説明

HDMIシステム

【課題】 HDMIシンク装置にて受信した多チャネル音声について、一部の音声をHDMIシンク装置にて再生し、他の一部の音声をHDMIソース装置にて再生することを可能とするシステムを提供する。
【解決手段】 HDMIシンク装置21にて受信された多チャネル音声信号は、音声信号送信部63によって、HDMIケーブル68のオーディオリターンチャネルを介して、HDMIソース装置41に送信される。受信された多チャネル音声信号は、デコード部73において、中央信号C、左信号L、右信号R、サラウンド左信号SL、サラウンド右信号SRにデコードされる。中央信号Cは、ダミー映像信号生成部76からのダミー映像とともに、TMDS信号にされる。このTMDS信号は、TV装置21のHDMI受信部64において受信され、中央信号Cが分離され、TV装置21のスピーカから出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、HDMIソース装置とHDMIシンク装置を有するシステムにおいて、HDMIソース装置およびHDMIシンク装置において分担してマルチチャネルの音声信号を出力することを可能にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
HDMI機器においては、HDMIソース装置(たとえばレシーバ)から、HDMIシンク装置(たとえばTV装置)に対し、HDMIケーブルを介して音声信号・映像信号を送信し、HDMIシンク装置において再生するのが一般的な使用方法である。
【0003】
図1に、レシーバ4をHDMIソース装置とし、TV装置2をHDMIシンク装置とした場合の例を示す。レシーバ4が、入力端子51を介して受信部50において受信した映像信号・音声信号は、HDMI送信部44において、TMDS信号に変換される。このTMDS信号は、HDMIケーブル58を介して、TV装置2のHDMI受信部34にて受信される。HDMI受信部34は、TMDS信号を映像信号と音声信号に分離し、それぞれ、映像信号処理部22と音声信号処理部28に与える。映像信号処理部22は、映像信号を表示部24にて表示する。音声信号処理部28は、音声信号をLスピーカ38、Rスピーカ39から出力する。
【0004】
以上のようにして、HDMIソース装置からHDMIシンク装置に対し、HDMIケーブル58を介して信号が伝送され、映像信号・音声信号の再生が行われる。つまり、HDMIケーブルにおける信号の伝送方向は、HDMIソース装置からHDMIシンク装置への方向であるのが一般的である。
【0005】
しかし、オーディオリターンチャネルがHDMIケーブルに設けられるようになり、HDMIシンク装置からHDMIソース装置に対しても信号を伝送することができるようになった。このオーディオリターンチャネルを用いると、図2に示すような利用が可能となる。
【0006】
図2において、TV装置2の放送受信部20によって受信された信号は、映像信号処理部22と音声信号処理部28に与えられる。映像信号処理部22は、映像信号を表示部24に表示する。音声信号処理部28は、Lスピーカ38、Rスピーカ39から音声を出力する。
【0007】
しかし、上記のような使用方法であれば、放送において5.1チャネルの音声信号が送られてきていても、TV装置2に内蔵のLスピーカ38、Rスピーカ39のみからしか音声を出力することができない。
【0008】
そこで、音声信号処理部28において、5.1チャネルの音声信号を、HDMIケーブル58のオーディオリターンチャネルを介して、レシーバ4に送信するようにしている。5.1チャネルの音声信号を受けたレシーバ4の受信部50は、これをサラウンドデコード部40に与える。サラウンドデコード部40は、5.1チャネルの音声信号を、左信号L、右信号R、中央信号C、左サラウンド信号SL、右サラウンド信号SRにデコードし、各スピーカ52、53、54、56、57に与える。このようにすれば、TV装置2において受信した5.1チャネルの音声信号を、オーディオリターンチャネルでレシーバ4に送信し、レシーバ4に接続したスピーカにて、5.1チャネルにて再生することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−260458
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図2に示すような構成では、音声の中央信号Cについてもレシーバに接続されたCスピーカ54にて再生が行われる。中央信号Cは、表示部24に表示される映像に近接した位置で再生されることが好ましい。したがって、中央信号Cは、TV装置2のLスピーカ38、Rスピーカ39から再生し、その他の信号は、レシーバ4のLスピーカ52、Rスピーカ53、SLスピーカ56、SRスピーカ57から再生されるようにすることが望まれる。
【0011】
たとえば、特許文献1には、図1のようにHDMIソース装置(レシーバ4)から、HDMIシンク装置(TV装置2)に対して、映像信号・音声信号を送るシステムを前提として、中央信号CのみをTMDS信号としてHDMIケーブル58を介してHDMIシンク装置(TV装置2)に送信するシステムが開示されている。また、これに応じて、音声信号処理部42からは中央信号Cを出力しないようにしている。このシステムによれば、中央信号Cについては、TV装置2のLスピーカ38、Rスピーカ39から出力し、左信号L、右信号R、サラウンド信号SL、サラウンド信号SRについては、レシーバ4のLスピーカ52、Rスピーカ53、SLスピーカ56、SRスピーカ57から出力することができる。
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、レシーバ4にて受けた多チャネル音声については、上記のように、一部の音声をTV装置2から出力し、他の音声をレシーバ4から出力することが可能であるが、TV装置2にて受けた多チャネル音声について、そのような再生を実現することはできなかった。
【0013】
この発明は、上記のような問題を解決して、HDMIシンク装置にて受信した多チャネル音声について、一部の音声をHDMIシンク装置にて再生し、他の一部の音声をHDMIソース装置にて再生することを可能とするシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)この発明に係るシステムは、HDMIソース装置と、当該HDMIソース装置とHDMI接続手段によって接続されたHDMIシンク装置とを備え、HDMIシンク装置にて受信したマルチチャネル音声信号の一部のチャネルをHDMIシンク装置にて再生し、一部のチャネルをHDMIソース装置にて再生するシステムであって、
前記HDMIソース装置は、映像信号と音声信号を受けて、TMDS信号を生成し、HDMI接続手段を介してHDMIシンク装置に送信するHDMI送信部と、前記HDMIシンク装置から、HDMI接続手段のオーディオリターンチャネルを介して、マルチチャネル音声信号を受信するマルチチャネル音声信号受信部と、受信したマルチチャネル音声信号を、各チャネルの音声信号にデコードするデコード部と、少なくとも同期信号を含むダミー映像信号を生成するダミー映像信号生成部とを備え、前記デコードした各チャネルの音声信号のうち、HDMIシンク装置にて再生しようとするチャネルの音声信号と、ダミー映像信号生成部にて生成されたダミー映像信号とをHDMI送信部に与え、TMDS信号としてHDMIシンク装置に送信するように構成され、
前記TV装置は、受信したマルチチャネル音声信号を、HDMI接続手段のオーディオリターンチャネルを介して、前記HDMIソース装置に送信する音声信号送信部と、前記HDMI送信部から送られてきたTMDS信号を受信して、ダミー映像信号とHDMIシンク装置にて再生しようとするチャネルの音声信号に分離するHDMI受信部とを備えていることを特徴としている。
【0015】
したがって、HDMIシンク装置にて受信した多チャネル音声信号について、その一部をHDMIシンク装置にて再生し、他の一部をHDMIソース装置にて再生することができる。
【0016】
(2)この発明に係るHDMIソース装置は、 HDMIシンク装置とHDMI接続手段によって接続されるHDMIソース装置であって、映像信号と音声信号を受けて、TMDS信号を生成し、HDMI接続手段を介してHDMIシンク装置に送信するHDMI送信部と、前記HDMIシンク装置から、HDMI接続手段のオーディオリターンチャネルを介して、マルチチャネル音声信号を受信するマルチチャネル音声信号受信部と、受信したマルチチャネル音声信号を、各チャネルの音声信号にデコードするデコード部と、少なくとも同期信号を含むダミー映像信号を生成するダミー映像信号生成部とを備え、前記デコードした各チャネルの音声信号のうち、HDMIシンク装置にて再生しようとするチャネルの音声信号と、ダミー映像信号生成部にて生成されたダミー映像信号とをHDMI送信部に与え、TMDS信号としてHDMIシンク装置に送信するようにしたことを特徴としている。
【0017】
したがって、HDMIシンク装置にて受信した多チャネル音声信号について、その一部をHDMIシンク装置にて再生し、他の一部をHDMIソース装置にて再生することができる。
【0018】
(3)この発明に係るHDMIソース装置は、HDMIシンク装置にて再生しようとするチャネルの音声信号は、ユーザ操作入力に対応して、ディジタル信号としてボリューム調整を行い、他のチャネルの音声信号は、前記ユーザ操作入力に対応して、アナログ信号としてボリューム調整を行うことを特徴としている。
【0019】
したがって、ユーザ操作入力に対応して、HDMIソース装置にて出力される音声信号のボリューム調整と、HDMIシンク装置にて出力される音声信号のボリューム調整とを連動させることができる。
【0020】
(4)この発明に係るHDMIソース装置は、HDMIシンク装置にて再生しようとするチャネルの音声信号は、前方中央チャネルの音声信号のみであるか、前方左チャネル音声信号および前方右チャネル音声信号であることを特徴としている。
【0021】
したがって、HDMIシンク装置の側において、前方中央チャネルの音声信号または、前方左チャネル音声信号および前方右チャネル音声信号を再生することができる。
【0022】
(5)この発明に係るHDMIソース装置は、HDMIシンク装置はTV装置であることを特徴としている。
【0023】
したがって、TV装置のスピーカから、一部の音声信号を再生することができる。
【0024】
(6)この発明に係る再生方法は、HDMIソース装置と、当該HDMIソース装置とHDMIケーブルによって接続されたHDMIシンク装置とを備え、HDMIシンク装置にて受信したマルチチャネル音声信号の一部のチャネルをHDMIシンク装置にて再生し、一部のチャネルをHDMIソース装置にて再生する方法であって、
前記HDMIソース装置は、前記HDMIシンク装置から、HDMIケーブルのオーディオリターンチャネルを介して、マルチチャネル音声信号を受信し、受信したマルチチャネル音声信号を、各チャネルの音声信号にデコードし、少なくとも同期信号を含むダミー映像信号を生成し、前記デコードした各チャネルの音声信号のうち、HDMIシンク装置にて再生しようとするチャネルの音声信号と、ダミー映像信号生成部にて生成されたダミー映像信号を受けて、TMDS信号を生成し、HDMIケーブルを介してHDMIシンク装置に送信し、
前記TV装置は、受信したマルチチャネル音声信号を、HDMIケーブルのオーディオリターンチャネルを介して、前記HDMIソース装置に送信し、前記HDMIソース装置から送られてきたTMDS信号を受信して、ダミー映像信号とHDMIシンク装置にて再生しようとするチャネルの音声信号に分離することを特徴としている。
【0025】
したがって、HDMIシンク装置にて受信した多チャネル音声信号について、その一部をHDMIシンク装置にて再生し、他の一部をHDMIソース装置にて再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来のTV装置2とレシーバ4によるシステムの構成図である。
【図2】従来のTV装置2とレシーバ4によるシステムの構成図である。
【図3】この発明の一実施形態によるTV装置2とレシーバ4によるシステムの機能ブロック図である。
【図4】この発明の一実施形態によるTV装置2とレシーバ4によるシステムの回路ブロック図である。
【図5】他の実施形態によるTV装置2とレシーバ4によるシステムの回路ブロック図である。
【図6】他の実施形態によるTV装置2とレシーバ4によるシステムの回路ブロック図である。
【図7】サラウンドデコード部78と音声信号処理部80の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
1.第一の実施形態
(1)全体構成
図3に、この発明の一実施形態によるHDMIシンク装置21とHDMIソース装置41を備えたシステムの機能ブロック図を示す。HDMIシンク装置21にて受信された多チャネル音声信号は、音声信号送信部63によって、HDMIケーブル68のオーディオリターンチャネルを介して、HDMIソース装置41に送信される。
【0028】
HDMIソース装置41のマルチチャネル音声信号受信部71は、受信した多チャネル音声信号をデコード部73に与える。デコード部73は、多チャネル信号を中央信号C、左信号L、右信号R、サラウンド左信号SL、サラウンド右信号SRにデコードする。
【0029】
デコードされた信号のうち、左信号L、右信号R、サラウンド左信号SL、サラウンド右信号SRは、それぞれ、レシーバ4に接続されたLスピーカ、Rスピーカ、SLスピーカ、SRスピーカ(図示せず)から出力される。
【0030】
中央信号Cは、HDMI送信部72において、ダミー映像信号生成部76からのダミー映像とともに、TMDS信号にされる。このTMDS信号は、HDMIケーブル68を介して、HDMIシンク装置21のHDMI受信部64に受信される。HDMI受信部64では、中央信号Cが分離され、HDMIシンク装置21のスピーカ(図示せず)から出力される。
【0031】
(2)回路構成と動作
図4に、この発明の一実施形態によるシステムのハードウエア構成を示す。HDMIシンク装置であるTV装置2は、放送受信部82、DVD/BD/HDDプレイヤ84、HDMI受信部64、制御部65、HDMIコネクタ66、映像信号処理部86、音声信号処理部62、表示部88、Lスピーカ100、Rスピーカ102を備えている。
【0032】
HDMIソース装置であるレシーバ4は、HDMIコネクタ70、HDMI送信部72、マルチチャネル音声信号受信部である受信部74、制御部75、ダミー映像信号生成部76、デコード部であるサラウンドデコード部78、ボリューム調整部79、音声信号処理部80、スイッチ98を備えている。
【0033】
この実施形態では、TV装置2の放送受信部82にて映像信号・音声信号を受信して、映像信号および音声信号のうちの中央信号CはTV装置2から出力し、他の音声信号L、R、SL、SRはレシーバ4から出力することを可能とする。つまり、TV装置2、レシーバ4は、このような特殊モードを実行することができる。特殊モードへの切り換えは、ユーザの操作などにより制御部65、75が行う。以下、この特殊モードにおける処理について説明する。
【0034】
放送受信部82は、映像信号および多チャネル音声信号を受信する。受信した映像信号と、多チャネル音声信号は分離され、映像信号は映像信号処理部86に与えられる。多チャネル音声信号は音声信号処理部62に与えられる。
【0035】
映像信号処理部86は、映像信号を表示部88において表示する。制御部65は、音声信号処理部62を制御し、多チャネル音声信号を、HDMIケーブル68のオーディオリターンチャネルを介して、レシーバ4に送信するように指令する。つまり、この実施形態においては、音声信号処理部62が、音声信号送信部に対応している。
【0036】
レシーバ4の受信部74は、制御部75の制御により、受信した多チャネル音声信号を、サラウンドデコード部78に与える。サラウンドデコード部78は、多チャネル音声信号をデコードし、中央信号C、左信号L、右信号R、サラウンド左信号SL、サラウンド右信号SRを生成する。
【0037】
左信号L、右信号R、サラウンド左信号SL、サラウンド右信号SRは、音声信号処理部80において、D/A変換などがなされ、Lスピーカ92、Rスピーカ93、SLスピーカ94、SRスピーカ95に与えられる。したがって、左信号L、右信号R、サラウンド左信号SL、サラウンド右信号SRは、レシーバ4に接続されたスピーカから出力されることになる。
【0038】
音声信号処理部80は、制御部75の指令に基づき、D/A変換後の音声信号のボリュームを調整する。制御部75は、ユーザのつまみ操作に応じて、ボリュームの大きさを制御する。
【0039】
一方、サラウンドデコード部78においてデコードされた中央信号Cは、スイッチ98により、HDMI送信部72に与えられる。特殊モードにおいては、スイッチ98は、制御部75により、HDMI送信部72の側に切り換えられるからである。なお、通常モードにおいては、スイッチ98は、音声信号処理部80の側に切り換えられる。
【0040】
このように、特殊モードにおいては、サラウンドデコード部78の出力である中央信号Cは、HDMI送信部72に与えられることになる。
【0041】
特殊モードにおいては、制御部75の制御により、ダミー映像信号生成部76が動作を行い、ダミー映像信号を出力する。ここで、ダミー映像信号とは、少なくとも、水平同期信号、垂直同期信号などの必須の信号で構成されたHDMI信号である。たとえば、ダミー映像信号は、黒レベルの信号などとすることができる。
【0042】
HDMI送信部72は、ダミーの映像信号と中央信号Cを受けて、TMDS信号を生成する。ここで、ダミーの映像信号を用いたのは、少なくとも水平同期信号、垂直同期信号がないと、TMDS信号の生成ができないためである。
【0043】
生成されたTMDS信号は、HDMIケーブル68を介して、TV装置2に送信される。TV装置2のHDMI受信部64は、このTMDS信号を受けて、ダミーの映像信号と、中央信号Cを分離する。特殊モードにおいては、制御部65の制御により、HDMI受信部64はダミーの映像信号を出力しない。
【0044】
一方、中央信号Cは、音声信号処理部62に与えられる。音声信号処理部62は、中央信号Cを、Lスピーカ100、Rスピーカ102に出力する。したがって、中央信号Cは、TV装置2のスピーカから出力されることになる。
【0045】
以上のようにして、レシーバ4から左信号L、右信号R、サラウンド左信号SL、サラウンド右信号SRを出力し、TV装置2から中央信号Cを出力することができる。これにより、表示部88において表示される映像の近傍から中央信号Cを出力することができる。
【0046】
ただし、上述の例では、レシーバ4のボリュームつまみ(図示せず)を操作してボリュームを変えた場合、左信号L、右信号R、サラウンド左信号SL、サラウンド右信号SRの大きさは変わるものの、中央信号Cの大きさは変わらないことになる。サラウンドデコード部78の出力であるディジタル音声信号は、ボリュームつまみの操作にかかわらず、フルレンジにてTV装置2に送信されるからである。つまり、レシーバ4のボリュームつまみの操作による音の大きさの変化が、レシーバ4からの音とTV装置2からの音で、連動しないということである。
【0047】
そこで、この実施形態では、レシーバ4の制御部75とTV装置2の制御部65を制御ライン77で接続するようにしている。レシーバ4の制御部75は、ボリュームつまみの位置に応じた制御信号を、音声信号処理部80に与えるとともに、制御ライン77を介して、TV装置2の制御部65に与える。TV装置2の制御部65は、レシーバ4の制御部75から受けた制御信号にしたがって、音声信号処理部62を制御し、ボリュームの調整を行う。
【0048】
以上のようにして、レシーバ4のボリュームつまみによる音量調整において、レシーバ4からの左信号L、右信号R、サラウンド左信号SL、サラウンド右信号SRの大きさの変化と、TV装置2からの中央信号Cの大きさの変化を連動させることができる。
【0049】
なお、上記では、制御ライン77を介して、ボリューム調整の制御信号を送信するようにしている。しかし、この制御信号を、HDMI信号のCECとして、HDMIケーブル68を介して、送信するようにしてもよい。
【0050】
2.第二の実施形態
図5に、第二の実施形態を示す。サラウンドデコード部78から、音声信号処理部80への音声信号の出力が、2チャネル混合にて出力される場合もある。たとえば、図5の例においては、中央信号Cとサブウーファ信号SWが、混合されたディジタル信号として音声信号処理部80に出力されている。音声信号処理部80において、D/A変換の際に分離される。このような場合、中央信号Cのみをディジタル信号の状態で取り出すことはできない。
【0051】
そこで、この実施形態では、同じ中央チャネルCの音声信号を2つ混合させた出力C/Cを設けるようにしている。これを、HDMI送信部72にてTMDS信号とし、TV装置2に送信する。TV装置2のHDMI受信部64は、2つの中央信号Cを分離して取り出し、音声信号処理部62に与える。音声信号処理部62は、2つの中央信号Cを、Lスピーカ100とRスピーカ102に与える。他の処理については、第一の実施形態と同じである。
【0052】
3.第三の実施形態
図6に、第三の実施形態を示す。基本的な構成は、第二の実施形態と同様である。ただし、この実施形態では、制御部65と制御部75の間に制御ライン77を設ける必要はない。また、レシーバ4のボリュームつまみに応じて制御部75が行うボリューム制御が、音声信号処理部80ではなくサラウンドデコード部78において行われる点が異なっている。
【0053】
図7に、この実施形態におけるサラウンドデコード部78および音声信号処理部80のブロック図を示す。サラウンドデコード部78の入力端子162は、受信部74(図6参照)からの多チャネル信号を受信するためのものである。デコード部114は、多チャネル信号を受けてこれをデコードし、中央信号C、サブウーファ信号SW、左信号L、右信号R、サラウンド左信号SL、サラウンド右信号SRとする。
【0054】
合成部116は、中央信号Cおよびサブウーファ信号SWを時分割で合成し、信号C/SWとして端子164から出力する。合成部118は、左信号Lおよび右信号Rを時分割で合成し、信号L/Rとして端子166から出力する。合成部120は、サラウンド左信号SLおよびサラウンド右信号SRを時分割で合成し、信号SL/SRとして端子168から出力する。
【0055】
音声信号処理部80のD/Aコンバータ140は、信号C/SWを受けて中央アナログ信号、サブウーファ・アナログ信号を生成する。D/Aコンバータ142は、信号L/Rを受けて左アナログ信号、右アナログ信号を生成する。D/Aコンバータ144は、信号SL/SRを受けてサラウンド左アナログ信号、サラウンド右アナログ信号を生成する。これらの信号は、ボリュームつまみに連動したアッテネータ146、148、150、152、154、156を通って、それぞれ、Cスピーカ90、Lスピーカ92、Rスピーカ93、SLスピーカ94、SRスピーカ95に出力される。
【0056】
なお、特殊モードにおいては、制御部75の処理により、音声信号処理部80は、中央アナログ信号を出力しない。中央アナログ信号は、TV装置2から出力されるからである。
【0057】
一方、レシーバ81は、特殊モードにおいて、アッテネータ112および合成部110を動作させる。デコード部114の中央信号Cは、アッテネータ112を通して、合成部110に与えられる。このアッテネータ112は、ボリュームつまみに連動した制御信号を受けて、ディジタル信号である中央信号Cの大きさを変化させる。合成部110は、2つの中央信号Cを時分割合成し、信号C/Cを生成して、端子160から出力する。この信号C/Cは、HDMI送信部72に与えられ、TV装置2に送信されて、Lスピーカ100、Rスピーカ102にて再生される(図6参照)。
【0058】
この実施形態では、レシーバ4のボリュームつまみを操作した場合、サブウーファ信号SW、左信号L、右信号R、サラウンド左信号SL、サラウンド右信号SRについては、音声信号処理部80において、アナログ信号としてボリューム調整が行われ、これに連動して、中央信号Cについては、サラウンドデコード部78においてディジタル信号としてボリューム調整が行われる。したがって、特殊モードにおいて、レシーバ4のボリュームつまみの操作により、レシーバ4から出力される音声と、TV装置2から出力される音声を連動して変化させることができる。
【0059】
また、ディジタル信号としてボリュームを調整すると、SN比が悪くなるという問題があるが、この実施形態では、中央信号Cのみをディジタル信号としてボリューム調整し、他の信号についてはアナログ信号としてボリューム調整を行っている。したがって、SN比の劣化を抑えることができる。
【0060】
なお、SN比の劣化を問題としないのであれば、全ての信号をディジタル信号の段階でボリューム調整してもよい。
【0061】
4.その他の実施形態
(1)上記各実施形態においては、中央信号Cを、レシーバ4からTV装置2に戻してTV装置2から出力するようにしている。しかし、左信号L、右信号Rを、レシーバ4からTV装置2に戻してTV装置2から出力するようにしてもよい。あるいは、その他の信号(たとえば、サラウンド左信号SL、サラウンド右信号SR)を、レシーバ4からTV装置2に戻してTV装置2から出力するようにしてもよい。
【0062】
(2)上記実施形態においては、TV装置2が放送によって受信した映像信号・音声信号を対象とする場合について説明した。しかし、DVD/BD/HDDプレイヤ84からの映像信号・音声信号を対象としても、同様の処理を行うことができる。さらに、放送やプレイヤに限らず、その他の機器などから受け取った映像信号・音声信号についても同様に適用することができる。
【0063】
(3)上記実施形態では、5.1チャネルの多チャネル信号を例として説明したが、その他の多チャネル信号についても同様に適用することができる。
【0064】
(4)上記実施形態では、HDMIソース装置としてレシーバ4、HDMIシンク装置としてTV装置2を例に説明した。しかし、HDMIソース装置、HDMIシンク装置全般に適用することができる。
【0065】
(5)上記実施形態では、HDMIケーブルをHDMI接続手段としている。しかしながら、無線通信など、その他の接続手段を用いてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HDMIソース装置と、当該HDMIソース装置とHDMI接続手段によって接続されたHDMIシンク装置とを備え、HDMIシンク装置にて受信したマルチチャネル音声信号の一部のチャネルをHDMIシンク装置にて再生し、一部のチャネルをHDMIソース装置にて再生するシステムであって、
前記HDMIソース装置は、
映像信号と音声信号を受けて、TMDS信号を生成し、HDMI接続手段を介してHDMIシンク装置に送信するHDMI送信部と、
前記HDMIシンク装置から、HDMI接続手段のオーディオリターンチャネルを介して、マルチチャネル音声信号を受信するマルチチャネル音声信号受信部と、
受信したマルチチャネル音声信号を、各チャネルの音声信号にデコードするデコード部と、
少なくとも同期信号を含むダミー映像信号を生成するダミー映像信号生成部とを備え、
前記デコードした各チャネルの音声信号のうち、HDMIシンク装置にて再生しようとするチャネルの音声信号と、ダミー映像信号生成部にて生成されたダミー映像信号とをHDMI送信部に与え、TMDS信号としてHDMIシンク装置に送信するように構成され、
前記HDMIシンク装置は、
受信したマルチチャネル音声信号を、HDMIケーブルのオーディオリターンチャネルを介して、前記HDMIソース装置に送信する音声信号送信部と、
前記HDMI送信部から送られてきたTMDS信号を受信して、ダミー映像信号とHDMIシンク装置にて再生しようとするチャネルの音声信号に分離するHDMI受信部と、
を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
HDMIシンク装置とHDMI接続手段によって接続されるHDMIソース装置であって、
映像信号と音声信号を受けて、TMDS信号を生成し、HDMI接続手段を介してHDMIシンク装置に送信するHDMI送信部と、
前記HDMIシンク装置から、HDMI接続手段のオーディオリターンチャネルを介して、マルチチャネル音声信号を受信するマルチチャネル音声信号受信部と、
受信したマルチチャネル音声信号を、各チャネルの音声信号にデコードするデコード部と、
少なくとも同期信号を含むダミー映像信号を生成するダミー映像信号生成部とを備え、
前記デコードした各チャネルの音声信号のうち、HDMIシンク装置にて再生しようとするチャネルの音声信号と、ダミー映像信号生成部にて生成されたダミー映像信号とをHDMI送信部に与え、TMDS信号としてHDMIシンク装置に送信するようにしたことを特徴とするHDMIソース装置。
【請求項3】
請求項2のHDMIソース装置において、
前記HDMIシンク装置にて再生しようとするチャネルの音声信号は、ユーザ操作入力に対応して、ディジタル信号としてボリューム調整を行い、他のチャネルの音声信号は、前記ユーザ操作入力に対応して、アナログ信号としてボリューム調整を行うことを特徴とするHDMIソース装置。
【請求項4】
請求項2または3のHDMIソース装置において、
前記HDMIシンク装置にて再生しようとするチャネルの音声信号は、前方中央チャネルの音声信号のみであるか、前方左チャネル音声信号および前方右チャネル音声信号であることを特徴とするHDMIソース装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかのHDMIソース装置において、
前記HDMIシンク装置は、TV装置であることを特徴とするHDMIソース装置。
【請求項6】
HDMIソース装置と、当該HDMIソース装置とHDMI接続手段によって接続されたHDMIシンク装置とを備え、HDMIシンク装置にて受信したマルチチャネル音声信号の一部のチャネルをHDMIシンク装置にて再生し、一部のチャネルをHDMIソース装置にて再生する方法であって、
前記HDMIソース装置は、
前記HDMIシンク装置から、HDMI接続手段のオーディオリターンチャネルを介して、マルチチャネル音声信号を受信し、
受信したマルチチャネル音声信号を、各チャネルの音声信号にデコードし、
少なくとも同期信号を含むダミー映像信号を生成し、
前記デコードした各チャネルの音声信号のうち、HDMIシンク装置にて再生しようとするチャネルの音声信号と、ダミー映像信号生成部にて生成されたダミー映像信号を受けて、TMDS信号を生成し、HDMI接続手段を介してHDMIシンク装置に送信し、
前記HDMIシンク装置は、
受信したマルチチャネル音声信号を、HDMI接続手段のオーディオリターンチャネルを介して、前記HDMIソース装置に送信し、
前記HDMIソース装置から送られてきたTMDS信号を受信して、ダミー映像信号とHDMIシンク装置にて再生しようとするチャネルの音声信号に分離することを特徴とする再生方法。






【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−138760(P2012−138760A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289769(P2010−289769)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(710014351)オンキヨー株式会社 (226)
【Fターム(参考)】