HFO1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム
【課題】大きな設計変更なしでHFO 1234yf冷媒に最適なチューブ−フィンタイプの蒸発器を有する車両用空調システムを提供する。
【解決手段】本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、を含み、前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、前記チューブの高さHtは2.489mm乃至4.082mmの値を有し、前記熱交換媒体は4パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とする。
【解決手段】本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、を含み、前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、前記チューブの高さHtは2.489mm乃至4.082mmの値を有し、前記熱交換媒体は4パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システムに係り、より詳しくは従来の冷媒とは全く異なる物性を有するHFO 1234yf冷媒と、最適な性能を得るためのチューブ−フィンタイプの蒸発器を使用するHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界的に環境問題がクローズアップされ、環境に有害な物質の使用が禁止或いは排除されつつある。特に、空調及び冷却システムに必須の冷媒で、塩素成分を含有する組成物のCFC系冷媒のような物質はオゾン層を破壊するため使用が規制されている。
一般的な冷却システムは周辺から熱を吸収する蒸発器、冷媒を圧縮する圧縮機、周辺に熱を放出する凝縮器、冷媒を膨張させる膨張バルブから構成される。冷却システムでは、前記蒸発器から圧縮機に流入する気体状態の冷媒が圧縮機において高温及び高圧で圧縮される。圧縮された気体状態の冷媒は凝縮器を通過しながら液化される過程において周辺に液化熱を放出する。液化された冷媒は再び膨張バルブを通過することにより低温及び低圧の湿飽和蒸気状態になって蒸発器に流入気化し、周辺から気化熱を吸収することにより周辺空気を冷却し、一つの冷却サイクルとなる。図1(B)はこのような一般的な空調システムのp−h線図を簡略図示したものである。
【0003】
このような冷却システムにおいて熱を伝達するのは冷媒であり、冷媒として使用される物質は熱転移特性が高くなければならない。従来のCFC系冷媒などの場合、熱転移特性には優れるが環境に有害な影響を及ぼすという点が指摘され、その使用が規制されているため、従来の冷媒に代わる新しい冷媒の研究開発が活発になされている。新しい冷媒が従来の冷媒に代替できる条件は、従来の冷媒と同等または優秀な熱転移特性、化学的安定性、非引火性及び潤滑相溶性などを備えると共に、環境に優しいことである。
【0004】
韓国特許公開第2007−0004654号(“フッ素置換されたオレフィン含有組成物”、以下先行技術)には、従来の冷媒を代替できる優れた性能を有する新しい冷媒が開示されている。前記先行技術に提示されている冷媒のうち、HFO 1234yf物質を使用する冷媒を以下1234yf冷媒と称する。“HFO−1234”という用語はここで全てのテトラフルオロプロペンを指するものとして使用する。
【0005】
テトラフルオロプロペンの中にはHFO−1234yfとシス−及びトランス−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)が含まれる。HFO−1234化合物はよく知られた物質であり、Chemical Abstractsのデータベースに登録されている。米国特許第2,889,379、4,798,818及び4,465,786号にはC3化合物が含有された多様な飽和または不飽和ハロゲンを触媒蒸気相フルオロ化させることにより、CF3CH=CH2のようなフルオロプロペンを製造することに関する記載がある。
ヨーロッパ特許第974,571号には、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)を高温、蒸気相においてクロム−系列触媒と接触させることにより、または液体相においてKOH、NaOH、Ca(OH)2またはMg(OH)2のアルコール溶液と接触させることにより1,1,1,3−テトラフルオロプロペンを製造することについて記載されている。
【0006】
図1(A)は従来から広く使用されている代表的な冷媒であるR−134a冷媒及び1234yf冷媒のp−h線図である。図示の通り、R−134a冷媒と1234yf冷媒のp−h線図は異なるものであるが、1234yf冷媒の物性値及び空調システムにおける作動圧力/作動温度は従来のR−134a冷媒と類似した値を示し、また、1234yf冷媒の蒸発潜熱はR−134a冷媒の蒸発潜熱より30%ほど小さく、R−134a冷媒と同等の放熱性能をもたせるためには、多量の冷媒が必要であることがわかる。
【0007】
従来、R−134aなどの冷媒を使用する蒸発器において、蒸発器の性能、即ち放熱量、圧力降下量などを最適化させようとする研究は広く行われてきた。
1234yf冷媒は、図1(A)に示す通り従来の冷媒とは異なる物性値を有するため、1234yf冷媒を使用して従来の冷媒を使用する蒸発器と同等の性能を得るには従来の蒸発器とは全く異なる設計を必要とする。R−134a冷媒を使用する蒸発器と同一仕様の蒸発器で1234yf冷媒を使用する場合、同じ放熱性能を得るには冷媒流量を増加させる必要がある。この場合、冷媒流量が増加したことにより蒸発器のみならず空調システム全体の冷媒側圧力降下量が大幅に増加するため空調システムの全体性能が大きく低下する。
【0008】
即ち、1234yf冷媒は上述の通り、R−134a冷媒と比較して環境に優しい物質である反面、1234yfシステムはR−134aシステムに比べて性能に劣るため、これを克服するために多くの研究及び開発が必要である。このような性能の差異を克服するためにシステム上の設計変更が必要であるが、システム変更による経費上昇のことを考え大きな設計変更なしで性能向上を追求する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特許公開第2007−0004654号
【特許文献2】EU特許第974,571号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、大きな設計変更なしでHFO 1234yf冷媒に最適なチューブ−フィンタイプの蒸発器を有する車両用空調システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、を含み、前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、前記チューブの高さHtは2.489mm乃至4.082mmの値を有し、前記熱交換媒体は4パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とする。
【0012】
前記チューブの高さHtは2.875mm乃至3.711mmの値を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、前記チューブの水力直径Dtは0.780mm乃至1.839mmの値を有し、前記熱交換媒体は4パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とする。
【0014】
前記チューブの水力直径Dtは0.946mm乃至1.775mmの値を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、デシメートル当りフィンのFPDM(Fins Per DeciMeter)は63.439乃至88.897範囲内の値を有し、前記熱交換媒体は4パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とする。
【0016】
前記FPDMは65.190乃至88.897の値を有することを特徴とする。
【0017】
前記蒸発器100は、第1列及び第2列の上下部タンク内に備えられたバッフルを介して第1チューブ群(1)−4乃至第4チューブ群(4)−4が形成され、前記熱交換媒体は前記第1チューブ群(1)−4乃至前記第4チューブ群(4)−4を順次通過することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、チューブの高さHtは1.921mm乃至3.371mmの値を有し、前記熱交換媒体の流れは6パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とする。
【0019】
前記チューブの高さHtは2.280mm乃至3.216mmの値を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、チューブの水力直径Dtは1.857mm乃至3.228mm範囲内の値を有し、前記熱交換媒体の流れは6パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とする。
【0021】
前記チューブの水力直径Dtは2.146mm乃至3.008mmの値を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、デシメートル当りフィンのFPDM(Fins Per DeciMeter)は48.718乃至79.211の値を有し、前記熱交換媒体の流れは6パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とする。
【0023】
前記FPDMは55.294乃至79.211範囲内の値を有することを特徴とする。
【0024】
前記蒸発器100は、第1列及び第2列の上下部タンク内に備えられたバッフルを介して第1チューブ群(1)−6乃至第6チューブ群(6)−6が形成され、前記熱交換媒体は前記第1チューブ群(1)−6乃至前記第6チューブ群(6)−6を順次通過することを特徴とする 。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、環境に優しい1234yf冷媒を使用しながらも放熱量及び圧力降下量を最適化して従来の蒸発器と同等水準の性能を得ることができ、蒸発器の設計寸法のみを変化させることでシステムの変更に伴う経費の節減も可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】R−134a冷媒及びHFO1234yf冷媒のp−h線図である。
【図2】一般的なチューブ−フィンタイプの蒸発器の形態である。
【図3】本発明のチューブ−フィンタイプの蒸発器における冷媒流れの例である。
【図4】図3の蒸発器の各細部の形状である。
【図5】本発明の4パス蒸発器においてチューブの高さHtと放熱性能及び冷媒圧力降下量の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の4パス蒸発器においてチューブの水力直径Dtと放熱性能及び冷媒圧力降下量の関係を示すグラフである。
【図7】本発明の4パス蒸発器においてFPDMと放熱性能及び空気圧力降下量の関係を示すグラフである。
【図8】本発明の6パス蒸発器においてチューブの高さHtと放熱性能及び冷媒圧力降下量の関係を示すグラフである。
【図9】本発明の6パス蒸発器においてチューブの水力直径Dtと放熱性能及び冷媒圧力降下量の関係を示すグラフである。
【図10】本発明の6パス蒸発器においてFPDMと放熱性能及び空気圧力降下量の関係を示すグラフである。
【図11】本発明の多種類のコアによる単品放熱性能及びエアコンシステム性能(吐出空気温度)の関係を示すグラフである。
【図12】本発明の多種類のコアによる単品冷媒圧力降下量及びエアコンシステム性能(吐出空気温度)の関係を示すグラフである。
【図13】本発明のフィンを説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図2は一般的なチューブ−フィンタイプの蒸発器を図示したものである。一般的なチューブ−フィンタイプの蒸発器100は、空気の流れる方向に沿って設けられた複数個のチューブ20と、チューブ20に装着されチューブ20の伝熱面積を増加させるフィン30と、チューブ20の両端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10とを含めて構成されている。
このようなチューブ−フィンタイプの蒸発器において、一般的に冷媒の流れは4パス(pass)または6パスからなる。図3(A)は本発明のチューブ−フィンタイプの蒸発器における4パスの冷媒流れを図示したものであり、図3(B)はチューブ−フィンタイプの蒸発器における6パスの冷媒流れを図示したものである。
図2に示す通り、一般的にチューブ−フィンタイプの蒸発器は2列からなる。 図3では冷媒の流れを見やすく表示するために各列を分離し、タンク及びチューブ部分を簡略化して示した。図3(A)に示す通り、4パスの場合には1列当たり2個の異なる方向の冷媒流れが形成され、全体として4つの冷媒流れ方向が形成される。また図3(B)に示す通り、6パスの場合には1列当たり3個の異なる方向の冷媒流れが形成され、全体として6つの冷媒流れ方向が形成される。
【0028】
このように冷媒流れを転換するために、図3に示す通りタンクには適切な位置にバッフル40が挿設される。即ち、4パス蒸発器では、第1列及び第2列の上下部タンク内に備えられたバッフルによって第1チューブ群(1)−4乃至第4チューブ群(4)−4が形成される。熱交換媒体は第1チューブ群(1)−4乃至第4チューブ群(4)−4を順次通過し、6パス蒸発器では、第1列及び第2列の上下部タンク内に備えられたバッフルによって第1チューブ群(1)−6乃至第6チューブ群(6)−6が形成され、熱交換媒体は第1チューブ群(1)−6乃至前記第6チューブ群(6)−6を順次に通過する。
【0029】
図3(A)に示す4パス蒸発器における冷媒流れは次の通りである。
先ず、図3(A)に示すように、冷媒が流入する側を第1列とし、冷媒が排出される側を第2列とし、タンクのうち第1列上部タンクの図面符号を11aで、第1列下部タンクの図面符号を11bで、第2列上部タンクの図面符号を12aで、第2列下部タンクの図面符号を12bで、また、第1列チューブを21で、第2列チューブを22で示す。バッフル40は図示の通り各タンクに全て一つずつ備えられる。
【0030】
4パス蒸発器における冷媒流れは、第1列上部タンク11aに流入した後、第1列上部タンク11aの第1列上部タンク11aに備えられたバッフル40の1側部分−第1列チューブ21の一部である第1チューブ群(1)−4−第1列下部タンク11b−第1列チューブ21の一部である第2チューブ群(2)−4−第1列上部タンク11aに備えられたバッフル40の他側部分を順次通過する。その後、第1列のタンク及びチューブを通過し、第2列に流れて、第2列上部タンク12aに備えられたバッフル40の1側部分−第2列チューブ22の一部である第3チューブ群(3)−4−第2列下部タンク12b−第2列チューブ22の一部である第4チューブ群(4)−4−第2列上部タンク12aに備えられたバッフル40の他側部分を順次通過した後、第2列のタンク及びチューブを通過し、第2列上部タンク12aから排出される。
【0031】
図3(B)に示す6パス蒸発器における冷媒流れは次の通りである。
先ず、図3(B)に示す通り、冷媒が流入する側を第1列とし、冷媒が排出される側を第2列とする。タンクのうち第1列上部タンクを11aで、第1列下部タンクを11bで、第2列上部タンクを12aで、第2列下部タンクを12bで、第1列チューブを21で、第2列チューブを22で表示する。この際、バッフル40は図示の通り各タンクに全て一つずつ備えられる。
【0032】
6パス蒸発器における冷媒流れは、第1列上部タンク11aに流入した後、第1列上部タンク11aに備えられたバッフル40の1側部分−第1列チューブ21の一部である第1チューブ群(1)−6−第1列下部タンク11bに備えられたバッフル40の1側部分−第1列チューブ21の一部である第2チューブ群(2)−6−第1列上部タンク11aに備えられたバッフル40の後方部分−第1列チューブ21の一部である第3チューブ群(3)−6−第1列下部タンク11bに備えられたバッフル40の他側部分を順次通過する。その後、第1列のタンク及びチューブを通過し、第2列に流れて、第2列上部タンク12aに備えられたバッフル40の1側部分−第2列チューブ22の一部である第4チューブ群(4)−6−第2列上部タンク12aに備えられたバッフル40の1側部分−第2列チューブ22の一部である第5チューブ群(5)−6−第2列下部タンク12bに備えられたバッフル40の他側部分−第2列チューブ22の一部である第6チューブ群(6)−6−第2列上部タンク12aに備えられたバッフル40の他側部分を順次通過し、第2列のタンク及びチューブを通過した後、第2列上部タンク12aから排出される。
【0033】
4パスまたは6パスの蒸発器であれば必ずこのような方式で流路が構成されるとは限らない。例えば、冷媒の流入及び排出が下部タンクからなされる場合など、冷媒の流れが4パスまたは6パスをなすように流路が構成されれば、図3の例示と一部異なる形態で冷媒流れがなされるとしても、本発明の4パスまたは6パスの蒸発器に含まれる。
【0034】
4パスの場合と6パスの場合、同一冷媒及び同一サイズの蒸発器を使用したとしても熱交換特性が異なる。従って、放熱性能及び圧力降下量などの特性を最適化させるためには冷媒流れが何パスであるか区分しなければならない。本発明では図3(A)に示すチューブ−フィンタイプの蒸発器と、図3(B)に示すチューブ−フィンタイプの蒸発器のそれぞれに対しての熱交換性能の最適化を計っている。
【0035】
図4は蒸発器の各細部形状を示したものである。図4(A)はチューブ20及びフィン30からなる蒸発器コアの一部を図示したものであり、図4(B)はチューブ20の断面を図示したものであり、図4(C)は図2のA−A′断面、即ち、ヘッダタンク10の幅方向の中心線に沿って長手方向に切った部分の断面形状を示す。図4(C)に示すように、ヘッダタンク10の幅方向の中心線部分には長手方向に延びてヘッダタンク10の内部を分離する隔壁が形成され、隔壁上には流路設計によって連通孔が形成される。
【0036】
図4(A)及び図4(B)に示す通り、チューブ20の高さをHtとする。また、チューブ20の断面上で熱交換媒体が流通する各部分の面積の和、即ち、チューブ20の流路面積をStとする。また、チューブ20の断面上で熱交換媒体が流通する各部分(つまり流路面積部分)の周縁の長さの和、即ち、接水の長さをLtとする。また、図4(C)に示す連通孔の面積をSとする。そうすると、チューブ20の水力直径Dtは4St/Ltとなる。従来のR−134a冷媒を使用する蒸発器に採用されるチューブは押出型、折り畳み型、溶接型などのように多様な種類があるが、本発明のHFO 1234yf冷媒を使用する蒸発器にも押出型、折り畳み型、溶接型などのような多様な種類のチューブを適用することができる。
【0037】
エアコンのテストには単品テストとエアコンシステムテストがある。単品テストは蒸発器の入口及び出口の圧力が固定された状態で冷媒を循環させて性能をテストするものであり、エアコンシステムテストは実際車両に装着されたエアコンシステムにおいて圧縮機RPM及び吸入空気の条件を変更しながら性能をテストするものである。単品テストでの結果が良ければシステムテストでの結果が良いとはいえないが、これは車両走行の条件などに影響を受けるからである。
【0038】
図11は幾つの種類のHFO 1234yf用コアによる単品放熱性能及びエアコンシステム性能(吐出空気温度)の関係グラフであり、図12は幾つの種類のHFO 1234yf用コアによる単品冷媒圧力降下量及びエアコンシステム性能(吐出空気温度)の関係グラフである。図11及び図12のグラフは単品テストの結果であり、以下、各結果についてより詳しく説明する。
【0039】
図11は放熱性能を変更して多種類のHFO 1234yf用コアに対する単品テストを行った結果である。図11のx軸は多種類のコアによる放熱性能であり、y軸はエアコンシステムの性能を示す吐出空気温度であって、これは低いほど良い。図11に示す各結果グラフは車両の走行速度別に吐出空気温度を表したものであって、グラフからわかるように単品の放熱性能99%以上で最適であり、99%未満では性能が低下している。
【0040】
図12は冷媒圧力降下量を異にする多種類のHFO 1234yf用コアに対して単品テストを行った結果である。図12のx軸は多種類のコアによる冷媒圧力降下量、y軸は吐出空気温度であり、各結果のグラフは車両の走行速度別に吐出空気温度を表したものである。図12のグラフでも、単品の冷媒側圧力降下量は90%以上では空回転(idle)状態を除いた全条件において性能が急激に低下していることがわかる。
【0041】
本発明のシステムテストでは、HFO 1234yf用コアを使用して最適のシステム性能を表す放熱性能及び冷媒圧力降下量に対してR−134a用コアでの放熱性能及び冷媒圧力降下量を100%にしてその水準がどの程度であるか算出し、このような放熱性能及び冷媒圧力降下量の%値に該する蒸発器のチューブ高さ、水力直径、FPDMの範囲を定めた。 本発明において’フィン’は、 チューブの間に接触形成されて空気と熱交換する一つの面を言う。(図13参照)
【0042】
次に、4パス蒸発器における最適化の設計範囲について説明する。以下図5乃至図7の説明で‘蒸発器’は4パス蒸発器を称する。
本発明では、R−134a冷媒を使用する蒸発器に対して放熱性能の所定割合が(98%〜99%)以上、冷媒側圧力降下量の所定割合が(90%〜95%)以下、空気側圧力降下量同等水準が(100%)以下となる1234yf冷媒を使用する蒸発器の各設計変数数値を最適化した。チューブ高さHtは1.4mm〜3.6mm、チューブ水力直径Dtは0.97mm〜1.89mm、FPDM(1デシメータ(decimeter)即ち、10cm(1/10m)当たりフィンの山または谷の個数は60〜84、連通孔面積Sは110mm2〜450mm2である部品の組合で性能試験を行ない図5乃至図7のような結果グラフを得た。これに基づいて1234yf冷媒を使用する蒸発器の性能を最適化する各設計変数の数値を求めた。図5乃至図7の各グラフにおいて、放熱性能(Q)、冷媒側圧力降下量(dPref)、空気側圧力降下量(dPair)は100×測定値/測定値のうち最大値(%)で無次元化させて表示した。
【0043】
図5はHFO 1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ高さHtと放熱性能及び冷媒側圧力降下量の関係を示すグラフである。チューブ高さHtの変化に対して放熱性能(Q)と冷媒側圧力降下量(dPref)は図5に示すように大きく変化するが、空気側圧力降下量(dPair)は変化が少ないため図示していない。
図5(A)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が99%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が90%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ高さHtの上限値は3.711mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ高さHtの下限値は2.875mmで決められる。
【0044】
図5(B)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が98%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が95%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ高さHtの上限値は4.082mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ高さHtの下限値は2.489mmで決められる。
即ち、1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ高さHtは2.489mm乃至4.082mmの値(放熱性能(Q)98%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)95%以下)を有するものが望ましく、2.875mm乃至3.711mmの値(放熱性能(Q)99%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)90%以下)を有するものがさらに望ましい。
【0045】
図6はHFO 1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ水力直径Dtと放熱性能及び冷媒側圧力降下量の関係を示すグラフである。チューブ水力直径Dtの変化に応じて放熱性能(Q)と冷媒側圧力降下量(dPref)は図6に示す通り大きく変化するが、空気側圧力降下量(dPair)は変化が少ないため図示していない。
図6(A)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が99%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が90%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ水力直径Dtの上限値は1.775mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ水力直径Dtの下限値は0.946mmで決められる。
【0046】
図6(B)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が98%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が95%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ水力直径Dtの上限値は1.839mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ垂直直径Dtの下限値は0.780mmで決められる。
即ち、1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ垂直直径Dtは0.780mm乃至1.839mmの値(放熱性能(Q)98%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)95%以下)を有するものが望ましく、0.946mm乃至1.775mmの値(放熱性能(Q)99%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)90%以下)を有するものがさらに望ましい。
【0047】
図7はHFO 1234yf冷媒を使用する蒸発器のFPDMと放熱性能及び空気側圧力降下量の関係を示すグラフである。FPDMの変化に応じて放熱性能(Q)と空気側圧力降下量(dPair)は図7に示す通り大きく変化するが、冷媒側圧力降下量(dPref)は変化が少ないため図示していない。
図7(A)は、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が99%以上になり、空気側圧力降下量(dPair)が同等水準、つまり100%以下になる範囲を図示している。図示の通り、空気側圧力降下量(dPair)の制限条件によってFPDMの上限値は88.897で決められ、放熱性能(Q)の制限条件によってFPDMの下限値は65.190で決められる。
【0048】
図7(B)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が98%以上になり、空気側圧力降下量(dPair)が同等水準、つまり100%以下になる範囲を図示している。図示の通り、空気側圧力降下量(dPair)の制限条件によってFPDMの上限値は88.897で決められ、放熱性能(Q)の制限条件によってFPDMの下限値は63.439で決められる。
即ち、1234yf冷媒を使用する蒸発器のFPDMは63.439乃至88.897の値(放熱性能(Q)98%以上、空気側圧力降下量(dPair)100%以下)を有するものが望ましく、65.190乃至88.897の値(放熱性能(Q)99%以上、空気側圧力降下量(dPair)100%以下)を有するものがさらに望ましい。
要約すれば、1234yf冷媒を使用する4パス蒸発器の各設計変数の数値範囲は下記の表1のように決められるのが望ましい。
【0049】
<表1>
【0050】
次に、6パス蒸発器における最適化の設計範囲について説明する。以下図8乃至図10の説明で‘蒸発器’は6パス蒸発器を称する。
本発明では、R−134a冷媒を使用する蒸発器に対して放熱性能の所定割合が(98%〜99%)以上、冷媒側圧力降下量の所定割合が(90%〜95%)以下、空気側圧力降下量同等水準が(100%)以下となる1234yf冷媒を使用する蒸発器の各設計変数数値を最適化した。チューブ高さHtは1.4mm〜3.6mm、チューブ水力直径Dtは0.97mm〜1.89mm、FPDM(1デシメータ(decimeter)即ち、10cm(1/10m)当たりフィンの山または谷の個数)は60〜84、連通孔面積Sは110mm2〜450mm2である部品の組合で性能試験を行って図8乃至図10のような結果グラフを得た。これに基づいて1234yf冷媒を使用する蒸発器の性能を最適化する各設計変数の数値を求めた。図8乃至図10の各グラフにおいて、放熱性能(Q)、冷媒側圧力降下量(dPref)、空気側圧力降下量(dPair)は100×測定値/測定値のうち最大値(%)で無次元化させて表示した。
【0051】
図8はHFO 1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ高さHtと放熱性能及び冷媒側圧力降下量の関係を示すグラフである。チューブ高さHtの変化に応じて放熱性能(Q)と冷媒側圧力降下量(dPref)は図8に示す通り大きく変化するが、空気側圧力降下量(dPair)は変化が少ないため図示していない。
図8(A)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が99%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が90%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ高さHtの上限値は3.216mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ高さHtの下限値は2.280mmで決められる。
【0052】
図8(B)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が98%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が95%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ高さHtの上限値は3.371mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ高さHtの下限値は1.921mmで決められる。
即ち、1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ高さHtは1.921mm乃至3.371mmの値(放熱性能(Q)98%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)95%以下)を有するものが望ましく、2.280mm乃至3.216mmの値(放熱性能(Q)99%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)90%以下)を有するものがさらに望ましい。
【0053】
図9はHFO 1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ水力直径Dtと放熱性能及び冷媒側圧力降下量の関係を示すグラフである。チューブ水力直径Dtの変化に応じて放熱性能(Q)と冷媒側圧力降下量(dPref)は図9に示す通り大きく変化するが、空気側圧力降下量(dPair)は変化が少ないため図示していない。
図9(A)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が99%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が90%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ水力直径Dtの上限値は3.008mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ水力直径Dtの下限値は2.146mmで決められる。
【0054】
図9(B)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が98%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が95%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ水力直径Dtの上限値は3.228mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ垂直直径Dtの下限値は1.857mmで決められる。
即ち、1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ垂直直径Dtは1.857mm乃至3.228mmの値(放熱性能(Q)98%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)95%以下)を有するものが望ましく、2.146mm乃至3.008mmの範囲内の値(放熱性能(Q)99%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)90%以下)を有するものがさらに望ましい。
【0055】
図10はHFO 1234yf冷媒を使用する蒸発器のFPDMと放熱性能及び空気側圧力降下量の関係を示すグラフである。FPDMの変化に応じて放熱性能(Q)と空気側圧力降下量(dPair)は図10に示す通り大きく変化するが、冷媒側圧力降下量(dPref)は変化が少ないため図示していない。
図10(A)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が99%以上になり、空気側圧力降下量(dPair)が同等水準、つまり100%以下になる範囲を図示している。図示の通り、空気側圧力降下量(dPair)の制限条件によってFPDMの上限値は79.211で決められ、放熱性能(Q)の制限条件によってFPDMの下限値は55.294で決められる。
【0056】
図10(B)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が98%以上になり、空気側圧力降下量(dPair)が同等水準、つまり100%以下になる範囲を図示している。図示の通り、空気側圧力降下量(dPair)の制限条件によってFPDMの上限値は79.211で決められ、放熱性能(Q)の制限条件によってFPDMの下限値は48.718で決められる。
即ち、1234yf冷媒を使用する蒸発器のFPDMは48.718乃至79.211の値(放熱性能(Q)98%以上、空気側圧力降下量(dPair)100%以下)を有するものが望ましく、55.294乃至79.211の値(放熱性能(Q)99%以上、空気側圧力降下量(dPair)100%以下)を有するものがさらに望ましい。
要約すれば、1234yf冷媒を使用する蒸発器の各設計変数の数値範囲は下記の表2のように決められるのが望ましい。
【0057】
<表2>
【0058】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0059】
10:ヘッダータンク
20:チューブ
30:フィン
40 バッフル
100:蒸発器
【技術分野】
【0001】
本発明はHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システムに係り、より詳しくは従来の冷媒とは全く異なる物性を有するHFO 1234yf冷媒と、最適な性能を得るためのチューブ−フィンタイプの蒸発器を使用するHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界的に環境問題がクローズアップされ、環境に有害な物質の使用が禁止或いは排除されつつある。特に、空調及び冷却システムに必須の冷媒で、塩素成分を含有する組成物のCFC系冷媒のような物質はオゾン層を破壊するため使用が規制されている。
一般的な冷却システムは周辺から熱を吸収する蒸発器、冷媒を圧縮する圧縮機、周辺に熱を放出する凝縮器、冷媒を膨張させる膨張バルブから構成される。冷却システムでは、前記蒸発器から圧縮機に流入する気体状態の冷媒が圧縮機において高温及び高圧で圧縮される。圧縮された気体状態の冷媒は凝縮器を通過しながら液化される過程において周辺に液化熱を放出する。液化された冷媒は再び膨張バルブを通過することにより低温及び低圧の湿飽和蒸気状態になって蒸発器に流入気化し、周辺から気化熱を吸収することにより周辺空気を冷却し、一つの冷却サイクルとなる。図1(B)はこのような一般的な空調システムのp−h線図を簡略図示したものである。
【0003】
このような冷却システムにおいて熱を伝達するのは冷媒であり、冷媒として使用される物質は熱転移特性が高くなければならない。従来のCFC系冷媒などの場合、熱転移特性には優れるが環境に有害な影響を及ぼすという点が指摘され、その使用が規制されているため、従来の冷媒に代わる新しい冷媒の研究開発が活発になされている。新しい冷媒が従来の冷媒に代替できる条件は、従来の冷媒と同等または優秀な熱転移特性、化学的安定性、非引火性及び潤滑相溶性などを備えると共に、環境に優しいことである。
【0004】
韓国特許公開第2007−0004654号(“フッ素置換されたオレフィン含有組成物”、以下先行技術)には、従来の冷媒を代替できる優れた性能を有する新しい冷媒が開示されている。前記先行技術に提示されている冷媒のうち、HFO 1234yf物質を使用する冷媒を以下1234yf冷媒と称する。“HFO−1234”という用語はここで全てのテトラフルオロプロペンを指するものとして使用する。
【0005】
テトラフルオロプロペンの中にはHFO−1234yfとシス−及びトランス−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)が含まれる。HFO−1234化合物はよく知られた物質であり、Chemical Abstractsのデータベースに登録されている。米国特許第2,889,379、4,798,818及び4,465,786号にはC3化合物が含有された多様な飽和または不飽和ハロゲンを触媒蒸気相フルオロ化させることにより、CF3CH=CH2のようなフルオロプロペンを製造することに関する記載がある。
ヨーロッパ特許第974,571号には、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)を高温、蒸気相においてクロム−系列触媒と接触させることにより、または液体相においてKOH、NaOH、Ca(OH)2またはMg(OH)2のアルコール溶液と接触させることにより1,1,1,3−テトラフルオロプロペンを製造することについて記載されている。
【0006】
図1(A)は従来から広く使用されている代表的な冷媒であるR−134a冷媒及び1234yf冷媒のp−h線図である。図示の通り、R−134a冷媒と1234yf冷媒のp−h線図は異なるものであるが、1234yf冷媒の物性値及び空調システムにおける作動圧力/作動温度は従来のR−134a冷媒と類似した値を示し、また、1234yf冷媒の蒸発潜熱はR−134a冷媒の蒸発潜熱より30%ほど小さく、R−134a冷媒と同等の放熱性能をもたせるためには、多量の冷媒が必要であることがわかる。
【0007】
従来、R−134aなどの冷媒を使用する蒸発器において、蒸発器の性能、即ち放熱量、圧力降下量などを最適化させようとする研究は広く行われてきた。
1234yf冷媒は、図1(A)に示す通り従来の冷媒とは異なる物性値を有するため、1234yf冷媒を使用して従来の冷媒を使用する蒸発器と同等の性能を得るには従来の蒸発器とは全く異なる設計を必要とする。R−134a冷媒を使用する蒸発器と同一仕様の蒸発器で1234yf冷媒を使用する場合、同じ放熱性能を得るには冷媒流量を増加させる必要がある。この場合、冷媒流量が増加したことにより蒸発器のみならず空調システム全体の冷媒側圧力降下量が大幅に増加するため空調システムの全体性能が大きく低下する。
【0008】
即ち、1234yf冷媒は上述の通り、R−134a冷媒と比較して環境に優しい物質である反面、1234yfシステムはR−134aシステムに比べて性能に劣るため、これを克服するために多くの研究及び開発が必要である。このような性能の差異を克服するためにシステム上の設計変更が必要であるが、システム変更による経費上昇のことを考え大きな設計変更なしで性能向上を追求する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特許公開第2007−0004654号
【特許文献2】EU特許第974,571号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、大きな設計変更なしでHFO 1234yf冷媒に最適なチューブ−フィンタイプの蒸発器を有する車両用空調システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、を含み、前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、前記チューブの高さHtは2.489mm乃至4.082mmの値を有し、前記熱交換媒体は4パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とする。
【0012】
前記チューブの高さHtは2.875mm乃至3.711mmの値を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、前記チューブの水力直径Dtは0.780mm乃至1.839mmの値を有し、前記熱交換媒体は4パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とする。
【0014】
前記チューブの水力直径Dtは0.946mm乃至1.775mmの値を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、デシメートル当りフィンのFPDM(Fins Per DeciMeter)は63.439乃至88.897範囲内の値を有し、前記熱交換媒体は4パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とする。
【0016】
前記FPDMは65.190乃至88.897の値を有することを特徴とする。
【0017】
前記蒸発器100は、第1列及び第2列の上下部タンク内に備えられたバッフルを介して第1チューブ群(1)−4乃至第4チューブ群(4)−4が形成され、前記熱交換媒体は前記第1チューブ群(1)−4乃至前記第4チューブ群(4)−4を順次通過することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、チューブの高さHtは1.921mm乃至3.371mmの値を有し、前記熱交換媒体の流れは6パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とする。
【0019】
前記チューブの高さHtは2.280mm乃至3.216mmの値を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、チューブの水力直径Dtは1.857mm乃至3.228mm範囲内の値を有し、前記熱交換媒体の流れは6パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とする。
【0021】
前記チューブの水力直径Dtは2.146mm乃至3.008mmの値を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、デシメートル当りフィンのFPDM(Fins Per DeciMeter)は48.718乃至79.211の値を有し、前記熱交換媒体の流れは6パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とする。
【0023】
前記FPDMは55.294乃至79.211範囲内の値を有することを特徴とする。
【0024】
前記蒸発器100は、第1列及び第2列の上下部タンク内に備えられたバッフルを介して第1チューブ群(1)−6乃至第6チューブ群(6)−6が形成され、前記熱交換媒体は前記第1チューブ群(1)−6乃至前記第6チューブ群(6)−6を順次通過することを特徴とする 。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、環境に優しい1234yf冷媒を使用しながらも放熱量及び圧力降下量を最適化して従来の蒸発器と同等水準の性能を得ることができ、蒸発器の設計寸法のみを変化させることでシステムの変更に伴う経費の節減も可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】R−134a冷媒及びHFO1234yf冷媒のp−h線図である。
【図2】一般的なチューブ−フィンタイプの蒸発器の形態である。
【図3】本発明のチューブ−フィンタイプの蒸発器における冷媒流れの例である。
【図4】図3の蒸発器の各細部の形状である。
【図5】本発明の4パス蒸発器においてチューブの高さHtと放熱性能及び冷媒圧力降下量の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の4パス蒸発器においてチューブの水力直径Dtと放熱性能及び冷媒圧力降下量の関係を示すグラフである。
【図7】本発明の4パス蒸発器においてFPDMと放熱性能及び空気圧力降下量の関係を示すグラフである。
【図8】本発明の6パス蒸発器においてチューブの高さHtと放熱性能及び冷媒圧力降下量の関係を示すグラフである。
【図9】本発明の6パス蒸発器においてチューブの水力直径Dtと放熱性能及び冷媒圧力降下量の関係を示すグラフである。
【図10】本発明の6パス蒸発器においてFPDMと放熱性能及び空気圧力降下量の関係を示すグラフである。
【図11】本発明の多種類のコアによる単品放熱性能及びエアコンシステム性能(吐出空気温度)の関係を示すグラフである。
【図12】本発明の多種類のコアによる単品冷媒圧力降下量及びエアコンシステム性能(吐出空気温度)の関係を示すグラフである。
【図13】本発明のフィンを説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図2は一般的なチューブ−フィンタイプの蒸発器を図示したものである。一般的なチューブ−フィンタイプの蒸発器100は、空気の流れる方向に沿って設けられた複数個のチューブ20と、チューブ20に装着されチューブ20の伝熱面積を増加させるフィン30と、チューブ20の両端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10とを含めて構成されている。
このようなチューブ−フィンタイプの蒸発器において、一般的に冷媒の流れは4パス(pass)または6パスからなる。図3(A)は本発明のチューブ−フィンタイプの蒸発器における4パスの冷媒流れを図示したものであり、図3(B)はチューブ−フィンタイプの蒸発器における6パスの冷媒流れを図示したものである。
図2に示す通り、一般的にチューブ−フィンタイプの蒸発器は2列からなる。 図3では冷媒の流れを見やすく表示するために各列を分離し、タンク及びチューブ部分を簡略化して示した。図3(A)に示す通り、4パスの場合には1列当たり2個の異なる方向の冷媒流れが形成され、全体として4つの冷媒流れ方向が形成される。また図3(B)に示す通り、6パスの場合には1列当たり3個の異なる方向の冷媒流れが形成され、全体として6つの冷媒流れ方向が形成される。
【0028】
このように冷媒流れを転換するために、図3に示す通りタンクには適切な位置にバッフル40が挿設される。即ち、4パス蒸発器では、第1列及び第2列の上下部タンク内に備えられたバッフルによって第1チューブ群(1)−4乃至第4チューブ群(4)−4が形成される。熱交換媒体は第1チューブ群(1)−4乃至第4チューブ群(4)−4を順次通過し、6パス蒸発器では、第1列及び第2列の上下部タンク内に備えられたバッフルによって第1チューブ群(1)−6乃至第6チューブ群(6)−6が形成され、熱交換媒体は第1チューブ群(1)−6乃至前記第6チューブ群(6)−6を順次に通過する。
【0029】
図3(A)に示す4パス蒸発器における冷媒流れは次の通りである。
先ず、図3(A)に示すように、冷媒が流入する側を第1列とし、冷媒が排出される側を第2列とし、タンクのうち第1列上部タンクの図面符号を11aで、第1列下部タンクの図面符号を11bで、第2列上部タンクの図面符号を12aで、第2列下部タンクの図面符号を12bで、また、第1列チューブを21で、第2列チューブを22で示す。バッフル40は図示の通り各タンクに全て一つずつ備えられる。
【0030】
4パス蒸発器における冷媒流れは、第1列上部タンク11aに流入した後、第1列上部タンク11aの第1列上部タンク11aに備えられたバッフル40の1側部分−第1列チューブ21の一部である第1チューブ群(1)−4−第1列下部タンク11b−第1列チューブ21の一部である第2チューブ群(2)−4−第1列上部タンク11aに備えられたバッフル40の他側部分を順次通過する。その後、第1列のタンク及びチューブを通過し、第2列に流れて、第2列上部タンク12aに備えられたバッフル40の1側部分−第2列チューブ22の一部である第3チューブ群(3)−4−第2列下部タンク12b−第2列チューブ22の一部である第4チューブ群(4)−4−第2列上部タンク12aに備えられたバッフル40の他側部分を順次通過した後、第2列のタンク及びチューブを通過し、第2列上部タンク12aから排出される。
【0031】
図3(B)に示す6パス蒸発器における冷媒流れは次の通りである。
先ず、図3(B)に示す通り、冷媒が流入する側を第1列とし、冷媒が排出される側を第2列とする。タンクのうち第1列上部タンクを11aで、第1列下部タンクを11bで、第2列上部タンクを12aで、第2列下部タンクを12bで、第1列チューブを21で、第2列チューブを22で表示する。この際、バッフル40は図示の通り各タンクに全て一つずつ備えられる。
【0032】
6パス蒸発器における冷媒流れは、第1列上部タンク11aに流入した後、第1列上部タンク11aに備えられたバッフル40の1側部分−第1列チューブ21の一部である第1チューブ群(1)−6−第1列下部タンク11bに備えられたバッフル40の1側部分−第1列チューブ21の一部である第2チューブ群(2)−6−第1列上部タンク11aに備えられたバッフル40の後方部分−第1列チューブ21の一部である第3チューブ群(3)−6−第1列下部タンク11bに備えられたバッフル40の他側部分を順次通過する。その後、第1列のタンク及びチューブを通過し、第2列に流れて、第2列上部タンク12aに備えられたバッフル40の1側部分−第2列チューブ22の一部である第4チューブ群(4)−6−第2列上部タンク12aに備えられたバッフル40の1側部分−第2列チューブ22の一部である第5チューブ群(5)−6−第2列下部タンク12bに備えられたバッフル40の他側部分−第2列チューブ22の一部である第6チューブ群(6)−6−第2列上部タンク12aに備えられたバッフル40の他側部分を順次通過し、第2列のタンク及びチューブを通過した後、第2列上部タンク12aから排出される。
【0033】
4パスまたは6パスの蒸発器であれば必ずこのような方式で流路が構成されるとは限らない。例えば、冷媒の流入及び排出が下部タンクからなされる場合など、冷媒の流れが4パスまたは6パスをなすように流路が構成されれば、図3の例示と一部異なる形態で冷媒流れがなされるとしても、本発明の4パスまたは6パスの蒸発器に含まれる。
【0034】
4パスの場合と6パスの場合、同一冷媒及び同一サイズの蒸発器を使用したとしても熱交換特性が異なる。従って、放熱性能及び圧力降下量などの特性を最適化させるためには冷媒流れが何パスであるか区分しなければならない。本発明では図3(A)に示すチューブ−フィンタイプの蒸発器と、図3(B)に示すチューブ−フィンタイプの蒸発器のそれぞれに対しての熱交換性能の最適化を計っている。
【0035】
図4は蒸発器の各細部形状を示したものである。図4(A)はチューブ20及びフィン30からなる蒸発器コアの一部を図示したものであり、図4(B)はチューブ20の断面を図示したものであり、図4(C)は図2のA−A′断面、即ち、ヘッダタンク10の幅方向の中心線に沿って長手方向に切った部分の断面形状を示す。図4(C)に示すように、ヘッダタンク10の幅方向の中心線部分には長手方向に延びてヘッダタンク10の内部を分離する隔壁が形成され、隔壁上には流路設計によって連通孔が形成される。
【0036】
図4(A)及び図4(B)に示す通り、チューブ20の高さをHtとする。また、チューブ20の断面上で熱交換媒体が流通する各部分の面積の和、即ち、チューブ20の流路面積をStとする。また、チューブ20の断面上で熱交換媒体が流通する各部分(つまり流路面積部分)の周縁の長さの和、即ち、接水の長さをLtとする。また、図4(C)に示す連通孔の面積をSとする。そうすると、チューブ20の水力直径Dtは4St/Ltとなる。従来のR−134a冷媒を使用する蒸発器に採用されるチューブは押出型、折り畳み型、溶接型などのように多様な種類があるが、本発明のHFO 1234yf冷媒を使用する蒸発器にも押出型、折り畳み型、溶接型などのような多様な種類のチューブを適用することができる。
【0037】
エアコンのテストには単品テストとエアコンシステムテストがある。単品テストは蒸発器の入口及び出口の圧力が固定された状態で冷媒を循環させて性能をテストするものであり、エアコンシステムテストは実際車両に装着されたエアコンシステムにおいて圧縮機RPM及び吸入空気の条件を変更しながら性能をテストするものである。単品テストでの結果が良ければシステムテストでの結果が良いとはいえないが、これは車両走行の条件などに影響を受けるからである。
【0038】
図11は幾つの種類のHFO 1234yf用コアによる単品放熱性能及びエアコンシステム性能(吐出空気温度)の関係グラフであり、図12は幾つの種類のHFO 1234yf用コアによる単品冷媒圧力降下量及びエアコンシステム性能(吐出空気温度)の関係グラフである。図11及び図12のグラフは単品テストの結果であり、以下、各結果についてより詳しく説明する。
【0039】
図11は放熱性能を変更して多種類のHFO 1234yf用コアに対する単品テストを行った結果である。図11のx軸は多種類のコアによる放熱性能であり、y軸はエアコンシステムの性能を示す吐出空気温度であって、これは低いほど良い。図11に示す各結果グラフは車両の走行速度別に吐出空気温度を表したものであって、グラフからわかるように単品の放熱性能99%以上で最適であり、99%未満では性能が低下している。
【0040】
図12は冷媒圧力降下量を異にする多種類のHFO 1234yf用コアに対して単品テストを行った結果である。図12のx軸は多種類のコアによる冷媒圧力降下量、y軸は吐出空気温度であり、各結果のグラフは車両の走行速度別に吐出空気温度を表したものである。図12のグラフでも、単品の冷媒側圧力降下量は90%以上では空回転(idle)状態を除いた全条件において性能が急激に低下していることがわかる。
【0041】
本発明のシステムテストでは、HFO 1234yf用コアを使用して最適のシステム性能を表す放熱性能及び冷媒圧力降下量に対してR−134a用コアでの放熱性能及び冷媒圧力降下量を100%にしてその水準がどの程度であるか算出し、このような放熱性能及び冷媒圧力降下量の%値に該する蒸発器のチューブ高さ、水力直径、FPDMの範囲を定めた。 本発明において’フィン’は、 チューブの間に接触形成されて空気と熱交換する一つの面を言う。(図13参照)
【0042】
次に、4パス蒸発器における最適化の設計範囲について説明する。以下図5乃至図7の説明で‘蒸発器’は4パス蒸発器を称する。
本発明では、R−134a冷媒を使用する蒸発器に対して放熱性能の所定割合が(98%〜99%)以上、冷媒側圧力降下量の所定割合が(90%〜95%)以下、空気側圧力降下量同等水準が(100%)以下となる1234yf冷媒を使用する蒸発器の各設計変数数値を最適化した。チューブ高さHtは1.4mm〜3.6mm、チューブ水力直径Dtは0.97mm〜1.89mm、FPDM(1デシメータ(decimeter)即ち、10cm(1/10m)当たりフィンの山または谷の個数は60〜84、連通孔面積Sは110mm2〜450mm2である部品の組合で性能試験を行ない図5乃至図7のような結果グラフを得た。これに基づいて1234yf冷媒を使用する蒸発器の性能を最適化する各設計変数の数値を求めた。図5乃至図7の各グラフにおいて、放熱性能(Q)、冷媒側圧力降下量(dPref)、空気側圧力降下量(dPair)は100×測定値/測定値のうち最大値(%)で無次元化させて表示した。
【0043】
図5はHFO 1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ高さHtと放熱性能及び冷媒側圧力降下量の関係を示すグラフである。チューブ高さHtの変化に対して放熱性能(Q)と冷媒側圧力降下量(dPref)は図5に示すように大きく変化するが、空気側圧力降下量(dPair)は変化が少ないため図示していない。
図5(A)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が99%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が90%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ高さHtの上限値は3.711mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ高さHtの下限値は2.875mmで決められる。
【0044】
図5(B)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が98%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が95%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ高さHtの上限値は4.082mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ高さHtの下限値は2.489mmで決められる。
即ち、1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ高さHtは2.489mm乃至4.082mmの値(放熱性能(Q)98%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)95%以下)を有するものが望ましく、2.875mm乃至3.711mmの値(放熱性能(Q)99%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)90%以下)を有するものがさらに望ましい。
【0045】
図6はHFO 1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ水力直径Dtと放熱性能及び冷媒側圧力降下量の関係を示すグラフである。チューブ水力直径Dtの変化に応じて放熱性能(Q)と冷媒側圧力降下量(dPref)は図6に示す通り大きく変化するが、空気側圧力降下量(dPair)は変化が少ないため図示していない。
図6(A)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が99%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が90%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ水力直径Dtの上限値は1.775mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ水力直径Dtの下限値は0.946mmで決められる。
【0046】
図6(B)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が98%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が95%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ水力直径Dtの上限値は1.839mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ垂直直径Dtの下限値は0.780mmで決められる。
即ち、1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ垂直直径Dtは0.780mm乃至1.839mmの値(放熱性能(Q)98%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)95%以下)を有するものが望ましく、0.946mm乃至1.775mmの値(放熱性能(Q)99%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)90%以下)を有するものがさらに望ましい。
【0047】
図7はHFO 1234yf冷媒を使用する蒸発器のFPDMと放熱性能及び空気側圧力降下量の関係を示すグラフである。FPDMの変化に応じて放熱性能(Q)と空気側圧力降下量(dPair)は図7に示す通り大きく変化するが、冷媒側圧力降下量(dPref)は変化が少ないため図示していない。
図7(A)は、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が99%以上になり、空気側圧力降下量(dPair)が同等水準、つまり100%以下になる範囲を図示している。図示の通り、空気側圧力降下量(dPair)の制限条件によってFPDMの上限値は88.897で決められ、放熱性能(Q)の制限条件によってFPDMの下限値は65.190で決められる。
【0048】
図7(B)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が98%以上になり、空気側圧力降下量(dPair)が同等水準、つまり100%以下になる範囲を図示している。図示の通り、空気側圧力降下量(dPair)の制限条件によってFPDMの上限値は88.897で決められ、放熱性能(Q)の制限条件によってFPDMの下限値は63.439で決められる。
即ち、1234yf冷媒を使用する蒸発器のFPDMは63.439乃至88.897の値(放熱性能(Q)98%以上、空気側圧力降下量(dPair)100%以下)を有するものが望ましく、65.190乃至88.897の値(放熱性能(Q)99%以上、空気側圧力降下量(dPair)100%以下)を有するものがさらに望ましい。
要約すれば、1234yf冷媒を使用する4パス蒸発器の各設計変数の数値範囲は下記の表1のように決められるのが望ましい。
【0049】
<表1>
【0050】
次に、6パス蒸発器における最適化の設計範囲について説明する。以下図8乃至図10の説明で‘蒸発器’は6パス蒸発器を称する。
本発明では、R−134a冷媒を使用する蒸発器に対して放熱性能の所定割合が(98%〜99%)以上、冷媒側圧力降下量の所定割合が(90%〜95%)以下、空気側圧力降下量同等水準が(100%)以下となる1234yf冷媒を使用する蒸発器の各設計変数数値を最適化した。チューブ高さHtは1.4mm〜3.6mm、チューブ水力直径Dtは0.97mm〜1.89mm、FPDM(1デシメータ(decimeter)即ち、10cm(1/10m)当たりフィンの山または谷の個数)は60〜84、連通孔面積Sは110mm2〜450mm2である部品の組合で性能試験を行って図8乃至図10のような結果グラフを得た。これに基づいて1234yf冷媒を使用する蒸発器の性能を最適化する各設計変数の数値を求めた。図8乃至図10の各グラフにおいて、放熱性能(Q)、冷媒側圧力降下量(dPref)、空気側圧力降下量(dPair)は100×測定値/測定値のうち最大値(%)で無次元化させて表示した。
【0051】
図8はHFO 1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ高さHtと放熱性能及び冷媒側圧力降下量の関係を示すグラフである。チューブ高さHtの変化に応じて放熱性能(Q)と冷媒側圧力降下量(dPref)は図8に示す通り大きく変化するが、空気側圧力降下量(dPair)は変化が少ないため図示していない。
図8(A)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が99%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が90%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ高さHtの上限値は3.216mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ高さHtの下限値は2.280mmで決められる。
【0052】
図8(B)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が98%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が95%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ高さHtの上限値は3.371mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ高さHtの下限値は1.921mmで決められる。
即ち、1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ高さHtは1.921mm乃至3.371mmの値(放熱性能(Q)98%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)95%以下)を有するものが望ましく、2.280mm乃至3.216mmの値(放熱性能(Q)99%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)90%以下)を有するものがさらに望ましい。
【0053】
図9はHFO 1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ水力直径Dtと放熱性能及び冷媒側圧力降下量の関係を示すグラフである。チューブ水力直径Dtの変化に応じて放熱性能(Q)と冷媒側圧力降下量(dPref)は図9に示す通り大きく変化するが、空気側圧力降下量(dPair)は変化が少ないため図示していない。
図9(A)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が99%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が90%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ水力直径Dtの上限値は3.008mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ水力直径Dtの下限値は2.146mmで決められる。
【0054】
図9(B)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が98%以上になり、冷媒側圧力降下量(dPref)が95%以下になる範囲を図示している。図示の通り、放熱性能(Q)の制限条件によってチューブ水力直径Dtの上限値は3.228mmで決められ、冷媒側圧力降下量(dPref)の制限条件によってチューブ垂直直径Dtの下限値は1.857mmで決められる。
即ち、1234yf冷媒を使用する蒸発器のチューブ垂直直径Dtは1.857mm乃至3.228mmの値(放熱性能(Q)98%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)95%以下)を有するものが望ましく、2.146mm乃至3.008mmの範囲内の値(放熱性能(Q)99%以上、冷媒側圧力降下量(dPref)90%以下)を有するものがさらに望ましい。
【0055】
図10はHFO 1234yf冷媒を使用する蒸発器のFPDMと放熱性能及び空気側圧力降下量の関係を示すグラフである。FPDMの変化に応じて放熱性能(Q)と空気側圧力降下量(dPair)は図10に示す通り大きく変化するが、冷媒側圧力降下量(dPref)は変化が少ないため図示していない。
図10(A)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が99%以上になり、空気側圧力降下量(dPair)が同等水準、つまり100%以下になる範囲を図示している。図示の通り、空気側圧力降下量(dPair)の制限条件によってFPDMの上限値は79.211で決められ、放熱性能(Q)の制限条件によってFPDMの下限値は55.294で決められる。
【0056】
図10(B)では、R−134a冷媒を使用する蒸発器と対比したとき、放熱性能(Q)が98%以上になり、空気側圧力降下量(dPair)が同等水準、つまり100%以下になる範囲を図示している。図示の通り、空気側圧力降下量(dPair)の制限条件によってFPDMの上限値は79.211で決められ、放熱性能(Q)の制限条件によってFPDMの下限値は48.718で決められる。
即ち、1234yf冷媒を使用する蒸発器のFPDMは48.718乃至79.211の値(放熱性能(Q)98%以上、空気側圧力降下量(dPair)100%以下)を有するものが望ましく、55.294乃至79.211の値(放熱性能(Q)99%以上、空気側圧力降下量(dPair)100%以下)を有するものがさらに望ましい。
要約すれば、1234yf冷媒を使用する蒸発器の各設計変数の数値範囲は下記の表2のように決められるのが望ましい。
【0057】
<表2>
【0058】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0059】
10:ヘッダータンク
20:チューブ
30:フィン
40 バッフル
100:蒸発器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、
前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、
前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、
前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、
前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、
前記チューブの高さHtは2.489mm乃至4.082mmの値を有し、
前記熱交換媒体は4パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とするHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項2】
前記チューブの高さHtは2.875mm乃至3.711mmの値を有することを特徴とする請求項1に記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項3】
圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、
前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、
前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、
前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、
前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、
前記チューブの水力直径Dtは0.780mm乃至1.839mmの値を有し、
前記熱交換媒体は4パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とするHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項4】
前記チューブの水力直径Dtは0.946mm乃至1.775mmの値を有することを特徴とする請求項3に記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項5】
圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、
前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、
前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、
前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、
前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、
デシメートル当りフィンのFPDM(Fins Per DeciMeter)は63.439乃至88.897範囲内の値を有し、
前記熱交換媒体は4パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とするHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項6】
前記FPDMは65.190乃至88.897の値を有することを特徴とする請求項5に記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項7】
前記蒸発器100は、第1列及び第2列の上下部タンク内に備えられたバッフルを介して第1チューブ群(1)−4乃至第4チューブ群(4)−4が形成され、前記熱交換媒体は前記第1チューブ群(1)−4乃至前記第4チューブ群(4)−4を順次通過することを特徴とする請求項 1 乃至 6 のいずれかに記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項8】
圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、
前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、
前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、
前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、
前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、
チューブの高さHtは1.921mm乃至3.371mmの値を有し、前記熱交換媒体の流れは6パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とするHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項9】
前記チューブの高さHtは2.280mm乃至3.216mmの値を有することを特徴とする請求項8に記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項10】
圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、
前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、
前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、
前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、
前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、
チューブの水力直径Dtは1.857mm乃至3.228mm範囲内の値を有し、
前記熱交換媒体の流れは6パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とするHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項11】
前記チューブの水力直径Dtは2.146mm乃至3.008mmの値を有することを特徴とする請求項10に記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項12】
圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、
前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、
前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、
前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、
前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、
デシメートル当りフィンのFPDM(Fins Per DeciMeter)は48.718乃至79.211の値を有し、
前記熱交換媒体の流れは6パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とするHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項13】
前記FPDMは55.294乃至79.211範囲内の値を有することを特徴とする請求項12に記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項14】
前記蒸発器100は、第1列及び第2列の上下部タンク内に備えられたバッフルを介して第1チューブ群(1)−6乃至第6チューブ群(6)−6が形成され、前記熱交換媒体は前記第1チューブ群(1)−6乃至前記第6チューブ群(6)−6を順次通過することを特徴とする 請求項 8 乃至 13 のいずれかに記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、
前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、
前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、
前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、
前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、
前記チューブの高さHtは2.489mm乃至4.082mmの値を有し、
前記熱交換媒体は4パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とするHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項2】
前記チューブの高さHtは2.875mm乃至3.711mmの値を有することを特徴とする請求項1に記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項3】
圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、
前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、
前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、
前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、
前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、
前記チューブの水力直径Dtは0.780mm乃至1.839mmの値を有し、
前記熱交換媒体は4パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とするHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項4】
前記チューブの水力直径Dtは0.946mm乃至1.775mmの値を有することを特徴とする請求項3に記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項5】
圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、
前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、
前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、
前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、
前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、
デシメートル当りフィンのFPDM(Fins Per DeciMeter)は63.439乃至88.897範囲内の値を有し、
前記熱交換媒体は4パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とするHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項6】
前記FPDMは65.190乃至88.897の値を有することを特徴とする請求項5に記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項7】
前記蒸発器100は、第1列及び第2列の上下部タンク内に備えられたバッフルを介して第1チューブ群(1)−4乃至第4チューブ群(4)−4が形成され、前記熱交換媒体は前記第1チューブ群(1)−4乃至前記第4チューブ群(4)−4を順次通過することを特徴とする請求項 1 乃至 6 のいずれかに記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項8】
圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、
前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、
前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、
前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、
前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、
チューブの高さHtは1.921mm乃至3.371mmの値を有し、前記熱交換媒体の流れは6パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とするHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項9】
前記チューブの高さHtは2.280mm乃至3.216mmの値を有することを特徴とする請求項8に記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項10】
圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、
前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、
前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、
前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、
前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、
チューブの水力直径Dtは1.857mm乃至3.228mm範囲内の値を有し、
前記熱交換媒体の流れは6パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とするHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項11】
前記チューブの水力直径Dtは2.146mm乃至3.008mmの値を有することを特徴とする請求項10に記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項12】
圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、及び空気送風方向に並んで一定間隔で並設された複数個のチューブ20と、
前記チューブ20に装着され、前記チューブ20間を流れる空気との伝熱面積を増加させるフィン30と、
前記チューブ20の両側端部に結合されて熱交換媒体が流通する一対のヘッダタンク10と、
前記ヘッダタンク10に備えられる少なくとも一つ以上のバッフル40と、
を含み、
前記熱交換媒体はHFO 1234yfを含む冷媒であり、
デシメートル当りフィンのFPDM(Fins Per DeciMeter)は48.718乃至79.211の値を有し、
前記熱交換媒体の流れは6パスからなるチューブ−フィンタイプの蒸発器100を含む冷媒回路を循環することを特徴とするHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項13】
前記FPDMは55.294乃至79.211範囲内の値を有することを特徴とする請求項12に記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【請求項14】
前記蒸発器100は、第1列及び第2列の上下部タンク内に備えられたバッフルを介して第1チューブ群(1)−6乃至第6チューブ群(6)−6が形成され、前記熱交換媒体は前記第1チューブ群(1)−6乃至前記第6チューブ群(6)−6を順次通過することを特徴とする 請求項 8 乃至 13 のいずれかに記載のHFO 1234yf冷媒及びチューブ−フィンタイプ蒸発器を使用する車両用空調システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2011−523023(P2011−523023A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513424(P2011−513424)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003127
【国際公開番号】WO2009/151282
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(506235317)ハラ クライメート コントロール コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003127
【国際公開番号】WO2009/151282
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(506235317)ハラ クライメート コントロール コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】
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