説明

HIV−1感染のヒト補因子のゲノムワイド目視同定

本発明は、HIV感染の初期段階に関与するヒト宿主因子の同定に関する。さらに、本発明は、HIV感染の機序の解明のための、薬物ターゲットとしての、およびHIVの処置に有用な化合物の同定のための、同定された遺伝子の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HIV感染の初期段階に関与するヒト宿主因子の同定に関する。さらに、本発明は、HIV感染の機序の解明のための、薬物ターゲットとしての、およびHIVの処置に有用な化合物を同定するための、同定された遺伝子の使用に関する。
【0002】
発明の背景
慢性疾病および感染の大半は、細胞の組込みレベルで顕現する。生細胞イメージングによる疾病進行の検査は、分子的な疾病機序および遺伝子変化に対するその応答の可視化と共に、高度の解像を可能とする。このタイプのアプローチは個々の実験においては非常に成功を収めたが、体系的なゲノムワイド解析に対しては概して困難なままであった。
【0003】
進化の間にHIVはその生活環の大部分をヒト宿主因子に下請けに出すことを学んだ。ここ十年間で、いくつかのこのような宿主因子が、複数のアプローチを通して同定された(概説についてはを参照)。宿主因子の同定におけるアプローチの殆どが体系的なものではなく、これまでどれも網羅的ではなかった。しかしながら、宿主因子を入手できることは、HIV生活環の完全理解にとって重要なだけではない。ウイルス宿主因子を採掘するための効果的な方法はさらに、HIVサブタイプの互いに対するまたはSIV(サル免疫不全ウイルス)に対する因子特異性の比較を可能とし、これにより感染の顕現における重要な機序および可能性ある治療ターゲットが指摘される。
【0004】
本発明の目的は、HIV感染の機序の解明において使用するための、薬物ターゲットとしての、およびHIVの処置に有用な化合物を同定するための、HIV感染の初期段階に関与するヒト宿主因子を同定することであった。
【0005】
発明の記載
本発明の目的は、配列番号46によって示される配列を有する核酸、またはその部分配列、または前記核酸もしくは前記部分配列に対して相補的な配列によって解決され、前記部分配列は、
a)HIV感染の機序の解明において;
b)薬物ターゲットとして;または
c)HIVの処置に有用な化合物の同定において
使用するための少なくとも20個連続したヌクレオチドを含む。
【0006】
本発明の目的はまた、配列番号1もしくは配列番号2によって示される配列を有する核酸、またはその部分配列、または前記核酸もしくは前記部分配列に対して相補的な配列によって解決され、前記部分配列は、
a)HIV感染の機序の解明において;
b)薬物ターゲットとして;または
c)HIVの処置に有用な化合物の同定において
使用するための少なくとも20個連続したヌクレオチドを含む。
【0007】
本発明の目的はまた、配列番号5によって示される配列を有する核酸、またはその部分配列、または前記核酸もしくは前記部分配列に対して相補的な配列によって解決され、前記部分配列は、
a)HIV感染の機序の解明において;
b)薬物ターゲットとして;または
c)HIVの処置に有用な化合物の同定において
使用するための少なくとも20個連続したヌクレオチドを含む。
【0008】
本発明の目的はまた、配列番号3〜4および6〜45のいずれかによって示される配列を有する核酸、またはその部分配列、または前記核酸もしくは前記部分配列に対して相補的な配列によって解決され、前記部分配列は、
a)HIV感染の機序の解明において;
b)薬物ターゲットとして;または
c)HIVの処置に有用な化合物の同定において
使用するための少なくとも20個連続したヌクレオチドを含む。
【0009】
本明細書において使用した用語「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)を指すことを意味する。
【0010】
本明細書において使用した用語「前記核酸または前記部分配列に対して相補的な配列」はまた、対応する(相補的な)RNA配列または部分配列を指す。
【0011】
前記部分配列の20個連続したヌクレオチドの最短長によりその特異性が確保される。好ましい態様において、前記部分配列は少なくとも21個、さらにより好ましい態様において少なくとも22個の連続したヌクレオチドを含む。
【0012】
本明細書において使用した用語「薬物」は、HIVの処置に適した薬学的製剤を指すことを意味する。
【0013】
(a)ターゲットタンパク質への結合、(b)ターゲットタンパク質の活性、または(c)ターゲットタンパク質の発現を阻害する化合物の初めての同定は、実験的に達成できるか、またはターゲットに関する入手可能な情報に基づき得る。(a)および(b)を阻害する化合物は、タンパク質レベルで活性である。(c)を阻害する化合物は、前記タンパク質をコードするかまたは調節機能を有する核酸(例えばDNA、RNA、mRNA)に指向される。化合物がタンパク質に結合する能力は、競合的および非競合的結合アッセイなどの技術を使用して決定することができる。このようなアッセイは、例えば、標識化合物(直接的な測定)またはそれぞれの化合物に結合する検出可能な試薬(間接的な測定)を使用して実施することができる。同定されたターゲットタンパク質のコード核酸配列(例えば、配列番号1〜46、好ましくは配列番号46、1〜2または5によって示される遺伝子/核酸)は、核酸にハイブリダイゼーションできる化合物のためのターゲットを提供する。このような化合物の例は、siRNA、リボザイムおよびアンチセンス核酸を含む。
【0014】
好ましくは、配列番号1〜46のいずれか、好ましくは配列番号46、1〜2または5によって示される配列を有する核酸、またはその部分配列、または前記核酸もしくは前記部分配列に対して相補的な配列を(前記部分配列は、少なくとも20個の連続したヌクレオチドを含む)、薬物ターゲットとして、またはWO2008/03462228に概略が示された方法によるHIVの処置に有用な化合物の同定において使用する。
【0015】
好ましくは、ターゲットタンパク質候補(配列番号1〜46のいずれか、好ましくは配列番号46、1〜2または5によってコードされるタンパク質)のための小分子モデュレーター(これもまたHIVの処置において有用な化合物を示す)を同定するための方法は、以下のステップを含む:
− 第一細胞が小分子モデュレーターに曝されるとシグナルを発生することのできるタイプの第一細胞を提供する、ここで、前記シグナルは、空間的に解像でき、場合により好ましくは顕微鏡によって定量できるシグナルである、
− 前記第一細胞を小分子モデュレーターに曝し、そして前記小分子モデュレーターに対する応答として前記第一細胞によって発生した第一シグナルを空間的に解像し、場合により定量する、
− 前記第一細胞と同じタイプの第二細胞を提供する、
− 以下のステップを実施する:
− マーカータンパク質をコードする第一核酸をベクターに導入する、
− 前記ターゲットタンパク質候補(その発現を検出および/または定量しようとしている)をコードする第二核酸を、前記第一核酸および第二核酸が作動可能に連結されるように、前記マーカータンパク質の発現が前記ターゲットタンパク質候補の発現の指標となるように、前記ベクターに導入する、
− 前記ベクターを前記第二細胞に導入する、
− 前記マーカータンパク質の発現を検出および/または定量する、
− 前記マーカータンパク質の前記発現を、前記ターゲットタンパク質候補の発現と関連させ、これにより前記ターゲットタンパク質候補の発現を検出および/または定量する、
− 前記第二細胞において上記ステップを実施している間、前記ベクターを前記第二細胞に導入した後、前記第二細胞を前記小分子モデュレーターに曝し、そして前記小分子モデュレーターに対する応答として前記第二細胞によって発生した第二シグナルを空間的に解像し、場合により定量する、
− 前記第一シグナルを前記第二シグナルと比較し、そして、前記第一シグナルと前記第二シグナルとの間に差異が存在すれば、前記差異を、前記第二細胞における前記ターゲットタンパク質候補の発現の結果とし、これにより前記小分子モデュレーターのターゲットタンパク質として前記ターゲットタンパク質候補を同定する。
【0016】
好ましくは、前記第一細胞および前記第一細胞と同じタイプの前記第二細胞は、LTR−GFPHeLa細胞(LTR=末端反復配列)である。
【0017】
好ましくは、配列番号1〜46のいずれか、好ましくは配列番号46、1〜2または5によって示される配列を有する核酸、またはその部分配列、または前記核酸もしくは前記部分配列に対して相補的な配列を(前記部分配列は、少なくとも20個の連続したヌクレオチドを含む)、プロテオミクス相互作用マップ、プルダウン実験(すなわちAP/MS)、マイクロアレイ解析、およびコンピューターモデリング29を含むがこれらに限定されるわけではないネットワークまたはシステム生物学の分野の標準的な方法を使用することによってHIV感染の機序の解明に使用する。
【0018】
配列番号1〜46を表2に列挙する。
【0019】
本発明者らは、ゲノムワイドRNA干渉、高密度細胞マイクロアレイ、共焦点イメージングおよび画像解析の組合せを通じて、HIV感染の初期段階に関与するこれまで知られていなかったヒト宿主因子を同定した。彼らは、7つの光学によるゲノムワイド解析において分類指標としてHIVレセプター分子CD4を使用して、HIV−1が、その早期生活環を完了させるためにヒトゲノムの0.21%、すなわち44個の宿主遺伝子を使用することを示した。視覚画像の高度な情報内容と、アレイをベースとしたゲノムワイドスクリーンの迅速な再現性とを組み合わせることによって、本発明のアプローチは、高い信頼性でもってHIV−1宿主因子の同定を可能とした。
【0020】
本発明者らは、細胞レベルでHIV/疾病の病気発生に関与する遺伝子を直接的に同定するために、ゲノムワイド光学RNA干渉アプローチを開発した。それは、定量的なイメージングツールを使用した、生細胞内の経路および病原体の活性の自動解析として設計された。ウイルスベクターにおける小分子干渉RNA(siRNA)および小分子ヘアピンRNAのゲノムワイドライブラリーが、マイクロタイタープレートにおいて1遺伝子あたり1ウェルのレベルの低い解像度でスクリーニングされた。これを高解像度イメージングに進展させることは非常に挑戦しがいがあることが証明された。細胞マイクロアレイは、細胞事象をイメージングするための代替的で万能な解決法である4,5。細胞をリバーストランスフェクションするsiRNA、ウイルス粒子または化合物をプリントされたスポットアレイ上に重ねられた細胞単層は4〜10、面倒なロボットスクリーニングの代替法を提供する4,7,8,10〜12。本発明者らはこれらの利点を利用し、細胞マイクロアレイを使用してHIV感染をスクリーニングした。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、細胞マイクロアレイを使用してゲノムから単一細胞までのLTR−GFP HeLa細胞におけるHIV感染の自動ゲノムワイドスクリーニングを示す:7つの細胞マイクロアレイに48時間細胞を重層し、固定し、そして核染色して、その後、3色自動ポイントスキャン共焦点イメージングを行なった。パネルAは、78%(21,127)のゲノム特異的siRNAおよび22%(6089)の対照を含む7つのスライド(計27,216スポット)上における単一ゲノムワイドスクリーンの画像を示す。パネルBは、スクリーンからの単一のアレイ(3,888スポット)を示す。パネルCは、単一アレイからの18個のスポットを示し、アレイからの3個のスポットは中心のスポットがCD4、上はTRIM50B、下はFLJ43374siRNAを含んでいた。パネルDはスポット画像を示し、Eは核染色、FはHIV感染により誘導されたGFP発現、そして、Gはスポット中心におけるCD4siRNAトランスフェクト細胞および前記スポットと境を接する感染対照細胞を強調するアレイからの単一スポットを示す。核を2.5μM Draq5(ブルー)で染色した。スケールバー、上および中心のパネル10mm、下のパネル100μm。
【図2】図2は、大きな高解像度の細胞マイクロアレイの画像解析を要約する:Aは、画像境界(黒線)に対して、全アレイの傾斜、欠落しているスポットおよびsiRNAスポットの位置(灰色のドット)でのスポットのばらつきを示す、実際のアレイ収集図を示す。Bは、画像境界を横切っている1画像あたり複数のスポットを含む実際の場合と比較した、1画像あたり1つのスポット(上パネル)を含む仮想の場合を示す。Cは、小型アレイにフィットさせるためのsiRNAのアノテーション付けされたノード(計3,888個のノード)のフレキシブルなアレイグリッドモデルを示す。D〜F:フレキシブルなグリッド機能は、ノードを、そのすぐ隣との関係だけに制約し、ここで、D)2つの隣接するノード間において90°の角度、E)予め決定されたスポット間隔(d)、およびF)コンピューター計算された湾曲マップ上の最小値が好ましい。Gは、モデルを用いた小型アレイのアノテーションを示す。Hは、小型へのフィットから得られた座標を使用して隣接する高解像度画像から作成された高解像度複合スポット画像を示す。Iは、欠落しているスポットの検出および赤いsiRNAスポット画像上へのグリッドの重層(挿入図)を示すフィットされた大きなアレイを示す。
【図3】図3Aは、白い四角において自動的に検出されたスポット領域を用いてのCD4siRNAスポット画像を示す。Bは、細胞中心の数、核輝度、GFP輝度、細胞間の連結の最小輝度(連結の数値は、この連結の最小輝度である)、細胞の輝度間の距離、および全GFP(計15個の記述子)と共にそのそれぞれの標準偏差を読み出すために、スポット領域の内部および外部において細胞中心を検出するCD4siRNAスポット画像解析を示す。Cは、白い四角において検出されたスポット領域を用いてのスクランブルされたsiRNAスポット画像を示す。Dは、スクランブルされたsiRNAスポット画像解析を示す。Eは、今は15次元ベクトルに減少させた1つの実験(=1つのスポット)を示す。1つのアレイは、3,888個のスポット(108×36グリッド)を含む。従って、各々の結果の次元を2次元グレイレベル写真として示すことができ、1ピクセルは1実験を示す。各ピクセル値は、測定された次元に相当する。第一縦列:単一アレイの3,888個のスポット上で測定された15個の記述子。上から下へと:cellNumber、linkMinGFPAvg、linkMinGFPSdtdev、linkLengthAvg、linkLengthSdtdev、inTotalGFP、inIntNucleiAvg、inIntNucleiSdtdev、inIntGFPAvg、inIntGFPSdtdev、outTotalGFP、outIntNucleiAvg、outIntNucleiSdtdev、outIntGFPAvg、outIntGFPSdtdev。第二の縦列:正規化された同じ測定。こうした正規化された相対値は、ローカルヒットを保存しつつ、空間的なアレイの歪みに対してはるかにより堅固である。
【図4】図4Aは、分布間で最も際立った2次元空間上に投影された15次元測定CD4およびSCRAMBLEDクラウドを示す。2つのクラスを区別できることが明らかに分かる。Bは、この同じ視野への190,510個の実験(7×7アレイ)の投影を示し、そしてCは、15変数の結果に基づいた分類を示す。A、B、C:横:正準軸1、縦:正準軸2、カラー:クラス、輝度値:それぞれのクラス中心までの15次元マハラノビス距離(9頁参照)。Dは、正準平面上での数値の生起を示すヒストグラムを示す(Z軸:最も高い生起値は252である)。CD4クラスに該当する実験は緑色で標識され、そして全ての実験のほんの一部を示す(0.8%)。Eは、全実験の本体と比較して1より低い密度比を有するものであるCD4クラスの実験間で選択されたヒットを示すグラフである。従って、CD4クラスの外よりも内に、比例的により多くの同遺伝子の実験が存在する。この比は迅速に0.1よりも下に下降し、これは44ヒットの大半の密度がCD4クラスの外よりも内において少なくとも10倍高いことを示すことを注記されたい。Fは、siRNA実験の代表例を示す。
【図5】図5は、指定されたsiRNAを用いて24時間かけてトランスフェクションし、その後、HIV−IIIBで感染させたLTR−GFP HeLa細胞の結果を要約する。48時間後、固定した細胞をP24抗体で染色した。Aは、RNASEH2A、JMY、MED28およびCD4(陽性対照)の消失を伴うHIV感染の遮断を示す。GFP(緑色)およびP24(赤色)をHIV感染の指標として使用した。核(青色)をDraQ5で染色した。マージは、核(青色)、GFP(緑色)およびHIV P24(赤色)を合わせた画像を示す。スケールバーは20μmである。Bは、GFP輝度/ピクセル/細胞に基づいたGFP発現の量を示す。Cは、P24輝度/ピクセル/細胞に基づいたP24発現の量を示す。Dは、個々のsiRNAによるRNASEH2A、MED28およびJMYmRNA減少を示す。細胞を、指定したsiRNAを用いて72時間かけてトランスフェクションし、その後、cDNAを調製し、そしてRNASEH2A、MED28およびJMYmRNA発現レベルをRT−PCRによって測定した。
【図6】図6Aにおいて、ジャーカット細胞を指定したsiRNAを用いて72時間かけてトランスフェクションし、その後、HIV−1であるIIIBウイルス株(MOI:0.1)で感染させた。96時間後、P24抗原を細胞培養上清中においてp24ELIASによって測定した。Bにおいて、ジャーカット細胞を指定したsiRNAを用いて72時間かけてトランスフェクションし、その後、IIIBウイルス株であるHIV−1(MOI:0.05)で感染させた。96時間後、P24抗原を細胞培養上清中においてp24ELISAによって測定した。Cは、個々のAcell siRNAによるRNASE H2AmRNA減少を示す。ジャーカット細胞を指定したsiRNAを用いて96時間かけてトランスフェクションし、その後、cDNAを調製し、そしてRNASE H2AmRNA発現レベルをRT−PCRによって測定した。Dは、RT−PCRによって測定したRNASE H2Aノックダウンの量を示す。
【図7】CD4クラスにおいてその過剰な提示を実証した0.1より低い比を示した44個の遺伝子を同定した(表1)。
【図8】44個の遺伝子の中で36個が、HIV感染へのその関与について新規であるとして同定された(表2)。
【0022】
実施例
共焦点イメージングを可能とし、そしてsiRNAスポット位置およびイメージングについての機械的精度へのあらゆる依存を除外して、最小限の数のアレイにおいてヒトゲノムを網羅するような細胞マイクロアレイを作製した。24×60mmの光学ガラスウェーハ上にプリントされたアレイを、ハイスループットコンタクトプリンターを使用して大量に作製した。個々にバーコードのついたアレイは、縦列108×横列36において500μmのピッチで300μmの直径のスポットとして3,888個のsiRNAを含んだ。siRNAは、トランスフェクション試薬およびゼラチン7〜9、12、13および赤色蛍光siRNAを含む混合物中に封入された。赤色蛍光siRNAは光学的に同定可能で個々にアドレス可能なスポットを与え、そして全アレイを細胞重層後に可視化することができた(図1)。リバーストランスフェクションを、乾燥から1〜21日後に測定した。5日間より長い日数の間乾燥させたアレイを使用して、細胞の60%近くがトランスフェクションされ、そしてGFPノックダウンは、GFPを発現するHeLa細胞株のトランスフェクションから48時間後において70%を超えていた。内因性タンパク質発現サイレンシングは、p65またはエクスポーチン1(XPO1/CRM_1)の間接的な免疫標識および固定アレイの共焦点イメージングを使用して、トランスフェクションから48時間後に60%を超えていた。スポット同士のコンタミは最小限であり、サイレンシングは、GFPsiRNAスポットからの距離に関係なく全ての隣接するスポットにおいて低かった(5%未満)。
【0023】
HIV感染アッセイは、HeLaLTR−GFP細胞の28時間のリバーストランスフェクションと、その後のHIV−1(MOI=0.14)を用いての48時間の感染を含んでいた。HIV感染は、安定に組み込まれたGFPのTAT駆動発現を可能とし、従って、ウイルス感染において早期のステップを再現した14。これらの条件下で、HIV感染は、CD4siRNAを用いてトランスフェクションされた細胞において有意に抑制された(図1)。
【0024】
封入混合物中の、対照siRNAを含む21,127個の独特なヒト遺伝子の各々をターゲティングする4つの独特なsiRNA二本鎖に対応する84,508個のsiRNAの集合をプリントした。各アレイは648個の対照を含む3,888個のスポットを含み、そして全ヒトゲノムは7個のスライドで網羅された(図1A)。アレイを、倒立自動ポイントスキャン共焦点顕微鏡を使用してイメージングした。それは、ゲノムの7分の1を網羅するアレイに対して約10ギガバイトの画像情報に等価である(1ゲノムあたり70ギガバイト)、1,820800μmの側面の3色16ビット画像で完全なアレイを獲得した。ほぼ20万個の個々の実験および半テラバイトのイメージングデータを包含する、合計で7個のゲノム(7×7アレイ=49アレイ)を獲得した。
【0025】
HIV感染についての1回の光学ゲノムワイド解析が図1に示されている。それは、ヒトゲノムsiRNAライブラリーを含む7つのアレイから(図1A)単一のアレイまでに(図1B)、そして系統的にそのアレイから、CD4サイレンシング後にHIV感染が抑制された単一スポットまでにおよぶ(図1C〜G)。画像解像度は、ハイコンテントな形態学的および表現型的解析には適しているが15、しかしながらアレイ画像データセットのサイズおよびトポロジーは新たな画像解析解決法を必要とした。
【0026】
最初の画像解析の目標は、アレイ上のスポットを同定しアノテーションを付けることであった。ここでは、プリントされたアレイとsiRNAアノテーションと画像配列との間には関係は全くない(図2A)。さらに、画像の量は重要である(3色で1つのアレイに対して5,460)。単一アレイ画像は、20倍の解像度で4つまでのスポットを含み(しばしば隣接する画像と共有する)(図2B)、スポット身元に関する内在的情報は全くない。アレイプリンティングにおける固有の機械的および配置的不正確さは、全体として傾きそしてXYが置換されたアレイを作製し、そして相対的な横列/縦列の間隔、スポットの配置およびアラインメントにおいてスポット間のばらつきがあった(図2A)。重要なことには、アレイの圧縮されていない画像はとても大きいので、1つの連続的な画像へと集合させられると、画像を処理力の限界のために見ることができないかまたは操作することができない。専用ソフトウェアは自動的に個々の画像を収集し、そしてサーバー上に保存された高解像度の画像の空間的な情報を保持している圧縮された小型モザイクを創造した。この画像は、元のものと比較して2,500倍圧縮されていた(4Mb対10Gb)。アレイのフィッティングには小型画像を使用して、そのsiRNA身元を用いてスポットをアノテーション付けした。それは3,888のx−y変数の関数を最小限にすることによって達成された(3,888個のスポット位置)。これは2つの制約を使用した:第一は、フレキシブルなグリッドが元のグリッドモデルからひどく歪んだ場合に高い値を示したフレキシブルなアノテーション付きのグリッドモデル(モデル制約)であった。これは、隣接するノード(図2D)と公知のスポット間距離(図2E)との間の角度を制御することによって達成され、そして値はこれらの歪みと共に次第に増加した。第二の制約は、小型の変換であり(画像制約)、スポットの中心が近付くにつれて値は減少した。これは、小型の湾曲マップをコンピューター計算することによって達成された(図2F)。アルゴリズムは大雑把な近似を規定し、その後、前記の関数を最小化して、グリッドモデルのノードを、小型のスポットにフィットさせた(図2G)。その後、各スポットをsiRNA身元を用いてアノテーション付けし、そして、フィッティングによって決定したスポット位置の逆変換を使用して、データーベースからの生16ビット画像からリアルタイムで復元した(図2H)。その後、スポットのこれらの高解像度画像を画像解析に使用した(図2I)。
【0027】
7個の完全ヒトゲノム、すなわち合計で49個のsiRNAアレイを28時間培養して、宿主遺伝子サイレンシングを可能にした。アレイを、感染効率0.14の生HIV−1を用いて3時間かけて感染させ、洗浄し、そしてイメージング前に45時間インキュベーションした。一旦グリッドがフィッティングされ、各スポットの身元が読み出されると、HIV感染を、以下の画像およびデータ解析戦略を使用して各スポット上で独立して解析した。GFP蛍光の測定だけでは、細胞形状、密度および細胞間の融合に関する情報は全く得られないだろう。より重要なことには、合胞体形成中のGFPシグナルの希釈は、GFP産生の抑制からは容易に識別されることができない。本発明者らは、これに対処するために、15個の記述子を読み出したアルゴリズムを開発した。
【0028】
本発明者らは、HIV感染を定量化することができるように、siRNAスポット内および前記スポット周辺の境界において細胞を測定した。これは、予測されたスポットの次元が与えられれば最善の可能なスポット位置(図3A、白い四角)を規定する、スポットより大きな画像内のピクセルを無作為に測定するアルゴリズムを使用して達成された。核中心を、画像中の染色された蛍光核を大雑把にモデリングした2次元ガウス形状の鋳型マッチングによって検出した。GFPおよび核染色を、こうした核中心上に位置する小さなディスク上で測定した。この測定は、バックグラウンドまたは細胞形状の変動に対して堅固であった。合胞体の形成および細胞の分散度を測定するために、ドロネー三角形分割16を全核中心のセットからコンピューター計算して、独特な隣接マップを確立した。各々の独特な核:核連結に対するGFPの最小値が読みだされ、そしてドロネー三角形分割はボロノイ図を与え17、これを使用して高密度に詰め込まれた核を分離した。アルゴリズムは、150ミリ秒以内に各実験/スポットに対して15次元ベクトルを与えた(cellNumber, linkMinGFPAvg, linkMinGFPSdtdev, linkLengthAvg, linkLengthSdtdev, inTotalGFP, inIntNucleiAvg, inIntNucleiSdtdev, inIntGFPAvg, inIntGFPSdtdev, outTotalGFP, outIntNucleiAvg, outIntNucleiSdtdev, outIntGFPAvg, outIntGFPSdtdev)。図3Bは、アルゴリズムをCD4スポットおよびSCRAMBLEDスポットに適用した光学の結果を示す。
【0029】
細胞培養にはばらつきがあるので、感染の測定をアレイ間で正規化した。アレイは、その表面にわたって不完全な細胞密度に因る空間的変動の頻度が少ない大きな実験である。完全な単一アレイに対する結果のベクトルの各次元を示すアレイ画像を図4Aに示す。3個のスポットの半径サイズを有するメジアンフィルター(対照クラス間の分離を最大限にする半径として定義、以下参照)を使用して、結果のアレイをフィルターにかけた。この正規化は、7個のゲノムにおよぶ全ての測定に対して同程度の相対値を与えた。
【0030】
本発明者らの目的は、初期段階HIV感染の抑制において対照CD4と同じくらい強力な遺伝子を同定することであった。従って、彼らは、215個の個々のCD4および3896個のSCRAMBLED実験の2つの対照分布から2つのクラスの分類指標を構築した。それらは両方共15変数のガウス分布であるため、彼らは単純で堅固な分類指標を設定し、そして図4B〜Eで示したように最も際立った投影をコンピューターで算出した。本発明者らは、全ての190,510個のデータポイントについてCD4およびSCRAMBLEDクラスに対して15次元マハラノビス距離をコンピューターで算出した。マハラノビス距離は、1936年にP.C.マハラノビスによって導入された距離尺度である。それは変数間の相関に基づいており、これにより異なるパターンを同定し解析することができる。データセットの相関を考慮に入れているという点でそれはユークリッド距離とは異なる。本発明者らは、SCRAMBLEDよりもCD4により近く、少なくとも0.99であると選択されたゲーティング確率に対応するとしてカイ二乗(15の自由度を有する)から決定された所定のgの平方根より劣るCD4クラス中心までの距離を同時に有する、ポイントのみを選択した(ポイントは、不正な形式の関連していないがそれにも関わらずSCRAMBLEDよりもCD4に近い実験を除外した、0.99の確率を有するCD4クラスでなければならない)。これは、CD4と潜在的に類似しているとして1680個の実験(0.8%)を同定した。本発明者らは、両方のクラスにおける実験密度に基づいてスコア比をコンピューターで算出した。各遺伝子について、CD4クラスの内側と外側の実験の比率間の比をコンピューターで算出した。スコアが1より低い全ての遺伝子がCD4クラスにおいて異常に高い提示を有すると考えられ、スコアが低いほどその提示は強くなった。例えば、CD4は0.043の値を有し、これは、CD4クラス内の方が外よりも23倍(1/0.043)濃いことを意味する。CD4クラスにおいてその過剰な提示を実証した0.1より低い比を示した44個の遺伝子を同定した(表1、図4)。0.1より低いスコアは、CD4クラスの外よりも内の方が少なくとも10倍高い密度を意味する(図4)。
【0031】
これらの44個の遺伝子の中で36個が、HIV感染へのその関与について新規であるとして同定された(表2参照)。残りの8個の遺伝子は以前に、直接的にまたは間接的に、HIV感染に関与していることが示されている。近年、Brass et al.18による機能的ゲノムスクリーンにより、HIV感染に必要とされるタンパク質をコードするいくつかの宿主遺伝子の3つとしてMED28、CSPP1およびERP27が判明した。これより前に、MED28(マギシン)は、公知のHIV相互作用相手であるFYN19の相互作用相手としてすでに同定されていた。Ku70は、レトロウイルス複製中間体および組込み前複合体とのその相互作用に因り、レトロウイルス感染の初期段階の周知のメディエーターである20。PKN1(Pak1としても知られる)は、HIV補助因子Nefと相互作用することが示され、そしてPKN1の枯渇は、複数の細胞系においてHIV感染を強く阻害した21。PTGISをターゲティングするFDA認可の薬物のフェニルブタゾンは、ヒトおよび動物の両方のための可能性ある抗ウイルス(HIVを含む)剤として特許を取得した22。CCL2/MCP−1は、HIV感染中にHIVマトリックスタンパク質p17によって誘導される炎症誘発性ケモカインをコードする23、24。さらに、UNG2はHIVウイルス粒子にパッケージングされ、そしてウイルス逆転写酵素と物理的に会合することが以前に報告されている25。同定された遺伝子の20%超が、HIV感染の公知のエフェクターであるという事実は、本明細書において提示された全体的な結果の正当性を確証する。興味深いことに、RNASEH2A遺伝子の突然変異が、神経性疾患のアイカルディ・ゴーシェ症候群(AGS)を引き起こすことが示された26
【0032】
スクリーニング結果の重要性を検証するために、最終的に、LTR−GFP HeLa細胞における候補遺伝子の枯渇が、CD4ノックダウンによって見られるものと類似した様式でHIV複製を遮断することを証明することは必須である。これを試験するために、我々は、RNASEH2A、MED28およびJMYを選択し、そして対照としてCD4を使用した。細胞を、個々のsiRNAを用いて24時間かけてトランスフェクションし、そしてHIVを用いて48時間かけて感染させた。ウイルス複製を、GFPおよびP24発現細胞の外見を追跡することによって測定した14。細胞におけるRNASEH2A、MED28およびJMYノックダウンは、HIV感染を遮断した(図5A)。これらの画像の定量は、GFP輝度およびP24発現を使用して行なわれた(図5B、5C)。RNASEH2Aノックダウンにより、スクランブルsiRNAでトランスフェクトされた個体群と比較してHIV感染のほぼ80%の減少がもたらされた(図5B、5C)。またMED28およびJMYノックダウンにより、HIV感染の約50%の減少がもたらされた(図5B、5C)。我々はまた、ターゲティングされたmRNAが、RT−PCRによってその発現を測定することによってダウンレギュレートされたことを確証した(図5D)。それ故、RNAseH2A、MED28およびJMYは、HIV感染プロセスに必要である。
【0033】
スクリーニング結果の重要性をさらに確証するために、RNASEH2Aを、HIV感染のためのより代表的な細胞型においてノックダウンのための代表的な遺伝子として使用した。効果的な遺伝子サイレンシングのために、個々のRNASEH2A1番および2番siRNAをジャーカット(Tリンパ球)細胞にトランスフェクションした。ターゲティングされたmRNAは、定性的(図6C)および定量的(図6D)の両方の様式においてRT−PCRによってその発現によりダウンレギュレートされたことが確証された。約50%のRNASEH2Aがサイレンスとなった。RNASEH2AsiRNAでトランスフェクションされた細胞を、2つの異なるMOIのHIVを用いて感染させ、そしてウイルス複製をP24ELISAによって測定した(図6A、B)。要約すると、RNASEH2Aのノックダウンは、ジャーカット細胞においてWT HIV1ウイルスの複製を抑止する。これらの観察は、RNASEH2AがHIV感染プロセスに必要とされるという以前の所見を確認する。
【0034】
材料および方法
化学物質
全ての精密化学物質を、Sigma-Aldrichから購入した。DRAQ5はBioStatus (Shepshed, UK)からであった。全てのsiRNA二本鎖をDharmacon (USA)から購入した。siRNAライブラリーは、21,127個の独特なヒト遺伝子の各々をターゲティングする、4つの独特なsiRNA二本鎖に対応する84,508個のsiRNAを含む、1.0nMのDharmacon siARRAY全ヒトゲノムsiRNAライブラリー(Thermofisher, West Lafayette, CO)を含んでいた。一次抗体はSanta Cruz Biotechnologyからであり、そして全ての蛍光二次抗体はMolecular Probes/Invitrogen (Carlsbad, CA)からであった。トランスフェクション試薬は市販の供給源からであった。
【0035】
細胞株および細胞培養液
LTR−GFP HeLa細胞(A. Boese, Institut Pasteur Korea)を、記載14の野生型HeLa(ATCC)のように作製し、そしてGFP−トーシン発現HeLa(R. Grailhe, Institut Pasteur Korea)を、110mg/mLのピルビン酸ナトリウム、10%ウシ胎児血清(Gibco, USA)および1%ペニシリンストレプトマイシン(Invitrogen; Carlsbad, USA)の補充された高グルコースグルタマックスダルベッコ改変イーグル培地(Invitrogen; Carlsbad, USA)中で培養した。安定な株を、選択マーカーの補充された培地中に維持した。細胞株を、リバーストランスフェクションを定量するために12〜72時間かけてアレイ上で培養した。HIV感染のために、1個のアレイ(24×60mm)につき650,000個の細胞を播種し、5%ウシ胎児血清(Gibco, USA)および1%ペニシリンストレプトマイシン(Invitrogen; Carlsbad, USA)の補充されたOpti−MEM(Invitrogen; Carlsbad, USA)中で28時間培養した。細胞を、MOI=0.14のHIV−1のIIIB株(Daymoon industries; Cerritos, USA)を用いて一晩かけて接種した。5%ウシ胎児血清(Gibco, USA)および1%ペニシリンストレプトマイシン(Invitrogen; Carlsbad, USA)の補充された新鮮なOpti−MEM(Invitrogen; Carlsbad, USA)を次の日に添加した。細胞をさらに45時間培養し、次いで1%(w/v)パラホルムアルデヒドのダルベッコリン酸緩衝食塩水溶液中で固定し、そして核を2.5μM Draq5(BioStatus, UK)で染色し、その後イメージングした。ジャーカットクローンE6−1(ATTCC)を、10%ウシ胎児血清(Gibco, USA)、1%ペニシリンストレプトマイシン(Invitrogen; Carlsbad, USA)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco, USA)、10mM HEPESの補充されたRPMI培地1640(Invitrogen; Carlsbad, USA)中で培養した。
【0036】
マイクロアレイプリンティング
siRNAトランスフェクション溶液を本質的には記載27のように調製し、そして、無菌HEPAでろ過された空気を与える特注のクリーンチャンバーに封入されたステルス(stealth)ピン(telechem, USA)およびハイスループットマイクロアレイプリンター(Genomic Solutions, USA)を使用して、22〜25℃、55〜65%RHでNo.1カバーガラス上に3,888個のスポットアレイ(108×36スポット)としてプリントした。アレイは、プリントから1週間後から8カ月後まで性能に有意な変化を起こすことなくデシケーター中で保存された。7個のスライドがゲノムを網羅し、そしての16%の対照siRNAスポットを含んだ。
【0037】
マイクロアレイ獲得および解析
アレイを、外部データベースに直接的に書かれた16ビットTIFFファイルとして、ポイントスキャン共焦点読取機(Imageexpress Ultra, Molecular Devices, USA)を用いて獲得した。画像を、この目的のために設計されたソフトウェアを使用して解析のためのデータベースから直接的に読み取りした。適合性のグリッドフィッティングを適用して、全アレイ中のsiRNAスポットを同定し、スポットをフィッティングし、そしてそれらを切り取り、その後、解析、アノテーションおよび結果の転送のために画像データを抽出した。
【0038】
RNA単離およびRT−PCR
全RNAを、トリゾール(Trizol)法(Invitrogen, USA)によってsiRNAでトランスフェクトされたLTR−GFP HeLaおよび/またはジャーカット細胞から単離した。cDNAを、37℃で60分間、50pmolのオリゴ(dT)プライマーおよび20μMのdNTP混合物の存在下、25μlの反応混合物中、1μgの全RNAおよびMMLV−逆転写酵素(Promega)を使用して作製した。PCR増幅のために、特異的オリゴヌクレオチドプライマー対(各0.2pmol)を、25μLの反応混合物中、200ngのcDNA、1単位のLA Tagポリメラーゼ(Takara)、1×LA PCR緩衝液2(2.5mM MgCl)および100μM dNTPと共にインキュベーションした。使用したプライマーの配列は以下の通りである:
【表1】

【0039】
PCR条件は、95℃で30秒間、54℃で30秒間、そして72℃で3分間を合計40サイクルであった。PCR産物を1%アガロースゲルにアプライし、そして臭化エチジウムを用いて可視化した。
【0040】
フォワードsiRNAトランスフェクションおよびウイルス感染
ジャーカット細胞(40,000個の細胞/ウェル)を、24ウェルプレートにおいて、選択された個々のRNASEH2A1番、2番またはスクランブルに対して1μMのAcell siRNA(Dharmacon, USA)を用いてトランスフェクションし、その後、72時間インキュベーションした。細胞を、MOI=0.5、0.01のHIV−1のIIIBウイルス株(Daymoon industries; Cerritos, USA)を用いて感染させ、そして3時間かけて接種した。ウイルス上清を除去した後、細胞を、10%ウシ胎児血清(Gibco, USA)、1%ペニシリンストレプトマイシン(Invitrogen; Carlsbad, USA)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco, USA)および10mM HEPESの補充されたRPMI培地1640(Invitrogen; Carlsbad, USA)中で96時間培養した。ウイルス複製を、P24ELISA(Perkin-Elmer)による細胞非含有上清中でのp24HIV−1ウイルスコア抗原の検出によって決定した。
【0041】
LTR−GFP HeLa細胞(5,000個の細胞/ウェル)を、96ウェルプレートにおいて50nMの選択されたsiRNA(Dharmacon, USA)を用いてトランスフェクションし、その後、24時間インキュベーションした。細胞をHIV−1のIIIBウイルス株(Daymoon industries; Cerritos, USA)を用いて感染させ、そして3時間かけて接種した。ウイルス上清を除去した後、細胞を増殖培地中で培養した。細胞を、4%(w/v)パラホルムアルデヒドのダルベッコリン酸緩衝食塩水の水溶液中で固定し、抗P24抗体(Abcam, USA)を用いて染色し、そして2.5μM Draq5(Biostatus, UK)を用いて染色し、その後、イメージングした。
【0042】
P24免疫蛍光検出
細胞を、リン酸緩衝食塩水(PBS)を用いて2回洗浄し、4%(w/v)パラホルムアルデヒドのPBS溶液中で10分間かけて固定し、その後、PBSを用いて洗浄した。透過処理のために、細胞を、0.1%のTriton−XのPBS溶液中で10分間インキュベーションし、その後、PBS中で洗浄した。その後、4℃で2時間、10%ヤギ血清のPBS溶液中のマウス抗P24抗体の1:200希釈液と共にインキュベーションした。プレートを、軌道式回転機でPBSを用いて10分間かけて3回洗浄した。Alexa532ヤギ抗マウス二次抗体(1:1000)を室温で1時間かけて細胞と共にインキュベーションし、その後、細胞を軌道式撹拌機でPBSを用いて10分間かけて3回洗浄し、その後、5μMのDraQ5のPBS溶液を室温で10分間かけて添加した。
【0043】
【表2】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号46によって示される配列を有する核酸、またはその部分配列、または前記核酸もしくは前記部分配列に対して相補的な配列を有する核酸であって、前記部分配列は、
a)HIV感染の機序の解明において;
b)薬物ターゲットとして;または
c)HIVの処置に有用な化合物の同定において
使用するための少なくとも20個連続したヌクレオチドを含む、前記核酸。
【請求項2】
配列番号1もしくは配列番号2によって示される配列を有する核酸、またはその部分配列、または前記核酸もしくは前記部分配列に対して相補的な配列を有する核酸であって、前記部分配列は、
a)HIV感染の機序の解明において;
b)薬物ターゲットとして;または
c)HIVの処置に有用な化合物の同定において
使用するための少なくとも20個連続したヌクレオチドを含む、前記核酸。
【請求項3】
配列番号5によって示される配列を有する核酸、またはその部分配列、または前記核酸もしくは前記部分配列に対して相補的な配列を有する核酸であって、前記部分配列は、
a)HIV感染の機序の解明において;
b)薬物ターゲットとして;または
c)HIVの処置に有用な化合物の同定において
使用するための少なくとも20個連続したヌクレオチドを含む、前記核酸。
【請求項4】
配列番号3〜4および6〜45のいずれかによって示される配列を有する核酸、またはその部分配列、または前記核酸もしくは前記部分配列に対して相補的な配列を有する核酸であって、前記部分配列は、
a)HIV感染の機序の解明において;
b)薬物ターゲットとして;または
c)HIVの処置に有用な化合物の同定において
使用するための少なくとも20個連続したヌクレオチドを含む、前記核酸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−525364(P2011−525364A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515210(P2011−515210)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004604
【国際公開番号】WO2009/156162
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(509080129)インスティチュート・パスツール・コリア (6)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT PASTEUR KOREA
【出願人】(593218462)インスティチュート・パスツール (19)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT PASTEUR
【Fターム(参考)】