3753−3760;Xu et al.J Virol.1997 71:53 12−5322)。両方のウイルスのNS3タンパク質は、更にヘリカーゼとしても作用する(Kim et al.Biochem.Biophys.Res.Comm.1995 215:160−166;Jin and Peterson Arch.Biochem.Biophys.1995,323:47−53;Warrener and Collett J.Virol.1995 69:1720−1726)。最後に、ペスチウイルス及び肝炎ウイルスのNS5Bタンパク質は、予測されたRNA依存性RNAポリメラーゼ活性を有する(Behrens et al.EMBO 1996 15:12−22;Lechmann et al.J.Virol.1997 71:8416−8428;Yuan et al.Biochem.Biophys.Res.Comm.1997 232:231−235;Hagedorn,PCT WO97/12033;Zhong et al.J.Virol.1998 72:9365−9369)。
【0009】
現時点において、HCV感染の治療のために現時点で使用可能な制約された数の認可された療法が存在する。HCVを治療するための新しい及び既存の治療方法並びにHCVのNS5Bポリメラーゼの阻害は:R.G.Gish,Sem.Liver.Dis.,1999 19:5;Di Besceglie,A.M.and Bacon,B.R.,Scientific American,October:1999 80−85;G.Lake−Bakaar,Current and Future Therapy for Chronic Hepatitis C Virus Liver Disease,Curr.Drug Targ.Infect Dis.2003 3(3):247−253;P.Hoffmann et al.,Recent patents on experimental therapy for hepatitis C virus infection(1999−2002),Exp.Opin.Ther.Patents 2003 13(11):1707−1723;F.F.Poordad et al.Developments in Hepatitis C therapy during 2000−2002,Exp.Opin.Emerging Drugs 2003 8(1):9−25;M.P.Walker et al.,Promising Candidates for the treatment of chronic hepatitis C,Exp.Opin.Investig.Drugs 2003 12(8):1269−1280;S.−L.Tan et al.,Hepatitis C Therapeutics:Current Status and Emerging Strategies,Nature Rev.Drug Discov.2002 1:867−881;R.De Francesco et al.Approaching a new era for hepatitis C virus therapy:inhibitors of the NS3−4A serine protease and the NS5B RNA−dependent RNA polymerase,Antiviral Res.2003 58:1−16;Q.M.Wang et al.Hepatitis C virus encoded proteins:targets for antiviral therapy, Drugs of the Future 2000 25(9):933−8−944;J.A.Wu and Z.Hong,Targeting NS5B−Dependent RNA Polymerase for Anti−HCV Chemotherapy Cur.Drug Targ.−Inf.Dis.2003 3:07−219によって考察されている。現在、開発過程の各種の段階にある化合物を引用する考察は、その全てが本明細書中に参考文献として援用される。
【0010】
【化1】

【0011】
リバビリン(1a;1−((2R,3R,4S,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド;ビラゾール(登録商標))は、合成の非インターフェロン誘導性の広い薬効範囲の抗ウイルス性ヌクレオシド類似体である。リバビリンは、Flaviviridaeを含む幾つかのDNA及びRNAウイルスに対するin vitroの活性を有する(Gary L.Davis,Gastroenterology 2000 118:S104−S114)。単剤療法において、リバビリンは、40%の患者において血清のアミノトランスフェラーゼのレベルを正常まで減少するが、しかしHCV−RNAの血清レベルは低下しない。リバビリンは、更に有意な毒性を示し、そして貧血を誘発することが知られている。リバビリンは、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼの阻害剤である。リバビリンは、HCVに対する単剤療法において認可されていないが、しかしこの化合物は、インターフェロンα−2a及びインターフェロンα−2bとの組合せ療法において認可されている。ビラミジン(Viramidine)1bは、肝細胞中で1aに転換されるプロドラッグである。
【0012】
インターフェロン(IFN)は、殆ど10年間、慢性の肝炎の治療のために使用可能であった。IFNは、ウイルス感染に反応して免疫細胞によって製造される糖タンパク質である。二つの別個の種類のインターフェロンが認識されている:1型は、幾つかのインターフェロンアルファ及び一つのインターフェロンβを含み、2型は、インターフェロンγを含む。1型インターフェロンは、主として感染した細胞によって製造され、そして近隣の細胞を新規な感染から保護する。IFNは、HCVを含む多くのウイルスのウイルス複製を阻害し、そしてC型肝炎感染に対する単独治療剤として使用された場合、IFNは、血清のHCV−RNAを検出不可能なレベルまで抑制する。更に、IFNは、血清のアミノトランスフェラーゼレベルを正常化する。不幸にも、IFNの効果は一次的である。療法の中止は、70%の再発率をもたらし、そして僅か10−15%が、正常な血清アラニントランスフェラーゼレベルを伴う持続性ウイルス陰性化を示す(L−B.Davis,supra)。
【0013】
初期のIFN療法の一つの制約は、血液からのタンパク質の急速な排除であった。ポリエチレングリコール(PEG)によるIFNの化学的誘導は、実質的に改良された薬物動態学的特性を持つタンパク質をもたらしている。ペガシス(登録商標)は、抱合体のインターフェロンα−2a及び40kDの分枝鎖のモノ−メトキシPEGであり、ペグ−イントロン(登録商標)は、インターフェロンα−2b及び12kDのモノ−メトキシPEGの抱合体である(B.A.Luxon et al.,Clin.Therap.2002 24(9):13631383;A.Kozlowski and J.M.Harris,J.Control.Release,2001 72:217−224)。
【0014】
インターフェロンα−2a及びインターフェロンα−2bは、現時点でHCVの治療のための単剤療法として認可されている。ロフェロン−A(登録商標)(Roche)は、インターフェロンα−2aの組換え形態である。ペガシス(登録商標)(Roche)は、インターフェロンα−2aのペグ化(即ちポリエチレングリコールで改変された)形態である。イントロン−A(登録商標)(Schering Corporation)は、インターフェロンα−2bの組換え形態であり、そしてペグ−イントロン(登録商標)(Schering Corporation)は、インターフェロンα−2bのペグ化形態である。
【0015】
インターフェロンα、並びにインターフェロンβ、γ、τ及びωの他の形態は、現時点においてHCVの治療のための臨床開発中である。例えば、InterMuneによるInfergen(登録商標)(インターフェロンアルファコン(alfacon)−1)、ViragenによるOmniferon(登録商標)(天然のインターフェロン)、Human Genome SciencesによるAlbuferon(登録商標)、Ares−SeronoによるRebif(登録商標)(インターフェロンβ−1a)、BioMedicineによるオメガインターフェロン、Amarillo Biosciencesによる経口インターフェロンアルファ、BMS/Zymogeneticsによるペグ化インターフェロンλ1/IL−29及びInterMuneによるインターフェロンγ、インターフェロンτ、及びインターフェロンγ−1bは、開発中である。
【0016】
リバビリン及びインターフェロン−αによるHCVの組合せ療法は、現時点で最適な療法である。組合せたリバビリン及びPeg(下記)は、54−56%の患者において持続性ウイルス陰性化(SVR)をもたらす。SVRは、2型及び3型HCVに対して80%に近づく(上掲Walker)。不幸なことに、この組み合わせは、更に臨床的挑戦を中止させる副作用を生じる。鬱病、風邪様症状及び皮膚の反応が、皮下のIFN−αに伴い、そして溶血性貧血が、リバビリンによる持続治療に伴う。
【0017】
抗HCV治療剤としての薬物の開発のための、制約されるものではないが、NS2−NS3自己プロテアーゼ、N3プロテアーゼ、N3ヘリカーゼ及びNS5Bポリメラーゼを含む多くの潜在的分子標的がいまや確認されている。RNA依存性RNAポリメラーゼは、一本鎖プラスセンスのRNAゲノムの複製のために絶対的に必須であり、そしてこの酵素は、医薬品化学者中で有意な興味を誘発している。
【0018】
NS5Bポリメラーゼのヌクレオシド阻害剤は、連鎖停止をもたらす非天然の基質又はポリメラーゼに結合するヌクレオチドと競合する競合阻害剤のいずれかとして作用することができる。ある種のNS5Bポリメラーゼヌクレオシドの阻害剤が、以下の出願公開中に開示され、これらの全ては全体として本明細書中に参考文献として援用される。
【0019】
【化2】

【0020】
2001年11月29日に公開されたWO01 90121において、J.−P.Sommadossi及びP.Lacollaは、式2及び3の1’−アルキル−及び2’−アルキルヌクレオシドの抗−HCVポリメラーゼ活性を開示し、そして例示している。2001年12月6日に公開されたWO01/92282において、J.−P.Sommadossi及びP.Lacollaは、式2、及び3の1’−アルキル−及び2’−アルキルヌクレオシドによりFlaviviruses及びPestivirusesの治療を開示し、そして例示している。2003年4月3日に公開されたWO03/026675において、G.Gosselinは、Flaviviruses及びPestivirusesを治療するための4’−アルキルヌクレオシド4を開示している。
【0021】
2004年1月8日に公開されたWO2004003000において、J.−P.Sommadossi et al.は、1’−、2’−、3’−及び4’−置換されたβ−D及びβ−Lヌクレオシドの2’−及び3’プロドラッグを開示している。2004年1月8日に公開されたWO2004/002422において、Flaviviridae感染の治療のための2’−C−メチル−3’−O−バリンエステルリボフラネシルシチジン。Idenixは、シチジン類似体2(B=シトシン)のバリンエステル5であると信じられる関連する化合物NM283に対する臨床試験を報告している。2004年1月8日に公開されたWO2004/002999において、J.−P.Sommadossi et al.は、HCV感染を含むフラビウイルス感染の治療のための1’、2’、3’、又は4’分枝のヌクレオシドの一連の2’、又は3’プロドラッグを開示している。
【0022】
2004年6月3日に公開されたWO2004/046331において、J.−P.Sommadossi et al.は、2’−分枝ヌクレオシド及びFlaviviridae変異を開示している。2003年4月3日に公開されたWO03/026589 において、G.Gosselin et al.は、4’−改変ヌクレオシドを使用するC型肝炎ウイルスを治療する方法を開示している。2005年2月3日に公開されたWO2005009418において、R.Storer et al.は、HCVを含むFlaviviridaeによって起こされた疾病の治療のためのプリンヌクレオシド類似体を開示している。
【0023】
他の特許出願は、C型肝炎ウイルス感染を治療するためのある種のヌクレオシド類似体の使用を開示している。2001年5月10日公開のWO01/32153において、R.Storerは、ウイルス性疾病を治療するためのヌクレオシド誘導体を開示している。2001年8月23日公開のWO01/60315において、H.Ismaili et al.は、ヌクレオシド化合物によるフラビウイルス感染の治療又は予防の方法を開示している。2002年3月7日に公開されたWO02/18404において、R.Devos et al.は、HCVウイルスを治療するための4’−置換ヌクレオチドを開示している。2001年10月25日に公開されたWO01/79246において、K.A.Watanabeは、ウイルス性疾病の治療のための2’−又は3’−ヒドロキシメチルヌクレオシド化合物を開示している。2002年4月25日公開のWO02/32920及び2002年6月20日に公開されたWO02/48165において、L.Stuyver et al.は、ウイルス性疾病の治療のためのヌクレオシド化合を開示している。
【0024】
【化3】

【0025】
2003年12月24日に公開されたWO03/105770において、B.Bhat et al.は、HCV感染の治療のために有用である一連のカルボキシヌクレオシド誘導体を開示している。2003年1月22日に公開されたWO2004/007512において、B.Bhat et al.は、RNA−依存性RNAウイルスポリメラーゼを阻害するヌクレオシド化合物を開示している。この公開中で開示されているヌクレオシドは、主として2’−メチル−2’−ヒドロキシ置換のヌクレオシドである。2002 年7月25日に公開されたWO2002/057425において、S.S.Carroll et al.は、RNA−依存性ウイルスポリメラーゼの阻害剤であるヌクレオシド誘導体を開示している。2002年7月25日に公開されたWO02/057287において、S.S.Carroll et al.は、塩基が所望により置換されていてもよい7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンラジカル6である関連する2α−メチル及び2β−メチルリボース誘導体を開示している。同一出願は、3β−メチルヌクレオシドの一つの例を開示している。S.S.Carroll et al.(J.Biol.Chem.2003 278(14):11979−11984)は、2’−O−メチルシチジン(6a)によるHCVポリメラーゼの阻害を開示している。2004年1月29日に公開されたWO2004/009020において、D.B.Olsen et al.は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤としての一連のチオヌクレオシド誘導体を開示している。
【0026】
“2’−フルオロヌクレオシド”の表題のEmory大学へのPCT公開第WO99/43691は、HCVを治療するためのある種の2’−フルオロヌクレオシドの使用を開示している。“2’−フルオロヌクレオシド”の表題のEmory大学への米国特許第6,348,587号は、B型肝炎、HCV、HIV及び異常な細胞増殖の治療のために有用な2’−フルオロヌクレオシドのファミリーを開示している。2’−フルオロ置換基の両方の立体配置が開示されている。
【0027】
Eldrup et al.(Oral Session V,Hepatitis C Virus,Flaviviridae;16th International Conference on Antiviral Research(Apr.27,2003,Savannah,Ga.))は、HCVの阻害のための2’−改変ヌクレオシドの構造活性の関係を記載している。
【0028】
Bhat et al.(Oral Session V,Hepatitis C Virus,Flaviviridae;16th International Conference on Antiviral Research(Apr.27,2003,Savannah,Ga.);p A75)は、HCVのRNA複製の可能性のある阻害剤としてのヌクレオシド誘導体の合成及び薬物動力学的特性を記載している。著者は、2’−改変ヌクレオシドが、細胞ベースのレプリコンアッセイにおける強力な阻害活性を証明することを報告している。
【0029】
Olsen et al.(Oral Session V,Hepatitis C Virus,Flaviviridae;16th International Conference on Antiviral Research(Apr.27,2003,Savannah,Ga.)p A76)は、更にHCVのRNA複製における2’−改変ヌクレオシドの効果を記載している。
【0030】
非ヌクレオシドのHCVのNS5B阻害剤の幾つかの群が記載され、そして本明細書中に参考文献としてその全てが援用され、それらは以下を含む:ベンゾイミダゾール(H.Hashimoto et al.WO01/47833, H.Hashimoto et al.WO03/000254,P.L.Beaulieu et al.WO03/020240A2;P.L.Beaulieu et al.US6,448,281B1;P.L.Beaulieu et al.WO03/007945A1);インドール、(P.L.Beaulieu et al.WO03/0010141A2;ベンゾチアジアジン、例えば7、(D.Dhanak et al.WO01/85172A1;D.Dhanak et al.WO03/037262A2;K.J.Duffy et al.WO03/099801A1,D.Chaiet al.WO2004052312,D.Chai et al.WO2004052313,D.Chai et al.WO02/098424,J.K.Pratt et al.WO2004/041818A1;J.K.Pratt et al.WO2004/087577A1)、チオフェン、例えば8、(C.K.Chan et al.WO02/100851);
【0031】
【化4】

【0032】
ベンゾチオフェン(D.C.Young and T.R.Bailey WO00/18231);β−ケトピルビン酸(S.Attamura et al.米国特許第6,492,423B1号,A.Attamura et al.WO00/06529);ピリミジン(C.Gardelli et al.WO02/06246A1);ピリミジンジオン(T.R.Bailey and D.C.Young WO00/13708);トリアジン(K.−H.Chung et al.WO02/079187A1); ローダミン誘導体(T.R.Bailey and D.C.Young WO00/10573,J.C.Jean et al.WO01/77091A2);2,4−ジオキソピラン(R.A.Love et al.欧州特許第256628A2号);フェニルアラニン誘導体(M.Wang et al.J.Biol.Chem.2003 278:2489−2495)。
【0033】
ヌクレオシド誘導体は、しばしば強力な抗ウイルス性(例えば、HIV、HCV、単純ヘルペス、CMV)及び抗癌性化学療法剤である。不幸にも、これらの実際的使用は、二つの因子によってしばしば制約される。第一に、不良な薬物動態学的特性は、しばしば腸からのヌクレオシドの吸収を、そしてヌクレオシド誘導体の細胞内濃度を制約し、そして第2に、最適以下の物理的特性は、活性成分の供給を促進するために使用することができる処方の選択肢を制限する。
【0034】
Albertは、固有の生物学的活性に欠けるが、しかし活性な薬物物質への代謝的転換が可能である化合物を記載するためにプロドラッグの用語を導入した(A.Albert,Selective Toxicity,Chapman and Hall,London,1951)。プロドラッグは、最近再考察されている(P.Ettmayer et al.,J.Med Chem.2004 47(10):2393−2404;K.Beaumont et al.,Curr.Drug Metab.2003 4:461−485;H.Bundgaard,Design of Prodrugs:Bioreversible derivatives for various functional groups and chemical entities in Design of Prodrugs,H.Bundgaard ed)Elsevier Science Publishers,Amersterdam 1985;G.M.Pauletti et al.Adv.Drug Deliv.Rev.1997 27:235−256;R.J.Jones and N.Bischofberger,Antiviral Res.1995 27;1−15及びC.R.Wagner et al.,Med.Res.Rev.2000 20:417−45)。代謝的転換は、特異的酵素、しばしばヒドロラーゼによって触媒されるが、活性化合物は、更に非特異的化学過程によって発生することもできる。
【0035】
医薬的に受容可能なプロドラッグは、代謝されて、例えば宿主内で加水分解又は酸化されて、本発明の化合物を形成する化合物を指す。生物変換は、毒物学的責任を伴う断片の形成を回避しなければならない。プロドラッグの典型的な例は、活性化合物の官能性分子に連結する生物学的に不安定な保護基を有する化合物を含む。糖分子のヒドロキシ基(単数又は複数)のアルキル化、アシル化又は他の親油性改変は、プロヌクレオチドの設計において使用されている。これらのプロヌクレオチドは、in vivoで加水分解又は脱アルキルされて、活性化合物を発生することができる。
【0036】
経口の生体利用率をしばしば制約する因子は、消化管からの吸収並びに腸壁及び肝臓による初回通過の排出である。GI管を通る経細胞吸収の最適化は、ゼロより大きいD(7.4)を必要とする。然しながら、分配係数の最適化は、成功を確約しない。プロドラッグは、腸細胞中の活性な排出輸送を回避しなければならないことがあり得る。腸細胞中の細胞内代謝は、代謝産物の腸の管腔へ戻る排出ポンプによる受動輸送又は能動輸送をもたらすことができる。プロドラッグは、更に標的細胞又は受容体に到達する前に、血液中の好ましくない生体内変換に耐性でなければならない。
【0037】
仮想のプロドラッグは、分子中に存在する化学的官能基に基づき、時に合理的に設計することができるが、活性化合物の化学的改変は、親化合物には非存在の好ましくない物理的、化学的及び生物学的特性を示すことができる完全に新しい分子の実体を製造する。代謝産物の確認試験に対する法的な要求事項は、多数の経路が複数の代謝産物に導く場合、難題をもたらす。従って、プロドラッグの確認試験は、不確定な、そして困難な課題であるままである。更に、潜在的なプロドラッグの薬物動態学的特性を評価することは、困難であり、そして高価な努力である。動物モデルからの薬物動態学的結果をヒトに外挿することは、困難であり得る。
【0038】
最近、C型肝炎ウイルスの遺伝子型1(HCV−1)又は遺伝子型4(HCV−4)に感染した患者において、患者のHCVのRNAレベルが、治療後2週間程度の短期間に検出不可能となる場合、インターフェロンアルファ、リバビリン及びHCVポリメラーゼ阻害剤(三剤併用療法)を含む治療に対する有益な反応を、予測することができることが発見された。2週目の急速ウイルス陰性化(RVR2)を示し、そして三剤併用療法の治療の終了における持続性ウイルス陰性化(SVR)を達成する患者間の相関は、共同所有される2008年12月18日に出願された米国特許出願USSN61/138,585中に開示され、これは、本明細書中にその全てが参考文献として援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】WO97/12033;
【特許文献2】WO01 90121;
【特許文献3】WO01/92282;
【特許文献4】WO03/026675;
【特許文献5】WO2004003000;
【特許文献6】WO2004/002422;
【特許文献7】WO2004/002999;
【特許文献8】WO2004/046331;
【特許文献9】WO03/026589;
【特許文献10】WO2005009418;
【特許文献11】WO01/32153;
【特許文献12】WO01/60315;
【特許文献13】WO02/18404;
【特許文献14】WO01/79246;
【特許文献15】WO02/32920;
【特許文献16】WO02/48165;
【特許文献17】WO03/105770;
【特許文献18】WO2004/007512;
【特許文献19】WO2002/057425;
【特許文献20】WO02/057287;
【特許文献21】WO2004/009020;
【特許文献22】WO99/43691;
【特許文献23】米国特許第6,348,587号;
【特許文献24】WO01/47833;
【特許文献25】WO03/000254;
【特許文献26】WO03/020240A2;
【特許文献27】米国特許6,448,281B1号;
【特許文献28】WO03/007945A1;
【特許文献29】WO03/0010141A2;
【特許文献30】WO01/85172A1;
【特許文献31】WO03/037262A2;
【特許文献32】WO03/099801A1;
【特許文献33】WO2004052312;
【特許文献34】WO2004052313;
【特許文献35】WO02/098424;
【特許文献36】WO2004/041818A1;
【特許文献37】WO2004/087577A1;
【特許文献38】WO02/100851;
【特許文献39】WO00/18231;
【特許文献40】米国特許第6,492,423B1号;
【特許文献41】WO00/06529;
【特許文献42】WO02/06246A1;
【特許文献43】WO00/13708;
【特許文献44】WO02/079187A1;
【特許文献45】WO00/10573;
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【非特許文献】
【0040】
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【非特許文献43】Bhat et al.(Oral Session V,Hepatitis C Virus,Flaviviridae;16th International Conference on Antiviral Research(Apr.27,2003,Savannah,Ga.);p A75);
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【発明の概要】
【0041】
本発明は、ペグ化IFN及びリバビリンとの組合せにおけるHCVのRNAポリメラーゼ阻害剤の三剤併用療法の治療を受けているC型肝炎ウイルスの遺伝子型1(HCV−1)又は遺伝子型4のHCV(HCV−4)に感染した患者において、ある種のバイオマーカーは、RVR2を達成しつつある患者を予測することができ、これは、次に、治療の終了時の持続性ウイルス陰性化を示す患者のプラスの前兆であることの発見に基づく。
【0042】
一つの態様において、本発明は、HCV−1又はHCV−4に感染したヒトの患者が、インターフェロン、リバビリン及びHCVのNS5Bポリメラーゼ阻害剤による治療に対してRVR2を達成するものであることを予測するための:
(i)前記治療に先だって(治療前)前記患者からの試料を得て、
(ii)前記試料中のMDC、エオタキシン、IL10、TARC、及びMCP1からなる群から選択される少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを決定し、そして
(iii)前記試料中の少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを、前記治療に対してRVR2を達成しなかった患者の集団の治療前の試料に由来する少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを代表する参照値と比較することを含んでなる方法を提供し;
ここにおいて、前記試料中の少なくとも一つのタンパク質の統計的に有意に高い発現レベルは、前記患者が前記治療に対してRVR2を達成するものであることの指標である。
【0043】
もう一つの態様において、本発明は、HCV−1又はHCV−4に感染したヒトの患者が、インターフェロン、リバビリン及びHCVのNS5Bポリメラーゼ阻害剤による治療に対してRVR2を達成するものであることを予測するための:
(i)前記治療の1週間後(治療後1週目)に前記患者からの試料を得て、
(ii)前記試料中のTRAIL及びIL12p70からなる群から選択される少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを決定し、そして
(iii)前記試料中の少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを、前記治療に対してRVR2を達成しなかった患者の集団の治療後1週目の試料に由来する少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを代表する参照値と比較することを含んでなる方法を提供し;
ここにおいて、前記試料中の少なくとも一つのタンパク質の統計的に有意に高い発現レベルは、前記患者が、前記治療に対してRVR2を達成するものであることの指標である。
【0044】
なおもう一つの態様において、本発明は、HCV−1又はHCV−4に感染したヒトの患者が、インターフェロン、リバビリン及びHCVのNS5Bポリメラーゼ阻害剤による治療に対してRVR2を達成するものであることを予測するための:
(i)前記治療に先だって(治療前)前記患者からの試料を得て、
(ii)前記試料中のTGFベータ1、MIP1b、TRAIL、及びMDCからなる群から選択される少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを決定し、
(iii)前記治療の1週間後(治療後1週目)に前記患者からの試料を得て、
(iv)前記試料中のTGFベータ1、MIP1b、TRAIL、及びMDCからなる群から選択される少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを決定し、
(v)前記患者からの治療前試料及び前記患者からの治療後1週目の試料間の、少なくとも一つのタンパク質の発現レベルの差を決定し、
(vi)前記少なくとも一つのタンパク質の発現レベルの差を、前記治療に対してRVR2を達成しなかった患者の集団の、治療前の試料及び治療後1週目の試料に由来する少なくとも一つのタンパク質の発現レベルの差を代表する参照値と比較することを含んでなる方法を提供し;
ここにおいて、少なくとも一つのタンパク質の発現レベルの差の統計的に有意な変化は、前記患者が、前記治療に対してRVR2を達成するものであることの指標である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、RO4588161に対する、第II期臨床試験の研究の設計を示す。
【図2】図2は、1500mgのRO4588161、180μgのペガシス、及びリバビリンの三剤併用療法治療を受けた、31人のC群の患者のRVR2及びSVR治療の反応を示す。
【図3A】図3は、0週目におけるタンパク質の発現レベル(pg/mlで)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。以下:
【0046】
【化5】

【0047】
は、平均値であり、そして以下:
【0048】
【化6】

【0049】
は、中央値である。■として示した異常値は、平均及び中央値の決定に含まれなかった。
【図3B】図3は、0週目におけるタンパク質の発現レベル(pg/mlで)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。
【図3C】図3は、0週目におけるタンパク質の発現レベル(pg/mlで)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。
【図3D】図3は、0週目におけるタンパク質の発現レベル(pg/mlで)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。
【図3E】図3は、0週目におけるタンパク質の発現レベル(pg/mlで)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。
【図3F】図3は、0週目におけるタンパク質の発現レベル(pg/mlで)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。
【図4A】図4は、1週目におけるタンパク質の発現レベル(pg/ml)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。記号は、図3と同じ意味を有する。
【図4B】図4は、1週目におけるタンパク質の発現レベル(pg/ml)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。記号は、図3と同じ意味を有する。
【図4C】図4は、1週目におけるタンパク質の発現レベル(pg/ml)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。記号は、図3と同じ意味を有する。
【図5A】図5は、0週目及び1週目間のタンパク質の発現レベルの差(Δpg/ml)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。記号は、図3と同じ意味を有する。
【図5B】図5は、0週目及び1週目間のタンパク質の発現レベルの差(Δpg/ml)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。記号は、図3と同じ意味を有する。
【図5C】図5は、0週目及び1週目間のタンパク質の発現レベルの差(Δpg/ml)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。記号は、図3と同じ意味を有する。
【図5D】図5は、0週目及び1週目間のタンパク質の発現レベルの差(Δpg/ml)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。記号は、図3と同じ意味を有する。
【図5E】図5は、0週目及び1週目間のタンパク質の発現レベルの差(Δpg/ml)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。記号は、図3と同じ意味を有する。
【図5F】図5は、0週目及び1週目間のタンパク質の発現レベルの差(Δpg/ml)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。記号は、図3と同じ意味を有する。
【図5G】図5は、0週目及び1週目間のタンパク質の発現レベルの差(Δpg/ml)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。記号は、図3と同じ意味を有する。
【図5H】図5は、0週目及び1週目間のタンパク質の発現レベルの差(Δpg/m)を示し、これは、SVRを達成した患者(“1”によって示す)及びSVRを達成しなかった患者(“0”によって示す)間の有意な差(p≦0.05)を示す。記号は、図3と同じ意味を有する。
【図6】図6は、それぞれの方法を、1500回のシミュレーションで使用して重要な変数として選択された頻度(パーセントによって表示)、その訓練誤差率、及び試験誤差率を含む、SVRに伴うタンパク質の治療前の発現レベルを確認するための四つの分析方法の性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
用語、治療に対する “反応”は、一つの薬剤又は複数の薬剤の投与に対する所望の反応である。
用語、治療に対する “持続性ウイルス陰性化(Sustained Virologic Response)”(“SVR”)及び“完全陰性化(Complete Response)”(“CR”)は、本明細書中で互換的に使用され、そして治療の終了時及び治療の終了後24週目の両方で、感染した患者の試料中のRT−PCRにより検出可能なHCVのRNAの非存在(<15IU/mL)を指す。
【0051】
用語、治療に対する “ウイルス非陰性化(Virologic Non−Response)”(“VNR”)及び“非陰性化(No Response)”(“NR”)は、本明細書中で互換的に使用され、そして治療を通して、そして治療の終了時の、感染した患者の試料中のRT−PCRにより検出可能なHCVのRNAの存在(≧15IU/mL)を指す。
【0052】
“2週目の急速ウイルス陰性化(Rapid Virologic Response−2 Weeks(“RVR2”)は、2週間の治療後、感染した患者の試料中のRT−PCRにより検出可能なHCVのRNA(<15IU/mL)の非存在を指す。
【0053】
用語“試料”又は“生物学的試料”は、制約されるものではないが、例えば組織生検、血漿、血清、全血、髄液、リンパ液、皮膚の外部分泌物、呼吸器、腸及び尿生殖器管、涙、唾液、乳汁、血液細胞、腫瘍、器官を含む個体から単離された組織又は流体の試料を指す。更に含まれるものは、in vitroの細胞培養成分(制約されるものではないが、培養培地中の細胞の増殖から得られる培養上清、推定的にウイルスに感染した細胞、組換え細胞、及び細胞の成分を含む)の試料である。
【0054】
用語“発現レベルを代表する参照値”は、三剤療法の治療に対してウイルス非陰性化を示すHCV患者の集団中の試料に由来するマーカータンパク質の平均発現レベルの推定値を指す。
【0055】
用語“統計的に有意”は、本明細書中で使用される場合、得られた結果が規定された確率のレベルにおける偶然変動のためである可能性がないことを意味し、そして本明細書中で使用される場合、0.05に等しいか又はそれより少ない有意性のレベル(p≦0.05)を、或いは100中の5に等しいか又はそれより小さい誤差の確率を意味する。
【0056】
用語“インターフェロン”は、ウイルスの複製及び細胞増殖を阻害し、そして免疫反応を変更する高度に相同性の種特異的タンパク質のファミリーを指す。典型的な適したインターフェロンは、制約されるものではないが、Schering Corporation,Kenilworth,N.J.から入手可能なイントロン(登録商標)Aインターフェロンのような組換えインターフェロンアルファ−2b、Hoffmann−La Roche,Nutley,N.J.から入手可能なロフェロン(登録商標)−Aインターフェロンのような組換えインターフェロンアルファ−2a、Boehringer Ingelheim Pharmaceutical,Inc.,Ridgefield,Conn.から入手可能なベロフォア(Berofor)(登録商標)アルファ2インターフェロンのような組換えインターフェロンアルファ−2C、日本の住友から入手可能なスミフェロン(登録商標)又はGlaxo−Wellcome Ltd.,London,Great Britainから入手可能なウェルフェロン(Wellferon)(登録商標)インターフェロンアルファ−n1(INS)のような精製された天然のアルファインターフェロンのブレンドであるインターフェロンアルファ−n1、或いは米国特許第4,897,471号及び4,695,623号(特にその実施例7、8又は9)に記載されているもの、及びAmgen,Inc.,Newbury Park,Calif.から入手可能な特異的製品のようなコンセンサスアルファインターフェロン、或いはInterferon Sciencesによって製造され、そしてPurdue Frederick Co.,Norwalk,Conn.からアルフェロン(Alferon)の商標で入手可能な天然のアルファインターフェロンの混合物であるインターフェロンアルファ−n3を含む。“インターフェロン”は、現時点でHCVの治療のための臨床開発中である、他の形態のインターフェロンアルファ、並びにインターフェロンベータ、ガンマ、タウ、オメガ及びラムダを含むことができる。例えば、InterMuneによるインファーゲン(Infergen)(登録商標)(インターフェロンアルファコン−1)、Viragenによるオムニフェロン(Omniferon)(登録商標)(天然のインターフェロン)、Human Genome Sciencesによるアルブフェロン(Albuferon)(登録商標)(アルブミンインターフェロンアルファ2b)、Ares−Seronoによるレビフ(Rebif)(登録商標)(インターフェロンベータ−1a)、BioMedicineによるオメガインターフェロン、Amarillo Biosciencesによる経口インターフェロンアルファ、並びにInterMuneによるインターフェロンγ、インターフェロンτ及びインターフェロンγ−1b、並びにGlycoferonTM(グリコールで操作されたコンセンサスインターフェロン)。インターフェロンは、以下に定義するようなペグ化インターフェロンを含むことができる。
【0057】
用語“ペグ化インターフェロン”、“ペグ化インターフェロンアルファ”及び“ペグインターフェロン”は、本明細書中で互換的に使用され、そしてインターフェロンアルファ、好ましくはインターフェロンアルファ−2a及びアルファ−2bのポリエチレングリコールで改変された抱合体を意味する。典型的な適したペグ化インターフェロンアルファは、制約されるものではないが、ペガシス(登録商標)及びペグ−イントロン(登録商標)を含む。ペグ化インターフェロンの他の形態は、ZymoGenetics及びBristol−Myers SquibbによるPEG−インターフェロンラムダを含むことができる。
【0058】
用語“リバビリン”は、化合物、1−((2R,3R,4S,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミドを指し、これは、合成の非インターフェロン誘導の、広い薬効範囲の抗ウイルス性ヌクレオシド類似体であり、そしてビラゾール(登録商標)及びコペガス(登録商標)の名称で入手可能である。
【0059】
用語“RO4588161”は、本明細書中で使用される場合、医薬的に受容可能な酸付加塩を含む化合物、イソ酪酸(2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−2−アジド−3,4−ビス−イソブチリルオキシ−テトラヒドロ−フラン−2−イルメチルエステルを指し、そして本明細書中に参考文献として全てが援用されるP.J.Pockros et al.,Hepatology,2008,48:385−397中に開示されているとおりの用語“R1626”と互換的に使用される。
【0060】
用語“RO5024048”は、本明細書中で使用される場合、医薬的に受容可能な酸付加塩を含む化合物、イソ酪酸(2R,3R,4R,5R)−5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−フルオロ−3−イソブチリルオキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメチルエステルを指し、そして本明細書中に参考文献として全てが援用されるS.Ali et al.,Antimicrob Agents Chemother.,2008 52(12):4356−4369中に開示されているとおりの用語“R7128”と互換的に使用される。
【0061】
用語“概略2週目”は、2週間又は14日間、プラスマイナス1ないし2日の時間を指す。
用語“CD30”は、サイトカイン受容体CD30を指し、これは、更に腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバー8、又はTNFRSF8としても知られ、そしてそのヒトタンパク質の配列は、GenBank寄託番号NP_001234に開示されている。
【0062】
用語“MIG”は、ガンマ−インターフェロン由来モノカイン又はガンマインターフェロンによって誘導されたモノカインを指し、そしてこれは、更にケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド9又はCXCL9としても知られ、そしてそのヒトタンパク質の配列は、GenBank寄託番号NP_002407に開示されている。
【0063】
用語“TARC”は、胸腺および活性化制御ケモカインを指し、これは、更にケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド17又はCCL17としても知られ、そしてそのヒトタンパク質の配列は、GenBank寄託番号NP_002978に開示されている。
【0064】
用語“TFGβ1”、“TGFベータ1”は、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(β1)と呼ばれ、そのヒトタンパク質の配列は、GenBank寄託番号NP_000651に開示されている。
【0065】
用語“SDF1b”又は“SDF−1b”は、ストロマ細胞由来因子1ベータを指し、これは、更にケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド12又はCXCL12としても知られ、そしてそのヒトタンパク質の配列は、GenBank寄託番号NP_000600に開示されている。
【0066】
用語“エオタキシン−2”は、好酸球走化タンパク質2を指し、これは、更にケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド24又はCCL24としても知られ、そしてそのヒトタンパク質の配列は、GenBank寄託番号NP_0002982に開示されている。
【0067】
用語“TRAIL”は、TNF関連アポトーシス誘導リガンドを指し、これは、更に腫瘍壊死因子(リガンド)スーパーファミリーのメンバー10、又はTNFSF10、及びApo−2Lとしても知られ、そしてそのヒトタンパク質の配列は、GenBank寄託番号NP_003801に開示されている。
【0068】
用語“HCC−4”又は“HCC4”は、ヒトβ(CC)ケモカインCC−4を指し、これは、更にモノタクチン(Monotactin)−1及びケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド16としても知られ、そしてそのヒトタンパク質の配列は、GenBank寄託番号NP_004581に開示されている。
【0069】
用語“MIP1b”又はMIP−1b”は、マクロファージ炎症性タンパク質1−ベータを指し、これは、更にケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド4又はCCL4、及びリンパ球活性化遺伝子1としても知られ、そしてそのヒトタンパク質の配列は、GenBank寄託番号NP_002975に開示されている。
【0070】
用語“TNFRII”又は“TNF−RII”は、腫瘍壊死因子受容体2を指し、これは、更にp75腫瘍壊死因子受容体(p75TNFR)及び腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバー1B又はTNFRSF1Bとしても知られ、そしてそのヒトタンパク質の配列は、GenBank寄託番号NP_001057に開示されている。
【0071】
用語“ITAC”又は“I−TAC”は、インターフェロン誘導性T−細胞アルファ化学誘引物質を指し、これは、更にインターフェロン−ガンマ誘導タンパク質9又はIP9、及びケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド11又はCXCL11としても知られ、そしてそのヒトタンパク質の配列は、GenBank寄託番号NP_005400に開示されている。
【0072】
用語“IL2R”又は“IL−2R”は、そのヒトタンパク質の配列がGenBank寄託番号NP_000408に開示されているインターロイキン2受容体アルファ(IL−2RA)、そのヒトタンパク質の配列がGenBank寄託番号NP_000869に開示されているインターロイキン2受容体ベータ(IL−2RB)、及び更に普通のサイトカイン受容体ガンマ鎖としても知られ、そのヒトタンパク質の配列がGenBank寄託番号NP_000197に開示されているインターロイキン2受容体ガンマ(IL−2Rγ)間の、ヘテロ三量体からなるインターロイキン2受容体の高親和性の形態を指す。
【0073】
用語“IL−16”又は“IL16”は、インターロイキン16を指し、これは、更にリンパ球走化性因子又はLCFとしても知られ、そしてそのヒトタンパク質の配列は、GenBank寄託番号NP_004504に開示されている。
【0074】
用語“IP10”又は“IP−10”は、10kDaのインターフェロン−ガンマ誘導タンパク質を指し、これは、更にケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド10又はCXCL10としても知られ、そしてそのヒトタンパク質の配列は、GenBank寄託番号NP_001556に開示されている。
【0075】
慢性のC型肝炎を持つ患者に対する現時点の推奨される第一線の治療は、1又は4の遺伝子型ウイルスを保有する患者において48週間、2又は3の遺伝子型ウイルスを保有する患者において24週間のリバビリンと組合せたペグ化インターフェロンアルファである。リバビリンとの組合せ治療は、一回又はそれより多いインターフェロンアルファの療法の課程後に再発した患者、並びに以前に治療したことがない患者におけるインターフェロンアルファの単剤療法より有効であることが見いだされた。然しながら、リバビリンは、催奇性及び発癌性を含む重要な副作用を示す。更に、リバビリンは、概略10ないし20%の患者においてリバビリン療法の投与量の減少又は中断を必要とする溶血性貧血を起こし、これは、赤血球中のリバビリン三リン酸の蓄積に関係があり得る。従って、治療費及び有害事象を減少するために、有効性を損なうことなく、治療を、短時間に調整することが望ましい。
【0076】
多くの研究は、4週目の急速ウイルス陰性化(RVR)が、ペグインターフェロン/リバビリン(ribavarin)を使用する治療に対する持続性ウイルス陰性化(SVR)のかなり信頼できる前兆であることを示している。幾つかの研究は、RVRを達成したHCV−1の患者間で、SVRの比率は、24週及び48週のペグインターフェロン/リバビリン(ribovarin)治療間で匹敵することを示し(D.M.Jensen et al.,Hepatology,2006,43:954−960;S.Zeuzen et al.,J.Hepatol.2006,44:97−103;A.Mangia et al.,Hepatology,2008,47:43−50)、一方、他の者は、RVRが達成されたとしても、24週間のペグ化インターフェロン/リバビリンが、48週間の治療に対して劣ることをHCV−1の患者において証明している(M.−L.Yu et al.,Hepatology,2008,47:1884−1893)。
【実施例】
【0077】
実施例
RO4588161に関連する第II相臨床試験
これは、継続中の、第2A相の多施設における無作為化二重盲検(RO4588161及びリバビリンは二重盲検であり、そしてペガシスは非盲検であった)の実薬対照並行群間試験であった。35日のスクリーニング期間(試験薬物の最初の投与に対する最初のスクリーニング評価からの時間)が、試験の治療部分に先行した(図1)。それぞれの患者のHCV遺伝子型及びHCVのRNAの力価を、スクリーニング期間中に確認し、そしてHCV−1遺伝子型及びHCVのRNAの力価≧50,000IU/mLを持つ治療未経験の患者のみを登録に適格とした。
【0078】
年齢18ないし66歳間の107人の男性及び女性を研究に登録した。患者を四つの治療群に無作為に分けた:
・A群/二剤併用1500[RO4588161を経口で一日2回1500mg+ペガシスを皮下で週1回180μg]4週間−21人の患者、
・B群/二剤併用3000[RO4588161を経口で一日2回3000mg+ペガシスを皮下で週1回180μg]4週間−34人の患者、
・C群/三剤併用1500[RO4588161を経口で一日2回1500mg+ペガシスを皮下で週1回180μg+リバビリンを経口で毎日1000mg(<75kg)、又は1200mg(≧75kg)]4週間−31人の患者又は
・D群/標準治療(SOC)[ペガシスを皮下で週1回180μg+リバビリンを経口で毎日1000mg(<75kg)、又は1200mg(≧75kg)]4週間−21人の患者。
【0079】
合計107人の患者から、3人の患者が無作為化されたにもかかわらず、研究医薬の一回の投与を受けなかったために、104人からのデータを分析のために評価した。104人の患者の中で、合計それぞれ43、4、及び5人の、RO4588161、ペガシス、及びリバビリン治療を安全上の理由から早期に辞退した患者がいた。
【0080】
全ての的確な判断基準に合致した患者を、リバビリンを伴い又は伴わずにペガシスと組合せたRO4588161を、或いはSOCを4週間受けるために無作為化した。
少なくとも1回の研究医薬の投与を受けた全ての患者は、全体で48週間の治療を完結するために、非盲検のペガシス180μgを皮下で週1回(qw)、及びリバビリン1000mg(<75kg)又は1200mg(≧75kg)を経口で一日1回(qd)受け続けるものであった。
【0081】
無作為化は、PKの下位群(疎PK対密PK)によって次の治療群に2:3:3:2の比で階層化(A群/二剤併用1500 〜20、B群/二剤併用3000 〜30、C群/三剤併用1500 〜30、D群/SOC 〜20)された。
【0082】
全ての患者は、8週目に、即ち実験的薬物組合せの最後の投与後4週目に、安全経過観察訪問を受けた。患者は、この4週目の安全経過観察訪問を、その標準の介護療法による治療中に受けた。完全な48週の療法の課程を完了した患者は、続いて24週間の事後治療を完了した。
【0083】
薬力学的分析は、慢性の遺伝子型1のHCVウイルス感染を持つ治療未経験の患者における、血清のウイルス負荷、及び個々の臨床訪問におけるウイルス反応、並びにリバビリンを伴う又は伴わないペガシスと混合して与えられたRO4588161による抗ウイルス耐性の発生の評価を含んでいた。ウイルスの反応は、Roche COBAS TaqMan HCV試験によって測定されるような検出不可能なHCVのRNA(<15IU/mL)を持つ患者のパーセントとして定義された。薬力学的データは、一覧表、統計的概要(平均、中央値、標準誤差、平均の信頼区間、範囲、変動係数、反応を伴う患者の比率、及び比率に対する信頼区間を含む)及び時間に対する平均のプロットによって与えられた。
【0084】
各種の治療計画に対する反応を予測するタンパク質バイオマーカーを確認するために、血漿試料を、治療前(0週目の時点)及び治療後1週間(1週目の時点)でそれぞれの患者から収集し、そして各種のサイトカイン及びケモカインの発現レベルを、Aushon Biosystems(Billerica,MA)から入手可能な、特別注文によるSearchLight 55−多重サンドイッチ−ELISA装置を使用して、Moody,M.D.et al.,“Array−Based ELISAs for High−Throughput Analysis of Human Cytokines”,Biotechniques,2001,31(1):186−194(これは本明細書中に参考文献としてその全てが援用される)に記載されているプロトコルによって試験した。55−多重アッセイで試験されたヒトのサイトカイン及びケモカインを表1に収載する。
【0085】
【表1】

【0086】
血漿ウイルス負荷の、投与量及び時間依存性の減少が、RO4588161、ペガサス及びリバビリンによる治療後に観察された。HCVのRNAの低下は、最初の投与後の最初の評価(72時間)という早期に観察された。全てのRO4588161含有群は、4週目に、基線からの全てSOCによる2.4log10より大きい、≧3.6log10平均HCVのRNA(IU/mL)の減少、を有していた。
【0087】
二剤併用1500及び二剤併用3000は、マイナス0.9log10IU/mLウイルス濃度における平均の変化の差を伴う投与量依存性の減少(−3.6対−4.5)を明らかにした。二剤併用1500及び三剤併用1500(同一投与量のRO4588161及びペガシス、しかしリバビリンを伴う)と比較した場合、差は、マイナス1.6log10IU/mLにおいてなお更に大きい(−5.2対−3.6)。更にSOC及び三剤併用1500(同一投与量のペガシス及びリバビリン、しかしRO4588161を伴う)を比較した場合、差は、マイナス2.8log10IU/mLにおいて最も顕著である(−5.2対−2.4)。更に、三剤併用1500及び二剤併用1500間、並びに三剤併用1500及びSOC間の95%信頼区間は、全て非重複であり、二剤併用1500及びSOCに対する三剤併用1500の優れた抗ウイルス効果を示していた。
【0088】
三剤併用療法を受けている31人の群のC型患者の治療結果を、図2にグラフとして示す。2週間の治療において検出不可能なHCVのRNAを示すことが可能であった(即ちRVR2)13人の患者の内の11人は、24週間の治療完了後SVRを達成することが可能であった。対照的に、RVR2を示さなかった18人の患者の内、7人のみがSVRを達成した。
【0089】
SVRを達成した患者からの治療前血漿試料中の55種のケモカイン及びサイトカインのそれぞれの発現レベルを、SVRを達成しなかった患者からの治療前血漿試料中のこれらのタンパク質の発現レベルと、Wilcoxonの順位和検定(ノンパラメトリック法)を使用して比較した。同様に、SVR患者からの治療後1週目の試料中のタンパク質の発現レベルを、非−SVR患者からの治療後1週目の試料中のタンパク質発現レベルと比較した。更に、0週目試料及び1週目試料間のそれぞれのタンパク質の発現レベルの差(デルタ)を試験し、そしてSVR患者及び非−SVR患者間で比較した。統計的に有意な差は、0.05の臨界レベルと考えた。分析は、Spotfireプログラム(Spotfire DecisionSite version 9.1.1,2008,TIBCO,Somerville,MA)で実行した。0週目、1週目におけるSVR及び非−SVR間の発現レベルの統計的に有意な差、並びに0週目−1週目の差(デルタ)を示すタンパク質を表2に示す。三つの試験時点に対するこれらのタンパク質のそれぞれの発現レベルのデータを、図3、4及び5にグラフとして示す。
【0090】
【表2】

【0091】
先に記載した単変量解析に加えて、多変量解析を実行した。交差検定戦略を、2/3の患者を訓練データの組とし、そして1/3の患者を試験データの組として無作為に選択することによって適用した。次いで1500回のシミュレーションを、以下に記載する四つの方法で実行した:
方法1.最良の一つの変数を選択
方法2.多変量ロジスティック回帰分析モデルのための二つまでの最良の変数を選択
方法3.サポートベクターマシーン(SVM)のための最良の二つの変数を選択
方法4.ランダムフォレストのための最良の五つの変数を選択。
【0092】
これらの四つの方法の性能(1500回のシミュレーションで、それぞれの方法を使用して重要な変数として選択された頻度、その訓練誤差率、及び試験誤差率を含む)を、図6に示す。IP10及びMIGの両方は、多変量ロジスティック回帰分析、SVM及びランダムフォレスト法を使用する1500回のシミュレーションの40%以上において重要な変数として選択された。多重ロジスティック回帰分析法は、19%の訓練誤差率及び39%の試験誤差率をもたらすことによって他の三つの方法より良好に遂行するように見受けられる。全ての多変量解析は、Gentleman,R.et al.eds,Bioinformatics and Computational Biology Solutions Using R and Bioconductor,2005,Springer,New York中に記載されているとおりのRプログラムで実行した。
【0093】
多変量解析は、タンパク質、IP10、CD30、TGFβ1及びMIGのミリリットル当たりのピコグラム(pg/ml)の基線(即ち治療前)発現レベルを測定することによって、HCV−1又はHCV−4に感染した患者が、三剤併用療法の治療後のSVRを達成するものである可能性を予測するために使用することができる、多変量ロジスティック回帰分析式の構築を可能にした。式は:SVRスコア=−47.4−1.1×logIP10+3.1×logCD30+1.4×logTGFβ1+0.5×logMIGであり、ここで、0.5に等しいか又はそれより大きいSVRスコアは、患者が三剤併用療法の治療に対してSVRを達成するものであることを示し、そして一方、0.5より小さいSVRスコアは、患者がこのような治療に対してSVRを達成しないものであることを示すものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子型1のC型肝炎ウイルス(HCV−1)又は遺伝子型4のC型肝炎ウイルス(HCV−4)に感染したヒトの患者が、インターフェロン、リバビリン及びHCVのNS5Bポリメラーゼ阻害剤による治療に対して持続性ウイルス陰性化(SVR)を達成するものであることを予測するための方法であって:
(i)前記治療に先だって(治療前)前記患者からの試料を得て、
(ii)前記試料中のCD30、MIG、TARC、TGFβ1、SDF1b、及びエオタキシン−2からなる群から選択される少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを決定し、そして
(iii)前記試料中の少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを、前記治療に対してSVRを達成しなかった患者の集団の治療前の試料に由来する少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを代表する参照値と比較すること;
を含んでなり、ここにおいて、前記試料中の少なくとも一つのタンパク質の統計的に有意に高い発現レベルは、前記患者が、前記治療に対してSVRを達成するものであることの指標である、前記方法。
【請求項2】
少なくとも二つのタンパク質の発現レベルを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも三つのタンパク質の発現レベルを決定する、請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
遺伝子型1のC型肝炎ウイルス(HCV−1)又は遺伝子型4のC型肝炎ウイルス(HCV−4)に感染したヒトの患者が、インターフェロン、リバビリン及びHCVのNS5Bポリメラーゼ阻害剤による治療に対して持続性ウイルス陰性化(SVR)を達成するものであることを予測するための方法であって:
(i)前記治療の1週間後(治療後1週目)に前記患者からの試料を得て、
(ii)前記試料中のCD30、TRAIL、及びTARCからなる群から選択される少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを決定し、そして
(iii)前記試料中の少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを、前記治療に対してSVRを達成しなかった患者の集団の治療後1週目の試料に由来する少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを代表する参照値と比較すること;
を含んでなり、ここにおいて、前記試料中の少なくとも一つのタンパク質の統計的に有意に高い発現レベルは、前記患者が、前記治療に対してSVRを達成するものであることの指標である、前記方法。
【請求項5】
少なくとも二つのタンパク質の発現レベルを決定する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも三つのタンパク質の発現レベルを決定する、請求項4又は5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
遺伝子型1のC型肝炎ウイルス(HCV−1)又は遺伝子型4のC型肝炎ウイルス(HCV−4)に感染したヒトの患者が、インターフェロン、リバビリン及びHCVのNS5Bポリメラーゼ阻害剤による治療に対して持続性ウイルス陰性化(SVR)を達成するものであることを予測するための方法であって:
(i)前記治療に先だって(治療前)前記患者からの試料を得て、
(ii)前記試料中のHCC−4、MIP1b、SDF1b、TNFRII、ITAC、MIG、IL2R、及びIL16からなる群から選択される少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを決定し、
(iii)前記治療の1週間後(治療後1週目)に前記患者からの試料を得て、
(iv)前記試料中のHCC−4、MIP1b、SDF1b、TNFRII、ITAC、MIG、IL2R、及びIL16からなる群から選択される少なくとも一つのタンパク質の発現レベルを決定し、
(v)前記患者からの治療前試料及び前記患者からの治療後1週目の試料間の、少なくとも一つのタンパク質の発現レベルの差を決定し、そして
(vi)前記少なくとも一つのタンパク質の発現レベルの差を、前記治療に対してSVRを達成しなかった患者の集団の、治療前の試料及び治療後1週目の試料に由来する少なくとも一つのタンパク質の発現レベルの差を代表する参照値と比較すること;
を含んでなり、ここにおいて、少なくとも一つのタンパク質の発現レベルの差の統計的に有意な変化は、前記患者が、前記治療に対してSVRを達成するものであることの指標である、前記方法。
【請求項8】
少なくとも二つのタンパク質の発現レベルの差を決定する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも三つのタンパク質の発現レベルの差を決定する、請求項7又は8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
遺伝子型1のC型肝炎ウイルス(HCV−1)又は遺伝子型4のC型肝炎ウイルス(HCV−4)に感染したヒトの患者が、インターフェロン、リバビリン及びHCVのNS5Bポリメラーゼ阻害剤による治療に対して持続性ウイルス陰性化(SVR)を達成するものであることを予測するための方法であって:
(i)前記治療に先だって(治療前)前記患者からの試料を得て、
(ii)前記試料中のIP10、CD30、TGFβ1及びMIGのミリリットル当たりのピコグラムの発現レベルを決定し、そして式:SVRスコア=−47.4−1.1×logIP10+3.1×logCD30+1.4×logTGFβ1+0.5×logMIGを使用すること;
を含んでなり、0.5に等しいか又はそれより大きいSVRスコアは、患者が前記治療に対してSVRを達成することの指標であり、0.5より小さいSVRスコアは、患者がこのような治療に対してSVRを達成しないことの指標である、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−512425(P2013−512425A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540450(P2012−540450)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068370
【国際公開番号】WO2011/067195
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】